説明

相変化検出装置

【課題】テラヘルツ波を用いて相変化媒体の相変化を検出可能な相変化検出装置を提供する。
【解決手段】テラヘルツ発振素子38と、テラヘルツ検出素子44と、テラヘルツ発振素子38とテラヘルツ検出素子44との間に配置され、第1の相と第2の相とを有する相変化媒体(12・14)とを備え、テラヘルツ発振素子38から発振されたテラヘルツ波Iiを相変化媒体(12・14)に入射し、相変化媒体(12・14)の透過テラヘルツ波Ip若しくは反射テラヘルツ波Irをテラヘルツ検出素子44により検出し、相変化媒体(12・14)の第1の相と第2の相との相変化を検出する相変化検出装置30。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相変化検出装置に関し、特に、テラヘルツ波を用いて相変化媒体の相変化を検出可能な相変化検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トランジスタなどの電子デバイスの微細化が進み、その大きさがナノサイズになってきたため、量子効果と呼ばれる新しい現象が観測されるようになっている。そして、この量子効果を利用した超高速デバイスや新機能デバイスの実現を目指した開発が進められている。
【0003】
一方、そのような環境の中で、特に、テラヘルツ帯と呼ばれる、周波数が0.1THz(1011Hz)〜10THzの周波数領域を利用して大容量通信や情報処理、あるいはイメージングや計測などを行う試みが行われている。この周波数領域は、光と電波の中間の未開拓領域であり、この周波数帯で動作するデバイスが実現されれば、上述したイメージング、大容量通信・情報処理のほか、物性、生物などのさまざまな分野における計測など、多くの用途に利用されることが期待されている。
【0004】
テラヘルツ帯の周波数の高周波電磁波を発振する素子としては、トランジスタやダイオードなどの能動デバイスに微細スロットアンテナを集積する構造のものが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
一方、周波数可変の発振素子から発振される比較的広い帯域幅を持った周波数帯の電磁波であっても、その発振周波数全域にわたりスロット線路からの漏れを無くして高効率かつ高出力の電磁波を発振することができるテラヘルツ発振素子についても開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−124250号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】N. Orihashi, S. Hattori, and M. Asada: “Millimeter and Submillimeter Oscillators Using Resonant Tunneling Diode and Slot Antenna with Stacked-Layer Slot Antenna,” Jpn.J.Appl.Phys. vol.67, L1309 (2004).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
冷蔵庫の霜というものは必ず存在し、冷却機能を落とさないために冷蔵庫は、除湿機能を備えている。具体的には、内部の冷却機周辺をサーモスタットで検知し、ヒータで暖めて霜を除去している。サーモスタットでの検知は精度が良いわけではなく、除霜作業に無駄が生じている。
【0009】
本発明の目的は、テラヘルツ波を用いて相変化媒体の相変化を検出可能な相変化検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、テラヘルツ発振素子と、テラヘルツ検出素子と、前記テラヘルツ発振素子と前記テラヘルツ検出素子との間に配置され、第1の相と第2の相とを有する相変化媒体とを備え、前記テラヘルツ発振素子から発振されたテラヘルツ波を前記相変化媒体に入射し、前記相変化媒体の透過テラヘルツ波若しくは反射テラヘルツ波を前記テラヘルツ検出素子により検出し、前記相変化媒体の前記第1の相と前記第2の相との相変化を検出する相変化検出装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、テラヘルツ波を用いて相変化媒体の相変化を検出可能な相変化検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】水媒体と氷媒体に対する300GHz電磁波の透過率特性例。
【図2】(a)氷媒体を透過するテラヘルツ波の説明図、(b)水媒体で吸収されるテラヘルツ波の説明図。
【図3】(a)ガラス基板上に堆積された第2相変化媒体(霜)の様子を説明する模式的断面構造図、(b)ガラス基板上に堆積された第2相変化媒体(霜)は第1相変化媒体(水滴)に変化した様子を説明する模式的断面構造図。
【図4】(a)ガラス基板上に堆積された第2相変化媒体(霜)にテラヘルツ波Iiを入力し、反射板で反射されたテラヘルツ波Irの様子を説明する模式的断面構造図、(b)ガラス基板上に堆積された第1相変化媒体(水)にテラヘルツ波Iiを入力し、テラヘルツ波Iiが第1相変化媒体(水)で吸収されて、反射されたテラヘルツ波Irが検出されない様子を説明する模式的断面構造図。
【図5】テラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子を適用する実施の形態に係る相変化検出装置の模式的ブロック構成図。
【図6】テラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子を適用する実施の形態に係る相変化検出装置の模式的平面パターン構成図。
【図7】ガラス基板上に堆積された相変化媒体にテラヘルツ発振素子から出力されたテラヘルツ波Iiを入力し、反射板で反射されたテラヘルツ波Irをテラヘルツ検出素子で検出する様子を説明する模式図。
【図8】ガラス基板上に堆積された相変化媒体にテラヘルツ発振素子から出力されたテラヘルツ波Iiを入力し、反射板で反射されたテラヘルツ波Irをテラヘルツ検出素子で検出する様子を説明する詳細な模式図。
【図9】実施の形態に係る相変化検出装置を冷蔵庫(冷凍庫)に搭載する例を説明する模式的断面構造図。
【図10】実施の形態に係る相変化検出装置を冷蔵庫(冷凍庫)に搭載する例において、(a)テラヘルツ検出素子により検出された電圧信号の特性例。(b)ヒータのオンオフにより温度特性例。
【図11】実施の形態に係る相変化検出装置を自動車に搭載する例であって、フロントガラスの内側に水蒸気が存在する様子の説明図。
【図12】実施の形態に係る相変化検出装置を自動車に搭載する例であって、フロントガラスの内側に水滴が存在する様子の説明図。
【図13】実施の形態に係る相変化検出装置を自動車に搭載する例であって、反射板をフロントガラスに埋め込む構造例。
【図14】実施の形態に係る相変化検出装置を自動車に搭載する例であって、反射板をフロントガラスの外側に配置する構造例。
【図15】実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ検出素子のテラヘルツ波の照射前後での順方向電流電圧特性の変化を説明する図。
【図16】実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ検出素子のテラヘルツ波の照射前後での順方向および逆方向電流電圧特性の変化を説明する図。
【図17】実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の模式的鳥瞰図。
【図18】(a)図17のI−I線に沿う模式的断面構造図、(b)図17のII−II線に沿う模式的断面構造図。
【図19】(a)実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるRTDの模式的断面構造図、(b)図19(a)の変形例の模式的断面構造図。
【図20】(a)実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ発振素子の模式的回路構成図、(b)実施の形態に係るテラヘルツ発振素子の簡易等価回路構成図。
【図21】(a)実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ発振素子のアンテナ系も含めた模式的等価回路構成図、(b)図21(a)のRTDの等価回路構成図。
【図22】(a)実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ検出素子の模式的回路構成図、(b)実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ検出素子の簡易等価回路構成図。
【図23】実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ検出素子のアンテナ系も含めた模式的等価回路構成図。
【図24】実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ発振素子動作において、発振強度と発振周波数fの関係の一例を示す図。
【図25】実施の形態に係る相変化検出装置に適用される変形例1に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の模式的鳥瞰図。
【図26】実施の形態に係る相変化検出装置に適用される変形例2に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の模式的鳥瞰図。
【図27】図26に対応した第1の電極4、第2の電極2aおよび半導体層91aのパターン構造の模式的平面図。
【図28】(a)図26のIII−III線に沿う模式的断面構造図、(b)図26のIV−IV線に沿う模式的断面構造図。
【図29】変形例2に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子において、絶縁体基板をサンプル表面に貼付け、半導体基板を除去した様子を示す模式的鳥瞰図。
【図30】図29の裏面から見た様子を示す模式的鳥瞰図。
【図31】(a)実施の形態に係る相変化検出装置に適用される変形例3に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の電極パターン構造の模式的平面図、(b)実施の形態に係る相変化検出装置に適用される変形例4に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の電極パターン構造の模式的平面図。
【図32】実施の形態に係る相変化検出装置に適用される変形例5に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の模式的平面図。
【図33】実施の形態に係る相変化検出装置に適用される変形例6に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の模式的平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下において、同じブロックまたは要素には同じ符号を付して説明の重複を避け、説明を簡略にする。図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0014】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、各構成部品の配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
[実施の形態]
水媒体と氷媒体に対する300GHz電磁波の透過率特性例は、図1に示すように表される。300GHz電磁波に対して、曲線Aの水媒体では吸収係数は約200cm-1であり、曲線Bの氷媒体では吸収係数は約0.7cm-1である。テラヘルツ電磁波は、水に対する吸収係数は大きいが、氷に対する吸収係数は小さい。この差を利用して、霜センサーを構成可能である。すなわち、表面に水分が付着したときには、テラヘルツ電磁波の透過率が大きく減少し、その水分が氷になるとテラヘルツ電磁波の透過率が再び元に戻るという性質を利用することができる。
【0016】
図2(a)に示すように、氷媒体14に入力されたテラヘルツ波Iiは、氷媒体14を透過してテラヘルツ波Ipとなる。一方、図2(b)に示すように、水媒体12に入力されたテラヘルツ波Iiは、水媒体12中で吸収されるため、透過テラヘルツ波Ipはほとんど検出されない。
【0017】
ガラス基板11上に堆積された第2相変化媒体(霜)14は、図3(a)示すように表される。一方、ガラス基板11上に堆積された第2相変化媒体(霜)14が、第1相変化媒体(水滴)12aに変化した様子は、図3(b)示すように表される。
【0018】
ガラス基板11上に堆積された第2相変化媒体(霜)14にテラヘルツ波Iiを入力し、反射板16で反射されたテラヘルツ波Irの様子は、模式的に図4(a)に示すように表される。一方、ガラス基板11上に堆積された第1相変化媒体(水)12にテラヘルツ波Iiを入力し、テラヘルツ波Iiが第1相変化媒体(水)12中で吸収されて、反射されたテラヘルツ波Irが検出されない様子は、模式的に図4(b)に示すように表される。
【0019】
実施の形態に係る相変化検出装置30の模式的ブロック構成は、図5に示す示すように、テラヘルツ発振素子38を備えるテラヘルツ送信器100と、テラヘルツ検出素子44を備えるテラヘルツ受信器200とを備える。ここで、テラヘルツ発振素子38およびテラヘルツ検出素子44には、実施の形態に係る相変化検出装置30に適用されるテラヘルツ発振素子(RTD)およびテラヘルツ検出素子(RTD)を適用可能である。ここで、テラヘルツ発振素子38は、例えば、負性微分抵抗領域(NDR)に動作点を有し、テラヘルツ電磁波を効率よく発生すると共に、テラヘルツ検出素子44は、電流−電圧特性上、非発振状態とするとともに、微分抵抗の変化率を最大化する動作点を有し、テラヘルツ発振素子38から発生されたテラヘルツ電磁波を効率よく検出することができる。
【0020】
実施の形態に係る相変化検出装置30の模式的平面パターン構成は、図6に示すように表される。図6においては、後述する図17に示された実施の形態に係る相変化検出装置30に適用されるテラヘルツ発振素子(RTD)および同一構成のテラヘルツ検出素子(RTD)を、テラヘルツ発振素子38およびテラヘルツ検出素子44に利用している。このため、同一工程で製造したテラヘルツ発振素子38およびテラヘルツ検出素子44を利用することができる。送信器および検出器の構成が単純化され、高感度、低雑音でテラヘルツ電磁波の発振・検出が実現可能な相変化検出装置30を提供することができる。
【0021】
実施の形態に係る相変化検出装置30は、テラヘルツ発振素子38を備えるテラヘルツ送信器100と、テラヘルツ検出素子44を備えるテラヘルツ受信器200とを備え、テラヘルツ発振素子38は、負性微分抵抗領域に第1動作点を有する振幅遷移変調によって、テラヘルツ電磁波(hν)を発生すると共に、テラヘルツ検出素子44は、負性抵抗特性ではない非線形性領域に第2動作点を有することによって、テラヘルツ発振素子38から発生されたテラヘルツ電磁波を検出することができる。
【0022】
実施の形態に係る相変化検出装置30は、テラヘルツ発振素子38と、テラヘルツ検出素子44と、テラヘルツ発振素子38とテラヘルツ検出素子44との間に配置され、第1の相と第2の相とを有する相変化媒体12・14とを備える。ここで、テラヘルツ発振素子38から発振されたテラヘルツ波Iiを相変化媒体12・14に入射し、相変化媒体12・14の透過テラヘルツ波Ip若しくは反射テラヘルツ波Irをテラヘルツ検出素子44により検出し、相変化媒体12・14の第1の相と第2の相との相変化を検出することができる。
【0023】
相変化媒体(霜)14は、図3(a)に示すように、ガラス基板11上に配置される。
【0024】
また、相変化媒体(水滴)12aは、図3(b)に示すように、ガラス基板11上に配置される。ここで、相変化媒体(水滴)12aは、細部は、相変化媒体(水)12と同等である。
【0025】
ガラス基板11上に堆積された相変化媒体12・14にテラヘルツ発振素子38から出力されたテラヘルツ波Iiを入力し、反射板16で反射されたテラヘルツ波Irをテラヘルツ検出素子44で検出する様子は、模式的に図7に示すように表される。また、詳細図は、図8に示すように表される。
【0026】
実施の形態に係る相変化検出装置30は、図7〜図8に示すように、ガラス基板11上に、テラヘルツ発振素子38から発振されたテラヘルツ波Iiを反射する反射板16を備えていても良い。反射板16は、例えば、アルミニウム(Al)で形成可能である。
【0027】
また、反射板16は、図7〜図8に示すように、ガラス基板11と相変化媒体12・14との間に配置されていても良い。
【0028】
実施の形態に係る相変化検出装置30において、相変化媒体12・14の第1相は、霜であり、第2相は、水である。
【0029】
また、実施の形態に係る相変化検出装置30においては、テラヘルツ検出素子44は、共鳴トンネルダイオードからなる能動素子を備え、共鳴トンネルダイオードの負性微分抵抗を示す動作点における電流量の変化を検出して、透過テラヘルツ波Ip若しくは反射テラヘルツ波Irを検出し、相変化媒体12・14の第1の相と第2の相との相変化を検出することができる。
【0030】
(冷蔵庫(冷凍庫)に搭載する例)
実施の形態に係る相変化検出装置30を冷蔵庫(冷凍庫)150に搭載する例を説明する模式的断面構造は、図9に示すように表される。実施の形態に係る相変化検出装置30を搭載した冷蔵庫(冷凍庫)150は、筐体120と、筐体120に配置されたテラヘルツ送信器100・テラヘルツ受信器200と、筐体120の内壁に形成された相変化媒体14と、筐体120の内部空間に配置された水蒸気(気体)18と、筐体120の内壁面と相変化媒体14との間に配置された反射板16と、筐体120の近傍に配置され、相変化媒体14の相変化を促進するためのヒータ140とを備える。
【0031】
実施の形態に係る相変化検出装置30は、図9においては、筐体120に配置されたテラヘルツ送信器100およびテラヘルツ受信器200と、テラヘルツ送信器100とテラヘルツ受信器200との間に配置され、第1の相と第2の相とを有する相変化媒体14とを備える。ここで、テラヘルツ送信器100内のテラヘルツ発振素子38から発振されたテラヘルツ波Iiを相変化媒体14に入射し、相変化媒体14の反射テラヘルツ波Irをテラヘルツ受信器200内のテラヘルツ検出素子44により検出し、相変化媒体14の第1の相と第2の相との相変化を検出する。
【0032】
実施の形態に係る相変化検出装置30を冷蔵庫(冷凍庫)150に搭載する例においては、筐体120に隣接して、ヒータ140が配置され、第1の相と第2の相の相変化に応じて、ヒータ140をオンオフする。
【0033】
実施の形態に係る相変化検出装置30を冷蔵庫(冷凍庫)に搭載する例において、テラヘルツ検出素子44により検出された電圧信号の特性例は、図10(a)に示すように表され、ヒータ140のオンオフにより変化する温度特性例は、図10(b)に示すように表される。例えば、図10(a)に示すように、テラヘルツ検出素子44により検出された電圧信号Vにしきい値電圧Vthを設定する。検出される電圧信号Vがしきい値電圧Vthより低い場合には、検出される電圧信号Vが低いことから、筐体120の内壁には、相変化媒体(水滴)12aが存在すると判断し、ヒータ140はオフ状態を保持する。これに対して、検出される電圧信号Vがしきい値電圧Vthより高い場合には、検出される電圧信号Vが高いことから、筐体120の内壁には、相変化媒体(霜)14が存在すると判断し、霜取りのために、ヒータ140がオンになされる。
【0034】
実施の形態に係る相変化検出装置30を冷蔵庫(冷凍庫)に搭載する例において、テラヘルツ波の特徴を活かして、精度良く霜の検知を行うことができる。
【0035】
(自動車に搭載する例)
実施の形態に係る相変化検出装置30を自動車に搭載する例であって、フロントガラス36の外側の外気20に対して、フロントガラス36の内側に水蒸気40が存在する様子は、図11に示すように表され、フロントガラス36の内側に水滴12aが存在する様子は、図12に示すように表される。フロントガラス36の内側に水滴12aが存在することで、フロントガラス36の内側が曇るため、ヒータ140をオンにして、フロントガラス36の内側の曇りを解消させる必要がある。
【0036】
実施の形態に係る相変化検出装置30を自動車に搭載する例では、水蒸気(気体)40と水滴12aとの相変化を検出している。テラヘルツ発振素子38から発振されたテラヘルツ波Iiを前記相変化媒体に入射し、前記相変化媒体の透過テラヘルツ波Ip若しくは反射テラヘルツ波Irをテラヘルツ検出素子44により検出し、相変化媒体40・12aの第1の相と前記第2の相との相変化を検出する。
【0037】
実施の形態に係る相変化検出装置30を自動車に搭載する例であって、反射板16をフロントガラス36に埋め込む構造例は、図13に示すように表され、反射板16をフロントガラス36の外側に配置する構造例は、図14に示すように表される。すなわち、反射板16は、図14の例に示すように、相変化媒体40・12aが配置されるフロントガラス36の表面と反対側の裏面上に配置されていても良い。
【0038】
実施の形態に係る相変化検出装置30を自動車に搭載する例においても、フロントガラス36に隣接して、ヒータ140が配置され、第1の相と第2の相の相変化に応じて、ヒータ140をオンオフする。
【0039】
相変化媒体40・12aの第1相は、水蒸気40であり、第2相は、水滴12aである。尚、反射板16の代わりにテラヘルツ波の波長域での窓材で構成されたプリズムなどを適用しても良い。
【0040】
実施の形態に係る相変化検出装置30に適用されるテラヘルツ検出素子(RTD)44の電流−電圧特性例であって、室温動作において、テラヘルツ波の照射時(P)と、テラヘルツ波の非照射時(Q)の特性変化は、図15に示すように表される。図15に示すように、バイアス電圧を例えば、0.5Vと設定することによって、テラヘルツ電磁波を良好な感度で、室温動作で検出可能である。バイアス電圧を例えば、0.5Vと設定した場合、テラヘルツ波の非照射時(Q)では、p点にバイアスされるが、テラヘルツ波の照射時(P)では、大きく電流が変化し、電流変化量ΔIは、約0.4mA程度である。
【0041】
また、実施の形態に係る相変化検出装置30に適用されるテラヘルツ検出素子44の室温動作において、テラヘルツ波の照射時(P)と、テラヘルツ波の非照射時(Q)の順方向および逆方向電流電圧特性の変化は、図16に示すように模式的に表される。順方向―逆方向の名称は便宜的なものであり、どちらか一方を順方向と決定すれば、他方は逆方向となる。その理由は、RTDは2端子構造であって、順方向―逆方向電流電圧特性のいずれにも負性抵抗領域を有するからである。
【0042】
実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の模式的鳥瞰構造は、図17に示すように表され、図17のI−I線に沿う模式的断面構造は、図18(a)に示すように表され、図17のII−II線に沿う模式的断面構造は、図18(b)に示すように表される。
【0043】
実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子は、非対称の順方向および逆方向電流電圧特性を有する能動素子90を備え、負性微分抵抗を示す第1動作点で発振素子として動作し、負性抵抗領域ではない非線形特性を示す第2動作点で検出素子として動作する。
【0044】
実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の模式的鳥瞰構造は、図17〜図18に示すように、半導体基板1と、半導体基板1上に配置された第2の電極2,2aと、第2の電極2上に配置された絶縁層3と、第2の電極2に対して絶縁層3を介して配置され、かつ半導体基板1上に第2の電極2に対向して配置された第1の電極4(4a,4b,4c)と、絶縁層3を挟み第1の電極4aと第2の電極2間に形成されたMIMリフレクタ50と、MIMリフレクタ50に隣接して、半導体基板1上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置された共振器60と、共振器60に隣接して、半導体基板1上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置された導波路70と、導波路70に隣接して、半導体基板1上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置されたホーン開口部80とを備え、能動素子90は、共振器60の略中央部に配置される。
【0045】
能動素子90としてはRTDが代表的なものであるが、これ以外のダイオードやトランジスタでも構成可能である。その他の能動素子としては、例えば、タンネット(TUNNETT:Tunnel Transit Time)ダイオード、インパット(IMPATT:Impact Ionization Avalanche Transit Time)ダイオード、GaAs系電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、GaN系FET、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)などを適用することもできる。
【0046】
ホーン開口部80は、開口ホーンアンテナから構成される。ホーン開口部の開口角θは、例えば、10度程度以下に設定することが、電磁波(hν)の放射方向に指向特性を持たせる上で望ましい。ホーン開口部80の長さL3は、例えば、約700μm程度以下である。ホーン開口部80の先端部における開口幅は、例えば、約160μm程度である。
【0047】
導波路70は、共振器60の開口部に配置されている。導波路70の長さL2は、例えば、約700μm程度以下である。また、導波路70における第1の電極4と第2の電極2間の間隔は、例えば、約24μm程度である。
【0048】
なお、ホーン開口部80のホーン形状は、電磁波を空気中に取り出すために必要な構造である。ホーン形状によって、インピーダンス整合性良く電磁波を空気中に効率よく取り出すことができる。尚、ホーンの形状は、直線性形状に限らず、非直線性形状、曲線形状、2次曲線形状、放物線形状、階段状形状などであっても良い。
【0049】
共振器60には、2箇所の凹部5、6が形成されており、この2つの凹部5、6に挟まれて、凸部7が形成されている。そして、第1の電極4の凸部7の略中央部には突起部8が形成され、この突起部8の下側に第2の電極2と挟まれるように、能動素子90が配置される。
【0050】
共振器60の長さL1は、例えば、約30μm程度以下である。突起部8の長さは、例えば、約6μm程度以下である。また、凹部5、6の幅(第1の電極4と第2の電極2との間隔)は、例えば、約4μm程度である。能動素子90の寸法は、例えば、約1.4μm2程度である。但し、能動素子90のサイズは、この値に限定されず、例えば、約5.3μm2程度以下であってもよい。能動素子90の詳細構造については後述する。共振器60の各部のサイズは、上記寸法に限定されるものではなく、発振する電磁波の周波数に応じて設計上適宜設定されるものである。
【0051】
また、図17に示すように、導波路70における第1の電極4と第2の電極2間の間隔に比べて、共振器60が形成されている部分の第1の電極4と第2の電極2間の間隔は、狭い。
【0052】
MIMリフレクタ50は共振器60の開口部と反対側の閉口部に配置されている。金属/絶縁体/金属からなるMIMリフレクタ50の積層構造により、第1の電極4と第2の電極2は高周波的に短絡される。また、MIMリフレクタ50は、直流的には開放(オープン)でありながら、高周波を反射させることが可能となるという効果を有する。
【0053】
第1の電極4(4a,4b,4c)および第2の電極2,2aは、いずれも例えば、Au/Pd/Tiのメタル積層構造からなり、Ti層は、後述する半絶縁性のInP基板からなる半導体基板1との接触状態を良好にするためのバッファ層である。第1の電極4a,4b,4cおよび第2の電極2,2aの各部の厚さは、例えば、約数100nm程度であり、全体として、図18(a)および図18(b)に示すような平坦化された積層構造が得られている。なお、第1の電極4、第2の電極2は、いずれも真空蒸着法、或いはスパッタリング法などによって形成することができる。
【0054】
さらに詳細には、第1の電極4aおよび第1の電極4cは、例えば、Au/Pd/Tiからなり、第1の電極4bは、例えば、Au/Tiからなる。第2の電極2は、例えば、Au/Pd/Tiからなり、第2の電極2aは、例えば、Au/Tiからなる。
【0055】
尚、第1の電極4bの表面層を形成するTi層は、ボンディングワイヤ(図示省略)によって取り出し電極を形成する際、接触抵抗を低減するために除去することが望ましい。同様に、第2の電極2aの表面層を形成するTi層は、ボンディングワイヤ(図示省略)によって取り出し電極を形成する際、接触抵抗を低減するために除去することが望ましい。
【0056】
絶縁層3は、例えば、SiO2膜で形成することができる。その他、Si34膜、SiON膜、HfO2膜、Al23膜などを適用することもできる。なお、絶縁層3の厚さは、MIMリフレクタ50の幾何学的な平面寸法と、回路特性上の要求されるキャパシタ値を考慮して決めることができ、例えば、数10nm〜数100nm程度である。絶縁層3は、化学的気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、或いはスパッタリング法などによって形成することができる。
【0057】
―共鳴トンネルダイオード―
実施の形態に係る相変化検出装置に適用される共鳴トンネルダイオード(RTD)の模式的断面構造は、図19(a)に示すように表され、その変形例の模式的断面構造は、図19(b)に示すように表される。
【0058】
実施の形態に係る相変化検出装置に適用される能動素子90としてRTDの構成例は、図19(a)に示すように、半絶縁性のInP基板からなる半導体基板1上に配置され,n型不純物を高濃度にドープされたn+InGaAs層91aと、n+InGaAs層91a上に配置され,n型不純物をドープされたnInGaAs層92aと、nInGaAs層92a上に配置されたアンドープのInGaAs層93bと、InGaAs層93b上に配置されたアンドープのAlAs層94a/アンドープのInGaAs層95/アンドープのAlAs層94bから構成されたRTD部と、アンドープのAlAs層94b上に配置されたアンドープのInGaAs層93bと、アンドープのInGaAs層93b上に配置され,n型不純物をドープされたnInGaAs層92bと、nInGaAs層92b上に配置され,n型不純物を高濃度にドープされたn+InGaAs層91bと、n+InGaAs層91b上に配置された第1の電極4aと、n+GaInAs層91a上に配置された第2の電極2とを備える。
【0059】
変形例では、図19(b)に示すように、n型不純物を高濃度にドープされたn+GaInAs層91b上に更にn型不純物を高濃度にドープされたn+GaInAs層91cを配置し、第1の電極4aとのコンタクトを良好にしている。
【0060】
図19(a)および図19(b)に示すように、RTD部は、アンドープのInGaAs層95をアンドープのAlAs層94a、94bで挟んで形成されている。このように積層されたRTD部は、スペーサとして用いられるアンドープのInGaAs層93a、93bを介在させてnInGaAs層92a、92b、及びn+InGaAs層91a、91b、若しくは91cを介して、第2の電極2と第1の電極4にオーミックに接続される構造となっている。
【0061】
尚、図19(a)および図19(b)の構造において、さらに半絶縁性のInP基板からなる半導体基板1上にアンドープのIn0.53Ga0.47As層をn型不純物を高濃度にドープされたn+InGaAs層91aとの間に介在させても良い。
【0062】
ここで、各層の厚さは、例えば以下の通りである。
【0063】
+InGaAs層91a、91b・91cの厚さは、それぞれ例えば、約400nm、15nm・8nm程度である。nGaInAs層92aおよび92bの厚さは、略等しく、例えば、約25nm程度である。アンドープInGaAs層93a・93bの厚さは、例えば、約2nm・20nm程度である。アンドープAlAs層94a・94bの厚さは、等しく、例えば、約1.1nm程度である。アンドープGaInAs層95の厚さは、例えば、約4.5nm程度である。
【0064】
実施の形態に係る相変化検出装置に適用される共鳴トンネルダイオード(RTD)の模式的断面構造においては、アンドープのAlAs層94a/アンドープのInGaAs層95/アンドープのAlAs層94bから構成されたRTD部を挟むアンドープInGaAs層93aの厚さを約2nm、アンドープInGaAs層93bの厚さを約20nmと非対称に設定することによって、後述する図8に示すように、順方向―逆方向のI−V特性を非対称にすることができる。
【0065】
実施の形態に係る相変化検出装置に適用される共鳴トンネルダイオード(RTD)の模式的断面構造においては、エピタキシャル構造を非対称にすることで、順方向と逆方向のI−V特性が非対称となり、印加電圧を変えることによって、発振素子、検出素子を使い分けることが可能となる。
【0066】
またダイオードによる検出には、I−V特性の非線形性が大きい方が感度が良いが、RTDは負性抵抗を示すので、非線形性が大きく、高感度な検出が可能である。
【0067】
ここで、InxGa1-xAsからなる各層のIn組成比xは、例えば以下の通りである。
【0068】
+InGaAs層91a・91bにおいてはx=0.53、n+InGaAs層91cにおいてはx=0.7、nGaInAs層92a・92bにおいてはx=0.53、アンドープInGaAs層93bにおいてはx=0.53、アンドープGaInAs層95においてはx=0.8である。
【0069】
ここで、各層のドーピングレベルは、例えば以下の通りである。
【0070】
+InGaAs層91a・91bのドーピングレベルは、約2.00E+19(cm-3)、n+InGaAs層91cのドーピングレベルは、約2.00E+19(cm-3)、nGaInAs層92a・92bのドーピングレベルは、約3.00E+18(cm-3)であり、いずれもドーパントは、例えば、シリコン(Si)を適用可能である。
【0071】
なお、図19(a)および図19(b)に示す積層構造の側壁部には、SiO2膜、Si34膜、SiON膜、HfO2膜、Al23膜など、若しくはこれらの多層膜からなる絶縁膜を堆積することもできる。絶縁層は、CVD法、或いはスパッタリング法などによって形成することができる。
【0072】
能動素子90を構成するRTDの寸法は、例えば、約1.4μm2程度以下である。例えば、室温で観測した発振周波数は、約300GHz程度である。また、例えば、発振時における素子の電流密度Jpは、約7mA/μm2程度である。
【0073】
―回路構成―
実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ発振素子の模式的回路構成は、図20(a)に示すように、能動素子90を構成するRTDと、MIMリフレクタ50を構成するキャパシタCMの並列回路によって表される。第1の電極4にはRTDのカソードが接続され、第2の電極2には、RTDのアノードが接続され、第1の電極4にはマイナスの電圧、第2の電極2にはプラスの電圧が印加される。発振状態においては、ホーン開口部の開口方向であるY軸方向に電磁波(hν)が指向性良く伝播される。
【0074】
図20(a)に対応する簡易等価回路構成は、図20(b)に示すように、能動素子90を構成するRTDは、キャパシタC01とインダクタL01の並列回路で表わすことができ、MIMリフレクタ50のキャパシタCMがさらに並列に接続されるため、テラヘルツ電磁波(hν)の発振周波数fは、f=1/[2π(L01(C01+CM)1/2)で表される。
【0075】
実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ発振素子のアンテナ系も含めた模式的等価回路構成は、図21(a)に示すように、ダイオード(RTD)系を表す能動素子90・キャパシタCMの並列回路に対して、アンテナ(ANT)系を表すアンテナインダクタL・アンテナキャパシタCA・アンテナ放射抵抗GANTの並列回路が並列に接続される。
【0076】
図21(a)の能動素子90を構成するRTDの等価回路構成は、図21(b)に示すように、コンタクト抵抗Rc・コンタクトキャパシタCcからなるコンタクト部分の並列回路と、外部ダイオードキャパシタCD・内部ダイオードキャパシタCd・ダイオード負性抵抗(−Gd)からなるダイオード部分の並列回路と、インダクタLM・抵抗RMからなるメサ部分の直列回路が直列接続された構成を備える。
【0077】
ここで、実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ発振素子のアンテナ系も含めた等価回路全体のアドミッタンスYは、
Y=Yd+Yc・Ya・Ym/(Yc・Ya+Ya・Ym+Yc・Ym)
で表される。ここで、Yd=−Gd+jωCd、Yc=1/Rc+jωCc、Ym=1/(Rm+jωLm)であり、Yaはアンテナ系のアドミッタンス、ωは発振角周波数を表す。各パラメータは、能動素子90を構成するダイオード(RTD)の物性値から求めることができる。また、発振条件Re(Y)≦0,Im(Y)=0を解くことによって、発振周波数、発振出力が得られる。
【0078】
実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ検出素子の模式的回路構成は、図22(a)に示すように、能動素子90を構成するRTDと、MIMリフレクタ50を構成するキャパシタCMの並列回路によって表される。第1の電極4にはRTDのアノードが接続され、第2の電極2には、RTDのカソードが接続され、第1の電極4にはマイナスの電圧、第2の電極2にはプラスの電圧が印加される。検出状態においては、ホーン開口部の開口方向であるY軸方向からの電磁波(hν)が指向性良く検出される。
【0079】
図22(a)に対応する簡易等価回路構成は、図22(b)に示すように、能動素子90を構成するRTDは、キャパシタC01とインダクタL01の並列回路で表わすことができ、MIMリフレクタ50のキャパシタCMがさらに並列に接続される。
【0080】
実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ検出素子のアンテナ系も含めた模式的等価回路構成は、図23に示すように、ダイオード(RTD)系を表す能動素子90・キャパシタCMの並列回路に対して、アンテナ(ANT)系を表すアンテナインダクタL・アンテナキャパシタCA・アンテナ放射抵抗GANTの並列回路が並列に接続される。
【0081】
図23の能動素子90を構成するRTDの等価回路構成は、図21(b)と同様に表される。
【0082】
実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ発振素子において、発振強度と発振周波数fの関係の一例は、図24に示すように表される。室温で、約300GHzの発振周波数fが得られている。この発振周波数fの値は、図19に示される各層の構造、メサ領域の寸法、アンテナ構造などを調整することによって、変更可能である。
【0083】
―変形例1―
実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の変形例1の模式的鳥瞰構造は、図25に示すように表される。
【0084】
変形例1においては、図25に示すように、半導体基板1は、共振器60,導波路70,およびホーン開口部80を形成する第1の電極2および第2の電極4の配置される領域において薄層化されている。さらに、図25に示すように、第1の電極2と第2の電極4間の導波路70,およびホーン開口部80の半導体基板1aは、完全に除去されていても良い。その他の構成は、図17の構成と同様であるため、各部の説明は省略する。
【0085】
図25において、薄層化された半導体基板1aの厚さは、例えば、約20μm程度である。また、導波路70の長さは、例えば、約700μm程度以下であり、ホーン開口部80の長さも例えば、約700μm程度以下である。MIMリフレクタ50を含む変形例1に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の全体の長さは、例えば、約1600μm程度以下である。
【0086】
変形例1に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子によれば、半導体基板を薄層化することによって、基板の影響を抑制することが可能となり、指向性を向上させ、高効率かつ高出力に、基板に対して横方向に、テラヘルツ電磁波を発振および検出することができ、しかも集積化が容易である。
【0087】
実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の変形例1によれば、半導体基板を薄層化することによって、基板の影響を抑制することが可能となり、基板に水平な方向に指向性を向上させ、効率良く、テラヘルツ電磁波を発振および検出することが可能となる。
【0088】
―変形例2―
実施の形態に係る相変化検出装置に適用されるテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の変形例2の模式的鳥瞰構造は、図26に示すように表される。また、図26に対応した第1の電極4、第2の電極2aおよび半導体層91aのパターン構造の模式的平面図は、図27に示すように表される。また、図27のIII−III線に沿う模式的断面構造は、図28(a)に示すように表され、図27のIV−IV線に沿う模式的断面構造は、図28(b)に示すように表される。
【0089】
変形例2に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子は、図26〜図28に示すように、絶縁体基板10と、絶縁体基板10上に配置された第1の電極4(4a,4b,4c)と、第1の電極4a上に配置された絶縁層3と、絶縁体基板10上に配置された層間絶縁膜9と、層間絶縁膜9上に配置され、かつ第1の電極4aに対して絶縁層3を介して第1の電極4に対向して配置された第2の電極2,2aと、第2の電極2上に配置された半導体層91aと、絶縁層3を挟み第1の電極4aと第2の電極2間に形成されたMIMリフレクタ50と、MIMリフレクタ50に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置された共振器60と、共振器60の略中央部に配置された能動素子90と、共振器60に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置された導波路70と、導波路70に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置されたホーン開口部80とを備える。
【0090】
ホーン開口部80は、開口ホーンアンテナから構成される。ホーン開口部の開口角θは、例えば、10度程度以下に設定することが、電磁波(hν)の放射および検出方向に指向特性を持たせる上で望ましい。ホーン開口部80の長さL3は、例えば、約700μm程度以下である。ホーン開口部80の先端部における開口幅は、例えば、約160μm程度である。
【0091】
導波路70は、共振器60の開口部に配置されている。導波路70の長さL2は、例えば、約700μm程度以下である。また、導波路70における第1の電極4と第2の電極2間の間隔は、例えば、約24μm程度である。
【0092】
なお、ホーン開口部80のホーン形状は、電磁波を空気中に放射および空気中から検出するために必要な構造である。ホーン形状によって、インピーダンス整合性良く電磁波を効率よく空気中に放射および空気中から検出することができる。尚、ホーンの形状は、直線性形状に限らず、非直線性形状、曲線形状、2次曲線形状、放物線形状、階段状形状などであっても良い。
【0093】
共振器60には、2箇所の凹部5、6が形成されており、この2つの凹部5、6に挟まれて、凸部7が形成されている。そして、半導体層91aの凸部7の略中央部には突起部8が形成され、この突起部8の下側に第1の電極4aと挟まれるように、能動素子90が配置される。
【0094】
共振器60の長さL1は、例えば、約30μm程度以下である。突起部8の長さは、例えば、約6μm程度以下である。また、凹部5、6の幅(第1の電極4と第2の電極2との間隔)は、例えば、約4μm程度である。能動素子90の寸法は、例えば、約1.4μm2程度である。但し、能動素子90のサイズは、この値に限定されず、例えば、約5.3μm2程度以下であってもよい。共振器60の各部のサイズは、上記寸法に限定されるものではなく、発振する電磁波の周波数に応じて設計上適宜設定されるものである。
【0095】
また、図26に示すように、導波路70における第1の電極4と第2の電極2間の間隔に比べて、共振器60が形成されている部分の第1の電極4と第2の電極2間の間隔は、狭い。
【0096】
MIMリフレクタ50は共振器60の開口部と反対側の閉口部に配置されている。金属/絶縁体/金属からなるMIMリフレクタ50の積層構造により、第1の電極4と第2の電極2は高周波的に短絡される。また、MIMリフレクタ50は、直流的には開放(オープン)でありながら、高周波を反射させることが可能となるという効果を有する。
【0097】
第1の電極4(4a,4b,4c)および第2の電極2,2aは、いずれも例えば、Au/Pd/Tiのメタル積層構造からなり、Ti層は、絶縁体基板10との接触状態を良好にするためのバッファ層である。第1の電極4a,4b,4cおよび第2の電極2,2aの各部の厚さは、例えば、約数100nm程度であり、全体として、図28(a)および図28(b)に示すような平坦化された積層構造が得られている。なお、第1の電極4、第2の電極2は、いずれも真空蒸着法、或いはスパッタリング法などによって形成することができる。
【0098】
さらに詳細には、第1の電極4aおよび第1の電極4cは、例えば、Au/Pd/Tiからなり、第1の電極4bは、例えば、Au/Tiからなる。第2の電極2は、例えば、Au/Pd/Tiからなり、第2の電極2aは、例えば、Au/Tiからなる。
【0099】
尚、第1の電極4bの表面層を形成するTi層は、ボンディングワイヤ12bによって取り出し電極を形成する際、接触抵抗を低減するために除去することが望ましい。同様に、第2の電極2aの表面層を形成するTi層は、ボンディングワイヤ12aによって取り出し電極を形成する際、接触抵抗を低減するために除去することが望ましい。
【0100】
絶縁層3は、例えば、SiO2膜で形成することができる。その他、Si34膜、SiON膜、HfO2膜、Al23膜などを適用することもできる。なお、絶縁層3の厚さは、MIMリフレクタ50の幾何学的な平面寸法と、回路特性上の要求されるキャパシタ値を考慮して決めることができ、例えば、数10nm〜数100nm程度である。絶縁層3は、CVD法、或いはスパッタリング法などによって形成することができる。
【0101】
同様に、層間絶縁膜9は、例えば、SiO2膜で形成することができる。その他、Si34膜、SiON膜、HfO2膜、Al23膜などを適用することもできる。層間絶縁膜9の厚さは、図28(a)に示すように、第2の電極2aと層間絶縁膜9の全体の厚さが、第1の電極4の厚さと略同程度となるように設定されている。層間絶縁膜9は、CVD法、或いはスパッタリング法などによって形成することができる。
【0102】
また、絶縁体基板10は、半導体層91aよりも低誘電率材料の基板からなることが、電波を効率良く取り出す上で望ましい。低誘電率材料の絶縁体基板10としては、例えば、ポリイミド樹脂基板、テフロン(登録商標)基板などを適用することができる。絶縁体基板10の厚さは、例えば、200μm程度である。
【0103】
変形例2に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子において、上方は空気であるため、比誘電率εair=1である。絶縁体基板10として、ポリイミド樹脂基板を使用すると、ポリイミド樹脂の比誘電率εpoly=3.5であるため、発振素子として動作時、全体の発振出力に対する絶縁体基板10の下方への発振出力の割合は、εpoly3/2/(εair3/2+εpoly3/2)=0.87で表される。すなわち、全体の発振出力の内、約87%は、絶縁体基板10側に放射され、ホーン開口部80から横方向に放射される発振出力は、相対的に増大する。また、検出素子として動作時も、同様に、ホーン開口部80から横方向に効率よくテラヘルツ電磁波を検出可能である。
【0104】
さらに、絶縁体基板10として、テフロン(登録商標)樹脂基板を使用すると、テフロン(登録商標)の比誘電率εtef=2.1であるため、発振素子として動作時、全体の発振出力に対する絶縁体基板10の下方への発振出力の割合は、εtef3/2/(εair3/2+εtef3/2)=0.75で表される。すなわち、発振素子として動作時、全体の発振出力の内、約75%は、絶縁体基板10側に放射され、ホーン開口部80から横方向に放射される発振出力は、相対的に増大する。また、検出素子として動作時も、同様に、ホーン開口部80から横方向に効率よくテラヘルツ電磁波を検出可能である。
【0105】
MIMリフレクタ50は、図28(a)に示すように、第1の電極4aと第2の電極2間に絶縁層3を介在させた構造から形成されている。また、図28(b)から明らかなように、RTDからなる能動素子90は、絶縁体基板10上に第1の電極4aを介して、配置されている。第1の電極4aは、RTDのn+GaInAs層91bに接触して配置されている。第2の電極2は、RTDのn+GaInAs層91aに接触して配置されている。さらに、第1の電極4(4b,4c)は、絶縁体基板10上に延在して配置されている。
【0106】
このように、第1の電極4が、絶縁体基板10上に延在して配置されていることから、第1の電極4と第2の電極2は、互いに短絡されることがなく、RTDのn+GaInAs層91aとn+GaInAs層91b間に所定の直流バイアス電圧を印加することができる。
【0107】
なお、第1の電極4には、ボンディングワイヤ12bが接続され、第2の電極2aには、ボンディングワイヤ12aが接続されて、第1の電極4と第2の電極2a間には、直流電源15が接続されている。また、第1の電極4と第2の電極2a間には、寄生発振を防止するための抵抗(図示省略)が接続されている。
【0108】
変形例2に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の構造において、第1の電極4上に直接、また第2の電極2上に層間絶縁膜9を介して絶縁体基板10を貼付け、半導体基板1をエッチングで除去した後の上下反転した構造は、図28(a)および図28(b)に示すように表される。図28(a)および図28(b)に示すように、変形例2に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子においては、第2の電極2上には半導体層91aが配置されが、第2の電極2aも露出するため、第2の電極2aに対して、ワイヤボンディングなどの電極取り出し工程を容易に行うことができる。
【0109】
変形例2に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の製造方法においては、図18(a)および図18(b)に示すように、半導体基板1上に半導体層91aを形成後、パターニングによって、半導体層91aの幅を狭く形成し、半導体層91a上に形成される第2の電極2のパターン幅を狭く形成する。残りの部分には、第2の電極2に接続し、所定の幅を有し、相対的に厚い第2の電極2aを形成する。結果として、図18(a)および図18(b)に示すように、第2の電極2aが、半導体基板1に接触する構造を得る。
【0110】
次に、図28(a)および図28(b)に示すように、第1の電極4上に直接、また第2の電極2上に層間絶縁膜9を介して絶縁体基板10を貼付け、半導体基板1をエッチングで除去した後の上下反転した構造を得る。
【0111】
次に、図26に示すように、第1の電極4にボンディングワイヤ12bを接続し、第2の電極2aに、ボンディングワイヤ12aを接続することで電極取り出しを実施する。
【0112】
半導体基板1は、例えば、半絶縁性のInP基板によって形成され、厚さは、例えば、約600μm程度である。InP基板のエッチング液としては、例えば、塩酸系のエッチング液を適用することができる。
【0113】
変形例2に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子において、厚さdを有する絶縁体基板10をサンプル表面に貼付け、半導体基板をエッチングにより除去する工程後の模式的鳥瞰構造は、図28に示すように表され、図29の裏面から見た模式的鳥瞰構造は、図30に示すように表される。図29から明らかなように、第1の電極4は、直接絶縁体基板10に貼り付けられている。また、第2の電極2,2aは、図29では図示を省略しているが、図28(a)および図28(b)に示すように、層間絶縁膜9を介して絶縁体基板10に貼り付けられている。図30の詳細構造は、図26に対応している。
【0114】
変形例2に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子として、共鳴トンネルダイオード(RTD)の模式的断面構造は、図19(a)と同様に表される。また、その変形例の模式的断面構造は、図19(b)と同様に表される。
【0115】
図19(a)は、半導体基板1上に配置された構造例であるが、その後の工程によって、第1の電極4aに絶縁体基板10を貼り付けた後、半導体基板1は、エッチングによって除去される。したがって、図19(a)は、絶縁体基板10を貼り付け工程前における能動素子90近傍の模式的断面構造に相当している。
【0116】
前述と同様に、能動素子90としてはRTDが代表的なものであるが、これ以外のダイオードやトランジスタでも構成可能なものである。その他の能動素子としては、例えば、TUNNETTダイオード、IMPATTダイオード、GaAsFET、GaN系FET、HEMT、HBTなどを適用することもできる。
【0117】
変形例2に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子によれば、低誘電率の絶縁体基板を用いることで横方向の指向性を改善し、高効率かつ高出力に、基板に対して横方向に指向性高くテラヘルツ電磁波を発振および検出することができ、しかも集積化が容易となる。
【0118】
―変形例3・変形例4
変形例3に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の電極パターン構造は、図31(a)に示すように表され、変形例4に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の電極パターン構造は、図31(b)に示すように表される。
【0119】
変形例3に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の電極パターン構造は、MIMリフレクタ50を構成する第2の電極2にスタブ構造を備える例であり、変形例4に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の電極パターン構造は、MIMリフレクタ50を構成する第1の電極4にスタブ構造を備える例である。図28(a)から明らかなように、第2の電極2上には、半導体層91aが配置されているため、図31(a)および図31(b)では、半導体層91aが表示されているが、半導体層91aの下には、第2の電極2のパターンが同一のパターン形状で配置されている。
【0120】
すなわち、図31(a)に示すように、MIMリフレクタ50を構成する部分において、第2の電極2は、複数のスタブ13Aを備える。
【0121】
また、図31(b)に示すように、MIMリフレクタ50を構成する部分において、第1の電極4は、複数のスタブ13Bを備える。
【0122】
複数のスタブ13Aまたは13Bは、共振器60に面して等間隔に配置されていてもよく、或いは、その間隔が変化するように配置されていてもよい。
【0123】
上記の変形例3・変形例4を組み合わせて、第2の電極2と第1の電極4の両方に複数のスタブを備えていてもよい。
【0124】
電磁波の伝送線路の一部に電磁波の波長の4分の1の長さのスタブを設けて、その中に電磁波を引き込み、それを反射させて伝送線路に戻すことにより共振回路が形成されることが分かっている。これは、伝送線路に入射した電磁波のうち、スタブの長さの4倍の波長を持つ電磁波のみが、スタブの位置で等価的に短絡され、これによって当該電磁波が反射されるため、その電磁波の伝送線路からの漏れが少なくなるという現象である。この方法によれば、入力される電磁波の波長に対してスタブの長さが4分の1波長と決まっているために、電磁波の波長がスタブの長さの4倍になる電磁波に対しては強く共振して反射させることができるが、帯域幅の広い電磁波についてはその反射効果は少ない。
【0125】
変形例3のスタブ13Aの長さは、帯域を持った入射電磁波の中心部分の電磁波の4分の1波長としないで、4分の1からずれた長さにする。例えば、反射させたい周波数幅があったときその周波数幅の中央値の周波数を持つ電磁波を一部反射させるための2波長〜3波長以上の長さのスタブ13Aを多く設けることにより、反射させたい周波数幅の電磁波を幅広い範囲で反射させることが可能である。
【0126】
当然のことながら、電磁波の反射率は4分の1波長のときと比べると小さくなるのであるが、それでもスタブがない場合と比較するとかなりの反射が起こる。そして、共振条件がゆるい分だけ、ある帯域を持った周波数(ある波長の幅を持った電磁波)に対して、満遍なく反射する効果がある。また、多段スタブの間隔は、反射させたい電磁波の周波数幅の中央値の周波数を持つ電磁波に対して、波長の半分程度の長さとすることにより各スタブからの反射の間に強め合う干渉(ブラッグ反射)が起こり、反射波が重ねあわされて、反射率がほぼ100%の大きな値になる。スタブの長さ、数、間隔によって、反射する周波数幅、中心周波数は総合的に決定される。
【0127】
所定の帯域幅を有する電磁波の中心波長をλとして、スタブの間隔をλ/2とすると、反射率が100%に近い電磁波の波長範囲Δλを得ることができる。このとき、スタブの長さは、2〜3λ以上に設計するのがよい。また、スタブの幅がスタブの間隔の半分のとき、スタブ数5〜10個程度の少ない数で100%に近い大きな反射率となる。スタブ幅がそれ以外のときは大きな反射率を得るためにはスタブ数を増やす必要があり、また、周波数幅も狭くなる。しかしながら、これらの長さは限定されるものではなく反射する帯域幅との関係で設計的に規定されるものである。
【0128】
なお、変形例3では、スタブ13AおよびMIMリフレクタにより、閉口部側に伝送する漏れ電磁波が反射され、開口側に戻される。そして、反射された電磁波が出力として放射されるために、能動素子90から発振される電磁波は高出力となる。
【0129】
変形例4においてもスタブ13Bの動作は、スタブ13Aと同様であるため、重複する説明は省略する。
【0130】
なお、第2の電極2と第1の電極4の両方に多段のスタブを設けることにより、片方だけの場合に比べ約半分のスタブ数で同等の大きな反射率を得ることができる。また、周波数幅や中心周波数を決める際の設計の自由度を上げることができるので、設計上極めて有効である。なお、第2の電極2と第1の電極4の双方に付けるスタブの長さ、数、間隔は必ずしも等しい必要はなく、設計上自由に変更することができる。
【0131】
変形例3および変形例4に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子によれば、低誘電率の絶縁体基板を用いることで横方向の指向性を改善し、高効率かつ高出力に、基板に対して横方向に指向性高くテラヘルツ電磁波を発振および検出することができ、しかも集積化が容易となる。
【0132】
変形例3および変形例4に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子によれば、低誘電率の絶縁体基板を用いることで横方向の指向性を改善し、MIMレフレクタを構成する電極にスタブ構造を組み合わせることによって、基板に水平な方向にさらに効率良く、指向性高くテラヘルツ電磁波を発振および検出することが可能となる。
【0133】
―変形例5―
実施の形態に係る相変化検出装置に適用される変形例5に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の電極パターン構造の模式的平面構成は、図32に示すように表される。
【0134】
変形例5に係る係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子においても、第1の電極4(4a,4b,4c)、第2の電極2,2a、MIMリフレクタ50、共振器60、能動素子90の構成は、変形例2と同様であるため、以下において、重複説明は省略する。
【0135】
変形例5に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子は、図32に示すように、絶縁体基板10と、絶縁体基板10上に配置された第1の電極4(4a,4b,4c)と、第1の電極4a(図28)上に配置された絶縁層3(図28)と、絶縁体基板10上に配置された層間絶縁膜9(図28)と、層間絶縁膜9上に配置され、かつ第1の電極4aに対して絶縁層3を介して第1の電極4に対向して配置された第2の電極2,2aと、第2の電極2上に配置された半導体層91aと、絶縁体基板10上に第1の電極4に隣接し、かつ第2の電極2aとは反対側に第1の電極4に対向して配置された第1スロットライン電極41と、絶縁体基板10上に第2の電極2aに隣接し、かつ第1の電極4とは反対側に第2の電極2aに対向して配置された第2スロットライン電極21と、絶縁層3を挟み第1の電極4aと第2の電極2間に形成されたMIMリフレクタ50と、MIMリフレクタ50に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置された共振器60と、共振器60の略中央部に配置された能動素子90と、共振器60に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置された第1導波路70と、第1導波路70に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置された第1ホーン開口部80と、絶縁体基板10上に対向する第1の電極4と第1スロットライン電極41間に配置された第2導波路71と、第2導波路71に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第1の電極4と第1スロットライン電極41間に配置された第2ホーン開口部81と、絶縁体基板10上に対向する第2の電極2aと第2スロットライン電極21間に配置された第3導波路72と、第3導波路72に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第2の電極2aと第2スロットライン電極21間に配置された第3ホーン開口部82とを備える。
【0136】
変形例2と同様に、能動素子90としてはRTDが代表的なものであるが、これ以外のダイオードやトランジスタでも構成可能なものである。その他の能動素子としては、例えば、TUNNETTダイオード、IMPATTダイオード、GaAsFET、GaN系FET、HEMT、HBTなどを適用することもできる。
【0137】
ホーン開口部80〜82は、開口ホーンアンテナを構成する。
【0138】
変形例5に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子においては、図32に示すように、出力端におけるスロットライン電極21および41の幅W4は、例えば、160μm程度である。また、図32に示すように、出力端におけるホーン開口部80の幅D20およびホーン開口部81および82の幅D10、および、スロットライン電極21および41の幅W4は、適宜変更可能である。
【0139】
導波路70は、共振器60の開口部に配置される。
【0140】
MIMリフレクタ50は共振器60の開口部と反対側の閉口部に配置される。
【0141】
MIMリフレクタ50を構成する部分において、第2の電極2は、図31(a)に示された変形例3と同様の複数のスタブを備えていても良い。同様に、MIMリフレクタ50を構成する部分において、第2の電極2は、図31(b)に示された変形例4と同様の複数のスタブを備えていても良い。
【0142】
また、上記において、複数のスタブは、共振器60に面して等間隔に配置されていても良く、また、間隔が変化するように配置されていても良い。
【0143】
また、絶縁体基板10は、半導体層91aよりも低誘電率材料の基板からなることが、横方向に電波を効率良く、指向性高く取り出す上で望ましい。低誘電率材料の絶縁体基板10としては、第1の実施の形態と同様に、例えば、ポリイミド樹脂基板、テフロン(登録商標)基板などを適用することができる。
【0144】
絶縁体基板10として、ポリイミド樹脂基板を使用すると、全体の発振出力の内、約87%は、絶縁体基板10側に放射され、ホーン開口部80から横方向に放射される発振出力は、相対的に増大する点は、変形例2と同様である。
【0145】
また、絶縁体基板10として、テフロン(登録商標)樹脂基板を使用すると、変形例2と同様に、全体の発振出力の内、約75%は、絶縁体基板10側に放射され、ホーン開口部80から横方向に放射される発振出力は、相対的に増大する点も、変形例2と同様である。
【0146】
変形例5に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子においては、能動素子90に接続された第1の電極4および第2の電極2からなるテーパスロットアンテナの両サイドに、同じ形状をしたテーパ形状の1対のスロットライン電極41、21を配置することで、変形例2に比べ、指向性がさらに向上する。
【0147】
変形例5に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子によれば、第1の電極4および第2の電極2からなるテーパスロットアンテナの両サイドに、テーパ形状の1対のスロットライン電極41、21を並列化配置することで、絶縁体基板10上にテーパスロットアンテナを集積化しても、絶縁体基板10の影響を抑制し、充分な指向性を得ることができる。
【0148】
中央部の第1の電極4および第2の電極2からなるテーパスロットアンテナから広がった電界が、両サイドに設けた1対のスロットライン電極41、21に引き込まれて、スロットライン電極41、21の端面で反射され、中央部の第1の電極4および第2の電極2に戻ってくる。このとき、中央部の第1の電極4および第2の電極2およびスロットライン電極41、21内には、定在波が形成され、反射してきた電界によって、外部に電磁波が放射される。中央部の第1の電極4および第2の電極2および1対のスロットライン電極41、21からの放射電磁界が、干渉し合うことによって、指向性が向上する。
【0149】
変形例5に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子によれば、低誘電率の絶縁体基板を用いることで横方向の指向性を改善し、かつスロットライン電極を並列化配置して定在波を有効に発生させることによって、さらに高効率かつ高出力に、基板に対して横方向に指向性高くテラヘルツ電磁波を発振および検出することができ、しかも集積化が容易である。
【0150】
―変形例6―
実施の形態に係る相変化検出装置に適用される変形例6に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子の電極パターン構造の模式的平面構成は、図33に示すように表される。
【0151】
変形例6に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子においても、第1の電極4、第2の電極2、MIMリフレクタ50、共振器60、能動素子90、第1のスロットライン電極41、第2のスロットライン電極21の構成は、第2の実施の形態と同様であるため、以下において、重複説明は省略する。
【0152】
変形例6に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子は、図33に示すように、図32に示した変形例5の電極パターン構成に対して、さらに、1対のスロットライン電極22,42を並列化配置している。すなわち、絶縁体基板10上に第1スロットライン電極41に隣接し、かつ第1の電極4とは反対側に第1スロットライン電極41に対向して配置された第3スロットライン電極42と、絶縁体基板10上に第2スロットライン電極21に隣接し、かつ第2の電極2aとは反対側に第2スロットライン電極21に対向して配置された第4スロットライン電極22と、絶縁体基板10上に対向する第1スロットライン電極41と第3スロットライン電極42間に配置された第4導波路74と、第4導波路74に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第1スロットライン電極41と第3スロットライン電極42間に配置された第4ホーン開口部84と、絶縁体基板10上に対向する第2スロットライン電極21と第4スロットライン電極22間に配置された第5導波路73と、第5導波路73に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第2スロットライン電極21と第4スロットライン電極22間に配置された第5ホーン開口部83とを備える。
【0153】
また、絶縁体基板10は、半導体層91aよりも低誘電率材料の基板からなることが、横方向に電波を効率良く、指向性高く取り出す上で望ましい。低誘電率材料の絶縁体基板10としては、第1の実施の形態と同様に、例えば、ポリイミド樹脂基板、テフロン(登録商標)基板などを適用することができる。
【0154】
図33の構成において、スロットライン電極21,41の外側に1対のスロットライン電極22,42をさらに並列化配置することによって、指向性がさらに向上する。
【0155】
変形例6に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子によれば、低誘電率の絶縁体基板を用いることで横方向の指向性を改善し、かつ2対のスロットライン電極を並列化配置して定在波を有効に発生させることによって、さらに高効率かつ高出力に、基板に対して横方向に指向性高くテラヘルツ電磁波を発振および検出することができ、しかも集積化が容易である。
【0156】
本実施の形態によれば、水と氷とで吸収係数が大きく異なるテラヘルツ波を用いることで、高感度に霜を検知可能な相変化検出装置を提供することができる。。
【0157】
本発明によれば、テラヘルツ波を用いて相変化媒体の相変化を検出可能な相変化検出装置を提供することができる。
【0158】
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態に係る相変化検出装置について記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0159】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
【産業上の利用可能性】
【0160】
本発明の相変化検出装置は、テラヘルツ帯の周波数領域で動作する発振素子および検出素子を適用することで、冷蔵庫内状態モニター、除霜センサー、除湿センサー、除霜センサーを組み込む冷蔵庫および冷凍庫、除湿センサーを組み込む自動車など、幅広い分野に適用することができる。
【符号の説明】
【0161】
1…半導体基板
2、2a…第2の電極
3…絶縁層
4、4a、4b、4c…第1の電極
5,6…凹部
7…凸部
8…突起部
9…層間絶縁膜
10…絶縁体基板
11…ガラス基板
12…第1相変化媒体
12a…水滴
13A,13B…スタブ
14…第2相変化媒体
15…直流電源
16…反射板(アルミニウム)
18、40…水蒸気(気体)
20…外気
21,22,41,42…スロットライン電極
30…相変化検出装置
36…フロントガラス
38…テラヘルツ発振素子
44…テラヘルツ検出素子
50…MIMリフレクタ
60…共振器
70,71,72,73,74…導波路
80,81,82,83,84…ホーン開口部
90…能動素子
91a…半導体層
100…テラヘルツ送信器
120…筐体
140…ヒータ
150…冷蔵庫(冷凍庫)
200…テラヘルツ受信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テラヘルツ発振素子と、
テラヘルツ検出素子と、
前記テラヘルツ発振素子と前記テラヘルツ検出素子との間に配置され、第1の相と第2の相とを有する相変化媒体と
を備え、前記テラヘルツ発振素子から発振されたテラヘルツ波を前記相変化媒体に入射し、前記相変化媒体の透過テラヘルツ波若しくは反射テラヘルツ波を前記テラヘルツ検出素子により検出し、前記相変化媒体の前記第1の相と前記第2の相との相変化を検出することを特徴とする相変化検出装置。
【請求項2】
前記相変化媒体は、ガラス基板上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の相変化検出装置。
【請求項3】
前記ガラス基板上に、前記テラヘルツ発振素子から発振されたテラヘルツ波を反射する反射板を備えることを特徴とする請求項2に記載の相変化検出装置。
【請求項4】
前記反射板は、前記ガラス基板と前記相変化媒体との間に配置されることを特徴とする請求項2に記載の相変化検出装置。
【請求項5】
前記反射板は、前記相変化媒体が配置される前記ガラス基板面と反対側の前記ガラス板の裏面上に配置されることを特徴とする請求項2に記載の相変化検出装置。
【請求項6】
前記ガラス基板に隣接して、ヒータが配置され、前記第1の相と前記第2の相の相変化に応じて、前記ヒータをオンオフすることを特徴とする請求項4に記載の相変化検出装置。
【請求項7】
前記相変化媒体の第1相は、霜であり、第2相は、水であることを特徴とする請求項1に記載の相変化検出装置。
【請求項8】
前記相変化媒体の第1相は、水蒸気であり、第2相は、水であることを特徴とする請求項1に記載の相変化検出装置。
【請求項9】
前記テラヘルツ検出素子は、共鳴トンネルダイオードからなる能動素子を備え、前記共鳴トンネルダイオードの負性微分抵抗を示す動作点における電流量の変化を検出して、前記透過テラヘルツ波若しくは前記反射テラヘルツ波を検出し、前記相変化媒体の前記第1の相と前記第2の相との相変化を検出することを特徴とする請求項1に記載の相変化検出装置。
【請求項10】
半導体基板と、
前記半導体基板上に配置された第2の電極と、
前記第2の電極上に配置された絶縁層と、
前記第2の電極に対して前記絶縁層を介して配置され、かつ前記半導体基板上に前記第1の電極に対向して配置された第1の電極と、
前記絶縁層を挟み前記第1の電極と前記第2の電極間に形成されたMIMリフレクタと、
前記MIMリフレクタに隣接して、前記半導体基板上に対向する前記第1の電極と前記第2の電極間に配置された共振器と、
前記共振器の略中央部に配置された能動素子と、
前記共振器に隣接して、前記半導体基板上に対向する前記第1の電極と前記第2の電極間に配置された導波路と、
前記導波路に隣接して、前記半導体基板上に対向する前記第1の電極と前記第2の電極間に配置されたホーン開口部と
を備え、前記テラヘルツ発振素子および前記テラヘルツ検出素子は、同一構造を有するることを特徴とする請求項1に記載の相変化検出装置。
【請求項11】
前記テラヘルツ発振素子および前記テラヘルツ検出素子は、同一構造を有し、
絶縁体基板と、
前記絶縁体基板上に配置された第1の電極と、
前記第1の電極上に配置された絶縁層と、
前記絶縁体基板上に配置された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に配置され、かつ前記第1の電極に対して前記絶縁層を介して前記第1の電極に対向して配置された第2の電極と、
前記第2の電極上に配置された半導体層と、
前記絶縁層を挟み前記第1の電極と前記第2の電極間に形成されたMIMリフレクタと、
前記MIMリフレクタに隣接して、前記絶縁体基板上に対向する前記第1の電極と前記第2の電極間に配置された共振器と、
前記共振器の略中央部に配置された能動素子と、
前記共振器に隣接して、前記絶縁体基板上に対向する前記第1の電極と前記第2の電極間に配置された導波路と、
前記導波路に隣接して、前記絶縁体基板上に対向する前記第1の電極と前記第2の電極間に配置されたホーン開口部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の相変化検出装置。
【請求項12】
前記テラヘルツ発振素子および前記テラヘルツ検出素子は、同一構造を有し、
絶縁体基板と、
前記絶縁体基板上に配置された第1の電極と、
前記第1の電極上に配置された絶縁層と、
前記絶縁体基板上に配置された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に配置され、かつ前記第1の電極に対して前記絶縁層を介して前記第1の電極に対向して配置された第2の電極と、
前記第2の電極上に配置された半導体層と、
前記絶縁体基板上に前記第1の電極に隣接し、かつ前記第2の電極とは反対側に前記第1の電極に対向して配置された第1スロットライン電極と、
前記絶縁体基板上に前記第2の電極に隣接し、かつ前記第1の電極とは反対側に前記第2の電極に対向して配置された第2スロットライン電極と、
前記絶縁層を挟み前記第1の電極と前記第2の電極間に形成されたMIMリフレクタと、
前記MIMリフレクタに隣接して、前記絶縁体基板上に対向する前記第1の電極と前記第2の電極間に配置された共振器と、
前記共振器の略中央部に配置された能動素子と、
前記共振器に隣接して、前記絶縁体基板上に対向する前記第1の電極と前記第2の電極間に配置された第1導波路と、
前記第1導波路に隣接して、前記絶縁体基板上に対向する前記第1の電極と前記第2の電極間に配置された第1ホーン開口部と、
前記絶縁体基板上に対向する前記第1の電極と前記第1スロットライン電極間に配置された第2導波路と、
前記第2導波路に隣接して、前記絶縁体基板上に対向する前記第1の電極と前記第1スロットライン電極間に配置された第2ホーン開口部と、
前記絶縁体基板上に対向する前記第2の電極と前記第2スロットライン電極間に配置された第3導波路と、
前記第3導波路に隣接して、前記絶縁体基板上に対向する前記第2の電極と前記第2スロットライン電極間に配置された第3ホーン開口部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の相変化検出装置。
【請求項13】
前記能動素子は、共鳴トンネルダイオードであることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の相変化検出装置。
【請求項14】
前記ホーン開口部は、開口ホーンアンテナを構成することを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の相変化検出装置。
【請求項15】
前記導波路は、前記共振器の開口部に配置されたことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の相変化検出装置。
【請求項16】
前記MIMリフレクタは、前記共振器の開口部と反対側の閉口部に配置されたことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の相変化検出装置。
【請求項17】
前記MIMリフレクタを構成する部分において、前記第2の電極は、複数のスタブを備えたことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の相変化検出装置。
【請求項18】
前記MIMリフレクタを構成する部分において、前記第1の電極は、複数のスタブを備えたことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の相変化検出装置。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の相変化検出装置は、冷蔵庫に搭載されたことを特徴とする相変化検出装置。
【請求項20】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の相変化検出装置は、自動車に搭載されたことを特徴とする相変化検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2013−96615(P2013−96615A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238310(P2011−238310)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】