説明

相対駆動装置、移動体、及びロボット

【課題】従来と異なる方式の相対駆動装置を提供する。
【解決手段】第1の駆動機構と第2の駆動機構とを有する相対駆動装置10であって、ステーター15と、第1のローター20と、第2のローター1020と、を備え、前記ステーターは、第1の電磁コイル100と前記第1の電磁コイルに流す電流を制御する第1の制御部500とを有し、前記第1のローターは、第1と第2の磁石200、1200を有し、前記第2のローターは、第2の電磁コイル1100と、前記第2の電磁コイルに流す電流を制御する第2の制御部1500とを有し、前記第1の電磁コイルと前記第1の磁石とは対向して配置されて、前記第1の駆動機構を構成し、前記第2の電磁コイルと前記第2の磁石とは対向して配置されて、前記第2の駆動機構を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気エネルギーを用いて2つの駆動力伝達部材を相対的に駆動するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの駆動軸を相対的に駆動する装置としては、各種の変速機が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−124163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の変速機は、一方の駆動軸(第1の駆動軸)から他方の駆動軸(第2の駆動軸)に向かう所定の一方向に駆動力を伝達できるだけであった。また、いわゆる回生によって電力を回収するためには、別個にモーターを設けておく必要があった。また、一般にモーターの回転数は駆動電圧で決まるため、モーターを高回転させるためには、駆動電圧を上げる必要があった。
【0005】
本発明は、従来と異なる方式の相対駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
第1の駆動機構と第2の駆動機構とを有する相対駆動装置であって、ステーターと、第1のローターと、第2のローターと、を備え、前記ステーターは、第1の電磁コイルと前記第1の電磁コイルに流す電流を制御する第1の制御部とを有し、前記第1のローターは、第1と第2の磁石を有し、前記第2のローターは、第2の電磁コイルと、前記第2の電磁コイルに流す電流を制御する第2の制御部とを有し、前記第1の電磁コイルと前記第1の磁石とは対向して配置されて、前記第1の駆動機構を構成し、前記第2の電磁コイルと前記第2の磁石とは対向して配置されて、前記第2の駆動機構を構成している、相対駆動装置。
この適用例によれば、1つの駆動装置に第1と第2の駆動機構を有する相対駆動装置を構成し、第1の駆動機構のローターを第2の駆動機構のステーターとして用いることができる。1つの駆動機構しか有さない駆動装置で大きな駆動速度を得るためには、大きな駆動電圧が必要であるが、本実施例によれば、第1の駆動機構のローターと第2の駆動機構の駆動電圧を低くして個々の駆動機構の駆動速度を小さく抑えても、全体として大きな駆動速度を得ることができる。
【0008】
[適用例2]
第1の駆動機構と第2の駆動機構とを有する相対駆動装置であって、ステーターと、第1のローターと、第2のローターと、を備え、前記ステーターは、第1の電磁コイルと前記第1の電磁コイルに流す電流を制御する第1の制御部を有し、前記第1のローターは、磁石を有し、前記第2のローターは、第2の電磁コイルと、前記第2の電磁コイルに流す電流を制御する第2の制御部とを有し、前記第1の電磁コイルは、前記磁石の一方の極側に対向して配置されており、前記第1の電磁コイルと、前記磁石とで、前記第1の駆動機構を構成し、前記第2の電磁コイルは、前記磁石の他方の極側に対向して配置されており、前記第2の電磁コイルと、前記磁石とで、前記第2の駆動機構を構成している、相対駆動装置。
この適用例によれば、1つの駆動装置に第1と第2の駆動機構を有する相対駆動装置を構成できる。また、相対駆動装置を小型にすることができる。さらに、個々の駆動機構の駆動速度を小さく抑えつつ、全体として大きな駆動速度を得ることができる。
【0009】
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の相対駆動装置において、前記第1の電磁コイルに電流を流して、前記第1のローターを第1の方向に回転させ、前記第2の電磁コイルに保持電流を流すことにより、前記第2のローターを、前記第1のステーターに対して前記第1の方向に前記第1のローターと同速で回転させる同速駆動モードを有する、相対駆動装置。
この適用例によれば、第1のローターと第2のローターの間とを同速で駆動することができる。
【0010】
[適用例4]
適用例1または適用例2に記載の相対駆動装置において、前記第1の電磁コイルに電流を流して、前記第1のローターを第1の方向に回転させ、前記第2の電磁コイルに電流を流すことにより、前記第2のローターを、前記第1のステーターに対して前記第1の方向に前記第1のローターよりも高速で回転させる高速駆動モードを有する、相対駆動装置。
この適用例によれば、駆動機構が1つしかない駆動装置に対し、同じ駆動電圧でもより高速に第2のローターを駆動することができる。
【0011】
[適用例5]
適用例1または適用例2に記載の相対駆動装置において、前記第1の電磁コイルに電流を流して、前記第1のローターを第1の方向に回転させ、前記第2の電磁コイルから電流を回生することにより、前記第2のローターを、前記第1のステーターに対して前記第1の方向に前記第1のローターよりも低速で回転させる低速駆動モード、あるいは、前記第2のローターを前記ステーターに対して停止させる停止モードを有する、相対駆動装置。
この適用例によれば、第2の駆動機構から、電気エネルギーを回生することができる。
【0012】
[適用例6]
適用例1〜5のいずれか一つに記載の相対駆動装置において、さらに、前記ステーターは、第1の送受信コイルを有する第1の非接触電力送受信部を有し、前記第2のローターは、第2の送受信コイルを有する第2の非接触電力送受信部を有し、前記第2の電磁コイルを駆動するための電力、または、前記第2の電磁コイルから回生される電気エネルギーは、前記第1の非接触電力送受信部と、第2の非接触電力送受信部との間は、前記第1と第2の送受信コイル間の電磁結合により送受信される、相対駆動装置。
電磁コイルがローターにある場合、ブラシとコミュテーターにより電磁コイルの駆動電力を送る。この場合、ブラシとコミュテーターの機械的摩擦によりブラシとコミュテーターの摩耗が起こる、これに対し、この適用例によれば、機械的接触がないので、摩耗の恐れがなく、耐久性を高めることが出来る。
【0013】
[適用例7]
適用例6に記載の相対駆動装置において、さらに、前記第1の非接触電力送受信部は、第2の非接触電力送受信部に送る電力に前記第2の電磁コイルに流す電流の大きさ方向を制御するための制御信号を変調する変調回路を有しており、前記第2の非接触電力送受信部は、前記電力に変調された制御信号を復調するための復調回路を有している、相対駆動装置。
この適用例によれば、制御信号を送るための配線を省略することができる。
【0014】
[適用例8]
適用例1〜7のいずれか一つに記載の相対駆動装置を有する移動体。
【0015】
[適用例9]
適用例1〜7のいずれか一つに記載の相対駆動装置を有するロボット。
【0016】
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、相対駆動装置の他、その相対駆動装置を用いたロボット、ロボットハンド等様々な形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】第1の実施例にかかる駆動装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図1B】第1の実施例の駆動装置の駆動軸と垂直な面で切った断面を示す説明図である。
【図1C】第1の実施例のステーターの第1の電磁コイルをステーターの円筒面を展開して示す説明図である。
【図2】第1の実施例にかかる駆動装置のブロック構成を模式的に示す説明図である。
【図3A】駆動装置を同速モードで動作させるときを説明する説明図である。
【図3B】同速モード時の第1の駆動機構のトルク−回転数特性と、トルク−電流特性を示す説明図である。
【図4A】駆動装置を第1のローター20の回転数N1よりも第2のローター1020の回転数N3を高速回転させるために高速モードで動作させるときの説明図である。
【図4B】高速モード時の第1、第2の駆動機構のトルク−回転数特性と、トルク−電流特性を示す説明図である。
【図5】駆動装置を回生モードで動作させるときを説明する説明図である。
【図6A】第2の実施例にかかる駆動装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図6B】第2の実施例の駆動装置の駆動軸と垂直な面で切った断面を示す説明図である。
【図7A】第3の実施例にかかる駆動装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図7B】電磁コイルの配置を示す説明図である。
【図7C】永久磁石の配置を示す説明図である。
【図8】第4の実施例にかかる駆動装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図9】第5の実施例にかかる駆動装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図10】無線による送電回路の構成を示す説明図である。
【図11】上記各実施例の制御部の一例を示す説明図である。
【図12】制御部の内部構成と動作を示す説明図である。
【図13】第1の駆動機構の正転時のPWM部530の動作を示すタイミングチャートである。
【図14】第1の駆動機構の反転時のPWM部530の動作を示すタイミングチャートである。
【図15】励磁区間設定部590の内部構成と動作を示す説明図である。
【図16】符号化部の動作とタイミングチャートを示す説明図である。
【図17】駆動部の動作状態を示す説明図である。
【図18】回生回路の一例を示す説明図である。
【図19】本発明の変形例によるモーター/発電機を利用した移動体の一例としての電動自転車(電動アシスト自転車)を示す説明図である。
【図20】本発明の変形例によるモーターを利用したロボットの一例を示す説明図である。
【図21】本発明の変形例によるモーターを利用した鉄道車両を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施例]
図1Aは、第1の実施例にかかる駆動装置の構成を模式的に示す説明図である。図1Bは、第1の実施例の駆動装置の駆動軸と垂直な面で切った断面を示す説明図である。図1Cは、第1の実施例のステーターの第1の電磁コイルをステーターの円筒面を展開して示す説明図である。駆動装置10は、ステーター15と、第1のローター20と、第2のローター1020と、中心軸230と、を備える。ステーター15は、第1の電磁コイル100と、第1のコイルバックヨーク115と、第1の磁気センサー300と、第1の回路基板310と、モーター駆動制御部500と、取り付けボルト17と、ブラシ1170と、を有している。第1のローター20は、第1の永久磁石200と、第1の磁石バックヨーク215と、第2の永久磁石1200と、第2の磁石バックヨーク1215と、を備える。第2のローター1020は、第2の電磁コイル1100と、第2のコイルバックヨーク1115と、第2の磁気センサー1300と、第2の回路基板1310と、モーター駆動回生制御部1500と、出力部232と、コミュテーター1180と、取り付けボルト2017と、を備える。
【0019】
ステーター15は、円筒形状部分と円盤形状部分とを有している。ステーター15の円筒形状部分には、図1B、図1Cに示すように、円筒面に沿って、複数の第1の電磁コイル100が配置されている。なお、電磁コイル100Aは、A相用の電磁コイル100AとB相用の電磁コイル100Bの2種があり、円周に沿って交互に配置されている。なお、A相用の電磁コイル100AとB相用の電磁コイル100Bとを区別しない場合には、単に「電磁コイル100」と呼ぶ。ここで、複数の第1の電磁コイル100のそれぞれは、円筒面の法線を軸とするように巻かれている。すなわち第1の電磁コイル100に電流が流れたときに生じる磁束の向きは、円筒の放射方向あるいは中心方向である。第1のコイルバックヨーク115は、第1の電磁コイル100が為す円筒面の外側に円筒形状に配置されている。なお、第1のコイルバックヨーク115は、図1Cに示すように、第1の電磁コイル100のコイルエンドを除いた部分と重なるように配置されていることが好ましい。コイルエンドとは、電磁コイルのうち、電磁コイル100にローレンツ力が働くときに、円筒の円周方向と異なる方向に力が働く部分、すなわち駆動装置10が回転する力と関係ない方向に力が働く部分である。第1のコイルバックヨーク115を第1の電磁コイル100のコイルエンドを除いた部分と重なるように配置するのは、第1のローター20に配置された永久磁石200の磁束を、コイルエンドを除いた電磁コイル100の部分に磁束を集中させるためである。また、第1のコイルバックヨーク115は、穴あき円盤を積層し円筒形に積み重ねて形成されていることが好ましい。渦電流損により発熱を抑制することができる。また。加工性を向上するために、穴あき円盤を分割して構成しても良い。尚、図1Aと図1Bの第1の永久磁石200と第2の永久磁石1200の極数は、同極数として説明するが、極数は同じでなくても良く、第1の電磁コイル100と第2の電磁コイル1100も同相数及び同極数として説明するが、相数及び極数は同じでなくても良い。
【0020】
図1Aに示すように、ステーター15には、第1の磁気センサー300と、第1の回路基板310と、モーター駆動制御部500と、取り付けボルト17と、が配置されている。第1の磁気センサー300は、第1の永久磁石200の近傍に配置され、第1の永久磁石200からの磁束に応じたセンサー信号を出力する。この時のセンサー信号が電磁コイル100からの誘起電圧を正規化した波形に近い波形になるように、磁気センサー300を設置することが好ましい。第1の磁気センサー300としては、例えばホールセンサーを用いることが出来る。なお、第1の磁気センサー300は、センサー信号の出力が、磁気センサー300の温度変化によるセンサー出力の変化に対して補償できる回路を有した温度補償機能を備えていていることが好ましい。第1の磁気センサー300は、第1の回路基板310上に配置されている。なお、第1の磁気センサー300についてもA相用、B相用の2種あるが、ここでは区別して記載していない。第1の回路基板310上には、さらに、モーター駆動制御部500が配置されている。なお、モーター制御駆動部500は、駆動装置10の外部に設けられていても良い。
【0021】
第1のローター20の内周面には、ステーター15の第1の電磁コイル100のコイルエンドを除いた有効長と対向するように、第1の永久磁石200が配置されている。第1の永久磁石200は極数に応じて複数あり、それぞれの第1の永久磁石200は、ローター20の外周に沿うように並べられている。第1の永久磁石200の磁束の向きは、円筒形状の内周方向と外周方向であり、着磁は、パラレル方向、アキシャル方向のどちらでも良い。なお、隣接する永久磁石200の磁束の向きは逆である。第1の永久磁石200の内側には、第1の磁石バックヨーク215が配置されている。第1の磁石バックヨーク215は、円筒形状をしている。また、永久磁石200が極異方性着磁の場合には、磁石バックヨーク215を省略することができる。
【0022】
第1の駆動機構は、第1の電磁コイル100と、第1のローター20の第1の永久磁石200とで構成されており、ステーター15のモーター駆動制御部500は、第1の電磁コイル100に流す電流を制御することにより、第1の駆動機構の動作を制御する。
【0023】
第1のローターの第1の磁石バックヨーク215の内周側には、第2の磁石バックヨーク1215が配置されている。第2の磁石バックヨーク1215は、円筒形状をしている。第2の磁石バックヨーク1215の内周側には、第2の永久磁石1200が配置されている。第2の永久磁石1200は極数に応じて複数あり、それぞれの第2の永久磁石1200は、ローター20内周に沿うように並べられている。第2の永久磁石1200の磁束の向きは、円筒形状の内周方向と外周方向であり、着磁は、パラレル方向、アキシャル方向のどちらでも良い。そして、隣接する永久磁石1200の磁束の向きは逆である。
【0024】
第2のローター1020の外周面には、第1のローター20の第2の永久磁石1200と対向するように、ローター1020の外周面に沿って、永久磁石1200の極数に応じて複数の第2の電磁コイル1100が配置されている。なお、第2の電磁コイル1100も第1の電磁コイル100と同様に、A相用の電磁コイル1100Aと、B相用の電磁コイル1100Bとを有していること、及び両者を区別しない場合には、単に「電磁コイル1100」と呼ぶことも同様である。ここで、複数の第2の電磁コイル1100のそれぞれは、円筒面の法線を軸とするように巻かれている。すなわち第2の電磁コイル1100内に電流が流れたときに生じる磁束の向きは、内周方向と外周方向である。第2の電磁コイル1100が為す円筒面の内側には、第2のコイルバックヨーク1115が、円筒形状に配置されている。なお、第2のコイルバックヨーク1115は、第2の電磁コイル1100のコイルエンドを除いた部分と重なるように配置されていることが好ましい。また、永久磁石1200が極異方性着磁の場合には、第2の磁石バックヨーク1215を省略することができる。
【0025】
第2のローター1020の円盤形状部分には、第2の磁気センサー1300と第2の回路基板1310と、モーター駆動回生制御部1500と、出力部232と、が配置されている。第2の磁気センサー1300は、第2の永久磁石1200の近傍に配置され、第2の永久磁石1200からの磁束に応じたセンサー信号を出力する。この時のセンサー信号が電磁コイル1100からの誘起電圧を正規化した波形に近い波形になるように、磁気センサー1300を設置することが好ましい。第2の磁気センサー1300についても、第1の磁気センサー300と同様に、ホールセンサーを用いて構成することが出来、センサー信号の出力が、磁気センサー300の温度変化によるセンサー出力の変化に対して補償できる回路を有した温度補償機能を備えてもよい。第2の磁気センサー1300は、第2の回路基板1310上に配置されている。なお、第2の磁気センサー1300についてもA相用、B相用の2種あるが、ここでは区別して記載していない。第2の回路基板1310上には、さらに、モーター駆動回生制御部1500が配置されている。出力部232は駆動装置10の出力となるであり、負荷を接続するための取り付けボルト2017を有している。
【0026】
第2の駆動機構は、第2の電磁コイル1100と、第1のローター20の第2の永久磁石1200とで構成されており、第2のローター1020のモーター駆動回生制御部1500は、第2の電磁コイル1100内に駆動または回生として流す電流を制御することにより、第2の駆動機構の動作を制御する。また、モーター駆動回生制御部1500は、第2の駆動機構を発電機として動作させ、第1の駆動機構で得られた第1のローター20の第1の回転運動(P1=ω1×τ1)は、第2の永久磁石1200と第2の電磁コイル1100を経由し、出力部232に回転運動(P2=ω2×τ2)を出力とする力伝達をさせることができる。また、第2の電磁コイル1100から回生された電気エネルギーは、モーター駆動回生制御部1500により回生することもできる。
【0027】
出力部232には、コミュテーター1180が設けられている。コミュテーター1180は、ステーター15に設けられたブラシ1170と接触しており、第2の電磁コイル1100に流す電流が給電されるとともに、回生動作時には、第2の電磁コイル1100からの電気エネルギーとなる回生電流を取り出すために用いられる。なお、一般に電磁コイルが回転するモーターでは、電磁コイルに印可する電流の向きを切り替えるため、コミュテーターは、整流子の機能を有しており、コミュテーターの2カ所に切り欠きが設けられている。これに対し、本実施例のコミュテーター1180は、出力部232の円周に沿って途切れなく設けられており、電流の極性を切り換えるための切り欠きを備えていない。なお、第2の電磁コイル1100内に流れる電流の向きは、第2の磁気センサー1300からのセンサー信号に基づいてモーター駆動回生制御部1500が切り換える。
【0028】
第1のローター20と中心軸230との間、及び第2のローター1020と中心軸230との間には、軸受け240が配置されている。すなわち、本実施例では、中心軸230には、第1のローター20あるいは、第2のローター1020からの捻れトルクを受けない構成になっている。また、中心軸230の端部にはネジ山が形成されており、ステーター15の外側には、中心軸230の保持性を向上させるための軸受けリング241がネジにより取り付けられている。また、中心軸230の内側は空洞231となっており、空洞231には、モーター駆動制御部500に電力を供給するための配線と、制御信号の入力/出力となる配線である配線25が通っている。
【0029】
図2は、第1の実施例にかかる駆動装置のブロック構成を模式的に示す説明図である。図2では、図1に示した、ステーター15と、第1、第2のローター20、1020と、第1、第2の電磁コイル100、1100と、第1、第2の永久磁石200、1200と、モーター駆動制御部500と、モーター駆動回生制御部1500と、出力部232と、ブラシ1170と、コミュテーター1180と、に加え、CPU部400と、駆動回生切替部1600と、二次電池1700と、負荷部2000と、を記載している。CPU部400は、モーター駆動制御部500に対して、第1の駆動機構の動作を指示し、モーター駆動回生制御部1500に対して、駆動回生切替部1600を経由して第2の駆動機構に対して動作(駆動または回生)を指示する。ここで、第2の駆動機構に対する指示は、電力に重畳させた指示信号により行うことができる。駆動回生切替部1600は、第2の駆動機構の動作を駆動動作にするか、回生動作にするか、を切り換える。駆動回生切替部1600には、二次電池1700が接続されており、二次電池1700は、回生電力を蓄電する。負荷部2000は、出力部232に取り付けられている。すなわち、ステーター15と中心軸230とは固定され、固定された中心軸230の外周を第1のローター20と出力部232に連結された第2のローター1020が回転する。
【0030】
CPU部400の指示により、駆動装置10は、同速モードと、高速モードと、回生モードとの3つの動作モードを実行することが出来る。同速モードでは、駆動装置10は、第1のローター20と第2のローター1020とをステーター15に対して同じ速度で回転させる。高速モードでは、駆動装置10は、第1のローター20をステーター15に対して第1の方向に回転させ、第2のローター1020を第1のローター20に対して第1の方向に回転させる。すなわち、第1のローター20の回転速度に、第1のローター20に対する第2のローター1020の回転速度を加えることにより、第2のローター1020をステーター15に対して高速で回転させる。回生モードでは、駆動装置10は、第1のローター20をステーター15に対して第1の方向に回転させ、第2のローター1020を、ステーター15に対して第1の方向に第1のローターの回転速度よりも低速で回転させ、第1のローターに加えたエネルギーの少なくとも一部を回生する。以下、各動作モードについて説明する。
【0031】
(1)同速モード
図3Aは、駆動装置を同速モードで動作させるときを説明する説明図である。同速モードでは、第1の電磁コイル100に第1の磁気センサー300のセンサー信号に基づき電流i1を流して、ステーター15に対して、第1のローター20を回転数N1で回転させる。また、同速モードでは、第2の電磁コイル1100に第2の磁気センサー1300のセンサー信号に基づき電圧v2を印可することで、保持電流i2を流して、第1のローター20に対して、第2のローター1020を相対的に回転数ゼロで回転させる。すなわち、第2のローター1020に連結された出力部232を、ステーター15に対して、回転数N1で回転させる。
【0032】
図3Bは、同速モード時の第1の駆動機構のトルク−回転数特性と、トルク−電流特性を示す説明図である。第1の駆動機構について、負荷トルクT1のときの第1のローター20は、ステーター15に対して、回転数N1で回転する。このときの第1の電磁コイル100に流れる電流は、i1である。
【0033】
モーター駆動制御部500が第1の電磁コイル100に第1の磁気センサー300のセンサー信号に基づき駆動電流を印可すると、第1のローター20は、ステーター15と第2のローター1020に対して回転する。このとき、第2のローター1020の第2の電磁コイル1100に対して、第1のローターの第2の永久磁石1200が動くので、第2の電磁コイル1100に誘起起電力が生じる。そこで、モーター駆動回生制御部1500が誘起起電力を相殺するように第2の磁気センサー1300のセンサー信号に基づいて第2の電磁コイル1100を駆動することで第2のローター1020は未回転状態から回転数N1に向かい、第1のローターに追従して回転する。ここで、何も損失が発生しなければ、第2のローター1020は、第1のローター20と同じ速度で回転する。しかし、第2の電磁コイル1100には、銅損失、鉄損失、機械損失の損失に関わるジュール熱損失が生じる。したがって、第2の電磁コイル1100のジュール熱損失に相当する電流を第2の電磁コイルに供給することにより、第1のローター20と、第2のローター1020と、をステーター15に対して同じ回転数で回転させることができる。この第2の電磁コイル1100のジュール熱損失に相当する電気エネルギーを補うために流す電流を、保持電流と呼ぶ。なお、この保持電流は、第1のローター20、第2のローター1020の回転数に依存する。
【0034】
(2)高速モード
図4Aは、第1のローター20の回転数N1よりも第2のローター1020の回転数N3を高速回転させるために駆動装置を高速モードで動作させるときの説明図である。高速モードでは、第1の駆動機構の動作については、同速モードと同様である。すなわち、第1の電磁コイル100に電流i1を流して、ステーター15に対して、第1のローター20を回転数N1で回転させる。高速モードでは、第2の電磁コイル1100に電圧v3(v3>v2)を印可し、保持電流i2よりも大きな電流i3を流して、第1のローター20に対して、第2のローター1020を高回転で回転させる。第2のローター1020の、ステーター15に対する回転数をN3とすると、N3>N1である。
【0035】
図4Bは、高速モード時の第1、第2の駆動機構のトルク−回転数特性と、トルク−電流特性を示す説明図である。図4B(1)に示す第1の駆動機構の特性は、同速モードの特性と同じである。図4B(2)には、第2の駆動機構のトルク−回転数特性と、トルク−電流特性を示している。第1の駆動機構と、第2の駆動機構は、第1のローター20を共有しているので、第1の駆動機構に掛かる負荷トルクと、第2の駆動機構に掛かる負荷トルクは同じ大きさである。この負荷トルクの大きさをT1とする。負荷トルクT1のとき、高速モードでは、第2のローター1020は、第1のローターと相対的な回転数N2で回転する。そこで、ステーター15と第2のローター1020間には、N1+N2=N3の回転差が生じる。このとき、第2の電磁コイル1100に流れる電流は、i3である(i3>i2)。第1の駆動機構しかなければ回転数はN1までしか上げられないが、第2の駆動機構を備えることにより、回転数を目的に応じてN3(N3>N1)まで上げることが可能となる。
(3)回生モード(ニュートラルモード、低速モード、停止モード)
図5は、駆動装置を回生モードで動作させるときを説明する説明図である。回生モードは、第1の駆動機構に加えた電気エネルギーにより永久磁石1200が配置された第2のローター1200を回転させ、その第1ローター20の回転運動の一部を用いて、第1のローター20に配置された永久磁石1200と電磁結合した第2のローター1020の第2の電磁コイル1100に誘起起電力を生じさせる。この誘起起電力は、第2の磁気センサー1300に基づいてモーター駆動回生制御部1500で電流制御されることで、第2のローター1020を経由して出力部232に回転運動を伝達させる。この電流制御により出力部232をニュートラルモード、低速モード、停止モードで動作させることができる。
【0036】
まず、ニュ−トラルモードは、第2のローター1020にたいして第1のローター20の回転数が影響を与えない状態で、第2の電磁コイル1100間に生じる誘起起電力に対しモーター駆動回生制御部1500で電流を流さない状態にすることで実現する。
【0037】
次に、低速モードとは、第1のローター20の回転数よりも低い回転数で、第1の回転運動の一部を第2のローター1020に回転運動としてトルクを伝達した状態で、第2の電磁コイル1100間に生じる誘起起電力に対しモーター駆動回生制御部1500で電流を流す状態にすることで実現する。この流す電流量をリニアに制御することで電流量に応じたトルク量がリニアに可変し機械伝達が容易に行える。この際に流れる電流を電気エネルギーとして外部に回生電力(発電機)として蓄電することも出来る。
【0038】
更に、停止モードでは、低速モード状態の第2の電磁コイル1100間に生じる誘起起電力に対しモーター駆動回生制御部1500で電流を最大限に流す状態にすることで実現する。この状態は、第1のローター20の持つ第1の回転運動の全部を第2のローター1020に回転運動としてトルクを伝達した状態で、第2の電磁コイル1100間に生じる誘起起電力に対しモーター駆動回生制御部1500で短絡電流を流す状態にすることで実現する。この流れた電流量で最大トルクの伝達が容易に行える。この際に流れる電流を電気エネルギーとして外部に回生電力(発電機)として蓄電することも出来る。
【0039】
駆動機構が1つしかない単独の駆動装置では、同一の負荷トルクに対して、回転数を上げるためには、電磁コイルに印可する電圧を上げる必要がある。これに対し、本実施例の駆動装置によれば、高速モード時において、駆動装置の回転数N3は、第1の駆動機構の回転数N1に、第2の駆動機構の回転数N2を加えた回転数となるので、同じ駆動電圧でも、より高回転が可能となる。また、電磁コイル100、1100に掛かる電圧を低くできるので、電磁コイル100、1100の寄生容量に対する充放電電流を少なくすることが出来、かかる充放電電流による損失を抑えることが出来る。
【0040】
また、本実施例では、上記回生モードで説明したように、第2の駆動機構を発電機として利用し、電気エネルギーを回生することができる。また、1つの駆動機構しかない場合、始動時には、高トルクが掛かるので、急加速が起こりやすいが、本実施例では、第1駆動機構を動作させ、第2駆動機構を回生から徐々に同速モード、高速モードへと移行させることにより、出力部232において、滑らかな始動、滑らかな加速を実現する事が出来る。すなわち、ニュートラルモード、低速モード、停止モードを寄りきめ細かに制御することで、第1駆動機構からの回転運動を第2駆動機構へ非接触で且つ無段階で伝達できる非接触無段階変速機として用いることが出来る。また、出力部232を車輪、プロペラ等の負荷に連結することで電動移動体を大きく発展させることに繋がる。
【0041】
[第2の実施例]
図6Aは、第2の実施例にかかる駆動装置の構成を模式的に示す説明図である。図6Bは、第2の実施例の駆動装置の駆動軸と垂直な面で切った断面を示す説明図である。第2の実施例の駆動装置は、第1の実施例の駆動装置と第1のローター20の構成が異なっている。すなわち、第2の実施例では、第1の実施例の第1のローターの第1と第2の磁石バックヨーク215、1215を有しておらず、第1の永久磁石200と第2の永久磁石1200とが一体となっている構成を有している。なお、永久磁石の符号を永久磁石200としている。
【0042】
第2の実施例においても、第1の実施例と同様に、同速モード、高速モード、回生モードを実行することができる。また、第2の実施例では、第1の永久磁石200と第2の永久磁石1200とが一体となっているため、第1の実施例よりも小型化と軽量化が可能である。さらに、第2の実施例では、磁石バックヨーク215、1215が不要とすることができる。
【0043】
[第3の実施例]
図7Aは、第3の実施例にかかる駆動装置の構成を模式的に示す説明図である。図7Bは、電磁コイルの配置を示す説明図である。図7Cは、永久磁石の配置を示す説明図である。第1の実施例の駆動装置においては、第1、第2の駆動機構は、ラジアルギャップ型であったが、第3の実施例では、第1、第2の駆動機構は、アキシャルギャップ型である点が異なる。第3の実施例では、第1、第2の電磁コイル100、1100も同様に、電流を流したときに生じる磁束の向きが中心軸230と平行である複数の電磁コイル100、1100で構成されており、各電磁コイル100、1100は、図7Bに示すように、それぞれ、円盤の円周に沿って並べられている。第3の実施例では、第1、第2の永久磁石200、1200は、磁束の向きが中心軸230と平行である複数の永久磁石200、1200で構成されており、各永久磁石200、1200は、それぞれ、図7Cに示すように、円盤の円周に沿って並べられている。第2の電磁コイル1100、第2の永久磁石1200も、図7B、図7Cと同様の形状を有している。
【0044】
第3の実施例においても、第1の実施例と同様に、同速モード、高速モード、回生モードを実行することができる。また、第3の実施例では、第1の永久磁石200と第2の永久磁石1200とを同じ形状にし易く、また、第1の電磁コイル100と第2の電磁コイル1100とを同じ形状にし易い。すなわち、第1と第2の駆動機構の特性を同じにし易い。
【0045】
[第4の実施例]
図8は、第4の実施例にかかる駆動装置の構成を模式的に示す説明図である。第4の実施例は、第1の実施例に対する第2の実施例と同様に、第2のローター1020に配置される永久磁石201を第1のローター20用の永久磁石と一体とした構成を有している。永久磁石201は、永久磁石200及び永久磁石1200の両方と重なるように、永久磁石200及び永久磁石1200よりも大きく形成されている。なお、永久磁石200、永久磁石201、永久磁石1200を同じ形状とし、第1、第2の電磁コイル100、1100を同一形状としてもよい。
【0046】
第4の実施例によれば、第1のローター20の永久磁石201を第2のローター1020の永久磁石と一体として形成しているので、小型化と軽量化が可能となる。また、第1に駆動機構と第2の駆動機構の特性を同じにすることが可能となる。
【0047】
図9は、第5の実施例にかかる駆動装置の構成を模式的に示す説明図である。第5の実施例は、第1の実施例と、第2の駆動機構の第2の電磁コイルに流す電流を、非接触で送電する点が異なる。なお、第5の実施例における、第1、第2の駆動機構の構成は、第2の実施例と同じ構成を採用したが、第1〜4の実施例のいずれの構成を採用しても良い。であってもよい。
【0048】
第5の実施例のステーター15は、ブラシ1170の代わりに送電コイル1410を有し、第2のローター1020は、コミュテーター1180の代わりに受電コイル1420を有し、さらに電磁波遮蔽板1450を有している。すなわち、第5の実施例では、送電コイル1410と受電コイル1420との間の電磁結合を用いて第2の電磁コイル1100を駆動する電力を送電する。電磁波遮蔽板1450は、送電コイル1410と受電コイル1420の間の電磁波により、第1、第2の電磁コイル100、1100や第1、第2の永久磁石200、1200が悪影響を受けないようにするために配置されている。
【0049】
図10は、無線による送電回路の構成を示す説明図である。無線送電回路は、電力送信部1400と、電力受信部1430と、電磁コイル制御部1440と、を備える。電力送信部1400は、情報送信部1405を有している。情報送信部1405は、図2に示すCPU部400の指示を受けて、電磁コイル1100に流す電流を決めるための制御情報を生成する。この制御情報は、電力信号に重畳される。電力信号は交流であり、制御情報が変調される。この変調としては、例えば、振幅変調、位相変調、周波数変調を用いることが出来る。この中では、位相変調、周波数変調が好ましい。位相変調、周波数変調は振幅が一定なので、制御情報の値による電力量の変動が起こりにくい。電力受信部1430は、整流回路1432と、情報受信部1435と、を備える。整流回路1432は、交流である電力信号を直流に変換する。情報受信部1435は、電力信号から制御情報を復調し、電磁コイル1100に印可する電流の向きを指示する方向信号S1、S2を生成する。電磁コイル制御部1440は、電磁コイル1200に印可する駆動信号を生成する。
【0050】
図2に示すブラシ1170とコミュテーター1180を用いた電力供給では、ブラシ1170やコミュテーター1180の摩耗が問題となるが、無線による送電では、このような摩耗は起こらない。なお、無線による場合、送電コイル1410と受電コイル1420の役割を交換し、回生動作の時には、電力送電方向を逆にしてもよい。
【0051】
図11は、制御部の内部構成と動作を示す説明図である。なお、第1、第2の駆動機構のモーター駆動制御部500、1500は、回生機能に関する回路以外は同一の回路を用いることが出来るので、以下、第1の駆動機構のモーター駆動制御部500を例にとり説明し、その後、回生機能に関する回路について説明する。ここでは、モーター駆動制御部500と、駆動部250と、電磁コイル100と、第1の磁気センサー300A、300Bと、CPU部400と、が記載されている。駆動部250は、複数のスイッチング素子を備えたブリッジ回路である。モーター駆動制御部500は、基本クロック生成回路510と、1/N分周器520と、PWM部530と、正逆方向指示値レジスター540と、乗算器550、552と、符号化部560、562と、AD変換部570、572と、電圧指令値レジスター580と、励磁区間設定部590とを備えている。
【0052】
基本クロック生成回路510は、所定の周波数を有するクロック信号PCLを発生する回路であり、例えばPLL回路で構成される。分周器520は、このクロック信号PCLの1/Nの周波数を有するクロック信号SDCを発生する。Nの値は所定の一定値に設定される。このNの値は、予めCPU部400によって分周器520に設定される。PWM部530は、クロック信号PCL、SDCと、乗算器550、552から供給される乗算値Ma、Mbと、正逆方向指示値レジスター540から供給される正逆方向指示値RIと、符号化部560、562から供給される正負符号信号Pa、Pbと、励磁区間設定部590から供給される励磁区間信号Ea、Ebとに応じて、駆動信号DRVA1、DRVA2、DRVB1、DRVB2を生成する。この動作については後述する。
【0053】
正逆方向指示値レジスター540内には、第1の駆動機構の回転方向を示す値RIがCPU部400によって設定される。本実施例では、正逆方向指示値RIがLレベルのときに第1の駆動機構が正転し、Hレベルのときに逆転する。
【0054】
PWM部530に供給される他の信号Ma、Mb、Pa、Pb、Ea、Ebは以下のように決定される。なお、乗算器550と符号化部560とAD変換部570はA相用の回路であり、乗算器552と符号化部562とAD変換部572はB相用の回路である。これらの回路群の動作は同じなので、以下ではA相用の回路の動作について主に説明する。なお、以下では、A相とB相のパラメータ(後述する励磁区間など)は同じ値に設定されるものとして説明するが、A相とB相のパラメータを互いに異なる値に設定することも可能である。
【0055】
なお、本明細書において、A相とB相とをまとめて指す場合には、符号の末尾「a」「b」(A相とB相を示すもの)を省略している。例えば、A相とB相の乗算値Ma、Mbを区別する必要が無い場合には、これらを合わせて「乗算値M」と呼ぶ。他の符号についても同様である。
【0056】
磁気センサー300Aの出力SSAは、AD変換部570に供給される。この磁気センサー300Aの出力SSAのレンジは、例えばGND(接地電位)からVDD(電源電圧)までであり、その中位点(=VDD/2)が出力波形の中位点(正弦波の原点を通る点)である。AD変換部570は、このセンサー出力SSAをAD変換して、センサー出力のデジタル値を生成する。AD変換部570の出力のレンジは、例えばFFh〜0h(語尾の”h”は16進数であることを示す)であり、プラス側の中央値を80hとし、マイナス側の中央値を7Fhとしてそれぞれを波形の中位点に対応させる。
【0057】
符号化部560は、AD変換後のセンサー出力値のレンジを変換するとともに、センサー出力値の中位点の値を0に設定する。この結果、符号化部560で生成されるセンサー出力値Xaは、正側の所定の範囲(例えば+127〜0)と負側の所定の範囲(例えば0〜−127)の値を取る。但し、符号化部560から乗算器550に供給されるのは、センサー出力値Xaの絶対値であり、その正負符号は正負符号信号PaとしてPWM部530に供給される。
【0058】
電圧指令値レジスター580は、CPU部400によって設定された電圧指令値Yaを格納する。この電圧指令値Yaは、後述する励磁区間信号Eaとともに、第1の駆動機構への印加電圧を設定する値として機能するものである。電圧指令値Yaは、典型的には0〜1.0の値を取るが、1.0よりも大きな値を設定可能としても良い。但し、以下では電圧指令値Yaが0〜1.0の範囲の値を取るものと仮定する。このとき、仮に、非励磁区間を設けずに全区間を励磁区間とするように励磁区間信号Eaを設定した場合には、Ya=0は印加電圧をゼロとすることを意味し、Ya=1.0は印加電圧を最大値とすることを意味する。乗算器550は、符号化部560から出力されたセンサー出力値Xaと、電圧指令値Yaとを乗算して整数化し、その乗算値MaをPWM部530に供給する。
【0059】
図11(B)〜(E)は、乗算値Maが種々の値を取る場合におけるPWM部530の動作を示している。ここでは、全期間が励磁区間であり非励磁区間が無いものと仮定している。PWM部530は、クロック信号SDCの1周期の間に、デューティがMa/Nであるパルスを1つ発生させる回路である。すなわち、図11(B)〜(E)に示すように、乗算値Maが増加するに従って、駆動信号DRVA1、DRVA2のパルスのデューティが増加する。なお、第1の駆動信号DRVA1は、センサー出力SSAが正のときにのみパルスを発生する信号であり、第2の駆動信号DRVA2はセンサー出力SSAが正のときにのみパルスを発生する信号であるが、図11(B)〜(E)ではこれらを合わせて記載している。また、便宜上、第2の駆動信号DRVA2を負側のパルスとして描いている。
【0060】
図12は、PWM部530(図11)の内部構成の一例を示すブロック図である。PWM部530は、カウンタ531、532と、EXOR回路533、534と、駆動波形形成部535、536とを備えている。カウンタ531とEXOR回路533と駆動波形形成部535はA相用の回路であり、カウンタ532とEXOR回路534と駆動波形形成部536はB相用の回路である。これらは以下のように動作する。
【0061】
図13は、第1の駆動機構の正転時のPWM部530の動作を示すタイミングチャートである。この図には、2つのクロック信号PCL、SDCと、正逆方向指示値RIと、励磁区間信号Eaと、乗算値Maと、正負符号信号Paと、カウンタ531内のカウント値CM1と、カウンタ531の出力S1と、EXOR回路533の出力S2と、駆動波形形成部535の出力である駆動信号DRVA1、DRVA2とが示されている。カウンタ531は、クロック信号SDCの1期間毎に、クロック信号PCLに同期してカウント値CM1を0までダウンカウントする動作を繰り返す。カウント値CM1の初期値は乗算値Maに設定される。なお、図13では、図示の便宜上、乗算値Maとして負の値も描かれているが、カウンタ531で使用されるのはその絶対値|Ma|である。カウンタ531の出力S1は、カウント値CM1が0で無い場合にはHレベルに設定され、カウント値CM1が0になるとLレベルに立ち下がる。
【0062】
EXOR回路533は、正負符号信号Paと正逆方向指示値RIとの排他的論理和を示す信号S2を出力する。第1の駆動機構が正転する場合には、正逆方向指示値RIがLレベルである。従って、EXOR回路533の出力S2は、正負符号信号Paと同じ信号となる。駆動波形形成部535は、カウンタ531の出力S1と、EXOR回路533の出力S2から、駆動信号DRVA1、DRVA2を生成する。すなわち、カウンタ531の出力S1のうち、EXOR回路533の出力S2がLレベルの期間の信号を第1の駆動信号DRVA1として出力し、出力S2がHレベルの期間の信号を第2の駆動信号DRVA2として出力する。なお、図13の右端部付近では、励磁区間信号EaがLレベルに立ち下がり、これによって非励磁区間NEPが設定されている。従って、この非励磁区間NEPでは、いずれの駆動信号DRVA1、DRVA2も出力されず、ハイインピーダンス状態に維持される。
【0063】
上述の説明から理解できるように、カウンタ531は、乗算値Maに基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成回路として機能している。また、駆動波形形成部535は、励磁区間信号Eaに応じてPWM信号をマスクするマスク回路として機能している。
【0064】
図14は、第1の駆動機構の反転時のPWM部530の動作を示すタイミングチャートである。第1の駆動機構の反転時には、正逆方向指示値RIがHレベルに設定される。この結果、2つの駆動信号DRVA1、DRVA2が図13から入れ替わっており、この結果、第1の駆動機構が反転することが理解できる。なお、PWM部530のB相用の回路532、534、536も上述と同様に動作する。
【0065】
図15は、励磁区間設定部590の内部構成と動作を示す説明図である。励磁区間設定部590は、電子可変抵抗器592と、電圧比較器594、596と、OR回路598と、AND回路599とを有している。電子可変抵抗器592の抵抗値Rvは、CPU部400によって設定される。電子可変抵抗器592の両端の電圧V1、V2は、電圧比較器594、596の一方の入力端子に与えられている。電圧比較器594、596の他方の入力端子には、磁気センサー300Aの出力SSAが供給されている。なお、図15ではB相用の回路は図示の便宜上省略されている。電圧比較器594、596の出力信号Sp、Snは、OR回路598に入力されている。OR回路598の出力は、励磁区間と非励磁区間とを区別するための励磁区間信号Eaである。
【0066】
図15(B)は、励磁区間設定部590の動作を示している。電子可変抵抗器592の両端電圧V1、V2は、抵抗値Rvを調整することによって変更される。具体的には、両端電圧V1、V2は、電圧レンジの中央値(=VDD/2)からの差分が等しい値に設定される。磁気センサー300Aの出力SSAが第1の電圧V1よりも高い場合には第1の電圧比較器594の出力SpがHレベルとなり、一方、磁気センサー300Aの出力SSAが第2の電圧V2よりも低い場合には第2の電圧比較器596の出力SnがHレベルとなる。励磁区間信号Eaは、出力信号Sp、Snの論理和を取った信号となる。従って、図15(B)の下部に示すように、励磁区間信号Eaは、励磁区間EPと非励磁区間NEPとを示す信号として使用することができる。励磁区間EPと非励磁区間NEPの設定は、CPU部400が可変抵抗値Rvを調整することによって行なわれる。
【0067】
なお、励磁区間EPと非励磁区間NEPの設定機能は、CPU部400以外の他の回路で実現するようにしてもよい。また、外部からの要求(例えばモータの出力要求)に応じて電圧指令値Yaと励磁区間信号Eaの両者の値を調整し、これによって、要求に応じた出力を達成する調整部としての機能についても同様である。
【0068】
ところで、駆動装置10の始動時には、励磁区間EPはなるべく大きく、非励磁区間NEPはなるべく小さくすることが好ましい。この理由は、駆動装置10が、位相が非励磁区間NEPの内部に相当する位置で静止している場合には、PWM信号が駆動波形形成部535(図12)でマスクされてしまうので、始動できない可能性があるためである。従って、始動時には、非励磁区間NEPは、その許容範囲の中の最小値とすることが好ましい。なお、非励磁区間NEPの最小値は、ゼロでない値とすることが好ましい。この理由は、非励磁区間NEPの最小値をゼロとすると、磁気センサー300Aの出力SSAの極性(すなわち駆動信号の極性)が反転するタイミングにおいて、駆動部250(図11)内において電流が逆流してしまい、スイッチングトランジスタが損傷する可能性があるからである。
【0069】
図16は、符号化部の動作とタイミングチャートを示す説明図である。ここでは、A相用の符号化部560(図11)を例にとり説明する。符号化部560は、ADC部570(図11)からADC信号を受取、センサー出力値Xaと正負符号信号Paを生成する。ここで、センサー出力値Xaは、ADC信号を+127〜−128にシフトし、その絶対値を取った値である。また、正負符号信号Paについては、ADC信号の値が0よりも小さい場合に正負符号信号PaをH、ADC信号の値が0よりも大きい場合に正負符号信号PaをLとしている。なお、正負符号信号Paの正負は、逆であってもよい。
【0070】
図17は、駆動部の動作状態を示す説明図である。なお、A相、B相の構成は同じであるので、A相についてのみ説明する。A相駆動部250Aは、4つのスイッチングトランジスタTr1A〜Tr4Aを有しており、また、上アーム側のスイッチングトランジスタTr1A、Tr3Aには、駆動信号のレベルを調整するためのレベルシフト回路255A、256Aが設けられている。但し、レベルシフト回路255A、256Aは省略可能である。
【0071】
A相駆動部250Aには、PWM部530(図11、図12)から駆動信号DRVA1、DRVA2が供給される。駆動信号DRVA1、DRVA2は、どちらか一方のみがオンし、同時にはオンしない。駆動信号DRVA1がオン状態になるととともに駆動信号DRVA2がオフ状態になるときに、第1の電流方向IA1に電流が流れる。逆に、駆動信号DRVA1がオフ状態になるととともに駆動信号DRVA2がオン状態になるときに、第2の電流方向IA2に電流が流れる。この結果、第1の駆動機構が駆動信号に応じて駆動される。
【0072】
図18は、回生回路の一例を示す説明図である。回生回路は、第2の駆動機構からの回生制御を行う。回生回路は、回生制御部1800と、A相充電切替部1810aとB相充電切替部1810bと、EXOR回路1815a、1815bと、二次電池1700と、を備える。回生制御部1800は、A相回生制御回路1800a、B相回生制御回路1800bを含んでいる。A相回生制御回路1800aとB相回生制御回路1800bの構成は同じであるので、A相回生制御回路1800aを例にとり説明する。A相回生制御回路1800aは、A相電磁コイル1100Aに対して1250Aと並列に接続されている。A相回生制御部1800aは、インバーター回路1820aと、バッファー回路1830aと、ダイオードで構成される整流回路1840a〜1843aと、スイッチングトランジスタ1850a、1860aと、抵抗1852a、1862aと、を備えている。
【0073】
CPU部400からの回生信号Kaがオンとなると、A相充電切替部1810aの出力がオンとなる。A相充電切替部180aがオンになると、インバーター回路1820aの出力がLとなり、スイッチングトランジスタ1850aがオン状態になる。一方、バッファー回路1830aの出力はHとなるため、スイッチングトランジスタ1860aがオフ状態になる。そうすると、第1の駆動機構は、スイッチングトランジスタ1850aを介して、A相電磁コイル1100Aで発生した電力を回生して、二次電池1700を充電することが可能である。逆に、A相充電切替部1810aがオフ(=0=L)になると、バッファー回路1830aによってスイッチングトランジスタ1860aがオン状態になる。一方、インバーター回路1820aの出力がHとなり、スイッチングトランジスタ1850aがオフ状態になる。この場合は、二次電池1700からA相電磁コイル1100aに電流を供給することが可能である。尚、回生モードは2つあり、モード切替信号ModeSelにより切り替えが行われる。図18に示すように励磁区間信号Ea(図15)と回生モード切替信号ModeSelを入力とするEXOR回路1815aの出力が、回生区間EPaとなる。モーター駆動回生制御部1500は、回生モード切替信号ModeSelを生成し、回生モードを切り替える。回生モード切替信号ModeSelがLのとき、励磁区間信号Eaと回生区間EPaとは同じ論理である。このとき、モーター駆動回生制御部1500は、電気角π/2、3π/2点の誘起電圧が大きな領域を中心に回生電流を流す。一方、回生モード切替信号ModeSelがHの時、励磁区間信号Eaと回生区間EPaの論理が逆であり、モーター駆動回生制御部1500は、電気角0、π点の誘起電圧が小さな領域を中心に回生電流を流す。このように、モーター駆動回生制御部1500は、モード切替信号ModeSelを用いて、励磁区間信号Eaの論理を維持または反転させることにより回生区間EPaを生成し、電気角0,π、2π近傍点から徐々にπ/2、3π/2の点に向けて回生電流量を徐々に増減できるための機械伝達トルクを容易に制御し易くできる。B相についても同様である。
【0074】
このように、本実施例によれば、第1の駆動機構で得られた第1の運動エネルギーを第2の駆動機構により第2の運動エネルギーとして非接触でリニアに出力部232に伝達ができ、更に電気エネルギーを回生することも出来る。なお、第1と第2の駆動機構の役割を入れ替えて、第2の駆動機構を駆動し、第1の駆動機構から電気エネルギーの回生を行ってもよい。すなわち、第1のローター20により回転された第2の永久磁石1200により、第2の電磁コイル1100間にはフレミング右手の法則により誘起電圧が生じ、第2の電磁コイル1100に生じた誘起電圧によるコイル内の電流量をリニア制御することで、出力部232には電流に応じたトルクでリニア伝達することが出来きる。
【0075】
また、第1のローター20により回転された第2の永久磁石1200と同一回転方向に回転するように、第2の電磁コイル1100間に第2の磁気センサー1300のセンサー信号の出力に基づいて(フレミング左手の法則)、第2の電磁コイル1100で生じる誘起電圧を超えた電圧をモーター駆動回生制御部1500で供給することで、第1のローター20を超えた回転数を出力部232に増速することが出来きる。
【0076】
また、出力部232から得られる第2の運動エネルギーを、第2の駆動機構と第1の駆動機構により回生制動制御(フレミング右手の法則)することで制動と共に電気エネルギーとして回生することが出来ることで、電動モーターと非接触による無断変速機とが一体化したアクチュエータ構造を提供することができる。
【0077】
図19は、本発明の変形例によるモーター/発電機を利用した移動体の一例としての電動自転車(電動アシスト自転車)を示す説明図である。この自転車3300は、前輪にモーター3310が設けられており、サドルの下方のフレームに制御回路3320と充電池3330とが設けられている。モーター3310は、充電池3330からの電力を利用して前輪を駆動することによって、走行をアシストする。また、ブレーキ時にはモーター3310で回生された電力が充電池3330に充電される。制御回路3320は、モーターの駆動と回生とを制御する回路である。このモーター3310としては、上述した各種のモーターを利用することが可能である。
【0078】
図20は、本発明の変形例によるモーターを利用したロボットの一例を示す説明図である。このロボット3400は、第1と第2のアーム3410,3420と、モーター3430とを有している。このモーター3430は、被駆動部材としての第2のアーム3420を水平回転させる際に使用される。このモーター3430としては、上述した各種のモーターを利用することが可能である。
【0079】
図21は、本発明の変形例によるモーターを利用した鉄道車両を示す説明図である。この鉄道車両3500は、モーター3510と、車輪3520とを有している。このモーター3510は、車輪3520を駆動する。さらに、モーター3510は、鉄道車両3500の制動時には発電機として利用され、電力が回生される。このモーター3510としては、上述した各種のモーターを利用することができる。
【0080】
以上、いくつかの実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【符号の説明】
【0081】
10…駆動装置
15…ステーター
17…ボルト
20…第1のローター
25…配線
100、100A、100B、1100、1100A、1100B…電磁コイル
115、1115…コイルバックヨーク
200、201、1200…永久磁石
215、1215…磁石バックヨーク
230…中心軸
231…空洞
232…出力部
240…軸受け
241…リング
250、250A、250B…駆動部
255A…レベルシフト回路
300、300A、300B、1300…磁気センサー
310、1310…回路基板
400…CPU部
500…モーター駆動制御部
510…基本クロック生成回路
520…分周器
531、532…カウンタ
533、534…EXOR回路
535、536…駆動波形形成部
540…正逆方向指示値レジスター
550、552…乗算器
560、562…符号化部
580…電圧指令値レジスター
590…励磁区間設定部
592…電子可変抵抗器
594…第1の電圧比較器
596…第2の電圧比較器
1020…第2のローター
1170…ブラシ
1180…コミュテーター
1400…電力送信部
1405…情報送信部
1410…送電コイル
1420…受電コイル
1430…電力受信部
1432…整流回路
1435…情報受信部
1440…電磁コイル制御部
1450…電磁波遮蔽板
1500…モーター駆動回生制御部
1600…駆動回生切替部
1700…二次電池
1800…回生制御部
1815a、1815b…EXOR回路
1820a…インバーター回路
1830a…バッファー回路
1840a…整流回路
1850a…スイッチングトランジスタ
1852a…抵抗
1860a…スイッチングトランジスタ
2000…負荷部
2017…ボルト
3300…自転車
3310…モーター
3320…制御回路
3330…充電池
3400…ロボット
3410…第1のアーム
3420…第2のアーム
3430…モーター
3500…鉄道車両
3510…モーター
3520…車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の駆動機構と第2の駆動機構とを有する相対駆動装置であって、
ステーターと、
第1のローターと、
第2のローターと、
を備え、
前記ステーターは、第1の電磁コイルと前記第1の電磁コイルに流す電流を制御する第1の制御部とを有し、
前記第1のローターは、第1と第2の磁石を有し、
前記第2のローターは、第2の電磁コイルと、前記第2の電磁コイルに流す電流を制御する第2の制御部とを有し、
前記第1の電磁コイルと前記第1の磁石とは対向して配置されて、前記第1の駆動機構を構成し、
前記第2の電磁コイルと前記第2の磁石とは対向して配置されて、前記第2の駆動機構を構成している、相対駆動装置。
【請求項2】
第1の駆動機構と第2の駆動機構とを有する相対駆動装置であって、
ステーターと、
第1のローターと、
第2のローターと、
を備え、
前記ステーターは、第1の電磁コイルと前記第1の電磁コイルに流す電流を制御する第1の制御部を有し、
前記第1のローターは、磁石を有し、
前記第2のローターは、第2の電磁コイルと、前記第2の電磁コイルに流す電流を制御する第2の制御部とを有し、
前記第1の電磁コイルは、前記磁石の一方の極側に対向して配置されており、前記第1の電磁コイルと、前記磁石とで、前記第1の駆動機構を構成し、
前記第2の電磁コイルは、前記磁石の他方の極側に対向して配置されており、前記第2の電磁コイルと、前記磁石とで、前記第2の駆動機構を構成している、相対駆動装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の相対駆動装置において、
前記第1の電磁コイルに電流を流して、前記第1のローターを第1の方向に回転させ、前記第2の電磁コイルに保持電流を流すことにより、前記第2のローターを、前記第1のステーターに対して前記第1の方向に前記第1のローターと同速で回転させる同速駆動モードを有する、相対駆動装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の相対駆動装置において、
前記第1の電磁コイルに電流を流して、前記第1のローターを第1の方向に回転させ、前記第2の電磁コイルに電流を流すことにより、前記第2のローターを、前記第1のステーターに対して前記第1の方向に前記第1のローターよりも高速で回転させる高速駆動モードを有する、相対駆動装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の相対駆動装置において、
前記第1の電磁コイルに電流を流して、前記第1のローターを第1の方向に回転させ、前記第2の電磁コイルから電流を回生することにより、前記第2のローターを、前記第1のステーターに対して前記第1の方向に前記第1のローターよりも低速で回転させる低速駆動モード、あるいは、前記第2のローターを前記ステーターに対して停止させる停止モードを有する、相対駆動装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の相対駆動装置において、さらに、
前記ステーターは、第1の送受信コイルを有する第1の非接触電力送受信部を有し、
前記第2のローターは、第2の送受信コイルを有する第2の非接触電力送受信部を有し、
前記第2の電磁コイルを駆動するための電力、または、前記第2の電磁コイルから回生される電気エネルギーは、前記第1の非接触電力送受信部と、第2の非接触電力送受信部との間は、前記第1と第2の送受信コイル間の電磁結合により送受信される、相対駆動装置。
【請求項7】
請求項6に記載の相対駆動装置において、さらに、
前記第1の非接触電力送受信部は、第2の非接触電力送受信部に送る電力に前記第2の電磁コイルに流す電流の大きさ方向を制御するための制御信号を変調する変調回路を有しており、
前記第2の非接触電力送受信部は、前記電力に変調された制御信号を復調するための復調回路を有している、相対駆動装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の相対駆動装置を有する移動体。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の相対駆動装置を有するロボット。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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