説明

相異なるサイズの条鋼製品を処理する方法およびシステム

【課題】相異なるサイズの条鋼製品を処理する改良された方法およびシステムを提供する。
【解決手段】圧延機から送られた相異なる条鋼製品を処理する改良された方法は、第一範囲内のサイズの条鋼製品を第一直径の螺旋形リング形成品18に成形するステップと、別に前記第一範囲内の最大サイズの条鋼製品より大きい第二範囲内のサイズの条鋼製品については、これを、前記第一直径より大きい第二直径の螺旋形リング形成品18に成形するステップとを含む。前記螺旋形リング形成品18は、コンベヤ20に積載され、リフォーミングステーション22に移送され、コイルに集束される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、熱間圧延された条鋼製品をレイングヘッドで螺旋形リング形成品に成形し、螺旋形リング形成品を冷却コンベヤに積載し、リフォーミングチャンバに移送し、コイルに集束するステップを含む圧延機に関する。特に、そのようなコイルの集束密度を最大化する方法とシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
圧延機のレイングヘッドは、従来、熱間圧延された条鋼製品をリングに成形するために用いられ、その際、リングはすべての製品サイズに対し同一直径を有するものであった。本明細書に記載のときは、「条鋼製品」という用語は、棒鋼や線材を意味し、「サイズ」は、製品の直径を称するものである。
【0003】
【特許文献1】特開2005−34909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非限定的実施例の一つでは、レイングヘッドにより、直径1,075mmを有するリングが形成される。約5mm〜16mmのサイズ範囲の製品に対して、この直径のリングが、リフォーミングチャンバに積載され、引き続いて同チャンバ内で振り分けられ、適度に締まったコンパクトなコイルが形成される。しかし、前記レイングヘッドが、より大きいサイズ、例えば、17mm〜26mmのサイズの製品を処理するときは、前記の同一直径を有するリングは、リフォーミングチャンバ内で満足ゆくようには振り分けられない傾向がある。従って、結果として得られたコイルは、十分な集束密度を欠き、リングの振り分けはある程度オープンかつランダムになり、コイル状態が不安定になる傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る方法は、圧延機から送られた相異なるサイズの条鋼製品を処理する方法において、第一範囲内のサイズの条鋼製品を第一直径の螺旋形リング形成品に成形し、別に前記第一範囲内の最大サイズの条鋼製品より大きい第二範囲内のサイズの条鋼製品については、これを前記第一直径より大きい第二直径を有する螺旋形リング形成品に成形するステップと、前記螺旋形リング形成品をコンベヤに積載し、リフォーミングステーションに移送するステップと、前記螺旋形リング形成品を前記リフォーミングステーションでコイルに集束するステップと、を含むことを特徴とする。
【0006】
また、この方法は、前記製品が、レイングヘッドの、回転し、かつ曲がったレイングパイプ内に前記製品を通過させることによって前記螺旋形リング形成品に成形されることが好ましい。
【0007】
また、この方法は、前記第一と第二のリング直径が、相異なるように構成され、かつ交換可能な第一と第二のレイングパイプを別々に採用することによって得られることが好ましい。
【0008】
また、この方法は、前記第一と第二のリング直径が、単一の入側部と、相異なるように構成され、かつ別々に採用可能な第一と第二の出側部とを備える区分レイングパイプを使用することによって得られることが好ましい。
【0009】
また、この方法は、前記第一と第二の出側部が、互いに対して固定され、そして前記入側部が、前記出側部のいずれか一つと別々に連絡するように回転可能に調節されることが好ましい。
【0010】
また、この方法は、前記第一と第二の直径が、相異なるように構成されたレイングパイプを有する二基の別々に採用可能のレイングヘッドのいずれか一基に前記製品を通過させることによって得られることが好ましい。
【0011】
本発明に係るシステムは、圧延機から送られた相異なるサイズの条鋼製品を処理するシステムにおいて、第一範囲内のサイズの条鋼製品を第一直径の螺旋形リング形成品に成形し、別に前記第一範囲内の最大サイズより大きい条鋼製品については、これを前記第一直径より大きい第二直径を有する螺旋形リング形成品に成形するレイングヘッドと、前記レイング手段から前記螺旋形リング形成品を受容し、引き続き前記螺旋形リング形成品を前記レイング手段から移送するコンベヤと、前記コンベヤ手段から前記螺旋形リング形成品を受容し、引き続き前記螺旋形リング形成品をコイルに集束するリフォーミングチャンバと、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、このシステムは、前記レイングヘッドに、回転し、かつ曲がったレイングパイプが備えられ、前記製品がこのレイングパイプを通って導かれることによって、前記螺旋形リング形成品が成形されることが好ましい。
【0013】
また、このシステムは、前記レイングヘッドに、相異なるように構成され、かつ交換可能の第一と第二のレイングパイプが備えられ、これら第一と第二のレイングパイプが、前記第一と第二のリング直径を得るために別々に採用され得ることが好ましい。
【0014】
また、このシステムは、前記レイングパイプが、単一の入側部と、相異なるように構成された第一と第二の出側部とを有し、これら第一と第二の出側部が、前記第一と第二のリング直径を得るために別々に採用され得ることが好ましい。
【0015】
また、このシステムは、前記第一と第二の出側部が、互いに対して固定され、前記入側部が、前記出側部のいずれか一つと別々に連絡するように回転自在に調節可能であることが好ましい。
【0016】
また、このシステムは、相異なるように構成されたレイングパイプを有する前記二基のレイングヘッドのいずれか一基が、前記第一と第二のリング直径を得るために別々に採用されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に基づけば、より小さいサイズの製品は、従来のサイズのリングに成形され、より大きいサイズの製品は、より大きいリングに成形される。より大きいサイズの製品のより大きいリングは、リフォーミングチャンバおいて、より容易に十分に振り分けられるので、結果として、コンパクトかつ安定なコイルを成形することが可能である。
【0018】
以下、添付の図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
先ず図1を参照すると、圧延機の出側端が最終段のロールスタンド10から成っていることが示され、熱間圧延製品がここから出側端パス「P」に沿って出てくる。製品は、一基または複数基の水ボックス12で冷却され、その後ピンチロールユニット14によりレイングヘッド16に供給される。レイングヘッド16は、製品を螺旋形のリング形成品18に成形し、これを冷却コンベヤ20に積載し、引き続いてリフォーミングチャンバ22に移送する。リフォーミングチャンバ22ではリングがコイルに集束される。
【0020】
前に記載したように、従来の実施のやり方は、すべてのサイズの製品を同一直径のリングに成形することであった。図2Aに示されるように、リング直径が所与のとき、リフォーミングチャンバ22で集束されたコイルの密度は製品サイズが大きくなるに従って減少することが分かっている。
【0021】
図2Bに示されるように、本発明は、この従来の実施のやり方とは相異なって、より大きい製品サイズに対してはリング直径を大きくするものである。このようにすることによって、より大きい製品サイズに対するコイル密度が増すので有益である。
【0022】
図3を参照する。レイングヘッド16は、ベアリング28a,28bで支持され、かつ軸「X」の周りに回転する中空軸26を囲むハウジング24を備える。中空軸26はベベルギア30を周りに備え、ベベルギア30は、より大きな直径のベベルギア32と噛み合う。後者のギア32は従来手段(図示せず)で駆動される。曲がったレイングパイプ34が、中空軸26の前端に設置されたサポート36に巻き付くように支持される。レイングパイプ34は、軸X上に位置合わせされた入側端34aを有し、この端部から熱間圧延製品を受容する。出側端34bは、軸Xに対して半径方向に離れた箇所に設置され、この端部から上記製品が螺旋形のリング形成品18として排出される。
【0023】
本発明の態様の一つに従えば、レイングヘッド16は、二本またはそれ以上の本数の交換可能で、かつ相異なるように構成されたレイングパイプを装備可能であり、図4Aと4Bには二本のレイングパイプ34と34´が示される。両レイングパイプは、各々軸X上に位置合わせされた入側端34aと34a´を有する。しかし、レイングパイプ34の出側端34b´は、レイングパイプ34の出側端34bの半径より大きい半径となるように軸Xから半径方向により離れた箇所に設置される。より小サイズの製品を処理するときは、パイプ34とその適切に構成されたサポートが、レイングヘッド16に取り付けられる。より大サイズの製品には、レイングパイプ34をレイングパイプ34´に交換する。もちろん、それぞれ適切に構成されたサポートも同じく交換する。
【0024】
本発明の他の態様の一つに従えば、図5Aと5Bに示されるように、区分レイングパイプ38を40の箇所で二つに分割して用いる。40の箇所では、入側部42と、相異なるように構成され、かつ別々に採用し得る出側部44と46とに二つに分割されている。入側部42は、中間端42bに至る入側端42aを備える。入側端42aは、軸X上に位置合わせされ、熱間圧延された製品を圧延機から受容する。出側部44と46の各々は、入側部の中間端42bから製品を受容する位置に適応された入側端44a,46a、および相異なる半径だけ軸Xから半径方向に離れた箇所に設置された各出側端44b、46bを有する。製品は、一連したループ状の螺旋形リング18として出側端44b、46bから出てくる。この配置では、出側部44と46と各関連サポート部品だけを別のものと相互に交換することによって、製品サイズの大小範囲のいずれに対しても容易に適応可能である。
【0025】
図6では、二つの相異なるように構成されたレイングパイプ出側部48と50が互いに対して固定され、中空軸26に収められ、サポート36で支持されている。出側部48と50の入側端48a、50aは、互いから180°隔てて配置され、軸Xからも間隔をおいて配置されている。出側端48b,50bは、ある相異なる半径だけ、軸Xから離れた箇所に配置される。共通の入側部52は、ベアリング54に支持された中空軸26内で回転自在にサポートされる。図示の位置では、入側部52は、パイプ出側部50の入側端50aの方に製品を導くように調節されている。入側部52を180°回転自在に動かして調節することによって、製品は、今度は別にパイプ出側部48の入側端48aの方に導かれる。
【0026】
本発明のさらに別の態様に従えば、図7に示されるように、二基のレイングヘッド16a、16bが処理ラインに沿って交換可能に設置される。レイングヘッド16aには、図4Aと図4Bのレイングパイプ34が装備され、一方、レイングヘッド16bには、同様にレイングパイプ34´が装備される。レイングヘッド16aが、16a´と破線で示された位置に移されると、他のレイングヘッド16bが処理ラインに設置され得る。従って、レイングヘッドが交換可能となり、相異なる範囲の製品サイズに適応させられる。
【0027】
以上、開示した内容は例示であることが明らかであるので、本開示に含まれる教示の公正な範囲に逸脱することなく、詳細を付加したり、部分的修正したり、または取り除いたりすることによって、多岐にわたる変更を行うことが可能である。従って、本発明は、前記の特許請求の範囲が必然的に限定する範囲を除いて、本開示の具体的な詳細に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来の圧延機出側端の概略平面図である。
【図2A】従来技術における、相異なるリング直径に対するコイル密度と製品サイズとの間の関係を示す説明図ある。
【図2B】本発明に係る、相異なるリング直径に対するコイル密度と製品サイズとの間の関係を示す説明図ある。
【図3】レイングヘッドの長手方向の断面図である。
【図4A】相異なる直径のリングを成形するように構成された交換可能のレイングパイプの各側面図である。
【図4B】相異なる直径のリングを成形するように構成された交換可能のレイングパイプの各前面図である。
【図5A】相異なる直径のリングを形成するように構成された交換可能の出側部を備えるレイングパイプの各側面図である。
【図5B】相異なる直径のリングを形成するように構成された交換可能の出側部を備えるレイングパイプの各前面図である。
【図6】二個の相異なる構成の出側部であって、共通の回転自在の入側部に交互に接続される出側部を備えるレイングパイプを含むレイングヘッドの部分図である。
【図7】図1と同様な図であるが、一方のレイングヘッドが、他方のレイングヘッドのレイングパイプで成形されるリングの直径とは相異なる直径のリングを成形する構成となっているレイングパイプを備える交換可能の二基のレイングヘッドを示す図である。
【符号の説明】
【0029】
10 最終ロールスタンド、12 水ボックス、14 ピンチロールユニット、16,16a,16a’,16b レイングヘッド、18 螺旋形リング形成品、20 コンベヤ、22 リフォーミングチャンバ、24 ハウジング、26 中空軸、28a,28b,54 ベアリング、30 ベベルギア、32 大径ベベルギア、34,34’ 曲がったレイングパイプ、34a,34a’ 入側端、34b,34b’ 出側端、36 サポート、38 区分レイングパイプ、40 区分箇所、42 入側部、42a 入側端、42b 中間端、44,46 出側部、44b,46b 出側端、48,50 レイングパイプ出側部、48a,50a 入側端、48b,50b 出側端、52 共通入側部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延機から送られた相異なるサイズの条鋼製品を処理する方法において、
第一範囲内のサイズの条鋼製品を第一直径の螺旋形リング形成品に成形し、別に前記第一範囲内の最大サイズの条鋼製品より大きい第二範囲内のサイズの条鋼製品については、これを前記第一直径より大きい第二直径を有する螺旋形リング形成品に成形するステップと、
前記螺旋形リング形成品をコンベヤに積載し、リフォーミングステーションに移送するステップと、
前記螺旋形リング形成品を前記リフォーミングステーションでコイルに集束するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、前記製品が、レイングヘッドの、回転し、かつ曲がったレイングパイプ内に前記製品を通過させることによって前記螺旋形リング形成品に成形されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2の方法において、前記第一と第二のリング直径が、相異なるように構成され、かつ交換可能な第一と第二のレイングパイプを別々に採用することによって得られることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2の方法において、前記第一と第二のリング直径が、単一の入側部と、相異なるように構成され、かつ別々に採用可能な第一と第二の出側部とを備える区分レイングパイプを使用することによって得られることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4の方法において、前記第一と第二の出側部が、互いに対して固定され、そして前記入側部が、前記出側部のいずれか一つと別々に連絡するように回転可能に調節されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1の方法において、前記第一と第二の直径が、相異なるように構成されたレイングパイプを有する二基の別々に採用可能のレイングヘッドのいずれか一基に前記製品を通過させることによって得られることを特徴とする方法。
【請求項7】
圧延機から送られた相異なるサイズの条鋼製品を処理するシステムにおいて、
第一範囲内のサイズの条鋼製品を第一直径の螺旋形リング形成品に成形し、別に前記第一範囲内の最大サイズより大きい条鋼製品については、これを前記第一直径より大きい第二直径を有する螺旋形リング形成品に成形するレイングヘッドと、
前記レイング手段から前記螺旋形リング形成品を受容し、引き続き前記螺旋形リング形成品を前記レイング手段から移送するコンベヤと、
前記コンベヤ手段から前記螺旋形リング形成品を受容し、引き続き前記螺旋形リング形成品をコイルに集束するリフォーミングチャンバと、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7のシステムにおいて、前記レイングヘッドに、回転し、かつ曲がったレイングパイプが備えられ、前記製品がこのレイングパイプを通って導かれることによって、前記螺旋形リング形成品が成形されることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項7のシステムにおいて、前記レイングヘッドに、相異なるように構成され、かつ交換可能の第一と第二のレイングパイプが備えられ、これら第一と第二のレイングパイプが、前記第一と第二のリング直径を得るために別々に採用され得ることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項7のシステムにおいて、前記レイングパイプが、単一の入側部と、相異なるように構成された第一と第二の出側部とを有し、これら第一と第二の出側部が、前記第一と第二のリング直径を得るために別々に採用され得ることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10のシステムにおいて、前記第一と第二の出側部が、互いに対して固定され、前記入側部が、前記出側部のいずれか一つと別々に連絡するように回転自在に調節可能であることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項8のシステムにおいて、相異なるように構成されたレイングパイプを有する前記二基のレイングヘッドのいずれか一基が、前記第一と第二のリング直径を得るために別々に採用されることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−283401(P2007−283401A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20496(P2007−20496)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(599014530)モーガン コンストラクション カンパニー (23)
【Fターム(参考)】