説明

省エネルギー電源装置

【課題】テレビ受像機やビデオ機器などの家庭電気製品、コピー機やコンピュータ、各種サーバーなどのOA機器などの電力負荷装置に電力を供給する電源装置であって、待機期間において、その消費電力量を極めて少なくすることができる省エネルギー電源装置を提供する。
【解決手段】キャパシタブロック6から電力負荷装置5に電力が供給される第1の電力供給モードと、電源3から電力が電力負荷装置5に供給される第2の電力供給モードは、ON/OFF制御回路10により設定される。第1の電力供給モードの期間は、電源3からの電力の供給が停止される。ため、電力負荷装置5には、キャパシタブロック6から放電された電力が供給される。第2の電力供給モードに切り換えられ、電源3が起動すると、ここから電力負荷装置5に電力が供給されると共に、キャパシタブロック6内の各キャパシタの充電がなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータや各種サーバーのようなOA機器、 TV、ビデオやオーディオ機器などの家庭電化製品など多くの電子機器における使用電力量を削減することができる省エネルギー電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への配慮、原油価格の高騰などエネルギーを巡る状況は悪化しており、例えば、電力の需要の増大に対応して、新たに原子力や火力発電所を建設することは、安全性の観点からも環境汚染の増大への危惧により、特に建設予定地の住民からの強い反対があり容易ではない。
【0003】
そのため、家庭や工場、オフィス等の広い範囲で使用されている電子、電気機器は極力その消費電力を少なくすることが求められている。この電子機器等の具体的な例としては、テレビ受像機、ビデオ機器などの家庭電気製品、パソコン、各種サーバー、コピー機等のOA機器を挙げることができる。これらの電子機器は、夜間などの稼動されない時間帯では、電源をオフにして、電力負荷装置の動作を停止させることが省エネルギー化に貢献することになる。
【0004】
しかしながら、上記したテレビ受像機などの家庭電気製品、コピー機等のOA機器では、夜間や休日等の電子機器の利用者が少なく、ほとんどその電子機器が使用されていない状態であっても、利用者の利便性を重視して、電源には、継続してAC電力が供給され、電源から電力負荷装置には電力負荷装置が要求する直流電力が供給されている。
【0005】
たとえば、テレビ受像機にあっては、受像機の画面への像の表示を停止したとしても、テレビ受像機の電源はONの状態とされている。すなわち、電源は継続的に通電状態とされ、電源に接続されたテレビ受像機に含まれる陰極線管のエミッターには、電源から常時電流が供給されている。このときの電源から受像機に供給される電流の大きさは、テレビ受像機がオンの状態のときに比べて小さくされ、陰極線管のエミッターを予備加熱状態に維持する。
【0006】
このような予備加熱状態を設けることにより、テレビ受像機を実際に稼動してテレビ番組を視聴するときには、テレビ受像機を動作状態にするためにメインスイッチをオンにすると、既に陰極線管のエミッターには電源から電流が流されており、予備加熱がなされている。したがって、メインスイッチをオンにし、エミッターに通常の動作時の電流が流されると、予備加熱されていたエミッターからは、短時間に陰極線管における通常の像の表示レベルまでの多くの電子が引き出され、メインスイッチをオンしてから、待ち時間がほとんどなく、陰極線管の表示部には明瞭な画像が表示される。
【0007】
したがって、画像が明るく表示される状態を短時間に実現することができ、テレビ視聴者が、メインスイッチをオンにしてから、画像の表示がなかなか開始されずにイライラすることはなくなる。このように、テレビ受像機やコピー機を始めとした電子機器においては、機器の動作を停止した後においても、電源から電力負荷装置であるそのような電子機器には、機器動作時に比べて著しく小さいものの、所定の電力が供給されている。このような装置の動作を停止させた場合に、再稼動時に短時間で装置を立ち上げるために、常に電源を動作させている製品は極めて多い。
【0008】
図1は従来の一般的な電源装置1を示している。電源装置1には、AC入力端子2から商用交流電力が供給され、商用交流電力は、電源装置1内のスイッチング電源3と平滑コンデンサ4によって、所定の電圧の直流電力が得られ、電力負荷装置5に供給される。この電力負荷装置5は、具体的にはテレビ受像機やコピー機などの電子機器であり、電力負荷装置5の稼動時には比較的大きな電力(電流)が電力負荷装置5に供給される。
【0009】
例えば、この電力負荷装置5が陰極線管型のテレビ受像機であれば、陰極線管に像を表示させる場合には、陰極線管内のエミッターから、像の表示に充分な量の電子が放出されるように、エミッターには比較的大きな電流が流される。一方、電力負荷装置1が稼動されていないときには、電力負荷装置5が陰極線管である場合には、エミッターには少量の電流を流し続ける。この期間は、エミッターの予備加熱状態となる。
【0010】
このような予備加熱状態を設けることにより、テレビ受像機を実際に稼動してテレビ番組を視聴するときには、テレビ受像機を動作状態にするためにメインスイッチをオンにすると、既に陰極線管のエミッターには電源からの通電により、予備加熱がなされている。したがって、メインスイッチをオンにし、エミッターに通常の動作時の電流が流されると、予備加熱されていたエミッターからは、短時間に陰極線管における通常の像の表示レベルまでの多くの電子が引き出され、メインスイッチをオンしてから、待ち時間がほとんどなく、陰極線管の表示部には画像が表示される。
【0011】
しかしながら、このような予備加熱等の機能を備えた電力負荷装置は、実際に稼動していない期間であっても電力の消費が発生する。したがって、電力負荷装置5の稼動が停止している期間における電力の消費量を、いかに少なくするかが、今後のエネルギー事情を考えた場合に重要なことになる。例えば、特許文献1では、電気二重層コンデンサ(キャパシタ)を電源として用いた場合における、無駄に消費する待機電力をなくすアイデアが示されている。
【特許文献1】特開2001−218387
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記図1に示した従来装置では、テレビ受像機やコピー機のように、電力負荷装置5の稼動を停止している期間(待機期間)であっても、電力負荷装置5には電源装置1から微弱ではあるが、負荷電力が流されている。この負荷電力が流されている限り、電源装置1では電源駆動電力が消費される。すなわち、電力負荷装置5を実際に使用する際には直ちに装置が稼動できるように、負荷には常に電力が供給されており、電源1は継続して通電状態にされている。
【0013】
この点をより詳細に説明すれば、電力負荷装置5が使用されておらず、待機状態であっても、電源装置1は常に動作状態とされている。この場合、前記したように、電源装置1から負荷装置5に供給される総電力Ptは、通常の稼動状態の電力負荷装置5に供給される動作時の電力をPpsとし、装置停止時であっても電力負荷装置に供給される負荷供給電力をPrとすると、Pt=Pps+Prとなる。
【0014】
このような電力負荷装置を稼動する電源装置における電力量削減は、電力負荷装置5の要求する電力に対し、電源装置1の駆動電力を如何に小さくできるかが大きな要因となる。しかしながら、負荷電力を限りなく「ゼロ」に近づけたとしても、電源装置1が動いている限り、電源駆動電力Ppsは消費されることになる。
【0015】
このように電力負荷装置5の稼動を停止した場合でも、電源装置1から電力負荷装置5への継続した負荷電力の供給により、装置を立ち上げるときの待ち時間を極めて短くすることができ、家庭や職場で用いられるほとんどの電子機器が、電子機器の動作を停止しても、その後に電子機器の動作を開始させる際、電力負荷装置の稼動をスタートさせるメインスイッチをオンにしてから、負荷装置が実際の稼動状態となるまでの待ち時間を短くするように設計されている。そのため、電子機器の利用者は、待ち時間が極端に短くされていることが自然に思われ、そのためにかなりの電力が消費されていることに思い至らない。
【0016】
しかしながら、エネルギー事情が悪化し、省エネルギーが大きく叫ばれるようになった昨今では、電力負荷装置の実稼動が停止されている待機期間に、電源が動作させられており、僅かであっても電力が消費されている以上、このような待機期間において消費される電力量を削減する取り組みを行うことは、省エネルギーへの貢献となり、好ましいことである。たとえば、電力負荷装置5としてのサーバーやパソコン、テレビ受像機、ビデオ機器などの電子機器は、実際に稼動させている1日当たりの時間は短く、多くの電力負荷装置は、平均的に1日の2/3に相当する16時間以上は、電力負荷装置5は稼動が停止され、再稼動されるまでの待機期間である。
【0017】
この電力負荷装置5の実稼動がストップさせられ、再稼動までの待機期間でも電源1は電力負荷装置5に僅かではあるが電力を供給する通電状態とされている。このように、電源から1台の電力負荷装置に供給される電力は僅かであっても、装置の稼動を停止している待機期間においても電源を通電状態とする電子機器類の数は極めて多く、待機期間に電源駆動電力として無駄に消費されるトータルの電力量は極めて大きいものとなる。
【0018】
本発明の目的は、上述した点に鑑み、テレビ受像機やビデオ機器などの家庭電気製品、コピー機やコンピュータ、各種サーバーなどのOA機器などの電力負荷装置に電力を供給する電源装置であって、待機期間において、その消費電力量を極めて少なくすることができる省エネルギー電源装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に基づく省エネルギー電源装置は、電力負荷装置を稼動させる電力を供給するための主電源と、電力負荷装置に該主電源から供給される電力より小さな電力を供給するサブ電源と、主電源から電力負荷装置への電力の供給をオン/オフするスイッチ手段とを有しており、主電源から電力負荷装置への電力の供給をオンにして主電源からの電力を電力負荷装置に供給する第1の電力供給モードと、主電源からの電力の供給をオフにしてサブ電源からの電力を電力負荷装置に供給する第2の電力供給モードの2種類の電力供給モードで電力負荷装置に電力を供給できるように制御するモード切換制御回路を有しており、前記サブ電源として電気2重層キャパシタを用いたことを特徴としている。
【0020】
また、本発明においては、電気2重層キャパシタは、複数の電気2重層キャパシタを直列に接続してキャパシタブロックを構成し、キャパシタブロックを主電源から電力負荷装置への電力供給ラインに並列に接続する。
【0021】
また、本発明においては、電気2重層キャパシタの放電時間および充電時間は、キャパシタの残存電力量をモニターし、該残存電力量が設定電力量以下となったときに、電気二重層キャパシタの充電期間に切り換えるように構成した省エネルギー電源装置。
【0022】
また、本発明においては、第1の電力供給モードの時間と第2の電力供給モードの時間は、電気2重層キャパシタの静電容量値と電力負荷装置の必要とする負荷電力と電源駆動電力の和の値によって事前に設定し、記憶できるように構成されており、モード切換制御回路は、記憶された2種の時間に基づいて電力供給モードの切り換えを行う。
【0023】
また、本発明においては、電気2重層キャパシタの充電を制御すると共に、第2の電力供給モードの間、電気2重層キャパシタの残存電力量をモニターし、残存電力量が設定電力量以下となったときモード切換制御回路により、電力供給モードを第1のモードに切り換える。
【発明の効果】
【0024】
本発明においては、電力負荷装置を稼動させる電力を供給するための主電源と、電力負荷装置に該主電源から供給される電力より小さな電力を供給するサブ電源と、主電源から電力負荷装置への電力の供給をオン/オフするスイッチ手段とを有しており、主電源から電力負荷装置への電力の供給をオンにして主電源からの電力を電力負荷装置に供給する第1の電力供給モードと、主電源からの電力の供給をオフにしてサブ電源からの電力を電力負荷装置に供給する第2の電力供給モードの2種類の電力供給モードで電力負荷装置に電力を供給できるように制御するモード切換制御回路を有しており、前記サブ電源として電気2重層キャパシタを用いたことを特徴としており、電力負荷装置の稼動が停止されている待機期間において、主電源への電力入力を停止し、主電源から電力負荷装置への電力の供給をゼロとし、電力負荷装置への電力は、電気2重層キャパシタから行うようにしたので、主電源の駆動電力の消費を著しく少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。図2は、本発明に基づく省エネルギー電源装置の基本的な構成を示した図であり、図1に示した従来の電源装置と同一の構成要素には同一番号が付されている。電源装置1には、AC入力端子2から商用交流電力が供給され、商用交流電力は、電源装置1内のスイッチング電源3により直流電力に変換され、テレビ受像機やビデオ機器などの家庭電気製品、コピー機やパソコン、各種サーバーなどのOA機器である電力負荷装置5に供給される。
【0026】
電源装置1内には、電気2重層キャパシタブロック6が設けられているが、このブロック6には、4つの電気2重層キャパシタセルが直列に接続され、直列接続されたキャパシタブロック6は、スイッチング電源3から電力負荷装置5への電力供給ラインに並列に接続されている。この電気2重層キャパシタを直列に接続した理由は、十分な電力容量を確保し、所定の電圧の電力を供給するためである。
【0027】
このキャパシタブロック6にはキャパシタの残存電力量をモニターする機能と、モニターした残存 電力量が規定値以下となった場合には、キャパシタの充電モードを開始するための信号を発生するキャパシタ制御回路7が接続されている。このキャパシタ制御回路7は、キャパシタブロック6内のキャパシタを充電するモードにされたときに、各キャパシタの充電状態を制御する機能も有している。
【0028】
AC入力端子2とスイッチング電源3との間には、リレー8によってオンオフされるスイッチ9が設けられている。このリレー8によってスイッチ9がオンの状態とされると、AC入力端子2とスイッチング電源3との間は電気的に接続され、スイッチング電源3にはAC電力が供給される。一方、リレー8によってスイッチ9がオフの状態とされると、AC入力端子2からスイッチング電源3へのAC電力の供給は停止される。このリレー8を介してのスイッチ9のオンオフの制御は、ON/OFF制御回路10によって行われる。
【0029】
このON/OFF制御回路10には、電力負荷装置5から稼動開始と稼動停止信号が供給される。稼動開始信号は、例えば、電力負荷装置5がコピー機であった場合には、コピー機のメインスイッチが押され、コピーを行うことができる状態、すなわち、コピースタートボタンを押せばコピーができる状態にコピー機を立ち上げるためのスタート信号である。また、稼動停止信号は、日中常に稼動状態とされコピー作業が可能な状態から、業務が終了後に、省エネルギーの観点から、コピー機のメインスイッチを押して、コピー機の稼動を停止するための信号である。
【0030】
この電力負荷装置5が通常の稼動状態とされ、所定の動作が実行されている状態では、スイッチ9はオンの状態とされており、入力端子2からの電力がスイッチング電源3に供給される。したがって、電力負荷装置5には、所定の動作を行うに必要な電力が、スイッチング電源3から直接供給される。一方、電力負荷装置5の本来の使用が停止され、稼動状態から、稼動を停止して再稼動の信号を待つ待機モード(省エネルギーモード)に入った場合には、電力負荷装置5から電源装置1内のON/OFF制御回路10には、稼動停止信号(待機モード開始信号)が供給される。
【0031】
ON/OFF制御回路10は、待機モードに入ったコピー機等の電力負荷装置5への電力供給の制御を行う。すなわち、ON/OFF制御回路10は、リレー8を駆動して、スイッチング電源3の入力側に設けられたスイッチ9のON、OFF動作の制御を行う。まず、待機モード開始信号として稼動停止信号が供給されると、ON/OFF制御回路10は、リレー8を駆動してスイッチ9をオフにし、AC入力端子2から電源装置1内のスイッチング電源3への電力の供給が停止される。
【0032】
この電源装置1への電力の供給が停止されると、電力負荷装置5には、電気2重層キャパシタブロック6に蓄積されている電力が放電されて供給される。このキャパシタブロック6から電力負荷装置5に電力が供給される第1の電力供給モードの時間は、あらかじめON/OFF制御回路10に設定されている。また、スイッチ9がオンの状態になり、スイッチング電源から電力が電力負荷装置5に供給される第2の電力供給モードの時間もあらかじめON/OFF制御回路10に設定されている。
【0033】
例えば、ON/OFF制御回路10に設定された第1の電力供給モードの時間は100秒、第2の電力供給モードの時間は1秒とすると、初期状態として、キャパシタが満充電の状態であれば、第1の電力供給モードで電力負荷装置5への電力の供給が行われる。すなわち、スイッチ9は100秒間オフの状態となり、その間は、スイッチング電源3への電力の供給が停止される。この結果、電力負荷装置5には、負荷供給電力として電気2重層キャパシタブロック6から放電された電力が供給される。この際の負荷供給電力は、電力負荷装置5内に設けられたヒーターの予備加熱等に使用される。
【0034】
このあらかじめ設定された第1の電力供給モードの時間は、前記したように、例えば、100秒に設定されるが、この時間は、電気2重層キャパシタブロック6が満充電とされ、キャパシタブロックの蓄電された電力の総量に対して、電力負荷装置5に第1の電力供給モードの期間に流される負荷供給電力の総量が相対的に少なくなるような時間範囲内で設定する必要がある。
【0035】
この第1の電力供給モードの期間(100秒)が終了すると、ON/OFF制御回路10は第2の電力供給モードとなるように、リレー8によってスイッチ9をオフの状態からオンの状態に切り換え、AC入力端子2からの電力が、スイッチング電源3に供給されるように制御する。この結果、第1の電力供給モードの期間に、負荷供給電力を電力負荷装置5に供給するために放電した電気2重層キャパシタブロック6内の各キャパシタの充電を行う。この充電に要する時間は1秒以内であり、したがって、第2の電力供給モードの期間は、1秒に設定してある。なお、キャパシタブロック6内の各キャパシタの充放電時の制御のため、制御回路7が設けられている。
【0036】
このような構成の電源装置では、電力負荷装置5がコピー機、サーバー、テレビ受像機などの電子機器の場合、待機状態での電力消費を少なくすることは省エネルギー化にとって重要である。一般に、電子機器が待機状態で消費する電力は、電子機器が要求する待機時の動作電力と、その電子機器の電力を供給する電源装置の動作電力の和になる。電子機器側の要求電力が大きい場合(数10W〜数100W)、供給電力に比べ電源の動作電力が小さいため(数W)、待機時の消費電力はほとんど問題にならない。しかしながら、待機時の装置に供給する電力が、電源動作電力と同じ数Wにまで下がった場合、供給電力は要求電力の2倍もしくはそれ以上となる。
【0037】
上記本発明の実施の形態では、電力負荷装置である電子機器が待機状態になっている期間において、第2の電力供給モードの期間(1秒〜2秒)にキャパシタに待機状態における使用電力を充電し、その後、電源回路に供給される電力をオフとし、電源回路を第1の電力供給モードとし、キャパシタに蓄電されたエネルギーを待機用電力として使用する。キャパシタが電力を放電し、第1の電力供給モードの期間が100秒経過すると、キャパシタの残存電力が待機電力を維持できなくなる直前となり、電源回路を再び第2の電力供給モードに設定し、キャパシタの充電を行う。
【0038】
このような第1の電力供給モードと、第2の電力供給モードを繰り返し動作させることで、従来必要とされた「電力負荷装置の要求電力+電源駆動電力」が「電力負荷装置要求電力+1〜2秒の間の電源駆動電力」で良いことになり、保持電力を10倍〜100倍程度にすることにより、電源を停止させる時間も10倍〜100倍となり、その間は負荷要求電力のみが電力負荷装置に流されるので、このような待機期間における動作を長時間続けることにより、大きな電力削減効果が得られる。なお、削減電力は、「電源停止時間×電源駆動電力」となる。
【0039】
ここで、上記した実施の形態では、電力負荷装置が待機状態とされているときのサブ電源として、電気2重層キャパシタを用いている。電気2重層キャパシタは現在広く使用されている鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池のような二次電池とは異なり、水銀、鉛、カドミウムなどの環境汚染物質は一切使用されておらず、製品寿命が終了した後、廃棄処分をしても、環境への悪影響を及ぼす物質が含まれておらず、自然環境に対して安全な素子である。
【0040】
また、本発明が実現可能となった要因として、電気2重層キャパシタの使用を挙げることができる。すなわち、電気2重層キャパシタの特徴である繰り返しの急速充電および放電が可能であること、また、繰り返し寿命が現在広く使用されている二次電池に比べて極端に長いこと、そのため、一般の蓄電素子のような頻繁な蓄電素子の交換が不要となるなど電気2重層キャパシタの使用は、大きな効果をもたらす。
【0041】
次に、図3を用いて本発明に基づく電力削減の動作説明を行う。図3において、横軸は時間であり、縦軸は電力量である。また、各ブロックは単位電力量を表している。まず従来の待機期間であっても電源から電力負荷装置へ電力を流している場合、電源供給電力は、0〜9の間に、「A」「B」の20ブロックが消費される。この内訳は、負荷として消費される電力量「A」の10ブロックと、この消費電力を供給するため、電源回路で消費している「B」の10ブロックの併せて20ブロックとなる。
【0042】
この従来装置における消費電力に対し、本発明に基づくキャパシタの充放電によるオン/オフ制御の場合、最初のブロック0で、本来負荷として供給される電力量「A1」〜「A9」までがあらかじめ電気2重層キャパシタに蓄えられる。その内訳は、負荷供給電力である「A0」が1ブロック、電源回路と制御回路消費電力である「B0」が1ブロック、「A1〜9の供給用電力」としての負荷電力供給分が9ブロックであり、合計の必要電力量は、11ブロックとなる。したがって、同じ負荷電力供給に対して、従来の電源を連続的に使用する方式における20ブロックの電力量の使用に対し、本発明に基づく方式では、9ブロック分の電力量の削減が達成される。
【0043】
なお、最初の0ブロックでの電力供給は、短時間に11ブロック相当の電力が必要となり、この領域での充電損失の増加(電力ロスの発生)を考慮する必要があるが、そのような短時間での電力供給ロスによる電力量の増加分が9ブロック以下であれば、確実に電力消費を少なくすることができる。ましてや、図3による電力削減のケースは、1サイクルにおける電力の削減量について求めたもので、本発明に基づく待機期間におけるキャパシタを用いた電力の供給方式を月単位や年単位で行った場合では、1サイクルにおける電力削減量が僅かであっても、大幅な電力削減効果が得られる。
【0044】
上記した実施の形態では、待機期間における第1の電力供給モードの時間を1秒に、第2の電力供給モードにおける時間を100秒にあらかじめ設定し、ON/OFF制御回路10により、設定された時間間隔で第1と第2の電力供給モードを切り替えるように構成した。このようなモード切り換えの方式以外に、次のような制御の方式を用いることができる。
【0045】
すなわち、キャパシタ制御回路7は、キャパシタブロック6内の各電気2重層キャパシタの残存電力量をモニターしている。スイッチ9をオフにし、スイッチング電源3への電力供給が停止され、キャパシタから電力が電力負荷装置5に供給される第1の電力供給モードの期間、残存電力量が指定された電力量以下になったときに、リレー8を駆動し、スイッチ9をオンに切り換える。この切り換えにより、電源システムは第2の電力供給モードに切り換えられ、スイッチング電源3には電力が供給され、電源3からの直流電力は、電力負荷装置5に供給されると共に、キャパシタブロック6内の各電気2重層キャパシタの充電のためにキャパシタに供給される。キャパシタが満充電となると、キャパシタ制御回路7からの信号により、ON/OFF制御回路10は、電源システムを第1の電力供給モードとなるように切り換える。
【0046】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。例えば、スイッチ9のオンオフ制御をメカニカルリレー8によって行ったが、寿命やノイズによる影響が少ないなどの理由から、トライアックやSSRなどの半導体によるオンオフ制御を行うことが望ましい。また、電気2重層キャパシタの範疇には、純電気2重層キャパシタのみならず、リチウムイオンキャパシタのごとき、その一部に電気2重層が形成されるハイブリッドキャパシタも含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】電力負荷装置に電力を供給する一般的な電源装置を示す図である。
【図2】本発明に基づく省エネルギー電源装置の基本的な構成を示す図である。
【図3】本発明の省エネルギー効果を説明するための図である。
【符号の説明】
【0048】
1 電源装置
2 AC入力端子
3 スイッチング電源
5 電力負荷装置
6 キャパシタブロック
7 キャパシタ制御回路
8 リレー
9 スイッチ
10 ON/OFF制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力負荷装置を稼動させる電力を供給するための主電源と、電力負荷装置に該主電源から供給される電力より小さな電力を供給するサブ電源と、主電源の前段において主電源への電力の供給をオン/オフするスイッチ手段とを有しており、主電源への電力の供給をオンにして主電源からの電力を電力負荷装置に供給する第1の電力供給モードと、主電源への電力の供給をオフにしてサブ電源からの電力を電力負荷装置に供給する第2の電力供給モードの2種類の電力供給モードで電力負荷装置に電力を供給できるように制御するモード切換制御回路とを有しており、前記サブ電源として電気2重層キャパシタを用いた省エネルギー電源装置。
【請求項2】
電気2重層キャパシタは、複数の電気2重層キャパシタを直列に接続してキャパシタブロックを構成し、キャパシタブロックは主電源から電力負荷装置への電力供給ラインに並列に接続されている請求項1記載の省エネルギー電源装置。
【請求項3】
第1の電力供給モードの時間と第2の電力供給モードの時間は、事前に設定し、記憶させることができるように構成されており、モード切換制御回路は、記憶されている2種の時間に基づいて電力供給モードの切り換えを行うように構成した請求項1〜2の何れかに記載の省エネルギー電源装置。
【請求項4】
電気2重層キャパシタの充電を制御すると共に、第2の電力供給モードの間、電気2重層キャパシタの残存電力量をモニターし、残存電力量が設定電力量以下となったときモード切換制御回路により、電力供給モードを第1の電力供給モードに切り換えるように構成した請求項1〜2の何れかに記載の省エネルギー電源装置。
【請求項5】
主電源へ供給される電力は、AC商用電力である請求項1〜4の何れかに記載の省エネルギー電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−71958(P2009−71958A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236814(P2007−236814)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(507306285)株式会社サンデン (3)
【出願人】(504216723)アドバンスト・キャパシタ・テクノロジーズ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】