説明

省電力型測定方法およびその装置

【課題】油井の温度を測定するDTSでは、測定を行わない期間も温度測定部に電力を供給していたので、消費電力が大きいという課題があった。本発明は消費電力を削減できる測定装置を提供することを目的にする。
【解決手段】起動してから測定開始命令を受信するまで温度を測定する温度測定部への電力供給を停止し、測定開始命令を受信すると、次の測定開始時刻を読み出してこの測定開始時刻まで温度測定部への電力供給を停止し、測定開始時刻になると温度測定部へ電力を供給して測定を行った後温度測定部への電力供給を停止する動作を繰り返すようにした。測定時のみ電力を供給するので、消費電力を削減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費電力を低減することができる省電力型測定方法およびその装置に関し、特に在来型油井および非在来型油井の温度を測定する装置等屋外で用いる測定装置に用いて好適な省電力型測定方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8に油井の温度を測定する温度測定装置の構成を示す。図8において、10は油井の温度を測定するDTS(Distributed Temperature Sensor)であり、屋外に設置される。DTS10には、図示しない電源装置から電力が供給される。11は電源が供給される電源端子を表している。
【0003】
12はコントローラであり、屋内に設置される。コントローラ12とDTS10は、イーサネット(登録商標)等のネットワーク13で接続される。コントローラ12はDTS10に測定開始および測定停止を指示する。DTS10は予め決められたシーケンスに基づいて油井の温度を測定し、測定結果をコントローラ12に送信する。
【0004】
DTS10内部には、ユーザによって予めプログラムされた測定シーケンスが格納されている。DTS10はコントローラ12が送信する測定開始命令を受信すると、内蔵されている測定シーケンスに基づいて測定を実行し、その結果をコントローラ12に送信する作業を繰り返す。
【0005】
図9に、測定シーケンスの例を示す。図9において、(A)は測定シーケンステーブルであり、測定の実行順序およびどのチャンネルを用いて測定するかを規定する。この例では測定エレメント1〜4を順番に実行する。測定エレメント1〜4ではそれぞれチャンネル1〜チャンネル4を用いて測定する。これらチャンネルには測定条件が与えられる。
【0006】
図9(B)は測定開始時刻設定テーブルであり、0時、6時、12時、および18時に測定を開始することが規定されている。DTS10は、測定開始命令を受信すると測定開始時刻設定テーブルから次の測定開始時刻を読み出し、この時刻になると測定シーケンステーブルに基づいて一連の測定を行い、次の測定開始時刻まで待機する作業を繰り返す。通常、測定時間は待機時間に比べて短い。
【0007】
図10に、測定のフローおよび測定シーケンスのフローを示す。図10(A)は測定のフローを示すフローチャートである。
【0008】
図10(A)において、工程(P10−1)でDTS10の電源が投入されると、工程(P10−2)でコントローラ12から測定開始命令が送信されるまで待機する。測定開始命令を受信すると、DTS10は測定開始時刻設定テーブルを参照し、次の測定開始時刻を読み出す。例えば、DTS10が10時に測定開始命令を受信すると、次の測定開始時刻は12時になる。DTS10は、工程(P10−3)で12時になるまで待機し、12時になると測定シーケンスを実行する(工程(P10−4))。
【0009】
測定シーケンスの実行が終了すると、DTS10は次の測定開始時刻である18時を読み出し、工程(P10−5)で18時になるまで待機する。そして、18時になると、工程(P10−6)で測定シーケンスを実行する。
【0010】
同様に、DTS10は工程(P10−7)で次の測定開始時刻である0時まで待機し、0時になると測定シーケンスを実行する(工程(P10−8))。そして、工程(P10−9)で次の測定開始時刻である6時まで待機し、6時になると測定シーケンスを実行する(工程(P10−10))。工程(P10−10)が終了すると、工程(P10−3)に戻る。これらの工程は、コントローラ12から測定停止命令が送信されるまで繰り返される。
【0011】
図10(B)は測定シーケンス実行のフローチャートである。測定シーケンステーブルに規定されているように、エレメント1〜4の測定をこの順に実行して終了する。
【0012】
特許文献1には、油井から温度と圧力の測定結果を取り出すダウンホール測定用センサアレイが記載されている。特許文献1では、光伝送線に結合されたセンサアレイを油井に挿入し、温度および圧力の読み取り値をこの光伝送線を用いて外部に伝送すると共に、この光伝送線を介してパワーをセンサアレイに伝送するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−210372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、このようなDTSには次のような課題があった。
DTSは常時運転しなければならず、かつ電力の供給が困難な屋外に設置される場合が多い。そのため、その電源を太陽光発電に頼る場合が多々ある。太陽光発電は屋外ならばどこにでも設置して電力を得ることができるという利点はあるが、発電量が少なく、かつ昼間しか発電できないので夜間稼働のために蓄電しなければならないという欠点がある。このため、DTSの消費電力を下げる必要がある。
【0015】
しかし、図8のDTS10は測定時間よりも待機時間の方が長いにも関わらず常時電力が供給されているので、消費電力が大きい。このため、大きな太陽電池パネルおよび大容量の電池等大きな発電設備が必要になるという課題があった。
【0016】
特許文献1に記載された発明は測定データとパワーの伝送に関するものであり、消費電力を下げるものではない。
【0017】
本発明の目的は、待機中に測定部に電力を供給しないようにすることにより、消費電力を削減することができる省電力型測定方法およびその装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
物理量を測定する測定部と、この測定部に供給する電力を制御する制御部で構成される測定装置に用いる省電力型測定方法であって、
前記制御部は、起動した後、測定開始命令を受信するまで前記測定部に供給する電力を停止して待機する第1の工程と、
前記制御部は、測定開始命令を受信した後測定停止命令を受信するまで、次の測定開始時刻を取得してこの取得した測定開始時刻になるまで前記測定部への電力供給を停止し、前記測定開始時刻になると前記測定部に電力を供給して、測定が終了すると前記測定部への電力供給を停止するする工程を繰り返す第2の工程と、
を具備したものである。測定時のみ測定部に電力を供給するので、消費電力を削減できる。
【0019】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
所定のウオームアップ時間が設定され、前記制御部は、取得した測定開始時刻から前記ウオームアップ時間を減算した時刻に、前記測定部への電力供給を開始するようにしたものである。正確な測定ができる。
【0020】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記制御部には周囲温度の測定値が入力され、前記制御部は、入力された周囲温度の測定値に基づいて前記ウオームアップ時間を変化させるようにしたものである。ウオームアップ時間を短くすることができるので、更に消費電力を削減できる。
【0021】
請求項4記載の発明は、
予め定められた測定開始時刻を読み出し、この読み出した測定開始時刻に物理量を測定して、測定結果を送信する動作を繰り返す測定装置において、
物理量を測定する測定部と、
起動した後、測定開始命令を受信するまで前記測定部への電力供給を停止し、測定開始命令を受信した後測定停止命令を受信するまで、次の測定開始時刻を取得してこの取得した測定開始時刻になると前記測定部へ電力を供給し、測定が終了すると前記測定部への電力供給を停止する動作を繰り返す制御部と、
を具備したものである。測定時のみ測定部に電力を供給するので、消費電力を削減できる。
【0022】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載の発明において、
所定のウオームアップ時間が設定され、前記制御部は、取得した測定開始時刻から前記ウオームアップ時間を減算した時刻に、前記測定部への電力供給を開始するようにしたものである。正確な測定ができる。
【0023】
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の発明において、
前記制御部には周囲温度の測定値が入力され、前記制御部は、入力された周囲温度の測定値に基づいて前記ウオームアップ時間を変化させるようにしたものである。ウオームアップ時間を短くすることができるので、更に消費電力を削減できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば以下のような効果がある。
請求項1、2、3、4、5、および6の発明によれば、起動してから測定開始命令を受信するまで物理量を測定する測定部への電力供給を停止し、測定開始命令を受信すると、次の測定開始時刻を読み出してこの時刻になるまで測定部への電力供給を停止し、測定開始時刻になると測定部へ電力を供給して測定を行った後測定部への電力供給を停止する動作を繰り返すようにした。
【0025】
測定時のみ測定部に電力を供給するので、測定装置の消費電力を削減できるという効果がある。特に、屋外に設置して、太陽電池のような電力供給能力が低い電源を用いなければならないような装置に用いると、効果が大きい。
【0026】
また、測定開始の前にウオームアップ時間を設け、このウオームアップ時間にも測定部へ電力を供給するようにすると、より正確な測定が可能になるという効果もある。
【0027】
さらに、周囲温度を測定し、この周囲温度によってウオームアップ時間を変えることにより、ウオームアップ時間を短くすることができるので、より消費電力を削減することができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施例を示した構成図である。
【図2】図1の装置の動作を示したフローチャートである。
【図3】測定命令待ちの動作フローを示したフローチャートである。
【図4】パワーセーブ状態の動作フローを示したフローチャートである。
【図5】ウオームアップ開始時刻待ちの動作フローを示したフローチャートである。
【図6】測定開始時刻待ちの動作フローを示したフローチャートである。
【図7】次測定開始時刻取得の動作フローを示したフローチャートである。
【図8】従来のDTSによる温度測定装置の構成図である。
【図9】測定シーケンスを指定するテーブルの構成図である。
【図10】従来の測定フローおよび測定シーケンスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下本発明を、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係る省電力型測定装置の一実施例を示した構成図である。なお、図8と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。
【0030】
図1において、20は油井の温度を測定するDTSであり、油井の温度を測定する温度測定部21、温度計測部21が測定した測定データが入力され、またDTS20を統括制御する制御部22で構成される。制御部22には、温度測定部21への電力供給を停止するための監視タイマ(図示せず)が配置されている。
【0031】
30は無線で外部と通信を行う無線LANであり、イーサネット(登録商標)等で制御部22に接続される。DTS20と無線LAN30は、ポールマウントラックに設置される。
【0032】
31は太陽電池パネルであり、太陽光から電力を生成する。太陽電池パネル31が生成した電力は制御部22および無線LAN30に供給される。また、温度測定部21には、制御部22から電力が供給される。
【0033】
コントローラ12には、イーサネット(登録商標)を介して無線LAN32が接続される。無線LAN32は無線LAN30と通信を行い、DTS20に命令を送信すると共に、温度測定部21が測定した温度測定データを受信する。
【0034】
なお、図8のDTS10と同様に、DTS20にもユーザが作成した測定シーケンスが格納されている。DTS20は、この測定シーケンスに基づいて油井の温度測定を行い、その結果を無線LAN30、32を経由してコントローラ12に送信する。ここでは、測定シーケンスとして、図9に示す測定シーケンステーブルおよび測定開始時刻設定テーブルが格納されているとする。
【0035】
次に、図2〜図7に基づいて、この実施例の動作を説明する。この実施例は、温度測定を行わないときは温度測定部21に電力を供給しないようにすることにより、DTS20の消費電力を低減するようにしたものである。
【0036】
図2はDTS20の動作を示すフローチャートである。図2において、DTS20に電力が投入されると、フローが開始する。DTS20は、電力が投入されると工程(P2−1)で自己診断を行い、次に工程(P2−2)で監視タイマをスタートさせ、工程(P2−3)でコントローラ12からの測定開始命令を受信するまで待機する。
【0037】
測定開始命令を受信すると、工程(P2−4)で温度測定部21への電力供給を停止し、工程(P2−5)でウオームアップを開始するウオームアップ開始時刻まで待つ。温度測定部21に電力を供給してからその動作が安定するまでには、一定の時間が必要である。そのため、測定開始に先立って温度測定部21に電力を供給することにより、安定した測定ができるようにする。
【0038】
測定シーケンス中には、ウオームアップの継続時間であるウオームアップ時間が設定されている。ウオームアップ開始時刻は、測定を開始する測定開始時刻からウオームアップ時間を減算することにより求めることができる。
【0039】
ウオームアップ開始時刻になると、工程(P2−6)で温度測定部21に電力を供給し、工程(P2−7)で測定開始時刻になるまで待つ。測定開始時刻になると、工程(P2−8)で、予め定められた測定シーケンスに従って温度測定を実行し、測定結果をコントローラ12に送信する。測定シーケンスが終了すると工程(P2−4)に戻って同じ動作を繰り返す。この動作は、コントローラ12から測定停止命令を受信するまで継続する。工程(P2−4)〜(P2−8)は第2の工程に相当する。
【0040】
例えば、DTS20が10時に測定開始命令を受信したとする。DTS20は測定開始時刻設定テーブルを参照し、次の測定開始が12時であることを知る。DTS20は温度測定部21への電力供給を停止し、(12時−ウオームアップ時間)まで待機する。この時刻になると温度測定部21への電力供給を開始してウオームアップを行い、測定開始時刻になると測定シーケンスを実行する。
【0041】
測定シーケンスが終了すると、測定開始時刻設定テーブルから次の測定開始時刻である18時を読み出し、温度測定部21への電力供給を停止して、(18時−ウオームアップ時間)まで待機する。この時刻になると温度測定部21への電力供給を開始し、ウオームアップを行った後測定シーケンスを実行する。
【0042】
以下同様にして、0時、6時の測定を実行する。6時の測定シーケンスが終了すると、12時の測定シーケンスに戻る。この一連の動作は、コントローラ12からの測定停止命令を受信するまで繰り返す。
【0043】
図3に、工程(P2−3)の「測定開始命令待ち」ルーチンにおける動作フローを示す。このフローは、第1の工程に相当する。
【0044】
図3において、工程(P2−2)でスタートした監視タイマがタイムアウトになると(工程(P3−1))、工程(P3−2)で温度測定部21への電力供給を停止する。DTS20はパワーセーブ状態になる。
【0045】
このように監視タイマを用いて一定時間後に温度測定部21への電力供給を停止してパワーセーブ状態にすることにより、DTS20の消費電力を削減することができる。
【0046】
監視タイマがタイムアウトする前に測定開始命令を受信すると(工程(P3−3))、工程(P3−4)で監視タイマをストップし、工程(P3−5)で測定開始時刻設定テーブルから次の測定開始時刻を取得して、「測定開始命令待ち」ルーチンから脱出する。図2フローチャートから明らかなように、測定開始待ちから脱出すると、工程(P2−4)で温度測定部21への電力供給を停止する。
【0047】
図4に、パワーセーブ状態における動作フローを示す。図4において、工程(P4−1)で測定開始命令を受信すると、工程(P4−2)で温度測定部21への電力供給を開始して、工程(P4−3)で次の測定開始時刻を取得する。次測定開始時刻を取得すると、図2の工程(P2−4)に移行する。
【0048】
測定開始命令を受信するまではパワーセーブ状態が継続するので、温度測定部21には電力が供給されない。このため、DTS20の消費電力を削減することができる。
【0049】
図5に、ウオームアップ開始時刻待ちにおける動作フローを示す。図5において、工程(P5−1)でウオームアップ開始時刻になると、工程(P5−2)で温度計測部21への電力供給を開始し、工程(P5−3)で測定開始時刻になるまで待つ。図2の工程(P2−4)で温度測定部21への電力供給は停止されるので、ウオームアップ開始時刻になるまでは、温度測定部21への電力供給は停止される。このため、DTS20の消費電力を削減できる。
【0050】
工程(P5−4)で測定停止命令を受信すると、工程(P5−5)で監視タイマをスタートさせ、工程(P5−6)で測定開始命令待ちに移行する。図3に示すように、監視タイマがタイプアップすると温度測定部21への電力供給は停止されるので、DTS20の消費電力を削減できる。
【0051】
図6に、測定開始時刻待ちにおける動作フローを示す。図6において、工程(P6−1)で測定開始時刻まで待機し、測定開始時刻になると、工程(P6−2)で指定された測定シーケンスに基づいて測定を実行する。測定が終了すると、工程(P6−3)で次の測定開始時刻を取得する。
【0052】
測定開始時刻になるまで待機している間に測定停止命令を受信すると(工程(P6−4))、工程(P6−5)で監視タイマをスタートさせ、工程(P6−6)で測定開始命令を受信するまで待機する。図3からわかるように、監視タイマがタイムアウトすると温度測定部21への電力供給が停止されるので、DTS20の消費電力を削減できる。
【0053】
図7に、次の測定開始時刻取得における動作フローを示す。図7において、工程(P7−1)において、測定開始時刻設定テーブルを参照して、次の測定開始時刻を取得する。次の測定開始時刻は、現在時刻に一番近く、かつ現在時刻より未来の時刻とする。例えば、7時に次の測定開始時刻を取得する場合は、次測定開始時刻は12時になる。
【0054】
次測定開始時刻を取得すると、工程(P7−2)で現在時刻がウオームアップ開始時刻より前かどうかを判断する。現在時刻から測定開始時刻までの時間をStartWaitTime、ウオームアップ時間をWarmupTimeとすると、StartWaitTime>WarmupTimeのときは現在時刻がウオームアップ開始時刻より前と判断し、StartWaitTime≦WarmupTimeのときは後と判断する。
【0055】
現在時刻がウオームアップ開始時刻より前であると(YES)、工程(P7−3)で温度測定部21への電力供給を停止し、工程(P7−4)でウオームアップ開始時刻待ちに移行する。図5に示すように、ウオームアップ開始時刻までは温度測定部21への電力供給が停止されるので、DTS20の消費電力を削減することができる。
【0056】
工程(P7−2)で測定待ち時間がウオームアップ時間より短いと(NO)、工程(P7−5)で温度測定部21への電力供給を開始し、工程(P7−6)で測定開始時刻待ちに移行する。この場合十分なウオームアップ時間を取れないが、測定開始時刻設定テーブルは、ウオームアップ時間が十分取れるように設定するので、通常このようなことはない。
【0057】
次の測定開始時刻取得は、図2〜図6の全てのフローで発生する。図7のフローによって、次の測定開始時刻を取得してからウオームアップ開始時刻になるまでの間は温度測定部21に電力を供給しないので、DTS20の消費電力を削減できる。
【0058】
このように、測定開始命令を受信するまでは温度測定部21への電力供給を停止し、測定開始命令を受信した後は、ウオームアップ開始時刻までは温度測定部21への電力供給を停止し、ウオームアップ開始時刻になると電力を供給して、測定シーケンスが終了すると温度測定部21への電力供給を停止するようにした。このため、DTS20の消費電力を低減することができる。特に、DTSのように測定時間より待機時間の方が大幅に長い測定装置では、大幅な省電力を実現できる。
【0059】
なお、本実施例ではウオームアップ時間を一定値として説明したが、周囲温度によってウオームアップ時間を変化させるようにしてもよい。ウオームアップ時間の長さは周囲温度によって変化し、周囲温度が低い場合にはウオームアップ時間を長くしなければならない。
【0060】
このため、制御部22にDTS20の周囲温度を測定する温度計を接続し、この温度計の出力値によってウオームアップ時間を変えるようにしてもよい。ウオームアップ時間を一定にすると、最悪時(周囲温度が最低のとき)のウオームアップ時間を用いなければならないが、このようにするとウオームアップ時間を短縮できるので、更なる省電力化を行うことができる。なお、周囲温度として、DTS20内部の温度、あるいは外気温度を用いることができる。
【0061】
ウオームアップ時間を周囲温度によってどの程度変えるかは稼働実験によって決定するが、例えば周囲温度が標準温度より10℃下がると、ウオームアップ時間を1.5倍にすること等が考えられる。
【0062】
また、図10(B)の測定シーケンスのフロー中、あるエレメントの測定と次のエレメントの測定の間(例えばエレメント1と2の間)に測定を行わない待機時間を設けることがある。このような場合、待機時間がウオームアップ時間より長い場合は、ウオームアップ時刻になるまで温度測定部21への電力供給を停止するようにしてもよい。このようにすることによって、更なる省電力化が可能になる。
【0063】
また、この実施例では測定シーケンスを実行する前にウオームアップを行うようにしたが、ウオームアップが必要ない場合はウオームアップを省き、測定開始時刻になったときに温度測定部21に電力を供給するようにしてもよい。
【0064】
また、図1実施例ではDTS20とコントローラ12を無線LANで接続する構成としたが、有線で接続するようにしてもよい。
【0065】
また、太陽電池パネル30でDTSに電力を供給するようにしたが、他の発電機あるいは商用電力を用いてもよい。
【0066】
また、本実施例では監視タイマを用い、この監視タイマがタイムアップすると温度測定部への電力供給を停止するようにしたが、監視タイマを用いず、直ちに温度測定部への電力供給を停止するようにしてもよい。
【0067】
さらに、この実施例では油井の温度を測定するDTSについて説明したが、他の温度測定装置であってもよい。また、温度以外の物理量を測定する測定装置に適用することもできる。
【符号の説明】
【0068】
12 コントローラ
20 DTS
21 温度測定部
22 制御部
30、32 無線LAN
31 太陽電池パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量を測定する測定部と、この測定部に供給する電力を制御する制御部で構成される測定装置に用いる省電力型測定方法であって、
前記制御部は、起動した後、測定開始命令を受信するまで前記測定部に供給する電力を停止して待機する第1の工程と、
前記制御部は、測定開始命令を受信した後測定停止命令を受信するまで、次の測定開始時刻を取得してこの取得した測定開始時刻になるまで前記測定部への電力供給を停止し、前記測定開始時刻になると前記測定部に電力を供給し、測定が終了すると前記測定部への電力供給を停止する工程を繰り返す第2の工程と、
を具備したことを特徴とする省電力型測定方法。
【請求項2】
所定のウオームアップ時間が設定され、前記制御部は、取得した測定開始時刻から前記ウオームアップ時間を減算した時刻に、前記測定部への電力供給を開始するようにしたことを特徴とする請求項1記載の省電力型測定法。
【請求項3】
前記制御部には周囲温度の測定値が入力され、前記制御部は、入力された周囲温度の測定値に基づいて前記ウオームアップ時間を変化させるようにしたことを特徴とする請求項2記載の省電力型測定法。
【請求項4】
予め定められた測定開始時刻を読み出し、この読み出した測定開始時刻に物理量を測定して、測定結果を送信する動作を繰り返す測定装置において、
物理量を測定する測定部と、
起動した後、測定開始命令を受信するまで前記測定部への電力供給を停止し、測定開始命令を受信した後測定停止命令を受信するまで、次の測定開始時刻を取得してこの取得した測定開始時刻になると前記測定部へ電力を供給し、測定が終了すると前記測定部への電力供給を停止する動作を繰り返す制御部と、
を具備したことを特徴とする省電力型測定装置。
【請求項5】
所定のウオームアップ時間が設定され、前記制御部は、取得した測定開始時刻から前記ウオームアップ時間を減算した時刻に、前記測定部への電力供給を開始するようにしたことを特徴とする請求項4記載の省電力型測定法。
【請求項6】
前記制御部には周囲温度の測定値が入力され、前記制御部は、入力された周囲温度の測定値に基づいて前記ウオームアップ時間を変化させるようにしたことを特徴とする請求項5記載の省電力型測定法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−132807(P2012−132807A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285722(P2010−285722)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】