説明

真偽判別印刷物及び真偽判別方法

【課題】 簡便に、効率的かつ効果的に真偽判別を行うことが可能な真偽判別印刷物及び真偽判別方法を提供するものである。
【解決手段】 基材上に電磁波励起発光インキ画像10と前記電磁波励起発光インキ画像10に少なくとも一部重なって応力発光インキ画像2を形成した真偽判別印刷物1に、電磁波照射部3より電磁波を照射し、生じる電磁波発光パターンを読取部6で読み取って第1発光画像11とし、次に、電磁波照射により発光材料を活性化させた状態で応力付与部4より応力を付与して生じる応力発光パターンを、読取部6で読み取って第2発光画像12とし、真偽判定部9で第1発光画像11と第2発光画像12の比較又は第1発光強度パターン13と第2発光強度パターン14の比較を行い、付与した応力に応じて、あらかじめ決められた差異が認識された場合を真正物と判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に銀行券や有価証券等の貴重印刷物の偽造に対する真偽判別が容易となる印刷物及びその印刷物の真偽判別方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のスキャナー、プリンター、カラーコピー機等のディジタル機器の発展により、貴重印刷物の精巧な複製物を容易に作製することが可能となっている。その対策の一つとして、蛍光及びりん光等の発光インキが偽造防止及び真偽判別要素として付与されている。
【0003】
これらの発光インキが付与された貴重印刷物の真偽判別方法としては、印刷物に対し発光材料が励起されるエネルギーを含む光等の電磁波若しくは放射線の照射又は電界印加若しくは化学反応で付与された発光素子の発光を目視又はセンサーにより確認することを汎用としている。
【0004】
このような光学機能を利用した材料に関するものとして、蛍光インク又は透明赤外吸収インクを用いた偽造防止性に優れる定期券が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、透明蛍光インクにより形成した文字などの秘密情報を有する偽造防止用シートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
このように、発光性物質として、種々の組成を持つものがあるが、近年、加圧、せん断又は摩擦等の外部からの機械的エネルギー(以下「応力」という。)により発光する材料(以下「応力発光材料」という。)の研究開発が進められている。これらの機械的エネルギーにより発光する材料の研究開発の結果が一連の特許文献等に記載されている(例えば、特許文献3〜5参照)。
【0006】
特許文献3〜5に示すような応力発光材料を開発した徐氏らは、その応力応答性から応力分布分析等のセンシング及び各種ディスプレイへの応用について記述している(例えば、非特許文献1、2参照)。
【0007】
これらの特許文献等に記載された応力発光材料の性質を利用したもので、手や指で軽く触れるだけで発光を起こすことができる複合材料を用いた玩具等の意匠用への応用が提案されている(例えば、特許文献6、7参照)
【0008】
応力発光材料を使用して、真贋判別する物品に対して特殊な光源を使用せずに、暗視野においても物品の真贋判別を行うことが可能な真贋判定用物品及び真贋判定装置(例えば、特許文献8参照)が、また、使用者が選択して操作することにより、表示するために外界から光を照射することなく発光する部位を備えることにより、提供者が付帯させた情報を使用者に対して視覚的に表示する情報表示シート(例えば、特許文献9参照)が提案されている。
【0009】
【特許文献1】特開平6−227192号公報
【特許文献2】特開平9−183288号公報
【特許文献3】特許第3136340号公報
【特許文献4】特許第3265356号公報
【特許文献5】特許第3273317号公報
【特許文献6】特開2003−253261号公報
【特許文献7】特開2004−137351号公報
【特許文献8】特開2006−116778号公報
【特許文献9】特開2006−116779号公報
【非特許文献1】AIST Today(広報誌)VOL.2 No.8
【非特許文献2】蛍光体の基礎及び用途別最新動向、(株)情報機構発行:p261-p277(2005年版)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1、2のように、従来からセキュリティ印刷物の真偽判別用に使用されている主な発光材料は、光を主とした電磁波励起による発光であり、これらの発光材料は真偽判別のためにブラックライト等の道具が必要であり、これらの道具は一般に多くの人が持っている道具ではなく、道具を用意できる環境ではない場合、真偽判別を行うことができないという問題があった。
【0011】
特許文献3〜7及び非特許文献1、2のいずれにおいても、応力発光に関しては応力分布の可視化技術や各種ディスプレイへの応用、また、エンターティンメント用の人工発光皮膚などへの用途展開をしているだけで、印刷物への応用や偽造防止及び真偽判別印刷物への応用については記載されていない。
【0012】
特許文献8、9は、徐氏らの前述した特許文献等に記載された応力発光材料を使用した発光剤を、真贋判別物品又は情報表示シートのような平板状の基体の一部に配設し、基体を湾曲させたり、押し付けたり又は擦るなどして発光させて真偽判別するものである。
【0013】
真贋判別が必要となる物品は、主に、紙又はプラスチックシート等の平板上の基体である場合が多く、真贋判別用の材料等を印刷又はコーティング等で付与することが効率的であり多く利用されている。しかし、特許文献8、9で用いられている応力発光材料を含有する複合物(以下「応力発光インキ」という。)を印刷又はコーティング等で付与する場合、付与方法に適した流動特性等に調整する必要があるため、十分な発光強度を有するほどの応力発光材料を含有できないという問題がある。
【0014】
また、印刷又はコーティング等で付与する場合において、真贋判別物の形態によっては十分な発光強度を有するほどの塗布量を与えられない場合があるため、環境条件によっては十分に真贋の判定ができない場合又は判定を行うために高い応力を与えると、付与されたインキ皮膜を破壊するおそれがある。
【0015】
以上のように、応力による発光を利用した真贋判別品において、真贋判別品が特に平板状の基板の場合、一般的な条件で加えることができる応力では容易に確認できるほど十分な応力発光を示さなかったり、又は付与されたインキ皮膜を破壊するという問題があった。
【0016】
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、真偽判別要素として応力発光インキを用いることにより、簡便に、効率的かつ効果的に行うことが可能な真偽判別印刷物及び真偽判別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の真偽判別印刷物は、基材の少なくとも一方の表面上において、その表面上の少なくとも一部に、メカノルミネセンス材料を含む第1のインキを用いて印刷された第1の画像領域と、フォトルミネセンス材料を含む第2のインキを用いて印刷された第2の画像領域を有することを特徴とする。
【0018】
本発明の真偽判別印刷物は、第1の画像領域と第2の画像領域が、少なくとも一部が重なっているか又は重なっていないことを特徴とする。
【0019】
本発明の真偽判別印刷物における第1の画像領域と第2の画像領域の少なくとも一部が重なっているとは、第1の画像領域に第2の画像領域が少なくとも一部重なっているか又は第1の領域を第2の領域が覆っており、更に第2の画像領域は少なくとも第1の画像領域以外の領域を有していることを特徴とする。
【0020】
本発明の真偽判別印刷物は、第1の画像領域及び第2の画像領域上に、基材と同種又は異種の基材が積層されていることを特徴とする。
【0021】
本発明の真偽判別印刷物のメカノルミネセンス材料は、応力による発光と電磁波励起によるりん光性とを併せ持っていることを特徴とする。
【0022】
本発明の真偽判別印刷物は、第1のインキ及び/又は第2のインキが、着色顔料、光輝性材料、接着剤の少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする。
【0023】
本発明の真偽判別印刷物の第1の画像領域は、凹版印刷又はスクリーン印刷方式により印刷され、第1のインキのインキ皮膜厚さが20μm以上としている。
【0024】
本発明の真偽判別印刷物における第1の画像領域は、第1のインキが加速電圧30〜200kVの電子線の照射により基材上に固化又は定着されている。
【0025】
本発明の真偽判別印刷物の真偽判別方法は、真偽判別印刷物に電磁波を照射して生じる第1発光画像をセンサーで読み取るステップと、電磁波照射により発光材料を活性化させた状態で真偽判別印刷物に応力を付与して生じる第2発光画像をセンサーで読み取るステップと、電磁波照射による第1発光画像と応力付与による第2発光画像とを比較することにより真偽判別を行うことを特徴とする。
【0026】
本発明の真偽判別印刷物の真偽判別方法は、真偽判別印刷物に電磁波を照射するステップと、電磁波により発光材料を活性化させた状態で前記第1及び第2の画像領域に応力を付与するステップと、付与した応力により発光する第1の画像領域と第2の画像領域のそれぞれの発光強度をセンサーで読み取るステップと、読み取った第1の画像領域と第2の画像領域との発光強度差により真偽判別を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の真偽判別印刷物は、基材の少なくとも一方の表面において、その表面上の少なくとも一部領域に、メカノルミネセンス材料を含む第1のインキを用いて印刷された第1の画像領域と、フォトルミネセンス材料を含む第2のインキを用いて印刷された第1の画像領域に少なくとも一部分重なる領域又は第1の画像領域以外の領域を少なくとも含む第2の画像領域を備える印刷物であり、紫外線ランプ等の特別な道具を使用しなくても、自然光や一般的な照明器具があれば簡単に真偽判別ができるものである。
【0028】
さらに、他の色材を組み合わせて使用することで、一見して電磁波励起による発光及び/又は色材の画像を確認した時点で発光の確認を終えてしまうため、応力による発光に気づかれず、真偽判別要素をカモフラージュすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明のいくつかの実施の形態による真偽判別印刷物及びその真偽判別方法について説明する。
【0030】
本発明における真偽判別印刷物とは、メカノルミネセンス材料とフォトルミネセンス材料という、異なる特性を有する発光材料が真偽判別印刷物の少なくとも一方の表面に設けられたものであり、これらの発光材料は少なくとも一つの真偽判別要素を形成するものである。
【0031】
また、ルミネセンスとは、物質が電磁波、熱、摩擦などによりエネルギーを受け取って励起され、その受け取ったエネルギーを特定波長の光として放出する発光現象であり、本実施の形態で用いる、異なる特性を有する発光現象として、一つは光によって励起するフォトルミネセンスであり、一つは物理的な力によるメカノルミネセンスである。
【0032】
メカノルミネッセンス(以下「応力発光」という。)材料としては、特許第2992631号公報、特許第3421736号公報、特許第3511083号公報、特開2003−253261号公報又は特開2005−75838号公報に記載されているものが望ましい。
フォトルミネッセンス(以下「電磁波発光」という。)材料としては、一般に公知の発光材料を用いることができる。
【0033】
応力発光材料としては、無機母体材料中に、応力によって励起された電子が基底状態に戻る際に発光する希土類又は遷移金属の1種類以上から成る発光中心をドープして成る応力発光材料又は非化学量論的組成を有するアルミン酸塩の少なくとも1種類から成り、かつ、応力によって励起された電子が基底状態に戻る際に発光する格子欠陥を持つ応力発光材料を含有するものがある。
【0034】
応力発光材料は、与えられたエネルギーによる発光の減衰時間により応力発光蛍光材料と応力発光りん光材料に分けることができ、電磁波を含めたエネルギーの励起による蛍光発光性を持つ材料としてCaMgSiO7:Ce、SrNb2O6:Euなどが挙げられる。
【0035】
より望ましい材料として、本発明の実施の形態で用いる応力発光材料は、無機母体材料中に電磁波照射によるエネルギーによって励起された電子が、発光中心の準安定励起状態又はトラップにいったん捕えられた後、トンネル効果又は熱活性化過程によって発光するりん光材料発光体のうち、準安定励起状態又はトラップに存在する電子を、応力によって更に励起された電子が、基底状態に戻る際に発光する残光及び応力発光機構を併せ持つ材料を含有するものである。このような性質を有する材料中の一例としては、CaAl2O4:Eu,Nd、Sr0.9Al2O3.90:Eu0.01がある。これは、可視域の比較的エネルギーの低い電磁波の励起によりりん光発光するため、特別な道具を必要とせずに材料を励起させることができ、電磁波発光性と応力発光性の両方の性質を利用することで、より効率的な判別が可能となる利点を持っている。
【0036】
本発明の実施の形態の真偽判別印刷物を得るためのインキの一つである応力発光材料を含む第1のインキである応力発光インキについて述べる。
応力発光インキは、真偽判別印刷物を得るための印刷に適した特性を持つように応力発光材料をインキ化又はペースト化するものであるが、応力発光材料と他の色材又は機能性材料とを混合してインキ化又はペースト化してもよい。
【0037】
応力発光インキは、応力発光材料とビヒクル成分及び助剤等から成り、基材に付与する方式としては凸版、オフセット、フレキソ、グラビア、スクリーン若しくは凹版による印刷又はインクジェット印刷又はコーティング等があり、それぞれの方式に適応したインキ形態をとるように配合割合を調整する。
【0038】
応力発光インキは、基材に付与する印刷方式に適応した応力発光インキ特性を持つように、また、検知に必要な発光強度が得られるように両者のバランスで応力発光材料の配合割合を決定する。応力発光インキ中の応力発光材料の混合割合は、付与方式により異なるが、1〜60重量%程度とすれば良い。発光強度と経済性の観点から、10〜40重量%にすることがより望ましい。
【0039】
また、真偽判別する際に、付与された応力発光インキ皮膜に直接、加圧、せん断、摩擦等の応力を加えるので、低弾性成分を十分に含むビヒクル配合とすることが必要である。また、真偽判別する際の連続的な加圧、せん断、摩擦等の応力付与に対応できる物性を有する皮膜を形成するような固化又は定着条件を選択する必要がある。
【0040】
本実施の形態においては、印刷物に対して応力を付与するので、印刷物に付与する応力発光インキに十分な耐性を持たせる必要がある。そのため、応力発光インキの固化又は定着手段の一つとして、放射線照射による方法が有効である。放射線には、マイクロ波、赤外線、可視光線、レーザー光、紫外線、X線、電子線、中性子線及び陽子線等があるが、本実施の形態の応力発光インキには電子線が最も望ましい。照射する電子線のエネルギーは、応力発光インキの膜厚によって選択すればよい。特に、加速電圧が30〜200kVの超低エネルギーから低エネルギー域の電子線照射が、真偽判別印刷物のための応力発光インキの固化又は定着に適している。
【0041】
一般に、電子線は作用物質のZ軸方向によって作用力が変化するので、印刷物に付与された本実施の形態の応力発光インキにおいては、応力発光インキの塗布膜の厚さ方向で皮膜の物性が異なってくるので、塗膜厚に応じて適切な加速電圧、照射電流値を選択することで、応力発光インキ膜の表面部分は橋かけ密度が高くなり高硬度になるが、表面から深度が増すにつれて橋かけ密度が低くなるために柔軟性を保持することができる。これは、判別のための表面への摩擦等の応力付与に対する抵抗と発光に必要な印加応力の伝播の両立ができることを示唆しているものである。すなわち、インキ表面は摩擦等の応力に耐性があり、インキ内部の柔軟性によって付与した応力を効率的に発光に換えることが可能となる。したがって、電子線照射は、基材表面に付与した応力発光インキによる真偽判別に適した定着方法といえる。
【0042】
本発明の実施の形態の真偽判別印刷物を得るためのインキの他の一つである電磁波発光材料を含む第2のインキである電磁波発光インキについて述べる。
電磁波発光インキは、一般に公知の発光材料を用いて公知の方法によりインキ化又はペースト化するが、応力発光インキと同様に作製しても良い。また、他の色材又は機能性材料と混合しても良い。用いる発光材料は、応力発光材料の特性や作製する真偽判別印刷物に応じて選択する。
【0043】
本発明の実施の形態による真偽判別印刷物について述べる。
真偽判別印刷物は、前述した応力発光インキ、電磁波発光インキを用いて、一般に公知の印刷方式で、基材表面上の任意の箇所に印刷又はコーティングすることにより作製する。
【0044】
応力発光インキを用いて基材に印刷又はコーティング等により付与する方式としては、一般に公知の凹版、凸版、オフセット、スクリーン、グラビア、フレキソによる印刷若しくはインキジェット印刷又はコーティング等の方式を用いることができ、また、これらの印刷方式の組み合わせにより付与してもよい。
【0045】
より効果的な真偽判別のためには、応力発光インキは凹版印刷又はスクリーン印刷による付与が適している。
【0046】
また、凹版やスクリーン印刷による付与は厚膜が得られるため、触感による判別を同時に行うことができる。
【0047】
本実施の形態1の真偽判別印刷物は、基材の少なくとも一方の表面上に、第1のインキである応力発光及び電磁波発光特性を併せ持つ応力発光材料を含む応力発光インキを用いて印刷された第1の画像領域と、第2のインキである応力発光特性を持たない電磁波発光材料を含む電磁波発光インキを用いて印刷された第2の画像領域とで真偽判別部を形成する。第1の画像領域と第2の画像領域とは、少なくとも一部が重なって形成しても良いし、又は重ならないで形成しても良い。また、第1の画像領域全体を覆うように第2の画像領域を形成しても良い。なお、第1の画像領域全体を第2の画像領域が覆うように形成する際には、必ず第2の画像領域は第1の画像領域以外の領域を有する大きさであることが必要である。言い換えれば、第2の画像領域のみの領域を有していなければならないということである。
【0048】
第1のインキである応力発光インキと第2のインキである電磁波発光インキは、発光色が同様な分光分布を持っていても良いし、又は異なっていても良い。これらは使用する判別方法によって適宜に選択することができる。
【0049】
また、第1のインキである応力発光インキ及び第2のインキである電磁波発光インキは、発光材料の他にカラーフリップフロップ性のある光輝性顔料や着色顔料を含んでいても良い。これらの顔料を用いることで、通常観察条件下で観察すると、顔料の発色効果により発光画像をカモフラージュできる。
【0050】
本実施の形態2としての真偽判別印刷物は、実施の形態1の真偽判別印刷物の第1の画像領域及び第2の画像領域で形成された真偽判別部又は真偽判別部を含む印刷物の表面に、更に基材と同種又は異種の基材を積層して作製した真偽判別印刷物である。
【0051】
同種基材の例としては紙同士、異種基材の例としては紙基材とラミネートフィルム等の透明基材がある。
同種基材の積層としては、透過光で観察した時に、基材構成物の密度差や厚みの違いによる濃淡画像を有する基材に第1の画像領域及び第2の画像領域を付与し、更に同種基材を第1の画像領域及び第2の画像領域を含むように積層し、接着して貼り合わせて真偽判別印刷物を作製する。
【0052】
基材同士を積層し、接着するために、第1の画像領域を形成する第1のインキである応力発光インキ及び第2の画像領域を形成する第2のインキである電磁波発光インキに接着剤を混合して用いても良い。また、第1の画像領域及び第2の画像領域と、それらの画像領域以外の基材部分を含めた基材全体に接着剤を塗布しても良い。
【0053】
異種基材の積層としては、紙基材の表面に第1の画像領域及び第2の画像領域を付与し、ラミネートフィルムなどの透明基材を前記第1の画像領域及び第2の画像領域を含むように積層し接着して真偽判別印刷物を作製する。
【0054】
基材同士全体を積層し、接着する場合には、基材又は積層する基材のどちらか一方の全面に接着剤を塗布し、次に他方の基材に第1の画像領域を形成する第1のインキである応力発光インキ及び/又は第2の画像領域を形成する第2のインキである電磁波発光インキに、前述した一方の基材に用いた接着剤と異なる接着特性を持つ接着剤を混合して真偽判別部を形成する。このような構成にすることで、第1の画像領域及び/又は第2の画像領域を付与した基材表面に積層し、接着した基材を剥離して変造しようとする場合に、第1の画像領域及び/又は第2の画像領域部分が他の部分と異なる特別な剥離特性を持たせることで、変造防止が可能となる。
なお、別の態様として、本出願人が既に出願している特開2001-199072による多層すき合わせ紙の中間層である不織布に、本発明における第1のインキによる第1の画像領域及び第2のインキによる第2の画像領域を印刷することも可能である。
【0055】
本発明の実施の形態による真偽判別印刷物の真偽判別方法について述べる。
(原理の説明)
基材に印刷又はコーティング等で付与された応力発光インキが発光する原理は、整然と並んだ分子に外部から加圧、せん断、摩擦等の強い力(エネルギー)を与えると全体の形が歪み、外力から解放されて元の状態に戻るとき、与えられた余分のエネルギーが一気に解放され発光するものである。
【0056】
本実施の形態では、応力を付与することで発光する応力発光材料を含んだ応力発光インキで印刷又はコーティングしているので、応力発光インキ付与部分はこの応力に応じて発光するが、応力発光インキ以外の部分は応力を付与しても変化は生じない。この応力発光を判別することによる真偽判別方法であり、例えば、目視、センサー等(以下目視、機械的なセンサーすべてを含めて「センサー」という。)で発光を確認することができる。
【0057】
実施の形態3による真偽判別方法について説明する。
実施の形態3の真偽判別方法は、真偽判別印刷物に電磁波を照射し、第1のインキである応力発光インキを用いて印刷された第1の画像領域及び第2のインキである電磁波発光インキを用いて印刷された第2の画像領域から形成される画像領域からの発光を読み取る。これを第1発光画像とする。その後、電磁波照射により発光材料を活性化させた状態で暗視野において真偽判別印刷物に応力を付与して発光画像を確認する。これを第2発光画像とする。第1発光画像と第2発光画像を比較し、その差異によって真偽判別をするものである。
【0058】
次に、実施の形態4による真偽判別方法について説明する。
実施の形態4の真偽判別方法は、真偽判別印刷物に電磁波を照射し、電磁波照射により発光材料を活性化させた状態で真偽判別印刷物に応力を付与することで第1の画像領域と第2の画像領域の発光をセンサーで読み取り、読み取った第1の画像領域と第2の画像領域との発光強度差により真偽判別を行う。画像領域を読み取る場合、画像全体を読み取っても良く、任意の一部分を読み取っても良い。
【0059】
応力の付与手段は手指で良いが、手近にあるペン等の簡単な道具を使用しても良い。応力付与のステップの前に電磁波にさらすことにより低応力発光させることが可能である。
【0060】
第1のインキである、応力発光とりん光性との両者の性質をもつ応力発光材料を用いて作製した応力発光インキの場合には、励起後の時間変化に伴ってりん光強度が減衰するが、応力を与えたパターン部分の発光強度は一時的に高くなり、第2のインキである応力発光性のないりん光インキのみの場合と差別化が図られる。
【0061】
応力発光材料が強いりん光性を持つ場合は、電磁波照射として自然光や室内照明又は白色LED等の一般的な光源に真偽判別印刷物の印刷面をさらした後、暗視野で応力発光インキ付与部分の発光を確認することができ、更に応力付与により発光強度の変化を確認することで、低応力付与により真偽判別印刷物の真偽判別ができる。
【0062】
電磁波等照射による蛍光発光性がごく弱い応力発光材料を用いて作製した応力発光インキを用いて第1の画像領域を形成した場合は、電磁波等を照射している間は第1の画像領域を認識し難く電磁波蛍光発光インキによる第2の画像領域を主に認識する。したがって、偽造防止要素として応力発光インキが付与されていることをカモフラージュすることができる。その後、電磁波を照射しない状態で画像の読み取りを行い、更に応力を付与することで応力発光画像の発光強度が増し、真偽判別を行うことができる。
【0063】
以下に、上記実施の形態における実施例を図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明はこの実施例にのみ限定されるものではない。
図1に、実施例における真偽判別印刷物の真偽判別を行うために用いる機械判別装置の概略構成図の一例を示す。真偽判別する印刷物に対して電磁波照射部3、応力を付与する応力付与部4、応力付与部4によって付与された被応力付与面を観察又は応力発光を読み取る読取部6の構成としている。応力付与部4は応力制御部5で制御され、読取部6は応力による発光を増幅する信号増幅部7と、演算部8と、真偽判定部9とを備えた構成としても良い。信号増幅部7は感度によっては備えなくても良く、演算部8はセンサーによっては備えなくても良い。
【0064】
本実施例で用いる応力発光材料は、実施の形態で用いた可視域の比較的エネルギーの低い電磁波の励起により、りん光発光する電磁波発光性と応力発光性の両方の性質を併せ持ったものであり、SrAl2O4:Eu,Dyの組成の材料を使用した。
【0065】
(実施例1)
図2に、実施例1の真偽判別印刷物及び真偽判別方法の一例を示す。基材上に第2のインキであるりん光凹版インキを用いて凹版印刷で電磁波励起発光インキ画像10を形成し、次に、前記電磁波励起発光インキ画像10に少なくとも一部重なって第1のインキである応力発光凹版インキを用いて凹版印刷で応力発光インキ画像2を形成し、その他の印刷領域を通常の印刷方式で印刷して真偽判別印刷物1を作製した。
【0066】
第1のインキである応力発光凹版インキを以下のとおり配合した。
応力発光材料 10〜50 重量%
体質顔料 10〜40 重量%
ワニス 50〜60 重量%
助剤 1〜 5 重量%
【0067】
第2のインキである応力発光性のないりん光材料を使用したりん光凹版インキを以下のとおり配合し作製した。
りん光材料 10〜50 重量%
体質顔料 10〜40 重量%
ワニス 50〜60 重量%
助剤 1〜 5 重量%
【0068】
真偽判別印刷物1は、凹版印刷により作製しているため、応力発光凹版インキ画像部分及びりん光凹版印刷インキ画像部分の形状を、手で触った時の触感で感知することができるので、簡単な真偽判別印刷物の判別が可能となる。
【0069】
次に、作製した真偽判別印刷物1を図1の真偽判別装置を用いて真偽判別を行う。図2(a)は応力付与前、図2(b)は応力付与後の状態を示す。真偽判別印刷物1に電磁波照射部3により電磁波を照射し、生じる電磁波発光パターンを読取部6で読み取り、第1発光画像11とする(図2(a))。次に、電磁波照射により発光材料を活性化させた状態で応力付与部4より真偽判別印刷物1に応力を付与して生じる応力発光パターンを、読取部6にCCDカメラを用いて観察することで第2発光画像12として読み取る(図2(b))。この時、読取部6をフォトセンサーとすると、電磁波発光パターンは第1発光強度パターン13、応力発光パターンは第2発光強度パターン14として読み取ることができる。
応力付与部4で応力を付与する仕方は、例えば、図に示したような形状のものを印刷物に密着させて一定方向に擦るように移動させて発光させる。
【0070】
真偽判定部9では、電磁波照射による第1発光画像11と応力付与による第2発光画像12の比較又は第1発光強度パターン13と第2発光強度パターン14の比較を行い、付与した応力に応じて、あらかじめ決められた差異が認識された場合を真正物と判定する。このとき、演算部8により変化量に対する閾値を設けても良い。また、簡易的に応力発光を目視で観察しても良い。
【0071】
真偽判別印刷物を暗い場所で判別する場合には、ルームライト又は一般的な白色LEDで真偽判別印刷物を照射し、応力発光画像及び電磁波発光画像のりん光発光を確認した後、応力を付与すると、応力発光インキの付与部分のみが発光することを確認できるので、偽造物を簡単に見分けることができる。
【0072】
(実施例2)
図3に、実施例2の真偽判別印刷物及び真偽判別方法の一例を示す。基材上に第1のインキである応力発光凹版インキを用いて凹版印刷で応力発光インキ画像2と、第2のインキであるりん光スクリーンインキを用いてスクリーン印刷で電磁波励起発光インキ画像10を形成し、その他の印刷領域を通常の印刷方式で印刷して真偽判別印刷物1を作製した。
【0073】
次に、作製した真偽判別印刷物1を図1の真偽判別装置を用いて真偽判別を行う。図3(a)は応力付与前、図3(b)は応力付与後の状態を示す。真偽判別印刷物1に電磁波照射部3により電磁波を照射し(図3(a))、次に、真偽判別印刷物1に応力付与部4より応力を付与して生じる応力発光パターンを、読取部6で読み取る(図3(b))ことで、応力発光インキ画像2は第2発光強度パターン14、電磁波励起発光インキ画像10は第3発光強度パターン14’として読み取ることができる。
【0074】
真偽判定部9では、読み取った第3発光強度パターン14’と第2発光強度パターン14の比較を行い、発光強度差にあらかじめ決められた差異が認識された場合を真正物と判定する。この時、応力発光インキ画像2と電磁波励起発光インキ画像10の応力付与後の発光強度をそのまま比較することもできるし、応力発光インキ画像2と電磁波励起発光インキ画像10のそれぞれの応力付与前後の発光強度差を比較しても良い。
【0075】
機械的に印加する応力を制御することで限定された発光強度により判別することもできる。すなわち、発光強度そのものや発光強度の変化量に対して閾値を設けて判別することができる。
【0076】
(実施例3)
図4に、実施例3の真偽判別印刷物及び真偽判別方法の一例を示す。スクリーン印刷に用いる応力発光インキを作製して印刷した。特に、電磁波等照射による蛍光発光性がごく弱いりん光性のある応力発光インキを使用した場合の例であり、第2のインキは紫外線励起可視発光のりん光性の弱い蛍光材料のスクリーンインキとした。
【0077】
応力発光スクリーンインキを以下のとおり配合した。
応力発光材料 20〜30 重量%
ワニス 70〜80 重量%
助剤 0.01〜 1 重量%
【0078】
次に、紫外線励起可視発光のりん光性の弱い蛍光材料のスクリーンインキを以下のとおり配合した。
蛍光材料 20〜30 重量%
ワニス 70〜80 重量%
助剤 0.01〜 1 重量%
【0079】
基材上に第1のインキである応力発光スクリーンインキを用いて応力発光インキ画像2を付与し、応力発光インキ画像2領域を被覆するような形状となるように、応力発光インキ画像2の上に第2のインキである紫外線励起可視発光蛍光インキをオーバーコートし、紫外線励起可視発光蛍光インキ画像10’を形成し、真偽判別印刷物1とした。なお、上記2種類のインキの発光色は異なるものとした。
【0080】
次に、作製した真偽判別印刷物1を図1の真偽判別装置を用いて真偽判別を行う。図4(a)は応力付与前、図4(b)は応力付与後の状態を示す。真偽判別印刷物に電磁波照射部3の紫外線ランプによりオーバーコートした紫外線励起可視発光蛍光インキ画像10’部分を励起し、可視発光させて第1発光画像11’を確認する(図4(a))。発光画像部分は蛍光インキの発光色である赤色に発光した。このとき、応力発光インキ画像2の蛍光発光は確認できないが、電磁波照射を停止した後、応力発光インキ画像2部分のりん光発光を確認することができ、更に応力発光インキ画像2部分に手指等の応力付与部4により応力を付与し、生じる応力発光パターンを、読取部6で応力発光インキ画像2である第2発光画像12の発光を読み取ることができた(図4(b))。
【0081】
(実施例4)
図5に、実施例4の真偽判別印刷物及び真偽判別方法の一例を示す。基材上に第1のインキである応力発光凹版インキを用いて凹版印刷で応力発光インキ画像2と、第2のインキである電磁波励起発光インキ画像10を形成し、更に任意の箇所に少なくとも通常観察環境下で視認できる画像を供することができる機能性材料を用いて印刷した機能性インキ画像15を付与して真偽判別印刷物1を作製した。機能性インキ画像15は、応力発光インキ画像2に一部重なって印刷されている。
【0082】
次に、作製した真偽判別印刷物1を図1の真偽判別装置を用いて真偽判別を行う。図5(a)は通常観察環境下で視認した状態、図5(b)は応力付与前、図5(c)は応力付与後の状態を示す。
【0083】
真偽判別印刷物1を通常観察環境下で読み取ると、機能性インキ画像15のみが視認され視認パターン16となる(図5(a))。次に電磁波照射部3より電磁波を照射し、読取部6で観察すると応力発光インキ画像2と、電磁波励起発光インキ画像10の電磁波発光パターン11を確認できる(図5(b))。さらに、真偽判別印刷物1に応力部4で応力を付与すると、応力発光インキ画像2の応力発光パターン12を、センサーで確認することができる(図5(c))。
【0084】
機能性インキは応力発光インキと混合しても良いし、重ね刷りにしても良い。通常観察環境下で視認できる機能性インキ画像15はそのものの機能性を発現するのみでなく応力発光インキ画像2のカモフラージュにもなる。また、本実施例のように機能性インキ画像15、応力発光インキ画像2及び電磁波励起発光画像10を配することで3段階の真偽判別が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】実施例の機械判別装置の一例を示す図である。
【図2】実施例1の真偽判別印刷物と判別方法の一例を示す図である。
【図3】実施例2の真偽判別印刷物の判別方法の一例を示す図である。
【図4】実施例3の真偽判別印刷物の判別方法の一例を示す図である。
【図5】実施例4の真偽判別印刷物の判別方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1 真偽判別印刷物
2 応力発光インキ画像
3 電磁波照射部
4 応力付与部
5 応力制御部
6 読取部
7 信号増幅部
8 演算部
9 真偽判定部
10 電磁波励起発光インキ画像
10’紫外線励起可視発光蛍光インキ画像
11 第1発光画像(電磁波発光パターン)
11’第1発光画像(可視発光パターン)
12 第2発光画像(応力発光パターン)
13 第1発光強度パターン(電磁波発光パターン)
14 第2発光強度パターン(応力発光インキ画像応力発光パターン)
14’第3発光強度パターン(電磁波励起発光インキ画像応力発光パターン)
15 機能性インキ画像
16 視認パターン



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の少なくとも一方の表面上において、前記表面上の少なくとも一部に、メカノルミネセンス材料を含む第1のインキを用いて印刷された第1の画像領域と、フォトルミネセンス材料を含む第2のインキを用いて印刷された第2の画像領域を有することを特徴とする真偽判別印刷物。
【請求項2】
前記第1の画像領域と前記第2の画像領域は、少なくとも一部が重なっているか又は重なっていないことを特徴とする請求項1記載の真偽判別印刷物。
【請求項3】
前記第1の画像領域と前記第2の画像領域の少なくとも一部が重なっているとは、前記第1の画像領域に前記第2の画像領域が少なくとも一部重なっているか又は前記第1の領域を前記第2の領域が覆っており、前記第2の画像領域は少なくとも前記第1の画像領域以外の領域を有していることを特徴とする請求項2記載の真偽判別印刷物。
【請求項4】
前記第1の画像領域及び前記第2の画像領域上に、前記基材と同種又は異種の基材が積層されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の真偽判別印刷物。
【請求項5】
前記メカノルミネセンス材料は、応力による発光と電磁波励起によるりん光性とを併せ持っていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の真偽判別印刷物。
【請求項6】
前記第1のインキ及び/又は前記第2のインキは、着色顔料、光輝性材料又は接着剤の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の真偽判別印刷物。
【請求項7】
前記第1の画像領域は、前記第1のインキの皮膜厚さが20μm以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の真偽判別印刷物。
【請求項8】
前記第1の画像領域は、前記第1のインキが加速電圧30〜200kVの電子線の照射により基材上に固化又は定着されたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の真偽判別印刷物。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の真偽判別印刷物の判別方法であって、前記真偽判別印刷物に電磁波を照射して生じる第1発光画像をセンサーで読み取るステップと、前記電磁波照射により発光材料を活性化させた状態で前記真偽判別印刷物に応力を付与して生じる第2発光画像をセンサーで読み取るステップと、前記電磁波照射による第1発光画像と前記応力付与による第2発光画像とを比較することにより真偽判別を行うことを特徴とする真偽判別印刷物の真偽判別方法。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載の真偽判別印刷物の判別方法であって、前記真偽判別印刷物に電磁波を照射するステップと、前記電磁波により発光材料を活性化させた状態で前記第1及び第2の画像領域に応力を付与するステップと、前記付与した応力により発光する第1の画像領域と前記第2の画像領域のそれぞれの発光強度をセンサーで読み取るステップと、前記読取った第1の画像領域と第2の画像領域との発光強度差により真偽判別を行うことを特徴とする真偽判別印刷物の真偽判別方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−55639(P2008−55639A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232357(P2006−232357)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】