説明

真円度測定機

【課題】測定領域が制限されることなく、スタイラスを自動交換できる真円度測定機を提供する。
【解決手段】真円度測定機において、被測定物Wの測定部位に対応して用意された複数種のスタイラス31を格納可能に収容したスタイラスストッカ50と、制御装置60とを備える。スタイラスストッカは、回転テーブル20および検出器駆動機構40の移動範囲によって決まる測定領域の外に配置されている。検出器駆動機構は、検出器30を測定領域の外へ移動可能に構成されている。制御装置は、測定指令が与えられた際、回転テーブルおよび検出器駆動機構の動作を制御しながら、被測定物の真円度測定を実行するとともに、スタイラス交換指令が与えられた際、検出器駆動機構を制御しながら、検出器本体とスタイラスストッカとの間でスタイラス交換動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真円度測定機に関する。詳しくは、スタイラスを自動交換可能に構成した真円度測定機に関する。
【背景技術】
【0002】
被測定物の真円度を測定する測定機として、真円度測定機が知られている。
真円度測定機は、ベースと、このベース上に垂直軸線を中心に回転可能に設けられ上面に被測定物を載置する回転テーブルと、ベース上に立設されたコラムと、このコラムに沿って上下方向へ昇降可能に設けられた昇降スライダと、この昇降スライダに垂直軸線に対して直交する方向へスライド可能に設けられたスライドアームと、このスライドアームの先端に取り付けられ被測定物に接するスタイラスの変位を電気信号として出力する検出器とを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
真円度測定機を使用するにあたっては、予め、通常のスタイラスのほかに、被測定物の測定部位形状に合わせた各種形状のスタイラスが用意されているから、被測定物の測定部位形状に適したスタイラスに交換したのち、測定を行う。例えば、被測定物の深孔の真円度を測定する場合には、スタイラス長さが長い深孔用スタイラスに、あるいは、溝内の真円度を測定する場合には溝用スタイラスなどに交換したのち、測定を行う。
スタイラスの交換作業は、従来、測定者によって行われている。これには、測定者が、測定作業を一旦中断し、現在使用中のスタイラスを検出器から取り外したのち、新たなスタイラスを検出器に装着して、測定作業を再開していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−233131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のようなスタイラスの交換作業では、測定作業を一旦中断し、測定者が手動で、スタイラスの取外作業およびスタイラスの装着作業を行わなければならないため、測定作業の中断時間が長いうえ、スタイラスの取外作業および装着作業に伴う測定者への負担も大きい。
そこで、三次元測定機などで利用されているオートプローブチェンジャを真円度測定機に適用することが考えられる。つまり、複数種のスタイラスを格納したスタイラスストッカを真円度測定機に設置することが考えられる。
【0006】
しかし、複数種のスタイラスを格納したスタイラスストッカを真円度測定機に設置しようとすると、測定領域である回転テーブル上に、スタイラスストッカを設置しなければならないため、測定領域が大幅に制限される。
【0007】
本発明の目的は、測定領域が制限されることなく、スタイラスを自動交換できる真円度測定機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の真円度測定機は、ベースと、このベース上に垂直軸線を中心に回転可能に設けられ上面に被測定物を載置する回転テーブルと、前記被測定物に接するスタイラスおよびこのスタイラスを着脱可能に装着しこのスタイラスの変位を電気信号として出力する検出器本体を有する検出器と、この検出器を前記垂直軸線方向および前記垂直軸線に対して直交しかつ前記回転テーブルに対して接近、離間する方向へ駆動させる検出器駆動機構とを有する真円度測定機において、前記被測定物の測定部位に対応して用意された複数種のスタイラスを取出可能かつ格納可能に収容したスタイラスストッカと、制御装置とを備え、前記スタイラスストッカは、前記回転テーブルおよび前記検出器駆動機構の移動範囲によって決まる測定領域の外に配置され、前記検出器駆動機構は、前記検出器を前記測定領域の外へ移動可能に構成され、前記制御装置は、測定指令が与えられた際、前記回転テーブルおよび前記検出器駆動機構の動作を制御しながら、前記被測定物の真円度測定を実行するとともに、スタイラス交換指令が与えられた際、前記検出器駆動機構を制御しながら、前記検出器本体と前記スタイラスストッカとの間でスタイラス交換動作を実行する、ことを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、測定指令が与えられると、検出器駆動機構の動作により検出器のスタイラスが被測定物に接触され、この状態において、回転テーブルが回動動作されることにより、被測定物の真円度等の測定が実行される。また、スタイラス交換指令が与えられると、検出器駆動機構の動作により、検出器本体とスタイラスストッカとの間でスタイラス交換動作が実行される。
従って、被測定物の測定部位形状に応じて、スタイラス交換動作を指令するようにしておけば、検出器本体とスタイラスストッカとの間でスタイラス交換動作が自動的に実行されるため、測定作業を中断することなく連続的に行うことができる。そのため、測定者への負担を軽減できるとともに、測定作業を効率化できる。
しかも、スタイラスストッカは、回転テーブルおよび検出器駆動機構の移動範囲によって決まる測定領域の外に配置され、また、検出器駆動機構は、検出器を測定領域の外へ移動可能に構成されているから、スタイラスストッカが測定領域を制限することがない。
【0010】
本発明の真円度測定機において、前記検出器駆動機構は、前記ベース上に立設されたコラムと、このコラムに対して昇降スライダを上下方向へ駆動させる昇降駆動機構と、前記昇降スライダに対してスライドアームを前記垂直軸線に対して直交しかつ前記回転テーブルに対して接近、離間するする方向へ駆動させる第1スライド駆動機構と、前記スライドアームの先端に設けられ前記検出器を前記スライドアームのスライド軸線に対して直交する方向へスライドさせる第2スライド駆動機構と、前記第2スライド駆動機構を前記スライドアームのスライド軸線を中心に旋回させる旋回駆動機構とを備え、前記第2スライド駆動機構および前記旋回駆動機構の動作により、前記検出器が前記測定領域の外へ移動可能に構成されている、ことが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、検出器駆動機構には、スライドアームの先端に設けられ検出器をスライドアームのスライド軸線に対して直交する方向へスライドさせる第2スライド駆動機構と、第2スライド駆動機構をスライドアームのスライド軸線を中心に旋回させる旋回駆動機構とが含まれているから、まず、旋回駆動機構によって第2スライド駆動機構をスライドアームのスライド軸線を中心に90度旋回させて検出器の姿勢を水平に変更したのち、第2スライド駆動機構によって検出器をスライドアームのスライド軸線に対して直交する方向へスライドさせる。すると、検出器が測定領域の外に配置されたスタイラスストッカへ移動されるから、真円度測定動作に支障を与えることなく、比較的簡易な構成で、検出器を測定領域の外に配置されたスタイラスストッカへアプローチできる。
【0012】
本発明の真円度測定機において、前記スタイラスストッカは、前記回転テーブルと前記コラムとの間で、前記スライドアームのスライド軸線を挟んでベースの背面側に配置されている、ことが好ましい。
このような構成によれば、スタイラスストッカが、回転テーブルとコラムとの間で、スライドアームのスライド軸線を挟んでベースの背面側に配置されているから、ベースの正面側から見た視界を遮ることがない。そのため、作業者は測定作業を目視で確認しながら測定作業を行うことができる。
【0013】
本発明の真円度測定機において、前記旋回駆動機構は、前記スタイラスが上下方向に向かう前記検出器の姿勢を0度として、前記検出器の姿勢を−90度から+90度の範囲で変更可能に構成されている、ことが好ましい。
このような構成によれば、スタイラスが上下方向に向かう検出器の姿勢を0度として、検出器の姿勢を−90度から+90度の範囲で変更可能に構成されているから、例えば、検出器が+90度の姿勢のときにスタイラス交換動作が行えるとすれば、検出器が−90度の姿勢においては被測定物の真円度測定を実行できる。従って、被測定物の形状などに応じて検出器の姿勢を適宜変更して測定を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る真円度測定機の斜視図。
【図2】同上実施形態の平面図。
【図3】同上実施形態の検出器本体とスタイラスとを示す図。
【図4】同上実施形態の第2スライド駆動機構を示す斜視図。
【図5】同上実施形態の旋回駆動機構の動作を示す側面図。
【図6】同上実施形態において、測定領域を示す斜視図。
【図7】同上実施形態の制御装置およびその周辺機構を示すブロック図。
【図8】同上実施形態において、スタイラス交換動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<真円度測定機の説明>
図1は、本実施形態の真円度測定機を示す斜視図、図2は、同真円度測定機の平面図である。
本実施形態の真円度測定機は、これらの図に示すように、ベース10と、このベース10上の一側に垂直軸線Lを中心に回転可能に設けられ上面に被測定物Wを載置する回転テーブル20と、検出器30と、この検出器30を垂直軸線L方向および垂直軸線Lに対して直交する方向でかつ回転テーブル20に対して接近、離間する方向へ駆動させる検出器駆動機構40と、被測定物Wの測定部位に対応して用意された複数種のスタイラスを取出可能かつ格納可能に収容したスタイラスストッカ50と、制御装置60とを備える。
【0016】
回転テーブル20は、ベース10の内部に設けられた図示省略の回転テーブル駆動機構(図6参照)によって垂直軸線を中心に回転可能に設けられている。回転テーブル駆動機構21は、回転テーブルを回転駆動するモータ、あるいは、モータからの回転を減速器を介して回転テーブル20に伝達する機構などで構成されている。
【0017】
検出器30は、図3に示すように、被測定物Wに接するスタイラス31と、このスタイラス31を着脱可能に装着しスタイラス31の変位(スタイラス31の長手方向に対して直交する方向の変位)を電気信号として検出する検出器本体32とを有する。スタイラス31は、所定長さのスタイラス本体31Aと、このスタイラス本体31Aの先端に取り付けられた触針31Bと、スタイラス本体31Aの根本部分に形成された係合溝31Cとを有する。検出器本体32には、支持片32Aおよびこれに隙間を隔てて対向配置された板ばね32Bとが設けられ、この支持片32Aと板ばね32Bとの間にスタイラス31の根本部分が差込可能かつ引抜可能、つまり、着脱可能に装着されている。
【0018】
検出器駆動機構40は、ベース10上に他側に立設されたコラム41と、このコラム41に対して昇降スライダ42を上下方向(Z方向)へ駆動させる昇降駆動機構43と、昇降スライダ42に対してスライドアーム44を垂直軸線に対して直交する方向でかつ回転テーブル20に対して接近、離間する方向(X方向)へ駆動させる第1スライド駆動機構45と、スライドアーム44の先端に設けられ検出器30をスライドアーム44のスライド軸線に対して直交する方向へスライドさせる第2スライド駆動機構46と、第2スライド駆動機構46をスライドアーム44のスライド軸線を中心に旋回させる旋回駆動機構47とを備える。
【0019】
昇降駆動機構43は、図示省略したが、昇降スライダ42を上下方向へ駆動できる機構であれば、どのような構造でもよい。例えば、コラム41に上下方向へ立設されたボールねじ軸と、このボールねじ軸を回転させるモータと、ボールねじ軸に螺合され昇降スライダ42に連結されたナット部材とを有する送り機構などでもよい。
第1スライド駆動機構45についても、図示省略したが、スライドアーム44を垂直軸線Lに対して直交する方向および垂直軸線Lに対して直交しかつ回転テーブル20に対して接近、離間する方向へ駆動できる機構であれば、どのような構造でもよい。例えば、スライドアーム44の長手方向に沿ってラックを形成し、このラックに噛み合うピニオンおよびこのピニオンを回転させるモータなどを昇降スライダ42内に設けた構成であってもよい。
【0020】
第2スライド駆動機構46は、図4に示すように、スライドアーム44の先端に直角に取り付けられたケース部材46Aと、このケース部材46A内に回転可能に設けられたボールねじ軸46Bと、このボールねじ軸46Bを回転させるモータ46Cと、ボールねじ軸46Bに螺合されたナット部材46Dと、このナット部材46Dを有し検出器30を保持した検出器保持部46Eとを有する送り機構によって構成されている。なお、第2スライド駆動機構46についても、図4の構成に限られない。
【0021】
旋回駆動機構47は、例えば、スライドアーム44の内に回転可能に設けられ先端が第2スライド駆動機構46のケース部材46Aに連結された旋回軸(図示省略)と、この旋回軸の基端に設けられ旋回軸を旋回駆動させるモータ47Bとから構成されている。本実施形態では、図5に示すように、スタイラス31が上下方向に向かう検出器30の姿勢を0度として、検出器30の姿勢を−90度から+90度の範囲で変更可能に構成されている。
【0022】
スタイラスストッカ50は、回転テーブル20および検出器駆動機構40の移動範囲によって決まる測定領域(図6に示す測定領域A)の外に、詳細には、図2に示すように回転テーブル20とコラム41との間で、スライドアーム44のスライド軸線を挟んでベース10の背面側に配置されているとともに、このスタイラスストッカ50の位置まで検出器30が移動可能に構成されている。本実施形態においては、第2スライド駆動機構46および旋回駆動機構47の動作により、検出器30が測定領域の外へ移動可能に構成されている。
【0023】
スタイラスストッカ50は、図2および図5にも示すように、回転テーブル20とコラム41との間で、スライドアームのスライド軸線を挟んでベース10の背面側に配置されたL字形状のストッカ本体51と、このストッカ本体51の起立片52の上下方向一定間隔位置に形成され複数のスタイラス保持部53とから構成されている。スタイラス保持部53は、略半円形状の溝によって形成され、この溝にスタイラス31の係合溝31Cが取出可能かつ格納可能に収容されている。ここでは、標準的なスタイラス31のほかに、長さの異なるスタイラス31が収容されている。
【0024】
<制御システムの説明>
本制御システムは、図7に示すように、制御装置60と、入力装置61と、表示装置62と、記憶装置63などを含んで構成されている。
記憶装置63には、測定プログラムやスタイラス自動交換プログラムなどを記憶したプログラム記憶部63A、および、測定時に取り込んだ測定データなどを記憶するデータ記憶部63Bなどが設けられている。
制御装置60には、入力装置61、表示装置62、記憶装置63のほかに、回転テーブル駆動機構21、昇降駆動機構43、第1スライド駆動機構45、第2スライド駆動機構46、旋回駆動機構47、検出器30などが接続されている。また、制御装置60は、プログラム記憶部63Aに記憶された測定プログラムやスタイラス自動交換プログラムに従って、回転テーブル駆動機構21や検出器駆動機構40の駆動を制御するとともに、検出器30からの信号を取り込んで処理する。具体的には、測定指令が与えられた際、回転テーブル駆動機構21および検出器駆動機構40の動作を制御しながら、被測定物Wの真円度等の測定を実行するとともに、スタイラス交換指令が与えられた際、検出器駆動機構40を制御しながら、検出器本体32とスタイラスストッカ50との間でスタイラス交換動作を実行する。
【0025】
<測定動作の説明>
プログラム記憶部63Aに記憶された測定プログラムによって、測定指令が制御装置60に与えられると、検出器駆動機構40が駆動される。つまり、昇降駆動機構43および第1スライド駆動機構45の駆動により、検出器30が被測定物Wに接近する方向へ移動され、検出器30のスタイラス31が被測定物Wに接触される。この状態において、回転テーブル20が回転駆動される。すると、被測定物Wの真円度に応じて、検出器30のスタイラス31が変位されるから、そのスタイラス31の変位が検出器本体32によって電気信号として検出されたのち、制御装置60に取り込まれる。制御装置60は、取り込んだ測定データをデータ記憶部63Bに記憶したのち、こられのデータから真円度を演算し、その結果を表示装置62に表示し、かつ、必要に応じてプリントアウトする。
【0026】
<スタイラス交換動作の説明>
プログラム記憶部63Aに記憶されたスタイラス自動交換プログラムによって、スタイラス交換指令が制御装置60に与えられると、検出器駆動機構40が駆動される。つまり、昇降駆動機構43、第1スライド駆動機構45、第2スライド駆動機構46および旋回駆動機構47の駆動により、検出器30が移動され、検出器本体32とスタイラスストッカ50との間でスタイラス交換動作が実行される。
【0027】
いま、検出器30にスタイラス31が装着されている状態において、スタイラス交換指令が与えられると、図8に示すように、旋回駆動機構47の駆動によって検出器30が+90度旋回され、水平な姿勢に設定される。こののち、昇降駆動機構43の駆動により、検出器30がこれから格納するスタイラスストッカ50のスタイラス保持部53の高さ位置に位置決めされたのち、次の動作が実行される。
【0028】
(A)第2スライド駆動機構46の駆動により、検出器30はY−方向へ移動され、スタイラス31の係合溝31Cがスタイラスストッカ50のスタイラス保持部53と対応する位置まで移動される。
(B)第1スライド駆動機構45の駆動により、検出器30はX+方向へ移動される。すると、スタイラス31の係合溝31Cがスタイラスストッカ50のスタイラス保持部53に収容される。
(C)第2スライド駆動機構46の駆動により、検出器30はY+方向へ移動される。すると、検出器本体32がスタイラス31をスタイラスストッカ50に残したままY+方向へ移動するから、これにより、検出器本体32のスタイラス31がスタイラスストッカ50に格納される。
【0029】
次に、検出器本体32に対して、新たなスタイラス31を装着しようとする場合、検出器本体32が新たなスタイラス31の位置に位置決めされたのち、次の動作が実行される。
(D)第2スライド駆動機構46の駆動により、検出器30はY−方向へ移動される。すると、検出器本体32に新たなスタイラス31が差し込まれる。つまり、検出器本体32に新たなスタイラス31が装着される。
(E)第1スライド駆動機構45の駆動により、検出器30はX−方向へ移動される。すると、スタイラス31の係合溝31Cがスタイラスストッカ50のスタイラス保持部53から外れる。
(F)第2スライド駆動機構46の駆動により、検出器30はY+方向へ移動され、元の位置に復帰される。こののち、旋回駆動機構47の駆動によって検出器30が垂直な姿勢に旋回されたのち、新たな測定部位の測定が実行される。
【0030】
<実施形態の効果>
(1)測定指令が与えられると、検出器駆動機構40の動作により検出器30のスタイラス31が被測定物Wに接触され、この状態において、回転テーブル20が回動動作されることにより、被測定物Wの真円度等の測定が実行される。また、スタイラスブ交換指令が与えられると、検出器駆動機構40の動作により、検出器本体32とスタイラスストッカ50との間でスタイラス交換動作が実行される。
従って、被測定物Wの測定部位形状に応じて、スタイラス交換動作を指令するようにしておけば、検出器本体32とスタイラスストッカ50との間でスタイラス交換動作が自動的に実行されるため、測定作業を中断することなく連続的に行うことができる。そのため、測定者への負担を軽減できるとともに、測定作業を効率化できる。
【0031】
(2)スタイラスストッカ50は、回転テーブル20および検出器駆動機構40の移動範囲によって決まる測定領域Aの外に配置され、また、検出器駆動機構40は、検出器30を測定領域の外へ移動可能に構成されているから、スタイラスストッカ50が測定領域を制限することがない。
【0032】
(3)検出器駆動機構40には、スライドアーム44の先端に設けられ検出器30をスライドアーム44のスライド軸線に対して直交する方向へスライドさせる第2スライド駆動機構46と、第2スライド駆動機構46をスライドアーム44のスライド軸線を中心に旋回させる旋回駆動機構47とが含まれているから、まず、旋回駆動機構47によって第2スライド駆動機構46をスライドアーム44のスライド軸線を中心に90度旋回させて検出器30の姿勢を水平に変更したのち、第2スライド駆動機構46によって検出器30をスライドアーム44のスライド軸線に対して直交する方向へスライドさせると、検出器30が測定領域Aの外に配置されたスタイラスストッカ50へ移動される。従って、真円度測定動作に支障を与えることなく、比較的簡易な構成で、検出器30を測定領域Aの外に配置されたスタイラスストッカ50へアプローチできる。
【0033】
(4)スタイラスストッカ50が、回転テーブル20とコラム41との間で、スライドアーム44のスライド軸線を挟んでベース10の背面側に配置されているから、ベース10の正面側から見た視界を遮ることがないため、作業者は測定作業を目視で確認しながら測定作業を行うことができる。
【0034】
(5)スタイラス31が上下方向に向かう検出器30の姿勢を0度として、検出器30の姿勢を−90度から+90度の範囲で変更可能に構成されているから、例えば、検出器30が+90度の姿勢のときにスタイラス交換動作が行える構成とすれば、検出器30が−90度の姿勢においては被測定物の真円度測定を実行できる。従って、被測定物の形状などに応じて検出器の姿勢を適宜変更して測定を実行できる。
【0035】
<変形例>
本発明は、前述の実施形態に限定されるものでなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本考案に含まれる。
前記実施形態では、スタイラスストッカ50が、ストッカ本体51に半円形状のスタイラス保持部53を上下方向に間隔を隔てて形成し、これに複数種のスタイラス31を水平な姿勢で保持するようにしたが、これに限られない。例えば、スタイラス保持部53を水平方向に間隔を隔てて形成し、これにスタイラス31を垂直な姿勢で保持するようにしてもよい。
【0036】
前記実施形態において、検出器本体32とスタイラス31とを、マグネットによって着脱可能に結合するようにしてもよい。あるいは、磁気に限らず、他の構成でもよい。例えば、エアーの吸引によって、検出器本体32とスタイラス31と着脱可能に保持する構造であってもよく、あるいは、どちらか一方に複数の挟持爪を設け、他方に挟持爪に挟持される挟持部を設けた構成であってもよい。
【0037】
前記実施形態では、検出器30をX方向およびZ方向へ移動可能に構成したが、これに限られない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、スタイラスを自動交換可能に構成した真円度測定機に利用できる。
【符号の説明】
【0039】
10…ベース、
20…回転テーブル、
30…検出器、
31…スタイラス、
32…検出器本体、
40…検出器駆動機構、
41…コラム、
42…昇降スライダ、
43…昇降駆動機構、
44…スライドアーム、
45…第1スライド駆動機構、
46…第2スライド駆動機構、
47…旋回駆動機構、
50…スタイラスストッカ、
60…制御装置、
A…測定領域、
L…垂直軸線、
W…被測定物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、このベース上に垂直軸線を中心に回転可能に設けられ上面に被測定物を載置する回転テーブルと、前記被測定物に接するスタイラスおよびこのスタイラスを着脱可能に装着しこのスタイラスの変位を電気信号として出力する検出器本体を有する検出器と、この検出器を前記垂直軸線方向および前記垂直軸線に対して直交しかつ前記回転テーブルに対して接近、離間する方向へ駆動させる検出器駆動機構とを有する真円度測定機において、
前記被測定物の測定部位に対応して用意された複数種のスタイラスを取出可能かつ格納可能に収容したスタイラスストッカと、制御装置とを備え、
前記スタイラスストッカは、前記回転テーブルおよび前記検出器駆動機構の移動範囲によって決まる測定領域の外に配置され、
前記検出器駆動機構は、前記検出器を前記測定領域の外へ移動可能に構成され、
前記制御装置は、測定指令が与えられた際、前記回転テーブルおよび前記検出器駆動機構の動作を制御しながら、前記被測定物の真円度測定を実行するとともに、スタイラス交換指令が与えられた際、前記検出器駆動機構を制御しながら、前記検出器本体と前記スタイラスストッカとの間でスタイラス交換動作を実行する、ことを特徴とする真円度測定機。
【請求項2】
請求項1に記載の真円度測定機において、
前記検出器駆動機構は、前記ベース上に立設されたコラムと、このコラムに対して昇降スライダを上下方向へ駆動させる昇降駆動機構と、前記昇降スライダに対してスライドアームを前記垂直軸線に対して直交しかつ前記回転テーブルに対して接近、離間するする方向へ駆動させる第1スライド駆動機構と、前記スライドアームの先端に設けられ前記検出器を前記スライドアームのスライド軸線に対して直交する方向へスライドさせる第2スライド駆動機構と、前記第2スライド駆動機構を前記スライドアームのスライド軸線を中心に旋回させる旋回駆動機構とを備え、
前記第2スライド駆動機構および前記旋回駆動機構の動作により、前記検出器が前記測定領域の外へ移動可能に構成されている、ことを特徴とする真円度測定機。
【請求項3】
請求項2に記載の真円度測定機において、
前記スタイラスストッカは、前記回転テーブルと前記コラムとの間で、前記スライドアームのスライド軸線を挟んでベースの背面側に配置されている、ことを特徴とする真円度測定機。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の真円度測定機において、
前記旋回駆動機構は、前記スタイラスが上下方向に向かう前記検出器の姿勢を0度として、前記検出器の姿勢を−90度から+90度の範囲で変更可能に構成されている、ことを特徴とする真円度測定機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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