説明

真直度測定装置

【課題】ゼロ点ずれを精度良く検出すること。
【解決手段】第1の形状測定器(P1,P1′)と、第2の形状測定器(P3,P3′)と、第3の形状測定器(P5,P5′)と、形状測定器(P1〜P5′)を支持する支持部材(7)を有し移動方向下流側に向って第1の形状測定器(P1,P1′)と第2の形状測定器(P1,P1′)と第3の形状測定器(P1,P1′)とが配置された測定ユニット(U1)と、第1の形状測定器(P1,P1′)と第2の形状測定器(P3,P3′)との相対的な位置ずれ量を測定する測定ユニット(U1)と一体的に移動可能な第1のずれ量測定器(36)と、第1の形状測定器(P1,P1′)と第3の形状測定器(P5,P5′)との相対的な位置ずれ量を測定する測定ユニット(U1)と一体的に移動可能な第2のずれ量測定器(37)と、を備えた真直度測定装置(A)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真直度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物体の形状がどれだけ幾何学的直線に近い形状を有しているかを調べるために、従来から、物体の真直度測定が行われている。このような真直度の測定法に関して、3つの変位計を被測定物に沿って走査することにより、被測定物の真直度を測定する、いわゆる、3点法が知られている。
【0003】
図11は3点法に関する説明図であり、図11Aは3点法に用いられる装置の一例の説明図、図11Bはプローブのゼロ点ずれの説明図である。
図11Aにおいて、被測定物03に対して対向する位置に、案内部材の一例としてのリニアガイド04が配置されている。前記リニアガイド04には、移動部材の一例としての走査ステージ07が直線移動可能に支持されている。
前記走査ステージ07には、形状測定器の一例としてのプローブP01,P03,P05が支持されている。前記プローブP01,P03,P05は、走査ステージ07の移動方向に沿って間隔dを空けて、順に、配置されている。また、前記各プローブP01〜P05は、走査ステージ07と共に一体的に移動して、被測定物03の対応する部分について、基準位置からの変位を測定する。
【0004】
図11Aにおいて、右方向、すなわち、走査ステージ07の走査方向をX軸方向とし、走査方向に直交する上方向をY軸方向とする。
被測定物03の被測定部分の表面形状をF(X)で表す。また、中央のプローブP03の測定位置が位置Xの場合に、各プローブP01,P03,P05によって得られる測定値を、それぞれ、M01(X),M03(X),M05(X)で表す。
ここで、走査ステージ07は走査移動する際に、リニアガイド04の形状誤差などにより、全体がY方向に移動したり、全体が傾斜したりする。そこで、プローブP03の測定位置が位置Xの場合に、走査ステージ03のY方向の移動量を走査誤差e(X)とし、傾斜量を傾斜誤差p(X)とすると、各測定値M01(X)〜M05(X)は、以下の式(1)〜(3)のように表せる。
M01(X)=F(X−d)+e(X)−d・p(X)…式(1)
M03(X)=F(X)+e(X) …式(2)
M05(X)=F(X+d)+e(X)+d・p(X)…式(3)
【0005】
前記式(1)〜(3)より、F(X)の二階差分を求めると、以下の式(4)となる。
ΔF(X)
={F(X+d)−2・F(X)+F(X−d)}/d
=[{F(X+d)−F(X)}−{F(X)−F(X−d)}]/d
={M05(X)−2・M03(X)−M01(X)}/d…式(4)
よって、ΔF(X)は、走査ステージ07の走査誤差e(X)、傾斜誤差p(X)の影響を受けることなく、測定値M01(X),M03(X),M05(X)及び間隔dで表される。
したがって、測定値M01(X)〜M05(X)等により得られたΔF(X)を二階積分することにより、被測定物03の測定部分の表面形状F(X)を知ることができる。なお、F(X)の一次以下の項は、被測定物03の測定部分の平均的な距離、傾きを表すことになるので、形状測定においては無視することができる。
【0006】
しかし、実際には、図11Bに示すように、走査ステージ07に支持された各プローブP01,P03,P05には、測定時の基準点のずれ、いわゆる、ゼロ点ずれが存在する。
例えば、図11Bにおいて、各プローブP01,P03,P05のY方向の基準点からのずれを、それぞれ、k01,k03,k05とおいて、式(1)〜(3)を再計算すると、以下の式(1)′〜(3)′となる。
M01(X)=F(X−d)+e(X)−d・p(X)+k01…式(1)′
M03(X)=F(X)+e(X)+k03 …式(2)′
M05(X)=F(X+d)+e(X)+d・p(X)+k05…式(3)′
そして、F(X)の二階差分を取ると、以下の式(4)′となる。
ΔF(X)
={F(X+d)−2・F(X)+F(X−d)}/d
={M05(X)−2・M03(X)−M01(X)}/d
−{k05−2・k03+k01}/d
={M05(X)−2・M03(X)−M01(X)}
−k0135/d…式(4)′
ただし、式(4)′において、k05−2・k03+k01=k0135とした。
【0007】
さらに、式(4)′に基づいて、ΔF(X)を二階積分すると、測定値M01(X)〜M05(X)等の項の他に、k0135/2dを係数としたXに比例する項が生じる。したがって、測定値M01(X)〜M05(X)から得られる値は、表面形状F(X)からk0135・X/2dの分ずれ、これは、いわゆる、放物線誤差として知られるゼロ点ずれに起因する誤差である。
したがって、3点法において、このようなゼロ点ずれによる誤差が存在することが知られており、ゼロ点ずれの影響を低減させるために、以下の特許文献、非特許文献に記載の技術が知られている。
【0008】
特許文献1としての特開2003−254747号公報には、検出器取付台に支持された3つの変位検出器(A,B,C)間のゼロ点ずれを低減させるために、基準となる試料片を測定して、変位検出器(A,B,C)の出力を校正する技術が記載されている。
特許文献1では、凹凸が一致する一組の試料片(1,2)を、それぞれ、予め測定して、試料片(1)による校正値と、試料片(2)による校正値との平均を取ることにより、試料片自体が有する誤差を打ち消して、変位検出器(A,B,C)を、真直度の測定前に校正している。
【0009】
特許文献2としての特開2006−337112号公報には、3つの変位センサ(31,32,33)と、前記各変位センサ(31〜33)を支持する支持台(30)と、前記支持台(30)に対して移動可能なテーブル(25)と、を有する真直度測定装置(10)が記載されており、前記テーブル(25)上に配置された第1の被測定物(100)の測定面(100a)を、前記変位センサ(31〜33)を用いた3点法(逐次3点法)によって、測定面(100a)の形状g(X)を測定可能に構成されている。
また、特許文献2には、変位センサ(31〜33)とは別に、中央の変位センサ(32)の対向直線上に配置され、且つ、前記支持台(30)に支持された一組の変位センサ(41,42)が設けられており、前記テーブル(25)上に配置された補助用の第2の被測定物(200)の表裏両側の測定面(200a,200b)を、それぞれの変位センサ(41,42)で測定可能に構成されている。
【0010】
特許文献2に記載の技術では、通常測定時の3点法(逐次3点法)による測定を行う前に、補正のために、第2の被測定物(200)の反転前後の計2回、第1の被測定物(100)の測定面(100a)と、第2の被測定物(200)の測定面(200a,200b)とを、同時に、測定している。
すなわち、反転法によって、変位センサ(41,42)の測定結果から、支持台(30)に対するテーブル(25)の走査誤差(並進運動誤差)を得ることで、中央の変位センサ(32)の測定結果から、走査誤差を消去して、第1の被測定物(100)の形状をg(x)と測定している。また、3つの変位センサ(31〜33)を用いた3点法(逐次3点法)によって、第1の被測定物(100)の形状をg(X)と測定している。
そして、反転法によるg(X)と、3点法(逐次3点法)によるg(X)との誤差を、零点誤差補償量{g(X)−g(X)}として求めている。そして、新たな第1の被測定物(100)を、真直度測定装置(10)の通常測定時、すなわち、3つの変位センサ(31〜33)を用いた3点法(逐次3点法)のみによって測定する場合には、前記零点誤差補償量{g(X)−g(X)}を用いて、3点法(逐次3点法)で生じるゼロ点ずれに起因する誤差を補正している。
【0011】
非特許文献1には、3つのプローブを有するプローブユニット(Unit A)と、前記プローブユニット(Unit A)と同様に構成され、且つ前記プローブユニット(Unit A)に対向して配置されたプローブユニット(Unit B)を用いたゼロ点ずれに起因する誤差の補正方法が記載されている。
非特許文献1では、2つのプローブユニット(Unit A,Unit B)を用いて、被測定物(Cylinder)を、180°異なる部分である両側について同時に計測した後に、被測定物(Cylinder)を180°回転(反転)させて、もう一度、プローブユニット(Unit A,Unit B)を用いて、同時に測定している。
そして、回転前後(反転前後)の各プローブユニット(Unit A,Unit B)の測定値から得られる前記式(4)′に相当する4つの式から、各プローブユニット(Unit A,Unit B)における前記式(4)′のk0135に相当するゼロ点ずれの差分(α,β)を求めている。そして、求めたゼロ点ずれの差分(α,β)により、3点法による測定値を補正して、被測定物(Cylinder)の表面形状を求めている。なお、非特許文献1では、ゼロ点ずれは、反転前後や測定位置によって変動しない固定値として扱われており、ゼロ点ずれの差分(α,β)も固定値として扱われている。
【0012】
特許文献3としての特開2009−41983号公報には、試料(200)が搭載される回転自在なスピンドル(210)と、前記試料(200)を測定する3つの変位センサ(A,B,C)と、前記変位センサ(A,B,C)を支持するセンサユニット(220)と、前記センサユニット(220)を、前記スピンドル(210)の径方向に移動可能に支持するセンサキャリッジ(230)と、を有する真直形状測定用の装置が記載されている。
特許文献3では、試料(200)を回転させながら測定し、試料(200)の表面形状の周期性を利用して、測定値の比較を行うことにより、零点誤差の変動量を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003−254747号公報(「0008」〜「0009」、「0021」〜「0024」)
【特許文献2】特開2006−337112号公報(「0043」〜「0053」、図1、図4)
【特許文献3】特開2009−41983号公報(「0018」〜「0042」、図1〜図3)
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】W. Gao et al., “precision measurement of cylinder straightness using a scanning multi-probe system”, Precision Engineering, Journal of the International Societies for Precision Engineering and Nanotechnology, 2002,279-288(p280〜283)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献1、2に記載の技術では、真直度の測定前に、予め出力値を補正したり、予め補正量を設定しているが、真直度の測定時にゼロ点ずれが変動した場合には、補正することはできない。
また、非特許文献1に記載の技術では、ゼロ点ずれに起因する誤差を固定値として扱っており、反転や位置移動の変動によるゼロ点ずれについて補正することはできない。
一方、特許文献3に記載の技術では、各変位センサについて、時間変動があるものとして、ゼロ点ずれについて求めているが、スピンドルなどで回転する被測定物を対象としており、被測定物の形状は平面状であることが好ましく、実質的には、被測定物の形状が制限されてしまう。
【0016】
本発明は、前述の事情に鑑み、ゼロ点ずれを精度良く検出することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の真直度測定装置は、
被測定物の表面形状を測定する第1の形状測定器と、
前記被測定物の表面形状を測定する第2の形状測定器と、
前記被測定物の表面形状を測定する第3の形状測定器と、
前記被測定物に沿って相対的に移動可能な測定ユニットであって、前記第1の形状測定器と前記第2の形状測定器と前記第3の形状測定器とを支持する支持部材を有し、前記測定ユニットの前記被測定物に対する相対移動方向の下流側に向って、前記第1の形状測定器と、前記第2の形状測定器と、前記第3の形状測定器と、が配置された前記測定ユニットと、
前記被測定物に対して接近離間する方向である接離方向についての前記第1の形状測定器と前記第2の形状測定器との相対的な位置ずれ量である第1の位置ずれ量を測定する第1のずれ量測定器であって、前記支持部材に支持されて前記測定ユニットと一体的に移動可能な前記第1のずれ量測定器と、
前記接離方向についての前記第1の形状測定器と前記第3の形状測定器との相対的な位置ずれ量である第2の位置ずれ量を測定する第2のずれ量測定器であって、前記支持部材に支持されて前記測定ユニットと一体的に移動可能な前記第2のずれ量測定器と、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の真直度測定装置において、
前記第1の形状測定器に一体的に支持された放射線を放射する放射部と、
前記第2の形状測定器に一体的に支持され、且つ、前記放射部から放射された放射線が入射する受部を有し、前記受部に前記放射線が入射する位置に基づいて、前記第1の位置ずれ量を測定する前記第1のずれ量測定器と、
前記第3の形状測定器に一体的に支持され、且つ、前記放射部から放射された放射線が入射する受部を有し、前記受部に前記放射線が入射する位置に基づいて、前記第2の位置ずれ量を測定する前記第2のずれ量測定器と、
を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の真直度測定装置において、
前記第2の形状測定器に一体的に支持され、前記放射部から放射された放射線を前記第1のずれ量測定器に向う第1の分離放射線と前記第2のずれ量測定器に向う第2の分離放射線とに分離する分離部材と、
前記第1の分離放射線が入射する前記第1のずれ量測定器と、
前記第2の分離放射線が入射する前記第2のずれ量測定器と、
を備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の真直度測定装置において、
前記第1の形状測定器、前記第2の形状測定器及び前記第3の形状測定器のうちのいずれか一つの形状測定器に対して、前記被測定物を挟んで対向する位置に配置され、且つ、前記被測定物の表面形状を測定する第4の形状測定器と、
前記測定ユニットと一体的に、前記被測定物に沿って相対的に移動可能な第2の測定ユニットであって、前記第4の形状測定器を有する前記第2の測定ユニットと、
前記接離方向についての前記一つの形状測定器と前記第4の形状測定器との相対的な位置ずれ量である第3の位置ずれ量を測定する第3のずれ量測定器であって、前記一つの形状測定器又は前記第4の形状測定器に一体的に支持されて、前記測定ユニット及び前記第2の測定ユニットと一体的に移動可能な前記第3のずれ量測定器と、
前記被測定物を、前記移動方向に延びる方向を回転軸として、前記測定ユニット及び前記第2の測定ユニットに対して、相対的に回転させて、前記一つの形状測定器に測定される前記被測定物の表面形状の位置と、前記第4の形状測定器に測定される前記被測定物の表面形状の位置とを、反転させる反転機構と、
を備え、
前記被測定物の表面形状を測定した後に、反転させて、前記被測定物の表面形状を測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、第1の形状測定器と第2の形状測定器との相対的な位置ずれ量と、第1の形状測定器と第3の形状測定器との相対的な位置ずれ量と、を測定することができ、ゼロ点ずれを精度良く検出することができる。
請求項2に記載の発明によれば、第1の形状測定器に支持された放射部から放射された放射線の入射位置を測定することにより、第1の形状測定器と第2の形状測定器との相対的な位置ずれ量と、第1の形状測定器と第3の形状測定器との相対的な位置ずれ量と、を測定することができる。
請求項3に記載の発明によれば、第1の形状測定器に支持された放射部から放射された放射線を、分離部材により第1の分離放射線と第2の分離放射線とに分離して、第1の分離放射線の入射位置を測定することにより、第1の形状測定器と第2の形状測定器との相対的な位置ずれ量を測定し、第2の分離放射線の入射位置を測定することにより、第1の形状測定器と第3の形状測定器との相対的な位置ずれ量を測定することができる。
請求項4に記載の発明によれば、被測定物を挟んで対向する一つの形状測定器と第4の形状測定器との相対的な位置ずれ量を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は本発明の実施例1の真直度測定装置の説明図であり、図1Aは全体斜視図、図1Bは要部拡大斜視図である。
【図2】図2は実施例1のプローブの説明図である。
【図3】図3は実施例1のレーザ放射部と受光ダイオードの説明図であり、図3Aはレーザ放射部の説明図、図3Bは受光ダイオードの説明図、図3Cは4分割フォトダイオードの説明図である。
【図4】図4は実施例1のコンピュータが備えている各機能をブロック図で示した図である。
【図5】図5は実施例1のコンピュータが備えている各機能をブロック図で示した図であり、図4の続きの説明図である。
【図6】図6は図2におけるVI−VI線方向に見た図に相当する実施例1のプローブの測定結果の説明図であり、図6Aは反転前の説明図、図6Bは反転後の説明図である。
【図7】図7は実施例1のゼロ点ずれの説明図であり、図7Aはレーザ放射部とビームスプリッタと受光ダイオードと各プローブの位置の説明図、図7Bは開始位置におけるゼロ点ずれの説明図、図7Cは開始位置から移動した状態のゼロ点ずれの説明図である。
【図8】図8は実施例1の相対位置変動量の説明図であり、プローブの位置が変動した場合の説明図である。
【図9】図9は本発明の実施例1の真直度測定処理のフローチャートである。
【図10】図10は本発明の実施例1の表面形状演算処理のフローチャートである。
【図11】図11は3点法に関する説明図であり、図11Aは3点法に用いられる装置の一例の説明図、図11Bはプローブのゼロ点ずれの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0024】
図1は実施例1の真直度測定装置の説明図であり、図1Aは全体斜視図、図1Bは要部拡大斜視図である。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、上下方向をX軸方向、前後方向をY軸方向、左右方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、上方、下方、前方、後方、右方、左方、または、上側、下側、前側、後側、右側、左側、とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
【0025】
図1において、実施例1の真直度測定装置Aは、床面に支持された土台部材の一例としてのベース部1を有する。前記ベース部1には、反転機構の一例としてのターンテーブル2が設けられている。前記ターンテーブル2は、上下方向に延びる方向を回転軸として前記ベース部1に対して回転可能に支持されている。前記ターンテーブル2には、真直度の測定される被測定物の一例としての棒材3が支持されている。前記棒材3は、前記ターンテーブル2と共に、上下方向に延びる方向を回転軸として回転可能に支持されている。
また、前記ベース部1には、前記棒材3に沿って上下方向に延びる案内部材の一例としてのリニアガイド4が支持されている。さらに、前記ベース部1には、前記棒材3に沿って上下方向に延びる位置制御部材の一例としてのネジ軸6が回転可能に支持されている。前記リニアガイド4及びネジ軸6には、支持部材の一例であって、移動部材の一例としての走査ステージ7が支持されている。前記走査ステージ7は、前記ネジ軸6が回転して、いわゆるボールネジ機構により、前記リニアガイド4に沿って上下方向に直線移動する。
【0026】
図2は実施例1のプローブの説明図である。
図1、図2において、前記走査ステージ7の下方には、第1の結合部材の一例としての下側マウントプレート8を介して、第1の形状測定器の一例としての下側プローブP1が一体的に支持されている。
図2において、実施例1の下側プローブP1は、測定線の一例としてのシート状レーザP1aを発する発光部9と、前記シート状レーザP1aを受光する受光部11とを有している。そして、実施例1の下側プローブP1では、棒材3の表面の境界部に、前記シート状レーザP1aが照射され、棒材3によって遮られずに受光部11に到達したシート状レーザP1aの位置により、棒材3の表面形状を測定する。
【0027】
図1、図2において、前記走査ステージ7の下側プローブP1の上方には、第2の結合部材の一例としての中側マウントプレート12を介して、第2の形状測定器の一例としての中側プローブP3が一体的に支持されている。また、前記走査ステージ7の中側プローブP3の上方には、第3の結合部材の一例としての上側マウントプレート13を介して、第3の形状測定器の一例としての上側プローブP5が一体的に支持されている。
前記中側プローブP3の前方には、第4の結合部材の一例としてのマウントプレート14を介して、第4の形状測定器の一例としての対向プローブP4が一体的に支持されている。前記対向プローブP4の発光部9と受光部11は保持部材の一例としての保持バー16により互いの位置が保持されている。これにより、前記対向プローブP4は、前記マウントプレート14、中側プローブP3を介して、前記走査ステージ7に一体的に支持されている。
【0028】
前記対向プローブP4は、前記中側プローブP3に対して、前記棒材3を挟んで対向する位置に配置されており、前記中側プローブP3が測定する部分に対して、上下方向に延びる方向を回転軸として180°異なる反対側の表面部分を測定するように設定されている。
なお、前記中側プローブP3、上側プローブP5及び対向プローブP4は、棒材3の測定する部分が異なる点以外は、前記下側プローブP1と同様に構成されているため、その詳細な説明は省略する。
【0029】
図3はレーザ放射部と受光ダイオードの説明図であり、図3Aはレーザ放射部の説明図、図3Bは受光ダイオードの説明図、図3Cは4分割フォトダイオードの説明図である。
図1において、下側プローブP1における発光部9の右側には、放射部の一例としてのレーザ放射部21が一体的に支持されている。
図3Aにおいて、前記レーザ放射部21には、伝送路の一例としての光ファイバ26の一端が接続されている。前記光ファイバ26により、前記レーザ放射部21内に、外部の放射線源の一例としてのレーザ光源27が放射する放射線の一例としてのレーザビーム28が案内される。
案内されたレーザビーム28は、光学素子の一例としてのレンズ29を通過して、上方の中側プローブP3に向って放射される。
【0030】
図1Bにおいて、前記中側プローブP3の発光部9の右側には、受光装置の一例としての受光ホルダ31が一体的に支持されている。前記受光ホルダ31には、前記レーザ放射部21から放射されるレーザビーム28に対応して、分離部材の一例としてのビームスプリッタ32が一体的に支持されている。図1B、図3において、前記ビームスプリッタ32は、前記レーザ放射部21から放射されたレーザビーム28を右側に向う第1の分離放射線の一例としての反射ビーム33と、上側の上側プローブP5に向う第2の分離放射線の一例としての透過ビーム34とに分離する。
前記受光ホルダ31の右側、すなわち、前記反射ビーム33が向う側には、第1のずれ量測定器の一例としての中側受光ダイオード36が一体的に支持されている。図3Bにおいて、前記中側受光ダイオード36は、受部の一例としての4分割フォトダイオード36aを有している。前記4分割フォトダイオード36aには、前記反射ビーム33が入射する。
【0031】
なお、図3Cにおいて、前記4分割フォトダイオード36aは、4つの受光領域36a1,36a2,36a3,36a4を有しており、前記受光領域36a1,36a2,36a3,36a4が順に、反射ビーム33の入射方向から見て半時計周りに配置されて、全体として一つの受光領域36a1+36a2+36a3+36a4が構成されている。実施例1の前記4分割フォトダイオード36aでは、受光領域36a1,36a2が上側になるように配置され、受光領域36a1,36a4が前側になるように配置されている。
そして、前記反射ビーム33が入射すると、各受光領域36a1〜36a4に入射した光量に応じた信号を出力する。
ここで、反射ビーム33が入射した場合に、受光領域36a1,36a2,36a3,36a4の測定値を順に、Ea1,Ea2,Ea3,Ea4で表すと、前側を正として、(Ea1+Ea4−Ea2−Ea3)/(Ea1+Ea2+Ea3+Ea4)で反射ビーム33の前後方向の位置が測定される。また、上側を正として、(Ea1+Ea2−Ea3−Ea4)/(Ea1+Ea2+Ea3+Ea4)で反射ビーム33の上下方向の位置が測定される。
【0032】
前記中側受光ダイオード36は、前記反射ビーム33の入射位置に基づいて、棒材3に接近離間する方向の一例としての前後方向についての前記下側プローブP1と前記中側プローブP3との相対的な位置ずれ量である第1の位置ずれ量の一例としての下側ゼロ点ずれを測定する。
【0033】
前記上側プローブP5の発光部9の右側には、第2のずれ量測定器の一例としての上側受光ダイオード37が一体的に支持されている。前記上側受光ダイオード37は、受部の一例としての4分割フォトダイオード37aを有している。前記4分割フォトダイオード37aには、透過ビーム34が入射する。そして、前記上側受光ダイオード37は、前記透過ビーム34の入射位置に基づいて、前記中側受光ダイオード36と同様の構成で、前後方向についての前記下側プローブP1と前記上側プローブP5との相対的な位置ずれ量である第2の位置ずれ量を測定することにより、前後方向についての前記中側プローブP3と上側プローブP5との相対的な位置ずれ量の一例としての上側ゼロ点ずれを測定する。
【0034】
前記中側プローブP3の上部には、第3のずれ量測定器の一例としての渦電流センサ41が一体的に支持されている。前記渦電流センサ41の前方には、被検知部の一例としてのセンサターゲット42が配置されており、前記対向プローブP4の発光部9の上部に一体的に支持されている。
前記渦電流センサ41は、磁界をセンサターゲット42にかけて渦電流を発生させ、渦電流による前記渦電流センサ41側のインピーダンスの発振状態を測定することにより、距離を測定することができ、棒材3に接近離間する方向の一例としての前後方向について、中側プローブP3と対向プローブP4との相対的な位置ずれ量である第3の位置ずれ量の一例としての対向位置変動量を測定する。
【0035】
前記下側プローブP1と、中側プローブP3と、上側プローブP5と、走査ステージ7と、下側マウントプレート8と、中側マウントプレート12と、上側マウントプレート13と、レーザ放射部21と、受光ホルダ31のビームスプリッタ32、中側受光ダイオード36と、上側受光ダイオード37と、渦電流センサ41とにより、実施例1の測定ユニットの一例としての3点法ユニットU1が構成されている。
前記3点法ユニットU1は、棒材3に対する相対的な移動方向の下流側の一例として、3点法ユニットU1自体が、前記リニアガイド4に沿って上側に移動可能に構成されている。
また、前記対向プローブP4と、マウントプレート14と、保持バー16と、ターゲット42とにより、実施例1の第2の測定ユニットの一例としての反転ユニットU2が構成されている。
前記反転ユニットU2は、走査ステージ7に支持されており、前記3点法ユニットU1と一体的に、棒材3に沿って上側移動可能に構成されている。
【0036】
図1において、前記ベース部1、ターンテーブル2、リニアガイド4、ネジ軸6、3点法ユニットU1及び反転ユニットU2等により、実施例1の真直度測定装置Aが構成されている。
前記真直度測定装置Aは、情報処理装置の一例としてのコンピュータCにより、制御されて、図示しない駆動源により、ターンテーブル1やネジ軸6の回転が制御されて、3点法ユニットU1及び反転ユニットU2と、棒材3との相対的な測定位置の関係が制御される。
また、前記コンピュータCにより、各プローブP1,P3,P4,P5、レーザ放射部21及び渦電流センサ41が制御され、各プローブP1,P3,P4,P5、各受光ダイオード36,37及び渦電流センサ41の測定結果が、コンピュータCに送信されて処理される。
【0037】
(実施例1のコンピュータCの説明)
図4は実施例1のコンピュータが備えている各機能をブロック図で示した図である。
図5は実施例1のコンピュータが備えている各機能をブロック図で示した図であり、図4の続きの説明図である。
図4、図5において、前記コンピュータCは、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行う入出力信号調節部の一例としての入出力インターフェース、いわゆる、I/O、必要な処理を実行するためのプログラムおよびデータ等が記憶されたリードオンリーメモリ、いわゆる、ROM、必要なデータを一時的に記憶するためのランダムアクセスメモリ、いわゆる、RAM、前記ROMに記憶されたプログラムに応じた処理を行う中央演算処理装置、いわゆる、CPU、ならびにクロック発振器等を有しており、前記ROMに記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0038】
(コンピュータCに接続された信号入力要素)
前記コンピュータCは、入力装置H1、下側プローブP1、中側プローブP3、上側プローブP5、対向プローブP4、中側受光ダイオード36、上側受光ダイオード37、渦電流センサ41等の信号入力要素からの信号が入力されている。
H1:入力装置
入力装置H1は、いわゆる、キーボードやマウスにより構成されており、キーボードやマウスが操作されて、設定が入力されたり、コンピュータCによる処理が開始されたりする。
【0039】
図6は図2におけるVI−VI線方向に見た図に相当する実施例1のプローブの測定結果の説明図であり、図6Aは反転前の説明図、図6Bは反転後の説明図である。
なお、図6において、理解を容易にするために、前記各プローブP1,P3,P4,P5を模式的に表し、それぞれ、符号P1′,P3′,P4′,P5′で表している。
図6において、3点法ユニットU1及び反転ユニットU2の移動方向、すなわち、上下方向をX軸方向として、中側プローブP3が測定する位置を位置Xで表す。
図6Aにおいて、3点法ユニットU1のプローブP1′,P3′,P5′に測定される棒材3の表面形状をf(X)で表す。また、反転ユニットU2の対向プローブP4′に測定される表面形状、すなわち、表面形状がf(X)の部分とは180°異なる反対側の表面形状をg(X)で表す。
【0040】
P1:下側プローブ
図2において、下側プローブP1は、棒材3の表面形状f(X)を測定する。実施例1の下側プローブP1は、受光部11がシート状レーザP1aを受光して、受光したシート状レーザP1aの後端の境界位置を基準として、受光したシート状レーザP1aの前端の境界位置までの距離m(X)を測定することにより、表面形状f(X)を測定する。
図6Aにおいて、理解の容易のために、距離m(X)を、下側プローブP1′の先端から棒材3表面までの距離m(X)として模式的に示す。
P3:中側プローブ
中側プローブP3は、前記下側プローブP1と同様の構成で、距離m(X)を測定し、棒材3の表面形状f(X)を測定する。
図6Aにおいて、理解の容易のために、前記距離m(X)は、中側プローブP3′の先端から棒材3表面までの距離m(X)として模式的に示す。
【0041】
P5:上側プローブ
上側プローブP5は、前記下側プローブP1と同様の構成で、距離m(X)を測定し、棒材3の表面形状f(X)を測定する。
図6Aにおいて、理解の容易のために、距離m(X)は、上側プローブP5′の先端から棒材3表面までの距離m(X)として模式的に示す。
P4:対向プローブ
対向プローブP4は、前記下側プローブP1と同様の構成で、距離m(X)を測定し、棒材3の表面形状g(X)を測定する。
図6Aにおいて、理解の容易のために、距離m(X)は、対向プローブP4′の先端から棒材3表面までの距離m(X)として模式的に示す。
【0042】
36:中側受光ダイオード
図3において、中側受光ダイオード36は、4分割フォトダイオード36aにより、反射レーザ33を測定する。
37:上側受光ダイオード
図3において、上側受光ダイオード37は、4分割フォトダイオード37aにより、透過レーザ34を測定する。
41:渦電流センサ
渦電流センサ41は、渦電流による前記渦電流センサ41側のインピーダンスの発振状態の測定結果に基づいて、センサターゲット42との距離W34(X)を測定する。
図6Aにおいて、理解の容易のために、渦電流センサ41が中側プローブP2′の先端に配置され、且つ、センサターゲット42が対向プローブP4′の先端に配置されているものと考えて、前記距離W34(X)を、中側プローブP2′の先端から対向プローブP4′の先端までの距離W34として模式的に表す。
なお、図6において、下側プローブP1と中側プローブP3の移動方向、すなわち、上下方向の間隔を距離d13と表し、中側プローブP3と上側プローブP5の上下方向の間隔を距離d35とする。
【0043】
(コンピュータCに接続された制御要素)
コンピュータCは、ディスプレイH2、ネジ軸駆動回路D1、ターンテーブル駆動回路D2、レーザ駆動回路D3、その他の制御要素に接続されており、それらの作動制御信号を出力している。
H2:ディスプレイ
表示器の一例としてのディスプレイH2は、コンピュータCで処理された情報を表示する。
D1:ネジ軸駆動回路
ネジ軸駆動回路D1は、駆動源の一例としてのネジ軸用モータM1を介して、ネジ軸6を回転させて、走査ステージ7を上側である下流、又は、下側である上流に移動させて、3点法ユニットU1及び反転ユニットU2を棒材3に沿って移動させる。
D2:ターンテーブル駆動回路
ターンテーブル駆動回路D2は、駆動源の一例としてのテーブル用駆動モータM2を介して、前記ターンテーブル2を180°回転させて、各プローブP1,P3,P4,P5に対向する棒材3の表面を反転させる。
D3:レーザ駆動回路
レーザ駆動回路D3は、レーザ光源27にレーザビーム28を放射させて、レーザ放射部21からレーザビーム28を放射させる。
【0044】
(コンピュータCの機能)
前記コンピュータCは、前記入力装置H1、下側プローブP1、中側プローブP3、上側プローブP5、対向プローブP4、中側受光ダイオード36、上側受光ダイオード37、渦電流センサ41等の前記信号出力要素からの入力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を有している。すなわち、コンピュータCは次の機能を有している。
C1:表面測定手段
表面測定手段C1は、ステージ移動制御手段C1Aと、ターンテーブル制御手段C1Bと、プローブ出力記憶手段C1Cとを有しており、各プローブP1,P3,P4,P5により、棒材3の表面形状を測定する。
【0045】
C1A:ステージ移動制御手段
ステージ移動制御手段C1Aは、ネジ軸回転判別手段C1A1を有し、前記ネジ軸駆動回路D1を介して、ネジ軸6を回転させることにより、走査ステージ7の上下方向の移動を制御する。すなわち、図6Aにおいて、前記ステージ移動制御手段C1Aにより、3点法ユニットU1及び反転ユニットU2の上下方向の移動が制御され、中側プローブP2の測定位置が位置Xの場合における棒材3の表面形状が測定可能となる。
実施例1のステージ移動制御手段C1Aは、前記走査ステージ7を、下方に予め設定された開始位置から上方に予め設定された折返位置まで、予め設定された速度のままで移動させる。そして、前記ステージ移動制御手段C1Aは、走査ステージ7を、前記折返位置から前記開始位置まで、前記速度のままで移動させる。
【0046】
C1A1:ネジ軸回転判別手段
ネジ軸回転判別手段C1A1は、ネジ軸6が、予め設定された移動間隔角度R回転したか否かを判別すると共に、ネジ軸6が、予め設定された到達回数Na[回]、前記移動間隔角度Rだけ回転したか否かを判別する。
なお、前記移動間隔角度Rは、プローブP1,P3,P4,P5の測定間隔に対応する回転角度に設定されている。実施例1では、前記移動間隔角度Rは、ある測定位置Xに対して、原則として、X−d13,X+d35も測定位置となるような角度として設定されている。また、前記到達回数Naは、棒材3の測定可能領域の最大幅に対応して設定されており、ネジ軸6が角度R×Na、回転した場合に、走査ステージ7が開始位置と折返位置との間を移動する回数として設定されている。
【0047】
C1B:ターンテーブル制御手段
ターンテーブル制御手段C1Bは、前記ターンテーブル駆動回路D2を介して、ターンテーブル2を反転させる。
実施例1のターンテーブル制御手段C1Bは、走査ステージ7が折返位置に到達した場合に、ターンテーブル2を反転させて、ターンテーブル2上の棒材3を反転させる。
図6Bにおいて、これにより、3点法ユニットU1の各プローブP1,P3,P5に測定される棒材3の表面部分と、反転ユニットU2の対向プローブP4に測定される棒材3の表面部分とが切り替えられる。
【0048】
C1C:プローブ出力記憶手段
プローブ出力記憶手段C1Cは、下側プローブ出力記憶手段C1C1と、中側プローブ出力記憶手段C1C2と、上側プローブ出力記憶手段C1C3と、対向プローブ出力記憶手段C1C4とを有し、反転前後の位置Xにおける各プローブP1,P3,P5,P4の出力を、それぞれの各プローブ出力記憶手段C1C1〜C1C4が記憶する。
実施例1のプローブ出力記憶手段C1Cでは、予め設定された移動間隔角度Rで、プローブP1,P3,P5,P4の出力を記憶することで、位置Xにおける出力が記憶される。
【0049】
C2:受光ダイオード出力記憶手段
受光ダイオード出力記憶手段C2は、中側受光ダイオード出力記憶手段C2Aと、上側受光ダイオード出力記憶手段C2Bとを有し、受光ダイオード36,37の出力を記憶する。
C2A:中側受光ダイオード出力記憶手段
中側受光ダイオード出力記憶手段C2Aは、反転前後の位置Xにおける4分割フォトダイオード36aの各受光領域36a1〜36a4の出力Ea1〜Ea4を記憶する。
実施例1では、中側受光ダイオード出力記憶手段C2Aは、前記プローブ出力記憶手段C1Cの記憶する時期、いわゆる、記憶するタイミングと同期をとって、出力Ea1〜Ea4を位置X毎に記憶する。
【0050】
C2B:上側受光ダイオード出力記憶手段
上側受光ダイオード出力記憶手段C2Bは、中側受光ダイオード出力記憶手段C2Aと同様に構成されており、対応する受光ダイオード37が異なるだけなのでその詳細な説明は省略する。
C3:渦電流センサ出力記憶手段
渦電流センサ出力記憶手段C3は、反転前後の位置Xにおける渦電流センサ41の出力W34(X)を記憶する。
実施例1では、渦電流センサ出力記憶手段C3は、前記プローブ出力記憶手段C1Cの記憶するタイミングと同期をとって、渦電流センサ41の出力W34(X)を反転前後の位置X毎に記憶する。
【0051】
C4:ビーム入射位置演算手段
ビーム入射位置演算手段C4は、反射ビーム入射位置演算手段C4Aと、透過ビーム入射位置演算手段C4Bとを有し、前記受光ダイオード出力記憶手段C2の記憶情報に基づいて、反射ビーム33と透過ビーム34とについて、反転前後の位置X毎の入射位置を演算する。
C4A:反射ビーム入射位置演算手段
反射ビーム入射位置演算手段C4Aは、中側受光ダイオード出力記憶手段C2Aの記憶情報に基づいて、反射ビーム33の位置X毎の入射位置を演算する。
実施例1の反射ビーム入射位置演算手段C4Aは、前記中側受光ダイオード出力記憶手段C2Aの記憶情報に基づいて、4分割フォトダイオード36aの各受光領域36a1〜36a4に対応する位置X毎の出力値Ea1〜Ea4から、反射ビーム33の前後方向及び上下方向の入射位置を演算する。
【0052】
すなわち、図3Cにおいて、実施例1の反射ビーム入射位置演算手段C4Aは、反射ビーム33の前後方向の入射位置については、前側を正として、(Ea1+Ea4−Ea2−Ea3)/(Ea1+Ea2+Ea3+Ea4)により演算する。また、前記反射ビーム入射位置演算手段C4Aは、反射ビーム33aの上下方向の入射位置については、上側を正として、(Ea1+Ea2−Ea3−Ea4)/(Ea1+Ea2+Ea3+Ea4)により演算する。
【0053】
C4B:透過ビーム入射位置演算手段
透過ビーム入射位置演算手段C4Bは、上側受光ダイオード出力記憶手段C2Bの記憶情報に基づいて、透過ビーム34の位置X毎の入射位置を演算する。
透過ビーム入射位置演算手段C4Bは、前記反射ビーム入射位置演算手段C4Aと同様に構成されるため、その詳細な説明は省略する。
【0054】
C5:ビーム位置ずれ演算手段
ビーム位置ずれ演算手段C5は、反射ビーム位置ずれ演算手段C5Aと、透過ビーム位置ずれ演算手段C5Bとを有し、反射ビーム33、透過ビーム34の入射位置の基準位置に対する位置ずれ量Δt(X),Δt(X)を演算する。
なお、実施例1では、前記ビーム位置ずれ演算手段C5は、前後方向の成分についての位置ずれ量Δt(X),Δt(X)を演算する。
C5A:反射ビーム位置ずれ演算手段
反射ビーム位置ずれ演算手段C5Aは、前記中側受光ダイオード36の測定結果に基づいて、反射ビーム33の入射位置の位置ずれ量Δt(X)を演算する。
実施例1の反射ビーム位置ずれ演算手段C5Aは、中側受光ダイオード36の測定結果としての前記反射ビーム入射位置演算手段C4Aの演算結果に基づいて、反射ビーム33の入射位置の位置ずれ量Δt(X)を演算する。
すなわち、実施例1の反射ビーム位置ずれ演算手段C5Aは、測定開始の際の開始位置Xにおける入射位置t30を基準位置として、他の位置Xにおける入射位置t(X)の反射ビーム位置ずれ量Δt(X)(=t(X)−t30)を演算する。
【0055】
C5B:透過ビーム位置ずれ演算手段
透過ビーム位置ずれ演算手段C5Bは、前記上側受光ダイオード37の測定結果に基づいて、透過ビーム34の入射位置の位置ずれ量Δt(X)を演算する。
実施例1の透過ビーム位置ずれ演算手段C5Bは、上側受光ダイオード37の測定結果としての前記透過ビーム入射位置演算手段C4Bの演算結果に基づいて、透過ビーム34の入射位置の位置ずれ量Δt(X)を演算する。
すなわち、実施例1の透過ビーム位置ずれ演算手段C5Bは、測定開始の際の開始位置Xにおける入射位置t50(=t(X))を基準位置として、他の位置Xにおける入射位置t(X)の透過ビーム位置ずれ量Δt(X)(=t(X)−t50)を演算する。
【0056】
図7は実施例1のゼロ点ずれの説明図であり、図7Aはレーザ放射部、ビームスプリッタ、受光ダイオード及び各プローブの位置の説明図、図7Bは開始位置におけるゼロ点ずれの説明図、図7Cは開始位置から移動した状態のゼロ点ずれの説明図である。
なお、図6、図7以降において、理解の容易のために、レーザ放射部21、ビームスプリッタ32、受光ダイオード36,37、各プローブP1,P3,P5等は模式的に示してあり、それらを、符号21′,32′,36′,37′,P1′,P3′,P5′で示している。また、模式的に示しているため、ビームスプリッタ32′の傾斜する方向や反射ビーム33の進む方向は、実施例1の真直度測定装置Aにおける方向とは異なる方向で表されている。
【0057】
C6:相対位置変動量演算手段
相対位置変動量演算手段C6は、前記ビーム位置ずれ演算手段C5の演算結果に基づいて、位置X毎の相対位置変動量Δk(X)を演算する。
実施例1の相対位置変動量演算手段C6は、以下の説明に基づいて、相対位置変動量Δk(X)を演算する。
図6〜図7において、組み付け誤差などにより、各プローブP1′,P3′,P5′の間には測定基準のずれが生じている場合がある。また、これらの測定基準のずれは、熱変動などにより、位置X毎に異なる場合がある。そこで、図6〜図7において、測定基準のずれを表すために、中側プローブP3′の先端位置に対する下側プローブP1′の先端位置の前後方向のずれを下側ゼロ点ずれとしてk13(X)と表す。また、中側プローブP3′の先端位置に対する上側プローブP5′の先端位置の前後方向のずれを上側ゼロ点ずれとしてk35(X)と表す。
また、図6〜図7において、下側プローブP1と中側プローブP3の移動方向、すなわち、上下方向の間隔を距離d13と表し、中側プローブP3と上側プローブP5の上下方向の間隔を距離d35とする。
ここで、図7B、図7Cにおいて、ゼロ点ずれk(X)を、以下の式(5)のように定義する。
k(X)=k13 (X)/d13+k35 (X)/d35…式(5)
【0058】
図7Bにおいて、下側プローブP1′について、開始位置Xのレーザビーム28の出射位置に対応する部分をP10(=P(X))で表す。また、中側プローブP2′については、開始位置Xのレーザビーム28のビームスプリッタ32′への入射位置に対応する部分をP30(=P(X))で表す。さらに、開始位置Xの上側プローブP3′について、透過ビーム34の入射位置に対応する部分をP50(=P(X))で表す。そして、図7Cにおいて、各プローブP1′,P3′,P5′に設定された部分P10,P30,P50の変動後の前後方向の位置について、それぞれ、P(X),P(X),P(X)で表す。
【0059】
図7Cにおいて、走査ステージ7が移動して、ゼロ点ずれk(X)が変動した場合を考える。k(X)の変動を伴わない全体の傾斜、すなわち、姿勢の変動は、3点法においては無視して構わないことが知られているので(例えば、非特許文献1)、前記ゼロ点ずれk(X)においても無視して考える。
ここで、下側プローブP1′の位置P(X)と上側プローブP5′の位置P(X)とを結ぶ直線P(X)P(X)が姿勢を表すものと考え、前記直線P(X)P(X)がX軸方向に延びているものとみなして、直線P(X)P(X)からの前後方向の位置P3(X)の相対位置変動量をΔk(X)とすると、位置Xにおけるゼロ点ずれk(X)は、以下の式(6)と表せる。
k(X)
=k13 (X)/d13+k35(X)/d35
=(k13 (X)−Δk(X))/d13
+(k35 (X)−Δk(X))/d35
=k13 (X)/d13+k35(X)/d35
−Δk(X)・(1/d13+1/d35
=k (X)−Δk(X)・(1/d13+1/d35)…式(6)
したがって、相対位置変動量Δk(X)が求まれば、前記式(6)によって、ゼロ点ずれk(X)が求められる。
【0060】
図8は実施例1の相対位置変動量の説明図であり、プローブの位置が変動した場合の説明図である。
図8において、位置Xにおけるレーザビーム28の放射方向が、開始位置Xの放射方向に対して微小角θ(X)変動している。また、各プローブP1′,P3′,P5′も位置P(X),P(X),P(X)に移動している。
このとき、中側受光ダイオード36には、反射ビーム33が位置t(X)に入射したと測定される。また、上側受光ダイオード37には、透過ビーム34が、位置t(X)に入射したと測定される。
ここで、レーザビーム28の直進性を考慮して、図8より、相対位置変動量Δk(X)は、以下の式(7)と表せる。
Δk(X)
=Δt(X)−Δt(X)・d13/(d13+d35)…式(7)
したがって、実施例1の前記位置変動量演算手段C6は、反射ビーム位置ずれ量Δt(X)、透過ビーム位置ずれ量Δt(X)に基づいて、位置Xにおける相対位置変動量Δk(X)を式(7)によって、演算する。
【0061】
C7:対向位置変動量演算手段
対向位置変動量演算手段C7は、前記渦電流センサ41の測定結果に基づいて、反転前後の位置Xにおける対向位置変動量ΔW34(X)を演算する。
図6において、実施例1の対向位置変動量演算手段C7は、開始位置Xにおける測定結果W340(=W34(X))と、前記測定結果W34(X)に基づいて、対向位置変動量ΔW34(X)(=W34(X)−W340)を演算する。
【0062】
C8:表面形状演算手段
表面形状演算手段C8は、二階差分値演算手段C8Aと、二階積分演算手段C8Bとを有し、前記プローブ出力記憶手段C1Cの記憶情報と、相対位置変動量演算手段C6の演算結果と、対向位置変動量演算手段C7の演算結果とに基づいて、棒材3の表面形状f(X),g(X)を演算する。
C8A:二階差分値演算手段
二階差分値演算手段C8Aは、前記プローブ出力記憶手段C1Cの記憶情報と、前記演算手段C6,C7の演算結果に基づいて、表面形状f(X),g(X)の二階差分値Δf(X),Δg(X)を演算する。
実施例1の二階差分値演算手段C8Aでは、以下の処理に基づく演算が行われる。
【0063】
図6において、走査ステージ7が移動する際のプローブP3′の前後方向の設定位置をKとし、Kからの前後方向の移動誤差を走査誤差e(X)として表し、走査ステージ7の傾斜による誤差を傾斜誤差p(X)として表す。また、前記棒材3に沿って、棒材3の内部を上下方向に延びる直線を基準軸c(X)で表す。
ここで、表面形状f(X),g(X)が、前記基準軸c(X)から各表面までの距離を表すものとする。
なお、反転前後で変化する値について、反転後の位置Xの値については、走査誤差e(X)、傾斜誤差p(X)、直線c(X)のように、添え字rをつけて表す。
また、走査時の姿勢変化p(X),p(X)や直線c(X),c(X)の傾きの差による各プローブP1′〜P5′の測定位置Xの変化は無視できるものとする。
【0064】
図6Aにおいて、反転前の各プローブP1′〜P5′の出力値を、基準軸c(X)から離れる方向を正方向として、それぞれ、m(X)〜m(X)と表す。また、対向プローブP4′の測定基準のずれを、プローブP3′の先端に対する対向プローブP4′の先端の前後方向の距離として、k34(X)と表す。このとき、以下の式(8)〜(11)が成立する。
c(X−d13)−f(X−d13
=e(X)+k13(X)−d13・p(X)−m(X)+K…式(8)
c(X)−f(X)
=e(X)−m(X)+K…式(9)
c(X+d35)−f(X+d35
=e(X)+k35(X)+d35・p(X)−m(X)+K…式(10)
c(X)+g(X)
=e(X)+k34(X)+m(X)+K…式(11)
【0065】
図6Bにおいて、反転後の各プローブP1′〜P5′の出力値を、基準軸c(X)から離れる方向を正方向として、それぞれ、m1r(X)〜m5r(X)と表すと、以下の式(12)〜(15)が成立する。
(X−d13)−g(X−d13
=e(X)+k13r(X)−d13・p(X)−m1r(X)+K3r
…式(12)
(X)−g(X)
=e(X)−m3r(X)+K3r…式(13)
(X+d35)−g(X+d35
=e(X)+k35r(X)+d35・p(X)−m5r(X)+K3r
…式(14)
(X)+f(X)
=e(X)+k34r(X)+m4r(X)+K3r…式(15)
【0066】
前記式(10)から式(9)を辺々引くと、以下の式(16)が成立する。
c(X+d35)−c(X)−f(X+d35)+f(X)
=k35(X)+d35・p(X)−m(X)+m(X)…式(16)
ここで、式(16)の両辺をd35で割ると、以下の式(17)が成立する。
c(X+d35)/d35−c(X) /d35
−f(X+d35)/d35+f(X) /d35
=k35(X)/d35+p(X)−m(X)/d35+m(X)/d35
…式(17)
同様にして、式(9)から式(8)を辺々引き、d13で両辺を割ると、以下の式(18)が成立する。
c(X) /d13−c(X−d13)/d13
−f(X)/d13+f(X−d13) /d13
=−k13(X)/d13+p(X)+m(X)/d13
−m(X)/d13…式(18)
そして、式(17)から式(18)を辺々引くと、以下の式(19)が成立する。
{c(X+d35)/d35−c(X)・(1/d35+1/d13
+c(X−d13)/d13
−{f(X+d35)/d35−f(X)・(1/d35+1/d13
+f(X−d13)/d13
={k35(X)/d35+k13(X)/d13
−{m(X)/d35−m(X)・(1/d35+/d13
+m(X)/d13}…式(19)
【0067】
ここで、前記式(19)における{c(X+d35)/d35−c(X)・(1/d35+1/d13)+c(X−d13)/d13}を変形すると、以下の式(20)が得られる。
c(X+d35)/d35−c(X)・(1/d35+1/d13
+c(X−d13)/d13
=c(X+d35)/d35−c(X)/d35−c(X)/d13
+c(X−d13)/d13
={c(X+d35)−c(X)}/d35
−{c(X)−c(X−d13)}/d13…式(20)
前記式(20)において、{c(X+d35)−c(X)}/d35と{c(X)−c(X−d13)/d13}は共に、同一の直線の傾きを表すので、式(20)は0に等しい。
すなわち、前記式(19)は、式(21)のように表せる。
−{f(X+d35)/d35−f(X)・(1/d35+1/d13
+f(X−d13)/d13
={k35(X)/d35+k13(X)/d13
−{m(X)/d35−m(X)・(1/d35+/d13
+m(X)/d13}…式(21)
【0068】
同様にして、前記式(12)〜(14)に基づいて、式(22)が得られる。
−{g(X+d35)/d35−g(X)・(1/d35+1/d13
+g(X−d13)/d13
={k35r(X)/d35+k13r(X)/d13
−{m5r(X)/d35−m3r(X)・(1/d35+1/d13
+m1r(X)/d13}…式(22)
【0069】
ここで、式(21)と式(22)から、{f(X+d35)/d35−f(X)・(1/d35+1/d13)+f(X−d13)/d13}と、{g(X+d35)/d35−g(X)・(1/d35+1/d13)+g(X−d13)/d13}との差は、以下の式(23)と表せる。
{f(X+d35)/d35−f(X)・(1/d35+1/d13
+f(X−d13)/d13
−{g(X+d35)/d35−g(X)・(1/d35+1/d13
+g(X−d13)/d13
=−{k35(X)/d35+k13(X)/d13
+{k35r(X)/d35+k13r(X)/d13
+{m(X)/d35−m(X)・(1/d35+1/d13
+m(X)/d13
−{m5r(X)/d35−m3r(X)・(1/d35+1/d13
+m1r(X)/d13}…式(23)
【0070】
前記式(23)における{k35(X)/d35+k13(X)/d13},{k35r(X)/d35+k13r(X)/d13}は反転前後におけるゼロ点ずれk(X),k(X)を表すから、前記式(6)より、それぞれ、以下の式(24),(25)と表せる。
{k35(X)/d35+k13(X)/d13
=k(X)−Δk(X)・(1/d13+1/d35)…式(24)
{k35r(X)/d35+k13r(X)/d13
=k(X)−Δk(X)・(1/d13+1/d35)…式(25)
【0071】
前記式(24),(25)を前記式(23)に代入してまとめると、以下の式(26)が得られる。
{f(X+d35)/d35−f(X)・(1/d35+1/d13
+f(X−d13)/d13
−{g(X+d35)/d35−g(X)・(1/d35+1/d13
+g(X−d13)/d13
=Δk(X)・(1/d35+1/d13
−Δk(X)・(1/d35+1/d13
+{m(X)/d35−m(X)・(1/d35+1/d13
+m(X)/d13
−{m5r(X)/d35−m3r(X)・(1/d35+1/d13
+m1r(X)/d13}…式(26)
【0072】
ところで、式(11)から式(9)を辺々引くと、以下の式(27)が得られる。
f(X)+g(X)=k34(X)+m(X)+m(X)…式(27)
前記式(27)に基づいて、Xから+d35,−d13シフトさせると、
f(X+d35)+g(X+d35
=k34(X+d35)+m(X+d35)+m(X+d35)…式(28)
f(X−d13)+g(X−d13
=k34(X−d13)+m(X−d13)+m(X−d13)…式(29)
【0073】
ここで、前記式(27)〜(29)より、{f(X+d35)/d35−f(X)・(1/d35+1/d13)+f(X−d13)/d13}と、{g(X+d35)/d35−g(X)・(1/d35+1/d13)+g(X−d13)/d13}との和は、以下の式(30)として得られる。
{f(X+d35)/d35−f(X)・(1/d35+1/d13
+f(X−d13)/d13
+{g(X+d35)/d35−g(X)・(1/d35+1/d13
+g(X−d13)/d13
={f(X+d35)+g(X+d35)}/d35
−{f(X)+g(X)}・(1/d35+1/d13
+{f(X−d13)+g(X−d13)}/d13
={k34(X+d35)+m(X+d35)+m(X+d35)}/d35
−{k34(X)+m(X)+m(X)}・(1/d35+1/d13
+{k34(X−d13)+m(X−d13
+m(X−d13)}/d13…式(30)
【0074】
ここで、k34(X)とW34(X)は共に、中側プローブP3′に対する対向プローブP4′の前後方向の距離を表すので、式(30)におけるk34(X+d35),k34(X),k34(X−d13)を、それぞれ、W34(X+d35),W34(X),W34(X−d13)で置き換えて良く、前記式(30)は、以下の式(31)と表せる。
{f(X+d35)/d35−f(X)・(1/d35+1/d13
+f(X−d13)/d13
+{g(X+d35)/d35−g(X)・(1/d35+1/d13
+g(X−d13)/d13
={k34(X+d35)+m(X+d35)+m(X+d35)}/d35
−{k34(X)+m(X)+m(X)}・(1/d35+1/d13
+{k34(X−d13)+m(X−d13)+m(X−d13)}/d13
={W34(X+d35)+m(X+d35)+m(X+d35)}/d35
−{W34(X)+m(X)+m(X)}・(1/d35+1/d13
+{W34(X−d13)+m(X−d13)+m(X−d13)}/d13
={W340+ΔW34(X+d35
+m(X+d35)+m(X+d35)}/d35
−{W340+ΔW34(X)
+m(X)+m(X)}・(1/d35+1/d13
+{W340+ΔW34(X−d13
+m(X−d13)+m(X−d13)}/d13
={m(X+d35)+m(X+d35)}/d35
−{m(X)+m(X)}・(1/d35+1/d13
+{m(X−d13)+m(X−d13)}/d13
+{ΔW34(X+d35)/d35
−ΔW34(X)・(1/d35+1/d13
+ΔW34(X−d13)/d13}…式(31)
【0075】
前記式(26),(31)を連立させることにより、{f(X+d35)/d35−f(X)・(1/d35+1/d13)+f(X−d13)/d13}と、{g(X+d35)/d35−g(X)・(1/d35+1/d13)+g(X−d13)/d13}とが得られる。したがって、d=(d35+d13)/2として、二階差分値Δf(X)は、以下の式(32)と表せる。
Δf(X)
= [{f(X+d35)−f(X)}/d35
−{f(X)−f(X−d13)}/d13]/d
=(1/d)・{f(X+d35)/d35−f(X)・(1/d35+1/d13
+f(X−d13)/d13
={1/(d35+d13)}
×[{m(X)/d35−m(X)・(1/d35+1/d13
+m(X)/d13
−{m5r(X)/d35−m3r(X)・(1/d35+1/d13
+m1r(X)/d13
+{m(X+d35)+m(X+d35)}/d35
−{m(X)+m(X)}・(1/d35+1/d13
+{m(X−d13)+m(X−d13)}/d13
+{ΔW34(X+d35)/d35
−ΔW34(X)・(1/d35+1/d13
+ΔW34(X−d13)/d13
+{Δk(X)−Δk(X)}・(1/d35+1/d13)]
…式(32)
【0076】
同様にして、二階差分値Δg(X)は、以下の式(33)と表せる。
Δg(X)
=[{g(X+d35)−g(X)}/d35
−{g(X)−g(X−d13)}/d13]/d
=(1/d)・{g(X+d35)/d35−g(X)・(1/d35+1/d13
+g(X−d13)/d13
={1/(d35+d13)}
×[{m5r(X)/d35−m3r(X)・(1/d35+1/d13
+m1r(X)/d13
−{m(X)/d35−m(X)・(1/d35+1/d13
+m(X)/d13
+{m(X+d35)+m(X+d35)}/d35
−{m(X)+m(X)}・(1/d35+1/d13
+{m(X−d13)+m(X−d13)}/d13
+{ΔW34(X+d35)/d35
−ΔW34(X)・(1/d35+1/d13
+ΔW34(X−d13)/d13
+{Δk(X)−Δk(X)}・(1/d35+1/d13)]
…式(33)
【0077】
したがって、前記二階差分値演算手段C8は、前記プローブ出力記憶手段C1Cの記憶情報である出力m(X)〜m(X),m1r(X)〜m5r(X)と、相対位置変動量演算手段C6の演算結果である相対位置変動量Δk(X),Δk(X)と、対向位置変動量演算手段C7の演算結果である対向位置変動量ΔW34(X)とに基づいて、前記式(32),(33)により、Δf(X),Δg(X)を演算する。
なお、実施例1の前記二階差分値演算手段C8Aでは、式(32),(33)におけるm(X+d35),m(X+d35),m(X−d13),m(X−d13),ΔW34(X+d35),ΔW34(X−d13)については、前記プローブ出力記憶手段C1Cの記憶情報である出力m(X),m(X),m3r(X),m4r(X)と、対向位置変動量演算手段C7の演算結果である対向位置変動量ΔW34(X)とのうち、測定位置X+d35,X−d13で測定した値が用いられる。
【0078】
C8B:二階積分演算手段
二階積分演算手段C8Bは、前記二階差分値演算手段C8Aにより演算された二階差分値Δf(X),Δg(X)を数値積分して、表面形状f(X),g(X)を導出、演算する。
実施例1の前記二階積分演算手段C8Bでは、以下の処理に基づいて表面形状f(X),g(X)を導出、演算する。
回転角度Rに基づくサンプリング距離の間隔をsとする。また、前記測定回数Na回のうち、前記式(32),(33)の測定値m(X)〜m5r(X),m(X+d35)〜m3r(X−d13)が測定されており、二階差分値Δf(X),Δg(X)の演算が可能な測定回数をnとする。このとき、i(=1,2,…,n)を用いて、測定位置をXで表すと、一回差分値Δf(X)は、以下の式(34)と表せる。なお、実施例1では、nは十分大きくなるように構成されている。
Δf(X
=Δf(X)・s+Δf(X)・s+…+Δf(X)・s…式(34)
【0079】
また、式(34)により、一階差分値Δf(X)をさらに積分して、以下の式(35)が得られる。
f(X
=Δf(X)・s+Δf(X)・s+…+Δf(X)・s
={Δf(X)+Δf(X)+…+Δf(X)}・s
=[{Δf(X)・s}+{Δf(X)・s+Δf(X)・s}
+…+{Δf(X)・s+Δf(X)・s
+…+Δf(X)・s}]・s
={Δf(X)・i+Δf(X)・(i−1)
+…+Δf(X)・1}・s…式(35)
【0080】
したがって、式(35)により、位置Xにおける表面形状f(X)が導出、演算される。これにより、全てのiについて演算することで、前記二階差分値演算手段C8Bは、前記式(38)に基づいて表面形状f(X)を導出、演算する。また、同様にして、前記二階差分値演算手段C8Bは、表面形状g(X)を導出、演算する。そして、この表面形状f(X),g(X)により、棒材3の表面の真直度が測定される。
C8C:演算結果表示手段
演算結果表示手段C8Cは、前記二階差分値演算手段C8Bにより演算された演算結果としての表面形状f(X),g(X)を、前記ディスプレイH2に表示する。
【0081】
(実施例1のフローチャートの説明)
次に、本発明の実施例1の真直度測定装置Aの処理の流れをフローチャートを使用して説明する。
(実施例1の真直度測定処理のフローチャートの説明)
図9は本発明の実施例1の真直度測定処理のフローチャートである。
図9のフローチャートの各ステップSTの処理は、前記真直度測定装置AのコンピュータCに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は真直度測定装置Aの他の各種処理と並行して並列処理で実行される。
図9に示すフローチャートは、真直度測定装置Aの電源投入により開始される。
【0082】
図9のST1において、入力装置H1により測定開始の入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に移り、ノー(N)の場合はST1を繰り返す。
ST2において、次の(1),(2)の処理を実行して、ST3に移る。
(1)N=0をセットする。
(2)ネジ軸6の回転駆動を開始する。
ST3において、次の(1)〜(7)の処理を実行して、ST4に移る。
(1)下側プローブP1の出力値m(X)を取得記憶する。
(2)中側プローブP3の出力値m(X)を取得記憶する。
(3)上側プローブP5の出力値m(X)を取得記憶する。
(4)対向プローブP4の出力値m(X)を取得記憶する。
(5)中側受光ダイオード36の出力値t(X)を取得記憶する。
(6)上側受光ダイオード37の出力値t(X)を取得記憶する。
(7)渦電流センサ41の出力値W34(X)を取得記憶する。
【0083】
ST4において、ネジ軸6が移動間隔角度Rの分、回転したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST5に移り、ノー(N)の場合はST4を繰り返す。
ST5において、測定回数Nを+1加算して(N=N+1)、ST6に移る。
ST6において、測定回数Nが到達回数Na回以上に達したか否か、すなわち、ネジ軸6が到達回数Na回、回転したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST7に移り、ノー(N)の場合はST3に進む。
ST7において、ネジ軸6の駆動を停止して、ST8に移る。
【0084】
ST8において、ターンテーブル2を反転させて、ST9に移る。
ST9において、次の(1),(2)の処理を実行して、ST10に移る。
(1)N=0をセットする。
(2)ネジ軸6の逆回転駆動を開始する。
ST10において、次の(1)〜(7)の処理を実行して、ST11に移る。
(1)下側プローブP1の出力値m1r(X)を取得記憶する。
(2)中側プローブP3の出力値m3r(X)を取得記憶する。
(3)上側プローブP5の出力値m5r(X)を取得記憶する。
(4)対向プローブP4の出力値m4r(X)を取得記憶する。
(5)中側受光ダイオード36の出力値t3r(X)を取得記憶する。
(6)上側受光ダイオード37の出力値t5r(X)を取得記憶する。
(7)渦電流センサ41の出力値W34r(X)を取得記憶する。
【0085】
ST11において、ネジ軸6が移動間隔角度Rの分、回転したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST12に移り、ノー(N)の場合はST11を繰り返す。
ST12において、測定回数Nを+1加算して(N=N+1)、ST13に移る。
ST13において、測定回数Nが到達回数であるNa回以上に達したか否か、すなわち、ネジ軸6がNa回、回転したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST14に移り、ノー(N)の場合はST10に進む。
ST14において、ネジ軸6の駆動を停止して、ST1に戻る。
【0086】
(実施例1の表面形状演算処理のフローチャートの説明)
図10は本発明の実施例1の表面形状演算処理のフローチャートである。
図10のフローチャートの各ステップSTの処理は、前記真直度測定装置AのコンピュータCに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は真直度測定装置Aの他の各種処理と並行して並列処理で実行される。
図10に示すフローチャートは、真直度測定装置Aの電源投入により開始される。
【0087】
図10のST21において、入力装置H1により演算開始の入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST22に移り、ノー(N)の場合はST21を繰り返す。
ST22において、次の(1),(2)の処理を実行して、ST23に移る。
(1)反射ビーム33の位置ずれ量Δt(X),Δt3r(X)を演算する。
(2)透過ビーム34の位置ずれ量Δt(X),Δt5r(X)を演算する。
ST23において、位置ずれ量Δt(X)〜Δt5r(X)に基づいて、相対位置変動量Δk(X),Δk(X)を演算して、ST24に移る。
ST24において、渦電流センサ41の出力値W34(X),W34r(X),W340に基づいて、対向位置変動量ΔW34(X),ΔW34r(X)を演算して、ST25に移る。
ST25において、プローブP1〜P5の出力値m(X)〜m5r(X)、対向位置変動量ΔW34(X),ΔW34r(X)、相対位置変動量Δk(X),Δk(X)に基づいて、二階差分値Δf(X),Δg(X)を演算して、ST26に移る。
ST26において、二階差分値Δf(X),Δg(X)から表面形状f(X),g(X)を演算して、ST27に移る。
ST27において、ディスプレイH2に表面形状f(X),g(X)を表示して、ST21に戻る。
【0088】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の真直度測定装置Aでは、ネジ軸6が回転すると、走査ステージ7が移動して、3点法ユニットU1及び反転ユニットU2が、棒材3に沿って移動する。これにより、各プローブP1〜P5によって、位置Xにおける棒材3の表面が測定されて、真直度が測定される。
この際に、実施例1の真直度測定装置Aでは、受光ダイオード36,37や渦電流センサ41により、各プローブP1〜P5の相対的な位置ずれが測定されており、棒材3の表面形状f(X),g(X)の導出、演算の際に使用される。
【0089】
すなわち、真直度測定処理のST1,ST2により、ネジ軸6が回転すると、3点法ユニットU1及び反転ユニットU2が開始位置から折返位置まで移動する。この際に、真直度測定処理のST3〜ST6により、各プローブP1〜P5の測定タイミングに同期して、受光ダイオード36,37及び渦電流センサ41による測定が行われて、位置X毎に、各プローブP1〜P5の出力値m(X)〜m(X)と、受光ダイオード36,37及び渦電流センサ41の出力値t(X),t(X),W34(X)とが取得、記憶される。
【0090】
そして、真直度測定処理のST7〜ST8により、ネジ軸6が停止して、3点法ユニットU1及び反転ユニットU2も停止し、ターンテーブル2によって棒材3が反転する。その後、真直度測定処理のST9により、ネジ軸6が逆回転すると、3点法ユニットU1及び反転ユニットU2が折返位置から開始位置まで移動する。この際に、真直度測定処理のST10〜ST14により、各プローブP1〜P5の測定タイミングに同期して、受光ダイオード36,37及び渦電流センサ41による測定が行われて、反転後の位置X毎に、各プローブP1〜P5の出力値m1r(X)〜m5r(X)と、受光ダイオード36,37及び渦電流センサ41の出力値t3r(X),t5r(X),W34r(X)とが取得、記憶されて、測定が終了する。
【0091】
そして、位置X毎の各出力値m(X)〜m5r(X),t(X)〜W34r(X)に基づいて表面形状f(X),g(X)が演算導出される。
すなわち、表面形状演算処理のST21〜ST22により、t30(=t(X)),t(X),t3r(X)に基づいて、反転前の反射ビーム位置ずれ量Δt(X)(=t(X)−t30)と、反転後の反射ビーム位置ずれ量Δt3r(X)(=t3r(X)−t30)とが演算されると共に、t50(=t(X)),t(X),t5r(X)に基づいて、反転前の透過ビーム位置ずれ量Δt(X)(=t(X)−t50)と、反転後の透過ビーム位置ずれ量Δt5r(X)(=t5r(X)−t50)とが演算される。
そして、表面形状演算処理のST23により、前記各ビーム位置ずれ量Δt(X),Δt3r(X),Δt(X),Δt5r(X)に基づいて、中側プローブP3に対する下側プローブP1及び上側プローブP5の相対的な位置ずれ量として、式(24),(25)により、相対位置移動量Δk(X),Δk(X)が演算される。
【0092】
さらに、表面形状演算処理のST24により、W340(=W34(X)),W34(X),W34r(X)に基づいて、中側プローブP3に対する対向プローブP4の相対的な位置ずれ量として、反転前の対向位置変動量ΔW34(X)(=W34(X)−W340)と、反転後の対向位置変動量ΔW34r(X)(=W34r(X)−W340)が演算される。
そして、表面形状演算処理のST25により、各プローブP1〜P5の出力値m1r(X)〜m5r(X)と、相対位置変動量Δk(X),Δk(X)と、対向位置変動量ΔW34(X),ΔW34r(X)とに基づいて、式(32),(33)により、二階差分値Δf(X),Δg(X)が演算される。そして、表面形状演算処理のST26,ST27により、二階差分値Δf(X),Δg(X)に基づいて表面形状f(X),g(X)が演算されると、表面形状f(X),g(X)がディスプレイH2に表示されて、一連の処理が終了する。
【0093】
ここで、従来の3点法における装置では、ゼロ点ずれk(X),k(X)を時間的に変動しない値として扱っており、例えば、反転前後で同じ値として補正のための計算を行ったり、測定前に予め補正をしてゼロ点ずれk(X),k(X)の影響を低減している。
したがって、従来の3点法における装置では、例えば、熱変動などによって、測定最中に、走査ステージ7やマウントプレート8,11,12,14などが変形して、各プローブP1〜P5の測定基準の位置がずれた場合、ゼロ点ずれk(X),k(X)による誤差を十分に補正することができなかった。
【0094】
特に、棒材3などの被測定物が長い場合、測定に時間がかかり、熱変動などの影響が発生し易いために、ゼロ点ずれk(X),k(X)が変動し易く、また、ゼロ点ずれk(X),k(X)が補正しきれない場合には、いわゆる、測定距離の2乗に比例する放射線誤差が大きくなるため、従来の3点法における装置では、表面形状が得られても大きな誤差を含んでいた。
【0095】
また、式(35)のようにして得られる表面形状f(X),g(X)において、以下のように誤差が伝播する。
一般に、j(=1,2,…,m)として、測定値uから間接的に得られる測定値vが、測定値uの実数α倍の和としてv=α・u+α・u+…+α・uと表せる場合、測定値uのもつ測定誤差δuが独立かつランダムであると仮定すれば、vに伝播する誤差δvは、各誤差の二乗和の平方根として、以下の式(36)で表せる。
δv={(α・δu+(α・δu+…+(α・δu1/2
…式(36)
【0096】
ここで、式(35)の誤差の伝播を最終測定点である位置Xで評価する。前記式36)の関係を、式(35)に適用すると、Xにおける誤差σは、以下の式(37)として得られる。ただし、各Δf(X)の誤差をσΔ2fとし、各Δf(X)は独立で、σΔ2fがランダムに加わるものと仮定する。なお、nは十分に大きい。
σ
=[n+(n−1)+…+2+11/2・s・σΔ2f
=[n・(n+1)・(2n+1)/6]1/2・s・σΔ2f
=[n/3+n/2+n/6]1/2・s・σΔ2f…式(37)
【0097】
また、式(37)における誤差σΔ2fを考えるために、前記式(32)を、測定値m(X),m(X),m(X),m5r(X),m3r(X),m1r(X),m(X+d35),m(X+d35),m(X),m(X−d13),m(X−d13),ΔW34(X+d35),ΔW34(X),ΔW34(X−d13),Δk(X),Δk(X)の順に並び替えて表すと、以下の式(38)が得られる。
Δf(X)
={1/(d35+d13)}
×[{m(X)/d35−2m(X)・(1/d35+1/d13
+m(X)/d13
−{m5r(X)/d35−m3r(X)・(1/d35+1/d13
+m1r(X)/d13
+m(X+d35)/d35+m(X+d35)/d35
−{m(X)}・(1/d35+1/d13
+m(X−d13)/d13+m(X−d13)/d13
+ΔW34(X+d35)/d35
−ΔW34(X)・(1/d35+1/d13
+ΔW34(X−d13)/d13
+Δk(X)・(1/d35+1/d13
−Δk(X)・(1/d35+1/d13)]…式(38)
【0098】
前記式(38)に式(36)の関係を適用すると、誤差σΔ2fは、以下の式(39)として得られる。ただし、プローブP1,P3,P5,P4の測定誤差をσmdで表し、受光ダイオード36,37の誤差をσdiで表し、渦電流センサ41の誤差をσsnで表して、各測定値m(X)〜Δk(X)が独立で、各誤差σmd,σdi,σsnがランダムに加わるものと仮定する。
σΔ2f
={1/(d35+d13)}
×[{(1/d35+{−2(1/d35+1/d13)}
+(1/d13}・(σmd
+{(−1/d35+(1/d35+1/d13
+(−1/d13}・(σmd
+{(1/d35+(1/d35}・(σmd
+{−(1/d35+1/d13)}・(σmd
+{(1/d13+(1/d13}・(σmd
+(1/d35・(σsn
+{−(1/d35+1/d13)}・(σsn
+(1/d13・(σsn
+(1/d35+1/d13・(σdi
+{−(1/d35+1/d13)}・(σdi1/2
={1/(d35+d13)}
×[{4・(1/d35+6・(1/d35+1/d13
+4・(1/d13}・(σmd
+{(1/d35+(1/d35+1/d13
+(1/d13}・(σsn
+{2・(1/d35+1/d13}・(σdi1/2
…式(39)
【0099】
したがって、前記式(37),(39)から、以下の式(40)が得られる。
σ
=[n/3+n/2+n/6]1/2・s・{1/(d35+d13)}
×[{4・(1/d35+6・(1/d35+1/d13
+4・(1/d13}・(σmd
+{(1/d35+(1/d35+1/d13
+(1/d13}・(σsn
+{2・(1/d35+1/d13}・(σdi1/2
…式(40)
【0100】
ここで、測定回数nはサンプリング距離の間隔sと棒材3の真直度の測定可能な長さLにより、n=L/sであるから、式(40)は以下の式(41)と表せる。
σ
=[(L/s)/3+(L/s)/2+(L/s)/6]1/2・s
×{1/(d35+d13)}
×[{4・(1/d35+6・(1/d35+1/d13
+4・(1/d13}・(σmd
+{(1/d35+(1/d35+1/d13
+(1/d13}・(σsn
+{2・(1/d35+1/d13}・(σdi1/2
={1/(d35+d13)}
×[(L・s)/3+(L・s)/2+(L・s)/6]1/2
×[{4・(1/d35+6・(1/d35+1/d13
+4・(1/d13}・(σmd
+{(1/d35+(1/d35+1/d13
+(1/d13}・(σsn
+{2・(1/d35+1/d13}・(σdi1/2
…式(41)
なお、g(X)についても同様にして誤差σが演算される。
【0101】
したがって、前記式(41)で示された評価によると、3点法で形状測定を行う場合には、プローブP1,P3,P5の間隔d13,d35は大きいほうが、いわゆる誤差の伝播が小さく精度が高くなると考えて良いことが分かる。しかしながら、間隔d13,d35が大きければ大きいほど、走査ステージ7などの支持部材の変形の影響が顕著となり、ゼロ点ずれk(X),k(X)に変動が発生し易くなり、従来の方法では、プローブP1,P3,P5の間隔d13,d35を大きくして精度を高めても、変動したゼロ点ずれk(X),k(X)に基づいた表面形状が得られてしまった。
【0102】
これに対して、実施例1の真直度測定装置Aでは、出力値m(X)〜m5r(X)を得る際に、レーザ放射部21から放射されたレーザビーム28による反射ビーム33や透過ビーム34の入射位置を測定することにより、中側プローブP2に対する下側プローブP1の測定基準のずれや、中側プローブP2に対する上側プローブP5の測定基準のずれを測定して、測定時の位置Xにおけるゼロ点ずれk(X),k(X)を精度良く測定している。
さらに、実施例1の真直度測定装置Aでは、3点法ユニットU1のプローブP1,P3,P5間の相対的な位置ずれに加えて、渦電流センサ41により、中側プローブP3に対する対向プローブP4の相対的な距離を測定して、測定時の位置Xにおける対向ずれ量ΔW34(X),ΔW34(X)も測定している。
【0103】
したがって、実施例1の真直度測定装置Aでは、測定されたゼロ点ずれk(X),k(X)及び対向位置変動量ΔW34(X),ΔW34r(X)を、二階差分値Δf(X),Δg(X)に反映させることが可能であり、ゼロ点ずれk(X),k(X)及び対向位置変動量ΔW34(X),ΔW34r(X)による誤差の影響が低減された二階差分値Δf(X),Δg(X)に基づいて、表面形状f(X),g(X)を得ることができ、従来に比べて精度の高い真直度の測定を行うことができる。
なお、実施例1の真直度測定装置Aでは、ゼロ点ずれk(X),k(X)の測定が可能であるため、プローブP1,P3,P5の間隔d13,d35を大きくしても、ゼロ点ずれk(X),k(X)の弊害が生じ難く、より、精度の高い測定をすることができる。
【0104】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H019)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、形状測定器の一例として、シート状レーザP1aを棒材3の表面の境界部に照射して、棒材3によって遮られずに受光部11に到達したシート状レーザP1aの位置を測定して、棒材3の表面形状を測定する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、レーザ光やLED光、超音波などを棒材3の表面に当てて反射させて測定する棒材3までの距離を測定する従来公知の形状測定器を用いることが可能である。
(H02)前記実施例において、第3のずれ量測定器の一例として、渦電流センサ41を例示したが、これに限定されず、静電容量センサなど従来公知のセンサを用いることが可能である。
(H03)前記実施例において、走査ステージ7が移動して、3点法ユニット及び反転ユニットU2が上下方向に移動する構成を例示したが、これに限定されず、左右方向、前後方向など、任意の方向に直線移動する構成が可能である。
【0105】
(H04)前記実施例において、棒材3は移動せずに、3点法ユニット及び反転ユニットU2が棒材3に対して移動する構成を例示したが、これに限定されず、3点法ユニット及び反転ユニットU2が移動せずに、棒材3が3点法ユニット及び反転ユニットU2に対して移動させる構成も可能である。
(H05)前記実施例において、ターンテーブル2によって、棒材3を回転させて反転させる構成を例示したがこれに限定されない。例えば、3点法ユニットU1及び反転ユニットU2を棒材3の周りに回転可能に構成し、棒材3については回転させずに固定して、3点法ユニットU1及び反転ユニットU2を棒材3の周りに回転させて反転させる構成も可能である。
(H06)前記実施例において、反転ユニットU2の対向プローブP4は、3点法ユニットU1の中側プローブP2に対向する位置に配置される構成を例示したが、3点法ユニットU1の下側プローブP1又は上側プローブP5に対向する位置に配置される構成も可能である。
【0106】
(H07)前記実施例において、反転ユニットU2は、形状測定器の一例としての対向プローブP4のみを有していたが、3点法ユニットU1と同様に、3つの形状測定器によって構成することが可能である。なお、この場合、一対の形状測定器のみが互いに対向していれば良い。
(H08)前記実施例において、3点法ユニットU1の対向する位置には、反転ユニットU2が配置されている構成が望ましいが、反転ユニットU2を省略することが可能である。すなわち、真直度測定装置Aが、3点法ユニットU1のみの構成で、棒材3の真直度を測定する構成も可能である。
(H09)前記実施例において、レーザ放射部21は下側プローブP1に支持され、受光ダイオード36,37は、中側プローブP3、上側プローブP5に支持された構成でプローブP1,P3,P5間の相対的な位置ずれを測定する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、中側プローブP2にレーザ放射部21を支持させると共に、下側プローブP1と上側プローブP5に、それぞれ、受光ダイオードを支持させ、且つ、レーザ放射部21からのレーザビームが各プローブP1,P5の受光ダイオードに入射するように、ビームスプリッタ32や反射板などを設ける構成など、レーザ放射部21、各受光ダイオード36,37と、それらが支持されるプローブP1,P3,P5との組み合わせは、任意の組み合わせが可能である。
【0107】
(H010)前記実施例において、レーザ放射部21から放射されたレーザビーム28をビームスプリッタ32により分離して、中側受光ダイオード36と上側受光ダイオード37とにより測定する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、レーザ放射部28を二つ設けて、一方のレーザ放射部21のレーザビーム28を、中側受光ダイオード36で測定し、他方のレーザ放射部21のレーザビーム28を、上側受光ダイオード37で測定する構成も可能である。
(H011)前記実施例において、1本のレーザビーム28をビームスプリッタ32で分離し、反射ビーム33、透過ビーム34の入射位置を測定して、プローブP1〜P5間の相対的な位置ずれ量を測定する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、特開平7−225122号公報に記載されているように、レーザビーム28をビームスプリッタ32に入射する前に、光学系で4本に分離して、それら4本のレーザビームを、ビームスプリッタ32で分離し、4本の反射ビーム、4本の透過ビームの入射位置の平均値などにより、相対的な位置ずれ量を測定する構成も可能である。
(H012)前記実施例において、4分割フォトダイオードによる構成を例示したが、これに限定されず、フォトダイオードアレイ、PSD:半導体位置検出素子、CCD:個体撮像素子など従来公知の装置が適用可能である。
【0108】
(H013)前記実施例において、放射線源の一例としてのレーザ放射線源27はレーザ放射部21の外部に設けられた構成が望ましいが、レーザ放射部21の内部に支持されて下側プローブP1に支持される構成も可能である。
(H014)前記実施例において、放射部の一例としてのレーザ放射部21により、放射線の一例としてのレーザビーム28が放射され、受光ダイオード36,37により前記レーザビーム28による反射ビーム33,透過ビーム34の入射位置を測定して、プローブP1,P3,P5間の相対的な位置ずれを測定する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、放射線の一例として、電子線、中性子線などを放射する放射部と、前記放射部から放射された前記電子線等が入射する受部を有し、前記電子線等の入射位置を測定して、各プローブP1〜P5間の相対的な位置ずれを測定する構成も可能である。
【0109】
(H015)前記実施例において、放射線の一例としてのレーザビーム28、反射ビーム33、透過ビーム34は、棒材3などが置かれた測定空間中を通過する構成を例示したが、例えば、前記ビーム28,33,34が通過する各プローブP1,P3,P5間の空間を、囲い部材で囲み、ヘリウムガスなどで満たしたり、真空にしたりする構成も可能である。
(H016)前記実施例において、式(6)のゼロ点ずれk(X)や、対向位置変動量W340、入射位置t30,t50などの基準となる値は、開始位置Xにおける値を用いる構成を例示したが、これに限定されない。例えば、折返位置や、開始位置Xと折返位置との間の任意の位置Xにおける値を基準となる値として用いて表面形状の演算処理を行うことが可能である。
(H017)前記実施例において、真直度測定装置Aには、コンピュータCが接続され、真直度測定装置Aの測定結果が演算処理される構成が望ましいが、これに限定されず、測定結果を記憶する記憶装置に測定結果を記憶させて、他の処理装置等で各種演算を行うことも可能である。
【0110】
(H018)前記実施例において、下側プローブP1と中側プローブP3の間隔d13と、中側プローブP3と上側プローブP5の間隔d35とが異なる場合を例示したが、プローブP1〜P5の間隔d13,d35が等しいとして、処理を行うことは当然可能である。
(H019)前記実施例において、式(27)におけるf(X)+g(X)を、k34(X)+m(X)+m(X)として、前記二階差分値Δf(X),Δg(X)を導出、演算する構成を例示したが、k34(X)+m(X)+m(X)に替えて、k34r(X)+m4r(X)+m3r(X)や、{k34(X)+m(X)+m(X)+k34r(X)+m4r(X)+m3r(X)}/2として、f(X)+g(X)を表し、二階差分値Δf(X),Δg(X)を導出、演算することも可能である。
【符号の説明】
【0111】
2…反転機構、3…被測定物、7…支持部材、21…放射部、28…放射線、32…分離部材、33…第1の分離放射線、34…第2の分離放射線、36…第1のずれ量測定器、36a…受部、37…第2のずれ量測定器、37a…受部、41…第3のずれ量測定器、A…真直度測定装置、f(X),g(X)…表面形状、P1,P1′…第1の形状測定器、P3,P3′…第2の形状測定器、P5,P5′…第3の形状測定器、P4,P4′…第4の形状測定器、U1…第1の測定ユニット、U2…第2の測定ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物の表面形状を測定する第1の形状測定器と、
前記被測定物の表面形状を測定する第2の形状測定器と、
前記被測定物の表面形状を測定する第3の形状測定器と、
前記被測定物に沿って相対的に移動可能な測定ユニットであって、前記第1の形状測定器と前記第2の形状測定器と前記第3の形状測定器とを支持する支持部材を有し、前記測定ユニットの前記被測定物に対する相対移動方向の下流側に向って、前記第1の形状測定器と、前記第2の形状測定器と、前記第3の形状測定器と、が配置された前記測定ユニットと、
前記被測定物に対して接近離間する方向である接離方向についての前記第1の形状測定器と前記第2の形状測定器との相対的な位置ずれ量である第1の位置ずれ量を測定する第1のずれ量測定器であって、前記支持部材に支持されて前記測定ユニットと一体的に移動可能な前記第1のずれ量測定器と、
前記接離方向についての前記第1の形状測定器と前記第3の形状測定器との相対的な位置ずれ量である第2の位置ずれ量を測定する第2のずれ量測定器であって、前記支持部材に支持されて前記測定ユニットと一体的に移動可能な前記第2のずれ量測定器と、
を備えたことを特徴とする真直度測定装置。
【請求項2】
前記第1の形状測定器に一体的に支持された放射線を放射する放射部と、
前記第2の形状測定器に一体的に支持され、且つ、前記放射部から放射された放射線が入射する受部を有し、前記受部に前記放射線が入射する位置に基づいて、前記第1の位置ずれ量を測定する前記第1のずれ量測定器と、
前記第3の形状測定器に一体的に支持され、且つ、前記放射部から放射された放射線が入射する受部を有し、前記受部に前記放射線が入射する位置に基づいて、前記第2の位置ずれ量を測定する前記第2のずれ量測定器と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の真直度測定装置。
【請求項3】
前記第2の形状測定器に一体的に支持され、前記放射部から放射された放射線を前記第1のずれ量測定器に向う第1の分離放射線と前記第2のずれ量測定器に向う第2の分離放射線とに分離する分離部材と、
前記第1の分離放射線が入射する前記第1のずれ量測定器と、
前記第2の分離放射線が入射する前記第2のずれ量測定器と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の真直度測定装置。
【請求項4】
前記第1の形状測定器、前記第2の形状測定器及び前記第3の形状測定器のうちのいずれか一つの形状測定器に対して、前記被測定物を挟んで対向する位置に配置され、且つ、前記被測定物の表面形状を測定する第4の形状測定器と、
前記測定ユニットと一体的に、前記被測定物に沿って相対的に移動可能な第2の測定ユニットであって、前記第4の形状測定器を有する前記第2の測定ユニットと、
前記接離方向についての前記一つの形状測定器と前記第4の形状測定器との相対的な位置ずれ量である第3の位置ずれ量を測定する第3のずれ量測定器であって、前記一つの形状測定器又は前記第4の形状測定器に一体的に支持されて、前記測定ユニット及び前記第2の測定ユニットと一体的に移動可能な前記第3のずれ量測定器と、
前記被測定物を、前記移動方向に延びる方向を回転軸として、前記測定ユニット及び前記第2の測定ユニットに対して、相対的に回転させて、前記一つの形状測定器に測定される前記被測定物の表面形状の位置と、前記第4の形状測定器に測定される前記被測定物の表面形状の位置とを、反転させる反転機構と、
を備え、
前記被測定物の表面形状を測定した後に、反転させて、前記被測定物の表面形状を測定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の真直度測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−47840(P2011−47840A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197592(P2009−197592)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年5月5日 社団法人精密工学会発行の「精密工学会誌(2009 Vol.75 No.5)」に発表
【出願人】(504151365)大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 (125)
【Fターム(参考)】