説明

真空ポンプ装置

【課題】 電気モータを使用することのない真空ポンプ装置を提供すること。
【解決手段】 圧縮空気タンク1に空気エゼクタ2,4の吸込室17,18と接続する。吸込室17,18に吸引流体管5を接続する。空気エゼクタ2,4の間に三方切換弁26を介在する。空気エゼクタ2,4のディフューザ19,20に出口管11を接続する。出口管11の端部を排気タンク9と接続する。排気タンク9に、圧縮空気排除管10と液体排除管12をそれぞれ接続する。
圧縮空気タンク1から空気エゼクタ2,4へ供給される圧縮空気によって真空を発生させることで、電動モータ等の電気駆動源を不要とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気圧以下の真空状態の流体を吸引することができる真空ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプ装置は、エゼクタとタンクと循環ポンプを組み合わせて、タンク内の水を循環ポンプを駆動してエゼクタに供給することによって、エゼクタの吸込室で吸引力を発生して、真空状態の流体を吸引することができるものである。
【0003】
この真空ポンプ装置においては、循環ポンプを駆動するために電動モータを使用しなければならず、電動モータを使用することのできない箇所、例えは、化学プラントにおける防爆地域、ではこの真空ポンプ装置を設置できない問題があった。
【特許文献1】特開2008−196434
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、電気モータを使用することなく、従って、防爆地域でも設置することのできる真空ポンプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、大気圧以下の真空状態の流体を吸引することができるものにおいて、圧縮空気を溜め置く圧縮空気タンクを配置して、当該圧縮空気タンクに圧縮空気供給管を接続し、圧縮空気タンクの出口側に圧縮空気を駆動流体とする空気エゼクタを接続して、当該空気エゼクタの吸込室を吸引流体源と連通すると共に、上記空気エゼクタを少なくとも2台配置して、当該空気エゼクタの入口側もしくは出口側に流路の切換弁を取り付けて、当該切換弁の切換操作によって、少なくとも2台の空気エゼクタの接続位置を並列状態に、又は、直列状態に切り換えるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の真空ポンプ装置は、圧縮空気タンクの出口側に空気エゼクタを接続したことにより、圧縮空気タンクから空気エゼクタに供給される高圧の圧縮空気によって空気エゼクタの吸込室に吸引力を発生することができ、従って、電動モータを用いる必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
空気エゼクタとしては従来から使用されているものを用いることができ、ノズルと、吸引口を設けた吸込室、及び、ディフューザ部とで構成されるエゼクタを用いることができる。
【実施例1】
【0008】
図1において、圧縮空気タンク1と、この圧縮空気タンク1に接続した圧縮空気供給管3と、2台の空気エゼクタ2,4、及び、吸引流体源と連通した吸引流体管5とで真空ポンプ装置を構成する。
【0009】
圧縮空気供給管3には、圧縮空気タンク1へ供給する圧縮空気量を制御するための制御弁6を取り付ける。圧縮空気タンク1から空気エゼクタ2,4へと連通する管路7にも、制御弁8を取り付ける。
【0010】
空気エゼクタ2,4は、それぞれ、ノズル部を内蔵した吸込室17,18と、ディフューザ19,20とで構成する。吸込室17,18の側方には、吸込室17,18で吸引する流体の流入する吸引流体管5を連通する。
【0011】
空気エゼクタ2と4の間には三方切換弁26を介在する。空気エゼクタ2の出口側は、三方切換弁26と、分岐した二方切換弁27とにそれぞれ連通する。
【0012】
空気エゼクタ2,4は、圧縮空気タンク1から供給される高圧空気によって吸込室17,18で所定の吸引力を発生するものであり、吸引流体管5からの流体を吸引することができるものである。
【0013】
空気エゼクタ2,4の出口側は、逆止弁28と出口管11によって、それぞれ圧縮空気タンク1の下部に一体に形成した排気タンク9と連通する。排気タンク9の側面には、流入してきた圧縮空気を外部へ排除する圧縮空気排除管10を接続すると共に、排気タンク9の下面には、流入してきた液体だけを外部へ排除する液体排除管12を接続する。液体排除管12には、液体だけを自動的に外部へ排出し、圧縮空気は排出することのないエアートラップ13を取り付ける。
【0014】
圧縮空気タンク1の圧縮空気は、空気エゼクタ2,4の吸込室17,18に内蔵されたノズル部へ供給され、このノズル部で駆動空気は絞られて高速流となることによって、吸引力を発生して吸引流体管5から流体を吸引する。吸引された流体は駆動空気と混合されてディフューザ19,20を通って出口管11から排気タンク9へ供給される。
【0015】
空気エゼクタ2,4の吸引流体管5から吸入する流体量が多い場合は、二方切換弁27を開弁すると共に、三方切換弁26を操作して、吸引流体管5と吸込室18を連通することによって、2つの空気エゼクタ2,4の接続位置が並列状態となり、双方の空気エゼクタ2,4で吸引流体管5を介して多量の流体を吸入することができる。
【0016】
吸引流体管5から吸入する流体量が少ない場合は、二方切換弁27を閉弁すると共に、三方切換弁26を操作して、空気エゼクタ2の出口側と空気エゼクタ4の吸込室18を連通することによって、2つの空気エゼクタ2,4の接続位置が直列状態となり、吸引流体管5から空気エゼクタ2の吸込室17へ吸入された流体が、三方切換弁26を通って他方の空気エゼクタ4の吸込室18へ吸入され、出口管11から排気タンク9へ排出される。
【0017】
圧縮空気タンク1から空気エゼクタ2,4へ供給される圧縮空気によって真空を発生させることで、電動モータ等の電気駆動源を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の真空ポンプ装置の実施例を示す構成図。
【符号の説明】
【0019】
1 圧縮空気タンク
2 空気エゼクタ
3 圧縮空気供給管
4 空気エゼクタ
5 吸引流体管
9 排気タンク
10 圧縮空気排除管
11 出口管
12 液体排除管
13 エアートラップ
17,18 吸込室
19,20 ディフューザ
26 三方切換弁
27 二方切換弁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧以下の真空状態の流体を吸引することができるものにおいて、圧縮空気を溜め置く圧縮空気タンクを配置して、当該圧縮空気タンクに圧縮空気供給管を接続し、圧縮空気タンクの出口側に圧縮空気を駆動流体とする空気エゼクタを接続して、当該空気エゼクタの吸込室を吸引流体源と連通すると共に、上記空気エゼクタを少なくとも2台配置して、当該空気エゼクタの入口側もしくは出口側に流路の切換弁を取り付けて、当該切換弁の切換操作によって、少なくとも2台の空気エゼクタの接続位置を並列状態に、又は、直列状態に切り換えることを特徴とする真空ポンプ装置。


【図1】
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【公開番号】特開2010−116901(P2010−116901A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292231(P2008−292231)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】