説明

真空乾燥装置

【課題】 生ゴミ等の含水処理物をより効果的に乾燥させることができる真空乾燥装置を安価にかつコンパクトに構成し、この際、含水処理物の投入や払出し等の取り扱いが簡単に出来るようにする。
【解決手段】 真空ポンプ5が接続される真空容器2内に、耐熱プラスチック製の内容器3を出し入れ自在にし、真空容器2の上部内壁に取り付けられる伸縮自在で且つ可撓性のフレキシブルチューブ6内に内装した電気配線7の先端に投込み式ヒータ8を設け、内容器3内に収容した生ゴミ等Nの略中央上部に投込み式ヒータ8を接触状態で載置する。そして、真空ポンプ5で吸引しつつ投込み式ヒータ8で加熱し、生ゴミ等Nを乾燥させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば残飯等の生ゴミを乾燥処理して飼料や肥料等として再利用するような際に好適な真空乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばレストランや食堂等において生じる残飯等の生ゴミが腐敗したり、悪臭や虫が発生したりするのを防止する生ゴミ処理装置として、生ゴミを収容する容器の内部を加熱手段で加熱し、同時に容器内に発生する水蒸気等を真空引きして生ゴミを乾燥させて減容するような装置が知られており、この際、加熱手段として、容器の壁面自体をヒータ等で加熱するような技術(例えば、特許文献1、2、3参照。)や、容器内にマイクロ波を照射するような技術(例えば、特許文献4、5参照。)や、容器内にヒータで加熱した輻射熱を吹き付けるような技術(例えば、特許文献6参照。)などが知られている。
【特許文献1】特開2000−130932号公報
【特許文献2】特開2002−186944号公報
【特許文献3】特開2005−221158号公報
【特許文献4】特開平5−312472号公報
【特許文献5】特開平5−317835号公報
【特許文献6】特開平6−123555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、容器の壁面を加熱するような技術は、容器の中心部付近の生ゴミ等を均一に加熱することが難しく、また、マイクロ波で加熱したり、輻射熱で加熱するような方法は、装置が複雑になりがちで、設備費用もかかるという問題があった。また、一般的に、生ゴミ等の含水処理物を容器内で乾燥させるような装置は、容器内に生ゴミを投入したり、処理した乾燥物を容器外に払出したりするための装置構成が複雑になりがちで、場合によっては、乾燥処理した乾燥処理物の一部が容器の内壁に付着し、付着した一部の取出しが困難になることがあった。
【0004】
そこで本発明は、生ゴミ等の含水処理物をより効果的に乾燥させることができる真空乾燥装置を安価にかつコンパクトに構成できるようにし、この際、含水処理物の投入や払出し等の取り扱いが簡単に出来るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため本発明は、乾燥処理を必要とする含水処理物を乾燥させるための真空乾燥装置において、含水処理物を収容可能でかつ真空容器内に収容自在な内容器と、この内容器内に収容される含水処理物の上部に投入される投込み式ヒータを設け、この投込み式ヒータに接続される電気配線を、真空容器の上部内壁に取り付けられかつ伸縮自在で可撓性を有するフレキシブルチューブ内に収納するようにした。
【0006】
そして、真空容器内に収容自在な内容器を使用することにより、含水処理物の投入や、処理した後の処理物の払出しが、内容器の出し入れによって容易に行なえるようになり、また、加熱手段として、含水処理物の上部に投入される投込み式ヒータを使用することにより、含水処理物の乾燥処理をより均一にならしめることができる。そして、乾燥により生じた水蒸気を真空ポンプで吸引すれば、含水処理物の乾燥を効率的に行なうことができる。
この際、含水処理物の上面レベルは、減容に連れて下方に下がるため、ヒータに接続される電気配線を伸縮自在なフレキシブルチューブ内に収納しておけば、含水処理物の上部に投入される投込み式ヒータは、含水処理物の減容につれて自重で降下するようになり、常にヒータと含水処理物とを接触させておくことができる。また、真空容器に内容器を出し入れする際、ヒータや電気配線等を邪魔にならない位置に折曲げ退避させておくため、フレキシブルチューブを可撓性のものとしておく。
そして、このような構成により、装置構成が複雑にならずコンパクト化され、また安価に構成できる。
【0007】
また、本発明では、前記内容器の素材を、耐熱プラスチック素材とした。
このように内容器をプラスチック素材にすれば、例えば含水処理物を乾燥処理した後、一部が内壁に付着するような場合でも、外部から力を加えて内容器を変形させれば容易に剥がすことができ、また、一般にプラスチック素材は断熱性に富むため、内部熱が外部に逃げにくくなり乾燥効率が良好である。
なお、投込み式ヒータとしては、例えば、ニクロム線などの発熱体の周囲を絶縁体で包んだシーズヒータが好適であり、含水処理物に直接接触する部分の温度が最大130度程度にしておくことが好ましいが、内容器を耐熱プラスチックにしておくにより、ヒータが内容器に接触しても不具合が生じないようにすることができる。
【発明の効果】
【0008】
真空容器内に内容器を出し入れ自在にし、内容器に収容した含水処理物を投込み式ヒータで乾燥させることで装置構成がコンパクト化されると同時に安価に構成でき、また、効率的に乾燥させることができる。そして、内容器を耐熱プラスチック素材にすれば、処理した後の処理物の取出しが容易になり、また内部熱が逃げ出しにくくなって好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。
ここで図1は本発明に係る真空乾燥装置の一例を示す説明図である。
【0010】
本発明に係る真空乾燥装置は、本実施例では、レストランや食堂等において生じる残飯等の生ゴミを飼料や肥料などとして再利用を図るのに好適な装置として構成され、手軽に取り扱えるとともに、場所をとらず、また安価に作製できるようにされている。
【0011】
すなわち、図1に示すように、本真空乾燥装置1は、真空容器2内に出し入れ自在な内容器3と、真空容器2の上部壁に接続される吸引ホース4と、この吸引ホース4に接続される真空ポンプ5と、真空容器2の上部壁に取り付けられるフレキシブルチューブ6と、このフレキシブルチューブ6内に内装されかつ電源10から延出する電気配線7と、この電気配線7の延出端部に接続されるヒータ8を備えており、真空容器2の上部には、開閉自在な蓋2hがシール部材9を介して設けられている。
【0012】
前記真空容器2は、鋳物等を用いて安価に構成することができ、ゴムや樹脂等の耐熱性のあるシール部材9を介して前記蓋2hを開閉自在にするとともに、上部壁に吸引ホース4の接続孔や、電気配線7の挿通孔や、フレキシブルチューブ6の取付部等を形成すれば、極めて簡単に作製することができる。
【0013】
前記内容器3は、前述のように、真空容器2内に出し入れ自在にされており、必要に応じて把手等が設けられるとともに、例えば、真空容器2から取り出した状態で生ゴミ等Nを収容した後、真空容器2内に入れて乾燥処理し、処理した後は、真空容器2から取り出すことにより、乾燥処理物を簡単に回収することができるようにされている。
【0014】
また、内容器3の素材は任意であるが、本実施例では、外力を加えると若干変形するような耐熱プラスチック素材とし、内壁の一部に乾燥処理物が付着残存するような場合でも、若干変形させることで付着残存物が容易に剥がれるようにしている。また、断熱性が良いものとしており、内部の熱が外部に逃げにくくなるようにしている。
【0015】
前記フレキシブルチューブ6は、自由に折曲げ可能でしかも伸縮が可能な金属製等の管またはベローズであり、内部に電気配線7を挿通せしめることができるようにされている。そして、内容器3を出し入れする際は、出し入れに邪魔にならない位置に折り曲げられ退避できるようにされている。
また、フレキシブルチューブ6の先端には、投込み式ヒータ8が設けられ、このヒータ8は、生ゴミ等Nの上部に投入されるとともに、生ゴミ等Nの減容につれて生ゴミ等Nの上面レベルが下方に下がると自重により下方に下がり、生ゴミ等Nに対する接触状態が維持できるようにされている。
【0016】
前記ヒータ8は、前記フレキシブルチューブ6の先端に取り付けられ且つフレキシブルチューブ内を挿通する電気配線7から通電されるニクロム線の周囲を絶縁体で包んだシーズヒータが使用されており、本実施例では、外形が下方先細りとなる逆円錐形に近い形状の芯材の周囲にシーズヒータが巻かれて構成されている。そしてこの芯材の形状を逆円錐形にすることにより、投込まれたヒータ8の一部が生ゴミ等Nの中に埋め込まれ易くなり、加熱効率を高めることができる。また、生ゴミ等Nに直接接触する部分の温度を最大130度程度にしている。このことにより、例えば生ゴミ等Nの中にビニール袋等が紛れ込んでいる場合でも発火するような不具合が防止することができる。
【0017】
以上のような真空乾燥装置1の作用等について説明する。
真空容器2の蓋2hを開けて内容器3を取り出す。この際、フレキシブルチューブ6は内容器3の取り出しに邪魔にならない場所に折り曲げて退避させておく。
【0018】
そして、内容器3に生ゴミ等Nを収容した後、内容器3を真空容器2内に入れ、フレキシブルチューブ6をセットしてヒータ8を生ゴミ等Nの略中央上部に載せる。
そして、蓋2hをして真空ポンプ5を作動させると同時にヒータ8に通電し、生ゴミ等Nを加熱する。すると、シール部材9の作用により、蓋2hが密着して真空容器2内の空気は吸引・減圧される。
【0019】
また、生ゴミ等Nに含まれる水分は上部から乾燥してゆき、蒸発した水蒸気は真空ポンプ5により吸い込まれて外部に排出され、生ゴミ等Nの容量は減じてゆく。このため、生ゴミ等Nの上面レベルは次第に下方に下がってゆくが、フレキシブルチューブ6は下方に伸びることができるため、ヒータ8は生ゴミ等Nの上部に接触したまま重力により降下し、接触状態を維持することができる。
また、内容器4は断熱性に富み、しかも耐熱性があるため、ヒータ8が接触しても不具合は生じず、また、内部の熱が外部に逃げ出しにくいため、効率的に乾燥させることができる。
【0020】
因みに、ヒータ8による加熱温度は、生ゴミ等Nに接触する部分を130度程度以下にすることで、発火等の不具合を防止することができる。
また、ヒータ8が生ゴミ等Nの略中央部に位置していることから、内容器3の内壁付近に過大な熱が加わることなく、乾燥処理物が内容器3の内壁に付着するような事態を抑制することができるとともに、より均一に加熱することができる。
【0021】
乾燥処理が終えると、ヒータ8への通電を停止するとともに、真空ポンプ5の作動を停止させ、蓋2hを開放して内容器3を取り出す。そして、内容器3内の乾燥処理物を飼料や肥料として取り出す。
この際、乾燥処理物の一部が内容器3の内壁にこびり付いた場合でも、内容器3を若干変形させることで容易に剥がし取ることができる。
【0022】
以上のような要領により、極めて簡素な構成でありながら効率的に乾燥処理することができ、例えば、レストランや食堂等において毎日生じる残飯等を効率的に飼料や肥料として再利用することができる。
【0023】
なお、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは本発明の技術的範囲に属する。
例えば、含水処理物として残飯等の生ゴミは一例であり、その他の乾燥を要する処理物でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0024】
極めて安価に且つスペースを要さない簡素に構成された真空乾燥装置でありながら、効率的に乾燥処理が行えるため、例えばレストランや食堂等の残飯処理装置等として今後の普及が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本真空乾燥装置の一例を示す説明図
【符号の説明】
【0026】
1…真空乾燥装置、2…真空容器、3…内容器、5…真空ポンプ、6…フレキシブルチューブ、7…電気配線、8…ヒータ、N…生ゴミ等。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥処理を必要とする含水処理物を乾燥させるための真空乾燥装置であって、含水処理物を収容可能でかつ真空容器内に収容自在な内容器と、この内容器内に収容される含水処理物の上部に投入される投込み式ヒータを備え、この投込み式ヒータに接続される電気配線は、真空容器の上部内壁に取り付けられかつ伸縮自在で可撓性を有するフレキシブルチューブ内に収納されることを特徴とする真空乾燥装置。
【請求項2】
前記内容器の素材は、耐熱プラスチック素材であることを特徴とする請求項1に記載の真空乾燥装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−133533(P2009−133533A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309594(P2007−309594)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(390029506)
【Fターム(参考)】