説明

真空利用プライ配置シューおよび方法

基板表面上にプライを配置するための装置は、真空源に取付けるように構成される真空マニホールドアセンブリと、基板表面との実質的にガス不透過性の界面を提供するように構成される基板シールとを含む。この装置は、さらに、プライとの実質的にガス不透過性の界面を提供するように構成されるプライシールを含む。この態様で、真空マニホールドアセンブリに与えられる真空は、プライと基板表面との間の領域を減圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
この発明は一般にプライ配置装置に関する。より特定的には、この発明は真空利用プライ配置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
たとえば複合材などの積層材料は、幅広い種類の生成物において構造上の剛性を高めるために広く利用されている。たとえば、複合材は、概して、機体の構造部材を造るために航空機建造産業によって利用される。高強度、高剛性、および低重量が非常に重要であるいくつかの最先端の航空機では、複合材が外部表面または外板と同様、機体のかなりの部分を占め得る。典型的には、これらの複合材は型の上に配置される複数の層から構成される。これらの層はしばしば、部分的または完全なプライと称される。利用可能な材料幅を超える構造の場合、各々の層は典型的には、端縁同士が互いに隣接して配置される、材料の一連のストリップまたは層から構成される。各々のプライは、織物における織り繊維、一方向の繊維材料、またはさまざまな他の構造の形状であってもよい。一方向の繊維材料は「テープ」と称されることが多い。繊維は、ガラス繊維、グラファイト、ケブラー(登録商標)などの、複数の天然および/または「人工」材料のいずれから作られてもよい。
【0003】
これらのプライは上記の繊維を単に含んでもよいが、通常は、プライには樹脂が予備含浸される。樹脂は典型的には、プライが型および以前に与えられたプライに接着することを可能にするように配合される。プライのそれぞれの基板、たとえば以前に与えられたプライまたは型、に十分に接着しないプライがある場合、内部および/または外部空洞が生じ得る。このような空洞は、望ましくない材料の強度特性および/または表面の欠陥をもたらし得る。したがって、適切な接着を容易にするために、プライを配置する間および/またはプライを配置した後、典型的に圧力がプライにかけられる。
【0004】
比較的小さな要素の場合、プレス機が使用されてもよい。たとえば、いくつかの公知のプレス機は真空減量台を利用する。このような構成では、プライの配置の後、レイアップと称される部品が減量台の上に配置され、レイアップ上に膜が配置され、レイアップから空気を除去するためにポンプが使用される。レイアップが減圧されると、大気圧によって圧縮力がかけられ、レイアップ内の空気が除去される。しかしながら、レイアップの大きさが増し、かつ/またはレイアップの透過性が減少すると、減量台の使用は不所望に高価で、扱いにくいものになる傾向がある。
【0005】
比較的大きな要素の場合、圧延プレス機が使用されてもよい。たとえば、いくつかの公知の圧延プレス機では、テープが供給ヘッドから供給され、次いで、圧縮ローラを用いて基板表面に押圧される。ローラによってかけられる力の厳密な量はさまざまな要因によって決まるが、100Kg以上が特定の適用例において利用されることが多い。プライを正確に配置しながらこの比較的大きな力を働かせるために、かなりの支持および誘導構造が概して必要である。このような公知の圧延プレス機の別の不利な点は、ローラによってかけられる力に耐えるために、対応してかなりの支持が型に必要とされるということである。圧延プレス機システムによって使用される比較的大きな力に関連するこれらおよび他の不利な点は、複合品を製造するコストを大きく増加させる。
【0006】
したがって、ここに記載される不利な点を少なくともある程度まで克服することのできる方法および装置を提供することが望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
前述の必要性はこの発明によって大いに満たされ、1つの点では、いくつかの実施例において、プライを正確に配置し、十分な力を発生させて、プライの基板への適切な接着を容易にする、装置および方法がもたらされる。
【0008】
この発明の一実施例に従って、基板表面上にプライを配置するための装置は、真空源に取付けるように構成される真空マニホールドアセンブリと、基板表面との実質的にガス不透過性の界面を提供するように構成される基板シールとを含む。この装置は、さらに、プライとの実質的にガス不透過性の界面を提供するように構成されるプライシールを含む。この態様で、真空マニホールドアセンブリに与えられる真空は、プライと基板表面との間の領域を減圧する。
【0009】
この発明の別の実施例に従って、プライまたは基板表面を配置するためのシステムは、基板表面上にプライを与えるように構成される真空利用プライ配置装置を含む。このプライ配置装置は、真空源に取付けるように構成される真空マニホールドアセンブリと、基板表面との実質的にガス不透過性の界面を提供するように構成される基板シールとを含む。このプライ配置装置は、さらに、プライとの実質的にガス不透過性の界面を提供するように構成されるプライシールを含む。この態様で、真空マニホールドアセンブリに与えられる真空は、プライと基板表面との間の領域を減圧する。プライを配置するためのシステムは、さらに、基板に対するプライ配置装置の動きを制御する制御システムを含む。したがって、プライは、基板に対するプライ配置装置の動きに応答して、プライ配置装置から供給される。
【0010】
この発明のさらに別の実施例に従って、複合構造を製造する方法は、プライを受取るように構成される基板表面を有するレイアップ型を準備するステップと、真空利用プライ配置装置を基板表面に導入するステップとを含む。この方法は、さらに、複合構造を製造するために基板表面にプライを与えることと、複合構造を硬化させることとを含む。
【0011】
この発明のさらにまた別の実施例に従って、複合構造を製造するための装置は、プライ手段を受取るように構成される基板表面を有するレイアップ型手段を準備するための手段と、真空利用プライ配置装置を基板表面に導入するための手段とを含む。この装置は、さらに、複合構造を製造するために基板表面にプライ手段を与えるための手段と、複合構造を硬化させるための手段とを含む。
【0012】
この明細書における発明の詳細な説明がこの中でよりよく理解されるように、かつ当該技術へのその貢献がよりよく認識されるように、以上においてこの発明の特定の実施例の概略を、いくぶん広く説明した。もちろん、この発明には、以下に記載するさらなる実施例が存在し、それらは特許請求の範囲の主題を形成する。
【0013】
この点で、この発明の少なくとも1つの実施例を詳細に説明する前に、この発明は、その適用において、構造の詳細、および以下の記載において説明されるか、または図面において示される構成要素の配置に限定されるものではないということが理解されるべきである。この発明は、記載される実施例に加えた実施例が可能であり、さまざまな方法で実施、実行され得る。さらに、要約書同様、ここに使用される語法および専門用語は記載を目的としており、限定するものとして考えられるべきではないということが理解されるべきである。
【0014】
このように、当業者は、この開示の基礎となる概念がこの発明のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法およびシステムの設計のための基礎として容易に利用されてもよいということを認識するであろう。したがって、特許請求の範囲は、この発明の精神および範囲から逸脱することのない範囲で、このような等価の構造を含むものとして考えられることが重要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
好ましい実施例の詳細な説明
この発明はプライ配置装置および方法を提供する。いくつかの実施例では、プライ配置装置は、真空源に取付けるように構成される真空マニホールドアセンブリと、基板表面、たとえばレイアップ型の表面、以前に配置されたプライの表面、およびプライが配置されてもよい任意の他の表面との実質的にガス不透過性の摺動界面を提供するように構成される基板シールとを含む。プライ配置装置は、さらに、プライとの実質的にガス不透過性の摺動界面を提供するように構成されるプライシールを含む。真空マニホールドアセンブリに与えられる真空は、プライと基板表面との間の領域を減圧する。
【0016】
この発明に従う別の実施例は、複合構造を製造する方法を提供する。複合構造に対応し、かつプライを受取るように構成される基板表面を有するレイアップ型が準備される。真空利用プライ配置装置が基板表面に導入され、複合構造を製造するために、プライが基板表面に与えられる。複合構造は、強く、結合力のある構造を生成するために、複合生成物の複数のプライを1つに結合するように硬化される。
【0017】
この発明のさまざまな実施例の利点は、(1)支持および誘導構造によってかけられることになる荷重の低減、(2)プライ配置システムによるレイアップ型上の荷重の低減、(3)プライを基板に押圧する力の持続時間の増加、(4)配置されるプライと基板(レイアップ型および/または基板プライ)との間の空気ポケットの発生の減少、および(5)比較的幅の広いプライ材料を利用することができること、を含む。
【0018】
ここで、この発明を、同様の参照番号が全体にわたって同様の部品を指す図面を参照しながら説明する。図1に示されるように、真空利用プライ配置装置10(「VAPPS」)は、基板14上にプライ12を配置し、あてがうように構成される。VAPPS10は、真空マニホールド16、下部シール18、上部ブリッジ20、および上部シール22を含む。下部シール18は、基板14を圧迫して、下部シール18と基板14との間に実質的にガス不透過性の界面を形成するように構成される。さらに、この基板14を押圧する下部シール18の動作の結果、上部シール22が、プライ12を圧迫して上部ブリッジ20に対してプライ12を押圧することになる。この態様で、上部シール22とプライ12との間の実質的にガス不透過性の界面が形成され得る。さらに、この発明のさまざまな実施例では、プライ12または、より好ましくは、プライ12上の裏当て24が、実質的にガス不透過性であるように構成される。
【0019】
真空マニホールド16は、任意の好適な態様で、たとえば真空ホース26によって真空源に取付けられてもよい。真空マニホールド16は、真空マニホールド16をVAPPS10の終端30における領域、または終端30の近くの領域に接続するように構成される1つ以上の導管28を含む。
【0020】
図2に示されるように、側板32はVAPPS10の各々の側面に取付けられる。これらの側板32は、下部シール18および上部シール22の側部端縁を実質的に封止するように構成される。さらに、側板32は、プライ12のそれぞれの端縁にもたれかかるように構成されて、プライ12の端縁とそれぞれの側板32との間に実質的にガス不透過性の界面を形成する。さらに、側板32は、基板14を圧迫するように構成される底部端縁3
4を含み、基板14とそれぞれの底部端縁34との間に実質的にガス不透過性の界面を形成する。底部端縁34および下部シール18はともに、基板14の表面との、実質的にガス不透過性の界面を提供するように構成される基板シールを形成する。この基板シールは、ここに記載されるように、VAPPS10が移動して基板14に対して摺動する間、維持される。さらに、側板32は、上部シール22と組み合わされて、プライ12および/または裏当て24との、実質的にガス不透過性の界面を提供するように構成されるプライシールを形成する。このプライシールは、ここに以下に記載されるように、プライ12がVAPPS10から引出される間、維持される。
【0021】
動作時に、VAPPS10は、基板14に対して、矢印Aによって示される方向に移動する。ガス、たとえば空気が終端30から除去されると、減圧された領域が基板14と裏当て24および/またはプライ12との間に形成される。VAPPS10が基板14に対してA方向に移動し続けると、プライ12は基板14の方へ引き寄せられる。基板14に対するVAPPS10の相対的な移動の前に、VAPPS10から延在するプライ12の端部は、基板14に対してプライ12を押圧するスイープ36の動作によって、基板14に付けられる。このプロセスはしばしば「仮付け」と称される。その後、VAPPS10が基板14に対して移動すると、プライ12はVAPPS10から引出されることになる。
【0022】
真空源の強度および/または、基板14とプライ12および/または裏当て24との間の減圧の結果、与えられる調整された真空のレベルに応じて、プライ12は、周囲の大気圧に近い力(「fat」)で基板14に押圧される。裏当て24、プライ12、および基板14の透過性に応じて、fatは約数秒間、プライ12および/または基板14を固着し続けることができる。この圧力の経過時間間隔は、圧縮ローラを利用する従来のプライ配置装置よりも比較的強い、基板14との結合を、プライ12が形成することができるようにする。
【0023】
VAPPS10は、さらに、図3に見られるように、VAPPS10を供給ヘッドに取付けるように構成されるコネクタ38を含む。この発明のさまざまな実施例では、コネクタ38は、供給ヘッドに、旋回可能に、伸縮自在に、かつ/または実質的に固定的に取付けるように構成されてもよい。好ましくは、供給ヘッドに対するVAPPS10の旋回の動きは、1度に2つ以上の軸において生じてもよく、任意の好適な手段によって制御されてもよい。
【0024】
図3に示されるように、この発明の実施例で使用するのに好適な供給ヘッド40は、材料フィーダ42、切断アセンブリ44、ヒータアセンブリ46、およびセンサ48を含む。材料フィーダ42は、プライ配置のさまざまな段階の間、VAPPS10内へのプライ12の動きを制御するように構成される。たとえば、材料フィーダ42は、プライ12を係合するように構成されかつモータ52の動作によって回転するように制御される複数のローラ50を含んでもよい。さらに、材料フィーダ42は、プライ12が自由に動くことができるように、ローラ50の係合を解除するように構成される。
【0025】
切断アセンブリ44は、制御された態様で、プライ12および/または裏当て24を切断するように構成される。切断アセンブリ44は、任意の公知の切断装置、たとえばさまざまな刃のついた装置、レーザなどを使用してもよい。具体的な例では、切断アセンブリ44は、モータ56の動作によって回転するように制御される超音波ナイフ54を含む。超音波ナイフ54は、さらに、ねじジャッキ60を回転させるように構成されるモータ58の動作によって、プライ12の全幅またはその任意の部分を横切るように制御される。
【0026】
特定の材料、および/または材料の加熱が有利である動作条件を利用する場合は、ヒー
タアセンブリ46がプライ12上の熱エネルギを伝えるように構成される。この点で、プライ12を好適な態様で加熱するように動作可能な任意の公知の装置が、この発明のさまざまな実施例によって利用されてもよい。たとえば、ヒータアセンブリ46は、プライ12上に向けられる加熱された空気の流れを制御するように構成される切換弁62を含んでもよい。
【0027】
センサ48はプライ12を感知するように構成される。たとえば、センサ48は1つ以上の光学センサ、ソナーセンサ、レーザセンサ、または隙間ゲージを含んでもよい。この点で、センサ48は供給ヘッド40によって配置されるプライ12を感知するように構成されてもよい。さらに、センサ48は以前に配置されたプライ12を感知してもよい。この態様で、以前に配置されたプライ12に対して配置されるプライ12の位置が判断されてもよい。センサ48および/または他のセンサは、さらに、欠陥の検出、材料の張力、材料の利用などのために利用されてもよい。さらに、センサ48および/または他のセンサは、密度、厚さなどの、下層の基板14の属性を感知するように動作可能であってもよい。
【0028】
図4に示されるように、この発明の実施例で使用するのに好適なガントリ型自動テープ敷設装置(「ATLD」)64は、ガントリ66、供給ヘッド40、および型68を含む。ガントリ66は、供給ヘッド40の動きを制御するように構成される。この発明の一実施例では、ガントリ66は、動きの10軸(ガントリの5軸および供給ヘッド40の5軸)を制御するように構成される。しかしながら、軸の具体的な数は特定の動作条件によって決められてもよく、したがって、制御される軸の数はこの発明には重要ではないということが理解されるべきである。この発明のさまざまな実施例の利点は、ガントリ66がレイアップおよび型上にかかる圧縮ローラの力を伝えるように構成される必要がないということである。したがって、ガントリ66は、従来の自動テープ敷設装置よりも比較的軽量であってもよく、剛性が低くてもよい。型68は、プライ配置のための好適に安定した表面を与えるように構成される。型68が圧縮ローラの力に耐えるように構成される必要がないということが、この発明のさまざまな実施例の別の利点である。
【0029】
図5は、複合構造または生成物を製造するためにプライを配置する方法70に含まれるステップを示す。方法70を開始する前に、複合生成物が設計され、複合生成物の属性を指定する一連のコンピュータ可読命令が生成される。これらの命令は、ATLD64の動作を制御し、型68などの型を作るために利用される。この型は、さらに、ATLD64の動作領域内に位置決めされる。
【0030】
ステップ72において、上述のATLD64のさまざまな構成要素をオンにし、コンピュータ可読命令を実行することによって、方法70が開始される。
【0031】
ステップ74において、プライ12は材料フィーダ42の動作によって前方に送られる。たとえば、ローラ50は、プライ12を係合して、基板14にあてがわれるようにプライ12が位置決めされるまで、VAPPS10を通ってプライを送ってもよく、これは仮付けされると称される。プライ12が好適な量だけ前進したことを確実にするために、センサ48がプライ12の位置を感知するために利用されてもよい。さらに、型68上の位置は、一連のコンピュータ可読命令および/または以前に位置決めされたプライ12の位置に基づいて判断される。さらに、ステップ76において基板にプライ12を仮付けする前に、一連のコンピュータ可読命令、以前に位置決めされたプライ12の向き、および/または以前に位置決めされたプライ12の位置に基づいて、プライ12の端部が切断されてもよい。ステップ74の後に、ローラ50は、プライ12の供給が妨げられることのないようにするために、プライ12を解放してもよい。
【0032】
ステップ76において、プライ12は基板に仮付けされる。この発明の一実施例では、プライ12を基板に接着させるために、スイープ36が十分な力で基板に対してプライ12を押圧するように制御されるように、プライ12はATLD64を用いてVAPPS10を位置決めすることによって仮付けされる。さらに、下部シール18および底部端縁34は基板14と接触するように制御される。この態様で、真空マニホールド16を介して空気が抜かれると、減圧された領域が終端30において形成される。
【0033】
ステップ78において、プライ12は型68全体にわたる経路に沿って供給される。プライ12における変形(たとえば、しわ)を極力減らすために、この経路は典型的に型68における任意の外形に基づく「自然な経路」と一致するように計算される。供給ヘッド40が型68にわたる経路に沿って制御される間、減圧された領域への空気の漏れはいずれも真空源の動作によって終端30から除去される。この態様で、減圧された領域が基板14と裏当て24および/またはプライ12との間に維持される。この減圧された領域は、シール18および22、側板32の底部端縁34、基板14、ならびに裏当て24および/またはプライ12によって作られる境界によって規定される。供給ヘッド40が経路に沿って移動すると、プライ12は供給ヘッド40から引出され、基板14上に固着される。より特定的には、供給ヘッド40が経路に沿って移動し続けると、上部シール22によって与えられる支持がfatに耐えるのに十分でなくなりかつ基板14からプライ12を引離しておくのに十分でなくなる地点まで、プライ12の一区分が供給ヘッドから引出される。したがって、プライ12のこの区分は基板14に押しつけられる。
【0034】
公知のプライ配置装置と比較して、この発明のさまざまな実施例の有利な点は、プライ12に圧力が与えられる比較的長い持続時間である。この長い持続時間は、プライ12が基板14に十分に接着することになる可能性を増大させる。さらなる利点は、プライ12と基板14との間の空気を除去することにより、公知のプライ配置装置と比較すると、空気ポケットまたは空洞の発生が低減されることである。
【0035】
ステップ80において、基板14上のプライ12の配置が評価される。たとえば、センサ48は、プライ12および以前に位置決めされたプライ12の相対的な位置を感知してもよく、これらのプライ間の距離が予め定められた許容差の範囲内であるかどうかを判断してもよい。これらのプライ間の距離が予め定められた許容差の範囲内でなければ、ステップ82において、エラーを発生してもよい。これらのプライ間の距離が予め定められた許容差の範囲内であれば、ステップ84において、経路の終端に到達しているかどうかが判断される。
【0036】
ステップ84において、経路の終端に到達したかどうかが判断される。一連のコンピュータ可読命令に基づいて、供給ヘッド40が経路の終端まで進んでいないと判断されると、ステップ78において、さらなるプライ12が供給される。供給ヘッド40が経路の終端まで進んだと判断されると、ステップ86において、プライ12が切断される。
【0037】
ステップ86において、プライ12の端部は、一連のコンピュータ可読命令、以前に位置決めされたプライ12の向き、および/または以前に位置決めされたプライ12の位置に基づいて切断されてもよい。任意に、プライ12が裏当て24を含む場合、この裏当て24は別のプライ12を配置する前に除去されてもよい。この裏当て24は、オペレータによって供給ヘッド40上に位置決めされる自動巻取装置、または他の任意の理に適った好適な態様によって除去されてもよい。
【0038】
ステップ88において、複合生成物上のプライ12の配置が完了したかどうかが判断される。たとえば、すべてのコンピュータ可読命令が完了していれば、複合生成物のためのプライの配置は完了し、別の一連のコンピュータ可読命令が開始されるまで、ATLD6
4は遊休状態とされてもよい、と判断されてもよい。複合生成物のためのプライ12の配置が完了していないと判断されると、ステップ74において、さらなるプライ12の配置が行われてもよい。
【0039】
方法70に続いて、複合生成物は任意の好適な態様で硬化されてもよい。航空機産業では、熱硬化性樹脂がプライ材料を予備含浸させるために一般的に利用される。これらの熱硬化性樹脂は典型的には、予め定められた時間の間、高温に保たれることによって硬化される。時間および温度は、使用される樹脂、複合生成物の大きさおよび厚さなどに応じて選択されてもよい。この発明の少なくともいくつかの実施例の利点は、真空利用プライ配置の利用が比較的幅の広いプライ12の使用を可能にするということである。公知のプライ配置システムでは、幅の広いプライのストックは、より長い圧縮ローラの使用を必要とし、したがって、プライ全体にわたって十分な平方センチメートルあたりのキログラム(「Kg/cm2」)の荷重を達成するために、圧縮ローラ上により大きな力を必要とする。
【0040】
VAPPS10の例はガントリ66によって制御されるように示されるが、他の制御システムが使用され得るということが認識される。この点で、圧縮ローラが排除されるために支持および制御構造がより軽量にされ得るということが、公知のプライ配置装置にまさるこの発明の実施例の利点である。さらに、VAPPS10は航空機産業において複合品のためのプライを配置するのに有用であるが、VAPPS10は複合品を作成する他の産業においても使用され得る。これらの産業は、自動車、船舶、宇宙船、建物、および消費財を含むが、それらに限定されるものではない。
【0041】
この発明の多くの特徴および利点はこの詳細な明細書から明らかであり、したがって、この発明の真の精神および範囲に含まれる、この発明のすべてのこのような特徴および利点を包含することが特許請求の範囲によって意図される。さらに、多くの修正例および変形例が当業者に容易に生じるので、示され、かつ記載される厳密な構造および動作にこの発明を限定することは所望ではなく、したがって、すべての好適な修正例および等価物はこの発明の範囲に含まれるように用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の実施例に従う、プライ配置装置の破断図である。
【図2】図1のプライ配置装置の斜視図である。
【図3】この発明の実施例に従う、例示的な供給ヘッドを示す。
【図4】この発明の実施例に従う、例示的なプライ配置システムを示す。
【図5】方法またはプロセスの実施例に従ってたどられ得るステップを示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面上にプライを配置するための装置であって、
真空源に取付けるように構成される真空マニホールドアセンブリと、
前記基板表面との実質的にガス不透過性の界面を提供するように構成される基板シールと、
前記プライとの実質的にガス不透過性の界面を提供するように構成されるプライシールとを含み、前記真空マニホールドアセンブリに与えられる真空は前記プライと前記基板表面との間の領域を減圧する、装置。
【請求項2】
前記プライを切断するように構成されるカッタをさらに含む、請求項1に記載のプライ配置装置。
【請求項3】
前記プライに熱を加えるように構成されるヒータをさらに含む、請求項1に記載のプライ配置装置。
【請求項4】
前記プライの状態を感知するように構成される少なくとも1つのセンサをさらに含む、請求項1に記載のプライ配置装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサは光学センサを含む、請求項4に記載のプライ配置装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサは、以前に与えられたプライの端縁の位置を突きとめるように構成されるセンサを含む、請求項4に記載のプライ配置装置。
【請求項7】
前記基板シールは、基板の表面に実質的に一致するように構成される、請求項1に記載のプライ配置装置。
【請求項8】
基板表面上にプライを配置するためのシステムであって、
基板表面上にプライを与えるように構成される真空利用プライ配置装置を含み、前記真空利用プライ配置装置は、
真空源に取付けるように構成される真空マニホールドアセンブリと、
前記基板表面との実質的にガス不透過性の界面を提供するように構成される基板シールと、
前記プライとの実質的にガス不透過性の界面を提供するように構成されるプライシールとを含み、前記真空マニホールドアセンブリに与えられる真空は前記プライと前記基板表面との間の領域を減圧し、
前記システムは、さらに、
基板に対する前記プライ配置装置の動きを制御する制御システムを含み、前記プライは前記基板に対する前記プライ配置装置の動きに応答して、前記プライ配置装置から供給される、システム。
【請求項9】
前記プライの供給を支持するためのリールをさらに含む、請求項8に記載のプライ配置システム。
【請求項10】
前記基板シールは、基板の表面の湾曲に一致するように構成される、請求項8に記載のプライ配置システム。
【請求項11】
前記プライ配置装置は前記制御システムに旋回可能に取付けられ、それにより、前記プライ配置装置は基板の外形をたどるように構成される、請求項8に記載のプライ配置システム。
【請求項12】
前記プライを切断するためのカッタをさらに含む、請求項8に記載のプライ配置システム。
【請求項13】
前記プライに熱を加えるためのヒータをさらに含む、請求項8に記載のプライ配置システム。
【請求項14】
前記プライの状態を感知するための少なくとも1つのセンサをさらに含む、請求項8に記載のプライ配置システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのセンサは光学センサを含む、請求項14に記載のプライ配置システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのセンサは以前に与えられたプライの端縁の位置を突きとめるための手段を含む、請求項14に記載のプライ配置システム。
【請求項17】
複合構造を製造する方法であって、
プライを受取るように構成される基板表面を有するレイアップ型を準備することと、
真空利用プライ配置装置を前記基板表面に導入することと、
前記複合構造を製造するために前記基板表面に前記プライを与えることと、
前記複合構造を硬化させることとを含む、方法。
【請求項18】
前記基板表面に前記プライの第1の端部を仮付けすることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
与えられたプライの状態を感知することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記与えられたプライが、予め定められた位置の範囲内に配置されているかどうかを、前記感知することに基づいて判断することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記プライを切断することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
複合構造を製造するための装置であって、
プライ手段を受取るように構成される基板表面を有するレイアップ型手段を準備するための手段と、
真空利用プライ配置装置を前記基板表面に導入するための手段と、
前記複合構造を製造するために前記基板表面に前記プライ手段を与えるための手段と、
前記複合構造を硬化させるための手段とを含む、装置。
【請求項23】
前記基板表面に前記プライ手段の第1の端部を仮付けするための手段をさらに含む、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
与えられたプライ手段の状態を感知するための手段をさらに含む、請求項21に記載の装置。
【請求項25】
前記与えられたプライ手段が、予め定められた位置の範囲内に配置されているかどうかを、前記感知する手段に基づいて判断するための手段をさらに含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記プライ手段を切断するための手段をさらに含む、請求項21に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−525893(P2006−525893A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514870(P2006−514870)
【出願日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/015144
【国際公開番号】WO2005/030458
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】