説明

真空土練機及びセラミックス原料を含む柱状体の製造方法

【課題】残存空気が少なく、真空室内部での坏土の硬土化を防ぎ、均質性の高い良好な柱状体が得られる真空土練機およびセラミックス原料を含む柱状体の製造方法を提供する。
【解決手段】坏土を混練する一次ドラム1と、一次ドラム1の出口に配置され、坏土を細分化するための複数の流路を設けた細分部16と、細分部16の複数の流路を介して坏土が内部に流入され、坏土を真空脱気する真空室10と、内部に螺旋状の回転羽根5を設けた二次スクリュー4と、真空室10を介して坏土が内部に供給される坏土供給口19とを有し、供給された坏土が内部に流入され、坏土を回転羽根5の回転によって混練しつつ柱状体15が押出される二次ドラム2と、真空室10内部に、真空室10内部の少なくとも一つの壁面から二次スクリュー4の回転軸6へ向けて傾斜する坏土整流用傾斜面を有した坏土整流部を設けた真空土練機30である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、セラミックス原料を含む柱状体の製造等に好適に用いられる真空土練機に関するものであり、詳しくは、残存空気が少なく、真空室内部における坏土の硬土化を防ぎ、均質性の高い良好な柱状体が得られる真空土練機およびセラミックス原料を含む柱状体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば上流側の一次ドラムで混練した坏土を一次ドラムの出口に配置した細分盤の流路(孔)から二次ドラムへ押出し、二次ドラム内において坏土を混練するとともに真空脱気して坏土をより均質化して円柱形状体を作製するために使用する真空土練機は種々の構成のものが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
【0003】
図2は従来の真空土練機の一例を示す概略構成図である。真空土練機は、図2に示すように、一次ドラム1は内部に一次スクリュー3を設けた構造を有しており、坏土を上流側から下流側に向かって回転させせん断力を付与しながら混練し、次いで細分部16に設けられた複数の流路から真空室10を経て二次ドラム2へ送り出し、脱気しつつさらに混練する。
【0004】
二次ドラム2は、内部に二次スクリュー4を設けた構造を有しており、二次ドラム2内においては、二次スクリュー4により大きなせん断力を付与することにより脱気しつつ坏土を更に混練し、均質化する。そして、二次ドラム2において混練・均質化された坏土が押出されて、柱状体15が製造される。
【0005】
また、セラミックスハニカム成形体の製造法として、セラミックス原料、水、バインダー等を調合した後、混練機(ニーダー)によって大きな粘土状の塊である坏土を作製し、真空土練機を使用して脱気および混練により坏土を均質化すると同時に押出しによって柱状体の作製を行い、この柱状体を押出成形(プランジャ型成形機)してセラミックスハニカム成形体を製造することも知られている。
【0006】
その際、真空土練機により柱状体を作製するが、土練機の一次ドラムから、真空で脱気する二次ドラムに流入する坏土の形状・寸法が不適切な場合、柱状体に空気が残存し、均質性の高い良好な柱状体が得られない。また、その柱状体を用いて、セラミックスハニカム構造体の押出成形を実施した場合、様々な成形体欠陥が発生する。
【0007】
また、セラミックスハニカム構造体等の押出し成形での主要不良である目詰り不良の一原因として、土練機真空室に坏土が滞留し、硬土が発生することが考えられる。
【0008】
特に近年、セラミックスハニカム構造体における隔壁の薄壁化がさらに進展しており、このような薄壁を有する成形体に用いられるセラミックス柱状体を作製する際には、均質性が極めて強く要求されるようになり、柱状体の製造工程において厳しい品質管理要求を満たす工夫が必要となってきた。
【0009】
【特許文献1】特開平9−94818号公報
【特許文献2】特開平10−100131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図2に示される構造の従来の真空土練機で得られた柱状体を使用してセラミックスハニカム構造体等の押出し成形を行う際、目詰り不良の一原因となる、真空室に坏土が滞留し、硬土が発生するといった問題が生じていた。硬土が発生する原因として具体的には、真空室側壁に坏土が付着しやすいこと、回転羽根への坏土の食い込みが悪く、真空室内で坏土が次第に盛り上がること、スクリュー軸・羽根部に坏土が付着しやすいこと等が挙げられる。
【0011】
本発明は上記した従来の課題に鑑みてなされたものであり、残存空気が少なく、真空室内部における坏土の硬土化を防ぎ、均質性の高い良好な柱状体が得られる真空土練機および柱状体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、以下の構成を採用することにより上記課題を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は下記に示す通りである。
【0013】
[1]セラミックス原料を含む坏土を混練する一次ドラムと、一次ドラムの出口に配置され、坏土を細分化するための複数の流路を設けた細分部と、細分部の複数の流路を介して坏土が内部に流入され、坏土を真空脱気する真空室と、真空室の下方に位置し、内部に螺旋状の回転羽根を設けた二次スクリューと、真空室を介して坏土が内部に供給される坏土供給口とを有し、供給された坏土が内部に流入され、坏土を回転羽根の回転によって混練しつつ柱状体が押出される二次ドラムと、真空室内部に、真空室内部の少なくとも一つの壁面から、二次スクリューの回転軸へ向けて傾斜する坏土整流用傾斜面21を有した坏土整流部を設けた真空土練機。
【0014】
[2]坏土整流用傾斜面が、二次スクリューの軸方向と平行に設けられた前記[1]に記載の真空土練機。
【0015】
[3]坏土整流部下面が、回転羽根上方を覆い、回転軸と垂直方向の断面形状が円弧状の、二次ドラム内壁の延長面上と少なくとも一部が面一である坏土逆流防止面を有した前記[1]または[2]に記載の真空土練機。
【0016】
[4]坏土整流用傾斜面の鉛直方向に対する傾斜角度が0度より大きく30度以下である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の真空土練機。
【0017】
[5]回転羽根が連続羽根である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の真空土練機。
【0018】
[6]二次ドラム内部に、坏土供給口の下方に位置し、二次スクリューと回転軸が平行な坏土供給補助用回転体を備えた前記[1]〜[5]のいずれかに記載の真空土練機。
【0019】
[7]坏土供給補助用回転体の形状が円柱である前記[6]に記載の真空土練機。
【0020】
[8]真空土練機の一次ドラムにセラミックス原料を含む坏土を流入し混練する一次工程と、一次ドラムの出口に配置された細分部の複数の流路を介して坏土を押出して真空室に流入せしめ、真空室下方に設けた坏土整流部を介して、更に下方に設けた2次ドラム中心部に落下せしめる2次工程と、2次ドラム中心部に設けた螺旋状に連続した回転羽根を設けた回転軸の回転により、坏土をさらに真空脱気および混練しつつ柱状体を押し出す三次工程と、を含むセラミック原料を含む柱状体の製造方法。
【0021】
[9]坏土整流部が鉛直方向に対する傾斜角度が0度より大きく30度以下である坏土整流用傾斜面を備えた前記[8]に記載のセラミックス原料を含む柱状体の製造方法。
【発明の効果】
【0022】
[1]の構成によれば、真空室内部に、真空室内部の少なくとも一つの壁面から、二次スクリューの回転軸へ向けて傾斜する坏土整流用傾斜面を有した坏土整流部を設けたことにより、一次スクリューから細分部を介して流入した細分化された坏土が真空室壁面に貼りついたまま残ったり、真空室内部に長時間滞留して固化することで硬土化し、成形不良の原因となる問題を防ぐことができる。
【0023】
[2]の構成によれば、坏土整流用傾斜面が、二次スクリューの軸方向と平行に設けられたため、坏土供給口の直下に二次スクリューが配置されるため、坏土整流用傾斜面によって整流された坏土がより効率よく二次スクリューによって取り込まれ、二次ドラム内部に流入することができる。
【0024】
[3]の構成によれば、坏土整流部下面が、回転羽根上方を覆い、回転軸と垂直方向の断面形状が円弧状の、二次ドラム内壁の延長面上と少なくとも一部が面一である坏土逆流防止面を有したため、二次スクリュー上方の真空室へ坏土が逆流することを防ぐことができる。
【0025】
[4]の構成によれば、坏土整流部の鉛直方向に対する傾斜角度が0度より大きく30度以下であるので坏土整流用傾斜面に坏土が滞留する事なく落下して、二次スクリュー内部へ取り込まれるため、坏土が滞留することで硬土が発生することを抑制できる。
【0026】
[5]の構成によれば、回転羽根が連続羽根であることにより、二次ドラム内での坏土の推進力を増加することができ、真空室内部に流入した坏土が長時間滞留して硬土が発生するのを抑制することができる。
【0027】
[6]の構成によれば、二次ドラム内部に、坏土供給口の下方に位置し、二次スクリューと回転軸が平行な坏土供給補助用回転体を備えたことにより、二次スクリューと坏土供給補助用回転体との間で坏土が取り込まれ、坏土供給口での坏土のくい込みを増加することができ、真空室内部に流入した坏土が長時間滞留して硬土が発生するのを抑制することができる。
【0028】
[7]の構成によれば、坏土供給補助用回転体の形状が円柱(ローラー)であるから回転羽根より表面積が少ない。このために坏土供給補助用回転体が回転羽根を有した場合に比べて坏土が付着することが少なくなり、付着した坏土による硬土の発生を抑制することが出来る。
【0029】
[8]の構成によれば、真空室下方に設けた坏土整流部を介して、更に下方に設けた2次ドラム中心部に落下せしめる2次工程において、効率よく坏土が二次ドラム内部に流入するため、真空室内部に流入した坏土が長時間滞留して硬土が発生するのを抑制することができる。
【0030】
[9]の構成によれば、坏土整流部上部表面の鉛直方向に対する傾斜角度を0度より大きく30度以下とすることで傾斜面に坏土が滞留しない。このため、真空室内部に流入した坏土が長時間滞留して硬土が発生するのを抑制することができる。
【0031】
本発明の真空土練機またはそれを用いたセラミックス原料を含む柱状体の製造方法によれば、残存空気が少なく、真空室内部での坏土の硬土化を防ぎ、均質性の高い良好な柱状体が得られるとともに、その柱状体を用いて、セラミックスハニカム構造体の押出成形を実施した場合、欠陥のないセラミックスハニカム構造体を容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定され
るものでないことはいうまでもない。
【0033】
本発明においては、真空土練機を用いて柱状体を作製するが、セラミックス原料を含む
坏土から柱状体を作製する流れを、図1および図3〜図5を用いて以下に説明する。
【0034】
図1は真空土練機の一例を示す概略構成図であり、セラミックス原料にバインダー等を所定量調合した後ニーダーなどで混練されて形成された粘土状の坏土が一次ドラムに投入される。一次ドラム1内において一次スクリュー3により下流側出口の細分部16まで回転しながら圧送される。細分部16には、二次ドラム2に入る坏土を細分化するための複数の流路が設けられていて、細分部16を通過することにより、ヌードル状に細分化された坏土14を得る。
【0035】
坏土は細分部16で細分化され二次ドラム2に導入されることにより、真空(減圧)下にある二次ドラム2において、ヌードル状に細分化された坏土内の残存空気を減少させ、均質性の高いヌードル状に細分化された坏土14とする。同時に、ヌードル状坏土は、二次ドラム2内の二次スクリュー4により、二次ドラム2の下流側に回転しながら圧送される。このように、二次ドラム2では、二次スクリュー4により回転しながら圧送された坏土が二次ドラム2内で圧密され、一体化した柱状体15が押出、作製される。なお、11はブライン制御ラインを示しており、冷却水を流すことにより、一次ドラム1及び二次ドラム2 の内部温度を所定以下とするように制御するためのものである。
【0036】
図3は本発明の真空土練機の真空室付近31を示す模式的側面図である。図4および図5はそれぞれ、二次ドラム2内部に、坏土供給口19の下方に位置し、二次スクリュー4と回転軸が平行な坏土供給補助用回転体20を備えた真空土練機の真空室付近を示す、模式的正面図、および模式的斜視断面図である。従来の真空土練機にはない、坏土整流部21を備えている。坏土整流部21は真空室10内部に、真空室10内部の少なくとも一つの壁面から、二次スクリュー4の回転軸6へ向けて傾斜している。また、坏土整流用傾斜面22は、二次スクリュー4の回転軸6と平行に設けられている。坏土整流用傾斜面22は、必ずしも、平らな面である必要はなく、坏土を整流することができるものであれば良い。例えば、部分的に緩やかな傾斜を有していても良い。坏土整流用傾斜面22が、部分的に凹面であっても凸面であっても、坏土を二次スクリューへ流入しやすくする役割を持っていれば良い。
【0037】
また、坏土整流用傾斜面22は、図5において真空室10内で左右両側に設けても良く、二次スクリュー4の上方と坏土供給補助用回転体20上方とで鉛直方向に対する傾斜角度をそれぞれ図5中のα、βのように異なるよう設けても良い。細分盤16から細分化された坏土が落下して、二次ドラム内部に滞留する事なく取り込まれるために、細分盤16、二次スクリュー4、坏土供給補助用回転体20の位置関係に応じて坏土整流用傾斜面22を適宜調整することが好ましい。その際、鉛直方向に対する傾斜角度α、βともに0度より大きく30°以下であることが好ましい。また、これらの傾斜角度α、βを15度以上30度以下となるよう設けることがより好ましい。これらの傾斜角度は30度を超えても一定の効果が見られるが、45度以上として設けた場合には坏土が傾斜面に滞留するため効果をなさない。
【0038】
また、坏土供給補助用回転体20を備えた本発明の真空土練機は、図5において示すように二次スクリュー4の上方に位置する右側の坏土整流部用傾斜面22の下端から鉛直方向に下ろした垂線を坏土整流用傾斜面下端の垂線27とすると、この坏土整流用傾斜面下端の垂線27が回転軸中心線26の左側にくるよう設けることが好ましい。即ち、坏土整流用傾斜面22が真空室10の内壁から開始して二次スクリュー4の回転軸中心26の上方を跨ぐように越えて設けられることが好ましい。
【0039】
また、図5に示すように坏土逆流防止面23は、坏土整流部21下面に位置し、回転羽根5上方を一部覆うように形成されており、回転軸6と垂直方向の断面形状が円弧状になっている。また、坏土逆流防止面23は、図3に示すように、二次ドラム内壁17の回転軸方向の延長面上と少なくとも一部が面一である。この、坏土逆流防止面23によって、図5に示されるような二次スクリュー4の回転方向24への回転や、坏土供給補助用回転体20の回転方向25への回転によって二次ドラム2内へ取り込まれた坏土が、これら二次スクリュー4や坏土供給補助用回転体20の回転に伴って上方の真空室10へ戻ることを防止することができる。
【0040】
坏土整流部21は、真空室10側面で開平式扉のようにして、把持部を設けて左右に開平可能であるか、取り外し可能であるものが、清掃や保守作業の利便性を向上できるという点において好ましい。
【0041】
回転羽根5を連続羽根とすることにより、二次ドラム内での坏土の推進力を増加することができ、真空室内部に流入した坏土が長時間滞留して硬土が発生するのを抑制することができる。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明する。
(比較例1、2、実施例1、2)
微粒のタルク、カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカを所定割合で混合し、コージェライト化原料を調製した。次に、コージェライト化原料100質量部に対して、有機バインダーとしてメチルセルロース5質量部、分散剤(界面活性剤)としてラウリン酸カリウム0.3質量部、分散媒として水33質量部を添加し、混練装置(ニーダー)により60分の混練を実施して、コージェライト化原料、有機バインダー、水等が混在する粘土状の塊である坏土を作製した。
【0043】
次に、図1に示す真空土練機を以下の構造に置き換えて、柱状体を作製した。また、本実施例において坏土整流部は坏土整流用傾斜面および坏土逆流防止面を備えたものを使用した。比較例1は二次スクリューを単羽根とし、坏土整流部を設けない。比較例2は二次スクリューを連続羽根とし、坏土整流部を設けない。実施例1は二次スクリューを単羽根とし、坏土整流部を設けた。実施例2は二次スクリューを連続羽根とし、坏土整流部を設けた。
【0044】
ここで、真空土練機の運転条件は、以下の通りとした。真空室の真空度:−720〜−760mmHg、細分盤厚さは15mm、二次ドラム出口径(柱状体径):φ300mm、坏土整流用傾斜面の鉛直方向に対しての傾斜角度:30°。
【0045】
上記条件で、真空室での滞留調査(坏土切替り調査)を行った。(評価方法):以下の手順で異色坏土を投入し、押出された柱状体の色から、真空室での坏土切替り性を評価する。(1)初めに異色坏土を投入して通常運転後、一次ドラム内部に初めに投入した異色坏土と識別可能な異色坏土を投入する。(2)異色坏土投入後に押出された柱状体中の異色坏土(初めに投入した異色坏土)の点在数を、評価柱状体の厚さ50mm毎に切断し計25断面の柱状体に点在する異色坏土数を調査した。結果を表1に示す。評価の基準は以下の通り、良好:真空室での坏土停滞が少ない。悪:真空室での坏土停滞が多い)。結果としては、表1に示すように真空室での坏土切替りは異色坏土点在数が2.2(個/m)となった実施例2が良好である。
【0046】
【表1】

【0047】
次に各実施例において、上記のように柱状体を50mm毎に切断し、サーモグラフィーを用いて、断面の表面温度を測定した。この結果を表2に示す。表2によると、二次スクリューが連続羽根である真空土練機を用いて柱状体を押出すと、柱状体の中心と端との温度差が二次スクリューを単羽根にした比較例1より少ない。従って、柱状体の温度均一化のために、二次スクリューを連続羽根にすることが好ましいことがわかった。
【0048】
【表2】

【0049】
次に、各実施例において、図6に示すような柱状体15断面の測定箇所で、柱状体密度(g/cc)とレオメーター硬度(kgf)を計測した。柱状体密度とレオメーター硬度の測定結果をそれぞれ図7、図8に示す。図8の計測はレオメータ硬度計(不動工業社製、NRM−2005JW)を使用して行った。図7に見られるように、各実施例において柱状体の密度の著しい差はみられなかった。また、図8に示すように、比較例1と較べて、比較例2、実施例1、実施例2においては、柱状体断面における測定箇所による差が少なく、均質性が高いことがわかった。
【0050】
以上の結果から、実施例2の坏土整流用傾斜面および坏土逆流防止面を備えた坏土整流部をもつ構成の真空土練機が総合的に優れていることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の真空土練機は、特に、セラミックハニカム構造体の成形に用いるためのセラミックス原料を含む柱状体の作製に好ましく適用することができる。また、真空室内部における坏土の硬土化を防ぎ、均質性に優れる柱状体を作製できるので、セラミックハニカム構造体の成形だけでなく、その他の成形用柱状体の作製に好適に利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の真空土練機を示す概略構成図である。
【図2】従来の真空土練機を示す概略構成図である。
【図3】本発明の真空土練機の真空室付近を示す模式的側面図である。
【図4】本発明の真空土練機の真空室付近を示す模式的正面図である。
【図5】本発明の真空土練機の真空室付近を示す模式的斜視断面図である。
【図6】各実施例における柱状体の断面での測定箇所を示す断面図である。
【図7】各実施例における柱状体の断面での密度を示すグラフである。
【図8】各実施例における柱状体の断面でのレオメーター硬度を示すグラフである。
【符号の説明】
【0053】
1:一次ドラム、2:二次ドラム、3:一次スクリュー、4:二次スクリュー、5:回転羽根、6:回転軸、10:真空室、11:ブライン流量制御機構、12:真空ポンプ、14:細分化された坏土:、15:柱状体、16:細分部、17:二次ドラム内壁、19:坏土供給口、20:坏土供給補助用回転体、21:坏土整流部、22:坏土整流用傾斜面、23:坏土逆流防止面、24:二次スクリュー回転方向、25:坏土供給補助用回転体回転方向、26:回転軸中心線、27:坏土整流用傾斜面下端の垂線、30:真空土練機、31:真空土練機の真空室付近。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス原料を含む坏土を混練する一次ドラムと、
前記一次ドラムの出口に配置され、前記坏土を細分化するための複数の流路を設けた細分部と、
前記細分部の複数の前記流路を介して前記坏土が内部に流入され、前記坏土を真空脱気する真空室と、
前記真空室の下方に位置し、内部に螺旋状の回転羽根を設けた二次スクリューと、前記真空室を介して前記坏土が内部に供給される坏土供給口とを有し、供給された前記坏土が内部に流入され、前記坏土を前記回転羽根の回転によって混練しつつ柱状体が押出される二次ドラムと、
前記真空室内部に、前記真空室内部の少なくとも一つの壁面から、前記二次スクリューの回転軸へ向けて傾斜する坏土整流用傾斜面を有した坏土整流部を設けた真空土練機。
【請求項2】
前記坏土整流用傾斜面が、前記二次スクリューの軸方向と平行に設けられた請求項1に記載の真空土練機。
【請求項3】
前記坏土整流部下面が、前記回転羽根上方を覆い、前記回転軸と垂直方向の断面形状が円弧状の、前記二次ドラム内壁の延長面上と少なくとも一部が面一である坏土逆流防止面として形成された請求項1または2に記載の真空土練機。
【請求項4】
前記坏土整流用傾斜面の鉛直方向に対する傾斜角度が0度より大きく30度以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の真空土練機。
【請求項5】
前記回転羽根が連続羽根である請求項1〜4のいずれか一項に記載の真空土練機。
【請求項6】
前記二次ドラム内部に、前記坏土供給口の下方に位置し、前記二次スクリューと回転軸が平行な坏土供給補助用回転体を備えた請求項1〜5のいずれか一項に記載の真空土練機。
【請求項7】
前記坏土供給補助用回転体の形状が円柱である請求項6に記載の真空土練機。
【請求項8】
真空土練機の一次ドラムにセラミックス原料を含む坏土を流入し混練する一次工程と、
前記一次ドラムの出口に配置された細分部の複数の流路を介して前記坏土を押出して真空室に流入せしめ、前記真空室下方に設けた坏土整流部を介して、更に下方に設けた2次ドラム中心部に落下せしめる二次工程と、
前記2次ドラム中心部に設けた螺旋状に連続した回転羽根を設けた回転軸の回転により、前記坏土をさらに真空脱気および混練しつつ柱状体を押し出す三次工程と、
を含むセラミック原料を含む柱状体の製造方法。
【請求項9】
前記坏土整流部が鉛直方向に対する傾斜角度が0度より大きく30度以下である坏土整流用傾斜面を備えた請求項8に記載のセラミックス原料を含む柱状体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−221476(P2008−221476A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−58655(P2007−58655)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】