真空圧力制御装置
【課題】ヒータを使用せずに真空容器内の圧力のアンダーシュートを防止する真空圧力制御装置を提供すること。
【解決手段】真空容器と真空ポンプとを接続する配管上であって開度を変化させることにより真空容器内の真空圧力を変化させ、弁座と当接又は離間するOリングを備える弁体とエア式シリンダを備えるパイロット式の真空比例開閉弁18と、真空容器内の真空圧力を計測する圧力センサ17と、圧力センサ17の圧力に基づいてOリングの弾性変形量を変化させ、Oリングからの漏れ量を変化させることにより真空容器内の圧力を制御するコントローラと56、を有する真空圧力制御装置8において、圧力センサ17により計測された真空容器内の圧力が一定以上の圧力下降率となったときに、エア式シリンダの内圧を排気する。
【解決手段】真空容器と真空ポンプとを接続する配管上であって開度を変化させることにより真空容器内の真空圧力を変化させ、弁座と当接又は離間するOリングを備える弁体とエア式シリンダを備えるパイロット式の真空比例開閉弁18と、真空容器内の真空圧力を計測する圧力センサ17と、圧力センサ17の圧力に基づいてOリングの弾性変形量を変化させ、Oリングからの漏れ量を変化させることにより真空容器内の圧力を制御するコントローラと56、を有する真空圧力制御装置8において、圧力センサ17により計測された真空容器内の圧力が一定以上の圧力下降率となったときに、エア式シリンダの内圧を排気する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空容器と真空ポンプとを接続する配管上であって開度を変化させることにより真空容器内の真空圧力を変化させ、弁座と前記弁座と当接又は離間する弾性シール部材を備える弁体とエア式シリンダとを備える真空比例開閉弁と、真空容器内の真空圧力を計測する圧力センサと、真空容器内の圧力を制御するコントローラと、を有する真空圧力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、本出願人が出願した下記の特許文献1に記載される真空比例開閉弁がある。真空比例開閉弁は、反応室内におけるパーティクルの巻き上がり防止を目的とするものである。真空比例開閉弁は、反応室内の真空圧力を大気圧又は大気圧に近い低真空から目標真空圧力値にまで到達させる真空引き過程において、パーティクルが巻き上がらないように反応室内からの材料ガスをスロー排気する。
しかし、図21に示す特許文献1の真空比例開閉弁101は、遮断状態となるとOリング108と弁座106が固着する問題があった。すなわち、Oリング108と弁座106は、遮断状態においては密着するうえ、反応室内から排出される材料ガスは常温で析出するため、材料ガスの析出などが要因となり固着することがあった。
そこで、特許文献1の真空比例開閉弁101はOリング108と弁座106が固着しないようにするために、ヒータ110により弁座106を加熱している。弁座106が加熱されることにより、材料ガスの析出を防止しOリング108と弁座106が固着することを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−163136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、以下の問題があった。
すなわち、弾性体のOリング108が弁座106に固着することの防止対策として、ヒータ110を用いているが、ヒータ110は、真空比例開閉弁101に合わせた特殊なヒータであるため高額である。そのためコストが増大するため問題となる。
【0005】
また、万が一、ヒータ110が断線してしまうと、Oリング108の固着が発生して、スロー排気制御開始時に圧力が急激に下降してしまう問題があった。ヒータ110が断線し、ヒータがない状態の問題点を、図16乃至図21を用いて説明する。図17は、横軸が時間、縦軸が圧力等の高低等を示す。また、真空容器内の圧力、真空比例開閉弁のストローク、及びエア式シリンダの内圧を線グラフで表した図である。
図17における、真空容器内の圧力X、真空比例開閉弁のストロークY、及びエア式シリンダの内圧Zは、ヒータ110が断線した場合の真空容器及び真空比例開閉弁101の線グラフを示す。
また、図17における、真空容器内の圧力Q、真空比例開閉弁のストロークR、及びエア式シリンダの内圧Sは、ヒータ110が通常運転されている場合の真空比例開閉弁101の線グラフを示す。
【0006】
具体的には、第1に、図18に示すように、ヒータが断線した場合には、材料ガスなどが要因となってOリング108が弁座106に固着する。図17に示すように、Oリング108が弁座106から一部離間し始めるまでの時間T1がある。ヒータが断線しているため、ヒータ作動時のOリング108が弁座106から一部離間し始める時間T10と比較して時間T20だけ長く時間が掛かる。
時間T20の間においては、Oリング108が弁座106に固着し、かつ、排気が発生しない状態では制御装置はストロークを上げて排気させようとするため、制御装置はシリンダの内圧Zを上昇させ続ける。そのため、Oリング108が弾性変形して伸びストロークYは上昇し続ける。
【0007】
第2に、時間T2の間においては、スロー排気が始まったことで圧力Xが下がり始め、設定圧力Qに合わせようと制御装置によりシリンダの内圧Zを下げる指令が出される。しかし、Oリング108と弁座106の「固着はがれ」が始まると短時間で「完全はがれ」まで進む。そのため、ストロークYは、それまでに上昇したシリンダの内圧Zにより勢いよくOリング108と弁座106は離れてストロークの値がP2となるまで上昇してしまう。その後ストロークYは下降するが、圧力XはストロークYの戻りが遅いため、大きくアンダーシュートしてしまう。
第3に、時間T3の間においては、下がりすぎた圧力Xを圧力Qに戻すため、シリンダの内圧Zをさらに下げ、Oリング108と弁座106を密着させて圧力Xの上昇を待つ。しかし、Oリング108と弁座106を密着させておくことで固着が発生するため、上記時間T20、T2の現象をくり返す結果となる。ヒータ作動時においては固着の発生がないため、固着をはがすためのシリンダの内圧値P3の発生がなく、ストロークP2の発生がなく、圧力P1の降下もない。そのため、シリンダの内圧S、ストロークRにより設定圧力Qを実施できる。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的はヒータを使用せずに真空圧力容器の圧力のアンダーシュートを防止する真空圧力制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様における真空圧力制御装置は、以下の構成を有する。
(1)真空容器と真空ポンプとを接続する配管上であって開度を変化させることにより真空容器内の真空圧力を変化させ、弁座と前記弁座と当接又は離間する弾性シール部材を備える弁体とエア式シリンダを備える真空比例開閉弁と、前記真空容器内の真空圧力を計測する圧力センサと、前記真空容器内の圧力を制御するコントローラと、を有する真空圧力制御装置において、前記圧力センサにより計測された前記真空容器内の圧力が一定以上の圧力下降率となったときに、前記エア式シリンダの内圧を排気する。
(2)(1)に記載する真空圧力制御装置において、前記真空比例開閉弁に電空比例開閉弁と3方弁が接続していること、前記3方弁が前記エア式シリンダの内圧を排気すること、が好ましい。
(3)(1)に記載する真空圧力制御装置において、前記一定以上の圧力下降率は、前記弁座から前記弾性シール部材の一部が離脱したときに発生するものであること、が好ましい。
(4)(1)に記載する真空圧力制御装置において、前記エア式シリンダの内圧を検知するシリンダ内圧検知器を有すること、前記エア式シリンダの内圧が一定の内圧値を前記シリンダ内圧検知器が検出したときに、前記エア式シリンダの内圧の排気を停止すること、が好ましい。
(5)(4)に記載する真空圧力制御装置において、前記コントローラが前記真空比例開閉弁にヒータが備えられている場合における前記真空容器内の圧力が降下し始める値である前記エア式シリンダの内圧の基準値をあらかじめ記憶していること、一定の内圧値は、前記エア式シリンダの内圧の基準値であること、が好ましい。
(6)(1)に記載する真空比例開閉弁において、前記エア式シリンダの内圧を排気するときに、一定の時間を経過した時に、前記エア式シリンダの内圧の排気を停止すること、が好ましい。
【発明の効果】
【0010】
上記真空圧力制御装置の作用及び効果について説明する。
(1)真空容器と真空ポンプとを接続する配管上であって開度を変化させることにより真空容器内の真空圧力を変化させ、弁座と前記弁座と当接又は離間する弾性シール部材を備える弁体とエア式シリンダを備える真空比例開閉弁と、前記真空容器内の真空圧力を計測する圧力センサと、前記真空容器内の圧力を制御するコントローラと、を有する真空圧力制御装置において、前記圧力センサにより計測された前記真空容器内の圧力が一定以上の圧力下降率となったときに、前記エア式シリンダの内圧を排気することにより、エア式シリンダの内圧を一気に下げることができる。エア式シリンダの内圧を一気に下げることにより、ストロークが大きい場合にも、弁体を直に閉めることができる。そのため、上述の課題において説明した時間T2を短くすることができる。弁体を直ちに閉めることができるので、圧力の下降量を減少させることができ、アンダーシュートを低減することができる。
また、ヒータがない状態であってもアンダーシュートを低減することができるため、ヒータを設ける必要がない。そのため、ヒータを設けなくて済むためコストの低減を図ることができる。
(2)真空比例開閉弁に電空比例開閉弁と3方弁が接続していること、3方弁が真空容器内の圧力を排気することにより、エア式シリンダの内圧を急速に下げることができる。すなわち、電空比例開閉弁を使用して、エア式シリンダの内圧を下げるには時間が掛かるが、3方弁を用いることによりエア式シリンダの内圧を急速に下げることができる。
【0011】
(3)一定以上の圧力下降率は、弁座から弾性シール部材の一部が離脱したときに発生するものであることにより、圧力が下がるときを認識することができる。圧力が下がるときを認識することができることにより、エア式シリンダの内圧を一気に下げることができる。そのため、弁体を直ちに閉めることができ、Oリングと弁座に隙間を形成するための時間を短縮することができる。弁体を直に閉めることができるので、圧力の下降量を減少させることができ、アンダーシュートを低減することができる。
また、ヒータがない状態であってもアンダーシュートを低減することができるため、ヒータを設ける必要がない。そのため、ヒータを設けなくて済むためコストの低減を図ることができる。
(4)エア式シリンダの内圧を検知するシリンダ内圧検知器を有すること、エア式シリンダの内圧が一定の内圧値をシリンダ内圧検知器が検出したときに、エア式シリンダの内圧の排気を停止することにより、エア式シリンダの内圧が過度に下がることを防止することができる。エア式シリンダの内圧が過度に下がると、その後のスロー排気制御に悪影響がでるためである。すなわち、一度下がったエア式シリンダの内圧を上げるために時間が掛かる。そのため、その後の本来の真空比例開閉弁の目的である真空引きに時間が掛かることになるため問題となる。
しかし、本発明においては、当該問題を解決し、エア式シリンダの内圧を上げるのに時間を掛けず、さらに、アンダーシュートを低減することができる。
【0012】
(5)コントローラが真空比例開閉弁にヒータが備えられている場合における真空容器内の圧力が降下し始める値であるエア式シリンダの内圧の基準値をあらかじめ記憶していること、一定の内圧値は、エア式シリンダの内圧の基準値であること、により、エア式シリンダの内圧が下がりすぎたときを認識することができる。エア式シリンダの内圧が過度に下がることを認識できることにより、エア式シリンダの内圧が過度に下がることを防止することができる。エア式シリンダの内圧が過度に下がると、その後のスロー排気制御に悪影響がでるためである。すなわち、一度下がったエア式シリンダの内圧を上げるために時間が掛かる。そのため、その後の本来の真空比例開閉弁の目的である真空引きに時間が掛かることになるため問題となる。
(6)エア式シリンダの内圧を排気するときに、一定の時間を経過した時に、エア式シリンダの内圧の排気を停止することにより、シリンダ内圧検知器を設けずに、エア式シリンダの内圧が過度に下がることを防止することができる。
すなわち、エア式シリンダの内圧が過度に下がる前にエア式シリンダの内圧の排気を停止することができれば、エア式シリンダの内圧が過度に下がるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る真空圧力制御装置のブロック図(1)である。
【図2】本発明に係る真空圧力制御装置のブロック図(2)である。
【図3】本発明に係る圧力、ストローク、シリンダ内圧を表したデータ図である。
【図4】本発明に係るOリングと弁座との隙間を表した概念図(1)である。
【図5】本発明に係るOリングと弁座との隙間を表した概念図(2)である。
【図6】本発明に係るOリングと弁座との隙間を表した概念図(3)である。
【図7】本発明に係る真空比例開閉弁を用いた場合の実験(1)のデータ図である。
【図8】ヒータが備えられていない場合及びヒータが断線した場合に係る真空比例開閉弁を用いた実験(1)のデータ図である。
【図9】本発明に係る真空比例開閉弁を用いた場合の実験(2)のデータ図である。
【図10】ヒータが備えられていない場合及びヒータが断線した場合に係る真空比例開閉弁を用いた実験(2)のデータ図である。
【図11】本発明に係る真空比例開閉弁を用いた場合の実験(3)のデータ図である。
【図12】ヒータが備えられていない場合及びヒータが断線した場合に係る真空比例開閉弁を用いた実験(3)のデータ図である。
【図13】本発明の実施形態に係る真空比例開閉弁の構成を示す断面図である。
【図14】本発明の実施形態に係る真空比例開閉弁の弁座付近の構成を示す断面図である。
【図15】本発明の実施形態に係る電空比例開閉弁の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の実施形態に係る真空圧力制御装置が使用される真空圧力制御システムの全体構成を示す全体図である。
【図17】従来技術に係る圧力、ストローク、シリンダ内圧を表したデータ図である。
【図18】従来技術に係るOリングと弁座との隙間を表した概念図(1)である。
【図19】従来技術に係るOリングと弁座との隙間を表した概念図(2)である。
【図20】従来技術に係るOリングと弁座との隙間を表した概念図(3)である。
【図21】従来技術に係る真空比例開閉弁の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の真空圧力制御装置を具体化した実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(真空圧力制御システムの構成)
本実施形態の真空圧力制御装置8が利用される真空圧力制御システムの一実施の形態の全体構成を図16に示す。
図16に示すように、真空容器11の内部に、ウエハ15が段状に配置される。真空容器11には、入口13と出口14が形成され、入口13には、プロセスガスの供給源及び真空容器11内をパージするための窒素ガスの供給源が接続されている。出口14には、弁開度比例弁である真空比例開閉弁18の入口ポートが接続されている。真空比例開閉弁18の出口ポートは、真空ポンプ19に接続している。また、出口14には、遮断弁16を介して圧力センサ17が接続されている。本実施の形態では、圧力センサ17として、キャパシタンス・マノメータを使用している。
【0015】
(真空比例開閉弁の構成)
次に、真空比例開閉弁18の構造を図13及び図14に基づいて詳細に説明する。図13は、真空比例開閉弁18が閉じられた状態を示している。真空比例開閉弁18は、大まかに上部のエア式シリンダ32と下部のベローズ式ポペット弁31に別れている。エア式シリンダ32は、次のような構成を有する。単動空気圧シリンダ43に対して、摺動可能にピストン41が配置されている。ピストン41は、復帰バネ42により下向きに付勢されている。
【0016】
ピストン41の上端にスライドレバー48の一端が連結されている。スライドレバー48は、単動空気圧シリンダ43の外部に出てポテンショメータ50の図示しないロッドと連結している。ロッドは、ポテンショメータ50内の可変抵抗に接続しており、このポテンショメータ50によりピストン41の位置を正確に計測している。また、ピストン41の下面には、ベロフラム51の内周端部が固定されている。ベロフラム51の外周端部は、単動空気圧シリンダ43の室壁に固定されている。ベロフラム51は、極めて薄く設計され、構造的には、強力なポリエステル、テトロン布等の上にゴムを被覆したものである。ベロフラム51とは、大きいストロークと深い折り返し部を持ち、作動中にその有効受圧面積が一定不変に保たれる円筒形のダイヤフラムである。本実施の形態では、エア式シリンダ32とピストン41との間にベロフラム51を使用しているので、ピストン41のスティックスリップの発生がなく、ピストン41を高い応答性と正確な位置精度で移動させることが可能である。
【0017】
ピストン41の中央には、ピストンロッド37が固設され、ピストン41の移動に応じて上下に摺動する。ピストンロッド37の下端には、弁体33が取り付けられている。また、弁体33の上面には、ベローズ38の一端が周回溶接で取り付けられている。
弁体33の詳細な構造を図14に示す。図14は、真空比例開閉弁18が閉じた状態を示している。弁体33は、ピストンロッド37と連結する弁本体33a、弾性シール部材であるOリング35を固定するためのOリング取付部33b、及びステンレス弁体部34を取り付けるためのステンレス弁体取付部33c及びステンレス弁体部34により構成されている。本実施の形態では、ステンレス弁体部34の材料としてSUS316L(JIS規格)を使用している(請求項中の「弁体」は、弁体33及びステンレス弁体部34を含んだものである)。Oリング35は、弁体33のOリング取付部33bとステンレス弁体部34のOリング取付部34bとにより保持される。Oリング35は、水平弁座部36aに当接して押圧されたときに、流体の漏れをなくすためのものであり、同時に本発明の主要部である弾性シール部材である。
【0018】
本実施形態において、真空比例開閉弁18の外周にヒータを備え付けなかったが、ヒータを備えつけ、弁座36及びOリング35を加熱し、固着を防止することもできる。
【0019】
(真空圧力制御装置の構成)
次に、本実施の形態の真空圧力制御装置8について説明する。図1に真空容器内の圧力のアンダーシュートが発生した時の真空圧力制御装置8の構成を示し、図2に通常時の真空圧力制御装置8の構成を示す。図15に電空比例開閉弁62の詳細な構成を示す。
始めに空気系統の構成を説明する。図2に示すように、真空比例開閉弁18には、第1電磁弁60の出力ポートが接続している。第1電磁弁60の第1入力ポート601には、電空比例開閉弁62が接続している。第1電磁弁60の第2入力ポート602には、第2電磁弁61が接続している。
電空比例開閉弁62は、図15に示すように、給気側比例弁74と排気側比例弁75とで構成されている。給気側比例弁74の入力ポート74aは、供給エアに接続している。排気側比例弁75の出力ポート75aは、排気配管に接続している。また、給気側比例弁74の出力ポート74bと排気側比例弁75の入力ポート75bとは共に、第1電磁弁60の第1入力ポート601に接続している。
図1及び図2に示すように、真空比例開閉弁18に、エア式シリンダの内圧を計測するためのシリンダ内圧検知器55が接続している。
【0020】
次に、電気系統の構成を説明する。電空比例開閉弁62には、パルスドライブ回路68が接続している。パルスドライブ回路68には、位置制御回路64が接続している。また、位置制御回路64には、ポテンショメータ50の位置信号がアンプ63を介して接続している。また、位置制御回路64には、真空圧力制御回路67が接続している。真空圧力制御回路67には、インターフェース回路66が接続している。また、真空圧力制御回路67には、圧力センサ17が接続されている。インターフェース回路66には、シーケンス制御回路65が接続している。シーケンス制御回路65は、第1電磁弁60の駆動コイルSV1、第2電磁弁61の駆動コイルSV2に接続している。
コントローラ56は、シーケンス制御回路65、インターフェース回路66、真空圧力制御回路67を有する。
真空圧力制御回路67には、記憶部が備えられ、図3に示す、真空比例開閉弁18にヒータが備えられている場合におけるシリンダの内圧値データの線図Sをあらかじめ記憶している。
【0021】
(真空圧力制御装置の作用)
上記構成を有する真空圧力制御装置8の作用を説明する。
(真空比例開閉弁の全開、全閉の動作)
始めに、急速給排気動作について説明する。真空比例開閉弁18を全開にするときは、第1電磁弁60をOFF状態にし、第2電磁弁61をON状態とする。これにより、第1電磁弁60の第1入力ポート601が出力ポート603と接続し、真空比例開閉弁18に駆動エアが供給される。弁体33は、弁座36から遠く離間しており、真空ポンプ19が真空容器11内の気体を大量に吸引し、急速に排気することができる。
次に、真空比例開閉弁18の全閉状態について説明する。図1に示すように、第1電磁弁60をOFF状態にし、第2電磁弁61もOFF状態とする。これにより、第2電磁弁61の第2入力ポート612が出力ポート613と接続し、第1電磁弁60の第2入力ポート602が出力ポート603と接続し、真空比例開閉弁18が排気配管に接続される。
そして、真空比例開閉弁18に駆動エアが供給されず、シリンダ内部の空気が排気され、ピストン41は、復帰バネ42により下向きに付勢され、弁体33は弁座36の上面に当接される。このとき、Oリング35が、弁体33と弁座36の水平弁座部36aに押圧されて変形するため、流体の漏れがなく真空比例開閉弁18は完全に遮断される。
一方、停電等が発生した場合にも、復帰バネにより、第1電磁弁60の出力ポート603と第2入力ポート602が連通し、かつ第2電磁弁61の出力ポート613と第2入力ポート612が連通し、同様に、真空比例開閉弁18は、復帰バネ42により遮断される。これにより、緊急時の遮断機能が実現されている。
【0022】
(スロー排気制御時の弁ストローク)
スロー排気制御時における真空容器11内の圧力、弁体33のストローク、エア式シリンダ32の内圧を、それぞれ線グラフで図3に示す。図3において、横軸が時間、縦軸が高低・大小等を示す。図4乃至図6にOリング35と弁座36の関係の概念図を示す。
図3における、真空容器11内の圧力A、弁体33のストロークB、エア式シリンダ32の内圧Cは、本実施形態における真空比例開閉弁にヒータがない場合の真空比例開閉弁18の線グラフを示す。
また、図3における、真空容器内の圧力Q、弁体ストロークR、エア式シリンダの内圧Sは、ヒータが備えられ通常運転されている場合の実施例の真空比例開閉弁の線グラフを示す。
【0023】
スロー排気制御では、完全遮断している状態のOリング35の弾性変形量を、エア式シリンダ32に加えている空気圧を徐々に増加させることにより、調整する。すなわち、空気圧を増加させることにより、円周状のOリング35と弁座36との間に供給ガスの流れを発生させ、その流れにより真空容器11内の真空圧力制御を実現する。
本実施形態における真空比例開閉弁8は、ヒータを有さない。そのため、Oリング35と弁座36を密着させておくと固着する。
【0024】
Oリング35と弁座36が固着した状態から、スロー排気制御が始まるときの状態を説明する。まず、図3に示す時間U1における位置制御動作について説明する。時間U1は、Oリング35が弁座36から離間し始めるまでの時間である。
本実施形態においてはヒータを有さないため、図4に示すように、Oリング35が弁座36に固着しており、固着したOリング35が離間し始め排気が始まるまでに時間U20だけ時間が掛かる。
すなわち、Oリング35が弾性変形することにより、ストロークBは上昇するが、Oリング35が固着していたため、排気が始まるまで時間U20だけ余分に時間が掛かる。
図3に示す時間U20と図17に示す時間T20は同じ時間の長さである。図3及び図17はともにヒータがない場合を想定しているため、Oリング35が弁座36から離間するまでの時間は同じとなる。
【0025】
図3に示すように、圧力Aは、時間U1において、変化がほとんどない。なぜなら、Oリング35が弁座36に固着し弾性変形しており、Oリング35が弁座36から離間し始めるまでは、真空容器11の圧力に変化がほとんど生じないためである。
また、ヒータを有する場合のOリング35と弁座36が離間し始める時間U10で下降を始める圧力Qと比較して、圧力Aでは、Oリング35と弁座36が時間U20だけ長く当接している。
真空圧力制御装置8は、時間U1において圧力センサ17により測定された真空容器11内の圧力を測定する。
【0026】
また、図3に示すように、ストロークBは、ヒータを有する場合のストロークRと比較して、上昇し続ける。なぜなら、Oリング35が弁座36に固着し弾性変形するため、ストロークRを超えても時間U20の時間だけ弁座36から離間しておらず、真空圧力制御回路67がストロークBを上げて排気させようとするためである。
また、シリンダの内圧Cは、ヒータを有する場合のシリンダの内圧Sと比較して、上昇し続ける。なぜなら、Oリング35が弁座36に固着し弾性変形するため時間U20だけ弁座36から離間しない。そのため、真空圧力制御回路67がストロークBを上げて排気させようとするため、時間U20の間、シリンダの内圧を上昇させる制御を行うためである。
真空圧力制御装置8は、時間U1においてシリンダ内圧検知器55により測定されたシリンダの内圧を測定する。
【0027】
続いて、図3に示す時間U2における位置制御動作について説明する。
時間U2は、Oリング35が弁座36から一部離間したときからOリング35と弁座36との間に図6に示すスロー排気可能な隙間Vが形成されるまでの時間である。
ストロークBが上昇し、図5に示すように、Oリング35は、弁座36に固着した状態から一部離脱する。
【0028】
本実施形態において、Oリング35が弁座36から一部離間したときに、図3に示すように圧力Aは設定した下降率を目標値として下降し始める。圧力Aが下降し始めた場合、一定の下降率が発生したとして、真空圧力制御装置8の圧力センサ17において認識し把握することができる。ここで、一定の下降率とは、図3に示すようにOリング35が弁座36から一部離間し、真空容器11内の圧力Aが一定であった状態から下降し始めたときのことである。Oリング35と弁座36は当接した状態から、一部が離間し始めるため、圧力Aは、図3に示すように、一定である状態(時間U1)から下降し始める(時間U2)。そのため、Oリング35と弁座36が一部離間し一定の下降率が発生することを圧力センサ17が把握することが客観的に可能である。
圧力Aの下降率が、設定した下降率目標値に対して一定以上大きい場合は、Oリング35の固着が発生していたと判断し、第1電磁弁60をOFF状態にし、第2電磁弁61もOFF状態とする。これにより、第2電磁弁61の第2入力ポート612が出力ポート613と接続し、第1電磁弁60の第2入力ポート602が出力ポート603と接続し、真空比例開閉弁18が排気配管に接続される。そして、真空比例開閉弁18に駆動エアが供給されず、エア式シリンダ32内部の空気が急速に排気され、図5に示すようにシリンダの内圧が一気に下がるので、図19に示す従来の場合と比較してストロークの上昇が小さいピストン41は、復帰バネ42により下向きに付勢され、図6に示すように、Oリング35と弁座36との間に、圧力Qとなるスロー排気可能な隙間Vを形成することができる。
【0029】
第1電磁弁60によりエア式シリンダ32内の内圧を急排気することができる。それより、図3に示すように、エア式シリンダ32内の内圧であるシリンダの内圧Cを一気に下げることができる。そのため、シリンダの内圧Cが急下降することで、復帰バネ42の付勢力により弁体33を下降させることができ、ストロークBを一気に下降させることができる。
弁体33を電空比例開閉弁62を介さずに閉めることができるので、シリンダの内圧Cによって勢いよくOリング35と弁座36が離れてストロークが上昇することも抑制でき、Oリング35と弁座36との間にスロー排気可能な隙間Vを形成するまでの時間である時間U2を短くすることができる。そのため、早い時間でスロー排気が可能となり、図3に示す圧力Aの下降量を減少させることができ、その結果、真空容器内の圧力のアンダーシュートを低減することができる。
また、本実施形態のようにヒータがない状態であっても真空容器内の圧力のアンダーシュートを低減することができる。ヒータを設けなくて済むため、コストの低減を図ることができる。
【0030】
また、図3に示すように、エア式シリンダ32内の内圧は、急排気されることにより、シリンダの内圧Cが、シリンダの内圧Sと交差するまでに時間がほとんど掛からない。エア式シリンダ32内のシリンダの内圧Cは、急排気されることで急降下し、Oリング35と弁座36がスロー排気可能な隙間Vを形成するだけの時間U2がほとんどかからない。
そのため、ヒータを有する場合のストロークRとの比較である図17に示すストロークYがストローク量P2あるのに対して、本実施例では図3に示すようにストロークBがストロークRに対してストローク量D2で済む。すなわち、図17の従来技術に係るストロークYがストロークRの位置になるまでの時間T2が、本実施形態においては時間U2となり時間が短い。
そのため、従来技術と比較してストローク量P2からストローク量D2を差し引いた分だけストローク量が小さい段階で下降し始めるため、従来よりもストローク量を減らすことができる。よって、本実施形態によれば、早くOリング35と弁座36の間にスロー排気可能な隙間Vを形成することができる。
【0031】
また、図3に示すように、シリンダの内圧Cを急降下させることができることにより、ヒータを有する場合のストロークRと比較して、ストロークBがストローク量D2だけで済む。すなわち、図17の従来技術に係るストローク量P2と比較するとストローク量D2は小さくて済む。そのため、従来技術と比較してストローク量P2からストローク量D2を差し引いた分だけ早くOリング35と弁座36が隙間Vを形成することができる。
また、図3に示すように、ヒータを有する場合の圧力Qとヒータを有しない場合の圧力Aを比較して、真空容器内のアンダーシュートが圧力量D1だけで済む。すなわち、図17の従来技術に係る圧力量P1と比較すると圧力量D1は小さくて済む。そのため、従来技術と比較して圧力量P1から圧力量D1を差し引いただけ真空容器内の圧力のアンダーシュートを低減することができる。
【0032】
また、エア式シリンダ32内の内圧をシリンダ内圧検知器55により検知している。シリンダ内圧検知器55が一定の内圧値を検出した時に、エア式シリンダ32内の内圧の第1電磁弁60と第2電磁弁61による排気を停止する。ここで一定の内圧値とは、図3に示すヒータがある場合のシリンダの内圧Sにおける真空容器11の圧力が降下し始める値である基準値S1である。基準値S1よりさらにシリンダの内圧を排気すると、エア式シリンダ32の内圧が過度に下がる結果となる。エア式シリンダ32の内圧が過度に下がると、その後のスロー排気制御に悪影響が出る。すなわち、一度下がったシリンダの内圧を上げるのに時間が掛かり、その後の本来の真空比例開閉弁18の目的である真空引きに時間が掛かるため問題となる。そのため、基準値S1に基づいてエア式シリンダ32内の内圧の排気を停止する。
基準値S1は、コントローラ56の真空圧力制御回路67にあらかじめ記憶されており、シリンダの内圧Cの値が基準値S1を下回った時に、真空圧力制御回路67が制御によりエア式シリンダ32内の内圧の排気を停止する。その後は、第1電磁弁60をON状態にし、電空比例開閉弁による制御に切り替える。
【0033】
また、本実施形態においてはシリンダ内圧検知器55を用いてシリンダの内圧を検知したが、エア式シリンダ32内の内圧の排気を開始してから一定の時間を経過した時に、排気を停止することができる。この一定の時間は、エア式シリンダ32のシリンダの内圧Sが基準値S1に達するまでの平均時間を計算することにより求めることができる。シリンダの内圧の排気を開始してから平均時間を経過した時に、排気を停止することにより、シリンダの内圧が過度に下がることを防止することができる。
平均時間を計算し、用いることにより、シリンダ内圧検知器55を用いずにシリンダの内圧が過度に下がることを防止することができる。そのため、コストを下げた真空圧力制御装置8を提供することができる。
【0034】
本実施形態における実験結果について、図7乃至図12を用いて説明する。図7に、本発明に係る真空比例開閉弁を用いた場合の実験(1)のデータ図を示す。図8に、ヒータが備えられていない場合及びヒータが断線した場合に係る真空比例開閉弁を用いた実験(1)のデータ図を示す。図9に、本発明に係る真空比例開閉弁を用いた場合の実験(2)のデータ図を示す。図10に、ヒータが備えられていない場合及びヒータが断線した場合に係る真空比例開閉弁を用いた実験(2)のデータ図を示す。図11に、本発明に係る真空比例開閉弁を用いた場合の実験(3)のデータ図を示す。図12に、ヒータが備えられていない場合及びヒータが断線した場合に係る真空比例開閉弁を用いた実験(3)のデータ図を示す。
図7乃至図12の横軸は時間(sec)を示し、縦軸は圧力(×133Pa)及びストローク(mm)の大小等を示す。また、太線の線グラフは真空容器内の圧力Fを示し、細線の線グラフは弁体のストロークGを示す。
【0035】
図7及び図8の実験(1)においては、スロー排気レート:2.5×133Pa/secにおいて、バルブCLOSE放置時間を18時間として実験を行った。
図8は、真空比例開閉弁にヒータが備えられていない場合及びヒータが断線した場合であって本実施形態に係る対策前の状態で実験を行ったデータ図である。図8に示すように、ストロークG2は、Oリング35が弁座36から完全に離間上昇するのは約1.4mmである。ストロークG2のピーク値が約1.4mmあるため、真空容器内の圧力F2が228×133Pa急降下(アンダーシュート)する。アンダーシュートが生じるため、圧力F2を目標値に戻そうとストロークG2を下げ、Oリング35と弁座36を密着させると圧力F2が上昇し始め目標値に達する。そのときストロークG2を上げて、圧力F2を下げようとするが、このときOリング35と弁座36は固着しているため、同じステップを繰り返してアンダーシュートが発生する。これを数回繰り返してやっと安定した隙間Vを形成することができる。
一方、図7に示すように、本実施形態においては、Oリング35が弁座36から一部離間し始め、圧力が設定した下降率目標値に対して一定以上大きくなるとシリンダの内圧を急速に排気する。そのため、Oリング35が弁座36から完全に離間するよりも早く約0.6mmのところでストロークG1が下がり始める。さらに、シリンダの内圧が基準値S1となるところで第1電磁弁60を介するシリンダの内圧の排気を停止する。このためOリング35と弁座36は接触しない又は接触しても低荷重のため固着しにくく、素早く隙間Vを形成することができ、アンダーシュートの最大値を15×133Paに抑えることができた。
【0036】
図9及び図10の実験(2)においては、スロー排気レート:2.5×133Pa/secにおいて、バルブCLOSE放置時間を0.25時間として実験を行った。
図10は、真空比例開閉弁にヒータが備えられていない場合及びヒータが断線した場合であって本実施形態に係る対策前の状態で実験を行ったデータ図である。図10に示すように、ストロークG4は、Oリング35が弁座36から完全に上昇するのは約0.9mmである。ストロークG4のピーク値が約0.9mmあるため、真空容器内の圧力F4が106×133Pa急降下(アンダーシュート)する。アンダーシュートが生じるため、圧力F4を目標値に戻そうとストロークG4を下げ、Oリング35と弁座36を密着させると圧力F4が上昇し始め目標値に達する。そのときストロークG4を上げて、圧力F4を下げようとするが、このときOリング35と弁座36は固着しているため、同じステップを繰り返してアンダーシュートが発生する。これを数回繰り返してやっと安定した隙間Vを形成することができる。
図9に示すように、本実施形態においては、Oリング35が弁座36から一部離間し始め、真空容器内の圧力が設定した下降率目標値に対して一定以上大きくなるとシリンダの内圧を急速に排気する。そのため、Oリング35が弁座36から完全に離間するよりも早く約0.55mmのところでストロークG3が下がり始める。さらに、シリンダの内圧が基準値S1となるところで第1電磁弁60を介するシリンダの内圧の排気を停止する。このためOリング35と弁座36は接触しない又は接触しても低荷重のため固着しにくく、素早く隙間Vを形成することができ、真空容器内の圧力のアンダーシュートの最大値を12×133Paに抑えることができた。
【0037】
図11及び図12の実験(3)においては、スロー排気レート:0.5×133Pa/secにおいて、バルブCLOSE放置時間を0.25時間として実験を行った。
図12は、真空比例開閉弁にヒータが備えられていない場合及びヒータが断線した場合であって本実施形態に係る対策前の状態で実験を行ったデータ図である。図12に示すように、ストロークG6は、Oリング35が弁座36から完全に上昇するのは約0.6mmである。ストロークG6のピーク値が約0.6mmあるため、真空容器内の圧力F6が33×133Pa急降下(アンダーシュート)する。アンダーシュートが生じるため、圧力F6を目標値に戻そうとストロークG6を下げ、Oリング35と弁座36を密着させると圧力F6が上昇し始め目標値に達する。そのときストロークG6をあげて、圧力F6を下げようとするが、このときOリング35と弁座36は固着しているためこれを繰り返すことになる。すなわち、真空容器内の圧力のアンダーシュートを繰り返すことになる。
それに対して、図11に示すように、本実施形態においては、Oリング35が弁座36から一部離間し始め、圧力が設定した下降率目標値に対して一定以上大きくなるとシリンダの内圧を急速に排気する。そのため、Oリング35が弁座36から完全に離間するよりも早く約0.52mmのところでストロークG5が下がり始める。さらに、シリンダの内圧が基準値S1となるところで第1電磁弁60を介するシリンダの内圧の排気を停止する。このためOリング35と弁座36は接触しない又は接触しても低荷重のため固着しにくく、素早く隙間Vを形成することができるため、アンダーシュートの最大値を9×133Paに抑えることができた。
【0038】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で色々な応用が可能である。
例えば、本実施形態においては、真空比例開閉弁18にヒータを搭載せずに、アンダーシュートを低減することができる旨の効果を記載したが、ヒータを搭載することもできる。ヒータを搭載した場合には、Oリング35と弁座36は固着する問題を解決できるが、ヒータが断線した場合及びヒータが故障し使用できなくなった場合においても、真空容器内の圧力のアンダーシュートを低減することができるため効果を有する。
例えば、第1電磁弁、第2電磁弁はエアオペレーションバルブであっても良いし、図示のように3方弁に限らず、4方弁、5方弁を3方弁の使い方をすれば、同じことができる。
また、第2電磁弁が無い回路においても同様の作用効果を得ることができる。
また、本実施形態では、圧力Aの下降率が、設定した下降目標値に対して一定以上大きい場合は、固着が発生していたと判断しているが、例えば、シリンダの内圧Cを測定するセンサにより測定したシリンダの内圧が圧力目標値に対して一定以上高い場合は、固着が発生していると判断することもできる。
【符号の説明】
【0039】
8 真空圧力制御装置
11 真空容器
17 圧力センサ
18 真空比例開閉弁
19 真空ポンプ
32 エア式シリンダ
33 弁体
35 Oリング(請求項中の「弾性シール部材」)
36 弁座
55 シリンダ内圧検知装置
56 コントローラ
60 第1電磁弁60(請求項中の「3方弁」)
62 電空比例開閉弁
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空容器と真空ポンプとを接続する配管上であって開度を変化させることにより真空容器内の真空圧力を変化させ、弁座と前記弁座と当接又は離間する弾性シール部材を備える弁体とエア式シリンダとを備える真空比例開閉弁と、真空容器内の真空圧力を計測する圧力センサと、真空容器内の圧力を制御するコントローラと、を有する真空圧力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、本出願人が出願した下記の特許文献1に記載される真空比例開閉弁がある。真空比例開閉弁は、反応室内におけるパーティクルの巻き上がり防止を目的とするものである。真空比例開閉弁は、反応室内の真空圧力を大気圧又は大気圧に近い低真空から目標真空圧力値にまで到達させる真空引き過程において、パーティクルが巻き上がらないように反応室内からの材料ガスをスロー排気する。
しかし、図21に示す特許文献1の真空比例開閉弁101は、遮断状態となるとOリング108と弁座106が固着する問題があった。すなわち、Oリング108と弁座106は、遮断状態においては密着するうえ、反応室内から排出される材料ガスは常温で析出するため、材料ガスの析出などが要因となり固着することがあった。
そこで、特許文献1の真空比例開閉弁101はOリング108と弁座106が固着しないようにするために、ヒータ110により弁座106を加熱している。弁座106が加熱されることにより、材料ガスの析出を防止しOリング108と弁座106が固着することを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−163136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、以下の問題があった。
すなわち、弾性体のOリング108が弁座106に固着することの防止対策として、ヒータ110を用いているが、ヒータ110は、真空比例開閉弁101に合わせた特殊なヒータであるため高額である。そのためコストが増大するため問題となる。
【0005】
また、万が一、ヒータ110が断線してしまうと、Oリング108の固着が発生して、スロー排気制御開始時に圧力が急激に下降してしまう問題があった。ヒータ110が断線し、ヒータがない状態の問題点を、図16乃至図21を用いて説明する。図17は、横軸が時間、縦軸が圧力等の高低等を示す。また、真空容器内の圧力、真空比例開閉弁のストローク、及びエア式シリンダの内圧を線グラフで表した図である。
図17における、真空容器内の圧力X、真空比例開閉弁のストロークY、及びエア式シリンダの内圧Zは、ヒータ110が断線した場合の真空容器及び真空比例開閉弁101の線グラフを示す。
また、図17における、真空容器内の圧力Q、真空比例開閉弁のストロークR、及びエア式シリンダの内圧Sは、ヒータ110が通常運転されている場合の真空比例開閉弁101の線グラフを示す。
【0006】
具体的には、第1に、図18に示すように、ヒータが断線した場合には、材料ガスなどが要因となってOリング108が弁座106に固着する。図17に示すように、Oリング108が弁座106から一部離間し始めるまでの時間T1がある。ヒータが断線しているため、ヒータ作動時のOリング108が弁座106から一部離間し始める時間T10と比較して時間T20だけ長く時間が掛かる。
時間T20の間においては、Oリング108が弁座106に固着し、かつ、排気が発生しない状態では制御装置はストロークを上げて排気させようとするため、制御装置はシリンダの内圧Zを上昇させ続ける。そのため、Oリング108が弾性変形して伸びストロークYは上昇し続ける。
【0007】
第2に、時間T2の間においては、スロー排気が始まったことで圧力Xが下がり始め、設定圧力Qに合わせようと制御装置によりシリンダの内圧Zを下げる指令が出される。しかし、Oリング108と弁座106の「固着はがれ」が始まると短時間で「完全はがれ」まで進む。そのため、ストロークYは、それまでに上昇したシリンダの内圧Zにより勢いよくOリング108と弁座106は離れてストロークの値がP2となるまで上昇してしまう。その後ストロークYは下降するが、圧力XはストロークYの戻りが遅いため、大きくアンダーシュートしてしまう。
第3に、時間T3の間においては、下がりすぎた圧力Xを圧力Qに戻すため、シリンダの内圧Zをさらに下げ、Oリング108と弁座106を密着させて圧力Xの上昇を待つ。しかし、Oリング108と弁座106を密着させておくことで固着が発生するため、上記時間T20、T2の現象をくり返す結果となる。ヒータ作動時においては固着の発生がないため、固着をはがすためのシリンダの内圧値P3の発生がなく、ストロークP2の発生がなく、圧力P1の降下もない。そのため、シリンダの内圧S、ストロークRにより設定圧力Qを実施できる。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的はヒータを使用せずに真空圧力容器の圧力のアンダーシュートを防止する真空圧力制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様における真空圧力制御装置は、以下の構成を有する。
(1)真空容器と真空ポンプとを接続する配管上であって開度を変化させることにより真空容器内の真空圧力を変化させ、弁座と前記弁座と当接又は離間する弾性シール部材を備える弁体とエア式シリンダを備える真空比例開閉弁と、前記真空容器内の真空圧力を計測する圧力センサと、前記真空容器内の圧力を制御するコントローラと、を有する真空圧力制御装置において、前記圧力センサにより計測された前記真空容器内の圧力が一定以上の圧力下降率となったときに、前記エア式シリンダの内圧を排気する。
(2)(1)に記載する真空圧力制御装置において、前記真空比例開閉弁に電空比例開閉弁と3方弁が接続していること、前記3方弁が前記エア式シリンダの内圧を排気すること、が好ましい。
(3)(1)に記載する真空圧力制御装置において、前記一定以上の圧力下降率は、前記弁座から前記弾性シール部材の一部が離脱したときに発生するものであること、が好ましい。
(4)(1)に記載する真空圧力制御装置において、前記エア式シリンダの内圧を検知するシリンダ内圧検知器を有すること、前記エア式シリンダの内圧が一定の内圧値を前記シリンダ内圧検知器が検出したときに、前記エア式シリンダの内圧の排気を停止すること、が好ましい。
(5)(4)に記載する真空圧力制御装置において、前記コントローラが前記真空比例開閉弁にヒータが備えられている場合における前記真空容器内の圧力が降下し始める値である前記エア式シリンダの内圧の基準値をあらかじめ記憶していること、一定の内圧値は、前記エア式シリンダの内圧の基準値であること、が好ましい。
(6)(1)に記載する真空比例開閉弁において、前記エア式シリンダの内圧を排気するときに、一定の時間を経過した時に、前記エア式シリンダの内圧の排気を停止すること、が好ましい。
【発明の効果】
【0010】
上記真空圧力制御装置の作用及び効果について説明する。
(1)真空容器と真空ポンプとを接続する配管上であって開度を変化させることにより真空容器内の真空圧力を変化させ、弁座と前記弁座と当接又は離間する弾性シール部材を備える弁体とエア式シリンダを備える真空比例開閉弁と、前記真空容器内の真空圧力を計測する圧力センサと、前記真空容器内の圧力を制御するコントローラと、を有する真空圧力制御装置において、前記圧力センサにより計測された前記真空容器内の圧力が一定以上の圧力下降率となったときに、前記エア式シリンダの内圧を排気することにより、エア式シリンダの内圧を一気に下げることができる。エア式シリンダの内圧を一気に下げることにより、ストロークが大きい場合にも、弁体を直に閉めることができる。そのため、上述の課題において説明した時間T2を短くすることができる。弁体を直ちに閉めることができるので、圧力の下降量を減少させることができ、アンダーシュートを低減することができる。
また、ヒータがない状態であってもアンダーシュートを低減することができるため、ヒータを設ける必要がない。そのため、ヒータを設けなくて済むためコストの低減を図ることができる。
(2)真空比例開閉弁に電空比例開閉弁と3方弁が接続していること、3方弁が真空容器内の圧力を排気することにより、エア式シリンダの内圧を急速に下げることができる。すなわち、電空比例開閉弁を使用して、エア式シリンダの内圧を下げるには時間が掛かるが、3方弁を用いることによりエア式シリンダの内圧を急速に下げることができる。
【0011】
(3)一定以上の圧力下降率は、弁座から弾性シール部材の一部が離脱したときに発生するものであることにより、圧力が下がるときを認識することができる。圧力が下がるときを認識することができることにより、エア式シリンダの内圧を一気に下げることができる。そのため、弁体を直ちに閉めることができ、Oリングと弁座に隙間を形成するための時間を短縮することができる。弁体を直に閉めることができるので、圧力の下降量を減少させることができ、アンダーシュートを低減することができる。
また、ヒータがない状態であってもアンダーシュートを低減することができるため、ヒータを設ける必要がない。そのため、ヒータを設けなくて済むためコストの低減を図ることができる。
(4)エア式シリンダの内圧を検知するシリンダ内圧検知器を有すること、エア式シリンダの内圧が一定の内圧値をシリンダ内圧検知器が検出したときに、エア式シリンダの内圧の排気を停止することにより、エア式シリンダの内圧が過度に下がることを防止することができる。エア式シリンダの内圧が過度に下がると、その後のスロー排気制御に悪影響がでるためである。すなわち、一度下がったエア式シリンダの内圧を上げるために時間が掛かる。そのため、その後の本来の真空比例開閉弁の目的である真空引きに時間が掛かることになるため問題となる。
しかし、本発明においては、当該問題を解決し、エア式シリンダの内圧を上げるのに時間を掛けず、さらに、アンダーシュートを低減することができる。
【0012】
(5)コントローラが真空比例開閉弁にヒータが備えられている場合における真空容器内の圧力が降下し始める値であるエア式シリンダの内圧の基準値をあらかじめ記憶していること、一定の内圧値は、エア式シリンダの内圧の基準値であること、により、エア式シリンダの内圧が下がりすぎたときを認識することができる。エア式シリンダの内圧が過度に下がることを認識できることにより、エア式シリンダの内圧が過度に下がることを防止することができる。エア式シリンダの内圧が過度に下がると、その後のスロー排気制御に悪影響がでるためである。すなわち、一度下がったエア式シリンダの内圧を上げるために時間が掛かる。そのため、その後の本来の真空比例開閉弁の目的である真空引きに時間が掛かることになるため問題となる。
(6)エア式シリンダの内圧を排気するときに、一定の時間を経過した時に、エア式シリンダの内圧の排気を停止することにより、シリンダ内圧検知器を設けずに、エア式シリンダの内圧が過度に下がることを防止することができる。
すなわち、エア式シリンダの内圧が過度に下がる前にエア式シリンダの内圧の排気を停止することができれば、エア式シリンダの内圧が過度に下がるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る真空圧力制御装置のブロック図(1)である。
【図2】本発明に係る真空圧力制御装置のブロック図(2)である。
【図3】本発明に係る圧力、ストローク、シリンダ内圧を表したデータ図である。
【図4】本発明に係るOリングと弁座との隙間を表した概念図(1)である。
【図5】本発明に係るOリングと弁座との隙間を表した概念図(2)である。
【図6】本発明に係るOリングと弁座との隙間を表した概念図(3)である。
【図7】本発明に係る真空比例開閉弁を用いた場合の実験(1)のデータ図である。
【図8】ヒータが備えられていない場合及びヒータが断線した場合に係る真空比例開閉弁を用いた実験(1)のデータ図である。
【図9】本発明に係る真空比例開閉弁を用いた場合の実験(2)のデータ図である。
【図10】ヒータが備えられていない場合及びヒータが断線した場合に係る真空比例開閉弁を用いた実験(2)のデータ図である。
【図11】本発明に係る真空比例開閉弁を用いた場合の実験(3)のデータ図である。
【図12】ヒータが備えられていない場合及びヒータが断線した場合に係る真空比例開閉弁を用いた実験(3)のデータ図である。
【図13】本発明の実施形態に係る真空比例開閉弁の構成を示す断面図である。
【図14】本発明の実施形態に係る真空比例開閉弁の弁座付近の構成を示す断面図である。
【図15】本発明の実施形態に係る電空比例開閉弁の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の実施形態に係る真空圧力制御装置が使用される真空圧力制御システムの全体構成を示す全体図である。
【図17】従来技術に係る圧力、ストローク、シリンダ内圧を表したデータ図である。
【図18】従来技術に係るOリングと弁座との隙間を表した概念図(1)である。
【図19】従来技術に係るOリングと弁座との隙間を表した概念図(2)である。
【図20】従来技術に係るOリングと弁座との隙間を表した概念図(3)である。
【図21】従来技術に係る真空比例開閉弁の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の真空圧力制御装置を具体化した実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(真空圧力制御システムの構成)
本実施形態の真空圧力制御装置8が利用される真空圧力制御システムの一実施の形態の全体構成を図16に示す。
図16に示すように、真空容器11の内部に、ウエハ15が段状に配置される。真空容器11には、入口13と出口14が形成され、入口13には、プロセスガスの供給源及び真空容器11内をパージするための窒素ガスの供給源が接続されている。出口14には、弁開度比例弁である真空比例開閉弁18の入口ポートが接続されている。真空比例開閉弁18の出口ポートは、真空ポンプ19に接続している。また、出口14には、遮断弁16を介して圧力センサ17が接続されている。本実施の形態では、圧力センサ17として、キャパシタンス・マノメータを使用している。
【0015】
(真空比例開閉弁の構成)
次に、真空比例開閉弁18の構造を図13及び図14に基づいて詳細に説明する。図13は、真空比例開閉弁18が閉じられた状態を示している。真空比例開閉弁18は、大まかに上部のエア式シリンダ32と下部のベローズ式ポペット弁31に別れている。エア式シリンダ32は、次のような構成を有する。単動空気圧シリンダ43に対して、摺動可能にピストン41が配置されている。ピストン41は、復帰バネ42により下向きに付勢されている。
【0016】
ピストン41の上端にスライドレバー48の一端が連結されている。スライドレバー48は、単動空気圧シリンダ43の外部に出てポテンショメータ50の図示しないロッドと連結している。ロッドは、ポテンショメータ50内の可変抵抗に接続しており、このポテンショメータ50によりピストン41の位置を正確に計測している。また、ピストン41の下面には、ベロフラム51の内周端部が固定されている。ベロフラム51の外周端部は、単動空気圧シリンダ43の室壁に固定されている。ベロフラム51は、極めて薄く設計され、構造的には、強力なポリエステル、テトロン布等の上にゴムを被覆したものである。ベロフラム51とは、大きいストロークと深い折り返し部を持ち、作動中にその有効受圧面積が一定不変に保たれる円筒形のダイヤフラムである。本実施の形態では、エア式シリンダ32とピストン41との間にベロフラム51を使用しているので、ピストン41のスティックスリップの発生がなく、ピストン41を高い応答性と正確な位置精度で移動させることが可能である。
【0017】
ピストン41の中央には、ピストンロッド37が固設され、ピストン41の移動に応じて上下に摺動する。ピストンロッド37の下端には、弁体33が取り付けられている。また、弁体33の上面には、ベローズ38の一端が周回溶接で取り付けられている。
弁体33の詳細な構造を図14に示す。図14は、真空比例開閉弁18が閉じた状態を示している。弁体33は、ピストンロッド37と連結する弁本体33a、弾性シール部材であるOリング35を固定するためのOリング取付部33b、及びステンレス弁体部34を取り付けるためのステンレス弁体取付部33c及びステンレス弁体部34により構成されている。本実施の形態では、ステンレス弁体部34の材料としてSUS316L(JIS規格)を使用している(請求項中の「弁体」は、弁体33及びステンレス弁体部34を含んだものである)。Oリング35は、弁体33のOリング取付部33bとステンレス弁体部34のOリング取付部34bとにより保持される。Oリング35は、水平弁座部36aに当接して押圧されたときに、流体の漏れをなくすためのものであり、同時に本発明の主要部である弾性シール部材である。
【0018】
本実施形態において、真空比例開閉弁18の外周にヒータを備え付けなかったが、ヒータを備えつけ、弁座36及びOリング35を加熱し、固着を防止することもできる。
【0019】
(真空圧力制御装置の構成)
次に、本実施の形態の真空圧力制御装置8について説明する。図1に真空容器内の圧力のアンダーシュートが発生した時の真空圧力制御装置8の構成を示し、図2に通常時の真空圧力制御装置8の構成を示す。図15に電空比例開閉弁62の詳細な構成を示す。
始めに空気系統の構成を説明する。図2に示すように、真空比例開閉弁18には、第1電磁弁60の出力ポートが接続している。第1電磁弁60の第1入力ポート601には、電空比例開閉弁62が接続している。第1電磁弁60の第2入力ポート602には、第2電磁弁61が接続している。
電空比例開閉弁62は、図15に示すように、給気側比例弁74と排気側比例弁75とで構成されている。給気側比例弁74の入力ポート74aは、供給エアに接続している。排気側比例弁75の出力ポート75aは、排気配管に接続している。また、給気側比例弁74の出力ポート74bと排気側比例弁75の入力ポート75bとは共に、第1電磁弁60の第1入力ポート601に接続している。
図1及び図2に示すように、真空比例開閉弁18に、エア式シリンダの内圧を計測するためのシリンダ内圧検知器55が接続している。
【0020】
次に、電気系統の構成を説明する。電空比例開閉弁62には、パルスドライブ回路68が接続している。パルスドライブ回路68には、位置制御回路64が接続している。また、位置制御回路64には、ポテンショメータ50の位置信号がアンプ63を介して接続している。また、位置制御回路64には、真空圧力制御回路67が接続している。真空圧力制御回路67には、インターフェース回路66が接続している。また、真空圧力制御回路67には、圧力センサ17が接続されている。インターフェース回路66には、シーケンス制御回路65が接続している。シーケンス制御回路65は、第1電磁弁60の駆動コイルSV1、第2電磁弁61の駆動コイルSV2に接続している。
コントローラ56は、シーケンス制御回路65、インターフェース回路66、真空圧力制御回路67を有する。
真空圧力制御回路67には、記憶部が備えられ、図3に示す、真空比例開閉弁18にヒータが備えられている場合におけるシリンダの内圧値データの線図Sをあらかじめ記憶している。
【0021】
(真空圧力制御装置の作用)
上記構成を有する真空圧力制御装置8の作用を説明する。
(真空比例開閉弁の全開、全閉の動作)
始めに、急速給排気動作について説明する。真空比例開閉弁18を全開にするときは、第1電磁弁60をOFF状態にし、第2電磁弁61をON状態とする。これにより、第1電磁弁60の第1入力ポート601が出力ポート603と接続し、真空比例開閉弁18に駆動エアが供給される。弁体33は、弁座36から遠く離間しており、真空ポンプ19が真空容器11内の気体を大量に吸引し、急速に排気することができる。
次に、真空比例開閉弁18の全閉状態について説明する。図1に示すように、第1電磁弁60をOFF状態にし、第2電磁弁61もOFF状態とする。これにより、第2電磁弁61の第2入力ポート612が出力ポート613と接続し、第1電磁弁60の第2入力ポート602が出力ポート603と接続し、真空比例開閉弁18が排気配管に接続される。
そして、真空比例開閉弁18に駆動エアが供給されず、シリンダ内部の空気が排気され、ピストン41は、復帰バネ42により下向きに付勢され、弁体33は弁座36の上面に当接される。このとき、Oリング35が、弁体33と弁座36の水平弁座部36aに押圧されて変形するため、流体の漏れがなく真空比例開閉弁18は完全に遮断される。
一方、停電等が発生した場合にも、復帰バネにより、第1電磁弁60の出力ポート603と第2入力ポート602が連通し、かつ第2電磁弁61の出力ポート613と第2入力ポート612が連通し、同様に、真空比例開閉弁18は、復帰バネ42により遮断される。これにより、緊急時の遮断機能が実現されている。
【0022】
(スロー排気制御時の弁ストローク)
スロー排気制御時における真空容器11内の圧力、弁体33のストローク、エア式シリンダ32の内圧を、それぞれ線グラフで図3に示す。図3において、横軸が時間、縦軸が高低・大小等を示す。図4乃至図6にOリング35と弁座36の関係の概念図を示す。
図3における、真空容器11内の圧力A、弁体33のストロークB、エア式シリンダ32の内圧Cは、本実施形態における真空比例開閉弁にヒータがない場合の真空比例開閉弁18の線グラフを示す。
また、図3における、真空容器内の圧力Q、弁体ストロークR、エア式シリンダの内圧Sは、ヒータが備えられ通常運転されている場合の実施例の真空比例開閉弁の線グラフを示す。
【0023】
スロー排気制御では、完全遮断している状態のOリング35の弾性変形量を、エア式シリンダ32に加えている空気圧を徐々に増加させることにより、調整する。すなわち、空気圧を増加させることにより、円周状のOリング35と弁座36との間に供給ガスの流れを発生させ、その流れにより真空容器11内の真空圧力制御を実現する。
本実施形態における真空比例開閉弁8は、ヒータを有さない。そのため、Oリング35と弁座36を密着させておくと固着する。
【0024】
Oリング35と弁座36が固着した状態から、スロー排気制御が始まるときの状態を説明する。まず、図3に示す時間U1における位置制御動作について説明する。時間U1は、Oリング35が弁座36から離間し始めるまでの時間である。
本実施形態においてはヒータを有さないため、図4に示すように、Oリング35が弁座36に固着しており、固着したOリング35が離間し始め排気が始まるまでに時間U20だけ時間が掛かる。
すなわち、Oリング35が弾性変形することにより、ストロークBは上昇するが、Oリング35が固着していたため、排気が始まるまで時間U20だけ余分に時間が掛かる。
図3に示す時間U20と図17に示す時間T20は同じ時間の長さである。図3及び図17はともにヒータがない場合を想定しているため、Oリング35が弁座36から離間するまでの時間は同じとなる。
【0025】
図3に示すように、圧力Aは、時間U1において、変化がほとんどない。なぜなら、Oリング35が弁座36に固着し弾性変形しており、Oリング35が弁座36から離間し始めるまでは、真空容器11の圧力に変化がほとんど生じないためである。
また、ヒータを有する場合のOリング35と弁座36が離間し始める時間U10で下降を始める圧力Qと比較して、圧力Aでは、Oリング35と弁座36が時間U20だけ長く当接している。
真空圧力制御装置8は、時間U1において圧力センサ17により測定された真空容器11内の圧力を測定する。
【0026】
また、図3に示すように、ストロークBは、ヒータを有する場合のストロークRと比較して、上昇し続ける。なぜなら、Oリング35が弁座36に固着し弾性変形するため、ストロークRを超えても時間U20の時間だけ弁座36から離間しておらず、真空圧力制御回路67がストロークBを上げて排気させようとするためである。
また、シリンダの内圧Cは、ヒータを有する場合のシリンダの内圧Sと比較して、上昇し続ける。なぜなら、Oリング35が弁座36に固着し弾性変形するため時間U20だけ弁座36から離間しない。そのため、真空圧力制御回路67がストロークBを上げて排気させようとするため、時間U20の間、シリンダの内圧を上昇させる制御を行うためである。
真空圧力制御装置8は、時間U1においてシリンダ内圧検知器55により測定されたシリンダの内圧を測定する。
【0027】
続いて、図3に示す時間U2における位置制御動作について説明する。
時間U2は、Oリング35が弁座36から一部離間したときからOリング35と弁座36との間に図6に示すスロー排気可能な隙間Vが形成されるまでの時間である。
ストロークBが上昇し、図5に示すように、Oリング35は、弁座36に固着した状態から一部離脱する。
【0028】
本実施形態において、Oリング35が弁座36から一部離間したときに、図3に示すように圧力Aは設定した下降率を目標値として下降し始める。圧力Aが下降し始めた場合、一定の下降率が発生したとして、真空圧力制御装置8の圧力センサ17において認識し把握することができる。ここで、一定の下降率とは、図3に示すようにOリング35が弁座36から一部離間し、真空容器11内の圧力Aが一定であった状態から下降し始めたときのことである。Oリング35と弁座36は当接した状態から、一部が離間し始めるため、圧力Aは、図3に示すように、一定である状態(時間U1)から下降し始める(時間U2)。そのため、Oリング35と弁座36が一部離間し一定の下降率が発生することを圧力センサ17が把握することが客観的に可能である。
圧力Aの下降率が、設定した下降率目標値に対して一定以上大きい場合は、Oリング35の固着が発生していたと判断し、第1電磁弁60をOFF状態にし、第2電磁弁61もOFF状態とする。これにより、第2電磁弁61の第2入力ポート612が出力ポート613と接続し、第1電磁弁60の第2入力ポート602が出力ポート603と接続し、真空比例開閉弁18が排気配管に接続される。そして、真空比例開閉弁18に駆動エアが供給されず、エア式シリンダ32内部の空気が急速に排気され、図5に示すようにシリンダの内圧が一気に下がるので、図19に示す従来の場合と比較してストロークの上昇が小さいピストン41は、復帰バネ42により下向きに付勢され、図6に示すように、Oリング35と弁座36との間に、圧力Qとなるスロー排気可能な隙間Vを形成することができる。
【0029】
第1電磁弁60によりエア式シリンダ32内の内圧を急排気することができる。それより、図3に示すように、エア式シリンダ32内の内圧であるシリンダの内圧Cを一気に下げることができる。そのため、シリンダの内圧Cが急下降することで、復帰バネ42の付勢力により弁体33を下降させることができ、ストロークBを一気に下降させることができる。
弁体33を電空比例開閉弁62を介さずに閉めることができるので、シリンダの内圧Cによって勢いよくOリング35と弁座36が離れてストロークが上昇することも抑制でき、Oリング35と弁座36との間にスロー排気可能な隙間Vを形成するまでの時間である時間U2を短くすることができる。そのため、早い時間でスロー排気が可能となり、図3に示す圧力Aの下降量を減少させることができ、その結果、真空容器内の圧力のアンダーシュートを低減することができる。
また、本実施形態のようにヒータがない状態であっても真空容器内の圧力のアンダーシュートを低減することができる。ヒータを設けなくて済むため、コストの低減を図ることができる。
【0030】
また、図3に示すように、エア式シリンダ32内の内圧は、急排気されることにより、シリンダの内圧Cが、シリンダの内圧Sと交差するまでに時間がほとんど掛からない。エア式シリンダ32内のシリンダの内圧Cは、急排気されることで急降下し、Oリング35と弁座36がスロー排気可能な隙間Vを形成するだけの時間U2がほとんどかからない。
そのため、ヒータを有する場合のストロークRとの比較である図17に示すストロークYがストローク量P2あるのに対して、本実施例では図3に示すようにストロークBがストロークRに対してストローク量D2で済む。すなわち、図17の従来技術に係るストロークYがストロークRの位置になるまでの時間T2が、本実施形態においては時間U2となり時間が短い。
そのため、従来技術と比較してストローク量P2からストローク量D2を差し引いた分だけストローク量が小さい段階で下降し始めるため、従来よりもストローク量を減らすことができる。よって、本実施形態によれば、早くOリング35と弁座36の間にスロー排気可能な隙間Vを形成することができる。
【0031】
また、図3に示すように、シリンダの内圧Cを急降下させることができることにより、ヒータを有する場合のストロークRと比較して、ストロークBがストローク量D2だけで済む。すなわち、図17の従来技術に係るストローク量P2と比較するとストローク量D2は小さくて済む。そのため、従来技術と比較してストローク量P2からストローク量D2を差し引いた分だけ早くOリング35と弁座36が隙間Vを形成することができる。
また、図3に示すように、ヒータを有する場合の圧力Qとヒータを有しない場合の圧力Aを比較して、真空容器内のアンダーシュートが圧力量D1だけで済む。すなわち、図17の従来技術に係る圧力量P1と比較すると圧力量D1は小さくて済む。そのため、従来技術と比較して圧力量P1から圧力量D1を差し引いただけ真空容器内の圧力のアンダーシュートを低減することができる。
【0032】
また、エア式シリンダ32内の内圧をシリンダ内圧検知器55により検知している。シリンダ内圧検知器55が一定の内圧値を検出した時に、エア式シリンダ32内の内圧の第1電磁弁60と第2電磁弁61による排気を停止する。ここで一定の内圧値とは、図3に示すヒータがある場合のシリンダの内圧Sにおける真空容器11の圧力が降下し始める値である基準値S1である。基準値S1よりさらにシリンダの内圧を排気すると、エア式シリンダ32の内圧が過度に下がる結果となる。エア式シリンダ32の内圧が過度に下がると、その後のスロー排気制御に悪影響が出る。すなわち、一度下がったシリンダの内圧を上げるのに時間が掛かり、その後の本来の真空比例開閉弁18の目的である真空引きに時間が掛かるため問題となる。そのため、基準値S1に基づいてエア式シリンダ32内の内圧の排気を停止する。
基準値S1は、コントローラ56の真空圧力制御回路67にあらかじめ記憶されており、シリンダの内圧Cの値が基準値S1を下回った時に、真空圧力制御回路67が制御によりエア式シリンダ32内の内圧の排気を停止する。その後は、第1電磁弁60をON状態にし、電空比例開閉弁による制御に切り替える。
【0033】
また、本実施形態においてはシリンダ内圧検知器55を用いてシリンダの内圧を検知したが、エア式シリンダ32内の内圧の排気を開始してから一定の時間を経過した時に、排気を停止することができる。この一定の時間は、エア式シリンダ32のシリンダの内圧Sが基準値S1に達するまでの平均時間を計算することにより求めることができる。シリンダの内圧の排気を開始してから平均時間を経過した時に、排気を停止することにより、シリンダの内圧が過度に下がることを防止することができる。
平均時間を計算し、用いることにより、シリンダ内圧検知器55を用いずにシリンダの内圧が過度に下がることを防止することができる。そのため、コストを下げた真空圧力制御装置8を提供することができる。
【0034】
本実施形態における実験結果について、図7乃至図12を用いて説明する。図7に、本発明に係る真空比例開閉弁を用いた場合の実験(1)のデータ図を示す。図8に、ヒータが備えられていない場合及びヒータが断線した場合に係る真空比例開閉弁を用いた実験(1)のデータ図を示す。図9に、本発明に係る真空比例開閉弁を用いた場合の実験(2)のデータ図を示す。図10に、ヒータが備えられていない場合及びヒータが断線した場合に係る真空比例開閉弁を用いた実験(2)のデータ図を示す。図11に、本発明に係る真空比例開閉弁を用いた場合の実験(3)のデータ図を示す。図12に、ヒータが備えられていない場合及びヒータが断線した場合に係る真空比例開閉弁を用いた実験(3)のデータ図を示す。
図7乃至図12の横軸は時間(sec)を示し、縦軸は圧力(×133Pa)及びストローク(mm)の大小等を示す。また、太線の線グラフは真空容器内の圧力Fを示し、細線の線グラフは弁体のストロークGを示す。
【0035】
図7及び図8の実験(1)においては、スロー排気レート:2.5×133Pa/secにおいて、バルブCLOSE放置時間を18時間として実験を行った。
図8は、真空比例開閉弁にヒータが備えられていない場合及びヒータが断線した場合であって本実施形態に係る対策前の状態で実験を行ったデータ図である。図8に示すように、ストロークG2は、Oリング35が弁座36から完全に離間上昇するのは約1.4mmである。ストロークG2のピーク値が約1.4mmあるため、真空容器内の圧力F2が228×133Pa急降下(アンダーシュート)する。アンダーシュートが生じるため、圧力F2を目標値に戻そうとストロークG2を下げ、Oリング35と弁座36を密着させると圧力F2が上昇し始め目標値に達する。そのときストロークG2を上げて、圧力F2を下げようとするが、このときOリング35と弁座36は固着しているため、同じステップを繰り返してアンダーシュートが発生する。これを数回繰り返してやっと安定した隙間Vを形成することができる。
一方、図7に示すように、本実施形態においては、Oリング35が弁座36から一部離間し始め、圧力が設定した下降率目標値に対して一定以上大きくなるとシリンダの内圧を急速に排気する。そのため、Oリング35が弁座36から完全に離間するよりも早く約0.6mmのところでストロークG1が下がり始める。さらに、シリンダの内圧が基準値S1となるところで第1電磁弁60を介するシリンダの内圧の排気を停止する。このためOリング35と弁座36は接触しない又は接触しても低荷重のため固着しにくく、素早く隙間Vを形成することができ、アンダーシュートの最大値を15×133Paに抑えることができた。
【0036】
図9及び図10の実験(2)においては、スロー排気レート:2.5×133Pa/secにおいて、バルブCLOSE放置時間を0.25時間として実験を行った。
図10は、真空比例開閉弁にヒータが備えられていない場合及びヒータが断線した場合であって本実施形態に係る対策前の状態で実験を行ったデータ図である。図10に示すように、ストロークG4は、Oリング35が弁座36から完全に上昇するのは約0.9mmである。ストロークG4のピーク値が約0.9mmあるため、真空容器内の圧力F4が106×133Pa急降下(アンダーシュート)する。アンダーシュートが生じるため、圧力F4を目標値に戻そうとストロークG4を下げ、Oリング35と弁座36を密着させると圧力F4が上昇し始め目標値に達する。そのときストロークG4を上げて、圧力F4を下げようとするが、このときOリング35と弁座36は固着しているため、同じステップを繰り返してアンダーシュートが発生する。これを数回繰り返してやっと安定した隙間Vを形成することができる。
図9に示すように、本実施形態においては、Oリング35が弁座36から一部離間し始め、真空容器内の圧力が設定した下降率目標値に対して一定以上大きくなるとシリンダの内圧を急速に排気する。そのため、Oリング35が弁座36から完全に離間するよりも早く約0.55mmのところでストロークG3が下がり始める。さらに、シリンダの内圧が基準値S1となるところで第1電磁弁60を介するシリンダの内圧の排気を停止する。このためOリング35と弁座36は接触しない又は接触しても低荷重のため固着しにくく、素早く隙間Vを形成することができ、真空容器内の圧力のアンダーシュートの最大値を12×133Paに抑えることができた。
【0037】
図11及び図12の実験(3)においては、スロー排気レート:0.5×133Pa/secにおいて、バルブCLOSE放置時間を0.25時間として実験を行った。
図12は、真空比例開閉弁にヒータが備えられていない場合及びヒータが断線した場合であって本実施形態に係る対策前の状態で実験を行ったデータ図である。図12に示すように、ストロークG6は、Oリング35が弁座36から完全に上昇するのは約0.6mmである。ストロークG6のピーク値が約0.6mmあるため、真空容器内の圧力F6が33×133Pa急降下(アンダーシュート)する。アンダーシュートが生じるため、圧力F6を目標値に戻そうとストロークG6を下げ、Oリング35と弁座36を密着させると圧力F6が上昇し始め目標値に達する。そのときストロークG6をあげて、圧力F6を下げようとするが、このときOリング35と弁座36は固着しているためこれを繰り返すことになる。すなわち、真空容器内の圧力のアンダーシュートを繰り返すことになる。
それに対して、図11に示すように、本実施形態においては、Oリング35が弁座36から一部離間し始め、圧力が設定した下降率目標値に対して一定以上大きくなるとシリンダの内圧を急速に排気する。そのため、Oリング35が弁座36から完全に離間するよりも早く約0.52mmのところでストロークG5が下がり始める。さらに、シリンダの内圧が基準値S1となるところで第1電磁弁60を介するシリンダの内圧の排気を停止する。このためOリング35と弁座36は接触しない又は接触しても低荷重のため固着しにくく、素早く隙間Vを形成することができるため、アンダーシュートの最大値を9×133Paに抑えることができた。
【0038】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で色々な応用が可能である。
例えば、本実施形態においては、真空比例開閉弁18にヒータを搭載せずに、アンダーシュートを低減することができる旨の効果を記載したが、ヒータを搭載することもできる。ヒータを搭載した場合には、Oリング35と弁座36は固着する問題を解決できるが、ヒータが断線した場合及びヒータが故障し使用できなくなった場合においても、真空容器内の圧力のアンダーシュートを低減することができるため効果を有する。
例えば、第1電磁弁、第2電磁弁はエアオペレーションバルブであっても良いし、図示のように3方弁に限らず、4方弁、5方弁を3方弁の使い方をすれば、同じことができる。
また、第2電磁弁が無い回路においても同様の作用効果を得ることができる。
また、本実施形態では、圧力Aの下降率が、設定した下降目標値に対して一定以上大きい場合は、固着が発生していたと判断しているが、例えば、シリンダの内圧Cを測定するセンサにより測定したシリンダの内圧が圧力目標値に対して一定以上高い場合は、固着が発生していると判断することもできる。
【符号の説明】
【0039】
8 真空圧力制御装置
11 真空容器
17 圧力センサ
18 真空比例開閉弁
19 真空ポンプ
32 エア式シリンダ
33 弁体
35 Oリング(請求項中の「弾性シール部材」)
36 弁座
55 シリンダ内圧検知装置
56 コントローラ
60 第1電磁弁60(請求項中の「3方弁」)
62 電空比例開閉弁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器と真空ポンプとを接続する配管上であって開度を変化させることにより真空容器内の真空圧力を変化させ、弁座と前記弁座と当接又は離間する弾性シール部材を備える弁体とエア式シリンダとを備える真空比例開閉弁と、前記真空容器内の真空圧力を計測する圧力センサと、前記真空容器内の圧力を制御するコントローラと、を有する真空圧力制御装置において、
前記圧力センサにより計測された前記真空容器内の圧力が一定以上の圧力下降率で下がったときに、前記エア式シリンダの内圧を排気すること、
を特徴とする真空圧力制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載する真空圧力制御装置において、
前記真空比例開閉弁に電空比例開閉弁と3方弁とが接続していること、
前記3方弁が前記エア式シリンダの内圧を排気すること、
を特徴とする真空圧力制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載する真空圧力制御装置において、
前記一定以上の圧力下降率は、前記弁座から前記弾性シール部材の一部が離脱したときに発生するものであること、
を特徴とする真空圧力制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載する真空圧力制御装置において、
前記エア式シリンダの内圧を検知するシリンダ内圧検知器を有すること、
前記エア式シリンダの内圧が一定の内圧値を前記シリンダ内圧検知器が検出したときに、前記エア式シリンダの内圧の排気を停止すること、
を特徴とする真空圧力制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載する真空圧力制御装置において、
前記コントローラが、前記真空比例開閉弁にヒータが備えられている場合における前記真空容器内の圧力が降下し始める値である前記エア式シリンダの内圧の基準値をあらかじめ記憶していること、
前記一定の内圧値は、前記エア式シリンダの内圧の基準値であること、
を特徴とする真空圧力制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載する真空圧力制御装置において、
前記エア式シリンダの内圧を排気するときに、一定の時間を経過した時に、前記エア式シリンダの内圧の排気を停止すること、
を特徴とする真空圧力制御装置。
【請求項1】
真空容器と真空ポンプとを接続する配管上であって開度を変化させることにより真空容器内の真空圧力を変化させ、弁座と前記弁座と当接又は離間する弾性シール部材を備える弁体とエア式シリンダとを備える真空比例開閉弁と、前記真空容器内の真空圧力を計測する圧力センサと、前記真空容器内の圧力を制御するコントローラと、を有する真空圧力制御装置において、
前記圧力センサにより計測された前記真空容器内の圧力が一定以上の圧力下降率で下がったときに、前記エア式シリンダの内圧を排気すること、
を特徴とする真空圧力制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載する真空圧力制御装置において、
前記真空比例開閉弁に電空比例開閉弁と3方弁とが接続していること、
前記3方弁が前記エア式シリンダの内圧を排気すること、
を特徴とする真空圧力制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載する真空圧力制御装置において、
前記一定以上の圧力下降率は、前記弁座から前記弾性シール部材の一部が離脱したときに発生するものであること、
を特徴とする真空圧力制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載する真空圧力制御装置において、
前記エア式シリンダの内圧を検知するシリンダ内圧検知器を有すること、
前記エア式シリンダの内圧が一定の内圧値を前記シリンダ内圧検知器が検出したときに、前記エア式シリンダの内圧の排気を停止すること、
を特徴とする真空圧力制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載する真空圧力制御装置において、
前記コントローラが、前記真空比例開閉弁にヒータが備えられている場合における前記真空容器内の圧力が降下し始める値である前記エア式シリンダの内圧の基準値をあらかじめ記憶していること、
前記一定の内圧値は、前記エア式シリンダの内圧の基準値であること、
を特徴とする真空圧力制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載する真空圧力制御装置において、
前記エア式シリンダの内圧を排気するときに、一定の時間を経過した時に、前記エア式シリンダの内圧の排気を停止すること、
を特徴とする真空圧力制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−160168(P2012−160168A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−274087(P2011−274087)
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【出願人】(000106760)CKD株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【出願人】(000106760)CKD株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
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