説明

真空封止ヒータ

【課題】低コストの真空封止ヒータを提供する。
【解決手段】一端に開口を有するケースと、前記ケースの前記開口を塞ぐ加熱プレートと、真空状態の前記ケースの内部において、前記加熱プレートに対向配置されたヒータ素子と、前記ケースの内部において、前記ヒータ素子からの放射熱を反射するリフレクタと、前記ヒータ素子に接続されるとともに、前記ケースの内部から外部に引き出されたヒータ端子と、を備えたことを特徴とする真空封止ヒータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空封止ヒータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1によれば、アルミニウムなどの金属材料を蒸発させて対象物に対して蒸着を行うためのフィラメントがチャンバー内に設けられた真空蒸着装置が開示されている。ここに開示された真空蒸着装置においては、チャンバーの内部を真空状態とし、線状の金属材料をフィラメントに引掛けた状態でフィラメントを加熱することにより、金属材料を蒸発させて蒸着膜を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−31632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような構成の真空蒸着装置においては、フィラメントが蒸発材料に曝されるため、フィラメントが劣化しやすい。このため、フィラメントを頻繁に交換する必要があり、コストの上昇を招く。
【0005】
この発明の目的は、低コストの真空封止ヒータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の態様によれば、
一端に開口を有するケースと、前記ケースの前記開口を塞ぐ加熱プレートと、真空状態の前記ケースの内部において、前記加熱プレートに対向配置されたヒータ素子と、前記ケースの内部において、前記ヒータ素子からの放射熱を反射するリフレクタと、前記ヒータ素子に接続されるとともに、前記ケースの内部から外部に引き出されたヒータ端子と、を備えたことを特徴とする真空封止ヒータが提供される。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、低コストの真空封止ヒータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本実施形態の真空封止ヒータの主要部を概略的に示す分解斜視図である。
【図2】図2は、本実施形態の真空封止ヒータの一構成例を概略的に示す断面図である。
【図3】図3は、本実施形態の真空封止ヒータの他の構成例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
図1は、本実施形態の真空封止ヒータ1の主要部を概略的に示す分解斜視図である。なお、この図においては、便宜上、面内で互いに直交する2方向をX方向及びY方向と定義し、また、X−Y平面の法線方向をZ方向と定義する。Z方向は、真空封止ヒータ1の軸方向に相当する。
【0011】
すなわち、真空封止ヒータ1は、ケース10と、加熱プレート20と、ヒータ素子(フィラメントと称される場合もある)30と、リフレクタ40と、ヒータ端子50と、を備えている。
【0012】
ケース10は、その内部は空洞であり、例えば、Z方向に延出した筒型に形成されている。図示した例では、ケース10は、X−Y平面において円形の断面を有する円筒型に形成されている。なお、ケース10の形状については、図示した例に限らず、使用条件などに合わせて適宜変更可能である。
【0013】
また、このケース10は、Z方向の先端に開口11を有している。図示した例では、開口11は、X−Y平面において円形である。
【0014】
さらに、このケース10には、その外面10Aに、熱インシュレートゾーンとして機能する凹部12が形成されている。すなわち、ケース10は、凹部12よりもZ方向の先端側、つまり凹部12よりも開口11に近接する側の先端部13、及び、凹部12よりもZ方向の後端側、つまり凹部12を挟んで先端部13とは反対側の後端部14を有している。凹部12の板厚は、先端部13の板厚よりも薄く、また、後端部14の板厚よりも薄い。このような凹部12は、外面10Aの一回りに連続的なループ状に形成されている。
【0015】
このようなケース10は、例えば、モリブデン(Mo)や、鉄−クロム系合金(ステンレス鋼)や、鉄−ニッケル−コバルト合金(コバール)などの各種金属材料によって形成されている。
【0016】
加熱プレート20は、ケース10の開口11に適合するような形状に形成されている。図示した例では、加熱プレート20は、X−Y平面において円形の底部21を有するとともにリング状のフランジ部22を有する平鍋型に形成されている。加熱プレート20の形状については、図示した例に限らず、加熱すべきサンプル(主に固体であるが、液体であっても良い)に合わせて適宜変更可能であり、例えば、フラット型、深絞り型、凸型などの各種形状に形成されても良い。
【0017】
この加熱プレート20は、開口11を塞ぐように配置される。このとき、フランジ部22は、全周にわたってケース10と接しており、全周にわたってケース10に溶接により接合されている。これにより、加熱プレート20がケース10に支持固定される。なお、溶接の手法としては、TIG(tungsten-inert gas)溶接、電子ビーム溶接、レーザ溶接、抵抗溶接などの各種手法が適用可能である。
【0018】
このような加熱プレート20は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、レニウム(Re)、白金(Pt)や、鉄−クロム系合金(ステンレス鋼)や、ニッケル−クロム−鉄系合金(インコネル(登録商標))などの耐熱性を有する金属材料によって形成されている。
【0019】
ヒータ素子30は、ケース10の内部において、加熱プレート20に対向配置されている。このようなヒータ素子30は、チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)などの各種金属材料によって形成されている。ヒータ素子30は、これらの金属材料からなる金属線を加工することによって形成されている。
【0020】
ここに示した例では、ヒータ素子30は、第1直線部31、第2直線部32、及び、渦巻部33を有している。第1直線部31は、一端部31AからZ方向の先端側に向かって直線状に延出している。第2直線部32は、第1直線部31と略平行な直線状であって、他端部32AからZ方向の先端側に向かって直線状に延出している。渦巻部33は、第1直線部31及び第2直線部32に繋がるとともにこれらの第1直線部31及び第2直線部32から屈曲し、第1直線部31を中心として外方に向かって渦巻状に形成されている。図示した例では、渦巻部33は、X−Y平面と略平行な面内に形成され、その略中心の位置が第1直線部31に繋がる位置に相当し、その最外周の位置が第2直線部32に繋がる位置に相当する。
【0021】
このようなヒータ素子30は、加熱プレート20に接していないが、加熱プレート20の背面23の近傍に配置されている。特に、ヒータ素子30のうち、渦巻部33が加熱プレート20の背面23に向かい合っている。つまり、このようなヒータ素子30においては、主として渦巻部33が加熱プレート20を加熱するための加熱源に相当する。
【0022】
リフレクタ40は、ヒータ素子30からの放射熱を反射するものである。このリフレクタ40は、ケース10の内部において、ヒータ素子30の渦巻部33よりもZ方向の後端側に配置されている。つまり、ヒータ素子30は、加熱プレート20とリフレクタ40との間に位置している。
【0023】
ここに示した例では、リフレクタ40は、略円盤状に形成され、渦巻部33と向かい合っている。また、このリフレクタ40は、第1開口部41と、第2開口部42と、を有している。第1開口部41は、リフレクタ40の略中央部に形成されている。この第1開口部41は、ヒータ素子30の第1直線部31を通す孔である。第2開口部42は、リフレクタ40の周辺部に形成されている。この第2開口部42は、ヒータ素子30の第2直線部32を通す孔である。第1開口部41は第1直線部31の外径よりも大きな内径の円形状であり、また、第2開口部42は第2直線部32の外径よりも大きな内径の円形状であるが、この例に限らない。例えば、後に説明するように、第2開口部42の内径が第2直線部32の外径と略同等であっても良いし、第1開口部41の内径が第1直線部31の外径と略同等であっても良い。
【0024】
このようなリフレクタ40は、例えば、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)などの金属材料によって形成されている。
【0025】
ヒータ端子50は、第1ヒータ端子51と、第2ヒータ端子52とで構成されている。第1ヒータ端子51は、ケース10の内部において、ヒータ素子30の一端部31Aに接続されている。第2ヒータ端子52は、ケース10の内部において、ヒータ素子30の他端部32Aに接続されている。
【0026】
これらの第1ヒータ端子51及び第2ヒータ端子52は、棒状に形成されている。第1ヒータ端子51は、ヒータ素子30の一端部31Aを含む第1直線部31を挿入可能な挿入孔51Aを有している。また、第2ヒータ端子52は、ヒータ素子30の他端部32Aを含む第2直線部32を挿入可能な挿入孔52Aを有している。ヒータ素子30は、第1直線部31が挿入孔51Aに挿入された状態でカシメや溶接などの手法により第1ヒータ端子51に支持固定されるとともに、第2直線部32が挿入孔52Aに挿入された状態でカシメや溶接などの手法により第2ヒータ端子52に支持固定される。
【0027】
このような第1ヒータ端子51及び第2ヒータ端子52は、例えば、鉄−クロム系合金(ステンレス鋼)や、鉄−ニッケル−コバルト合金(コバール)などの各種金属材料によって形成されている。
【0028】
図2は、本実施形態の真空封止ヒータ1の一構成例を概略的に示す断面図である。なお、図1を参照して説明したのと同一構成については同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0029】
ケース10は、凹部12を挟んで先端部13及び後端部14を有している。先端部13に形成された開口11は、加熱プレート20によって塞がれている。先端部13は、加熱プレート20、ヒータ素子30の主として渦巻部33、及び、リフレクタ40を囲む部分に相当する。後端部14は、ヒータ端子50が引き出される部分に相当する。
【0030】
図示した例では、ケース10は、筒状部15と、ベース部16とで構成されている。筒状部15は、先端部13及び凹部12を含み、さらに、後端部14の一部を含んでいる。ベース部16は、後端部14のうちの筒状部15に含まれていない部分に相当する。筒状部15は、ベース部16に嵌め込まれた状態で、全周にわたりベース部16と溶接により接合されている。
【0031】
ヒータ端子50は、ケース10の内部においてヒータ素子30に接続されるとともに、ベース部16からケース10の外部に引き出されている。図示した例では、第1ヒータ端子51及び第2ヒータ端子52の双方がベース部16から外部に引き出されている。ベース部16と第1ヒータ端子51との間、及び、ベース部16と第2ヒータ端子52との間には、それぞれ絶縁碍子60が介在している。すなわち、絶縁碍子60は、第1ヒータ端子51及び第2ヒータ端子52のそれぞれの周囲を覆い、ベース部16に対してロウ付け(例えば銅ロウ付け)されている。これにより、第1ヒータ端子51及び第2ヒータ端子52は、ケース10に支持固定される。
【0032】
このような絶縁碍子60は、例えば、酸化アルミニウム(Al)によって形成されている。なお、絶縁碍子60及びベース部16は、それぞれの熱膨張率が同等となるような材料を選定して形成されることが望ましい。一方で、筒状部15は、比較的高い耐熱性を有する(例えば、ベース部16を形成する材料よりも高い耐熱性を有する)材料を選定して形成されることが望ましい。したがって、ケース10を構成する筒状部15及びベース部16については、それぞれ要求される特性が異なるため、異種金属材料で形成される場合があり得る。なお、比較的高い耐熱性を有し、且つ、絶縁碍子60の熱膨張率と同等の熱膨張率を有する材料を適用した場合には、筒状部15及びベース部16が同一材料によって形成される場合もあり、また、筒状部15とベース部16とが別々に形成されたものではなく一体に形成される場合もあり得る。筒状部15とベース部16とが一体に形成されたケース10を適用した場合、筒状部15とベース部16とが別々に形成されたものを接合する場合と比較して、部品点数を削減できるとともに溶接などの接合処理が不要となる。
【0033】
本実施形態では、ケース10の内部は、真空状態である。ここでの真空状態とは、10−1Pa以下の真空度、より望ましくは10−5Pa以下の真空度にある状態を言い、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)などの不活性ガスがわずかに含まれている状態も本実施形態の真空状態に相当するものとする。
【0034】
ヒータ素子30及びリフレクタ40は、真空状態のケース10の内部に封止されている。リフレクタ40は、ヒータ素子30の渦巻部33とヒータ端子50との間に配置されている。ヒータ素子30において、第1直線部31はリフレクタ40の第1開口部41を通り第1ヒータ端子51に支持固定され、また、第2直線部32はリフレクタ40の第2開口部42を通り第2ヒータ端子52に支持固定され、渦巻部33は加熱プレート20に対向している。ここに示した例では、第2開口部42の内径が第2直線部32の外径と略同一であり、リフレクタ40は、その第2開口部42が第2直線部32に挿入された状態でカシメや溶接などの手法によりヒータ素子30に支持固定されている。つまり、ヒータ素子30とリフレクタ40とを一体化することが可能である。
【0035】
ケース10はアースされている一方で、第1ヒータ端子51及び第2ヒータ端子52には、ヒータ電源70が接続されている。
【0036】
このような構成の真空封止ヒータ1において、ヒータ電源70からヒータ素子30に対して電流を供給し、ヒータ素子30を加熱すると、その放射熱により加熱プレート20が加熱される。また、ヒータ素子30からヒータ端子50の側に向かう放射熱はリフレクタ40によって反射され、加熱プレート20の加熱に寄与する。これにより、加熱プレート20の上に載置されたサンプルが加熱される。このような方式により、500℃乃至1000℃程度の温度でサンプルを加熱することが可能となる。
【0037】
以上説明した本実施形態の真空封止ヒータ1によれば、ヒータ素子30自体が真空封止され、しかも、加熱プレート20の上に載置されたサンプルの蒸発材料に曝されることがない。このため、本実施形態の真空封止ヒータ1を蒸着装置の加熱源として適用した場合、チャンバー内で加熱源であるフィラメントが蒸発材料に曝される装置構成と比較して、ヒータ素子30の劣化を抑制することができ、加熱源の交換頻度を低減することができる。結果として、低コスト化の実現が可能となる。
【0038】
また、本実施形態の真空封止ヒータ1は、真空雰囲気内での加熱源としての利用に限らず、大気中においても1000℃程度の温度でサンプルを加熱するための加熱源として利用可能であり、汎用性が極めて高い。なお、本実施形態の真空封止ヒータ1を大気中で利用する場合には、ケース10の外面などの酸素に触れる部分は、SiC(炭化ケイ素)コートやPBN(熱分解窒素ホウ素)コートなどの耐酸素性のコーティングを施すことが望ましい。
【0039】
さらに、本実施形態の真空封止ヒータ1によれば、ケース10において、リフレクタ40を囲む先端部13と、ヒータ端子50が引き出された後端部14との間の外面にループ状の凹部12が形成されている。凹部12の板厚は、先端部13の板厚よりも薄い。したがって、ヒータ素子30からの放射熱などによって比較的高温となった先端部13から、薄い板厚の凹部12を経て後端部14へ向かう熱伝導を抑制することができる。加えて、リフレクタ40は、ヒータ素子30の渦巻部33とヒータ端子50との間に配置されているため、渦巻部33の放射熱を遮蔽する遮蔽板としても機能する。したがって、ヒータ端子50自体の温度上昇が抑制されるとともに、ヒータ端子50が引き出された後端部14の温度上昇が抑制されるため、ロウ付けした部分の溶出を防止することが可能となり、ケース10の内部の真空度を維持することができる。なお、ケース10をさらに積極的に冷却する必要がある場合には、例えば、空冷機構、水冷機構、ヒートポンプ機構などの冷却機構をケース10に取り付けることが望ましい。
【0040】
上記した例においては、凹部12は、ケース10の外面に形成されたが、ケース10の内面に形成されても良い。ケース10の内面にループ状の凹部12を形成した構成においても、上記した例と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0041】
また、本実施形態の真空封止ヒータ1によれば、リフレクタ40は、ヒータ素子30に支持固定されている。このため、リフレクタ40を支持するための特別な機構が不要であり、部品点数を削減することができ、低コスト化が可能となる。
【0042】
本実施形態において、ケース10を構成する筒状部15とベース部16との接合、及び、筒状部15と加熱プレート20との接合は、TIG(tungsten-inert gas)溶接、電子ビーム溶接、レーザ溶接、抵抗溶接などの手法によってなされ、また、絶縁碍子60とケース10との接合は、ロウ付けによってなされているため、ケース10の内部を高い真空度に維持することができる。
【0043】
本実施形態において、ヒータ素子30は、ゲッターポンプとして機能する材料で形成されることが望ましい。特に、チタン(Ti)は、ゲッターポンプとして機能するとともに比較的安価であり、ヒータ素子30を形成する材料としては好適である。チタン製のヒータ素子30は、加熱に伴ってその一部が蒸発する。蒸発したチタンは、ケース10の内面などに付着し薄膜を形成するが、その薄膜の表面で気体(例えば、ケース10の内部の残留ガスなど)を吸着する。これにより、ケース10の内部の真空度を維持することができる。
【0044】
なお、リフレクタ40がチタン(Ti)などのゲッターポンプとして機能する材料で形成されても良い。この場合、ヒータ素子30からの放射熱によりリフレクタ40の一部が蒸発し、上記したのと同様にゲッターポンプとして機能する。このため、例えヒータ素子30がタングステン(W)などのゲッターポンプとして機能しにくい材料によって形成された場合であっても、リフレクタ40がゲッターポンプとして機能する材料で形成されているため、ケース10の内部の真空度を維持することができる。つまり、ヒータ素子30及びリフレクタ40の少なくとも一方がゲッターポンプとして機能する材料で形成されていることが望ましい。
【0045】
本実施形態のオプションとして、ヒータ電源70に対し、さらに、加速電源(エレクトロンボンバード用電源)80を接続することも可能である。このような加速電源80により、例えば、−1000V程度の電圧を印加することによって、ヒータ素子30からの熱電子が加熱プレート20に衝突し、さらに高温領域、例えば1000℃乃至1500℃程度の高温でサンプルを加熱することが可能となる。
【0046】
図3は、本実施形態の真空封止ヒータ1の他の構成例を概略的に示す断面図である。なお、図2を参照して説明したのと同一構成については同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
図3に示した構成は、図2に示した例と比較して、ヒータ端子50の一方が絶縁碍子を介することなくケース10に接合されている点で相違している。図示した例では、第2ヒータ端子52がケース10のベース部16に直接接合されている。第2ヒータ端子52とベース部16との接合は、例えばTIG溶接によってなされる。これにより、第2ヒータ端子52は、ベース部16と電気的に接続されるとともに、ベース部16に支持固定される。なお、第1ヒータ端子51については、図2に示した例と同様に、絶縁碍子60を介してベース部16にロウ付けされている。第2ヒータ端子52と電気的に接続されたケース10、及び、第1ヒータ端子51には、ヒータ電源70が接続されている。つまり、第1ヒータ端子51及び第2ヒータ端子52の双方がケース10の内部から外部に引き出されている必要はなく、ヒータ電源70と電気的に接続するために少なくもと一方のヒータ端子が外部に引き出されていれば良く、他方のヒータ端子は図2に示した例のように外部に引き出されていても良いし、図3に示した例のようにケース10に接合されていても良い。
【0048】
このような構成によれば、図2に示した構成と同様の効果が得られることは勿論のこと、図3に示した構成と比較して部品点数が削減され、より低コスト化が可能となる。なお、図2に示した例と同様に、オプションとして、さらに、加速電源80を接続することも可能である。
【0049】
また、図3に示した構成は、図2に示した例と比較して、リフレクタ40がヒータ端子50によって支持固定されている点で相違している。図示した例では、リフレクタ40は、第2ヒータ端子52によって支持固定されている。リフレクタ40は、ヒータ素子30の第1直線部31を通すための第1開口部41を有するとともに、第2直線部32を通すための第2開口部42を有している。第2開口部42の内径は、第2直線部32の外径よりも大きい。この第2開口部42には、第2ヒータ端子52が嵌合している。これにより、リフレクタ40は、第2ヒータ端子52に支持固定される。
【0050】
このような構成によれば、リフレクタ40を支持するための特別な機構が不要であり、部品点数を削減することができ、低コスト化が可能となる。
【0051】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…真空封止ヒータ
10…ケース 11…開口 12…凹部 13…先端部 14…後端部
15…筒状部 16…ベース部
20…加熱プレート 21…底部 22…フランジ部 23…背面
30…ヒータ素子 31…第1直線部 32…第2直線部 33…渦巻部
40…リフレクタ 41…第1開口部 42…第2開口部
50…ヒータ端子 51…第1ヒータ端子 52…第2ヒータ端子
60…絶縁碍子
70…ヒータ電源
80…加速電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に開口を有するケースと、
前記ケースの前記開口を塞ぐ加熱プレートと、
真空状態の前記ケースの内部において、前記加熱プレートに対向配置されたヒータ素子と、
前記ケースの内部において、前記ヒータ素子からの放射熱を反射するリフレクタと、
前記ヒータ素子に接続されるとともに、前記ケースの内部から外部に引き出されたヒータ端子と、
を備えたことを特徴とする真空封止ヒータ。
【請求項2】
前記ケースにおいて、前記リフレクタを囲む部分と前記ヒータ端子が引き出された部分との間の内面または外面に、ループ状の凹部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の真空封止ヒータ。
【請求項3】
前記ヒータ素子は、直線状に延出した第1直線部と、前記第1直線部と略平行な直線状に延出した第2直線部と、前記第1直線部及び前記第2直線部から屈曲し前記第1直線部を中心として渦巻状に形成された渦巻部と、を有し、
前記リフレクタは、前記第1直線部を通す第1開口部と、前記第2直線部を通す第2開口部と、を有し、前記ヒータ端子または前記ヒータ素子によって支持されたことを特徴とする請求項1に記載の真空封止ヒータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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