説明

真空熱処理装置用熱処理容器

【課題】本発明は、反応ガス及び未反応ガスを円滑で、かつ均一に排出できる真空熱処理装置用熱処理容器を提供することをその目的とする。
【解決手段】本発明に従う真空熱処理装置用熱処理容器は、底部と側壁とを含み、側壁の上部に排気通路が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空熱処理装置用熱処理容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空熱処理装置は原料を坩堝内で熱処理して所望の物質を製造する装置であって、真空状態で熱処理を遂行して周囲からの汚染が発生しないなどの長所がある。このような真空熱処理装置では、真空に維持されるチャンバー内に断熱部材を位置させ、断熱部材の内にヒーターを位置させて原料を加熱する。
【0003】
真空熱処理装置で反応中に生成されたガス及び未反応ガスなどが円滑に排出されないと真空熱処理装置で製造された物質の品質が低下することがあり、製造された物質の回収率が低下することがある。また、真空熱処理装置でガスなどが均一に排出されないと製造された物質の粒度が均一でないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、反応ガス及び未反応ガスを円滑で、かつ均一に排出できる真空熱処理装置用熱処理容器を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に従う真空熱処理装置用熱処理容器は、底部と側壁とを含み、側壁に排気通路が形成される。
【0006】
排気通路が側壁の上部に形成される上部排気通路を含むことができる。
【0007】
上部排気通路は、矩形、逆三角形、半円、逆台形、及び円形からなる群から選択された形状を有することができる。
【0008】
上部排気通路は、側壁のうち、底部から高さ90%以上、100%以下の部分に形成される。
【0009】
上部排気通路と側壁との連結部分はラウンド形状であることができる。
【0010】
熱処理容器は内部に空間部を具備し、一面が開口し、熱処理容器を覆う蓋部材をさらに含み、熱処理容器で蓋部材と隣接した部分に上部排気通路が形成される。
【0011】
排気通路は、側壁の下部に形成される下部排気通路を含むことができる。
【0012】
熱処理容器の内に多孔質部材が位置することができる。
【0013】
多孔質部材は、熱処理容器の下部に位置することができる。
【0014】
多孔質部材は、下部排気通路を遮るように位置することができる。
【0015】
多孔質部材の厚さは、下部排気通路の厚さと等しいか、下部排気通路の厚さより厚いことがある。
【0016】
多孔質部材は、黒鉛を含むことができる。
【0017】
熱処理容器は熱処理容器を覆う蓋部材をさらに含み、熱処理容器で蓋部材と隣接した部分に上部排気通路が形成される。
【0018】
上部排気通路と下部排気通路とが互いに対応するように位置することができる。
【0019】
熱処理容器は複数で備えられ、複数の熱処理容器の外郭で複数の熱処理容器を覆いかぶせる外郭部材をさらに含むことができる。
【0020】
熱処理容器の平面形状は、多角形状またはラウンド形状でありうる。
【0021】
熱処理容器が炭化珪素製造用でありうる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に従う真空熱処理装置では、熱処理容器に上部排気通路を形成して上部でガスが排出できるようにする。これによって、ガスの流れを円滑にすることができるので、製造された物質の品質及び回収率を向上することができる。
【0023】
本発明に従う真空熱処理装置では、熱処理容器に下部排気通路を形成して下部でもガスが排出できるようにする。これによって、ガスの流れを円滑にすることができるので、製造された物質の品質を向上することができる。
【0024】
この際、下部排気通路を遮るように多孔質部材を位置させて、熱処理容器の内部の原料は流れないようにしながらガスの排出は円滑になされるようにすることができる。
【0025】
このような下部排気通路は、上部排気通路と対応する位置に形成することによって、上部と下部のガス排出を均一にすることができ、これによって、均一な粒度を有する物質を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に従う真空熱処理装置の概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態に従う熱処理容器部を示す斜視図である。
【図3】図2のIII −III 線による断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の一変形例を示す熱処理容器の断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の他の変形例を示す熱処理容器部の概略的な断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に従う熱処理容器部を示す斜視図である。
【図7】図6のVII −VII 線による断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態の変形例に従う熱処理容器部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態の説明において、各層(膜)、領域、パターン、または構造物が、基板、各層(膜)、領域、パッド、またはパターン等の「上(on)」に、または「下(under)」に形成されるという記載は、直接(directly)または他の層を介して形成されることを全て含む。
【0028】
図面において、各層(膜)、領域、パターン、または構造物等の厚さやサイズは、説明の明確性及び便宜のために変形できるので、実際のサイズを完全に反映するものではない。
【0029】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明すれば、次の通りである。
【0030】
図1は、本発明の実施形態に従う真空熱処理装置の概略図である。
【0031】
図1を参照すると、実施形態に従う真空熱処理装置100は、チャンバー10、チャンバー10の内に位置した断熱部材20、断熱部材20の内に位置した熱処理容器部30、及び加熱部材40を含む。これをより詳細に説明すれば、次の通りである。
【0032】
雰囲気ガス供給パイプ(図示せず)を介してチャンバー10の内部に雰囲気ガスが注入される。雰囲気ガスには、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などの不活性ガスを使用することができる。
【0033】
チャンバー10の内に位置する断熱部材20は、熱処理容器部30が反応に適正な温度に維持できるように断熱する役割をする。このような断熱部材20は、高温に耐えることができるように黒鉛を含むことができる。
【0034】
断熱部材20の内には、原料が充填され、これらの反応によって所望の物質が生成される熱処理容器部30が位置する。このような熱処理容器部30は高温に耐えることができるように黒鉛を含むことができる。反応中に生成されるガスまたは未反応ガスなどは、熱処理容器部30に連結された排気口12を通じて排出することができる。
【0035】
断熱部材20と熱処理容器部30との間には熱処理容器部30を加熱する加熱部材40が位置する。このような加熱部材40は多様な方法により熱処理容器部30に熱を提供することができる。一例として、加熱部材40は黒鉛に電圧を加えて熱を発生させることができる。
【0036】
このような真空熱処理装置100の熱処理容器部30は、原料を入れて熱を加えて所望の物質を製造する坩堝であり、これを図2及び図3を参照して詳細に説明する。図2は本発明の第1実施形態に従う熱処理容器部を示す斜視図であり、図3は図2のIII −III 線による断面図である。
【0037】
図2及び図3を参照すると、熱処理容器部30は、内部の空間部を備えて一面が開口される熱処理容器140と、この熱処理容器140を覆う蓋部材130を含むことができる。このような熱処理容器部30は高温で耐えることができる物質、一例として黒鉛からなることができる。
【0038】
熱処理容器140は、一体形成される底部110と側壁120とを含み、内部に原料が充填される空間部が備えられる。そして、熱処理容器140の側壁120の上部、即ち熱処理容器140で蓋部材130に隣接した部分に排気通路142が形成される。このような排気通路142に熱処理時に発生する反応ガスまたは未反応ガスなどが排出できる。
【0039】
このような排気通路142は、底部から高さ90%以上、100%以下の部分に形成される。これで、充填される原料が外部に流出することは防止しながらガスの出入は円滑にすることができる。図2及び図3のように、排気通路142が側壁120の100%高さ、即ち側壁120の最上部に形成されれば、原料投入量を増大することができ、ガスをよりよく排出することができる。
【0040】
このように形成された排気通路142は、ガスの排出のために複数備えることができる。図面では排気効率及びガス排出特性を考慮して、排気通路142の形状を矩形に例示した。しかしながら、排気通路142の形状は、その他にも逆三角形、半円、逆台形、円形、または幾何学的形状などで形成できる。しかしながら、本発明がこのような形状に限定されるものではなく、排気通路142として機能できる全ての形状を含むことができる。
【0041】
図2では、排気通路142と側壁120との連結部分が直角に形成されたものを図示したが、本発明はこれに限定されるものではない。変形例として、図4に示すように、排気通路142と側壁120との連結部分(CA)がラウンド形状(曲線形状)を有することができる。これによって、熱処理容器140と蓋部材(図2の参照符号130、以下、同一)の摩擦力を減少させて、排気通路142の破損を防止することができる。
【0042】
実施形態では、熱処理容器140が円形の平面形状を有して熱処理容器140に加えられる熱応力を最小化することを図示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、熱処理容器140は多様な多角形状を有することができる。平面形状が四角形の熱処理容器は、図6に図示されている。
【0043】
また、変形例として図5に示すように、熱処理容器部30が複数備えられ、複数の熱処理容器部30の外郭でこれらに覆いかぶせる外郭部材310を含むことができる。熱処理容器部30は、図2及び図3に示すような熱処理容器部30からなることができる。この外郭部材310にも排気通路(図示せず)などが形成される。
【0044】
このような真空熱処理装置100は、一例として、炭素源と珪素源を含む混合原料を加熱して炭化珪素を製造する炭化珪素の製造装置として利用できる。
【0045】
即ち、真空熱処理装置100の熱処理容器部30に炭素源と珪素源とを混合した混合原料を入れて加熱部材40によりこれらを共に加熱する。
【0046】
本実施形態において、珪素源は珪素を提供できる多様な物質を含むことができる。一例として、珪素源はシリカ(silica)を含むことができる。このような珪素源には、シリカ粉末、シリカゾール(sol)、シリカゲル(gel)、石英粉末などが挙げられる。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、珪素を含む有機珪素化合物を珪素源として使用することができる。
【0047】
炭素源は、固体炭素源または有機炭素化合物を含むことができる。
【0048】
固体炭素源には、黒鉛(graphite)、カーボンブラック(carbon black)、カーボンナノチューブ(carbon nano tube:CNT)、フラーレン(fullerene:C60)などが挙げられる。
【0049】
有機炭素化合物には、フェノール(penol)、フラン(franc)、キシレン(xylene)、ポリイミド(polyimide)、ポリウレタン(polyunrethane)、ポリビニールアルコール(polyvinyl alcohol)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、またはポリビニールアセテート(poly vinyl acetate)などが挙げられる。その他にも、セルロース(cellulose)、製糖、ピッチ(pitch)、タール(tar)などを使用することができる。
【0050】
このような珪素源と炭素源とを混合する。ここで、固体炭素源が使われる場合、珪素源と炭素源との質量比は1:1以上4:1以下が好ましい。
【0051】
また、有機炭素化合物が炭素源として使われる場合には、固体炭素源の場合より約2倍多い炭素源が要求される。しかしながら、炭化(carbonization)過程で生成される炭素生成量によって多少の差が存在しうる。有機炭素化合物が炭素源として使われる場合には、珪素源と炭素源とが混合された混合物を加熱して混合物に含まれた炭素源を炭化させる。このような炭化工程は、温度が700℃以上1200℃以下のものが好ましいが、900℃以上1100℃以下に維持することがより好ましい。しかしながら、炭素源が有機炭素化合物でない場合、炭化工程は省略できる。
【0052】
以後、熱処理容器部30に炭素源と珪素源とが混合された原料を入れて加熱すれば、以下の化学式1乃至3による炭素熱還元反応(carbothermal reaction)により炭化珪素が製造される。
【0053】
【化1】

【0054】
【化2】

【0055】
【化3】

【0056】
このような加熱段階は、アルゴン(Ar)雰囲気や真空雰囲気で遂行できる。真空度は0.03torr超過0.5torr以下であり、特に、0.03torr超過0.1torr以下のものが好ましい。真空度が0.03torr以下の場合に、量産装備で機械的負荷が多くて、追加の装備を必要とするので、装備のメインテナンスが困難であり、多い費用がかかることがある。
【0057】
加熱温度は1300℃以上1900℃以下、より好ましくは、1600℃以上1900℃以下であることがある。ここで、加熱時間は約3時間位であるが、これに限定されるものではない。
【0058】
このように、本実施形態の真空熱処理装置100は、炭化珪素製造用に使用できるが、実施形態はこれに限定されるものではない。合成に熱処理が必要な多様な物質の製造に利用できることが勿論である。
【0059】
以下、製造例及び比較例に従う炭化珪素の製造方法を通じて本発明をより詳細に説明する。このような製造例は本発明をより詳細に説明するために例示として提示したものに過ぎない。したがって、本発明はこのような製造例に限定されるものではない。
【0060】
製造例1
平面形状が円形であり、直径が100mmであり、高さが100mmである熱処理容器に混合原料(平均粒径が40nmのヒュームドシリカ(fumed silica)40重量部、カーボンブラック(carbon black)18重量部の割合で混合した混合原料)を80g入れて、1700℃の温度、0.1〜0.5torrの真空度で3時間の間熱処理して炭化珪素粉末を製造した。熱処理容器の側壁で100%高さに直径が3mmの半円型の排気通路が4個形成された。
【0061】
製造例2
排気通路が横3mm、縦3mmの正四角形状を有するという点を除外すれば、製造例1と同一の方法により炭化珪素粉末を製造した。
【0062】
比較例1
排気通路の直径が3mmである円形であり、側壁で80%高さで形成されたということと、混合原料が65g投入されたということを除外すれば、製造例1と同一な方法により炭化珪素粉末を製造した。
【0063】
製造例1、2、そして比較例1によって製造された炭化珪素粉末を回収して回収率(g/L)及び不純物含有量(ppm)を測定して<表1>に表した。
【0064】
【表1】

【0065】
<表1>を参照すると、製造例1及び2に従う炭化珪素粉末の回収率は、各々25.5(g/L)及び25.2(g/L)であって、比較例1の20.7(g/L)に比べて回収率が優れることが分かる。これは、製造例1及び2では排気通路が高い個所に位置して多量の原料が投入できるためである。
【0066】
また、製造例1及び2によれば、比較例1に比べて不純物含有量、即ち、Ca、Na、K、Al、及びNiの含有量が格段に少ないことが分かる。これは、ガスが速かに排出できるためである。
【0067】
以下、本発明の他の実施形態に従う熱処理容器部を図6乃至図8を参照して説明する。前述した実施形態と同様な構成に対しては詳細な説明を省略し、互いに異なる部分に対してのみ詳細に説明する。
【0068】
真空熱処理装置の熱処理容器部を図6及び図7を参照して詳細に説明する。図6は第2実施形態に従う熱処理容器部を示す斜視図であり、図7は図6のVII −VII 線による断面図である。
【0069】
図6及び図7を参照すると、熱処理容器部32は、内部の空間部を具備し、一面が開口される熱処理容器240と、該熱処理容器240を覆う蓋部材230を含むことができる。このような熱処理容器部32は高温で耐えることができる物質、一例として黒鉛からなることができる。
【0070】
熱処理容器240には反応原料が充填される内部の空間部が備えられる。そして、熱処理容器240の側壁上部、即ち熱処理容器240で蓋部材230に隣接した部分に上部排気通路242が形成される。そして、熱処理容器240の側壁下部、即ち熱処理容器240の底面の付近に下部排気通路244が形成される。このような上部排気通路242及び下部排気通路244に熱処理時に発生する反応ガスまたは未反応ガスなどが排出できる。
【0071】
実施形態では、上部排気通路242と共に下部排気通路244を形成してガスが円滑に排出できるようにする。そして、熱処理容器240の上部と下部で均一にガスが排出できるようにする。これによって、真空熱処理装置で製造された物質の品質を向上させることができ、粒度を均一にすることができる。
【0072】
この際、上部排気通路242と下部排気通路244とが互いに対応する位置に位置するようにしてガスの流れをより円滑にすることができる。
【0073】
そして、熱処理容器240の内部、より正確には、熱処理容器240の下部に多孔質部材26が位置する。このような多孔質部材26は、下部排気通路244を遮るように位置して、熱処理容器240の内に位置する原料の外部への流出を防止しながら多孔質部材26の気孔によりガスは円滑に流れるようにすることができる。
【0074】
多孔質部材26の厚さを下部排気通路244の厚さと等しいか厚くして、原料の外部への流出を効果的に防止することができる。
【0075】
このような多孔質部材26は高温で耐えることができる多様な物質を含むことができる。一例として、多孔質部材26は黒鉛を含むことができる。
【0076】
実施形態では、熱処理容器240が四角形の平面形状を有することを図示したが、実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、熱処理容器240は多様な多角形状を有することができる。そして、変形例として図8に示すように、熱処理容器部34はラウンドの平面形状を有することができる。これを図8を参照して詳細に説明する。
【0077】
図8を参照すると、熱処理容器部34、即ち熱処理容器340及び蓋部材330の平面形状はラウンド形状を有することができる。すると、熱処理容器340に加えられる熱応力の間の方向性を用いて熱処理容器340に加えられる力を最小化することができる。これによって、熱処理容器の変形及び破損を防止することができる。
【0078】
この際、熱処理容器340の平面形状が円形または楕円形を有すれば、熱処理容器340に加えられる力を略0に近くすることができる。
【0079】
本変形例でも熱処理容器340の側壁の上部及び下部に各々上部排気通路342及び下部排気通路344を形成してガスの流れを円滑にすることができる。そして、熱処理容器340の下部に多孔質部材36を位置させて原料の離脱を防止しながらガス流れを維持することができる。これに対する詳細な説明は、前述した図6及び図7と関連した説明と同一または類似しているので省略する。
【0080】
本実施形態及び変形例でも、図5に示すように、熱処理容器240、340と、蓋部材230、330を含む熱処理容器部320、340を複数で積層し、この外部を外郭部材(図5の参照符号310、以下、同様)が覆いかぶせるようにすることができる。この外郭部材310にも排気通路(図示せず)などが形成される。
【0081】
以下、製造例及び比較例に従う炭化珪素の製造方法を通じて本発明をより詳細に説明する。このような製造例は本発明をより詳細に説明するために例示として提示したものに過ぎない。したがって、本発明はこのような製造例に限定されるものではない。
【0082】
製造例3
平面形状が円形であり、直径が500mmであり、高さが250mmである熱処理容器に混合原料(SiO2とカーボンブラック(carbon black)との混合原料)を入れて、1800℃、アルゴンガス雰囲気で2時間の間熱処理して炭化珪素粉末を製造した。熱処理容器の上部及び下部に同一なサイズの排気通路が形成されていた。
【0083】
比較例2
熱処理容器の上部のみに排気通路が形成されたということを除いては、製造例3と同様な方法により炭化珪素粉末を製造した。
【0084】
製造例3及び比較例2において、熱処理容器の上部及び下部で製造された炭化珪素粉末を採取して粒度を測定して、その結果を<表2>に表した。
【0085】
【表2】

【0086】
<表2>を参照すると、製造例3によれば、熱処理容器の上部粒度と下部粒度とが似ている一方、比較例2によれば、熱処理容器の上部粒度と下部粒度とが大きい差を表すことが分かる。即ち、製造例3によれば、製造された物質の粒度を均一にすることができることが分かる。
【0087】
以上、実施形態に説明された特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれ、必ず1つの実施形態のみに限定されるものではない。延いては、各実施形態で例示された特徴、構造、効果などは、実施形態が属する分野の通常の知識を有する者により他の実施形態に対しても組合または変形されて実施可能である。したがって、このような組合と変形に関連した内容は本発明の範囲に含まれることと解釈されるべきである。
【0088】
以上、本発明を好ましい実施形態をもとに説明したが、これは単なる例示であり、本発明を限定するのでない。本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲内で、多様な変形及び応用が可能であることが同業者にとって明らかである。例えば、実施形態に具体的に表れた各構成要素は変形して実施することができ、このような変形及び応用にかかわる差異点も、特許請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と側壁とを含み、
前記側壁に排気通路が形成されることを特徴とする、真空熱処理装置用熱処理容器。
【請求項2】
前記排気通路は、前記側壁の上部に形成される上部排気通路を含むことを特徴とする、請求項1に記載の真空熱処理装置用熱処理容器。
【請求項3】
前記上部排気通路は、矩形、逆三角形、半円、逆台形、及び円形からなる群から選択された形状を有することを特徴とする、請求項2に記載の真空熱処理装置用熱処理容器。
【請求項4】
前記上部排気通路は、前記側壁のうち、前記底部から高さ90%以上、100%以下の部分に形成されることを特徴とする、請求項2に記載の真空熱処理装置用熱処理容器。
【請求項5】
前記上部排気通路と前記側壁との連結部分はラウンド形状であることを特徴とする、請求項2に記載の真空熱処理装置用熱処理容器。
【請求項6】
前記熱処理容器は内部に空間部を具備し、一面が開口され、
前記熱処理容器を覆う蓋部材をさらに含み、
前記熱処理容器で前記蓋部材と隣接した部分に上部排気通路が形成されることを特徴とする、請求項2に記載の真空熱処理装置用熱処理容器。
【請求項7】
前記排気通路は、前記側壁の下部に形成される下部排気通路を含むことを特徴とする、請求項1に記載の真空熱処理装置用熱処理容器。
【請求項8】
前記熱処理容器の内に多孔質部材が位置することを特徴とする、請求項7に記載の真空熱処理装置用熱処理容器。
【請求項9】
前記多孔質部材は、前記熱処理容器の下部に位置することを特徴とする、請求項8に記載の真空熱処理装置用熱処理容器。
【請求項10】
前記多孔質部材は、前記下部排気通路を遮るように位置することを特徴とする、請求項8に記載の真空熱処理装置用熱処理容器。
【請求項11】
前記多孔質部材の厚さは前記下部排気通路の厚さと等しいか、前記下部排気通路の厚さより厚いことを特徴とする、請求項8に記載の真空熱処理装置用熱処理容器。
【請求項12】
前記多孔質部材は黒鉛を含むことを特徴とする、請求項8に記載の真空熱処理装置用熱処理容器。
【請求項13】
前記熱処理容器は前記熱処理容器を覆う蓋部材をさらに含み、
前記熱処理容器で前記蓋部材と隣接した部分に上部排気通路が形成されることを特徴とする、請求項8に記載の真空熱処理装置用熱処理容器。
【請求項14】
前記上部排気通路と前記下部排気通路とが互いに対応するように位置することを特徴とする、請求項13に記載の真空熱処理装置用熱処理容器。
【請求項15】
前記熱処理容器は複数で備えられ、
前記複数の熱処理容器の外郭で前記複数の熱処理容器を覆いかぶせる外郭部材をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の真空熱処理装置用熱処理容器。
【請求項16】
前記熱処理容器の平面形状は多角形状またはラウンド形状であることを特徴とする、請求項1に記載の真空熱処理装置用熱処理容器。
【請求項17】
前記熱処理容器は炭化珪素製造用であることを特徴とする、請求項1に記載の真空熱処理装置用熱処理容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−515943(P2013−515943A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545863(P2012−545863)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際出願番号】PCT/KR2010/009335
【国際公開番号】WO2011/078628
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(510039426)エルジー イノテック カンパニー リミテッド (279)
【Fターム(参考)】