説明

真空用ゲートバルブおよび該真空用ゲートバルブの開閉方法

【課題】弁への負荷を軽減し、弁の開閉動作とシール動作とを独立させて小型化かつ安価なゲートバルブを提供する。
【解決手段】弁体アッセンブリの長手方向にあって、弁箱に固定された2つの第2の駆動装置を有し、第2の駆動装置と弁体アッセンブリの間に第2の駆動装置によって生成した長手方向の操作力を直角方向の操作力に変換する操作方向変換部を備え、第1の駆動装置によって、弁体アッセンブリを垂直方向に移動させて弁体アッセンブリを弁座に対していずれにも非接触状態である中立位置に保持し、第2の駆動装置によって、長手方向の操作力を生成し、操作方向変換部によって、長手方向の操作力をいずれかの直角方向の操作力に変換して中立位置にある弁体アッセンブリをいずれかの直角方向に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置等の真空室内を真空状態に維持するために使用されるゲートバルブ(真空用仕切弁)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のゲートバルブには種々の機構のものが提案されている。
【0003】
特許文献1には、弁箱の弁座面及び台座面にそれぞれ対向し互いに平行に配置された弁板及び対向板と、この弁板と対向板との間に設けられた支持板とにより弁軸に対して垂直な方向にスライド可能な弁体部を構成し、弁板と対向板の向かい合うそれぞれの面に、可撓性を有する板バネを弁体部のスライド方向と鋭角θをなして固定し、弁板及び対向板に対して支持板を相対移動させて閉弁する際、支持板によって板バネを屈曲させて鋭角θを拡大させ閉弁するように構成した真空用仕切弁が記載されている。
【0004】
特許文献2には、半導体プロセスクラスタアーキテクチャ配置で使用されるデュアルスロットバルブであって、第1の面および第2の面を有するハウジングと、同ハウジングは、第1のモジュールおよび第2のモジュールの間で基板を通過させるための前記第1の面に位置する第1のスロットおよび前記第2の面に位置する第2のスロットを有する第2のスロットを有することと、前記第1のモジュールは前記ハウジングの前記第1の面に取り付けられ、前記第2のモジュールは前記ハウジングの前記第2の面に取り付けられることと、前記第1のスロットを閉塞可能とするために前記ハウジング内に移動可能に装着された第1のドアと、前記第2のスロットを閉塞可能とするために前記ハウジング内に移動可能に装着された第2のドアとを備えるデュアルスロットバルブが記載されている。
【0005】
特許文献3には、a)内部空間、および流体該内部空間に流出入できるようにする1対の弁箱開口を有するハウジングと、b)前記内部空間内で、流体が第1弁箱開口を通ることができるようにする全開位置と、前記第1弁箱開口を密封して流体が通ることができないようにする全閉位置との間を移動可能な第1弁体と、c)前記内部空間内で、流体が第2弁箱開口を通ることができるようにする全開位置と、前記第2弁箱開口を密封して流体が通ることができないようにする全閉位置との間を枢動移動可能な第2弁体とを備えた弁アセンブリが記載されている。
【0006】
本件出願人にあっても、特許文献4に示されるゲートバルブの提案を行っている。
【0007】
【特許文献1】特許第2714473号公報
【特許文献2】特表第2002−540612号公報
【特許文献3】特表第2004−502105号公報
【特許文献4】特開2005−76836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように従来、第1および第2の弁箱開口を有する弁箱と、内部空間の弁箱開口の縁部の周囲に設けられる弁座と、それぞれ第1および第2の弁箱開口を開閉する第1および第2の弁体を備えるようにしていることは知られているが、圧力条件のよい方向、すなわち同圧、正圧方向へシールさせるものでないために弁の開閉に大きな負荷を要するものであったり、弁の開閉動作とシール動作とを一体で行うものであるために操作部で弁元部を保持するようにしている。このために、弁への負荷が大きくなり、操作部の大型化及びバルブ大重量化の原因となっていた。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑み、弁への負荷を軽減し、弁の開閉動作とシール動作とを独立させて小型・軽量かつ安価なゲートバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、対向配置された2つの開口を持つ弁箱と、前記弁箱の内面であって、それぞれの弁箱開口の周囲に形成された弁箱座面を、シールリングを介してシールする2枚の弁板を有する弁体アッセンブリ、および該弁体アッセンブリを垂直方向に保持するゲートコア(弁軸)を備え、前記弁箱の内部に延在する弁体アッセンブリと、該弁体アッセンブリを垂直方向にスライドさせる第1の駆動装置を備えたゲートバルブにおいて、前記弁体アッセンブリの長手方向にあって、前記弁箱に固定された2つの第2の駆動装置を有し、前記第2の駆動装置と前記弁体アッセンブリの間に前記第2の駆動装置によって生成した長手方向の操作力を直角方向の操作力に変換する操作方向変換部を備え、前記第1の駆動装置によって、前記弁体アッセンブリを垂直方向に移動させて該弁体アッセンブリを前記弁箱に対していずれにも非接触状態である中立位置に保持し、前記第2の駆動装置によって、長手方向の操作力を生成し、前記操作方向変換部によって、長手方向の操作力をいずれかの直角方向の操作力に変換して中立位置にある前記弁体アッセンブリをいずれかの直角方向に移動させて、一方の前記弁箱開口を前記シールリングを介して前記弁体アッセンブリの一方の弁板でシールし、中立位置にあった弁体アッセンブリの他方の弁板を他方の前記弁箱開口から更に開放することを特徴とするゲートバルブを提供する。
【0011】
また、本発明は、弁箱と、前記弁箱の内面であって、それぞれの開口の周囲に形成された弁箱座面を、シールリングを介してシールする2枚の弁板を有する弁体アッセンブリ、および該弁体アッセンブリを垂直方向に保持するゲートコア(弁軸)を備えて前記弁箱の内部で延在する弁体アッセンブリと、該弁体アッセンブリを垂直方向にスライドさせる第1の駆動装置を備えたゲートバルブにおいて、前記弁体アッセンブリの長手方向にあって、前記弁箱に固定された2つの第2の駆動装置を有し、前記第2の駆動装置は、長手方向に延在するシリンダロッドと、該シリンダロッドの先端部に取り付けた転動体を備え、対向する2つの前記転動体は、間隙Lを置いて配置され、前記弁体アッセンブリは、長手方向に、間隙L方向で間隙Lよりも大きな係合幅を有していずれかの転動体と係合する係合部を有し、前記転動体の一方が前記係合体に係合したときに他方の転動体は前記係合体に係合しないことによって、前記弁体アッセンブリを係合しない転動体側に移動させて一方の前記弁箱開口を前記シールリングを介して前記弁体アッセンブリの一方の弁板でシールし、他方の前記弁箱開口を他方の前記弁体アッセンブリから更に開放することを特徴とするゲートバルブを提供する。
【0012】
また、本発明は、前記転動体は、前記弁箱の内面に沿って転動することを特徴とするゲートバルブを提供する。
【0013】
また、本発明は、前記弁体アッセンブリは、2枚の弁板と、これらの弁板間に、開閉方向に設けたピンと、これらの弁体の間に配設され、かつ前記第1駆動装置のシリンダロッドに接続されたゲートコアを前記ピンに対して摺動可能に備えることを特徴とするゲートバルブを提供する。
【0014】
また、本発明は、前記第2駆動装置は、前記弁体アッセンブリの長手方向の双方側に対向して設けられ、双方の対向する転動体は同期して作動することを特徴とするゲートバルブを提供する。
【0015】
更に、本発明は、弁箱と、その内面にある座面を、シールリングを介してシールする弁体アッセンブリ、および該弁体アッセンブリを垂直方向に保持するゲートコアを備えて前記弁箱の内部で延在する弁体アッセンブリと、該弁体アッセンブリを垂直方向にスライドさせる第1の駆動装置を備え前記弁体アッセンブリの長手方向にあって、前記弁箱に固定された2つの第2の駆動装置、および該第2の駆動装置によって生成した長手方向の操作力を直角方向の操作力に変換する変換部を備えたゲートバルブによるゲート開閉方法において、前記第1の駆動装置によって、前記弁体アッセンブリを垂直方向に移動させて該弁体アッセンブリを前記弁箱に対していずれにも非接触状態である中立位置に保持するステップと、前記第2の駆動装置によって、長手方向の操作力を生成するステップと、前記操作方向変換部によって、長手方向の操作力をいずれかの直角方向の操作力に変換して中立位置にある前記弁体アッセンブリをいずれかの直角方向に移動させて、一方の前記弁箱を前記シールリングを介して前記弁体アッセンブリの一方の弁板でシールし、中立位置にあった他方の前記弁体アッセンブリを他方の前記弁箱座面から更に開放することを特徴とするゲートバルブの開閉方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、前記ゲートバルブが真空搬送室と真空処理室と真空処理室との間に設けられているときに、前記真空処理室の真空を開放あるいは真空を弱める場合には、弁体アッセンブリの前記真空搬送室側の弁板の一方の弁箱開口にシールリングを介してシールして弁体アッセンブリの他方の弁板を他方の弁箱開口から更に開放することを特徴とするゲートバルブの開閉方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、弁の開閉動作とシール動作が独立しており、シール動作が弁座に対して垂直方向に押し付けられる操作となるために操作部で弁体部を保持する必要がなく、小型・安価なゲートバルブを提供することができる。また、圧力条件のよい同圧・正圧方向でシールすることができ、弁への負担を軽減することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の実施例のゲートバルブ100の外観を示す図である。図1において、ゲートバルブ(弁)100は、鎖線で示す弁箱(ハウジング)1と、この弁箱1内に収納されて弁箱1の対向する位置にそれぞれ設けられた図3の開口17,18の開閉を行う弁体アッセンブリ2と、弁体アッセンブリ2の開閉動作を行う第1の駆動装置である第1のシリンダ3と、弁体アッセンブリ2のシール動作を行う第2の駆動装置である第2のシリンダ4とを備える。弁箱1は、開口17,18が形成されている。第1のシリンダ3と第2のシリンダ4とは、弁体アッセンブリ2による開閉動作とシール動作を独立して行うようにシステムの制御装置(図示せず)によって制御される。図1に矢印によって開閉動作およびシール動作がなされ、各シリンダ3、4にはAir(空気)源6からAirが供給され、各シリンダ3、4のシリンダロッド7、8が動作することになる。5は、弁体アッセンブリ2に設けたシールリング(シール材)としての、例えばOリングである。
【0020】
図1に示すように、弁体アッセンブリ2は左右に配置した2つの第1のシリンダ3によって垂直方向に上下動され、弁体アッセンブリ2の長手方向の両側位置に配設された各2つずつの第2のシリンダ4によって垂直方向に対して直角方向に動作される。第2のシリンダ4による長手方向の操作力が直角方向の操作力に変換されるメカニズムについては後述する。従って、ここでは直角方向とは、垂直方向に直角方向であって、弁箱1に設けた開口17,18の方向ということになる。各2つずつの第2のシリンダ4は長手方向並置され、各第2のシリンダ4に装着されるシリンダロッド8は特定の間隔に設定され、長手方向の水平方向に配設される。
【0021】
左右に配設される各2つずつの第2のシリンダによる弁体アッセンブリ2の操作は同期されて同一の動作をするので、以下、片側の第2のシリンダ4について主に説明するが、他側の第2のシリンダ4についてはその説明が援用されるものとする。第1のシリンダ3についても同様である。
【0022】
図3は、第1のシリンダ3の部分で断面した弁箱1および弁体アッセンブリ2の断面図である。
【0023】
図2,図3において、弁箱1は、上下でボルト13によって一体化された上フタ15、フタ16を備える。弁箱1には、開口部17,18が形成され、開口部17,18は、例えば半導体製造装置の真空搬送室および真空処理室のそれぞれに向けて配置される。
【0024】
弁箱1の下方には第1のシリンダ3が設けられ、ボルト19によって下フタ16に固定される。第1のシリンダ3は上方に、すなわち弁箱1の空間21に伸びるシリンダロッド7を備える。20はシリンダロッド7と下フタ16との間に設けたグランドである。
【0025】
空間21内で、開口17,18に対向する形で弁体アッセンブリ2が設けてあり、この弁体アッセンブリ2は弁体板部22,23を備え、連結片24,25がボルト30によって弁体アッセンブリ2に取り付けられている。
【0026】
図3において、弁体アッセンブリ2の空間31(弁体板部22,23の間の空間)に垂直方向にゲートコア(弁軸)32が設けられ、ゲートコア32に設けた長穴33を貫通するシリンダロッド7とはボルト34によって一体化されている。弁体アッセンブリ22の外方面上には弁箱1の内面の座面(弁箱座面)に向けてOリング5(5A,5B)が設けてある。
【0027】
以上のように、弁箱1の開口17,18の内側周囲に形成された座面を、Oリング5を介してシールする弁体板部22,23および弁体板部を垂直方向に保持するゲートコア32を備えて弁体アッセンブリ2が構成される。弁体アッセンブリ2は弁箱1の内部の空間21を上下方向に延在して設けられることになる。そして、第1のシリンダ3は弁体アッセンブリ2を垂直方向にスライド、すなわち上下動させることになる。
【0028】
図4は、第1のシリンダ3の断面部よりも外方の位置での弁箱1および弁体アッセンブリ2の断面図である。
【0029】
図4において、弁体板部22,23およびゲートコア32には連通した空間41が形成され、この空間41には直角方向(水平方向)に円柱状のピン42、このピン42の周囲に設けたツバ部47を有するガイド43、弁体板部22,23の外面側に設けたピン押え44,45およびバネ46、48が設けられる。バネ46は、ゲートコア32に設けた段差にガイド43のツバ部47が係合するようにツバ部47を段差方向に押しつけている。
【0030】
このような構成によって、シリンダロッド7(図2)によってゲートコア32は上下動動作され、これに伴ってピン42を介して弁体板部22,23も上下動動作される。更に、この状態で弁体板部22,23が直角方向に動作されてピン42が直角方向に動作してもガイド43とツバ部47との関係位置は変化せず、すなわちゲートコア32は中立位置を保つ。従って第1のシリンダ3の操作が阻害されることがない。
【0031】
図5は、第2のシリンダ4の長手方向の操作力を回転方向動作を加えることなく直角方向の操作力に変換する操作方向変換部50の構成を示す図である。
【0032】
弁箱1の長手方向の端部に設けたグランド51を介して2つの第2のシリンダ4(4A),4(4B)が設けられる。第2のシリンダ4は、それぞれシリンダロッド52,53を備えており、シリンダロッド52,53は弁箱1の長手方向の端部に形成した2つの並列する貫通孔54,55の方向に延在する。シリンダロッド52,53の先端にはボルト56,57で取り付けられた転動体保持部58,59が設けてあり、これらの転動体保持部58,59の先端にはそれぞれ転動体60,61が回転可能に取り付けてある。
【0033】
シリンダロッド52,53が長手方向に動作すると、転動体保持部58,59および転動体60,61が長手方向に移動する。この場合に、転動体60,61は弁箱1にそれぞれボルト62,63によって取り付けたローラガイド64,65の上を転動する。そして転動体60,61は鎖線で示す位置まで転動することができる。
【0034】
一方、弁体板部22,23の長手方向端部には保持板70が設けられ、この保持板70にはボルト65,66によって弁押えガイド67が取り付けてある。弁押えガイド67の角部は球面状として円滑なものとされている。
【0035】
転動体60,61は間隙Lを置いて配設される。すなわち、転動体60,61の向い合う下端面、上端面間の間隙がLとされる。これに対して係合体を構成する弁押えガイド67の上面、下面間の幅lはLよりも若干長いものとされる。これらの長さL,lは、弁体アッセンブリ2と座面との間隙長さおよび0リングの大きさに依存して定める。
【0036】
シリンダロッド52,53は選択されたいずれか一方が長手方向に延びるように構成されており、従っていずれか一方の転動体のみが弁押えガイド67に係合する。例えば、第1のシリンダ4の内4Aが作動すると、転動体60が弁押えガイド67に係合するが転動体61は弁押えガイド67に係合しない。転動体60が弁押えガイド67に係合すると、間隙Lとの関係で転動体60の進行に伴なって弁押えガイド67は直角方向(図5では下方向)に移動する。逆に、第1のシリンダ4のうち4Bが作動すると、転動体61が弁押えガイド67に係合するが転動体60は弁押えガイド67に係合しない。転動体61が弁押えガイド67に係合すると、間隙Lとの関係で転動体61の進行に伴なって弁押えガイド67は直角方向(図では上方向)に移動する。
【0037】
この場合に、弁押えガイド67は直接的に直角方向に移動し、弁押えガイド67に一体化された弁体アッセンブリ2、すなわち弁体板部22,23も直角方向に移動するが、図3に示す構成で説明したように、弁体板部22,23が直角方向に移動してもゲートコア32は中立位置を保つ。
【0038】
このようにして、第2のシリンダ4と弁体アッセンブリ2との間に第2のシリンダ4によって生成した長手方向の操作力を直接的に直角方向の操作力に変換する操作方向変換部50が構成される。
【0039】
操作方向変換部50は長手方向の操作力を直角方向の操作力に変換するものであれば周知の構成を採用してもよい。
【0040】
以上の構成によれば、第1のシリンダ3によって弁体アッセンブリ2を垂直方向に移動させて弁体アッセンブリ2を弁板部11,12に対していずれにも非接触状態である中立位置に保持され、次いで第2のシリンダ4によって長手方向の操作力が生成され、操作方向変換部50によって、長手方向の操作力をいずれかの直角方向の操作力に変換して中立位置にある弁体アッセンブリ2をいずれかの直角方向に移動させ、この場合にゲートコア32は中立位置を継続し、一方の弁座面をOリングを介して一方の内弁座面にシールし、中立位置にあった他方の内弁座面を他方の外弁座面から更に開放することがなされることになる。
【0041】
更に具体的には、弁体板部22,23の長手方向にあって、弁箱1に固定された2つの第2のシリンダ4を有し、第2のシリンダ4は、長手方向に延在するシリンダロッド52,53と、シリンダロッド52,53の先端部に取り付けた転動体60,61を備え、対向する2つの転動体60,61は間隙Lを置いて配置され、弁体アッセンブリ2は長手方向に間隙L方向で間隙Lよりも大きな係合幅(すなわち幅l)を有していずれかの転動体60,61と係合する係合体(弁押えガイド67)を有して弁箱1および弁体アッセンブリ2が構成され、この構成によれば、転動体60,61の一方が係合体と係合したときに他方の転動体は係合体に係合しないことによって、弁体アッセンブリ2を係合しない転動体の側に移動(直角方向移動)させて一方の外弁座面をOリング5を介して一方の内弁座面でシールし、他方の外弁座面を他方の内弁座面から更に開放することがなされることになる。
【0042】
上述した構成になるゲートバルブ100の3動作について図6を用いて説明する。
図6(a)はゲートバルブ開状態を示し、図6(b)はゲートバルブ開状態を示し、図6(c)は弁シール状態を示し、図6(d)は図6(c)の弁シール状態を拡大して示している。
【0043】
図6(a)に示すゲートバルブ開状態にあっては第1のシリンダ3の不作動によって弁体アッセンブリ2は下方に移動させ、最下置に位置し、弁体アッセンブリ2は弁箱1の弁箱開口17,18に対して開放の状態にある。この状態では真空搬送室と真空処理室とは同一の真空状態とされる。
【0044】
図6(b)に示すゲートバルブ開状態にあってはAir源6からAirが第1のシリンダ3に供給されて作動し、弁体垂直方向に上向き動作する。これによって弁箱17,18は閉状態となる。しかし、この状態でシールははまだなされておらず、弁体アッセンブリ2は弁箱1に対して中立位置にある。
【0045】
図6(c)に示す弁シール状態にあっては第1のシリンダ3へのAir供給は止められ、第2のシリンダ4へのAir供給がなされる。システムの制御装置からの指示によって操作方向変換部50の作用方向が決定され、いずれかの転動体60,61が係合部(弁押えガイド67)を押圧して長手方向の操作力を直角方向の操作力に変換し、いずれかの内弁座面を外弁座面にOリング5を介して接着させ、弁シールを行う。この場合に、ゲートバルブ100が真空搬送室と真空処理室との間に設けているときに、真空搬送室の真空を開放あるいは真空を弱める場合には、真空処理室側2位置する弁体アッセンブリ2を座面にシールリング(Oリング5)を介してシールして真空搬送室側から弁体アッセンブリ2を他方の座面から更に開放することを行う。
【0046】
以上の構成によれば、第1の駆動装置によって、弁体アッセンブリを垂直方向に移動させて弁体アッセンブリを外弁板部に対していずれにも非接触状態である中立位置に保持するステップと、第2の駆動装置によって、長手方向の操作力を生成するステップと、を有して、操作方向変換部によって、長手方向の操作力をいずれかの直角方向の操作力に変換して中立位置にある弁体アッセンブリ2をいずれかの直角方向に移動させて、一方の座面をシールリングを介してシールし、中立位置にあった弁体アッセンブリ2を他方の座面から更に開放することができる。
【0047】
また、第1の駆動装置によって、弁体アッセンブリ2を垂直方向に移動させて弁体アッセンブリ2を弁板部11,12に対していずれにも非接触状態である中立位置に保持するステップと、第2の駆動装置によって、長手方向の操作力を生成するステップと、を有して、転動体および係合体の係合によって、長手方向の操作力をいずれかの直角方向の操作力に変換して中立位置にある弁体アッセンブリ2をいずれかの直角方向に移動させて、シールリングを介して一方の座面でシールし、中立位置にあった弁体アッセンブリ2を他方の座面から更に開放することができる。
【0048】
図6(d)は、この弁シール状況を拡大して示す。非接触状態の中立位置にあった弁体アッセンブリ2は操作方向変換部50の作用によって図において下側にあるOリング5を介して弁箱開口を塞いでいる。
【0049】
以上の実施例によれば、次に示す特徴ある構成、メリットを提供することができる。
【0050】
1)2方向選択シール方式
従来の片面シールで同圧〜逆圧まで保持する機構ではなく、圧力条件の良い方向(同
圧・正圧)へシールさせることでバルブへの負荷を軽減させることができる。
【0051】
2)操作部の小型化(ダウンサイジング)
弁の開閉動作とシール動作が独立していることにより、従来のように操作部で弁体部
を保持する必要がなくなったため小型化することができる。
【0052】
3)イージーメンテナンス
シールリング、例えばOリングを交換するには、弁箱から上フタを取り外し開閉用シ
リンダのシリンダロッドと連結されているボルト2本を取り外すことにより、弁体ア
ッセンブリだけを取り出すことが可能である。従来のように、バルブ操作部毎外す必
要がなくなる。
【0053】
4)低パーティクル
シール動作用に転動体を使用することにより、発塵箇所を極限まで押えることができ
る。
【0054】
5)超低振動、静かな動作
弁体アッセンブリの開閉動作、シール動作共にエアクッション付シリンダを用いるこ
とにより実現できる。
【0055】
6)シール面に対し完璧な垂直シール動作を行うため、シールリング、例えばOリング捻
れを低減
弁体アッセンブリの開閉動作とシール動作が独立しており、シール動作は全く垂直に
押し付けられる構造とすることができる。
【0056】
7)シールリング、例えばOリングが長寿命化すなわちメンテサイクルも長期化すること
ができる。(過剰なシールリング潰し力を与えないため)
従来の片面シールで正圧〜逆圧まで保持する構造とは異なり、2方向(選択式)で弁
シールを行うため逆圧に耐えるという過剰な負荷を考慮しなくて良い。すなわち同圧
でのみシール力を保持すれば良いためシール材であるOリングなどに過剰な負荷を与
えずに済む。
【0057】
8)プロセス中の僅かな圧力上昇に対してシール可能である。
3と少々相反するが、実際の装置取り付け状態での運転ではプロセス中のガス導入の
ため少々の微逆圧が生じることがままある。本実施例のゲートバルブ100は、それ
を考慮し片面で同圧〜微逆圧までのシールを可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施例であるゲートバルブの概略外観図。
【図2】実施例であるゲートバルブの中央部の縦面図。
【図3】図1のシリンダの部分における縦断面図。
【図4】シリンダの部分よりやや外方部分における縦断面図。
【図5】操作方向変換部の構成図。
【図6】本実施例の3モーション(動作)図。
【符号の説明】
【0059】
1…弁箱、2…弁体アッセンブリ、3…第1のシリンダ(第1の駆動装置)、4…第2のシリンダ(第2の駆動装置)、5…Oリング(シールリング)、6…Air(空気)源、7…シリンダロッド、11,12…弁板部、17,18…弁箱開口、21…空間、22,23…弁体板部、31…空間、32…ゲートコア(弁軸)、41…空間、42…ピン、43…ガイド、44、45…ピン押え、46…バネ、47…ツバ部、50…操作方向変換部、51…グランド、52,53…シリンダロッド、54,55…貫通孔、58,59…転動体保持部、60,61…転動体、100…ゲートバルブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁箱と、その内面にある座面を、シールリングを介してシールする弁体アッセンブリ、および該弁体アッセンブリを垂直方向に保持するゲートコアを備え、前記弁箱の内部に長手方向に延在する弁体アッセンブリと、該弁体アッセンブリを垂直方向にスライドさせる第1の駆動装置を備えたゲートバルブにおいて、
前記弁体アッセンブリの長手方向にあって、前記弁箱に固定された2つの第2の駆動装置を有し、前記第2の駆動装置と前記弁体アッセンブリの間に前記第2の駆動装置によって生成した長手方向の操作力を直角方向の操作力に変換する操作方向変換部を備え、前記第1の駆動装置によって、前記弁体アッセンブリを垂直方向に移動させて該弁体アッセンブリを前記弁箱に対していずれにも非接触状態である中立位置に保持し、
前記第2の駆動装置によって、長手方向の操作力を生成し、
前記操作方向変換部によって、長手方向の操作力をいずれかの直角方向の操作力に変換して中立位置にある前記弁体アッセンブリをいずれかの直角方向に移動させて、一方の弁箱開口を前記シールリングを介して前記弁体アッセンブリの一方の弁板でシールし、中立位置にあった他方の前記弁体アッセンブリを他方の弁箱座面から更に開放すること
を特徴とするゲートバルブ。
【請求項2】
弁箱と、その内面にある座面を、シールリングを介してシールする弁体アッセンブリ、および該弁体アッセンブリを垂直方向に保持するゲートコアを備えて前記弁箱の内部で長手方向に延在する弁体アッセンブリと、該弁体アッセンブリを垂直方向にスライドさせる第1の駆動装置を備えたゲートバルブにおいて、
前記弁体アッセンブリの長手方向にあって、前記弁箱に固定された2つの第2の駆動装置を有し、
前記第2の駆動装置は、長手方向に延在するシリンダロッドと、該シリンダロッドの先端部に取り付けた転動体を備え、
対向する2つの前記転動体は、間隙Lを置いて配置され、
前記弁体アッセンブリは、長手方向に、間隙L方向で間隙Lよりも大きな係合幅を有していずれかの転動体と係合する係合部を有し、
前記転動体の一方が前記係合体に係合したときに他方の転動体は前記係合体に係合しないことによって、前記弁体アッセンブリを係合しない転動体側に移動させて前記弁箱開口の一方を前記シールリングを介して一方の前記弁体アッセンブリの弁板でシールし、他方の前記弁箱開口を他方の前記弁体アッセンブリから更に開放すること
を特徴とするゲートバルブ。
【請求項3】
請求項2において、前記転動体は、前記弁箱の内面に沿って転動することを特徴とするゲートバルブ。
【請求項4】
請求項2において、前記弁体アッセンブリは、2枚の弁板と、これらの弁板間に、開閉方向に設けたピンと、これらの弁板の間に配設され、かつ前記第1駆動装置のシリンダロッドに接続されたゲートコアを前記ピンに対して摺動可能に備えることを特徴とするゲートバルブ。
【請求項5】
請求項2において、前記第2駆動装置は、前記弁体アッセンブリの長手方向の双方側に対向して設けられ、双方の対向する転動体は同期して作動することを特徴とするゲートバルブ。
【請求項6】
弁箱と、その内面にある座面を、シールリングを介してシールする弁体アッセンブリ、および該弁体アッセンブリを垂直方向に保持するゲートコアを備えて前記弁箱の内部で長手方向に延在する弁体アッセンブリと、該弁体アッセンブリを垂直方向にスライドさせる第1の駆動装置を備え前記弁体アッセンブリの長手方向にあって、前記弁箱に固定された2つの第2の駆動装置、および該第2の駆動装置によって生成した長手方向の操作力を直角方向の操作力に変換する変換部を備えたゲートバルブによるゲート開閉方法において、
前記第1の駆動装置によって、前記弁体アッセンブリを垂直方向に移動させて該弁体アッセンブリを前記弁箱に対していずれにも非接触状態である中立位置に保持するステップと、
前記第2の駆動装置によって、長手方向の操作力を生成するステップと、
前記操作方向変換部によって、長手方向の操作力をいずれかの直角方向の操作力に変換して中立位置にある前記弁体アッセンブリをいずれかの直角方向に移動させて、一方の前記弁箱開口を前記シールリングを介して前記弁体アッセンブリの一方の弁板でシールし、中立位置にあった他方の前記弁体アッセンブリを他方の弁箱座面から更に開放すること
を特徴とするゲートバルブの開閉方法。
【請求項7】
請求項6において、前記ゲートバルブが真空搬送室と真空処理室との間に設けられているときに、前記真空処理室の真空を開放あるいは真空を弱める場合には、弁体アッセンブリの前記真空搬送室側の弁板を一方の弁箱開口にシールリングを介してシールして弁体アッセンブリの他方の弁板を他方の弁箱開口から更に開放することを特徴とするゲートバルブの開閉方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−309337(P2007−309337A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135952(P2006−135952)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000141347)株式会社ブイテックス (8)
【Fターム(参考)】