説明

真贋を検出するためのフィルム・エレメントおよびその製造方法

本発明は、特にセキュリティ要素、セキュリティ紙、有価文書、硬貨、チップなどの真贋を検出するためのフィルム・エレメント(10)に関連し、発光モチーフ(13)を構成または表現する透明フィルム(12、14、16)および/またはモチーフ層(65、66)または構造層(71)を備えることを特徴とする。透明フィルム(12、14、16、65、66)は、好ましくはポリカーボネートまたはPMMAから形成され、発光モチーフ(13)は、好ましくはレーザー処理を用いて、特にレーザー彫刻、鋼エンボス加工またはグラビア印刷、キスカット法、あるいは穿孔を用いてフィルム・エレメント(10)に導入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に記載のフィルム・エレメントに関する。本発明はさらに、本発明のフィルム・エレメントを備えるセキュリティ紙、セキュリティ文書、有価文書、硬貨、チップ、日用品、デザイン要素、およびデータ記憶媒体に関連し、さらには、真贋を検出するためのフィルム・エレメントの製造方法およびセキュリティ紙、セキュリティ文書、および紙幣などの有価文書の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティ紙やセキュリティ文書などの貴重品、例えば紙幣などの有価文書、ならびに日用品さらにはデザイン要素などの偽造品と遭遇する回数はますます増えているとみられる。同時に、このような偽造品は、本物と区別することがますます難しく、特に視覚的に区別することは難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、従来技術と比べて偽造品に対するセキュリティが高く、視覚的に検証可能な効果を持つように、請求項1のプリアンブルに記載フィルム・エレメントを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的は、請求項1、27、41、42の4つの態様に係るフィルム・エレメント、請求項45のセキュリティ紙、請求項47に係るセキュリティ文書、請求項48に係る有価文書、請求項49に係る硬貨、請求項50に係るチップ、請求項51に係る日用品、請求項52に係るデザイン要素、請求項53に係るデータ記憶媒体、ならびに請求項54、55、56に係る真贋を検出するためのフィルム・エレメントの製造方法、および請求項57に係るセキュリティ紙およびセキュリティ文書、特に紙幣などの有価文書の製造方法により、本発明によって達成される。本発明のさらなる効果的な開発は、従属項の範囲に含まれる。
本発明のさらなる効果、特性、特徴は、原寸に比例していない構成図を参照に述べられる以下の好適であるが限定されない本発明の実施態様によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】第1の態様による本発明の効果的な実施態様としての素地に配置されたフィルム複合材を示す断面図である。
【図2】グラビア印刷版によるエンボス加工後の本発明のフィルム・エレメントを示す断面図である。
【図3】第2の態様による本発明の実施態様を示す断面図である。
【図4】第2の態様のフィルム・エレメントのさらなる実施態様を示す断面図である。
【図5】第3の態様のフィルム・エレメントのさらなる実施態様を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、第1の態様による本発明のフィルム・エレメント10の構造を示す。フィルム・エレメント10は、フィルムの固有全反射を特異的に摂動させることによって周辺光の可視スペクトルで発光するモチーフ13が導入され、昼光色蛍光塗料着色の集光性および導光性透明フィルム12、14、16を備える。暗色顔料36を含むコントラスト層とそれぞれ発光情報を備える3つの透明フィルム12、14、16は、接着層17を用いて、赤外線反射性および/または吸収性顔料32(概略的にのみ示される)ならびに磁性顔料34を備える、特に印刷される素地20に適用される。金属化層18とスクラッチ防止シーリング層19はフィルム12、14、16に貼り付けられる。
【0007】
図2に示されるように、本発明のフィルム・エレメント10は鋼エンボス加工(グラビア印刷または凸版印刷とも呼ばれる)を施される(インクなしでレリーフ・エンボス加工として施される)。この場合、素地20に配置された透明フィルム12は、ゴムマット62を装着したシリンダ60を用いて、低位グラビア要素42を装着した鋼板40に対してプレスされる。結果として、エンボス加工50は、グラビア・モチーフとして構成されるフィルム体内に発光情報13としての光屈折欠陥をもたらす刻み目46とともに形成される。所望の発光強度は、グラビアの線または点のエンボス加工深度および/または幅によって限定的に達成される。レーザー・グラビアなどの既知の方法を、さらに電型プラスチック加工されるポリマー材料に対して用いて作られた鋼エンボス加工印刷版は、限定的な深さおよび好適な急角度な側面44を持つ微細グラビアを得るために特に好適である。
【0008】
図3は第2の態様によるフィルム・エレメント10の実施態様の断面図を示す。フィルム・エレメント10は、昼光蛍光染料で着色された2つの集光性および導光性透明フィルム63、64、およびそれぞれ透明フィルム63、64のどちらか1つに導光するように接続され、可視スペクトルで透明な2つの集光性モチーフ65、66を備え、モチーフ層65、66の固有全反射を特異的に摂動させることで、周辺光の可視スペクトルで発光するモチーフ13がモチーフ層65、66にそれぞれ1つ導入される。層の固有全反射の摂動は円13によって示される。当然、現実的には、レーザー技術を用いて非常に微細な摂動構造を好ましくはモチーフ層に導入することができる。例えばフェムト秒レーザーなど、使用されるレーザー技術の空間的分解能によっては、対応する摂動構造として高分解能画像情報が導入される。この点において、透明フィルム63、64は、好ましくは異なる色の蛍光光源として機能し、これをモチーフ層65、66に供給する。このため、透明フィルム63または64の材料の光学的屈折率は、好ましくはモチーフ層65または66と同一である。この場合、1つのモチーフ層または複数のモチーフ層と異なる屈折率を持つ透明層が、中間層67として提供される。
【0009】
図4は、第2の態様によるフィルム・エレメント10のさらなる実施態様の断面図を示す。フィルム・モチーフ10の中心には、モチーフ13が導入されたモチーフ層65が配置されている。蛍光発光透明フィルム63、64は直接隣り合うように横方向に、つまり導光するように接続されて配置される。これら全ての要素は、スクラッチ防止層19が塗布される水平層を形成する。この水平層の下には、素地20上のマイクロレンズ69および暗色コントラスト層36を備えた透明層が配置される。
【0010】
図5は、第3の態様によるフィルム・エレメント10のさらなる実施態様の断面図を示す。図4とは異なり、モチーフ13はここで、フィルムの固有全反射を特異的に摂動させることで、昼光蛍光染料で着色され、モチーフ層65に水平に隣接する集光性および導光性透明フィルム12、14に導入される。この場合、ミラー層70は透明フィルム12、14の下に配置される。さらに、フィルムまたは層の複合材が、接着層17を用いて、素地20に貼り付けられる。
【0011】
特にセキュリティ要素、セキュリティ紙、有価文書、硬貨、チップなどの真贋を検出するための本発明のフィルム・エレメントの第1の態様は、請求項1において、昼光色蛍光塗料で着色された集光性および導光性透明フィルムを備えることを特徴とし、フィルムの固有全反射を特異的に摂動させることによって、周辺光において可視スペクトルで発光するモチーフをそのフィルム内に導入することを特徴とする。
【0012】
本発明のフィルム・エレメントの上記第1の態様に関連する以下の説明において、“透明フィルム”という用語は、フィルムの固有全反射を特異的に摂動させることによって、周辺光において可視スペクトルで発光するモチーフが施され、昼光色蛍光塗料で着色された集光性および導光性透明フィルムの代表語または同義語として用いられることに注意するべきである。本明細書では、“フィルム・エレメント”という用語と複数形の“フィルム・エレメント”は一貫して用いられる。最も単純な場合には、“フィルム・エレメント”は上記“透明フィルム”から構成される。しかし、一般的には、例示によって以下に説明されるように、“フィルム・エレメント”は複数の異なる材料層から構成される。
【0013】
従って、本発明は、視覚的に検証可能な効果を持ち、機器により検証可能なセキュリティまたは真贋のための発光特性を持つフィルム・エレメントであって、本発明における製品(部分的には材料も含む)の製作工程が最新技術に大部分で対応するフィルム・エレメントを提案する。追加的な効果としては、製作方法が新しい改良工程から構成されるので、本発明における製品を製作することにより古典的な(市場性のある)生産設備は経済的に有利となる。
【0014】
本発明によるフィルム・エレメントは、紙、ポリマーフィルム、または他の素地から作られる紙幣などの有価文書やセキュリティ文書、あるいはIDカード、パスポート、旅券シール、小切手用紙、書類、切手、航空券、またはその類似品であるラベル、シール、パッケージや製品保護のための他の要素などの偽造防止に特に好適である。本発明によれば、発光モチーフを備えたフィルムは、製品設計および包装産業においても、例えば本の装丁、ペン、CDジャケット、携帯電話のケーシング、おもちゃ、包装容器、使用説明書等のような装飾または情報提供のための要素としても使用することができる。
【0015】
本発明は、発光モチーフを備えるフィルム・エレメントの製作を提案する。使用される基材は、好ましくはポリカーボネートおよび/またはPMMAを基とする集光性および導光性着色フィルムである。フィルムには、入射光を長波長光に変換する蛍光塗料が含まれる。この光の大部分は、反射の法則(全反射)に従ってフィルム内で反射され、端部でのみ再び表面に現れる。発光効果は、可視スペクトルの光で現れ、また蛍光光源(UVライト/ブラックライト)によっても(増感された状態)でも現れる。この発光は、フィルムの直径に関連して減少するが、フィルムがとても薄くても保たれる。直径が小さいフィルムの場合、発光は、非常に明るい人工光またはUV光の下あるいは斜角に傾けた状態で見るともっとはっきりと感知できる。
【0016】
本発明のフィルム・エレメントを製作するために使用されるのは、例えば、ポリカーボネートまたはPMMAを基とする蛍光着色された集光性および導光性フィルムなどの、集光性および導光性があり、さらに発光性のあるフィルム材である。本発明によれば、フィルム・エレメントは多層複合材として設計でき、これは、ラベル(パッチ)または連続的な帯状フィルムの形状を取る自己支持型文書あるいは転写フィルム・エレメントとして素地(例えば、セキュリティ紙やポリマー)に貼り付けられる。この場合、フィルム・エレメントの外形は自由に選択することができる。さらなる実施態様は、有価文書/セキュリティ紙に埋め込まれている状態、あるいはウィンドウまたはラベルの表面に露出している状態のセキュリティ・スレッド/ストリップを構成する。
【0017】
画像モチーフは、熱的または機械的方法(あるいは両者の組み合わせ)を用いてフィルム・エレメントに導入される。これらの方法に含まれるのは、レーザー法(レーザーを用いてフィルム材を高精度で融解または発泡することに相当する)、エンボス加工法―特に、有価文書やセキュリティ文書(ここでは、グラビア印刷または凹板印刷を適切に指定している)に好適な鋼エンボス加工を用いる―、熱エンボス加工法、穿孔、ならびにフライス加工技術である。
【0018】
十分に明るいか、または機器によって読み取り可能である、蛍光および/または周辺光発光/昼光色発光を望むとおりに得るには、エンボス加工、グラビア、融解、または点状発泡によってフィルム体のアモルファス構造の明確な変化/変形を起こす必要がある。限定可能に誘導された摂動は、光を屈折させ、そして発光証印の構成を成すように本発明に従って設計される。本発明のフィルムは、好ましくは100μm以下の厚みを持つ。特に、紙幣として用いられる場合、約40μmのフィルム厚さが理想的である。フィルム厚さが小さいと、結果として、フィルム材の大部分に施される通常の(熱または冷)エンボス加工により発光(周辺光発光/蛍光)はあるが、照合のためには弱すぎる。従って、本発明では、エンボス加工は打刻という形で導入される。つまり、フィルムの厚み全体に及ぶか、フィルムの元々の容量を超える凹部または凸部という形で導入される。この場合、微細でありながら深い形状によって特に強い発光が得られる。点状および/または線状のエンボス加工による形状が好適である。
【0019】
本発明のさらなる実施態様において、モチーフは、レーザーを用いて、フィルム体に線状および/または点状のグリッドの形で導入されるのが好ましい。導入されたグリッド要素の誘発発光の強度は、レーザー刻印の深さおよび幅によって可変的に決められる。フィルム厚さが比較的小さいために、レーザーによって表面で誘発される摂動の強度が結果的に不十分となる。従って、レーザーの焦束は、好ましくは、フィルムの上側から下側までの範囲の容量の大部分にわたり、限定的な材料変形(点状精密融解/発泡)によって光を屈折させる発光摂動を生じさせる。とても微細な構造は、UV光の下で蛍光として読み出すか、斜角での発光が周辺光の中で可視となる。比較的粗い構造は昼光または周辺光において可視である。
【0020】
セキュリティ要素の本発明のさらに好適な実施態様は、一部の領域においてのみ半透明に金属化されており(真空でのアルミニウム蒸着)、金属化部分はレーザーで刻印されているフィルム要素である。露光され、浸透されたフィルムの証印は、レーザー光による脱金属表面を通して発光するが、これはフィルム体に取り入れられた摂動に因り、前述のとおり非金属化された集光表面領域によって供給される。
【0021】
適用された金属化に代わって、この実施態様では、不透明色層を備えることで同じ発光結果を得る。金属化または色層は、本発明に従って、別の透明(同じような発光性を持つ必要はない)フィルムに貼り付けることができ、これをさらに発光性フィルム材に貼り付ける。
【0022】
本発明の変異形は、フィルム・エレメントから構成されるが、このフィルム・エレメントは、非金属集光領域に囲まれた金属化領域から成り、この非金属集光領域はそこに金属化が施される前にレーザーで刻印されている。この場合、フィルム内の2つの集光表面のうちの1つを通して金属化領域の下に隠された発光モチーフに供給される強強度の昼色光または集光表面領域に点状に設定されたUV光源を用いて、発光証印を、半透明金属層を通して読み出すことができる。フィルム・エレメントと素地の複合物に当てるブラックライトとしてはUV光が好ましい。紙幣に使われるセキュリティ紙が素地として使用される場合、好ましくは、フィルム・エレメントの下にある領域には薄い繊維構造が構成される。これは、製作技術の観点から、透光のために十分なUV光を確保するために透かし技術を用いて達成することができる。
【0023】
二つの工程変異形を組み合わせによると、金属化の前に発光証印を刻印した半透明に完全に金属蒸着されたフィルムを得る。全表面に半透明金属蒸着を施した後にもレーザーで刻印する。ここで、レーザーは限定的に金属化域を取り除き、証印の形で配置されたフィルム体内に摂動を導入する。この証印は、UV光の下で、以前に刻印された隠された証印を補完して英数字および/または図形モチーフを形成する。
【0024】
自動読み出しには、例えば前述のとおり”鏡面仕上げの”ラベルに隠されたコード化された情報(例えばバーコード)を機器で読み出すことができる。
【0025】
偽造防止のためのさらなるセキュリティ要素として、半透明に金属化された領域にも、本発明に従って、例えばホログラムなどの回折構造を備えていてもよい。これにより、情報を与えられていない観察者に対してはホログラムのみが示される。
【0026】
発光モチーフは適宜英数字、シンボル、コード化された文字配列(1次元または2次元のバーコード)、または画像として形成される。
【0027】
モチーフは、本発明に従って、1つまたは複数の方法の組み合わせを用いて作製できる。
【0028】
本発明に従ってフィルムの上に作製されたモチーフは色発光によって特徴づけられている。この発光は昼光と一般的な人工光のどちらでも確実であり、またUV光でも確実であり、そして結果的に光の比例UV分率が固有の効果を増大する。モチーフはどのような形をしていてもよい。フィルム体の限定的、機械的または熱的な変形は、作製したモチーフの光度を変化させる。微細構造は弱く発光するが、粗構造は高い光度を持つ。これは線/点の幅によってグラビア印刷の印刷イメージを変化させることができるのと同様である。このようにすれば、銅または鋼グラビア印刷でみられるような点および/または線からなる発光ハーフトーンも作製できる。
【0029】
本発明の発光モチーフは、イメージ、シンボル、レタリング、および数字などの任意のパターンを構成することができ、複雑なグラフィックを構成することもできる。本発明によれば、複雑な方法と、技術的にも色的にも限定的にしか入手できないキャリア材料とによって、モチーフを許可なしに複製することはかなり難しい。
【0030】
偽造インプリント造印影が偶発的に作られることを実質的に排除する好適なコピー機は市場に出回っていない。コピー機の高露光状態は、対応するような強い発光をもたらすかあるいは、斜視角(またはUV光の下)でのみ見える微細なモチーフを複写物上で目立たせる。デザインによっては、例えば、個々の線またはピクセルの細かい間隔は露出過度となり、結果として複写物では輪郭が表現されない。後者の効果は、コピー防止に最適である。
【0031】
本発明のさらなる実施態様は、従って、紙幣に配置されたフィルム・エレメントであって、この紙幣には微細構造がエンボス加工されているか、またはレーザー処理されており、可視スペクトルの光の下(または昼光)では見えないが、カラーコピーされると目立つように現れる。
【0032】
さらに、個別の仕様(色、フィルム直径、フィルム複合材)によって、使用されるフィルム材の市場での入手しやすさを製造業者の側で適切に規制し、限定された顧客に制限すれば、コピー防止能力がさらに向上する。
【0033】
プラスチック加工業では、プレートやロッドを形成するために対応する顆粒を加工するが、フィルムを製造、特に十分な導光/光取り出しを確実にする薄いフィルムを製造するのは、非常に複雑であり、そのため必要な方法を不正利用することは困難である。
【0034】
従って(システムに起因して)、ここで説明される発光性フィルム・エレメントを複写することはかなり難しい。入手可能なフィルム材についても、個々のピクセル/モチーフ要素の光度がわずかでもずれるとその影響は大きい。例えば、人物画または動物の絵など(紙幣のスチールグラビア画のような)本発明に従って処理された認識可能なパターンは、複写するとユーザーによって認識可能なズレとして直ちに現れる。これは、程度は低いものの、他のパターンに対しても当てはまる。結果として、スキャナを用いた複写(偽造インプリント/シミュレーション)はかなり難しくなる。オリジナルの詳細と色を再生するのはほとんど無理である。従って、最新技術では、本発明に従って生成された発光モチーフの微小な改ざんと偽造(1:1コピーまたは再現)のどちらも排除できる。本発明においては証印の発光強度に対応する、入射光によるデータの連続的な動的変化は、偽造に対してかなりの防止力をなす(ホログラムの場合のように)。スキャナおよびデジタル印刷を用いたグラフィックの再現(偽造インプリント/シミュレーション)は、固定される二次元画像を再生するのがせいぜいで、フィルム・エレメントの動きによる発光の動的な変化がないために、異なる光の入射角において、直ぐに目に付く。
【0035】
本発明における発光性フィルム・エレメントの特徴は、自己支持型有価文書およびセキュリティ文書に同じように好適であり、また、紙やポリマーフィルムなどの素地を基にする文書の保護にも好適である。
【0036】
偽造または模造防止のために、紙幣などの有価文書、ならびにクレジットカード、小切手、トークン、切手、タックスラベル(たばこ、アルコールなど)、宝くじ券、カジノトークン、または証明書などの金銭的価値のある書類は、本発明の発光性フィルム・エレメントを備えるか、または本技術に基づいて完全に(自己支持するように)製造することができる。
【0037】
厳しい保護要件を備えるセキュリティ文書は、本発明に従って、発光性フィルム・エレメントを備えることができる。場合によっては、このようなフィルム・エレメントに完全に基づいて加工される。これらには、識別システム(身分証明書、パスポート、運転免許証)、ならびに商標保護シール、ラベル(例えば医薬品)、セキュリティに影響を受ける機器や容器のためのシール(いわゆる不正開封防止シール)などのセキュリティ文書、ならびに警告ラベルや標識が含まれる。書類や正式なシールにも適応可能である。
【0038】
真贋を検出するには3つのテストレベルがある。
【0039】
1.発光情報の可読性は、従来どおりに印刷された情報のための光の条件においてもかなり保証される。これは、追加的な補助具を使用することなく、(できれば約45°の視角に傾けることによって)一般に簡単に達成できる有価文書およびセキュリティ文書の検査/照合のための必要条件を満たす。これは、いわゆる”第1のテストレベル”の必要条件を満たす。
【0040】
2.対して、本発明によれば、特定の細かさ(または、薄色で弱発光の、例えば青色のフィルムに入れられる)のモチーフのある刻印は、蛍光光源またはとても明るい人工光を用いたときにのみ識別可能である。このような情報の変化により、本発明の発光性フィルム・エレメントの模造または偽造がさらに難しくなる。色によっては、UV光の下(蛍光)でのみ構造を検出できるフィルム・エレメントを作製することが可能である。ここで述べているのは”第2のテストレベル”である。つまり、読み出しのために比較的容易に入手可能な補助具を使用する。
【0041】
3.本発明の発光性フィルム・エレメントは、(従来技術により広く使用されている)赤外線反射性または赤外線吸収性顔料(例えば、印刷されたもの)を備える素地に限定的に適用できる。これに含まれる情報は、IRセンサーを用いたときにのみ読み出すことができる。このような提供(印刷)は、磁性顔料でも可能であり、これに含まれる情報は対応する磁界センサーで読み出すことができる。この2つの方法の任意の組み合わせも可能であり、模造/偽造に対するセキュリティの要求条件をさらに広く満たす。副次的な影響としては、素地または暗色顔料を含むキャリア・フィルムの提供/印刷は、昼光/人工光の状態において発光のコントラストを増加させる。代わりに、暗号コード化された発光証印(例えば2次元バーコード)のアルゴリズムに基づいてフィルム・エレメントに刻印することもできる。保護された特性をテスト/読み出しするための、一般に使用可能ではない複雑な機器による必要な補助を受けることを、”第3のテストレベル”という。
【0042】
異なる線幅でピクセル/線のグリッドを作製し、明暗効果(幅広の線は明るい点/線となる)を得ることによってハーフトーンでモチーフが作製される。本発明によれば、従来のハーフトーン再現とは違い、モチーフの明るい部分はピクセルによって像をなす。このようなハーフトーン・モチーフは、グリッドとして工業的に生産するか、グラビアとしてデザインすることができる。しかしながら、システムに備わる新規性として、グラビアは、発光効果のある画像の明るい分を線/点で表現することによってデザインされる。
【0043】
同じ平面において、微細構造のパターンは粗パターンに重ねることができ、また、お互いの組み合わせによって補完することもできる。粗パターンははっきりと強いコントラストで発光するが、微細パターンは表面を傾斜させる(例えば、45°の視角での傾斜効果)かUVライトを使った場合にのみ見える(テストレベル1と2)。
【0044】
昼光蛍光染料で着色された集光性および導光性フィルムに彫刻/エンボス加工されたマイクロプリズムを用いて作られた回折構造は、本発明に従って作られたモノクロ発光ホログラムに相当する。構造が細かいため、UV光を使った読み出しが好ましい。モノクロ蛍光ホログラムは本発明に従って作られる。
【0045】
本発明のフィルム・エレメントを傾けることによって映画的効果を生む、限定的な交互線幅を持つピクセルからなるグリッドによって発光モチーフが動く錯視が起こる。このような効果は、グリッドの状態によっては、昼光や人工光やUV光においても見える。文書を動かす/傾けることにより、観察したときに、動き/画像シーケンスの錯視が起こる。グリッド点のデザインの組み合わせも、UV光を加えることによってこのような効果を与える。この場合、昼光/人工光にて発光する”固定された”モチーフは、UV光の下で徐々に傾けた場合にのみ動きの錯視を起こす。
【0046】
さらなる例として、2つ(またはそれ以上)のフィルムを重ねることもできる。つまり、フィルム合成の一種が構成される。上部フィルム(青色)を通して下部フィルム(赤色)の証印が発光するが、追加的な証印が青色でつけられ(青赤のパターンを作るために組み合わされる)、この組み合わせでのみUV光で見えるようになっている(テストレベル1と2)。加工技術に関しては、調整されたフィルムのどちらもレーザーを用いて同時に刻印できる。フィルムは、見当を合わせた状態で、重ねられる。つまり、定義された厚さのスペーサーとしてのガラス板で互いに分離されている。XYZ軸で制御されるレーザープロッターが両フィルムに同時に書き込む(下部と上部を交互に)が、相互補完的な構造が、非常に複雑な構造の作製を可能にする。その後、フィルムは、見当を合わせて、ラミネートされる。このことに基づくと、現代の再生技術の結果として、古典的な保護および有価印刷から事実上離れることによって、繊細なギロシェ・パターンが新たな高性能を得る。本発明によれば、線は、また、任意のグラフィック形(abc123+*-_・.=°など)に個別に関連付けられる発光する微細構造のピクセルから構成することもできる。追加的な保護機能としては、これらの形成されたピクセルは、周波数変調され、線をなすように様々な順番に配置される。
【0047】
ギロシェは、UV光の下で相互補完するように任意に作ることもできる。粗パターンは可視スペクトルの光(または昼光)で発光性ベースを形成するが、微細パターンはUV光の下で蛍光を発し、粗パターンを補完する。前述のとおり、これはいくつかの面において多色で起こり得るが、単色で1つの面でも起こる。
【0048】
従って、好ましくは、1つずつ重なっているか、あるいは隣り合っていて、昼光蛍光染料で着色された複数の集光性または導光性の透明フィルムが本発明のフィルム・エレメントに備えられており、個々の透明フィルムの固有全反射を特異的に摂動させることで、周辺光の可視スペクトルで発光するモチーフが施される。同時に、可視スペクトルにおいて少なくとも部分的に透明である中間層をフィルム・エレメントに配置することができる。特に、重ねられた2つの透明フィルムの間に配置することができる。透明フィルムがフィルム・エレメント内で水平に隣り合って配置されている場合には、隣り合った透明フィルム間が導光接続されるように、透明フィルムを離すこともできるし、直接隣接するようにしてもよい。透明フィルムには、好ましくは、異なる色、特に、青色、緑色、および赤色を付ける。透明フィルムは、好ましくは、可視スペクトルにおいて反射性または半透明の素地に配置する。特に好ましくは、フィルム・エレメントは回折構造と回折レンズ、特にマイクロレンズを持つ少なくとも1層を含む。
【0049】
本発明によれば、UV光の下でのみ出現する微細モチーフ(パターン、刻印、グリッド)あるいは斜角またはフィルムを傾けたときにのみ出現する赤色の微細モチーフを備える(例えば青色)フィルムで証明写真(および任意のテキストボックス)をシールすることによって保護することができ、その真贋を保証することができる。
【0050】
通常の周辺光において可視である微細なグリッドまたは螺旋がレーザーを用いて(赤色)フィルムに入れられたフィルム・エレメントは単純で効果的なシールとして機能し、さらに偽造防止にも役に立つ。同様に、本発明によれば、赤色/青色発光性フィルム・ラミネートは組み合わされ、任意の証印/パターンを備えることができる。
【0051】
さらなる変異形では、例えば、身元証明書類をパーソナライズするときに、レーザーを用いて(青色)シールフィルムに構造を導入することができる。このとき、ラスタ・データに変換すること(さらに周波数変調を行うこと)によって強調される、人物写真の明るい部分を考慮し、人物写真を図式的に(発光または蛍光によって)表す。このパターンに加えて、アルゴリズム設計の情報も提供することで、暗号化情報(市場で一般的に見られる2Dバーコードなど)(例えば、示される人物の名前やサイン)の読み出しを機器によって確実に行える。加工技術の観点から、写真はスキャンされ、適切なソフトウェアで処理され、コンピュータによって所望のグリッドパターンに変換されるが、このグリッドパターンは、レーザーを用いて画像に重ねられたフィルム・エレメントに入れられる(テストレベル1、2、3)。
【0052】
暗色のピクセル(グレースケール)を用いてパターン(絵/テキスト/数字)をキャリアに入れる従来のレーザー彫刻法と同様に、例えば発光性の青色フィルムおよび/または発光性の赤色と緑色フィルムのフィルム複合材からなる本発明のフィルム・エレメントで相互補完構造またはハーフトーンの絵を作ることができる。
【0053】
従来どおりに作られた証明写真に加えて、レーザーで作られた指紋の発光画像を身分証明書に入れることができる。この画像は、高精度により、自動化できるようになっている。つまり、機器によって読み取り可能である。必要に応じて、このバイオメトリック画像は原寸大または縮小して表示できる。縮小画像もまた、デジタル印刷された証明写真にいわゆる改ざん防止シールとしてラミネートできる。理想的には、証明写真は、多層フィルム複合材へのレーザー彫刻によってハーフトーンで入れられるが、例えば青色、赤色および緑色のピクセルで構成され、可変焦点レーザーを用いて異なるフィルム層に限定的な発光または蛍光ピクセルを入れることができる。(任意の赤色または青色の発光または蛍光の)暗号化2Dバーコードをこの画像情報に関連付けることができる。
【0054】
レーザー穿孔(あるいはマイクロ穿孔)もまたレーザー彫刻と同じように用いることができる。この目的のために、レーザーは、好ましくは、円形穿孔の”初期融解”を確実にするように焦点調節され、結果的に、光が集中的に取り出される。保護されるべき証明写真は、例えば、微細な穿孔によって刻印される。発光性の赤色フィルムを使うと、穿孔による個々の孔の端は周辺光において可視である(発光点)。光の中で観察したとき、英数字として配置された穿孔は、好ましくは、さらなるデータ記憶媒体を形成する。
【0055】
”一次元”や暗号化設計の2Dバーコード(2次元バーコード)などの構造は、レーザーを用いてフィルム・エレメントに入れるのに特に好適である。
【0056】
非常に高い解像度により、要求される素地の表面積が減り(これは、例えば、フィルム・エレメントを身分証明書またはラベルに使用するときに重要である)、同時に、セキュリティ面の向上も考慮に入れられている。達成可能な精度(および安定した発光)の観点から、バーコードの2つの変異形は、通常の周辺光およびUV光(蛍光)の両方または後者のみにおいて可視であるように設計されており、信頼度の高い機器可読性の結果、自動化に好適である。自動化された読み出しは、規定された発光強度に応じて可視光および/またはUV光で行われる。
【0057】
本発明のフィルム・エレメントの露出した表面は、好ましくは、薄い透明コーティング(既に工業的にCDに使用されているスクラッチ防止ポリカーボネートシーリング)でシールされ、表面を損傷から守る。さもなければ、システムによっては、スクラッチによって生じる摂動により好ましくない光取り出し効果をもたらされることがある。
【0058】
本発明の発光性フィルム・エレメントは、スクラッチ防止シーリングを施す前か、単色発光の回折構造を備える前に、蒸着によって(部分的に)金属化することもできる。
【0059】
例えば紙幣などの有価文書には帯状またはラベル状(つまりパッチ状)のフィルム・エレメントを備えることができる。このような帯は、ラベル状のラミネート(つまりパッチ)と同様に、印刷サイクルの前に、見当を合わせて、セキュリティ紙のロール/シートに貼り付けられる。本発明の発光性フィルム・ラベルを、例えば一般的なラベル状ホログラムでは、現在でもそうであると思われる後付け適用することも可能である。
【0060】
適用されるフィルム・エレメントは、本発明に従って、先に塗布されたプライマの上に見当を合わせて配置される。プライマには、発光のコントラストを増加し、同時にフィルム・エレメントの下地の暗色コーティングとして機能する暗色顔料を含む。同様に、前述のとおり、IRによって可読である、および/または磁気を帯びている、外見が平たく暗いプリントモチーフを素地のグラフィックデザインに使用することができる。本発明の発光性フィルム・エレメントは、有価文書(例えば紙幣)に既知の方法であらかじめ打刻されているウィンドウに重なるように覆い、検査によってテストすることができる。このような場合、フィルムまたは2枚のフィルムのラミネートをフィルム・エレメントとして使用するが、フィルムはレーザーによる発光刻印があるものとないものがあり、露出した表面にはスクラッチ層シールが備えられている。ひとつの実施態様は、両面がシールされた刻印のないフィルム・エレメントからなるフィルム・エレメントを構成するが、このフィルム・エレメントは素地とともに鋼エンボス印刷サイクルにかけられ、結果としてフィルム・エレメントはエンボス加工される。さらなる変異形は、証印発行証印を持つフィルム・エレメントを提供するが、その発光証印は、テストされる文書を折り曲げ、照合ウィンドウを通して、同様の発光証印のある印刷要素またはラベル状のフィルム・エレメントを備える素地のある領域を見たときに、その印刷および/または同様の発光印象を補完する。
【0061】
偽造防止の強化を考慮するために、さらなる変異形では、(キャリア・フィルム上の)本発明の発光性フィルム複合材は、色が交互に配置されている。帯状のこのような組み合わせ(例えば、赤/黄/オレンジ/青の設計)は、任意で構造が導入されている場合とされていない場合があり、個々の印刷工程の前後および最中に要望どおりに文書(例えば紙幣)に適用され、穿孔によって連続的にナンバリングされる。鋭角の凸版印刷活字を持つナンバーホイールを備えるナンバリング・マシンを用いて、ナンバリング運転中にも発光証印を提供することができる。活字は、インクを使用せずに発光レリーフ・エンボス加工を、この目的のために提供されたフィルム・エレメントに導入することができる。このために、素地のナンバリング領域には、対応するフィルム・エレメントが備えられている。
【0062】
代わりに、本発明のフィルム・エレメントは、ウィンドウ・セキュリティ・スレッドとして(既知の製作工程に従って)構成することができる。この場合、発光証印は(例えば2〜6mm幅の)バンド状のフィルム帯に配置されるが、部分的にセキュリティ紙の表面にスレッドが再出現するように紙製造中にペーパーウェブに(連続的に)導入される。対応する本発明のバンド状フィルム・エレメントには、周辺光において際立って発光および/または蛍光発光する証印がレーザーによって導入される。スレッド/帯の幅によっては、線形またはラスタ・データに変換されたモチーフを使用することができる。ここでは、互いを補完するように、レーザー処理の発光証印/モチーフおよび既知の金属化/脱金属化法の組み合わせを用いることができる。さらなる変異形では、ペーパー・ウェブ(ウィンドウ・スレッド)に導入される前に発光性の刻印を施されない帯が備えられ、鋼エンボス加工サイクルを通るときにセキュリティ紙の一部として見当の合った発光エンボス加工を施される。この場合、紙で覆われたフィルム・エレメントの領域は、本発明に従って彫刻され、セキュリティ紙の両側から可視光の強力な光源またはさらに強力なUV光を当てられたときに紙で覆われた脱金属化領域を通して発光する。経験の浅いユーザーにとっても、本発明のセキュリティ・スレッドの真贋を検出するのは、現在市場で入手可能なウィンドウ・スレッドよりも容易である。
【0063】
特に紙幣と有価印刷の場合、関連するグラビア印刷/鋼エンボス加工法の改善は、現在一般化している(古典的な)セキュリティ技術の改良にあたる。現在のグラビア印刷物(例えば紙幣)の低触感は短時間の流通で完全に機能しなくなり、この方法におけるセキュリティ技術の効果がなくなる。以前から、スキャナや単純なデジタル・プリンターを用いたグラビア印刷物の偽造インプリントが盛んである。
【0064】
これとは対照的に、本発明による高可塑性フィルム彫刻および高発光モチーフにより、本発明のフィルムを適用するグラビア印刷物はさらに安定して触覚的に印象的な触感を持つ。この方法の改良は国際的に大きな経済的重要性を持つ。世界中にある(ほとんどが国有の)約90の紙幣印刷所は、高価な機器を所有するが、機器によってはそのセキュリティ能力が急速に廃れている。ここで述べられるフィルム技術を適用することで、これらの機器の価値が保たれ、場合によっては価値が上がる。この改良は重要な経済的要因を構成する。消費者と国家予算は、物理的な抵抗力の向上によりセキュリティの強化と節約という恩恵を受ける。これは、毎年、世界中で900億の紙幣が製造されるということを念頭において考えるべきである。
【0065】
パターンとしてフィルムに導入される構造の光度により、情報がさらに簡単に明確に読み出せるようになり、消費者は利益を享受する。消費者の関心が高まるにつれ、古典的な画像情報(偽造/模造防止対策や、例えば価値など、その文書に関連する記述)の伝達はさらに入念になり、さらに広範囲に及ぶようになってきた。
【0066】
製品の用途をいくつか以下に述べる。
【0067】
レーザー処理または(レリーフ・エンボス加工された)フィルムに基づき、前述のとおりにグラビア印刷を用いて作られた本発明のフィルム・ラベル(パッチ)を適用することはとても経済的である。なぜならば、紙幣製造においてグラビア印刷サイクルが省かれる(紙幣印刷においてグラビア印刷を行わずに紙幣を保護するために、その表と裏にパッチを適用する)結果、大幅なコストダウンが達成されるからである。
【0068】
ある適用変異形では、刻印のない(ブランクの)フィルム・エレメントは素地(紙幣の表面)にラベル(パッチ)状に適用され、グラビア印刷サイクルを用いてレリーフ・エンボス加工が施される。このエンボス加工によって、触感発光証印が作られる。微細なエンボス加工の大部分は、点検時に明確に隠されているが、紙幣を傾けると45°の視角で鮮明な画像(証印)が明るく発光する。照合のために、例えば、従来のグラビア印刷技術の関連する主肖像画を発光性の潜像または証印で再生することができる。潜伏傾斜効果は、本発明による光読み出しの発光効果に起因し、フィルムのエンボス加工面と反対の側面に強力な影響があるが、傾斜(例えば45°)では同じように起こる。
【0069】
本発明による紙幣は、刻印されていない(ブランクの)追加的または代替的フィルム・パッチをその裏側に備えることができる。この場合にも、印刷シートの表面に施されるグラビア印刷の1サイクルを用いて、裏側のレリーフ・エンボス加工領域にパッチが彫刻される。
【0070】
上述の原理に基づき、裏側のパッチは、点検(90°または45°)の際に検出可能な明るい発光グラビアを備える。フィルム厚さ、フィルムの色、エンボス加工の選択によって、発光性、あるいは単に蛍光性となる。
【0071】
特に、グラビア印刷の1サイクルを用いて、表側の多色印刷の複合グラビア・デザインに加えて裏側に十分に活用され追加的に発光するグラビアのある紙幣を製造することによって、関連産業にかなりの恩恵を与えるグラビア印刷法の技術的経済的改良について述べることが可能になる。
【0072】
本発明の発光グラビア印刷物の製作中に従来技術による古典的な銅版彫刻機/彫刻機を用いて軟化鋼のハンド・グラビアまたはグラビア様式の描画が作られる。しかしながら、グラビアは、好ましくは、有価および保護印刷業においてすでに確立されているコンピュータ処理によるラスタライゼーションを用いて作られる。描画またはラスタ・データは、好ましくは、プラスチック板または直接グラビア印刷版にレーザーで彫刻され、さらなる変異形においては、CNCフライス盤で鋼素地に彫られる。その後、市場で一般的な鋼エンボス加工印刷版にさらに電型プラスチック加工が施される。レーザー光またはフライス盤は、XY軸に加えて、深度を考慮したZ軸にも沿って動く。Z軸は、鋼エンボス加工印刷版のグラビア深さ、および印刷されるセキュリティ紙に施すエンボス加工の形状の(印刷における)秀逸性と触感を決定するが、セキュリティ紙はエンボス加工されたモチーフの発光強度に影響を与える本発明のフィルム・エレメントを備える。グラビアが深いほど、個々のエンボス加工された画像要素はその後明るく発光する。深さは本発明のフィルム・エレメントの変形の程度を決定する。フィルム表面はグラビア印刷版のグラビア外形における急角度側面の鋭角で支えられ、その特異的な粉砕は、発光ピクセルの明確な(測定可能な)光度をもたらす。
【0073】
代わりに、グラビアは、通常、鋼でなされるようにエッチングすることができ、素地は通常の加工技術を用いて電型プラスチックで複製でき、グラビア印刷版を形成するために加工できる。しかしながら、この場合、得られるグラビア側面は鈍角で、その後、発光強度に対して影響が少ない。
【0074】
しかし、従来のグラビアとは異なり、変調は、(線/点で形成される)ハーフトーン画像の暗色要素に付随せず、明色要素に付随する。明色画像領域は、グラビアの発光構造として本発明のフィルム・エレメント上に現れる。そのため、銅版彫刻師は明色部分を衰えのない技術で取り出す。コンピュータ処理のラスタライゼーションが生成され、好ましくは、彫刻される点/線の配置としてモチーフの明色部分を表す。
【0075】
昨今、誰にでも、市場で入手可能なスキャナやプリンタを使って凹版印刷による肖像画の偽造インプリントを安価に作ることができるが、レリーフ・エンボス加工の発光構造を複写する場合にはこれに匹敵するような技術は存在しない。このようにして、グラビア印刷技術が本来持つ驚くべきセキュリティの重要性が再び取り戻される。
【0076】
一般的な工業工程を用いて発光モチーフを作製するには、本発明のフィルム・エレメントを、紙幣のあらかじめ定義した領域に適用するが、エレメントには、好ましくは、続く彫刻を補完するためにレーザー処理による発光モチーフが導入される。フィルム・エレメントのこの領域には、グラビア印刷サイクル中にレリーフ・エンボス加工が施される。素地(セキュリティ紙)は本発明のフィルム・エレメントと併せて、システムによって決定される高圧で彫刻される。好ましくは急角度に設計された側面を持つグラビアの鋭い刻み目は、材料をひどく変形させ、あらかじめ定義されたパターンに沿ってフィルム表面を部分的に破壊する。フィルム直径全体において結果として生じる摂動は、光読み出しが増強された結果として板グラビアの外形におけるエンボス加工形状を発光させる。印刷版製造において、グラビア幅と深さをあらかじめ定義されたように精度よく合わせることで、所望の繊細および/または強力で印象強い発光構造を作る。加えて、フィルム・エレメントの触覚的に妥当な触感可塑性変形が起こる。
【0077】
グラビア印刷に適用するための本発明のフィルム・エレメントの好適な構造は、粘着キャリア層、1層以上の集光性フィルム(例えば、赤/青/緑)、およびスクラッチ防止保護層から構成される。セキュリティ紙素地は、好ましくは、適用される表面領域にすき入れによる低繊維構造を持つが、これは比較的厚いフィルム・エレメントを使用するときおよび透過光を読み出すときに効果的である。
【0078】
工程の個々のステップが複雑で高い難易度を持つこと、ならびに基材と生産用具が限定的にしか入手できないことにより、技術は複製できない。本発明の発光グラビアの全体的な視覚的印象の変化は印刷グラビアよりもさらに強く現れる。本発明の主題は偽造に対する高い防止力を提供するが、これは、例えば、包装および広告業界において回折構造を持つ製品が広く使われるようになった結果、現在はまねたり効果的に複写したりすることができるようになった一般的なホログラムを適用するよりも高い防止力を持つ。
【0079】
さらに、セキュリティ紙ロールに適用されるフィルム材の連続的な帯(約1〜1.5cm幅)は実現可能であるが、このとき、帯は、紙幣のグラビア印刷レリーフ・エンボス加工のために使用される予定か、既に作製されている場合にはモチーフがある状態またはない状態で提供できる。本発明によれば、フィルムのレーザー刻印または/および使用はさらなる加工であるグラビア印刷の彫刻の後に可能である。
【0080】
観察ウィンドウ・ラベルの変異形は少なくとも3つある。
【0081】
変異形1:素地に刻印された(または紙製造過程で繊維構造よりも凹ませた)ウィンドウは透明ラベルで裏打ちされ(重なり)、ラベルは発光するように先に刻印するか、グラビア印刷を用いてレリーフ彫刻することができる。どちらも、点検または斜角で観察したときに視覚的効果をもたらす。
【0082】
変異形2:紙(またはポリマー)に刻印されたウィンドウは本発明の透明フィルム・ラベルで裏打ちされ(重なり)、ラベルは、印刷モチーフを、例えば補完することで、対応する発光モチーフを備える。この目的に好適なのは、認識しやすい妥当なパターンを形成するために、発光ピクセルを補完する明色ピクセルを含む、暗色で印刷されたモチーフである。代わりに、ウィンドウの裏打ちは、例えば、青色モチーフを備えるが、反対側に適用された赤色フィルム上にある赤色発光ラベル・ラミネートで補完される(後者のモチーフは、レーザーで先に刻印されるか、あるいはグラビア印刷でエンボス加工されるように構成される)。流通されている紙幣では、紙幣を曲げる/折ることでウィンドウを通して反対側の照合モチーフを観察し、読み出すことができる。
【0083】
変異形3:ウィンドウを裏打ちするフィルム・ラベルは、部分的に金属化または限定的に脱金属化されるように設計されるか、あるいは回折構造を備えることができる。反対側の対応するラミネートは、検査のときに脱金属化領域を通して追加的な発光情報を明らかにする(1枚1枚重ねられた)発光モチーフを備えることができる。この場合、発光がフィルム表面に集められた光の屈折に基づき、入射光がフィルム(端)の十分な領域に届くように注意しなければならない。
【0084】
本発明の発光フィルム・エレメントは、自己支持型ポリマー紙幣の一部としても使用できる。将来的に妥当な紙幣の構想は以下のようなものである。小切手カードのおおよそ1.5倍の大きさの理知的に組み合わされたフィルム複合材は、金属化領域と、回折構造を持つ限定的に脱金属化された領域を備え、オフセット印刷(線形凸版印刷)され、本発明の発光および可変光モチーフの変異形を複数備え、エンボス加工印刷サイクル中にグラビア技術で生成されるかあるいは先に部分的にレーザーで生成される。
【0085】
本発明のフィルム材へのスクラッチは、(CDなどに使用される)一般的なコーティングを使用して防止でき、折り曲げることで光を屈折させる角が作られる。そのため、典型的な折り曲げ箇所(おそらく紙幣の真ん中部分)にはフィルムを使用することができない。折り曲げによって回折効果が損なわれると、ホログラムも同様に損傷する。
【0086】
さらなる好適な実施態様として、昼光蛍光着色弾性プラスチックを基とするフィルム・エレメントは滑らかで好ましくは透明な素地をコーティングし、急角度の下向きの側面または鋭い刻み目を持つレリーフまたはグラビアを用いて要望どおりに刻印(キスカット法)または彫刻される。この場合、鋭い刻み目のせいで、弾性透明フィルムは、好ましくはフィルム体を貫通するが素地は貫通しない小亀裂や切れ目の形に変形する。亀裂や切れ目のパターンは結果として、モチーフの配置に似た明確な発光モチーフを形成する。プラスチックの弾性により、切れ目の端は作用を受けると初期位置に戻り、大部分が滑らかな閉じた表面を残す。好適な方法は、平らおよび/または回転式に設計されたブレードを使った刻印(キスカット法)ならびにインキを使用しないグラビア印刷(鋼印刷)である。
【0087】
本発明のフィルム・エレメントの第1の態様におけるさらなる変異形では、発光モチーフが作製され、レーザー彫刻を用いて小切手カード形のラミネートも作製される。高変調ハーフトーン・モチーフは、1つ以上の透明フィルム内での全反射が限定的に遮断されることに基づいて施され、材料特性および波長によって計算構造が設計されるピクセルの形でもたらされる。波長に関連して計算されるモチーフ構造の形状を用いて、屈折光の射出角およびその強度の両方が求められる。個々のピクセルの設計について計算できる範囲は、”グレー・スケール”に対応する効果ももたらす。個々のピクセルの屈折光の強度は、”拡散レンズ”(拡散器)から”ミラー”までの漸次的に設計された種々の作用をその明確な外形が
持つように構造を作ることによって制御できる。
【0088】
さらなる変異形では、フィルム構造は、キャリア・フィルム(または素地)をコーティングする。このキャリア・フィルムは、(下層から上層へ)赤、緑、青の層が重ねられた昼光蛍光着色透明フィルムを備え、各層は異なる屈折率を持つ透明中間層によって分離される。XYマトリックスならびに深さを定義する3つのZ軸(Z1=青色フィルム/Z2=緑色フィルム/Z3=赤色フィルム)を用いることによって、多色モチーフがデジタル処理で導入され、レーザーでそれぞれの透明フィルムの表面下の部分に彫刻が施される。この実施態様では、赤、緑、青の昼光蛍光発光ピクセルは、隣り合って見えるように限定的に3次元的に適用することができ、追加色である黄、マゼンタ、シアン、白は、同一のXY軸と重ね合わされたZ軸を用いて、見当を合わせて作られる。白は、このように同一のXY位置で、赤色、緑色、青色それぞれのフィルムにおいて上下に配置されるZ3/Z2/Z1軸の3つのレーザー彫刻表面下構造によって作られる。黄もZ3/Z2軸において同様に作られる。画像の変調を決定するのは、赤、緑、青、黄、マゼンタ、シアン、白、それぞれの色のピクセルを適用すること、ピクセルの定義される寸法、互いの相対的な密度、ならびに、追加的には、個々の発光強度を制御する各点の計算された形状である。この可制御性により、変化する濃淡は、レーザー生成構造の、原色である赤と緑の昼光蛍光着色フィルムの光度の定義される強度に従って、重ね合わされたZ軸を用いて作られる追加色(例えば黄)に関連付けることができる。各発光点のコントラスト作用を高めるには、フィルムを備えるフィルム構造は、暗色印刷/着色素地/キャリア・フィルムを任意にコーティングすることができる。この素地は屈折光をさらに有効利用するための反射特性を持ち、好ましくは化学蒸着(CVD)を用いて塗布される、例えば、暗色金属層である。金属層は、好ましくは、透明で、簡単に裂けるような弱点が形成されない多層ラミネートとなるように調整される。その明るさは明るい背景の反射作用に源を発しているにもかかわらず非常に明るい発光点が明るい背景にあってもほとんど影響を与えないが、同様の反射関係は暗色金属反射体、または暗い玉虫色の表面を用いて得ることができる。半透明CVDの適用は検査での確認を可能にし、偽造に対するハードルを上げている。これは、市場で入手可能な手段で本発明の効果の偽造インプリントが取り除かれるが、発光モチーフを備えるフィルム・エレメントは、検査されるときには、単色透明フィルムに見えるからである。
【0089】
3次元マトリックス(赤+緑+青の構造)内の各発光点のコントラスト作用は、中間層としてラミネートされるレーザー暗化フィルムを用いて増加される。レーザー暗化フィルムは独自のZ軸を割り当てられ、XY軸を用いて制御されるレーザーによって限定的に暗くされる(これは2回目のサイクルでも可能である)。この場合、理想的には、これの周りの単一黒色リングが着色発光ピクセルに割り当てられ、コントラストが最適化される。発光点の視覚効果は、周囲とのそれぞれのコントラスト比によって主に決定されるが、非常に明るい発光点は表面下が白いとほとんど見えず、比較的弱い発光点は表面下が暗いと比較的目立つ。
【0090】
保護および/または中間フィルムがその上または下にラミネートされ、好ましくは弾性昼光蛍光着色プラスチックを基とする透明フィルムを備えるフィルム・エレメントは、滑らかな素地にラミネートされ、急角度の側面と鋭い刻み目を持つグラビアを用いてこれと一緒に彫刻される、あるいは縁の鋭い形状によって刻印(キスカット)されるか、所望の彫刻が施される。好適な方法は、平らおよび/または回転式に設計されたブレードを用いた刻印(キスカット)であり、さらにいえば、例えばレリーフ・エンボス加工などの、インクなしのグラビア印刷(鋼印刷)である。この場合、鋭い刻み目により弾性透明フィルムは小亀裂や切れ目の形に変形するが、これらは、好ましくはフィルム部分を貫通するが素地は貫通しない。亀裂や切れ目のパターンは結果として、モチーフの配置に似た明確な発光モチーフを形成する。プラスチックの弾性により、切れ目の端は、作用を受けると初期位置に戻り、大部分が滑らかな閉じた表面を残す。一方、プラスチック・ポリマーは、定義可能な触覚に割り当てられる耐久性発光形状を得る。
【0091】
フィルム・エレメントのさらなる実施態様によれば、原色の追加的作用を利用するには、刻印ブレードはZ軸において異なる高さの面を3つまで備える。このような装置を使用して、キスカット形式での刻印は単一の放電透明フィルムの昼光蛍光発光を引き起こすだけでなく、2つまでのさらなる透明フィルムでも引き起こすが、これらのフィルムは好ましくは対応する追加の2面において1つ目のフィルムから分離され、無色透明な中間層がそれぞれを隔てる。この実施態様では、(下から上への)色の順番は必然的に赤/緑/青である。例えば、鋭く尖った円錐または角錐形の刻印ピンを3つ高さで用いてフィルム・エレメントに裏から刻印すると、面を上下に重ねられた着色フィルムの部分に摂動が発生し、隣り合い上下に重なり合った任意に並べられたXY軸上の発光ピクセルをもたらし、そのため、多色モチーフを作るのに好適である。隣接して配置される発光点はそれぞれ使用されるフィルムの3つの色(原色)に割り当てられるが、Z軸上に上下に配置される発光点は、赤、緑、青、黄、白の発光ピクセルに追加して作られる。
【0092】
プラスチック設計の透明フィルムは、表面または容量の変形により、発光点として現れる摂動に敏感である。そのため、フィルム・エレメント内のこれを素地にラミネートすること、あるいは、材料および/または接着剤に合っていて対応する弾性特性を持つ保護フィルムとして、上部に保護層、下部に蒸着層が提供されていない状態でこれを自己支持型セキュリティ要素/文書として使用することは得策ではない。上部および/または下部に配置された保護層または中間層は、同じ屈折率を持つ透明フィルムによって供給される昼光蛍光を吸収し、これを、発光モチーフとしてフィルム複合材内で限定的に作られる全反射の摂動を用いてフィルム・エレメントの外部および/または内部に形成される材料変化(特に亀裂および/または歪み)のところで屈折させる。
【0093】
好適な実施態様において、層構造は、下から上へ垂直に、接着層、コントラスト層、回折構造を持つ層、昼光蛍光染料着色の集光性および導光性の透明フィルム、透明保護層から構成される。フィルム・エレメントの層構造に透明フィルムを一体化すると、外側への環境の影響からかなり保護されるし、改ざんや偽造を試みて偽造複製物に機能的に導入することを目的として分離して取り除くことができなくなる。
【0094】
フィルム・エレメントのさらなる実施態様は、フィルム構造に板状の透明フィルムを導入するが、好ましくはコントラスト層として設計された1層の上にさらに回折構造を組み込んだフィルムをラミネートし、この上に透明フィルム材からなる小板を配置し、さらにこの上に広範囲に無色透明の保護層を配置する。構造は、一般的な技術と測定器を用いて見当を合わせてあり、ほとんど留められていない小板が滑らないようにする。ここで、保護フィルムは、超音波技術を用いて、上から、例えばその下に配置される回折構造を持つフィルムにスポット溶接されるが、このとき、この目的のために提供され、対応する隆起パターンを備えるエンボス加工シートが使用される。この場合、埋め込まれた透明フィルム小板を囲む領域にある溶接スポットはその下にあるフィルムと均質な材料ユニットを形成する。小板の端部において、溶接線は任意に関連付けられた昼光蛍光発光パターンに一体化され、3つの構造層間で材料ユニットを形成する。溶接された小板の領域は、微細な点状および棒状の隆起したエンボス加工モチーフのあるエンボス加工シート側に備えられ、デザインによっては鋼グラビアの見かけを持つ対応する特徴的な発光パターンを作る。同様に、発光モチーフは、見当を合わせた状態で使用されるエンボス加工刻印を用いて、超音波を使ったスポット溶接によって、完成したフィルム・エレメントに導入される。
【0095】
単純で効果的な適用では、素地に適用されるフィルム・エレメントが提供され、理想的には適用点は完全に平らである。通常紙幣に使用されるセキュリティ紙の場合、フィルム・エレメントの外形におおよそ対応する素地のキャレンダ加工を導入し、好ましくは無色透明なUV硬化プライマ・ワニス層を塗布する。キャレンダ加工により、フィルム・エレメントの高さの一部を補完することで、素地の上に適用するフィルム・エレメントの寸法が最小になる。ラベル状フィルム・エレメントを入手するには、ラベルの外形の形をしたセキュリティ素地紙が好ましくは製作中に提供されるが、フィルム・エレメントの高さが確実に補完されるためにキャレンダ加工の代わりに薄い繊維構造(透かし模様と同様に作られる)の領域が備えられ、さらに特に紙の不透明度が小さくされ、テスト(機器で行う場合も含む)のためのさらに永久的な背面照明を確保する。プライマ・ワニス層はさらにキャレンダ加工面または薄紙領域を滑らかにし、同時に接着剤としても機能する。プライマには所望の好適な色を付けることができ、例えば紙ロールまたはポリマー素地に帯状のものを連続的に適用する場合に、フィルム・エレメントのコントラストのある表層として機能する。また、プライマは、簡単な方法での読み出しのためのさらなる照合特性(照合レベル2)を提供するためにUV光で蛍光を発する染料とともに提供されるか、または、例えばLUNAの商品名で販売されているBAYER社製の材料などの残光りん光を発する顔料を含む。任意で、対応するりん光を発する顔料および暗闇での残光によって、保護層または中間層のいずれかの質を高めることもできる。発光プライマは、キャレンダ加工の圧力または薄繊維組織を用いることによって形成される紙素地の層を埋め、理想的にはその外形端と重なる。両面では選択された帯状であり、全周囲ではラベル状である。これらの重なっているプライマ領域には、印刷技術によって画像形を割り当てることもできる。前述の方法が効果的であるのは、紙またはポリマー素地の製造過程でフィルム・エレメントを一体化させる必要がなく、例えば紙幣などの保護される文書を損傷することなく複製の試みを目的とする改ざんを防止することができるからである。
【0096】
特にセキュリティ要素、セキュリティ紙、有価文書、硬貨、チップなどの真贋を検出するための本発明のフィルム・エレメントの第2の態様は、請求項27において、該フィルム・エレメントが少なくとも1つの昼光色蛍光塗料で着色された集光性および導光性透明フィルム、ならびに導光するように透明フィルムに接続され、可視スペクトルでは透明な、少なくとも1つの導光モチーフを備えることを特徴とし、モチーフ層の固有全反射を特異的に摂動させることによって、周辺光において可視スペクトルで発光するモチーフ層をその層に導入することを特徴とする。
【0097】
ここで、本発明のフィルム・エレメントの上記第2の態様に関連する以下の説明において、“透明フィルム”という用語は、フィルムの固有全反射を特異的に摂動させることによってモチーフが導入されていない、昼光色蛍光塗料で着色された集光性および導光性透明フィルムの代表語または同義語として用いられることに注意するべきである。さらに、本発明のフィルム・エレメントの上記第2の態様に関連する以下の説明において、”モチーフ層”という用語は、可視スペクトルでは透明であり、導光するように上記”透明フィルム”に接続される集光性モチーフ層であって、モチーフ層の固有全反射を特異的に摂動させることによって、周辺光において可視スペクトルで発光するその層に導入されるモチーフの代表語または同義語として用いられる。
【0098】
本発明のフィルム・エレメントの第2の態様では、従って、少なくとも1つの透明フィルムはフィルム・エレメントと連動して単に対応する蛍光光源として機能する。この蛍光は、好ましくは無色透明の導光モチーフ層に導入される摂動によって観察者に見える。特に効果的なのは、透明フィルムとモチーフ層が、少なくとも透明フィルムで発生する蛍光に対しては同一の屈折率を持つことである。好ましくは、フィルム・エレメント内で、透明フィルム上または透明フィルムに隣接するモチーフ層がどちらの場合においても該フィルムのすぐ隣に配置される。ここでもまた、蛍光モチーフは、レーザー処理、特にレーザー彫刻、あるいは例えば鋼エンボス加工またはグラビア印刷を用いてモチーフ層に導入される。透明フィルムは、好ましくは際立った色であり、これはその色の光をモチーフ層に供給するためである。さらに、モチーフ層には、導光するようにモチーフ層に接続された複数の透明フィルムから蛍光を供給することができる。モチーフ層は、好ましくは、赤外線反射性および/または赤外線吸収性顔料を備え、具体的にはこの顔料で印刷された、好適な暗色素地に適用される。モチーフ層は、好ましくは、可視スペクトルでは見えない微細構造モチーフを持つ。微細構造モチーフは、同一面にある粗構造パターンに重ね合わせられる。モチーフ層はまた、マイクロプリズムを用いて作られる回折構造を持つか、回折構造またはマイクロプリズムなどを含む光学層に適用されることによって、観察したときに、例えば3次元作用などの光学効果を与える。さらに、モチーフ層は、フィルム・エレメントを傾けることによって映画的効果を生む、限定的な交互線幅を持つピクセルからなるグリッドを備える。また、モチーフ層にさらにこのようなモチーフ層をラミネートすることによって複合層を形成することも可能であり、個々のモチーフ層に含まれるモチーフは互いを補完する。ある変異形では、モチーフ層はギロシェ・パターンを備える。この場合、ギロシェ・パターンは、可視スペクトル光の下および/またはUV光で完全なパターンを形成するために互いを補完する少なくとも2つの部分から構成される。他の変異形では、発光モチーフはモチーフ層の穿孔によるモチーフとして構成される。
【0099】
本発明のフィルム・エレメントの第2の態様による実施態様では、2枚の透明フィルムが間隙を介して隣り合うように配置されるが、透明フィルムと同じ屈折作用を持つ無色透明の導光性モチーフ層がその間の空間に配置される。レーザー・グラビアを用いて、層の固有全内部反射の摂動がモチーフ層に導入される。光の入射および蛍光透明フィルムとの近接性によっては、導入された摂動構造を観察すると無色に見えるか、もっとも近くにある透明フィルムの色を帯びる。透明フィルムの間にあるレーザー表面下彫刻による独立した文字は、無色に見えるかもしれないが、斜視角では、それぞれのフィルムの色に見える。さらには、透明フィルムに隣接する領域にある点発光体(単純な補助器具を使用する照合レベル2)が発光すると、文字はその色で供給できる。長波長光(場合により赤色)は、人間にとって視覚的に認識しやすく読みやすい。境界領域にある文字が、例えば緑色フィルムから、例えば緑色領域に投影され、あとの半分が無色透明領域にある場合、文字は薄い緑色の光として見え、斜めから見られるときはもっと濃くなる。ここで、緑色フィルム領域に発光体から光をあてると、文字は緑色の光を放つ。もし赤色フィルムが文字とフィルムの近くに平行に配置されており、光をあてられると、この赤色フィルムは文字全体に赤色の光を供給し、緑色フィルムに投影される部分も赤くなる。
【0100】
特にセキュリティ要素、セキュリティ紙、有価文書、硬貨、チップなどの真贋を検出するための本発明のフィルム・エレメントの第3の態様は、請求項41において、請求項1から26のいずれか1つ以上および請求項27から40のいずれか1つ以上の特徴を備える。そのため、第3の態様は、本発明のフィルム・エレメントの第1および第2の態様の特徴を備える。
【0101】
特にセキュリティ要素、セキュリティ紙、有価文書、硬貨、チップなどの真贋を検出するための本発明のフィルム・エレメントの第4の態様は、請求項42において、該フィルム・エレメントが少なくとも1つの昼光色蛍光塗料で着色された集光性および導光性透明フィルム、ならびに導光するように透明フィルムに接続される透明な導光性構造層を少なくとも1つ備えることを特徴とし、構造層はモチーフに対応する所定の構造を持ち、周辺光において可視スペクトルで発光する材料不均質性を持つことを特徴とする。特に好適には、例えば懸濁液プリンタ(インクジェット)などの印刷方法を用いて硬化懸濁液によって構造層を作ることができる。
【0102】
特に効果的には、態様1から4による本発明のフィルム・エレメントは、フィルム・エレメント(10)が<100μmの厚さ、好ましくは<50μmの厚さ、さらに好ましくは5〜30μmの厚さであることを特徴とする。
【0103】
フィルム・エレメントにおいて前述の光学的効果を得るには、本発明のフィルム・エレメントの4つの態様すべてにおいて、フィルム・エレメントの表面または内部の層に、回折構造やマイクロレンズ構造などを導入することができる。そのため、フィルム・エレメントには異なる屈折率を持つ粒子が埋め込まれ、粘着または自己硬化の透明材料を用いてシールされる。この場合、フィルム・エレメントに導入される情報の構造形状および埋め込まれる粒子の粒径は、互いに一致しなければならない。フィルム・エレメント内においてレーザーでマークされたモチーフの発光ピクセルは、例えばマイクロレンズなどの回折構造と、その下かその上の面において、好ましくは見当を合わせて組み合わされ、個々のピクセルの光の射出角を持つ限定的な屈折をもたらす。
【0104】
フィルム・エレメント、特に、変異形1から4のすべてにおいては、透明フィルムの複合材、任意の中間層、および任意の層(態様2による)を作るには、既知の印刷方法を用いて、流動性で硬化性の透明プラスチックを1面1面重ねて塗布する。そのため、例えば、透明に硬化する溶解したプラスチックとこれに加えられた昼光蛍光染料を、インクジェット/スクリーン/フレックス/凸版印刷を用いて、複数の重なった面に異なる色(赤、緑、青、ならびに無色)で塗布することで、素地に塗布することができる。それぞれの硬化したフィルム層を、例えばインクジェットを使用して異なる光回折角を持つ無色結晶ダスト懸濁インクでマークすると、それぞれの接液フィルムの色で発光モチーフが作られる。このための市販の手段は、例えば、Proell社製のNoriphanである。
【0105】
さらに、4つすべての態様におけるフィルム・エレメントは、昼光蛍光着色フィルムと同じ屈折率を持ち、透明フィルムによって供給され、周辺光でそれぞれのフィルムの色に発光する、透明UV硬化ワニス層を備えることができる。
【0106】
フィルム・エレメントの垂直構造は、最大で50μであり、好ましくは、フィルム・エレメントの寸法は、層厚さ10〜30μである。非常に薄いフィルム・エレメントの複製は偽造に対してさらなるハードルとなる。素地とセキュリティ要素を破壊することなく昼光蛍光フィルム材を層構造から取り除くことは不可能である。なぜならば、隣接しているフィルム材がこれと一体となっているからであるが、これは、部分的に境界表面を溶かし、一体化することで光学的に均質な物体を得ることでもたらされるか、あるいは代わりに加熱プレスでラミネートしても同じ結果がもたらされる。偽造のための複製材料を入手するために、好ましくは厚さ10〜50μの大部分が均質なフィルム・ラミネートを割るには大変な手間がかかる。
【0107】
もっとも高い経済的実現性を確実にし、さらには蛍光を供給するフィルム材の量を最低限にするには、他でも述べたように、昼光蛍光フィルムの成分は可能な限り薄く設計されるべきである。さらには、これらは全表面に導入される必要はない。どちらかといえば、ここでは、効率的な工業生産の通常の要求事項はできる限り満たさないようにし、所望の特徴的な発光モチーフの領域の寸法に対応するラベルまたは小板の形状の薄フィルム材は、好適な構造層の広範囲に及ぶシートに選択的に適用されるべきである。通常約800μの厚さのポリマー・カードにも使われる加熱印刷プレスを用いて実行されるフィルム構造へのラミネートはポリカーボネートに好適であり、例えば、限定的に配置され、埋め込まれた厚さ60μ以下のプレートは、ずれの問題が発生することなく、2つの透明層の間に均質的に一体化される。発光の強度は、透明フィルム上の透明層構造の厚さが増加するに従って弱くなるが、押出し成型の前に顆粒を生成するときに、容量に昼光蛍光染料を混ぜることによって制御できる。
【0108】
例えば、UVワニスまたは同様の方法で、本明細書で述べられるフィルム・エレメントに含まれる情報の複製を防止するには、導入される情報のキャリアである材料層、つまり(第1の態様の)透明フィルムまたは(第2の態様の)モチーフ層または(第4の態様の)構造層はフィルム・エレメント内に配置され、互いに接続されるが、このとき個々材料層を分離すると導入された情報または特異的に発生させた発光効果が破壊されるようになっている。従ってフィルム・エレメントに含まれる情報の改ざんはできない。偽造インプリントもまたできないか、少なくともとても難しくなっている。なぜならば、フィルム・エレメントに含まれる情報が、例えば情報依存構造によってフィルム・エレメントの表面に基づかないが、フィルム・エレメントの内部でコード化されるからである。最終的には、得られる光学的効果は従来技術を用いて複製することができない。
【0109】
本発明に従ってエンボス加工されるフィルム・エレメントは一般的には自己支持型ではない。これらは、好ましくは、貼り付けられた後に素地とともに彫刻される(有価または保護印刷で知られるような、鋼エンボス加工/グラビア印刷を用いる)。
【0110】
本発明は、上記において図示および記述される実施態様に限定されない。示された実施態様を参照して説明される、使用される材料の、例えば設計、形状、材料などの本発明の特徴は、特記されない限り、また技術的な理由により禁止される場合を除き、他の実施態様に含まれていても良い。
【符号の説明】
【0111】
10 フィルム・エレメント
12、14、16 フィルムの固有全反射を特異的に摂動させることによってモチーフが導入され、昼光色蛍光塗料で着色された集光性および導光性透明フィルム
13 フィルムの固有全反射の特異的な摂動として導入されるモチーフ
17 接着層
18 透明金属層
19 スクラッチ防止シール
20 素地
32 赤外線吸収性または/および反射性顔料
34 磁性顔料
36 暗色または黒色のコントラスト層
40 鋼板
42 グラビア要素
44 側面
46 刻み目
50 エンボス加工
60 加圧シリンダ
62 ゴムマット
63、64 フィルムの固有全反射の摂動を特異的に導入しておらず、昼光色蛍光塗料で着色された集光性および導光性透明フィルム
65、66 導光するように透明フィルム(102)に接続され、可視スペクトルにおいて透明である導光性モチーフ層であって、フィルムの固有全反射の特異的摂動によりモチーフ(13)がモチーフ層に導入される導光性モチーフ層
67 隣接する材料と異なる光学屈折率を持つ、透明であり、特に無色な中間層
68 例えば、回折構造またはマイクロレンズなどの光学活性要素を備える光透過層
69 マイクロレンズ
70 ミラー層
71 構造層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にセキュリティ要素、セキュリティ紙、有価文書、硬貨、チップなどの真贋を検出するためのフィルム・エレメント(10)であって、昼光色蛍光塗料で着色され、フィルムの固有全反射を特異的に摂動させることによって、周辺光において可視スペクトルで発光するモチーフ(13)が内部に導入された、集光性および導光性の透明フィルム(12、14、16)を備えることを特徴とするフィルム・エレメント(10)。
【請求項2】
前記透明フィルム(12、14、16)はポリカーボネート、PMMAで形成されることを特徴とする請求項1に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項3】
前記発光モチーフ(13)は、特に、レーザー彫刻、鋼エンボス加工またはグラビア印刷、キスカット法、あるいは穿孔などのレーザー処理を用いて導入されることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項4】
前記透明フィルム(12、14、16)は際立った色であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項5】
前記透明フィルム(12、14、16)は、赤外線反射性および/または赤外線吸収性顔料(32)とともに提供される、好ましくは暗色の素地(20)に適用されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項6】
前記素地(20)は磁性顔料(34)とともに提供されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項7】
前記透明フィルム(12、14、16)は、コントラストを向上するための暗色顔料(36)とともに提供されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項8】
前記透明フィルム(12、14、16)は、可視スペクトルの光の下で観察したときには見えない微細構造モチーフ(13)を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項9】
粗構造パターンが、同一平面上で、前記微細構造モチーフに重ねられることを特徴とする請求項8に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項10】
前記透明フィルム(12、14、16)は、マイクロプリズムを用いて作られた回折構造を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項11】
前記透明フィルム(12、14、16)は、前記フィルム・エレメント(10)を傾けることで映画的効果をもたらす、明確な交互の線幅を持つピクセルから成るグリッドを備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項12】
さらなる透明フィルム(14)がフィルム複合材を形成するために前記透明フィルム(12)にラミネートされ、前記透明フィルム(12,14)の各々に含まれるモチーフが互いを補完することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項13】
前記透明フィルム(12、14、16)はギロシェ・パターンを備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項14】
前記ギロシェ・パターンは、完全なパターンを形成するために、可視スペクトルの光とUV光の少なくとも一方の下で互いを補完する少なくとも2つの部分から成ることを特徴とする請求項13に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項15】
前記発光モチーフ(13)は、前記透明フィルム(12、14、16)を穿孔するモチーフとして構成されることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項16】
前記フィルム・エレメント(10)はウィンドウ・セキュリティ・スレッドを構成することを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項17】
前記フィルム・エレメント(10)は、素地(20)に配置される透明ウィンドウ・ラベルを構成し、ラベルとしてのフィルム・エレメント(10)でコーティングされた前記素地(20)にウィンドウが作られ、前記素地(20)と前記フィルム・エレメント(10)は好ましくは重ねられたことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項18】
前記ラベルは、印刷モチーフを補完する発光モチーフ(13)を含むことを特徴とする請求項17に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項19】
前記ラベルは、部分的に金属化され、および/または回折構造を持つことを特徴とする請求項17または18に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項20】
前記透明フィルム(12、14、16)は自己支持型であり、特に自己支持型セキュリティ要素を構成することを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項21】
互いに上下に、および/または隣接して配置され、昼光蛍光染料で着色された複数の集光性および導光性の前記透明フィルム(12、14、16)が、それぞれの透明フィルム(12、14、16)の固有全反射を特異的に摂動させることによって、周辺光の可視スペクトルにおいて発光するモチーフ(13)が導入されたフィルム・エレメント(10)に備えられていることを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項22】
前記可視スペクトルにおいて少なくとも部分的に透明な中間層(67)が内部に配置され、特に互いに上下に配置される2つの透明フィルム(12、14、16)の間に配置されることを特徴とする請求項21に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項23】
隣接する前記透明フィルム(12、14、16)は、前記フィルム・エレメント(10)内において、間隙を介して置かれることを特徴とする請求項21または22に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項24】
複数の前記透明フィルム(12、14、16)は互いに異なる色、特に青色、緑色、赤色を有することを特徴とする請求項21から23のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項25】
前記透明フィルム(12、14、16)は、可視スペクトルにおいて、反射性であるかまたは半透明である素地(20)上に配置されることを特徴とする請求項21から25のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項26】
回折構造を有する層を少なくとも1つ備え、特に回折レンズ屈折レンズの少なくとも一方、特にマイクロレンズ(69)を備えることを特徴とする請求項21から25のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項27】
特にセキュリティ要素、セキュリティ紙、有価文書、硬貨、チップなどの真贋を検出するためのフィルム・エレメント(10)であって、該フィルム・エレメント(10)は、昼光蛍光染料で着色された集光性および導光性の透明フィルム(63、64)を少なくとも1つ、ならびに、前記透明フィルム(63、64)に導光するように接続される可視スペクトルにおいて透明である導光性のモチーフ層(65、66)を少なくとも1つ備え、前記モチーフ層(65、66)の固有全反射を特異的に摂動させることによって、周辺光において可視スペクトルで発光するモチーフ(13)が前記モチーフ層(65、66)内に導入されたことを特徴とするフィルム・エレメント(10)。
【請求項28】
前記透明フィルム(63、64)および前記モチーフ層(65、66)は、少なくとも前記透明フィルム(65、66)が発する蛍光に対しては同一の屈折率を持つことを特徴とする請求項27に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項29】
前記透明フィルム(63、64)上または前記透明フィルム(63、64)に隣接する前記モチーフ層(65、66)はそれぞれ前記透明フィルム(63、64)に直接隣接するように配置されることを特徴とする請求項27または28に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項30】
前記発光するモチーフ(13)は、レーザー処理、特にレーザー彫刻、あるいは鋼エンボス加工またはグラビア印刷、あるいはキスカット法または穿孔を用いて導入されることを特徴とする請求項27から29のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項31】
前記透明フィルム(63、64)は際立った色であることを特徴とする請求項27から30のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項32】
前記モチーフ層(65、66)は、好ましくは、赤外線反射性と赤外線吸収性の少なくとも一方の顔料(32)とともに提供され、特にともに印刷される暗色の素地(20)に適用されることを特徴とする請求項27から31のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項33】
前記モチーフ層(65、66)は、可視スペクトルの光の下で観察したときに見えない微細構造モチーフ(13)を備えることを特徴とする請求項27から32のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項34】
粗構造パターンが、同一平面上で前記微細構造モチーフ(13)と重ねられることを特徴とする請求項33に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項35】
前記モチーフ層(65、66)は、マイクロプリズムを用いて作られた回折構造を持つことを特徴とする請求項27から34のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項36】
前記モチーフ層(65、66)は、前記フィルム・エレメント(10)を傾けることで映画的効果をもたらす、明確な交互の線幅を持つピクセルから成るグリッドを備えることを特徴とする請求項27から35のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項37】
さらなるモチーフ層(66)が、層複合材を形成するために前記モチーフ層(65)にラミネートされ、前記モチーフ層(65、66)の各々に含まれるモチーフ(13)は互いを補完することを特徴とする請求項27から36のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項38】
前記モチーフ層(65、66)はギロシェ・パターンを備えることを特徴とする請求項27から37のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項39】
前記ギロシェ・パターンは、完全なパターンを形成するために、可視スペクトルの光とUV光の少なくとも一方の下で互いを補完する少なくとも2つの部分から成ることを特徴とする請求項38に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項40】
発光する前記モチーフ(13)は、前記モチーフ層(65、66)を穿孔するモチーフ(13)として構成されることを特徴とする請求項27から39のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項41】
特にセキュリティ要素、セキュリティ紙、有価文書、硬貨、チップなどの真贋を検出するためのフィルム・エレメント(10)であって、請求項1から26のいずれか1つ以上および請求項27から40のいずれか1つ以上の特徴を備えるフィルム・エレメント(10)。
【請求項42】
特にセキュリティ要素、セキュリティ紙、有価文書、硬貨、チップなどの真贋を検出するためのフィルム・エレメント(10)であって、該フィルム・エレメント(10)は、昼光色蛍光塗料で着色された集光性および導光性の透明フィルム(12、14、16、63、64)を少なくとも1つ、ならびに、導光するように前記透明フィルム(12、14、16、63、64)に接続された透明な導光性の構造層(71)を少なくとも1つ備え、前記構造層(71)はモチーフ(13)に対応する所定の構造を持ち、可視スペクトルの周辺光の下で発光する材料不均質性を持つことを特徴とするフィルム・エレメント(10)。
【請求項43】
前記構造層(71)は、印刷方法により硬化懸濁液として作られることを特徴とする請求項42に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項44】
100μm未満の厚さ、好ましくは50μm未満の厚さ、さらに好ましくは5μm以上30μm以下の厚さであることを特徴とする請求項1から43のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)。
【請求項45】
請求項1から44のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)が紙に適用されることを特徴とするセキュリティ紙。
【請求項46】
前記フィルム・エレメント(10)の適用位置において、前記紙は薄い、好ましくはすき入れによる繊維構造を持つことを特徴とする請求項45に記載のセキュリティ紙。
【請求項47】
請求項1から44のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)が紙とポリマー素地の少なくとも一方に適用されることを特徴とするセキュリティ文書。
【請求項48】
請求項1から44のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)が紙とポリマー素地の少なくとも一方に適用されることを特徴とする有価文書、特に紙幣。
【請求項49】
請求項1から44のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)を備えることを特徴とする硬貨。
【請求項50】
請求項1から44のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)を備えることを特徴とするチップ。
【請求項51】
請求項1から44のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)を備えることを特徴とする日用品。
【請求項52】
請求項1から44のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)を備えることを特徴とするデザイン要素。
【請求項53】
請求項1から44のいずれか一項に記載のフィルム・エレメント(10)を備えることを特徴とするデータ記憶媒体。
【請求項54】
特にセキュリティ要素、セキュリティ紙、有価文書、硬貨、チップなどの真贋を検出するためのフィルム・エレメント(10)の製造方法であって、フィルムの固有全反射を特異的に摂動させることによって、周辺光において可視スペクトルで発光するモチーフ(13)を、昼光色蛍光塗料で着色された集光性および導光性の透明フィルム(12、14、16)を備えたフィルム・エレメント(10)内に導入することを特徴とするフィルム・エレメント(10)の製造方法。
【請求項55】
特にセキュリティ要素、セキュリティ紙、有価文書、硬貨、チップなどの真贋を検出するためのフィルム・エレメント(10)の製造方法であって、該フィルム・エレメント(10)は、昼光蛍光染料で着色された集光性および導光性の透明フィルム(63、64)を少なくとも1つ、ならびに、前記透明フィルム(63、64)に導光するように接続され、可視スペクトルにおいて透明である導光性のモチーフ層(65、66)を少なくとも1つ有し、前記モチーフ層(65、66)の固有全反射を特異的に摂動させることによって、周辺光において可視スペクトルで発光するモチーフ(13)を、前記モチーフ層(65、66)内に導入することを特徴とするフィルム・エレメント(10)の製造方法。
【請求項56】
特にセキュリティ要素、セキュリティ紙、有価文書、硬貨、チップなどの真贋を検出するためのフィルム・エレメント(10)の製造方法であって、該フィルム・エレメント(10)は、昼光色蛍光塗料で着色された集光性および導光性の透明フィルム(12、14、16、63、64)を少なくとも1つ、ならびに、導光するように前記透明フィルム(12、14、16、63、64)に接続された透明な導光性の構造層(71)を少なくとも1つ有し、前記構造層(71)はモチーフ(13)に対応する所定の構造を持ち、可視スペクトルの周辺光の下で発光する材料不均質性を持つことを特徴とするフィルム・エレメント(10)の製造方法。
【請求項57】
請求項1から42のいずれか一項に記載されるフィルム・エレメント(10)が、紙とポリマー素地の少なくとも一方に適用され、発光情報を生成するために前記紙とポリマー素地の少なくとも一方とともにエンボス加工されることを特徴とするセキュリティ紙、セキュリティ文書、および紙幣などの有価文書の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−527809(P2010−527809A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508698(P2010−508698)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【国際出願番号】PCT/DE2008/000861
【国際公開番号】WO2008/141632
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(509320405)
【Fターム(参考)】