説明

眼用レンズ

【課題】 アレルギー性眼疾患に対する薬効を比較的長期間にわたって得ることが可能な眼用レンズ、特にはコンタクトレンズを提供する。
【解決手段】 4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその水和物を含有することを特徴とする眼用レンズ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療剤を含有した眼用レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズは、視力を改善するために、1950年代から、商業的に用いられている。一般的なソフトコンタクトレンズは、少量の架橋剤の存在下に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)およびN−ビニルピロリドン等のような、親水性のモノマーを必須成分として重合させることにより形成される含水ゲル(ハイドロゲル)により作られている。最近では、より酸素透過性を高めるためにシロキサニル成分を導入したシリコーンハイドロゲルからなるソフトコンタクトレンズも知られており(特許文献1)、すでに実用化段階となっている。さらにシリコーンハイドロゲルソフトコンタクトレンズに湿潤性を付与するために内部湿潤剤として高分子量の親水性ポリマーを含有させる技術が知られている(特許文献1)。
【0003】
治療剤を含有したコンタクトレンズも提案されており、該治療剤は目の前後の部分を含む、目の環境の任意の部分を治療するか標的にすることが示されている(特許文献2)。
【0004】
また、ロイコトリエンの拮抗剤であり喘息をはじめとする多くのアレルギー疾患に優れた効果が認められている治療剤として4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランが知られている(特許文献3および4)。該化合物の1/2水和物は「プランルカスト」の名称で抗アレルギー剤として利用され、眼科分野では、春季カタル等のアレルギー性眼疾患への適用が考えられている
【特許文献1】特表2006−519907号公報
【特許文献2】特開2007−289641号公報
【特許文献3】特開昭61−050977号公報
【特許文献4】特開平11−092368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその水和物(以下、特に断らない限り、これらをプランルカストと総称する)を眼科分野に適用する場合は、例えば点眼薬または経口薬として適用する必要があったが、前者は頻回点眼の必要があって利便性が悪く、後者は眼部以外の全身に効果が現れてしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の構成を有する。
〔1〕 4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその水和物を含有することを特徴とする眼用レンズ。
〔2〕 前記眼用レンズがシリコーンハイドロゲルからなる眼用レンズであることを特徴とする前記〔1〕に記載の眼用レンズ。
〔3〕 前記眼用レンズが、水溶性ポリマーを含有することを特徴とする前記〔1〕または〔2〕に記載の眼用レンズ。
〔4〕 前記水溶性ポリマーの分子量分布が多峰性であることを特徴とする前記〔3〕に記載の眼用レンズ。
〔5〕 前記水溶性ポリマーがポリビニルピロリドンであることを特徴とする前記〔3〕または〔4〕に記載の眼用レンズ。
〔6〕 前記眼用レンズが、ケイ素原子を2〜30重量%含有することを特徴とする前記〔1〕〜〔5〕いずれかに記載の眼用レンズ。
〔7〕 前記眼用レンズ中のケイ素原子数のうち、30%以上が極性シロキサニルモノマー由来のケイ素原子であることを特徴とする前記〔6〕に記載の眼用レンズ。
〔8〕 前記極性シロキサニルモノマーの極性基が、水酸基、アミド基、カルボキシル基、アミノ基、カーボネート基、カーバメート基、スルホンアミド基、スルホン酸基、ホスホン酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基からなる群から選ばれた基であることを特徴とする前記〔7〕に記載の眼用レンズ。
〔9〕 前記シロキサニルモノマーのうち、少なくとも1種類が下記一般式(a)
M−L−Sx (a)
で表される構造を有するものであることを特徴とする前記〔7〕または〔8〕に記載の眼用レンズ。
(Mはラジカル重合可能な重合性基を表す。Lは炭素数1〜20の置換されていてもよい2価の有機基を表す。Aはシロキサニル基を表す。)
〔10〕 前記式(a)中のLが下記一般式(b)、(c)
【0007】
【化1】

【0008】
のいずれかであることを特徴とする前記〔9〕に記載の眼用レンズ。
(jは1〜20の整数を表す。kは1〜6の整数を表し、mは1〜17の整数を表す。ただし、3k+m≦20である。)
〔11〕 前記式(a)中のLが一般式(c)で表される基であることを特徴とする前記〔10〕に記載の眼用レンズ。
〔12〕 前記シロキサニルモノマーのうち、少なくとも一種類が下記式(d)、(e)および(g)
【0009】
【化2】

【0010】
からなる群から選ばれたモノマーであることを特徴とする前記〔9〕に記載の眼用レンズ。(式(g)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を表す。nは1〜20の整数を表す。)
〔13〕 前記シロキサニルモノマーのうち、少なくとも1種類が式(e)および(g)からなる群から選ばれた極性シロキサニルモノマーであることを特徴とする前記〔12〕に記載の眼用レンズ。
〔14〕 前記眼用レンズが、コンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイ・レンズ、接眼インサート、光学インサート、および人工角膜から選ばれた1種であることを特徴とする前記〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の眼用レンズ。
〔15〕 前記眼用レンズが、コンタクトレンズであることを特徴とする前記〔14〕に記載の眼用レンズ。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその水和物(以下、特に断らない限り、これらをプランルカストと総称する)を比較的長期の使用に十分な量含有し、なおかつ比較的長期間にわたって薬効を得るのに適当な量のプランルカストを徐放することが可能な眼用レンズ、特にはコンタクトレンズが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
本発明の眼用レンズは、プランルカストを含有することを特徴とする。
【0014】
本発明の眼用レンズは、高い酸素透過性を有する点とプランルカストの保持性に優れることからがシリコーンハイドロゲルからなるものであることが好ましい。
【0015】
本発明の眼用レンズに用いられる親水性モノマーとしては、重合可能であれば特に制限はないが、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、アリル基、ビニル基、および他の重合可能な炭素・炭素不飽和結合を有するモノマーを好適に使用することができる。
【0016】
以下、その好ましい例を挙げる。(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、ビニル安息香酸などのカルボン酸類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレート類、N,N−ジメチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾールなどである。これらのうち、得られる眼用レンズの機械的特性や長期保存安定性の点で好ましいのは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびN,N−ジメチルアクリルアミドである。
【0017】
本発明においてシロキサニルとは、少なくとも1つのSi−O−Si結合を含む構造を意味する。
【0018】
本発明の眼用レンズ中のシロキサニル成分の含有量は、少ないとコーティング材として適用したときにシリコーン樹脂などとの密着性が十分に得られず、多いと透明性が損なわれることから、該眼用レンズの乾燥重量を100重量%としたときに、ケイ素原子を2〜30重量%含有することが好ましく、3〜28重量%がより好ましく、5〜25重量%が最も好ましい。該眼用レンズ中のケイ素原子含有量はICP発光分光分析法によって求めることができる。
【0019】
眼用レンズの高い酸素透過性と高い含水性を両立させるためには、シロキサニル成分中のケイ素原子数のうち、30%以上が極性シロキサニルモノマー由来のケイ素原子であることが好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上が最も好ましい。
【0020】
ここで、極性シロキサニルモノマーとは分子内に極性基を有するシロキサニルモノマーを表表す。極性基の例としては、水酸基、アミド基、カルボキシル基、アミノ基、カーボネート基、カーバメート基、スルホンアミド基、スルホン酸基、ホスホン酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基などを挙げることができる。
【0021】
本発明の眼用レンズを構成するシロキサニルモノマーは、下記一般式(a)
M−L−Sx (a)
で表される、分子内に重合性基を一つ有する構造のシロキサニルモノマーが好ましい。
【0022】
式(a)中のMはラジカル重合可能な重合性基を表す。ラジカル重合可能な重合基の例としては、ビニル基、アリル基、ビニロキシ基、アリロキシ基、ビニルカルバメート基、アリルカルバメート基、ビニルカーボネート基、アリルカーボネート基、メタクリロイル基、アクリロイル基、スチリル基などが挙げられる。これらのうち、得られるポリマーの弾性率の点で好ましいのはアクリロイル基、メタクリロイル基である。
【0023】
式(a)中、Lは炭素数1〜20の置換されていてもよい2価の有機基を表す。得られるポリマーの弾性率を下げるためにはアルキレン基がより好ましく、さらに親水性モノマーとの相溶性を得るためには水酸基、エチレンオキシド構造を有することがより好ましい。その例としてメチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、メチルプロピレン基、ジメチルプロピレン基、ペンチレン基などの2価の炭化水素基、ヒドロキシプロピレン基、ヒドロキシブチレン基、ヒドロキシブチレン基などの水酸基を有する2価の有機基、下記式(L−1)〜(L−3)などの式で表されるようなエーテル結合を有する2価の有機基、および下記式(L−4)、(L−5)などの式で表されるようなエーテル結合と水酸基を併せもつ2価の有機基などが挙げられる。
【0024】
【化3】

【0025】
これらのうち、式(b)または(c)
【0026】
【化4】

【0027】
で表される基が好ましく、式(c)で表される基がより好ましい。さらに、式(c)中のk=1、mが1〜5である場合が好ましく、式(c)中のk=1、mが3である場合が最も好ましい。
【0028】
式(a)中、Sxはシロキサニル基を表す。ここで、シロキサニル基は構造中に少なくとも一つのSi−O−Si結合を有する基を表す。
【0029】
上記一般式(a)で表されるシロキサニルモノマーは、下記一般式(a’)で表されるものであることが好ましい。
【0030】
【化5】

【0031】
nは0〜200の整数を表す。a、b、cはそれぞれ独立に0〜20の整数を表す。n+a+b+cでシロキサニル化合物中のシロキサン結合の数が決まるが、n+a+b+cの数が少なすぎると高酸素透過性およびプランルカスト保持性が十分に得られず、多いと親水性が損なわれることから1〜260が好ましく、2〜100がより好ましく、2〜50が最も好ましい。
【0032】
〜A11はそれぞれ置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基または置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を表す。上記の構造で表される置換基の中で、かかる置換基を有した化合物が工業的に比較的安価に入手できることから、特に好適なものはトリス(トリメチルシロキシ)シリル基、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリル基、ジメチルトリメチルシロキシシリル基、ポリ(ジメチルシロキサン)基からなる群から選ばれた基である。
【0033】
一般式(a)で表されるシロキサニルモノマーのうち、親水性モノマー、アンモニウム塩モノマーとの相溶性、重合して得られるポリマーの酸素透過性、機械的特性などの点で好ましいのは下記式(d)、(e)、(g)
【0034】
【化6】

【0035】
(式(g)中、Qは炭素数1〜8のアルキル基を表す。pは1〜20の整数を表す。)
で表されるシロキサニルモノマーである。さらに、ポリビニルピロリドンなどの内部湿潤剤と混合しても透明なシロキサニル構造含有ポリマーが容易に得られることから、式(e)、式(i)で表されるような分子内に水酸基を有するシロキサニルモノマーが最も好ましい。
【0036】
本発明においてマクロモノマーとは、分子量800以上で重合性基を1つ以上有するモノマーである。
【0037】
本発明の眼用レンズをマクロモノマーから得る場合には、上記の各種シロキサニルモノマーを単独重合した後、重合性基を導入し、各種親水性モノマー等と共重合する方法や、各種シロキサニルモノマー、各種親水性モノマー等を共重合した後、重合性基を導入して重合する方法を用いることができる。これらのうち、シロキサニル成分と親水性成分の相溶性を高めやすいことから好ましいのは、各種シロキサニルモノマーと各種親水性モノマーを共重合した後、重合性基を導入して重合する方法である。
【0038】
シロキサニルマクロモノマーの分子量は低すぎるとマクロモノマーを用いることの利点の一つである重合収縮抑制の効果が十分ではなく、高すぎるとマクロモノマーの粘度が高くなりすぎて取扱いが難しくなったり、重合溶媒に対する溶解性が低下するといった問題があることから、1000〜100万が好ましく、3000〜50万がより好ましく、5000〜10万が最も好ましい。
【0039】
本発明の眼用レンズは、水溶性ポリマーを含有することが好ましい。水溶性ポリマーを含有することにより眼用レンズの湿潤性が改善されるとともに、より適度なプランルカストの徐放性が付与される。
【0040】
該水溶性ポリマーの重量平均分子量は3000〜2,000,000が好ましく、4000〜1,800,000が好ましく、5000〜1,500,000が最も好ましい。重量平均分子量が小さすぎると所望の湿潤性が得られにくい傾向があり、大きすぎると溶解性低下したり溶液粘度が増加したりして眼用レンズ製造時に困難が生じる傾向がある。
【0041】
本発明において重量平均分子量はサイズ排除クロマトグラフィー法により、下記条件で分析して求まる値である。
・カラム:TSKgel SUPER HM−H 2本直列
・移動相:N−メチルピロリドン(LiBr 10mM含有)
・カラム温度:40℃
・移動相流量:0.2mL/分
・測定時間:40分間
・サンプル濃度:0.4重量%(N−メチルピロリドン溶媒)
・注入量:10μL
・標準ポリスチレン換算
・検出:RI検出器
このような分子量の水溶性ポリマーが本発明の眼用レンズの中に存在することにより、これらのレンズは表面改質を伴わずに使用中における涙液成分等の表面付着が実質的に生じない状態を保つことができる。一般的な使用期間は少なくとも約8時間、好ましくは続けて数日間の装着、さらに好ましくは取り外し無しで24時間以上を含む。また、涙液成分等の表面付着が実質的に生じない状態とは、一定のスリット・ランプにより見た場合に、一定の患者の母集団において装着されているレンズの内の少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、さらに好ましくは約100%がその装着期間において全くまたはわずかな付着率を示していることを意味している。
【0042】
前記水溶性ポリマーの分子量分布は多峰性であることがより好ましい。多峰性とは二峰性も含むものとする。その場合、該水溶性ポリマーの重量平均分子量は3000〜100,000の範囲に少なくとも1つ、100,000〜2,000,000の範囲に少なくとも1つ、合計2つ以上の分子量ピークを有することが好ましい。さらに好ましくは5000〜100,000の範囲に少なくとも1つ、150,000〜1,500,000の範囲に少なくとも1つ、合計2つ以上の分子量ピークを有することである。このような分子量分布が多峰性の水溶性ポリマーを含有することにより、より改良された眼用レンズの湿潤性と、より改良されたプランルカストの徐放性が付与できる。
【0043】
このような分子量分布が多峰性の水溶性ポリマーを含有させる方法としては、最も簡便には異なる重量平均分子量を有する2種類以上のグレードの水溶性ポリマーを含有させる方法が挙げられる。
【0044】
また、分子内に重合性官能基を有する水溶性ポリマーを使用することも好適である。重合性官能基を有する水溶性ポリマーの使用によっても、より改良された眼用レンズの湿潤性と、より改良されたプランルカストの徐放性が付与できる。
【0045】
本発明において水溶性ポリマーの含有量は1〜40重量%が好ましく、さらに好ましくは3〜30重量%、最も好ましくは5〜25重量%である。これらの値は該水溶性ポリマーを含む眼用レンズの乾燥重量を100重量%としたときの値である。
【0046】
前記水溶性ポリマーの好適な例は、種々のポリアミド、ポリラクトン、ポリイミド、ポリラクタムおよび、一定の比較的に少ないモル量のHEMA等のような一定のヒドロキシル官能性のモノマーと共にN,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)を共重合してからその得られたコポリマーにおけるヒドロキシル基をイソシアナトエチルメタクリレートまたはメタクリロイル・クロリド等のようなラジカルな重合性の基を含む種々の材料と共に反応させることにより官能性化されているDMA等のような、官能性化した種々のポリアミド、ポリラクトン、ポリイミド、ポリラクタムを含む。また、グリシジルメタクリレートを伴うDMAまたはN−ビニルピロリドンにより作成されている種々の水溶性ポリマーも使用可能である。すなわち、上記のグリシジルメタクリレートのリングは開環して一定の混合系において別の水溶性のプレポリマーと共に使用可能になる一定のジオールを生じることができ、これにより、上記の水溶性ポリマー、ヒドロキシル官能性化シリコーン含有モノマーおよび相容性の賦与に関与する任意の別の基の相容性が高まる。好ましい水溶性ポリマーはそれぞれの主鎖において一定の環状部分、さらに好ましくは一定の環状アミドまたは環状イミドを含むポリマーである。また、このような水溶性ポリマーはポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、およびポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル/ポリビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリ−2−エチルオキサゾリン、ヘパリンポリサッカリド、ポリサッカリド、セルロース、各種セルロース誘導体、およびこれらの混合物およびコポリマー(ブロックまたはランダム状、分枝状、多数鎖状、くし形状または星形状を含む)を含む。これらの中で、湿潤性に優れ、涙液成分の付着抑制効果に優れる点で、ポリ(ビニルピロリドン)が特に好ましい。また、ポリ(ビニルピロリドン)の種々のグラフトコポリマーも好適に使用できる。
【0047】
本発明の眼用レンズにおいては、良好な機械物性が得られ、消毒液や洗浄液に対する良好な耐性が得られるという意味で、1分子中に2個以上の共重合可能な炭素炭素不飽和結合を有するモノマーを共重合成分として用いることが好ましい。1分子中に2個以上の共重合可能な炭素炭素不飽和結合を有するモノマーの共重合比率は0.1〜20重量%が好ましく、0.3〜15重量%がより好ましく、0.5〜10重量%がさらに好ましい。
【0048】
本発明の眼用レンズは、紫外線吸収剤や色素、着色剤などを含むものでもよい。また重合性基を有する紫外線吸収剤や色素、着色剤を共重合した形で含有してもよい。
【0049】
本発明の眼用レンズを重合により得る際は、重合をしやすくするために過酸化物やアゾ化合物に代表される熱重合開始剤や、光重合開始剤を添加することが好ましい。熱重合を行う場合は、所望の反応温度に対して最適な分解特性を有するものを選択して使用する。一般的には10時間半減期温度が40℃〜120℃のアゾ系開始剤および過酸化物系開始剤が好適である。光重合開始剤としてはカルボニル化合物、過酸化物、アゾ化合物、硫黄化合物、ハロゲン化合物、および金属塩などを挙げることができる。これらの重合開始剤は単独または混合して用いられ、およそ1重量%くらいまでの量で使用される。
【0050】
本発明の眼用レンズを重合により得る際は、重合溶媒を使用することができる。溶媒としては有機系、無機系の各種溶媒が適用可能であり特に制限はない。例を挙げれば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、tert−ブタノール、tert−アミルアルコール、3,7−ジメチル−3−オクタノールなどの各種アルコール系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィンなどの各種脂肪族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチル、二酢酸エチレングリコールなどの各種エステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体などの各種グリコールエーテル系溶剤であり、これらは単独あるいは混合して使用することができる。
【0051】
本発明の眼用レンズの重合方法、成形方法としては通常の方法を使用することができる。たとえば一旦、丸棒や板状に成形し、これを切削加工等によって所望の形状に加工する方法、モールド重合法、およびスピンキャスト法などである。
一例として本発明の眼用レンズをモールド重合法により得る場合について、次に説明する。
【0052】
モノマー組成物を一定の形状を有する2枚のモールドの空隙に充填する。そして光重合あるいは熱重合を行ってモールドの形状に賦型する。モールドは樹脂、ガラス、セラミックス、金属等で製作されているが、光重合の場合は光学的に透明な素材が用いられ、通常は樹脂またはガラスが使用される。ポリマーを製造する場合には、多くの場合、2枚の対向するモールドにより空隙が形成されており、その空隙にモノマー組成物が充填されるが、モールドの形状やモノマーの性状によってはポリマーに一定の厚みを与え、かつ、充填したモノマー組成物の液もれを防止する目的を有するガスケットを併用してもよい。続いて、空隙にモノマー組成物を充填したモールドは、紫外線のような活性光線を照射されるか、オーブンや液槽に入れて加熱されて、モノマーを重合する。光重合の後に加熱重合したり、逆に加熱重合後に光重合するなど、両者を併用する方法もあり得る。光重合の場合は、例えば水銀ランプや捕虫灯を光源とする紫外線を多く含む光を短時間(通常は1時間以下)照射するのが一般的である。熱重合を行う場合には、室温付近から徐々に昇温し、数時間ないし数十時間かけて60℃〜200℃の温度まで高めていく条件が、ポリマーの光学的な均一性、品位を保持し、かつ再現性を高めるために好まれる。
【0053】
本発明の眼用レンズは、プランルカストを含有するものであり、プランルカストが眼用レンズを構成する素材中に溶解ないし分散されている。プランルカストを眼用レンズ中に溶解ないし分散させる方法の好適な例として、眼用レンズの原料モノマーまたは原料マクロモノマー混合液中にプランルカストを混合した状態で眼用レンズを重合させる方法が挙げられる。また別の好適な方法としては眼用レンズをプランルカスト溶液中に浸漬して含浸させる方法が挙げられる。
【0054】
本発明の眼用レンズは、治療に十分量のプランルカストを含有しており、なおかつ眼用レンズの装用時に有効量プランルカストを徐放する。この有効量とは、望まれる有益な効果を与えるために必要なプランルカスト量を意味する。有効量とは、例えば、かゆい目やはれた瞼等のような目のアレルギーの症状からの軽減を装着者に与えるのに十分な量である。ただし、前記十分量および該有効量は、それぞれの眼用レンズの装用期間、装用方法(終日装用か連続装用か)に対して変化するものであり適宜選択される。
【0055】
眼用レンズをプランルカスト溶液中に浸漬して含浸させる方法の場合、プランルカスト溶液に使用する溶媒は有機系、無機系の各種溶媒が適用可能である。好適な例を挙げれば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、tert−ブタノール、tert−アミルアルコール、3,7−ジメチル−3−オクタノールなどの各種アルコール系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィンなどの各種脂肪族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチル、二酢酸エチレングリコールなどの各種エステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体などの各種グリコールエーテル系溶剤であり、これらは単独あるいは混合して使用することができる。
【0056】
本発明の眼用レンズは、種々の方法で改質処理を行うことができる。表面の水濡れ性を向上させる改質処理を行うことが好ましい。
【0057】
具体的な改質方法としては、電磁波(光を含む)照射、プラズマ照射、蒸着およびスパッタリングなどのケミカルベーパーデポジション処理、加熱、塩基処理、酸処理、その他適当な表面処理剤の使用、およびこれらの組み合わせを挙げることができる。これらの改質手段の中で、簡便であり好ましいのは塩基および酸処理である。
【0058】
塩基処理または酸処理の一例としては、眼用レンズを塩基性または酸性溶液に接触させる方法、眼用レンズを塩基性または酸性ガスに接触させる方法等が挙げられる。そのより具体的な方法としては、例えば塩基性または酸性溶液に眼用レンズを浸漬する方法、眼用レンズに塩基性または酸性溶液または塩基性または酸性ガスを噴霧する方法、眼用レンズに塩基性または酸性溶液をヘラ、刷毛等で塗布する方法、眼用レンズに塩基性または酸性溶液をスピンコート法やディップコート法などを挙げることができる。最も簡便に大きな改質効果が得られる方法は、眼用レンズを塩基性または酸性溶液に浸漬する方法である。
【0059】
眼用レンズを塩基性または酸性溶液に浸漬する際の温度は特に限定されないが、通常−50℃〜300℃程度の温度範囲内で行われる。作業性を考えれば−10℃〜150℃の温度範囲がより好ましく、−5℃〜60℃が最も好ましい。
眼用レンズを塩基性または酸性溶液に浸漬する時間については、温度によっても最適時間は変化するが、一般には0.1〜100時間が好ましく、0.3〜24時間以内がより好ましく、0.5〜12時間以内が最も好ましい。接触時間が短すぎると十分な処理効果が得られず、接触時間が長すぎると、作業性および生産性が悪くなるばかりでなく、酸素透過性の低下や機械物性の低下などの悪影響が出る場合がある。
【0060】
塩基としてはアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、各種炭酸塩、各種ホウ酸塩、各種リン酸塩、アンモニア、各種アンモニウム塩、各種アミン類およびポリエチレンイミン、ポリビニルアミン等の高分子量塩基などが使用可能である。これらの中では、低価格であることおよび処理効果が大きいことからアルカリ金属水酸化物が最も好ましい。
【0061】
酸としては硫酸、リン酸、塩酸、硝酸等の各種無機酸、酢酸、ギ酸、安息香酸、フェノール等の各種有機酸、およびポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸などの各種高分子量酸が使用可能である。これらの中では、処理効果が大きく他の物性への悪影響が少ないことから高分子量酸が好ましく、それらのうち、酸性度や溶解性の点でポリアクリル酸が最も好ましい。
【0062】
塩基性または酸性溶液の溶媒としては、無機、有機の各種溶媒が使用できる。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの各種アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィンなどの各種脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチルなどの各種エステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルなどの各種エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ジメチルスルホキシドなどの各種非プロトン性極性溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレンなどのハロゲン系溶媒、およびフロン系溶媒などである。中でも経済性、取り扱いの簡便さ、および化学的安定性などの点で水が最も好ましい。溶媒としては、2種類以上の物質の混合物も使用可能である。
【0063】
本発明において使用される塩基性または酸性溶液は、塩基性または酸性物質および溶媒以外の成分を含んでいてもよい。
【0064】
眼用レンズは、塩基処理または酸処理の後、洗浄により塩基性または酸性物質を除くことができる。
【0065】
洗浄溶媒としては、無機、有機の各種溶媒が使用できる。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの各種アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィンなどの各種脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチルなどの各種エステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルなどの各種エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ジメチルスルホキシドなどの各種非プロトン性極性溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレンなどのハロゲン系溶媒、およびフロン系溶媒などである。
【0066】
洗浄溶媒としては、2種類以上の溶媒の混合物を使用することもできる。洗浄溶媒は、溶媒以外の成分、例えば無機塩類、界面活性剤、および洗浄剤を含有してもよい。
【0067】
該改質処理は、眼用レンズ全体に対して行ってもよく、例えば表面のみに行うなど眼用レンズの一部のみに行ってもよい。表面のみに改質処理を行った場合には眼用レンズ全体の性質を大きく変えることなく表面の水濡れ性のみを向上させることができる。
【0068】
本発明の眼用レンズの酸素透過性は、低すぎると、特に長時間装用時に酸素不足による眼障害が起こるリスクが高くなり、高くしようとしすぎると他の眼用レンズに必要とされる諸物性の低下を招くことから、酸素透過係数70×10−11〜500×10−11(cm/sec)mLO/(mL・hPa)が好ましい。
【実施例】
【0069】
実施例1
下記式(y1)
【0070】
【化7】

【0071】
で表されるシリコーン化合物(28.8重量部)、N,N−ジメチルアクリルアミド(35.5重量部)、下記式(y2)
【0072】
【化8】

【0073】
で表される片末端がメタクリル化されたポリジメチルシロキサン(分子量約1000、28.8重量部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(3.8重量部)、トリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(3.0重量部)、ポリ(ビニルピロリドン)(K−90、重量平均分子量53万、6重量部)、ポリ(ビニルピロリドン)(K−30、重量平均分子量4.5万、4重量部)、光開始剤イルガキュア1850(1.0重量部)、3,7−ジメチル−3−オクタノール(46重量部)、およびプランルカスト(0.1重量部)を混合し撹拌した。このモノマー混合物をアルゴン雰囲気下で脱気した。窒素雰囲気下のグローブボックス中でポリエチレン製コンタクトレンズ用モールドの空隙に、モノマー混合物を流し込んで、光照射(東芝FL6D蛍光灯、8.4キロルクス、15分間)により重合してコンタクトレンズを得た。
【0074】
得られたコンタクトレンズを、水中で超音波を20分間あててモールドから剥離し、60%イソプロピルアルコール(IPA)水溶液に60℃で一晩浸漬し、さらに80%IPA水溶液に60℃、2時間浸漬して残存モノマーなどの不純物を抽出し、50%IPA水溶液、25%水溶液、水と段階的にIPA濃度を下げた液におよそ30分ずつ浸漬して水和した。200mLガラス瓶中のホウ酸緩衝液(pH7.1〜7.3)に浸漬し、該ガラス瓶をオートクレーブに入れ、121℃で30分間煮沸処理を行った。放冷後、コンタクトレンズをガラス瓶から取り出し、ホウ酸緩衝液(pH7.1〜7.3)に浸漬した。
【0075】
実施例2
モノマー組成を、式(y1)で表されるシリコーン化合物(23重量部)、下記式(y3)
【0076】
【化9】

【0077】
で表されるシリコーン化合物(35重量部)、N,N−ジメチルアクリルアミド(28重量部)、ポリ(ビニルピロリドン)(K−90、重量平均分子量53万、8重量部)、ポリ(ビニルピロリドン)(K−30、重量平均分子量4.5万、5重量部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(12重量部)、トリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(1重量部)、両末端がメタクリル化されたポリジメチルシロキサン(信越化学X−22−164A、1重量部)、プランルカスト(0.2重量部)、光開始剤イルガキュア1850(1重量部)、および3,7−ジメチル−3−オクタノール(14重量部)の混合物に変えて実施例1と同様の重合、後処理を行い、コンタクトレンズを得た。
【0078】
実施例3
モノマー組成を、式(y1)で表されるシリコーン化合物(23重量部)、式(y3)で表されるシリコーン化合物(35重量部)、N,N−ジメチルアクリルアミド(28重量部)、ポリ(ビニルピロリドン)(K−90、重量平均分子量53万、8重量部)、ポリ(ビニルピロリドン)マクロモノマー(米国特許5,364,918の実施例1および2の方法に従って合成、重量平均分子量8.7万、5重量部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(12重量部)、トリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(1重量部)、両末端がメタクリル化されたポリジメチルシロキサン(信越化学X−22−164A、1重量部)、プランルカスト(0.2重量部)、光開始剤イルガキュア1850(1重量部)、および3,7−ジメチル−3−オクタノール(14重量部)の混合物に変えて実施例1と同様の重合、後処理を行い、コンタクトレンズを得た。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、治療剤を含有した眼用レンズである。眼用レンズのより具体的な例としては、コンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイ・レンズ、接眼インサート、光学インサート、および人工角膜などを挙げることができるが、特にコンタクトレンズとして好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその水和物を含有することを特徴とする眼用レンズ。
【請求項2】
前記眼用レンズがシリコーンハイドロゲルからなる眼用レンズであることを特徴とする請求項1に記載の眼用レンズ。
【請求項3】
前記眼用レンズが、水溶性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の眼用レンズ。
【請求項4】
前記水溶性ポリマーの分子量分布が多峰性であることを特徴とする請求項3に記載の眼用レンズ。
【請求項5】
前記水溶性ポリマーがポリビニルピロリドンであることを特徴とする請求項3または4記載の眼用レンズ。
【請求項6】
前記眼用レンズが、ケイ素原子を2〜30重量%含有することを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の眼用レンズ。
【請求項7】
前記眼用レンズ中のケイ素原子数のうち、30%以上が極性シロキサニルモノマー由来のケイ素原子であることを特徴とする請求項6に記載の眼用レンズ。
【請求項8】
前記極性シロキサニルモノマーの極性基が、水酸基、アミド基、カルボキシル基、アミノ基、カーボネート基、カーバメート基、スルホンアミド基、スルホン酸基、ホスホン酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基からなる群から選ばれた基であることを特徴とする請求項7に記載の眼用レンズ。
【請求項9】
前記シロキサニルモノマーのうち、少なくとも1種類が下記一般式(a)
M−L−Sx (a)
で表される構造を有するものであることを特徴とする請求項7または8に記載の眼用レンズ。
(Mはラジカル重合可能な重合性基を表す。Lは炭素数1〜20の置換されていてもよい2価の有機基を表す。Aはシロキサニル基を表す。)
【請求項10】
前記式(a)中のLが下記一般式(b)、(c)
【化1】

のいずれかであることを特徴とする請求項9に記載の眼用レンズ。
(jは1〜20の整数を表す。kは1〜6の整数を表し、mは1〜17の整数を表す。ただし、3k+m≦20である。)
【請求項11】
前記式(a)中のLが一般式(c)で表される基であることを特徴とする請求項10に記載の眼用レンズ。
【請求項12】
前記シロキサニルモノマーのうち、少なくとも一種類が下記式(d)、(e)および(g)
【化2】

からなる群から選ばれたモノマーであることを特徴とする請求項9に記載の眼用レンズ。(式(g)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を表す。nは1〜20の整数を表す。)
【請求項13】
前記シロキサニルモノマーのうち、少なくとも1種類が式(e)および(g)からなる群から選ばれた極性シロキサニルモノマーであることを特徴とする請求項12に記載の眼用レンズ。
【請求項14】
前記眼用レンズが、コンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイ・レンズ、接眼インサート、光学インサート、および人工角膜から選ばれた1種であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の眼用レンズ。
【請求項15】
前記眼用レンズが、コンタクトレンズであることを特徴とする請求項14に記載の眼用レンズ。

【公開番号】特開2009−204770(P2009−204770A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45617(P2008−45617)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】