説明

着色された透明な調理台

本発明は、主結晶相として高温石英混晶を有するガラスセラミックから成る、色の表示性が改善された、着色された透明な調理台に関し、これは前記ガラスセラミックが、不可避の痕跡量を除いて、化学的清澄剤の酸化ヒ素及び/又は酸化アンチモンを含まない調理台である。このような調理台において、明らかに改善された情報内容を有する改善された稼働表示をユーザーに提供するため、本発明によれば、前記ガラスセラミックの透過度が、450nmよりも長いあらゆる波長における可視光範囲で0.1%より大きく、可視光で光透過性が0.8〜5%(好適には0.8〜2.5%)であり、1600nmの赤外線での透過性は45〜85%であり、前記調理台は表示装置を備え、前記表示装置は、様々な稼働状態を様々な色及び/又は記号で表示する表示設備を有するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主結晶相として高温石英混晶を有するガラスセラミックから成る、着色された透明な調理台、並びに当該調理台の製造方法に関する。
【0002】
調理台としてガラスセラミック板を有する調理領域は、従来技術である。このようなガラスセラミック板は通常、平らなプレートとして存在するか、又は三次元形状に成形されている。
【0003】
主結晶相として高温石英混晶を有するガラスセラミックは、結晶化可能なリチウムアルミニウムケイ酸塩のガラスから製造される。
【0004】
このガラスセラミックの製造は、複数の工程で行われる。
【0005】
ガラスセラミックを大規模工業的に製造する場合、シャード(Scherben)と粉末状混合原料とからの混合物から得られる、結晶化可能な出発ガラスをまず、通常は1500〜1650℃の温度で溶融させる。溶融の際、典型的には酸化ヒ素及び/又は酸化アンチモンが清澄剤として使用される。これらの清澄剤は、必要とされるガラスセラミック特性を損なうことなく(vertraeglich)、これにより溶融物の良好な気泡品質が得られる。これらの物質がたとえ固体でガラス骨格中に結合されていたとしても、清澄剤は安全性と環境保護の観点から欠点となる。そこで原料を得る際、原料を準備する際、及び蒸発のため溶融時には特に注意深い措置を取る必要がある。
【0006】
最近、問題のない清澄剤として、とりわけSnO2を用いることが記載されている。良好な気泡品質を達成するため、慣用の溶融温度(最大約1680℃)でSnO2の他に好ましくはハロゲン化化合物が、付加的な清澄剤として使用される。そこで日本国特許出願JP 11 100 229 A、及びP 11 100 230 Aには、SnO2を0.1〜2質量%、及びClを0〜1質量%使用することが記載されている。これらの文献によれば着色は、唯一の着色剤としてV25を添加することによって達成される。
【0007】
SnO2による清澄剤を補助するため、フッ素を0.05〜1質量%(US 2007 0004578 A1)、臭素を0.01〜1質量%(US 2008 0026927 A1)添加することが、同様に開示されている。これらの文献にも、清澄温度は1700℃未満と記載されている。主な着色剤は、V25である。ハロゲン化物の添加は、ハロゲン化物が溶融温度で激しく蒸発し、その際に毒性のある化合物、例えばHFが形成されるため、問題がある。
【0008】
良好な気泡品質を達成するため、SnO2を高温清澄剤と組み合わせて1700℃超で使用することは、DE 199 39 787 C2に記載されている。しかしながらこの文献は、450nmからの波長範囲で良好な表示性が達成されることについて、何ら示唆していない。
【0009】
溶融及び清澄化の後、ガラスは通常ローラにより、又は近年はフロートで熱成形してプレートを製造する。経済的に製造するため、低い溶融温度、及び低い加工温度(VA)が望ましい一方で、ガラスは成形時に失透(Entglasung)を起こしてはならない。これはつまり、出発ガラス、及び出発ガラスから製造されるガラスセラミックで強度を損なうこととなる、厄介な結晶が形成されてはならないということである。成形はガラスの加工温度(VA)の近くで起こるので(粘度は104dPas)、溶融物の失透温度上限が、加工温度近辺に、好ましくは加工温度未満であることが保証され、問題となる結晶の形成が回避されなければならない。
【0010】
引き続き、出発物質は制御された結晶化によってガラスセラミック製品にされる。これらのセラミック化は二段階の温度プロセスで行われ、まず核形成によって680℃〜800℃の間の温度で核、通常はZrO2/TiO2混晶から成る核が生成する。SnO2も、核形成に関与しうる。引き続き温度上昇により、高温石英の混晶がこの核上に成長する。経済的で迅速なセラミック化に望まれるような高い結晶成長速度は、850〜950℃の温度で達成される。この最大製造温度の場合、ガラスセラミックの構造は均質化され、ガラスセラミックの光学的、物理的、及び化学的な特性が調整される。所望の場合、高温石英混晶を引き続きさらにキータイト(Keatit)混晶に変換できる。キータイト混晶への変換は、約950〜1200℃の範囲への温度上昇によって起こる。高温石英からキータイト混晶への変換により、ガラスセラミックの熱膨張係数と透明度が、結晶増大に起因する光散乱によって低下する。よって主相としてキータイト混晶を有するガラスセラミックは通常、透光性であるか、又は半透明であり、このことと結びついた光散乱は、表示性に対して否定的に作用する。
【0011】
主結晶相としての高温石英混晶によるこのガラスセラミックの重要な特性は、室温〜700℃の範囲で非常に低い熱膨張係数を有し、さらには<0.5×10-6/Kという熱膨張係数を有する、材質の製造性である。熱膨張が低いため、このようなガラスセラミックは、優れた温度差強度(Temperaturunterschiedsfestigkeit)、及び熱衝撃耐性(Temperaturwechselbestaendigkeit)を有する。
【0012】
調理台として適用する際には、実際の使用で必要とされるため、非常に特殊な、一部慣用の要求が透過性について存在する。
【0013】
ガラスセラミック製調理台の下の技術的な構成要素が透けて見えてしまわないように、また放射熱源体によるまぶしい作用、とりわけ明るいハロゲン熱源体によるまぶしい作用を避けるため、ガラスセラミック製調理台は光透過性の点で制限されている。その一方では稼働の間、燃焼の危険性を排除するため、低出力でも放射熱源体が良好に認識できるのが望ましかった。しかしながらこのような調理台のスイッチを切ると、使用され、存在している材料の熱容量によってなお著しい熱が存在するにも拘わらず、緑色の後に加熱要素の冷却はもはや見えなくなるが、この熱は、深刻な傷害をもたらすには充分である。その表示性についても、一定の光透過性が必要である。と言うのも、通常の赤い発光ダイオードが、調理プレートの下側に組み込まれているからである。これらの要求を満たすために、ガラスセラミック製調理台は通常、光透過性の値が0.5〜2.5%に調整される。このことは、着色性元素の添加によって達成される。そこでガラスセラミックの調理台は、使用される着色性元素(Farbelement)に依存して、光透過性の低さが原因で、上から見ると黒く、使用される着色性元素によって透かして見ると(in Durchsicht)大抵は赤、赤紫、又は茶色っぽいオレンジに見える。
【0014】
色の表示部は、発光性電気部材、大抵は発光ダイオードから成り、これらは調理台の下側に取り付けられている。これは条件の穏和性、及び安全な稼働が望まれるからである。そこで例えば、様々な調理ゾーンの実際の加熱性能又は予熱は、視覚的に示される。予熱の表示は、熱源体が光らない場合、又は誘導化で加熱された調理台であれば、通常は調理台が熱いかどうか分からない場合に、より安全な取り扱いのために重要となる。赤い発光ダイオードは通常、630nmの波長を放射する。条件の穏和性、及び工業的な機能を改善するため、また家庭用品製造業者がデザインを差別化できるように、通常の赤い表示の他に、別の色の表示が望まれている。
【0015】
LCD表示を備える日本由来の調理台は公知であり、この表示は緑、オレンジ、及び赤を背面から照らすことができる。
【0016】
ここでは赤を除く様々な色が使用されているが、これらの色は今日、美的な観点でのみ役立っている。しかしながら赤い色は通常、常に危険を示す。
【0017】
安全に関する情報は、7つのセグメント表示における同じ色の表示要素又は記号によってのみコード化されており、これが公知である。安全性が脅かされる状況では、使用者はこの表示が何を表示しているのか考えなければならない。さらにここで、台所や、台所にある多くの装置、例えば調理釜、パン焼き釜、電子レンジ、オーブン、圧力釜、排気ダクト、冷蔵庫、及び冷蔵庫、並びにパン切り器などといった高度な技術によって、使用者には数多くの情報がもたらされるが、その情報は装置ごとに異なっている。例えば赤い点滅光は、ある装置では危険を表すが、別の装置では赤の点滅光は稼働状態を示す。
【0018】
さらに使用者は、色によって稼働状態及び欠陥状態を認識できない。つまり、どの程度装置が稼働準備状態なのか、また欠陥状態の可能性について示唆されているのかどうかわからない。
【0019】
赤外線では、調理台の透過性が45〜85%であるのが望ましい。
【0020】
赤外線で透過性が高いことは有利である。なぜならば、照射が直接鍋底に当たり、その箇所で吸収され、このためより迅速な調理ができるからである。透過性が高過ぎる場合、調理台の周辺は誤用により、例えば熱が放射されていない調理領域で、鍋の移動により激しく加熱されることがある。
【0021】
以前のタイプのガラスセラミック製調理台の1つとして、SCHOTT AG製のCeran Colo(登録商標)という名称のものが知られており、これは良好な色表示性能を有していた。Ceran Colo(登録商標)はNiO、CoO、Fe23、及びMnOの添加により着色され、Sb23によって清澄化されている。こうした着色性酸化物の組み合わせにより、通常厚さ4mmの調理台について、光透過性は典型的には1.2%に調整される。380〜500nmの範囲での透過性は、波長に応じて0.1%〜2.8%である。赤色発光ダイオードに慣用の630nmという波長の場合、透過性は約6%である。この以前のタイプのガラスセラミック製調理台の欠点は、使用される着色性酸化物が、非常に激しく赤外線を吸収することである。1600nmでのIR透過性は、20%未満である。これにより、調理速度は短くなる。Ceran Color(登録商標)の透過性曲線は、"Low Thermal Expansion Glass Ceramics"、Hans Bach編、Springer-Verlag Berlin Heidelberg 1995、66pに図示されている。その組成は、"Glass-Ceamic Technology", Wolfram Hoeland及びGeorge Beall著, The American Ceramic Society 2002、表2〜7に説明されている。
【0022】
より新しい、さらに発展したガラスセラミック製調理台では、たいていV25が着色のために使用される。なぜならV25には、可視光の範囲では吸収し、赤外線照射の範囲では高い透過性を得るという特別な特性があるからである。
【0023】
25による着色は、本当に複雑なプロセスである。以前の試験(DE 19939787 C2)で説明されているように、酸化バナジウムを着色可能な状態にするためには、レドックス工程がその前提となる。結晶化可能な出発ガラスでは、V25はまだ着色性が比較的弱く、簡単に緑の色調になってしまう。セラミック化においてレドックス工程が起こり、バナジウムが還元され、レドックスのパートナーが酸化される。第一レドックスパートナーとして働くのは、清澄剤である。Moessbauerの試験により、Sbで、及びSnで清澄化された組成が示されている。セラミック化では、出発ガラス中のSb3+若しくはSn2+の一部が、より酸化段階の高いSb5+若しくはSn4+になる。還元された酸化段階のバナジウムが、V4+又はV3+で種結晶に組み込まれ、そこで電子的な電荷交換反応により、激しく着色される。さらなるレドックスパートナーとしてはまた、TiO2により酸化バナジウムによる着色を強化することができる。出発ガラス中のレドックスパートナーの種類と量のほかに、ガラス中に溶融物で調整されるレドックス状態も影響を与える。酸素分圧pO2の低さ(還元性に調整された溶融物)は、例えば高い溶融温度によって、酸化バナジウムの着色作用を強化する。
【0024】
酸化バナジウムの着色作用へのさらなる影響には、セラミック化条件がある。高いセラミック化温度はとりわけ、より強度に着色するための、高いセラミック化温度及びより高いセラミック化時間につながる。
【0025】
25による着色における上記相関関係は当業者に利用され、溶融物におけるpO2の特定のガラス組成、特定のレドックス調整、及びセラミック化条件によって、所望の透過性勾配が調整される。しかしながら、あらゆる要望を達成すること、例えば規格に適合する(spezifikationsgerecht)光透過性、高いIR透過性、並びに標準的な赤い発光ダイオードのための表示性と、その他の色を光表示するための所望の改善された表示性を共に有することは、これまで不可能であった。
【0026】
酸化バナジウムの吸収バンドという形態、これに起因する450nmより大きく、750nmという上限までであらゆる波長範囲における可視光範囲の透過性は、より高い透過性に適合させることはできなかった。
【0027】
このようにV25で着色されたガラスセラミック製調理台の例は、Sb23で清澄化されたCeran Hightrans(登録商標)であり、SnO2で清澄化されたCeran Suprema(登録商標)であり、これらはSCHOTT AG社製のものである。これら2つのガラスセラミックの透過性曲線は、"Low Thermal Expansion Glass Ceramics", Second Edition, Hans Bach編、Dieter Krause, Springer-Verlag Berlin Heidelberg 2005、63p(ISBN 3-540-24111 -6)に開示されている。
【0028】
0.1%という透過度は、いわゆるガラスセラミック製調理台で、及び他の市販のガラスセラミック製調理台で見えるようにするために色が付いている表示、とりわけ青い、及び緑の表示のために重要となる約450〜550nmの波長を下回っている。透過性に対する他の基本的な要求は、これらのガラスセラミック製調理台について満たされている。早い調理速度のための赤外線透過性、標準的な赤色発光ダイオード(約630nm、及び1.5%という光透過性)という規格に適合する透過性。
【0029】
これらの欠点を取り除くために、欧州特許出願EP 1465460 A2は、CIE色系で測定して、標準光CでY値(明度)が2.5〜15のガラスセラミック調理台(厚さは3mm)を開示している。「明度」と、光透過性という言葉は同じ測定尺度に対応する。Y値は、DIN 5033によって測定される光透過性の値と同一である。この光透過性によって、青色の、及び緑色の発光ダイオードに対して改善された表示が達成される。開示された組成は、AS23及び/又はSb23によって、一部はSnO2と組み合わせて清澄化されている。着色は、V25によって行われる。
【0030】
1.9%の光透過性では、記載された材料組成による青色の、及び緑色の発光ダイオードに対する表示性は不充分であることが、その比較例で示されている。しかしながら、少なくとも2.5%、好ましくはそれ以上という高い値の光透過性は、調理台下部にある電子部材の被覆という点で不利である。その上、上から調理台を見たときの黒くて美しい画像が損なわれている。
【0031】
本発明の課題は、改善された表示性を有しており、そのため使用者が一義的に、かつ直感的に危険な状況を把握可能な、冒頭で述べた種類の調理台を提供することである。
【0032】
本発明による調理台は、調理台に求められる他のすべての要求を満たす。そのような要求は例えば:化学的耐性、温度負荷耐性、及びその特性変化という点での高い温度/時間負荷耐性(例えば熱膨張、透過性、応力構造)である。
【0033】
本発明のさらなる課題は、危険察知を可能にする、調理台の稼働状態を表示するための方法である。
【0034】
これらの課題は、請求項1に記載の調理台、及び請求項24に記載の方法により解決される。有利なさらなる条件は、それぞれの従属請求項に記載されている。
【0035】
着色された調理台は、450nmより大きいあらゆる波長範囲における可視光範囲で透過度が0.1%より大きく、可視光での光透過性が0.8〜5%(好適には0.8〜2.5%)であり、赤外線での透過性が1600nmで45〜85%である。
【0036】
0.8〜2.5%という本発明による光透過性によって、ガラスセラミック製調理台の下にある技術的な構成要素が透けて見えてしまうことが防止され、上から見たときの黒くて美しい画像が保証される。光る熱源は稼働状態で可視化でき、通常の赤い発光ダイオード表示は良好に視認できる。450nmより大きいあらゆる波長範囲における可視光範囲で0.1%超という透過性により、他の色の表示も良好に認識できる。市販の青色、緑色、黄色、又はオレンジ色の発光異体オードの発光力という観点から、この透明度は充分であり、これは従来技術に対して明らかな改善である。とりわけ、青色と緑色の表示が明らかに改善された。白色光を有する表示は、450nmより大きいあらゆる波長範囲における透過性勾配により、色的にそれほど損なわれない。
【0037】
本発明によれば調理台の色表示、とりわけ多色表示は、調理台の裏側から表示要素に光を照射し、それからその光を適切に観察者の前面側に知覚させることによって実現可能である。このため、調理台の透過性挙動により、様々な熱状態及び/又は欠陥状態の一義的な表現が可能になる。
【0038】
様々な熱状態を示すために、本発明によればとりわけ、熱によって赤い、オレンジ色の、又は青い色調を伝達する表示を使用する。ここで赤い色は熱い、オレンジの色は暖かい、青色の表示は冷たいを表す。この表示は例えば、赤色発光領域、場合によりオレンジ色発光領域、及び場合により青色発光領域を有し、これらはとりわけLEDから形成されている。これに加えて、一つの領域内で、又は様々な色領域に沿って、若しくは様々な色セグメントに沿って、非段階的に勾配を経て色の交代が起こる光領域を企図することができる。
【0039】
2つの実施態様に共通しているのは、利用者が利用領域を熟知していなくても、又は表示がどのような意味を持っているのかを考慮しなくても、色のコード化によって直感的に装置の熱状態がわかるということである。段階的に、又は連続的に非段階的に、及び熱と関連して熱の状態を表示するこれらの色表示は、あらゆる各台所若しくは熱領域の他に、又は適切な操作スイッチに隣接して、又は調理領域の他の表示領域に備えられていてよい。
【0040】
様々な各色領域を、又は色領域を1つだけ有するこのような色領域は、本発明によれば欠陥状態を示すことができる。ここで色勾配は、赤から黄色を経て緑へと行うことができ、とりわけ不連続に、つまり段階的に、赤を経て黄色へ、緑へと行うことができる。ここで赤は安全面で危機的な欠陥状態又は稼働状態を示し、黄色は安全面で危機的ではない欠陥状態を示し、緑は非限定的な稼働準備状態を示す。
【0041】
これはつまり、使用者が日常の生活から親しんでいる色記号によって教えられるということである(赤−青=火−水:赤−黄−緑=信号色)。これにより使用者は、装置の状態を迅速かつ安全に把握することができる。ここでの利点は、人間工学の適用安全性の一義的な向上、及び装置への、とりわけ調理領域への信頼性の一義的な向上が達成されるということである。
【0042】
紫外線領域の350nm未満では、公知のガラスセラミック製調理台の0.01%より明らかに低い透過度が、本発明による調理台によって保証される。UV光のブロックは、有機成分、例えば調理台の下の技術的な組み込み物における接着剤を保護するため、並びに調理の際に保護するため、紫外線照射割合を有する青色発光ダイオードを表示に用いる場合には、有利である。
【0043】
45〜85%という改善された赤外線透過性により(1600nmで測定)、高い調理速度に対する要求は達成され、調理台周辺の容認できない加熱に対する保護が得られる。本発明による透過性度、及び光透過性は、調理台の機能について重要なため、これらは調理台の厚さとは関係無く、通常は2.5〜6mmである。厚さが薄ければ強度の点で不利であり、厚みが厚ければ非経済的である。なぜならば、より多くの材料は、セラミック化速度を低下させるからである、調理台の厚さはたいてい、約4mmである。よって、市販の調理台について記載した透過度、及び実施例で記載した透過度は、別段記載がなければこの層厚に関するものである。ローラ成形によって調理台を製造する場合、製造時に強度を低下させる損傷から保護するため、下側にはたいてい突起が備えられている。色表示範囲にある調理台の下側はしばしば、突起による光学的な歪みを防止するため、透明な有機ポリマーにより平滑化される。突起がない平滑な下面を有する調理台の場合、色表示はゆがまず、鮮明に知覚できる。
【0044】
温度耐性への要求を保証するため、本発明による調理台は、熱膨張係数が1×10-6K未満、好ましくは(0±3)×10-6Kである。
【0045】
つまり本発明による透明な、着色された調理台は、清澄化剤として酸化ヒ素及び/又は酸化アンチモンを使用しないことによって特徴付けられ、このため安全面と環境面から不利な成分を技術的に含まない。不純物としてこれらの成分は通常、500ppm未満の含分で存在する。
【0046】
改善された色表示性を有する、透明な、着色された調理台を製造するための本発明による方法は、主結晶相としての高温石英混晶を有するガラスセラミックが形成されること、不可避の痕跡量を除いて、化学的な清澄剤の酸化ヒ素及び/又は酸化アンチモンを省略できること、前記調理台が、450nmより大きいあらゆる波長範囲における可視光範囲で0.1%より大きい透過度、0.8〜2.5%という可視光での光透過性、1600nmで45〜85%という赤外線での透過性に調整されることによって特徴付けられる。
【0047】
気泡品質を改善させるため、使用されるSnO2の他にさらに、別の清澄添加剤、例えばCeO2、硫酸塩化合物、ハロゲン化化合物を使用することができる。これらの含分は通常、最大1質量%の量に限られている。調理台を製造する際、良好な気泡品質としては、ガラス1kgあたり気泡が10個未満、好ましくは5個未満(大きさが0.1mm超の気泡に対して)が望ましい。
【0048】
調理台の透過性は好ましくは、
450nmで>0.15%、
500nmで>0.15%、
550nmで>0.25%、
630nmで3〜9%、
1600nmで50〜80%
という値であり、可視光での光透過性は1.0〜2.0%に調整されている。
【0049】
これらの値では、色表示性がさらに改善されており、透過性勾配に対する様々な要求は、さらに最適化される。調理台のガラスセラミックの下側にある技術構造の隠蔽性の改善、及び上から見た特に美しい黒い外観は、光透過性が1.7%未満であれば達成される。630nmで3〜9%という調理台の透過度は、市販の調理台の許容値に相応する。これらの値を調節して、慣用の赤色LED表示の画像を、本発明による調理台でも変えずにおくことは有利である。
【0050】
さらに、好ましい実施態様では、調理台の透過性を
400nmで>0.10%、
450nmで>0.15%、
500nmで>0.25%、
550nmで>0.30%、
630nmで3〜9%、
1600nmで50〜80%
という値に調整し、可視光での光透過性を1.0〜1.7%に調整することにより、表示性は改善される。
【0051】
本発明による調理台は好ましくは、ガラスセラミックの組成が、質量%で基本的に以下の酸化物から成る:

【0052】
「基本的に・・・から成る」という言葉は、記載された成分が、全組成物の少なくとも96%、通常は98%であることを意味する。多くの元素、例えばF、Cl、アルカリ金属のRb、Cs、又はHfのような元素は、大規模工業で使用される混合原料では、ありふれた不純物である。他の不純物、例えば元素のGe、希土類金属のBi、W、Nb、Ta、Yのような不純物は、僅かな割合で混ざっていることがある。
【0053】
0.01〜0.06質量%の含分の着色性酸化物V25の他に、さらなる着色性成分、例えばクロム化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、銅化合物、セレン化合物、希土類金属化合物、モリブデン化合物を使用して、着色を補助することができる。さらなる着色性成分の含分は、最大で約1質量%の量に限られる。なぜならば、これらの化合物は通常、赤外線における透過性を低下させるからである。さらに、これらの多価化合物の大部分は、レドックス反応によってV25の着色を妨害し、本発明による透過性の調整を困難にすることがある。
【0054】
50〜400ppmのNd23を添加することにより、ガラスセラミック製調理台にマーキングすることができる。近赤外線(806nm)におけるNdの吸収バンドは、ガラスセラミックの透過度よりも高い範囲にあり、透明スペクトルにおいて非常に際立っている。これによって、調理台材料は製造者にとって安全に配置され(zugeordenet)、光学的なシャード認識法により、良好なリサイクルが可能になる。
【0055】
本発明による調理台を製造するための出発ガラスの水含分は、混合原料の選択、及び溶融の際の工程条件に依存して、通常は0.015〜0.06mol/lである。これは、出発ガラスについて0.16〜0.64mm-1のβ−OH値に相当する。
【0056】
酸化物のLi2O、Al23、及びSiO2は、記載された好ましい限度において、高温石英混晶の必須成分である。Li2O含分は少なくとも3質量%必要であるとは言え、4.2質量%を越えるLi2O含分は、製造工程でしばしば不所望の失透をもたらす。3.2〜4.0質量%という含分が、特に良好な結果につながる。
【0057】
出発ガラスの高粘度を避けるため、及び成形時にムライトが不所望に失透する傾向を抑制するため、Al23含分は、好ましくは最大23質量%、とりわけ22質量%に限られている。SiO2含分は、最大69質量%となる。なぜならば、これらの成分はガラスの粘度を著しく向上させるからである。これらの成分は好ましくは、さらに最大68質量%、さらに最大67質量%の値に限られる。ガラスの良好な溶融のため、及び低い成形温度のために、これより高いSiO2含分は、経済的ではない。SiO2の最少含分は、60質量%、とりわけ62質量%となる。なぜならこのことは、必要となる調理台特性、例えば化学的耐性、及び温度耐性にとって有利だからである。
【0058】
さらなる成分としては、MgO、ZnO、及びP25を、高温石英混晶に組み込むことができる。ZnO含分は、不所望の結晶相(例えば亜鉛スピネル(亜鉛尖晶石))形成という問題があるため、セラミック化では最大2.0質量%、好ましくは最大1.8質量%という値に限られる。MgO含分は、最大1.5質量%、好ましくは最大1.2質量%に限られる。なぜならば、そうでなければガラスセラミックの膨張係数が許容できないほど高くなるからである。MgO含分は、通常少なくとも0.1質量%必要となり、これによりガラスセラミックの熱膨張が否定的な値にならない。
【0059】
アルカリ金属のNa2O、K2O、及びアルカリ土類金属のCaO、SrO、BaO、並びにB23の添加により、ガラス成形時の溶融性と失透安定性が改善される。しかしながらこれらの含分は、これらの成分が結晶相に組み込まれておらず、基本的にはガラスセラミックの残部ガラス相に残っているため、限定される。
【0060】
この含分が高すぎれば、ガラスセラミックの熱膨張が許容できないほど高まり、結晶化可能な出発ガラスをガラスセラミックに変換する際に結晶挙動が損なわれ、ここではとりわけ早すぎるセラミック化速度につながる。さらに、より多い含分は、ガラスセラミックの時間負荷耐性/温度負荷耐性という点で不利である。アルカリ金属のNa2O+K2Oの合計は、少なくとも0.2質量%、好ましくは少なくとも0.4質量%であり、最大1.5質量%、好ましくは最大1.2質量%である。
【0061】
アルカリ土類金属の合計(CaO+SrO+BaO)は最大4質量%であり、好ましくは少なくとも0.1質量%である。
【0062】
上記のアルカリ金属とアルカリ土類金属は、結晶間の残部ガラス相の他に、ガラスセラミックの表面に蓄積されている。セラミック化の際に、厚さが約200〜1000nmのガラス製表面層が形成され、この層はほぼ結晶不含であり、この層にはこれらの元素が増加され、リチウムが低減されている。このガラス表面層は、ガラスセラミックの化学的耐性に有利に働く。
【0063】
25の添加は、最大で3質量%であってよいが、好ましくは1.5%に限られる。P25の添加は、失透耐性について有利である。これ以上の含分は、酸耐性に対して不利に働く。
【0064】
TiO2、ZrO2、及びSnO2は、核形成剤として必要となる。セラミック化の際に核形成剤は、核形成の間、結晶化において高温石英混晶の成長に下地(Unterlage)として役立つ高密度で核を形成する。合計で6質量%より高い含分は、失透安定性を悪化させる。このことは、特にSnO2成分にあてはまり、この値は0.6質量%未満に限られる。これより多い含分は、成形時に接触材料(前記Pt/Rh)におけるSn含有結晶相の結晶化につながり、このことは絶対に避けなければならない。
【0065】
ZrO2含分は、2質量%、好ましくは1.8質量%、及びさらに好ましくは最大1.6質量%に限られる。と言うのも、これより高い含分は、ガラス製造における混合物の溶融性を悪化させ、ZrO2含有結晶の形成により成形時に失透安定性を損なうことがあるからである。早いセラミック化速度を促進するため、ZrO2含分は少なくとも0.5質量%、好ましくは少なくとも0.8質量%である。TiO2含分は、2.5〜4.0質量%、好ましくは少なくとも2.8質量%である。早いセラミック化速度達成のための迅速な核形成が保証されるように、この最少量は超過すべきではない。この含分は4質量%を越えることはない。なぜならば、そうしなければ失透安定性が悪化するからである。
【0066】
意外なことに、Fe23含分は600ppmから、好ましくは700ppmから、狭く規定されたTiO2、V25、及びSnO2含分と組み合わせると、透過性勾配に影響を与えることが判明した。Fe23、特に二価のFe2+の割合は、IR透過性に否定的に作用するので、Fe23含分は最大0.2質量%、好ましくは最大0.18質量%であるのがよい。特に好ましくは、Fe23含分は0.08〜0.15質量%である。
【0067】
着色性酸化物のFe23と、V25、及びそのレドックスパートナーであるSnO2とを組み合わせることにより、コストが高く、危険物質と評価されるV25着色剤が僅かな量で足りるようになる。ここで、450nmからの低波長での透過性に対する要求、及び他の規格に適合する光透過性、赤外線透過性、並び630nmでの透過性に対する要求は、維持される。透過性曲線は、酸化バナジウムで着色した公知のガラスセラミックと比較して、可視光の範囲でより平らになっている。高価であり、危険物質として考慮せざるを得ない着色剤V25の含分を低下させるために、Fe23含分が少なくともV25含分と同程度に高くなければ成らず、よって以下の条件
1<Fe23/V25<8
が満たされる必要がある。
【0068】
つまり着色性酸化物Fe23は、量的な観点からしても主な着色剤であり、好ましくはその含分はV25の2倍高い。これによりまた、コスト的に有利な混合原料が使用できる。
【0069】
必要となるV25含分の低下に貢献するさらなる成分は、SnO2、及びTiO2である。よって本発明により透過性を調整するためには、V25、SnO2、TiO2、及びFe23を特定の狭い範囲に調整することが必要となる。とりわけTiO2含分は、特定の最少量を越えてはならない。
【0070】
本発明によるFe23含分、TiO2含分、V25含分、及びSnO2含分により、透明性勾配に対するあらゆる要求、例えば規格に適合する光透過性、高い赤外線透過性、並びに標準的な赤い発光ダイオードのための表示性が、他の色の光表示のための、所望の改善された表示性とともに達成される。
【0071】
Fe23添加のさらなる重要な成果として判明したのは、この添加が清澄化を基本的に補助するということである。主な清澄剤としてのSnO2との組み合わせで、Fe23は酸素を放出し、この際にFe2+に還元される。この清澄作用にとって重要な反応率は、溶融物の温度とともに上昇する。すなわち1700℃超、及びさらには1750℃超という溶融物の温度処理により、気泡品質の点で、さらに改善された結果がもたらされる。このため、SnO2と組み合わせたさらなる清澄剤としてのFe23の添加が、特に有利に作用し、その含分は、SnO2含分の少なくとも20%である。
【0072】
経済的に製造するため、出発ガラスの迅速なセラミック化が望ましい。ここで核形成速度とセラミック化速度は、適切に選択された組成物によって高める必要がある。この際に、核形成剤であるTiO2+ZrO2+SnO2の含分を高めることが有利と実証されているが、その一方で、P25の含分はそれより低い値に選択しなければならない。
【0073】
さらに、セラミック化の際に生じる調理台の歪みが、制限要素となる。大規模工業的なセラミック炉には、一定の温度非均質性があり、このため結晶化可能なガラスの上側及び下側での温度を、結晶化の間に完全に均一に調整することは困難である。0℃未満の僅かな温度差が、プレート側でのより高い温度によっていち早い結晶化につながる。約1%の線状の結晶収縮との結合が、歪みに繋がる。市販の調理台は通常、歪みがその対角線寸法の少なくとも0.1%未満に規格化されている。
【0074】
迅速なセラミック化プログラムにおけるこの歪みを最小化するため、結晶相形成成分、例えばLiO2、SiO2の割合を最小化すること、及びガラスセラミックの残部結晶相を形成する成分の割合、例えば、アルカリ金属Na2O、及びK2O、並びにアルカリ土類金属CaO、SrO、BaOといった成分の割合を高めることが、有利と実証されている。高温石英混晶層の割合は、有利には70質量%未満であり、60〜70質量%である。セラミック化において、ガラスセラミック板は平らな下地プレートである。残部ガラス相の高められた割合、及び結晶相割合の低下により、生じる歪みは粘稠な流れによって、ガラスセラミック板を平らな下地に設置することによって、高温で低下する。
【0075】
本発明による調理台は好ましくは、出発ガラスのより迅速なセラミック化という観点で、ガラスセラミックの組成が、質量%で基本的に以下の酸化物から成る:

【0076】
迅速なセラミック化とは、2時間未満、好ましくは80分未満の所要時間による、ガラスセラミック結晶化のための熱処理と理解される。
【0077】
本発明によるセラミック化法では、熱により緩和された(entspannt)結晶化可能な出発ガラスが、3〜30分以内に約680℃の温度範囲に加熱される。必要となる高い加熱速度は、大規模工業的に回転炉で実現可能である。約680℃というこの温度範囲は、ほぼガラスの転移温度に相当する。この約680℃超〜約800℃という温度は、核形成速度を有する範囲である。核形成の温度範囲は、10〜30分の時間にわたって続く。
【0078】
この後、結晶核含有ガラスの温度を5〜30分以内に、高温石英混晶相の高い結晶成長速度によって特徴付けられる850〜950℃の温度に上げる。この最大温度は、最大20分維持する。ここでガラスセラミックの構造が均質化され、光学的、物理的、及び化学的な特性が調整される。得られるガラスセラミックは、800℃までは約10℃/分の冷却速度で、そしてその後に素早く室温に冷却する。
【0079】
混合原料、例えば硝酸バリウム又は塩化バリウムは、BaOの供給源として使用されるが、これらの混合原料は環境的な観点から不利であり、使用する際には特に注意深い措置が必要となる。さらに、BaOはガラスセラミックの密度、ひいては調理台の質量を増大させる。BaO含分を低下させるため、又は不純物を除いて完全に除去するため、BaOを化学的に近縁のアルカリ土類金属のCaO、及びSrOで置換することが有利であると実証されている。ここで、CaOの含分は0.2〜1質量%であり、SrOの含分は0.1〜1質量%である。
【0080】
経済的に製造するため、結晶化可能な出発ガラスは、良好に溶融可能であり、かつ高い失透耐性を有する必要がある。ここで加工温度は、1320℃未満、好ましくは1310℃未満である。失透化の上限は、加工温度下で少なくとも30℃、好ましくは少なくとも50℃である。失透の観点から重要視される結晶相は、ムライト(ケイ酸アルミニウム)、バデライト(ZrO2)、並びにLi2O−Al23−SiO2混晶、及びSnO2含有結晶相である。このため失透耐性の観点からは、Li2O、Al23、SiO2、ZrO2、及びSnO2の含分がより多くなると不利である。ガラス溶融物の粘度を低下させるためには、SiO2、Al23、ZrO2の含分を低下させることが必要であると実証されているが、その一方で、アルカリ金属のNa2O+K2O、アルカリ土類金属のCaO+SrO+BaOの含分は、より高い値に選択される。
【0081】
好ましくは、これに関連して本発明による調理台は、酸化物ベースの質量%で以下の組成を有する:

【0082】
適切に還元されて調整された条件は、溶融の際に起こるガラスセラミックの所望の透過性勾配に対して有利な作用を有することが判明した。
【0083】
透過性に対する上記の様々な要求は、さらにより良好に相互に統合することができる。ここで平衡酸素分圧pO2が1barになるのは、>1580℃の温度、好ましくは>1640℃の温度に達したときである。この温度が高ければ高いほど、それだけ得られるガラスが還元性に調整可能になり、例えばSn2+、Fe2+,Ti3+といった多価成分における低い価数の割合が高められる。このことは、酸化バナジウムの着色作用を強化する。
【0084】
平衡酸素分圧pO2のための本発明による温度では、僅少なV25含分で本発明による透過性勾配を調整できる。必要となるのは0.04質量%未満、及び0.03質量%未満である。バナジウムは高コストな原料であるため、V25の含分を最小化することは、経済的に有利である。
【0085】
この平衡酸素分圧pO2は、溶融の際、粉末状、及び/又は液体状の還元剤を出発混合物に添加することによって調整できる。このために適しているのは、金属、炭素、及び/又は酸化数を上昇可能な炭素若しくは金属化合物であり、例えばAl粉末、又はSi粉末、糖、木炭、SiC、TiC、MgS、ZnSである。気体状還元剤、例えばフォーミングガスも適している。上述の還元剤は、溶融物のpO2を低下させるため、及び平衡酸素分圧に対する所望の値を調整するために適している。
【0086】
平衡酸素分圧pO2を調整するための好ましい可能性は、ガラス溶融物の温度処理を1700℃超、好ましくは1750℃超で行うことである。この温度処理は有利には、高温清澄化として説明することができ、これにより、大規模工業的に、1kgあたり10個未満の気泡、好ましくは5個未満の気泡という所望の低い気泡数が可能になる。よってこの清澄作用は、SnO2が清澄剤であるため、清澄剤に必要な酸素を、1700℃超という高温で増大させて放出するということにより特徴付けられる。
【0087】
このことはまた、さらなる清澄剤Fe23にも当てはまる。つまりこの2つの組み合わせにより、さらに改善された気泡品質がもたらされる、若しくはより多いガラス処理量が大規模工業的な溶融槽で可能になる。清澄化に対するFe23の貢献は、使用される清澄剤SnO2の少なくとも20質量%という含分で顕著である。そこで良好な清澄作用という利点と、平衡酸素分圧pO2を好ましい値に調整できるという本発明による利点を結びつけることができる。ここでこのメカニズムは、高温でO2の清澄気泡が形成され、これがガラス溶融物中で上昇してこのガラス溶融物から出て、ここで他の溶解された異物気体(Fremdgas)も同様に除去される。清澄化の際に放出される酸素がすべて溶融物から除去される充分な時間があれば、平衡酸素分圧pO2での温度は、1barの値に相当し、処理における最大温度を有する。この大規模工業的なガラス溶融物での、及び使用される処理量での平衡は、時間的な理由で完全には達成されないので、常に一定量の酸素の清澄気泡が溶融物中に残り、冷却時に吸収される。さらに、最大温度から成形温度VAへと溶融物を冷却する際、周辺からの僅かな量の酸素が、再度吸収される。これにより、平衡酸素分圧pO2の測定温度は、溶融時の最大温度の1barに相応せず、それ未満であることが条件付けられる。ただし、還元性添加剤を加えてもよい。
【0088】
改善された色表示性を有する、本発明による調理台の下側には好適には、通常の赤い表示に代えて、又は通常の赤い表示に加えて、1つ又は複数の別の色表示、例えば青、緑、黄色、オレンジ、及び白が配置されている。これらの色表示は、光を発する電気部材、例えば発光ダイオードから成る。調理台の下面は、通常の突起を有しているか、又は平滑に実施されていてよい。
【0089】
本発明の有利なさらなる構成では、使用者は記号又は文章の使用により、欠陥状態の評価の際に補助される。
【0090】
例えば、調理台若しくは調理領域に、それぞれ温度状態表示領域、及び欠陥状態表示領域が存在していてよく、ここでこの2つの領域は、それぞれ一義的な記号(熱=炎の記号、欠陥=注意表示(三角形の中のビックリマーク))、によって特徴付けられる。さらにとりわけ色弱の使用者にとっては、同様に工程を一つだけ記号によって見分けられる。そこで温度表示領域は例えば、赤く光り、さらに1つの大きな炎を有する表示領域を有することができる。相応するオレンジの表示領域は小さな炎を有し、また青い領域は記号無しで、又は冷たさが象徴化された記号を有する。欠陥状態を表示するために信号色を用いる際には、例えば歩行者信号で知られている人の形(赤=止まれ、緑=進め)が使用できる。これらの表示はもちろんさらに、とりわけ欠陥強度及び/又は温度の高低に応じて、1つの色又は1つの記号に点滅させることができ、又はよりゆっくりと、若しくは様々なリズムで点滅させることができる。
【0091】
調理台の加熱は、照射熱源、ハロゲン熱源、誘導加熱、又はガスにより行うことができる。あらゆる形式の(ドット的な、また平面的な)表示が可能である。
【0092】
ここで調理台は、平らなプレートとして構成されているだけではなく、また三次元に成形された、例えば溝切りした、屈曲した、湾曲したプレートも使用できる。これらのプレートは、直角に、又は他の形態で存在していてよく、また平面領域の他に三次元的に成形された領域、例えば中華鍋(Wok)のように成形された領域を有することができる。
【0093】
以下、本発明を実施例を用いてさらに説明する。
【0094】
表1:結晶化可能な出発ガラス及び比較用ガラスの組成と特性を示す。
【0095】
表2:セラミック化条件と、本発明によるガラスセラミック及び比較用ガラスセラミックの特性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】酸素分圧を縦軸に、本発明によるガラスに対する温度を横軸にとった線図である。
【図2】本発明によるガラスセラミックの透過性勾配を示す2つの線図である。
【図3】本発明による温度情報領域及び欠陥状態情報領域を備える調理台を、上から見た図である。
【図4】領域の配置のさらなる実施例を示す。
【図5】領域のさらなる実施例を示す。
【図6】例示的に、さらなる記号を有する表示領域における、表示の配置を示す。
【0097】
いくつかの実施例のため、表1に結晶化可能な出発ガラスの組成と特性を記載した。ここでガラス1〜12は本発明によるガラスであり、ガラス13は本発明によらない比較用ガラスである。比較用ガラスの組成は、市販の調理台ガラスセラミックであるSCHOTT AG社のCeran Suprema(登録商標)に相当する。
【0098】
使用する大規模工業的な混合原料中には典型的な不純物があるため、その組成は合計が丁度100質量%にはならない。組成物中に意図的に導入されていないとしても、典型的な不純物は、F、Cl、B、P、Rb、Cs、Hfであり、これらは通常0.05質量%未満である。これらの不純物は、化学的に近縁の成分のための原料によってもたらされ、例えばRbとCsがNa原料若しくはK原料によって、又はSrがBa原料によってもたらされ、この逆もある。
【0099】
ガラスの水含分は、0.03〜0.05mol/lであり、これは0.32〜0.53mm-1のβ−OH価に相当する。
【0100】
表1には、ガラス状態での特性、例えば転移温度Tg、加工温度VA、失透温度、並びに密度も記載されている。同じ組成のガラスであれば、清澄温度を変えたとしても、これらの特性は同じである。
【0101】
失透温度測定のため、ガラスはPt/Rh10製のるつぼで溶融した。引き続き、このるつぼを5時間、様々な温度で加工温度VAの範囲に保った。最初の結晶がるつぼ壁面とのガラス溶融物の接触面で現れる最も高い温度が、失透温度を決める。
【0102】
さらに表1には、pO2の値が1に達した時の、溶融物の最大温度、及びその時間、並びに測定された温度が記載されている。pO2測定は公知の方法で、再溶融されたガラスに対する温度の関数として行い、この温度は平衡酸素分圧pO2が1barになる温度と決めた。pO2測定の際、pO2は温度の関数であり、酸素が周辺雰囲気とまったく交換されていない限り、逆にこれに依存している。
【0103】
図1は、ガラスNo.9についてのpO2(T)測定値、及び特徴温度T(pO2=1bar)の測定を示す。高温でのガラス溶融は、平衡酸素分圧T(pO2=1bar)の温度で既に酸素を周辺に放出し、これにより、特徴温度の値が変わる。よって測定の際、ガラスの温度は特徴温度T(pO2=1bar)を最大約40℃下回る温度に高め、この値は、測定された直線の外挿法によって、1/Tに比例するlog pO2と定める(図1参照)。
【0104】
表1の出発ガラスは、ガラス工業で慣用の原料から、約1620℃の温度で、4時間溶融させたものである。この混合体を焼結ケイ酸ガラス製のるつぼで溶融させた後、このPt/Rhるつぼ中の溶融物をケイ酸ガラス製の内部るつぼで改鋳し(umgiessen)、1550℃の温度で30分、撹拌によって均質化した。この均質化の後、清澄化のために様々な温度処理を行った。最大溶融温度と清澄温度、及びその時間は、表1に記載されている。
【0105】
ガラス番号2、3、5、6、8、10、11、13は2時間、1640℃で清澄化した。
【0106】
引き続き、約140×100×30mmの固まりに鋳造した。
【0107】
ガラス1、4、7、9、12、及び比較用ガラスは、表1に記載の温度と時間で高温清澄化にかけて、良好な気泡品質を達成し、還元性条件を記載された温度T(pO2=1bar)に応じて調整した。清澄化されたガラス溶融物を注ぎ出す前に、温度を約1700℃に下げた。ガラスの固まりを冷却炉での応力(ガラスの転移温度を約20℃下回る温度で始まる)を回避するため、室温に冷却した。注型物から測定のため、試験パターンを用意した。
【0108】
気泡品質における高温清澄化の肯定的な影響は、実験溶融物の場合でも示される。実験溶融物における気泡数の絶対値は、技術的にその大きさが条件付けられ(実験溶融物における他の表面比対体積比)、その大きさによって大規模工業的な溶融物が条件付けられる。意義深いのは、相対的な相違点である。慣用的に1640℃で清澄化された溶融物は、ガラス1kgあたり気泡が約1000〜5000個であり、高温清澄では、ガラス1kgあたり気泡が約200〜2000個である。同じ組成であれば、高温清澄は改善された値をもたらす。大規模工業的には、これらの値でガラス1kgあたり10個未満の気泡という所望の品質が達成される。
【0109】
ガラス1、2、3、並びに7、8、9、10は同じ組成だが、溶融の仕方が異なる。ガラス1は高温清澄にかけた。ガラス3は混合物に糖を1質量%加えることにより、同じ温度で清澄化したガラスNo.2に比べてより還元性に調整されている。従って、平衡酸素分圧のための温度も異なる。このように結びつけられた、結晶化可能な出発ガラスの様々な還元性条件が原因で、同じセラミック化条件で得られるガラスセラミックの透過度が異なる。溶融物の最大温度が低ければ、透過度を適合させるためにより多くのV25割合、又はより高いセラミック化温度が必要となる。
【0110】
ガラス1、4、及び比較用ガラス12、並びに市販の加工済みガラスセラミックのシャード(Ceran Color(登録商標))は、清澄化後、1600℃で50時間、実験室用ローラ装置が付いた14l入りのPt/Rh10製のるつぼに静置し、調理台に典型的なプレートに成形した。この実験室用ローラは、短いオリジナルの作業ローラ(Fertigungswalz)から成る。
【0111】
下のローラは、慣用の突起付きの調理台下面を製造するために、三次元構造化されている。こうして得られた幅が約200mm、厚さ4mm、長さ2mmでガラス板から、応力減少のための冷却後、測定用試験パターン、及び寸法が18cm×18cm×4mmのプレートを試験用に、迅速なセラミック化における平坦化のために準備した。これらのプレートは、実験炉で均質な、制御可能な上部加熱と下部加熱によって平らなセラミック製下地プレート上でセラミック化した。10℃/分で750℃になるまで、持続時間15分で加熱した。それから4℃/分で900℃になるまで持続時間15分で加熱し、素早く室温に下げた。プログラム全体を通して、炉内での上部温度は、下面の温度よりも6℃高められていた。これにより、ガラスセラミックプレートがドーム状に適切に成形される。比較用ガラスNo.13の平坦化の偏差は2.1±0.2mm(試験6)、Ceran Color(登録商標)では0.6±0.1mm(試験4)、ガラスNo.1及びNo.4ではともに0.5±0.1mm(試験3)である。大規模工業的に生産されたガラスセラミック材料についてはCeran Color(登録商標)が示されているため、80分未満で必要とされる平坦さでセラミック化でき、このことは相対的な実験比較によって、また本発明によるガラスについても示されている。
【0112】
表2はセラミック化条件、及び得られるガラスセラミックの特性、及び本願発明以外の比較用セラミック2、4、17を示す。出発ガラスのセラミック化は以下の温度/時間プログラムで行い、Tmax及びtmaxの値が、表2に記載されている。
【0113】
セラミック化プログラム1:
a)15分以内に、室温から680℃への加熱;
b)34.5分以内に680℃から800℃への温度処理、ここで10℃/分で750℃に加熱し、15分間750℃を維持し、4℃/分で800℃に加熱し;
c)加熱速度4℃/分で、800℃からTmaxへの温度上昇、及び維持時間tmax
d)10℃/分で800℃に冷却し、それから室温に素早く冷却する。
【0114】
セラミック化プログラム2:
a)5分以内に、室温から680℃への加熱;
b)19分以内に680℃から800℃への温度上昇、ここで10℃/分で730℃にし、さらに5℃/分で800℃にする;
c)加熱速度5℃/分で800℃からTmaxへの温度上昇、及び維持時間tmax
d)10℃/分で800℃に冷却し、それから室温に素早く冷却する。
【0115】
比較用セラミックである例2、及び4では、出発ガラス中で調整されたpO2値が、本発明による光透過性につながらない。このことは、例1と比較して、調整されたレドックス状態の影響を示している。というのも、これらの例は同一のセラミック化条件で製造したからである。
【0116】
このことは、セラミック化条件の適合により適正化できる(例3及び5)。例1〜5の出発ガラスNo.1、2、及び3は、同一の組成を有しており、溶融物で調整されたレドックス状態のみが異なる。
【0117】
平均結晶径についての値、及び高温石英混晶の割合についての値は、X線回折によって特定した。
【0118】
これらの例は、主な結晶相としての高温石英混晶の含分が原因で、所望の非常に低い熱膨張値を有する(室温〜700℃の間の温度範囲で測定)。本発明の特徴となる様々な波長における透過性の値、並びに光透過性の値は、「明度」Yと同じ意味であり、表に記載されている通りである。これらの値は調理台に典型的な厚さである4mmの研磨したプレートで測定した。光学的な測定は、標準光C、2°で行った。
【0119】
さらなる例18では、ガラスNo.1に記載の組成が、大規模工業的に溶融され、約1770℃、15分の高温清澄化によって平衡酸素分圧pO2=1barになる温度に調整した。このガラスの気泡均質は、ガラス1kgあたり気泡が3個未満と優れていた。成形の際に突起を付けた厚さ4mmのガラス板を製造し、応力回避のために冷却炉で冷却した。このガラス板から、大きさが500×500×4mmの調理台を切り取り、大規模工業的な回転炉でセラミック化した。このセラミック化プログラムはプログラム2に相当し(表2)、結晶化可能なガラス板は、セラミック製の平らな下地板の上にあった。こうして得られたガラスセラミックは、対角線測定で<0.1%という非常に良好な平坦性を有していた。本発明によるガラスセラミックの透過性曲線は、図2に示されており、この表では例17の比較用ガラスセラミックと、本発明による例19のものが対比されている。本発明にとって重要な、400〜600nmという可視光における波長範囲では、本発明によるガラスセラミックのより高い表示性に対して有利な透過性勾配が、0.1%超の値で示され、良好なUVブロック性は350nm未満で示される。
【0120】
図3〜6には、本発明による調理台が示されており、これは前述のガラスセラミックのうちの1つをベースとして製造されたものである。これらの説明が示しているように、調理領域は例えば、円形の調理箇所3、本実施例では4つの調理箇所3を備える、平面状のガラスセラミック板2を有する。
【0121】
プレート2の円形領域にはさらに、操作領域4が存在している。操作領域4は、各調理板3に対して、それぞれ回転スイッチ5を1つ有する。よって本実施例では、回転スイッチ5が4つ存在し、ここで回転スイッチ5は公知の方法で形成されており、調理台の熱性能について非段階的に、又は段階的に操作できる。さらに、使用者に単純な記号を表示する認識領域6が存在し、これは各スイッチ5の調理箇所3に付属するものである。
【0122】
さらに、安全警告領域7が、プレート2の側方領域、好適にはプレート2の他の側方領域に存在する。
【0123】
安全警告領域7は、例えば2列の表示部を有する。表示部8は、例えば装置の欠陥を示すものであり、表示部9は温度状態を示すものである。図3に示された例では、相互に設置された3つの表示部8が装置全体の欠陥を示すために設置されており、その隣に、相互に設置された3つの表示部が、調理箇所3のうち1つの温度状態を示すために設置されている。この実施態様において使用者には、平面のうちの1つが、場合により高められた温度状態にあること、及び/又は装置及び/又は装置の一部が欠陥を有していることが伝わる。
【0124】
さらなる有利な実施態様(図4)では、同様に4つの調理箇所3がガラスセラミック板2に配置されており、ここで操作領域4は同様に4つの回転スイッチ5を有し、各回転スイッチ5に対して、回転スイッチ5の配置割り当てを示す1つの記号がある。回転スイッチ5の他に、温度状態のための表示要素9が存在し、これによりこの実施態様で各調理箇所3の温度状態がその回転スイッチ5に隣接し、かつプレートに付属する記号が配置されていることとなる。安全警告領域7には、隣接して存在する欠陥表示部8が3つ存在し、装置全体について、欠陥又は標準状態を示すことができる。
【0125】
さらなる有利な実施態様(図5)では、別個の安全警告領域7は省略されており、ここで温度状態を表すための表示部9と、各調理箇所3のための欠陥表示部8が、各回転スイッチ5の隣に配置されている。このため使用者には、調理箇所3の温度状態、及び各調理箇所3の欠陥状態が、個別に示される。
【0126】
危険な温度状態の表示のため、及び/又は装置欠陥を表示するため、色つきのマークのほかに記号を表す場合には(図6)、安全警告領域7には例えば2列で3つの温度表示9がそれぞれ配置され、3つの欠陥表示部8が配置されている。温度表示の内部、例えば表示9aには、危機的な高温のための相応する火炎マーク10が備えられていてよく、表示部9bには高いが、危機的ではない温度のためのより小さな火炎マーク10bが備えられていて良い。
【0127】
欠陥状態のための表示領域8a、8b、8cには、領域8aにおける危機的な欠陥状態を表示するために、危機的な欠陥を示す表示記号11aが備えられていてよい。例えば稼働安全性を損なわない欠陥を示すための表示領域8bには、相応して比較的小さな、又はよりはっきりとしない記号11bがあってよい。
【0128】
順調稼働状態を示す、若しくは危機的な温度状態が存在しないことを示す表示部8c、9cにはそれぞれ、相応する記号10c、11cが存在していてよく、これらの記号は、装置が順調であり、危機的な状況にないことを、熟慮しなくても使用者にわからせるものである。
【0129】
図6に記載の記号配置はもちろん、3つの実施例に移行させることができ、この実施例では、相応する信号が回転スイッチの隣、又はガラスセラミックプレート2の他の場所にも、配置されている。
【0130】
さらなる実施態様(図示せず)では、危機的な欠陥状態のための各表示部8が1つだけ存在し、温度状態のための表示部9が1つだけ存在する。これらの表示部8、9は、色光要素を有し、この光要素は表示部を段階的に様々な色で、又は非段階的に様々な色で光らせることができるものである。
【0131】
ここでそれぞれ、唯一の表示部8、及び唯一の表示部9は、安全警告領域7に配置されていてよい。しかしながらまた、表示部8のみが1つだけ、また各回転スイッチ5に対して表示要素9が1つだけ備えられていてもよい。
【0132】
同様に、もちろん各調理台、すなわちまた各回転スイッチ5が表示部8、9ごとに割り当てられていてよい。
【0133】
さらなる有利な実施態様(図示せず)では、温度表示部9若しくは欠陥表示部8が、円周に沿って配置された様々な色の発光体若しくはセグメントの形で存在していてよく、ここでこれらの色は例えば危険ではない範囲では緑(欠陥無し)、及び青(高温ではない)であり、及び円周に沿って上昇する温度、及び/又は上昇する欠陥割合を、別の色によって表示することができる。同じように、これらの温度勾配はまた、ブロック(Balken)に沿って示すこともできる。
【0134】
本発明における利点は、使用者に容易かつ直感的に把握される表示部をもたらすことであり、これにより使用者は、別段考慮しなくても、熱又は高温に起因する危険性、又は装置の欠陥に起因する危険性を把握できる。これによって、使用安全性の明らかな向上が達成される。さらに、人間工学性、及び装置に対する信頼性が高まる。
【0135】
本発明は調理台、とりわけガラスセラミック板を有する調理台を開示した。同じように本発明は、あらゆる形態の電気装置、とりわけ家庭における電気装置に適用可能であり、同じ成果をもたらす。
【0136】
【表1−1】

【表1−2】

【0137】
【表2−1】

【表2−2】

【符号の説明】
【0138】
1 本発明による調理台、 2 ガラスセラミック板、 3 調理箇所、 4 操作領域、 5 回転スイッチ、 6 認識領域、 7 安全警告領域、 8 欠陥表示部、 9 温度表示部、 10 温度表示記号、 11 欠陥表示記号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主結晶相として高温石英混晶を有するガラスセラミックから成る、色の表示性が改善された、着色された透明な調理台であって、前記ガラスセラミックが、不可避の痕跡量を除いて、化学的清澄剤の酸化ヒ素及び/又は酸化アンチモンを含まない調理台において、
前記ガラスセラミックの透過度が、450nmよりも長いあらゆる波長における可視光範囲で0.1%より大きく、可視光で光透過性が0.8〜5%(好適には0.8〜2.5%)であり、1600nmでの赤外線における透過性は45〜85%であり、
前記調理台は表示装置を備え、
前記表示装置が、様々な稼働状態を様々な色及び/又は記号で表示するように形成されている表示設備(8,9)を備えることを特徴とする、前記調理台。
【請求項2】
前記透過度が以下の通り:
450nmで >0.15%
500nmで >0.15%
550nmで >0.25%
630nmで 3〜9%
1600nmで 50〜80%
であり、可視光での光透過性が1.0〜2.0%であることを特徴とする、請求項1に記載の調理台。
【請求項3】
前記ガラスセラミックの組成(酸化物に対する質量%)が、基本的に

から成ることを特徴とする、請求項1又は2に記載の調理台。
【請求項4】
出発ガラスが迅速にセラミック化すること、及び酸化物に対する質量%で前記ガラスセラミックの組成が基本的に以下の組成:

から成ることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項5】
前記ガラスセラミックの組成が、酸化物に対する質量%で
CaOを0.2〜1質量%、
SrOを0.1〜1質量%、
含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項6】
良好な溶融性と、結晶化可能な出発ガラスの失透耐性によって特徴付けられ、前記出発ガラスが、1320℃未満の加工温度(VA)、VAよりも少なくとも30℃低い失透上限を有し、前記ガラスセラミックの組成が、酸化物に対する質量%で、

であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項7】
前記ガラスセラミック若しくは結晶化可能な出発ガラスの平衡酸素分圧pO2が、1580℃超の温度で、好ましくは1640℃超の温度で1barであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項8】
平衡酸素分圧が、1700℃超、好ましくは1750℃超というガラス溶融物の温度によって調整されていることを特徴とする、請求項7に記載の調理台。
【請求項9】
25含分が、0.04質量%未満、好ましくは0.03質量%未満であることを特徴とする、請求項7又は8に記載の調理台。
【請求項10】
ガラス溶融の温度が1700℃超、好ましくは1750℃超であり、ガラス1kgあたり気泡が5個未満であり、Fe23含分が、SnO2含分の少なくとも20質量%であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項11】
通常の赤色表示に代えて、又はこれに加えて、1つ又は複数の多色表示、例えば青色、緑色、黄色、オレンジ色、又は白色の表示を用いることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項12】
装置の少なくとも一部の温度状態を表示するため、及び/又は装置の少なくとも一部の欠陥状態を表示するために、表示設備(8,9)が存在することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項13】
調理台(1)の一部の温度、又は調理台(1)の調理箇所(3)の温度を表示するための表示設備(8)が存在することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項14】
調理台の欠陥状態、及び/又は調理台(1)の一部の欠陥状態、及び/又は調理箇所(3)の欠陥状態を表示するための表示設備(9)が存在することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項15】
前記表示設備(8,9)が、様々な稼働状態のために様々な色の光要素を有し、前記光要素が、少なくとも2つの異なる色を有することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項16】
温度状態を表示するために、少なくとも1つの赤い光要素と、少なくとも1つの青い光要素が存在することを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項17】
欠陥状態を表示するために、少なくとも1つの赤い光要素と、少なくとも1つの緑の光要素が存在することを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項18】
前記表示設備(8,9)が、様々な色を表示するために形成されていることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項19】
前記表示設備(8,9)が、非段階的に色勾配として色を表示することを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項20】
前記表示設備(8,9)が、円形状表示の光セグメントで、又はブロック状表示の光エレメントで色を表示することを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項21】
温度状態を表示するために、赤い光要素、オレンジ色の光要素、及び青い光要素が存在するか、又は赤色、オレンジ色、及び青い色を呈示可能な光要素が1つ存在することを特徴とする、請求項1から20までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項22】
欠陥状態を表示するために、赤い光要素、オレンジ色の光要素、及び緑色の光要素(信号色)が存在するか、又は赤色、オレンジ色、及び緑色を示すことができる光要素が1つだけ存在することを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項23】
前記表示設備(8,9)がさらに、様々な稼働状態を示す記号を有することを特徴とする、請求項1から22までのいずれか1項に記載の調理台。
【請求項24】
前記表示設備(8,9)が、様々な色及び/又は様々な記号で様々な所定の稼働状態を表示することを特徴とする、請求項1から23までのいずれか1項に記載の調理台(1)の稼働状態を表示する方法。
【請求項25】
稼働状態として、装置又は装置の一部の温度状態及び/又は欠陥状態が表示されることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
調理台(1)の一部の温度、又は調理台の調理箇所(3)の温度、又は調理台の一部の温度を、様々な色で表示することを特徴とする、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
調理台(1)の欠陥状態、及び/又は調理台(1)の一部の欠陥状態、及び/又は調理箇所(3)の欠陥状態を様々な色で表示することを特徴とする、請求項24から26までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
様々な稼働状態を様々な色の光要素で、少なくとも2つの異なる色により表示することを特徴とする、請求項24から27までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
様々な温度状態を、少なくとも赤い光要素及び青い光要素で、又は赤色と青色を示すことができる1つの光要素だけで表示することを特徴とする、請求項24から28までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
欠陥箇所を赤い光要素及び緑色の光要素で、又は赤色及び緑色を示すことができる1つの光要素だけで表示することを特徴とする、請求項24から29までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
稼働状態を表すための色を、非段階的に表示することを特徴とする、請求項24から30までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
色が、円形状表示の光セグメント、又はブロック状表示の光要素で表示されることを特徴とする、請求項24から31までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
色によって、赤は熱い、オレンジは温かい、青は冷たいという温度稼働状態が表されることを特徴とする、請求項24から32までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
色によって、赤は危機的な欠陥、黄色/オレンジは稼働安全性の点で危機的ではない欠陥、緑は欠陥なしという欠陥状態が表示されることを特徴とする、請求項24から33までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
稼働状態がさらに、記号で表示されることを特徴とする、請求項24から34までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
温度稼働状態について記号として様々な大きさの火炎マーク、及び欠陥稼働状態について様々な大きさの警告記号が使用されることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
色及び/又は記号を有する表示部に加えて、表示設備が点滅することを特徴とする、請求項24から36までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
欠陥の重大性及び/又は温度の高低によって、より早く、若しくはよりゆっくりと、又は様々なリズムで前記表示が点滅することを特徴とする、請求項37に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−520226(P2012−520226A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553372(P2011−553372)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051162
【国際公開番号】WO2010/102859
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(504299782)ショット アクチエンゲゼルシャフト (346)
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,D−55122 Mainz,Germany
【Fターム(参考)】