説明

着色感光性樹脂組成物、カラーフィルタおよびカラーフィルタを有する液晶表示素子

【課題】 感度、パターン形成性、および、密着性に優れた画素またはブラックマトリックスを提供可能な感光性樹脂組成物に関する。
【解決手段】(A)着色剤、(B)重合性化合物、(C)下記一般式(1)で表される光重合開始剤、(D)増感剤、(E)バインダー樹脂、および、(F)溶剤を含有し、(A)着色剤が、カーボンブラックおよびチタンブラックから選ばれる、着色感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色感光性樹脂組成物、カラーフィルタおよびカラー液晶表示パネルに関わり、より詳しくは、透過型あるいは反射型のカラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造に有用な着色層(画素および/またはブラックマトリックス)の形成に用いられる感光性組成物、当該感光性組成物から形成された着色層を備えるカラーフィルタ、並びに当該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着色感光性樹脂組成物を用いてカラーフィルタを製造するに当たっては、基板上あるいは予め所望のパターンの遮光層を形成した基板上に、着色感光性樹脂組成物を塗布して乾燥したのち、乾燥塗膜を所望のパターン形状に放射線を照射(以下、「露光」という。)し、現像することにより、各色の画素を得る方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
また、黒色感光性組成物は、印刷インク、インクジェットインク、エッチングレジスト、ソルダーレジスト、プラズマデイスプレイパネル(PDP)の隔壁、誘電体パターン、電極(導体回路)パターン、電子部品の配線パターン、導電ペースト、導電フィルム、ブラックマトリックス等の遮光画像等に広く用いられている。前記遮光画像としては液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置の周辺部に設けられた黒色の縁や、赤、青、緑の画素間の格子状やストライプ状の黒色の部、さらにTFT遮光のためのドット状や線状の黒色パターン等、いわゆるブラックマトリックス等の各種遮光画像が挙げられる。
【0004】
ブラックマトリックスは表示コントラストを向上させるため、また薄膜トランジスター(TFT)を用いたアクティブマトリックス駆動方式の液晶表示装置の場合には光の電流リークによる画質低下を防止するために用いられており、高い遮光性(光学濃度ODで3以上)が必要である。
【0005】
近年、カラーフィルタの技術分野においては、露光時間を短くすること(高感度化)によりタクトタイムを短縮する動きが主流となっているが、従来の着色感光性樹脂組成物では、現像時にパターンエッジの欠けやアンダーカット、パターン自体の剥離などが生じやすいため、タクトタイムを短縮しつつ、良好なパターン形状の画素およびブラックマトリックス、遮光層を得ることが困難であった。
【0006】
一方、特許文献3、4に、光重合開始剤として少なくとも多官能性チオール化合物を含有する着色感光性樹脂組成物が、カラーフィルタの形成に用いられて、高濃度の着色剤を含む場合でも感度や保存安定性に優れ、また形成された画素が表面平滑性、パターン形状や明度に優れることが開示されている。しかし、タクトタイムの観点では必ずしも十分とはいえず、黒色顔料を用いる場合は、更なる露光量が必要となる(例えば、特許文献3、特許文献4参照。)。
【0007】
【特許文献1】特開平2−144502号公報
【特許文献2】特開平3−53201号公報
【特許文献3】特開2004−83857号公報
【特許文献4】特開2006−349867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、優れた感度特性を示す着色感光性樹脂組成物、より具体的には、低露光量でもパターンエッジの欠けやアンダーカット、およびパターン自体の剥離を生じることがない画素およびブラックマトリックスを与える新規な着色感光性樹脂組成物を提供することにある。また、前記着色感光性樹脂組成物から形成された画素およびブラックマトリックスを備えるカラーフィルタ、並びに当該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる状況のもと、本願発明者が検討を行った結果、特定の重合開始剤を用いることにより、上記課題を達成しうることを見出した。具体的には、下記<1>の手段により、好ましくは下記<2>〜<11>の手段により達成された。
<1>(A)着色剤、(B)重合性化合物、(C)下記一般式(1)で表される光重合開始剤、(D)増感剤、(E)バインダー樹脂、および、(F)溶剤を含有し、(A)着色剤が、カーボンブラックおよびチタンブラックから選ばれる、着色感光性樹脂組成物。
【化1】

(一般式(1)中、R1は、水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基を表し、R2は、それぞれ、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、または、アミノ基を表す。mは、0〜4の整数を表す。mが2以上の場合は、R2は互いに連結し環を形成してもよい。Aは、4、5、6、および7員環のいずれかを表す。)
<2>(A)着色剤、(B)重合性化合物、(C)下記一般式(1)で表される光重合開始剤、(D)増感剤、(E)バインダー樹脂、および、(F)溶剤を含有し、(A)着色剤が、赤色顔料、緑色顔料および青色顔料から選ばれる、着色感光性樹脂組成物。
【化2】

(一般式(1)中、R1は、水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基を表し、R2は、それぞれ、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、または、アミノ基を表す。mは、0〜4の整数を表す。mが2以上の場合は、R2は互いに連結し環を形成してもよい。Aは、4、5、6、および7員環のいずれかを表す。)
<3>光重合開始剤(C)が、下記一般式(2)で表される化合物である、<1>または<2>に記載の着色感光性樹脂組成物。
【化3】

(一般式(2)中、R1は、水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基を表し、R2は、それぞれ、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、または、アミノ基を表し、mは、0〜4の整数を表す。mが2以上の場合は、R2は互いに連結し環を形成してもよい。Xは、−CH2−、−O−、または、−S−を表す。lは、1〜3の整数を表す。)
<4>光重合開始剤(C)が、下記一般式(3)で表される化合物または一般式(4)で表される化合物である、<1>または<2>に記載の着色感光性樹脂組成物。
【化4】

(一般式(3)および(4)中、R1は、水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基を表し、R2は、それぞれ、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、または、アミノ基を表し、mは、0〜4の整数を表す。mが2以上の場合は、R2は互いに連結し環を形成してもよい。Xは、−CH2−、−O−、または、−S−を表す。lは、1〜3の整数を表す。)
<5>一般式(2)、一般式(3)および一般式(4)中、Xが、−O−、または、−S−であり、lが、1または2であり、R1が、アシル基、または、アルコキシカルボニル基である、<3>または<4>に記載の着色感光性樹脂組成物。
<6>さらに、(G)多官能チオール化合物を含む、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物。
<7>(B)重合性化合物が、カルボキシル基を含有する、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物。
<8>(B)重合性化合物の酸価が1〜200mgKOH/gである、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物。
<9><1>〜<8>のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物を硬化させてなる層を有するカラーフィルタ。
<10><9>に記載のカラーフィルタを有する液晶表示パネル。
<11><9>に記載のカラーフィルタを有する液晶表示素子。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、優れた感度特性を示す、すなわち、低露光量でもパターンエッジの欠けやアンダーカット、およびパターン自体の剥離を生じることがない、画素およびブラックマトリックスを与える新規な着色感光性樹脂組成物を提供できる。また、また、前記着色感光性樹脂組成物から形成された画素およびブラックマトリックスを備えるカラーフィルタ、並びに当該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0012】
<着色感光性樹脂組成物>
本発明の着色感光性樹脂組成物は、(A)着色剤、(B)重合性化合物、(C)一般式(1)で表される光重合開始剤、(D)増感剤、(E)バインダー樹脂、(F)溶剤を含む。ここで、(A)着色剤は、カーボンブラックおよびチタンブラックから選ばれるか、赤色顔料、緑色顔料および青色顔料から選ばれる。
より好ましくはさらに、(G)多官能チオール化合物を含む。
そして、必要に応じて、その他の成分を含んでなる着色感光性樹脂組成物であって、該光重合開始剤(C)が、一般式(1)であることを特徴とする。
【化5】

(一般式(1)中、R1は、水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基を表し、R2は、それぞれ、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、または、アミノ基を表す。mは、0〜4の整数を表す。mが2以上の場合は、R2は互いに連結し環を形成してもよい。Aは、4、5、6、および7員環のいずれかを表す。)
【0013】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、前記成分を含むことにより、低露光量でもパターンエッジの欠けやアンダーカット、およびパターン自体の剥離を生じることがない、画素およびブラックマトリックスを提供することができる。
【0014】
<(A)着色剤>
本発明の着色感光性樹脂組成物は、着色剤を少なくとも1種含む。着色剤としては、カーボンブラックおよびチタンブラックから選ばれるか、赤色顔料、緑色顔料および青色顔料から選ばれる。
【0015】
着色剤として使用される顔料は、高透過率の着色膜を得る観点から、なるべく粒子サイズの小さいものの使用が好ましい。顔料の一次粒子サイズの平均は、0.01μm〜0.1μmであることが好ましく、さらに好ましくは、0.01μm〜0.05μmの範囲である。
【0016】
着色剤として用いうる無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で表される金属化合物を挙げることができる。無機顔料の例として、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属の金属酸化物、および、該金属の複合酸化物等が挙げられる。
【0017】
着色剤として用いうる有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
例えば、
C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、52:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、66、67、81:1、81:2、81:3、83、88、90、105、112、119、122、123、144、146、149、150、155、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、200、202、206、207、208、209、210、216、220、224、226、242、246、254、255、264、270、272、279、
【0018】
C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214、
【0019】
C.I.Pigment Orange 2、5、13、16、17:1、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、71、73、
C.I. Pigment Green 7、10、36、37、58、
C.I.Pigment Blue 1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66、79、79のCl置換基をOHに変更したもの、80、
C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、32、37、42、
C.I.Pigment Brown 25、28、
C.I.Pigment Black 1、7等を挙げることができる。
【0020】
これらの顔料の中で、本発明において好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し、本発明は、これらに限定されるものではない。
C.I.Pigment Yellow 11、24、108、109、110、138、139、150、151、154、167、180、185、
C.I.Pigment Orange 36、71、
C.I.Pigment Red 122、150、171、175、177、209、224、242、254、255、264、
C.I.Pigment Violet 19、23、32、
C.I.Pigment Blue 15:1、15:3、15:6、16、22、60、66、
C.I.Pigment Green 7、36、37、58、
C.I.Pigment Black 1、7。
【0021】
上述した有機顔料は、単独もしくは色純度を上げるため種々組合せて用いることができる。上記組合せの具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。
赤色層(R)層用の顔料としては、赤色顔料であるアントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料単独またはそれらの少なくとも1種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料またはペリレン系赤色顔料、アントラキノン系赤色顔料、ジケトピロロピロール系赤色顔料と、の混合などを用いることができる。例えば、アントラキノン系顔料としては、C.I.Pigment レッド177が挙げられ、ペリレン系顔料としては、C.I.Pigment レッド155、C.I.Pigment レッド224が挙げられ、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.Pigment レッド254が挙げられ、色再現性の点でC.I.Pigment イエロー139またはC.I.Pigment レッド177と、C.I.Pigment レッド254との混合が好ましい。
【0022】
また、赤色顔料と他顔料との質量比(赤色顔料:他顔料)は、100:5〜100:80が好ましい。100:4以下では400nmから500nmの光透過率を抑えることが困難で色純度を上げることができない場合がある。また100:81以上では発色力が下がる場合がある。特に、上記質量比としては、100:10〜100:65の範囲が最適である。尚、赤色顔料同士の組み合わせの場合は、色度に併せて調整することができる。
【0023】
また、緑色層(G)用の顔料としては、緑色顔料であるハロゲン化フタロシアニン系顔料を単独で、または、これとジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料若しくはイソインドリン系黄色顔料との混合を用いることができる。例えば、このような例としては、C.I.Pigment・グリーン7、36、37、または58と、C.I.Pigment・イエロー138、C.I.Pigment・イエロー139、C.I.Pigment・イエロー150、C.I.Pigment・イエロー180またはC.I.Pigment・イエロー185との混合が好ましい。
緑顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:200が好ましい。上記質量比が100:5未満では400〜450nmの光透過率を抑えることが困難となり色純度を上げることができない場合がある。また100:200を越えると主波長が長波長寄りになりNTSC目標色相からのずれが大きくなる場合がある。上記質量比としては100:6〜100:150の範囲が特に好ましい。
【0024】
青色層(B)用の顔料としては、青色顔料であるフタロシアニン系顔料を単独で、若しくは、これとジオキサジン系紫色顔料との混合を用いることができる。例えば、C.I.Pigment・ブルー15:6とC.I.Pigment・バイオレット23との混合が好ましい。
青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:100が好ましく、より好ましくは100:70以下である。
【0025】
黒色顔料としては、カーボンブラック、グラファイト、チタンブラック、酸化鉄、酸化チタン単独または混合を用いることができる。
ブラックマトリクスを形成する際には、カーボンブラック、チタンブラック、カーボンブラックとチタンブラックとの組合せが好ましい。 また、カーボンブラックとチタンブラックとの質量比は、100:0〜100:60の範囲が好ましい。100:61以上では、分散安定性が低下する場合がある。
【0026】
前記カーボンブラックの例として、Pigment Black 7(カーボンブラック C.I.No.77266)が好ましい。市販品としては、三菱カーボンブラック MA100(三菱化学(株)製)、三菱カーボンブラック #5(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
【0027】
前記チタンブラックの例として、TiO 2、Tinm、TiNxやこれらの混合物が好ましい。市販品として、三菱マテリアル(株)製の商品名:12Sや13Mなどが挙げられる。また用いるチタンブラックの粒子サイズは20〜100nmが好ましい。
【0028】
本発明の着色感光性樹脂組成物における着色剤の含量は、固形分全量に対し、15〜60質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。
【0029】
本発明の着色感光性樹脂組成物において、着色剤は、好ましくは、分散物として添加される。顔料を予め分散剤等を加えることによって、溶剤中で分散し顔料分散組成物とすることが望ましい。
分散剤としては、例えば、公知の顔料分散剤や界面活性剤を適宜選択して用いることができる。
【0030】
具体的には、多くの種類の化合物を使用可能であり、例えば、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学工業(株)製)、W001(裕商(株)社製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商(株)社製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(いずれもチバ・スペシャルテイケミカル社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(いずれもサンノプコ社製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(日本ルーブリゾール(株)社製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77、P84、F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123(旭電化(株)製)及びイソネットS−20(三洋化成(株)製)、Disperbyk 101,103,106,108,109,111,112,116,130,140,142,162,163,164,166,167,170,171,174,176,180,182,2000,2001,2050,2150(ビックケミー(株)社製)などが挙げられる。その他、アクリル系共重合体など、分子末端もしくは側鎖に極性基を有するオリゴマーもしくはポリマーなどが挙げられる。
【0031】
分散剤の顔料分散組成物中における含有量としては、質量換算で顔料100部に対して、1〜100部が好ましく、3〜70部がより好ましい。
【0032】
上記した顔料分散組成物は、必要に応じて、顔料誘導体が添加される。分散剤と親和性のある部分、あるいは極性基を導入した顔料誘導体を顔料表面に吸着させ、これを分散剤の吸着点として用いることで、顔料を微細な粒子として顔料分散組成物中に分散させ、その再凝集を防止することができ、コントラストが高く、透明性に優れたカラーフィルタを構成するのに有効である。
【0033】
顔料誘導体は、具体的には有機顔料を母体骨格とし、側鎖に酸性基や塩基性基、芳香族基を置換基として導入した化合物である。有機顔料は、具体的には、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノリン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンゾイミダゾロン顔料等が挙げられる。一般に、色素と呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系、トリアジン系、キノリン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開平11−49974号公報、特開平11−189732号公報、特開平10−245501号公報、特開2006−265528号公報、特開平8−295810号公報、特開平11−199796号公報、特開2005−234478号公報、特開2003−240938号公報、特開2001−356210号公報等に記載されているものを使用できる。
【0034】
顔料誘導体の顔料分散組成物中における含有量としては、質量換算で顔料100部に対して、1〜30部が好ましく、3〜20部がより好ましい。該含有量が前記範囲内であると、粘度を低く抑えながら、分散を良好に行なえると共に分散後の分散安定性を向上させることができ、透過率が高く優れた色特性が得られ、これを用いて本発明の着色硬化性組成物を調整し、カラーフィルタを作製するときには高コントラストで良好な色特性を有するカラーフィルタを得ることができる。
【0035】
分散の方法としては、例えば、顔料と必要により分散剤とを予め溶剤中で混合してホモジナイザー等で予め混合しておいたものを、ジルコニアビーズ等を用いたビーズ分散機等を用いて微分散させることによって行える。
【0036】
<(B)重合性化合物>
本発明における重合性化合物としては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物が好ましく、2官能以上のアクリレート化合物がより好ましい。
【0037】
前記少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレートを挙げることができる。
さらに、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用できる。
【0038】
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)および(2)としてその具体例と共に記載の、前記多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も用いることができる。
【0039】
中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、およびこれらのアクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
また、特公昭48−41708号、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号の各公報に記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。さらに、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号の各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、UA−7200」(新中村化学社製、DPHA−40H(日本化薬社製)
、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)などが挙げられる。
また、酸基を有するエチレン性不飽和化合物類も好適であり、市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製のカルボキシル基含有3官能アクリレートであるTO−756、およびカルボキシル基含有5官能アクリレートであるTO−1382などが挙げられる。
【0040】
[カルボキシル基含有多官能性単量体]
本発明では、重合性化合物として、また、カルボキシル基含有多官能性単量体を用いることも好ましい。本発明に用いることができるカルボキシル基含有多官能性単量体とは、分子内に少なくとも1個のカルボキシル基を有し、好ましくは1〜4個、更に好ましくは1〜3個のカルボキシル基を有するモノマーをいう。また多官能として、重合性不飽和二重結合を2以上有し、好ましくは2〜12、更に好ましくは3〜6有する。
【0041】
具体的には例えば、2価以上の多価アルコール類と、2個以上のカルボキシル基を有する重合性不飽和カルボン酸類との、遊離カルボキシル基含有多官能性エステル化物;(b1)3価以上の多価アルコールと(b2)1個以上のカルボキシル基を有する重合性不飽和カルボン酸との(T1)遊離水酸基含有多官能性エステル類と、(b3)ジカルボン酸類との、遊離カルボキシル基含有エステル化物(以下(B1)多官能性単量体という);(b4)3価以上の多価カルボン酸類と(b5)1個以上の水酸基を有する重合性不飽和化合物との、遊離カルボキシル基含有多官能性エステル化物(以下(B2)多官能性単量体という)等を挙げることができる。
(b1)+(b2)→(T1) (1−1)
(T1)+(b3)→(B1) (1−2)
(b4)+(b5)→(B2) (2)
【0042】
本発明におけるカルボキシル基含有多官能性単量体としては、(B1)多官能性単量体、(B2)多官能性単量体が好ましい。(B1)多官能性単量体において上記3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。
【0043】
上記1個以上のカルボキシル基を有する重合性不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等を挙げることができる。
【0044】
上記ジカルボン酸類としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等を挙げることができる。
【0045】
また(B2)多官能性単量体において、3価以上の多価カルボン酸類としては、例えば、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、アコニット酸、カンホロン酸、シクロヘキサン−1,2,3−トリカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸、シクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリット酸等を挙げることができる。
【0046】
上記1個以上の水酸基を有する重合性不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アリルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0047】
本発明における好ましい(B1)多官能性単量体及び(B2)多官能性単量体の例をより具体的に示すと、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のモノヒドロキシ基含有オリゴ(メタ)アクリレート類と、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸類との、遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン−1,2,3−トリカルボン酸、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸等のトリカルボン酸類と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のモノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類との、遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等を挙げることができる。
【0048】
また、カルボキシル基含有多官能性単量体としては、例えば下記のようなM−1〜M−4が挙げられるが、光硬化性、アルカリ現像性の観点から、下記単量体M−1またはM−2がより好ましく、M−1がさらに好ましい。
【0049】
【化6】

【0050】
【化7】

【0051】
本発明においてカルボキシル基含有多官能性単量体は、その酸価が1〜200mgKOH/gであることが好ましい。より好ましくは、5〜200mgKOH/gであり、更に好ましくは5〜150mgKOH/gである。本発明において、酸価はJIS規格(JIS K 0070:1992)記載の方法により求める。
【0052】
本発明におけるカルボキシル基含有多官能性単量体は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができ、市販品を用いてよいし、適宜合成したものを用いてもよい。
【0053】
重合性化合物は、1種単独で用いる以外に、2種以上を組み合わせて用いることができる。重合性化合物の着色硬化性組成物中における含有量としては、質量換算で該着色硬化性組成物の全固形分100部に対して、3〜55部が好ましく、より好ましくは10〜50部である。光重合性化合物の含有量が前記範囲内であると、得られる硬化膜の耐熱性が良好となり、塗膜形成時、或いは、ポストベーク後のシワの発生が抑制され、表面粗さが小さく平滑な硬化膜が形成される。
【0054】
<(C)光重合開始剤>
本発明における光重合開始剤は、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とし、必要に応じて、その他の光重合開始剤を併用することができる。
下記一般式(1)で表されるオキシム化合物を含むことにより、低露光量でもパターンエッジの欠けやアンダーカット、およびパターン自体の剥離を生じることがない、画素およびブラックマトリックスを提供することができる。
【化8】

(一般式(1)中、R1は、水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基を表し、R2は、それぞれ、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、または、アミノ基を表す。mは、0〜4の整数を表す。mが2以上の場合は、R2は互いに連結し環を形成してもよい。Aは、4、5、6、および7員環のいずれかを表す。)
一般式(1)で表される化合物を採用することにより、保存時は重合を生じることなく保存安定性に優れ、取り扱いが容易であり、エネルギー線、特に光の照射により活性ラジカルを発生して効率的に重合を開始し、該重合性化合物が短時間で効率的に重合し得る高感度な重合性組成物が得られる。
【0055】
また、一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(2)で表されるオキシム化合物であることがより好ましい。
【化9】

(一般式(2)中、R1は、水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基を表し、R2は、それぞれ、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、または、アミノ基を表し、mは、0〜4の整数を表す。mが2以上の場合は、R2は互いに連結し環を形成してもよい。Xは、−CH2−、−O−、または、−S−を表す。lは、1〜3の整数を表す。)
【0056】
また、一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(3)で表される化合物または一般式(4)で表される化合物であることがより好ましい。
【化10】

(一般式(3)および(4)中、R1は、水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基を表し、R2は、それぞれ、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、または、アミノ基を表し、mは、0〜4の整数を表す。mが2以上の場合は、R2は互いに連結し環を形成してもよい。Xは、−CH2−、−O−、または、−S−を表す。lは、1〜3の整数を表す。)
【0057】
一般式(2)、一般式(3)および一般式(4)中、Xが、−O−、または、−S−であり、lが、1または2であり、R1が、アシル基、または、アルコキシカルボニル基であることが好ましい。
【0058】
前記一般式(1)、(2)、(3)および(4)中、R1は、水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、およびアリールオキシカルボニル基のいずれかである。
アシル基としては、脂肪族、芳香族、および複素環のいずれでもよい。総炭素数2〜30のものが好ましく、総炭素数2〜20のものがより好ましく、総炭素数2〜16のものが特に好ましい。前記アシル基は、さらに置換基を有してもよい。置換基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、およびハロゲン原子のいずれかが好ましい。
アシル基としては、置換基を有していてもよく、例えば、アセチル基、n−プロパノイル基、i−プロパノイル基、メチルプロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、ベンジルカルボニル基、フェノキシアセチル基、2−エチルヘキサノイル基、クロロアセチル基、ベンゾイル基、トルエンカルボニル基、パラメトキシベンゾイル基、2,5−ジブトキシベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、ピリジルカルボニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基等が挙げられる。
【0059】
アルキルオキシカルボニル基としては、置換基を有していてもよく、総炭素数が2〜30のものが好ましく、総炭素数2〜20のものがより好ましく、総炭素数2〜16のものが特に好ましい。このようなアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニルブトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、エトキシエトキシカルボニル基が挙げられる。
【0060】
アリールオキシカルボニル基としては、置換基を有していてもよく、総炭素数7〜30のアルコキシカルボニル基が好ましく、総炭素数7〜20のものがより好ましく、総炭素数7〜16のものが特に好ましい。このようなアリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル基、2−ナフトキシカルボニル基、パラメトキシフェノキシカルボニル基、2,5−ジエトキシフェノキシカルボニル基、パラクロロフェノキシカルボニル基、パラニトロフェノキシカルボニル基、パラシアノフェノキシカルボニル基が挙げられる。
【0061】
前記一般式(1)、(2)、(3)および(4)中、R2としては、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、およびアミノ基のいずれかが挙げられ、特に、脂肪族、芳香族、複素芳香族、ハロゲン原子、−OR3、−SR3、−NR34が挙げられる。R3およびR4は、互いに連結して環を形成してもよい。また、R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子若しくは脂肪族基、芳香族基、複素芳香族基のいずれかを表す。mが2以上であり、互いに連結して環を形成する場合は、それぞれ独立したR2同士で環を形成してもよく、R3およびR4の少なくともいずれかを介して環を形成してもよい。
前記置換基R2を介して環を形成する場合は、下記構造が挙げられる。
【化11】

前記構造式中、YおよびZは、CH2、−O−、−S−、および−NR−のいずれかを表す。
【0062】
アルキル基としては、置換基を有してもよく、総炭素数1〜18のものが好ましく、特に総炭素数1〜10のものが好ましい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、n−デシル基が挙げられる。
【0063】
アリール基としては、置換基を有してもよく、総炭素数6〜20のものが好ましく、特に総炭素数6〜12のものが好ましい。このようなアルキル基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基が挙げられる。
【0064】
アルキルオキシ基としては、置換基を有してもよく、総炭素数1〜18のものが好ましく、特に総炭素数1〜12のものが好ましい。このようなアルキルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、フェネチルオキシ基、フェノキシエトキシ基が挙げられる。
【0065】
アリールオキシ基としては、置換基を有してもよく、総炭素数6〜20のものが好ましく、特に総炭素数6〜12のものが好ましい。このようなアリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基が挙げられる。
【0066】
アルキルチオ基としては、置換基を有してもよく、総炭素数1〜18のものが好ましく、特に総炭素数1〜12のものが好ましい。このようなアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、i−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、n−オクチルチオ基、n−ドデシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基が挙げられる。
【0067】
アリールチオ基としては、総炭素数6〜20のものが好ましく、特に総炭素数6〜12のものが好ましい。このようなアリールチオ基としては、フェニルチオ基、トリルチオ基、クロロフェニルチオ基、エトキシカルボニルフェニルチオ基が挙げられる。
【0068】
アミノ基としては、アルキル基およびアリール基の少なくともいずれかが置換されていてもよく、総炭素数1〜20のものが好ましく、特に総炭素数1〜12のものが好ましい。このようなアミノ基としては、−NH2基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基が挙げられる。
【0069】
2、R3、およびR4の脂肪族基、芳香族基、および複素芳香族基の具体例としては、前記R1と同様のものが挙げられる。
2は、ハロゲン原子(好ましくは、塩素原子若しくは臭素原子)またはメトキシ基が好ましい。
【0070】
前記一般式(1)〜(4)で表されるオキシム化合物の具体例としては、下記構造式(1)〜(52)で表される化合物が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【化12】

【化13】

【0071】
上記化合物は、例えば、特開2007−231000号公報の段落番号0033〜0036の記載に従って合成することができる。
なお、本発明の新規なオキシム化合物は、1H−NMRスペクトル、UV−vis吸収スペクトルを測定して同定することができる。
【0072】
前記一般式(1)で表される化合物の固形分含有量が、本発明の着色感光性樹脂組成物の全固形分量に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。前記固形分含有量が、0.01質量%未以上とすることにより、感度がより向上する傾向にあり、20質量%以下とすることにより、保存性が向上する傾向にある。
【0073】
−その他の光重合開始剤−
本発明の着色感光性樹脂組成物には、前記一般式(1)で表される光重合開始剤に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、前記一般式(1)で表される光重合開始剤以外のその他の光重合開始剤を用いることができる。
前記その他の光重合開始剤のとしては、例えば、カンファーキノン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン、アセトフェノン誘導体、α−ヒドロキシシクロアルキルフェニルケトン若しくは2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパノン、ジアルキルオキシアセトフェノン、α−ヒドロキシ−若しくはα−アミノ−アセトフェノン、(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、4−アロイル−1,3−ジオキソラン、ベンゾインアルキルエーテルおよびベンジルケタール(例えば、ジメチルベンジルケタール)、フェニルグリオキサルエステルおよびその誘導体、二量体のフェニルグリオキサルエステル、ジアセチル、ペルエステル(例えば、欧州特許第126,541号公報に例えば記載されたベンゾフェノンテトラカルボン酸ペルエステル)、モノアシルホスフィンオキシド(例えば、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジペントキシフェニルホスフィンオキシド、トリスアシルホスフィンオキシド)、ハロメチルトリアジン(例えば、2−〔2−(4−メトキシフェニル)ビニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−メチル−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−(4−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)〔1,3,5〕トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−(1,3−ベンゾジオキソル−5−イル)−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−〔4−(ペンチルオキシ)フェニル〕エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−(3−メチル−2−フラニル)エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−(5−メチル−2−フラニル)エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−(2,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−(2−メトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−(4−イソプロピルオキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−ブロモ−4−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−クロロ−4−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔3−ブロモ−4−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔3−クロロ−4−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン)、その他のハロメチルトリアジン(例えば、G.Buhr,R.Dammel and C.Lindley,Polym.Mater.Sci.Eng.61,269(1989)、および欧州特許第022788号公報に記載されている化合物)、ハロメチルオキサゾール光開始剤(例えば、米国特許第4,371,606号および第4,371,607号明細書に記載されている化合物)、1,2−ジスルホンヘキサアリールビスイミダゾール、およびヘキサアリールビスイミダゾール(例えば、E.A.Bartmann,Synthesis 5,490(1993)に記載されている化合物)、共開始剤系(例えば、2−メルカプトベンズチアゾール、フェロセニウム化合物)、チタノセン(例えば、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピリルフェニル)チタンと組み合わせたo−クロロヘキサフェニル−ビスイミダゾールとの混合物)、などが挙げられる。
【0074】
前記光重合開始剤(前記一般式(1)で表される化合物、およびその他の光重合開始剤)の固形分含有量としては、前記着色感光性樹脂組成物全固形分中、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.5〜10質量%がさらに好ましい。
【0075】
<(D)増感剤>
本発明の着色感光性樹脂組成物は、増感剤を含有することが好ましい。
このような増感剤としては、公知の分光増感剤または染料、または光を吸収して光重合開始剤と相互作用する染料または顔料が挙げられる。
増感剤は、1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
【0076】
本発明に用いることのできる増感剤として好ましい分光増感剤または染料は、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(例えば、2,4−ジエチルチオキサントン)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、フタロシアニン類(例えば、フタロシアニン、メタルフタロシアニン)、ポルフィリン類(例えば、テトラフェニルポルフィリン、中心金属置換ポルフィリン)、クロロフィル類(例えば、クロロフィル、クロロフィリン、中心金属置換クロロフィル)、金属錯体、アントラキノン類、(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、および、下記に列挙するアミン化合物、等が挙げられる。
【0077】
増感剤として好適なアミン系化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0078】
これらの増感剤の中でも、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、および、2,4−ジエチルチオキサントンが特に好ましい。
【0079】
本発明の着色感光性樹脂組成物における増感剤の含有量は、分光増感による感度の向上、添加による着色悪化を抑制する等の観点から、感光性樹脂組成物の全固形分の質量に対し、0.5〜20質量%の範囲が好ましく、0.5〜15質量%の範囲がより好ましく、0.5〜10質量%の範囲がさらに好ましい。
【0080】
<(E)バインダー樹脂>
本発明の着色感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂を少なくとも1種以上含むことが好ましい。
バインダー樹脂としては、線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような「線状有機ポリマー」としては、公知のものを任意に用いることができる。
バインダー樹脂としては、着色剤に対してバインダーとして作用し、かつ、着色パターン形成する際に、現像処理工程にて用いられる現像液、特に好ましくはアルカリ性現像液に対して可溶性を有するものであれば、特に限定されるものではない。
【0081】
バインダー樹脂の重量平均分子量としては、1000〜100000の範囲であることが好ましく、より好ましくは1000〜50000の範囲、さらに好ましくは5000〜40000の範囲である。バインダー樹脂の重量平均分子量がこの範囲内にあると、本発明の着色感光性樹脂組成物を用いて形成されるパターンの現像性、直線性がさらに良好となる。
【0082】
バインダー樹脂としては、耐溶剤性、表面平滑性、および耐熱性の観点から、バインダー樹脂として、分子内に重合性基を有するバインダー樹脂を含有してもよい。
【0083】
バインダー樹脂が分子内に有する重合性基の例としては、エチレン性不飽和基(例えば、メタクリロイル基、アクリロイル基、スチリル基等)などが挙げられ、エチレン性不飽和基が好ましい。また、分子内に重合性基を有するバインダー樹脂は、重合性基の他、水酸基、イソシアネート基、カルボキシル基等を有することが好ましい。
【0084】
バインダー樹脂としては、現像性の観点から、カルボキシ基を有するアクリル系共重合体が好ましく、特に、1個以上のカルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体が好ましい。
【0085】
バインダー樹脂の具体例としては、
(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート共重合体、
(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、
(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、
(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、
(メタ)アクリル酸/2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、
等を挙げることができる。
【0086】
また、下記のようなエポキシ環、オキセタン環を含む樹脂も使用できる。
スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル/メタクリル酸グリシジル共重合体、
スチレン/アククリル酸/アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル/アクリル酸グリシジル共重合体、
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/3−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン/tert−ブチルメタクリレート共重合体、
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン/スチレン共重合体、
【0087】
ブタジエン/スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル/メタクリル酸グリシジル共重合体、
ブタジエン/メタクリル酸/メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル/メタクリル酸グリシジル共重合体、
スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル/メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル共重合体、
スチレン/アクリル酸/無水マレイン酸/メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル共重合体、
tert−ブチルメタクリレート/アクリル酸/無水マレイン酸/メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル共重合体、
スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、
p−メトキシスチレン/メタクリル酸/シクロヘキシルアクリレート/メタクリル酸グリシジル共重合体。
これらのバインダー樹脂は、1種のみで用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0088】
本発明の着色感光性樹脂組成物におけるバインダー樹脂の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して、5質量%〜50質量%の範囲が好ましく、5質量%〜40質量%の範囲がより好ましい。
【0089】
<(F)溶剤>
本発明の着色感光性樹脂組成物は、溶剤を含む。本発明の着色感光性樹脂組成物は、該組成物が含有する各成分を溶剤に溶解または分散させて調製することができる。
【0090】
溶剤としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、および3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチルなどの3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、および3−エトキシプロピオン酸エチルなど)、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピルなどの2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、および2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチルなど)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、1,3−ブタンジオールジアセテート等;
【0091】
エーテル類、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、
メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテルアセテート、
ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等;
【0092】
アルコキシアルキルアセテート類、例えば、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、2−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート等;
【0093】
ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;
アルコール類、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等;
芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0094】
これらのうち、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチテルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等が好適である。
溶剤は、単独で用いる以外に、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0095】
<G>多官能チオール化合物
本発明の着色感光性樹脂組成物には、多官能チオール化合物を含むことが好ましい。
本発明において「多官能チオール化合物」とは、チオール基を分子内に2個以上有する化合物を意味する。多官能チオール化合物は、チオール基を分子内に2〜6個有することが好ましく、感度および硬化膜の着色抑制の観点からは、2〜4個有するもの(2官能〜4官能)がより好ましく、感度、硬化膜の着色抑制、および直線性に優れたパターン形成性の観点からは、チオール基を分子内に2個有するもの(2官能)が特に好ましい。
【0096】
多官能チオール化合物としては、分子量100以上の化合物が好ましく、分子量100〜1500であることが好ましく、分子量150〜1000の化合物がさらに好ましい。
【0097】
多官能チオール化合物の例としては、エチレングリコールビスチオプロピオネート(EGTP)、ブタンジオールビスチオプロピオネート(BDTP)、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート(TMTP)、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート(PETP)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等の多官能性メルカプタン系化合物が挙げられ、これらの中でも、ブタンジオールビスチオプロピオネート(BDTP)がより好ましい。
【0098】
多官能チオール化合物としては、市販品を用いることもできる。市販品の例としては、カレンズ(登録商標、以下同様)カレンズMTBD1、カレンズMTPE1、カレンズMTNR1(以上、昭和電工(株)製)等が挙げられる。
【0099】
本発明の着色感光性樹脂組成物における多官能チオール化合物の含有量は、該組成物の全固形分に対して、0.1〜15質量%が好ましく、0.3〜10.0質量%がより好ましく、0.3〜5.0質量%がさらに好ましい。
【0100】
また、本発明の効果を損ねない範囲で、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、βメルカプトナフタレン、N−フェニル−メルカプトベンズイミダゾール等の単官能チオール化合物を併用してもよい。
【0101】
<その他の成分>
本発明の着色感光性樹脂組成物には、さらに必要に応じて、界面活性剤、熱硬化性樹脂、有機カルボン酸、シランカップリング剤、重合禁止剤、可塑剤などのその他の成分を含有してもよい。
【0102】
(界面活性剤)
本発明の着色感光性樹脂組成物は、界面活性剤を含むことができる。
顔料濃度を大きくすると塗布液のチキソ性が一般的に大きくなるため、基板上に着色感光性樹脂組成物を塗布または転写して着色感光性樹脂組成物層(着色層塗膜)形成後の膜厚ムラを生じやすい。また特に、スリットコート法による着色感光性樹脂組成物層(着色層塗膜)形成では、乾燥までに着色感光性樹脂組成物層形成用の塗布液がレベリングして均一な厚みの塗膜を形成することが重要である。
このため、着色感光性樹脂組成物中に適切な界面活性剤を含有させることが好ましい。上記界面活性剤としては、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号の各公報に開示されている界面活性剤が、好適なものとして挙げられる。
塗布性を向上するための界面活性剤としてはノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等が添加される。
【0103】
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール類、ポリオキシプロピレングリコール類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシプロピレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシプロピレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤が好ましい。
【0104】
具体的には、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリル化エーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−プロピレンポリスチリル化エーテル、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシアルキレンジアルキルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類などのノニオン系界面活性剤が挙げられる。
【0105】
これらの具体例は、例えば、アデカプルロニックシリーズ、アデカノールシリーズイ、テトロニックシリーズ(以上、ADEKA(株)製)、エマルゲンシリーズ、レオドールシリーズ(以上、花王(株)製)、エレミノールシリーズ、ノニポールシリーズ、オクタポールシリーズ、ドデカポールシリーズ、ニューポールシリーズ(以上、三洋化成(株)製)、パイオニンシリーズ(竹本油脂(株)製)、ニッサンノニオンシリーズ(日油(株)製)などである。これらの市販されているものが適宜使用できる。好ましいHLB値は8〜20、さらに好ましくは10〜17である。
【0106】
フッ素系界面活性剤としては、末端、主鎖および側鎖の少なくともいずれかの部位にフルオロアルキルまたはフルオロアルキレン基を有する化合物を好適に用いることができる。
具体的市販品としては、例えばメガファックF142D、同F172、同F173、同F176、同F177、同F183、同F780、同F781、同F782、同F784、同F552、同F554、同R30、同R08(以上、DIC(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145、同S−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子(株)製)、エフトップEF351、同352、同801、同802(以上、JEMCO(株)製)などである。
【0107】
シリコン系界面活性剤としては、例えばトーレシリコーンDC3PA、同DC7PA、同SH11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH−190、同SH−193、同SZ−6032、同SF−8428、同DC−57、同DC−190(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、TSF−4440、TSF−4300、TSF−4445、TSF−4446、TSF−4460、TSF−4452(以上、GE東芝シリコーン(株)製)等を挙げることができる。
これらのうちで、本発明に好ましい界面活性剤としては、メガファックF780、同F781、同F782、同F784、同F552、および同F554(以上、DIC(株)製)である。
【0108】
界面活性剤の含有量は、形成される硬化膜の表面性状および平滑性の観点から、着色感光性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは5質量部以下、より好ましくは2質量部以下であり、さらに好ましくは0.5質量部以下である。
【0109】
(熱硬化性樹脂)
本発明の着色感光性樹脂組成物は、所望により、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂等の熱硬化性樹脂を含有することができる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、クレゾールノボラック型、ビフェニル型、脂環式エポキシ化合物などである。
【0110】
例えばビスフェノールA型としては、エポトートYD−115、YD−118T、YD−127、YD−128、YD−134、YD−8125、YD−7011R、ZX−1059、YDF−8170、YDF−170など(以上、東都化成(株)製)、デナコールEX−1101、EX−1102、EX−1103など(以上、ナガセケムテックス(株)製)、プラクセルGL−61、GL−62、G101、G102(以上、ダイセル化学工業(株)製)の他に、これらの類似のビスフェノールF型、ビスフェノールS型も挙げることができる。またEbecryl
3700、3701、600(以上、ダイセルユーシービー製)などのエポキシアクリレートも使用可能である。
【0111】
クレゾールノボラック型としては、エポトートYDPN−638、YDPN−701、YDPN−702、YDPN−703、YDPN−704など(以上、東都化成(株)製)、デナコールEM−125など(以上、ナガセ化成製)、ビフェニル型としては3,5,3’,5’−テトラメチル−4,4’ジグリシジルビフェニルなどが挙げられる。
【0112】
脂環式エポキシ化合物としては、セロキサイド2021、2081、2083、2085、エポリードGT−301、GT−302、GT−401、GT−403、EHPE−3150(以上、ダイセル化学製)、サントートST−3000、ST−4000、ST−5080、ST−5100など(以上、東都化成(株)製)などを挙げることができる。他にアミン型エポキシ樹脂であるエポトートYH−434、YH−434L、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の骨格中にダイマー酸を変性したグリシジルエステル等も使用できる。
【0113】
これらのエポキシ樹脂の中で、好ましくはノボラック型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物が好ましく、エポキシ当量が180〜250のものが特に好ましい。このような素材としてはエピクロンN−660、N−670、N−680、N−690、YDCN−704L(以上、DIC(株)製)、EHPE3150(ダイセル化学工業(株)製)を挙げることができる。
【0114】
オキセタン樹脂としては、アロンオキセタンOXT−101、OXT−121、OXT−211、OXT−221、OXT−212、OXT−610、OX−SQ、PNOX(以上、東亞合成(株)製)を用いることができる。
またオキセタン樹脂は、単独でまたはアクリル系共重合体、エポキシ樹脂およびマレイミド樹脂と混合して使用することができる。特にエポキシ樹脂との併用で用いた場合には紫外光レーザー露光により発生した熱による反応性が高く、基板との密着性の観点から好ましい。
【0115】
エポキシ樹脂、オキセタン樹脂等の熱硬化性樹脂の着色感光性樹脂組成物中における含有量としては、着色感光性樹脂組成物の全固形分に対して、0.5〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がアルカリに対する溶解性と基板との密着性の両立の観点から好ましい。
【0116】
(有機カルボン酸)
着色感光性樹脂組成物を用いた硬化膜の形成において、未硬化部のアルカリ溶解性を促進し、着色感光性樹脂組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸の添加を行なうことができる。
【0117】
有機カルボン酸の例としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、フェノキシ酢酸、メトキシフェノキシ酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
【0118】
(シランカップリング剤)
本発明の着色感光性樹脂組成物には、更なる基板との密着性向上の観点から、シランカップリング剤を使用することができる。
シランカップリング剤は、無機材料と化学結合可能な加水分解性基としてアルコキシシリル基を有するものが好ましい。また有機樹脂との間で相互作用もしくは結合形成して親和性を示す基を有することが好ましく、そのような基としては(メタ)アクリロイル基、フェニル基、メルカプト基、グリシジル基、オキセタニル基を有するものが好ましく、その中でも(メタ)アクリロイル基またはグリシジル基を有するものが好ましい。
【0119】
即ち、本発明に用いるシランカップリング剤としては、アルコキシシリル基と、(メタ)アクリロイル基またはエポキシ基と、を有する化合物であることが好ましく、具体的には下記構造の(メタ)アクリロイル−トリメトキシシラン化合物、グリシジル−トリメトキシシラン化合物等が挙げられる。
【0120】
シランカップリング剤を用いる場合の含有量としては、本発明に用いられる着色感光性樹脂組成物中の全固形分中、0.2質量%〜5.0質量%の範囲であることが好ましく、0.5質量%〜3.0質量%がより好ましい。
【0121】
(重合禁止剤)
本発明においては、着色感光性樹脂組成物の製造中あるいは保存中において重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる熱重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4'−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩、フェノキサジン、フェノチアジン等が挙げられる。
【0122】
熱重合防止剤の含有量は、着色感光性樹脂組成物に対して、0.01質量%〜5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させることもできる。高級脂肪酸誘導体の含有量は、着色感光性樹脂組成物の0.5質量%〜10質量%が好ましい。
【0123】
(可塑剤)
さらに、本発明においては、着色感光性樹脂組成物の物性を改良するために無機充填剤や、可塑剤等を加えてもよい。
可塑剤としては例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、重合性化合物とバインダー樹脂との合計質量に対し10質量%以下を添加することができる。
【0124】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、従来公知の露光手段により硬化させることができる。その中でも、本発明の着色感光性樹脂組成物は、紫外光の露光により高感度で硬化し、また、基板との高い密着性を示す。紫外光の露光手段としては、レーザー露光法およびプロキシミティ露光法のいずれでもよい。
本発明の着色感光性樹脂組成物は、カラーフィルタの着色パターン形成に好ましく使用することができる。
【0125】
≪パターン形成方法、カラーフィルタおよびその製造方法≫
本発明の着色感光性樹脂組成物、および、これを用いたパターン形成方法は、液晶表示素子用カラーフィルタの製造に好適である。
以下、本発明の着色感光性樹脂組成物を用いたパターン形成方法を、液晶表示素子用カラーフィルタの製造方法におけるパターンの形成方法として説明するが、本発明はこの方法に限定されるものではない。
【0126】
本発明のパターン形成方法は、本発明の着色感光性樹脂組成物を基板上に付与して着色層を形成する着色層形成工程と、着色層をパターン様に露光し露光部を硬化させる露光工程と、露光後の着色層における未硬化部を現像により除去してパターンを形成する現像工程と、を含むことを特徴とする。さらに、必要に応じて、着色層をベークする工程(プリベーク工程)、および、現像された着色層をベークする工程(ポストベーク工程)を設けてもよい。以下、これらの工程をあわせて、パターン形成工程ということがある。
【0127】
〔着色層形成工程〕
本発明における着色層形成工程は、本発明の着色感光性樹脂組成物を基板上に付与して着色層を形成する工程である。
基板としては、例えば、液晶表示装置等に用いられる無アルカリガラス、ナトリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスおよびこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板が挙げられる。さらに、プラスチック基板も使用可能である。これらの基板を用いて、格子状などにブラックマトリックスを形成し、格子の空いた部分に着色パターンが形成されることが好ましい。
【0128】
これらの基板上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。基板は大型(おおむね1辺1m以上)である方が、本発明の効果をより奏する点で好ましい。
【0129】
基板上に着色層を形成するために、本発明の着色感光性樹脂組成物を付与する方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布による付与方法を適用することができる。塗布法の中ではスリット塗布が精度と速さの観点で好ましい。
また、予め仮支持体上に上記塗布法によって形成した塗膜を、基板上に転写する付与方法を適用することもできる。
転写方法に関しては特開2006−23696号公報の段落番号[0023]、[0036]〜[0051]や、特開2006−47592号公報の段落番号[0096]〜[0108]に記載の作製方法を本発明においても好適に用いることができる。
【0130】
着色層の層厚(例えば、塗布厚)は、充分な色再現領域を得、且つ充分なパネルの輝度を得るために、乾燥後の膜厚が、0.5μm〜3.0μmとなるように形成することが好ましく、1.5μm〜2.5μmとすることがより好ましい。
【0131】
〔乾燥工程〕
上記のような着色感光性樹脂組成物の付与が終了した後、真空乾燥(VCD)により溶剤を乾燥させる乾燥工程を行ってもよい。またさらに、基板上の塗膜を加熱乾燥(プリベーク)させて着色層を得てもよい。
塗膜のプリベーク温度は、60℃〜140℃が好ましく、80℃〜120℃がより好ましい。また、プリベーク時間は、30秒〜300秒が好ましく、80秒〜200秒がより好ましい。
【0132】
〔露光工程〕
本発明における露光工程は、着色層形成工程により形成れた着色層を、パターン様に露光をし、露光部を硬化させる工程である。
【0133】
露光に用いる光源としては、g線、h線、i線、j線等の紫外線の他に、紫外光レーザーなどが好ましい。
また、露光の方式としては、プロキシミティ露光方式、スパッター露光方式のほか、レーザー光源を用いた露光方式も好適に使用できる。
【0134】
レーザーの励起媒体としては、結晶、ガラス、液体、色素、気体などがあり、これらの媒質から固体レーザー、液体レーザー、気体レーザー、半導体レーザーなどの公知の紫外光に発振波長を有するレーザーを用いることができる。その中でも、レーザーの出力および発振波長の観点から、固体レーザー、ガスレーザーが好ましい。
【0135】
本発明に用いうる紫外光レーザーの露光波長としては、着色感光性樹脂組成物の感光波長に合致し感度がよい点で、300nm〜380nmの範囲が好ましく、310nm〜360nmの範囲がより好ましく、特に355nm波長レーザー露光法が好適である。
【0136】
具体的には、特に出力が大きく、比較的安価な固体レーザーのNd:YAGレーザーの第三高調波(355nm)や、エキシマレーザーのXeCl(308nm)、XeF(353nm)を好適に用いることができる。
また、被露光物(パターン)の露光量としては、1〜100mJ/cm2の範囲であることが好ましく、1〜90mJ/cm2であることがより好ましく、1〜50mJ/cm2の範囲がさらに好ましい。本発明では、このような低露光量でも、高いパターン形成性と密着性を保持でき、パターン形成の生産性の点で好ましい。
【0137】
本発明に用いうる紫外光レーザーは、生産性の観点から、20Hz〜2000Hzの周波数で発振されるパルスレーザーであることが好ましい。
【0138】
本発明に使用可能な露光装置としては特に制限はないが、市販されているものとしては、EGIS(ブイテクノロジー株式会社製)やDF2200G(大日本スクリーン株式会社製などが使用可能である。上記以外の装置も好適に用いられる。
【0139】
紫外光レーザーは光の平行度が良好で、露光の際にマスクを使用しないで、パターン露光ができるが、パターン形状が出力光の形状、プロファイルの影響を受ける。そのため、マスクを用いてパターンを露光した方が、パターンの直線性が高くなるので好ましい。
【0140】
〔現像工程〕
本発明における現像工程は、露光後の着色層における未硬化部を現像により除去して、パターンを形成する工程である。即ち、露光により露光部はパターン状に硬化しており、現像処理では、アルカリ現像処理を行うことにより、露光工程での未照射部分(未硬化部分)を、アルカリ水溶液に溶出させて除去し、光硬化した部分だけを残すことによって、パターンを形成させることができる。
【0141】
現像液としては、有機アルカリ現像液や無機アルカリ現像液またはその混合液が使用される。
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられ、これらのアルカリ性化合物を濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後に純水で洗浄(リンス)する。
【0142】
現像温度としては20℃〜35℃が好ましく、23℃〜30℃がより好ましい。現像時間は、30秒〜120秒が好ましく、40秒〜90秒がより好ましい。これらのうち、現像温度と現像時間の好ましい組み合わせは、例えば、温度25℃では50秒〜100秒であり、温度30℃では40秒〜80秒であることが挙げられる。
また、シャワー圧は、0.01MPa〜0.5MPaが好ましく、0.05MPa〜0.3MPaが好ましく、0.1MPa〜0.3MPaが好ましい。これらの条件を選択することによって、パターンの形状を、矩形にしたり、順テーパにしたり任意に設計することができる。
【0143】
〔ポストベーク工程〕
本発明においては、着色感光性樹脂組成物の硬化を完全なものとするために、現像された着色層をベークするポストベーク工程を設けることが好ましい。
ベークする方法は、現像・リンス後のパターンを有する基板を、ホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で加熱することによって行うことができる。
ベークの条件としては、温度は、150℃〜260℃が好ましく、180℃〜260℃がより好ましく、200℃〜240℃が最も好ましい。ベーク時間は、10分間〜150分間が好ましく、20分間〜120分間がより好ましく、20分間〜90分間がもっとも好ましい。
【0144】
なお、RGB3色相、遮光層等、複数色相の着色パターンを形成するときは、着色層の形成、露光、現像、およびベークのサイクルを、所望の色相数だけ繰り返してもよいし、色相ごとに着色層の形成、露光、および現像を行ってから、最後に全色相分まとめてベークを行なってもよい。これにより、所望の色相よりなる着色画素を備えたカラーフィルタが作製される。
【0145】
≪表示装置≫
本発明のカラーフィルタは、高解像度で、良好な輝度が得られることから、表示装置の作製、特に液晶表示装置の作製に好適である。本発明のパターン形成方法で作製したカラーフィルタを用いた液晶表示装置は、高品位の画像を表示することができる。
【0146】
表示装置の定義や各表示装置の説明は、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)、平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会、1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【0147】
液晶表示装置用カラーフィルタは、中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)、1996年発行)」に記載されている。さらに本発明はIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置や、STN、TN、VA、IPS、OCS、FFS、およびR−OCB等にも適用できる。これらの方式については例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門、2001年発行)」の43ページに記載されている。
【0148】
液晶表示装置は、カラーフィルタ以外に、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角保障フィルムなどさまざまな部材から構成される。
本発明の液晶表示素子用カラーフィルタはこれらの公知の部材で構成される液晶表示装置に適用することができる。
これらの部材については例えば「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 著、 (株)シーエムシー、1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉著、(株)富士キメラ総研、2003年発行)」に記載されている。
【0149】
バックライトに関しては、SID meeting Digest 1380(2005)(A.Konno et.al)や、月刊デイスプレイ 2005年12月号の18
〜24ページ(島康裕 著)、同25〜30ページ(八木隆明 著)などに記載されている。
【実施例】
【0150】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」および「部」は、質量基準である。
【0151】
本実施例では、以下の化合物を採用した。
【0152】
調整例1
[黒色顔料分散液K1の調整]
着色剤としてチタンブラック(13M−T、三菱マテリアル(株)製)25部、分散剤(下記分散剤1)7部、および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)をはかり取り、ホモジナイザーを用いて3時間攪拌した。得られた混合溶液を、寿工業製ウルトラアペックスミルUAM015を使用して分散し、固形分30.0%の黒色顔料分散液K1を調整した。
【化14】

【0153】
調整例2
[黒色顔料分散液K2の調整]
着色剤としてカーボンブラック(Nipex35、デグッサ社製)131部、ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(以下、BzMA/MAAと称す)=72/28[モル比]))のランダム共重合体、分子量37,000)67部、分散剤(下記分散剤2)7部、および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと称する) 796部をはかり取り、温度24℃(±2℃)にてモーターミルM50(アイガー・ジャパン社製)により、直径0.65mmのジルコニアビーズを用いて1時間混合し、黒色顔料分散液K2を調整した。
【0154】
【化15】

【0155】
(B)重合性化合物
(B−1)アロニックスTO−1382:(カルボキシル基含有多官能性単量体)平均酸価:30±10mgKOH/g、東亞合成製
(B−2)アロニックスTO−2359:(カルボキシル基含有多官能性単量体)平均酸価:(26.5)±1.5mgKOH/g、東亞合成製)
【0156】
(C)重合開始剤
(C−1)特開2007−231000号公報の記載に従って、下記化合物を合成した。
【化16】

(C−3)下記化合物(BASF社製、OXE−01)
【化17】

(C−4)特開平5−19471号公報の記載に従って、下記化合物を合成した。
【化18】

(C−6)特開2007−231000号公報の記載に従って、下記化合物を合成した。
【化19】

(C−7)特開2007−231000号公報の記載に従って、下記化合物を合成した。
【化20】

(C−8)特開2007−231000号公報の記載に従って、下記化合物を合成した。
【化21】

(C−9)特開2007−231000号公報の記載に従って、下記化合物を合成した。
【化22】

(C−10)特開2007−231000号公報の記載に従って、下記化合物を合成した。
【化23】

(C−11)特開2007−231000号公報の記載に従って、下記化合物を合成した。
【化24】

(C−12)特開2007−231000号公報の記載に従って、下記化合物を合成した。
【化25】

(C−13)特開2007−231000号公報の記載に従って、下記化合物を合成した。
【化26】

(C−14)特開2007−231000号公報の記載に従って、下記化合物を合成した。
【化27】

(C−15)特開2007−231000号公報の記載に従って、下記化合物を合成した。
【化28】

【0157】
(D)増感剤
(D−1)下記化合物(日本化薬製、DETX−S)
【化29】

(D−2)下記化合物(黒金化成製、NBCA(10−n−ブチル−2−クロロアクリドン)
【化30】

(D−3)下記化合物
【化31】

(D−4)下記化合物(保土ヶ谷化学工業製、EAB−F)
【化32】

(D−5)下記化合物(日本化薬製、品番:CPTX)
【化33】

【0158】
(E)バインダー樹脂
(E−1)特開2008−146018号公報の記載に従って、下記樹脂を合成した(ランダム共重合体、Mw=30000)。
【化34】

(E−2)公知の方法に従って下記樹脂を合成した(ランダム共重合体、Mw=30000)。
【化35】

【0159】
(G)多官能性メルカプタン系化合物
(G−1)カレンズMTBD1(昭和電工(株)製)
(G−2)カレンズMTPE1(昭和電工(株)製)
【0160】
重合禁止剤
H−1:フェノチアジン
【化36】

H−2:p−メトキシフェノール
【化37】

【0161】
(実施例1)
(黒色着色感光性樹脂組成物1の調整)
下記の成分を攪拌混合することによって、黒色着色感光性樹脂組成物1を調整した。
・黒色顔料分散液K1 5.90部
・重合性化合物:アロニックスTO−1382(東亞合成(株)製) 1.47部
・開始剤:化合物C−1 0.27部
・増感剤:化合物D−1 0.27部
・バインダー樹脂:アリルメタクリレート/メタクリル酸(AllylMA/MAA)=80/20[モル比]のランダム共重合体(分子量30,000)の固形分40%PGMEA溶液
3.01部
・溶剤:PGMEA 5.32部
・溶剤:3−エトキシプロピオン酸エチル(EEP) 3.65部
・多官能性メルカプタン系化合物:カレンズMTBD1(昭和電工(株)製)
0.108部
・重合禁止剤:フェノチアジン 0.002部
・界面活性剤:メガファックF−554(DIC(株)製) 0.0065部
【0162】
(実施例2〜27、比較例1〜4、参考例1、2)
実施例1において、各成分を下記表に記載の種類、添加量にそれぞれ変更したこと意外、前記黒色着色感光性樹脂組成物1と同様にして、着色感光性樹脂組成物を調整した。
【0163】
調整例3
[赤色顔料分散液R1の調整]
着色剤としてC.I.Pigmentレッド254(PR254)117部、分散剤(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ(株)製)を70部、PGMEAを固形分濃度18.7%となるように用い、ビーズミルにより12時間混合・分散して、赤色顔料分散液R1を調製した。
【0164】
調整例4
[赤色顔料分散液R2の調整]
着色剤としてC.I.Pigmentレッド177(PR177)151部、分散剤(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ(株)製)を46部、PGMEAを固形分濃度19.7%となるように用い、ビーズミルにより12時間混合・分散して、赤色顔料分散液R2を調製した。
【0165】
調整例5
[緑色顔料分散液G1の調整]
C.I.Pigmentグリーン58(PG58)149部、分散剤(BYK−LPN6919(固形分60%)、ビックケミー社製)118部、PGMEA733部を仕込み、ビーズミルにより8時間攪拌して、緑色分散液G1を調整した。
【0166】
調整例6
[黄色顔料分散液Y1の調整]
着色剤としてC.I.Pigmentイエロー150(PY150)150部、分散剤(BYK−2001(固形分46%)、ビックケミー社製)163部、PGMEA687部を仕込み、ビーズミルにより3時間混合し分散して、黄色顔料分散液Y1を調製した。
【0167】
調製例7
[青色顔料分散液B1の調整]
着色剤としてC.I.Pigmentブルー15:6(PB15:6) 118部とC.I.Pigmentバイオレット23(PV23) 10部、分散剤(Disperbyk−161、ビックケミー社製、固形分30%溶液) 240部、PGMEA 632部を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm)により8時間混合し分散して、青色顔料分散液B1を調製した。
【0168】
(実施例27)
(赤色着色感光性樹脂組成物1の調整)
下記の成分を攪拌混合することによって、赤色着色感光性樹脂組成物1を調整した。
・赤色顔料分散液R1 18.63部
・赤色顔料分散液R2 7.15部
・重合性化合物:アロニックスTO−2359(東亞合成(株)製) 2.46部
・開始剤:化合物C−1 0.28部
・増感剤:化合物D−1 0.47部
・バインダー樹脂:BzMA/MAA=70/30[モル比]のランダム共重合体(分子量30,000)の固形分40%PGMEA溶液 3.45部
・溶剤:PGMEA 9.74部
・溶剤:EEP 7.41部
・多官能性メルカプタン系化合物:カレンズMTBD1(昭和電工(株)製)
0.378部
・重合禁止剤:p−メトキシフェノール 0.0012部
・界面活性剤:メガファックF−554(DIC(株)製) 0.03部
【0169】
(実施例28〜75、比較例6〜10、参考例3〜8)
実施例27において、各成分を表2〜4に記載の種類、添加量にそれぞれ変更したこと以外、前記赤色着色感光性樹脂組成物1と同様にして、着色感光性樹脂組成物を調整した。
【0170】
(感度評価用基板の作製)
上記で得られた着色感光性樹脂組成物を、無アルカリガラス基板(Corning社、Eagle XG、550mm×660mm)の表面上にスピンコーターを用いて乾燥膜厚が2.5μmとなるように塗布し、80℃のオーブンで120秒間乾燥させ(プリベーク)させ、均一な着色層を形成した。その後、塗布膜を、20μm幅のラインアンドスペースを有するフォトマスクを通して、超高圧水銀灯にて、露光量を変化させ(照度35mW/cm2)、マスクと着色層との間の距離を30μmにてプロキシ露光した。
【0171】
次に、 露光後の塗布膜をアルカリ現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1%水溶液で40秒間シャワー状に散布、さらに純水をシャワー状に60秒間散布して現像液を洗い流した。(現像工程) 次に、上記にて露光および現像処理が施された塗布膜を230℃のオーブンで40分加熱処理し(ポストベーク)、感度評価用の基板を得た。
【0172】
(感度評価)
得られた基板表面を光学顕微鏡(200倍)によって観察し、線幅を測定し、マスク幅20μmと同じ線幅になる露光量を感度とした。
【0173】
(カラーフィルタの作製)
各実施例または各比較例に用いた着色感光性樹脂組成物を、無アルカリガラス基板(Corning社、Eagle XG、550mm×660mm)の表面上に、スリットダイにより塗布速度100mm/s、塗布ギャップ100μm、塗布流速1.3ml/sの条件で塗布した後、減圧乾燥チャンバーにて到達圧力0.5Torrにて真空乾燥したのち、80℃のオーブンで120秒間乾燥させ(プリベーク)、膜厚2.5μmの塗布膜を得た(着色層形成工程)。
その後、塗布膜を、10μm幅のラインアンドスペースパターンを有するフォトマスクを通して、超高圧水銀灯(照度35mW/cm2)にて、マスクと着色層との間の距離を200μmにてプロキシ露光した。(露光工程)
それぞれの露光量は、感度評価結果の露光量と同じとした。
露光後の塗布膜をアルカリ現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1%水溶液で40秒間シャワー状に散布、さらに純水をシャワー状に60秒間散布して現像液を洗い流した。(現像工程)
次に、上記にて露光および現像処理が施された塗布膜を230℃のオーブンで40分加熱処理し(ポストベーク)、ガラス基板上に、膜厚2.0μmのストライプ状画素アレイを有するカラーフィルタを得た。
【0174】
(直線性(パターンエッジ欠け)の評価)
各実施例および比較例にて得られたカラーフィルタにおけるストライプ状画素アレイ(ラインパターン)を、光学顕微鏡(200倍)によって観察し、線幅の直線性(ガタツキ具合)を目視し、下記基準で評価した。結果を下記表に示す。
−評価基準−
○:ガタツキやカケが無く、ラインが真直ぐである。
△:ガタツキは数箇所みとめられるが、ラインがほとんど真直ぐである。
×:ガタツキやカケによりラインバラツキが生じている。
【0175】
(密着の評価)
各実施例および比較例にて得られたカラーフィルタにおけるストライプ状画素アレイ(ラインパターン)を、光学顕微鏡(200倍)によって観察し、パターンの剥がれを目視し、下記基準で評価した。結果を表1〜表3に示す。
−評価基準−
○:剥がれが無い
△:剥がれは数箇所みとめられるが、ほとんどパターン残っているである。
×:パターンが形成されない。または、パターン剥がれが多数生じている。
【0176】
(総合評価)
感度、直線性(パターンエッジ欠け)、密着を総合的に下記基準で評価した。結果を表1〜4にまとめて示した。一般に、使用に際しては、8以上であることが好ましい。
評価基準
10 :非常に優れている。
8 :通常使用では問題ないレベル。
6 :通常使用がかろうじて容認されるレベル。
4 :性能不十分で通常使用できないレベル。
2 :前記各評価が著しく劣るレベル。
【0177】
【表1】

【表2】

【0178】
【表3】

【表4】

【0179】
【表5】

【表6】

【0180】
【表7】

【表8】

【0181】
表から明らかなように、本発明の着色感光性組成物は、優れた感度特性を示す。すなわち、低露光量でもパターンエッジの欠けやアンダーカット、およびパターン自体の剥離を生じることがない、画素およびブラックマトリックスを形成できることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)着色剤、(B)重合性化合物、(C)下記一般式(1)で表される光重合開始剤、(D)増感剤、(E)バインダー樹脂、および、(F)溶剤を含有し、(A)着色剤が、カーボンブラックおよびチタンブラックから選ばれる、着色感光性樹脂組成物。
【化1】

(一般式(1)中、R1は、水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基を表し、R2は、それぞれ、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、または、アミノ基を表す。mは、0〜4の整数を表す。mが2以上の場合は、R2は互いに連結し環を形成してもよい。Aは、4、5、6、および7員環のいずれかを表す。)
【請求項2】
(A)着色剤、(B)重合性化合物、(C)下記一般式(1)で表される光重合開始剤、(D)増感剤、(E)バインダー樹脂、および、(F)溶剤を含有し、(A)着色剤が、赤色顔料、緑色顔料および青色顔料から選ばれる、着色感光性樹脂組成物。
【化2】

(一般式(1)中、R1は、水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基を表し、R2は、それぞれ、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、または、アミノ基を表す。mは、0〜4の整数を表す。mが2以上の場合は、R2は互いに連結し環を形成してもよい。Aは、4、5、6、および7員環のいずれかを表す。)
【請求項3】
光重合開始剤(C)が、下記一般式(2)で表される化合物である、請求項1または2に記載の着色感光性樹脂組成物。
【化3】

(一般式(2)中、R1は、水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基を表し、R2は、それぞれ、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、または、アミノ基を表し、mは、0〜4の整数を表す。mが2以上の場合は、R2は互いに連結し環を形成してもよい。Xは、−CH2−、−O−、または、−S−を表す。lは、1〜3の整数を表す。)
【請求項4】
光重合開始剤(C)が、下記一般式(3)で表される化合物または一般式(4)で表される化合物である、請求項1または2に記載の着色感光性樹脂組成物。
【化4】

(一般式(3)および(4)中、R1は、水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基を表し、R2は、それぞれ、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、または、アミノ基を表し、mは、0〜4の整数を表す。mが2以上の場合は、R2は互いに連結し環を形成してもよい。Xは、−CH2−、−O−、または、−S−を表す。lは、1〜3の整数を表す。)
【請求項5】
一般式(2)、一般式(3)および一般式(4)中、Xが、−O−、または、−S−であり、lが、1または2であり、R1が、アシル基、または、アルコキシカルボニル基である、請求項3または4に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項6】
さらに、(G)多官能チオール化合物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項7】
(B)重合性化合物が、カルボキシル基を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項8】
(B)重合性化合物の酸価が1〜200mgKOH/gである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物を硬化させてなる層を有するカラーフィルタ。
【請求項10】
請求項9に記載のカラーフィルタを有する液晶表示パネル。
【請求項11】
請求項9に記載のカラーフィルタを有する液晶表示素子。

【公開番号】特開2013−29709(P2013−29709A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166395(P2011−166395)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】