説明

着色組成物、カラーフィルタ及びカラー液晶表示素子

【課題】塗布方法としてスリットダイ塗布法を採用した場合であっても、微小な凹凸からなるムラを発生させることなく、平坦な塗膜を形成することができる着色組成物を提供すること。また、色純度の高い画素を形成する場合であっても、平坦性に優れた画素を形成することができる着色組成物を提供すること。
【解決手段】(A)着色剤、(B)バインダー樹脂、(C)多官能性単量体、及び(D)特定のフッ素系界面活性剤を含有し、そして(A)着色剤の含有割合が不揮発分中20〜70質量%であることを特徴とする着色組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色組成物、カラーフィルタ及びカラー液晶表示素子に関わり、より詳しくは、透過型あるいは反射型のカラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等に用いられるカラーフィルタに有用な着色層の形成に用いられる着色組成物、当該着色組成物を用いて形成された着色層を備えるカラーフィルタ、並びに当該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
着色感放射線性組成物を用いてカラーフィルタを形成する方法として、基板上あるいは予め所望のパターンの遮光層を形成した基板上に、着色感放射線性組成物の塗膜を形成して、所定のパターンを有するフォトマスクを介して放射線を照射(以下、「露光」という。)し、現像して未露光部を溶解除去し、その後ポストベークすることにより、各色の画素を得る方法(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)が知られている。また、着色樹脂組成物を用いてインクジェット方式により各色の画素を得る方法(例えば、特許文献3参照。)も知られている。
【0003】
従来、着色感放射線性組成物の塗膜を形成するに当たっては、スピンコーターやスリット・スピンコーターが用いられてきた。しかしながら、近年では、着色感放射線性組成物の省液化を図ると共に、基板サイズの大型化に対応するため、スピン機構のないスリットダイコーターを用いるのが主流となっている。
【0004】
スピン機構のない省液コーターに適する着色感光性樹脂組成物として、例えば、特許文献4では、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を含んでなる着色感光性樹脂組成物が提案されている。しかしながら、スリットダイコーターを用いて塗膜を形成するに当たっては、基板を支持するピン周辺の塗膜に微小な凹凸からなるムラが発生する問題があり、従来の着色感光性樹脂組成物は、かかる問題を解決できていない。
【0005】
一方、近年のカラー液晶表示素子に対する高色純度化の要求に対応すべく、着色組成物中に占める着色剤の含有割合が、ますます高くなる傾向にある。かかる着色組成物を用いて段差のある大型基板上に塗膜を形成しようとした場合、塗膜の膜厚が不均一となる問題が顕在化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−144502号公報
【特許文献2】特開平3−53201号公報
【特許文献3】特開2000−310706号公報
【特許文献4】特開2004−126549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、塗布方法としてスリットダイ塗布法を採用した場合であっても、微小な凹凸からなるムラを発生させることなく、平坦な塗膜を形成することができる着色組成物を提供することにある。また、色純度の高い画素を形成する場合であっても、平坦性に優れた画素を形成することができる着色組成物を提供することにある。
さらに本発明の目的は、上記着色組成物から形成された着色層を備えてなるカラーフィルタ、及び当該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる実情に鑑み、本発明者らは、鋭意研究を行ったところ、着色組成物中に特定のフッ素系界面活性剤を含有せしめることで上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明は、(A)着色剤、(B)バインダー樹脂、(C)多官能性単量体、及び(D)下記式(1)で表される化合物(以下、「界面活性剤(D)」ということがある。)を含有し、そして(A)着色剤の含有割合が不揮発分中20〜70質量%であることを特徴とする着色組成物を提供するものである。
【0010】
【化1】

【0011】
(式(1)において、R〜Rは、相互に独立に、C11−、C17−、C17−O−C−CO−又は水素原子を表し、但し、それらのうち少なくとも1つはC11−、C17−又はC17−O−C−CO−であり、Aは、相互に独立に、エチレン基又はプロピレン基を表し、a〜dは、相互に独立に、0〜30の整数を表し、但し、a〜dの合計は2〜50であり、nは0又は1である。)
【0012】
また、本発明は、該着色組成物を用いて形成された着色層を備えてなるカラーフィルタ、及び該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子を提供するものである。ここで、「着色層」とは、カラーフィルタに用いられる各色画素、ブラックマトリックス等を意味する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の着色組成物を用いて形成された着色層は、平坦性に極めて優れる。
したがって、本発明の着色組成物は、カラー液晶表示素子用カラーフィルタ、固体撮像素子の色分解用カラーフィルタ、有機EL表示素子用カラーフィルタ、電子ペーパー用カラーフィルタを始めとする各種のカラーフィルタの作製に極めて好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
着色組成物
以下、本発明の着色組成物の構成成分について説明する。
【0015】
−(A)着色剤−
本発明における(A)着色剤としては着色性を有すれば特に限定されるものではなく、カラーフィルタ等の用途に応じて色彩や材質を適宜選択することができる。具体的には、着色剤として、顔料、染料及び天然色素の何れをも使用することができるが、カラーフィルタには耐熱性が求められることから、有機顔料、無機顔料が好ましい。
【0016】
有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物が挙げられる。具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
【0017】
C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー211;
【0018】
C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ68、C.I.ピグメントオレンジ70、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ72、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントオレンジ74
【0019】
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272;
【0020】
C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー80;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7。
【0021】
本発明においては、有機顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。
【0022】
また、無機顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等が挙げられる。
【0023】
これらの着色剤は、所望により、その粒子表面をポリマーで改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質するポリマーとしては、例えば、特開平8−259876号公報に記載のポリマー、又は市販の各種の顔料分散用のポリマー若しくはオリゴマー等が挙げられる。カーボンブラック表面のポリマー被覆方法としては、例えば、特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に記載の方法を採用することができる。
本発明においては、(A)着色剤を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0024】
本発明の着色組成物を画素の形成に用いる場合、画素には高精細な発色が求められることから、(A)着色剤としては、発色性の高い着色剤が好ましく、具体的には有機顔料が好ましく用いられる。
一方、本発明の着色組成物をブラックマトリックスの形成に用いる場合、ブラックマトリックスには遮光性が要求されることから、(A)着色剤としては有機顔料又はカーボンブラックが好ましく用いられる。
【0025】
本発明において、(A)着色剤の含有割合は、不揮発分中20〜70質量%である。不揮発分とは、後述する溶媒を主成分とする揮発分を除く成分であり、その総質量は、例えば、着色組成物を加熱乾燥することにより、測定することができる。着色組成物を加熱乾燥する際の加熱温度は、溶媒の沸点や後述する(B)〜(E)成分の分解温度等を考慮して、適宜に設定することができる。
一般に、各色画素を形成するに当たっては、CRTの標準的な色再現領域であるNTSC規格(赤:x=0.670、y=0.330/緑:x=0.210、y=0.710/青:x=0.140、y=0.080)やsRGB規格(赤:x=0.640、y=0.330/緑:x=0.300、y=0.600/青:x=0.150、y=0.060)に近い色度を、ポストベーク後1.0μm〜3.0μmの膜厚で達成することが好ましい。この場合、(A)着色剤の含有割合は、不揮発分中25質量%以上であることが好ましく、特に30質量%以上であることが好ましい。また、ブラックブラックマトリックスを形成するに当たっては、3.5〜4.0/μmのOD値(光学濃度)を、ポストベーク後1.0μm前後の膜厚で達成することが好ましい。この場合、黒色の着色組成物において、(A)着色剤の含有割合は、不揮発分中40質量%以上であることが好ましい。(A)着色剤の含有割合が少なすぎると、上述したような画素やブラックマトリックスを形成しようとした場合に膜厚を厚くする必要があるため、大型基板上で平坦性に優れた着色層を形成することが困難となるおそれがある。本発明の着色組成物によれば、上記のように(A)着色剤の含有割合が高くなる場合であっても、大型基板上で平坦性に優れた着色層を形成することができる。一方、(A)着色剤の含有割合が多すぎると、現像性を確保することが困難となるおそれがある。現像性をより良好にするという意味において、(A)着色剤の含有割合は、固形分に対して60質量%以下であることが好ましい。
【0026】
本発明における着色剤は、所望により、分散剤、分散助剤と共に使用することができる。上記分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の適宜の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、アクリル系共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等を挙げることができる。
【0027】
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、アクリル系共重合体として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ポリウレタンとして、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエチレンイミンとして、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエステルとして、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880(味の素ファインテクノ株式会社製)等を挙げることができる。
【0028】
これらの分散剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。分散剤の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常、100質量部以下、好ましくは1〜70質量部、更に好ましくは10〜50質量部である。分散剤の含有量が多すぎると、現像性等が損なわれるおそれがある。
【0029】
上記分散助剤としては、例えば、顔料誘導体を挙げることができ、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
【0030】
−(B)バインダー樹脂−
本発明における(B)バインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。なかでも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」という。)が好ましく、特に、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b1)」という。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b2)」という。)との共重合体が好ましい。
【0031】
上記不飽和単量体(b1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの不飽和単量体(b1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体において、不飽和単量体(b1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(b1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0032】
また、上記不飽和単量体(b2)としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレンの如き芳香族ビニル化合物;
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートの如き不飽和カルボン酸エステル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0033】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0034】
また、本発明においては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−207211号公報、特開平11−140144号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を、バインダー樹脂として使用することもできる。
【0035】
本発明におけるバインダー樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」ということがある。)は、通常、1,000〜50,000、好ましくは3,000〜30,000である。Mwが小さすぎると、得られる被膜の残膜率等が低下したり、パターン形状、耐熱性等が損なわれたり、また電気特性が悪化するおそれがあり、一方大きすぎると、解像度が低下したり、パターン形状が損なわれたり、またスリットノズル方式による塗布時に乾燥異物が発生し易くなるおそれがある。
【0036】
また、本発明におけるバインダー樹脂のMwと、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」ということがある。)の比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。
【0037】
本発明におけるバインダー樹脂は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第07/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0038】
本発明において、バインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明において、バインダー樹脂の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常、10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部である。バインダー樹脂の含有量が少なすぎると、例えば、アルカリ現像性が低下したり、得られる着色組成物の保存安定性が低下したりするおそれがあり、一方多すぎると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
【0039】
−(C)多官能性単量体−
本発明における(C)多官能性単量体は、2個以上の重合性不飽和結合を有する単量体である。
このような多官能性単量体としては、例えば、
エチレングリコール、プロピレングリコールの如きアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如きポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート;
グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートやそのジカルボン酸変性物;
ポリエステル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、スピラン樹脂の如きオリゴ(メタ)アクリレート;
両末端ヒドロキシポリ−1,3−ブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレンの如き両末端ヒドロキシル重合体のジ(メタ)アクリレート;
トリス〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕フォスフェート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリアクリレート、ウレタン構造を有するポリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン構造を有するポリ(メタ)アクリレート
等を挙げることができる。
【0040】
これらの多官能性単量体のうち、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物、ウレタン構造を有するポリ(メタ)アクリレート、並びにカプロラクトン構造を有するポリ(メタ)アクリレートが好ましい。3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類やそれらのジカルボン酸変性物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ペンタエリスリトールトリメタクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ジペンタエリスリトールペンタメタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物が好ましく、特に、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上及び遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で好ましい。
上記多官能性単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0041】
本発明における(C)多官能性単量体の含有量は、(B)バインダー樹脂100質量部に対して、5〜500質量部が好ましく、特に20〜300質量部が好ましい。この場合、多官能性単量体の含有量が少なすぎると、十分な硬化性が得られないおそれがある。一方、多官能性単量体の含有量が多すぎると、本発明の着色組成物にアルカリ現像性を付与した場合に、アルカリ現像性が低下し、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れ、膜残り等が発生しやすくなる傾向がある。
【0042】
また、本発明においては、多官能性単量体の一部を、重合性不飽和結合を1個有する単官能性単量体に置き換えることもできる。
上記単官能性単量体としては、例えば、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕の如き2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイロキシアルキル〕エステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートの如き両末端にカルボキシ基と水酸基とを有するポリマーのモノ(メタ)アクリレートや、N−(メタ)アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタムのほか、市販品として、M−5600(商品名、東亞合成(株)製)等を挙げることができる。
これらの単官能性単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0043】
本発明における単官能性単量体の含有割合は、多官能性単量体と単官能性単量体の合計に対して、好ましくは90質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。この場合、単官能性単量体の使用割合が多すぎると、硬化性が低下する傾向がある。
【0044】
−界面活性剤(D)−
上記式(1)で表される化合物、即ち界面活性剤(D)は、本発明の着色組成物において界面活性剤として機能する成分である。本発明の着色組成物は、かかる特定の界面活性剤を含有することにより、平坦性に極めて優れた着色層を形成することが可能となる。界面活性剤(D)の具体例としては、下記式で表される化合物を挙げることができる。
【0045】
【化2】

【0046】
【化3】

【0047】
【化4】

【0048】
【化5】

【0049】
(式(1−1)〜(1−4)において、R〜R及びa〜dは、式(1)におけるR〜R及びa〜dと同義である。)
上記式(1)において、R〜Rのうち少なくとも2つがC11−、C17−又はC17O−C−CO−であることが好ましく、特にR〜Rの全てがC11−、C17−又はC17O−C−CO−であることが好ましい。C11−、C17−としては、ヘキサフルオロプロペンのダイマー又はトリマーから誘導される残基、例えば、下記式で表される構造を挙げることができる。
【0050】
【化6】

【0051】
【化7】

【0052】
【化8】

【0053】
【化9】

【0054】
(上記式中、「*」は結合手であることを示す。)
本発明において、R〜Rとしては、C17−が好ましい。
【0055】
また、上記式(1)において、Aはエチレン基又はプロピレン基を表すが、a〜dのいずれかが2以上である場合、即ち(AO)a〜(AO)dのいずれかがポリオキシアルキレン鎖を形成する場合、該ポリオキシアルキレン鎖は、エチレン基とプロピレン基の両方を含んでいてもよい。
また、上記式(1)において、a〜dの合計は5〜30であることが好ましく、特に8〜18であることが好ましい。
【0056】
界面活性剤(D)の製造方法に関しては特に制限はなく、例えば、特開平4−145041号公報に記載の方法により製造することができる。
【0057】
本発明の着色組成物における界面活性剤(D)の含有量は、(B)バインダー樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部であり、より好ましくは0.05〜3質量部である。このような範囲で界面活性剤(D)を含有せしめることにより、塗布方法としてスリットダイ塗布法を採用した場合であっても、着色層の平坦性が極めて良好となる。
【0058】
本発明においては、界面活性剤として、界面活性剤(D)と共に、界面活性剤(D)以外の公知のフッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等を使用することもできる。
【0059】
−(E)光重合開始剤−
本発明の着色組成物には、光重合開始剤を含有せしめることにより、着色組成物に感放射線性を付与することもできる。ここでいう「放射線」は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を含むものを意味する。
本発明に用いる(E)光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、上記(C)多官能性単量体及び場合により使用される単官能性単量体の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。
【0060】
本発明において、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0061】
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0062】
また、上記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0063】
また、上記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0064】
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、さらに感度を改良することができる点で好ましい。
【0065】
また、上記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0066】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。
【0067】
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
【0068】
本発明において、光重合開始剤の含有量は、(C)多官能性単量体100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、特に1〜100質量部が好ましい。この場合、光重合開始剤の含有量が少なすぎると、露光による硬化が不十分となるおそれがあり、一方多すぎると、形成された着色層が現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
【0069】
−溶媒−
本発明の着色組成物は、通常、溶媒を配合して液状組成物として調製される。上記溶媒としては、着色組成物を構成する(A)〜(D)成分や(E)成分等の他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
【0070】
このような溶媒としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0071】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
【0072】
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類
等を挙げることができる。
【0073】
これらの溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等が好ましい。
上記溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0074】
さらに、上記溶媒と共に、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の高沸点溶媒を併用することもできる。
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、得られる着色組成物の塗布性、安定性等の観点から、当該組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、通常、5〜50質量%となる量が好ましく、特に10〜40質量%となる量が望ましい。
【0075】
−添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤等を挙げることができる。
【0076】
本発明において、着色組成物は、適宜の方法により調製することができ、例えば、(A)〜(D)成分を、溶媒や任意的に加えられる他の成分と共に、混合することにより調製することができる。好ましい着色組成物の調製方法としては、(A)着色剤を溶媒中、分散剤の存在下で、場合により(B)成分の一部と共に、例えばビーズミル、ロールミル等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して着色剤分散液とし、次いで、この着色剤分散液に、(B)〜(D)成分と、必要に応じてさらに追加の溶媒や他の成分を添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。
【0077】
カラーフィルタ及びその製造方法
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色組成物から形成された着色層を備えるものである。
カラーフィルタを製造する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、赤色の着色剤が分散された本発明の着色感放射線性組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、赤色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
次いで、緑色又は青色の着色剤が分散された各着色感放射線性組成物の液状組成物を用い、上記と同様にして、各液状組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0078】
また、ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の着色剤が分散された着色感放射線性組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。金属薄膜からなるブラックマトリックスと基板との段差は、通常0.1〜0.2μmであるが、黒色感放射線性組成物を用いて形成された樹脂ブラックマトリックスと基板との段差は、1μm前後となる。本発明の着色感放射線性組成物によれば、樹脂ブラックマトリックスを有する段差の大きい基板上であっても、平坦性に優れた画素を形成することができる。
【0079】
画素及び/又はブラックマトリックスを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
着色感放射線性組成物の液状組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.1〜10μm、好ましくは0.2〜8.0μm、特に好ましくは0.2〜6.0μmである。
【0080】
画素及び/又はブラックマトリックスを形成する際に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/mが好ましい。
また、上記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
上記アルカリ現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
【0081】
また、カラーフィルタを製造する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法も知られている。
このようにして得られる本発明のカラーフィルタは、着色層の平坦性に優れるため、カラー液晶表素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に極めて有用である。
【0082】
カラー液晶表示素子
本発明のカラー液晶表示素子は、本発明のカラーフィルタを具備するものである。
本発明のカラー液晶表示素子は、適宜の構造をとることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることができ、さらに薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。
【実施例】
【0083】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0084】
界面活性剤(D)の合成
特開平4−145041号公報に記載の方法により、以下の化合物を合成した。
界面活性剤(D−1):上記式(1−3)において、R〜Rの全てがC17−であり、a〜dの合計が5である化合物
界面活性剤(D−2):上記式(1−3)において、R〜Rの全てがC17−であり、a〜dの合計が8である化合物
界面活性剤(D−3):上記式(1−3)において、R〜Rの全てがC17−であり、a〜dの合計が12である化合物
界面活性剤(D−4):上記式(1−3)において、R〜Rの全てがC17−であり、a〜dの合計が18である化合物
界面活性剤(D−5):上記式(1−1)において、R〜Rの全てがC17−であり、a〜cの合計が24である化合物
界面活性剤(D−6):上記式(1−3)において、R〜Rの全てがC17−であり、a〜dの合計が30である化合物
【0085】
着色剤分散液の調製
調製例1
(A)着色剤としてC.I.ピグメントレッド254とC.I.ピグメントレッド177との80/20(質量比)混合物12質量部、分散剤としてアジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製)を4質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを固形分濃度16質量%となるように用い、ビーズミルにより12時間混合・分散して、着色剤分散液(A−1)を調製した。
【0086】
調製例2
(A)着色剤としてC.I.ピグメントグリーン36とC.I.ピグメントイエロー150との60/40(質量比)混合物11質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)2質量部(固形分換算)とアジスパーPB880(味の素ファインテクノ株式会社製)2質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを固形分濃度15質量%となるように用い、ビーズミルにより12時間混合・分散して、着色剤分散液(A−2)を調製した。
【0087】
調製例3
(A)着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:6とC.I.ピグメントバイオレット23との95/5(質量比)混合物10質量部、分散剤としてDisperbyk−2000(ビックケミー(BYK)社製)2質量部(固形分換算)とBYK−LPN21324(ビックケミー(BYK)社製)2質量部(固形分換算)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを固形分濃度14質量%となるように用い、ビーズミルにより12時間混合・分散して、着色剤分散液(A−3)を調製した。
【0088】
調製例4
(A)着色剤としてC.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントレッド177/C.I.ピグメントイエロー139=50/35/15(質量比)混合物13.5質量部、分散剤としてアジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製)6.0質量部、溶媒として1,3−ブチレングリコールジアセテートを固形分濃度19.5質量%となるように用い、ビーズミルにより12時間混合・分散して、着色剤分散液(A−4)を調製した。
【0089】
調製例5
(A)着色剤としてC.I.ピグメントグリーン36とC.I.ピグメントイエロー150との50/50(質量比)混合物15質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)3質量部(固形分換算)とアジスパーPB880(味の素ファインテクノ株式会社製)3質量部、溶媒として1,3−ブチレングリコールジアセテートを固形分濃度21質量%となるように用い、ビーズミルにより12時間混合・分散して、着色剤分散液(A−5)を調製した。
【0090】
調製例6
(A)着色剤としてC.I.ブルー15:6とC.I.ピグメントバイオレットとの90/10(質量比)混合物12質量部、分散剤としてDisperbyk−2000(ビックケミー(BYK)社製)3質量部(固形分換算)とBYK−LPN21324(ビックケミー(BYK)社製)3質量部(固形分換算)、溶媒として1,3−ブチレングリコールジアセテートを固形分濃度18質量%となるように用い、ビーズミルにより12時間混合・分散して、着色剤分散液(A−6)を調製した。
【0091】
(B)バインダー樹脂の合成
合成例1
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200質量部を仕込み、引き続きメタクリル酸15質量部、N−フェニルマレイミド20質量部、ベンジルメタクリレート55質量部、スチレン10質量部及び分子量調節剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(日本油脂(株)製 商品名:ノフマーMSD)3質量部を仕込んで、窒素置換した。その後ゆるやかに撹拌して、反応溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度=32.3重量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mw=16,000、Mn=7,000であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(B−1)」とする。
【0092】
合成例2
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136質量部を仕込み、窒素ガスを注入しながら80℃に加温した。同温度で、メタクリル酸20質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、ベンジルメタクリレート5質量部、スチレン10質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部及び2−エチルヘキシルメタクリレート38質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部に溶解させた溶液と、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル6質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート24質量部に溶解させた溶液を、同時に2時間かけて滴下した。その後、反応溶液の温度を100℃に上昇させ、この温度を1時間保持して重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度=33.0重量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mw=11,000、Mn=6,000であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(B−2)」とする。
【0093】
実施例1
着色感放射線性組成物の調製
(A)着色剤分散液(A−1)100質量部、(B)バインダー樹脂としてバインダー樹脂(B−1)10質量部(固形分換算)、(C)多官能性単量体としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート15質量部、界面活性剤(D−1)0.05質量部、(E)光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン4質量部と4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン1重量部、及び溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、固形分濃度が15質量%となるよう混合して液状組成物(S−1)を調製した。液状組成物(S−1)をアルミ皿に秤量して180℃のホットプレート上で1時間加熱し、加熱前後での重量を測定することにより不揮発分濃度を測定したところ、不揮発分濃度は14.8質量%であった。液状組成物(S−1)において、不揮発分中の着色剤の含有割合は26質量%である。
液状組成物(S−1)について、下記の手順にしたがって、評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0094】
塗膜の外観評価
上記で調製した液状組成物(S−1)を、550×650mmのクロム成膜ガラス上にスリットダイコーター(東京応化工業(株)製、型式「TR632105−CL」)を用いて塗布し、到達圧力を100Paに設定し真空乾燥により溶媒を除去し、更に80℃において2分間プレベークすることにより、膜厚3.0μmの塗膜を形成した。
この塗膜につき、ナトリウムランプ下、プレベーク炉のプロキシピンに由来するムラの発生状況を目視により評価した。ほとんどムラが見えなかった場合を塗膜外観「優良」、ムラがわずかに見られた場合を外観「良好」、ムラがはっきりと見えた場合を外観「不良」とした。
【0095】
塗膜の膜厚均一性の評価
上記「塗膜の外観評価」において、550×650mmのクロム成膜ガラスの代わりに、膜厚1μmの樹脂ブラックマトリックスが形成された550×650mmの無アルカリガラスを用いたほかは、上記「塗膜の外観評価」と同様にして、基板上に塗膜を形成した。この塗膜につき、20点の測定点において膜厚を測定し、下記式により膜厚均一性を算出した。
膜厚の均一性(%)=(塗布膜厚の最大値−最小値)×100/((20点の塗布膜厚の平均)×2)
このように算出された塗布膜厚の均一性が1%以下である場合、膜厚均一性は良好といえる。
なお、上記20点の測定点は、以下のようにして定めた。すなわち、基板(550×650mm)の長辺および短辺の各端部から50mmの範囲を除いた内側の領域(450×550mm)を測定領域とし、該領域内で長辺方向および短辺方向の直線上でそれぞれ40mmおきに各10点(計20点)を決め、これらを測定点とした。
【0096】
実施例2〜11、比較例1〜7
実施例1において、着色剤分散液、バインダー樹脂、多官能性単量体及び界面活性剤の種類と量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、液状組成物(S−2)〜(S−18)を調製した。
次いで、液状組成物(S−1)に代えてそれぞれ液状組成物(S−2)〜(S−18)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。なお、比較例5においては、実施例1で形成された塗膜と同等の色度xとなる膜厚になるよう、比較例6においては、実施例7で形成された塗膜と同等の色度yとなる膜厚になるよう、比較例7においては、実施例8で形成された塗膜と同等の色度yとなる膜厚になるよう、それぞれ塗膜を形成し評価を行った。
【0097】
【表1】

【0098】
表1において、各成分は下記のとおりである。
d−1:市販のフッ素系界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:メガファックR08)
d−2:市販のシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製 商品名:SH8400)
また、表1において「着色剤濃度」とは、着色剤の不揮発分中の含有割合(質量%)である。
【0099】
実施例12
インクジェットインクの調製
(A)着色剤分散液(A−4)545質量部、(B)バインダー樹脂としてバインダー樹脂(B−2)19質量部(固形分換算)、(C)多官能性単量体としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート78質量部、界面活性剤(D−3)0.15質量部、及び(E)溶媒として1,3−ブチレングリコールジアセテート310質量部を混合して、インクジェットインクを調製した。
【0100】
画素平坦性の評価
インクジェット装置Nanoprinter−1500S(マイクロジェット株式会社製)を使用して、高さ2.0μm、長さ500μm、幅150μmの隔壁で区画された画素内に、乾燥後の画素中心付近の膜厚が2.0μmとなるよう、上記で調製したインクジェットインクを吐出した。α−step IQ(KLA Tencor社製)を使用して、画素中央部の膜厚を幅方向に測定した結果、画素の平坦性は良好であることが確認された。
【0101】
実施例13〜14
実施例12において、着色剤分散液(A−4)を着色剤分散液(A−5)又は着色剤分散液(A−6)に変更した以外は実施例12と同様にして、インクジェットインクを調製し、画素平坦性を評価した。いずれのインクジェットインクを使用した場合も、画素の平坦性は良好であることが確認された。本発明の着色組成物は、レベリング性に優れることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)着色剤、(B)バインダー樹脂、(C)多官能性単量体、及び(D)下記式(1)で表される化合物を含有し、そして(A)着色剤の含有割合が不揮発分中20〜70質量%であることを特徴とする着色組成物。
【化1】

(式(1)において、R〜Rは、相互に独立に、C11−、C17−、C17−O−C−CO−又は水素原子を表し、但し、それらのうち少なくとも1つはC11−、C17−又はC17−O−C−CO−であり、Aは、相互に独立に、エチレン基又はプロピレン基を表し、a〜dは、相互に独立に、0〜30の整数を表し、但し、a〜dの合計は2〜50であり、nは0又は1である。)
【請求項2】
前記式(1)においてa〜dの合計が5〜30である、請求項1に記載の着色組成物。
【請求項3】
前記式(1)においてR〜Rのうち少なくとも1つがC17−である、請求項1又は2に記載の着色組成物。
【請求項4】
更に(E)光重合開始剤を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項5】
スリットダイ塗布法に用いられる請求項4に記載の着色組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の着色組成物を用いて形成された着色層を備えてなるカラーフィルタ。
【請求項7】
請求項6に記載のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子。

【公開番号】特開2011−63717(P2011−63717A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215872(P2009−215872)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】