説明

睡眠状態検出システム及び睡眠状態検出装置

【課題】被検体の表皮温度の変化を的確に把握して睡眠状態を正確に検出すること。
【解決手段】睡眠状態検出システムは、被検体の表皮温度を検出するセンサユニット2と、センサユニット2により検出されたセンシング信号に基づいて被検体の睡眠状態を検出するセンタ装置1とから構成される。センタ装置1は、センシング信号の極大と極小を検出して当該極大値と極小値の差分を算出し、差分が所定の閾値を超えているか否かを判定する温度データ挙動判定処理部113と、差分が所定の閾値を超えると判断された場合における極大と極小の発生回数に基づいて被検体の睡眠状態を判定する睡眠状態判定部114とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサを用いて被検体の睡眠状態を検出する睡眠状態検出システム及び睡眠状態検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被検体の睡眠状態を把握するために、被検体の体表面の所定の箇所にセンサを装着し、このセンサからの出力信号に所定の演算を行なって人体の睡眠状態を判定する装置が従来より知られている。例えば、特開平6−70889号公報は、額部の表面に装着されるセンサ部の出力により額部の温度を検出し、検出した温度に演算を加えた結果により睡眠状態を判定する睡眠状態モニター装置を開示している。また、特開2004−187961号公報は、被検体の額部に装着して眼球運動を計測する第1の計測手段と、該第1の計測手段と一体化されてなり、第1の計測手段への外乱の大きさの情報を計測する加速度センサ等の第2の計測手段とを備え、外乱の大きさの情報が所定の閾値を超えた場合に眼球電位の情報を修正する睡眠状態検出装置を開示している。
【特許文献1】特開平6−70889号公報
【特許文献2】特開2004−187961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した従来の技術はセンサを用いて人の睡眠状態を判定することを開示しているが、被検体の表皮温度の変化を的確に把握して睡眠状態を正確に検出することを目的としたものではなかった。
【0004】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で被検体の睡眠状態を的確に把握することが可能な睡眠状態検出システム及び睡眠状態検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様は、睡眠状態検出システムであって、被検体の体表面の所定の箇所に装着されたセンサユニットと、このセンサユニットと通信可能に接続され、前記センサユニットからのセンシング信号に基づいて前記被検体の睡眠状態を検出するセンタ装置と、を具備し、前記センサユニットは、該被検体の表皮温度を検出する温度センサと、前記温度センサにより取得された温度データをセンシング信号として送信する送信部と、を具備し、前記センタ装置は、前記センサユニットから送信されたセンシング信号を受信する受信部と、前記受信部を介して受信したセンシング信号の極大と極小を検出する極大極小検出部と、前記検出された極大値と極小値の差分を算出する差分算出部と、前記算出された極大値と極小値間の差分に基づいて、前記被検体の睡眠状態を判定する睡眠状態判定部と、を具備する。
【0006】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記極大値と極小値間の差分が所定の閾値を超えているか否かを判定する閾値判定部をさらに具備し、前記睡眠状態判定部は、前記差分が所定の閾値を超えると判断された場合における極大と極小の発生回数に基づいて前記被検体の睡眠状態を判定する。
【0007】
また、本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記センサユニットは、前記センタ装置からの指令に基づいて制御される。
【0008】
また、本発明の第4の態様は、睡眠状態判定装置であって、被検体の体表面の所定の箇所に装着され、該被検体の表皮温度をセンシング信号として検出する温度センサと、前記温度センサにより得られたセンシング信号の極大と極小を検出する極大極小検出部と、前記検出された極大値と極小値の差分を算出する差分算出部と、前記算出された極大値と極小値間の差分に基づいて、前記被検体の睡眠状態を判定する睡眠状態判定部と、を具備する。
【0009】
また、本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記極大値と極小値間の差分が所定の閾値を超えているか否かを判定する閾値判定部をさらに具備し、前記睡眠状態判定部は、前記差分が所定の閾値を超えると判断された場合における極大と極小の発生回数に基づいて前記被検体の睡眠状態を判定する。
【0010】
また、本発明の第6の態様は、睡眠状態判定装置であって、被検体の体表面の所定の箇所に装着され、該被検体の動きに伴って生ずる加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサにより検出されたセンシング信号を蓄積するセンシング信号蓄積部と、を備えたセンサユニットと、前記センサユニットとは別個に設けられたセンタ装置であって、前記センシング信号蓄積部に蓄積されたセンシング信号を取り込んで、当該センシング信号の極大と極小を検出する極大極小検出部と、前記検出された極大値と極小値の差分を算出する差分算出部と、前記算出された極大値と極小値間の差分に基づいて、前記被検体の睡眠状態を判定する睡眠状態判定部と、を具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被検体の表皮温度の変化を的確に把握することができ、これによって被検体の睡眠状態を正確に検出することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる睡眠状態検出システムの概略構成を示す図である。本実施形態において「睡眠状態」とは、被検体が睡眠をとる意思で横たわっている状態を意味し、実際に睡眠中にある場合のみならず、寝つかれなくて横たわっている場合も含むものとする。
【0014】
センサユニット2はモジュール化されており、監視対象としての被検体4の体表面の所定の箇所(ここでは右胸)に装着される。装着の一例としてここではアクリル系の両面接着テープ等により接着貼付される。アクリル系両面接着テープは、被検体4の皮膚にかぶれ等の炎症が起きにくい、センサユニット2を被検体4からはがした時にセンサユニット2や被検体4の表面に接着のりが付着しにくい、接着層を薄くできるなどの利点を有する。
【0015】
センサユニット2は後述する温度センサを備えており、この温度センサにより睡眠状態にある被検体4の表皮温度を検出する。温度センサにより取得された温度データはセンシング信号として無線ネットワーク3を介して、医療施設や介護施設などに設置されるセンタ装置1に送信される。
【0016】
ここで、無線ネットワーク3としては、例えばBT(BlueTooth)(登録商標)等の近距離データ通信システムや、無線LAN(Local Area Network)、PHS(Personal Handyphone System)(登録商標)、携帯電話システム等が使用される。
【0017】
なお、センタ装置1とセンサユニット2との間は必ずしも直接接続する必要はなく、無線中継器を介して接続するようにしてもよい。この場合、センサユニット2と無線中継器との問の無線通信方式としてはBTや無線LAN等の微弱又は小電力型の方式が、一方、無線中継器とセンタ装置1との問の無線通信方式として携帯電話システム等の長距離通信が可能な方式がそれぞれ使用される。
【0018】
センタ装置1は、アンテナ部11と、信号分配部12と、受信部13と、送信部14と、センサデータ収集処理部15と、センサ制御部16とから構成される。アンテナ部11は、センサ制御部16からの制御信号を送信する送信アンテナ機能と、センサユニット2からのセンシング信号を受信する受信アンテナ機能とを有し、この機能の切替はアンテナ部11に接続されたサーキュレータ等の信号分配部12により行われる。
【0019】
受信部13は、センサユニット2から無線ネットワーク3、アンテナ部11を介して送信された無線信号を受信したのち復調し、この復調により得られるセンシング信号をセンサデータ収集処理部15へ出力する。送信部14は、センサ制御部16から出力された制御信号を変調したのち無線信号に変換し、この無線信号をアンテナ部11からセンサユニット2に向けて送信する。
【0020】
センサ制御部16は、例えばCPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)を備えたもので、センサユニット2によるセンシング開始やセンシング周期に関する指令を含む制御信号を出力する。
【0021】
センサデータ収集処理部15は、センサユニット2から送信されたセンシング信号から後述する手順により被検体4が寝返りを打った回数を求め、被検体4の睡眠状態を判定する部分であるが、詳細な機能については後述する。
【0022】
図2は、ベッド5に仰向けに横たわって睡眠状態にある被検体4を示しており、被検体4の右胸にはセンサユニット2が貼付されている。この状態においてセンサユニット2の本体部は水平状態に維持される。ここでのセンサユニット2は温度センサを備え、被検体4の表皮温度が継続的に計測される。
【0023】
図3はセンサユニット2の概略構成を示しており、アンテナ部21と、センシング信号送信部22と、センサ駆動信号受信部23と、センサ駆動制御部24と、センサ本体25と、バッテリ26とを備えている。図4は、図3に示すセンサユニット2のセンサ本体25とセンサ駆動制御部24の構成を示し、図5は、図3に示すセンサユニット2のセンシング信号送信部22とセンサ駆動信号受信部23の構成を示している。
【0024】
図4に示すように、センサ本体25は被検体4の表皮温度を検出する温度センサ251を備えている。また、センサ駆動制御部24は、中央処理装置(CPU)243と、記憶部242と、クロック信号発生部245と、AD変換部241と、サーバ・プログラミング・インターフェース(SPI)244とを備えている。
【0025】
クロック信号発生部245は、CPU243のクロック制御信号に基づいて所定周期のクロック信号を発生する。記憶部242は、CPU243により実行されるプログラムを記憶している。CPU243は、センサ本体25の温度センサ251を始めとして、図3のセンシング信号送信部22、センサ駆動信号受信部23を駆動制御するもので、上述したセンタ装置1から送られてくるセンシング開始やセンシング周期等の指令の内容を図示せぬメモリに記憶する。そして、以後この保存された指令と記憶部242に記憶された設定データに基づいてクロック制御信号を生成してクロック信号発生部245に出力する。クロック信号発生部245より発生されるクロック信号により、駆動信号として、センシング開始及びセンシング周期に関する信号を生成する。
【0026】
AD変換部241は、CPU243からの制御信号により駆動される温度センサ251からの検出データをデジタル信号に変換するもので、CPU243よりSPI244を介してセンシング信号として出力する。
【0027】
なお、CPU243から温度センサ251に供給する駆動信号としてはスタンバイ信号が用いられる。温度センサ251は、スタンバイ信号が“H”レベルになるとセンシングを行う動作状態となり、”L“レベルになると非動作状態、つまり電力消費量の少ないスタンバイ状態となる。
【0028】
バッテリ26は、例えばボタン型リチウム電池からなるもので、このバッテリ26から発生するDC電圧を、センサ本体25、センサ駆動制御部24、センシング信号送信部22およびセンサ駆動信号受信部23に駆動電源として供給するようになっている。
【0029】
また、図5に示すように、センシング信号送信部22は、SPI221と、デジタル信号制御部222と、信号変調部223と、混合部224と、電力増幅部225と、送受信信号分配部226とを備えている。また、センサ駆動信号受信部23は、水晶発振器232と、位相安定化回路234と、電圧制御形発振器236と、低雑音増幅部238と、混合部237と、信号復調部235と、デジタル信号制御部233と、SPI231とを備えている。
【0030】
センシング信号送信部22は、センサ駆動制御部24からのセンシング信号をSPI221を介してデジタル信号制御部222に取り込み、さらに信号変調部223でデジタル変調、例えばQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調し、混合部224を介して所定のフォーマットに変換してセンシングデータを作成し、この作成されたセンシングデータを電力増幅部225で電力増幅し、送受信信号分配部226よりアンテナ部21を介して、センタ装置1に向け送信させる。
【0031】
一方、センサ駆動信号受信部23は、センタ装置1から送られた無線信号をアンテナ部21で受信すると、送受信信号分配部226、低雑音増幅部238を介して混合部237に取り込む。ここで無線信号を電圧制御形発振器236の出力と混合した所定周波数に変換した後、信号復調部235でデジタル復調し、このデジタル復調により得られた制御信号をデジタル信号制御部233よりSPI231を介してセンサ駆動制御部24に供給する。
【0032】
図6は、センタ装置1において、特にセンサデータ収集処理部15の構成を示す図であり、温度データ記憶部111と、データ平均化処理部112と、温度データ挙動判定処理部113と、睡眠状態判定部114とから構成される。ここで、温度データ挙動判定処理部113は、受信したセンシング信号の極大と極小を検出する極大極小検出部と、検出された極大値と極小値の差分を算出する差分算出部と、極大値と極小値間の差分が所定の閾値を超えているか否かを判定する閾値判定部としての機能を備えている。
【0033】
以下に、センサデータ収集処理部15の動作を図7のフローチャートを参照して説明する。ここでは、被検体4の表皮温度の変化を検出することが目的なので、センタ装置1は、被検体4が睡眠状態に入ったときから覚醒に至るまでの間、センサユニット2からのセンシング信号を継続して受信するものとする。
【0034】
まず、被検体4の寝返りの回数を表わす変数Nに0を代入する(ステップS1)。次に、受信部13から温度データとしてのセンシング信号を受信したならば、この温度データを温度データ記憶部111にいったん記憶する。次に、記憶されている温度データを適宜読み出し、データ平均化処理部112において移動平均などの手法によりデータの平均化を行う(ステップS2)。なお、ここでの平均化処理は不要な成分を除外するために行われるものであり、睡眠状態の検出に必須の処理ではない。
【0035】
次に、極大極小検出部では、平均化された温度データを取り込んで当該温度データが極大か極小かを判断する(ステップS3)。ここで、極大及び極小のいずれかが検出されるまではステップS2の処理を繰り返し実行する。そして、ステップS3において極大が検出されたならばステップS4に進んで当該極大値を図示せぬメモリに記憶する。ステップS4の後は、ステップS2と同様の処理、すなわち、温度データの受信、記憶、平均化処理を実行する(ステップS5)。次に、平均化された温度データが極小であるか否かを判断し(ステップS6)、極小でない場合にはステップS5に戻って温度データの受信、記憶、平均化処理を実行し、ステップS6において温度データが極小か否かを再度判断する。ステップS5、S6の処理を繰返して行い、ステップS6において極小であると判断されたときに当該極小値を図示せぬメモリに記憶する(ステップS7)。
【0036】
次に、差分算出部において、ステップS4で記憶した極大値と、ステップS7で記憶した極小値とを比較して両者の差分を求め、閾値判定部において当該差分が閾値を超えているか否かを判断する(ステップS8)。ここでの判断がYESの場合には変数Nを2インクリメントし(ステップS9)、その後、ステップS2に戻る。ここで、変数Nを2インクリメントするのは、極大値と極小値との両方を寝返り回数に含めるためである。ステップS8での判断がNOの場合には直ちにステップS2に戻る。
【0037】
一方、ステップS3において極小が検出された場合には、ステップS10に進んで当該極小値を図示せぬメモリに記憶する。ステップS10の後は、ステップS2と同様の処理、すなわち、温度データの受信、記憶、平均化処理を実行する(ステップS11)。次に、平均化された温度データが極大であるか否かを判断し(ステップS12)、極大でない場合にはステップS11に戻って温度データの受信、記憶、平均化処理を実行し、ステップS12において温度データが極大か否かを再度判断する。ステップS11、S12の処理を繰返して行い、ステップS12において極大であると判断されたときに当該極大値を図示せぬメモリに記憶する(ステップS13)。
【0038】
次に、差分算出部において、ステップS10で記憶した極大値と、ステップS13で記憶した極小値とを比較して両者の差分を求め、閾値判定部において当該差分が閾値を超えているか否かを判断する(ステップS14)。ここでの判断がYESの場合には変数Nを2インクリメントし(ステップS15)、その後、ステップS2に戻る。また、ステップS14での判断がNOの場合には直ちにステップS2に戻る。温度データ挙動判定処理部113は、センサユニット2からの温度データの受信を終了した後の変数Nの値を調べることにより、被検体4が睡眠中に何回寝返りを打ったかを検出することができる。
【0039】
睡眠状態判定部114は、温度データ挙動判定処理部113にて検出された寝返りの回数に基づいて被検体4の睡眠状態を判定する。睡眠状態判定部114では、例えば寝返りの回数が多い場合に被検体4の睡眠状態が良くないと判定することができる。
【0040】
図8は、被検体4が睡眠状態に入ったときから覚醒に至るまでにセンサユニット2から送られてきたセンシング信号をグラフに表わした図であり、縦軸は表皮温度(℃)、横軸は時間(任意目盛)である。このグラフは温度データに対する平均化処理を行った後のデータを示している。A〜Gで示されている箇所は、上記の手順で検出された極大あるいは極小の中で極大値あるいは極小値の差異が閾値を超えることにより寝返りを打ったと判定された部分である。これらの箇所は、例えばビデオカメラ等の撮影の結果、被検体4が実際に寝返りを打ったと認められた時間帯とほぼ一致していることがわかった。
【0041】
上記した実施形態によれば、被検体の表皮温度の変化を的確に把握することができ、これによって被検体の睡眠状態を正確に検出することが可能になる。
【0042】
(第2実施形態)
以下に、本発明の第2実施形態を説明する。第1実施形態では、センシング開始のタイミングやセンシング周期はセンタ装置1からの指令により与えられたが、このような方法に限定されることはない。図9は、センシング開始のタイミングやセンシング周期に関する設定機能をセンサユニット2内のセンサ駆動制御部24に設けた場合の実施形態を示している。この場合、センサ本体25内の温度センサは、センサ駆動制御部24からの指令に従って、センシング動作を開始し、検出された温度データはセンシング信号としてアンテナ部21を介してセンタ装置1に送信される。このような構成によれば、センサユニット2内部のセンサ駆動信号受信部23を省略することができる。さらに、センタ装置1内部の信号分配部12、送信部14、センサ制御部16を省略することができる。
【0043】
図10は、本発明の第2実施形態の変形例の構成である。ここでは、センサ駆動制御部24からの指定に基づいて温度センサにより検出された温度データはセンシングデータとしてセンシング信号蓄積部27にいったん蓄積される。その後、センシングデータは記録媒体等に格納されてセンタ装置1に届けられる。このような構成によれば、センサユニット2内部のセンシング信号送信部22及びセンサ駆動信号受信部23を省略することができる。さらに、センタ装置1内部のアンテナ部11、信号分配器12、受信部13、送信部14、センサ制御部16を省略することができる。
【0044】
なお、上記した第1、第2実施形態では、温度センサにより検出されたセンシング信号を通信回線を介してセンタ装置に送信し、該センタ装置において、当該センシング信号に基づいて被検体の睡眠状態を検出するようにしたが、必ずしも通信回線を介した構成に限定されることはない。すなわち、被検体4からセンシング信号を取得する機能と、当該センシング信号に基づいて被検体4の睡眠状態を判定する機能とが睡眠状態検出装置として1つの筐体に収納されていてもよいし、2つの筐体に別々に収納されていてもよいことは勿論である。
【0045】
その他、センタ装置1及びセンサユニット2の構成、センシング対象物の種類等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。要するに本発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0046】
さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施の形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題を解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態形態にかかる睡眠状態検出システムの概略構成を示す図である。
【図2】ベッド5に仰向けに横たわって睡眠状態にある被検体4を示す図である。
【図3】センサユニット2の概略構成を示す図である。
【図4】図3に示すセンサユニット2のセンサ本体25とセンサ駆動制御部24の構成を示す図である。
【図5】図3に示すセンサユニット2におけるセンシング信号送信部22とセンサ駆動信号受信部23の概略構成を示す図である。
【図6】センタ装置1において、特にセンサデータ収集処理部15の構成を示す図である。
【図7】センサデータ収集処理部15の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】被検体4が睡眠状態に入ったときから覚醒に至るまでにセンサユニット2から送られてきたセンシング信号をグラフに表わした図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るセンサユニット2の構成を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態の変形例に係るセンサユニット2の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 センタ装置
2 センサユニット
3 無線ネットワーク
4 被検体
5 ベッド
11 アンテナ部
12 信号分配器
13 受信部
14 送信部
15 センサデータ収集処理部
16 センサ制御部
21 アンテナ部
22 センシング信号送信部、
23 センサ駆動信号受信部
24 センサ駆動制御部
25 センサ本体
26 バッテリ
111 温度データ記憶部
112 データ平均化処理部
113 温度データ挙動判定処理部
114 睡眠状態判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の体表面の所定の箇所に装着されたセンサユニットと、このセンサユニットと通信可能に接続され、前記センサユニットからのセンシング信号に基づいて前記被検体の睡眠状態を検出するセンタ装置と、を具備し、
前記センサユニットは、
該被検体の表皮温度を検出する温度センサと、
前記温度センサにより取得された温度データをセンシング信号として送信する送信部と、を具備し、
前記センタ装置は、
前記センサユニットから送信されたセンシング信号を受信する受信部と、
前記受信部を介して受信したセンシング信号の極大と極小を検出する極大極小検出部と、
前記検出された極大値と極小値の差分を算出する差分算出部と、
前記算出された極大値と極小値間の差分に基づいて、前記被検体の睡眠状態を判定する睡眠状態判定部と、
を具備することを特徴とする睡眠状態検出システム。
【請求項2】
前記極大値と極小値間の差分が所定の閾値を超えているか否かを判定する閾値判定部をさらに具備し、
前記睡眠状態判定部は、前記差分が所定の閾値を超えると判断された場合における極大と極小の発生回数に基づいて前記被検体の睡眠状態を判定することを特徴とする睡眠状態検出システム。
【請求項3】
前記センサユニットは、前記センタ装置からの指令に基づいて制御されることを特徴とする請求項1または2に記載の睡眠状態検出システム。
【請求項4】
被検体の体表面の所定の箇所に装着され、該被検体の表皮温度をセンシング信号として検出する温度センサと、
前記温度センサにより得られたセンシング信号の極大と極小を検出する極大極小検出部と、
前記検出された極大値と極小値の差分を算出する差分算出部と、
前記算出された極大値と極小値間の差分に基づいて、前記被検体の睡眠状態を判定する睡眠状態判定部と、
を具備することを特徴とする睡眠状態検出装置。
【請求項5】
前記極大値と極小値間の差分が所定の閾値を超えているか否かを判定する閾値判定部をさらに具備し、
前記睡眠状態判定部は、前記差分が所定の閾値を超えると判断された場合における極大と極小の発生回数に基づいて前記被検体の睡眠状態を判定することを特徴とする請求項4に記載の睡眠状態検出装置。
【請求項6】
被検体の体表面の所定の箇所に装着され、該被検体の動きに伴って生ずる加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサにより検出されたセンシング信号を蓄積するセンシング信号蓄積部と、を備えたセンサユニットと、
前記センサユニットとは別個に設けられたセンタ装置であって、前記センシング信号蓄積部に蓄積されたセンシング信号を取り込んで、当該センシング信号の極大と極小を検出する極大極小検出部と、
前記検出された極大値と極小値の差分を算出する差分算出部と、
前記算出された極大値と極小値間の差分に基づいて、前記被検体の睡眠状態を判定する睡眠状態判定部と、
を具備することを特徴とする睡眠状態検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−230790(P2006−230790A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−51435(P2005−51435)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(505005865)株式会社 医療電子科学研究所 (28)
【Fターム(参考)】