睡眠障害の処置
【課題】 ジフェンヒドラミンは夜間の睡眠補助として周知であるが、その他に睡眠障害、および特に痛みに伴う睡眠障害の処置のための改良された薬物処置を提供すること。
【解決手段】 本発明により、痛みに伴う睡眠障害を処置するのに有効な量のイブプロフェンおよびジフェンヒドラミンを含む、または組成物が化学的および物理的に十分に安定であるところの、痛みに伴う睡眠障害の処置のための組成物および該組成物を作成する方法が提供される。
【解決手段】 本発明により、痛みに伴う睡眠障害を処置するのに有効な量のイブプロフェンおよびジフェンヒドラミンを含む、または組成物が化学的および物理的に十分に安定であるところの、痛みに伴う睡眠障害の処置のための組成物および該組成物を作成する方法が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠障害の処置に関する。本発明はさらに、例えば、短縮された睡眠持続に至る睡眠障害を含む、痛みに伴う睡眠障害の処置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの人々が人の健康に重大な結果を生じ得る睡眠障害に苦しんでいる。睡眠不足の人は、日中の認識力および動的な動作がかなり損なわれ得る。そのような睡眠不足に関して認められる一つの結果は、自動車事故の増加である。国際幹線道路安全機関は、1年間に100,000台の車の粉砕が居眠り運転に関連していると評価している。Nanci Hellmich, "Balancing Act," TULSA WORLD, June 2, 2000。
【0003】
痛みに伴う睡眠障害は特に問題がある。痛みに伴う睡眠障害に悩まされている人は、眠ったままでいること(睡眠持続)、およびそれゆえ、夜間に十分な休息を取ることが非常に困難であることが多い。睡眠持続は、関係する人の肉体的および精神的健康に非常に大切である。非常に多くの人が痛みに伴う睡眠障害、特に短縮された睡眠持続に苦しんでいるので、これらの疾患を処置する薬物処置が必要とされている。痛みに伴う睡眠障害により、寝入る困難(即ち、患者が寝入るまでより長い時間がかかる)、および眠ったままでいる困難(即ち、完全に夜間に寝入る以前に、目が早く覚めすぎる)を意味するものとし、ここで、これらの困難のいずれかまたは両方は、制限されるものではないが、頭痛、筋肉痛および痛み、咽喉炎、副鼻腔炎、月経痛、背中の痛み、歯痛、関節炎を含む体の痛みとともに存在するか、またはそれにより悪化する。
【0004】
イブプロフェン、プロピオン酸誘導体非ステロイド抗炎症剤(NSAID)が、痛み、創傷、および病気の処置において、その鎮痛性の、抗炎症および抗発熱効果のために用いられている。それは、例えば関節炎、スポーツ障害、軟組織外傷、月経困難症、偏頭痛、緊張型頭痛、および歯痛のために用いられる。イブプロフェンは、最も詳細に研究され、および広範に用いられている薬物の一つである。イブプロフェンは、世界中で少なくとも100国の1億人を超える患者を処置するのに用いられていると評価されている。イブプロフェンは、世界中で非常に広範に用いられている薬物である。NSAIDイブプロフェンは、以下の構造:
【0005】
【化1】
を有する。
【0006】
ヒトにおけるイブプロフェンの経口投与の約80%は、GI管から吸収される。懸濁剤および錠剤のそれぞれに関して、経口投与の後、1または2時間以内にピーク血清濃度が達成される。イブプロフェンの血漿半減期は約2時間と報告されている。成人に対するイブプロフェンの推奨される非処方箋投与量は、症状が持続している間4〜6時間毎に200mgである。症状が1つの錠剤(200mg)に対して反応しない場合、2つの錠剤を用いることができる。しかし、主治医により指示されない限り、24時間以内に6錠剤しか摂るべきでない。4〜6時間毎に600または800mgの投与量を生じる、イブプロフェンのより高レベルを処方箋製品のために用いることができる。
【0007】
イブプロフェンが睡眠を改善することはこれまで知られていない。実際、全く反対に、イブプロフェンは、睡眠を妨害する痛みを患っていない患者に関するいくつかの研究において示されている。Murphy et al., 「非ステロイド性抗−炎症剤がヒトにおける正常な睡眠パターンに作用する」、PHYSIOLOGY & BEHAVIOR 55: 1063-1066 (1994)。イブプロフェンは、覚醒の数および、覚醒期に費やされる時間の割合を増し、および睡眠効率を低下させることが示されている。イブプロフェンは、より深い睡眠期の開始を遅らせることも示されている。イブプロフェンは、プロスタグランジン合成を低下させること、メラトニン合成を減らすこと、および体温を変化させることによりこの効果を持つと考えられた。同著。他の研究は、イブプロフェンが睡眠に影響を持たないことを示す。Gengo, 「健康な成人における睡眠の睡眠ポリグラフ測定および主観測定におけるイブプロフェンの効果」、J. CLIN. PHARMACOL. 36:859(1996)。
【0008】
ジフェンヒドラミンヒドロクロライド(2−(ジフェニルメトキシ)−N,N−ジメチルエチルアミン)は、エタノールアミンH1ブロッキング剤である。それはレセプター部位におけるヒスタミン効果をアンタゴナイズする。ジフェンヒドラミンは、鎮静、鎮吐、抗コリン作用、酔い止め、鎮咳、CNS刺激およびCNS抑制、および局所麻酔特性をそのうえ有する。ジフェンヒドラミンヒドロクロライドおよびジフェンヒドラミンシトレート、2つの一般的な形態は、以下の化学構造を持つ。
【0009】
【化2】
【0010】
この群の薬物は、強くかつ効果的なH1ブロッカーであり、著しい抗ムスカリン活性を有し、および鎮静を誘導する著しい傾向を有する。常套の投与量を用いて、このクラスの薬物で処置する患者の約半分が催眠を経験する。ジフェンヒドラミンは、その抗ヒスタミン特性のために主として用いられているが、その催眠効果のために、および乗り物酔いの処置のためにも用いられている。弱い麻酔効果に関してもいくつか報告されている。
【0011】
ジフェンヒドラミンは、経口投与後に十分に吸収される。ジフェンヒドラミンの単回投与製剤の経口投与後、薬物は15分以内に血漿に現れ、および1.5〜4時間以内にピーク血漿濃度が達成される。ジフェンヒドラミンの夜間の睡眠補助としての通常投与量は、50mgのジフェンヒドラミンヒドロクロライド、または等価の76mgのジフェンヒドラミンシトレートである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Nanci Hellmich, "Balancing Act," TULSA WORLD, June 2, 2000
【非特許文献2】Murphy et al., "Nonsteroidal Anti-Inflammatory Drugs Affect Normal Sleep Patterns in Humans", PHYSIOLOGY & BEHAVIOR 55: 1063-1066 (1994)
【非特許文献3】Gengo, "The Effects of Ibuprofen on Polysomnographic and Subjective Measures of Sleep in Healthy Adults", J. CLIN. PHARMACOL. 36:859(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ジフェンヒドラミンは夜間の睡眠補助として周知であるが、睡眠障害、および特に痛みに伴う睡眠障害の処置のための改良された薬物処置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
驚くべきことに、イブプロフェンとジフェンヒドラミンの特殊な処方が、処方中または組成物が棚上げされている間の2つの活性成分間のネガティブな相互作用を示すことなく、睡眠障害、および特に痛みに伴う睡眠障害の有効な処置を生じることが発見された。これらの結果は、イブプロフェンが睡眠に影響を持たない、または逆効果を有するという先行の研究の示唆に照らせば、特に驚くべきことであった。
【0015】
出願人は、イブプロフェンとジフェンヒドラミンの組み合わせが、痛みの処置に効果的であるのみならず、睡眠障害の処置に、特に短縮された睡眠持続の問題に対処するのに効果的であることをも近年発見した。出願人は、イブプロフェンおよびジフェンヒドラミンが、医薬組成物において、ネガティブな相互作用の可能性を有することも発見した。
【0016】
本発明により、痛みに伴う睡眠障害を処置するのに有効な量のイブプロフェンおよびジフェンヒドラミンを含む、または組成物が化学的および物理的に十分に安定であるところの、痛みに伴う睡眠障害の処置のための組成物および該組成物を作成する方法が提供される。本発明の他の具体例により、イブプロフェンおよびジフェンヒドラミンを含む、痛みに伴う睡眠障害の処置のための組成物であって、組成物が薬物相互作用の危険性を避けるべく処方されている組成物が提供される。本発明により、痛みに伴う睡眠障害を有する患者を処置する方法も提供される。
【0017】
本発明の一態様により、痛みに伴う睡眠障害を処置するのに有効な量のイブプロフェンおよびジフェンヒドラミンを含む組成物が提供される。本発明の他の具体例により、痛みに伴う睡眠障害を処置するのに有効な量のイブプロフェンおよびジフェンヒドラミンを含む組成物であって、組成物が二層錠剤、二層カプレット、またはソフトゼラチンカプセルである組成物が提供される。本発明の別の具体例は、本発明の組成物を投与すること、および該組成物で睡眠障害を処置させることを含む、睡眠障害を患っている患者を処置するための方法が提供される。本発明の更なる具体例により、イブプロフェンおよびジフェンヒドラミンを含む、痛みに伴う睡眠障害の処置のための組成物であって、痛みに伴う睡眠障害が、寝入る困難および眠ったままでいる困難を含むところの組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】試験Aに関する睡眠持続の結果を示す。
【図2】試験Aからの、看護婦が観察した睡眠潜伏期間の結果を示す。イブプロフェン群および組み合わせ群の両方は、ジフェンヒドラミン群およびプラシーボ群よりも有意に優れていた。
【図3】試験Aに関する平均SPRID3スコアを示す。
【図4】試験Aに関する寝入っている患者の累積パーセントを示す。
【図5】試験Bに関する睡眠持続のデータを示す。
【図6】試験Bに関する寝入っている患者の累積パーセントを示す。
【図7】試験Bに関する平均SPRID2スコアを示す。
【図8】試験Bに関する、看護婦が観察した睡眠潜伏期間の結果を示す。
【図9】試験Bに関する寝入り易さのデータを示す。
【図10】睡眠補助としての試験薬物処置のグローバル評価からのデータを示す。
【図11】試験Bに関するPRIDスコアを示す。
【図12】試験Bに関する痛みを軽減するものとしての試験薬物処置のグローバル評価を示す。
【図13】試験Cに関する、いずれかの理由のための救済薬物処置までの時間を示す。
【図14】試験Cに関する睡眠持続のデータを示す。
【図15】試験Cに関する、60分までに寝入っている累積パーセントを示す。
【図16】試験Cに関するSPRID2スコアを示す。
【図17】試験Cに関する、看護婦が観察した睡眠潜伏期間のデータを示す。
【図18】試験Cに関する寝入り易さを示す。
【図19】試験Cに関する睡眠補助としての試験薬物処置のデータのグローバル評価を示す。
【図20】試験Cに関するPRIDスコアを示す。
【図21】試験Cに関する痛みを軽減するものとしての試験薬物処置のグローバル評価のデータを示す。
【図22】試験Cに関するいずれかの理由のための救済薬物処置までの時間を示す。
【図23】試験Dに関する睡眠持続のデータを示す。
【図24】試験Dに関する60分までに寝入っている対象の累積パーセントを示す。
【図25】試験Dに関する平均SPRID2スコアを示す。
【図26】試験Dに関するSPRID2スコアの別表記を示す。
【図27】試験Dに関する時間を通じた平均PRIDスコアを示す。
【図28】プーリングデータからの睡眠持続のデータを示す。
【図29】プーリングデータからの救済薬物処置までの時間のデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
出願人は、驚くべきことに、イブプロフェンとジフェンヒドラミンの組み合わせが、共同作用的に、効果的な痛みの処置、および短縮された睡眠持続などの痛みに伴う睡眠障害を含む睡眠障害の効果的な処置の両方を提供することを発見した。生じる組み合わせにより、ジフェンヒドラミン単独に帰し得るよりも大きな催眠効果が生じる。この発見は、イブプロフェンが、これらの投与量で、4〜6時間のみ本発明の投与にて効果的であることが公知であり、一方、観察された本発明の組成物の投与からの睡眠持続効果は明らかにもっと長い期間継続したので、驚くべきことである。投与により、患者に、本発明の組成物をイブプロフェンおよびジフェンヒドラミンとして、または別法として、イブプロフェンまたはジフェンヒドラミンのいずれかまたは両方を、患者の体内でイブプロフェンまたはジフェンヒドラミンへとそれぞれ代謝されるプロドラッグ形態にて患者に提供することができることを意味する。
【0020】
本発明における使用のためのイブプロフェン投与量は、50mg〜800mg、100mg〜800mg、200mg〜600mg、200mg〜400mg、または200mgの範囲である。本発明における使用のためのジフェンヒドラミンHCl投与製剤は、12.5mg〜100mg、25mg〜75mg、25mg〜50mg、または25mgの範囲である。
【0021】
ジフェンヒドラミンシトレートを本発明において、対応するレベルで用いることもできる。例えば、38mgのジフェンヒドラミンシトレートは、25mgのジフェンヒドラミンHClに対応し、これら2つの化合物の間の相関関係は当該分野で周知である。つまり、本発明における使用のためのジフェンヒドラミンシトレートの投与量は、19mg〜76mg、38mg〜76mg、または38mgの範囲である。ジフェンヒドラミンシトレートについての正確な値を、本明細書および請求の範囲に示すが、同意義の原則の下に侵害を決定する場合に、これらの値が厳格であることを意図しない。これらの特定の投与量は、それらがジフェンヒドラミンのHCl塩に関して提供される値と化合物間の分子量の差により関連するので選択するものであり、そして適当な同意義をも意図するものである。
【0022】
もちろん、投与量は、患者の体重および痛みに伴う睡眠障害の強度を考慮して調整することができる。例えば、より強いまたは問題の多い痛みに伴う睡眠障害、または平均より重い体重の患者に対しては、より高投与量を用いることができる。より軽度の問題または平均よりも軽い体重の患者に対しては、より低投与量を用いることができる。より低投与量は、また、子供、年配の人、または薬物処置に敏感な人に対して投与することができる。
【0023】
本発明において、イブプロフェンおよびジフェンヒドラミンの所望の投与量は、単回医薬投与ユニット(例えば、錠剤またはカプセル)のいずれかに含めることができ、または複数投与の医薬投与ユニット(例えば、2またはそれ以上の錠剤またはカプセルに分けられた所望の投与製剤)に分けることができる。投与量なる用語はそれゆえ、患者に一度に与えられる活性成分のトータルの量を意味する。複数ユニットは、同時に与えられる場合、または30分以内にそれらが与えられる場合に同一投与と見なされる。患者が症状を患い続けた後、および第1の投与が十分でなかったと分かった後に、後で与える追加のユニットを、追加投与とみなす。患者が1つの単位ユニットに反応したか否かにより、および患者の年齢およびサイズおよび処置のための問題の強度を含む他の要因に依存して、1、2またはそれ以上の投与ユニットが与えられてよい。投与量は、患者が典型的に1回投与または所望の場合は2回投与を摂取するようなものであることが予想されるであろう。
【0024】
イブプロフェンとジフェンヒドラミンは単回投与組成物にて投与されるので、イブプロフェンおよびジフェンヒドラミンが互いに化学的相互作用を有しないことを確認するステップを講じるべきである。イブプロフェンは酸基(-COOH)を有し、およびジフェンヒドラミンは塩基性基(-N(CH3)2)を有するので、酸-塩基相互作用が存在する可能性がある。イオン対または塩がそして形成され得る。そのような相互作用により、体内で異なる溶解特性および吸収特性を有する可能性のあるより非極性の組成物が作製される。医薬組成物におけるそのような変化は、効果が予測できないために非常に望ましくない可能性がある。ジフェンヒドラミンの異なる形態は、イブプロフェンと多少相互作用するかもしれない。現行の試験は、HCl形態が、シトレート形態よりも、より相互作用しやすいことが示している。
【0025】
2つの活性成分を含んでいる通常のカプレットにおける前試験は、溶解不足(インビトロ条件下に試験した場合、活性成分が適当に溶解しない)、外観上の問題(色むらおよびピーリング)および効能が低い可能性(処方プロセスにおいて活性成分が失われた)を含む、ジフェンヒドラミンおよびイブプロフェンの間の相互作用の証拠を示した。ジフェンヒドラミンヒドロクロライドおよびイブプロフェンの50:50の組成物のさらなる試験により、乾燥から湿性(水気)状態とした場合、白色粉末から半透明の灰色の粘着性の塊への変形を、再びそれが乾燥された後でも、化学変化が起こったことを示す透明度および色の変化を伴って生じる。さらに、調査により、イブプロフェンとジフェンヒドラミン粉末混合物を湿気に曝した場合、その変化がX線粉末回析パターンおよび差異的スキャニング熱量測定結果にて観察されることが示された。処方の変化のこの結果は、そのような医薬組成物に起こり得るネガティブな相互作用があることを立証するものである。
【0026】
進歩性ある組成物は、投与および活性成分の意図される経路に関して選択される医薬上許容されるキャリア、賦形剤、または希釈剤を用いて投与されてよい。経口投与に有用なキャリアを同定することは、当該分野の専門家の技術範囲内にある。これらの医薬キャリア、賦形剤、および希釈剤は、USP医薬賦形剤の一覧に掲載されている。Categories, p. 2404-2406に掲載されているUSPおよびNF賦形剤、USP24NF19、United States Pharmacopeial Convention Inc., Rockville, MD(ISBN 1-889788-03-1)。
【0027】
イブプロフェンとジフェンヒドラミンの間のこの望ましくない潜在的な化学的相互作用を妨げる、本発明の範囲内のいくつかの有益な製剤が作製されている。1つの製剤は、錠剤またはカプレットの別個の領域において互いからイブプロフェンとジフェンヒドラミンを分かつ二層錠剤またはカプレットである。この物理的分離により、ジフェンヒドラミンとイブプロフェンの間の相互作用の可能性および/または量が減る。
【0028】
他の製剤は、(「liquigel(登録商標)」または「液体ゲル」とも呼ばれる)PEG含有ソフトゼラチンカプセルである。驚くべきことに、該ソフトゼラチンカプセル製剤中では、望ましくない相互作用は起こらない。理論に拘束されることは望まないが、ソフトゼラチンカプセル中のPEGが、恐らくは活性成分の1または両方と優先的に相互作用することにより、相互作用の可能性および/または量を減じ得ると、現在のところ考えられている。制限するものではないが、PEG400およびPEG800などの他の製剤を用いることができるように、PEG600をソフトゼラチンカプセル中に用いることができる。
【0029】
二層錠剤またはカプレットは、第1に錠剤またはカプレットの半分を圧縮し、次いで錠剤またはカプレットの第2の半分をその上に圧縮することにより形成される、二層の錠剤またはカプレットであり得る。加えて、他の分離錠剤を、本発明に従い調製することができる。錠剤内に錠剤(圧縮コア錠剤)を調製することができる。イブプロフェンまたはジフェンヒドラミン層いずれかを第1の錠剤として代わりに圧縮することができ、他の層はその外部に外部錠剤層として圧縮することができる。さらに、活性成分の一つをコーティング溶液中に含ませ、それを、他の活性成分を含んでいるコア錠剤またはカプレットに噴霧することができる。イブプロフェンまたはジフェンヒドラミンをコーティングに用い、他をコアに用いることができる。最終的に1または両方の薬物の粒子を適当なバリア物質でコートし、そして次いで錠剤またはカプセルへと調製することができる。
【0030】
二層錠剤またはカプレットの1態様は、200mgのイブプロフェンおよび38mgのジフェンヒドラミンシトレートを活性成分として含む。不活性成分は、以下の、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、グリセリルべヘネート、ラクトース、ミクロクリスタリンセルロース、コロイド状二酸化シリコン、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムデンプングリコレート、コーンスターチ、予めゼラチン化したデンプン、デンプン、ステアリン酸、および着色およびインク成分のいずれかを含んでよい。他の活性錠剤形成成分は、当業者により認識されるであろう。この二層カプレットは、改善された溶解性、優れた外観を示し、および活性成分間のあらゆる望ましくない相互作用を最小に抑える。これにより、外観に影響を及ぼし得る(まだらの、くぼんだ表面を引き起こす)、分解を加速し得る、そして溶解に影響を及ぼし得る共融処方および融解の可能性が減る。
【0031】
ソフトゼラチンカプセル組成物の1態様は、200mgのイブプロフェンと25mgのジフェンヒドラミンHClを活性成分として含む。不活性成分は、ソフトゼラチンカプセルに好ましい外観を与える着色剤(例えば、D&C 赤 No. 33および/またはFD&C 青 No.1)、ゼラチン、ポリエチレングリコール600(低アルデヒド)、水酸化カリウム、精製水USP、ANDRISORB 85/70(登録商標)(D−ソルビトールおよびソルビタンの水溶液)を含んでよい。分留ココナツオイル、レシチン、およびVM&Pナフサを加工補助として用いてもよいが、これらの加工補助は、大量包装の前に、最終ソフトゼラチンカプセル製品の洗浄中に本質的に失われるので、最終製品においてはいずれかの有意な量までは、ソフトゼラチンカプセル中に残らない。
【0032】
当業者には、ソフトゼラチンカプセルを作成する方法が理解され、そして他の処方が当業者に公知である。J.P. Stanley, 「ソフトゼラチンカプセル」 産業医薬の理論および実際(THE THEORY AND PRACTICE OF INDUSTRIAL PHARMACY), 398-412 (Lachman ed. 3rd ed. 1986);「ソフトカプセル」、医薬技術百科(ENCYCLOPEDIA OF PHARMACEUTICAL TECHNOLOGY), 269-276 (Swarbrick ed. 1988); 「ソフトゼラチンカプセル」、医薬投与製剤&薬物送達システム(PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS & DRUG DELIVERY SYSTEMS), 176-179 (Ansel ed. 6th ed. 1995)。
【0033】
この組成物は、驚くべき催眠効果を有するために、通常就寝前に投与される。組成物は、患者が日中眠りたい場合、日中に投与することもできる。しばしば、組成物は、就寝前90分から就寝直前に投与されるべきである。本発明の多くの適用に関して、組成物は就寝45分前から就寝15分前に投与されるべきである。多くの場合、組成物は就寝30分前に投与されるべきであることが見出された。
【0034】
1つまたは2つの投与ユニットを摂取することができる。2つの投与ユニットを摂取する場合、それらは同時に摂取することができ、または1つの投与ユニットを、第2の投与製剤を所望の場合後で摂取して摂取することができる。投与は、疾患の重篤度、患者のサイズおよび年齢、および処置に対する個人の反応に依存する。典型的な具体例では、各投与ユニットは、200mgのイブプロフェンおよび25mgのジフェンヒドラミンHCl(または38mgのジフェンヒドラミンシトレートのその同等物)を含んでよい。
【0035】
理論に拘束されることを望まずに、組み合わせ処置の有利な影響は、イブプロフェンのその薬物動態特性による迅速な影響、およびイブプロフェンおよびジフェンヒドラミン両方の持続効果に依存する。イブプロフェンの血漿レベルは典型的には4〜6時間後に有意に低下するので、イブプロフェンが夜間の眠りの終わりに向けて影響を有し続けるということは、驚くべき発見であった。
【0036】
実施例における以外、または他が示される場合以外に、明細書および請求の範囲において用いられている成分の量、反応条件などを表現している全ての数は、全ての場合において、「約」により修飾されると理解されるべきである。従って、そうでないと示されない限り、以下の明細書および添付の請求の範囲に示す数値パラメータは、本発明により得られることが求められる所望の特性に依存して変化してよい近似である。少なくとも、および請求の範囲に対して均等論の適用を制限するためのものとしてでなく、各数値パラメータは、有意なディジットの数および通常の丸め法を考慮して解釈されるべきである。
【0037】
本発明の主要な範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似であるが、特定の実施例に記載した数値は、できるだけ正確に示してある。あらゆる数値はしかし、その個々の試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じるエラーを本来的に含む。以下の実施例は、結果としての範囲を制限することなく本発明を説明することが意図される。
【0038】
実施例
以下の実施例により、制限するものではなく、本発明の範囲を説明する。
実施例1:イブプロフェンおよびジフェンヒドラミンソフトゼラチンカプセルの調製
組み合わせソフトゼラチンカプセルを以下のように調製した。まず、充填溶液を調製した。水酸化カリウムNF(41.011kg)を水(34.603kg)に、Cowelsミキサー(Morehouse-Cowles, Fullerton, CAより入手可能なプロペラタイプのミキサーを有する大きな混合容器)を用いて溶解し、次いでフタをした。溶液を、フタをしながら窒素で覆った。ジフェンヒドラミンヒドロクロライド(40.050kg)を水(46.138kg)に、Cowelsミキサーを用いて溶解した。ポリエチレングリコール600(200.250kg)を次いでCowelsミキサーを用いて添加し、次いで混合物にフタをした。溶液を、フタをしながら窒素で覆った。
【0039】
Hicks反応器(空気の取り込みを最少にするために負の圧力下で作動する、Hicks Equipment, Louisville, KYより入手可能なプロペラ型のミキサー)を次いで用いた。Hick反応器に窒素を流し入れ、次いで反応器において真空を引いた。ポリエチレングリコール600(326.808kg)を添加し、次いでイブプロフェン(320.400kg)を添加し、次いで真空下に混合した。水酸化カリウム溶液をイブプロフェン分散液に添加し、そして真空下で均質形態となるまで混合した。温度を75と125Fの間に維持した。
【0040】
ジフェンヒドラミンヒドロクロライド溶液を、Hicks反応器中のイブプロフェン/水酸化カリウム/ポリエチレングリコール溶液に添加し、そして真空下に混合した。充填溶液を真空下に15分間またはそれ以上脱気した。Hicks反応器を10−15psiへと加圧し、次いで充填溶液を77−ミクロンのフィルターを通して適当に標識した容器中に流した。容器にフタをし、次いで窒素で覆った。
【0041】
2番目に、ゼラチンを調製した。RP Schererにより確立された基準に従い、水およびANDRISORB(登録商標)を、Hicks Equipment, Louisville, KYより入手可能な低エネルギーの混合溶解装置へと添加した。ゼラチンを溶解装置へと、混合物をゆっくりと混合しながらおよび溶解するまで真空下に加熱しながら真空移動させた。溶解したゼラチン混合物を加熱したステンレススチールのゲル受け器へと移した。着色剤を溶解したゼラチン溶液へと添加し、ついで、RP Scherer高速配合器、RP Sherer, St, Petersburg, FLを用いて均質までブレンドした。
【0042】
3番目に、製品をカプセル化した。RP Scherer, St. Peterburg, FLより入手可能なRP Schererソフトゲルマシンを用いてゼラチンリボンを作製した。製品名称を、製品のロゴを浮き出し表示したFLEXO(登録商標)プレートロールからインクを直接移すことにより、湿ったゼラチンリボンへにつけた。充填溶液を、サイズ12の直円形のダイを有するロータリーダイソフトゼラチンカプセルカプセル化装置を用いてゼラチンシェル内へカプセル化した。
【0043】
4番目に、ソフトゼラチンカプセルを加工して完成した。ソフトゼラチンカプセルをロータリータンブラードライアーに125分間90°Fおよび15−30%の相対湿度にて通した。ソフトゼラチンカプセルを浅い乾燥トレー上に広げ、次いで約10〜14日間空気乾燥した。ソフトゼラチンカプセルは次いで、深い保存トレーに保存してよい。ソフトゲルはRP Scherer洗浄装置を用いて、VM&Pナフサでの非常に短時間の洗浄に供した。ソフトゼラチンカプセルを次いで完成し、カウント、保存、または最終的なパッケージングのために整えた。
【0044】
最終的なソフトゼラチンカプセルは、投与当たり以下の組成を有する。
【表1】
【0045】
実施例2:イブプロフェンおよびジフェンヒドラミン二層カプレットの調製
二層カプレットを、以下のように調製した。1番目に、ジフェンヒドラミン圧縮混合物を、乾燥ブレンド直接圧縮処方として調製した。ジフェンヒドラミンシトレート(59.28kg)、ナトリウムデンプングリコレート(4.68kg)、FD&Cブルー#2カラー(0.086kg)、ミクロクリスタリンセルロースNF(EMCOCEL(登録商標)50M)(94.61kg)、コロイド状二酸化シリコン(AEROSIL(登録商標)、および予めゼラチン化されたデンプン1551(34.32kg)を、Kason Corp., Millburn, NJより入手可能な、#10メッシュのスクリーンを備えたKasonのふるいを通してDiosna P1000へ入れた。Diosna P1000は高エネルギーのミキサーおよび造粒機であり、Servo-Lift, Rockaway, NJより入手できる。これらの材料を、低速でローターをおよび高速でチョッパーを用いて1分間ブレンドし、その後、低速でローターを用いて(チョッパーなし)6分間ブレンドした。グリセリルベヘネート(COMPRITROL(登録商標))(4.69kg)を#30メッシュのスクリーンに通し、次いで#10スクリーンを備えたKasonを通してDiosnaボールへ入れた。Dosnaを低速で(ローターのみ)3分間混合した。Dosnaの内容物を次いで円錐形のビンに流し、Flo-Bin, Birmingham, Englandより入手可能なFLO-BIN(登録商標)へと移し、次いで1分間ブレンドした。
【0046】
2番目に、イブプロフェン圧縮混合物を、湿性造粒プロセスにより製造した。イブプロフェンUSP(206kg)、クロスカルメロースナトリウム(5.15kg)、予めゼラチン化したデンプンNF-1551(19.4kg)、およびコーンスターチNF(81.3kg)を#4メッシュのスクリーンを備えたKasonのふるいを通してDosna P1000ボールへ入れた。コロイド状二酸化シリコンNF(AEROSIL(登録商標))(1.03kg)をDiosnaボールへと加え、次いで高速でローターおよびチョッパーで2分間混合した。ローターおよびチョッパーを低速に設定し、次いで造粒液(水(115L))を添加した。水の添加後、バッチを低速で(ローターおよびチョッパー)2分間混合し、次いで、視覚観察によりまたはパワーセルを用いることにより適当な終点が達成されるまで(2−10分)、高速へと(ローターおよびチョッパー)切り替えた。パワーセルを用いた場合、終点は高速/高速造粒の開始時点で読む初期KW記録からのパワーセル記録の13%のKWの変化であった。
【0047】
湿った顆粒をDiosnaから取り出し、そして#4メッシュのスクリーンを通してNiro Pharmasystems, Columbia, MDより入手可能なAEROMATIC(登録商標)T-8流床ボールへ入れ、そして、適当な終点が達成されるまで(1.5-2.5%水分含有量)乾燥した。乾燥した顆粒を、次いで、#16メッシュのスクリーンを備えたFrewittユニットを通して製粉し、次いで、1200リットルのFLO-BIN(登録商標)に集めた。コロイド状二酸化シリコンNF(AEROSIL 200(登録商標))(0.618 kg)、ラウリル硫酸ナトリウムLX 100 NX(0.495 kg)、および純粋デンプン826NF(7.11kg)を合わせ、#30メッシュのスクリーンに通し、次いでFLO-BIN(登録商標)へ移した。クロスカルメロースナトリウム(5.10kg)をFLO-BIN(登録商標)に入れ、これを20分間17RPMにてブレンドした。ステアリン酸NF粉末1.82kgを#30メッシュのスクリーンに通してFLO-BIN(登録商標)へと添加し、次いで4分間17RPMでブレンドした。
【0048】
イブプロフェン圧縮混合物およびジフェンヒドラミン圧縮混合物を次いで一緒に、各層が個々の活性成分を含んでいる二層カプレットとして圧縮した。イブプロフェン層(投与量当たり318.6mgのトータル重量)を第1層として圧縮し、一方、ジフェンヒドラミン層(投与量当たり220mgのトータル重量)を第2層として圧縮した。カプレットは、以下のパラメータを用いて、Manesty Mark IIA二層プレス上にて圧縮した。
【0049】
・型押し(カプレットパンチの形状)0.590"×0.283"×0.045";
・圧縮速度:1200-1600 TPM;
・イブプロフェン層の厚さ0.173"〜0.185";および、
・(全二層カプレットの)二層の厚さ0.226"〜0.234"。
【0050】
コートしていないコアを次いで67" Vector Hi-Coraterに移し、5%のOpadry IIブルーコーティングを以下の条件で適用する。
コーティングプロセス後、錠剤にステアリン酸カルシウムを散布し、Hi-Coaterから取り出した。
【0051】
最終的な二層錠剤は、投与量当たり以下の組成を有した。
【表2】
【0052】
実施例3:イブプロフェン、ジフェンヒドラミン、およびイブプロフェン/ジフェンヒドラミンの組み合わせの比較(試験A)
105人の患者を、口腔手術後の睡眠障害に関して評価した。ベースラインでは、対象の60%が中程度のレベルの痛みを有し、40%が激烈な痛みを有した。シングルセンターの、入院患者での、単回投与の、無作為化した(性およびベースラインの痛みの激烈度により等級別に分類した)、二重盲検の、ダブルダミーの、パラレルグループプラシーボコントロール試験を用いた。
【0053】
ダブルダミーのシナリオにて、患者に複数の投与製剤を与えるが、患者が指定される群には一つの試験薬物処置を、および他の試験群に関しては投与製剤を似拠らせたプラシーボを与えた。つまり、種々の処置群に対する投与製剤は異なって見えたとしても、患者は彼らが指定される群を突き止めることはできなかった。14人の患者をプラシーボ群へと割り当て、29人をイブプロフェン/ジフェンヒドラミンの組み合わせ群へと、および31人をそれぞれイブプロフェンおよびジフェンヒドラミン群へと割り当てた。イブプロフェンの投与量は400mgであり、およびジフェンヒドラミンHClの投与量は50mgであった。組み合わせはソフトゼラチンカプセル製剤におけるものであった。
【0054】
患者を、以下のパラメータを用いて評価した。
・睡眠潜伏期間(看護婦により評価される、寝入るまでにかかる時間)
・SPRID3(痛みの軽減および痛みの強度のベースラインからの差の0−3時間の間の時間加重合計)
・60分で寝入っている累積パーセント(看護婦が格付けした)
・寝入り易さ(必要な場合、救済薬物処置の時点で、または救済薬物処置のない場合には朝に、5ポイントの絶対スケール:0=寝入らなかった〜4=非常に寝入り易かった;を用いて患者により評価される)
・睡眠持続(必要な場合、救済薬物処置の時点で、または救済薬物処置のない場合には朝に、6ポイントの絶対スケール:0<5時間、1=5−6時間、2=6〜<7時間、3=7〜<8時間、4=8〜<9時間、5>9時間;を用いて患者により評価される)
・睡眠のグローバル評価(必要な場合、救済薬物処置の時点で、または救済薬物処置のない場合には朝に、5ポイントの絶対スケール:0=不十分〜5=優;を用いて患者により評価される)
・救済薬物処置のメジアン値(看護婦が時間にて記録した)、および、
・救済薬物処置を必要としている患者のパーセント
【0055】
当業者であれば、患者により評価される睡眠持続が、患者が得る睡眠量の非常に優れた指標であることを認識する。患者が処置を受けた1時間以内に救済薬物処置を所望する場合、それらの患者はプロトコル妨害者と見なし、試験から除外した。
SPRID3の計算は以下のようであった。90分、2時間、および3時間で、患者を起こし、2つの問題を尋ねた:痛みがどれだけ軽減したか(軽減なし=0、すこし=1、幾分=2、大いに=3、完全に=4)、および、痛みの激烈さはどの程度か(なし=0、軽い=1、中程度=2、激烈=3)。痛みの強度の差(PID)を、処置前に測定したベースラインスコアに対して問題の時点での痛みのスコアの激烈度を差し引くことにより決定した。痛みの軽減の評価(PPR)を次いで、PRIDスコアのために、PIDに対して追加した。PRIDスコアを時間に対して各患者に関してグラフ上にプロットし、そして、SPRID3スコアは各患者のPRIDプロットに関する曲線下の領域として記録した。SPRID3は、痛みの軽減と痛みの激烈度の組み合わせ測定値である。
睡眠潜伏期間とSPRID3は、本試験の主要パラメータであった。結果を、表3に示し、そのデータを図示したものを図1−4に示す。
【0056】
【表3】
【0057】
イブプロフェン/ジフェンヒドラミンの組み合わせ群は、60分で寝入っている累積パーセント、寝入り易さ、睡眠持続、およびグローバル評価に関して全他の群を超える改善を示した。睡眠持続に関する結果は、該組み合わせが共同的な効果を示し、ジフェンヒドラミンおよびイブプロフェンの合わせたスコアより高いスコアを生じているので、驚きであった。しかし、イブプロフェン/ジフェンヒドラミン群およびイブプロフェン群のみとの間の差は、おそらくはサンプルサイズのために有意ではなかった。
【0058】
後の試験では3時間であるのに対し、このモデルでは、1時間のみの位相変化した不眠が誘導された。言いかえれば、患者はその就寝時刻より1時間早く就寝したくなった。すなわち、この試験は後の試験ほど不眠でなかった。これにより、部分的に、睡眠潜伏期間およびSPRID3パラメータにおける不揃いの非有意な変動を説明し得る。加えて、ジフェンヒドラミンの薬物動態学的特性のために、処置後すぐの組み合わせの影響を評価するパラメータにおいては有意な効果を有することは期待できなかった。概して、ジフェンヒドラミンは処置後2時間まで、有効な血漿濃度に達しない。つまり、処置後すぐの睡眠および痛みを評価するSPRID3および睡眠潜伏期間においては影響を有することは期待できなかった。
【0059】
実施例4:イブプロフェン/ジフェンヒドラミンの組み合わせの、イブプロフェン単独およびプラシーボに対する比較(試験B)
本試験を、実施例1と同様の方法で行った。実施例1が示したように、特に患者が手術後の痛みを経験しているなど、ジフェンヒドラミン群は試験の意図に関して適当な処置を提供しなかったので、ジフェンヒドラミン群は割愛した。加えて、睡眠におけるジフェンヒドラミンの効果は公知であり、さらなる試験を要しない。
【0060】
組み合わせ群は、400mgのイブプロフェンおよび50mgのジフェンヒドラミンのトータル投与量を、2つの組み合わせソフトゼラチンカプセルにて受けた。イブプロフェン群は400mgのトータル投与量を2つのソフトゼラチンカプセルにて受けた。プラシーボ群もまた、ソフトゼラチンカプセルを受けた。
【0061】
この試験は、無作為化した、層化した(ベースラインの痛みおよび性により)、入院患者での、プラシーボコントロールの、部分要因の、単回投与の、二重盲検の、パラレル群の、シングルセンター試験として行った。口腔手術後、患者を一晩診療所に留置した。試験薬物処置は、患者が中程度レベルまたはそれ以上の痛みを経験した時、およびそれがおよそ6:30と8:00p.m.の間(患者の通常の就寝時よりも3時間前)であった時に施した。患者は、試験薬物処置を受けた後、就寝したくなった。
【0062】
実施例1と同じ睡眠パラメータを用いた。加えて、痛みを軽減するものとしてのグローバル評価を測定した。このパラメータは、必要な場合、救済薬物処置時点で、または救済薬物処置をしない場合、朝になされた、患者により評価されるパラメータであった。痛みの軽減は、5ポイントのスケール(0=不十分、1=並、2=良、3=非常に良、4=優)にて評価した。睡眠を、規則的な間隔で投与後3時間に渡り観察者によりモニターした。患者は、投与後90および120分にて痛みの評価を提供した。患者は、睡眠効率の主観的評価、翌朝、または救済薬物処置を用いた時点で睡眠および痛みのグローバル評価をも提供した。
【0063】
以下の統計学的方法を用いた。全分析は、SAS(登録商標)バージョン6.12を用いてなされた。モデルにおける処置の効果、ベースラインの痛みの激烈度評価(PSR)、および性を組み込んでいる分散分析(ANOVA)により、対象の睡眠および痛みの評価を分析した。加えて、処置−対−ベースラインPSRおよび処置−対−性の相互作用を別のモデルにおいて、最初のANOVAモデルに対して相互作用項を一度に1つ追加することにより(0.15レベルで)評価した。睡眠潜伏期間および救済薬物処置までの時間の分布を、Kaplan-Meier評価を用いて評価し、変数をCox比例ハザード回帰モデルを用いて、処置、ベースラインPSR、および性の効果と共に分析した。加えて、処置−対−ベースラインPSRおよび処置−対−性の相互作用を別のモデルにおいて、各相互作用項を一度に1つ初期モデルに加えることにより(0.15レベルで)評価した。
【0064】
各相互作用が一般的に有意である(p0.15)である場合、それを最終モデルに維持した。相互作用の存在下における処置の効果の評価において、各レベルの層化変数を等しく加重することができた(ANOVAモデルと一致)。睡眠までのメジアン時間および救済薬物処置までのメジアン時間に関して95%の信頼間隔を得た。加えて、各観察時点における対象の寝入りのその時点での比および累積比、および各観察時点までに救済薬物処置を受けた対象の累積比を、ベースラインPSRおよび性に関して調整するCochran-Mantel-Haenszel試験により分析した。
【0065】
0.05レベルでのI型のエラーを防ぐために、比較を一連の順序で試験した。各ステップは、有意性に関して適格であるその後のステップに関して有意であることを要した。用いた一連の順序は以下のようであった。
・イブプロフェン400mg/ジフェンヒドラミンヒドロクロライド50mg対プラシーボ:明らかに有意であることに関して適格であるためには、主要な睡眠および痛みパラメータのそれぞれが、0.05レベルで有意であることを要した。;
・イブプロフェン400mg/ジフェンヒドラミンヒドロクロライド50mg対イブプロフェン400mg:明らかに有意であることに関して適格であるためには、主要な睡眠パラメータが、0.05レベルで有意であることを要した。;
・イブプロフェン400mg対プラシーボ:明らかに有意であることに関して適格であるためには、主要な痛みパラメータが、0.05レベルで有意であることを要した。;
【0066】
第2の終点を同じ一連の順序で、0.05レベルの有意性で評価した。
効能の主要分析は、試験薬物処置を受けた全無作為化対象を含む処置意図(intent-to-treat)集団において行い、そして少なくとも1つのポスト−ベースライン(睡眠および痛み)効能評価を有した。
204人の患者(72.9%)がそのベースラインの痛みの激烈度を「中程度」と評価し、そして76人(27.1%)が「激烈」と評価した。処置群は、ベースラインの痛みの激烈度と比較できた。
試験の結果を表4に示し、データを図示したものを図5-12に示す。
【0067】
【表4】
【0068】
ほとんどの睡眠評価パラメータに関して、組み合わせはイブプロフェンよりも優れていた。この差は睡眠持続に関して統計学的に有意であり、および救済薬物処置を必要とする割合に関してわずかに有意であった。組み合わせにより、患者は有意に長く眠ることが可能となり、治療において重要な改善が提供される。イブプロフェンの血漿レベルは4〜6時間後に落ちるので、イブプロフェンが夜の終わりに睡眠、即ち睡眠持続に影響を及ぼすことは驚きであった。また、寝入りの累積パーセントは夜の初めにおける薬物の効果を評価するものであり、そして、ジフェンヒドラミンの緩慢な薬物動力学的特性のために、組み合わせ群はイブプロフェン群ほど優れてはいなかった。これらのデータを図示したものを、図4−12に示す。
【0069】
実施例5:イブプロフェン/ジフェンヒドラミン組み合わせの、イブプロフェン単独に対する比較(試験C)
本試験は、400mgのイブプロフェンおよび50mgのジフェンヒドラミンヒドロクロライドのトータル投与量を含んでいるイブプロフェン/ジフェンヒドラミンソフトゼラチンカプセルの鎮痛および鎮静効能を評価するために設計した。イブプロフェンのみの群は、400mgのトータル投与量をソフトゼラチンカプセル形態にて受けた。
【0070】
これは、無作為化した、層化(ベースラインの痛みおよび性による)、入院患者での、プラシーボコントロールの、部分要因の、単回投与の、二重盲検の、パラレル群の、シングルセンター試験であった。口腔手術後、対象を診療所に入れ、一晩観察した。対象が少なくとも中程度の痛みを経験し、そしてそれが約6:30PM〜8:00PMの間であった(彼らの通常の就寝時よりも少なくとも3時間早い)時、彼らは試験薬物処置を受け、そして夕方に就寝したくなった。睡眠を、投与後3時間に渡り、規則的な間隔で観察者により評価した。対象は、投与後90分および120分で痛みの評価を提供した。対象はさらに、睡眠効率の評価ならびに睡眠補助および鎮痛剤としての試験薬物処置のグローバル評価を翌朝(または救済薬物処置を用いた時点で)提供した。
【0071】
患者の、睡眠持続、投与後60分で寝入っている対象の累積パーセントを(観察された睡眠潜伏期間に基き)評価し、さらに、SPRID2(0−2時間の間の、ベースラインからの痛みの軽減および痛みの強度の時間加重合計)を用いて痛みに関して評価した。睡眠潜伏期間(観察者に基づく)、寝入り易さ、および睡眠のグローバル評価も用いた。投与後90および120分後の、痛みの軽減スコアと組み合わせた痛みの強度差(PRID)、痛みを軽減するものとしての試験薬物処置のグローバル評価、ならびに救済薬物処置までの時間を評価した。
【0072】
全分析は、SAS(登録商標)バージョン6.12を用いてなされた。60分までに寝入っている対象の累積パーセントを、PSRおよび性に関して調整しているCochran-Mantel-Haenszel試験により分析した。モデルにおける処置の効果、ベースラインの痛みの激烈度評価(PSR)、および性を組み込んでいる分散分析(ANOVA)により、対象の睡眠および痛みの評価を分析した。睡眠潜伏期間および救済薬物処置までの時間の分布を、Kaplan-Meier評価を用いて評価し、変数をCox比例ハザード(PH)回帰モデルを用いて、処置、ベースラインPSR、および性の効果と共に分析した。ANOVAおよびPHモデルの両方に関して、処置−対−ベースラインPSRおよび処置−対−性の相互作用を別のモデルにおいて、各相互作用項を一度に1つ初期モデルに加えることにより(0.15レベルで)評価した。各相互作用が概して有意である場合(p0.15)、それを最終モデルに維持した。相互作用の存在下での処置の効果の評価において、層化変数の各レベルは等しく加重することができた。
【0073】
0.05レベルでのI型のエラーを防ぐために、第1および第2の効能終点に関して一連の順序で比較を試験した。各ステップは、有意性に関して適格であるその後のステップに関して有意であることを要した。一連の順序は以下のようであった。
・イブプロフェン400mg/ジフェンヒドラミンヒドロクロライド50mg対プラシーボ:明らかに有意であることに関して適格であるためには、主要な睡眠パラメーターおよび主要な痛みパラメータの両方が、0.05レベルで有意でなければならない;
・イブプロフェン400mg/ジフェンヒドラミンヒドロクロライド50mg対イブプロフェン400mg:睡眠持続をまず試験した後、60分で寝入っている対象の累積パーセントをそれぞれ0.05レベルで試験した。60分で寝入っている対象の累積パーセントは、それは0.05レベルの有意性でアルファエラーを防ぐので、睡眠持続が有意な場合にのみ、明らかに有意であることに関して適格であった。
・イブプロフェン400mg対プラシーボ:明らかに有意であることに関して適格であるためには、主要な痛みパラメータが、0.05レベルで有意でなければならなかった。
【0074】
第2の終点を同じ一連の順序で、0.05レベルの有意性で評価した。効能の主要分析は、試験薬物処置を受けた全無作為化対象を含む処置意図(ITT)集団において行い、そして少なくとも1つのポスト−ベースライン(睡眠および痛み)効能評価を有した。
試験の開始時点で、164人の患者(58%)が「中程度」のベースラインの痛みの激烈度を有し、そして118人(42%)がそのベースラインの痛みを「激烈」と評価した。平均のベースラインの視覚によるアナログスケールスコアは76.5mmであった。処置群を、ベースラインの痛みの激烈度の両測定に関して比較した。
試験の結果を表5に示し、データを図示したものを図13-22に示す。
【表5】
【0075】
イブプロフェンとジフェンヒドラミンの組み合わせは、睡眠持続に関してイブプロフェン単独よりも統計学的に優れており、そして睡眠補助としての試験薬物処置のグローバル評価および救済薬物処置を必要としているパーセントに関して優れていた。組みあわせにより、ここでもまた、イブプロフェン単独よりも患者は有意に長く眠ることが可能となる。単一ソフトゼラチンカプセルは、より迅速な放出/吸収薬物動態を有するので、組み合わせは痛みの処置に関しては不十分であったかもしれない。組み合わせの吸収特性は、単一のイブプロフェンソフトゼラチンカプセルとは異なる。
【0076】
実施例6:組み合わせにおける異なる投与量に関する比較(試験D)
この試験は、200mgのイブプロフェンと25mgのジフェンヒドラミン(1ソフトゼラチンカプセル投与量または単回投与量)対400mgのイブプロフェンおよび50mgのジフェンヒドラミン(2ソフトゼラチンカプセル投与量または二回投与量)の鎮静および鎮痛効能を評価するために設計した。
【0077】
この試験は、シングルセンターの、入院患者での、単回投与の、無作為化した(性およびベースラインの痛みの激烈度により等級別に分類した)、二重盲検の、パラレルグループの、プラシーボコントロール投与反応試験であった。対象に口腔の手術を施し、患者を一晩診療所に入れた。彼らは通常よりも少なくとも3時間早く就寝したくなった。各活性薬物対プラシーボは、3:3:1の比率で評価した。284人の患者を以下の群に割り当てた。41人の患者をプラシーボ群へと割り当て、120人を単回投与へ割り当て、そして123人を2回投与へと割り当てた。処置群は、外傷評価を除き、手術の方法の特徴に関しては似ていた。他の群と比較して外傷が「激烈」であった2回投与を受けた対象のパーセントが高かった(35.8%対〜22%)。対象の約59%が中程度のベースラインの痛みを有し、一方、41%が激烈であった。
本試験の結果を表6に示し、それを図示したものを図23-27に示す。
【0078】
【表6】
【0079】
統計学的に有意に差はなかったが、2回投与は、単回投与よりも睡眠を補助するのに、および痛みを処置するのに優れていた。2回投与は、睡眠持続に関して単回投与よりも有意に優れていた(図23)。60分までに、プラシーボ、単回投与、および2回投与群の対象の48%、86.7%、および88.6%が寝入った(図24)。同じ群のSPRID2スコアはそれぞれ1.7、8.2、および9.2であった(図25)。90分で、PRIDスコアは、2回投与群に関して有意に優れていた(図26)。TOTPARは、痛みの軽減の評価のことであり、PRRスコアを時間に対してプロットし、そして曲線下領域を測定した。
この試験により、高投与量により、低投与量よりもより有意な痛みの軽減が提供され(図27)、そして患者がより長い期間眠ることが可能となることを示す。
【0080】
実施例7:試験結果の比較
2つの試験からのデータを一緒にプールした。最も有意な試験データのいくつかを表7に示し、それを図示したものを図28-29に示す。
【0081】
【表7】
【0082】
これらのデータは共に、組み合わせを受けた対象がイブプロフェン単独を受けた対象よりも約30分〜1時間長く眠ったことを示す(図28)。イブプロフェン単独を受けた対象と比較して、5時間未満しか眠らなかった対象は、組み合わせを受けた対象においてより少なかった(それぞれ24%対32%)。イブプロフェン単独を受けた患者と比較して、救済薬物処置を要した患者は組み合わせ群においてより少なかった(図29)。2つの試験からのデータをプールした場合、この差は統計学的に有意であった(35%組み合わせ対45%イブプロフェン単独)。
【0083】
実施例8:痛みに伴う睡眠障害の処置
痛みに伴う睡眠障害に悩まされている患者に、400mgのイブプロフェンおよび50mgのジフェンヒドラミンを、化合物間の相互作用を妨げるために設計された単一ソフトゼラチンカプセル製剤にて与えた。患者は就寝前に組成物を摂取し、その痛みに伴う睡眠障害の徴候が改善された。例えば、患者は予想されるよりも長く持続して眠り、そしてさらに、予想されるよりも早く寝入った。これは、本発明の組成物が痛みに伴う睡眠障害を処置するのに有用であることを示す。
【0084】
実施例9:痛みに伴う睡眠障害の処置
痛みに伴う睡眠障害に悩まされている患者に、イブプロフェンおよびジフェンヒドラミンを、以下の表に従い、化合物間の相互作用を妨げるべく設計された単回製剤にて与えた。
【0085】
【表8】
【表9】
【0086】
患者は就寝前に組成物を摂取し、そしてその痛みに伴う睡眠障害の症状は改善された。例えば、患者は予想されるよりも長く持続して眠り、そしてさらに、予想されるよりも早く寝入った。これは、本発明の組成物が、痛みに伴う睡眠障害を処置するのに有用であることを示す。
【0087】
実施例10:痛みに伴う睡眠障害の処置
痛みに伴う睡眠障害に悩まされている患者に、イブプロフェンおよびジフェンヒドラミンを、以下の表に従い化合物間の相互作用を妨げるべく設計した単回製剤にて与えた。適当なジフェンヒドラミンシトレートの量は、ジフェンヒドラミンHClに関して容易に置きかえられ、そして、PEGソフトゼラチンカプセルまたは二層錠剤のいずれも有効である。
【0088】
【表10】
【0089】
患者は就寝前に組成物を摂取し、その痛みに伴う睡眠障害の症状は改善された。例えば、患者は予想されるよりも長く持続して眠り、そしてさらに、予想されるよりも早く寝入った。これは、本発明の組成物が、痛みに伴う睡眠障害を処置するのに有用であることを示す。
本明細書中に引用する全引用文献または特許を、出典明示により組み込む。前記の詳細な記載は説明の目的のためにのみ示したものである。幅広い変化および変更を前記の好ましい具体例に対してなすことができる。それゆえ、全均等物を含む添付の請求の範囲が本発明の範囲を規定するものとする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠障害の処置に関する。本発明はさらに、例えば、短縮された睡眠持続に至る睡眠障害を含む、痛みに伴う睡眠障害の処置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの人々が人の健康に重大な結果を生じ得る睡眠障害に苦しんでいる。睡眠不足の人は、日中の認識力および動的な動作がかなり損なわれ得る。そのような睡眠不足に関して認められる一つの結果は、自動車事故の増加である。国際幹線道路安全機関は、1年間に100,000台の車の粉砕が居眠り運転に関連していると評価している。Nanci Hellmich, "Balancing Act," TULSA WORLD, June 2, 2000。
【0003】
痛みに伴う睡眠障害は特に問題がある。痛みに伴う睡眠障害に悩まされている人は、眠ったままでいること(睡眠持続)、およびそれゆえ、夜間に十分な休息を取ることが非常に困難であることが多い。睡眠持続は、関係する人の肉体的および精神的健康に非常に大切である。非常に多くの人が痛みに伴う睡眠障害、特に短縮された睡眠持続に苦しんでいるので、これらの疾患を処置する薬物処置が必要とされている。痛みに伴う睡眠障害により、寝入る困難(即ち、患者が寝入るまでより長い時間がかかる)、および眠ったままでいる困難(即ち、完全に夜間に寝入る以前に、目が早く覚めすぎる)を意味するものとし、ここで、これらの困難のいずれかまたは両方は、制限されるものではないが、頭痛、筋肉痛および痛み、咽喉炎、副鼻腔炎、月経痛、背中の痛み、歯痛、関節炎を含む体の痛みとともに存在するか、またはそれにより悪化する。
【0004】
イブプロフェン、プロピオン酸誘導体非ステロイド抗炎症剤(NSAID)が、痛み、創傷、および病気の処置において、その鎮痛性の、抗炎症および抗発熱効果のために用いられている。それは、例えば関節炎、スポーツ障害、軟組織外傷、月経困難症、偏頭痛、緊張型頭痛、および歯痛のために用いられる。イブプロフェンは、最も詳細に研究され、および広範に用いられている薬物の一つである。イブプロフェンは、世界中で少なくとも100国の1億人を超える患者を処置するのに用いられていると評価されている。イブプロフェンは、世界中で非常に広範に用いられている薬物である。NSAIDイブプロフェンは、以下の構造:
【0005】
【化1】
を有する。
【0006】
ヒトにおけるイブプロフェンの経口投与の約80%は、GI管から吸収される。懸濁剤および錠剤のそれぞれに関して、経口投与の後、1または2時間以内にピーク血清濃度が達成される。イブプロフェンの血漿半減期は約2時間と報告されている。成人に対するイブプロフェンの推奨される非処方箋投与量は、症状が持続している間4〜6時間毎に200mgである。症状が1つの錠剤(200mg)に対して反応しない場合、2つの錠剤を用いることができる。しかし、主治医により指示されない限り、24時間以内に6錠剤しか摂るべきでない。4〜6時間毎に600または800mgの投与量を生じる、イブプロフェンのより高レベルを処方箋製品のために用いることができる。
【0007】
イブプロフェンが睡眠を改善することはこれまで知られていない。実際、全く反対に、イブプロフェンは、睡眠を妨害する痛みを患っていない患者に関するいくつかの研究において示されている。Murphy et al., 「非ステロイド性抗−炎症剤がヒトにおける正常な睡眠パターンに作用する」、PHYSIOLOGY & BEHAVIOR 55: 1063-1066 (1994)。イブプロフェンは、覚醒の数および、覚醒期に費やされる時間の割合を増し、および睡眠効率を低下させることが示されている。イブプロフェンは、より深い睡眠期の開始を遅らせることも示されている。イブプロフェンは、プロスタグランジン合成を低下させること、メラトニン合成を減らすこと、および体温を変化させることによりこの効果を持つと考えられた。同著。他の研究は、イブプロフェンが睡眠に影響を持たないことを示す。Gengo, 「健康な成人における睡眠の睡眠ポリグラフ測定および主観測定におけるイブプロフェンの効果」、J. CLIN. PHARMACOL. 36:859(1996)。
【0008】
ジフェンヒドラミンヒドロクロライド(2−(ジフェニルメトキシ)−N,N−ジメチルエチルアミン)は、エタノールアミンH1ブロッキング剤である。それはレセプター部位におけるヒスタミン効果をアンタゴナイズする。ジフェンヒドラミンは、鎮静、鎮吐、抗コリン作用、酔い止め、鎮咳、CNS刺激およびCNS抑制、および局所麻酔特性をそのうえ有する。ジフェンヒドラミンヒドロクロライドおよびジフェンヒドラミンシトレート、2つの一般的な形態は、以下の化学構造を持つ。
【0009】
【化2】
【0010】
この群の薬物は、強くかつ効果的なH1ブロッカーであり、著しい抗ムスカリン活性を有し、および鎮静を誘導する著しい傾向を有する。常套の投与量を用いて、このクラスの薬物で処置する患者の約半分が催眠を経験する。ジフェンヒドラミンは、その抗ヒスタミン特性のために主として用いられているが、その催眠効果のために、および乗り物酔いの処置のためにも用いられている。弱い麻酔効果に関してもいくつか報告されている。
【0011】
ジフェンヒドラミンは、経口投与後に十分に吸収される。ジフェンヒドラミンの単回投与製剤の経口投与後、薬物は15分以内に血漿に現れ、および1.5〜4時間以内にピーク血漿濃度が達成される。ジフェンヒドラミンの夜間の睡眠補助としての通常投与量は、50mgのジフェンヒドラミンヒドロクロライド、または等価の76mgのジフェンヒドラミンシトレートである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Nanci Hellmich, "Balancing Act," TULSA WORLD, June 2, 2000
【非特許文献2】Murphy et al., "Nonsteroidal Anti-Inflammatory Drugs Affect Normal Sleep Patterns in Humans", PHYSIOLOGY & BEHAVIOR 55: 1063-1066 (1994)
【非特許文献3】Gengo, "The Effects of Ibuprofen on Polysomnographic and Subjective Measures of Sleep in Healthy Adults", J. CLIN. PHARMACOL. 36:859(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ジフェンヒドラミンは夜間の睡眠補助として周知であるが、睡眠障害、および特に痛みに伴う睡眠障害の処置のための改良された薬物処置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
驚くべきことに、イブプロフェンとジフェンヒドラミンの特殊な処方が、処方中または組成物が棚上げされている間の2つの活性成分間のネガティブな相互作用を示すことなく、睡眠障害、および特に痛みに伴う睡眠障害の有効な処置を生じることが発見された。これらの結果は、イブプロフェンが睡眠に影響を持たない、または逆効果を有するという先行の研究の示唆に照らせば、特に驚くべきことであった。
【0015】
出願人は、イブプロフェンとジフェンヒドラミンの組み合わせが、痛みの処置に効果的であるのみならず、睡眠障害の処置に、特に短縮された睡眠持続の問題に対処するのに効果的であることをも近年発見した。出願人は、イブプロフェンおよびジフェンヒドラミンが、医薬組成物において、ネガティブな相互作用の可能性を有することも発見した。
【0016】
本発明により、痛みに伴う睡眠障害を処置するのに有効な量のイブプロフェンおよびジフェンヒドラミンを含む、または組成物が化学的および物理的に十分に安定であるところの、痛みに伴う睡眠障害の処置のための組成物および該組成物を作成する方法が提供される。本発明の他の具体例により、イブプロフェンおよびジフェンヒドラミンを含む、痛みに伴う睡眠障害の処置のための組成物であって、組成物が薬物相互作用の危険性を避けるべく処方されている組成物が提供される。本発明により、痛みに伴う睡眠障害を有する患者を処置する方法も提供される。
【0017】
本発明の一態様により、痛みに伴う睡眠障害を処置するのに有効な量のイブプロフェンおよびジフェンヒドラミンを含む組成物が提供される。本発明の他の具体例により、痛みに伴う睡眠障害を処置するのに有効な量のイブプロフェンおよびジフェンヒドラミンを含む組成物であって、組成物が二層錠剤、二層カプレット、またはソフトゼラチンカプセルである組成物が提供される。本発明の別の具体例は、本発明の組成物を投与すること、および該組成物で睡眠障害を処置させることを含む、睡眠障害を患っている患者を処置するための方法が提供される。本発明の更なる具体例により、イブプロフェンおよびジフェンヒドラミンを含む、痛みに伴う睡眠障害の処置のための組成物であって、痛みに伴う睡眠障害が、寝入る困難および眠ったままでいる困難を含むところの組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】試験Aに関する睡眠持続の結果を示す。
【図2】試験Aからの、看護婦が観察した睡眠潜伏期間の結果を示す。イブプロフェン群および組み合わせ群の両方は、ジフェンヒドラミン群およびプラシーボ群よりも有意に優れていた。
【図3】試験Aに関する平均SPRID3スコアを示す。
【図4】試験Aに関する寝入っている患者の累積パーセントを示す。
【図5】試験Bに関する睡眠持続のデータを示す。
【図6】試験Bに関する寝入っている患者の累積パーセントを示す。
【図7】試験Bに関する平均SPRID2スコアを示す。
【図8】試験Bに関する、看護婦が観察した睡眠潜伏期間の結果を示す。
【図9】試験Bに関する寝入り易さのデータを示す。
【図10】睡眠補助としての試験薬物処置のグローバル評価からのデータを示す。
【図11】試験Bに関するPRIDスコアを示す。
【図12】試験Bに関する痛みを軽減するものとしての試験薬物処置のグローバル評価を示す。
【図13】試験Cに関する、いずれかの理由のための救済薬物処置までの時間を示す。
【図14】試験Cに関する睡眠持続のデータを示す。
【図15】試験Cに関する、60分までに寝入っている累積パーセントを示す。
【図16】試験Cに関するSPRID2スコアを示す。
【図17】試験Cに関する、看護婦が観察した睡眠潜伏期間のデータを示す。
【図18】試験Cに関する寝入り易さを示す。
【図19】試験Cに関する睡眠補助としての試験薬物処置のデータのグローバル評価を示す。
【図20】試験Cに関するPRIDスコアを示す。
【図21】試験Cに関する痛みを軽減するものとしての試験薬物処置のグローバル評価のデータを示す。
【図22】試験Cに関するいずれかの理由のための救済薬物処置までの時間を示す。
【図23】試験Dに関する睡眠持続のデータを示す。
【図24】試験Dに関する60分までに寝入っている対象の累積パーセントを示す。
【図25】試験Dに関する平均SPRID2スコアを示す。
【図26】試験Dに関するSPRID2スコアの別表記を示す。
【図27】試験Dに関する時間を通じた平均PRIDスコアを示す。
【図28】プーリングデータからの睡眠持続のデータを示す。
【図29】プーリングデータからの救済薬物処置までの時間のデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
出願人は、驚くべきことに、イブプロフェンとジフェンヒドラミンの組み合わせが、共同作用的に、効果的な痛みの処置、および短縮された睡眠持続などの痛みに伴う睡眠障害を含む睡眠障害の効果的な処置の両方を提供することを発見した。生じる組み合わせにより、ジフェンヒドラミン単独に帰し得るよりも大きな催眠効果が生じる。この発見は、イブプロフェンが、これらの投与量で、4〜6時間のみ本発明の投与にて効果的であることが公知であり、一方、観察された本発明の組成物の投与からの睡眠持続効果は明らかにもっと長い期間継続したので、驚くべきことである。投与により、患者に、本発明の組成物をイブプロフェンおよびジフェンヒドラミンとして、または別法として、イブプロフェンまたはジフェンヒドラミンのいずれかまたは両方を、患者の体内でイブプロフェンまたはジフェンヒドラミンへとそれぞれ代謝されるプロドラッグ形態にて患者に提供することができることを意味する。
【0020】
本発明における使用のためのイブプロフェン投与量は、50mg〜800mg、100mg〜800mg、200mg〜600mg、200mg〜400mg、または200mgの範囲である。本発明における使用のためのジフェンヒドラミンHCl投与製剤は、12.5mg〜100mg、25mg〜75mg、25mg〜50mg、または25mgの範囲である。
【0021】
ジフェンヒドラミンシトレートを本発明において、対応するレベルで用いることもできる。例えば、38mgのジフェンヒドラミンシトレートは、25mgのジフェンヒドラミンHClに対応し、これら2つの化合物の間の相関関係は当該分野で周知である。つまり、本発明における使用のためのジフェンヒドラミンシトレートの投与量は、19mg〜76mg、38mg〜76mg、または38mgの範囲である。ジフェンヒドラミンシトレートについての正確な値を、本明細書および請求の範囲に示すが、同意義の原則の下に侵害を決定する場合に、これらの値が厳格であることを意図しない。これらの特定の投与量は、それらがジフェンヒドラミンのHCl塩に関して提供される値と化合物間の分子量の差により関連するので選択するものであり、そして適当な同意義をも意図するものである。
【0022】
もちろん、投与量は、患者の体重および痛みに伴う睡眠障害の強度を考慮して調整することができる。例えば、より強いまたは問題の多い痛みに伴う睡眠障害、または平均より重い体重の患者に対しては、より高投与量を用いることができる。より軽度の問題または平均よりも軽い体重の患者に対しては、より低投与量を用いることができる。より低投与量は、また、子供、年配の人、または薬物処置に敏感な人に対して投与することができる。
【0023】
本発明において、イブプロフェンおよびジフェンヒドラミンの所望の投与量は、単回医薬投与ユニット(例えば、錠剤またはカプセル)のいずれかに含めることができ、または複数投与の医薬投与ユニット(例えば、2またはそれ以上の錠剤またはカプセルに分けられた所望の投与製剤)に分けることができる。投与量なる用語はそれゆえ、患者に一度に与えられる活性成分のトータルの量を意味する。複数ユニットは、同時に与えられる場合、または30分以内にそれらが与えられる場合に同一投与と見なされる。患者が症状を患い続けた後、および第1の投与が十分でなかったと分かった後に、後で与える追加のユニットを、追加投与とみなす。患者が1つの単位ユニットに反応したか否かにより、および患者の年齢およびサイズおよび処置のための問題の強度を含む他の要因に依存して、1、2またはそれ以上の投与ユニットが与えられてよい。投与量は、患者が典型的に1回投与または所望の場合は2回投与を摂取するようなものであることが予想されるであろう。
【0024】
イブプロフェンとジフェンヒドラミンは単回投与組成物にて投与されるので、イブプロフェンおよびジフェンヒドラミンが互いに化学的相互作用を有しないことを確認するステップを講じるべきである。イブプロフェンは酸基(-COOH)を有し、およびジフェンヒドラミンは塩基性基(-N(CH3)2)を有するので、酸-塩基相互作用が存在する可能性がある。イオン対または塩がそして形成され得る。そのような相互作用により、体内で異なる溶解特性および吸収特性を有する可能性のあるより非極性の組成物が作製される。医薬組成物におけるそのような変化は、効果が予測できないために非常に望ましくない可能性がある。ジフェンヒドラミンの異なる形態は、イブプロフェンと多少相互作用するかもしれない。現行の試験は、HCl形態が、シトレート形態よりも、より相互作用しやすいことが示している。
【0025】
2つの活性成分を含んでいる通常のカプレットにおける前試験は、溶解不足(インビトロ条件下に試験した場合、活性成分が適当に溶解しない)、外観上の問題(色むらおよびピーリング)および効能が低い可能性(処方プロセスにおいて活性成分が失われた)を含む、ジフェンヒドラミンおよびイブプロフェンの間の相互作用の証拠を示した。ジフェンヒドラミンヒドロクロライドおよびイブプロフェンの50:50の組成物のさらなる試験により、乾燥から湿性(水気)状態とした場合、白色粉末から半透明の灰色の粘着性の塊への変形を、再びそれが乾燥された後でも、化学変化が起こったことを示す透明度および色の変化を伴って生じる。さらに、調査により、イブプロフェンとジフェンヒドラミン粉末混合物を湿気に曝した場合、その変化がX線粉末回析パターンおよび差異的スキャニング熱量測定結果にて観察されることが示された。処方の変化のこの結果は、そのような医薬組成物に起こり得るネガティブな相互作用があることを立証するものである。
【0026】
進歩性ある組成物は、投与および活性成分の意図される経路に関して選択される医薬上許容されるキャリア、賦形剤、または希釈剤を用いて投与されてよい。経口投与に有用なキャリアを同定することは、当該分野の専門家の技術範囲内にある。これらの医薬キャリア、賦形剤、および希釈剤は、USP医薬賦形剤の一覧に掲載されている。Categories, p. 2404-2406に掲載されているUSPおよびNF賦形剤、USP24NF19、United States Pharmacopeial Convention Inc., Rockville, MD(ISBN 1-889788-03-1)。
【0027】
イブプロフェンとジフェンヒドラミンの間のこの望ましくない潜在的な化学的相互作用を妨げる、本発明の範囲内のいくつかの有益な製剤が作製されている。1つの製剤は、錠剤またはカプレットの別個の領域において互いからイブプロフェンとジフェンヒドラミンを分かつ二層錠剤またはカプレットである。この物理的分離により、ジフェンヒドラミンとイブプロフェンの間の相互作用の可能性および/または量が減る。
【0028】
他の製剤は、(「liquigel(登録商標)」または「液体ゲル」とも呼ばれる)PEG含有ソフトゼラチンカプセルである。驚くべきことに、該ソフトゼラチンカプセル製剤中では、望ましくない相互作用は起こらない。理論に拘束されることは望まないが、ソフトゼラチンカプセル中のPEGが、恐らくは活性成分の1または両方と優先的に相互作用することにより、相互作用の可能性および/または量を減じ得ると、現在のところ考えられている。制限するものではないが、PEG400およびPEG800などの他の製剤を用いることができるように、PEG600をソフトゼラチンカプセル中に用いることができる。
【0029】
二層錠剤またはカプレットは、第1に錠剤またはカプレットの半分を圧縮し、次いで錠剤またはカプレットの第2の半分をその上に圧縮することにより形成される、二層の錠剤またはカプレットであり得る。加えて、他の分離錠剤を、本発明に従い調製することができる。錠剤内に錠剤(圧縮コア錠剤)を調製することができる。イブプロフェンまたはジフェンヒドラミン層いずれかを第1の錠剤として代わりに圧縮することができ、他の層はその外部に外部錠剤層として圧縮することができる。さらに、活性成分の一つをコーティング溶液中に含ませ、それを、他の活性成分を含んでいるコア錠剤またはカプレットに噴霧することができる。イブプロフェンまたはジフェンヒドラミンをコーティングに用い、他をコアに用いることができる。最終的に1または両方の薬物の粒子を適当なバリア物質でコートし、そして次いで錠剤またはカプセルへと調製することができる。
【0030】
二層錠剤またはカプレットの1態様は、200mgのイブプロフェンおよび38mgのジフェンヒドラミンシトレートを活性成分として含む。不活性成分は、以下の、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、グリセリルべヘネート、ラクトース、ミクロクリスタリンセルロース、コロイド状二酸化シリコン、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムデンプングリコレート、コーンスターチ、予めゼラチン化したデンプン、デンプン、ステアリン酸、および着色およびインク成分のいずれかを含んでよい。他の活性錠剤形成成分は、当業者により認識されるであろう。この二層カプレットは、改善された溶解性、優れた外観を示し、および活性成分間のあらゆる望ましくない相互作用を最小に抑える。これにより、外観に影響を及ぼし得る(まだらの、くぼんだ表面を引き起こす)、分解を加速し得る、そして溶解に影響を及ぼし得る共融処方および融解の可能性が減る。
【0031】
ソフトゼラチンカプセル組成物の1態様は、200mgのイブプロフェンと25mgのジフェンヒドラミンHClを活性成分として含む。不活性成分は、ソフトゼラチンカプセルに好ましい外観を与える着色剤(例えば、D&C 赤 No. 33および/またはFD&C 青 No.1)、ゼラチン、ポリエチレングリコール600(低アルデヒド)、水酸化カリウム、精製水USP、ANDRISORB 85/70(登録商標)(D−ソルビトールおよびソルビタンの水溶液)を含んでよい。分留ココナツオイル、レシチン、およびVM&Pナフサを加工補助として用いてもよいが、これらの加工補助は、大量包装の前に、最終ソフトゼラチンカプセル製品の洗浄中に本質的に失われるので、最終製品においてはいずれかの有意な量までは、ソフトゼラチンカプセル中に残らない。
【0032】
当業者には、ソフトゼラチンカプセルを作成する方法が理解され、そして他の処方が当業者に公知である。J.P. Stanley, 「ソフトゼラチンカプセル」 産業医薬の理論および実際(THE THEORY AND PRACTICE OF INDUSTRIAL PHARMACY), 398-412 (Lachman ed. 3rd ed. 1986);「ソフトカプセル」、医薬技術百科(ENCYCLOPEDIA OF PHARMACEUTICAL TECHNOLOGY), 269-276 (Swarbrick ed. 1988); 「ソフトゼラチンカプセル」、医薬投与製剤&薬物送達システム(PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS & DRUG DELIVERY SYSTEMS), 176-179 (Ansel ed. 6th ed. 1995)。
【0033】
この組成物は、驚くべき催眠効果を有するために、通常就寝前に投与される。組成物は、患者が日中眠りたい場合、日中に投与することもできる。しばしば、組成物は、就寝前90分から就寝直前に投与されるべきである。本発明の多くの適用に関して、組成物は就寝45分前から就寝15分前に投与されるべきである。多くの場合、組成物は就寝30分前に投与されるべきであることが見出された。
【0034】
1つまたは2つの投与ユニットを摂取することができる。2つの投与ユニットを摂取する場合、それらは同時に摂取することができ、または1つの投与ユニットを、第2の投与製剤を所望の場合後で摂取して摂取することができる。投与は、疾患の重篤度、患者のサイズおよび年齢、および処置に対する個人の反応に依存する。典型的な具体例では、各投与ユニットは、200mgのイブプロフェンおよび25mgのジフェンヒドラミンHCl(または38mgのジフェンヒドラミンシトレートのその同等物)を含んでよい。
【0035】
理論に拘束されることを望まずに、組み合わせ処置の有利な影響は、イブプロフェンのその薬物動態特性による迅速な影響、およびイブプロフェンおよびジフェンヒドラミン両方の持続効果に依存する。イブプロフェンの血漿レベルは典型的には4〜6時間後に有意に低下するので、イブプロフェンが夜間の眠りの終わりに向けて影響を有し続けるということは、驚くべき発見であった。
【0036】
実施例における以外、または他が示される場合以外に、明細書および請求の範囲において用いられている成分の量、反応条件などを表現している全ての数は、全ての場合において、「約」により修飾されると理解されるべきである。従って、そうでないと示されない限り、以下の明細書および添付の請求の範囲に示す数値パラメータは、本発明により得られることが求められる所望の特性に依存して変化してよい近似である。少なくとも、および請求の範囲に対して均等論の適用を制限するためのものとしてでなく、各数値パラメータは、有意なディジットの数および通常の丸め法を考慮して解釈されるべきである。
【0037】
本発明の主要な範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似であるが、特定の実施例に記載した数値は、できるだけ正確に示してある。あらゆる数値はしかし、その個々の試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じるエラーを本来的に含む。以下の実施例は、結果としての範囲を制限することなく本発明を説明することが意図される。
【0038】
実施例
以下の実施例により、制限するものではなく、本発明の範囲を説明する。
実施例1:イブプロフェンおよびジフェンヒドラミンソフトゼラチンカプセルの調製
組み合わせソフトゼラチンカプセルを以下のように調製した。まず、充填溶液を調製した。水酸化カリウムNF(41.011kg)を水(34.603kg)に、Cowelsミキサー(Morehouse-Cowles, Fullerton, CAより入手可能なプロペラタイプのミキサーを有する大きな混合容器)を用いて溶解し、次いでフタをした。溶液を、フタをしながら窒素で覆った。ジフェンヒドラミンヒドロクロライド(40.050kg)を水(46.138kg)に、Cowelsミキサーを用いて溶解した。ポリエチレングリコール600(200.250kg)を次いでCowelsミキサーを用いて添加し、次いで混合物にフタをした。溶液を、フタをしながら窒素で覆った。
【0039】
Hicks反応器(空気の取り込みを最少にするために負の圧力下で作動する、Hicks Equipment, Louisville, KYより入手可能なプロペラ型のミキサー)を次いで用いた。Hick反応器に窒素を流し入れ、次いで反応器において真空を引いた。ポリエチレングリコール600(326.808kg)を添加し、次いでイブプロフェン(320.400kg)を添加し、次いで真空下に混合した。水酸化カリウム溶液をイブプロフェン分散液に添加し、そして真空下で均質形態となるまで混合した。温度を75と125Fの間に維持した。
【0040】
ジフェンヒドラミンヒドロクロライド溶液を、Hicks反応器中のイブプロフェン/水酸化カリウム/ポリエチレングリコール溶液に添加し、そして真空下に混合した。充填溶液を真空下に15分間またはそれ以上脱気した。Hicks反応器を10−15psiへと加圧し、次いで充填溶液を77−ミクロンのフィルターを通して適当に標識した容器中に流した。容器にフタをし、次いで窒素で覆った。
【0041】
2番目に、ゼラチンを調製した。RP Schererにより確立された基準に従い、水およびANDRISORB(登録商標)を、Hicks Equipment, Louisville, KYより入手可能な低エネルギーの混合溶解装置へと添加した。ゼラチンを溶解装置へと、混合物をゆっくりと混合しながらおよび溶解するまで真空下に加熱しながら真空移動させた。溶解したゼラチン混合物を加熱したステンレススチールのゲル受け器へと移した。着色剤を溶解したゼラチン溶液へと添加し、ついで、RP Scherer高速配合器、RP Sherer, St, Petersburg, FLを用いて均質までブレンドした。
【0042】
3番目に、製品をカプセル化した。RP Scherer, St. Peterburg, FLより入手可能なRP Schererソフトゲルマシンを用いてゼラチンリボンを作製した。製品名称を、製品のロゴを浮き出し表示したFLEXO(登録商標)プレートロールからインクを直接移すことにより、湿ったゼラチンリボンへにつけた。充填溶液を、サイズ12の直円形のダイを有するロータリーダイソフトゼラチンカプセルカプセル化装置を用いてゼラチンシェル内へカプセル化した。
【0043】
4番目に、ソフトゼラチンカプセルを加工して完成した。ソフトゼラチンカプセルをロータリータンブラードライアーに125分間90°Fおよび15−30%の相対湿度にて通した。ソフトゼラチンカプセルを浅い乾燥トレー上に広げ、次いで約10〜14日間空気乾燥した。ソフトゼラチンカプセルは次いで、深い保存トレーに保存してよい。ソフトゲルはRP Scherer洗浄装置を用いて、VM&Pナフサでの非常に短時間の洗浄に供した。ソフトゼラチンカプセルを次いで完成し、カウント、保存、または最終的なパッケージングのために整えた。
【0044】
最終的なソフトゼラチンカプセルは、投与当たり以下の組成を有する。
【表1】
【0045】
実施例2:イブプロフェンおよびジフェンヒドラミン二層カプレットの調製
二層カプレットを、以下のように調製した。1番目に、ジフェンヒドラミン圧縮混合物を、乾燥ブレンド直接圧縮処方として調製した。ジフェンヒドラミンシトレート(59.28kg)、ナトリウムデンプングリコレート(4.68kg)、FD&Cブルー#2カラー(0.086kg)、ミクロクリスタリンセルロースNF(EMCOCEL(登録商標)50M)(94.61kg)、コロイド状二酸化シリコン(AEROSIL(登録商標)、および予めゼラチン化されたデンプン1551(34.32kg)を、Kason Corp., Millburn, NJより入手可能な、#10メッシュのスクリーンを備えたKasonのふるいを通してDiosna P1000へ入れた。Diosna P1000は高エネルギーのミキサーおよび造粒機であり、Servo-Lift, Rockaway, NJより入手できる。これらの材料を、低速でローターをおよび高速でチョッパーを用いて1分間ブレンドし、その後、低速でローターを用いて(チョッパーなし)6分間ブレンドした。グリセリルベヘネート(COMPRITROL(登録商標))(4.69kg)を#30メッシュのスクリーンに通し、次いで#10スクリーンを備えたKasonを通してDiosnaボールへ入れた。Dosnaを低速で(ローターのみ)3分間混合した。Dosnaの内容物を次いで円錐形のビンに流し、Flo-Bin, Birmingham, Englandより入手可能なFLO-BIN(登録商標)へと移し、次いで1分間ブレンドした。
【0046】
2番目に、イブプロフェン圧縮混合物を、湿性造粒プロセスにより製造した。イブプロフェンUSP(206kg)、クロスカルメロースナトリウム(5.15kg)、予めゼラチン化したデンプンNF-1551(19.4kg)、およびコーンスターチNF(81.3kg)を#4メッシュのスクリーンを備えたKasonのふるいを通してDosna P1000ボールへ入れた。コロイド状二酸化シリコンNF(AEROSIL(登録商標))(1.03kg)をDiosnaボールへと加え、次いで高速でローターおよびチョッパーで2分間混合した。ローターおよびチョッパーを低速に設定し、次いで造粒液(水(115L))を添加した。水の添加後、バッチを低速で(ローターおよびチョッパー)2分間混合し、次いで、視覚観察によりまたはパワーセルを用いることにより適当な終点が達成されるまで(2−10分)、高速へと(ローターおよびチョッパー)切り替えた。パワーセルを用いた場合、終点は高速/高速造粒の開始時点で読む初期KW記録からのパワーセル記録の13%のKWの変化であった。
【0047】
湿った顆粒をDiosnaから取り出し、そして#4メッシュのスクリーンを通してNiro Pharmasystems, Columbia, MDより入手可能なAEROMATIC(登録商標)T-8流床ボールへ入れ、そして、適当な終点が達成されるまで(1.5-2.5%水分含有量)乾燥した。乾燥した顆粒を、次いで、#16メッシュのスクリーンを備えたFrewittユニットを通して製粉し、次いで、1200リットルのFLO-BIN(登録商標)に集めた。コロイド状二酸化シリコンNF(AEROSIL 200(登録商標))(0.618 kg)、ラウリル硫酸ナトリウムLX 100 NX(0.495 kg)、および純粋デンプン826NF(7.11kg)を合わせ、#30メッシュのスクリーンに通し、次いでFLO-BIN(登録商標)へ移した。クロスカルメロースナトリウム(5.10kg)をFLO-BIN(登録商標)に入れ、これを20分間17RPMにてブレンドした。ステアリン酸NF粉末1.82kgを#30メッシュのスクリーンに通してFLO-BIN(登録商標)へと添加し、次いで4分間17RPMでブレンドした。
【0048】
イブプロフェン圧縮混合物およびジフェンヒドラミン圧縮混合物を次いで一緒に、各層が個々の活性成分を含んでいる二層カプレットとして圧縮した。イブプロフェン層(投与量当たり318.6mgのトータル重量)を第1層として圧縮し、一方、ジフェンヒドラミン層(投与量当たり220mgのトータル重量)を第2層として圧縮した。カプレットは、以下のパラメータを用いて、Manesty Mark IIA二層プレス上にて圧縮した。
【0049】
・型押し(カプレットパンチの形状)0.590"×0.283"×0.045";
・圧縮速度:1200-1600 TPM;
・イブプロフェン層の厚さ0.173"〜0.185";および、
・(全二層カプレットの)二層の厚さ0.226"〜0.234"。
【0050】
コートしていないコアを次いで67" Vector Hi-Coraterに移し、5%のOpadry IIブルーコーティングを以下の条件で適用する。
コーティングプロセス後、錠剤にステアリン酸カルシウムを散布し、Hi-Coaterから取り出した。
【0051】
最終的な二層錠剤は、投与量当たり以下の組成を有した。
【表2】
【0052】
実施例3:イブプロフェン、ジフェンヒドラミン、およびイブプロフェン/ジフェンヒドラミンの組み合わせの比較(試験A)
105人の患者を、口腔手術後の睡眠障害に関して評価した。ベースラインでは、対象の60%が中程度のレベルの痛みを有し、40%が激烈な痛みを有した。シングルセンターの、入院患者での、単回投与の、無作為化した(性およびベースラインの痛みの激烈度により等級別に分類した)、二重盲検の、ダブルダミーの、パラレルグループプラシーボコントロール試験を用いた。
【0053】
ダブルダミーのシナリオにて、患者に複数の投与製剤を与えるが、患者が指定される群には一つの試験薬物処置を、および他の試験群に関しては投与製剤を似拠らせたプラシーボを与えた。つまり、種々の処置群に対する投与製剤は異なって見えたとしても、患者は彼らが指定される群を突き止めることはできなかった。14人の患者をプラシーボ群へと割り当て、29人をイブプロフェン/ジフェンヒドラミンの組み合わせ群へと、および31人をそれぞれイブプロフェンおよびジフェンヒドラミン群へと割り当てた。イブプロフェンの投与量は400mgであり、およびジフェンヒドラミンHClの投与量は50mgであった。組み合わせはソフトゼラチンカプセル製剤におけるものであった。
【0054】
患者を、以下のパラメータを用いて評価した。
・睡眠潜伏期間(看護婦により評価される、寝入るまでにかかる時間)
・SPRID3(痛みの軽減および痛みの強度のベースラインからの差の0−3時間の間の時間加重合計)
・60分で寝入っている累積パーセント(看護婦が格付けした)
・寝入り易さ(必要な場合、救済薬物処置の時点で、または救済薬物処置のない場合には朝に、5ポイントの絶対スケール:0=寝入らなかった〜4=非常に寝入り易かった;を用いて患者により評価される)
・睡眠持続(必要な場合、救済薬物処置の時点で、または救済薬物処置のない場合には朝に、6ポイントの絶対スケール:0<5時間、1=5−6時間、2=6〜<7時間、3=7〜<8時間、4=8〜<9時間、5>9時間;を用いて患者により評価される)
・睡眠のグローバル評価(必要な場合、救済薬物処置の時点で、または救済薬物処置のない場合には朝に、5ポイントの絶対スケール:0=不十分〜5=優;を用いて患者により評価される)
・救済薬物処置のメジアン値(看護婦が時間にて記録した)、および、
・救済薬物処置を必要としている患者のパーセント
【0055】
当業者であれば、患者により評価される睡眠持続が、患者が得る睡眠量の非常に優れた指標であることを認識する。患者が処置を受けた1時間以内に救済薬物処置を所望する場合、それらの患者はプロトコル妨害者と見なし、試験から除外した。
SPRID3の計算は以下のようであった。90分、2時間、および3時間で、患者を起こし、2つの問題を尋ねた:痛みがどれだけ軽減したか(軽減なし=0、すこし=1、幾分=2、大いに=3、完全に=4)、および、痛みの激烈さはどの程度か(なし=0、軽い=1、中程度=2、激烈=3)。痛みの強度の差(PID)を、処置前に測定したベースラインスコアに対して問題の時点での痛みのスコアの激烈度を差し引くことにより決定した。痛みの軽減の評価(PPR)を次いで、PRIDスコアのために、PIDに対して追加した。PRIDスコアを時間に対して各患者に関してグラフ上にプロットし、そして、SPRID3スコアは各患者のPRIDプロットに関する曲線下の領域として記録した。SPRID3は、痛みの軽減と痛みの激烈度の組み合わせ測定値である。
睡眠潜伏期間とSPRID3は、本試験の主要パラメータであった。結果を、表3に示し、そのデータを図示したものを図1−4に示す。
【0056】
【表3】
【0057】
イブプロフェン/ジフェンヒドラミンの組み合わせ群は、60分で寝入っている累積パーセント、寝入り易さ、睡眠持続、およびグローバル評価に関して全他の群を超える改善を示した。睡眠持続に関する結果は、該組み合わせが共同的な効果を示し、ジフェンヒドラミンおよびイブプロフェンの合わせたスコアより高いスコアを生じているので、驚きであった。しかし、イブプロフェン/ジフェンヒドラミン群およびイブプロフェン群のみとの間の差は、おそらくはサンプルサイズのために有意ではなかった。
【0058】
後の試験では3時間であるのに対し、このモデルでは、1時間のみの位相変化した不眠が誘導された。言いかえれば、患者はその就寝時刻より1時間早く就寝したくなった。すなわち、この試験は後の試験ほど不眠でなかった。これにより、部分的に、睡眠潜伏期間およびSPRID3パラメータにおける不揃いの非有意な変動を説明し得る。加えて、ジフェンヒドラミンの薬物動態学的特性のために、処置後すぐの組み合わせの影響を評価するパラメータにおいては有意な効果を有することは期待できなかった。概して、ジフェンヒドラミンは処置後2時間まで、有効な血漿濃度に達しない。つまり、処置後すぐの睡眠および痛みを評価するSPRID3および睡眠潜伏期間においては影響を有することは期待できなかった。
【0059】
実施例4:イブプロフェン/ジフェンヒドラミンの組み合わせの、イブプロフェン単独およびプラシーボに対する比較(試験B)
本試験を、実施例1と同様の方法で行った。実施例1が示したように、特に患者が手術後の痛みを経験しているなど、ジフェンヒドラミン群は試験の意図に関して適当な処置を提供しなかったので、ジフェンヒドラミン群は割愛した。加えて、睡眠におけるジフェンヒドラミンの効果は公知であり、さらなる試験を要しない。
【0060】
組み合わせ群は、400mgのイブプロフェンおよび50mgのジフェンヒドラミンのトータル投与量を、2つの組み合わせソフトゼラチンカプセルにて受けた。イブプロフェン群は400mgのトータル投与量を2つのソフトゼラチンカプセルにて受けた。プラシーボ群もまた、ソフトゼラチンカプセルを受けた。
【0061】
この試験は、無作為化した、層化した(ベースラインの痛みおよび性により)、入院患者での、プラシーボコントロールの、部分要因の、単回投与の、二重盲検の、パラレル群の、シングルセンター試験として行った。口腔手術後、患者を一晩診療所に留置した。試験薬物処置は、患者が中程度レベルまたはそれ以上の痛みを経験した時、およびそれがおよそ6:30と8:00p.m.の間(患者の通常の就寝時よりも3時間前)であった時に施した。患者は、試験薬物処置を受けた後、就寝したくなった。
【0062】
実施例1と同じ睡眠パラメータを用いた。加えて、痛みを軽減するものとしてのグローバル評価を測定した。このパラメータは、必要な場合、救済薬物処置時点で、または救済薬物処置をしない場合、朝になされた、患者により評価されるパラメータであった。痛みの軽減は、5ポイントのスケール(0=不十分、1=並、2=良、3=非常に良、4=優)にて評価した。睡眠を、規則的な間隔で投与後3時間に渡り観察者によりモニターした。患者は、投与後90および120分にて痛みの評価を提供した。患者は、睡眠効率の主観的評価、翌朝、または救済薬物処置を用いた時点で睡眠および痛みのグローバル評価をも提供した。
【0063】
以下の統計学的方法を用いた。全分析は、SAS(登録商標)バージョン6.12を用いてなされた。モデルにおける処置の効果、ベースラインの痛みの激烈度評価(PSR)、および性を組み込んでいる分散分析(ANOVA)により、対象の睡眠および痛みの評価を分析した。加えて、処置−対−ベースラインPSRおよび処置−対−性の相互作用を別のモデルにおいて、最初のANOVAモデルに対して相互作用項を一度に1つ追加することにより(0.15レベルで)評価した。睡眠潜伏期間および救済薬物処置までの時間の分布を、Kaplan-Meier評価を用いて評価し、変数をCox比例ハザード回帰モデルを用いて、処置、ベースラインPSR、および性の効果と共に分析した。加えて、処置−対−ベースラインPSRおよび処置−対−性の相互作用を別のモデルにおいて、各相互作用項を一度に1つ初期モデルに加えることにより(0.15レベルで)評価した。
【0064】
各相互作用が一般的に有意である(p0.15)である場合、それを最終モデルに維持した。相互作用の存在下における処置の効果の評価において、各レベルの層化変数を等しく加重することができた(ANOVAモデルと一致)。睡眠までのメジアン時間および救済薬物処置までのメジアン時間に関して95%の信頼間隔を得た。加えて、各観察時点における対象の寝入りのその時点での比および累積比、および各観察時点までに救済薬物処置を受けた対象の累積比を、ベースラインPSRおよび性に関して調整するCochran-Mantel-Haenszel試験により分析した。
【0065】
0.05レベルでのI型のエラーを防ぐために、比較を一連の順序で試験した。各ステップは、有意性に関して適格であるその後のステップに関して有意であることを要した。用いた一連の順序は以下のようであった。
・イブプロフェン400mg/ジフェンヒドラミンヒドロクロライド50mg対プラシーボ:明らかに有意であることに関して適格であるためには、主要な睡眠および痛みパラメータのそれぞれが、0.05レベルで有意であることを要した。;
・イブプロフェン400mg/ジフェンヒドラミンヒドロクロライド50mg対イブプロフェン400mg:明らかに有意であることに関して適格であるためには、主要な睡眠パラメータが、0.05レベルで有意であることを要した。;
・イブプロフェン400mg対プラシーボ:明らかに有意であることに関して適格であるためには、主要な痛みパラメータが、0.05レベルで有意であることを要した。;
【0066】
第2の終点を同じ一連の順序で、0.05レベルの有意性で評価した。
効能の主要分析は、試験薬物処置を受けた全無作為化対象を含む処置意図(intent-to-treat)集団において行い、そして少なくとも1つのポスト−ベースライン(睡眠および痛み)効能評価を有した。
204人の患者(72.9%)がそのベースラインの痛みの激烈度を「中程度」と評価し、そして76人(27.1%)が「激烈」と評価した。処置群は、ベースラインの痛みの激烈度と比較できた。
試験の結果を表4に示し、データを図示したものを図5-12に示す。
【0067】
【表4】
【0068】
ほとんどの睡眠評価パラメータに関して、組み合わせはイブプロフェンよりも優れていた。この差は睡眠持続に関して統計学的に有意であり、および救済薬物処置を必要とする割合に関してわずかに有意であった。組み合わせにより、患者は有意に長く眠ることが可能となり、治療において重要な改善が提供される。イブプロフェンの血漿レベルは4〜6時間後に落ちるので、イブプロフェンが夜の終わりに睡眠、即ち睡眠持続に影響を及ぼすことは驚きであった。また、寝入りの累積パーセントは夜の初めにおける薬物の効果を評価するものであり、そして、ジフェンヒドラミンの緩慢な薬物動力学的特性のために、組み合わせ群はイブプロフェン群ほど優れてはいなかった。これらのデータを図示したものを、図4−12に示す。
【0069】
実施例5:イブプロフェン/ジフェンヒドラミン組み合わせの、イブプロフェン単独に対する比較(試験C)
本試験は、400mgのイブプロフェンおよび50mgのジフェンヒドラミンヒドロクロライドのトータル投与量を含んでいるイブプロフェン/ジフェンヒドラミンソフトゼラチンカプセルの鎮痛および鎮静効能を評価するために設計した。イブプロフェンのみの群は、400mgのトータル投与量をソフトゼラチンカプセル形態にて受けた。
【0070】
これは、無作為化した、層化(ベースラインの痛みおよび性による)、入院患者での、プラシーボコントロールの、部分要因の、単回投与の、二重盲検の、パラレル群の、シングルセンター試験であった。口腔手術後、対象を診療所に入れ、一晩観察した。対象が少なくとも中程度の痛みを経験し、そしてそれが約6:30PM〜8:00PMの間であった(彼らの通常の就寝時よりも少なくとも3時間早い)時、彼らは試験薬物処置を受け、そして夕方に就寝したくなった。睡眠を、投与後3時間に渡り、規則的な間隔で観察者により評価した。対象は、投与後90分および120分で痛みの評価を提供した。対象はさらに、睡眠効率の評価ならびに睡眠補助および鎮痛剤としての試験薬物処置のグローバル評価を翌朝(または救済薬物処置を用いた時点で)提供した。
【0071】
患者の、睡眠持続、投与後60分で寝入っている対象の累積パーセントを(観察された睡眠潜伏期間に基き)評価し、さらに、SPRID2(0−2時間の間の、ベースラインからの痛みの軽減および痛みの強度の時間加重合計)を用いて痛みに関して評価した。睡眠潜伏期間(観察者に基づく)、寝入り易さ、および睡眠のグローバル評価も用いた。投与後90および120分後の、痛みの軽減スコアと組み合わせた痛みの強度差(PRID)、痛みを軽減するものとしての試験薬物処置のグローバル評価、ならびに救済薬物処置までの時間を評価した。
【0072】
全分析は、SAS(登録商標)バージョン6.12を用いてなされた。60分までに寝入っている対象の累積パーセントを、PSRおよび性に関して調整しているCochran-Mantel-Haenszel試験により分析した。モデルにおける処置の効果、ベースラインの痛みの激烈度評価(PSR)、および性を組み込んでいる分散分析(ANOVA)により、対象の睡眠および痛みの評価を分析した。睡眠潜伏期間および救済薬物処置までの時間の分布を、Kaplan-Meier評価を用いて評価し、変数をCox比例ハザード(PH)回帰モデルを用いて、処置、ベースラインPSR、および性の効果と共に分析した。ANOVAおよびPHモデルの両方に関して、処置−対−ベースラインPSRおよび処置−対−性の相互作用を別のモデルにおいて、各相互作用項を一度に1つ初期モデルに加えることにより(0.15レベルで)評価した。各相互作用が概して有意である場合(p0.15)、それを最終モデルに維持した。相互作用の存在下での処置の効果の評価において、層化変数の各レベルは等しく加重することができた。
【0073】
0.05レベルでのI型のエラーを防ぐために、第1および第2の効能終点に関して一連の順序で比較を試験した。各ステップは、有意性に関して適格であるその後のステップに関して有意であることを要した。一連の順序は以下のようであった。
・イブプロフェン400mg/ジフェンヒドラミンヒドロクロライド50mg対プラシーボ:明らかに有意であることに関して適格であるためには、主要な睡眠パラメーターおよび主要な痛みパラメータの両方が、0.05レベルで有意でなければならない;
・イブプロフェン400mg/ジフェンヒドラミンヒドロクロライド50mg対イブプロフェン400mg:睡眠持続をまず試験した後、60分で寝入っている対象の累積パーセントをそれぞれ0.05レベルで試験した。60分で寝入っている対象の累積パーセントは、それは0.05レベルの有意性でアルファエラーを防ぐので、睡眠持続が有意な場合にのみ、明らかに有意であることに関して適格であった。
・イブプロフェン400mg対プラシーボ:明らかに有意であることに関して適格であるためには、主要な痛みパラメータが、0.05レベルで有意でなければならなかった。
【0074】
第2の終点を同じ一連の順序で、0.05レベルの有意性で評価した。効能の主要分析は、試験薬物処置を受けた全無作為化対象を含む処置意図(ITT)集団において行い、そして少なくとも1つのポスト−ベースライン(睡眠および痛み)効能評価を有した。
試験の開始時点で、164人の患者(58%)が「中程度」のベースラインの痛みの激烈度を有し、そして118人(42%)がそのベースラインの痛みを「激烈」と評価した。平均のベースラインの視覚によるアナログスケールスコアは76.5mmであった。処置群を、ベースラインの痛みの激烈度の両測定に関して比較した。
試験の結果を表5に示し、データを図示したものを図13-22に示す。
【表5】
【0075】
イブプロフェンとジフェンヒドラミンの組み合わせは、睡眠持続に関してイブプロフェン単独よりも統計学的に優れており、そして睡眠補助としての試験薬物処置のグローバル評価および救済薬物処置を必要としているパーセントに関して優れていた。組みあわせにより、ここでもまた、イブプロフェン単独よりも患者は有意に長く眠ることが可能となる。単一ソフトゼラチンカプセルは、より迅速な放出/吸収薬物動態を有するので、組み合わせは痛みの処置に関しては不十分であったかもしれない。組み合わせの吸収特性は、単一のイブプロフェンソフトゼラチンカプセルとは異なる。
【0076】
実施例6:組み合わせにおける異なる投与量に関する比較(試験D)
この試験は、200mgのイブプロフェンと25mgのジフェンヒドラミン(1ソフトゼラチンカプセル投与量または単回投与量)対400mgのイブプロフェンおよび50mgのジフェンヒドラミン(2ソフトゼラチンカプセル投与量または二回投与量)の鎮静および鎮痛効能を評価するために設計した。
【0077】
この試験は、シングルセンターの、入院患者での、単回投与の、無作為化した(性およびベースラインの痛みの激烈度により等級別に分類した)、二重盲検の、パラレルグループの、プラシーボコントロール投与反応試験であった。対象に口腔の手術を施し、患者を一晩診療所に入れた。彼らは通常よりも少なくとも3時間早く就寝したくなった。各活性薬物対プラシーボは、3:3:1の比率で評価した。284人の患者を以下の群に割り当てた。41人の患者をプラシーボ群へと割り当て、120人を単回投与へ割り当て、そして123人を2回投与へと割り当てた。処置群は、外傷評価を除き、手術の方法の特徴に関しては似ていた。他の群と比較して外傷が「激烈」であった2回投与を受けた対象のパーセントが高かった(35.8%対〜22%)。対象の約59%が中程度のベースラインの痛みを有し、一方、41%が激烈であった。
本試験の結果を表6に示し、それを図示したものを図23-27に示す。
【0078】
【表6】
【0079】
統計学的に有意に差はなかったが、2回投与は、単回投与よりも睡眠を補助するのに、および痛みを処置するのに優れていた。2回投与は、睡眠持続に関して単回投与よりも有意に優れていた(図23)。60分までに、プラシーボ、単回投与、および2回投与群の対象の48%、86.7%、および88.6%が寝入った(図24)。同じ群のSPRID2スコアはそれぞれ1.7、8.2、および9.2であった(図25)。90分で、PRIDスコアは、2回投与群に関して有意に優れていた(図26)。TOTPARは、痛みの軽減の評価のことであり、PRRスコアを時間に対してプロットし、そして曲線下領域を測定した。
この試験により、高投与量により、低投与量よりもより有意な痛みの軽減が提供され(図27)、そして患者がより長い期間眠ることが可能となることを示す。
【0080】
実施例7:試験結果の比較
2つの試験からのデータを一緒にプールした。最も有意な試験データのいくつかを表7に示し、それを図示したものを図28-29に示す。
【0081】
【表7】
【0082】
これらのデータは共に、組み合わせを受けた対象がイブプロフェン単独を受けた対象よりも約30分〜1時間長く眠ったことを示す(図28)。イブプロフェン単独を受けた対象と比較して、5時間未満しか眠らなかった対象は、組み合わせを受けた対象においてより少なかった(それぞれ24%対32%)。イブプロフェン単独を受けた患者と比較して、救済薬物処置を要した患者は組み合わせ群においてより少なかった(図29)。2つの試験からのデータをプールした場合、この差は統計学的に有意であった(35%組み合わせ対45%イブプロフェン単独)。
【0083】
実施例8:痛みに伴う睡眠障害の処置
痛みに伴う睡眠障害に悩まされている患者に、400mgのイブプロフェンおよび50mgのジフェンヒドラミンを、化合物間の相互作用を妨げるために設計された単一ソフトゼラチンカプセル製剤にて与えた。患者は就寝前に組成物を摂取し、その痛みに伴う睡眠障害の徴候が改善された。例えば、患者は予想されるよりも長く持続して眠り、そしてさらに、予想されるよりも早く寝入った。これは、本発明の組成物が痛みに伴う睡眠障害を処置するのに有用であることを示す。
【0084】
実施例9:痛みに伴う睡眠障害の処置
痛みに伴う睡眠障害に悩まされている患者に、イブプロフェンおよびジフェンヒドラミンを、以下の表に従い、化合物間の相互作用を妨げるべく設計された単回製剤にて与えた。
【0085】
【表8】
【表9】
【0086】
患者は就寝前に組成物を摂取し、そしてその痛みに伴う睡眠障害の症状は改善された。例えば、患者は予想されるよりも長く持続して眠り、そしてさらに、予想されるよりも早く寝入った。これは、本発明の組成物が、痛みに伴う睡眠障害を処置するのに有用であることを示す。
【0087】
実施例10:痛みに伴う睡眠障害の処置
痛みに伴う睡眠障害に悩まされている患者に、イブプロフェンおよびジフェンヒドラミンを、以下の表に従い化合物間の相互作用を妨げるべく設計した単回製剤にて与えた。適当なジフェンヒドラミンシトレートの量は、ジフェンヒドラミンHClに関して容易に置きかえられ、そして、PEGソフトゼラチンカプセルまたは二層錠剤のいずれも有効である。
【0088】
【表10】
【0089】
患者は就寝前に組成物を摂取し、その痛みに伴う睡眠障害の症状は改善された。例えば、患者は予想されるよりも長く持続して眠り、そしてさらに、予想されるよりも早く寝入った。これは、本発明の組成物が、痛みに伴う睡眠障害を処置するのに有用であることを示す。
本明細書中に引用する全引用文献または特許を、出典明示により組み込む。前記の詳細な記載は説明の目的のためにのみ示したものである。幅広い変化および変更を前記の好ましい具体例に対してなすことができる。それゆえ、全均等物を含む添付の請求の範囲が本発明の範囲を規定するものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
痛みに伴う睡眠障害を処置するのに有効な量のイブプロフェンとジフェンヒドラミンを含む組成物であって、ジフェンヒドラミンとイブプロフェンの間のネガティブな相互作用を妨げるべく処方されている組成物。
【請求項2】
睡眠障害が睡眠持続に影響するものである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
組成物が二層錠剤である、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
組成物が二層カプレットである、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
組成物がソフトゼラチンカプセルである、請求項2記載の組成物。
【請求項6】
ソフトゼラチンカプセルがポリエチレングリコールを含んでいる、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
イブプロフェンが50mg〜800mgの量で存在している、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
イブプロフェンが200mgの量で存在している、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
ジフェンヒドラミンがジフェンヒドラミンHClまたはジフェンヒドラミンシトレートとして存在している、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
ジフェンヒドラミンHClが12.5mg〜50mgの量で存在している、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
ジフェンヒドラミンHClが25mgの量で存在している、請求項9記載の組成物。
【請求項12】
ジフェンヒドラミンシトレートが19mgから38mgの量で存在している、請求項9記載の組成物。
【請求項13】
ジフェンヒドラミンシトレートが38mgの量で存在している、請求項9記載の組成物。
【請求項14】
睡眠障害を患っている患者を処置する方法であって、請求項1記載の組成物を投与し、当該組成物で睡眠障害を処置させることを含む方法。
【請求項15】
組成物の1回投与量を投与する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
組成物の2回投与量を同時に投与する、請求項14記載の方法。
【請求項17】
第1投与を投与し、次いで任意に第2投与を投与してよい、請求項14記載の方法。
【請求項18】
痛みに伴う睡眠障害の処置のための化合物または組成物を評価する方法であって、
a)化合物または組成物を口腔手術後に患者に投与する;
b)患者をその通常の就寝時刻よりも早く就寝させる;および、
c)次いで、化合物または組成物の効能を評価する
ところの方法。
【請求項19】
患者における化合物または組成物の効能を、睡眠潜伏期間、SPRID3、60分で寝入っている累積パーセント、寝入り易さ、睡眠持続、睡眠のグローバル評価、救済薬物処置までのメジアン時間、救済薬物処置を必要としている患者のパーセント、痛みを軽減するものとしてのグローバル評価、睡眠補助としてのグローバル評価、PRID90分およびPRID60分の少なくとも一つを評価することにより評価する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
化合物または組成物の効能を、睡眠潜伏期間、睡眠持続、およびSPRID3を評価することにより評価するところの、請求項19記載の方法。
【請求項21】
患者が当該患者の通常の就寝時刻よりも1〜6時間早く就寝するところの、請求項19記載の方法。
【請求項22】
患者が当該患者の通常の就寝時刻よりも少なくとも1時間早く就寝するところの、請求項19記載の方法。
【請求項23】
患者が当該患者の通常の就寝時刻よりも少なくとも3時間早く就寝するところの、請求項19記載の方法。
【請求項24】
患者が当該患者の通常の就寝時刻よりも6時間まで早く就寝するところの、請求項19記載の方法。
【請求項25】
化合物または組成物を投与する前に、患者が少なくとも中程度のレベルまたは激烈なレベルの痛みを経験するところの、請求項19記載の方法。
【請求項1】
痛みに伴う睡眠障害を処置するのに有効な量のイブプロフェンとジフェンヒドラミンを含む組成物であって、ジフェンヒドラミンとイブプロフェンの間のネガティブな相互作用を妨げるべく処方されている組成物。
【請求項2】
睡眠障害が睡眠持続に影響するものである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
組成物が二層錠剤である、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
組成物が二層カプレットである、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
組成物がソフトゼラチンカプセルである、請求項2記載の組成物。
【請求項6】
ソフトゼラチンカプセルがポリエチレングリコールを含んでいる、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
イブプロフェンが50mg〜800mgの量で存在している、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
イブプロフェンが200mgの量で存在している、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
ジフェンヒドラミンがジフェンヒドラミンHClまたはジフェンヒドラミンシトレートとして存在している、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
ジフェンヒドラミンHClが12.5mg〜50mgの量で存在している、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
ジフェンヒドラミンHClが25mgの量で存在している、請求項9記載の組成物。
【請求項12】
ジフェンヒドラミンシトレートが19mgから38mgの量で存在している、請求項9記載の組成物。
【請求項13】
ジフェンヒドラミンシトレートが38mgの量で存在している、請求項9記載の組成物。
【請求項14】
睡眠障害を患っている患者を処置する方法であって、請求項1記載の組成物を投与し、当該組成物で睡眠障害を処置させることを含む方法。
【請求項15】
組成物の1回投与量を投与する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
組成物の2回投与量を同時に投与する、請求項14記載の方法。
【請求項17】
第1投与を投与し、次いで任意に第2投与を投与してよい、請求項14記載の方法。
【請求項18】
痛みに伴う睡眠障害の処置のための化合物または組成物を評価する方法であって、
a)化合物または組成物を口腔手術後に患者に投与する;
b)患者をその通常の就寝時刻よりも早く就寝させる;および、
c)次いで、化合物または組成物の効能を評価する
ところの方法。
【請求項19】
患者における化合物または組成物の効能を、睡眠潜伏期間、SPRID3、60分で寝入っている累積パーセント、寝入り易さ、睡眠持続、睡眠のグローバル評価、救済薬物処置までのメジアン時間、救済薬物処置を必要としている患者のパーセント、痛みを軽減するものとしてのグローバル評価、睡眠補助としてのグローバル評価、PRID90分およびPRID60分の少なくとも一つを評価することにより評価する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
化合物または組成物の効能を、睡眠潜伏期間、睡眠持続、およびSPRID3を評価することにより評価するところの、請求項19記載の方法。
【請求項21】
患者が当該患者の通常の就寝時刻よりも1〜6時間早く就寝するところの、請求項19記載の方法。
【請求項22】
患者が当該患者の通常の就寝時刻よりも少なくとも1時間早く就寝するところの、請求項19記載の方法。
【請求項23】
患者が当該患者の通常の就寝時刻よりも少なくとも3時間早く就寝するところの、請求項19記載の方法。
【請求項24】
患者が当該患者の通常の就寝時刻よりも6時間まで早く就寝するところの、請求項19記載の方法。
【請求項25】
化合物または組成物を投与する前に、患者が少なくとも中程度のレベルまたは激烈なレベルの痛みを経験するところの、請求項19記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
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【図20】
【図21】
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【図26】
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【図29】
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【図28】
【図29】
【公開番号】特開2009−203243(P2009−203243A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144498(P2009−144498)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【分割の表示】特願2002−557385(P2002−557385)の分割
【原出願日】平成14年1月18日(2002.1.18)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【分割の表示】特願2002−557385(P2002−557385)の分割
【原出願日】平成14年1月18日(2002.1.18)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】
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