説明

瞬時電圧低下保護装置

【課題】半導体スイッチ13での電力損失を低減することで、無駄な電力消費を抑えるとともに放熱フィン等を小型化して装置コストを抑える。
【解決手段】交流電源2から交流電力が供給される電力供給線路12に設けた半導体スイッチ13と出力端11との間に、一次巻線151と二次巻線152との巻線数比は定格入力電圧と定格出力電圧との比に等しく、一次巻線151の中間タップ153の巻線数が二次巻線152の巻線数と同一であるような出力変換トランス15を介挿する。これにより、入力電圧Vinを出力電圧Voutよりも高く(例えばVin=200V,Vout=100V)することができる。入力電圧Vinを高くすると、入力電圧Vinと出力電圧Voutとが同一である場合に比べて負荷電流が減少するので、半導体スイッチ13における電力損失が減る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源から負荷に供給される交流電力の電圧が一時的に低下した場合、或いは一時的に停電が発生した場合に、代わりに負荷に交流電力を供給する瞬時電圧低下保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、商用交流電源から負荷に供給される交流電力の電圧が短時間低下した場合或いは短時間遮断された場合に、これに代えて交流電力を負荷に供給するための瞬時電圧低下保護装置が広く利用されている。図3は従来の瞬時電圧低下保護装置の概略ブロック構成図である(例えば特許文献1、2など参照)。
【0003】
瞬時電圧低下保護装置100の入力端10には交流電力の供給元である、例えば電圧が100V又は200Vの交流電源2が接続され、出力端11には交流電力の供給先である負荷3が接続される。入力端10と出力端11との間の電力供給線路12にはIGBT等の半導体スイッチ13が設けられ、この半導体スイッチ13がオフされると入力端10と出力端11とは切り離される。半導体スイッチ13と出力端11との間の電力供給線路12に電圧補償部14が接続される。
【0004】
電圧補償部14は、瞬時電圧低下時や瞬時断電時に供給すべき電気エネルギーを保持する電解コンデンサ144と、交流電力を直流に変換して電解コンデンサ144を充電する、又は、逆に電解コンデンサ144に保持されている電気エネルギーを直流/交流変換するインバータ部145と、交流電力に重畳している高周波成分を除去するフィルタ146と、電解コンデンサ144を充電するためのトランス141、整流部142、スイッチ143などからなる補充電部を、備える。
【0005】
この瞬時電圧低下保護装置100の基本的な動作は次の通りである。交流電源2から正常に交流電力が供給されているとき半導体スイッチ13はオン状態にあり、交流電源2からの交流電力が電力供給線路12を経て負荷3に供給される。このとき、電解コンデンサ144はその定格電圧にほぼ充電された状態に保たれる。即ち、電解コンデンサ144の充電電圧が自然放電により定格電圧よりも或る程度減少すると、スイッチ143がオンされることで補充電部が動作して電解コンデンサ144が充電される。また、後述するように瞬時停電により電解コンデンサ144の電圧が大きく下がったあとに交流電圧が復帰した場合には、電力供給線路12を通して供給される交流電圧を交流/直流変換するようにインバータ部145が駆動され、それにより電解コンデンサ144は急速に充電される。
【0006】
瞬時停電等により交流電源2から供給される交流電圧が一時的に低下すると、半導体スイッチ13がオフされるとともに、電解コンデンサ144に蓄積されている電気エネルギーを直流/交流変換するようにインバータ部145の動作が切り替えられる。これにより、交流電源2は負荷3から切り離され、インバータ部145から供給される交流電力が出力端11を通して負荷3に供給される。そして、交流電源2から供給される交流電圧が復帰すると、半導体スイッチ13がオンされ、インバータ部145の動作は上述したように電解コンデンサ144を充電するように切り替えられる。
【0007】
上記従来の瞬時電圧低下保護装置100では、入力端10に入力される電圧(つまり定格入力交流電圧)と出力端11から出力する電圧(定格出力交流電圧)とは同一である必要があり、例えば定格出力交流電圧100Vの仕様の装置の場合には定格入力交流電圧も100Vである。こうした瞬時電圧低下保護装置が多用される工場等において、負荷となる装置の定格入力交流電圧は100V、200V、400Vなど様々である。そこで、そうした各種の負荷に対応するため、入出力交流電圧が100V、200V、400Vなどの異なる仕様の瞬時電圧低下保護装置が利用される。
【0008】
上記瞬時電圧低下保護装置では、電力供給線路12に設けられている半導体スイッチ13はオン抵抗を有しているため、半導体スイッチ13がオンした状態で負荷電流が流れると半導体スイッチ13で電圧降下が生じ、電力損失が発生する。出力電力容量が同一である場合、電力供給線路12上における電圧が低いほど該線路12に流れる負荷電流は多くなるため、半導体スイッチ13での電力損失が大きくなってしまう。前述のように上記瞬時電圧低下保護装置100では入出力交流電圧が同一であるから、入出力交流電圧が100Vである場合には入出力交流電圧が200Vである場合に比べて、半導体スイッチ13での電力損失は約2倍となる。電力損失が多いと電力消費量の増大に繋がるのみならず、半導体スイッチ13での放熱性を高めるために大型の放熱フィンを用意する等、装置コストが高いものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−54468号公報
【特許文献2】特開2009−112128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、電力供給線路上に設けた半導体スイッチでの電力損失を抑制し、装置コストを抑えるとともに電力消費量も抑えることができる瞬時電圧低下保護装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために成された本発明は、交流電源からの交流電力が供給される入力端と負荷に電力を供給する出力端との間の電力供給線路に設けられ該線路を開閉するスイッチと、電気エネルギーを蓄えるための蓄電手段、及び、交流電源から供給される交流電力を交流/直流変換して前記蓄電手段を充電する一方、瞬時電圧低下発生時に前記蓄電手段に蓄積されている電気エネルギーを直流/交流変換する電力変換手段を含む電圧補償手段と、前記交流電源からの交流電圧が低下したときに前記スイッチを開成するとともに、前記蓄電手段に蓄えられている電気エネルギーを利用して交流電力を供給するように前記電力変換手段を動作させる制御手段と、を具備する瞬時電圧低下保護装置において、
前記スイッチの側に一次巻線が、前記出力端の側に二次巻線がそれぞれ接続されるように、前記スイッチと前記出力端との間の前記電力供給線路に出力変換トランスを介挿し、該出力変換トランスの一次巻線の途中に設けられた中間タップに前記電圧補償手段を接続したことを特徴としている。
【0012】
本発明に係る瞬時電圧低下保護装置の一態様として、前記入力端に印加される交流電圧がVin、前記出力端から出力される交流電圧がVout(ただしVout<Vin)であるとき、前記出力変換トランスの一次巻線と二次巻線の巻線数比をn1:n2=Vin:Voutとし、一次巻線の中間タップにおける巻線数を二次巻線の巻線数と同一にし、且つ、瞬時電圧低下発生時における前記電圧補償手段の出力交流電圧をVoutとした構成とするとよい。一例を挙げると、Vin=200[V]、Vout=100[V]であれば、一次巻線と二次巻線の巻線数比n1:n2=2:1であり、電圧補償手段の出力交流電圧は100[V]である。
【0013】
本発明に係る瞬時電圧低下保護装置において、入力端に正常な交流電圧が印加されているときにはスイッチは閉成され、出力変換トランスの一次巻線と二次巻線の巻線数比に応じて降圧された交流電圧が出力端から出力される。即ち、上記態様の構成によれば、出力端から出力される交流電圧はVoutであるが、入力端と出力変換トランスとの間の電力供給線路上の交流電圧はVoutよりも高いVinである。したがって、スイッチに流れる負荷電流は上記出力変換トランスがなく入力端に印加される交流電圧がVoutと等しい場合に比べてVout/Vin倍になる。つまり、Vin=200[V]、Vout=100[V]であれば、負荷電流は1/2になる。このように負荷電流が減ることにより、スイッチにおける電力損失は減少する。
【0014】
出力変換トランスの一次巻線に交流電圧Vinが印加された状態のとき、中間タップには巻線数に応じた分圧が現れ、この分圧が電圧補償手段に供給されて蓄電手段に電気エネルギーが蓄積される。即ち、電圧補償手段は入力端に印加される交流電圧よりも低い電圧で動作する。瞬時停電等により入力端に印加される交流電圧が低下したとき、制御手段によりスイッチが開成され、蓄電手段に蓄えられている電気エネルギーを利用して交流電力を供給するように電力変換手段が動作されると、電圧補償手段により生成された交流電圧が出力変換トランスの一次巻線の中間タップに印加される。この中間タップと二次巻線との巻線数比に応じた電圧が二次巻線側に発生するから、例えば上述のようにこの巻線数が等しければ、電圧補償手段により生成された交流電圧が出力端から出力される。
【0015】
上記のような巻線数の関係にあれば、電圧補償手段は出力端から出力される交流電圧で動作する構成であればよく、入力端に印加される交流電圧が大きくても、電圧補償手段を構成する回路素子の耐圧は低くて済む。そのため、電圧補償手段がコストアップ要因になることを避けることができる。
【0016】
また、より高い入力交流電圧を必要とする負荷を駆動したい場合の構成として、上記の本発明に係る瞬時電圧低下保護装置を複数用い、その複数の瞬時電圧低下保護装置の入力端を共通に交流電源に接続し、各瞬時電圧低下保護装置の出力変換トランスの二次巻線を直列に接続してその両端を出力端とした構成としてもよい。この構成によれば、同じ構成の瞬時電圧低下保護装置を複数用いることで、1台の瞬時電圧低下保護装置の出力交流電圧の整数倍の交流電圧を容易に得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る瞬時電圧低下保護装置によれば、出力端から出力される出力交流電圧とは無関係に入力端に印加する入力交流電圧を高くすることができるので、電力供給線路に設けられたIGBT等のスイッチでの電力損失を従来装置よりも抑えることができ、特にその入力交流電圧を高くするほど電力損失の低減効果を高めることができる。それにより、入力端に供給されるエネルギーが無駄に消費されにくくなり、電力消費量を削減することができる。また、スイッチでの発熱量が減少するので、放熱フィン等の放熱部を小型化することができ、装置コストを削減することができる。さらにまた、入力端に印加する入力交流電圧を高くしても、電圧補償手段の回路構成をその電圧上昇に対応させる必要がないので、電圧補償手段のコスト増加はなく、その点でも装置コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る瞬時電圧低下保護装置の一実施例の概略ブロック構成図。
【図2】本発明に係る瞬時電圧低下保護装置の他の実施例の概略ブロック構成図。
【図3】従来の瞬時電圧低下保護装置の一実施例の概略ブロック構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施例]
本発明に係る瞬時電圧低下保護装置の一実施例(第1実施例)について説明する。図1は本実施例による瞬時電圧低下保護装置1の概略ブロック構成図である。この瞬時電圧低下保護装置1は、出力交流電圧が単相100V、入力交流電圧が単相200Vの仕様である。
図1に示す瞬時電圧低下保護装置1において、図3に示した従来の瞬時電圧低下保護装置100と同じ構成要素には図3と同じ符号を付して詳しい説明を略す。
【0020】
この瞬時電圧低下保護装置1では、電力供給線路12上に設けられた半導体スイッチ13と出力端11との間に出力変換トランス15が介挿され、この出力変換トランス15を介して電力供給線路12と電圧補償部14も接続されている。出力変換トランス15は、一次巻線151と二次巻線152との巻線数比が2:1であり、一次巻線151はそのちょうど中間の位置、つまり二次巻線152に対する巻線数比が1:1である位置に中間タップ153が設けられている。電力供給線路12は出力変換トランス15の一次巻線151の両端に接続され、電圧補償部14は出力変換トランス15の中間タップ153と負極性側の電力供給線路12との間に接続されている。
【0021】
入力端10に供給される交流電力の電圧は電圧低下検出部16により検出され、CPUを中心に構成される制御部17は予め設定された制御プログラムに従って、半導体スイッチ13のオン・オフ動作、インバータ部145の動作、スイッチ143のオン・オフ動作などを制御する。
【0022】
次に、この瞬時電圧低下保護装置1の動作を説明する。
交流電源2から交流電圧200Vの交流電力が入力端10に正常に印加されているとき、制御部17は半導体スイッチ13をオン状態に保つ。これにより、入力端10に印加された200Vの交流電圧が出力変換トランス15の一次巻線151に印加され、上記の巻線数比に応じて、100Vの交流電圧が二次巻線152に発生する。この100V交流電圧が出力端11から出力され、負荷3に印加される。
【0023】
200Vの交流電圧が出力変換トランス15の一次巻線151に印加された状態では、中間タップ153には100Vの交流電圧が現れ、これが電圧補償部14に印加される。電圧補償部14は従来例と同様に動作し、瞬時停電等により電解コンデンサ144の充電電圧が定格電圧よりも大きく下がったときには、制御部17は、出力変換トランス15の中間タップ153を介して供給される交流電力が交流/直流変換されるようにインバータ部145の各スイッチング素子の動作を制御し、それにより電解コンデンサ144の充電電圧は急速に回復する。また、電解コンデンサ144の充電電圧が自然放電により定格電圧より若干下がったときには、スイッチ143をオンさせて補充電部を動作させることで電解コンデンサ144を充電する。これにより、交流電源2から正常に電力が供給されているときには、電解コンデンサ144の充電電圧はほぼ定格電圧近傍に維持される。
【0024】
例えば短時間の停電等により入力端10に印加される交流電圧が下がると、制御部17は電圧低下検出部16からの検出信号により電圧低下を認識する。すると、制御部17は半導体スイッチ13をオフして、出力変換トランス15と入力端10とを切り離すとともに、電解コンデンサ144に蓄積されている電気エネルギーを直流/交流変換するようにインバータ部145のスイッチング素子の動作を切り替える。これにより、電解コンデンサ144に蓄積されていた電気エネルギーに基づく100Vの交流電圧が、フィルタ146を介して出力変換トランス15の中間タップ153に印加される。
【0025】
このとき、半導体スイッチ13はオフ状態にあるから、出力変換トランス15の一次巻線151は中間タップ153と負極性側電力供給線路12との間の巻線のみが存在するものとみなせる。したがって、出力変換トランス15は一次巻線と二次巻線の巻線数比が等しいものであるとみなせ、二次巻線152には一次巻線151に印加されたのと同じ100Vの交流電圧が生起される。これにより、交流電源2からの交流電圧が低下したときにも、100Vの交流電圧が出力端11から負荷3に印加され続ける。
【0026】
交流電源2からの交流電圧が回復したとき、制御部17は電圧低下検出部16からの検出信号によりこれを認識し、半導体スイッチ13をオンさせるとともに、インバータ部145を交流/直流変換動作に切り替え、電解コンデンサ144を充電して充電電圧の回復を図る。以上のように、本実施例の瞬時電圧低下保護装置1では、入力端10に200Vの交流電圧が印加されながら、出力端11から負荷3に100Vの交流電圧を出力し、且つ、インバータ部145を含む電圧補償部14は従来と同様に100Vの交流電圧に基づく動作を行う。
【0027】
上述した第1実施例の瞬時電圧低下保護装置1と図3で説明した従来の瞬時電圧低下保護装置100とについて、半導体スイッチ13における電力損失を比較する。
いま、図1に示した瞬時電圧低下保護装置1において、交流電源2が単相200V、出力端11から出力される交流電圧が100Vであり、出力容量が200kVAであるとする。この場合、半導体スイッチ13がオン状態であるときに電力供給線路12に流れる電流は1000Aとなり、半導体スイッチ13での電圧降下が2Vであるとすると、半導体スイッチ13での電力損失は、2[V]×1000[A]=2[kW]、となる。これに対し、従来の瞬時電圧低下保護装置100では、出力端11から交流電圧100Vを出力するためには単相100Vの交流電源2を用いるから、電力供給線路12の電圧も100Vになる。このとき、出力容量が200kVAであれば電力供給線路12に流れる電流は2000Aとなり、半導体スイッチ13での電圧降下が2Vであるとすると、半導体スイッチ13での電力損失は、2[V]×2000[A]=4[kW]、となる。
【0028】
このように、この第1実施例の瞬時電圧低下保護装置では、出力端11から従来と同じ交流電力を供給する場合でも、入力端10に入力する交流電力の電圧を2倍に上げることにより、半導体スイッチ13での電力損失を1/2に抑えることができる。さらにまた、入力端10に入力する交流電力の電圧を4倍に上げれば、半導体スイッチ13での電力損失を1/4に抑えることができる。
【0029】
なお、出力端11から出力する交流電圧が同一で、入力端10に入力する交流電圧が異なる場合には、その電圧に応じて、出力変換トランス15の一次巻線151と二次巻線152の巻線数比、及び、中間タップ153と一次巻線151全体の巻線数比を適宜に調整すればよく、電圧補償部14の回路構成などは変更する必要がない。したがって、殆どの回路構成を共通化して、異なる定格入力交流電圧に対応させることができる。
【0030】
[第2実施例]
図2は、上記第1実施例の構成の瞬時電圧低下保護装置を複数(この例は3台)用いて定格出力交流電圧を増加させた瞬時電圧低下保護装置の実施例(第2実施例)を示すブロック構成図である。図2中の1A、1B、1Cはそれぞれ図1に示した瞬時電圧低下保護装置1のうちの出力変換トランス15を除いた部分であり、15a、15b、15cがその出力変換トランス15に相当する部分である。複数の瞬時電圧低下保護装置1A、1B、1Cの入力端10は共通化され、交流電源2から各瞬時電圧低下保護装置1A、1B、1Cに並列に交流電圧が印加される。一方、瞬時電圧低下保護装置1A、1B、1Cのそれぞれの出力変換トランス15a、15b、15cの二次巻線は直列に接続され、その両端が出力端11に接続されている。
【0031】
瞬時電圧低下保護装置1A、1B、1Cはそれぞれ、上述した第1実施例の瞬時電圧低下保護装置1と同様の構成を有し同様に動作するから、交流電源2から正常に交流電力が供給されているときと瞬時停電等により入力交流電圧が一時的に低下したときのいずれにおいても、各出力変換トランス15a、15b、15cの二次巻線に100Vの交流電圧が現れる。したがって、それら3系統の交流電圧を加算した300Vの交流電圧を出力端11から負荷3に印加することができる。
【0032】
なお、上記第1実施例では瞬時電圧低下保護装置1の定格入力交流電圧が200V、定格出力交流電圧が100Vの場合について説明したが、それら電圧は定格入力交流電圧が定格出力交流電圧よりも大きいという条件の下で任意に選択することができる。例えば、定格入力交流電圧が400Vで定格出力交流電圧が100V、又は、定格入力交流電圧が400Vで定格出力交流電圧が200V、などとすることができることは明らかである。また、それ以外の点についても、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
【符号の説明】
【0033】
1、1A、1B、1C…瞬時電圧低下保護装置
10…入力端
11…出力端
12…電力供給線路
13…半導体スイッチ
14…電圧補償部
141…トランス
142…整流部
143…スイッチ
144…電解コンデンサ
145…インバータ部
146…フィルタ
15、15a、15b、15c…出力変換トランス
151…一次巻線
152…二次巻線
153…中間タップ
16…電圧低下検出部
17…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源からの交流電力が供給される入力端と負荷に電力を供給する出力端との間の電力供給線路に設けられ該線路を開閉するスイッチと、電気エネルギーを蓄えるための蓄電手段、及び、交流電源から供給される交流電力を交流/直流変換して前記蓄電手段を充電する一方、瞬時電圧低下発生時に前記蓄電手段に蓄積されている電気エネルギーを直流/交流変換する電力変換手段を含む電圧補償手段と、前記交流電源からの交流電圧が低下したときに前記スイッチを開成するとともに、前記蓄電手段に蓄えられている電気エネルギーを利用して交流電力を供給するように前記電力変換手段を動作させる制御手段と、を具備する瞬時電圧低下保護装置において、
前記スイッチの側に一次巻線が、前記出力端の側に二次巻線がそれぞれ接続されるように、前記スイッチと前記出力端との間の前記電力供給線路に出力変換トランスを介挿し、該出力変換トランスの一次巻線の途中に設けられた中間タップに前記電圧補償手段を接続したことを特徴とする瞬時電圧低下保護装置。
【請求項2】
請求項1に記載の瞬時電圧低下保護装置であって、
前記入力端に印加される交流電圧がVin、前記出力端から出力される交流電圧がVoutであるとき、前記出力変換トランスの一次巻線と二次巻線の巻線数比をn1:n2=Vin:Voutとし、一次巻線の中間タップにおける巻線数を二次巻線の巻線数と同一にし、且つ、瞬時電圧低下発生時における前記電圧補償手段の出力交流電圧をVoutとしたことを特徴とする瞬時電圧低下保護装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の瞬時電圧低下保護装置を複数用い、その複数の瞬時電圧低下保護装置の入力端を共通に交流電源に接続し、各瞬時電圧低下保護装置の出力変換トランスの二次巻線を直列に接続してその両端を出力端としたことを特徴とする瞬時電圧低下保護装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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