説明

知的なチャンネル・ザッピングのための方法および装置

今日のテレビチャンネルの利用可能性はユーザーにとって容易に途方もないものでありうる。関心のあるコンテンツを見出す方法としての、ユーザーがリストに配列されたチャンネルの間で逐次切り換えていく場合の通常の線形のザッピングはいっそう非効率的なものとなる。こうして、電子装置に配信されるか電子装置によって取得されるかするマルチメディア、オーディオおよびビデオチャンネルについてチャンネル内容を自動的に判別する方法が提供される。該方法は、チャネルデータを収集し、該データを統計的方法を使って解析することによりチャンネル内容を判別し、そのチャンネル内容に基づいてチャンネルを所定のクラスターに範疇分けするステップを有している。判別は、クラスターが当該電子装置が使われている特定の日および/または時刻を反映するよう、動的になされてもよい。また、そのような方法を提供するためのシステムが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビのような電子装置に存在するテレビチャンネルなどのチャンネルについてチャンネル内容を自動的および/または動的に判別することならびに内容のこの自動的および/または動的判別を提供するシステムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
今日のテレビチャンネルの利用可能性はユーザーにとって容易に途方もないものでありうる。関心のあるコンテンツを見出す方法としての、ユーザーがリストに配列されたチャンネルの間で逐次切り換えていく場合の通常の線形のザッピングはいっそう非効率的なものとなる。
【0003】
提供されるチャンネルまたはその他の情報源の数はあまりに多く、ユーザーにとって、最も関心のある番組を個別に選択することは困難であり、番組表内で番組を探すことも、時間の制約のためしばしばチャンネルのやや小さな部分集合に限定される。
【0004】
ユーザーがユーザー嗜好に従ってチャンネルを短いリストに配列してもよい。しかし、これは多くの手動のプログラミングを、さらに種々のチャンネルのコンテンツについての深い知識を要求するが、そうした知識はチャンネル数が増えるにつれより非現実的で、またより不完全なものとなる。
【0005】
さらに、多くのチャンネルはたとえば午前中は子供向けアニメを、昼にはトーク番組を、午後には昼メロを、晩の早い時刻にはニュースを、晩には映画を、夜には大人向け娯楽を放送するといった具合に、1日の間にジャンル面で著しい変化があるという事実により、嗜好に従ったチャンネルの配列は複雑になる。
【0006】
よって、晩に作成された短いリストの内容は、昼の間の内容には対応しない。
【0007】
関心のあるコンテンツを見出すもう一つの可能な方法は、電子番組表(EPG)、ラジオデータシステム(RDS)およびさまざまな文字多重放送アプリケーションによって提供される。それらはみなチャンネルのジャンルについての情報を提供し、チャンネルについての番組一覧を提供し、子供を持つ親へのアドバイスなどを含んでいる。典型的には、これらのアプリケーションは十分客観的ではなかったり、一貫性がなかったり、あるいは特定のサービスプロバイダーまたは特定のベンダーでしか使えなかったりすることもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特定のコンテンツに関心をもつユーザーがチャンネルを探すのを容易にするシステムを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電子装置に配信されるか電子装置によって取得されるかする情報源またはチャンネルについてチャンネルまたは源の内容を自動的に判別する方法であって:
(a)チャンネルデータを集め、
(b)統計的方法を使って前記データを解析してチャンネルの内容を判別し、
(c)該チャンネルの内容に基づいて、諸チャンネルを所定の諸クラスターに範疇分け(または分類)する、
ステップを有する方法を提供する。
【0010】
本発明のさらなる側面によれば、電子装置に存在するチャンネルについてチャンネル内容を動的に判別する方法であって:
(a)チャンネルデータを集め、
(b)統計的方法を使って前記データを解析してチャンネルの内容を判別する、
ステップを有しており、当該電子装置の動作中、ステップ(a)ないし(b)を継続的に反復することによりチャンネル内容の動的判別を達成する方法が提供される。
【0011】
さらに、チャンネル内容を判別するためのシステムであって、複数のチャンネルへのアクセスを有する電子装置と、チャンネルデータ収集のための、該データを解析するための統計的ツールを有する処理ユニットと、チャンネルの内容に応じてチャンネルを所定のクラスターに分類する範疇分け手段とを有するシステムが提供される。
【0012】
チャンネルは電子装置に利用可能ないかなる情報を含んでいてもよく、チャンネルはデジタルチャンネルまたはアナログチャンネルのように、デジタル情報源でもアナログ情報源でもよい。チャンネルはケーブル、衛星、空中、インターネットを介して、あるいはチャンネルを受け手に利用可能にするその他のいかなる手段を介してでも、配信されたり、利用可能にされたりしうる。たとえばインターネットのチャンネルはストリームされてもよい。チャンネルはマルチキャストチャンネルとして送られてもいいし、単一のユーザー(たとえばピアツーピアのユーザー)に直接送られてもいい。
【0013】
チャンネルは、ARD、NDR、BBCなどのようなテレビチャンネルのような総合的な源であってもよいし、CNN、CBSのようなニュースチャンネル、TMP、MTVのような音楽チャンネル、あるいはユーロスポーツのようなスポーツチャンネルなど専門化したテレビチャンネルのような専門化した源であってもよい。電子装置に利用可能なチャンネルはさらに、インターネットまたはコミュニティでコンテンツを共有するブロードバンドのコネクテッド・プラネットのようなその他のネットワーク中のその他の記憶スペースに保存されているチャンネルをさらに含みうる。コミュニティ・コンテンツはストリーミングされても、チャンネルとしてブロードキャストされてもよい。
【0014】
チャンネル内容は、チャンネルによって配信されるいかなる内容でもよく、よっていかなる内容をも含みうる。コンテンツとしては、音楽、スポーツ、ニュース、映画、アニメなどを含むが、この列挙は決して網羅的ではないことが認識される。
【0015】
チャンネルコンテンツデータの収集およびそのようなデータの解析は、コンテンツ識別のために好適ないかなる方法によって実行されてもよい。コンテンツ識別はたとえば、WO2004/019527で開示されている方法のようなニューラルネットワークベースのパターン認識のような一般的なネットワークベースのパターン認識のようなパターン認識を使うことによって、あるいはWO2002/093928に従うコンテンツ解析装置を使うことによって提供されうる。
【0016】
前記電子装置は、ユーザーにチャンネルを呈示するいかなる手段であってもよく、よってテレビ、ラジオ、コンピュータ、GPSなどを含みうる。
【0017】
前記クラスターはあらかじめ決定されていることができ、よってクラスター範疇の所定の集合、すなわちホームショッピング、映画、ニュース、アニメなどが与えられ、その場合、チャンネルはチャンネル内容が判別されると自動的にこれらの所定のクラスターに範疇分けされうる。クラスターはジャンルに基づいていても、よって所定の一般的なパターンに基づいていて、映画、子供、音楽などといったジャンルを含んでいてもよいし、あるいは類似コンテンツベースで、特定の基準チャンネルが使われ、その後同様の内容をもつチャンネルが見出されていくのでもよい。そのような基準チャンネルは所定のジャンルのうちのどれか一つに属していてもよいし、あるいは境界線上にあってもよい。よって、類似性に基づくクラスターは、ジャンルベースのクラスターのいずれとも異なるものでありうる。
【0018】
ジャンルは重なり合うグループでありうる。よって、たとえばある項目が複数のクラスター内に位置することがありうる。さらに、クラスターはコンテンツ事例ベースまたはイベントベースであってもよく、クラスターはたとえばサッカーのゴール、爆発、ラブシーン、ニュース速報などを含むものでありうる。さらにまた、ジャンルはたとえばムード:幸せ、悲しいまたは恐ろしい内容などといったその他の手段によってクラスター分けされてもよい。
【0019】
クラスター範疇およびジャンルの集合はまた、他の電子装置(たとえばコミュニティ内のもの)または(たとえばインターネットの)サービスからの更新によって拡大されてもよい。このようにして、知的な新たなグループ化が可能である。
【0020】
代替的または追加的に、ユーザーはチャンネルが、標準的な設定よりも多いか少ないかする範疇を有するどのクラスター範疇に範疇分けされるべきかを選択できてもよい。どちらの範疇分け方法を使うにしても、ユーザーからの必要な入力は制限され、範疇分けはユーザーからの入力なしに実行されることもできる。
【0021】
チャンネル内容の自動判別は、自動チャンネルマッチングおよび自動ジャンル検出を提供する。これにより、諸チャンネルをナビゲートしているユーザーは、ある基準チャンネルに対応する一つまたは複数のチャンネルを見出すよう電子装置に要求を送ることができうる。それにより同様のコンテンツを提供している源が見出されるようにするのである。あるいはあらかじめ選択されたジャンルをもつチャンネルが見出されるようにするのでもよい。諸チャンネルをナビゲートするユーザーは、ある基準クラスターに対応する一つまたは複数のチャンネルを見出すよう電子装置に要求を送ってもよいのである。
【0022】
自動判別は、利用可能なチャンネルの第一のおおまかな範疇分けまたは分類を提供するよう、高速に、数分もしないでなされうるが、より信頼できる範疇分けを得るため、該源の内容を適切に識別するためにより長い期間にわたって各チャンネルを追跡することが好ましい。このさらなる範疇分けは数分かかりうる。好ましくは、第一のおおまかなスキャンはすぐにユーザーに利用可能にされる。
【0023】
ある好ましい実施形態では、電子装置はユーザーの行動を追跡して、ユーザーの行動に従って評価されるチャンネルまたはクラスターを含むユーザープロファイルを生成および/または維持する。
【0024】
ユーザープロファイルは、システム立ち上げ時に、あるいは新規ユーザーの追加の際にユーザーによって定義されうる。このユーザー定義のプロファイルは、該ユーザープロファイルを維持し、最新のものに保つため、現実のユーザーの行動に従って自動的に更新されてもよい。さらに、ユーザープロファイルは他の電子装置から、あるいはたとえばインターネットベースのサービスから受け取ってもよい。ユーザープロファイルは広く使われてもよく、他の装置または他のサービスからのユーザープロファイルを再利用することによって何らかの立ち上げ時情報があることになり、利用可能な情報がないという「コールドスタート」問題が回避されうる。
【0025】
ユーザーはユーザープロファイルを定義する必要はなく、電子装置に特定のユーザー行動に従ってユーザープロファイルを生成させてもよい。
【0026】
より多くのユーザーが同じ電子装置を使っている、たとえば複数ユーザーが同じシステム上でコンテンツを消費するとき、システムは共通のグループプロファイルを生成し、該グループプロファイルおよび/または嗜好に基づいて推薦されるチャンネルの推薦リストを生成しようとする。あるいはまた、電子装置を使っている各ユーザーが別個のユーザープロファイルを有してもよい。これにより、家族などの個々の構成員がそれぞれに個別のユーザープロファイルを有しうる。そして電子装置を一緒に使っている家族の行動に対応するファミリープロファイルなどをもさらに有しうる。
【0027】
ユーザープロファイルを使用することで、いくつかの面で源のより信頼できる範疇分けを達成しうる。たとえば、ユーザーによって好まれないチャンネルまたはジャンル(たとえばホームショッピング)は解析から除外でき、評価の高い源など頻繁に利用される源により多くの計算機パワーを費やすことができ、それによりチャンネルデータを収集および解析するのに使われる電子装置の処理リソースがユーザープロファイルおよび/またはユーザー行動に基づいて割り当てられる。さらに、総合目的チャンネルなどのような動的なチャンネルは、所定の内容、ニュース、音楽などをもつ静的なチャンネルよりもより頻繁に解析されてもよい。
【0028】
動的なチャンネルコンテンツ内容の判別を得るため、ステップ(a)および(b)は電子装置の動作中、継続的に繰り返され、それによりチャンネル内容の動的な判別が達成される。
【0029】
好ましくは、ステップ(a)および(b)の継続的な反復は、電子装置の主たる機能を中断することなくバックグラウンドで実行される。これは、アナログ放送についての少なくとも二つのアナログチューナーあるいはデジタル放送についての少なくとも二つのトランスポンダーを有する電子装置によって容易にされうる。しかしながら、デジタル放送については、範疇分けが一つの転送ストリームに限定される限り、単一のトランスポンダーで十分なこともある。デジタル転送ストリームは、よって、いくつかの多重化されたコンテンツストリーム(すなわち単数または複数のチャンネル)を有しうるが、これらは十分な処理能力さえあれば並列的に解析されうる。アナログチューナーは一つのコンテンツストリームしか受信できないので、アナログチューナーが一つしかない場合には、解析は主として当該装置のアイドル状態の間に実行される。すなわち、システムはユーザーがチャンネルを見ていないときに判別を実行するのである。
【0030】
チャンネル内容を動的に判別することによって、現在特定のチャンネル内容を有する番組がクラスター内のチャンネルから省かれるようクラスターを設定でき、それにより現在コマーシャルを放映しているチャンネルを除外でき、それによりコマーシャル中断の間の他のチャンネルへの頻繁なザッピングはコマーシャルを放映していない他のチャンネルへのザッピングに制限されうる。特定の内容を省くというこの機能は、コマーシャル検出器を使うなどといった他のいくつかの手段によっても提供されうる。
【0031】
さらに、チャンネル内容の動的な判別を使うことによって、ゴール(たとえばサッカー試合における)、爆発(アクション映画やドキュメンタリーにおける)、ニュースイベント、ニューススピーカーなどといった、特定のイベントを検出することもできる。チャンネルはイベント基準に基づいてクラスター分けされうる。自然に、そのような分類においては、各チャンネルはあらゆる種類のイベントを含みうるので、ほとんど確実に複数のクラスターにはいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1は、いくつかの放送されたチャンネル2a、2b、…2nを受信する電子装置1で受信されるチャンネルを示している。該チャンネルは、チャンネルデータを収集し、該データを解析するためのプロセッサ3に与えられる。データはチャンネル内容を判別するために統計的方法を使って解析され、チャンネルはそのチャンネル内容に基づいて所定の諸クラスターに範疇分け(または分類)される。
【0033】
ある好ましい実施形態では、前記電子装置はテレビであるが、セットトップボックスやチューナー付きビデオレコーダーのような、配信されるチャンネルを受信できたり、ネットワーク内の諸位置からチャンネルを取得できたりする他のいかなる電子装置であってもよい。
【0034】
情報源またはチャンネルは、オーディオ、ビジュアル、ビデオ、マルチメディアコンテンツまたはそれらの任意の組み合わせなど、いかなる種類のコンテンツを含んでいてもよい。チャンネルはインターネットのようなネットワークを介して、ローカルネットワークを介して、あるいはチャンネル記憶を有する他のネットワークを介して、ピアツーピアネットワークを介して配送されてもよい。ケーブル、ファイバーなどを使ってブロードキャストされてもよいし、あるいは無線データ伝送により衛星または地上波を介して放送されてもよい。
【0035】
電子装置1は、たとえばユーザーからの要求に際してチャンネルを取得するよう適応されていてもよい。たとえば、電子装置1は、ローカル記憶に保存されたチャンネルを有することなどによって電子装置1にとってアクセス可能なチャンネルをもつ他の電子装置を含むネットワークの一部をなしていてもよい。すると、たとえばアクション映画を見たいユーザーは、電子装置1にアクション映画を見出すよう要求しうる。そのような要求を受信すると、電子装置1はネットワーク中に存在する記憶を調べ、ネットワーク中で提供されている記憶の解析に基づいて、対応する映画を、またはアクション映画のクラスターを見出しうる。
【0036】
電子装置1によって受信されるチャンネルは、アニメ、音楽、アクション映画、ホームショッピングなどのジャンル・クラスターのような所定のクラスターにクラスター分けされる。さらに、クラスターはユーザープロファイルに基づいて評価されうる。それは、お気に入りのクラスターが最も高く評価されるようなクラスター間評価でもよい。今の個別的な例では、アクション映画が最も高く評価され、アニメとホームショッピングが最低の評価にくる。また、たとえばアクション映画を放映する個々のチャンネルがユーザープロファイルに基づいて評価されるようなクラスター内評価も提供されてもよい。それにより、アクション映画を放映するチャンネルのうちたとえば最も頻繁に視聴されたチャンネルが最高の評価を有する。
【0037】
ユーザープロファイル4はユーザーによって提供されてもよいし、あるいは時間を追ってモニタリングされる現実のユーザーの行動に基づいていてもよい。
【0038】
図2では、本発明のもう一つの実施形態が示されている。この場合、ユーザープロファイルはなくてもよい。むしろ、ユーザーは基準チャンネルを選択し、プロセッサが当該電子装置に配送された、あるいは当該電子装置によって取得された諸チャンネルを解析して類似のチャンネルを見出そうとする。ユーザープロファイルが存在している場合には、類似のチャンネルはユーザー行動に基づいて評価されてもよい。
【0039】
電子装置内に二つ以上のチューナーが存在することもある。それにより異なるチューナーが異なる動作を実行できる。たとえば、一つのチューナーは選択されたチャンネルを視聴するため、あるいはザッピングのために使用でき、もう一つのチューナーが類似チャンネルを見出すために使用でき、もう一つが記録のために使用できるなどである。これはもちろん、多重化されたチャンネルを扱うことのできる単一のデジタルチューナーを用いて達成することもできる。
【0040】
基準チャンネルを選択する代わりに、ユーザーはサッカーのゴール、特にロマンチックなシーン、殺人などのような基準イベントを選択してもよく、そのようなイベントが生起するチャンネルはその特定のイベントに基づいてクラスター分けされうる。サッカーゴールはたとえばスポーツチャンネルで放映されるのみならず、ニュースチャンネルでも放映されるなど。
【0041】
図3には、チャンネル内容の動的な決定が描かれている。第0日にシステムを立ち上げた際、チャンネルは所定の静的クラスターに範疇分けされる。たとえば、アクション映画、アニメ、ホームショッピングなどを含むクラスターにである。しかしながら、チャンネル内容の判別は時間を追って継続的に実行され、それによりチャンネルの範疇分けは洗練される。
【0042】
さらに、チャンネル内容を解析し続けることにより、多くのチャンネルのチャンネル内容が時間ともに変わるという事実が取り入れられる。一日中多少なりとも同じ内容を見せるMTVやユーロスポーツのような特定のジャンルをもつチャンネルについては、これにより範疇分けが変わることはないであろうが、たとえばユーロスポーツについてであっても、たとえばF1、サッカーなどといった特定のスポーツの下位クラスが提供されうるよう、範疇分けが洗練されることはある。
【0043】
NBS、NDR、ARD、BBCといったより総合的な種類のコンテンツチャンネルについては、チャンネル内容の継続的判別は、図3に示す形に従った範疇分けを提供しうる。ここでは、午前中は9時から11時までは2チャンネルだけが、11時から13時までは1チャンネルだけがアクション映画を放映している一方、9時から11時には1、3、5、7チャンネルがアニメを放映しており、11時から13時には3、4、5チャンネルがアニメを放映している。ホームショッピングは9時から11時には4、6、8チャンネルで放映され、11時から13時には2、6、7、8チャンネルで放映されている。このチャンネルのクラスター分けはユーザーに提供されてもいいし、あるいは類似コンテンツ種別のチャンネルをユーザーに提供するために使われるだけでもよい。もちろん、図3で与えられている時刻は単なる例であり、さらに種々の時間区分が各チャンネルについて、各日について提供されてもよい。
【0044】
判別プロセスを何週間か走らせると、結果が、異なる時刻において曜日に関して変化するチャンネル番組構成を追跡するためのデータベースに蓄積される。さらに、判別プロセスが十分な情報を取得すると、各個別の時間区間について別個のクラスター分けが利用可能となりうる。その粒度は数分から数時間までさまざまである。よって、ウイークデー特有の現象も構造中に含めることができる。それによりシステムは、土曜の夜の内容はどのウイークデーの夜の内容とも異なるなどといったことを知ることになる。
【0045】
さらに、プロセッサ3は国/地域の休日、地元の祭、サッカー大会のような国際的なイベント、あるいは番組構成に影響しうる他の何らかのイベントに関する情報を保存していてもよく、そのような祝日やイベントをチャンネルの範疇分けに際して考慮に入れてもよい。この情報はプロセッサにあらかじめ保存されていてもよいし、該情報がユーザーから伝送されてもよいし、あるいはプロセッサはそうしたデータを、インターネット経由、プロセッサにブロードキャストされるなど、何らかの外部の源から取得してもよい。その後、その情報はユーザーからの入力により、あるいはユーザーからの入力なしで取り出されうる。
【0046】
さらに、平素の行動からの逸脱のような、チャンネル内容の見出された形からの突然の逸脱がある場合、そのことがユーザーに伝達されてもよく、あるいは平素の行動から逸脱する内容の記録が開始されうるなど、自動動作がトリガーまたは開始されてもよい。というのも、このことは何らかの世界的なイベントが生起したことを示しているかもしれないからである。もしあらゆるチャンネルが突然ニュース・クラスターに移行した場合、それは重大な事件、たとえばケネディ暗殺、9.11または世界的なインパクトをもつ他の何らかの事件が起こったかもしれないことを意味することがありうる。
【0047】
内容の動的な判別は継続的に実行されうることは認識される。それは、1時間に1度、30分に1度など、規則的な間隔で実行されてもよい。
【0048】
しかし、イベントを追跡し、突然の世界的な逸脱を検出するためのたとえば24×7のクラスター分けの生成のためには、動的判別は継続的に実行されることが好ましい。
【0049】
さらに、コンテンツの動的検出は、諸チャンネルからキーフレームを得るために使うこともできる。それによりユーザーは利用可能なチャンネルの信頼できる概観画面を提供されうる。概観画面は、利用可能なチャンネル上のコンテンツを表すキーフレームの組み合わせを含みうる。そしてキーフレームの組み合わせは、その時点に放送されているコンテンツの信頼できる概観を生成するために使用されうる。画面の映像はその利用可能チャンネルからのいくつかの縮小された場面を示しうる。場面は、チャンネルごとの、最後の時間期間ごとの、小さな動的シーケンス、一つまたは複数のカット、または代表的なカットまたはシーンの非シーケンシャルな選択(「映画を1分で」)である。これらの場面およびテレビ画面などでの該場面の表示は、上記のクラスター化方法のいずれに従ってグループ化されてもよい。
【0050】
本発明の範囲は、チャンネルの内容を判別するために統計的解析を使うことに限定されない。ニューラルネットワークおよびファジー論理のような他の諸方法を使用してもよい。
【0051】
さらに、本発明は、一つの構成要素が複数機能を実行するようにして、ここに記載された実施形態において設けられるよりも少ない構成要素で具現されてもよい。同じように、本発明は、上記した実施形態で一つの構成要素によって実行されていた機能が複数の構成要素に分散されるようにして、図1で描かれたより多くの要素を使って具現されてもよい。
【0052】
また、当業者には、本発明が専用の消費者電子装置によって実行されても、あるいはコンピュータプログラムプロダクトを用いてプログラムされた汎用コンピュータによって実行されてもよいことは認識されるであろう。該コンピュータプログラムプロダクトは、前記コンピュータの一つまたは複数の処理ユニットをプログラムするためのコンピュータ実行可能命令を有している。
【0053】
まとめると、本発明は以下のことに関係する:今日のテレビチャンネルの利用可能性はユーザーにとって容易に途方もないものでありうる。関心のあるコンテンツを見出す方法としての、ユーザーがリストに配列されたチャンネルの間で逐次切り換えていく場合の通常の線形のザッピングはいっそう非効率的なものとなる。こうして、電子装置に配信されるか電子装置によって取得されるかするマルチメディア、オーディオおよびビデオチャンネルについてチャンネル内容を自動的に判別する方法が提供される。該方法は、チャネルデータを収集し、該データを統計的方法を使って解析することによりチャンネル内容を判別し、そのチャンネル内容に基づいてチャンネルを所定のクラスターに範疇分けするステップを有している。判別は、クラスターが当該電子装置が使われている特定の日および/または時刻を反映するよう、動的になされてもよい。また、そのような方法を提供するためのシステムが提供される。

【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】チャンネルを所定のクラスターに範疇分けするためにユーザープロファイルを適用した結果を示す図である。
【図2】基準チャンネルに基づくチャンネルの範疇分けを示す図である。
【図3】源の内容の動的な判別を適用する例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置に配信されるか電子装置によって取得されるかするマルチメディアおよび/またはオーディオ、ビデオチャンネルについてのチャンネル内容を自動的に判別する方法であって:
(a)チャンネルデータを集め、
(b)前記データを解析してチャンネルの内容を判別し、
(c)該チャンネルの内容に基づいて、少なくとも一つのチャンネルを少なくとも一つの所定のクラスターに範疇分けする、
ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記電子装置のユーザーが、ある基準チャンネルの内容に対応する内容をもつ一つまたは複数のチャンネルを見出す要求を前記電子装置に送ることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記電子装置のユーザーが、ある基準クラスターに対応する一つまたは複数のチャンネルを見出す要求を前記電子装置に送ることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記電子装置が、ユーザー行動に基づいて評価されるチャンネルまたはクラスターを含むユーザープロファイルを生成および/または維持するためにユーザー行動を追跡することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項5】
チャンネルデータを収集および解析するために使われる処理リソースが、ユーザープロファイルに基づいて割り当てられることを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
当該電子装置の動作中、ステップ(a)ないし(b)を継続的に反復することによりチャンネル内容の動的判別を達成するステップをさらに有することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項7】
ステップ(a)および(b)の継続的な反復が、前記電子装置の主たる機能を中断することなくバックグラウンドで実行されることを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項8】
内容の動的判別がチャンネル内容中の特定のイベントの判別を含むことを特徴とする、請求項6記載の方法。
【請求項9】
チャンネルが前記特定のイベントに基づいてクラスターに範疇分けされることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
いくつかのチャンネルにおけるチャンネル内容の突然の変化が、ユーザーに伝達されるか、自動行動を開始させるかすることを特徴とする、請求項6ないし9のうちいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
チャンネル内容を判別するために統計的解析を使うことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項12】
チャンネル内容を判別するためにファジー論理を使うことを特徴とする、請求項1または12記載の方法。
【請求項13】
チャンネルの内容をさまざまな時間区間について判別するためにステップ(a)および(b)が周期的に実行されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項14】
内容の判別が、一日ごとまたは一週間ごとの所定の時間区間について実行されることを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
チャンネルの内容が時間とともに変わったときに該チャンネルが一つのクラスターから別のクラスターに移ることを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項16】
電子装置に配信されるか電子装置によって取得されるかするチャンネルの内容を自動的に判別する方法であって:
(a)チャンネルデータを集め、
(b)統計的方法を使って前記データを解析してチャンネルの内容を判別する、
ステップを有しており、当該電子装置の動作中、ステップ(a)ないし(b)を継続的に反復することによりチャンネル内容の動的判別を達成することを特徴とする方法
【請求項17】
電子装置に配信されるか電子装置によって取得されるかするチャンネルを受信する電子装置を含む、チャンネル内容を判別するためのシステムであって、
放送されたチャンネルからのチャンネルデータ収集のための、該データを解析するための統計的ツールを有する処理ユニットと、
チャンネルの内容に応じてチャンネルを所定のクラスターに分類する範疇分け手段とを有する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項1ないし11のうちいずれか一項記載の方法を実行するシステム。
【請求項19】
コンピュータに請求項1記載の方法を実行させるためのコンピュータ可読かつ実行可能な命令を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項20】
請求項18記載のコンピュータプログラムを担持することを特徴とする媒体。
【請求項21】
ブラウズのために情報チャネルを呈示する方法であって、同様な内容をもつチャネルのクラスターが請求項1記載の方法を使って形成され、チャネルがクラスターごとにブラウズされることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−504785(P2008−504785A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518747(P2007−518747)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【国際出願番号】PCT/IB2005/052028
【国際公開番号】WO2006/003543
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】