説明

短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物、これを用いたカラーフィルタ及び液晶表示装置

【課題】短波長レーザ露光装置で高感度を有し且つ高密着力の特性を有する短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物、これを用いたカラーフィルタ及び液晶表示装置を提供する。
【解決手段】オキシムエステル系重合開始剤を含む光重合開始剤(A)、シリコン化合物(B)、結合剤樹脂(C)、光重合性化合物(D)、着色材料(E)及び溶剤(F)を含む短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタの画素形成のために光源として短波長レーザを使用する露光装置に適用する場合、高感度及び高密着性の具現が可能な短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物、これを用いたカラーフィルタ及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは、撮像素子、液晶表示装置(LCD)などに広く用いられるものであって、その応用範囲は急速に拡大されている。カラー液晶表示装置や撮像素子などに使用されるカラーフィルタは、通常、ブラックマトリックスパターンが形成された基板上に赤色、緑色及び青色の各々に相当する顔料を含有する着色感光性樹脂組成物をスピンコーティング、スリットコーティングによって均一に塗布した後、加熱乾燥(以下、予備焼成とする場合もある)して形成された塗膜を露光及び現像し、必要によってもっと加熱硬化(以下、後焼成とする場合もある)する操作を色ごとに繰り返して各色の画素を形成することで製造されている。
【0003】
前記着色感光性樹脂組成物としては、顔料及び結合剤樹脂とともに光重合性化合物及び光重合開始剤を含有する組成物が多く使用されており、ブラックマトリックスの形成にも黒色顔料を含有する着色感光性樹脂組成物を用いている。
【0004】
一方、最近のカラーフィルタ製造技術の主要課題である工程時間の短縮及び製造費用の節減のための方案として、短波長レーザ光源を用いて着色感光性樹脂組成物を露光する方法が考案されている(特許文献1)。
【0005】
短波長レーザ光源による露光方法は、既存の高圧水銀などの光源に比べて露光照度が非常に高いので、既存の高圧水銀などに比べて露光時間が短縮される長所がある。一方、非常に短い露光時間によって感光性樹脂塗膜の下層部まで光エネルギーが到逹できないため、塗膜全体的に十分な硬化反応が起こることができず、現像過程で画素パターンが脱/剥離されやすいという問題点がある。このような未硬化画素パターンは、また後工程でも脱/剥離されやすく、真空や加熱などの環境で不純物を排出することで、カラーフィルタの残像などにも影響を与えて不良率を増加させる原因となる。
【0006】
尚、光源が固定された状態で下部基板が移動しながら露光される装置の特性上、既存の着色感光性樹脂組成物は感度が低いので、画素パターンの表面部が均一に露光されることができず、現像後微細なムラが発生し、カラーフィルタの色純度を低下させるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報2007‐0021971
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、短波長レーザ露光装置で高感度を有し且つ短波長レーザ光源の露光によって高密着性を有する短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、前記短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物を用いた高信頼性及び高品質のカラーフィルタを提供することにある。
【0010】
本発明のまた他の目的は、前記カラーフィルタを含む液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、本発明は、式(1)で表示されるオキシムエステル系重合開始剤を含む光重合開始剤(A)、式(2)で表示されるシリコン化合物(B)、結合剤樹脂(C)、光重合性化合物(D)、着色材料(E)及び溶剤(F)を含む短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物を提供する:
【0012】
【化1】


[前記式(1)中、R1、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子、R、OR、COR、SR、CONRR’またはCNであり、R及びR’は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数7〜13のアラルキル基または炭素原子数5〜7の複素環基を示し、これらはハロゲン原子または複素環基で置換または非置換され、これらのうち、アルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合によって連結されることができ、前記R及びR’は一緒に環を形成することができる。R4、R5、R6、R7はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を示し、R8は炭素原子数0〜10のアルキル基を示し、Y1、Y2、Y3はそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を示し、Xはハロゲン原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を示す。]
【0013】
【化2】


[前記式(2)中、R1はグリシジル基、(メタ)アクリロイル基、アミノプロピル基、メルカプトプロピル基、シアノプロピル基及びイソシアネートプロピル基からなるグループから選択される何れか一つの有機官能基であるか、前記グループから選択される何れか一つの有機官能基を有する炭素原子数1〜20の脂肪族または芳香族炭化水素であり、R2は水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシ基であり、nは1〜13の整数である。]
【0014】
また、本発明は、前記短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物を所定のパターンに形成した後、露光及び現像して形成されるカラー層を含んで成るカラーフィルタを提供する。
【0015】
また、本発明は、前記カラーフィルタを含む液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物は、特定開始剤及びシリコン化合物を含むことで、非常に小量の短波長レーザ光源で露光しても感度(sensitivity)及び分解能(resolution)が優れ、且つ短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物と基材の間の密着力が優れて、現像過程中にパターンが剥離されることなく高い信頼性を発揮することができる。
【0017】
これによって、本発明に係る短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物は、カラーフィルタの製造に適用される場合、工程時間が短縮され且つ工程特性が改善され、画素部に表面不良などが発生しないので、高信頼性及び高品質のカラーフィルタの製造を可能とする。
【0018】
したがって、本発明に係る短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物は、電子工業分野における液晶表示装置用カラーフィルタのような各種高品質カラーフィルタの製造に非常に好ましく使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をより詳しく説明する。しかし、これは説明のためのものであって、本発明の範囲を制限する方法として解釈されてはならない。
【0020】
本発明は、光重合開始剤(A)、シリコン化合物(B)、結合剤樹脂(C)、光重合性化合物(D)、着色材料(E)及び溶剤(F)を含む短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物を提供する。
【0021】
<光重合開始剤(A)>
本発明に係る短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物は、光重合開始剤(A)として下記式(1)のオキシムエステル系光重合開始剤を含む。
【0022】
【化3】


[前記式(1)中、R1、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子、R、OR、COR、SR、CONRR’またはCNであり、R及びR’は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数7〜13のアラルキル基または炭素原子数5〜7の複素環基を示し、これらはハロゲン原子または複素環基で置換または非置換され、これらのうちアルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合によって連結されることができ、前記R及びR’は一緒に環を形成することができる。R4、R5、R6、R7はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を示し、R8は炭素原子数0〜10のアルキル基を示し、Y1、Y2、Y3はそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を示し、Xはハロゲン原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を示す。]
【0023】
好ましくは、前記式(1)中R及びR’で示されるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、アミル、イソアミル、tert‐アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2‐エチルヘキシル、tert‐オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ビニル、アリール、ブテニル、エチニル、プロピニル、メトキシエチル、エトキシエチル、プロピルオキシエチル、メトキシエトキシエチル、エトキシエトキシエチル、プロピルオキシエトキシエチル、メトキシプロピル、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、ペルフルオロエチル、2‐(ベンゾオキサゾール‐2’‐イル)エテニル等を使用することができ、その中でも炭素原子数1〜8のアルキル基が好ましい。また、R及びR’で示されるアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、クロロフェニル、ナフチル、アントリル(anthryl)、フェナントレニル(phenan threnyl)などを使用することができ、その中でも炭素原子数6〜12のアリール基が好ましい。また、R及びR’で表示されるアルキル基としては、例えば、ベンジル、クロロベンジル、α‐メチルベンジル、α,α‐ジメチルベンジル、フェニルエチル、フェニルエテニルなどの炭素原子数7〜13のアラルキル基を好ましく使用することができる。R及びR’で示す複素環基としては、例えば、ピリジル、ピリミジル、フリル(furyl)、チオフェニルなどの炭素原子数5〜7の複素環基を好ましく使用することができる。また、R及びR’が一緒に形成できる環としては、例えば、ピペリジン環、モルホリン環などの炭素原子数5〜7の環を好ましく挙げることができる。また、R及びR’は、フッ素、塩素、臭素、ヨードなどのハロゲン元素で置換されるかピリジル、ピリミジル、フリル、ベンゾオキサゾール‐2‐イル、テトラヒドロピラニル、ピロリジル(pyrrolidyl)、イミダゾリジル、ピラゾリジル(pyrazolidyl)、チアゾリジル(thiazolidyl)、イソチアゾリジル(isothiazolidyl)、オキサゾリジル(oxazolidyl)、イソオキサゾリジル(isooxazolidyl)、ピペリジル(piperidyl)、ピペラジル(piperadyl)、モルホリニルなどの炭素原子数5〜7の複素環基で置換されることができる。
【0024】
Xで示すハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨードを使用することができる。また、Xで表すアルキル基としては、ハロゲン原子で置換されるかまたは置換されないメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、アミル、イソアミル、tert‐アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2‐エチルヘキシル、tert‐オクチルを使用することができる。前記式(1)においてR4、R5、R6、R7で示すハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨードを使用することができる。また、前記式(1)において、R4、R5、R6、R7で示すアルキル基としては、ハロゲン原子で置換されるかまたは置換されないメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec‐ブチル、tert‐ブチル、アミル、イソアミル、tert‐アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2‐エチルヘキシル、tert‐オクチルを使用することができる。
【0025】
前記式(1)で表示される本発明のオキシムエステル化合物の好ましい具体例としては、下記の式(3)〜(15)の化合物を挙げることができる。但し、本発明は下記の化合物によって制限されるものではない。
【0026】
【化4】

【0027】
【化5】

【0028】
【化6】

【0029】
【化7】

【0030】
【化8】

【0031】
【化9】

【0032】
【化10】

【0033】
【化11】

【0034】
【化12】

【0035】
【化13】

【0036】
【化14】

【0037】
【化15】

【0038】
【化16】

【0039】
前記式(1)の構造を有する市販品としてN‐1919(株式会社ADEKA)などがある。
【0040】
本発明に係る短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物に添加される光重合開始剤(A)は、前記式(1)の光重合開始剤以外に他の光重合開始剤をさらに含むことができる。前記式(1)の光重合開始剤は、短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物中の光重合開始剤に対して質量分率で50質量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは60〜70質量%含まれることが良い。
【0041】
前記範囲で式(1)の光重合開始剤が含まれる場合、低露光量でも感度と信頼性が優れて画素部に表面不良などが発生せず、表面の平坦性も高く、パターンの損失のない良いテーパーと直進性を確保することができる。
【0042】
前記式(1)で表示されるオキシムエステル系光重合開始剤の他の光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物及びオキシム化合物からなるグループから選択される1種以上の化合物が使用されることができる。
【0043】
前記アセトフェノン系化合物としては、例えば、2‐メチル‐1‐(4‐メチルチオフェニル)‐2‐モルホリノプロパン‐1‐オン、ジエトキシアセトフェノン、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン‐1‐オン、ベンジルジメチルケータル、2‐ヒドロキシ‐1‐[4‐(2‐ヒドロキシエトキシ)フェニル]‐2‐メチルプロパン‐1‐オン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2‐ベンジル‐2‐ジメチルアミノ‐1‐(4‐モルホリノフェニル)ブタン‐1‐オン、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐[4‐(1‐メチルビニル)フェニル]プロパン‐1‐オンのオリゴマーなどがある。
【0044】
また、前記アセトフェノン系化合物としては、上記の化合物の他に下記式(16)で表示される化合物を使用することもできる。
【化17】

【0045】
前記式(16)中、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素原子数1〜12のアルキル基によって置換または非置換されたフェニル基、炭素原子数1〜12のアルキル基によって置換または非置換されたベンジル基、または炭素原子数1〜12のアルキル基によって置換または非置換されたナフチル基を示す。
【0046】
前記式(16)で表示される化合物としては、具体的に2‐メチル‐2‐アミノ(4‐モルホリノフェニル)エタン‐1‐オン、2‐エチル‐2‐アミノ(4‐モルホリノフェニル)エタン‐1‐オン、2‐プロピル‐2‐アミノ(4‐モルホリノフェニル)エタン‐1‐オン、2‐ブチル‐2‐アミノ(4‐モルホリノフェニル)エタン‐1‐オン、2‐メチル‐2‐アミノ(4‐モルホリノフェニル)プロパン‐1‐オン、2‐メチル‐2‐アミノ(4‐モルホリノフェニル)ブタン‐1‐オン、2‐エチル‐2‐アミノ(4‐モルホリノフェニル)プロパン‐1‐オン、2‐エチル‐2‐アミノ(4‐モルホリノフェニル)ブタン‐1‐オン、2‐メチル‐2‐メチルアミノ(4‐モルホリノフェニル)プロパン‐1‐オン、2‐メチル‐2‐ジメチルアミノ(4‐モルホリノフェニル)プロパン‐1‐オン、2‐メチル‐2‐ジエチルアミノ(4‐モルホリノフェニル)プロパン‐1‐オンなどがある。
【0047】
前記ビイミダゾール系化合物としては、具体的に2,2’‐ビス(2‐クロロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニルビイミダゾール、2,2’‐ビス(2,3‐ジクロロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニルビイミダゾール、2,2’‐ビス(2‐クロロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’‐ビス(2‐クロロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール、前記ビイミダゾール化合物中4,4’,5,5’位置のフェニル基がカルボアルコキシ基によって置換されているイミダゾール化合物などがある。これらのうち2,2’ビス(2‐クロロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニルビイミダゾール、2,2’‐ビス(2,3‐ジクロロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニルビイミダゾールが好ましく使用される。
【0048】
前記オキシム化合物としては、例えば、下記式(17)の0‐エトキシカルボニル‐α‐オキシイミノ‐1‐フェニルプロパン‐1‐オンなどがある。
【化18】

【0049】
また、本発明の効果を損傷しない程度であれば当分野で通常使用されているその他の光重合開始剤などを追加に併用することもできる。その他の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アントラセン系化合物などを使用することができる。これらは、それぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0050】
前記ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどがある。
【0051】
前記ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、0‐ベンゾイル安息香酸メチル、4‐フェニルベンゾフェノン、4‐ベンゾイル‐4’‐メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’‐テトラ(tert‐ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6‐トリメチルベンゾフェノンなどがある。
【0052】
前記チオキサントン系化合物としては、例えば、2‐イソプロピルチオキサントン、2,4‐ジエチルチオキサントン、2,4‐ジクロロチオキサントン、1‐クロロ‐4‐プロポキシチオキサントンなどがある。
【0053】
前記アントラセン系化合物としては、例えば、9,10‐ジメトキシアントラセン、2‐エチル‐9,10‐ジメトキシアントラセン、9,10‐ジエトキシアントラセン、2‐エチル‐9,10‐ジエトキシアントラセンなどがある。
【0054】
その他の光重合開始剤としては、2,4,6‐トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、10‐ブチル‐2‐クロロアクリドン、2‐エチルアントラキノン、ベンジル、9,10‐フェナントレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などを使用することができる。
【0055】
また、連鎖移動を起こすことができる基を有する光重合開始剤を使用することもでき、該光重合開始剤としては、例えば日本特許公表2002‐544205号公報に記載されている。
【0056】
前記光重合開始剤(A)は、短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物中の固形分に対して質量分率で3〜20質量%、より好ましくは5〜10質量%含まれることが好ましい。光重合開始剤(A)が前記含量範囲内で含まれると、高感度化によって露出時間が短縮されて生産性が向上し、また高解像度を維持することができるので好ましい。
【0057】
本発明によると、光重合開始剤(A)に光重合開始助剤(A‐1)を併用することが好ましい。光重合開始助剤(A‐1)を併用すれば、これらを含有する短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物の感度はさらに高くなり、その組成物を使用してカラーフィルタを形成する時の生産性が向上するので好ましい。
【0058】
前記光重合開始助剤(A‐1)の使用量は、短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物中の固形分に対して質量分率で通常0.1〜50質量%、好ましくは1〜40質量%でる。また、光重合開始助剤(A‐1)の使用量が前記の範囲にあれば、短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物の感度がさらに高くなり、その組成物を使用して形成されるカラーフィルタの生産性が向上するので好ましい。
【0059】
光重合開始助剤(A‐1)としては、アミン化合物、カルボキシル酸化合物が好ましく使用される。
【0060】
前記アミン化合物の具体例としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの脂肪族アミン化合物、4‐ジメチルアミノ安息香酸メチル、4‐ジメチルアミノ安息香酸エチル、4‐ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4‐ジメチルアミノ安息香酸2‐エチルヘキシル、安息香酸2‐ジメチルアミノエチル、N,N‐ジメチルパラトルイジン、4,4’‐ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称:ミヒラーケトン)、4,4’‐ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族アミン化合物を挙げることができる。アミン化合物としては芳香族アミン化合物が好ましく使用される。
【0061】
前記カルボキシル酸化合物としては、具体的にフェニルチオ酢酸、メチルフェニルチオ酢酸、エチルフェニルチオ酢酸、メチルエチルフェニルチオ酢酸、ジメチルフェニルチオ酢酸、メトキシフェニルチオ酢酸、ジメトキシフェニルチオ酢酸、クロロフェニルチオ酢酸、ジクロロフェニルチオ酢酸、N‐フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N‐ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸などの芳香族ヘテロ酢酸類がある。
【0062】
<シリコン化合物(B)>
本発明に係る短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物はシリコン化合物(B)を含む。
【0063】
前記シリコン化合物(B)は下記式(2)で表示され、ゾル‐ゲル工程を通じてケージ型またはラダー型構造などの立体的な混合型構造を有することが良い。
【0064】
【化19】


[前記式(2)中、R1はグリシジル基、(メタ)アクリロイル基、アミノプロピル基、メルカプトプロピル基、シアノプロピル基及びイソシアネートプロピル基からなるグループから選択される何れか一つの有機官能基であるか、前記グループから選択される何れか一つの有機官能基を有する炭素原子数1〜20の脂肪族または芳香族炭化水素であり、R2は水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシ基であり、nは1〜13の整数である。]
【0065】
これに制限されるのではないが、前記式(2)中においてR1は(メタ)アクリロイル基であることがより好ましい。
【0066】
前記式(2)で表現されるシリコン化合物(B)としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2‐メトキシエトキシ)シラン、N‐(2‐アミノエチル)3‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N‐(2‐アミノエチル)3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3‐クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3‐クロロプロピルトリメトキシシラン、3‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3‐アクリロキシプロピルトリメトキシシランまたは3‐アクリロキシプロピルトリクロロシランから選択される化合物を単独または二人以上の組合にしてゾル‐ゲル工程を経て製造されたものを使用することができ、その中でもメタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3‐アクリロキシプロピルトリメトキシシランまたは3‐アクリロキシプロピルトリクロロシランから選択された化合物をそれぞれ単独でまたは二つ以上の組合にしてゾル‐ゲル工程を経て製造されたものが好ましく、より好ましくは3‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシランからゾル‐ゲル工程を通じて得られたものを使用することが好ましい。
【0067】
前記シリコン化合物(B)は、短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物中の固形分に対して質量分率で0.1〜2.0質量%、より好ましくは0.3〜0.8質量%含まれることが好ましい。前記シリコン化合物(B)の含量が前記基準で0.1重量%未満であれば基板及び遮光層との接着力が良くないためパターンが剥離されるようになり、2重量%を超過すれば下層膜または基板に残膜が形成されて、現像速度が遅くなったり残渣が発生したりするおそれがある。特にシリコン化合物(B)は、短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物中の光重合開始剤(A)100質量部に対して1〜10質量部、より好ましくは5〜10質量部が含まれると、光重合開始剤の高感度化効果とともに基板への密着性を極大化することができる。
【0068】
<結合剤樹脂(C)>
本発明の短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物に含有される結合剤樹脂(C)は、着色材料(E)に対する結合剤樹脂として作用するものであって、カラーフィルタの製造のための現像段階で使用されたアルカリ性現像液に溶解可能な重合体であれば何れも使用することができる。
【0069】
前記結合剤樹脂(C)としては、例えば、カルボキシル基含有単量体、及びこの単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体などを使用することができる。
【0070】
前記カルボキシル基含有単量体としては、例えば、不飽和モノカルボキシル酸や、不飽和ジカルボキシル酸、不飽和トリカルボキシル酸などの分子中に1個以上のカルボキシル基を有する不飽和多価カルボキシル酸などの不飽和カルボキシル酸などがある。
【0071】
ここで、不飽和モノカルボキシル酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α‐クロロアクリル酸、桂皮酸などがある。
【0072】
前記不飽和ジカルボキシル酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などがある。
【0073】
前記不飽和多価カルボキシル酸は酸無水物であってもよく、具体的にはマレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物などがある。
【0074】
また、前記不飽和多価カルボキシル酸は、それのモノ(2‐メタクリロイルオキシアルキル)エステルであってもよく、例えばコハク酸モノ(2‐アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2‐メタクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2‐アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2‐メタクリロイルオキシエチル)などがある。
【0075】
前記不飽和多価カルボキシル酸は、その両末端ジカルボキシ重合体のモノ(メタ)アクリレートであってもよく、例えばω‐カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω‐カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレートなどがある。
【0076】
これらのカルボキシル基含有単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0077】
前記カルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えばスチレン、α‐メチルスチレン、o‐ビニルトルエン、m‐ビニルトルエン、p‐ビニルトルエン、p‐クロロスチレン、o‐メトキシスチレン、m‐メトキシスチレン、p‐メトキシスチレン、o‐ビニルベンジルメチルエーテル、m‐ビニルベンジルメチルエーテル、p‐ビニルベンジルメチルエーテル、o‐ビニルベンジルグリシジルエーテル、m‐ビニルベンジルグリシジルエーテル、p‐ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデンなどの芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n‐プロピルアクリレート、n‐プロピルメタクリレート、i‐プロピルアクリレート、i‐プロピルメタクリレート、n‐ブチルアクリレート、n‐ブチルメタクリレート、i‐ブチルアクリレート、i‐ブチルメタクリレート、sec‐ブチルアクリレート、sec‐ブチルメタクリレート、t‐ブチルアクリレート、t‐ブチルメタクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート、2‐ヒドロキシプロピルアクリレート、2‐ヒドロキシプロピルメタクリレート、3‐ヒドロキシプロピルアクリレート、3‐ヒドロキシプロピルメタクリレート、2‐ヒドロキシブチルアクリレート、2‐ヒドロキシブチルメタクリレート、3‐ヒドロキシブチルアクリレート、3‐ヒドロキシブチルメタクリレート、4‐ヒドロキシブチルアクリレート、4‐ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2‐メトキシエチルアクリレート、2‐メトキシエチルメタクリレート、2‐フェノキシエチルアクリレート、2‐フェノキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエニルメタクリレート、2‐ヒドロキシ‐3‐フェノキシプロピルアクリレート、2‐ヒドロキシ‐3‐フェノキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロ‐ルモノメタクリレートなどの不飽和カルボキシル酸エステル類;2‐アミノエチルアクリレート、2‐アミノエチルメタクリレート、2‐ジメチルアミノエチルアクリレート、2‐ジメチルアミノエチルメタクリレート、2‐アミノプロピルアクリレート、2‐アミノプロピルメタクリレート、2‐ジメチルアミノプロピルアクリレート、2‐ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3‐アミノプロピルアクリレート、3‐アミノプロピルメタクリレート、3‐ジメチルアミノプロピルアクリレート、3‐ジメチルアミノプロピルメタクリレートなどの不飽和カルボキシル酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボキシル酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボキシル酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α‐クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α‐クロロアクリルアミド、N‐2‐ヒドロキシエチルアクリルアミド、N‐2‐ヒドロキシエチルメタクリルアミドなどの不飽和アミド類;マレイミド、N‐フェニルマレイミド、N‐シクロヘキシルマレイミドなどの不飽和イミド類;1,3‐ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの脂肪族共役ジエン類;ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ‐n‐ブチルアクリレート、ポリ‐n‐ブチルメタクリレート、ポリシロキサンの重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基またはモノメタクリロイル基を有する巨大単量体類などがある。これらの単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0078】
前記結合剤樹脂(C)中のカルボキシル基含有単量体単位の含有量は、質量分率で通常10〜50質量%であり、好ましくは15〜40質量%であり、より好ましくは25〜40質量%である。カルボキシル基含有単量体単位の含有量が10〜50質量%であれば現像液に対する溶解性が良好であり、現像時パターンが正確に形成されるので好ましい。
前記結合剤樹脂としては、例えば(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリスチレン巨大単量体共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリメチル(メタ)アクリレート巨大単量体共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレン巨大単量体共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチル(メタ)アクリレート巨大単量体共重合体、(メタ)アクリル酸/2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレン巨大単量体共重合体、(メタ)アクリル酸/2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチル(メタ)アクリレート巨大単量体共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N‐フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/コハク酸モノ(2‐アクリロイルオキシ)/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N‐フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/コハク酸モノ(2‐アクリロイルオキシエチル)/スチレン/アリル(メタ)アクリレート/N‐フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/N‐フェニルマレイミド/スチレン/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体などがある。これらのうち(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/スチレン共重合体が好ましく使用される。
【0079】
本発明の結合剤樹脂は、酸価が20〜200(mgKOH/g)の範囲にあることが好ましい。酸価が前記範囲にあれば、現像液に対する溶解性が向上し、非露出部が容易に溶解されて感度が増加し、結果的に露出部のパターンが現像時に残って残膜率(film remaining ratio)を改善するようになるので好ましい。ここで酸価とは、アクリル系重合体1gを中和させるために必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であって、通常、水酸化カリウム水溶液を使用して滴定することで得ることができる。
【0080】
また、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC;テトラヒドロフランを溶出溶媒とする)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、簡単に「重量平均分子量」とする)が3000〜200000、好ましくは5000〜100000であるアルカリ可溶性樹脂が好ましい。分子量が前記範囲にあれば、コーティングフィルムの硬度が向上して、残膜率が高くなり、現像液に対する非露出部の溶解性が優れて解像度が向上するので好ましい。
【0081】
本発明に係る結合剤樹脂(C)は、短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物中の固形分に対して質量分率で10〜80質量%、好ましくは20〜70質量%含まれることが好ましい。前記範囲であれば、パターンが形成されることができ、解像度及び残膜率が向上するので好ましい。
【0082】
<光重合性化合物(D)>
本発明の短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物に含有される光重合性化合物(D)は、光及び光重合開始剤の作用で重合することができる化合物であって、単官能単量体、2官能単量体及びその他の多官能単量体を含むことができる。
【0083】
前記単官能単量体としては、具体的にノニルフェニルカルビトールアクリレート、2‐ヒドロキシ‐3‐フェノキシプロピルアクリレート、2‐エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、N‐ビニルピロリドンなどがある。
【0084】
前記2官能単量体としては、具体的に1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテル、3‐メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどがある。
【0085】
その他の多官能単量体としては、具体的にトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどがある。
これらのうち2官能以上の多官能単量体が好ましく使用される。
【0086】
前記光重合性化合物(D)は、短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物中の固形分に対して質量分率で1〜80質量%含まれることが好ましい。光重合性化合物(D)が前記範囲にあれば、画素部の強度や平滑性が良好になるので好ましい。
【0087】
<着色材料(E)>
本発明で使用される着色材料(E)はその色調が限定されず、得られるカラーフィルタの用途によって選定可能である。具体的に、顔料、染料または天然色素のうち何れか一つであってもよく、その中でも耐熱性、発色性が優れていることから有機顔料が好ましく使用される。有機顔料及び無機顔料として、具体的にはカラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物を使用することができる。
【0088】
もっと具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー53、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー86、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー125、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー137、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー148、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー173、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー194、C.I.ピグメントイエロー214などの黄色顔料;C.I.ピグメントオレンジ(Pigment Orange)13、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ42、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ55、C.I.ピグメントオレンジ59、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ65、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73などのオレンジ色顔料;C.I.ピグメントレッド(Pigment Red)9、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド265などの赤色顔料;C.I.ピグメントブルー(Pigment Blue)15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60などの青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット(Pigment Violet)1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I、ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38などのバイオレット色顔料;C.I.ピグメントグリーン(Pigment Green)7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58などの緑色顔料;C.I.ピグメントブラウン(Pigment Brown)23、C.I.ピグメントブラウン25などのブラウン色顔料;C.I.ピグメントブラック(Pigment Black)1、C.I.ピグメントブラック7などの黒色顔料などを使用することができる。このうち、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントグリーン36及びC.I.ピグメントグリーン58から選択された一つ以上の顔料を含むことが好ましい。
【0089】
特に、これらの有機顔料及び無機顔料はそれぞれ単独で使用されることができ、2種類以上を混合して使用されることもできる。例えば、赤色画素を形成するにはC.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントイエロー139を含むこと、緑色画素を形成するにはC.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントイエロー150及びC.I.ピグメントイエロー138からなるグループから選択された一つ以上を含むこと、青色画素を形成するにはC.I.ピグメントブルー15:6を含むことがそれぞれ好ましい。
【0090】
このような着色材料(E)の含有量は、短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物中の固形分に対して質量分率で通常10〜70重量%、好ましくは20〜60重量%の範囲にある。前記範囲にあれば、カラーフィルタとして作られた時のカラー濃度が十分で組成物重合体が組成物中に必要量で含有されることができるので、機械的強度が十分なパターンを形成することができる。
【0091】
本発明で短波長レーザ露光装置用着色感光性組成物中の固形分とは、溶剤を取り除いた成分の合計を意味する。
【0092】
前記顔料のうち有機顔料には、必要によって、酸性基または塩基性基が導入された顔料誘導体などを用いた表面処理、重合体化合物などによる顔料の表面のグラフト処理、硫酸微粒化(refinement)などによる微粒化処理、または不純物を取り除くための有機溶媒及び水などによる洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法などによる除去処理などをすることができる。
【0093】
着色材料(E)の粒径が均一であることが好ましい。着色材料が顔料である場合は、顔料分散剤を含有させて分散処理を行うことで、顔料が溶液中に均一に分散した状態の顔料分散液を得ることができる。
【0094】
前記顔料分散剤としては、例えば、陽イオン系、陰イオン系、非イオン系、陽性、ポリエステル系及びポリアミン系などの界面活性剤を使用することができ、これらはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0095】
顔料分散剤を使用する場合、その使用量は、短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物中の着色材料1重量部当たり好ましくは1重量部以下であり、より好ましくは0.05重量部以上0.5重量部以下である。顔料分散剤の使用量が前記範囲にあれば、均一な分散状態の顔料が得られるので好ましい。
【0096】
<溶剤(F)>
本発明の短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物に含有される溶剤(F)は、特に制限されず、着色感光性樹脂組成物の分野で使用されている各種有機溶剤を使用することができる。
【0097】
本発明の短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物中の溶剤(F)の含有量は、それを含む短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物全体量に対して質量分率で、通常60〜90質量%、好ましくは70〜85質量%である。溶剤(F)の含有量が上記の基準で60〜90質量%の範囲にあれば、ロールコーター、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター(ダイコーターとする場合もある)、インクジェットなどの塗布装置で塗布した時に塗布性が良好になるので好ましい。
【0098】
使用可能な溶剤(F)の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類;酢酸メチルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類;3‐エトキシプロピオン酸エチル、3‐メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類;γ‐ブチロラクトンなどの環状エステル類などがある。
【0099】
前記溶剤のうち、塗布性及び乾燥性を考慮すると、好ましくは前記溶剤のうち沸点が100〜200℃の有機溶剤を使用することができ、より好ましくはアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、3‐エトキシプロピオン酸エチルや3‐メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類を使用することができ、さらに好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3‐エトキシプロピオン酸エチルまたは3‐メトキシプロピオン酸メチルなどを使用することができる。
これらの溶剤(F)は、それぞれ単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0100】
本発明の短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物には、必要によって上述の成分の他に、充填剤、他の高分子化合物、顔料分散剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤などの添加剤を添加することも可能である。
【0101】
前記充填剤としては、具体的にガラス、シリカ、アルミナなどを使用することができる。
【0102】
前記他の高分子化合物としては、具体的にエポキシ樹脂、マレイミド樹脂などの硬化性樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂などを使用することができる。
【0103】
前記顔料分散剤としては、市販される界面活性剤を用いることができ、例えばシリコン系、フッ素系、エステル系、陽イオン系、陰イオン系、非イオン系、陽性などの界面活性剤などを用いることができる。これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用されることができる。
【0104】
前記界面活性剤として、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類などがあり、その他に、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(POLYFLOW)(共栄社化学(株)製)、エフトップ(EFTOP)(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(MEGAFAC)(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラード(Fluorad)(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード(Asahi guard)、サーフロン(Surflon)(以上、旭硝子(株)製造)、SOLSPERSE(ゼネカ(株)製)、EFKA(EFKA ケミカル社製)、PB821(味の素(株)製)などを使用することができる。
【0105】
前記紫外線吸収剤としては、具体的に2‐(3‐tert‐ブチル‐2‐ヒドロキシ‐5‐メチルフェニル)‐5‐クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなどを使用することができる。
【0106】
前記凝集防止剤としては、具体的にポリアクリル酸ナトリウムなどを使用することができる。
【0107】
本発明の短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物は、例えば以下のような方法によって製造することができる。着色材料(E)を予め溶剤(F)と混合し、着色材料の平均粒径が0.2um以下程度になるまでビーズミルなどを用いて分散させる。この時、必要によって顔料分散剤が使用され、また結合剤樹脂(C)の一部または全部が配合される場合もある。得られた分散液(以下、ミルベースとする場合もある)に結合剤樹脂(C)の残分、単官能添加剤、光重合性化合物(D)及び光重合開始剤(A)、必要によって使用されるその他の成分、必要によって追加の溶剤を所定の濃度になるようにもっと添加すると、目的とする短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0108】
以下では、本発明に係る短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物を使用してパターンを形成する方法について説明する。
【0109】
本発明に係る短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物のパターン形成方法は、上述の短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物を基材上に塗布する段階、前記短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物の一部領域を選択的に露光する段階、及び前記短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物の露光領域または非露光領域を取り除く段階を含む。
【0110】
その一例として、下記のように基材上に上述の短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物を塗布し、光硬化及び現像によってパターンを形成するようになり、着色画素(着色画像)として使用できるようになる。ここで、基材としてはガラス或いはシリコンウェハを使用することができるが、本発明がこれに制限されるのではない。
【0111】
まず、本発明に係る短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物を基材に塗布するかまたは先に形成された短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物の固形分を含む層上に塗布して予備乾燥することで、溶剤などの揮発成分を取り除いて平滑な塗膜を得る。この時の塗膜の厚さは略0.5um〜4um程度である。
【0112】
上記のようにして得られた塗膜に目的とするパターンを得るために、マスクを介して特定領域に紫外線を照射する。この時、露光部全体に均一に平行光線が照射され、マスクと基板の位置が正確に整列されるようにマスクアライナやステッパーなどの装置を使用することが好ましい。また、以後、硬化が終了した塗膜をアルカリ水溶液に接触させ、非露光領域を溶解させて現像することで、目的とするパターンを形成することができる。現像後、必要によって120〜230℃で10〜60分程度の後乾燥を実施することができる。
【0113】
パターン化露光後の現像に使用する現像液は、通常、アルカリ性化合物と界面活性剤を含む水溶液である。
【0114】
アルカリ性化合物は、無機及び有機アルカリ性化合物のうち何れでもよい。無機アルカリ性化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸二水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニアなどがある。また、有機アルカリ性化合物の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2‐ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミンなどがある。これらの無機及び有機アルカリ性化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0115】
アルカリ現像液中の前記アルカリ性化合物の好ましい濃度は、0.01〜10質量%の範囲にあり、より好ましくは0.03〜5質量%である。
【0116】
アルカリ現像液中の界面活性剤は、非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤または陽イオン系界面活性剤のうち何れも使用することができる。前記非イオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどがある。前記陰イオン系界面活性剤の具体例としては、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウムやオレイルアルコール硫酸エステルナトリウムなどの高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類などがある。前記陽イオン系界面活性剤の具体例としては、ステアリルアミン塩酸塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアミン塩または4級アンモニウム塩などがある。これらの界面活性剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0117】
アルカリ現像液中の前記界面活性剤の濃度は、通常、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜8質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0118】
以下では、本発明に係るカラーフィルタを説明する。
【0119】
本発明に係るカラーフィルタは、上述の短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物を所定のパターンに露光、現像して形成されるカラー層を含む。
【0120】
短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物のパターン形成方法は上述した通りであるので、詳しい説明は省略する。
【0121】
上述したように、短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂溶液の塗布、乾燥、得られる乾燥塗膜へのパターン化露光、そして現像といった各操作を通じて短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物中の着色材料の色に相当する画素またはブラックマトリックスが得られる。また、このような操作をカラーフィルタに必要とする色の数だけ繰り返すことで、カラーフィルタを得ることができる。カラーフィルタの構成及び製造方法は本技術分野においてよく知られているので、詳しい説明は省略する。
【0122】
本発明の短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物を使用して製造されたカラーフィルタは面内の膜厚差が小さいが、例えば0.5〜4umの膜厚で面内の膜厚差を0.15um以下、さらに0.05um以下にすることができる。これによって得られるカラーフィルタは平滑性が優れて、これをカラー液晶表示装置、撮像素子に組み立てることで、高品質の液晶表示装置、撮像素子を高い収率で製造することができる。
【0123】
本発明は上述のカラーフィルタを含む液晶表示装置を提供する。
【0124】
本発明の液晶表示装置は、上述のカラーフィルタを備えたことを除いて本技術分野で知られている構成を含む。すなわち、本発明のカラーフィルタを適用できる液晶表示装置は全て本発明に含まれる。一例として、薄膜トランジスタ(TFT素子)、画素電極及び配向層を備えた対向電極基板を所定の間隔で対向するようにし、この間隙部に液晶材料を注入して液晶層とした透過型の液晶表示装置がある。また、カラーフィルタの基板とカラー層の間に反射層を設けた反射型の液晶表示装置もある。
【0125】
また他の一例として、カラーフィルタの透明電極上に結合されたTFT(薄膜トランジスタ:Thin Film Transistor)基板及び、TFT基板がカラーフィルタと重畳する位置に固定されたバックライトを含む液晶表示装置がある。前記TFT基板は、カラーフィルタの周辺表面を取り囲む光防止樹脂(light‐proof resin)からなる外部フレーム、外部フレーム内に付加されたネマティック液晶からなる液晶層、液晶層の各領域ごとに提供された多数の画素電極、画素電極が形成された透明ガラス基板、及び透明ガラス基板の露出した表面上に形成された偏光板を備えることができる。
【0126】
偏光板は、垂直に横切る偏光方向を有し、ポリビニルアルコールのような有機材料で構成されている。多数の画素電極は、それぞれTFT基板のガラス基板上に形成された複数の薄膜トランジスタと連結されている。もし特定の画素電極に所定の電位差が適用されれば、所定の電圧が特定画素電極と透明電極間に適用される。よって、電圧によって形成された電場が液晶層の特定画素電極に該当する領域の配向を変化させる。
【0127】
以下では、本発明を実施例に基づいてより詳しく説明するが、下記に開示される本発明の実施形態はただの例示であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されない。本発明の範囲は特許請求の範囲に表示されており、さらに特許請求の範囲の記載と均等な意味及び範囲内における全ての変更を含める。
【実施例】
【0128】
以下の実施例、比較例において含有量を表す「%」及び「部」は特に言及しない限り質量を基準とする。
【0129】
まず、本発明に係る短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物を製造するために、シリコン化合物として、加水分解反応を経た有機官能基を有するシリコン化合物を準備した。下記の合成例1、2、3は密着性増進のためのシリコン化合物を製造する合成例である。
【0130】
<合成例1>
撹拌機、温度計及びpHメータを備えた反応容器に3‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MTMS:GE‐東芝製A‐174)80mlを入れ、メタノール15mlにpH2.5のマロン酸水溶液5mlを混合製造した混合液20mlを滴下漏斗に入れて、反応容器を撹拌しながら常温でメタノールとマロン酸水溶液混合液を30分間滴下させた。滴下終了後、常温を維持しながら2時間撹拌した。2時間の撹拌後、減圧下で溶媒を取り除いた。無水硫酸マグネシウムで残存する蒸留水を脱水し、無水硫酸マグネシウムを濾過分別した。上記の過程で、最終的に得られるシリコン化合物は、密着性増進に最適の性能を示す無色の粘性液体であるシリコンゾル状態で存在するようになる。
【0131】
<合成例2>
合成例1と同様の容器に、3‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS:GE‐東芝製A‐187)に変更したこと以外には合成例1と同様に合成した。
【0132】
<実施例1‐5及び比較例1‐4>
表1及び表2に記載の各成分を混合溶解して光重合組成物を製造した。
【0133】
【表1】

【0134】
【表2】

【0135】
(A‐1)2‐ベンジル‐2‐ジメチルアミノ‐1‐(4‐モルホリノ‐フェニル)ブタン‐1‐オン[Irgacure 369;Ciba Specialty Chemical社製]
(A‐2)4,4’‐ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン[EAB‐F;保土ヶ谷化学(株)製]
(A‐3)(E)‐1‐(1‐(6‐(4‐((2,2‐dimethyl‐1,3‐dioxolan‐4‐yl)methoxy)‐2‐methylbenzoyl)‐9‐ethyl‐9,9a‐dihydro‐4aH‐carbazol‐3‐yl)ethylideneaminooxy)ethanone[N‐1919<製造社:株式会社ADEKA>]
(A‐4)トリクロロメチルトリアジン
(B‐1)シリコン化合物<合成例1>
(B‐2)シリコン化合物<合成例2>
(B‐3)シリコン化合物:3‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン
(B‐4)シリコン化合物:ビニルトリメトキシシラン
(C‐1)メタクリル酸とベンジルメタクリレートとの共重合体(メタクリル酸単位とベンジルメタクリレート単位との比は、モル比で25:75、酸価は82、ポリスチレン換算重量平均分子量は28000)
(D‐1)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(E‐1)C.I.ピグメントレッド254
(E‐2)C.I.ピグメントレッド177
(E‐3)C.I.ピグメントイエロー150
(F‐1)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(F‐2)3‐エトキシプロピオン酸エチル
(F‐3)メトキシプロパノール
【0136】
<実験例>
前記実施例1〜5と比較例1〜4のカラーフィルタ用着色感光性樹脂組成物をスピンコーティング法でガラス基板上に塗布した後、加熱板上に載置し、100℃の温度で3分間維持して薄膜を形成した。続いて、前記薄膜上に透過率1〜100%の範囲で階段状に変化させるフォトマスクとの間隔を100umにし、露光量30mJ/cmを照射し、1umから100umまでのライン/スペースパターンを有する試験フォトマスクを載置し、試験フォトマスクとの間隔を200umにし、露光量30mJ/cmを照射した。
【0137】
前記実施例1〜5と比較例1〜4のカラーフィルタ用着色感光性樹脂組成物で製造されたカラーフィルタを対象として、感度、輝度減少、テーパー及びパターン直進性を評価し、その結果を下記の表3に記載した。
【0138】
<感度>
現像しても表面粗さのないパターンを形成するために必要な最低必要露光量として、
○:15mJ以下で表面粗さ無し
△:15mJ超過30mJ以下
X:30mJ超過
【0139】
<テーパー形状>
画素表面の形状をSEM(10000倍率)を用いて観察した。
○:パターンプロファイル(Pattern profile)及び直進性良好
△:パターンプロファイル(Pattern profile)良好
X:パターンプロファイル(Pattern profile)不良
【0140】
<密着性>
画素表面の形状を顕微鏡(500倍率)を用いて観察した。
○:パターンエッジ(Pattern edge)部のパターン剥離良好
△:パターンエッジ(Pattern edge)部のパターン剥離普通
X:パターンエッジ(Pattern edge)部のパターン剥離不良
【0141】
<残渣>
画素の透過率測定及び表面形状を顕微鏡(500倍率)を用いて観察した。
○:残渣、透過率良好
△:残渣良好、透過率不良
X:残渣、透過率不良
【0142】
【表3】

【0143】
前記実施例1〜5と比較例1〜4のカラーフィルタ用着色感光性樹脂組成物で製造されたカラーフィルタを評価した結果、式(1)で表示されるオキシムエステル系重合開始剤(A‐3)と式(2)で表示されるシリコン化合物を必須成分とする組成物が、式(1)で表示されるオキシムエステル系重合開始剤を必須成分として使用しないか、または必須成分として使用してもシリコン化合物を使用しない組成物に比べて、少量の露光にもかかわらず感度、テーパー、パターン密着性及び残渣において優れていると確認することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表示されるオキシムエステル系重合開始剤を含む光重合開始剤(A)、式(2)で表示されるシリコン化合物(B)、結合剤樹脂(C)、光重合性化合物(D)、着色材料(E)及び溶剤(F)を含むことを特徴とする短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物。
【化1】


[前記式(1)中、R1、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子、R、OR、COR、SR、CONRR’またはCNであり、R及びR’は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数7〜13のアラルキル基または炭素原子数5〜7の複素環基を示し、これらはハロゲン原子または炭素原子数5〜7の複素環基で置換または非置換され、これらのうち、アルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合によって連結されることができ、前記R及びR’は一緒に環を形成することができ、R4、R5、R6、R7はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を示し、R8は炭素原子数0〜10のアルキル基を示し、Y1、Y2、Y3はそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を示し、Xはハロゲン原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を示す。]
【化2】


[前記式(2)中、R1はグリシジル基、(メタ)アクリロイル基、アミノプロピル基、メルカプトプロピル基、シアノプロピル基及びイソシアネートプロピル基からなるグループから選択される何れか一つの有機官能基であるか、前記グループから選択される何れか一つの有機官能基を有する炭素原子数1〜20の脂肪族または芳香族炭化水素であり、R2は水素原子、メチル基、エチル基またはヒドロキシ基であり、nは1〜13の整数である。]
【請求項2】
前記式(1)の光重合開始剤は、着色感光性樹脂組成物中の光重合開始剤に対して質量分率で50質量%以上含まれることを特徴とする、請求項1に記載の短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記式(1)の光重合開始剤は、短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物中の光重合開始剤に対して質量分率で60〜70質量%含まれることを特徴とする、請求項1に記載の短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記光重合開始剤(A)は、短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物中の固形分に対して質量分率で3〜20質量%含まれことを特徴とする、請求項1に記載の短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記シリコン化合物(B)は、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3‐アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐アクリロキシプロピルトリクロロシランからなるグループのうち選択された少なくとも一つの化合物をゾル‐ゲル工程を経て得られたことを特徴とする、請求項1に記載の短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記シリコン化合物(B)は、短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物中の固形分に対して質量分率で0.1〜2.0質量%含まれることを特徴とする、請求項1に記載の短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記短波長レーザ露光装置は、露光波長が300nm〜400nmの短波長であることを特徴とする、請求項1に記載の短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記短波長レーザ露光装置は、露光波長が308nmまたは355nmであることを特徴とする、請求項1に記載の短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の短波長レーザ露光装置用着色感光性樹脂組成物を所定のパターンに形成した後、露光及び現像して形成されるカラー層を含んで成ることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項10】
請求項9に記載のカラーフィルタを含むことを特徴とする液晶表示装置。

【公開番号】特開2010−217895(P2010−217895A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57638(P2010−57638)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(503454506)東友ファインケム株式会社 (42)
【Fターム(参考)】