説明

石膏生成物及びその製造方法

この発明は、0.1以上2.0μm未満の大きさを有する実質的に無傷の結晶のみから成る石膏製品に関する。この製品は製紙における塗工顔料又は充填剤に特に適している。この発明は石膏製品を製造する方法にも関し、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物、水及び/又は結晶化媒晶剤が、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物及び水が互いに反応し、結晶石膏製品を形成するように接触されている。硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物は、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物、水及び結晶化媒晶剤から形成された反応混合物が乾物含量で50〜84重量%有する量で使用される。その結果、0.1以上2.0未満の大きさを有する、実質的に無傷の結晶のみから成る石膏製品が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、石膏生成物に関する。石膏生成物は、例えば、紙の製造に使用される、塗工顔料又は充填顔料である。この発明は、さらに石膏生成物の製造方法に関し、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物、水及び結晶作用媒晶剤を、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物及び水が互いに反応し、結晶石膏生成物を形成するように、接触させる。
【背景技術】
【0002】
石膏又は硫酸カルシウム2水和物CaSiO2・2H2Oは、特に紙製品における塗工顔料及び充填剤用の材料として適している。石膏が高い輝度と光沢度と不透明度とを有する特定のものであると、特に良好な塗工顔料と充填剤とが得られる。その粒子が十分に小さく、扁平で、広い(板状)とき、光沢度が高い。その粒子が屈折力があり、小さく、同じ大きさ(狭い粒度分布)であるとき、不透明度が高い。
【0003】
石膏生成物粒子の形態は、走査型電子顕微鏡写真を観察することによって確定することができる。有用な電子顕微鏡写真が、例えばフィリップスFEI30FEG型の走査型電子顕微鏡で得られる。
【0004】
石膏生成物粒子の大きさは、粒子の重量平均径D50で表される。より詳細には、D50は総粒子重量の50%を占める粒子よりも小さい粒子の、粒子を丸いと推定した場合の直径である。D50はSedigraph 5100などの適切な粒度分析計で測定される。
【0005】
結晶の平坦度はそれが薄いことを意味する。扁平な結晶の形態は、形状比SRによって表されるのが適している。このSRは結晶の厚さ(最短横測定値)に対する結晶長さ(最長測定値)の比である。その個々の結晶の平均SRはクレームされた石膏生成物のSRを意味する。
【0006】
結晶の板状度はそれが幅広であることを意味する。板状度はアスペクト比ARで表されるのが適している。ARは結晶長さ(最長測定値)と結晶幅(最長横測定値)との間の比である。その個々の結晶の平均ARはクレームされた石膏生成物のARを意味する。
【0007】
石膏生成物におけるSRとARとの両方は、その走査型電子顕微鏡写真を観察することによって算出することができる。上述のフィリップスFEI30FEG型の走査型電子顕微鏡が適している。
【0008】
結晶粒子が同じ大きさであることは、結晶の粒度分布が狭いことを意味する。その幅は重量分布WPSD(grabimetric weight distribution)で表され、そしてそれは(D75−D25)/D50で表され、D75、D25及びD50はそれぞれ、粒子の総重量の75%、25%及び50%を占める粒子よりも小さい粒子の、粒子を丸いと推定した場合の直径である。粒度分布の幅は、上述したタイプのSedigraph 5100などの適切な粒度分析計で得られる。
【0009】
石膏は天然鉱物として存在するか、或いは、例えばリン酸石膏や排気ガス石膏のような化学工程の副産物として形成される。石膏を結晶化することによってさらに石膏を塗工顔料や充填剤まで精製するために、まずか焼して硫酸カルシウム半水和物(CaSiO4・1/2H2O)にしなければならない。次いで半水化物を水中に溶解させて沈殿させることで水和させて純粋な石膏が得られる。硫酸カルシウムは結晶水のない無水の形態(CaSiO4)でも存在する。
【0010】
石膏原料のか焼状態によって、硫酸カルシウム半水和物は2つの形態、すなわちα型とβ型の半水化物になる。β型は石膏原料を常圧で加熱処理することによって得られ、α型は石膏原料を常圧より高い蒸気圧で処理するか、或いは45℃で食塩水又は酸性溶液からの化学的湿式か焼によって得られる。
【0011】
WO88/05423は、その水性スラリー中で硫酸カルシウム半水和物を水和することによる石膏の製造方法を開示し、その乾物含量は20以上25重量%以下の間である。最大寸法が100〜450μm及び2番目に大きな寸法が10〜40μmの石膏が得られる。
【0012】
AU620857(EP0334292 A1)は、粉砕された半水化物を多くて33.33重量%含むスラリーから石膏を製造する方法を開示し、それによって2以上200μm以下の平均サイズと5以上50以下のアスペクト比を有する針状結晶を形成している。この文献の15頁の5行目〜11行目と実施例をご参照のこと。
【0013】
US2004/0241082は、乾物含量を5〜25重量%有する半水化物の水性スラリーから小さい針状の石膏結晶(長さ5〜35μm、幅1〜5μm)を製造する方法を開示する。この米国の文献における思想は、紙製造中に結晶を溶解させないようにするために添加剤を用いて石膏の水溶性を低減させることである。
【0014】
上記文献は、補強に適している針状の結晶を製造することを目的とすることは明らかである。石膏生成物及びそれらの製造方法が記載されているこれらの文献において、高い光沢度と不透明度を得ようとするときその針状形態は具合が悪い。
【0015】
上述したように、高い光沢度と不透明度を得るために、極めて小さい粒子が必要とされる。このような粒子はこれまで石膏を粉砕することによってのみ得られている。しかしながら、エネルギーを消費するような粉砕をすると光沢度にも不透明度にも好ましくない、結晶破壊及び広い粒子サイズ分布(図11)へとつながる。したがって、既知の先行技術では最適な光沢と不透明度とが達成されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第88/05423号
【特許文献2】オーストリア特許第620857号明細書(欧州特許第0334292号明細書)
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0241082号明細書
【発明の概要】
【0017】
この発明の目的は、塗工顔料又は充填剤などの石膏生成物を提供することにあり、その結晶は傷がなく、できるだけ小さく、扁平で、同じ大きさであるのが好ましい。これらの特性によると生成物に高い光沢度と不透明度とが与えられる。この発明の目的は、さらにこのような生成物を製造する方法を提供することにある。
【0018】
上述した目的は、0.1μm以上2.0μm未満(0.1≦μmD50<0.2μm)の大きさを有する実質的に傷のない結晶のみからなることを主に特徴とする石膏生成物で達成されている。機械的に破壊されていない結晶粒子は実質的に無傷の結晶を意味するが、その結晶表面は実質的に傷がない状態である。例えば、図11は粉砕によって得られた、破壊された石膏粒子を示し、図1〜5と8とはこの発明の実施例による結晶化によって形成された無傷の結晶を有する石膏を示している。結晶サイズは0.2μm以上2.0μm未満の範囲内が好ましい。クレームされた石膏生成物における形状比SRは、少なくとも2.0であるのが好ましく、2.0以上50以下の間が好ましく、3.0以上40以下の間が最も好ましい。結晶のアスペクト比ASは、1.0以上10以下の間が好ましく、1.0以上5.0未満が最も好ましい。粒度分布の幅WPDS=(D75−D25)/D50上述参照は、2.0未満が好ましく、1.25未満がより好ましく、1.10未満が最も好ましく、それによって生成物が均一であることが確保される。図11は先行技術による粉砕物が、かなり異なるサイズの粒子を有することを示す。
【0019】
上述した特徴が満たされるとき、石膏生成物は高い白さと不透明度が得られる。
【0020】
前述したように、この発明の石膏生成物は、典型的には塗工充填顔料である。石膏生成物は紙用添加剤として使用されるのに加えて、プラスチック充填剤及びガラス工業、化粧品、印刷用インク、建築材料及び塗料における原料として使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、例1による硫酸カルシウム2水和物生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図2】図2は、例2による硫酸カルシウム2水和物生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図3】図3は、例3による硫酸カルシウム2水和物生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図4】図4は、例4による硫酸カルシウム2水和物生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図5】図5は、例5による硫酸カルシウム2水和物生成物の電子顕微鏡写真を示す。
【図6】図6は、砕木パルプを含まない上質紙の塗工試験で使用された、沈降硫酸カルシウム顔料の電子顕微鏡写真を示す。
【図7】図7は、沈降硫酸カルシウム2水和物とカオリンとを共に使用して得られた光沢の結果を示す。
【図8】図8は、SC紙の充填剤試験で使用された、沈降硫酸カルシウム顔料の電子顕微鏡写真を示す。
【図9】図9は、充填剤として適用する際の、不透明性を引張り強さの関数として示す。
【図10】図10は、充填剤として適用する際の、輝度を引張り強さの関数として示す。
【図11】図11は、先行技術による、粉砕によって形成された小さい粒度の石膏生成物を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の1つの実施形態によると、石膏生成物は塗工顔料であり、0.1以上1.0以下の間、好ましくは0.5以上1.0μm以下の間の大きさを有する結晶のみからなる。別の実施形態によると、石膏生成物は充填剤であり、1.0以上2.0μm未満の大きさを有する結晶のみからなる。
【0023】
最初に言及したように、この発明は、石膏生成物の製造方法にも関し、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物、水及び結晶作用媒晶剤を、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物及び水が互いに反応し、結晶石膏生成物を形成するように、接触させる。
【0024】
クレームされた方法の特徴は、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物が、0.1μm以上2.0μm未満(0.1≦μmD50<0.2μm)の大きさを有する実質的に傷のない結晶からなる石膏生成物を得るために、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物、水及び結晶作用媒晶剤から形成される反応混合物が50以上84重量%以下の間の乾物含量を有する量で使用されることである。この発明の思想は、このように簡単で優れている、つまり粉砕せずに細粒の石膏を得るために、単に前記高い乾物含量を有し結晶作用媒晶剤を含む水性スラリーから結晶化させている。
【0025】
結晶作用媒晶剤と高い乾物含量によって、その他の上述した所望の生成物すべての特徴もまた達成されている。
【0026】
クレームされた方法において、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物が、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物、水及び結晶作用媒晶剤から形成される反応混合物が57以上84重量%以下の間の乾物含量で使用されるのが好ましく、60以上80重量%以下の間が最も好ましい。ここでは、“乾物含量”という用語は、“乾燥物質”の一部を形成している溶解された半水化物及び/又は無水物が初期の“固形分含有量”を形成している溶解していない半水化物及び/又は無水物に比べて極めて少ないので、実質的に“固形分含有量”と同じことを意味する。
【0027】
反応混合物における水の温度は0以上100℃以下の間の温度を採ることができる。その温度は、好ましくは0以上80℃以下の間、より好ましくは0以上50℃以下の間、さらにより好ましくは0以上40℃以下の間、最も好ましくは0以上25℃以下の間である。
【0028】
この発明の一般的な実施の形態においては、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物、水及び結晶作用媒晶剤を任意の順に接触させる。しかし、半水化物及び/又は無水物の前に結晶作用媒晶剤と水とを接触させるのが好ましい。
【0029】
この発明の1つの実施形態によると、結晶作用媒晶剤は無機酸、酸化物、塩基又は塩である。有用な無機酸、塩基及び塩の例としては、AlF、Al(SO、CaCl、Ca(OH)、HBO、NaCl、NSO、NaOH、NHOH、(NHSO、MgCl、MgSO及びMgOを挙げることができる。
【0030】
別の実施形態によると、結晶作用媒晶剤は有機化合物であり、アルコール、酸又は塩である。アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−オクタノール、グリセロール、i−プロパノール及びC−C10脂肪族アルコールに基づくアルキルポリグルコシドが適している。
【0031】
結晶作用媒晶剤は、1つ又はいくつかのカルボキシル基又はスルホン酸基をその分子内に有する化合物又はこのような化合物の塩であることが好ましい。有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)、イミノジコハク酸(ISA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、N−ビス−[2−(1,2−ジカルボキシエトキシ)エチル]アスパラギン酸(AES)などのカルボン酸及びアミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、8−アミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、2−アミノフェノール−4−スルホン酸、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸、2−メルカプトエタンスルホン酸、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(ビニルスルホン酸)、ジ−、テトラ−及びヘキサ−アミノスチルベンスルホン酸などのスルホン酸が挙げられる。
【0032】
有機塩としては、Mg−ギ酸塩、Na−及びNH−酢酸塩、Na−マレイン酸塩、、NH−クエン酸塩、Na−コハク酸塩、K−オレイン酸塩、K−ステアリン酸塩、Na−エチレンジアミンテトラ酢酸(Na−EDTA)、Na−アスパラギン酸エトキシコハク酸塩(Na−AES)及びNa−アミノトリエトキシコハク酸塩(Na−TCA)などのカルボン酸の塩が挙げられる。
【0033】
Na−n−(C10−C13)−アルキルベンゼンスルホン酸塩、C10−C16−アルキルベンゼンスルホン酸塩、Na−1−オクチルスルホン酸塩、Na−1−ドデカンスルホン酸塩、Na−1−ヘキサデカンスルホン酸塩、K−脂肪酸スルホン酸塩、Na−C14−C16−オレフィンスルホン酸塩、アニオン性又は非イオン性界面活性剤としてのNa−アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジ−K−オレイン酸スルホン酸塩、ジ−、テトラ−及びヘキサアミノスチルベンスルホン酸の塩などのスルホン酸の塩もまた有用である。硫黄を含む有機塩としては、C12−C14脂肪族アルコールエーテル硫酸塩、Na−2−エチルヘキシル硫酸塩、Na−n−ドデシル硫酸塩及びNa−ラウリル硫酸塩などの硫酸塩、及びNa−スルホコハク酸塩のモノアルキルポリグリコールエーテル、Na−ジオクチルスルホコハク酸塩及びNa−ジアルキルスルホコハク酸塩といったスルホコハク酸塩も挙げられる。
【0034】
Na−ノニルフェニル−及びNa−ジノニルフェニルエトキシ化リン酸エステル、K−アリールエーテルリン酸塩、ポリアリールポリエーテルリン酸塩のトリエタノールアミン塩といったリン酸塩もまた使用されても良い。
【0035】
結晶作用媒晶剤としては、オクチルアミン、トリエタノールアミン、ジ(水素化動物性脂肪族アルキル)ジメチルアンモニウム塩化物などのカチオン性界面活性剤、及び各種脂肪族アルコールエトキシレートなどの非イオン性界面活性剤が使用されても良い。有用なポリマー酸、塩、アミド及びアルコールの中では、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸塩、アクリル酸塩−マレイン酸塩の共重合体、ポリアクリルアミド、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリビニルホスホン酸、アクリル酸及びアリルヒドロキシプロピルスルホン酸塩の共重合体(AA−AHPS)、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸(PHAS)、ポリビニルアルコール、及びポリ(メチルビニルエーテル−アルト−マレイン酸)を挙げることができる。
【0036】
特に好ましい結晶作用媒晶剤は、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)、イミノジコハク酸(ISA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、N−ビス−[2−(1,2−ジカルボキシエトキシ)−エチル]−アスパラギン酸(AES)、ジ−、テトラ−及びヘキサ−アミノスチルベンスルホン酸及びアミノトリエトキシコハク酸ナトリウム(Na−TCA)、アルキルベンゼンスルホン酸塩などのそれらの塩である。
【0037】
この発明の方法において、結晶作用媒晶剤は、硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物の重量に基づいて、0.01〜5.0%の量で使用されるのが好ましく、0.02〜1.78%の量で使用されるのが最も好ましい。
【0038】
この発明による方法において、β−硫酸カルシウム半水和物が通常使用される。それは、140以上300℃以下、好ましくは150〜200℃の温度で石膏原料を加熱することによって形成される。石膏原料は、低温では十分に乾燥させることができず、高温では脱水し過ぎて無水物になってしまう。か焼された硫酸カルシウムは、硫酸カルシウム2水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物を少量の不純物として、大抵含んでいる。急速か焼、例えば流動層か焼によって得られたβ−硫酸カルシウム半水和物を使用することが好ましく、したがって石膏原料は可能な限り急激に所望の温度まで加熱される。
【0039】
この発明の方法における出発物質として、硫酸カルシウム無水物を使用することもできる。無水物は、石膏原料をか焼することによって得られる。無水物には3つの形態があり、一つ目は無水物Iと称され、不溶性の無水物II−u及びII−Eのように水との反応によって石膏を形成することができない。無水物IIIと称されるその他の形態は、溶解性無水物としても知られており、3つの形態β−無水物III、β−無水物III’、及びα−無水物IIIを有する。そして無水物II−sは水と接触させることで純粋な石膏を形成する。
【0040】
硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物、水及び結晶作用媒晶剤は接触されているので、それらは反応して硫酸カルシウム2水和物、すなわち石膏になる。この反応は、例えば実験で容易に決定することのできる十分な時間だけ前記物質を共に混合、好ましくは激しく混合することによって生じる。クレームされた高乾燥物質では、スラリーの粘度が高く、試薬同士が容易に接触しないので、激しく混合することが必要である。半水和物及び/又は無水物、水及び結晶作用媒晶剤は水に関して上述された温度で混合されるのが好ましい。初期のpHは、通常3.5以上9.0以下であり、もっとも好ましくは4.0以上7.5以下である。必要であれば、pHはNaOH及び/又はH2SO4の水溶液、通常はNaOH及び/又はH2SO4の10%溶液で調整される。
【0041】
石膏は半水和物及び無水物より水への溶解度が低いので、半水和物及び/又は無水物を水と反応させることによって形成された石膏は、水媒体から直ちに晶出する傾向がある。この結晶化は、この発明により有用な生成物が得られるように、この発明により上述した結晶作用媒晶剤で調整される。石膏はスラリーとして水媒体内に存在したまま回収されても良いし、或いは、乾燥状態で回収されても良い。
【0042】
この発明の1つの実施形態によると、結晶化された及び/又は回収された石膏は、分散剤で分散される。有用な分散剤は、次のものである。リグノスルホン酸ナトリウムなどのリグノスルホン酸塩、縮合されたナフタレンスルホン酸塩などの芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合生成物、分散アニオン性ポリマー、及びアニオン性モノマーから形成された共重合体または重合後にアニオン性にした共重合体、カルボン酸及びスルホン酸などのアニオン電荷を有する繰り返し単位を含むポリマー、それらの塩及びそれらの混合物。リン酸塩、非イオン性及び/又はカチオン性ポリマー、多糖類及び界面活性剤が使用されても良い。
【0043】
上述したアニオン性ポリマーとしては、たとえばポリ(メタ)アクリル酸塩、アクリル酸塩−マレイン酸塩共重合体、ポリマレイン酸塩、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸、ポリビニルスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩及びポリビニルスルホン酸塩が挙げられる。
【0044】
分散剤として有用な典型的なリン酸塩はヘキサメタリン酸ナトリウムである。典型的な非イオン性ポリマーはポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルコキシシラン、及びポリエトキシアルコールである。カチオンに帯電された分散ポリマーは、たとえばジシアンジアミド−ホルムアルデヒドポリマーである。多糖類としては、天然及び加工でんぷん、またはカルボキシメチルセルロースなどの加工セルロース及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0045】
有用な界面活性剤は、カルボン酸、スルホン酸硫酸エステル、リン酸及びポリリン酸エステル及びそれらの塩などのアニオン性界面活性剤、エトキシ化アルコール、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化カルボン酸エステル及びエトキシ化カルボン酸アミドなどの非イオン性界面活性物質、及び無酸性アミン、酸素を含んでいるアミン、アミド結合を含んでいるアミン、及び第4級アンモニウム塩などのカチオン性界面活性物質である。
【0046】
石膏を分散するとき使用される分散剤の量は、石膏の重量に基づいて0.01〜5.0%が好ましく、0.05〜3.0%が好ましい。
【0047】
この発明の石膏生成物は、所望により他の添加剤でも処理される。典型的な添加剤は、石膏生成物を保管及び使用するときに微生物の活動を防ぐ殺生物剤である。
【0048】
最後に、形成され、回収され、分散され及び/又は添加剤で処理された石膏生成物は、所望の大きさの石膏粒子を得るためにふるいにかけられても良い。最後に漂白工程が含まれても良い。
【0049】
次にいくつかの例が提示されるが、その目的はこの発明を明らかにすることである。
【実施例】
【0050】
実施例
まず、合成及び生成物分析についての一般的な情報が開示される。次に、図面が確認され、その後それぞれの例についてのデータが示される。最後に、原料、反応状態及び生成物の特性を示す表が示される。
【0051】
合成
一般的な情報がまず提示される。紙用顔料に最適な方法が行なわれた。パラメータは、
・媒晶剤(DH(2水和物)の重量%) 0.100-0.543
・Tj(ジャケット温度、℃) 2-100
・pH 3.7-7
・HH(初期の半水和物、重量%) 50-80
であった。
【0052】
この反応は、システムpHで、或いは、10%NaOH又は10%HSOを加えることにより所望の値に調整されたpHで、行なわれた。媒晶剤の量は、沈降硫酸カルシウム2水和物の割合として算出される(DHの重量%)。
【0053】
実験は次の装置を使用して行なわれた。
【0054】
1.セル冷却器を有する反応器Tj2-20℃に、半水和物が結晶作用媒晶剤とその他の適切な化学薬品とを含む水に1バッチ加えられる。57-60%の乾燥物質を含むスラリーは、ハイドルフミキサー(約 250-500rpm)を使用してかき混ぜされる。スラリーの初期のpHは時間t=1分で測定される。
【0055】
反応の進行については、ミキサーのトルク計測及び温度計を使用して追跡した。
【0056】
2.反応器は、反応温度を10-100℃の間に維持するホバート型N50CEである。半水和物と化学薬品とは水性液体にバッチ式で加えられ、初期固体57-80重量%の半水和物スラリーが得られる。混合速度は、約250-500rpmである。反応はシステムpHで行なわれる。
【0057】
3.MLH12 MAP型実験用ミキサー。半水和物は反応器にバッチ式で加えられ、化学薬品を有する水が半水和物に混合しないで加えられる。次いで混合(約200rpm)が始まり、スラリーの出発固体含有量は57-80重量%である。反応は、システムpHで行なわれる。
【0058】
分析
反応器のpHと温度は、Knick Portamess 911 pH電極によって測定された。硫酸カルシウム2水和物の形態はFEI XL 30 FEG走査型電子顕微鏡によって調べられた。半水和物から2水和物への転移は、メトラー トレド TGA/SDTA85 1/1100熱分析(TG)を使用して分析された。結晶構造は、フィリップス X'pert X線粉末回折装置(XRD)で判定された。粒度及び分布は、Sedigraph 5100粒度測定器を使用して測定された。形状比及びアスペクト比は、走査型電子顕微鏡写真中に観察された、少なくとも10個の粒子を調べることにより測定された。
【0059】
図面
図1−5に、例1−5による硫酸カルシウム2水和物生成物の電子顕微鏡写真が示される。例の概要もまた参照されたい。
【0060】
図6−11に、紙への塗工及び充填に適用する際の板状の硫酸カルシウム顔料の使用例が示される。
【0061】
図6に、砕木パルプを含まない上質紙の塗工試験で使用された、沈降硫酸カルシウム顔料の電子顕微鏡写真が示される。観察された特性は紙光沢であった。
【0062】
図7に、沈降硫酸カルシウム2水和物とカオリンとを共に使用して得られた光沢度の結果が示され、参考例と比較されている。塗工重量10g/m2で、硫酸カルシウム2水和物とカオリンとの組合わせは、参考例に匹敵する光沢を与える。したがって、沈降石膏は、光沢のある塗工カラーにおいて炭酸カルシウムに代えて使用され得る。
【0063】
図8に、強い光沢をつけた紙であるSC紙の充填剤試験で使用された、沈降硫酸カルシウム顔料の電子顕微鏡写真が示される。観察された特性は、紙の不透明度、多孔性及び引張り強さであった。
【0064】
図9に、充填剤として適用する際の不透明性が引張り強さの関数として示される。沈降石膏顔料は二酸化チタンと共に使用された。石膏顔料でより高い引張り強さが得られることによって充填剤を増加させることができ、参考顔料と同程度の不透明度を可能にする。
【0065】
図10に、充填剤として適用する際の輝度が引張り強さの関数として示される。沈降石膏顔料は、二酸化チタンと共に使用された。石膏顔料でより高い引張り強さが得られることによって充填剤を増加させることができる。PCCと同程度の輝度が得られるのでより高い引張り強さが得られる。
【0066】
図11に、先行技術による、粉砕によって形成された小さい粒度の石膏生成物が示される。
【0067】
実施例
例 1
1.冷却浴槽温度が2℃に到達すると、235.82gの脱イオン水が冷却された反応器に入れられる。
【0068】
2.Na−n−アルキル(C10-13)ベンゼンスルホン酸塩(NABS)媒晶剤化学薬品0.6761g(純度55%のため0.3719gであり、HH重量の0.12%である)が反応器に加えられる。
【0069】
3.冷却浴槽の温度が2℃に到達したら、流動層か焼β−半水和物の添加が開始される。スターラの回転速度は、この添加中ときどき大きくされる。添加される半水和物(HH)の総量は、313.5g(総量549.9g、57重量%のHH)である。スターラの運転速度は400rpmに設定される。
【0070】
4.半水和物スラリーのpHは10%NaOH溶液を使用して7−7.3に調整される。
【0071】
5.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0072】
6.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0073】
7.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0074】
8.適切な漂白処理及び篩い分け
【0075】
得られた2水石膏が、図1に示される。
平均粒度は、0.57μm
形状比は、約27.8
アスペクト比は、約3.46
粒度分布の幅は、0.775
【0076】
例 2
1.冷却浴槽温度が2℃に到達すると、208.02gの脱イオン水が冷却された反応器に入れられる。
【0077】
2.EDDS(エチレンジアミンジコハク酸塩)1.0599g、Na−EDTA(Na−エチレンジアミンテトラ酢酸)0.9591gが、活性物質として媒晶剤化学薬品2.019gと共に反応器に加えられる。
【0078】
3.冷却浴槽の温度が2℃に到達したら、流動層か焼β−半水和物の添加が開始される。スターラの回転速度は、この添加中ときどき大きくされる。添加される半水和物(HH)の総量は、313.5g(総量523.54gの59.9重量%がHH)である。スターラの運転速度は250rpmに設定される。
【0079】
4.半水和物スラリーのpHは10%NaOH溶液を使用して7−7.3に調整される。
【0080】
5.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0081】
6.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0082】
7.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0083】
8.適切な漂白処理及び篩い分け
【0084】
得られた2水石膏が、図2に示される。
平均粒度は、0.838μm
形状比は、約6.2
アスペクト比は、約1.73
粒度分布の幅は、0.838
【0085】
例 3
1.冷却浴槽温度が2℃に到達すると、208.02gの脱イオン水が冷却された反応器に入れられる。
【0086】
2.EDDS(エチレンジアミンジコハク酸塩)1.0599g、Na−EDTA(Na−エチレンジアミンテトラ酢酸)0.9591gが、活性物質として媒晶剤化学薬品2.019gと共に反応器に加えられる。
【0087】
3.冷却浴槽の温度が2℃に到達したら、流動層か焼β−半水和物の添加が開始される。スターラの回転速度は、この添加中ときどき大きくされる。添加される半水和物(HH)の総量は、313.5g(総量が523.54g、HH重量で59.9%となる)である。スターラの運転速度は500rpmに設定される。
【0088】
4.半水和物スラリーのpHは10%NaOH溶液を使用して7−7.3に調整される。
【0089】
5.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0090】
6.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0091】
7.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0092】
8.適切な漂白処理及び篩い分け
【0093】
得られた2水石膏が、図3に示される。
平均粒度は、0.78μm
形状比は、約6.3
アスペクト比は、約1.73
粒度分布の幅は、0.658
例 4
1.流動層か焼β−硫酸カルシウム半水和物5625gがMLH12 MAP 実験用ミキサーに入れられる。
【0094】
2.Na−n−アルキル(C10-13)ベンゼンスルホン酸塩(ペースト A55 純度:55%であり、それは6.82gの活性調整剤になる)12.4gが、水道水1875gと混合される(総量7512.4g、74.8重量%のHH)。
【0095】
3.水−媒晶剤混合物が半水和物に加えられ、混合が開始され、速度は225rpmまで次第に上げられる。反応はシステムpHで進む。
【0096】
4.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0097】
5.沈降生成物は、MLH12 MAP実験用ミキサーとFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0098】
6.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0099】
7.適切な漂白処理及び篩い分け
【0100】
得られた2水石膏が、図4に示される。
平均粒度は、0.88μm
形状比は、約6.19
アスペクト比は、約2.90
粒度分布の幅は、1.06
【0101】
例 5
1.ロータリーキルンか焼β−硫酸カルシウム半水和物720gがホバートN50 CE実験用ミキサーに入れられる。
【0102】
2.Na−n−アルキル(C10-13)ベンゼンスルホン酸塩(純度:55%であり、それは0.8635gの活調整剤になる)1.57gが、水道水387,69gに加えられる(総量1109.26gが64.9重量%のHHになる)。
【0103】
3.混合がレベル1で開始され、水−媒晶剤混合物が半水和物に加えられる。反応はシステムpHで進む。
【0104】
4.硫酸カルシウム2水和物の形成を待つ。
【0105】
5.沈降生成物は、Diaf溶解槽とFenodispo A41ポリアクリル酸塩分散剤を用いて分散される。
【0106】
6.殺生物剤(Fennosan IT 21)などの他の化学薬品が加えられる。
【0107】
7.適切な漂白処理及び篩い分け
【0108】
得られた2水石膏が、図5に示される。
平均粒度は、1.06μm
形状比は、約11.4
アスペクト比は、約2.43
粒度分布の幅は、1.07
【0109】
次の表は、試薬、その量、反応状態及びその結果を示す。すべての例で使用された原料は、流動層急速加熱によって得られたβ−半水和物であった。すべての例で使用された分散剤は、Fennodispo A41であった。
【0110】
【表1】

【0111】
)DMC=乾物含量
**)CHM=結晶作用媒晶剤
***)D50=重量平均粒度
****)SR=形状比(厚さに対する長さ)
*****)AR=アスペクト比(幅に対する長さ)
******)WPSD=粒度分布の幅
)HH=β−硫酸カルシウム半水和物
)NABS=Na−n−アルキル(C10-13)ベンゼンスルホン酸塩
)EDDS=エチレンジアミンジコハク酸塩
)Na−EDTA=Na−エチレンジアミンテトラ−酢酸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1以上2.0μm未満の大きさを有する無傷の結晶から実質的になることを特徴とする石膏生成物。
【請求項2】
前記結晶の形状比は、少なくとも2.0、好ましくは2.0以上50以下、最も好ましくは3.0以上40以下であることを特徴とする請求項1に記載の石膏生成物。
【請求項3】
前記結晶のアスペクト比は、1.0以上10以下、好ましくは1.0以上5.0未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の石膏生成物。
【請求項4】
粒度分布の幅が2.0未満、好ましくは1.25未満、最も好ましくは1.10未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の石膏生成物。
【請求項5】
塗工顔料であり、0.1以上1.0μm以下、好ましくは0.5以上1.0μm以下の大きさを有する結晶から成ることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の石膏生成物。
【請求項6】
充填顔料であり、1.0以上2.0μm未満の大きさを有する結晶から成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の石膏生成物。
【請求項7】
硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物、水及び結晶作用媒晶剤を、前記硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物及び前記水が互いに反応し結晶石膏生成物を形成するように接触させる、石膏生成物の製造方法であって、前記硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物が、0.1以上2.0μm未満の大きさを有する実質的に無傷の結晶から成る石膏生成物を得るために、前記硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物、前記水及び前記結晶作用媒晶剤から形成される反応混合物が50以上84重量%以下の乾物含量を有する量で使用されることを特徴とする石膏生成物の製造方法。
【請求項8】
前記硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物が、前記硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物、前記水及び前記結晶作用媒晶剤から形成される反応混合物が57以上84重量%以下、好ましくは60以上80重量%以下の乾物含量を有する量で使用されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記結晶作用媒晶剤は、前記硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物よりも前に前記水に加えられることを特徴とする請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記結晶作用媒晶剤は、1つ又は複数の、カルボキシル基又はスルホン酸基を分子に有する化合物、又はそれらの塩であることを特徴とする請求項7、8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記結晶作用媒晶剤は、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)、イミノジコハク酸(ISA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、N−ビス−(2−(1,2−ジカルボキシエトキシ)−エチル)−アスパラギン酸(AES)、ジ−、テトラ−及びヘキサ−アミノスチルベンスルホン酸及びアミノトリエトキシコハク酸ナトリウム(Na−TCA)、アルキルベンゼンスルホン酸塩などのそれらの塩からなる群より選ばれることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記結晶作用媒晶剤は、前記硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物の重量に基づいて、0.01〜5.0%の量で使用されることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物、前記水及び前記結晶作用媒晶剤は、前記硫酸カルシウム半水和物及び/又は硫酸カルシウム無水物及び前記水が反応して石膏になるまで混合され、好ましくは激しく混合されることを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記混合は、形成された石膏が結晶化され、その後に前記石膏が回収されるまで続けられることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記結晶化された又は回収された石膏は分散剤で分散されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記分散剤は、石膏の重量に対して、0.01〜5.0%の量で、好ましくは0.05〜3.0%の量で使用されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記形成された石膏、前記回収された石膏、又は前記分散された石膏は、殺生物剤などの添加剤で処理されることを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記形成された石膏、前記回収された石膏、前記分散された石膏及び添加剤で任意に処理された石膏は、所望の大きさを有する石膏粒子を得るためにふるいにかけられることを特徴とする請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記形成された石膏、前記回収された石膏、前記分散された石膏及び添加剤で任意に処理され、又はふるいにかけられた石膏は、漂白されることを特徴とする請求項13〜18のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−517905(P2010−517905A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547718(P2009−547718)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【国際出願番号】PCT/FI2008/000021
【国際公開番号】WO2008/092990
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(504186286)ケミラ オイ (18)
【Fターム(参考)】