研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機
【課題】ベルト研削機を大型化又は小型化に適したものにすると共に、被研削物の外周面にあるバリや凹凸等の被研削箇所に対し、大きな研削力を連続的に発揮させて研削時間を短縮し、研削効率を向上させて、被研削物の平滑化に必要な作業時間を短くする。
【解決手段】固定定盤17と研削ベルト18との間に多数突部付きベルト23を介在して、それ等を3層状に重ね、その多数突部付きベルト23として、多数突部付きにする際に、そのベルト本体24の研削ベルト受け面形成側に、多数本の直線状突部22をベルト本体24の走行方向に対し傾斜する方向に延ばして設け、それ等の突部22を研削ベルト受け面形成側に分散して配置し、それ等の突部22の頂面により研削ベルト受け面を形成して用い、その両ベルト18、23の走行方向を同一にし、走行速度をほぼ同一にする。
【解決手段】固定定盤17と研削ベルト18との間に多数突部付きベルト23を介在して、それ等を3層状に重ね、その多数突部付きベルト23として、多数突部付きにする際に、そのベルト本体24の研削ベルト受け面形成側に、多数本の直線状突部22をベルト本体24の走行方向に対し傾斜する方向に延ばして設け、それ等の突部22を研削ベルト受け面形成側に分散して配置し、それ等の突部22の頂面により研削ベルト受け面を形成して用い、その両ベルト18、23の走行方向を同一にし、走行速度をほぼ同一にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドレスの研削ベルトの表面に被研削物の外周面を押し付けて、その外周面を削り取って平滑にするベルト研削機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被研削物例えば鋳造品、プラスチック製品、木工品等の外周面を平滑にする場合、図11に示すような駆動及び従動ローラ1、2に張り渡したエンドレス状態の研削ベルト3と、その研削ベルト3の表面4に被研削物の外周面を押し付けた時、研削ベルト3の裏面5を受けて支持する研削ベルト受け面6を、研削ベルト3の裏面5に接触させ、平行に配置して設け、固定状態に設置した金属製の板状定盤7と、その駆動ローラ1に回転力を伝達するベルト駆動源(図示なし)等とを備えた固定定盤付きベルト研削機8を用いている。そして、研削ベルト3には通常、ベルト本体となる平ベルトの表面に研削材を付着させた市販のものを用いる。すると、被研削物の外周面を駆動及び従動ローラ1、2の回転により走行する研削ベルト3の表面4に押し付け、その研削ベルト3の裏面5を固定定盤7の研削ベルト受け面6に当接して、研削ベルト3を固定定盤7で良好に支持できる。それ故、被研削物の外周面にあるバリや凹凸等を研削ベルト3の表面4に付着されている研削材(図示なし)で削り取って平滑にできる。
【0003】
しかし、このようなベルト研削機8の固定定盤7の研削ベルト受け面6は、平滑な平面になっているため、被研削物の研削中、固定定盤7の研削ベルト受け面6から研削ベルト3の裏面5の全面に対し、均等に支持力が作用する。すると、被研削物の外周面に対し、研削ベルト3の表面4が全面当たりの状態になり、被研削物の外周面を押し付けた時、その外周面に最初に研削ベルト3の研削材が当たる初期研削時の研削力が大きくても、その研削材が研削ベルト4の走行により一旦被研削物の外周面下に潜り込むと、固定定盤7の研削ベルト受け面6から研削ベルト3の裏面5の全面に対し、均等に支持力が作用するので、大きな研削力を維持できずに研削力が小さくなる。このため、大きな研削力を連続的に発揮し難く、被研削物の外周面の粗面状態即ち外周面にバリが突出し、凹凸が存在する場合、そのバリや凹凸等のある被研削箇所の平滑化に時間が掛かり、研削効率を上げることができない。それ故、被研削物の外周面を削り取って平滑にするための作業時間が長くなるという問題がある。
【0004】
そこで、本出願人は先に定盤の研削ベルト受け面形成側に、多数本の直線状突部列を研削ベルトの走行方向に対し傾斜する方向に延ばして設け、それ等の突部を研削ベルト受け面形成側に分散して配置し、それ等の突部の頂面で研削ベルト受け面を形成すると共に、その定盤を揺動する定盤揺動機構を備えた多数突部付き定盤揺動型ベルト研削機を提示した。
【特許文献1】特開2011−62806
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、多数突部付き定盤揺動型ベルト研削機では、研削機を大型化しようとすると、当然多数突部付き定盤が大きく重くなる。そして、大型の多数突部付き定盤にすると、揺動させ難い。又、多数突部付き定盤を揺動型にすると、コンパクト化させ難い。それ故、ベルト研削機の大型化、又は小型化に問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、ベルト研削機を大型化又は小型化に適したものにすると共に、被研削物の外周面に存在するバリや凹凸等の被研削箇所に対し、大きな研削力を連続的に発揮し易くして研削時間を短縮し、研削効率を向上させることにより、外周面の平滑化に必要な作業時間を短くできる研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明による研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機には、複数のローラ間に張り渡してエンドレス状態に設置した研削ベルトと、その研削ベルトの表面に被研削物の外周面を押し付けた時、研削ベルトの裏面を受けて支持する固定状態に設置した定盤と、ベルトを駆動するベルト駆動源とを備える。そして、上記固定定盤と研削ベルトとの間に、その研削ベルトの表面に被研削物の外周面を押し付けた時、研削ベルトの裏面を受けて支持する多数突部付きベルトを介在して、その固定定盤と多数突部付きベルトと研削ベルトとを3層状に重ね、その多数突部付きベルトを複数のローラ間に張り渡してエンドレス状態に設置する。
【0008】
しかも、その多数突部付きベルトとして、多数突部付きにする際に、そのベルト本体の研削ベルト受け面形成側に、多数本の直線状突部をベルト本体の走行方向に対し傾斜する方向に延ばして設け、それ等の突部を研削ベルト受け面形成側に分散して配置し、それ等の突部の頂面で研削ベルト受け面を形成したものを用い、その研削ベルトと多数突部付きベルトとをベルト駆動源の回転軸から駆動力を得て走行させて、両ベルトの走行方向を同一にし、更に両ベルトの走行速度をほぼ同一にするする。
【0009】
そして、上記ベルト駆動源の回転軸に研削ベルトを駆動するローラを設置し、その研削ベルト駆動ローラから所定距離離して、多数突部付きベルトを駆動するローラを設置して、そのベルト駆動源の回転軸と多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸とに、前者のプーリ径より後者のプーリ径を小さくしてVベルト用プーリを夫々備える。
【0010】
そして、その両プーリをVベルトで結合し、その多数突部付きベルト側プーリとしてVベルト幅の変化に対応できるVベルト受け溝幅調整プーリを用い、更に研削ベルト駆動ローラ、多数突部付きベルト駆動ローラの少なくとも一方のローラとして、そのベルト駆動源の回転軸の回転速度又は多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸の回転速度を、クラッチ機構を介してローラの外周部に伝達する一方向クラッチを用いると好ましくなる。
【0011】
又、上記ベルト駆動源を研削ベルトと多数突部付きベルトとを重ねて受ける固定定盤の表面と反対の裏面中央部近傍に設置し、その定盤のベルト進入側又はベルト離脱側にある一方の端部近傍に、多数突部付きベルトを駆動するローラを設置し、更に他方の端部近傍に多数突部付きベルトの走行を案内するローラを設置して、そのベルト駆動源の回転軸と多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸とにベルト用プーリを夫々備え、その両プーリをベルトで結合して、多数突部付きベルトを定盤表面に接触させ、更に多数突部付きベルト駆動ローラの近傍と多数突部付きベルト案内ローラの近傍とに、研削ベルトの走行を案内するローラを夫々設置して、その研削ベルトを多数突部付きベルトの定盤表面と接触する部分に圧接するとよい。
【0012】
そして、上記固定定盤の表面中央部を平面にし、更にその表面の中央平面部に隣接するベルト進入側又はベルト離脱側にある少なくとも一端部寄り部分を中央平面部より屈曲させて表面を端に行く程、定盤の裏面に近づけて、中央平面部のベルト進入側又はベルト離脱側の少なくとも一方に、中央平面部に隣接する曲面部を形成するとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機は、固定定盤と研削ベルトとの間に、その研削ベルトの表面に被研削物の外周面を押し付けた時、研削ベルトの裏面を受けて支持する多数突部付きベルトを介在して、その固定定盤と多数突部付きベルトと研削ベルトとを3層状に重ね、その多数突部付きベルトを複数のローラ間に張り渡してエンドレス状態に設置することにより、定盤と多数の突部とを分離できる。そして、多数の突部を移動させるため、ベルト本体に配設して、その多数突部付きベルトをエンドレス状態に設置すると、その両ベルトをベルト駆動源の回転軸から回転力を得て走行させながら、その定盤で研削ベルトの裏面と多数突部付きベルトの裏面を受けて支持できる。その際、定盤は単に固定状態に設置すればよいので、定盤を大型化し重くなっても設置し易い。又、多数突部付きベルトはベルト本体の片面に多数の突部を設け、複数のローラ間に張り渡してエンドレス状態に設置するだけであるから、その多数突部付きベルトを大型化し重くなっても、ベルト駆動源の回転軸から駆動力を得て走行させ易い。又、多数突部付きベルトの駆動力をベルト駆動源の回転軸から得ると、コンパクト化もし易い。それ故、研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機は大型化に適するばかりでなく、小型化にも適する。
【0014】
そして、その多数突部付きベルトとして、多数突部付きにする際に、そのベルト本体の研削ベルト受け面形成側に、多数本の直線状突部をベルト本体の走行方向に対し傾斜する方向に延ばして設け、それ等の突部を研削ベルト受け面形成側に分散して配置し、それ等の突部の頂面で研削ベルト受け面を形成したものを用い、その研削ベルトと多数突部付きベルトとをベルト駆動源の回転軸から駆動力を得て走行させて、両ベルトの走行方向を同一にし、更に両ベルトの走行速度をほぼ同一にすることにより、被研削物の外周面を研削ベルトの表面に押し付けた時、その研削ベルトの裏面を、多数突部付きベルトの研削ベルト受け面を形成する分散した多数の直線状の突部の頂面により支持できる。すると、被研削物の外周面に対し、研削ベルトが各突部の頂面により夫々支えられた局部当りの状態になる。しかも、研削ベルトの走行方向に対し、多数突部付きベルトに設け、そのベルト本体の走行方向に対して傾斜する方向に延設した多数本の直線状突部の位置が順次走行方向にずれて、異なるようになる。
【0015】
そこで、研削ベルトの表面に被研削物の外周面を押し付けると、被研削物の外周面に存在するバリや凹凸等の各被研削箇所に夫々当接する研削ベルトの対応する各局部を、各局部毎に走行により順次異なる突部の頂面により夫々支持できる。このため、被研削物の外周面に存在するバリや凹凸等の被研削箇所に対し、大きな研削力を連続的に発揮して研削時間を短縮でき、研削効率が向上する。それ故、被研削物の外周面の平滑化に必要な作業時間を短くできる。
【0016】
そして、ベルト駆動源の回転軸に研削ベルトを駆動するローラを設置し、その研削ベルト駆動ローラから所定距離離して、多数突部付きベルトを駆動するローラを設置して、そのベルト駆動源の回転軸と多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸とに、前者のプーリ径より後者のプーリ径を小さくしてVベルト用プーリを夫々備え、その両プーリをVベルトで結合し、その多数突部付きベルト側プーリとしてVベルト幅の変化に対応できるVベルト受け溝幅調整プーリを用い、更に研削ベルト駆動ローラ、多数突部付きベルト駆動ローラの少なくとも一方のローラとして、そのベルト駆動源の回転軸の回転速度又は多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸の回転速度を、クラッチ機構を介してローラの外周部に伝達する一方向クラッチを用いることにより、多数突部付きベルト側プーリの外周面に設けられているVベルト受け溝の幅を調整できると共に、ベルト駆動源の回転軸の回転速度より研削ベルト駆動ローラのローラ外周部の速度を瞬間的に速め、又は多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸の回転速度より多数突部付きベルト駆動ローラのローラ外周部の回転速度を瞬間的に速めることができる。それ故、使用中に、研削ベルト駆動ローラの回転軸に備えたプーリと多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸に備えたプーリとの間を結合するVベルトが摩耗してベルト幅が減少しても、そのVベルト幅の減少が所定の幅に達するまで、研削ベルトと多数突部付きベルトの走行速度をほぼ同一に保てるので、継続使用できて好都合となる。
【0017】
何故なら、Vベルトの幅減少によりVベルトが受け溝内へ落ち込むことによる影響は、研削ベルト駆動ローラの回転軸に備えたプーリの径より多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸に備えたプーリの径が小さいため、後者のプーリ側で調整し易くなる。そこで、後者のプーリとして用いたVベルト受け溝幅調整プーリのVベルト受け溝の幅を調整して溝幅を狭め、Vベルトの落ち込みを小さくする。すると、Vベルト幅の減少による多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸の回転速度の上昇を押さえることができる。しかも、研削ベルト駆動ローラ、多数突部付きベルト駆動ローラの少なくとも一方のローラとして、例えば研削ベルト駆動ローラに一方向クラッチを用いる場合、多数突部付きベルトの走行速度が研削ベルトの走行速度より速くなると、研削作業の際、研削ベルトの表面に被研削物の外周面を押し付けた時、多数突部付きベルトと研削ベルト間の摩擦によって、多数突部付きベルトから研削ベルトの走行速度を上げる摩擦力が作用する。すると、研削ベルト駆動ローラのクラッチ機構により、研削ベルト駆動ローラのローラ外周部の回転速度が一瞬の間、ベルト駆動源の回転軸の回転速度より上昇するので、両ベルトの走行速度をほぼ同一に調整できて良好な研削作業を継続できる。一方、研削ベルトの走行速度が多数突部付きベルトの走行速度より速いと、研削ベルトから多数突部付きベルトへ多数突部付きベルトの走行速度を上げる摩擦力が作用するが、多数突部付きベルト駆動ローラに一方向クラッチを用いると、多数突部付きベルト駆動ローラのローラ外周部の回転速度が同様にして一瞬の間、そのローラ回転軸の回転速度より上昇するので、両ベルトの走行速度をほぼ同一に調整できて良好な研削作業を継続できる。
【0018】
そこで、新しいVベルトの使用開始時には、その後のVベルトの摩耗によるVベルト幅の減少の影響を受け易い多数突部付きベルトの走行速度の上昇を考慮して、研削ベルトの走行速度を多数突部付きベルトの走行速度より僅かに速く設定しておく。すると、研削作業時に、多数突部付きベルト23が多数突部付きベルト駆動ローラ27のクラッチ機構により研削ベルト18で増速されるので、その両ベルト18、23はほぼ同一速度で走行する。そして、更に研削作業を行うと、多数突部付きベルト23の走行速度が段々に上昇して行き、遂には逆に研削ベルト18の走行速度より速くなる。しかし、その際にも研削ベルト駆動ローラ26のクラッチ機構により、今度は研削ベルト18の方が多数突部付きベルト23により増速されるので、その両ベルト18、23はほぼ同一速度で走行する。ところが、両ベルト18、23の走行速度の差は段々に大きくなっていくので、両ローラ26、27のクラッチ機構によっても走行速度の差を吸収できなくなる。そこで、小径プーリ30のVベルト受け溝幅をねじ等を調整して狭くし、再び研削ベルト18の方が多数突部付きベルト23より僅か速く走行するように設定する。すると、研削作業を良好に継続することができる。
【0019】
そして、ベルト駆動源を研削ベルトと多数突部付きベルトとを重ねて受ける固定定盤の表面と反対の裏面中央部近傍に設置し、その定盤のベルト進入側又はベルト離脱側にある一方の端部近傍に、多数突部付きベルトを駆動するローラを設置し、更に他方の端部近傍に多数突部付きベルトの走行を案内するローラを設置して、そのベルト駆動源の回転軸と多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸とにベルト用プーリを夫々備え、その両プーリをベルトで結合して、多数突部付きベルトを定盤表面に接触させ、更に多数突部付きベルト駆動ローラの近傍と多数突部付きベルト案内ローラの近傍とに、研削ベルトの走行を案内するローラを夫々設置ことにより、研削ベルトと多数突部付きベルトとを重ねて受ける定盤の裏面中央部近傍に設置したベルト駆動源を中心にして、その周囲を取り囲むように固定定盤、多数突部付きベルトとその駆動ローラと案内ローラ、研削ベルトとその案内ローラ、等を配設するので、ベルト研削機のベルト駆動機構等の主要部をまとめてコンパクトにすることができる。
【0020】
そして、その研削ベルトを多数突部付きベルトの定盤表面と接触する部分に重ねて圧接することにより、多数突部付きベルトに圧接される研削ベルトの面積が広くなって、多数の突部が介在するので、多数突部付きベルトと研削ベルトとの間の摩擦による抵抗が大きくなる。すると、多数突部付きベルトから研削ベルトに摩擦によって大きな駆動力を伝達でき、しかもベルト研削機が小型になると、研削ベルトの走行を案内するローラのトルクが小さくなるので、研削ベルト駆動ローラを省略できる。それ故、ベルト研削機を小型化し易くなる。
【0021】
そして、固定定盤の表面中央部を平面にし、更にその表面の中央平面部に隣接するベルト進入側又はベルト離脱側にある少なくとも一端側の一部分を中央平面部より屈曲させて表面を端に行く程、定盤の裏面に近づけて、中央平面部のベルト進入側又はベルト離脱側の少なくとも一方に、中央平面部に隣接する曲面部を形成することにより、外周面に大きな曲面部がある被研削物に対し、固定定盤の中央平面部に隣接する曲面部を利用すると研削作業を行い易く、被研削物の大きな曲面部に存在するバリや凹凸等の研削を良好に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付の図1〜10を参照して、本発明の実施の最良形態を説明する。
図1は本発明を適用した研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えた固定型ベルト研削機の概略構造を示す正面図、図2はその一部を断面図で示した平面図である。この研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機10は、被研削物の外周面の研削に用いるため、床上等に固定し据え付けて使用する。そこで、ベルト研削機10の底部をベース11とし、そのベース11上の後側の右最後部付近に台枠12を設置し、その台枠12上にベルト研削機10のベルト駆動源13として、例えば電動モータを据え付ける。又、そのベース11上にベルト研削機10のベルト駆動機構等を支持する台枠として、大型台枠14を設置する。そして、研削作業に備え、大型台枠14の前側の頂部中央部に支持枠15を設け、その上に取付台16を設置し、その上に研削作業台となる定盤17を固着する。
【0023】
その際、研削ベルト18を受ける固定定盤17として、例えば鉄製で研削ベルト18の走行方向に沿う左右の長さが420mm、前後幅が140mmで、厚さが12mmの長方形平板を用いる。そして、定盤17の表面(上面)中央部を広く平面にし、その表面の中央平面部19に隣接する左端側の一部分を中央平面部19より屈曲させ、更に表面を左端に行く程定盤17の裏面に近づけて、中央平面部19のベルト入力側に隣接する左側曲面部20と左側平面部21を形成しておく。なお、中央平面部19のベルト離脱側にも、同様にして隣接する右側曲面部と右側平面部を形成することができる。
【0024】
このような固定定盤17の表面上に、中央平面部19を水平に保って研削ベルト18を重ね、更にその研削ベルト18と定盤17との間に、多数の突部22をベルト本体24に設けた多数突部付きベルト23を介在する。すると、固定定盤17と多数突部付きベルト23と研削ベルト18とが3層状に重なり、定盤17と多数の突部22を分離でき、その多数突部22をベルト本体24にて移動させることができる。しかも、研削作業時に、研削ベルト18の表面に被研削物の外周面を押し付けた時、多数突部付きベルト23で研削ベルト18の裏面を受けて支持し、更に固定定盤17で研削ベルト18の裏面と多数突部付きベルト23の裏面を受けて支持できる。
【0025】
そして、このような研削ベルト18には、例えば従来通りのベルト本体(基板)となる平ベルトの表面に研削材が付着されている100mm幅の市販のものを用いる。又、多数突部付きベルト23として、例えば図3、4に示すようにベルト本体24として幅100mmの平ベルトを用い、そのベルト本体24の研削ベルト受け面形成側に、多数本の幅20mm、高さ2mmの直線状突部22を12mmの間隔にして平行に並べ、その各直線状突部22をベルト本体24の走行方向に対し、45度の角度に傾斜する方向に延ばして設け、それ等の突部22を研削ベルト受け面形成側に均等に分散して配置し、それ等の突部22の頂面で研削ベルト受け面を形成したものを用いる。その際、ベルト本体24に直線状突部22として、例えばゴム等の弾性体を接着して設ける。なお、各直線状突部は形状を変更し、その突部を連続的な直線にせず、小さな突部を一定間隔を置いて直線状に並べる等して形成してもよい。又、多数本の直線状突部は配置を変更し、多数本の直線状突部をベルト本体の走行方向に対し、傾斜方向を反対にして格子状に配設する等してもよい。
【0026】
これ等の研削ベルト18と多数突部付きベルト23は、いずれも複数のローラ間に張り渡してエンドレス状態に設置する。その際、先ずベルト駆動源13の前側に突出する回転軸25に、研削ベルト18を駆動するローラ26を設置し、その研削ベルト駆動ローラ26から所定距離離れた左方の近傍に、多数突部付きベルト23を駆動するローラ27を設置する。そして、ベルト駆動源13の回転軸25と多数突部付きベルト駆動ローラ27の回転軸28とに、前者のプーリ径より後者のプーリ径を小さくしてVベルト用プーリ29、30を夫々備え、その両プーリ29、30をVベルト31で連結する。その際、その多数突部付きベルト側プーリ30としてVベルト幅の変化に対応できるVベルト受け溝幅調整プーリを用い、更に研削ベルト駆動ローラ26、多数突部付きベルト駆動ローラ27として、そのベルト駆動源13の回転軸25の回転速度を、クラッチ機構を介してローラ26の外周部に伝達する一方向クラッチと、多数突部付きベルト駆動ローラ27の回転軸28の回転速度を、クラッチ機構を介してローラ27の外周部に伝達する一方向クラッチとを夫々用いる。なお、研削作業時には、本来は両ベルト18、23を同一速度で走行させて研削作業をするのが望ましい。しかも、研削ベルト18は単なる消耗品として扱うのに対し、多数突部付きベルト23は長期間の使用を考慮した方が良いので、多数突部付きベルト23の摩耗を押さえるためにも極力同一速度で走行させるのが好ましい。しかし、Vベルト用プーリ29、30の内、小径プーリ30の径を調整して両ベルト18、23が同一速度で走行するように設定して、研削作業をスタートしても多数突部付きベルト23の方が僅かずつ段々に速くなってくる。
【0027】
何故なら、使用中にVベルト31が摩耗してくると、各ベルト用プーリ29、30上でのVベルト31の中心径が夫々小さくなってくる。しかも、その変化率は小径プーリ30の方が大きいので、小径プーリ30で駆動される多数突部付きベルト23の方が、走行速度が段々に僅かずつ速くなってくる。因みに、長期的には両駆動ローラ26、27の摩耗、両プーリ29、30の摩耗も影響するが、ほぼ同様に多数突部付きベルト23の方に、摩耗による影響が走行速度の上昇として早く現れる。そこで、最初は両プーリ29、30の各径で調整して、研削ベルト18の方が多数突部付きベルト23より僅か速く走行するように設定する。この状態で、研削ベルト18の表面に被研削物の外周面を押し付けて研削作業をすると、両ベルト18、23間に働く摩擦力により多数突部付きベルト駆動ローラとして用いた一方向クラッチのクラッチ機構を介して、多数突部付きベルト23の方が研削ベルト18より増速されて、両ベルト18、23がほぼ同一の走行速度になる。更に研削作業を継続していると、Vベルト31が摩耗してきて、段々に多数突部付きベルト23の走行速度が上昇して、やがて逆に研削ベルト18の走行速度より速くなってくる。しかし、この状態の時も、研削ベルト18の表面に被研削物の外周面を押し付けると、両ベルト18、23間に働く摩擦力と研削ベルト駆動ローラ26のクラッチ機構により、研削ベルト18が増速されて同様に両ベルト18、23はほぼ同一の走行速度になる。ところが、両ベルト18、23の間に働く摩擦力により補正できる走行速度の差には限界がある。そこで、多数突部付きベルト23の方が研削ベルト18より速くなってきたら、その様子を見て、小径プーリ30のVベルト受け溝の幅をねじ等により調整して狭くし、Vベルト30の落ち込みを元に戻す。すると、摩耗によるVベルト幅の減少により起こるVベルト31の落ち込みをなくして、多数突部付きベルト駆動ローラ27の回転軸28の回転速度の上昇を押さえることができる。又は、Vベルト31を新しいものと交換して、再び研削ベルト18の方が僅かに速く走行するように設定するのが良い。このようにすると、研削作業を良好に継続して行えるようになる。なお、研削ベルト駆動ローラ26、多数突部付きベルト駆動ローラ28の一方のみに一方向クラッチを用いても良い。
【0028】
そして、大型台枠14の右端部中央より上部に、左右に延びる細長い上面を有する板状の支持枠32を設置し、その支持枠32にベルト駆動源13の回転軸25の付け根付近を支持する軸受(図示なし)と多数突部付きベルト駆動ローラ27の回転軸28のローラ非設置端部33を支持する軸受34を設置する。なお、35は支持ローラ36を操作してVベルト31を張ったり、緩めたりするVベルトテンション加除機構である。又、大型台枠14の左端部中央より下部で、軸受支持枠32と前後同一位置に、左右に延びる細長い上部を有する板状の支持枠37を設置し、その支持枠37を中心にして、左端部最先端付近の中央より上部に、研削ベルト駆動ローラ26と対になり研削ベルト18の走行を案内するローラ38を設置し、その研削ベルト案内ローラ38の右方の近傍に、多数突部付きベルト駆動ローラ27と対になり、多数突部付きベルト23の走行を案内する多数突部付きベルト案内ローラ39を夫々設置する。
【0029】
そして、その研削ベルト案内ローラ38の近傍下部側に、研削ベルト案内ローラ38を操作して、研削ベルト38を張ったり、緩めたりする研削ベルトテンション加除機構40を設置し、更に多数突部付きベルト案内ローラ39の近傍下部側に、多数突部付きベルト案内ローラ39を操作して、多数突部付きベルト23を張ったり、緩めたりする多数突部付きベルトテンション加除機構41を設置する。又、研削ベルト案内ローラ38の左方近傍に、研削ベルトテンション加除機構40の操作部として、レバー42付きの偏心カム43を設置し、更に多数突部付きベルト案内ローラ39の左方近傍に、多数突部付きテンション加除機構41の操作部として、レバー44付きの偏心カム45を設置する。
【0030】
このような研削ベルトテンション加除機構40はレバー42を操作して、偏心カム43を一方向又は反対方向に回転させ、その動きを、てこの原理により研削ベルト案内ローラ38に伝達するものである。そこで、図5に示すように研削ベルトテンション加除機構40の中核をなす軸受46の中央付近を支持枠37に固定する。そして、その軸受46にて回転自在に支持されている回転軸49の後端に、下方に伸びる下部アーム50の上部付近を固着し、その下部アーム50の下端部に引張コイルスプリング51の一端を固着する。又、回転軸49の前端に、上方に伸びる上部アーム52の下部付近を固着し、その上部アーム52の上端部付近に研削ベルト案内ローラ38を回転自在に支える回転軸53の後端を固着する。更に、上部アーム52の中央部に偏心カム43が当接脱するカム受け部材54を固着する。なお、引張コイルスプリング51の他端はベース11に固着する。
【0031】
このようにして、研削ベルト18に対し、研削ベルトテンション加除機構40を設置しておくと、レバー42がオフ位置にある時、偏心カム43はカム受け部材54と離れている。このため、引張コイルスプリング51の引張力が常時下部アーム50の下端部に加わり、下部アーム50の下端部が右方へと引っ張られ、下部アーム50が回転軸49を中心にして回転し、そのアーム50の下部が右方へと移動して、その位置を占める。すると、下部アーム50の回転が回転軸49を介して上部アーム52に伝達し、上部アーム52が回転して、そのアーム52の上部が左方へと移動するので、回転軸53と研削ベルト案内ローラ38が共に左方へと移動して、その位置を占める。従って、レバー42がオフ位置にある時、研削ベルト案内ローラ38により研削ベルト18に引っ張りを与えることができる。
【0032】
そこで、レバー42を操作してオン位置にすると、偏心カム43が回転して偏心カム受け部材54に当接する。このため、引張コイルスプリング51の引張力に抗して、カム受け部材54により回転軸49を中心にして、上部アーム52を反対方向に回転させて、回転軸53と研削ベルト案内ローラ38を共に右方へ移動させ、研削ベルト18を緩ませることができる。又、多数突部付きベルトテンション加除機構41にも同様の構造を備えさせる。すると、同様にレバー44を操作して偏心カム45を一方向又は反対方向に回転させ、その動きを多数突部付きベルト案内ローラ39に伝達することにより、多数突部付きベルト23に引っ張りを与え、又緩めることができる。
【0033】
このような研削ベルト18と多数突部付きベルト23は、固定定盤17の表面上に、研削ベルト18を外側にして、いずれもベルトの幅寄せにより正確に重ね合わせて、両ベルト18、23を同一方向に、又ほぼ同一速度にして走行させなければならない。なお、両ベルト18、23を同一方向に、又ほぼ同一速度にして走行させないと、多数の直線状突部22が接触により摩耗するので不都合となる。そこで、定盤17の裏面下方を走行する研削ベルト18と多数突部付きベルト23の各走行径路に配置したベルト案内ローラ38、39寄り位置に、ベルト幅寄せ機構55、56を夫々設置する。その際、ベルト幅寄せ機構55、56は同様の構造にするので、多数突部付きベルト23のベルト幅寄せ機構56について詳述する。この多数突部付きベルト幅寄せ機構56は、操作部57のつまみ58を一方向又は反対方向に回転操作することにより、そのつまみ58付き操作部57の位置を変えて上下方向に移動し、その動きを、てこの原理により多数突部付きベルト幅寄せローラ59に伝達するものである。そこで、多数突部付きベルト幅寄せ機構56の中核として、図6に示すように、垂直方向に設置した台枠37の貫通穴61に、作動アーム62の後端部付近を挿通して、その作動アーム62を大略水平に配置する。そして、作動アーム62の左端寄り中央に棒状軸63を挿通して固着する。すると、台枠37の貫通穴61の左右両側に板状の軸支持部材64(64a、64b)を突設し、その両支持部材64により作動アーム62の回転の中心となる軸63の両端部を夫々支持できる。
【0034】
そして、つまみ58付き操作部57には、その頭部65から下方に細長い棒状の操作本体を突設する。その際、操作本体の上部付近をねじ部66、中央部付近をがたつき防止用の圧縮コイルスプリング巻回部67、下部を作動アーム62の左端部に自在に挿通できる挿通部68にし、その最下端付近を抜け止めピン69が突き刺さる抜け止め箇所にする。そこで、台枠37の上部側につまみ58付き操作部57のねじ部66が嵌まるねじ穴を設けた板状の支持部材70を突設し、更に挿通部68が自在に嵌まる貫通穴を作動アーム62の後端部に設ける。そして、作動アーム62の前端部付近には、その部分を軸とする多数突部付きベルト幅寄せローラ59を設ける。
【0035】
このようにして、多数突部付きベルト幅寄せ機構56を所定位置に設置し、そのベルト幅寄せローラ59の下側に多数突部付きベルト23を張って当接して、そのベルト23に下向きの力を与えておく。そこで、つまみ58を一方向に必要量回すことにより、操作本体のねじ部66をねじ穴付き支持部材70にねじ込んで、操作部57を下動させる。すると、作動アーム62の後端部を下動させることができるので、作動アーム62が軸63を支点にして回転し、作動アーム62の前端部側が上動して、ベルト幅寄せローラ59が上動する。その際、ベルト幅寄せローラ59が傾斜して前端側程上動する。このため、多数突部付きベルト23がローラ59上を滑って必要位置まで前方に移動するので、多数突部付きベルト23の前方への幅寄せを行える。そして、つまみ58を反対方向に回すと、今度はベルト幅寄せローラ59により、当然多数突部付きベルト23を後方に移動させて幅寄せを行える。
【0036】
このようにして、研削ベルト18受け多数突部付きベルト23を備えた固定型ベルト研削機10を完成すると、定盤17は単に固定状態に設置すればよいので、定盤17を大型化し重くなっても設置し易い。又、多数突部付きベルト23はベルト本体24の片面に多数の突部22を設け、駆動ローラ30と案内ローラ39の間に張り渡してエンドレス状態に設置するだけであるから、その多数突部付きベルト23を大型化し重くなっても、ベルト駆動源13の回転軸25から駆動力を得て、走行させ易い。それ故、研削ベルト18受け多数突部付きベルト23を備えた固定型ベルト研削機10は大型化に適する。
【0037】
このような研削ベルト18受け多数突部付きベルト23を備えた固定型ベルト研削機10は、新しい駆動用Vベルト31を使用する場合、その後のVベルト31の摩耗によるVベルト幅減少の影響を、研削ベルト18の走行速度より多数突部付きベルト23の走行速度の方が受け易いので、多数突部付きベルト23の走行速度の上昇を考慮して、研削ベルト18の走行速度を多数突部付きベルト23の走行速度より僅かに速くなるように設定する。そして、研削作業を開始する。すると、被研削物の外周面を研削ベルト18の表面に押し付けた時、研削ベルト18の裏面を、多数突部付きベルト23の研削ベルト受け面を形成する分散した多数の直線状突部22の頂面により支持できる。このため、被研削物の外周面に対し、研削ベルト18が各突部22の頂面により夫々支えられた局部当りの状態になる。しかも、研削ベルト18の走行方向に対し、多数突部付きベルト23のベルト本体24に設け、そのベルト本体24の走行方向に対して傾斜する方向に延設した多数本の直線状突部22の位置が順次走行方向にずれて、異なるようになる。このため、被研削物の外周面に存在するバリや凹凸等の各被研削箇所に夫々当接する研削ベルト18の対応する各局部を、各局部毎に走行により順次異なる突部22の頂面により夫々支持できる。従って、被研削物の外周面に存在するバリや凹凸等の被研削箇所に対し、大きな研削力を連続的に発揮して研削時間を短縮でき、研削効率が向上する。それ故、被研削物の外周面の平滑化に必要な作業時間を短くできる。
【0038】
そして、被研削物に対する研削作業の際、通常は被研削物の外周面を固定定盤17の中央平面部19によって支持されている研削ベルト18の被支持部分に押し付けて、研削作業を実施する。しかし、被研削物の外周面に大きな曲面部がある場合には、被研削物の外周面を研削ベルト18に押し付ける際に、定盤17の中央平面部19でなく、隣接する曲面部20を利用する。すると、研削作業を行い易く、被研削物の大きな曲面部に存在するバリや凹凸等の研削を良好に行える。
【0039】
図7は本発明を適用した研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたポータブル型ベルト研削機の概略構造を示す正面図、図8はその把持部と多数突部付きベルト案内ローラと多数突部付きベルトテンション加除機構との関係を一部断面図で示す平面図及び左側面図である。この研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機80は、大型構造物等の研削に用いるためポータブル型にする。そこで、製作時に、板状の台枠81に研削の主要部となるベルト駆動機構を設置し、その台枠81にポータブル用の把持部82を組み付ける。そして、把持部82の組み付けの際には、先ず台枠81の上部に後述するベルトテンション加除機構設置用アーム92、96の回転軸支持用として、軸受89、90を取り付ける。又、把持部82として、左右の手で夫々握る右手握り部83と左手握り部84とを有する棒状体の両握り部83,84の間を少し屈曲させた部材を用い、更にその棒状体の左端部と屈曲部から各アーム92、96の回転軸87、88を被って支持する回転支持部85、86を後方に向けて夫々突設する。そこで、把持部82の棒状体を左右に延ばして上部に配置し、その把持部82の回転支持部85、86を各軸受89、90に被せ、その回転軸87、88が回転支持部85、86の最奥部まで夫々嵌まるようにして組み付ける。なお、把持部82はプラスチック成形品等として把持し易い形状にして、各アーム92、96の回転軸受89、90に被せると形成できるので、特別に把持部取付用部材を設けなくてもよいので好都合となる。
【0040】
そして、左側の回転軸87にて、途中に多数突部付きベルトテンション加除機構91を備えたローラ支持アーム92を介し、多数突部付きベルト案内ローラ93を支持する。その際、ローラ支持アーム92の一端部を回転軸87の先端部に結合し、他端部を多数突部付きベルト案内ローラ93の回転軸94の一端部に結合する。又、右側の回転軸88にて、途中に研削ベルトテンション加除機構95を備えたローラ支持アーム96を介し、研削ベルト案内ローラ97を支持する。その際、ローラ支持アーム96の一端部を回転軸88の先端部に結合し、他端部を研削ベルト案内ローラ97の一端部に結合する。
【0041】
そして、台枠81の前側にベルト駆動機構を設置する。その際、台枠81の最下部中央部に定盤98を固定して設置し、その固定定盤98の研削支持用表面(下面)と反対の裏面中央部近傍に、ベルト駆動源99として例えば電動モータを設置する。この定盤98は表面の中央部100を平面にし、更にその表面の中央平面部100に隣接するベルト進入側及びベルト離脱側の両方に、曲面部101、102を夫々形成する。そして、ベルト駆動源99から所定距離離れた固定定盤98の例えばベルト進入側端部の右方近傍に、多数突部付きベルト103を駆動するローラ104を設置し、更に他方のベルト離脱側端部の左方近傍に、ローラ支持アーム92に支持されている多数突部付きベルト案内ローラ93を配置し、その左方近傍に、研削ベルト105の走行を案内するローラ106を設置する。
【0042】
又、図9に示すようにそのベルト駆動源99の回転軸107と多数突部付きベルト駆動ローラ104の回転軸108とにベルト用プーリとして例えば平ベルト用プーリ109、110を夫々備え、その両プーリ109、110を平ベルト111で結合する。その際、台枠81に回転軸107、108を支持する軸受112等を設置する。又、多数突部付きベルト駆動ローラ104の右方近傍にローラ支持アーム96により支持して研削ベルト案内ローラ97を配置する。
【0043】
このようにして、多数突部付きベルト103は駆動ローラ104と案内ローラ93の間に張り渡してエンドレス状態に配置する。そして、その多数突部付きベルト103を張ったり、緩めたりするのが、ローラ支持アーム92の中央部に設置した多数突部付きベルトテンション加除機構91である。この多数突部付きベルトテンション加除機構91は、レバー113付きの偏心カム114を棒状体の一端部に回転自在に備え付けて、その棒状体の他端側を脚部にし、その脚部をローラ支持アーム92に設けた長穴115内に挿通する。そして、脚部の基部が長穴115に嵌まる挿通部116、中間部が圧縮コイルスプリング巻回部117、先端部が台枠81に固着部材118を用いて固着する固着部119になる。すると、圧縮コイルスプリング120がローラ支持アーム92と固着部材118の間に介在しているので、そのスプリング120がローラ支持アーム92に対し、左方への付勢力を加える。
【0044】
このため、そのローラ支持アーム92の先端部に設置されている多数突部付きベルト案内ローラ93に左方への力が加わり、その多数突部付きベルト案内ローラ93から多数突部付きベルト103に引張力を与えることができる。その際、レバー113はオン位置にあり、偏心カム114が長穴115の直近外方に離れている。しかし、レバー113をオフ位置に移動して、偏心カム114を回転させると、偏心カム114が長穴115の縁部に乗るので、その偏心カム114によりローラ支持アーム92を圧縮コイルスプリング120の付勢力に抗して右方に移動できる。すると、多数突部付きベルト案内ローラ93が右方に移動し、多数突部付きベルト103を緩めることができる。一方、研削ベルト105は両案内ローラ97、106間に張り渡してエンドレス状態に配置するが、その研削ベルト105をローラ支持アーム96の中央部に設置した研削ベルトテンション加除機構95により張ったり、緩めたりする。その際、研削ベルトテンション加除機構95として、多数突部付きベルトテンション加除機構91と同様の構造のものを用いる。
【0045】
このような研削ベルト105、多数突部付きベルト103は、固定定盤98の表面に研削ベルト105を外側にして、いずれもベルトの幅寄せにより正確に重ね合わせて、両ベルト103、105を同一方向に、又ほぼ同一速度にして走行させなければならない。なお、多数突部付きベルト103の幅より研削ベルト105の幅を少し広くすると、多数突部付きベルト103に研削ベルト105が被るので、摩擦抵抗を大きくすることができて好ましい。又、両端が垂れ下がるので、被研削面に筋が付かない。そこで、定盤98の裏面上方を走行する研削ベルト105と多数突部付きベルト103の各走行経路にベルト幅寄せ機構121、122を夫々設置する、その際、研削ベルト幅寄せ機構121をベルト駆動源99の真上に、又多数突部付きベルト幅寄せ機構122をベルト駆動源99と多数突部付きベルト駆動ローラ104の間の真上に設置する。しかも、各ベルト幅寄せ機構121、122は同様の構造にするので、研削ベルト幅寄せ機構121について詳述する。
【0046】
この研削ベルト幅寄せ機構121は、上述した多数突部付きベルト幅寄せ機構56と大略同一の構造にする。そこで、研削ベルト幅寄せ機構121では、操作部123として、つまみ124付きの棒状脚部125を用い、そのつまみ124を一方向又は反対方向に回転操作することにより、その操作本体たる脚部125を上下方向に移動して位置を変え、その動きをてこの原理により研削ベルト幅寄せ機構126に伝達する。このため、図10に示すように台枠81の貫通穴127に、作動アーム128の後端部側を挿通して、その作動アーム128を大略水平に配置し、その作動アーム128に棒状の軸129を挿通固着する。そして、台枠81の貫通穴127の両外面から前方に向けて軸支持部材130を突設し、その両支持部材130により軸129の両端部を夫々支持する。
【0047】
一方、台枠81の上端部から後方に向け、脚部125の上部付近が嵌まるねじ穴付きの支持部材131を突設し、更に作動アーム128の後端部に脚部125の下部付近が自在に嵌まる挿通穴を設ける。そこで、脚部125の上部付近をねじ部132にし、中央部下端寄り位置にピン133を用いてアーム押し部材134を固着し、下部付近を挿通部135にし、その下端に抜け止め部材136を取り付ける。しかも、脚部125のねじ部132の上部側にがたつき防止用の圧縮コイルスプリング137を巻回し、その圧縮コイルスプリング136をつまみ124と支持部材131の間に設置する。又、作動アーム128の後端部と抜け止め部材136との間にも、挿通部135に巻回してがたつき防止圧縮スプリング138を設置する。
【0048】
このようにして、研削ベルト幅寄せ機構121を所定位置に設置し、そのベルト幅寄せローラ126の上側に、案内ローラ97、106間に張り渡した研削ベルト105を乗せて、そのベルト105に張りを与えておく。すると、操作部123のつまみ124を圧縮コイルスプリング136の付勢力に抗して一方向に必要量回すことにより、脚部125のねじ部132をねじ穴付き支持部材131にねじ込んで、脚部125に固着したアーム押し部材134により、作動アーム128の後端部を押し下げることができる。このため、作動アーム128が軸129を支点にして回転し、その作動アーム128の前端部側が上動して、ベルト幅寄せローラ126が前端側程上動する。そこで、研削ベルト105をベルト幅寄せローラ126に乗せて当接しておくと、その研削ベルト105がローラ126上を滑って必要位置まで後方に移動するので、研削ベルト105の後方への幅寄せを行える。一方、つまみ58を圧縮コイルスプリング136の付勢力を得ながら反対方向に回すと、今度はベルト幅寄せローラ126により、当然研削ベルト105を前方に移動させて幅寄せを行える、
【0049】
このような研削ベルト105受け多数突部付きベルト103を備えたポータブル型ベルト研削機80は、ベルト駆動源99を研削ベルト105と多数突部付きベルト103とを重ねて受ける固定定盤98の裏面中央部近傍の上方に設置し、そのベルト駆動源99を中心にして、その周囲を取り囲むように固定定盤98、多数突部付きベルト103とその駆動ローラ104と案内ローラ94、研削ベルト105とその案内ローラ97、106、等を配設するので、ベルト研削機80の主要部であるベルト駆動機構等をまとめてコンパクトにすることができる。そして、多数突部付きベルト103の固定定盤98の研削支持用表面と接触する部分上に研削ベルト105を重ねて圧接することにより、多数突部付きベルト103に圧接される研削ベルト105の面積が広くなって、研削ベルト105と多数突部付きベルト103のベルト本体139との間に、多数の直線状突部140が介在するので、多数突部付きベルト103と研削ベルト105との間の摩擦による抵抗が大きくなる。すると、その大きな摩擦抵抗によって、多数突部付きベルト103から直接研削ベルト105に大きな駆動力を伝達でき、しかもベルト研削機80が小型になると、研削ベルト105の走行を案内するローラ97、106のトルクが夫々小さくなるので、研削ベルト駆動ローラを省略できる。それ故、ベルト研削機80をコンパクトにし小型化してポータブル型にできる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明を適用した研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えた固定型ベルト研削機の概略構造を示す正面図である。
【図2】同固定型ベルト研削機の一部を断面図で示した平面図である。
【図3】同固定型ベルト研削機に備える多数突部付きベルトの平面図である。
【図4】同多数突部付きベルトのX−X断面図である。
【図5】同固定型ベルト研削機に備える研削ベルトテンション加除機構の左側面図である。
【図6】同固定型ベルト研削機に備える多数突部付きベルト幅寄せ機構の一部を断面図で示した左側面図である。
【0051】
【図7】本発明を適用した研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたポータブル型ベルト研削機の概略構造を示す正面図である。
【図8】同ポータブル型ベルト研削機に備える把持部と多数突部付きベルト案内ローラと多数突部付きベルトテンション加除機構との関係を一部断面図で示した平面図と左側面図である。
【図9】同ポータブル型ベルト研削機の台枠に設置したベルト駆動機構の主要部一部を断面図で示した平面図である。
【図10】同ポータブル型ベルト研削機に備える研削ベルト幅寄せ機構の一部を断面図で示した右側面図である。
【図11】従来の固定定盤付きベルト研削機の主要部の概略構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
10、80…研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機 13、99…ベルト駆動源 17、98…固定定盤 18、105…研削ベルト 19、100…中央平面部 20、101、102…曲面部 22、140…直線状突部 23、103…多数突部付きベルト 24、139…ベルト本体 25、28、107、108…回転軸 26…研削ベルト駆動ローラ 27、104…多数突部付きベルト駆動ローラ 29、30…Vベルト用プーリ 31…Vベルト 38、97、106…研削ベルト案内ローラ 39、93…多数突部付きベルト案内ローラ 40、95…研削ベルトテンション加除機構 41、91…多数突部付きベルトテンション加除機構 55、121…研削ベルト幅寄せ機構 56、122…多数突部付きベルト幅寄せ機構 109、110…平ベルト用プーリ 111…平ベルト
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドレスの研削ベルトの表面に被研削物の外周面を押し付けて、その外周面を削り取って平滑にするベルト研削機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被研削物例えば鋳造品、プラスチック製品、木工品等の外周面を平滑にする場合、図11に示すような駆動及び従動ローラ1、2に張り渡したエンドレス状態の研削ベルト3と、その研削ベルト3の表面4に被研削物の外周面を押し付けた時、研削ベルト3の裏面5を受けて支持する研削ベルト受け面6を、研削ベルト3の裏面5に接触させ、平行に配置して設け、固定状態に設置した金属製の板状定盤7と、その駆動ローラ1に回転力を伝達するベルト駆動源(図示なし)等とを備えた固定定盤付きベルト研削機8を用いている。そして、研削ベルト3には通常、ベルト本体となる平ベルトの表面に研削材を付着させた市販のものを用いる。すると、被研削物の外周面を駆動及び従動ローラ1、2の回転により走行する研削ベルト3の表面4に押し付け、その研削ベルト3の裏面5を固定定盤7の研削ベルト受け面6に当接して、研削ベルト3を固定定盤7で良好に支持できる。それ故、被研削物の外周面にあるバリや凹凸等を研削ベルト3の表面4に付着されている研削材(図示なし)で削り取って平滑にできる。
【0003】
しかし、このようなベルト研削機8の固定定盤7の研削ベルト受け面6は、平滑な平面になっているため、被研削物の研削中、固定定盤7の研削ベルト受け面6から研削ベルト3の裏面5の全面に対し、均等に支持力が作用する。すると、被研削物の外周面に対し、研削ベルト3の表面4が全面当たりの状態になり、被研削物の外周面を押し付けた時、その外周面に最初に研削ベルト3の研削材が当たる初期研削時の研削力が大きくても、その研削材が研削ベルト4の走行により一旦被研削物の外周面下に潜り込むと、固定定盤7の研削ベルト受け面6から研削ベルト3の裏面5の全面に対し、均等に支持力が作用するので、大きな研削力を維持できずに研削力が小さくなる。このため、大きな研削力を連続的に発揮し難く、被研削物の外周面の粗面状態即ち外周面にバリが突出し、凹凸が存在する場合、そのバリや凹凸等のある被研削箇所の平滑化に時間が掛かり、研削効率を上げることができない。それ故、被研削物の外周面を削り取って平滑にするための作業時間が長くなるという問題がある。
【0004】
そこで、本出願人は先に定盤の研削ベルト受け面形成側に、多数本の直線状突部列を研削ベルトの走行方向に対し傾斜する方向に延ばして設け、それ等の突部を研削ベルト受け面形成側に分散して配置し、それ等の突部の頂面で研削ベルト受け面を形成すると共に、その定盤を揺動する定盤揺動機構を備えた多数突部付き定盤揺動型ベルト研削機を提示した。
【特許文献1】特開2011−62806
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、多数突部付き定盤揺動型ベルト研削機では、研削機を大型化しようとすると、当然多数突部付き定盤が大きく重くなる。そして、大型の多数突部付き定盤にすると、揺動させ難い。又、多数突部付き定盤を揺動型にすると、コンパクト化させ難い。それ故、ベルト研削機の大型化、又は小型化に問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、ベルト研削機を大型化又は小型化に適したものにすると共に、被研削物の外周面に存在するバリや凹凸等の被研削箇所に対し、大きな研削力を連続的に発揮し易くして研削時間を短縮し、研削効率を向上させることにより、外周面の平滑化に必要な作業時間を短くできる研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明による研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機には、複数のローラ間に張り渡してエンドレス状態に設置した研削ベルトと、その研削ベルトの表面に被研削物の外周面を押し付けた時、研削ベルトの裏面を受けて支持する固定状態に設置した定盤と、ベルトを駆動するベルト駆動源とを備える。そして、上記固定定盤と研削ベルトとの間に、その研削ベルトの表面に被研削物の外周面を押し付けた時、研削ベルトの裏面を受けて支持する多数突部付きベルトを介在して、その固定定盤と多数突部付きベルトと研削ベルトとを3層状に重ね、その多数突部付きベルトを複数のローラ間に張り渡してエンドレス状態に設置する。
【0008】
しかも、その多数突部付きベルトとして、多数突部付きにする際に、そのベルト本体の研削ベルト受け面形成側に、多数本の直線状突部をベルト本体の走行方向に対し傾斜する方向に延ばして設け、それ等の突部を研削ベルト受け面形成側に分散して配置し、それ等の突部の頂面で研削ベルト受け面を形成したものを用い、その研削ベルトと多数突部付きベルトとをベルト駆動源の回転軸から駆動力を得て走行させて、両ベルトの走行方向を同一にし、更に両ベルトの走行速度をほぼ同一にするする。
【0009】
そして、上記ベルト駆動源の回転軸に研削ベルトを駆動するローラを設置し、その研削ベルト駆動ローラから所定距離離して、多数突部付きベルトを駆動するローラを設置して、そのベルト駆動源の回転軸と多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸とに、前者のプーリ径より後者のプーリ径を小さくしてVベルト用プーリを夫々備える。
【0010】
そして、その両プーリをVベルトで結合し、その多数突部付きベルト側プーリとしてVベルト幅の変化に対応できるVベルト受け溝幅調整プーリを用い、更に研削ベルト駆動ローラ、多数突部付きベルト駆動ローラの少なくとも一方のローラとして、そのベルト駆動源の回転軸の回転速度又は多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸の回転速度を、クラッチ機構を介してローラの外周部に伝達する一方向クラッチを用いると好ましくなる。
【0011】
又、上記ベルト駆動源を研削ベルトと多数突部付きベルトとを重ねて受ける固定定盤の表面と反対の裏面中央部近傍に設置し、その定盤のベルト進入側又はベルト離脱側にある一方の端部近傍に、多数突部付きベルトを駆動するローラを設置し、更に他方の端部近傍に多数突部付きベルトの走行を案内するローラを設置して、そのベルト駆動源の回転軸と多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸とにベルト用プーリを夫々備え、その両プーリをベルトで結合して、多数突部付きベルトを定盤表面に接触させ、更に多数突部付きベルト駆動ローラの近傍と多数突部付きベルト案内ローラの近傍とに、研削ベルトの走行を案内するローラを夫々設置して、その研削ベルトを多数突部付きベルトの定盤表面と接触する部分に圧接するとよい。
【0012】
そして、上記固定定盤の表面中央部を平面にし、更にその表面の中央平面部に隣接するベルト進入側又はベルト離脱側にある少なくとも一端部寄り部分を中央平面部より屈曲させて表面を端に行く程、定盤の裏面に近づけて、中央平面部のベルト進入側又はベルト離脱側の少なくとも一方に、中央平面部に隣接する曲面部を形成するとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機は、固定定盤と研削ベルトとの間に、その研削ベルトの表面に被研削物の外周面を押し付けた時、研削ベルトの裏面を受けて支持する多数突部付きベルトを介在して、その固定定盤と多数突部付きベルトと研削ベルトとを3層状に重ね、その多数突部付きベルトを複数のローラ間に張り渡してエンドレス状態に設置することにより、定盤と多数の突部とを分離できる。そして、多数の突部を移動させるため、ベルト本体に配設して、その多数突部付きベルトをエンドレス状態に設置すると、その両ベルトをベルト駆動源の回転軸から回転力を得て走行させながら、その定盤で研削ベルトの裏面と多数突部付きベルトの裏面を受けて支持できる。その際、定盤は単に固定状態に設置すればよいので、定盤を大型化し重くなっても設置し易い。又、多数突部付きベルトはベルト本体の片面に多数の突部を設け、複数のローラ間に張り渡してエンドレス状態に設置するだけであるから、その多数突部付きベルトを大型化し重くなっても、ベルト駆動源の回転軸から駆動力を得て走行させ易い。又、多数突部付きベルトの駆動力をベルト駆動源の回転軸から得ると、コンパクト化もし易い。それ故、研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機は大型化に適するばかりでなく、小型化にも適する。
【0014】
そして、その多数突部付きベルトとして、多数突部付きにする際に、そのベルト本体の研削ベルト受け面形成側に、多数本の直線状突部をベルト本体の走行方向に対し傾斜する方向に延ばして設け、それ等の突部を研削ベルト受け面形成側に分散して配置し、それ等の突部の頂面で研削ベルト受け面を形成したものを用い、その研削ベルトと多数突部付きベルトとをベルト駆動源の回転軸から駆動力を得て走行させて、両ベルトの走行方向を同一にし、更に両ベルトの走行速度をほぼ同一にすることにより、被研削物の外周面を研削ベルトの表面に押し付けた時、その研削ベルトの裏面を、多数突部付きベルトの研削ベルト受け面を形成する分散した多数の直線状の突部の頂面により支持できる。すると、被研削物の外周面に対し、研削ベルトが各突部の頂面により夫々支えられた局部当りの状態になる。しかも、研削ベルトの走行方向に対し、多数突部付きベルトに設け、そのベルト本体の走行方向に対して傾斜する方向に延設した多数本の直線状突部の位置が順次走行方向にずれて、異なるようになる。
【0015】
そこで、研削ベルトの表面に被研削物の外周面を押し付けると、被研削物の外周面に存在するバリや凹凸等の各被研削箇所に夫々当接する研削ベルトの対応する各局部を、各局部毎に走行により順次異なる突部の頂面により夫々支持できる。このため、被研削物の外周面に存在するバリや凹凸等の被研削箇所に対し、大きな研削力を連続的に発揮して研削時間を短縮でき、研削効率が向上する。それ故、被研削物の外周面の平滑化に必要な作業時間を短くできる。
【0016】
そして、ベルト駆動源の回転軸に研削ベルトを駆動するローラを設置し、その研削ベルト駆動ローラから所定距離離して、多数突部付きベルトを駆動するローラを設置して、そのベルト駆動源の回転軸と多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸とに、前者のプーリ径より後者のプーリ径を小さくしてVベルト用プーリを夫々備え、その両プーリをVベルトで結合し、その多数突部付きベルト側プーリとしてVベルト幅の変化に対応できるVベルト受け溝幅調整プーリを用い、更に研削ベルト駆動ローラ、多数突部付きベルト駆動ローラの少なくとも一方のローラとして、そのベルト駆動源の回転軸の回転速度又は多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸の回転速度を、クラッチ機構を介してローラの外周部に伝達する一方向クラッチを用いることにより、多数突部付きベルト側プーリの外周面に設けられているVベルト受け溝の幅を調整できると共に、ベルト駆動源の回転軸の回転速度より研削ベルト駆動ローラのローラ外周部の速度を瞬間的に速め、又は多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸の回転速度より多数突部付きベルト駆動ローラのローラ外周部の回転速度を瞬間的に速めることができる。それ故、使用中に、研削ベルト駆動ローラの回転軸に備えたプーリと多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸に備えたプーリとの間を結合するVベルトが摩耗してベルト幅が減少しても、そのVベルト幅の減少が所定の幅に達するまで、研削ベルトと多数突部付きベルトの走行速度をほぼ同一に保てるので、継続使用できて好都合となる。
【0017】
何故なら、Vベルトの幅減少によりVベルトが受け溝内へ落ち込むことによる影響は、研削ベルト駆動ローラの回転軸に備えたプーリの径より多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸に備えたプーリの径が小さいため、後者のプーリ側で調整し易くなる。そこで、後者のプーリとして用いたVベルト受け溝幅調整プーリのVベルト受け溝の幅を調整して溝幅を狭め、Vベルトの落ち込みを小さくする。すると、Vベルト幅の減少による多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸の回転速度の上昇を押さえることができる。しかも、研削ベルト駆動ローラ、多数突部付きベルト駆動ローラの少なくとも一方のローラとして、例えば研削ベルト駆動ローラに一方向クラッチを用いる場合、多数突部付きベルトの走行速度が研削ベルトの走行速度より速くなると、研削作業の際、研削ベルトの表面に被研削物の外周面を押し付けた時、多数突部付きベルトと研削ベルト間の摩擦によって、多数突部付きベルトから研削ベルトの走行速度を上げる摩擦力が作用する。すると、研削ベルト駆動ローラのクラッチ機構により、研削ベルト駆動ローラのローラ外周部の回転速度が一瞬の間、ベルト駆動源の回転軸の回転速度より上昇するので、両ベルトの走行速度をほぼ同一に調整できて良好な研削作業を継続できる。一方、研削ベルトの走行速度が多数突部付きベルトの走行速度より速いと、研削ベルトから多数突部付きベルトへ多数突部付きベルトの走行速度を上げる摩擦力が作用するが、多数突部付きベルト駆動ローラに一方向クラッチを用いると、多数突部付きベルト駆動ローラのローラ外周部の回転速度が同様にして一瞬の間、そのローラ回転軸の回転速度より上昇するので、両ベルトの走行速度をほぼ同一に調整できて良好な研削作業を継続できる。
【0018】
そこで、新しいVベルトの使用開始時には、その後のVベルトの摩耗によるVベルト幅の減少の影響を受け易い多数突部付きベルトの走行速度の上昇を考慮して、研削ベルトの走行速度を多数突部付きベルトの走行速度より僅かに速く設定しておく。すると、研削作業時に、多数突部付きベルト23が多数突部付きベルト駆動ローラ27のクラッチ機構により研削ベルト18で増速されるので、その両ベルト18、23はほぼ同一速度で走行する。そして、更に研削作業を行うと、多数突部付きベルト23の走行速度が段々に上昇して行き、遂には逆に研削ベルト18の走行速度より速くなる。しかし、その際にも研削ベルト駆動ローラ26のクラッチ機構により、今度は研削ベルト18の方が多数突部付きベルト23により増速されるので、その両ベルト18、23はほぼ同一速度で走行する。ところが、両ベルト18、23の走行速度の差は段々に大きくなっていくので、両ローラ26、27のクラッチ機構によっても走行速度の差を吸収できなくなる。そこで、小径プーリ30のVベルト受け溝幅をねじ等を調整して狭くし、再び研削ベルト18の方が多数突部付きベルト23より僅か速く走行するように設定する。すると、研削作業を良好に継続することができる。
【0019】
そして、ベルト駆動源を研削ベルトと多数突部付きベルトとを重ねて受ける固定定盤の表面と反対の裏面中央部近傍に設置し、その定盤のベルト進入側又はベルト離脱側にある一方の端部近傍に、多数突部付きベルトを駆動するローラを設置し、更に他方の端部近傍に多数突部付きベルトの走行を案内するローラを設置して、そのベルト駆動源の回転軸と多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸とにベルト用プーリを夫々備え、その両プーリをベルトで結合して、多数突部付きベルトを定盤表面に接触させ、更に多数突部付きベルト駆動ローラの近傍と多数突部付きベルト案内ローラの近傍とに、研削ベルトの走行を案内するローラを夫々設置ことにより、研削ベルトと多数突部付きベルトとを重ねて受ける定盤の裏面中央部近傍に設置したベルト駆動源を中心にして、その周囲を取り囲むように固定定盤、多数突部付きベルトとその駆動ローラと案内ローラ、研削ベルトとその案内ローラ、等を配設するので、ベルト研削機のベルト駆動機構等の主要部をまとめてコンパクトにすることができる。
【0020】
そして、その研削ベルトを多数突部付きベルトの定盤表面と接触する部分に重ねて圧接することにより、多数突部付きベルトに圧接される研削ベルトの面積が広くなって、多数の突部が介在するので、多数突部付きベルトと研削ベルトとの間の摩擦による抵抗が大きくなる。すると、多数突部付きベルトから研削ベルトに摩擦によって大きな駆動力を伝達でき、しかもベルト研削機が小型になると、研削ベルトの走行を案内するローラのトルクが小さくなるので、研削ベルト駆動ローラを省略できる。それ故、ベルト研削機を小型化し易くなる。
【0021】
そして、固定定盤の表面中央部を平面にし、更にその表面の中央平面部に隣接するベルト進入側又はベルト離脱側にある少なくとも一端側の一部分を中央平面部より屈曲させて表面を端に行く程、定盤の裏面に近づけて、中央平面部のベルト進入側又はベルト離脱側の少なくとも一方に、中央平面部に隣接する曲面部を形成することにより、外周面に大きな曲面部がある被研削物に対し、固定定盤の中央平面部に隣接する曲面部を利用すると研削作業を行い易く、被研削物の大きな曲面部に存在するバリや凹凸等の研削を良好に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付の図1〜10を参照して、本発明の実施の最良形態を説明する。
図1は本発明を適用した研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えた固定型ベルト研削機の概略構造を示す正面図、図2はその一部を断面図で示した平面図である。この研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機10は、被研削物の外周面の研削に用いるため、床上等に固定し据え付けて使用する。そこで、ベルト研削機10の底部をベース11とし、そのベース11上の後側の右最後部付近に台枠12を設置し、その台枠12上にベルト研削機10のベルト駆動源13として、例えば電動モータを据え付ける。又、そのベース11上にベルト研削機10のベルト駆動機構等を支持する台枠として、大型台枠14を設置する。そして、研削作業に備え、大型台枠14の前側の頂部中央部に支持枠15を設け、その上に取付台16を設置し、その上に研削作業台となる定盤17を固着する。
【0023】
その際、研削ベルト18を受ける固定定盤17として、例えば鉄製で研削ベルト18の走行方向に沿う左右の長さが420mm、前後幅が140mmで、厚さが12mmの長方形平板を用いる。そして、定盤17の表面(上面)中央部を広く平面にし、その表面の中央平面部19に隣接する左端側の一部分を中央平面部19より屈曲させ、更に表面を左端に行く程定盤17の裏面に近づけて、中央平面部19のベルト入力側に隣接する左側曲面部20と左側平面部21を形成しておく。なお、中央平面部19のベルト離脱側にも、同様にして隣接する右側曲面部と右側平面部を形成することができる。
【0024】
このような固定定盤17の表面上に、中央平面部19を水平に保って研削ベルト18を重ね、更にその研削ベルト18と定盤17との間に、多数の突部22をベルト本体24に設けた多数突部付きベルト23を介在する。すると、固定定盤17と多数突部付きベルト23と研削ベルト18とが3層状に重なり、定盤17と多数の突部22を分離でき、その多数突部22をベルト本体24にて移動させることができる。しかも、研削作業時に、研削ベルト18の表面に被研削物の外周面を押し付けた時、多数突部付きベルト23で研削ベルト18の裏面を受けて支持し、更に固定定盤17で研削ベルト18の裏面と多数突部付きベルト23の裏面を受けて支持できる。
【0025】
そして、このような研削ベルト18には、例えば従来通りのベルト本体(基板)となる平ベルトの表面に研削材が付着されている100mm幅の市販のものを用いる。又、多数突部付きベルト23として、例えば図3、4に示すようにベルト本体24として幅100mmの平ベルトを用い、そのベルト本体24の研削ベルト受け面形成側に、多数本の幅20mm、高さ2mmの直線状突部22を12mmの間隔にして平行に並べ、その各直線状突部22をベルト本体24の走行方向に対し、45度の角度に傾斜する方向に延ばして設け、それ等の突部22を研削ベルト受け面形成側に均等に分散して配置し、それ等の突部22の頂面で研削ベルト受け面を形成したものを用いる。その際、ベルト本体24に直線状突部22として、例えばゴム等の弾性体を接着して設ける。なお、各直線状突部は形状を変更し、その突部を連続的な直線にせず、小さな突部を一定間隔を置いて直線状に並べる等して形成してもよい。又、多数本の直線状突部は配置を変更し、多数本の直線状突部をベルト本体の走行方向に対し、傾斜方向を反対にして格子状に配設する等してもよい。
【0026】
これ等の研削ベルト18と多数突部付きベルト23は、いずれも複数のローラ間に張り渡してエンドレス状態に設置する。その際、先ずベルト駆動源13の前側に突出する回転軸25に、研削ベルト18を駆動するローラ26を設置し、その研削ベルト駆動ローラ26から所定距離離れた左方の近傍に、多数突部付きベルト23を駆動するローラ27を設置する。そして、ベルト駆動源13の回転軸25と多数突部付きベルト駆動ローラ27の回転軸28とに、前者のプーリ径より後者のプーリ径を小さくしてVベルト用プーリ29、30を夫々備え、その両プーリ29、30をVベルト31で連結する。その際、その多数突部付きベルト側プーリ30としてVベルト幅の変化に対応できるVベルト受け溝幅調整プーリを用い、更に研削ベルト駆動ローラ26、多数突部付きベルト駆動ローラ27として、そのベルト駆動源13の回転軸25の回転速度を、クラッチ機構を介してローラ26の外周部に伝達する一方向クラッチと、多数突部付きベルト駆動ローラ27の回転軸28の回転速度を、クラッチ機構を介してローラ27の外周部に伝達する一方向クラッチとを夫々用いる。なお、研削作業時には、本来は両ベルト18、23を同一速度で走行させて研削作業をするのが望ましい。しかも、研削ベルト18は単なる消耗品として扱うのに対し、多数突部付きベルト23は長期間の使用を考慮した方が良いので、多数突部付きベルト23の摩耗を押さえるためにも極力同一速度で走行させるのが好ましい。しかし、Vベルト用プーリ29、30の内、小径プーリ30の径を調整して両ベルト18、23が同一速度で走行するように設定して、研削作業をスタートしても多数突部付きベルト23の方が僅かずつ段々に速くなってくる。
【0027】
何故なら、使用中にVベルト31が摩耗してくると、各ベルト用プーリ29、30上でのVベルト31の中心径が夫々小さくなってくる。しかも、その変化率は小径プーリ30の方が大きいので、小径プーリ30で駆動される多数突部付きベルト23の方が、走行速度が段々に僅かずつ速くなってくる。因みに、長期的には両駆動ローラ26、27の摩耗、両プーリ29、30の摩耗も影響するが、ほぼ同様に多数突部付きベルト23の方に、摩耗による影響が走行速度の上昇として早く現れる。そこで、最初は両プーリ29、30の各径で調整して、研削ベルト18の方が多数突部付きベルト23より僅か速く走行するように設定する。この状態で、研削ベルト18の表面に被研削物の外周面を押し付けて研削作業をすると、両ベルト18、23間に働く摩擦力により多数突部付きベルト駆動ローラとして用いた一方向クラッチのクラッチ機構を介して、多数突部付きベルト23の方が研削ベルト18より増速されて、両ベルト18、23がほぼ同一の走行速度になる。更に研削作業を継続していると、Vベルト31が摩耗してきて、段々に多数突部付きベルト23の走行速度が上昇して、やがて逆に研削ベルト18の走行速度より速くなってくる。しかし、この状態の時も、研削ベルト18の表面に被研削物の外周面を押し付けると、両ベルト18、23間に働く摩擦力と研削ベルト駆動ローラ26のクラッチ機構により、研削ベルト18が増速されて同様に両ベルト18、23はほぼ同一の走行速度になる。ところが、両ベルト18、23の間に働く摩擦力により補正できる走行速度の差には限界がある。そこで、多数突部付きベルト23の方が研削ベルト18より速くなってきたら、その様子を見て、小径プーリ30のVベルト受け溝の幅をねじ等により調整して狭くし、Vベルト30の落ち込みを元に戻す。すると、摩耗によるVベルト幅の減少により起こるVベルト31の落ち込みをなくして、多数突部付きベルト駆動ローラ27の回転軸28の回転速度の上昇を押さえることができる。又は、Vベルト31を新しいものと交換して、再び研削ベルト18の方が僅かに速く走行するように設定するのが良い。このようにすると、研削作業を良好に継続して行えるようになる。なお、研削ベルト駆動ローラ26、多数突部付きベルト駆動ローラ28の一方のみに一方向クラッチを用いても良い。
【0028】
そして、大型台枠14の右端部中央より上部に、左右に延びる細長い上面を有する板状の支持枠32を設置し、その支持枠32にベルト駆動源13の回転軸25の付け根付近を支持する軸受(図示なし)と多数突部付きベルト駆動ローラ27の回転軸28のローラ非設置端部33を支持する軸受34を設置する。なお、35は支持ローラ36を操作してVベルト31を張ったり、緩めたりするVベルトテンション加除機構である。又、大型台枠14の左端部中央より下部で、軸受支持枠32と前後同一位置に、左右に延びる細長い上部を有する板状の支持枠37を設置し、その支持枠37を中心にして、左端部最先端付近の中央より上部に、研削ベルト駆動ローラ26と対になり研削ベルト18の走行を案内するローラ38を設置し、その研削ベルト案内ローラ38の右方の近傍に、多数突部付きベルト駆動ローラ27と対になり、多数突部付きベルト23の走行を案内する多数突部付きベルト案内ローラ39を夫々設置する。
【0029】
そして、その研削ベルト案内ローラ38の近傍下部側に、研削ベルト案内ローラ38を操作して、研削ベルト38を張ったり、緩めたりする研削ベルトテンション加除機構40を設置し、更に多数突部付きベルト案内ローラ39の近傍下部側に、多数突部付きベルト案内ローラ39を操作して、多数突部付きベルト23を張ったり、緩めたりする多数突部付きベルトテンション加除機構41を設置する。又、研削ベルト案内ローラ38の左方近傍に、研削ベルトテンション加除機構40の操作部として、レバー42付きの偏心カム43を設置し、更に多数突部付きベルト案内ローラ39の左方近傍に、多数突部付きテンション加除機構41の操作部として、レバー44付きの偏心カム45を設置する。
【0030】
このような研削ベルトテンション加除機構40はレバー42を操作して、偏心カム43を一方向又は反対方向に回転させ、その動きを、てこの原理により研削ベルト案内ローラ38に伝達するものである。そこで、図5に示すように研削ベルトテンション加除機構40の中核をなす軸受46の中央付近を支持枠37に固定する。そして、その軸受46にて回転自在に支持されている回転軸49の後端に、下方に伸びる下部アーム50の上部付近を固着し、その下部アーム50の下端部に引張コイルスプリング51の一端を固着する。又、回転軸49の前端に、上方に伸びる上部アーム52の下部付近を固着し、その上部アーム52の上端部付近に研削ベルト案内ローラ38を回転自在に支える回転軸53の後端を固着する。更に、上部アーム52の中央部に偏心カム43が当接脱するカム受け部材54を固着する。なお、引張コイルスプリング51の他端はベース11に固着する。
【0031】
このようにして、研削ベルト18に対し、研削ベルトテンション加除機構40を設置しておくと、レバー42がオフ位置にある時、偏心カム43はカム受け部材54と離れている。このため、引張コイルスプリング51の引張力が常時下部アーム50の下端部に加わり、下部アーム50の下端部が右方へと引っ張られ、下部アーム50が回転軸49を中心にして回転し、そのアーム50の下部が右方へと移動して、その位置を占める。すると、下部アーム50の回転が回転軸49を介して上部アーム52に伝達し、上部アーム52が回転して、そのアーム52の上部が左方へと移動するので、回転軸53と研削ベルト案内ローラ38が共に左方へと移動して、その位置を占める。従って、レバー42がオフ位置にある時、研削ベルト案内ローラ38により研削ベルト18に引っ張りを与えることができる。
【0032】
そこで、レバー42を操作してオン位置にすると、偏心カム43が回転して偏心カム受け部材54に当接する。このため、引張コイルスプリング51の引張力に抗して、カム受け部材54により回転軸49を中心にして、上部アーム52を反対方向に回転させて、回転軸53と研削ベルト案内ローラ38を共に右方へ移動させ、研削ベルト18を緩ませることができる。又、多数突部付きベルトテンション加除機構41にも同様の構造を備えさせる。すると、同様にレバー44を操作して偏心カム45を一方向又は反対方向に回転させ、その動きを多数突部付きベルト案内ローラ39に伝達することにより、多数突部付きベルト23に引っ張りを与え、又緩めることができる。
【0033】
このような研削ベルト18と多数突部付きベルト23は、固定定盤17の表面上に、研削ベルト18を外側にして、いずれもベルトの幅寄せにより正確に重ね合わせて、両ベルト18、23を同一方向に、又ほぼ同一速度にして走行させなければならない。なお、両ベルト18、23を同一方向に、又ほぼ同一速度にして走行させないと、多数の直線状突部22が接触により摩耗するので不都合となる。そこで、定盤17の裏面下方を走行する研削ベルト18と多数突部付きベルト23の各走行径路に配置したベルト案内ローラ38、39寄り位置に、ベルト幅寄せ機構55、56を夫々設置する。その際、ベルト幅寄せ機構55、56は同様の構造にするので、多数突部付きベルト23のベルト幅寄せ機構56について詳述する。この多数突部付きベルト幅寄せ機構56は、操作部57のつまみ58を一方向又は反対方向に回転操作することにより、そのつまみ58付き操作部57の位置を変えて上下方向に移動し、その動きを、てこの原理により多数突部付きベルト幅寄せローラ59に伝達するものである。そこで、多数突部付きベルト幅寄せ機構56の中核として、図6に示すように、垂直方向に設置した台枠37の貫通穴61に、作動アーム62の後端部付近を挿通して、その作動アーム62を大略水平に配置する。そして、作動アーム62の左端寄り中央に棒状軸63を挿通して固着する。すると、台枠37の貫通穴61の左右両側に板状の軸支持部材64(64a、64b)を突設し、その両支持部材64により作動アーム62の回転の中心となる軸63の両端部を夫々支持できる。
【0034】
そして、つまみ58付き操作部57には、その頭部65から下方に細長い棒状の操作本体を突設する。その際、操作本体の上部付近をねじ部66、中央部付近をがたつき防止用の圧縮コイルスプリング巻回部67、下部を作動アーム62の左端部に自在に挿通できる挿通部68にし、その最下端付近を抜け止めピン69が突き刺さる抜け止め箇所にする。そこで、台枠37の上部側につまみ58付き操作部57のねじ部66が嵌まるねじ穴を設けた板状の支持部材70を突設し、更に挿通部68が自在に嵌まる貫通穴を作動アーム62の後端部に設ける。そして、作動アーム62の前端部付近には、その部分を軸とする多数突部付きベルト幅寄せローラ59を設ける。
【0035】
このようにして、多数突部付きベルト幅寄せ機構56を所定位置に設置し、そのベルト幅寄せローラ59の下側に多数突部付きベルト23を張って当接して、そのベルト23に下向きの力を与えておく。そこで、つまみ58を一方向に必要量回すことにより、操作本体のねじ部66をねじ穴付き支持部材70にねじ込んで、操作部57を下動させる。すると、作動アーム62の後端部を下動させることができるので、作動アーム62が軸63を支点にして回転し、作動アーム62の前端部側が上動して、ベルト幅寄せローラ59が上動する。その際、ベルト幅寄せローラ59が傾斜して前端側程上動する。このため、多数突部付きベルト23がローラ59上を滑って必要位置まで前方に移動するので、多数突部付きベルト23の前方への幅寄せを行える。そして、つまみ58を反対方向に回すと、今度はベルト幅寄せローラ59により、当然多数突部付きベルト23を後方に移動させて幅寄せを行える。
【0036】
このようにして、研削ベルト18受け多数突部付きベルト23を備えた固定型ベルト研削機10を完成すると、定盤17は単に固定状態に設置すればよいので、定盤17を大型化し重くなっても設置し易い。又、多数突部付きベルト23はベルト本体24の片面に多数の突部22を設け、駆動ローラ30と案内ローラ39の間に張り渡してエンドレス状態に設置するだけであるから、その多数突部付きベルト23を大型化し重くなっても、ベルト駆動源13の回転軸25から駆動力を得て、走行させ易い。それ故、研削ベルト18受け多数突部付きベルト23を備えた固定型ベルト研削機10は大型化に適する。
【0037】
このような研削ベルト18受け多数突部付きベルト23を備えた固定型ベルト研削機10は、新しい駆動用Vベルト31を使用する場合、その後のVベルト31の摩耗によるVベルト幅減少の影響を、研削ベルト18の走行速度より多数突部付きベルト23の走行速度の方が受け易いので、多数突部付きベルト23の走行速度の上昇を考慮して、研削ベルト18の走行速度を多数突部付きベルト23の走行速度より僅かに速くなるように設定する。そして、研削作業を開始する。すると、被研削物の外周面を研削ベルト18の表面に押し付けた時、研削ベルト18の裏面を、多数突部付きベルト23の研削ベルト受け面を形成する分散した多数の直線状突部22の頂面により支持できる。このため、被研削物の外周面に対し、研削ベルト18が各突部22の頂面により夫々支えられた局部当りの状態になる。しかも、研削ベルト18の走行方向に対し、多数突部付きベルト23のベルト本体24に設け、そのベルト本体24の走行方向に対して傾斜する方向に延設した多数本の直線状突部22の位置が順次走行方向にずれて、異なるようになる。このため、被研削物の外周面に存在するバリや凹凸等の各被研削箇所に夫々当接する研削ベルト18の対応する各局部を、各局部毎に走行により順次異なる突部22の頂面により夫々支持できる。従って、被研削物の外周面に存在するバリや凹凸等の被研削箇所に対し、大きな研削力を連続的に発揮して研削時間を短縮でき、研削効率が向上する。それ故、被研削物の外周面の平滑化に必要な作業時間を短くできる。
【0038】
そして、被研削物に対する研削作業の際、通常は被研削物の外周面を固定定盤17の中央平面部19によって支持されている研削ベルト18の被支持部分に押し付けて、研削作業を実施する。しかし、被研削物の外周面に大きな曲面部がある場合には、被研削物の外周面を研削ベルト18に押し付ける際に、定盤17の中央平面部19でなく、隣接する曲面部20を利用する。すると、研削作業を行い易く、被研削物の大きな曲面部に存在するバリや凹凸等の研削を良好に行える。
【0039】
図7は本発明を適用した研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたポータブル型ベルト研削機の概略構造を示す正面図、図8はその把持部と多数突部付きベルト案内ローラと多数突部付きベルトテンション加除機構との関係を一部断面図で示す平面図及び左側面図である。この研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機80は、大型構造物等の研削に用いるためポータブル型にする。そこで、製作時に、板状の台枠81に研削の主要部となるベルト駆動機構を設置し、その台枠81にポータブル用の把持部82を組み付ける。そして、把持部82の組み付けの際には、先ず台枠81の上部に後述するベルトテンション加除機構設置用アーム92、96の回転軸支持用として、軸受89、90を取り付ける。又、把持部82として、左右の手で夫々握る右手握り部83と左手握り部84とを有する棒状体の両握り部83,84の間を少し屈曲させた部材を用い、更にその棒状体の左端部と屈曲部から各アーム92、96の回転軸87、88を被って支持する回転支持部85、86を後方に向けて夫々突設する。そこで、把持部82の棒状体を左右に延ばして上部に配置し、その把持部82の回転支持部85、86を各軸受89、90に被せ、その回転軸87、88が回転支持部85、86の最奥部まで夫々嵌まるようにして組み付ける。なお、把持部82はプラスチック成形品等として把持し易い形状にして、各アーム92、96の回転軸受89、90に被せると形成できるので、特別に把持部取付用部材を設けなくてもよいので好都合となる。
【0040】
そして、左側の回転軸87にて、途中に多数突部付きベルトテンション加除機構91を備えたローラ支持アーム92を介し、多数突部付きベルト案内ローラ93を支持する。その際、ローラ支持アーム92の一端部を回転軸87の先端部に結合し、他端部を多数突部付きベルト案内ローラ93の回転軸94の一端部に結合する。又、右側の回転軸88にて、途中に研削ベルトテンション加除機構95を備えたローラ支持アーム96を介し、研削ベルト案内ローラ97を支持する。その際、ローラ支持アーム96の一端部を回転軸88の先端部に結合し、他端部を研削ベルト案内ローラ97の一端部に結合する。
【0041】
そして、台枠81の前側にベルト駆動機構を設置する。その際、台枠81の最下部中央部に定盤98を固定して設置し、その固定定盤98の研削支持用表面(下面)と反対の裏面中央部近傍に、ベルト駆動源99として例えば電動モータを設置する。この定盤98は表面の中央部100を平面にし、更にその表面の中央平面部100に隣接するベルト進入側及びベルト離脱側の両方に、曲面部101、102を夫々形成する。そして、ベルト駆動源99から所定距離離れた固定定盤98の例えばベルト進入側端部の右方近傍に、多数突部付きベルト103を駆動するローラ104を設置し、更に他方のベルト離脱側端部の左方近傍に、ローラ支持アーム92に支持されている多数突部付きベルト案内ローラ93を配置し、その左方近傍に、研削ベルト105の走行を案内するローラ106を設置する。
【0042】
又、図9に示すようにそのベルト駆動源99の回転軸107と多数突部付きベルト駆動ローラ104の回転軸108とにベルト用プーリとして例えば平ベルト用プーリ109、110を夫々備え、その両プーリ109、110を平ベルト111で結合する。その際、台枠81に回転軸107、108を支持する軸受112等を設置する。又、多数突部付きベルト駆動ローラ104の右方近傍にローラ支持アーム96により支持して研削ベルト案内ローラ97を配置する。
【0043】
このようにして、多数突部付きベルト103は駆動ローラ104と案内ローラ93の間に張り渡してエンドレス状態に配置する。そして、その多数突部付きベルト103を張ったり、緩めたりするのが、ローラ支持アーム92の中央部に設置した多数突部付きベルトテンション加除機構91である。この多数突部付きベルトテンション加除機構91は、レバー113付きの偏心カム114を棒状体の一端部に回転自在に備え付けて、その棒状体の他端側を脚部にし、その脚部をローラ支持アーム92に設けた長穴115内に挿通する。そして、脚部の基部が長穴115に嵌まる挿通部116、中間部が圧縮コイルスプリング巻回部117、先端部が台枠81に固着部材118を用いて固着する固着部119になる。すると、圧縮コイルスプリング120がローラ支持アーム92と固着部材118の間に介在しているので、そのスプリング120がローラ支持アーム92に対し、左方への付勢力を加える。
【0044】
このため、そのローラ支持アーム92の先端部に設置されている多数突部付きベルト案内ローラ93に左方への力が加わり、その多数突部付きベルト案内ローラ93から多数突部付きベルト103に引張力を与えることができる。その際、レバー113はオン位置にあり、偏心カム114が長穴115の直近外方に離れている。しかし、レバー113をオフ位置に移動して、偏心カム114を回転させると、偏心カム114が長穴115の縁部に乗るので、その偏心カム114によりローラ支持アーム92を圧縮コイルスプリング120の付勢力に抗して右方に移動できる。すると、多数突部付きベルト案内ローラ93が右方に移動し、多数突部付きベルト103を緩めることができる。一方、研削ベルト105は両案内ローラ97、106間に張り渡してエンドレス状態に配置するが、その研削ベルト105をローラ支持アーム96の中央部に設置した研削ベルトテンション加除機構95により張ったり、緩めたりする。その際、研削ベルトテンション加除機構95として、多数突部付きベルトテンション加除機構91と同様の構造のものを用いる。
【0045】
このような研削ベルト105、多数突部付きベルト103は、固定定盤98の表面に研削ベルト105を外側にして、いずれもベルトの幅寄せにより正確に重ね合わせて、両ベルト103、105を同一方向に、又ほぼ同一速度にして走行させなければならない。なお、多数突部付きベルト103の幅より研削ベルト105の幅を少し広くすると、多数突部付きベルト103に研削ベルト105が被るので、摩擦抵抗を大きくすることができて好ましい。又、両端が垂れ下がるので、被研削面に筋が付かない。そこで、定盤98の裏面上方を走行する研削ベルト105と多数突部付きベルト103の各走行経路にベルト幅寄せ機構121、122を夫々設置する、その際、研削ベルト幅寄せ機構121をベルト駆動源99の真上に、又多数突部付きベルト幅寄せ機構122をベルト駆動源99と多数突部付きベルト駆動ローラ104の間の真上に設置する。しかも、各ベルト幅寄せ機構121、122は同様の構造にするので、研削ベルト幅寄せ機構121について詳述する。
【0046】
この研削ベルト幅寄せ機構121は、上述した多数突部付きベルト幅寄せ機構56と大略同一の構造にする。そこで、研削ベルト幅寄せ機構121では、操作部123として、つまみ124付きの棒状脚部125を用い、そのつまみ124を一方向又は反対方向に回転操作することにより、その操作本体たる脚部125を上下方向に移動して位置を変え、その動きをてこの原理により研削ベルト幅寄せ機構126に伝達する。このため、図10に示すように台枠81の貫通穴127に、作動アーム128の後端部側を挿通して、その作動アーム128を大略水平に配置し、その作動アーム128に棒状の軸129を挿通固着する。そして、台枠81の貫通穴127の両外面から前方に向けて軸支持部材130を突設し、その両支持部材130により軸129の両端部を夫々支持する。
【0047】
一方、台枠81の上端部から後方に向け、脚部125の上部付近が嵌まるねじ穴付きの支持部材131を突設し、更に作動アーム128の後端部に脚部125の下部付近が自在に嵌まる挿通穴を設ける。そこで、脚部125の上部付近をねじ部132にし、中央部下端寄り位置にピン133を用いてアーム押し部材134を固着し、下部付近を挿通部135にし、その下端に抜け止め部材136を取り付ける。しかも、脚部125のねじ部132の上部側にがたつき防止用の圧縮コイルスプリング137を巻回し、その圧縮コイルスプリング136をつまみ124と支持部材131の間に設置する。又、作動アーム128の後端部と抜け止め部材136との間にも、挿通部135に巻回してがたつき防止圧縮スプリング138を設置する。
【0048】
このようにして、研削ベルト幅寄せ機構121を所定位置に設置し、そのベルト幅寄せローラ126の上側に、案内ローラ97、106間に張り渡した研削ベルト105を乗せて、そのベルト105に張りを与えておく。すると、操作部123のつまみ124を圧縮コイルスプリング136の付勢力に抗して一方向に必要量回すことにより、脚部125のねじ部132をねじ穴付き支持部材131にねじ込んで、脚部125に固着したアーム押し部材134により、作動アーム128の後端部を押し下げることができる。このため、作動アーム128が軸129を支点にして回転し、その作動アーム128の前端部側が上動して、ベルト幅寄せローラ126が前端側程上動する。そこで、研削ベルト105をベルト幅寄せローラ126に乗せて当接しておくと、その研削ベルト105がローラ126上を滑って必要位置まで後方に移動するので、研削ベルト105の後方への幅寄せを行える。一方、つまみ58を圧縮コイルスプリング136の付勢力を得ながら反対方向に回すと、今度はベルト幅寄せローラ126により、当然研削ベルト105を前方に移動させて幅寄せを行える、
【0049】
このような研削ベルト105受け多数突部付きベルト103を備えたポータブル型ベルト研削機80は、ベルト駆動源99を研削ベルト105と多数突部付きベルト103とを重ねて受ける固定定盤98の裏面中央部近傍の上方に設置し、そのベルト駆動源99を中心にして、その周囲を取り囲むように固定定盤98、多数突部付きベルト103とその駆動ローラ104と案内ローラ94、研削ベルト105とその案内ローラ97、106、等を配設するので、ベルト研削機80の主要部であるベルト駆動機構等をまとめてコンパクトにすることができる。そして、多数突部付きベルト103の固定定盤98の研削支持用表面と接触する部分上に研削ベルト105を重ねて圧接することにより、多数突部付きベルト103に圧接される研削ベルト105の面積が広くなって、研削ベルト105と多数突部付きベルト103のベルト本体139との間に、多数の直線状突部140が介在するので、多数突部付きベルト103と研削ベルト105との間の摩擦による抵抗が大きくなる。すると、その大きな摩擦抵抗によって、多数突部付きベルト103から直接研削ベルト105に大きな駆動力を伝達でき、しかもベルト研削機80が小型になると、研削ベルト105の走行を案内するローラ97、106のトルクが夫々小さくなるので、研削ベルト駆動ローラを省略できる。それ故、ベルト研削機80をコンパクトにし小型化してポータブル型にできる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明を適用した研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えた固定型ベルト研削機の概略構造を示す正面図である。
【図2】同固定型ベルト研削機の一部を断面図で示した平面図である。
【図3】同固定型ベルト研削機に備える多数突部付きベルトの平面図である。
【図4】同多数突部付きベルトのX−X断面図である。
【図5】同固定型ベルト研削機に備える研削ベルトテンション加除機構の左側面図である。
【図6】同固定型ベルト研削機に備える多数突部付きベルト幅寄せ機構の一部を断面図で示した左側面図である。
【0051】
【図7】本発明を適用した研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたポータブル型ベルト研削機の概略構造を示す正面図である。
【図8】同ポータブル型ベルト研削機に備える把持部と多数突部付きベルト案内ローラと多数突部付きベルトテンション加除機構との関係を一部断面図で示した平面図と左側面図である。
【図9】同ポータブル型ベルト研削機の台枠に設置したベルト駆動機構の主要部一部を断面図で示した平面図である。
【図10】同ポータブル型ベルト研削機に備える研削ベルト幅寄せ機構の一部を断面図で示した右側面図である。
【図11】従来の固定定盤付きベルト研削機の主要部の概略構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
10、80…研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機 13、99…ベルト駆動源 17、98…固定定盤 18、105…研削ベルト 19、100…中央平面部 20、101、102…曲面部 22、140…直線状突部 23、103…多数突部付きベルト 24、139…ベルト本体 25、28、107、108…回転軸 26…研削ベルト駆動ローラ 27、104…多数突部付きベルト駆動ローラ 29、30…Vベルト用プーリ 31…Vベルト 38、97、106…研削ベルト案内ローラ 39、93…多数突部付きベルト案内ローラ 40、95…研削ベルトテンション加除機構 41、91…多数突部付きベルトテンション加除機構 55、121…研削ベルト幅寄せ機構 56、122…多数突部付きベルト幅寄せ機構 109、110…平ベルト用プーリ 111…平ベルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラ間に張り渡してエンドレス状態に設置した研削ベルトと、その研削ベルトの表面に被研削物の外周面を押し付けた時、研削ベルトの裏面を受けて支持する固定状態に設置した定盤と、ベルトを駆動するベルト駆動源とを備えたベルト研削機であって、上記固定定盤と研削ベルトとの間に、その研削ベルトの表面に被研削物の外周面を押し付けた時、研削ベルトの裏面を受けて支持する多数突部付きベルトを介在して、その固定定盤と多数突部付きベルトと研削ベルトとを3層状に重ね、その多数突部付きベルトを複数のローラ間に張り渡してエンドレス状態に設置し、しかもその多数突部付きベルトとして、多数突部付きにする際に、そのベルト本体の研削ベルト受け面形成側に、多数本の直線状突部をベルト本体の走行方向に対し傾斜する方向に延ばして設け、それ等の突部を研削ベルト受け面形成側に分散して配置し、それ等の突部の頂面で研削ベルト受け面を形成したものを用い、その研削ベルトと多数突部付きベルトとをベルト駆動源の回転軸から駆動力を得て走行させて、両ベルトの走行方向を同一にし、更に両ベルトの走行速度をほぼ同一にすることを特徴とする研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機。
【請求項2】
ベルト駆動源の回転軸に研削ベルトを駆動するローラを設置し、その研削ベルト駆動ローラから所定距離離して、多数突部付きベルトを駆動するローラを設置して、そのベルト駆動源の回転軸と多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸とに、前者のプーリ径より後者のプーリ径を小さくしてVベルト用プーリを夫々備え、その両プーリをVベルトで結合し、その多数突部付きベルト側プーリとしてVベルト幅の変化に対応できるVベルト受け溝幅調整プーリを用い、更に研削ベルト駆動ローラ、多数突部付きベルト駆動ローラの少なくとも一方のローラとして、そのベルト駆動源の回転軸の回転速度又は多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸の回転速度を、クラッチ機構を介してローラの外周部に伝達する一方向クラッチを用いることを特徴とする請求項1記載の研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機。
【請求項3】
ベルト駆動源を研削ベルトと多数突部付きベルトとを重ねて受ける固定定盤の表面と反対の裏面中央部近傍に設置し、その定盤のベルト進入側又はベルト離脱側にある一方の端部近傍に、多数突部付きベルトを駆動するローラを設置し、更に他方の端部近傍に多数突部付きベルトの走行を案内するローラを設置して、そのベルト駆動源の回転軸と多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸とにベルト用プーリを夫々備え、その両プーリをベルトで結合して、多数突部付きベルトを定盤表面に接触させ、更に多数突部付きベルト駆動ローラの近傍と多数突部付きベルト案内ローラの近傍とに、研削ベルトの走行を案内するローラを夫々設置して、その研削ベルトを多数突部付きベルトの定盤表面と接触する部分に圧接することを特徴とする請求項1記載の研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機。
【請求項4】
固定定盤の表面中央部を平面にし、更にその表面の中央平面部に隣接するベルト進入側又はベルト離脱側にある少なくとも一端側の一部分を中央平面部より屈曲させて表面を端に行く程、定盤の裏面に近づけて、中央平面部のベルト進入側又はベルト離脱側の少なくとも一方に、中央平面部に隣接する曲面部を形成することを特徴とする請求項1、2、又は3記載の研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機。
【請求項1】
複数のローラ間に張り渡してエンドレス状態に設置した研削ベルトと、その研削ベルトの表面に被研削物の外周面を押し付けた時、研削ベルトの裏面を受けて支持する固定状態に設置した定盤と、ベルトを駆動するベルト駆動源とを備えたベルト研削機であって、上記固定定盤と研削ベルトとの間に、その研削ベルトの表面に被研削物の外周面を押し付けた時、研削ベルトの裏面を受けて支持する多数突部付きベルトを介在して、その固定定盤と多数突部付きベルトと研削ベルトとを3層状に重ね、その多数突部付きベルトを複数のローラ間に張り渡してエンドレス状態に設置し、しかもその多数突部付きベルトとして、多数突部付きにする際に、そのベルト本体の研削ベルト受け面形成側に、多数本の直線状突部をベルト本体の走行方向に対し傾斜する方向に延ばして設け、それ等の突部を研削ベルト受け面形成側に分散して配置し、それ等の突部の頂面で研削ベルト受け面を形成したものを用い、その研削ベルトと多数突部付きベルトとをベルト駆動源の回転軸から駆動力を得て走行させて、両ベルトの走行方向を同一にし、更に両ベルトの走行速度をほぼ同一にすることを特徴とする研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機。
【請求項2】
ベルト駆動源の回転軸に研削ベルトを駆動するローラを設置し、その研削ベルト駆動ローラから所定距離離して、多数突部付きベルトを駆動するローラを設置して、そのベルト駆動源の回転軸と多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸とに、前者のプーリ径より後者のプーリ径を小さくしてVベルト用プーリを夫々備え、その両プーリをVベルトで結合し、その多数突部付きベルト側プーリとしてVベルト幅の変化に対応できるVベルト受け溝幅調整プーリを用い、更に研削ベルト駆動ローラ、多数突部付きベルト駆動ローラの少なくとも一方のローラとして、そのベルト駆動源の回転軸の回転速度又は多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸の回転速度を、クラッチ機構を介してローラの外周部に伝達する一方向クラッチを用いることを特徴とする請求項1記載の研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機。
【請求項3】
ベルト駆動源を研削ベルトと多数突部付きベルトとを重ねて受ける固定定盤の表面と反対の裏面中央部近傍に設置し、その定盤のベルト進入側又はベルト離脱側にある一方の端部近傍に、多数突部付きベルトを駆動するローラを設置し、更に他方の端部近傍に多数突部付きベルトの走行を案内するローラを設置して、そのベルト駆動源の回転軸と多数突部付きベルト駆動ローラの回転軸とにベルト用プーリを夫々備え、その両プーリをベルトで結合して、多数突部付きベルトを定盤表面に接触させ、更に多数突部付きベルト駆動ローラの近傍と多数突部付きベルト案内ローラの近傍とに、研削ベルトの走行を案内するローラを夫々設置して、その研削ベルトを多数突部付きベルトの定盤表面と接触する部分に圧接することを特徴とする請求項1記載の研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機。
【請求項4】
固定定盤の表面中央部を平面にし、更にその表面の中央平面部に隣接するベルト進入側又はベルト離脱側にある少なくとも一端側の一部分を中央平面部より屈曲させて表面を端に行く程、定盤の裏面に近づけて、中央平面部のベルト進入側又はベルト離脱側の少なくとも一方に、中央平面部に隣接する曲面部を形成することを特徴とする請求項1、2、又は3記載の研削ベルト受け多数突部付きベルトを備えたベルト研削機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−35086(P2013−35086A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171485(P2011−171485)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(509265782)
【出願人】(509265793)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(509265782)
【出願人】(509265793)
【Fターム(参考)】
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