説明

研削装置

【課題】装置全体を大型化することなくチャックテーブルの保持面を洗浄するチャックテーブル洗浄機構を装備した研削装置を提供する。
【解決手段】チャックテーブル洗浄機構8は、搬入・搬出領域60eに位置付けられたチャックテーブル4の保持面に対して垂直な回転軸に装着されチャックテーブル4の保持面に当接して保持面を平坦化する平坦化工具と、搬入・搬出領域60eに位置付けられたチャックテーブル4の保持面に洗浄水を供給する洗浄水噴射ノズルと、平坦化工具および洗浄水噴射ノズルをチャックテーブル4の保持面に対して垂直な方向に移動して洗浄位置と退避位置に位置付ける洗浄位置付け手段と、平坦化工具の下側において平坦化工具から滴下する水滴を受ける水滴受け位置と平坦化工具の洗浄位置への移動を許容する退避位置へ位置付け可能に構成された水滴受け手段とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等の被加工物に研削加工を施す研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる切断予定ラインによって多数の矩形領域を区画し、該矩形領域の各々にIC、LSI等のデバイスを形成する。このように多数のデバイスが形成された半導体ウエーハをストリートに沿って分割することにより、個々のデバイスを形成する。また、サファイア基板等の表面に格子状に形成されたストリートによって複数の領域が区画され、この区画された領域に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイスが形成された光デバイスウエーハは、分割予定ラインに沿って個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
【0003】
上述したように個々に分割されたデバイスの小型化および軽量化を図るために、通常、ウエーハをストリートに沿って切断し個々のデバイスに分割するのに先立って、ウエーハの裏面を研削して所定の厚さに形成している。ウエーハの裏面の研削は、被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルを該研削領域と被加工物を搬入および搬出する搬入・搬出領域に位置付けるチャックテーブル位置付け手段とを具備している。このような研削装置においては、チャックテーブルの保持面に研削屑が付着した状態で被加工物を保持して研削加工すると、研削屑の影響で被加工物が破損するという問題がある。このような問題を解消するために、研削領域において研削加工された被加工物を保持したチャックテーブルが搬入・搬出領域に位置付けられ、研削加工された被加工物を搬出した後に、チャックテーブルの保持面を洗浄するチャックテーブル洗浄機構を配設した研削装置が実用化されている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−226521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、上記特許文献1に開示された研削装置におけるチャックテーブル洗浄機構は、搬入・搬出領域に位置付けてチャックテーブルの保持面を洗浄した後に、コンタミが混入した洗浄水がチャックテーブルの保持面に滴下しないように水平に移動して退避位置に位置付けられる。しかるに、チャックテーブル洗浄機構を搬入・搬出領域と退避位置との間を移動可能に構成するためには、相当の移動空間を必要とするため、装置全体が大型化するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、装置全体を大型化することなくチャックテーブルの保持面を洗浄するチャックテーブル洗浄機構を装備した研削装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術課題を解決するために、本発明によれば、被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、研削領域に配設され該チャックテーブルに保持された被加工物を研削する研削手段と、該チャックテーブルを該研削領域と被加工物を搬入および搬出する搬入・搬出領域に位置付けるチャックテーブル位置付け手段と、該搬入・搬出領域に位置付けられたチャックテーブルの保持面を洗浄するチャックテーブル洗浄機構と、を具備する研削装置において、
該チャックテーブル洗浄機構は、該搬入・搬出領域に位置付けられたチャックテーブルの保持面に対して垂直な回転軸に装着され該チャックテーブルの保持面に当接して該保持面を平坦化する平坦化工具と、該搬入・搬出領域に位置付けられたチャックテーブルの保持面に洗浄水を供給する洗浄水噴射ノズルと、該平坦化工具および該洗浄水噴射ノズルをチャックテーブルの保持面に対して垂直な方向に移動して洗浄位置と退避位置に位置付ける洗浄位置付け手段と、該平坦化工具の下側において該平坦化工具から滴下する水滴を受ける水滴受け位置と該平坦化工具の該洗浄位置への移動を許容する退避位置へ位置付け可能に構成された水滴受け手段と、を具備している、
ことを特徴とする研削装置が提供される。
【0008】
該平坦化工具を該洗浄水噴射ノズルから噴射される洗浄水の妨げにならない位置に退避させる平坦化工具退避手段を具備している。
【発明の効果】
【0009】
本発明による研削装置は、搬入・搬出領域に位置付けられたチャックテーブルの保持面を洗浄するチャックテーブル洗浄機構が、搬入・搬出領域に位置付けられたチャックテーブルの保持面に対して垂直な回転軸に装着されチャックテーブルの保持面に当接して保持面を平坦化する平坦化工具と、搬入・搬出領域に位置付けられたチャックテーブルの保持面に洗浄水を供給する洗浄水噴射ノズルと、平坦化工具および洗浄水噴射ノズルをチャックテーブルの保持面に対して垂直な方向に移動して洗浄位置と退避位置に位置付ける洗浄位置付け手段と、平坦化工具の下側において平坦化工具から滴下する水滴を受ける水滴受け位置と該平坦化工具の洗浄位置への移動を許容する退避位置へ位置付け可能に構成された水滴受け手段とを具備しているので、チャックテーブルの保持面を洗浄した後に水滴受け手段を平坦化工具の下側において平坦化工具から滴下する水滴を受ける水滴受け位置に位置付けることにより、平坦化工具に付着しているコンタミが混入した洗浄水が滴下しても、水滴受け手段によって受け止められてチャックテーブルの保持面に滴下することはない。
また、本発明による研削装置は、平坦化工具の下側において平坦化工具から滴下する水滴を受ける水滴受け位置と該平坦化工具の洗浄位置への移動を許容する退避位置へ位置付け可能に構成された水滴受け手段を備えているので、チャックテーブル洗浄機構全体を搬入・搬出領域と退避位置との間を移動可能に構成する必要がないため、装置全体が大型化することはない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に従って構成された研削装置の斜視図。
【図2】図1に示す研削装置を構成するターンテーブルに配設された5個のチャックテーブルと4個の加工手段との関係を示す説明図。
【図3】図1に示す研削装置に装備されるチャックテーブル洗浄機構の斜視図。
【図4】図3で示すチャックテーブル洗浄機構によって実施する研削屑削り工程の説明図。
【図5】図3で示すチャックテーブル洗浄機構によって実施する研削屑洗い流し工程の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に従って構成された研削装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1には本発明に従って構成された研削装置の斜視図が示されている。
図1に示す研削装置は、全体を番号2で示す装置ハウジングを具備している。この装置ハウジング2は、細長く延在する直方体形状に形成されている。このように形成された装置ハウジング2の作業領域21には、ターンテーブル3が回転可能に配設されている。このターンテーブル3は、中心部に開口31が設けられた円環状に形成され、図示しないテーブル回動手段によって矢印Aで示す方向に適宜回転せしめられる。このように形成されたターンテーブル3には、図2に示すように上面に被加工物を保持する保持面を備えた5個のチャックテーブル4a、4b、4c、4d、4eが配設されている。この5個のチャックテーブル4a、4b、4c、4d、4eは、開口31の周囲に正五角形の頂点の位置に配設されている。
【0013】
上述したように構成されたターンテーブル3の開口31を挿通して支柱5が立設されている。この支柱5は、上部に5個の取り付け面5a,5b,5c,5d、5eを備えている。この5個の取り付け面のうちの4個(5a,5b,5c,5d)には、それぞれ上下方向(チャックテーブル4a、4b、4c、4d、4eの上面である保持面に対して垂直な方向)に延びる一対の案内レール51、51が設けられている。
【0014】
このように構成された支柱5の4個の取り付け面5a,5b,5c,5dに粗研削手段6a、中仕上げ研削手段6b、第1の仕上げ研削手段6c、第2の仕上げ研削手段6dがそれぞれ一対の案内レール51、51に沿って移動可能に配設される。粗研削手段6a、中仕上げ研削手段6b、第1の仕上げ研削手段6c、第2の仕上げ研削手段6dは、それぞれ移動基台61と、該移動基台61に装着されたスピンドルハウジング62と、該スピンドルハウジング62に回転自在に配設された回転スピンドル63と、該回転スピンドル63を回転駆動するためのサーボモータ64とを具備している。回転スピンドル63の下端部はスピンドルハウジング62の下端を越えて下方に突出せしめられており、その下端にはマウンター65が設けられている。このマウンター65の下面に研削ホイール66が装着される。なお、粗研削手段6aの研削ホイール66には粗研削砥石が装着され、中仕上げ研削手段6bの研削ホイール66には中仕上げ研削砥石が装着され、第1の仕上げ研削手段6cおよび第2の仕上げ研削手段の研削ホイール66にはそれぞれ仕上げ研削砥石が装着されている。このように構成された粗研削手段6a、中仕上げ研削手段6b、第1の仕上げ研削手段6c、第2の仕上げ研削手段6dの移動基台61には、それぞれ上記支柱5の4個の取り付け面5a,5b,5c,5dにそれぞれ設けられた一対の案内レール51、51と嵌合する一対の被案内溝611、611が形成されており、この一対の被案内溝611、611を一対の案内レール51、51に嵌合することにより、粗研削手段6a、中仕上げ研削手段6b、第1の仕上げ研削手段6c、第2の仕上げ研削手段6dはそれぞれ一対の案内レール51、51に沿って移動可能に構成される。
【0015】
図示の実施形態における研削装置は、上記粗研削手段6a、中仕上げ研削手段6b、第1の仕上げ研削手段6c、第2の仕上げ研削手段6dをそれぞれチャックテーブル4a、4b、4c、4d、4eの上面である保持面に対して垂直な方向に移動せしめる4個の研削送り手段7a、7b、7c、7dを具備している。4個の加工送り手段7a、7b、7c、7dは、周知のボールスクリュー式の移動機構からなっている。この4個の加工送り手段7a、7b、7c、7dは、それぞれパルスモータ71を正転および逆転駆動することにより、移動基台61即ち粗研削手段6a、中仕上げ研削手段6b、第1の仕上げ研削手段6c、第2の仕上げ研削手段6dを一対の案内レール51、51に沿って下方(チャックテーブル4a、4b、4c、4d、4eの上面である保持面に接近する方向)および上方(チャックテーブル4a、4b、4c、4d、4eの上面である保持面から離反する方向)に移動せしめる。
【0016】
ここで、粗研削手段6a、中仕上げ研削手段6b、第1の仕上げ研削手段6c、第2の仕上げ研削手段6dの研削ホイール66と5個のチャックテーブル4a、4b、4c、4d、4eとの関係について、図2を参照して説明する。
ターンテーブル3に配設された5個のチャックテーブル4a、4b、4c、4d、4eが図2に示す位置に位置付けられた状態においては、チャックテーブル4bが粗研削手段6aの研削ホイール66が位置する研削領域60aに位置付けられ、チャックテーブル4cが中仕上げ研削手段6bの研削ホイール66が位置する研削領域60bに位置付けられ、チャックテーブル4dが第1の仕上げ研削手段6cの研削ホイール66が位置する研削領域60cに位置付けられ、チャックテーブル4eが第2の仕上げ研削手段6dの研削ホイール66が位置する研削領域60dに位置付けられるようになっている。そして、余りのチャックテーブル4aは、被加工物を搬入・搬出する搬入・搬出領域60eに位置付けられる。このように位置付けられたチャックテーブル4a、4b、4c、4d、4eは、チャックテーブル4bの中心が粗研削手段6aの研削ホイール66が通過する位置に位置付けられ、チャックテーブル4cの中心が中仕上げ研削手段6bの研削ホイール66が通過する位置に位置付けられ、チャックテーブル4dの中心が第1の仕上げ研削手段6cの研削ホイール66が通過する位置に位置付けられ、チャックテーブル4eの中心が第2の仕上げ研削手段6dの研削ホイール66が通過する位置に位置付けられる。このように5個のチャックテーブル4a、4b、4c、4d、4eが配設されたターンテーブル3と該ターンテーブル3を矢印Aで示す方向に適宜回転する図示しないテーブル回動手段は、チャックテーブル4a、4b、4c、4d、4eを研削領域60a,60b,60c,60dと搬入・搬出領域60eに位置付けるチャックテーブル位置付け手段として機能する。
【0017】
上述したように構成された研削装置は、5個のチャックテーブル4a、4b、4c、4d、4eが配設されたターンテーブル3の開口31を挿通して支柱5を立設し、この支柱5に4個の加工手段としての粗研削手段6a、中仕上げ研削手段6b、第1の仕上げ研削手段6c、第2の仕上げ研削手段6dを取り付ける構成としたので、装置全体が小型となり、広い設置面積を必要としないため、設備コストを抑制することができる。
また、図示の実施形態における研削装置は、支柱5の4個の取り付け面5a,5b,5c,5dに取り付けられた粗研削手段6a、中仕上げ研削手段6b、第1の仕上げ研削手段6c、第2の仕上げ研削手段6dは、図2に示すように被加工物の搬入・搬出領域60eと支柱5の中心とを結ぶ線Sを対称軸として線対称に配設されている。剛性のバランスがよく加工精度が向上するとともに、左右で部品の共通化を図ることができ、部品点数を減らすことができる。
【0018】
図示の実施形態における研削装置は、搬入・搬出領域60eに位置付けられたチャックテーブルの保持面を洗浄するチャックテーブル洗浄機構8を具備している。このチャックテーブル洗浄機構8について、図3乃至図5を参照して説明する。図示の実施形態におけるチャックテーブル洗浄機構8は、上記支柱5における搬入・搬出領域60eに面する取り付け面5eに装着される。チャックテーブル洗浄機構8は、支柱5の取り付け面5eに適宜の固定手段によって取り付けられる支持基板81と、該支持基板81に上記チャックテーブルの保持面に対して垂直な方向(上下方向)に移動可能に配設された移動基板82と、該移動基板82に上記チャックテーブルの保持面に対して垂直な方向(上下方向)に移動可能に配設された工具ハウジング83と、該工具ハウジング83に上記チャックテーブルの保持面に対して垂直な方向(上下方向)に回転可能に配設された回転軸84と、該回転軸84の下端に装着された平坦化工具85と、搬入・搬出領域60eに位置付けられたチャックテーブルの保持面に洗浄水を供給する洗浄水噴射ノズル86を具備している。
【0019】
上記チャックテーブル洗浄機構8を構成する支持基板81の前面には、上記チャックテーブルの保持面に対して垂直な方向(上下方向)に一対の案内レール811、811が設けられている。一方、上記移動基板82には一対の案内レール811、811と嵌合する一対の被案内溝821、821が設けられており、この一対の被案内溝821、821を一対の案内レール811、811に嵌合することにより、移動基板82は一対の案内レール811、811に沿って移動可能に支持される。このように、一対の案内レール811、811に沿って移動可能に支持された移動基板82の前面には、案内レール822が設けられている。上記工具ハウジング83には案内レール822と嵌合する被案内溝831が設けられており、この被案内溝831を案内レール822に嵌合することにより、工具ハウジング83は案内レール822に沿って移動可能に支持される。工具ハウジング83に回転可能に配設される回転軸84は、サーボモータ840によって回転駆動されるようになっている。回転軸84の下端に装着された平坦化工具85は、オイルストーン等ならなっている。また、上記洗浄水噴射ノズル86は、移動基板82に装着され、図示しない洗浄水供給手段に接続されている。なお、洗浄水噴射ノズル86は、所謂2流体ノズルで構成され0.2MPa程度の純水が供給されるとともに、0.3〜0.5MPa程度のエアーが供給され、純水がエアーの圧力で噴出してチャックテーブルの保持面を洗浄するようになっている。
【0020】
図示の実施形態におけるチャックテーブル洗浄機構8は、上記移動基板82を支持基板81に設けられた一対の案内レール811、811に沿って移動せしめる洗浄位置付け手段87を具備している。この洗浄位置付け手段87は、支持基板81の前側に配設され上下方向に延びる雄ねじロッド871と、該雄ねじロッド871を回転駆動するパルスモータ872を具備し、雄ねじロッド871が移動基板82に設けられ上下方向に延びる貫通雌ねじ穴823に螺合せしめられている。従って、パルスモータ871が正転または逆転することにより、移動基台82が一対の案内レール811、811に沿って上方または下方に移動せしめられる。このように構成された洗浄位置付け手段87は、工具ハウジング83に配設された回転軸84に装着された平坦化工具85をチャックテーブルの保持面に当接する洗浄位置と、該洗浄位置から平坦化工具85を上方に退避させる退避位置に位置付ける。
【0021】
また、図示の実施形態におけるチャックテーブル洗浄機構8は、工具ハウジング83を移動基板82に設けられた案内レール822に沿って移動せしめる平坦化工具退避手段88を具備している。この平坦化工具退避手段88はエアーシリンダ機構からなり、工具ハウジング83を案内レール822に沿って所定量上昇させることにより、上記洗浄水噴射ノズル86から噴射される洗浄水の妨げにならない位置に退避させる。
【0022】
図示の実施形態におけるチャックテーブル洗浄機構8は、平坦化工具85の下側において平坦化工具85から滴下する水滴を受ける水滴受け位置と平坦化工具85の洗浄位置への移動を許容する退避位置へ位置付け可能に構成された水滴受け手段89を具備している。水滴受け手段89は、上記支持基板81に両側面に上端部が揺動可能に支持された一対の支持レバー891、891と、該一対の支持レバー891、891に連結された水滴受け板892と、該水滴受け板892を上記平坦化工具85の下方に位置する水滴受け位置(図3参照)と平坦化工具85の洗浄位置への移動を許容する退避位置(図4、図5参照)に位置付けるためのエアーシリンダからなるアクチュエータ893とによって構成されている。
【0023】
図1に戻って説明を続けると、装置ハウジング2の作業領域21の前端部(図1において左下端部)には、第1のカセット11と、第2のカセット12と、中心合わせ手段13と、スピンナー洗浄手段14と、被加工物搬送手段15と、被加工物搬入手段16および被加工物搬出手段17が配設されている。第1のカセット11は加工前の被加工物としての光デバイスウエーハや半導体ウエーハ等のウエーハ10を収納し、装置ハウジング2のカセット搬入域に載置される。なお、第1のカセット11に収容されるウエーハ10は、表面に保護テープTを貼着した状態で裏面を上にして収容される。第2のカセット12は装置ハウジング2のカセット搬出域に載置され、加工後のウエーハ10を収納する。中心合わせ手段13は第1のカセット11と被加工物の搬入・搬出領域60eとの間に配設され、加工前のウエーハ10の中心合わせを行う。スピンナー洗浄手段14は被加工物の搬入・搬出領域60eと第2のカセット12との間に配設され、加工後のウエーハ10を洗浄する。被加工物搬送手段15は第1のカセット11と第2のカセット12との間に配設され、第1のカセット11内に収納された被加工物としてのウエーハ10を中心合わせ手段13に搬出するとともにスピンナー洗浄手段14で洗浄されたウエーハ10を第2のカセット12に搬送する。
【0024】
上記被加工物搬入手段16は中心合わせ手段13と被加工物の搬入・搬出領域60eとの間に配設され、中心合わせ手段13上に載置された加工前のウエーハ10を被加工物の搬入・搬出領域60eに位置付けられたチャックテーブル4(4a、4b、4c、4d、4e)上に搬送する。被加工物搬出手段17は、被加工物の搬入・搬出領域60eとスピンナー洗浄手段14との間に配設され、搬入・搬出領域60eに位置付けられたチャックテーブル4(4a、4b、4c、4d、4e)上に載置されている加工後のウエーハ10を洗浄手段14に搬送する。
【0025】
なお、加工前のウエーハ10を所定数収容した第1のカセット11は、装置ハウジング2の所定のカセット搬入域に載置される。そして、カセット搬入域に載置された第1のカセット11に収容されていた加工前のウエーハ10が全て搬出されると、空のカセット11に代えて加工前の複数個のウエーハ10を所定数収容した新しいカセット11が手動でカセット搬入域に載置される。一方、装置ハウジング2の所定のカセット搬出域に載置された第2のカセット12に加工後のウエーハ10が所定数搬入されると、かかる第2のカセット12が手動で搬出され、新しい空の第2のカセット12が載置される。
【0026】
図示の実施形態における研削装置は以上のように構成されており、以下その作用について主に図1を参照して説明する。
上記第1のカセット11に収容された加工前の被加工物であるウエーハ10は被加工物搬送手段15の上下動作および進退動作により搬送され、中心合わせ手段13に載置され6本のピンの中心に向かう径方向運動により中心合わせされる。中心合わせ手段13においてウエーハ10が中心合わせされたならば、被加工物搬入手段16を作動せしめて中心合わせ手段13において中心合わせされたウエーハ10を吸引保持し、被加工物の搬入・搬出領域60eに位置付けられているチャックテーブル4a上に搬送する。このとき、チャックテーブル洗浄機構8の水滴受け手段89を構成する水滴受け板892は、図3に示す水滴受け位置に位置付けられている。このようにしてチャックテーブル4a上に搬送されたウエーハ10は、図示しない吸引手段を作動することによりチャックテーブル4a上に吸引保持される。次に、ターンテーブル3を図示しない回転駆動機構によって矢印Aで示す方向に所定量回動して、ウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル4aを粗研削手段6aの研削ホイール66が位置する研削領域60aに位置付ける。なお、上記ターンテーブル3の回動により、チャックテーブル4bが中仕上げ研削手段6bの研削ホイール66が位置する研削領域60bに位置付けられ、チャックテーブル4cが第1の仕上げ研削手段6cの研削ホイール66が位置する研削領域60cに位置付けられ、チャックテーブル4dが第2の仕上げ研削手段6dの研削ホイール66が位置する研削領域60dに位置付けられ、チャックテーブル4eが被加工物を搬入・搬出する搬入・搬出領域60eに位置付けられる。
【0027】
粗研削手段6aの研削ホイール66が位置する研削領域60aに位置付けられたチャックテーブル4aに保持されたウエーハ10の裏面(上面)には、粗研削手段6aによって荒研削加工が施される。なお、この間に被加工物を搬入・搬出する搬入・搬出領域60eに位置付けられチャックテーブル4eには加工前のウエーハ10が載置される。そして、チャックテーブル4e上に載置されたウエーハ10は、図示しない吸引手段を作動することによりチャックテーブル4e上に吸引保持される。
【0028】
次に、ターンテーブル3を図示しない回転駆動機構によって矢印Aで示す方向に所定量回動する。この結果、搬入・搬出領域60eにおいて加工前のウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル4eが粗研削手段6aの研削ホイール66が位置する研削領域60aに位置付けられ、上述したように荒研削加工が施されたウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル4aが中仕上げ研削手段6bの研削ホイール66が位置する研削領域60bに位置付けられ、チャックテーブル4bが第1の仕上げ研削手段6cの研削ホイール66が位置する研削領域60cに位置付けられ、チャックテーブル4cが第2の仕上げ研削手段6dの研削ホイール66が位置する研削領域60dに位置付けられ、チャックテーブル4dが被加工物を搬入・搬出する搬入・搬出領域60eに位置付けられる。
【0029】
このように、ターンテーブル3が順次矢印Aで示す方向に回転して、第2の仕上げ研削加工が施されたウエーハ10を吸引保持したチャックテーブル4aが被加工物を搬入・搬出する搬入・搬出領域60eに位置付けられる。
【0030】
上述したように、粗研削手段6aの研削ホイール66が位置する研削領域60a、中仕上げ研削手段6bの研削ホイール66が位置する研削領域60b、第1の仕上げ研削手段6cの研削ホイール66が位置する研削領域60cおよび第2の仕上げ研削手段6dの研削ホイール66が位置する研削領域60dを経由して被加工物搬入・搬出域60eに戻ったチャックテーブル4aは、ここで第2の仕上げ研削加工されたウエーハの吸引保持を解除する。次に、被加工物搬出手段17を作動して、被加工物を搬入・搬出する搬入・搬出領域60eに位置付けられたチャックテーブル4aに載置されている第2の仕上げ研削加工後のウエーハ10をスピンナー洗浄手段14に搬送する。洗浄手段14に搬送されたウエーハ10は、ここで洗浄された後に被加工物搬送手段15よって第2のカセット12の所定位置に収納される。
【0031】
上述したように搬入・搬出領域60eに位置付けられたチャックテーブル4aに保持された第2の仕上げ研削加工後のウエーハ10をスピンナー洗浄手段14に搬送したならば、チャックテーブル4aの保持面を洗浄するチャックテーブル洗浄工程を実施する。このチャックテーブル洗浄工程を実施するには、先ずチャックテーブル洗浄機構8の水滴受け手段89を構成するアクチュエータ893を作動して、水滴受け板892を図4および図5に示すように上記平坦化工具85の洗浄位置への移動を許容する退避位置に位置付ける。次に、図4に示すようにチャックテーブル4aを矢印Bで示す方向に回転せしめ、洗浄位置付け手段87を作動して移動基板82を支持基板81に設けられた一対の案内レール811、811に沿って下降し、工具ハウジング83に配設された回転軸84に装着された平坦化工具85をチャックテーブルの保持面に当接する洗浄位置に位置付けるとともに、サーボモータ840を作動して平坦化工具85を矢印Cで示す方向に回転せしめる。このとき、平坦化工具85がチャックテーブル4aの中心を通過するように位置付けられる。この結果、上述した各研削工程において発生しチャックテーブル4aの保持面に付着した研削屑が削られて、保持面が平坦面に形成される(研削屑削り工程)。なお、研削屑削り工程を実施する際においては、洗浄水噴射ノズル86から純水とエアーとからなる洗浄水を噴射してもよい。このようにして、研削屑削り工程を実施したならば、図5に示すように平坦化工具退避手段88を作動して工具ハウジング83を案内レール822に沿って所定量上昇させることにより、平坦化工具85を洗浄水噴射ノズル86から噴射される洗浄水の妨げにならない位置に退避させる。そして、チャックテーブル4aの保持面に洗浄水噴射ノズル86から純水とエアーとからなる洗浄水を噴射し、研削屑削り工程において削り取られた研削屑を洗い流す(研削屑洗い流し工程)。
【0032】
以上のようにしてチャックテーブル洗浄工程を実施したならば、移動基台82を上昇させて退避位置に位置付けた後、水滴受け手段89を構成するアクチュエータ893を作動して、水滴受け板892を図3に示すように平坦化工具85の下方に位置する水滴受け位置に位置付ける。従って、平坦化工具85に付着しているコンタミが混入した洗浄水が滴下しても、水滴受け板892によって受け止められてチャックテーブル4aの保持面に滴下することはない。このようにして、搬入・搬出領域60eに位置付けられたチャックテーブル4aの保持面にチャックテーブル洗浄工程を実施した後に、水滴受け板892を図3に示すように平坦化工具85の下方に位置する水滴受け位置に位置付けたならば、チャックテーブル4aの保持面に加工前のウエーハ10が載置される。
【符号の説明】
【0033】
2:装置ハウジング
3:ターンテーブル
4a、4b、4c、4d、4e:チャックテーブル
5:支柱
5a,5b,5c,5d、5e:取り付け面
6a:粗研削手段
6b:中仕上げ研削手段
6c:第1の仕上げ研削手段
6d:第2の仕上げ研削手段
62:スピンドルハウジング
63:回転スピンドル
66:研削ホイール
7a、7b、7c、7d:加工送り手段
8:チャックテーブル洗浄機構
81:支持基板
82:移動基板
83:工具ハウジング
84:回転軸
85:平坦化工具
86:洗浄水噴射ノズル
87:洗浄位置付け手段
88:平坦化工具退避手段
89:水滴受け手段
10:ウエーハ
11:第1のカセット
12:第2のカセット
13:中心合わせ手段
14:スピンナー洗浄手段
15:被加工物搬送手段
16:被加工物搬入手段
17:被加工物搬出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、研削領域に配設され該チャックテーブルに保持された被加工物を研削する研削手段と、該チャックテーブルを該研削領域と被加工物を搬入および搬出する搬入・搬出領域に位置付けるチャックテーブル位置付け手段と、該搬入・搬出領域に位置付けられたチャックテーブルの保持面を洗浄するチャックテーブル洗浄機構と、を具備する研削装置において、
該チャックテーブル洗浄機構は、該搬入・搬出領域に位置付けられたチャックテーブルの保持面に対して垂直な回転軸に装着され該チャックテーブルの保持面に当接して該保持面を平坦化する平坦化工具と、該搬入・搬出領域に位置付けられたチャックテーブルの保持面に洗浄水を供給する洗浄水噴射ノズルと、該平坦化工具および該洗浄水噴射ノズルをチャックテーブルの保持面に対して垂直な方向に移動して洗浄位置と退避位置に位置付ける洗浄位置付け手段と、該平坦化工具の下側において該平坦化工具から滴下する水滴を受ける水滴受け位置と該平坦化工具の該洗浄位置への移動を許容する退避位置へ位置付け可能に構成された水滴受け手段と、を具備している、
ことを特徴とする研削装置。
【請求項2】
該平坦化工具を該洗浄水噴射ノズルから噴射される洗浄水の妨げにならない位置に退避させる平坦化工具退避手段を具備している、請求項1記載の研削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−55149(P2013−55149A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191008(P2011−191008)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】