説明

砕石および砕砂の製造プラントおよび製造方法

【課題】表面が滑らかで天然砂と性状の近い砕砂とともに表面が滑らかで粒形判定実積率の高い砕石を得ることが可能な砕石および砕砂の製造プラントおよび製造方法の提供。
【解決手段】第1ボールミル101内で、粒径0mm超25mm以下の様々な粒径の砕石を混合した原材料を、粒径30mm以上90mm以下のボールと接触させることにより砕石の角取りおよび表面研磨加工し、第1ボールミル101から排出される加工物から砕石と砕砂とを分級し、第2ボールミル102内で、分級された砕砂をボールと接触させることにより摩砕する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砕石および砕砂、特にコンクリート用として好適な砕石および砕砂を一度に製造する砕石および砕砂の製造プラントおよび製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は従来の製砂プラントを示す説明図である。図7に示すように、従来の製砂プラントでは、原料ホッパ200に投入された原材料はフィーダ201によって一定量がロッドミル202に送り込まれる。そして、原材料はロッドミル202にて粗砕され、この粗砕された砕石が、ボールミル203に送り込まれる。続いて、この砕石は、ボールミル203内でボールと衝突することによって破砕され、粒径3mm程度まで粉砕される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ボールミル203によって粉砕された粉砕物は、トロンメル204によって粒径3mm以上のものと粒径3mm未満のものとに分級され、3mm以上のものは排出される。一方3mm未満のものは分級器206により分級され、脱水スクリーン207およびコンベア208を経て、0〜3mmの砕砂209として積み上げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−319605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように従来の製砂プラントでは、ロッドミル202にて粗砕された砕石をボールミル203においてボールで破砕することにより、粒径3mm程度まで一気に粉砕しているが、こうして得られた0〜3mmの砕砂209は表面が粗く、天然砂とは性状が大きく異なる。
【0006】
そこで、本発明においては、表面が滑らかで天然砂と性状の近い砕砂とともに表面が滑らかで粒形判定実積率の高い砕石を得ることが可能な砕石および砕砂の製造プラントおよび製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の砕石および砕砂の製造プラントは、粒径0mm超25mm以下の様々な粒径の砕石を混合した原材料を、粒径30mm以上90mm以下のボールと接触させることにより砕石の角取りおよび表面研磨加工する第1のボールミルと、第1ボールミルから排出される加工物から砕石と砕砂とを分級する分級装置と、分級装置により分級された砕砂をボールと接触させることにより摩砕する第2のボールミルとを含むものである。
【0008】
また、本発明の砕石および砕砂の製造方法は、第1ボールミル内で、粒径0mm超25mm以下の様々な粒径の砕石を混合した原材料を、粒径30mm以上90mm以下のボールと接触させることにより砕石の角取りおよび表面研磨加工すること、第1ボールミルから排出される加工物から砕石と砕砂とを分級すること、第2ボールミル内で、分級された砕砂をボールと接触させることにより摩砕することを含むことを特徴とする。
【0009】
これらの発明では、第1ボールミル内に、粒径0mm超25mm以下の様々な粒径の砕石を混合した原材料を投入するため、流動性が良くなり、粒径30mm以上90mm以下のボールと接触させることにより、砕石の破砕を少なくして、砕石の角取りおよび表面研磨を行うことができ、表面が滑らかで粒形判定実積率の高い砕石を得ることができる。また、第1ボールミルから排出され、分級された砕砂は、砕石の角取りおよび表面研磨によって発生した表面が滑らな砕砂であり、さらに第2ボールミル内で摩砕が行われるため、表面が滑らかで天然砂と性状の近い砕砂を得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
第1ボールミル内で、粒径0mm超25mm以下の様々な粒径の砕石を混合した原材料を、粒径30mm以上90mm以下のボールと接触させることにより砕石の角取りおよび表面研磨加工し、第1ボールミルから排出される加工物から砕石と砕砂とを分級し、第2ボールミル内で、分級された砕砂をボールと接触させることにより摩砕する構成により、表面が滑らかで天然砂と性状の近い砕砂とともに表面が滑らかで粒形判定実積率の高い砕石を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態における砕石および砕砂の製造プラントを示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるボールミルの縦断面図である。
【図3】図2のA−A矢視図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】本実施形態におけるボールミルの使用状態を示す図3のB−B断面図である。
【図6】本発明の別の実施形態を示す図3のB−B断面図である。
【図7】従来の製砂プラントを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明の実施の形態における砕石および砕砂の製造プラントを示す説明図である。図1に示すように、本実施形態における砕石および砕砂の製造プラントは、主に原料ホッパ100と、第1ボールミル101および第2ボールミル102と、第1分級装置103および第2分級装置104とから構成される。
【0013】
原料ホッパ100には、粒径0mm超25mm以下の様々な粒径の砕石を混合した原材料が投入され、フィーダ105によって一定量が第1ボールミル101に送り込まれる。原材料は、例えば粒径0mm超2.5mm未満の砕石、粒径2.5mm以上5mm未満の砕石や、粒径5mm以上25mm以下の砕石などを混合したものである。なお、原材料の配合は適宜調整するが、このように様々な粒径の砕石が含まれるように混合する。
【0014】
第1ボールミル101は、このフィーダ105によって送り込まれる粒径0mm超25mm以下の砕石を粒径30mm以上90mm以下のボールと接触させることにより砕石の角取りおよび表面研磨加工するものである。なお、第1ボールミル101の詳細については後述するが、第1ボールミル101のトロンメル101aによって粒径23mm未満ものものと粒径23mm以上のものとに分級され、粒径23mm未満のものは第1分級装置103に送られ、粒径23mm以上のものは第2ボールミル102に送られる。
【0015】
第1分級装置103は、第1分級装置103から排出される加工物から粒径5mm以上20mm以下の砕石と粒径5mm未満の砕砂とを分級するスクリーンであり、粒径5mm未満のものを篩い落とす。この篩い落とされた粒径5mm未満のものは第2ボールミル102へ送られ、粒径5mm以上20mm以下のものはコンベア106,107を経て、粒径5mm以上20mm以下の砕石108として積み上げられる。
【0016】
第2ボールミル102は、第1ボールミル101と同様の構成であるが、後述する各スリット22a,24b,25aの幅は15〜20mmとなっている。第2ボールミル102では、トロンメル101aによって分級された粒径23mm以上のものと第1分級装置103により分級された粒径5mm未満の砕砂とを粒径20mm以上90mm以下のボールと接触させることにより加工する。第2ボールミル102では、摩砕が行われる。そして、第2ボールミル102のトロンメル102aによって粒径3mm未満のものと粒径3mm以上のものとに分級され、粒径3mm以上のものは再度第2ボールミル102へ返送される。
【0017】
一方、粒径3mm未満のものは、第2分級装置104に送られて分級され、脱水スクリーン110およびコンベア111,112を経て、0mm超3mm未満の砕砂113として積み上げられる。
【0018】
ここで、第1ボールミル101の詳細について、図2〜図6を参照して説明する。図2は本発明の実施の形態におけるボールミルの縦断面図、図3は図2のA−A矢視図、図4は図3のB−B断面図、図5は本実施形態におけるボールミルの使用状態を示す図3のB−B断面図である。
【0019】
図2において、本発明の実施の形態における第1ボールミル101は、略水平な軸線回りに回転する円筒状のドラム2と、ドラム2の一端の投入口2aへ原材料である0mm超25mm以下の砕石を投入するシュート3と、ドラム2を回転させる駆動装置4と、ドラム2の他端の排出口2bから排出される砕石を分級する分級装置としてのトロンメル5とを備えている。ドラム2の側胴部には投入口2a側および排出口2b側にそれぞれ外輪体6a,6bが周設されている。これらの外輪体6a,6bは、タイヤ4a,4bに圧接されており、駆動装置4のタイヤ4a,4bが回転駆動されると、その動きに応じて回転し、ドラム2に回転力を伝達する。
【0020】
ドラム2は、投入口2aから排出口2bへ向かって直径が緩やかに細くなるように小さなテーパで形成され、途中からさらに直径が急に細くなるように大きなテーパで形成されたシェル20と、中央部が投入口2aとして開口された略円板状の側壁21と、排出口2bに設けられたボール止め部材22およびボール返し部材23とから構成されている。
【0021】
また、シェル20の内壁面には、金属製やゴム製等のライナ24が、投入口2aから排出口2bまで設けられている。なお、このライナ24は、ドラム2の排出口2bから100mm外側へ突出するように設けられている。また、このライナ24の突出部24aには、図4に示すように、ドラム2の軸線方向のスリット24bが多数形成されている。このスリット24bは、粒径30mm超のボールは排出させず、砕石を通過させるために30mm幅としている。
【0022】
図3および図4に示すようにボール止め部材22は、略円板状に形成され、中央部が開口されてリング状に形成された部材であり、中央部側をドラム2の内側に向かって若干傾斜させたものである。ボール止め部材22には、回転方向に長い多数のスリット22aが形成されている。スリット22aの幅は30mmであり、粒径30mm超のボールを排出させずに砕石を通過させるようになっている。
【0023】
ボール止め部材22は、放射状に接合部材22bが溶接などによって固着されており、ドラム2の排出口2b端部から突出するブラケット2cにボルトによって締結され、固定されている。ブラケット2cの長さは、ライナ24との間に30mmの隙間Wが形成されるように調整されており、ボール止め部材22は、この隙間Wから粒径30mm超のボールを排出させずに砕石を通過させるようになっている。
【0024】
ボール返し部材23は、略円板状に形成され、中央部が開口されてリング状に形成された部材である。ボール返し部材23は、ドラム2の軸線に対して20°の傾斜角となるように、ボール止め部材22のドラム2の内側面22cよりさらに内側に向かって傾斜させたものである。ボール返し部材23には、放射状に接合部材23aが溶接などにより固着されている。ボール返し部材23は、この接合部材23aがボール止め部材22の接合部材22bにボルトによって締結され、ボール止め部材22の内周縁に固定されている。また、ボール返し部材23のリング部分の幅は、100mmとしている。
【0025】
トロンメル5は、金網によって略円筒状に形成されたものである。トロンメル5は、ドラム2にボルトによって締結されて固定されており、ドラム2とともに回転する。ドラム2から排出された砕石は、最終的にトロンメル5によって、金網を通過可能な粒径のものと、通過不可能な粒径のものとに分級される。なお、本実施形態においては、金網の目開き寸法は23mmとしている。
【0026】
次に、上記構成の第1ボールミル101による砕石の製造について説明する。まず、第1ボールミル101のドラム2内には、粒径90〜70mm、70〜50mmおよび50〜30mmの複数の大きさの鉄鋼製のボールM1,M2,M3が2:3:5の割合で投入されている。ボールM1,M2,M3は、投入口2a側が最も粒径が大きく、排出口2b側が最も小さくなるようにし、小径のボールM3の比率が最も高くなるようにする。なお、ボールM1,M2,M3は、第1ボールミル101の運転中に徐々に摩耗していくが、粒径が小さくなるにつれてシェル20の内径の小さい方、すなわち排出口2b側へ移動していく。また、ボールM1は、運転中に投入口2a側へ適宜追加される。
【0027】
そして、原材料である0mm超25mm以下の砕石がシュート3に供給されると、シュート3によりドラム2の投入口2aからシェル20内に投入される。また、このシュート3にはバルブ3aを通じて一定水量の水が供給される。続いて、駆動装置4によってタイヤ4a,4bを回転駆動すると、外輪体6a,6bを介してドラム2が回転駆動される。これにより、ドラム2内のボールM1,M2,M3はライナ24の働きによって上方に持ち上げられて下方に投下され、直下に位置する砕石に接触する。
【0028】
ここで、本実施形態における第1ボールミル101のドラム2内に投入される砕石の粒径が0mm超25mm以下と小さく、ボールM1,M2,M3の粒径も30mm以上90mm以下と通常のボールミルのボールの粒径よりも小さいので、砕石はほとんど破砕されず、角取り(製粒)および表面研磨されることになる。そして、図5に示すように角取りおよび表面研磨が行われた砕石Sは、30mm幅のスリット22a,24bおよび隙間Wを通過してトロンメル5へ排出され、トロンメル5により分級される。
【0029】
このとき、徐々に摩耗して排出口2b側へ移動してきたボールMは、ボール止め部材22により排出が防止されるとともに、ドラム2の回転によって上方に持ち上げられて下方に投下されるなどした際にドラム2内で跳ね返り、ボール止め部材22およびボール返し部材23に衝突する。ボール止め部材22に衝突したボールMは、ボール止め部材22の表面に沿ってスリップするが、このボール止め部材22の内周縁には、このボール止め部材22の内側面22cよりさらに内側に向かって傾斜したボール返し部材23が備えられているため、このボール返し部材23によりドラム2の内側に向かって跳ね返され、ボール返し部材23の中央の開口部23bから飛び出さない。
【0030】
また、このボール返し部材23は、ボール止め部材22の内側面22cよりもさらにドラム2の内側に向かって傾斜しているため、このボール返し部材23に直接衝突したボールMもドラム2の内側に向かって跳ね返され、ボール返し部材23の中央の開口部23bから飛び出さない。なお、粒径30mm未満まで摩耗したボールMは、スリット22a,24bおよび隙間Wを通過してトロンメル5へ排出される。
【0031】
以上のように、本実施形態における砕石および砕砂の製造プラントでは、第1ボールミル101内に、粒径0mm超25mm以下の様々な粒径の砕石を含む原材料を投入するため、流動性が良くなり、粒径30mm以上90mm以下のボールと接触させることにより、砕石の破砕を少なくして、砕石の角取りおよび表面研磨を行うことができ、表面が滑らかで粒形判定実積率の高い砕石108を得ることが可能である。また、第1ボールミル101から排出され、分級された砕砂は、砕石の角取りおよび表面研磨によって発生した表面が滑らかな砕砂であり、これをさらに第2ボールミル102内でボールと接触させることにより摩砕するので、表面が滑らかで天然砂と性状の近い砕砂113を得ることが可能である。また、この製造プラントは、砕石および砕砂を一度に製造するものであるが、原材料の配合を調整することで、砕石および砕砂の粒形およびFM値を容易に調整することが可能である。
【0032】
特に、本実施形態における第1ボールミル101では、ドラム2の排出口2bに、砕石をスリット22aおよび隙間Wより通過させ、ボールMの排出を防止するリング状のボール止め部材22と、中央に開口部23bを有し、ボール止め部材22の内周縁にボール止め部材22のドラム2の内側面22cよりさらに内側に向かって傾斜したリング状のボール返し部材23とを備えたことにより、小径のボールであっても、ボール止め部材22に衝突し、ボール返し部材23の表面に沿ってスリップしたボールは、ボール返し部材23によりドラム2の内側に向かって跳ね返されるので、ドラム2からの飛び出しが防止される。これにより、小径のボールで砕石の角取りおよび表面研磨を行うことが可能となり、粒形判定実積率の高い砕石を得ることができる。
【0033】
なお、本実施形態においては、ドラム2内に投入される砕石の粒径を0mm超25mm以下とし、ドラム2内に投入されるボールの粒径を30mm以上90mm以下とすることにより、砕石の破砕は少なくして、砕石の角取りおよび表面研磨を効果的に行うことが可能となっているが、本実施形態における第1ボールミル101に使用することが可能な砕石の粒径およびボールの粒径はこれに限られない。なお、ライナ24のドラム2の排出口2bからの突出幅、ボール止め部材22のスリット22aの幅、ボール止め部材22とライナ24との隙間Wや、ライナ24のスリット24bの幅は、砕石の粒径に応じて適宜変更することが可能である。
【0034】
また、本実施形態における第1ボールミル101では、ドラム2の内壁面にドラム2の排出口2bより外側まで突出して設けられたライナ24にスリット24bが形成されているため、角取りおよび表面研磨が行われた砕石Sが、このスリット24bからも排出されるようになり、砕石Sの排出が促進されるので、砕石の投入量を増やして生産量を向上させることが可能となっている。
【0035】
同様に、本実施形態における第1ボールミル101では、ボール止め部材22とライナ24との隙間Wや、ボール止め部材22のスリット22aにより同様に砕石Sの排出を促進して、生産量を向上させており、従来比で2倍の生産量を実現できる。
【0036】
また、本実施形態における第1ボールミル101では、ボール返し部材23の傾斜角をドラム2の軸線に対して20°としているが、この傾斜角は、ドラム2の軸線に対して5〜75°、より好ましくは10〜60°、さらに好ましくは15〜45°、さらに好ましくは20〜30°の範囲で変更することができる。これにより、ボール止め部材22の表面に沿ってスリップするボールを、より効果的にドラム2の内側に向かって跳ね返すことができ、ドラム2からの飛び出しがさらに防止される。
【0037】
さらに、本実施形態における第1ボールミル101では、ボール返し部材23のリング部分の幅を100mmとしているが、この幅は50mm以上とすることも可能である。なお、この幅に上限はないが、150mm以下や200mm以下とすることができる。これにより、ドラム2内のボールMがボール返し部材23によって効果的にドラム2の内側へ導かれるようになり、さらにドラム2からの飛び出しがさらに防止される。
【0038】
なお、砕石の排出量を増やすために、図6に示すようにボール止め部材22の外周縁にスリットリング25を設けることも効果的である。図6は本発明の別の実施形態を示す図3のB−B断面図である。
【0039】
スリットリング25は、円筒状に形成された部材であり、ボール止め部材22の外周縁に溶接などにより固着されている。スリットリング25には、図6に示すように、粒径30mm超のボールを排出させずに砕石を通過させる30mm幅の多数のスリット25aが形成されている。このスリットリング25と前述のライナ24との間に30mmの隙間Wが形成されるように、ブラケット2cの長さが調整される。なお、この隙間Wや、スリットリング24のスリット24aの幅は、砕石の粒径に応じて適宜変更することが可能である。
【0040】
このように、ボール止め部材22の外周縁とドラム2との間にスリットリング25を備えた第1ボールミル101では、角取りおよび表面研磨が行われた砕石Sが、このスリットリング25のスリット25aからも排出されるようになり、砕石Sの排出が促進されているので、砕石の投入量を増やして生産量を向上させることが可能となる。
【実施例】
【0041】
図1に示す本発明の実施の形態における砕石および製砂の製造プラントにより製造された粒径5mm以上20mm以下の砕石および粒径3mm未満の砕砂(実施例1,2)と、図7に示す従来の製砂プラントにより製造された粒径3mm未満の砕砂(比較例1,2)との粒形判定実積率の比較試験を行った。砕砂の粒形判定実積率試験は、日本工業規格JIS A5005(2009)、砕石の粒形判定実積率試験は、日本工業規格JIS A1104(2009)による。試料の詰め方は棒つき試験である。表1に試験結果を示す。
【0042】
【表1】

【0043】
表1から分かるように、実施例1,2の砕砂は比較例1,2の砕砂と比較して粒形判定実積率が非常に高いものとなっている。この実施例1,2の砕砂の粒形判定実積率62.8%は、天然砂の粒形判定実積率が63%と同等であり、天然砂と性状の近い砕砂となっている。また、従来の砕石の粒形判定実積率は59%であるが、実施例1,2の砕石の粒形判定実積率61.4%であり、極めて高い粒形判定実積率を実現できていることが確認できた。
【0044】
次に、図1に示す本発明の実施の形態における砕石および製砂の製造プラントにより製造された砕石を使用したコンクリート(実施例)と、従来の砕石の製造プラントにより製造された砕石を使用したコンクリート(比較例)について性状の比較を行った。使用材料を表2に示す。なお、表2中、「ボールミル砕石2005」が実施例であり、「インペラ砕石2005」が比較例である。
【0045】
【表2】

【0046】
配合は、スランプ、空気量を変化させず、ワーカビリチーが同じとなるように粗骨材嵩容積を定めた。比較例(インペラ砕石2005)の配合を表3に、実施例(ボールミル砕石2005)の配合を表4にそれぞれ示す。
【表3】

【表4】

【0047】
試験練り結果を表5に示す。
【表5】

【0048】
表5から分かるように、実施例と比較例とでは、まだ固まらないコンクリートの比較において、ワーカビリチーを同じにした場合、単位水量が約4%減少した。この結果は、粒形判定実積率の単なる上昇のみではなく、表面研磨の効果が相乗したものと思われる。この単位水量の減少により、乾燥収縮量が減少すると考えられる。また、強度試験結果において、実施例と比較例とでは大きな差はない。よって、実施例の砕石を使用したコンクリートは耐久性が大きく改善されるものと考えられる。
【0049】
次に、図1に示す本発明の実施の形態における砕石および製砂の製造プラントにより製造された砕石および砕砂と海砂を使用して、砕砂の使用割合におけるコンクリートの性状比較を行った。使用材料を表6に示す。なお、表6中、「ボールミル砕石2005」および「ボールミル砕砂」が実施例である。
【0050】
【表6】

【0051】
配合は、スランプ、空気量を変化させず、ワーカビリチーが同じとなるように粗骨材嵩容積を定めた。スランプ8cmの場合の配合を表7に、スランプ18cmの場合の配合を表8にそれぞれ示す。
【表7】

【表8】

【0052】
試験練り結果を表9に示す。
【表9】

【0053】
表9から分かるように、ワーカビリチーにおいては実施例の砕砂を50%使用しても、70%、100%使用しても良好であり、単位水量においても、水量の増加はなかった。この結果は、粒形判定実積率の単なる上昇のみではなく、表面研磨の効果が相乗したものと思われる。一般には、砕砂の使用により単位水量が増加するが、100%使用した場合でも単位水量の増加はなかった。よって、実施例の砕石および砕砂を使用したコンクリートは単位水量が少ないため、通常の砕石を使用したコンクリートより耐久性が大きく改善するものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、砕石および砕砂を製造する製造プラントおよび製造方法に有用であり、特に、コンクリート用として表面が滑らかで天然砂と性状の近い砕砂とともに表面が滑らかで粒形判定実積率の高い砕石を得ることが可能な砕石および砕砂の製造プラントおよび製造方法として好適である。
【符号の説明】
【0055】
1 ボールミル
2 ドラム
2a 投入口
2b 排出口
3 シュート
4 駆動装置
4a,4b タイヤ
5 トロンメル
6a,6b 外輪体
20 シェル
21 側壁
22 ボール止め部材
23 ボール返し部材
24 ライナ
25 スリットリング
22a,24b,25a スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒径0mm超25mm以下の様々な粒径の砕石を混合した原材料を、粒径30mm以上90mm以下のボールと接触させることにより前記砕石の角取りおよび表面研磨加工する第1ボールミルと、
前記第1ボールミルから排出される加工物から砕石と砕砂とを分級する分級装置と、
前記分級装置により分級された砕砂をボールと接触させることにより摩砕する第2ボールミルと
を含む砕石および砕砂の製造プラント。
【請求項2】
製造される砕石は、粒径5mm以上20mm以下のものである請求項1記載の砕石および砕砂の製造プラント。
【請求項3】
製造される砕砂は、粒径3mm未満のものである請求項1または2に記載の砕石および砕砂の製造プラント。
【請求項4】
第1ボールミル内で、粒径0mm超25mm以下の様々な粒径の砕石を混合した原材料を、粒径30mm以上90mm以下のボールと接触させることにより前記砕石の角取りおよび表面研磨加工すること、
前記第1ボールミルから排出される加工物から砕石と砕砂とを分級すること、
第2ボールミル内で、前記分級された砕砂をボールと接触させることにより摩砕すること
を含む砕石および砕砂の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−55804(P2012−55804A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199318(P2010−199318)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(510240310)株式会社古賀建設 (2)
【Fターム(参考)】