説明

砕石支持プレートおよびこれを用いた浸透型排水設備

【課題】浸透型排水設備の下方に狸堀りにより配管する際の落盤を防止することが可能な砕石支持プレートおよびこれを用いた浸透型排水設備の提供。
【解決手段】排水孔を有し、浸透型側溝ブロック2の下に配置される砕石4を上面で支持する第1床板部6aと、第1床板部6aの一端辺側に立設され、砕石4を側面で支持する第1側壁部6bとからなる第1プレート6と、第1プレート6の第1床板部6aの第1側壁部6bが立設された一端辺側とは反対側の一端辺側の下面に配置される第2床板部7aと、第2床板部7aの第1プレート6の第1床板部6aの第1側壁部6bが立設された一端辺側とは反対側の一端辺側に立設され、砕石4を側面で支持する第2側壁部7bとからなる第2プレート7とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸透型側溝の下に配置される砕石を支持する砕石支持プレートおよびこれを用いた浸透型排水設備に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1〜3に記載のような浸透型排水設備が知られている。浸透型排水設備では、浸透型側溝ブロックの底面や歩道側側面にある透水部から、地中に雨水が還元される構造となっており、地中の透水部が配置される側には砕石が配置され、砕石の下面や側面には、砕石が流れないように透水シートが配置されている。このような浸透型排水設備では、側溝ブロックの透水部を通って外部に排出された水は、砕石部を通り、透水シートを介して地中に浸透還元される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−112188号公報
【特許文献2】特開2007−32048号公報
【特許文献3】特開2007−177414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の浸透型排水設備では、側溝ブロックや砕石部を埋設したままであれば何も問題はないが、道路脇の土地に店舗や住宅が新築された際に、この浸透型排水設備の下方に水道管やガス管を地中から配管することがある。このとき、浸透型排水設備の下方を支保工なしで横堀り(いわゆる、狸堀り)し、管を通すことが行われるが、この狸堀りによって砕石が落盤してしまう。
【0005】
このような落盤が発生すると、側溝ブロックや道路が陥没する原因となる。また、一旦落盤すると、当初の砕石部を有する構造に復旧することは困難であり、仮に土を埋めるとしても締固めを十分に行うことができない。
【0006】
そこで、本発明においては、浸透型排水設備の下方に狸堀りにより配管する際の落盤を防止することが可能な砕石支持プレートおよびこれを用いた浸透型排水設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の砕石支持プレートは、排水孔を有し、側溝の下に配置される砕石を上面で支持する床板部と、床板部に立設され、砕石を側面で支持する側壁部とを有するものである。本発明の砕石支持プレートによれば、この砕石支持プレート上に透水シートが配設され、透水シート上に砕石が配設され、砕石上に浸透型側溝が配設されることにより、浸透型排水設備が構成され、砕石は砕石支持プレートにより底面および側面が支持されるため、この浸透型排水設備の下方に狸堀りした際の落盤が防止される。
【0008】
本発明の砕石支持プレートは一体型とすることも可能であるが、本発明の砕石支持プレートは、排水孔を有し、側溝の下に配置される砕石を上面で支持する第1床板部と、第1床板部の一端辺側に立設され、砕石を側面で支持する第1側壁部とからなる第1プレートと、第1プレートの第1床板部の第1側壁部が立設された一端辺側とは反対側の一端辺側の下面に配置される第2床板部と、第2床板部の第1プレートの第1床板部の第1側壁部が立設された一端辺側とは反対側の一端辺側に立設され、砕石を側面で支持する第2側壁部とからなる第2プレートとから構成されるものであることが望ましい。
【0009】
これにより、第2プレートを配設した後、第2プレートの第2床板部上に、第1床板部を重ねて第1プレートを配設し、砕石を配設することで、第1床板部上に配設された砕石の重みにより第2プレートの第2床板部が押さえられ、第2プレートの第2側壁部の傾倒が防止される。また、第1プレートおよび第2プレートは、それぞれ略L字状断面の部材となるため、成形および運搬が容易となる。
【0010】
また、本発明の砕石支持プレートは、排水孔を有し、側溝の下に配置される砕石を上面で支持する第1床板部を構成する第1プレートと、第1プレートの一端辺側の下面に配置される第2床板部と、第2床板部の一端辺側に立設され、砕石を側面で支持する第1側壁部とからなる第2プレートと、第1プレートの第2プレートが配置される一端辺側とは反対側の一端辺側の下面に配置される第3床板部と、第3床板部の第2プレートが配置される一端辺側とは反対側の一端辺側に立設され、砕石を側面で支持する第2側壁部とからなる第3プレートとから構成されるものとすることもできる。
【0011】
これにより、第2プレートおよび第3プレートを配設した後、第2プレートの第2床板部上および第3プレートの第3床板部上に、第1床板部を重ねて第1プレートを配設し、砕石を配設することで、第1床板部上に配設された砕石の重みにより第2プレートの第2床板部および第3プレートの第3床板部が押さえられ、第2プレートの第1側壁部および第3プレートの第2側壁部の傾倒が防止される。また、第1プレートは平板状の部材となり、第2プレートおよび第3プレートは、それぞれ略L字状断面の部材となるため、成形および運搬が容易となる。
【発明の効果】
【0012】
(1)排水孔を有し、側溝の下に配置される砕石を上面で支持する床板部と、床板部に立設され、砕石を側面で支持する側壁部とを有する砕石支持プレートによれば、浸透型排水設備の砕石は、この砕石支持プレートにより底面および側面が支持されるため、浸透型排水設備の下方に狸堀りした際の落盤が防止される。
【0013】
(2)排水孔を有し、側溝の下に配置される砕石を上面で支持する第1床板部と、第1床板部の一端辺側に立設され、砕石を側面で支持する第1側壁部とからなる第1プレートと、第1プレートの第1床板部の第1側壁部が立設された一端辺側とは反対側の一端辺側の下面に配置される第2床板部と、第2床板部の第1プレートの第1床板部の第1側壁部が立設された一端辺側とは反対側の一端辺側に立設され、砕石を側面で支持する第2側壁部とからなる第2プレートとから構成される砕石支持プレートによれば、成形および運搬が容易となり、低コストかつ取り扱いの容易な砕石支持プレートが提供できる。
【0014】
(3)排水孔を有し、側溝の下に配置される砕石を上面で支持する第1床板部を構成する第1プレートと、第1プレートの一端辺側の下面に配置される第2床板部と、第2床板部の一端辺側に立設され、砕石を側面で支持する第1側壁部とからなる第2プレートと、第1プレートの第2プレートが配置される一端辺側とは反対側の一端辺側の下面に配置される第3床板部と、第3床板部の第2プレートが配置される一端辺側とは反対側の一端辺側に立設され、砕石を側面で支持する第2側壁部とからなる第3プレートとから構成される砕石支持プレートによれば、成形および運搬が容易となり、低コストかつ取り扱いの容易な砕石支持プレートが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は本発明の実施の形態における浸透型排水設備の断面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図2】図1の砕石支持プレートの第1プレートを示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は左側面図である。
【図3】図1の砕石支持プレートの第2プレートを示す図であって、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【図4】砕石支持プレートの別の実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明の浸透型排水設備の別の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1の(a)は本発明の実施の形態における浸透型排水設備の断面図、(b)は(a)のA−A断面図、図2は図1の砕石支持プレートの第1プレートを示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は左側面図、図3は図1の砕石支持プレートの第2プレートを示す図であって、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【0017】
図1において、本発明の実施の形態における浸透型排水設備1は、函渠を構成する側溝としての浸透型側溝ブロック2が道路の側方の地中に埋設されたものである。浸透型側溝ブロック2は、側溝本体2a、プレキャスト基礎版2b、インバートコンクリート2cおよびコンクリート蓋2dからなり、プレキャスト基礎版2bおよびインバートコンクリート2cには所定間隔で部分的に浸透口3が設けられている。また、プレキャスト基礎版2bの下方および浸透口3内には砕石4が配置されている。
【0018】
また、この浸透型排水設備1では、この砕石4を支持する略凹状の砕石支持プレート5が配設されており、砕石4はこの略凹状の砕石支持プレート5上に配設されている。砕石プレート5は、図2に示す第1プレート6と、図3に示す第2プレート7とから構成される。また、砕石4と砕石支持プレート5との間には透水シート8が配設されている。
【0019】
第1プレート6は、図2に示すようにFRP(繊維強化プラスチック)により略L字状に成形された部材であり、それぞれ矩形の第1床板部6aおよび第1側壁部6bからなる。第1床板部6aには長孔からなる複数の排水孔6cが形成されている。また、第1側壁部6bは、第1床板部6aの一端辺側に立設されている。
【0020】
第2プレート7は、図3に示すようにFRP(繊維強化プラスチック)により略L字状に成形された部材であり、それぞれ矩形の第2床板部7aおよび第2側壁部7bからなる。第2側壁部7bは、第2床板部7aの一端辺側に立設されている。
【0021】
上記構成の浸透型排水設備1の施工は、まず掘削した地中に第2プレート7を配設し、この第2プレート7の第2床板部7a上に、第1床板部6aを重ねて第1プレート6を配設する。これにより、第2床板部7aは、第1プレート6の第1床板部6aの第1側壁部6bが立設された一端辺側(図1(a)の右側)とは反対側の一端辺側(図1(a)の左側)の下面に配置され、第2側壁部7bは、第2床板部7の第1プレート6の第1床板部6aの第1側壁部6bが立設された一端辺側(図1(a)の右側)とは反対側の一端辺側(図1(b)の左側)に立設された状態となる。
【0022】
そして、第1プレート6および第2プレート7により形成された凹部6aの内面に透水シート8を敷設し、砕石4を配設する。これにより、砕石4は、第1プレート6の第1床板部6aの上面および第1側壁部6bの側面と、第2プレート7の第2側壁部7bの側面とにより支持される。このとき、第2プレート7の第2床板部7aは、第1プレート6の第1床板部6a上に配設された砕石4の重みにより押さえられているため、第2プレート7の第2側壁部7bの傾倒が防止される。
【0023】
そして、砕石4上にプレキャスト基礎版2bを敷設し、側溝本体2aを敷設する。次に、プレキャスト基礎版2bの浸透口3の位置に合わせて型枠(図示せず。)を設置し、生コンクリートによりインバートコンクリート2cを形成する。その後、プレキャスト基礎版2bおよびインバートコンクリート2cに形成された浸透口3内に砕石4を配設し、コンクリート蓋2dを設置する。
【0024】
上記構成の浸透型排水設備1では、砕石4は、第1プレート6および第2プレート7からなる砕石支持プレート5により支持されているため、この浸透型排水設備1の下方に配管9のための横穴10を狸堀りしても落盤することはない。
【0025】
また、第1プレート6および第2プレート7は、それぞれ略L字状断面の部材であるため、成形および運搬が容易であり、これらにより構成される砕石支持プレート5は低コストかつ取り扱いが容易である。なお、本実施形態においては、砕石支持プレート5は、第1プレート6および第2プレート7からなる2分割式であるが、一体式とすることも可能である。
【0026】
あるいは、図4に示すように、第1プレート11、第2プレート12および第3プレート13からなる3分割式の砕石支持プレート14とすることも可能である。第1プレート11は、第1床板部11aを構成するFRP製の矩形の板材である。第2プレート12および第3プレート13は、前述の第2プレート7と同様の部材であり、それぞれ第2床板部12aおよび第1側壁部12bと、第3床板部13aと第2側壁部13bとを有する。
【0027】
このような構成においても、第2プレート12および第3プレート13を配設した後、第2プレート12の第2床板部12a上および第3プレート13の第3床板部13a上に、第1床板部11aを重ねて第1プレート11を配設し、砕石4(図1参照。)を配設することで、第1床板部11a上に配設された砕石4の重みにより第2プレート12の第2床板部12aおよび第3プレート13の第3床板部13aが押さえられ、第2プレート12の第1側壁部12bおよび第3プレート13の第2側壁部13bの傾倒が防止される。
【0028】
そして、この構成においては、第1プレート11は平板状の部材であり、第2プレート12および第3プレート13は、それぞれ略L字状断面の部材であるため、成形および運搬が容易であり、これらにより構成される砕石支持プレート14は、砕石支持プレート5と同様、低コストかつ取り扱いが容易である。
【0029】
次に、本発明の浸透型排水設備の別の実施形態について説明する。図5は本発明の浸透型排水設備の別の実施形態を示す断面図である。図5に示す浸透型排水設備20は、函渠を構成する側溝としての浸透型側溝ブロック21が道路の側方の地中に埋設されたものである。浸透型側溝ブロック21は、民地側の側壁部21aおよび底版部21bには、部分的に透水孔22が設けられている。
【0030】
この場合、透水孔22が設けられた側壁部21aおよび底版部21b側に砕石4が配置されており、砕石プレート5は、この側壁部21aおよび底版部21b側に配置された砕石4を支持するように設けられている。このような構成においても、前述と同様、砕石4は、砕石支持プレート5により支持されているため、この浸透型排水設備20の下方に配管9のための横穴10を狸堀りしても落盤することはない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の砕石支持プレートは、排水を地中に浸透還元可能な浸透型排水設備に有用であり、特に本発明の砕石支持プレートは、浸透型排水設備の下方に狸堀りにより配管する際の落盤を防止することが可能なものとして好適である。
【符号の説明】
【0032】
1,20 浸透型排水設備
2,21 浸透型側溝ブロック
4 砕石
5 砕石プレート
6 第1プレート
6a 第1床板部
6b 第1側壁部
7 第2プレート
7a 第2床板部
7b 第2側壁部
8 透水シート
9 配管
10 横穴
11 第1プレート
11a 第1床板部
12 第2プレート
12a 第2床板部
12b 第1側壁部
13 第3プレート
13a 第3床板部
13b 第2側壁部
22 透水孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水孔を有し、側溝の下に配置される砕石を上面で支持する床板部と、
前記床板部に立設され、前記砕石を側面で支持する側壁部と
を有する砕石支持プレート。
【請求項2】
排水孔を有し、側溝の下に配置される砕石を上面で支持する第1床板部と、前記第1床板部の一端辺側に立設され、前記砕石を側面で支持する第1側壁部とからなる第1プレートと、
前記第1プレートの前記第1床板部の前記第1側壁部が立設された一端辺側とは反対側の一端辺側の下面に配置される第2床板部と、前記第2床板部の前記第1プレートの前記第1床板部の前記第1側壁部が立設された一端辺側とは反対側の一端辺側に立設され、前記砕石を側面で支持する第2側壁部とからなる第2プレートと
から構成される砕石支持プレート。
【請求項3】
排水孔を有し、側溝の下に配置される砕石を上面で支持する第1床板部を構成する第1プレートと、
前記第1プレートの一端辺側の下面に配置される第2床板部と、前記第2床板部の一端辺側に立設され、前記砕石を側面で支持する第1側壁部とからなる第2プレートと、
前記第1プレートの前記第2プレートが配置される一端辺側とは反対側の一端辺側の下面に配置される第3床板部と、前記第3床板部の前記第2プレートが配置される一端辺側とは反対側の一端辺側に立設され、前記砕石を側面で支持する第2側壁部とからなる第3プレートと
から構成される砕石支持プレート。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の砕石支持プレートと、
前記砕石支持プレート上に配設される透水シートと、
前記透水シート上に配設される砕石と、
前記砕石上に配設される浸透型側溝と
を有する浸透型排水設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−193520(P2012−193520A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57070(P2011−57070)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000138314)株式会社ヤマウ (15)
【Fターム(参考)】