破砕装置
【課題】回転打撃子の煩雑な取り付け方向の変更が不要である両刃の回転打撃子を備える破砕装置を提供すること。
【解決手段】上方に向けて開口した供給開口部3と下方に向けて開口した搬出口4とを備えた外枠5内に、回転自在に配置されたロータ7の回転軸6に対して直交して設けた複数の回転打撃子8を交換可能に固定し、供給装置12から投入された被破砕物を供給開口部3から受け入れて回転打撃子8により連続的に破砕して破砕された破砕物を搬出口4より排出する破砕装置1である。ロータ7は回転方向が正方向及び逆方向に変更可能に駆動手段10により駆動される。回転打撃子8は両刃であり、ロータ7の回転方向が正逆方向のいずれの方向に変更された場合にも被破砕物の破砕が可能にロータ7に固定されている。
ロータ7の正回転方向又は逆回転方向に向けて供給開口部3から投入される被破砕物の投入方向を変更する投入方向変更手段16(161、162)を備えている。
【解決手段】上方に向けて開口した供給開口部3と下方に向けて開口した搬出口4とを備えた外枠5内に、回転自在に配置されたロータ7の回転軸6に対して直交して設けた複数の回転打撃子8を交換可能に固定し、供給装置12から投入された被破砕物を供給開口部3から受け入れて回転打撃子8により連続的に破砕して破砕された破砕物を搬出口4より排出する破砕装置1である。ロータ7は回転方向が正方向及び逆方向に変更可能に駆動手段10により駆動される。回転打撃子8は両刃であり、ロータ7の回転方向が正逆方向のいずれの方向に変更された場合にも被破砕物の破砕が可能にロータ7に固定されている。
ロータ7の正回転方向又は逆回転方向に向けて供給開口部3から投入される被破砕物の投入方向を変更する投入方向変更手段16(161、162)を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被破砕物を破砕する破砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上方に向けて開口した供給開口部と下方に向けて開口した搬出口とを備えた外枠内に回転軸に対して直交して設けた複数の回転打撃子(ハンマー)を交換可能にロータに固定し、供給装置から投入された被破砕物を前記供給開口部から受け入れて回転打撃子により連続的に破砕して破砕された破砕物を前記搬出口より排出する破砕装置が知られている。
【0003】
このような破砕装置では、眼鏡ケースほどの大きさに砕かれた木材などの建築廃材が被破砕物として採用され、この被破砕物はベルトコンベア等により供給開口部としてのホッパ(シュート部)まで搬送されてくる。被破砕物は、回転打撃子が描く回転軌跡の接線方向に投入され、回転打撃子により所定の大きさにまで破砕された破砕物はスクリーンを通過して搬出口より排出される。
【0004】
このような破砕装置においては、回転打撃子が描く回転軌跡の接線方向に向けて被破砕物が投入されるので、被破砕物の飛散が抑制されるが、被破砕物を回転打撃子の接線方向に向けて投入するためにはロータの回転方向を常に一方向に設定する必要がある。このため、回転打撃子として両刃のものを採用しても、回転刃の摩耗又は破損のため、運転を停止して回転打撃子の回転前後方向を交換する必要が生じる。回転打撃子の交換には、ボルト緩め、回転打撃子の交換または取り付け方向変更、ボルト締めなどの煩雑な工程が必要であるという課題がある。
【0005】
回転打撃子を回転部から取り外すことなく、ボルト緩めとボルト締めにより刃先の前後方向を変更できる特殊な回転打撃子も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特公昭62−61345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の破砕装置においては、回転方向が一方向に限定されているため、両刃の回転打撃子を用いる場合であっても回転打撃子の取り付け方向の変更などの煩雑な工程が必要であるという課題がある。
【0007】
また、特許文献1に記載の特殊な回転打撃子であってもボルト緩め工程とボルト締め工程は必要である。それ故、一台の装置で多数の数の回転打撃子(例えば、50個)が用いられている状況では、このような特殊な回転打撃子を採用しても、回転打撃子の交換作業に多大の時間を要し、交換作業中に破砕作業の中段が余儀なくされるという課題は依然として解決されない。
【0008】
そこで、本発明は、回転打撃子の煩雑な取り付け方向の変更が不要である両刃の回転打撃子を備える破砕装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上方に向けて開口した供給開口部と下方に向けて開口した搬出口とを備えた外枠内に、回転自在に配置されたロータの回転軸に対して直交して設けた複数の回転打撃子を交換可能に固定し、供給装置から投入された被破砕物を前記供給開口部から受け入れて回転打撃子により連続的に破砕して破砕された破砕物を前記搬出口より排出する破砕装置であって、前記ロータは回転方向が正方向及び逆方向に変更可能に駆動手段により駆動され、前記回転打撃子は両刃であり、前記ロータの回転方向が正逆方向のいずれの方向に変更された場合にも被破砕物の破砕が可能に前記ロータに固定され、該ロータの正回転方向又は逆回転方向に向けて前記供給開口部から投入される被破砕物の投入方向を変更する投入方向変更手段を備えていることを特徴とする破砕装置である。
【0010】
この投入方向変更手段は、例えば、被破砕物の投入誘導路を切り換える誘導路切換手段または被破砕物の投入通路内に配設された投入物の通路を切り換える通路切換手段であってもよい。
【0011】
また、上述の破砕装置は、例えば、ロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かを判定する判定手段を備えることができる。このような構成によれば、ロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かの判定ができる。
【0012】
この判定手段によりロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあると判定された場合には、そのまま運転を正常に開始させればよいが、例えば、判定手段によりロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係に無い場合には、その後の運転開始操作の中止(運転開始操作の無効)や、その旨の報知などに応用できる。すなわち、この判定手段による判定結果は、運転開始の可否の判定にそのまま利用され、判定に基づいた運転開始操作の指示又は運転開始操作の中止(運転開始操作の無効)などの運転規制を行うことができる。
【0013】
運転開始操作の中止(運転開始操作の無効)やその旨の報知を受けた作業者が、手動により作業のやり直しを行うように構成してもよいが、この判定手段によりロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係に無いと判定された場合には、ロータの回転方向又は被破砕物の投入方向のいずれか一方を自動制御させて判定結果の是非を是正させるように構成してもよい。これにより、自動制御運転が可能となる。
【0014】
たとえば、ロータの回転方向を作業者が指示する場合に、判定手段による判定結果が所定の関係に無い場合に被破砕物の投入方向を自動的に変更したり、反対に被破砕物の投入方向を指示する場合に、反転手段による判定結果が所定の関係に無い場合にロータの回転方向を反転させてから運転を開始するような制御を行うこともできる。
【0015】
また、本発明に係る破砕装置は、さらに投入方向変更手段による被破砕物の投入方向の変更に伴って非投入位置の空間を遮蔽するスライドドアを備えていることもよい。
【0016】
さらに、破砕装置は、投入方向変更手段による被破砕物の投入方向の変更に伴って被破砕物を回転するロータの最適位置へ誘導する補助誘導手段を備えていることも好ましい。
【0017】
また、本発明に係る破砕装置は、回転打撃子により破砕された破砕物が所定の大きさにまで破砕されたか否かを選別するスクリーンをロータの下方に備え、該スクリーンはロータの回転中心よりも上方に延設されていることが好ましい。
【0018】
このような構造によれば、正面側又は背面側のロータの回転中心よりも上方にそれぞれスクリーンを延設することができる。これにより、従来ロータの下方にのみ設けられているスクリーンの面積を拡大することにより処理効率の上昇や連続運転可能時間を増大させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に従えば、被破砕物の投入方向をロータの回転方向に応じて変更したり、ロータの回転方向を被破砕物の投入方向に応じて変更できるので、回転打撃子の煩雑な取り付け方向の変更が不要である両刃の回転打撃子を備える破砕装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0021】
図1〜図5は、本発明の実施例1に係る破砕装置を説明する図である。この破砕装置1は、図1、図2に示すように、フレームにより形成された支持台2に固定されている。この破砕装置1は、上方に向けて開口した供給開口部3と下方に向けて開口した搬出口4とを備えた外枠としてのカバー5を備えている。このカバー5は不図示のフレームにより支持され、また、カバー5の正面5a及び背面5bにはそれぞれ対称に扉5A、5Bが設けられている。
【0022】
このカバー5の両側面5c、5dを貫通して前後方向に対称のほぼ中央には回転軸6が設けられている。この回転軸6は、カバー5を支えるフレームなどにベアリングユニット(いずれも不図示)などを介して回転可能に軸支されている。カバー5の内部の回転軸6には、図3に示すように、ロータ7が固定されている。このロータ7には回転軸6に対して直交して多数の回転打撃子8(例えば、5個×10列=50個)が、それぞれ取付ボルト8Aにより交換可能に取り付けられている。この回転打撃子8が取り付けられた状態で回転方向の両側面8a、8bのそれぞれには破砕用の刃が形成されている。また、ロータ7の下方には、スクリーン9が交換可能に配設されている。
【0023】
一方、支持台2に隣接して補助支持台2Aが配設され、その補助支持台2Aには、回転軸6を駆動させるモータ10が配設されている。このモータ10の回転は、例えば、正逆転モータであり、適宜の伝達機構11を介して回転軸6を正方向または逆方向に回転させる。
【0024】
供給開口部3の上方には、図1に示すように、被破砕物を供給開口部3まで供給する供給装置12が設けられ、搬出口4の下方には、図2に示すように、排出コンベア13が配設されている。この供給装置12は被破砕物を運搬する供給コンベア14と供給コンベア14により供給された被破砕物を回転シュート16に向けて誘導するトップカバー15と、このトップカバー15に180度揺動可能に固定された投入方向変更手段としての回転シュート16とから大略構成されている。
【0025】
この回転シュート16は、供給コンベア14により搬送された被破砕物を供給開口部3に誘導するためのものであり、回転シュート16は図示のように概ね30度の傾きで傾斜し、回転軸Oを中心としてトップカバー15に対して回転するようにトップカバー下端のフランジ部15aに垂下されている。これにより、不図示の連結ボルトを外し、図5に示すように、フランジ部15aを水平方向に矢印に沿って180度回転させることによりその傾斜方向を供給開口部3の前後方向に向けて移動可能に構成されている。ここで、図5(a)では、回転シュート16の出口16aが正面5a(前方)に向けられ、また、図5(b)では、回転シュート16の出口16aが背面5b(後方)に向けられている。
【0026】
また、回転シュート16の内部には、図4に示すように、ゴム板からなる回転羽根17を備えた分散装置18が配設され、この回転羽根17は、回転シュート16の外部に固定されたモータ19により一方向に回転するか揺動運動し、トップカバー15より供給された被破砕物が回転軸6の軸方向(幅方向)に均等に投入されるように分散させる。これにより、この分散装置18では、被破砕物の種類・大きさに応じて回転羽根17の回転速度(又は揺動速度)を調整することにより、均一に被破砕物を分散させて破砕装置に供給することができる。
【0027】
つぎに、以上のように構成された破砕装置1の作用について説明する。
【0028】
メガネ程度の大きさに破砕された一次破砕物(被破砕物)を供給コンベア14に供給し、トップカバー15を介して回転シュート16に誘導する。図1に示す回転シュート16の出口16aが正面5a(前方)に向けられた状態で、モータ19を駆動させて回転羽根17を回転させる。また、モータ10を駆動させて伝達機構11を図5(a)に示すように矢印a方向に向けて回転させ、ロータ7を図面視時計回りの方向(以下、この回転方向を正回転方向という。)に回転させる。
【0029】
これにより、回転シュート16に誘導された被破砕物は、回転羽根17の回転(又は揺動)により回転軸6の軸方向(幅方向)に分散されつつ、約30度に傾斜された回転シュート16に誘導されて供給開口部3の正面5a方向に供給される。被破砕物の投入方向がロータ7の正回転に従った回転打撃子8が描く回転軌跡の接線方向となっているので、ロータ7に固定された回転打撃子8による破砕物の飛散は極力低減されつつ被破砕物は破砕される。ここで、回転打撃子8が描く回転軌跡の円の接線方向に被破砕物を投入すると被破砕物は破砕機の内部に高い確率で落下して供給されることが経験上確認されている。
【0030】
スクリーン9の目を通過する所定の大きさに破砕された破砕物は、スクリーン9を通過し、搬出口4から搬出され、排出コンベア13により排出される。
【0031】
数百時間の後には回転打撃子8の刃先8aが摩耗などにより損傷し、破砕効率が低下する。回転打撃子8の刃先8aが摩耗などにより損傷した場合、破砕装置1を全停止し、回転シュート16とトップカバー15とを連結する連結ボルト(不図示)を外して回転シュート16を水平方向へ180度回転させる。これにより、回転シュート16の出口16aの位置は、図5(a)の正面5a位置から図5(b)の背面5b位置へ変更され、被破砕物の投入方向は正面方向(前方)から背面方向(後方)へ変更される。
【0032】
モータ10を逆方向へ駆動させて、図5(b)に示すように、伝達機構11を矢印b方向に向けて回転させ、ロータ7を図面視反時計回りの方向(以下、この回転方向を逆回転という。)に回転させる。
【0033】
モータ19を駆動させて被破砕物を回転軸6の軸方向(幅方向)に分散させつつ投入する。回転シュート16の出口16aが背面5b(後方)に向けられているので被破砕物は、供給開口部3の背面5b(後方)に供給される。これにより、被破砕物の投入方向がロータ7の逆回転に従った回転打撃子8が描く回転軌跡の接線方向となるので、ロータ7に固定された回転打撃子8により破砕される際の被破砕物の飛散は極力低減され、被破砕物は損傷の無い刃先8bにより破砕効率よく破砕が行える。
【0034】
両刃先8a、8bが共に損傷したら、破砕装置1を全停止させた後、取付ボルト8Aを緩めて回転打撃子8を全交換する。
【0035】
なお、この実施例では、刃先8aが完全に摩耗した後に回転方向を変更しているが、回転方向は適宜のタイミングで変更してもよい。適宜のタイミングで変更することにより偏在により生じる被破砕物の詰まりを防止させることもできる。
【0036】
以上に記載の破砕装置によれば、ロータ7の回転を正逆方向に簡易に変更可能となり、また、被破砕物の投入方向を前方向、後方向に簡易に変更可能となるので、ロータの回転方向を逆転させた場合には、被破砕物の投入方向が回転打撃子が描く回転軌跡の接線方向を常に維持できるように被破砕物の投入方向を簡易に変更でき、また、被破砕物の投入方向を前方向、後方向に変更させた場合には、被破砕物の投入方向が回転打撃子が描く回転軌跡の接線方向を維持できるようにロータの回転方向を簡易に変更できる。これにより、被破砕物の投入方向をロータの回転方向に応じて変更したり、ロータの回転方向を被破砕物の投入方向に応じて変更できる。
【0037】
また、以上の実施例に従えば、外枠5内は、前後方向に概略対称に構成されているので、ロータ7の回転方向を正逆に反転させても、概略同等の破砕が行える。これにより、回転打撃子の両側面を刃面として簡易に利用できる破砕片の飛散の少ない破砕装置を提供することができる。
【0038】
また、この実施例によれば、分散装置18の作用により破砕装置1の幅方向(回転羽根17の回転方向又は揺動方向)に被破砕物を均一に投入することができるので、回転軸6の軸方向に多数(この例では10列)配設されている回転打撃子8や面状に広がるスクリーン9の損傷や摩耗を均一化させて、全体の寿命を向上させることができる。
【0039】
さらに、この分散装置18では、回転羽根17にゴムなどの柔軟性を有する素材を使用しているので、分散装置18の内部での被破砕物の詰まりを軽減させることができる。
【0040】
また、ロータの回転方向を適宜のタイミングで変更することにより偏在により生じる被破砕物の詰まりを防止させることもできる。
(制御例)
この制御例は、実施例1に係る破砕装置1の制御例に係り、図8、図9Aに示すように、実施例1に係る破砕装置1に加え、さらに回転シュート16の位置を検出する投入方向検出手段としてのセンサLS1、LS2と、この投入方向検出手段による情報に基づいて各駆動部の制御を行う制御手段とを備えている。ここで、符号16bは、回転シュート16に設けた突起であり、符号16cはセンサLS1,LS2側に固定されたストッパであり、センサLS1、LS2は、例えば、トップカバー15のフランジ部15a(図1)のような固定部に固定されている。これにより、回転シュート16を180度右回転又は左回転させた場合に突起16bがそれぞれのストッパ16cに当接して位置決めがなされるとともに突起16bがそれぞれのセンサLS1又はセンサLS2に接触する。
【0041】
これにより、図8(a)に示すように、突起16bがセンサLS1に当接している状態では、回転シュート16の出口16aの位置は、図5(a)に示すような正面側に配設され、また、図8(a)の位置から回転シュート16を180度回転させて、図8(b)に示すように、回転シュート16を背面側に配設した状態では、突起16bは、センサLS2に当接されるように構成されている。これらの投入方向検出手段は、回転シュート16の位置が背面側に位置するか正面側に位置するかを検出できれば、どのような構成であってもよい。
【0042】
また、この制御例に係る破砕装置では、図9Aに示すように、ロータ7の回転方向を指示する正逆回転操作部(回転方向指示手段)31と、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)と投入方向検出手段(センサLS1,LS2)により検出された被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かを判定する判定手段を包含する制御部(判定手段)33を備えている。また、この制御部33は、警報部34、回転方向切換部36に接続され、この回転方向切換部36は、三層交流電源37及びモータ10に接続されている。
【0043】
これにより、判定手段により判定された結果、例えば、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しければ、装置全体の所定の駆動を行う。
【0044】
一方、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い場合には、装置全体の駆動を行わずに、警報部34などを駆動させ、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い旨を報知する。位置が正しくない旨確認した作業者は、確認された正しい位置となるように回転シュート16の位置を変更して装置全体の駆動を行う。
【0045】
なお、回転シュート16の位置を変更する駆動装置を配置して、制御部33により確認された位置が正しくないと判定した時に回転シュート16の位置を自動的に変更させるように構成してもよい。
(対照例1)
実施例1において、回転シュート16を配設することなく、トップカバー15の直下に供給開口部3を配設させた。
【0046】
以上のような破砕装置によれば、被破砕物は供給コンベア14からトップカバー15を介してロータ7の中央(回転軸6の直上)付近に直接落下するが、ロータ7の回転速度が速い(例えば、1000rpm)場合、ロータ7を正回転方向、又は逆回転方向のどちらの方向に回転させても、破砕中の破砕物が煩雑に跳ね飛ばされ、破砕装置の供給開口部3付近から飛び出したり、又は供給開口部3付近に堆積し、破砕装置1の連続運転が不能となる場合がある。
【0047】
また、分散装置18を省けば、被破砕物は一箇所に集中投入され易く、結果としてスクリーン9は局部的に摩耗して短寿命となる。
【実施例2】
【0048】
実施例2は、実施例1に係る破砕装置1の供給開口部3付近の内部に図6、図7に示すようなスライドドア20を追加した改良例である。
【0049】
このスライドドア20は、ロータ7の回転軸方向(幅方向)に延びるスライドドア本体21と、スライドドア本体21を幅方向の両端でガイドする左右一対の上ガイドレール22及び下ガイドレール23と、スライドドア本体21の移動を補助する上キャスター24、下キャスター25と、スライドドア本体21を前後方向に駆動させる駆動手段としてのシリンダ26(図面では片側のみ記載しているが、このシリンダ26は幅方向の両端にそれぞれ一組装着されており、図面上反対側は省略されている。)とにより大略構成されている。ここで、符号27はドア回転支点、符号28はドア取付支点ピン、符号29は取付ピン29aを支点としてシリンダ26を上下に揺動自在に固定する固定部材である。また、符号30はスライドドア本体21の動きを規制するストッパであり、幅方向の両端に前方及び後方にそれぞれ一対配設されている。また、スライドドア本体21の前方末端及び後方末端には、それぞれ前方又は後方より立ち上がった前方壁21a及び後方壁21bを備えている。
【0050】
このように構成されたスライドドア20によれば、シリンダロッド26aを伸縮させることにより上キャスター24と下キャスター25に支持されてスライドドア本体21は上ガイドレール22と下ガイドレール23間を往復する。
【0051】
例えば、図6(a)に示すように、シリンダロッド26aを伸長させた状態でスライドドア本体21の後方壁21bはストッパ30に当接することにより動きが規制されて、スライドドア20により供給開口部3の前方(正面側開口部3a)が開放され後方(背面側開口部3b)が閉鎖される。
【0052】
一方、図6(b)に示すように、シリンダロッド26aを収縮させた状態でスライドドア本体21の前方壁21aはストッパ30に当接することにより動きが規制されて、スライドドア20により供給開口部3の後方(背面側開口部3b)が開放され前方(正面側開口部3a)が閉鎖される。
【0053】
これにより、このスライドドア本体21は、ロータ7の外周に沿って配設される切換ドアであって、シリンダ26のシリンダロッド26aの伸縮に伴い、スライドドア本体21を正面方向及び背面方向に切り替える切換ドアとして機能させることができる。
【0054】
つぎに、以上のように構成されたスライドドア20を備えた破砕装置1の作用について説明する。
【0055】
図6(a)に示すように、回転シュート16の出口16aが正面5a方向に向けられた状態で、シリンダロッド26aを伸長させ、スライドドア20により供給開口部3の後方(背面側開口部3b)を閉鎖し前方(正面側開口部3a)を開放する。
【0056】
図1に示すように、供給コンベア14から供給された被破砕物は、トップカバー15を介して回転シュート16に誘導される。モータ10を駆動させて伝達機構11を図5(a)に示す矢印a方向の正回転方向に向けて回転させ、また、モータ19を駆動させて分散装置18を回転又は揺動させる。
【0057】
回転シュート16により誘導された被破砕物は、回転羽根17の回転(又は揺動)により回転軸6の軸方向(幅方向)に分散されつつ、回転シュート16の出口16aがスライドドア本体21の開口側(正面開口部3a)に供給され、背面側開口部3bは非投入位置となる。これにより、図6(a)の白抜き矢印で示すように、開放されたスライドドア本体21の正面開口部3aから被破砕物は約30度の傾斜角度で正面方向に傾斜した回転シュート16に誘導されつつ正面開口部3aから投入される。被破砕物の投入方向がロータ7の正回転に従った回転打撃子8が描く回転軌跡の接線方向となり、ロータ7に固定された回転打撃子8により破砕物の飛散は極力低減されつつ被破砕物は破砕される。
【0058】
スクリーン9の目を通過する所定の大きさに破砕された破砕物は、スクリーン9を通過し、搬出口4から搬出され、排出コンベア13により排出される。大きな未破砕物はスライドドア本体21と干渉してロータ7の上方への誘導が規制され、回転打撃子8により効率的に破砕される。
【0059】
回転打撃子8の刃先8aが摩耗などにより損傷した場合、破砕装置1を全停止し、回転シュート16とトップカバー15とを連結する連結ボルト(不図示)を外して回転シュート16を水平方向へ180度回転させる。これにより、回転シュート16の出口16aの位置は、図5(a)の正面5a位置から図5(b)の背面5b位置へ変更され、被破砕物の投入方向は正面方向から背面方向へ変更される。
【0060】
これと共に、図6(b)に示すように、シリンダロッド26aを収縮させ、スライドドア本体21を正面側に移動させ供給開口部3の前方(正面側開口部3a)を閉鎖し後方(背面側開口部3b)を開放する。
【0061】
図5(b)に示すように、伝達機構11を矢印b方向の逆回転方向に向けて回転させつつモータ19を駆動させることにより、回転シュート16により誘導された被破砕物は、分散装置18の作用により回転軸6の軸方向(幅方向)に分散されつつ開口部3に向けて誘導される。回転シュート16の出口16aが背面5b方向に向けられているので、被破砕物は、図6(b)の白抜き矢印で示すように、約30度の傾斜角度で背面方向に傾斜した回転シュート16に誘導されて背面開口部3bから供給され、正面側開口部3aは非投入位置となる。被破砕物の投入方向がロータ7の逆回転に従った回転打撃子8が描く回転軌跡の接線方向となるので、ロータ7に固定された回転打撃子8により破砕される際の被破砕物の飛散は極力低減される。また、正回転により刃先8aの損傷により低下した破砕効率は再び回復して連続した破砕が行える。
【0062】
回転打撃子8の両刃8a、8bが共に摩耗などにより損傷したら、破砕装置1を全停止させた後、取付ボルト8Aを緩めて回転打撃子8を全交換する。
【0063】
以上に記載の破砕装置によれば、回転シュート16の取付位置の変更に伴う投入方向の変更に応じてスライドドア本体21により供給開口部3の開口面積が低減され、非投入位置の空間をスライドドアで遮蔽しているので、破砕効率が一層向上する。
【0064】
その他の作用効果は、実施例1と同一乃至は均等であるので詳細な説明は省略するが、概略次のとおりである。
【0065】
分散装置18の作用により破砕装置1の幅方向に被破砕物を均一に投入することができ、回転打撃子8やスクリーン9の損傷や摩耗を均一化させて寿命を向上させる。
【0066】
また、回転打撃子8の両側面8a、8bを刃面として利用できるようにしても、被破砕物の投入方向が常に回転打撃子8の回転軌跡の接線方向を概略維持できるので、破砕片の飛散を抑えることができる。
(制御例)
この制御例は、実施例2に係る破砕装置1の制御例に係り、図8、図9Bに示すように、実施例2に係る破砕装置1に加え、さらに回転シュート16の位置を検出する投入方向検出手段としてのセンサLS1、LS2と、この投入方向検出手段による情報に基づいて各駆動部の制御を行う制御手段とを備えている。ここで、符号16bは、回転シュート16に設けた突起であり、符号16cはセンサLS1,LS2側に固定されたストッパであり、センサLS1、LS2は、例えば、トップカバー15のフランジ部15a(図1)のような固定部に固定されている。これにより、回転シュート16を180度右回転又は左回転させた場合に突起16bがそれぞれのストッパ16cに当接して位置決めがなされるとともに突起16bがそれぞれのセンサLS1又はセンサLS2に接触する。
【0067】
これにより、図8(a)に示すように、突起16bがセンサLS1に当接している状態では、回転シュート16の出口16aの位置は、図5(a)に示すような正面側に配設され、また、図8(a)の位置から回転シュート16を180度回転させて、図8(b)に示すように、回転シュート16を背面側に配設した状態では、突起16bは、センサLS2に当接されるように構成されている。これらの投入方向検出手段は、回転シュート16の位置が背面側に位置するか正面側に位置するかを検出できれば、どのような構成であってもよい。
【0068】
また、この制御例に係る破砕装置では、図9Bに示すように、ロータ7の回転方向を指示する正逆回転操作部(回転方向指示手段)31と、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)と投入方向検出手段(センサLS1,LS2)により検出された被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かを判定する判定手段を包含する制御部(判定手段)33を備えている。また、この制御部33は、警報部34、シリンダ駆動部35、回転方向切換部36に接続され、この回転方向切換部36は、三層交流電源37及びモータ10に接続されている。
【0069】
これにより、判定手段により判定された結果、例えば、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しければ、装置全体の所定の駆動を行う。
【0070】
一方、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い場合には、装置全体の駆動を行わずに、警報部34などを駆動させ、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い旨を報知する。
【0071】
また、制御部33は、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い場合には、回転シュート16の位置を変更させ、シリンダ駆動部35を駆動させてシリンダロッド26aを伸縮させると共に、回転方向切換部36に所定の信号を発信して三層交流電源37を駆動させて回転方向切換部36の作用によりモータ10を駆動させて伝達機構11を所定の方向(a方向又はb方向)に駆動させてロータ7の回転方向が所定の方向となるように制御する。
【0072】
なお、実施例1の場合と同様に、回転シュート16の位置を変更する駆動装置を配置して、制御部33により確認された位置が正しくないと判定した時に回転シュート16の位置を自動的に変更させるように構成してもよい。
(制御例2)
この制御例は制御例1の改良に係り、実施例2に係る破砕装置1の正逆回転操作部31に代えて、投入方向検出手段としてのセンサLS1、LS2により検出される情報に基づいて制御部を操作している。
【0073】
すなわち、この制御例に係る破砕装置では、図10に示すように、制御部33は、センサLS1、LS2の情報を基にして、例えば、センサLS1,LS2により確認された位置が正方向であれば、回転方向切換部36に正方向の回転を指示し、センサLS1,LS2により確認された位置が逆方向であれば、回転方向切換部36に逆方向の回転を指示する。したがって、この変形例1では、後述する実施例3のように、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置の不一致はないので、警報部34は不要となる。
【0074】
その他の作用は制御例1と同一乃至は均等であるので詳細な説明は省略する。
(制御例3)
この制御例3は制御例2の改良に係る。図11に示すように、制御部33は、センサLS1、LS2の情報を基にして、例えば、センサLS1,LS2により確認された位置が正方向であれば、シリンダ駆動部35を駆動させてスライドドア本体21を所定の方向へ移動させると共に、報知手段としての正逆回転方向表示部34にその旨表示させる。
【0075】
また作業者は、図12に示すように、正逆回転方向表示部34の表示にしたがって正逆回転操作部31を操作させて、回転方向切換部36が所定の回転方向に駆動するように指示する。
【0076】
その他の作用は制御例1又は2と同一乃至は均等であるので詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0077】
この実施例3は、図13に示すように、実施例2の回転シュート16及びスライドドア20に代えてロータ7の回転軸方向(幅方向)に延びるバタフライ弁(通路切換手段)161を主体に構成されるシュート部160を備え、さらに供給開口部3の近傍にはロータ7の回転軸方向(幅方向)に延びる補助誘導手段としての一対の補助バタフライ弁38a、38bが設けられている。
【0078】
ここで、バタフライ弁161は、前後方向の対称位置に配設された符号161aを揺動支軸として上方に向けて開角度60度で揺動するように構成されている。
【0079】
また、これらの補助バタフライ弁38a、38bは前後方向の対称位置に配設され、それぞれの先端が上下に揺動する構造(ヒレ方式)であり、上方に向けて配設された状態では、被破砕物をロータ7の最適位置に誘導し、下方に向けて配設された状態では、被破砕物の移動を制限して回転打撃子8による被破砕物の破砕効率を上昇させる役割を果たしている。
【0080】
ここで、これらのバタフライ弁161及び補助バタフライ弁38a、38bはロータ7の回転軸方向に連続的に延びる構造でも、複数に分割されていてもよい。また、これらのバタフライ弁161及び補助バタフライ弁38a、38bは手動レバー又はシリンダの駆動などにより実線で示す位置と二点鎖線(想像線)で示す位置とを矢印にしたがって揺動される。
【0081】
さらにこの実施例では、外枠5(又はメンテ用扉5C,5D)には、それぞれロータ7の回転軸方向に所定の間隔(例えば、円周方向に8箇所)で配設された複数(例えば、幅方向に24列)の固定刃32及び固定刃39が取り外し可能に固定されている。ロータ7には、回転軸方向に所定の間隔(例えば、円周方向に6箇所)で配設された複数(例えば、幅方向に24列)の両刃の回転打撃子(ハンマー)8(ハンマー計144枚)が交換可能に取り付けられている。
【0082】
さらにこの実施例では、スクリーン9は、ロータ7の回転中心よりも上方にまで延びて設けられ、正面側上方スクリーン9a及び背面側スクリーン9bの外周には、外枠5との間に搬出口4へ通じる通路4a、4bがそれぞれ形成されている。ここで、スクリーン9、正面側上方スクリーン9a及び背面側スクリーン9bはそれぞれ独立に交換可能とされている。
【0083】
以上のように構成された破砕装置1の作用について説明する。
【0084】
ロータ7を時計回りに回転させた状態でバタフライ弁161及び補助バタフライ弁38a、38bを実線の位置に配設すると、不図示のベルトコンベアにより供給された被破砕物はバタフライ弁161により約30度の傾斜角度で正面側に誘導されつつ回転する回転羽根17の作用により正面側開口部3a(3)の幅方向に向けて均一に分散されつつ投入される。被破砕物はロータ7の回転方向の回転打撃子8が描く回転軌跡の接線方向に投入される。また、補助バタフライ弁38aの作用によりロータ7が回転する最適位置に投入された被破砕物は大きく飛散することなくロータ7の内部に落下して、固定刃32、39と回転刃8の作用により破砕される。破砕物はスクリーン9を通過して搬出口4より搬出される。回転軸6よりも下方のスクリーン9を通過できない被破砕物又は破砕物はロータ7の回転により補助バタフライ弁38b近傍まで押し上げられる。
【0085】
ロータ7の上部の補助バタフライ弁38bに干渉して滞留するが、被破砕物は固定刃39により幅方向の移動を制限されつつ回転打撃子8により効率的に破砕され、回転軸6の上方にまで延びるスクリーン9bを通過して通路4bを介して搬出口4より搬出される。
【0086】
一方、ロータ7を反時計回りに回転させる場合には、バタフライ弁161及び補助バタフライ弁38a、38bを揺動させて想像線の位置に配設する。不図示のベルトコンベアにより供給された被破砕物はバタフライ弁161及び回転羽根17の作用により背面側開口部3b(3)に向けて均一に投入され、被破砕物は回転打撃子8が描く回転軌跡の接線方向に投入される。ついで、固定刃32、39と回転刃8の作用により破砕され、スクリーン9を通過して搬出口4より搬出される。回転軸6よりも下方のスクリーン9を通過できない被破砕物又は破砕物はロータ7の回転により補助バタフライ弁38a近傍まで押し上げられる。ロータ7の上部の補助バタフライ弁38aに干渉して滞留するが、被破砕物は固定刃39により幅方向の移動を制限されつつ回転打撃子8により効率的に破砕され、上方まで延びるスクリーン9aを通過して通路4aを介して搬出口4より搬出される。
【0087】
メンテ用扉5C,5Dを開放した状態で固定刃32及び固定刃39等の交換又はメンテナンスを行うことができる。
【0088】
以上の実施例によれば、補助誘導手段としての補助バタフライ弁38a、38bは、ヒレ方式で揺動することにより、被破砕物の投入方向の変更に伴って被破砕物を回転するロータの最適位置へ誘導する補助誘導手段としての機能に加えて、被破砕物をロータ7の回転方向下流の補助バタフライ弁38a、38b近傍に滞留させて効率よく被破砕物を破砕する。
【0089】
また、このような構造では、正面側又は背面側の上方にそれぞれスクリーン9a、9bを延設することができ、スクリーンの面積を拡大することにより処理効率の上昇や連続運転可能時間を増大させることができる。
【0090】
その他の作用は実施例1又は実施例2と大略同一乃至は均等であるので詳細な説明は省略する。
(制御例)
各バタフライ弁161及び補助バタフライ弁38a、38bには、それぞれの位置を検出する位置検出センサLS(LS161,LS38a、LS38b、いずれも不図示:投入方向検出手段)を取り付けて、例えば、図14に示す制御例にしたがって制御する。
【0091】
作業者が正逆回転操作部31より正方向の回転を指示すると、制御部33は弁駆動部35Aを駆動させて所定の位置(図13の実線の位置)になるように各バタフライ弁161及び補助バタフライ弁38a、38bを制御する。各位置検出センサLS(LS161,LS38a、LS38b)がいずれも実線の位置に配置されたことを検知した制御部33は、警報部34にその旨報知するように指示を出すと共に、コンベア駆動部35Bを駆動させて供給コンベア14,排出コンベア13を駆動させる。また、それとともに回転方向切換部36にモータ10を正回転させる旨指示してロータ7を正回転させる。
【0092】
作業者が正逆回転操作部31より逆方向(又は反転)を指示すると、制御部33は全ての動作を中断した後、弁駆動部35Aを駆動させて所定の位置(図13の想像線の位置)になるように各バタフライ弁161及び補助バタフライ弁38a、38bを制御する。各位置検出センサLS(LS161,LS38a、LS38b)がいずれも想像線の位置に配設されたことを検知した制御部33は、警報部34にその旨報知するように指示を出し、再びコンベア駆動部35Bを駆動させて供給コンベア14,排出コンベア13の運転を再開する。また、それとともに回転方向切換部36にモータ10を逆回転させる旨指示してロータ7を逆回転させる。
(制御の変形例)
なお、図14では、モータ10の回転方向を意識して作業者が正逆回転操作部31を操作するようにしたものであるが、正逆回転操作部31に代えて、作業者が投入方向変更手段を操作するように構成してもよい。この場合、制御部33には、正逆回転操作部31に代えて投入方向操作部が接続され、作業者は、例えばシュート部160のバタフライ弁161の位置を前方向又は後ろ方向に指示をする。
【0093】
作業者が投入方向操作部より前方向の指示すると、制御部33は警報部34にその旨報知するように指示を出すと共に、弁駆動部35Aを駆動させて被破砕物の投入方向が所定の方向となるように位置になるように各バタフライ弁161及び補助バタフライ弁38a、38b(図13の実線の位置)を配置させる。各位置検出センサLS(LS161,LS38a、LS38b)がいずれも実線の位置に配置されたことを検知した制御部33は、コンベア駆動部35Bを駆動させて供給コンベア14,排出コンベア13を駆動させる。また、それとともに回転方向切換部36にモータ10を正回転させる旨指示してロータ7を正回転させる。
【0094】
作業者が投入方向操作部より後ろ方向(又は反転)を指示すると、制御部33は警報部34にその旨報知するように指示を出し、全ての動作を中断した後、弁駆動部35Aを駆動させて所定の位置(図13の想像線の位置)になるように各バタフライ弁161及び補助バタフライ弁38a、38bを制御する。各位置検出センサLS(LS161,LS38a、LS38b)がいずれも想像線の位置に配設されたことを検知した制御部33は、再びコンベア駆動部35Bを駆動させて供給コンベア14,排出コンベア13の運転を再開する。また、それとともに回転方向切換部36にモータ10を逆回転させる旨指示してロータ7を逆回転させる。
(タイマーによる反転指示制御例)
制御部33にタイマーによる運転積算時間表示機能を付与する。これにより、例えば、正方向又は逆方向の運転が100時間に達した場合に、警報部34を介してその旨アラームなどにより報知させる。
【0095】
作業者は、タイマーをリセットした後、反転操作を行う。もちろん、作業者を介さずに全自動により反転させるように構成させてもよい。
【0096】
一般に、回転打撃子8は、片面600時間程度で摩耗するが、この実施例のように、100時間毎に反転操作を繰り返すことにより、両面をバランスよく順次消耗させることもでき、これにより回転打撃子8の寿命を長く使用することができる。
【0097】
すなわち、回転打撃子8の片面のみを摩耗させると、回転打撃子8の摩耗が回転打撃子8の先端部分にまで及び、回転打撃子8の長さ寸法が最大長さから小さくなる場合がある。このような回転打撃子8の長さ寸法が最大長さよりも小さくなった後に回転方向を変更したのでは、ロータを反対方向に回転させても回転打撃子8の破砕効率が低下してしまうことになる。
【0098】
これに対して回転打撃子8の長さ寸法が最大長さから小さくなり始める以前にロータの回転方向を変更すれば、ロータを反対方向に回転させても回転打撃子8の破砕効率は低下させることがない。これにより、この実施例のように、ロータの反転操作を繰り返すことにより、回転打撃子8の両面をバランスよく順次消耗させることにより回転打撃子8の先端の形状を「おむすび状」に摩耗させることができ、回転打撃子8の長さ寸法が、当初の最大長さから小さくなり始めた時に回転打撃子8を交換するようにすれば最も効率よく回転打撃子8の寿命を長く維持することができる。
(回転打撃子の摩耗状況による反転指示制御例)
図15に示すように、ロータ7を支持する支持台2とロータ7を支持する軸受け6aとの間にロードセル40を配設し、ロータ7に係る荷重を検知する。検知した荷重情報を制御部33に入力する。荷重情報が所定の値となった場合に、警報部34によりその旨報知させる。
【0099】
例えば、大型破砕機のハンマーの交換時の摩耗量はハンマー、一枚当たり30g程度であるので、ハンマー数が144枚である実施例2に係る破砕装置の場合には、ハンマーの総荷重が約5Kg減少した時点を反転の目安とするのがよい。そこで、制御部33では、ロードセル40に掛かるロータ7の荷重が約5Kg減少する毎に警報部34により回転打撃子8が摩耗した旨、例えば、警鐘や回転灯作動などにより報知するように構成する。
【0100】
これにより、警報部34によりロータ7の荷重が約5Kg減少したことを報知された作業者は、警報部34をリセットして報知を解除させた後、反転操作を行う。もちろん、作業者を介さずに全自動により反転させるように構成させてもよい。
(その他の反転指示制御例)
以上、運転時間及びハンマーの摩耗状況による反転時期の制御の例を説明したが、反転時期の制御は、適宜他の手法を用いてもよい。例えば、被破砕物の供給量(重量又は体積ベース)、破砕物の生成量(重量又は体積)により反転時期を制御してもよく、これらの制御を組み合わせて制御してもよい。すなわち、反転時期は、(1)タイマーで反転、(2)警報で報知、(3)一定周期で反転、(4)軸受け荷重が所定値となった場合に反転、(5)一定の破砕物量で反転、から選択された一つまた二つ以上の組み合わせで行うことができる。
【実施例4】
【0101】
この実施例4は、実施例2のスライドドア20と実施例3の通路切換手段を含むシュート部160の均等物とを備えた組み合わせの例である。
【0102】
この実施例4では、図16に示すように、バタフライ弁161に代えて揺動支軸162aの位置を外枠5の内部に配設した切換式ガイド(通路切換手段)162が用いられ、その切換式ガイド162の下方には前後対称の台形上の誘導部材163が設けられている。この切換式ガイド162は、手動レバー又はシリンダの駆動などにより開口部を前後に誘導させる点は実施例3と実質的に同一機能である。
【0103】
またこの実施例4では、外枠5の形状をスライドドア本体21又はロータ7の外周に沿った円筒としている。これにより、ロータ7に固定された回転打撃子8の外周軌跡と外枠5との間に形成される入口付近の開口部を狭めることもできる。
【0104】
以上の構成によれば、ロータ7の回転方向に応じて、被破砕物は切換式ガイド162の傾斜及び誘導部材163の傾斜面に誘導されて正面方向又は背面方向の開口部から破砕装置1内に供給される。
【0105】
この変形例では、回転部をケーシングで極力覆い、シリンダ26の伸縮によりスライドドア本体21が上下のガイドレール22,23間を揺動する構成であるので、コンパクトながら極力破砕装置の開口部を減らすことによりロータ7の回転により被破砕物の破砕効率を上昇させることができる。
【0106】
また、誘導部材163の作用により、被破砕物は実施例2の場合に比べて確実にスライドドア20の開口部から回転打撃子8の回転軌跡の接線方向に投入させることができる。
【0107】
その他の構成及び作用効果は実施例2,3と略同一乃至は均等であるので実施例と同一番号を付して詳細な説明は省略する。
(分散装置の変形例)
この例は、実施例1の分散装置18の変形例を説明する実施例である。
【0108】
実施例1では、図2に示すように、回転羽根17を回転又は揺動させることにより破砕装置1の幅方向に被破砕物を分散させているので、回転又は揺動条件を被破砕物に応じて最適な分散条件となるように設定する必要があった。
【0109】
例えば、図17に示すように、回転軸6の軸方向(幅方向)に向けて被破砕物を搬送させる一対の小型のベルトコンベア41a、41bを対象に配設させる。装置がやや複雑となり、高コストとなるという課題はあるものの、被破砕物が変更された場合にも分散条件を変更することなく確実に被破砕物を幅方向に分散させることができる。
【0110】
また、図18に示すように、回転軸6の軸方向(幅方向)に向けて被破砕物を風力で搬送させる複数のエアーノズル42a、42bを配設してもよい。被破砕物の比重や形状に応じてエアーノズル42a、42bから噴出する風量(又は風速)を調節することにより、被破砕物を幅方向に分散させることができる。装置が簡易であるという特徴を備える。
(固定刃の配置の改良例)
この例は、実施例3の固定刃32の配置の変形例を説明する実施例である。
【0111】
実施例3では、図19に示すように、固定刃32は、ロータ7の回転軸方向(幅方向)に等間隔で配設された回転打撃子8の概略中央に配設されていた。それ故、対向する前後の固定刃32,32は、図19の点線で示すとおり、同一直線上に配列されている。
【0112】
これに対して、固定刃の配置の改良例では、図20に示すように、前方の固定刃32aと後方の固定刃32bの位置を同一直線からずらして非同一直線上に配設する。
【0113】
これにより、各固定刃32と回転打撃子8との間隔に分布が生じて、被破砕物の微粉砕物を造りやすい構造として、破砕効率の一層の向上を図ることができる。
【0114】
なお、この例では、回転軸6と略同一平面に存する固定刃で例を示したが、ロータ7(又は回転打撃子8)の回転軌跡方向に互いの固定刃が非同一平面であれば、同一乃至は均等な作用効果を奏するので、固定刃の配設位置は自由である。
【0115】
なお、変形例としては、固定刃に代えて回転刃を非同一平面に配設しても略同様の作用効果が得られることが期待される。
【0116】
以上図面により本発明を説明したが、本発明は以上の図面に限定されずに、設計変更などがあってもよい。
【0117】
例えば、図6により説明したスライドドア20は、ガイドレールを上下に設ける構成を説明したが、誘導部材としてはガイドレールに限定することなく用いることができる。例えば、円弧状の長孔にキャスター等が誘導される構成、また、ガイドレールを設ける場合においても必ずしも上下に設ける必要はない。また、図6により説明したスライドドア20では、上ガイドレール22及び上キャスター24を省略してもよい。
【0118】
また、破砕装置の制御例の説明では、投入方向検出手段としてのセンサLS1、LS2による情報に基づいて各駆動部の制御を行う制御手段を備えている構成であったが、センサLS1、LS2に代えて電気的に開路(オフ)、閉路(オン)の切換え動作が行える機械的スイッチにより運転可否の判定をさせるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0119】
以上の説明によれば、被破砕物は木材片が例示されていたが、本発明の被破砕装置は木材片に限定されずに、例えば、空き瓶などのガラス片の破砕装置にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明に係る破砕装置の概要を説明する図である。
【図2】図1の破砕装置を背面から見た図である。
【図3】図1の破砕装置の内部を説明する図である。
【図4】図1の分散装置の詳細を説明する図である。
【図5】図5(a)、図5(b)は、それぞれ図1の破砕装置1において回転シュート16の位置を揺動移動させる前後の配置関係を説明する図である。
【図6】図6は、本発明に係る破砕装置1においてスライドドア20を配設した改良例を説明する図であり、図6(a)及び図6(b)は、それぞれスライドドア本体21を回転シュート16の位置の揺動に対応してスライド移動させて開口を正面及び背面に移動させる状況を説明する図である。
【図7】図6のスライドドア本体21の詳細を説明する図である。
【図8】図5の回転シュート16の位置を検出する状況を説明する図である。
【図9A】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図9B】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図10】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図11】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図12】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図13】本発明に係る破砕装置の要部を説明する図である。
【図14】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図15】本発明に係る反転指示制御例に用いるハンマーの摩耗状況を検知する検知装置の概要を説明する図である。
【図16】本発明に係る破砕装置の要部を説明する図である。
【図17】分散装置の変形例を説明するための図であり、回転軸方向に切断した内部を説明する図である。
【図18】分散装置の変形例を説明するための図であり、図18(a)は、回転軸6に直交する端面図、図18(b)は回転軸6付近の水平平面で切断した内部を説明する図である。
【図19】固定刃配置の従来例を説明するために破砕装置の内部構造を説明する図であり、図19(a)は、回転軸6に直交する端面図、図19(b)は回転軸6付近の水平平面で切断した内部を説明する図である。
【図20】固定刃の配置の改良例を説明するために破砕装置の回転軸6付近の水平平面で切断した内部構造を説明する図である。
【符号の説明】
【0121】
1:破砕装置
2:支持台
2A:補助支持台
3:供給開口部
3a:正面側開口部
3b:背面側開口部
4:搬出口
5:外枠
5a:正面
5b:背面
5c、5d:側面
5A、5B:扉
5C、5D:メンテ用扉
6:回転軸
6a:軸受け
7:ロータ
8:回転打撃子
8A:取付ボルト
8a、8b:側面(刃先)
9:スクリーン
10:モータ
11:伝達機構
12:供給装置
13:排出コンベア
14:供給コンベア
15:トップカバー
15a:フランジ部
16:回転シュート(誘導路切換手段、投入方向変更手段)
16a:出口
16b:突起
16c:ストッパ
160:シュート部
161:バタフライ弁(通路切換手段、投入方向変更手段)
161a:揺動支軸
162:切換式ガイド(通路切換手段、投入方向変更手段)
162a:揺動支軸
163:誘導部材
17:回転羽根
18:分散装置
19:モータ
20:スライドドア
21:スライドドア本体
21a:前方壁
21b:後方壁
22:上ガイドレール
23:下ガイドレール
24:上キャスター
25:下キャスター
26:シリンダ
26a:シリンダロッド
27:ドア回転支点
28:ドア取付支点ピン
29:取付ピン
30:ストッパ
O:回転軸
31:回転方向指示手段(正逆回転操作部)
32:固定刃
33:判定手段(制御部)
34:警報部、正逆回転方向表示部(報知手段)
35:シリンダ駆動部
36:回転方向切換部
37:三層交流電源
38a、38b:補助バタフライ弁
39:固定刃
40:ロードセル
41a、41b:ベルトコンベア
42a、42b:エアーノズル
LS1,LS2:センサ(投入方向検出手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は被破砕物を破砕する破砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上方に向けて開口した供給開口部と下方に向けて開口した搬出口とを備えた外枠内に回転軸に対して直交して設けた複数の回転打撃子(ハンマー)を交換可能にロータに固定し、供給装置から投入された被破砕物を前記供給開口部から受け入れて回転打撃子により連続的に破砕して破砕された破砕物を前記搬出口より排出する破砕装置が知られている。
【0003】
このような破砕装置では、眼鏡ケースほどの大きさに砕かれた木材などの建築廃材が被破砕物として採用され、この被破砕物はベルトコンベア等により供給開口部としてのホッパ(シュート部)まで搬送されてくる。被破砕物は、回転打撃子が描く回転軌跡の接線方向に投入され、回転打撃子により所定の大きさにまで破砕された破砕物はスクリーンを通過して搬出口より排出される。
【0004】
このような破砕装置においては、回転打撃子が描く回転軌跡の接線方向に向けて被破砕物が投入されるので、被破砕物の飛散が抑制されるが、被破砕物を回転打撃子の接線方向に向けて投入するためにはロータの回転方向を常に一方向に設定する必要がある。このため、回転打撃子として両刃のものを採用しても、回転刃の摩耗又は破損のため、運転を停止して回転打撃子の回転前後方向を交換する必要が生じる。回転打撃子の交換には、ボルト緩め、回転打撃子の交換または取り付け方向変更、ボルト締めなどの煩雑な工程が必要であるという課題がある。
【0005】
回転打撃子を回転部から取り外すことなく、ボルト緩めとボルト締めにより刃先の前後方向を変更できる特殊な回転打撃子も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特公昭62−61345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の破砕装置においては、回転方向が一方向に限定されているため、両刃の回転打撃子を用いる場合であっても回転打撃子の取り付け方向の変更などの煩雑な工程が必要であるという課題がある。
【0007】
また、特許文献1に記載の特殊な回転打撃子であってもボルト緩め工程とボルト締め工程は必要である。それ故、一台の装置で多数の数の回転打撃子(例えば、50個)が用いられている状況では、このような特殊な回転打撃子を採用しても、回転打撃子の交換作業に多大の時間を要し、交換作業中に破砕作業の中段が余儀なくされるという課題は依然として解決されない。
【0008】
そこで、本発明は、回転打撃子の煩雑な取り付け方向の変更が不要である両刃の回転打撃子を備える破砕装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上方に向けて開口した供給開口部と下方に向けて開口した搬出口とを備えた外枠内に、回転自在に配置されたロータの回転軸に対して直交して設けた複数の回転打撃子を交換可能に固定し、供給装置から投入された被破砕物を前記供給開口部から受け入れて回転打撃子により連続的に破砕して破砕された破砕物を前記搬出口より排出する破砕装置であって、前記ロータは回転方向が正方向及び逆方向に変更可能に駆動手段により駆動され、前記回転打撃子は両刃であり、前記ロータの回転方向が正逆方向のいずれの方向に変更された場合にも被破砕物の破砕が可能に前記ロータに固定され、該ロータの正回転方向又は逆回転方向に向けて前記供給開口部から投入される被破砕物の投入方向を変更する投入方向変更手段を備えていることを特徴とする破砕装置である。
【0010】
この投入方向変更手段は、例えば、被破砕物の投入誘導路を切り換える誘導路切換手段または被破砕物の投入通路内に配設された投入物の通路を切り換える通路切換手段であってもよい。
【0011】
また、上述の破砕装置は、例えば、ロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かを判定する判定手段を備えることができる。このような構成によれば、ロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かの判定ができる。
【0012】
この判定手段によりロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあると判定された場合には、そのまま運転を正常に開始させればよいが、例えば、判定手段によりロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係に無い場合には、その後の運転開始操作の中止(運転開始操作の無効)や、その旨の報知などに応用できる。すなわち、この判定手段による判定結果は、運転開始の可否の判定にそのまま利用され、判定に基づいた運転開始操作の指示又は運転開始操作の中止(運転開始操作の無効)などの運転規制を行うことができる。
【0013】
運転開始操作の中止(運転開始操作の無効)やその旨の報知を受けた作業者が、手動により作業のやり直しを行うように構成してもよいが、この判定手段によりロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係に無いと判定された場合には、ロータの回転方向又は被破砕物の投入方向のいずれか一方を自動制御させて判定結果の是非を是正させるように構成してもよい。これにより、自動制御運転が可能となる。
【0014】
たとえば、ロータの回転方向を作業者が指示する場合に、判定手段による判定結果が所定の関係に無い場合に被破砕物の投入方向を自動的に変更したり、反対に被破砕物の投入方向を指示する場合に、反転手段による判定結果が所定の関係に無い場合にロータの回転方向を反転させてから運転を開始するような制御を行うこともできる。
【0015】
また、本発明に係る破砕装置は、さらに投入方向変更手段による被破砕物の投入方向の変更に伴って非投入位置の空間を遮蔽するスライドドアを備えていることもよい。
【0016】
さらに、破砕装置は、投入方向変更手段による被破砕物の投入方向の変更に伴って被破砕物を回転するロータの最適位置へ誘導する補助誘導手段を備えていることも好ましい。
【0017】
また、本発明に係る破砕装置は、回転打撃子により破砕された破砕物が所定の大きさにまで破砕されたか否かを選別するスクリーンをロータの下方に備え、該スクリーンはロータの回転中心よりも上方に延設されていることが好ましい。
【0018】
このような構造によれば、正面側又は背面側のロータの回転中心よりも上方にそれぞれスクリーンを延設することができる。これにより、従来ロータの下方にのみ設けられているスクリーンの面積を拡大することにより処理効率の上昇や連続運転可能時間を増大させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に従えば、被破砕物の投入方向をロータの回転方向に応じて変更したり、ロータの回転方向を被破砕物の投入方向に応じて変更できるので、回転打撃子の煩雑な取り付け方向の変更が不要である両刃の回転打撃子を備える破砕装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0021】
図1〜図5は、本発明の実施例1に係る破砕装置を説明する図である。この破砕装置1は、図1、図2に示すように、フレームにより形成された支持台2に固定されている。この破砕装置1は、上方に向けて開口した供給開口部3と下方に向けて開口した搬出口4とを備えた外枠としてのカバー5を備えている。このカバー5は不図示のフレームにより支持され、また、カバー5の正面5a及び背面5bにはそれぞれ対称に扉5A、5Bが設けられている。
【0022】
このカバー5の両側面5c、5dを貫通して前後方向に対称のほぼ中央には回転軸6が設けられている。この回転軸6は、カバー5を支えるフレームなどにベアリングユニット(いずれも不図示)などを介して回転可能に軸支されている。カバー5の内部の回転軸6には、図3に示すように、ロータ7が固定されている。このロータ7には回転軸6に対して直交して多数の回転打撃子8(例えば、5個×10列=50個)が、それぞれ取付ボルト8Aにより交換可能に取り付けられている。この回転打撃子8が取り付けられた状態で回転方向の両側面8a、8bのそれぞれには破砕用の刃が形成されている。また、ロータ7の下方には、スクリーン9が交換可能に配設されている。
【0023】
一方、支持台2に隣接して補助支持台2Aが配設され、その補助支持台2Aには、回転軸6を駆動させるモータ10が配設されている。このモータ10の回転は、例えば、正逆転モータであり、適宜の伝達機構11を介して回転軸6を正方向または逆方向に回転させる。
【0024】
供給開口部3の上方には、図1に示すように、被破砕物を供給開口部3まで供給する供給装置12が設けられ、搬出口4の下方には、図2に示すように、排出コンベア13が配設されている。この供給装置12は被破砕物を運搬する供給コンベア14と供給コンベア14により供給された被破砕物を回転シュート16に向けて誘導するトップカバー15と、このトップカバー15に180度揺動可能に固定された投入方向変更手段としての回転シュート16とから大略構成されている。
【0025】
この回転シュート16は、供給コンベア14により搬送された被破砕物を供給開口部3に誘導するためのものであり、回転シュート16は図示のように概ね30度の傾きで傾斜し、回転軸Oを中心としてトップカバー15に対して回転するようにトップカバー下端のフランジ部15aに垂下されている。これにより、不図示の連結ボルトを外し、図5に示すように、フランジ部15aを水平方向に矢印に沿って180度回転させることによりその傾斜方向を供給開口部3の前後方向に向けて移動可能に構成されている。ここで、図5(a)では、回転シュート16の出口16aが正面5a(前方)に向けられ、また、図5(b)では、回転シュート16の出口16aが背面5b(後方)に向けられている。
【0026】
また、回転シュート16の内部には、図4に示すように、ゴム板からなる回転羽根17を備えた分散装置18が配設され、この回転羽根17は、回転シュート16の外部に固定されたモータ19により一方向に回転するか揺動運動し、トップカバー15より供給された被破砕物が回転軸6の軸方向(幅方向)に均等に投入されるように分散させる。これにより、この分散装置18では、被破砕物の種類・大きさに応じて回転羽根17の回転速度(又は揺動速度)を調整することにより、均一に被破砕物を分散させて破砕装置に供給することができる。
【0027】
つぎに、以上のように構成された破砕装置1の作用について説明する。
【0028】
メガネ程度の大きさに破砕された一次破砕物(被破砕物)を供給コンベア14に供給し、トップカバー15を介して回転シュート16に誘導する。図1に示す回転シュート16の出口16aが正面5a(前方)に向けられた状態で、モータ19を駆動させて回転羽根17を回転させる。また、モータ10を駆動させて伝達機構11を図5(a)に示すように矢印a方向に向けて回転させ、ロータ7を図面視時計回りの方向(以下、この回転方向を正回転方向という。)に回転させる。
【0029】
これにより、回転シュート16に誘導された被破砕物は、回転羽根17の回転(又は揺動)により回転軸6の軸方向(幅方向)に分散されつつ、約30度に傾斜された回転シュート16に誘導されて供給開口部3の正面5a方向に供給される。被破砕物の投入方向がロータ7の正回転に従った回転打撃子8が描く回転軌跡の接線方向となっているので、ロータ7に固定された回転打撃子8による破砕物の飛散は極力低減されつつ被破砕物は破砕される。ここで、回転打撃子8が描く回転軌跡の円の接線方向に被破砕物を投入すると被破砕物は破砕機の内部に高い確率で落下して供給されることが経験上確認されている。
【0030】
スクリーン9の目を通過する所定の大きさに破砕された破砕物は、スクリーン9を通過し、搬出口4から搬出され、排出コンベア13により排出される。
【0031】
数百時間の後には回転打撃子8の刃先8aが摩耗などにより損傷し、破砕効率が低下する。回転打撃子8の刃先8aが摩耗などにより損傷した場合、破砕装置1を全停止し、回転シュート16とトップカバー15とを連結する連結ボルト(不図示)を外して回転シュート16を水平方向へ180度回転させる。これにより、回転シュート16の出口16aの位置は、図5(a)の正面5a位置から図5(b)の背面5b位置へ変更され、被破砕物の投入方向は正面方向(前方)から背面方向(後方)へ変更される。
【0032】
モータ10を逆方向へ駆動させて、図5(b)に示すように、伝達機構11を矢印b方向に向けて回転させ、ロータ7を図面視反時計回りの方向(以下、この回転方向を逆回転という。)に回転させる。
【0033】
モータ19を駆動させて被破砕物を回転軸6の軸方向(幅方向)に分散させつつ投入する。回転シュート16の出口16aが背面5b(後方)に向けられているので被破砕物は、供給開口部3の背面5b(後方)に供給される。これにより、被破砕物の投入方向がロータ7の逆回転に従った回転打撃子8が描く回転軌跡の接線方向となるので、ロータ7に固定された回転打撃子8により破砕される際の被破砕物の飛散は極力低減され、被破砕物は損傷の無い刃先8bにより破砕効率よく破砕が行える。
【0034】
両刃先8a、8bが共に損傷したら、破砕装置1を全停止させた後、取付ボルト8Aを緩めて回転打撃子8を全交換する。
【0035】
なお、この実施例では、刃先8aが完全に摩耗した後に回転方向を変更しているが、回転方向は適宜のタイミングで変更してもよい。適宜のタイミングで変更することにより偏在により生じる被破砕物の詰まりを防止させることもできる。
【0036】
以上に記載の破砕装置によれば、ロータ7の回転を正逆方向に簡易に変更可能となり、また、被破砕物の投入方向を前方向、後方向に簡易に変更可能となるので、ロータの回転方向を逆転させた場合には、被破砕物の投入方向が回転打撃子が描く回転軌跡の接線方向を常に維持できるように被破砕物の投入方向を簡易に変更でき、また、被破砕物の投入方向を前方向、後方向に変更させた場合には、被破砕物の投入方向が回転打撃子が描く回転軌跡の接線方向を維持できるようにロータの回転方向を簡易に変更できる。これにより、被破砕物の投入方向をロータの回転方向に応じて変更したり、ロータの回転方向を被破砕物の投入方向に応じて変更できる。
【0037】
また、以上の実施例に従えば、外枠5内は、前後方向に概略対称に構成されているので、ロータ7の回転方向を正逆に反転させても、概略同等の破砕が行える。これにより、回転打撃子の両側面を刃面として簡易に利用できる破砕片の飛散の少ない破砕装置を提供することができる。
【0038】
また、この実施例によれば、分散装置18の作用により破砕装置1の幅方向(回転羽根17の回転方向又は揺動方向)に被破砕物を均一に投入することができるので、回転軸6の軸方向に多数(この例では10列)配設されている回転打撃子8や面状に広がるスクリーン9の損傷や摩耗を均一化させて、全体の寿命を向上させることができる。
【0039】
さらに、この分散装置18では、回転羽根17にゴムなどの柔軟性を有する素材を使用しているので、分散装置18の内部での被破砕物の詰まりを軽減させることができる。
【0040】
また、ロータの回転方向を適宜のタイミングで変更することにより偏在により生じる被破砕物の詰まりを防止させることもできる。
(制御例)
この制御例は、実施例1に係る破砕装置1の制御例に係り、図8、図9Aに示すように、実施例1に係る破砕装置1に加え、さらに回転シュート16の位置を検出する投入方向検出手段としてのセンサLS1、LS2と、この投入方向検出手段による情報に基づいて各駆動部の制御を行う制御手段とを備えている。ここで、符号16bは、回転シュート16に設けた突起であり、符号16cはセンサLS1,LS2側に固定されたストッパであり、センサLS1、LS2は、例えば、トップカバー15のフランジ部15a(図1)のような固定部に固定されている。これにより、回転シュート16を180度右回転又は左回転させた場合に突起16bがそれぞれのストッパ16cに当接して位置決めがなされるとともに突起16bがそれぞれのセンサLS1又はセンサLS2に接触する。
【0041】
これにより、図8(a)に示すように、突起16bがセンサLS1に当接している状態では、回転シュート16の出口16aの位置は、図5(a)に示すような正面側に配設され、また、図8(a)の位置から回転シュート16を180度回転させて、図8(b)に示すように、回転シュート16を背面側に配設した状態では、突起16bは、センサLS2に当接されるように構成されている。これらの投入方向検出手段は、回転シュート16の位置が背面側に位置するか正面側に位置するかを検出できれば、どのような構成であってもよい。
【0042】
また、この制御例に係る破砕装置では、図9Aに示すように、ロータ7の回転方向を指示する正逆回転操作部(回転方向指示手段)31と、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)と投入方向検出手段(センサLS1,LS2)により検出された被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かを判定する判定手段を包含する制御部(判定手段)33を備えている。また、この制御部33は、警報部34、回転方向切換部36に接続され、この回転方向切換部36は、三層交流電源37及びモータ10に接続されている。
【0043】
これにより、判定手段により判定された結果、例えば、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しければ、装置全体の所定の駆動を行う。
【0044】
一方、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い場合には、装置全体の駆動を行わずに、警報部34などを駆動させ、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い旨を報知する。位置が正しくない旨確認した作業者は、確認された正しい位置となるように回転シュート16の位置を変更して装置全体の駆動を行う。
【0045】
なお、回転シュート16の位置を変更する駆動装置を配置して、制御部33により確認された位置が正しくないと判定した時に回転シュート16の位置を自動的に変更させるように構成してもよい。
(対照例1)
実施例1において、回転シュート16を配設することなく、トップカバー15の直下に供給開口部3を配設させた。
【0046】
以上のような破砕装置によれば、被破砕物は供給コンベア14からトップカバー15を介してロータ7の中央(回転軸6の直上)付近に直接落下するが、ロータ7の回転速度が速い(例えば、1000rpm)場合、ロータ7を正回転方向、又は逆回転方向のどちらの方向に回転させても、破砕中の破砕物が煩雑に跳ね飛ばされ、破砕装置の供給開口部3付近から飛び出したり、又は供給開口部3付近に堆積し、破砕装置1の連続運転が不能となる場合がある。
【0047】
また、分散装置18を省けば、被破砕物は一箇所に集中投入され易く、結果としてスクリーン9は局部的に摩耗して短寿命となる。
【実施例2】
【0048】
実施例2は、実施例1に係る破砕装置1の供給開口部3付近の内部に図6、図7に示すようなスライドドア20を追加した改良例である。
【0049】
このスライドドア20は、ロータ7の回転軸方向(幅方向)に延びるスライドドア本体21と、スライドドア本体21を幅方向の両端でガイドする左右一対の上ガイドレール22及び下ガイドレール23と、スライドドア本体21の移動を補助する上キャスター24、下キャスター25と、スライドドア本体21を前後方向に駆動させる駆動手段としてのシリンダ26(図面では片側のみ記載しているが、このシリンダ26は幅方向の両端にそれぞれ一組装着されており、図面上反対側は省略されている。)とにより大略構成されている。ここで、符号27はドア回転支点、符号28はドア取付支点ピン、符号29は取付ピン29aを支点としてシリンダ26を上下に揺動自在に固定する固定部材である。また、符号30はスライドドア本体21の動きを規制するストッパであり、幅方向の両端に前方及び後方にそれぞれ一対配設されている。また、スライドドア本体21の前方末端及び後方末端には、それぞれ前方又は後方より立ち上がった前方壁21a及び後方壁21bを備えている。
【0050】
このように構成されたスライドドア20によれば、シリンダロッド26aを伸縮させることにより上キャスター24と下キャスター25に支持されてスライドドア本体21は上ガイドレール22と下ガイドレール23間を往復する。
【0051】
例えば、図6(a)に示すように、シリンダロッド26aを伸長させた状態でスライドドア本体21の後方壁21bはストッパ30に当接することにより動きが規制されて、スライドドア20により供給開口部3の前方(正面側開口部3a)が開放され後方(背面側開口部3b)が閉鎖される。
【0052】
一方、図6(b)に示すように、シリンダロッド26aを収縮させた状態でスライドドア本体21の前方壁21aはストッパ30に当接することにより動きが規制されて、スライドドア20により供給開口部3の後方(背面側開口部3b)が開放され前方(正面側開口部3a)が閉鎖される。
【0053】
これにより、このスライドドア本体21は、ロータ7の外周に沿って配設される切換ドアであって、シリンダ26のシリンダロッド26aの伸縮に伴い、スライドドア本体21を正面方向及び背面方向に切り替える切換ドアとして機能させることができる。
【0054】
つぎに、以上のように構成されたスライドドア20を備えた破砕装置1の作用について説明する。
【0055】
図6(a)に示すように、回転シュート16の出口16aが正面5a方向に向けられた状態で、シリンダロッド26aを伸長させ、スライドドア20により供給開口部3の後方(背面側開口部3b)を閉鎖し前方(正面側開口部3a)を開放する。
【0056】
図1に示すように、供給コンベア14から供給された被破砕物は、トップカバー15を介して回転シュート16に誘導される。モータ10を駆動させて伝達機構11を図5(a)に示す矢印a方向の正回転方向に向けて回転させ、また、モータ19を駆動させて分散装置18を回転又は揺動させる。
【0057】
回転シュート16により誘導された被破砕物は、回転羽根17の回転(又は揺動)により回転軸6の軸方向(幅方向)に分散されつつ、回転シュート16の出口16aがスライドドア本体21の開口側(正面開口部3a)に供給され、背面側開口部3bは非投入位置となる。これにより、図6(a)の白抜き矢印で示すように、開放されたスライドドア本体21の正面開口部3aから被破砕物は約30度の傾斜角度で正面方向に傾斜した回転シュート16に誘導されつつ正面開口部3aから投入される。被破砕物の投入方向がロータ7の正回転に従った回転打撃子8が描く回転軌跡の接線方向となり、ロータ7に固定された回転打撃子8により破砕物の飛散は極力低減されつつ被破砕物は破砕される。
【0058】
スクリーン9の目を通過する所定の大きさに破砕された破砕物は、スクリーン9を通過し、搬出口4から搬出され、排出コンベア13により排出される。大きな未破砕物はスライドドア本体21と干渉してロータ7の上方への誘導が規制され、回転打撃子8により効率的に破砕される。
【0059】
回転打撃子8の刃先8aが摩耗などにより損傷した場合、破砕装置1を全停止し、回転シュート16とトップカバー15とを連結する連結ボルト(不図示)を外して回転シュート16を水平方向へ180度回転させる。これにより、回転シュート16の出口16aの位置は、図5(a)の正面5a位置から図5(b)の背面5b位置へ変更され、被破砕物の投入方向は正面方向から背面方向へ変更される。
【0060】
これと共に、図6(b)に示すように、シリンダロッド26aを収縮させ、スライドドア本体21を正面側に移動させ供給開口部3の前方(正面側開口部3a)を閉鎖し後方(背面側開口部3b)を開放する。
【0061】
図5(b)に示すように、伝達機構11を矢印b方向の逆回転方向に向けて回転させつつモータ19を駆動させることにより、回転シュート16により誘導された被破砕物は、分散装置18の作用により回転軸6の軸方向(幅方向)に分散されつつ開口部3に向けて誘導される。回転シュート16の出口16aが背面5b方向に向けられているので、被破砕物は、図6(b)の白抜き矢印で示すように、約30度の傾斜角度で背面方向に傾斜した回転シュート16に誘導されて背面開口部3bから供給され、正面側開口部3aは非投入位置となる。被破砕物の投入方向がロータ7の逆回転に従った回転打撃子8が描く回転軌跡の接線方向となるので、ロータ7に固定された回転打撃子8により破砕される際の被破砕物の飛散は極力低減される。また、正回転により刃先8aの損傷により低下した破砕効率は再び回復して連続した破砕が行える。
【0062】
回転打撃子8の両刃8a、8bが共に摩耗などにより損傷したら、破砕装置1を全停止させた後、取付ボルト8Aを緩めて回転打撃子8を全交換する。
【0063】
以上に記載の破砕装置によれば、回転シュート16の取付位置の変更に伴う投入方向の変更に応じてスライドドア本体21により供給開口部3の開口面積が低減され、非投入位置の空間をスライドドアで遮蔽しているので、破砕効率が一層向上する。
【0064】
その他の作用効果は、実施例1と同一乃至は均等であるので詳細な説明は省略するが、概略次のとおりである。
【0065】
分散装置18の作用により破砕装置1の幅方向に被破砕物を均一に投入することができ、回転打撃子8やスクリーン9の損傷や摩耗を均一化させて寿命を向上させる。
【0066】
また、回転打撃子8の両側面8a、8bを刃面として利用できるようにしても、被破砕物の投入方向が常に回転打撃子8の回転軌跡の接線方向を概略維持できるので、破砕片の飛散を抑えることができる。
(制御例)
この制御例は、実施例2に係る破砕装置1の制御例に係り、図8、図9Bに示すように、実施例2に係る破砕装置1に加え、さらに回転シュート16の位置を検出する投入方向検出手段としてのセンサLS1、LS2と、この投入方向検出手段による情報に基づいて各駆動部の制御を行う制御手段とを備えている。ここで、符号16bは、回転シュート16に設けた突起であり、符号16cはセンサLS1,LS2側に固定されたストッパであり、センサLS1、LS2は、例えば、トップカバー15のフランジ部15a(図1)のような固定部に固定されている。これにより、回転シュート16を180度右回転又は左回転させた場合に突起16bがそれぞれのストッパ16cに当接して位置決めがなされるとともに突起16bがそれぞれのセンサLS1又はセンサLS2に接触する。
【0067】
これにより、図8(a)に示すように、突起16bがセンサLS1に当接している状態では、回転シュート16の出口16aの位置は、図5(a)に示すような正面側に配設され、また、図8(a)の位置から回転シュート16を180度回転させて、図8(b)に示すように、回転シュート16を背面側に配設した状態では、突起16bは、センサLS2に当接されるように構成されている。これらの投入方向検出手段は、回転シュート16の位置が背面側に位置するか正面側に位置するかを検出できれば、どのような構成であってもよい。
【0068】
また、この制御例に係る破砕装置では、図9Bに示すように、ロータ7の回転方向を指示する正逆回転操作部(回転方向指示手段)31と、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)と投入方向検出手段(センサLS1,LS2)により検出された被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かを判定する判定手段を包含する制御部(判定手段)33を備えている。また、この制御部33は、警報部34、シリンダ駆動部35、回転方向切換部36に接続され、この回転方向切換部36は、三層交流電源37及びモータ10に接続されている。
【0069】
これにより、判定手段により判定された結果、例えば、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しければ、装置全体の所定の駆動を行う。
【0070】
一方、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い場合には、装置全体の駆動を行わずに、警報部34などを駆動させ、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い旨を報知する。
【0071】
また、制御部33は、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い場合には、回転シュート16の位置を変更させ、シリンダ駆動部35を駆動させてシリンダロッド26aを伸縮させると共に、回転方向切換部36に所定の信号を発信して三層交流電源37を駆動させて回転方向切換部36の作用によりモータ10を駆動させて伝達機構11を所定の方向(a方向又はb方向)に駆動させてロータ7の回転方向が所定の方向となるように制御する。
【0072】
なお、実施例1の場合と同様に、回転シュート16の位置を変更する駆動装置を配置して、制御部33により確認された位置が正しくないと判定した時に回転シュート16の位置を自動的に変更させるように構成してもよい。
(制御例2)
この制御例は制御例1の改良に係り、実施例2に係る破砕装置1の正逆回転操作部31に代えて、投入方向検出手段としてのセンサLS1、LS2により検出される情報に基づいて制御部を操作している。
【0073】
すなわち、この制御例に係る破砕装置では、図10に示すように、制御部33は、センサLS1、LS2の情報を基にして、例えば、センサLS1,LS2により確認された位置が正方向であれば、回転方向切換部36に正方向の回転を指示し、センサLS1,LS2により確認された位置が逆方向であれば、回転方向切換部36に逆方向の回転を指示する。したがって、この変形例1では、後述する実施例3のように、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置の不一致はないので、警報部34は不要となる。
【0074】
その他の作用は制御例1と同一乃至は均等であるので詳細な説明は省略する。
(制御例3)
この制御例3は制御例2の改良に係る。図11に示すように、制御部33は、センサLS1、LS2の情報を基にして、例えば、センサLS1,LS2により確認された位置が正方向であれば、シリンダ駆動部35を駆動させてスライドドア本体21を所定の方向へ移動させると共に、報知手段としての正逆回転方向表示部34にその旨表示させる。
【0075】
また作業者は、図12に示すように、正逆回転方向表示部34の表示にしたがって正逆回転操作部31を操作させて、回転方向切換部36が所定の回転方向に駆動するように指示する。
【0076】
その他の作用は制御例1又は2と同一乃至は均等であるので詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0077】
この実施例3は、図13に示すように、実施例2の回転シュート16及びスライドドア20に代えてロータ7の回転軸方向(幅方向)に延びるバタフライ弁(通路切換手段)161を主体に構成されるシュート部160を備え、さらに供給開口部3の近傍にはロータ7の回転軸方向(幅方向)に延びる補助誘導手段としての一対の補助バタフライ弁38a、38bが設けられている。
【0078】
ここで、バタフライ弁161は、前後方向の対称位置に配設された符号161aを揺動支軸として上方に向けて開角度60度で揺動するように構成されている。
【0079】
また、これらの補助バタフライ弁38a、38bは前後方向の対称位置に配設され、それぞれの先端が上下に揺動する構造(ヒレ方式)であり、上方に向けて配設された状態では、被破砕物をロータ7の最適位置に誘導し、下方に向けて配設された状態では、被破砕物の移動を制限して回転打撃子8による被破砕物の破砕効率を上昇させる役割を果たしている。
【0080】
ここで、これらのバタフライ弁161及び補助バタフライ弁38a、38bはロータ7の回転軸方向に連続的に延びる構造でも、複数に分割されていてもよい。また、これらのバタフライ弁161及び補助バタフライ弁38a、38bは手動レバー又はシリンダの駆動などにより実線で示す位置と二点鎖線(想像線)で示す位置とを矢印にしたがって揺動される。
【0081】
さらにこの実施例では、外枠5(又はメンテ用扉5C,5D)には、それぞれロータ7の回転軸方向に所定の間隔(例えば、円周方向に8箇所)で配設された複数(例えば、幅方向に24列)の固定刃32及び固定刃39が取り外し可能に固定されている。ロータ7には、回転軸方向に所定の間隔(例えば、円周方向に6箇所)で配設された複数(例えば、幅方向に24列)の両刃の回転打撃子(ハンマー)8(ハンマー計144枚)が交換可能に取り付けられている。
【0082】
さらにこの実施例では、スクリーン9は、ロータ7の回転中心よりも上方にまで延びて設けられ、正面側上方スクリーン9a及び背面側スクリーン9bの外周には、外枠5との間に搬出口4へ通じる通路4a、4bがそれぞれ形成されている。ここで、スクリーン9、正面側上方スクリーン9a及び背面側スクリーン9bはそれぞれ独立に交換可能とされている。
【0083】
以上のように構成された破砕装置1の作用について説明する。
【0084】
ロータ7を時計回りに回転させた状態でバタフライ弁161及び補助バタフライ弁38a、38bを実線の位置に配設すると、不図示のベルトコンベアにより供給された被破砕物はバタフライ弁161により約30度の傾斜角度で正面側に誘導されつつ回転する回転羽根17の作用により正面側開口部3a(3)の幅方向に向けて均一に分散されつつ投入される。被破砕物はロータ7の回転方向の回転打撃子8が描く回転軌跡の接線方向に投入される。また、補助バタフライ弁38aの作用によりロータ7が回転する最適位置に投入された被破砕物は大きく飛散することなくロータ7の内部に落下して、固定刃32、39と回転刃8の作用により破砕される。破砕物はスクリーン9を通過して搬出口4より搬出される。回転軸6よりも下方のスクリーン9を通過できない被破砕物又は破砕物はロータ7の回転により補助バタフライ弁38b近傍まで押し上げられる。
【0085】
ロータ7の上部の補助バタフライ弁38bに干渉して滞留するが、被破砕物は固定刃39により幅方向の移動を制限されつつ回転打撃子8により効率的に破砕され、回転軸6の上方にまで延びるスクリーン9bを通過して通路4bを介して搬出口4より搬出される。
【0086】
一方、ロータ7を反時計回りに回転させる場合には、バタフライ弁161及び補助バタフライ弁38a、38bを揺動させて想像線の位置に配設する。不図示のベルトコンベアにより供給された被破砕物はバタフライ弁161及び回転羽根17の作用により背面側開口部3b(3)に向けて均一に投入され、被破砕物は回転打撃子8が描く回転軌跡の接線方向に投入される。ついで、固定刃32、39と回転刃8の作用により破砕され、スクリーン9を通過して搬出口4より搬出される。回転軸6よりも下方のスクリーン9を通過できない被破砕物又は破砕物はロータ7の回転により補助バタフライ弁38a近傍まで押し上げられる。ロータ7の上部の補助バタフライ弁38aに干渉して滞留するが、被破砕物は固定刃39により幅方向の移動を制限されつつ回転打撃子8により効率的に破砕され、上方まで延びるスクリーン9aを通過して通路4aを介して搬出口4より搬出される。
【0087】
メンテ用扉5C,5Dを開放した状態で固定刃32及び固定刃39等の交換又はメンテナンスを行うことができる。
【0088】
以上の実施例によれば、補助誘導手段としての補助バタフライ弁38a、38bは、ヒレ方式で揺動することにより、被破砕物の投入方向の変更に伴って被破砕物を回転するロータの最適位置へ誘導する補助誘導手段としての機能に加えて、被破砕物をロータ7の回転方向下流の補助バタフライ弁38a、38b近傍に滞留させて効率よく被破砕物を破砕する。
【0089】
また、このような構造では、正面側又は背面側の上方にそれぞれスクリーン9a、9bを延設することができ、スクリーンの面積を拡大することにより処理効率の上昇や連続運転可能時間を増大させることができる。
【0090】
その他の作用は実施例1又は実施例2と大略同一乃至は均等であるので詳細な説明は省略する。
(制御例)
各バタフライ弁161及び補助バタフライ弁38a、38bには、それぞれの位置を検出する位置検出センサLS(LS161,LS38a、LS38b、いずれも不図示:投入方向検出手段)を取り付けて、例えば、図14に示す制御例にしたがって制御する。
【0091】
作業者が正逆回転操作部31より正方向の回転を指示すると、制御部33は弁駆動部35Aを駆動させて所定の位置(図13の実線の位置)になるように各バタフライ弁161及び補助バタフライ弁38a、38bを制御する。各位置検出センサLS(LS161,LS38a、LS38b)がいずれも実線の位置に配置されたことを検知した制御部33は、警報部34にその旨報知するように指示を出すと共に、コンベア駆動部35Bを駆動させて供給コンベア14,排出コンベア13を駆動させる。また、それとともに回転方向切換部36にモータ10を正回転させる旨指示してロータ7を正回転させる。
【0092】
作業者が正逆回転操作部31より逆方向(又は反転)を指示すると、制御部33は全ての動作を中断した後、弁駆動部35Aを駆動させて所定の位置(図13の想像線の位置)になるように各バタフライ弁161及び補助バタフライ弁38a、38bを制御する。各位置検出センサLS(LS161,LS38a、LS38b)がいずれも想像線の位置に配設されたことを検知した制御部33は、警報部34にその旨報知するように指示を出し、再びコンベア駆動部35Bを駆動させて供給コンベア14,排出コンベア13の運転を再開する。また、それとともに回転方向切換部36にモータ10を逆回転させる旨指示してロータ7を逆回転させる。
(制御の変形例)
なお、図14では、モータ10の回転方向を意識して作業者が正逆回転操作部31を操作するようにしたものであるが、正逆回転操作部31に代えて、作業者が投入方向変更手段を操作するように構成してもよい。この場合、制御部33には、正逆回転操作部31に代えて投入方向操作部が接続され、作業者は、例えばシュート部160のバタフライ弁161の位置を前方向又は後ろ方向に指示をする。
【0093】
作業者が投入方向操作部より前方向の指示すると、制御部33は警報部34にその旨報知するように指示を出すと共に、弁駆動部35Aを駆動させて被破砕物の投入方向が所定の方向となるように位置になるように各バタフライ弁161及び補助バタフライ弁38a、38b(図13の実線の位置)を配置させる。各位置検出センサLS(LS161,LS38a、LS38b)がいずれも実線の位置に配置されたことを検知した制御部33は、コンベア駆動部35Bを駆動させて供給コンベア14,排出コンベア13を駆動させる。また、それとともに回転方向切換部36にモータ10を正回転させる旨指示してロータ7を正回転させる。
【0094】
作業者が投入方向操作部より後ろ方向(又は反転)を指示すると、制御部33は警報部34にその旨報知するように指示を出し、全ての動作を中断した後、弁駆動部35Aを駆動させて所定の位置(図13の想像線の位置)になるように各バタフライ弁161及び補助バタフライ弁38a、38bを制御する。各位置検出センサLS(LS161,LS38a、LS38b)がいずれも想像線の位置に配設されたことを検知した制御部33は、再びコンベア駆動部35Bを駆動させて供給コンベア14,排出コンベア13の運転を再開する。また、それとともに回転方向切換部36にモータ10を逆回転させる旨指示してロータ7を逆回転させる。
(タイマーによる反転指示制御例)
制御部33にタイマーによる運転積算時間表示機能を付与する。これにより、例えば、正方向又は逆方向の運転が100時間に達した場合に、警報部34を介してその旨アラームなどにより報知させる。
【0095】
作業者は、タイマーをリセットした後、反転操作を行う。もちろん、作業者を介さずに全自動により反転させるように構成させてもよい。
【0096】
一般に、回転打撃子8は、片面600時間程度で摩耗するが、この実施例のように、100時間毎に反転操作を繰り返すことにより、両面をバランスよく順次消耗させることもでき、これにより回転打撃子8の寿命を長く使用することができる。
【0097】
すなわち、回転打撃子8の片面のみを摩耗させると、回転打撃子8の摩耗が回転打撃子8の先端部分にまで及び、回転打撃子8の長さ寸法が最大長さから小さくなる場合がある。このような回転打撃子8の長さ寸法が最大長さよりも小さくなった後に回転方向を変更したのでは、ロータを反対方向に回転させても回転打撃子8の破砕効率が低下してしまうことになる。
【0098】
これに対して回転打撃子8の長さ寸法が最大長さから小さくなり始める以前にロータの回転方向を変更すれば、ロータを反対方向に回転させても回転打撃子8の破砕効率は低下させることがない。これにより、この実施例のように、ロータの反転操作を繰り返すことにより、回転打撃子8の両面をバランスよく順次消耗させることにより回転打撃子8の先端の形状を「おむすび状」に摩耗させることができ、回転打撃子8の長さ寸法が、当初の最大長さから小さくなり始めた時に回転打撃子8を交換するようにすれば最も効率よく回転打撃子8の寿命を長く維持することができる。
(回転打撃子の摩耗状況による反転指示制御例)
図15に示すように、ロータ7を支持する支持台2とロータ7を支持する軸受け6aとの間にロードセル40を配設し、ロータ7に係る荷重を検知する。検知した荷重情報を制御部33に入力する。荷重情報が所定の値となった場合に、警報部34によりその旨報知させる。
【0099】
例えば、大型破砕機のハンマーの交換時の摩耗量はハンマー、一枚当たり30g程度であるので、ハンマー数が144枚である実施例2に係る破砕装置の場合には、ハンマーの総荷重が約5Kg減少した時点を反転の目安とするのがよい。そこで、制御部33では、ロードセル40に掛かるロータ7の荷重が約5Kg減少する毎に警報部34により回転打撃子8が摩耗した旨、例えば、警鐘や回転灯作動などにより報知するように構成する。
【0100】
これにより、警報部34によりロータ7の荷重が約5Kg減少したことを報知された作業者は、警報部34をリセットして報知を解除させた後、反転操作を行う。もちろん、作業者を介さずに全自動により反転させるように構成させてもよい。
(その他の反転指示制御例)
以上、運転時間及びハンマーの摩耗状況による反転時期の制御の例を説明したが、反転時期の制御は、適宜他の手法を用いてもよい。例えば、被破砕物の供給量(重量又は体積ベース)、破砕物の生成量(重量又は体積)により反転時期を制御してもよく、これらの制御を組み合わせて制御してもよい。すなわち、反転時期は、(1)タイマーで反転、(2)警報で報知、(3)一定周期で反転、(4)軸受け荷重が所定値となった場合に反転、(5)一定の破砕物量で反転、から選択された一つまた二つ以上の組み合わせで行うことができる。
【実施例4】
【0101】
この実施例4は、実施例2のスライドドア20と実施例3の通路切換手段を含むシュート部160の均等物とを備えた組み合わせの例である。
【0102】
この実施例4では、図16に示すように、バタフライ弁161に代えて揺動支軸162aの位置を外枠5の内部に配設した切換式ガイド(通路切換手段)162が用いられ、その切換式ガイド162の下方には前後対称の台形上の誘導部材163が設けられている。この切換式ガイド162は、手動レバー又はシリンダの駆動などにより開口部を前後に誘導させる点は実施例3と実質的に同一機能である。
【0103】
またこの実施例4では、外枠5の形状をスライドドア本体21又はロータ7の外周に沿った円筒としている。これにより、ロータ7に固定された回転打撃子8の外周軌跡と外枠5との間に形成される入口付近の開口部を狭めることもできる。
【0104】
以上の構成によれば、ロータ7の回転方向に応じて、被破砕物は切換式ガイド162の傾斜及び誘導部材163の傾斜面に誘導されて正面方向又は背面方向の開口部から破砕装置1内に供給される。
【0105】
この変形例では、回転部をケーシングで極力覆い、シリンダ26の伸縮によりスライドドア本体21が上下のガイドレール22,23間を揺動する構成であるので、コンパクトながら極力破砕装置の開口部を減らすことによりロータ7の回転により被破砕物の破砕効率を上昇させることができる。
【0106】
また、誘導部材163の作用により、被破砕物は実施例2の場合に比べて確実にスライドドア20の開口部から回転打撃子8の回転軌跡の接線方向に投入させることができる。
【0107】
その他の構成及び作用効果は実施例2,3と略同一乃至は均等であるので実施例と同一番号を付して詳細な説明は省略する。
(分散装置の変形例)
この例は、実施例1の分散装置18の変形例を説明する実施例である。
【0108】
実施例1では、図2に示すように、回転羽根17を回転又は揺動させることにより破砕装置1の幅方向に被破砕物を分散させているので、回転又は揺動条件を被破砕物に応じて最適な分散条件となるように設定する必要があった。
【0109】
例えば、図17に示すように、回転軸6の軸方向(幅方向)に向けて被破砕物を搬送させる一対の小型のベルトコンベア41a、41bを対象に配設させる。装置がやや複雑となり、高コストとなるという課題はあるものの、被破砕物が変更された場合にも分散条件を変更することなく確実に被破砕物を幅方向に分散させることができる。
【0110】
また、図18に示すように、回転軸6の軸方向(幅方向)に向けて被破砕物を風力で搬送させる複数のエアーノズル42a、42bを配設してもよい。被破砕物の比重や形状に応じてエアーノズル42a、42bから噴出する風量(又は風速)を調節することにより、被破砕物を幅方向に分散させることができる。装置が簡易であるという特徴を備える。
(固定刃の配置の改良例)
この例は、実施例3の固定刃32の配置の変形例を説明する実施例である。
【0111】
実施例3では、図19に示すように、固定刃32は、ロータ7の回転軸方向(幅方向)に等間隔で配設された回転打撃子8の概略中央に配設されていた。それ故、対向する前後の固定刃32,32は、図19の点線で示すとおり、同一直線上に配列されている。
【0112】
これに対して、固定刃の配置の改良例では、図20に示すように、前方の固定刃32aと後方の固定刃32bの位置を同一直線からずらして非同一直線上に配設する。
【0113】
これにより、各固定刃32と回転打撃子8との間隔に分布が生じて、被破砕物の微粉砕物を造りやすい構造として、破砕効率の一層の向上を図ることができる。
【0114】
なお、この例では、回転軸6と略同一平面に存する固定刃で例を示したが、ロータ7(又は回転打撃子8)の回転軌跡方向に互いの固定刃が非同一平面であれば、同一乃至は均等な作用効果を奏するので、固定刃の配設位置は自由である。
【0115】
なお、変形例としては、固定刃に代えて回転刃を非同一平面に配設しても略同様の作用効果が得られることが期待される。
【0116】
以上図面により本発明を説明したが、本発明は以上の図面に限定されずに、設計変更などがあってもよい。
【0117】
例えば、図6により説明したスライドドア20は、ガイドレールを上下に設ける構成を説明したが、誘導部材としてはガイドレールに限定することなく用いることができる。例えば、円弧状の長孔にキャスター等が誘導される構成、また、ガイドレールを設ける場合においても必ずしも上下に設ける必要はない。また、図6により説明したスライドドア20では、上ガイドレール22及び上キャスター24を省略してもよい。
【0118】
また、破砕装置の制御例の説明では、投入方向検出手段としてのセンサLS1、LS2による情報に基づいて各駆動部の制御を行う制御手段を備えている構成であったが、センサLS1、LS2に代えて電気的に開路(オフ)、閉路(オン)の切換え動作が行える機械的スイッチにより運転可否の判定をさせるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0119】
以上の説明によれば、被破砕物は木材片が例示されていたが、本発明の被破砕装置は木材片に限定されずに、例えば、空き瓶などのガラス片の破砕装置にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明に係る破砕装置の概要を説明する図である。
【図2】図1の破砕装置を背面から見た図である。
【図3】図1の破砕装置の内部を説明する図である。
【図4】図1の分散装置の詳細を説明する図である。
【図5】図5(a)、図5(b)は、それぞれ図1の破砕装置1において回転シュート16の位置を揺動移動させる前後の配置関係を説明する図である。
【図6】図6は、本発明に係る破砕装置1においてスライドドア20を配設した改良例を説明する図であり、図6(a)及び図6(b)は、それぞれスライドドア本体21を回転シュート16の位置の揺動に対応してスライド移動させて開口を正面及び背面に移動させる状況を説明する図である。
【図7】図6のスライドドア本体21の詳細を説明する図である。
【図8】図5の回転シュート16の位置を検出する状況を説明する図である。
【図9A】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図9B】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図10】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図11】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図12】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図13】本発明に係る破砕装置の要部を説明する図である。
【図14】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図15】本発明に係る反転指示制御例に用いるハンマーの摩耗状況を検知する検知装置の概要を説明する図である。
【図16】本発明に係る破砕装置の要部を説明する図である。
【図17】分散装置の変形例を説明するための図であり、回転軸方向に切断した内部を説明する図である。
【図18】分散装置の変形例を説明するための図であり、図18(a)は、回転軸6に直交する端面図、図18(b)は回転軸6付近の水平平面で切断した内部を説明する図である。
【図19】固定刃配置の従来例を説明するために破砕装置の内部構造を説明する図であり、図19(a)は、回転軸6に直交する端面図、図19(b)は回転軸6付近の水平平面で切断した内部を説明する図である。
【図20】固定刃の配置の改良例を説明するために破砕装置の回転軸6付近の水平平面で切断した内部構造を説明する図である。
【符号の説明】
【0121】
1:破砕装置
2:支持台
2A:補助支持台
3:供給開口部
3a:正面側開口部
3b:背面側開口部
4:搬出口
5:外枠
5a:正面
5b:背面
5c、5d:側面
5A、5B:扉
5C、5D:メンテ用扉
6:回転軸
6a:軸受け
7:ロータ
8:回転打撃子
8A:取付ボルト
8a、8b:側面(刃先)
9:スクリーン
10:モータ
11:伝達機構
12:供給装置
13:排出コンベア
14:供給コンベア
15:トップカバー
15a:フランジ部
16:回転シュート(誘導路切換手段、投入方向変更手段)
16a:出口
16b:突起
16c:ストッパ
160:シュート部
161:バタフライ弁(通路切換手段、投入方向変更手段)
161a:揺動支軸
162:切換式ガイド(通路切換手段、投入方向変更手段)
162a:揺動支軸
163:誘導部材
17:回転羽根
18:分散装置
19:モータ
20:スライドドア
21:スライドドア本体
21a:前方壁
21b:後方壁
22:上ガイドレール
23:下ガイドレール
24:上キャスター
25:下キャスター
26:シリンダ
26a:シリンダロッド
27:ドア回転支点
28:ドア取付支点ピン
29:取付ピン
30:ストッパ
O:回転軸
31:回転方向指示手段(正逆回転操作部)
32:固定刃
33:判定手段(制御部)
34:警報部、正逆回転方向表示部(報知手段)
35:シリンダ駆動部
36:回転方向切換部
37:三層交流電源
38a、38b:補助バタフライ弁
39:固定刃
40:ロードセル
41a、41b:ベルトコンベア
42a、42b:エアーノズル
LS1,LS2:センサ(投入方向検出手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に向けて開口した供給開口部と下方に向けて開口した搬出口とを備えた外枠内に、回転自在に配置されたロータの回転軸に対して直交して設けた複数の回転打撃子を交換可能に固定し、供給装置から投入された被破砕物を前記供給開口部から受け入れて回転打撃子により連続的に破砕して破砕された破砕物を前記搬出口より排出する破砕装置であって、
前記ロータは回転方向が正方向及び逆方向に変更可能に駆動手段により駆動され、
前記回転打撃子は両刃であり、前記ロータの回転方向が正逆方向のいずれの方向に変更された場合にも被破砕物の破砕が可能に前記ロータに固定され、
該ロータの正回転方向又は逆回転方向に向けて前記供給開口部から投入される被破砕物の投入方向を変更する投入方向変更手段を備えていることを特徴とする破砕装置。
【請求項2】
前記投入方向変更手段は、被破砕物の投入誘導路を切り換える誘導路切換手段または被破砕物の投入通路内に配設された投入物の通路を切り換える通路切換手段であることを特徴とする請求項1記載の破砕装置。
【請求項3】
前記破砕装置は、前記ロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かを判定する判定手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の破砕装置。
【請求項4】
前記破砕装置は、前記投入方向変更手段による被破砕物の投入方向の変更に伴って非投入方向の空間を遮蔽するスライドドアを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の破砕装置。
【請求項5】
前記破砕装置は、前記投入方向変更手段による被破砕物の投入方向の変更に伴って被破砕物を回転するロータの最適位置へ誘導する補助誘導手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の破砕装置。
【請求項6】
前記破砕装置は、前記回転打撃子により破砕された破砕物が所定の大きさにまで破砕されたか否かを選別するスクリーンを前記ロータの下方に備え、
該スクリーンは、前記ロータの回転中心よりも上方に延設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の破砕装置。
【請求項1】
上方に向けて開口した供給開口部と下方に向けて開口した搬出口とを備えた外枠内に、回転自在に配置されたロータの回転軸に対して直交して設けた複数の回転打撃子を交換可能に固定し、供給装置から投入された被破砕物を前記供給開口部から受け入れて回転打撃子により連続的に破砕して破砕された破砕物を前記搬出口より排出する破砕装置であって、
前記ロータは回転方向が正方向及び逆方向に変更可能に駆動手段により駆動され、
前記回転打撃子は両刃であり、前記ロータの回転方向が正逆方向のいずれの方向に変更された場合にも被破砕物の破砕が可能に前記ロータに固定され、
該ロータの正回転方向又は逆回転方向に向けて前記供給開口部から投入される被破砕物の投入方向を変更する投入方向変更手段を備えていることを特徴とする破砕装置。
【請求項2】
前記投入方向変更手段は、被破砕物の投入誘導路を切り換える誘導路切換手段または被破砕物の投入通路内に配設された投入物の通路を切り換える通路切換手段であることを特徴とする請求項1記載の破砕装置。
【請求項3】
前記破砕装置は、前記ロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かを判定する判定手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の破砕装置。
【請求項4】
前記破砕装置は、前記投入方向変更手段による被破砕物の投入方向の変更に伴って非投入方向の空間を遮蔽するスライドドアを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の破砕装置。
【請求項5】
前記破砕装置は、前記投入方向変更手段による被破砕物の投入方向の変更に伴って被破砕物を回転するロータの最適位置へ誘導する補助誘導手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の破砕装置。
【請求項6】
前記破砕装置は、前記回転打撃子により破砕された破砕物が所定の大きさにまで破砕されたか否かを選別するスクリーンを前記ロータの下方に備え、
該スクリーンは、前記ロータの回転中心よりも上方に延設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の破砕装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−188555(P2008−188555A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27666(P2007−27666)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
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