破砕装置
【課題】回転打撃子の煩雑な取り付け方向の変更が不要である両刃の回転打撃子を備える破砕装置を提供する。
【解決手段】ロータ7は回転方向が正方向及び逆方向に変更可能に駆動される。回転打撃子8は両刃であり、ロータ7の回転方向が正逆方向のいずれの方向に変更された場合にも被破砕物の破砕が可能にロータ7に固定されている。案内シュート16は、上部案内シュート17と下部案内シュート18とを備えて構成され、上部案内シュート17にはロータ7の正回転方向又は逆回転方向に向けて供給開口部3から投入される被破砕物の投入方向を変更する投入方向変更手段171を備え、下部案内シュート18には、被破砕物を回転軸6に沿った長手方向に2分割に離間させて供給する二股分岐手段181が配設されている。
【解決手段】ロータ7は回転方向が正方向及び逆方向に変更可能に駆動される。回転打撃子8は両刃であり、ロータ7の回転方向が正逆方向のいずれの方向に変更された場合にも被破砕物の破砕が可能にロータ7に固定されている。案内シュート16は、上部案内シュート17と下部案内シュート18とを備えて構成され、上部案内シュート17にはロータ7の正回転方向又は逆回転方向に向けて供給開口部3から投入される被破砕物の投入方向を変更する投入方向変更手段171を備え、下部案内シュート18には、被破砕物を回転軸6に沿った長手方向に2分割に離間させて供給する二股分岐手段181が配設されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被破砕物を破砕する破砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上方に向けて開口した供給開口部と下方に向けて開口した搬出口とを備えた外枠内に回転軸に対して直交して設けた複数の回転打撃子(ハンマー)を交換可能にロータに固定し、供給装置から投入された被破砕物を前記供給開口部から受け入れて回転打撃子により連続的に破砕して破砕された破砕物をスクリーンを介して前記搬出口より排出する破砕装置が知られている。
【0003】
このような破砕装置では、眼鏡ケースほどの大きさに砕かれた木材などの建築廃材が被破砕物として採用され、この被破砕物はベルトコンベア等により供給開口部としてのホッパ(シュート部)まで搬送されてくる。被破砕物は、回転打撃子が描く回転軌跡の接線方向に投入され、回転打撃子により所定の大きさにまで破砕された破砕物はスクリーンを通過して搬出口より排出される。
【0004】
このような破砕装置においては、回転打撃子が描く回転軌跡の接線方向に向けて被破砕物が投入されるので、被破砕物の飛散が抑制されるが、被破砕物を回転打撃子の接線方向に向けて投入するためにはロータの回転方向を常に一方向に設定する必要がある。このため、回転打撃子として両刃のものを採用しても、回転刃の摩耗又は破損のため、運転を停止して回転打撃子の回転前後方向を交換する必要が生じる。回転打撃子の交換には、ボルト緩め、回転打撃子の交換または取り付け方向変更、ボルト締めなどの煩雑な工程が必要であるという課題がある。
【0005】
回転打撃子を回転部から取り外すことなく、ボルト緩めとボルト締めにより刃先の前後方向を変更できる特殊な回転打撃子も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特公昭62−61345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の破砕装置においては、回転方向が一方向に限定されているため、両刃の回転打撃子を用いる場合であっても回転打撃子の取り付け方向の変更などの煩雑な工程が必要であるという課題がある。
【0007】
また、特許文献1に記載の特殊な回転打撃子であってもボルト緩め工程とボルト締め工程は必要である。それ故、一台の装置で多数の数の回転打撃子(例えば、50個以上)が用いられている状況では、このような特殊な回転打撃子を採用しても、回転打撃子の交換作業に多大の時間を要し、交換作業中に破砕作業の中断が余儀なくされるという課題は依然として解決されない。
【0008】
本発明者等は、以上の課題を解決する手段として、回転打撃子の煩雑な取り付け方向の変更が不要である両刃の回転打撃子を備える破砕装置の発明について、すでに特許出願を行っている(平成19年2月7日付け出願の特願2007−27666)。
【0009】
その出願では、上方に向けて開口した供給開口部と下方に向けて開口した搬出口とを備えた外枠内に、回転自在に配置されたロータの回転軸に対して直交して設けた複数の回転打撃子を交換可能に固定し、供給装置から投入された被破砕物を前記供給開口部から受け入れて回転打撃子により連続的に破砕して破砕された破砕物を前記搬出口より排出する破砕装置であって、前記ロータは回転方向が正方向及び逆方向に変更可能に駆動手段により駆動され、前記回転打撃子は両刃であり、前記ロータの回転方向が正逆方向のいずれの方向に変更された場合にも被破砕物の破砕が可能に前記ロータに固定され、該ロータの正回転方向又は逆回転方向に向けて前記供給開口部から投入される被破砕物の投入方向を変更する投入方向変更手段を備えている破砕装置が提案されている。
【0010】
この発明によれば、被破砕物の投入方向をロータの回転方向に応じて変更したり、ロータの回転方向を被破砕物の投入方向に応じて変更できるので、回転打撃子の煩雑な取り付け方向の変更が不要である両刃の回転打撃子を備える破砕装置を提供することができる。
【0011】
本発明は、上述の両刃の回転打撃子を備える破砕装置の改良に係り、特に破砕装置を大型化した場合の課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、上述の両刃の回転打撃子を備える破砕装置の大型化について検討したところ、被破砕物の投入方向をロータの回転方向に応じて変更したり、ロータの回転方向を被破砕物の投入方向に応じて変更する投入方向変更手段に加えて、投入方向変更手段により回転打撃子に向けて投入される被破砕物の位置をロータの回転軸の長手方向に分散させる二股分岐手段を配設することが、回転打撃子の寿命を延命させる有効な手段であることを認めた。
【0013】
また、このようなに被破砕物を回転軸に沿った長手方向に2分割に離間させて供給する二股分岐手段を配設すれば、被破砕物は二股分割手段により回転軸に沿った長手方向の離間された位置に2分割されて供給される。
【0014】
これにより、被破砕物は、長手方向に離間された2箇所に分散されて供給されるので、中央付近の回転打撃子ばかりが破損されるという課題が解決できることを見いだした。すなわち、二股分割手段を採用しない場合には、被破砕物は長手方向に延びる回転打撃子の中央付近に集中して投入されるので、回転軸両端部での回転打撃子の破損が進行されない間にロータ回転軸の長手方向中央部の回転打撃子ばかりが破損されるという課題があることが本発明者等により確認された。
【0015】
また、本発明者等が提案する二股分岐手段は、長手方向への被破砕物の分散に可動部や動力源を必要としないので、価格面やメンテナンス面でも優れているという特徴を有する。
【0016】
すなわち、本発明は、上方に向けて開口した供給開口部と下方に向けて開口した搬出口とを備えた外枠内に、回転自在に配置されたロータの回転軸に対して直交して設けた複数の回転打撃子を交換可能に固定し、供給装置から投入された被破砕物を案内シュートを介して前記供給開口部から受け入れて回転打撃子により連続的に破砕して破砕された破砕物をスクリーンを介して前記搬出口より排出し、前記ロータは回転方向が正方向及び逆方向に変更可能に駆動手段により駆動され、前記回転打撃子は両刃であり、前記ロータの回転方向が正逆方向のいずれの方向に変更された場合にも被破砕物の破砕が可能に前記ロータに固定され、前記案内シュートは、前記供給装置から供給された被破砕物を受け入れる上部案内シュートと、該上部案内シュートの下方に位置して上部案内シュートから供給された被破砕物を前記供給開口部まで案内する下部案内シュートとを備えて構成され、前記上部案内シュートには、前記ロータの正回転方向又は逆回転方向に向けて前記供給開口部から投入される被破砕物の投入方向を変更する投入方向変更手段を備え、前記下部案内シュートには、前記投入方向変更手段により投入方向が変更された被破砕物を前記回転軸6に沿った長手方向に2分割に離間させて供給する二股分岐手段が配設されていることを特徴とする破砕装置である。
【0017】
この投入方向変更手段は、例えば、ロータの回転軸と平行な鉛直方向(z方向)である上部案内シュートの下端に配設された揺動軸と、その揺動軸に軸支された案内プレートとを備えて構成される。
【0018】
このように構成すれば、案内プレートを揺動させることにより、供給装置から供給された被破砕物をロータの回転軸の延びる方向と直交する方向に振り分けることができる。
【0019】
また、この案内プレートの両面に、被破砕物をロータの回転軸方向に分離する分離プレートを備えることが好ましい。この分離プレートは、ロータの回転軸(又は案内プレートの揺動軸)に直交する鉛直方向に立設されている。また、この分離プレートは、案内プレートの上下方向にわたって形成されていることが好ましく、さらにこの分離プレートは、上方に頂点を有する三角形であることが望ましい。
【0020】
このように構成すれば、上部案内シュートに投入された被破砕物は分離プレートによりロータの回転軸の延びる方向に分離されて下部案内シュートに向けて落下する。これにより、下部案内シュートに配設された二股分岐手段の頂点で生起するブリッジの発生を抑制することができる。
【0021】
また、下部案内シュートを投入側と反投入側とに離隔する離隔手段を揺動軸の下方に備えていることが好ましい。
【0022】
これにより、スクリーンを通過できなかった未破砕物が、ロータの回転によりロータ上部を乗り越えて上部案内シュートへ飛散することを抑制でき、また、スクリーンを通過できなかった未破砕物が、ロータ回転につられて下部案内シュートの空洞を利用してロータ上部を乗り越えるのを防止できる。
【0023】
これにより、ロータ上部を乗り越えて案内シュートを落下する被破砕物の投入経路を妨害することなく、被破砕物の供給をスムースに行うことができる。
【0024】
また、上述の破砕装置は、例えば、ロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かを判定する判定手段を備えることができる。このような構成によれば、ロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かの判定ができる。
【0025】
この判定手段によりロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあると判定された場合には、そのまま運転を正常に開始させればよい。一方、判定手段によりロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係に無い場合には、その後の運転開始操作の中止(運転開始操作の無効)や、その旨の報知などを行うことができる。すなわち、この判定手段による判定結果は、運転開始の可否の判定にそのまま利用され、判定に基づいた運転開始操作の指示又は運転開始操作の中止(運転開始操作の無効)などの運転規制に利用できる。
【0026】
運転開始操作の中止(運転開始操作の無効)やその旨の報知を受けた作業者が、手動により作業のやり直しを行うように構成してもよいが、この判定手段によりロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係に無いと判定された場合には、ロータの回転方向又は被破砕物の投入方向のいずれか一方を自動制御させて判定結果の是非を是正させるように構成してもよい。これにより、自動制御運転が可能となる。
【0027】
たとえば、ロータの回転方向を作業者が指示する場合に、判定手段による判定結果が所定の関係に無い場合に被破砕物の投入方向を自動的に変更したり、反対に被破砕物の投入方向を指示する場合に、反転手段による判定結果が所定の関係に無い場合にロータの回転方向を反転させてから運転を開始するような制御を行うこともできる。
【0028】
また、本発明に係る破砕装置は、回転打撃子により破砕された破砕物が所定の大きさにまで破砕されたか否かを選別するスクリーンをロータの下方に配設するに加え、ロータの回転中心よりも上方にも延設することが好ましい。
【0029】
このような構造によれば、正面側又は背面側のロータの回転中心よりも上方にそれぞれスクリーンを延設するこにより、従来ロータの下方にのみ設けられているスクリーンの面積を拡大することにより処理効率の上昇や連続運転可能時間を増大させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に従えば、被破砕物の投入方向をロータの回転方向に応じて変更したり、ロータの回転方向を被破砕物の投入方向に応じて変更できるので、回転打撃子の煩雑な取り付け方向の変更が不要である両刃の回転打撃子を備える破砕装置を提供することができる。
【0031】
また、本発明に従えば、被破砕物の投入位置が離間されて2分割されるので、集中して投入される場合に比べて回転打撃子の交換寿命を延長させることができる。
【0032】
そして、このような作用効果は、装置が大型化された場合に特に有効に利用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例に係る図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0034】
図1〜図6は、本発明の実施例1に係る破砕装置を説明する図である。この破砕装置1は、図1、図2に示すように、フレームにより形成された支持台2に固定されている。この破砕装置1は、上方に向けて広く開口した供給開口部3と下方に向けて開口した搬出口4とを備えた外枠としてのカバーを備えている。このカバーは、正面カバー5a、背面カバー5b、両側面カバー5c、5dから大略構成されている。下方の正面カバー5a及び背面カバー5bは、図3に示すように、それぞれ対称な扉51、51に設けられ、また、上方の正面カバー5a及び背面カバー5bは、それぞれ対称なメンテ用扉52、52に設けられている。このメンテ用扉52,52は図示のように容易に開閉可能とされている。
【0035】
一方、搬出口4の下方には、図2に示すように、排出コンベア13が配設され、この図では背面側のメンテ用扉52が開放された状態を示している。
【0036】
図4に示すように、側面カバー5c、5dを貫通して左右方向(Y方向)に延びる回転軸6が設けられている。この回転軸6は、側面カバー5c、5dを支えるフレームなどにベアリングユニット(いずれも不図示)などを介して回転可能に軸支されている。回転軸6には、ロータ7が固定されている。このロータ7には回転軸6に対して直交して多数の回転打撃子8(例えば、6個×24列)が、それぞれ取付ボルト8A(図3参照)により交換可能に取り付けられている。この回転打撃子8が取り付けられた状態で回転方向(矢印方向又は不図示の反矢印方向)の両側面のそれぞれには破砕用の刃面8a、8bが形成されている。
【0037】
また、ロータ7の下方には、スクリーン9aが開閉機構9により交換可能に配設されている。ここで、図3においては、正面側の開閉機構9が開放されて、スクリーン9aが交換可能な状態とされている。
【0038】
また、この実施例では、スクリーン9aは、ロータ7の回転中心よりも上方にまで正面側及び背面側の双方に設けられ、この上方に配設されているスクリーンを上方スクリーン9bと呼称する。これらの上方スクリーン9bは、メンテ用扉52、52の内面に配設されている。また、メンテ用扉52の内側とスクリーン9bとの間には搬出口4へ通じる通路4aが形成されている。これにより、各スクリーン9a、9bはそれぞれ独立に交換可能とされている。
【0039】
一方、スクリーン9aに沿う回転方向の前後及び下方の合計3箇所に25列の固定刃80が取り外し可能に固定されている。これにより、24列配設されている回転打撃子8は、固定刃80のそれぞれの間隙の中央部(間隙が等間隔であるということ。)を通過するように配設される。
【0040】
また、メンテナンス用扉52の内側の前後対称の2箇所(図面では前後各2箇所で合計4個の固定刃が図示されている。)に、25列の固定刃81、82が左右一対、取り外し可能に固定されている。これにより、同様に回転打撃子8は、固定刃81の中央部を通過する。
【0041】
ここで、前者の固定刃80は矢印方向及び不図示の反矢印方向のいずれの方向で回転打撃子8が回転しても固定刃80と回転打撃子8との協働で被破砕物の破砕が可能になされている。
【0042】
一方、後者の固定刃81、82は、案内シュート16から投入された直後の被破砕物が、回転刃8と協働して被破砕物を効率的に破砕できるように、固定刃81、82の刃面81a,82aが、それぞれ背面側と正面側とで前後対称となるように配設され、それぞれの固定刃81,82の先端は、概略回転中心に向けて配設されている。これにより、ロータ7が正方向に回転する場合には回転打撃子8の刃面8aが正面側の固定刃82の刃面82aと略平行になり、ロータ7が逆方向に回転する場合には回転打撃子8の刃面8bが背面側に配設された固定刃81の刃面81aと略平行になる。
【0043】
図1に示すように支持台2に隣接して補助支持台2Aが配設され、その補助支持台2Aには、回転軸6を駆動させるモータ10が配設されている。このモータ10の回転は、例えば、正逆転モータであり、適宜の伝達機構11を介して回転軸6を正方向または逆方向に回転させる。
【0044】
供給開口部3の上方には、案内シュート16が設けられ、この案内シュート16は、供給装置12に接続されている。この供給装置12は被破砕物を運搬する供給コンベア14と供給コンベア14により供給された被破砕物を案内シュート16に向けて誘導するトップカバー15とから大略構成されている。
【0045】
この案内シュート16は、図3、図4に示すように、供給装置12から供給された被破砕物を受け入れる上部案内シュート17及び上部案内シュート17の下方に位置して上部案内シュート17から供給された被破砕物を供給開口部3まで案内する下部案内シュート18とから構成されている。
【0046】
上部案内シュート17は、前後方向(X方向)及び左右方向(Y方向)ともに下方に向けて広がる傾斜側壁17a〜17dにより形成された空洞を備えている。また、下部案内シュート18は、前後方向(X方向)には鉛直方向に延びる側壁18a、18bを備えているが左右方向(Y方向)には下方に向けて広がる傾斜側壁18c、18dを備えている。これにより、下部案内シュート18にも空洞を備え、これらの空洞が被破砕物の供給経路とされる。
【0047】
上部案内シュート17の空洞には投入方向変更手段171を備えている。この実施例の投入方向変更手段171は、図4に示すように、傾斜側壁17c、17dの下端付近に横断して固定された揺動軸172を備え、この揺動軸172には平面視台形状の案内プレート173が軸支されている。この案内プレート173は、図3、図4に示すように、ロータ7の回転軸6が延びる方向(Y方向)に延設されている。またこの揺動軸172は、回転軸6の鉛直方向である上部案内シュート17の下端に配設され、ロータ7の回転軸6と投入方向変更手段171の揺動軸172とは互いに平行に配設されている。
【0048】
案内プレート173は、前後方向(X方向)の対称位置に配設された揺動軸172を支軸として上方に向けた開角度αが約60度で揺動するように配設されている。
【0049】
この案内プレート173は、図示のように、ロータ7の回転軸方向に連続的に延びる構造でも、複数に分割されていてもよい。また、これらの案内プレート173は手動又は不図示のモータなどの駆動手段により実線で示す位置と二点鎖線(想像線)で示す位置とを矢印にしたがって前後方向(X方向)に揺動される。
【0050】
実線で示す配置では、被破砕物は案内プレート173の前方面173aに沿って流下し、その前方には前方経路16Aが形成され、想像線で示す配置では、被破砕物は案内プレートの後方面173bに沿って流下し、その後方には後方経路16Bが形成される。
【0051】
これにより、この案内プレート173は揺動軸172とともに上部案内シュート17内に配設されることにより投入方向変更手段171として機能する。
【0052】
つぎに、下部案内シュート18には、投入方向変更手段171により投入方向が変更された被破砕物を回転軸6に沿った長手方向に2分割に離間させてロータ7に向けて供給する二股分岐手段181が配設されている。
【0053】
この二股分岐手段181は、図3,図4に示すように、頂部の稜線181aが前後方向(X方向)に延びる山形形状のプレートから形成され、二股分岐手段181の下面にはロータ部の天井カバー5eが配設されている。この山形部の一方を右斜面181b、他方を左斜面181cと呼称すると、右斜面181bと左斜面181cとでなす稜線181aの内角βは約60度に形成されている。
【0054】
また、下部案内シュート18には、下部案内シュート18の空間を投入側と反投入側とに離隔する離隔手段182が配設されている。この離隔手段182は、この実施例では、揺動軸172の直下から天井カバー5e付近まで鉛直方向に延び、かつ、左右の傾斜側壁18c、18dを横断して遮蔽するプレートである。これにより、下部案内シュート18の空間は、離隔手段としての離隔プレート182により前後方向(X方向)に2分割される。
【0055】
つぎに、以上のように構成された破砕装置1の作用について説明する。
【0056】
メガネ程度の大きさに破砕された一次破砕物(被破砕物)を供給コンベア14に供給し、トップカバー15を介して案内シュート16に誘導する。
【0057】
図3に示す案内プレート173が後方に向けて揺動された状態で、モータ10を駆動させて伝達機構11を図3に示す矢印方向(図面視時計回りの方向。以下、この回転方向を正回転方向という。)に回転させる。
【0058】
上部案内シュート17に供給された被破砕物は、案内プレート173の前方面173aに沿って下部案内シュート18に向けて前方経路16Aを誘導される。
【0059】
下部案内シュート18には二股分岐手段が配設されているので、前方経路16Aを流下する被破砕物は、二股分岐手段181の直上から落下して稜線181aに衝突し、稜線181aで左右方向に2分割されて左斜面181c、右斜面181bに沿って流下する。
【0060】
これにより、被破砕物は、図4の白抜き矢印で示されるように、左右方向(Y方向)に離間されて2分割されて供給開口部3に供給される。これにより、被破砕物は、長手方向に離間された2箇所に分散されて供給されるので、回転軸6の長手方向中央部の回転打撃子8ばかりが破損されることなく、回転軸6の長手方向に渡って回転打撃子8の破損が均等に進行され、回転打撃子8の交換寿命を長くさせることができる。
【0061】
また、被破砕物は、前方経路16Aから供給開口部3の正面方向に供給されるので、被破砕物の投入方向がロータ7の正回転に従った回転打撃子8が描く回転軌跡の接線方向となる。これにより、ロータ7に固定された回転打撃子8による破砕物の飛散は極力低減されつつ被破砕物は破砕される。
【0062】
ここで、回転打撃子8が描く回転軌跡の円の接線方向に被破砕物を投入すると被破砕物は破砕機の内部に高い確率で落下して供給されることが経験上確認されている。また、ロータ7に投入された被破砕物は、固定刃82の刃面82aと回転打撃子8の刃面8aとで効率的に破砕され、落下する。
【0063】
下方スクリーン9aの目を通過する所定の大きさに破砕された破砕物は、下方スクリーン9aを通過し、搬出口4から搬出され、排出コンベア13により排出される。
【0064】
回転軸6よりも下方スクリーン9aを通過できない被破砕物又は破砕物はロータ7の回転により回転軸6よりも上方にまで押し上げられる。
【0065】
ロータ7に沿って回転する被破砕物は固定刃80により幅方向の移動を制限されつつ回転打撃子8により効率的に破砕される。ロータ7に沿って上方まで搬送された破砕物の一部は回転軸6の上方にまで延びるスクリーン9bを通過して通路4bを介して搬出口4より搬出される。
【0066】
また、一般に、ロータ7の回転速度が速い場合には、上方の供給開口部3から未破砕物又は破砕物の一部が飛び出す恐れがある。しかしながら、この実施例に係る装置では、上部案内シュート17に通じる後方経路16Bが後方側に揺動された案内プレート173により離隔され、かつ、下部案内シュート18が離隔手段182により投入側と離隔されているので、飛び出そうとする未破砕物又は破砕物は、これらの案内プレート173及び離隔手段182に干渉して前方経路16Aにまで飛び出すことがない。これにより、下部案内シュート18を2分割して利用しても、この離隔手段182の作用により前方経路16Aには影響を与えないので、被破砕物の投入をスムースに行うことができる。
【0067】
数百時間の後には回転打撃子8の刃面8aが摩耗などにより損傷し、破砕効率が低下する。回転打撃子8の刃面8aが摩耗などにより損傷した場合、破砕装置1を全停止し、案内プレート173を想像線の方向へ揺動させる。これにより、案内シュート16の投入経路は、前方経路16Aから後方経路16Bへ変更され、被破砕物の投入方向は正面方向(前方)から背面方向(後方)へ変更される。
【0068】
モータ10を逆方向へ駆動させて、ロータ7を図面視反時計回りの方向(以下、この回転方向を逆回転という。)に回転させる。
【0069】
被破砕物の投入を開始すると案内プレート173が前面に揺動されているので、被破砕物は、案内プレート173の後方面173bに沿って流下し、その後方に形成された後方経路16Bを流下して供給開口部3の後方に供給される。ここで、被破砕物は、下部案内シュート18に配設されている二股分岐手段により、左右方向に2分割されて左斜面181c、右斜面181bに沿って流下する。これにより、被破砕物は、左右方向(Y方向)に離間されて2分割されて供給開口部3に供給されることにより、逆方向の回転に対しても、ロータ回転軸の長手方向中央部の回転打撃子ばかりが破損されることなく、回転軸の長手方向に渡って均等に破損が進行され、交換寿命を延命化させることができる。
【0070】
また、被破砕物の投入方向がロータ7の逆回転に従った回転打撃子8が描く回転軌跡の接線方向となるので、ロータ7に固定された回転打撃子8により破砕される際の被破砕物の飛散は極力低減され、被破砕物は回転打撃子8の損傷の無い刃面8b及び未使用であった背面側のメンテ用扉52に固定された固定刃81(刃面81a)により破砕効率よく破砕が行える。
【0071】
下部スクリーン9aを通過しなかった破砕物又は未破砕物が上部スクリーン9bで排出可能となったり、また、離隔手段182の作用により、供給開口部3から後方経路16Bに向けて飛散物が無いという、作用効果については、上述と同様である。
【0072】
両刃面8a、8bが共に損傷したら、破砕装置1を全停止させた後、取付ボルト8Aを緩めて回転打撃子8を全交換する。また、必要に応じて固定刃やスクリーンを交換する。
【0073】
なお、この実施例では、刃面8aが完全に摩耗した後に回転方向を変更しているが、回転方向は適宜のタイミングで変更してもよい。適宜のタイミングで変更することにより偏在により生じる被破砕物の詰まりを防止させることもできる。
【0074】
以上に記載の破砕装置によれば、ロータ7の回転を正逆方向に簡易に変更可能となり、また、被破砕物の投入方向を前方向、後方向に簡易に変更可能となるので、ロータの回転方向を逆転させた場合には、被破砕物の投入方向が回転打撃子が描く回転軌跡の接線方向を常に維持できるように被破砕物の投入方向を簡易に変更でき、また、被破砕物の投入方向を前方向、後方向に変更させた場合には、被破砕物の投入方向が回転打撃子が描く回転軌跡の接線方向を維持できるようにロータの回転方向を簡易に変更できる。これにより、被破砕物の投入方向をロータの回転方向に応じて変更したり、ロータの回転方向を被破砕物の投入方向に応じて変更できる。
【0075】
また、以上の実施例に従えば、カバー5a〜5e内は、前後方向に概略対称に構成されているので、ロータ7の回転方向を正逆に反転させても、概略同等の破砕が行える。これにより、回転打撃子の両側面を刃面として簡易に利用できる破砕片の飛散の少ない破砕装置を提供することができる。
【0076】
また、この実施例によれば、二股分岐手段181の作用によりロータの回転軸方向に破砕物を分割して投入できるので、回転軸6の軸方向に多数配設されている回転打撃子8や面状に広がるスクリーン9aの損傷や摩耗を均一化させて、全体の寿命を向上させることができる。
【0077】
また、離隔手段182の作用により、スクリーンを通過できなかった未破砕物がロータの回転によりロータ上部の案内シュートへ飛散することを抑制でき、これにより下部案内シュートを2分割して利用しても被破砕物の投入をスムースに行うことができる。
【0078】
さらに、これらの二股分岐手段181及び離隔手段182は、簡易な構造であり、可動部を含まないので、装置が安価で、かつ、メンテナンスも容易である。
【0079】
また、ロータの回転方向を適宜のタイミングで変更することにより偏在により生じる被破砕物の詰まりを防止させることもできる。
【0080】
また、メンテ用扉52を開放した状態で固定刃81等の交換又はメンテナンスを行うことができる。
【0081】
また、このような構造では、正面側又は背面側の上方にそれぞれスクリーン9bを延設することができ、スクリーンの面積を拡大することにより処理効率の上昇や連続運転可能時間を増大させることができる。
(対照例1)
実施例1において、案内シュート16を配設することなく、トップカバー15の直下に供給開口部3を配設させた。
【0082】
以上のような破砕装置によれば、被破砕物は供給コンベア14からトップカバー15を介してロータ7の中央(回転軸6の直上)付近に直接落下するが、ロータ7の回転速度が速い(例えば、1000rpm)場合、ロータ7を正回転方向、又は逆回転方向のどちらの方向に回転させても、破砕中の破砕物が煩雑に跳ね飛ばされ、破砕装置の供給開口部3付近から飛び出したり、又は供給開口部3付近に堆積し、破砕装置1の連続運転が不能となる場合がある。
【0083】
また、二股分岐手段181を省略すれば、被破砕物は一箇所に集中投入され易く、結果として中央部の回転打撃子及びスクリーンは局部的に摩耗して短寿命となる。
【実施例2】
【0084】
この実施例2は、実施例1に係る破砕装置の改良に係り、図7及び図8に示すように、案内プレート173の前方面173a及び後方面173bの中央に直交する分離プレート174が設けられている。この分離プレート174は、案内プレート173の上下方向にわたって設けられた、上方に頂点を有する三角形状である。
【0085】
これにより、この分離プレート174は、ロータの回転軸(又は案内プレートの揺動軸)に直交する鉛直方向(Z−X平面方向)に立設され、かつ、この分離プレート174の先端の稜線174aの鉛直方向の下方に下部案内シュート18に配設された二股分岐手段181の稜線181aが配設されることになる。
【0086】
つぎに、以上のように構成された破砕装置の作用について説明する。
【0087】
上部案内シュート17に投入された被破砕物は分離プレート174の稜線174aで左右方向(Y方向:図7の紙面に直交する方向)に分離されて下部案内シュート18に誘導される。これにより、分離プレート174の先端の稜線174aの鉛直方向の下方に二股分岐手段181の稜線181aが配設されることになるので、分離プレート174により分離された被破砕物が二股分岐手段181の稜線181a付近で生起するブリッジ発生を抑制できる。
【0088】
これに対し、分離プレート174を取り付ける前の破砕装置では、図9に示すように、二股分岐手段181の稜線181aと案内プレート173の前方面173aとが交わる付近に供給装置12から供給された被破砕物が堆積してブリッジ(図面では2点鎖線で示す想像線により図示されている。)を形成する場合がある。
【0089】
その他の構成及び作用効果は、実施例1と実質的に同一乃至は均等であるので詳細な説明は省略する。
(制御例)
この制御例は、実施例1に係る破砕装置1の制御例に係り、図10に示すように、実施例1に係る破砕装置1に加え、さらに案内プレート173の位置を検出する投入方向検出手段としてのセンサLS1、LS2と、この投入方向検出手段による情報に基づいて各駆動部の制御を行う制御手段とを備えている。
【0090】
これらの投入方向検出手段は、案内プレート173の位置が背面側に位置するか正面側に位置するかを検出できれば、どのような構成であってもよい。
【0091】
また、この制御例に係る破砕装置では、ロータ7の回転方向を指示する正逆回転操作部(回転方向指示手段)31と、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)と投入方向検出手段(センサLS1,LS2)により検出された被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かを判定する判定手段を包含する制御部(判定手段)33を備えている。また、この制御部33は、警報部34、回転方向切換部36に接続され、この回転方向切換部36は、三層交流電源37及びモータ10に接続されている。
【0092】
これにより、判定手段により判定された結果、例えば、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しければ、装置全体の所定の駆動を行う。
【0093】
一方、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い場合には、装置全体の駆動を行わずに、警報部34などを駆動させ、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い旨を報知する。位置が正しくない旨確認した作業者は、確認された正しい位置となるように案内プレート173の位置を変更して装置全体の駆動を行う。
【0094】
なお、案内プレート173の位置を変更する駆動装置を配置して、制御部33により確認された位置が正しくないと判定した時に案内プレート173の位置を自動的に変更させるように構成してもよい。
(制御例2)
この制御例は、図11に示すように、案内プレート173の位置を検出する投入方向検出手段としてのセンサLS1、LS2と、この投入方向検出手段による情報に基づいて各駆動部の制御を行う制御手段とを備えている。
【0095】
また、この制御例に係る破砕装置では、ロータ7の回転方向を指示する正逆回転操作部(回転方向指示手段)31と、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)と投入方向検出手段(センサLS1,LS2)により検出された被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かを判定する判定手段を包含する制御部(判定手段)33を備えている。また、この制御部33は、警報部34、シリンダ駆動部35、回転方向切換部36に接続され、この回転方向切換部36は、三層交流電源37及びモータ10に接続されている。
【0096】
これにより、判定手段により判定された結果、例えば、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しければ、装置全体の所定の駆動を行う。
【0097】
一方、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い場合には、装置全体の駆動を行わずに、警報部34などを駆動させ、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い旨を報知する。
【0098】
また、制御部33は、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い場合には、案内プレート173の位置を変更させ、シリンダ駆動部35を駆動させてシリンダロッド26aを伸縮させると共に、回転方向切換部36に所定の信号を発信して三層交流電源37を駆動させて回転方向切換部36の作用によりモータ10を駆動させて伝達機構11を所定の方向(a方向又はb方向)に駆動させてロータ7の回転方向が所定の方向となるように制御する。
【0099】
なお、制御例1の場合と同様に、案内プレート173の位置を変更する駆動装置を配置して、制御部33により確認された位置が正しくないと判定した時に案内プレート173の位置を自動的に変更させるように構成してもよい。
(制御例3)
この制御例は制御例1,2の改良に係り、正逆回転操作部31に代えて、投入方向検出手段としてのセンサLS1、LS2により検出される情報に基づいて制御部を操作している。
【0100】
すなわち、この制御例に係る破砕装置では、図12に示すように、制御部33は、センサLS1、LS2の情報を基にして、例えば、センサLS1,LS2により確認された位置が正方向であれば、回転方向切換部36に正方向の回転を指示し、センサLS1,LS2により確認された位置が逆方向であれば、回転方向切換部36に逆方向の回転を指示する。したがって、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置の不一致はないので、警報部34は不要となる。
(制御例4)
この制御例3は制御例3の改良に係る。図13に示すように、制御部33は、センサLS1、LS2の情報を基にして、例えば、センサLS1,LS2により確認された位置が正方向であれば、シリンダ駆動部35を駆動させてスライドドア本体21を所定の方向へ移動させると共に、報知手段としての正逆回転方向表示部34にその旨表示させる。
【0101】
また作業者は、図14に示すように、正逆回転方向表示部34の表示にしたがって正逆回転操作部31を操作させて、回転方向切換部36が所定の回転方向に駆動するように指示する。
(回転打撃子の摩耗状況による反転指示制御例)
図15に示すように、ロータ7を支持する支持台2とロータ7を支持する軸受け6aとの間にロードセル40を配設し、ロータ7に係る荷重を検知する。検知した荷重情報を制御部33に入力する。荷重情報が所定の値となった場合に、警報部34によりその旨報知させる。
【0102】
例えば、大型破砕機のハンマーの交換時の摩耗量はハンマー、例えば、一枚当たり30g程度であるので、ハンマー数に応じてハンマーの総荷重が所定の重量に減少した時点を反転の目安とするのがよい。そこで、制御部33では、ロードセル40に掛かるロータ7の荷重が所定の重量に減少する毎に警報部34により回転打撃子8が摩耗した旨、例えば、警鐘や回転灯作動などにより報知するように構成する。
【0103】
これにより、警報部34によりロータ7の荷重が所定の重量減少したことを報知された作業者は、警報部34をリセットして報知を解除させた後、反転操作を行う。もちろん、作業者を介さずに全自動により反転させるように構成させてもよい。
(その他の反転指示制御例)
以上、運転時間及びハンマーの摩耗状況による反転時期の制御の例を説明したが、反転時期の制御は、適宜他の手法を用いてもよい。例えば、被破砕物の供給量(重量又は体積ベース)、破砕物の生成量(重量又は体積)により反転時期を制御してもよく、これらの制御を組み合わせて制御してもよい。すなわち、反転時期は、(1)タイマーで反転、(2)警報で報知、(3)一定周期で反転、(4)軸受け荷重が所定値となった場合に反転、(5)一定の破砕物量で反転、から選択された一つまた二つ以上の組み合わせで行うことができる。
【0104】
以上図面により本発明を説明したが、本発明は以上の図面に限定されずに、設計変更などがあってもよい。
【0105】
例えば、破砕装置の制御例の説明では、投入方向検出手段としてのセンサLS1、LS2による情報に基づいて各駆動部の制御を行う制御手段を備えている構成であったが、センサLS1、LS2に代えて電気的に開路(オフ)、閉路(オン)の切換え動作が行える機械的スイッチにより運転可否の判定をさせるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上の説明によれば、被破砕物は木材片が例示されていたが、本発明の被破砕装置は木材片に限定されずに、例えば、空き瓶などのガラス片の破砕装置にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明に係る破砕装置の概要を説明する図である。
【図2】図1の破砕装置を背面から見た図である。
【図3】図1の破砕装置の内部を説明する図である。
【図4】図1の破砕装置の内部を正面から説明する図である。
【図5】図1の破砕装置の回転刃の配列状況を平面から説明する図である。
【図6】図1の破砕装置の案内シュート部を斜視図により説明する図である。
【図7】本発明に係る破砕装置の改良例の要部を説明する図である。
【図8】図7の破砕装置の案内シュート部を斜視図により説明する図である。
【図9】図1の破砕装置におけるブリッジ生成箇所を説明する斜視図である。
【図10】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図11】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図12】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図13】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図14】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図15】本発明に係る反転指示制御例に用いるハンマーの摩耗状況を検知する検知装置の概要を説明する図である。
【符号の説明】
【0108】
1:破砕装置
2:支持台
2A:補助支持台
3:供給開口部
3a:正面側開口部
3b:背面側開口部
4:搬出口
5a:正面カバー
5b:背面カバー
5c、5d:側面カバー
5d:天井カバー
51:扉
52:メンテ用扉
6:回転軸
6a:軸受け
7:ロータ
8:回転打撃子
8A:取付ボルト
8a、8b:刃面
9a:下方スクリーン(スクリーン)
9b:上方スクリーン(スクリーン)
10:モータ
11:伝達機構
12:供給装置
13:排出コンベア
14:供給コンベア
15:トップカバー
16:案内シュート
16A:前方経路
16B:後方経路
17:上部案内シュート
17a〜17d:傾斜側壁
171:投入方向変更手段
172:揺動軸
173:案内プレート
173a:前方面
173b:後方面
174:分離プレート
18:下部案内シュート
18a、18b:側壁
18c、18d:傾斜側壁
181:二股分岐手段
181a:稜線
181b:右斜面
181c:左斜面
182:離隔手段(離隔プレート)
Z方向:鉛直方向(上下方向)
31:回転方向指示手段(正逆回転操作部)
33:判定手段(制御部)
34:警報部、正逆回転方向表示部(報知手段)
35:シリンダ駆動部
36:回転方向切換部
37:三層交流電源
80:固定刃
81、82:固定刃
81a、82a:刃面
LS1,LS2:センサ(投入方向検出手段)
X方向:前後方向:(揺動方向・回転方向)
Y方向:左右方向:(揺動軸方向・回転軸方向)
【技術分野】
【0001】
本発明は被破砕物を破砕する破砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上方に向けて開口した供給開口部と下方に向けて開口した搬出口とを備えた外枠内に回転軸に対して直交して設けた複数の回転打撃子(ハンマー)を交換可能にロータに固定し、供給装置から投入された被破砕物を前記供給開口部から受け入れて回転打撃子により連続的に破砕して破砕された破砕物をスクリーンを介して前記搬出口より排出する破砕装置が知られている。
【0003】
このような破砕装置では、眼鏡ケースほどの大きさに砕かれた木材などの建築廃材が被破砕物として採用され、この被破砕物はベルトコンベア等により供給開口部としてのホッパ(シュート部)まで搬送されてくる。被破砕物は、回転打撃子が描く回転軌跡の接線方向に投入され、回転打撃子により所定の大きさにまで破砕された破砕物はスクリーンを通過して搬出口より排出される。
【0004】
このような破砕装置においては、回転打撃子が描く回転軌跡の接線方向に向けて被破砕物が投入されるので、被破砕物の飛散が抑制されるが、被破砕物を回転打撃子の接線方向に向けて投入するためにはロータの回転方向を常に一方向に設定する必要がある。このため、回転打撃子として両刃のものを採用しても、回転刃の摩耗又は破損のため、運転を停止して回転打撃子の回転前後方向を交換する必要が生じる。回転打撃子の交換には、ボルト緩め、回転打撃子の交換または取り付け方向変更、ボルト締めなどの煩雑な工程が必要であるという課題がある。
【0005】
回転打撃子を回転部から取り外すことなく、ボルト緩めとボルト締めにより刃先の前後方向を変更できる特殊な回転打撃子も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特公昭62−61345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の破砕装置においては、回転方向が一方向に限定されているため、両刃の回転打撃子を用いる場合であっても回転打撃子の取り付け方向の変更などの煩雑な工程が必要であるという課題がある。
【0007】
また、特許文献1に記載の特殊な回転打撃子であってもボルト緩め工程とボルト締め工程は必要である。それ故、一台の装置で多数の数の回転打撃子(例えば、50個以上)が用いられている状況では、このような特殊な回転打撃子を採用しても、回転打撃子の交換作業に多大の時間を要し、交換作業中に破砕作業の中断が余儀なくされるという課題は依然として解決されない。
【0008】
本発明者等は、以上の課題を解決する手段として、回転打撃子の煩雑な取り付け方向の変更が不要である両刃の回転打撃子を備える破砕装置の発明について、すでに特許出願を行っている(平成19年2月7日付け出願の特願2007−27666)。
【0009】
その出願では、上方に向けて開口した供給開口部と下方に向けて開口した搬出口とを備えた外枠内に、回転自在に配置されたロータの回転軸に対して直交して設けた複数の回転打撃子を交換可能に固定し、供給装置から投入された被破砕物を前記供給開口部から受け入れて回転打撃子により連続的に破砕して破砕された破砕物を前記搬出口より排出する破砕装置であって、前記ロータは回転方向が正方向及び逆方向に変更可能に駆動手段により駆動され、前記回転打撃子は両刃であり、前記ロータの回転方向が正逆方向のいずれの方向に変更された場合にも被破砕物の破砕が可能に前記ロータに固定され、該ロータの正回転方向又は逆回転方向に向けて前記供給開口部から投入される被破砕物の投入方向を変更する投入方向変更手段を備えている破砕装置が提案されている。
【0010】
この発明によれば、被破砕物の投入方向をロータの回転方向に応じて変更したり、ロータの回転方向を被破砕物の投入方向に応じて変更できるので、回転打撃子の煩雑な取り付け方向の変更が不要である両刃の回転打撃子を備える破砕装置を提供することができる。
【0011】
本発明は、上述の両刃の回転打撃子を備える破砕装置の改良に係り、特に破砕装置を大型化した場合の課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、上述の両刃の回転打撃子を備える破砕装置の大型化について検討したところ、被破砕物の投入方向をロータの回転方向に応じて変更したり、ロータの回転方向を被破砕物の投入方向に応じて変更する投入方向変更手段に加えて、投入方向変更手段により回転打撃子に向けて投入される被破砕物の位置をロータの回転軸の長手方向に分散させる二股分岐手段を配設することが、回転打撃子の寿命を延命させる有効な手段であることを認めた。
【0013】
また、このようなに被破砕物を回転軸に沿った長手方向に2分割に離間させて供給する二股分岐手段を配設すれば、被破砕物は二股分割手段により回転軸に沿った長手方向の離間された位置に2分割されて供給される。
【0014】
これにより、被破砕物は、長手方向に離間された2箇所に分散されて供給されるので、中央付近の回転打撃子ばかりが破損されるという課題が解決できることを見いだした。すなわち、二股分割手段を採用しない場合には、被破砕物は長手方向に延びる回転打撃子の中央付近に集中して投入されるので、回転軸両端部での回転打撃子の破損が進行されない間にロータ回転軸の長手方向中央部の回転打撃子ばかりが破損されるという課題があることが本発明者等により確認された。
【0015】
また、本発明者等が提案する二股分岐手段は、長手方向への被破砕物の分散に可動部や動力源を必要としないので、価格面やメンテナンス面でも優れているという特徴を有する。
【0016】
すなわち、本発明は、上方に向けて開口した供給開口部と下方に向けて開口した搬出口とを備えた外枠内に、回転自在に配置されたロータの回転軸に対して直交して設けた複数の回転打撃子を交換可能に固定し、供給装置から投入された被破砕物を案内シュートを介して前記供給開口部から受け入れて回転打撃子により連続的に破砕して破砕された破砕物をスクリーンを介して前記搬出口より排出し、前記ロータは回転方向が正方向及び逆方向に変更可能に駆動手段により駆動され、前記回転打撃子は両刃であり、前記ロータの回転方向が正逆方向のいずれの方向に変更された場合にも被破砕物の破砕が可能に前記ロータに固定され、前記案内シュートは、前記供給装置から供給された被破砕物を受け入れる上部案内シュートと、該上部案内シュートの下方に位置して上部案内シュートから供給された被破砕物を前記供給開口部まで案内する下部案内シュートとを備えて構成され、前記上部案内シュートには、前記ロータの正回転方向又は逆回転方向に向けて前記供給開口部から投入される被破砕物の投入方向を変更する投入方向変更手段を備え、前記下部案内シュートには、前記投入方向変更手段により投入方向が変更された被破砕物を前記回転軸6に沿った長手方向に2分割に離間させて供給する二股分岐手段が配設されていることを特徴とする破砕装置である。
【0017】
この投入方向変更手段は、例えば、ロータの回転軸と平行な鉛直方向(z方向)である上部案内シュートの下端に配設された揺動軸と、その揺動軸に軸支された案内プレートとを備えて構成される。
【0018】
このように構成すれば、案内プレートを揺動させることにより、供給装置から供給された被破砕物をロータの回転軸の延びる方向と直交する方向に振り分けることができる。
【0019】
また、この案内プレートの両面に、被破砕物をロータの回転軸方向に分離する分離プレートを備えることが好ましい。この分離プレートは、ロータの回転軸(又は案内プレートの揺動軸)に直交する鉛直方向に立設されている。また、この分離プレートは、案内プレートの上下方向にわたって形成されていることが好ましく、さらにこの分離プレートは、上方に頂点を有する三角形であることが望ましい。
【0020】
このように構成すれば、上部案内シュートに投入された被破砕物は分離プレートによりロータの回転軸の延びる方向に分離されて下部案内シュートに向けて落下する。これにより、下部案内シュートに配設された二股分岐手段の頂点で生起するブリッジの発生を抑制することができる。
【0021】
また、下部案内シュートを投入側と反投入側とに離隔する離隔手段を揺動軸の下方に備えていることが好ましい。
【0022】
これにより、スクリーンを通過できなかった未破砕物が、ロータの回転によりロータ上部を乗り越えて上部案内シュートへ飛散することを抑制でき、また、スクリーンを通過できなかった未破砕物が、ロータ回転につられて下部案内シュートの空洞を利用してロータ上部を乗り越えるのを防止できる。
【0023】
これにより、ロータ上部を乗り越えて案内シュートを落下する被破砕物の投入経路を妨害することなく、被破砕物の供給をスムースに行うことができる。
【0024】
また、上述の破砕装置は、例えば、ロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かを判定する判定手段を備えることができる。このような構成によれば、ロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かの判定ができる。
【0025】
この判定手段によりロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあると判定された場合には、そのまま運転を正常に開始させればよい。一方、判定手段によりロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係に無い場合には、その後の運転開始操作の中止(運転開始操作の無効)や、その旨の報知などを行うことができる。すなわち、この判定手段による判定結果は、運転開始の可否の判定にそのまま利用され、判定に基づいた運転開始操作の指示又は運転開始操作の中止(運転開始操作の無効)などの運転規制に利用できる。
【0026】
運転開始操作の中止(運転開始操作の無効)やその旨の報知を受けた作業者が、手動により作業のやり直しを行うように構成してもよいが、この判定手段によりロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係に無いと判定された場合には、ロータの回転方向又は被破砕物の投入方向のいずれか一方を自動制御させて判定結果の是非を是正させるように構成してもよい。これにより、自動制御運転が可能となる。
【0027】
たとえば、ロータの回転方向を作業者が指示する場合に、判定手段による判定結果が所定の関係に無い場合に被破砕物の投入方向を自動的に変更したり、反対に被破砕物の投入方向を指示する場合に、反転手段による判定結果が所定の関係に無い場合にロータの回転方向を反転させてから運転を開始するような制御を行うこともできる。
【0028】
また、本発明に係る破砕装置は、回転打撃子により破砕された破砕物が所定の大きさにまで破砕されたか否かを選別するスクリーンをロータの下方に配設するに加え、ロータの回転中心よりも上方にも延設することが好ましい。
【0029】
このような構造によれば、正面側又は背面側のロータの回転中心よりも上方にそれぞれスクリーンを延設するこにより、従来ロータの下方にのみ設けられているスクリーンの面積を拡大することにより処理効率の上昇や連続運転可能時間を増大させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に従えば、被破砕物の投入方向をロータの回転方向に応じて変更したり、ロータの回転方向を被破砕物の投入方向に応じて変更できるので、回転打撃子の煩雑な取り付け方向の変更が不要である両刃の回転打撃子を備える破砕装置を提供することができる。
【0031】
また、本発明に従えば、被破砕物の投入位置が離間されて2分割されるので、集中して投入される場合に比べて回転打撃子の交換寿命を延長させることができる。
【0032】
そして、このような作用効果は、装置が大型化された場合に特に有効に利用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例に係る図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0034】
図1〜図6は、本発明の実施例1に係る破砕装置を説明する図である。この破砕装置1は、図1、図2に示すように、フレームにより形成された支持台2に固定されている。この破砕装置1は、上方に向けて広く開口した供給開口部3と下方に向けて開口した搬出口4とを備えた外枠としてのカバーを備えている。このカバーは、正面カバー5a、背面カバー5b、両側面カバー5c、5dから大略構成されている。下方の正面カバー5a及び背面カバー5bは、図3に示すように、それぞれ対称な扉51、51に設けられ、また、上方の正面カバー5a及び背面カバー5bは、それぞれ対称なメンテ用扉52、52に設けられている。このメンテ用扉52,52は図示のように容易に開閉可能とされている。
【0035】
一方、搬出口4の下方には、図2に示すように、排出コンベア13が配設され、この図では背面側のメンテ用扉52が開放された状態を示している。
【0036】
図4に示すように、側面カバー5c、5dを貫通して左右方向(Y方向)に延びる回転軸6が設けられている。この回転軸6は、側面カバー5c、5dを支えるフレームなどにベアリングユニット(いずれも不図示)などを介して回転可能に軸支されている。回転軸6には、ロータ7が固定されている。このロータ7には回転軸6に対して直交して多数の回転打撃子8(例えば、6個×24列)が、それぞれ取付ボルト8A(図3参照)により交換可能に取り付けられている。この回転打撃子8が取り付けられた状態で回転方向(矢印方向又は不図示の反矢印方向)の両側面のそれぞれには破砕用の刃面8a、8bが形成されている。
【0037】
また、ロータ7の下方には、スクリーン9aが開閉機構9により交換可能に配設されている。ここで、図3においては、正面側の開閉機構9が開放されて、スクリーン9aが交換可能な状態とされている。
【0038】
また、この実施例では、スクリーン9aは、ロータ7の回転中心よりも上方にまで正面側及び背面側の双方に設けられ、この上方に配設されているスクリーンを上方スクリーン9bと呼称する。これらの上方スクリーン9bは、メンテ用扉52、52の内面に配設されている。また、メンテ用扉52の内側とスクリーン9bとの間には搬出口4へ通じる通路4aが形成されている。これにより、各スクリーン9a、9bはそれぞれ独立に交換可能とされている。
【0039】
一方、スクリーン9aに沿う回転方向の前後及び下方の合計3箇所に25列の固定刃80が取り外し可能に固定されている。これにより、24列配設されている回転打撃子8は、固定刃80のそれぞれの間隙の中央部(間隙が等間隔であるということ。)を通過するように配設される。
【0040】
また、メンテナンス用扉52の内側の前後対称の2箇所(図面では前後各2箇所で合計4個の固定刃が図示されている。)に、25列の固定刃81、82が左右一対、取り外し可能に固定されている。これにより、同様に回転打撃子8は、固定刃81の中央部を通過する。
【0041】
ここで、前者の固定刃80は矢印方向及び不図示の反矢印方向のいずれの方向で回転打撃子8が回転しても固定刃80と回転打撃子8との協働で被破砕物の破砕が可能になされている。
【0042】
一方、後者の固定刃81、82は、案内シュート16から投入された直後の被破砕物が、回転刃8と協働して被破砕物を効率的に破砕できるように、固定刃81、82の刃面81a,82aが、それぞれ背面側と正面側とで前後対称となるように配設され、それぞれの固定刃81,82の先端は、概略回転中心に向けて配設されている。これにより、ロータ7が正方向に回転する場合には回転打撃子8の刃面8aが正面側の固定刃82の刃面82aと略平行になり、ロータ7が逆方向に回転する場合には回転打撃子8の刃面8bが背面側に配設された固定刃81の刃面81aと略平行になる。
【0043】
図1に示すように支持台2に隣接して補助支持台2Aが配設され、その補助支持台2Aには、回転軸6を駆動させるモータ10が配設されている。このモータ10の回転は、例えば、正逆転モータであり、適宜の伝達機構11を介して回転軸6を正方向または逆方向に回転させる。
【0044】
供給開口部3の上方には、案内シュート16が設けられ、この案内シュート16は、供給装置12に接続されている。この供給装置12は被破砕物を運搬する供給コンベア14と供給コンベア14により供給された被破砕物を案内シュート16に向けて誘導するトップカバー15とから大略構成されている。
【0045】
この案内シュート16は、図3、図4に示すように、供給装置12から供給された被破砕物を受け入れる上部案内シュート17及び上部案内シュート17の下方に位置して上部案内シュート17から供給された被破砕物を供給開口部3まで案内する下部案内シュート18とから構成されている。
【0046】
上部案内シュート17は、前後方向(X方向)及び左右方向(Y方向)ともに下方に向けて広がる傾斜側壁17a〜17dにより形成された空洞を備えている。また、下部案内シュート18は、前後方向(X方向)には鉛直方向に延びる側壁18a、18bを備えているが左右方向(Y方向)には下方に向けて広がる傾斜側壁18c、18dを備えている。これにより、下部案内シュート18にも空洞を備え、これらの空洞が被破砕物の供給経路とされる。
【0047】
上部案内シュート17の空洞には投入方向変更手段171を備えている。この実施例の投入方向変更手段171は、図4に示すように、傾斜側壁17c、17dの下端付近に横断して固定された揺動軸172を備え、この揺動軸172には平面視台形状の案内プレート173が軸支されている。この案内プレート173は、図3、図4に示すように、ロータ7の回転軸6が延びる方向(Y方向)に延設されている。またこの揺動軸172は、回転軸6の鉛直方向である上部案内シュート17の下端に配設され、ロータ7の回転軸6と投入方向変更手段171の揺動軸172とは互いに平行に配設されている。
【0048】
案内プレート173は、前後方向(X方向)の対称位置に配設された揺動軸172を支軸として上方に向けた開角度αが約60度で揺動するように配設されている。
【0049】
この案内プレート173は、図示のように、ロータ7の回転軸方向に連続的に延びる構造でも、複数に分割されていてもよい。また、これらの案内プレート173は手動又は不図示のモータなどの駆動手段により実線で示す位置と二点鎖線(想像線)で示す位置とを矢印にしたがって前後方向(X方向)に揺動される。
【0050】
実線で示す配置では、被破砕物は案内プレート173の前方面173aに沿って流下し、その前方には前方経路16Aが形成され、想像線で示す配置では、被破砕物は案内プレートの後方面173bに沿って流下し、その後方には後方経路16Bが形成される。
【0051】
これにより、この案内プレート173は揺動軸172とともに上部案内シュート17内に配設されることにより投入方向変更手段171として機能する。
【0052】
つぎに、下部案内シュート18には、投入方向変更手段171により投入方向が変更された被破砕物を回転軸6に沿った長手方向に2分割に離間させてロータ7に向けて供給する二股分岐手段181が配設されている。
【0053】
この二股分岐手段181は、図3,図4に示すように、頂部の稜線181aが前後方向(X方向)に延びる山形形状のプレートから形成され、二股分岐手段181の下面にはロータ部の天井カバー5eが配設されている。この山形部の一方を右斜面181b、他方を左斜面181cと呼称すると、右斜面181bと左斜面181cとでなす稜線181aの内角βは約60度に形成されている。
【0054】
また、下部案内シュート18には、下部案内シュート18の空間を投入側と反投入側とに離隔する離隔手段182が配設されている。この離隔手段182は、この実施例では、揺動軸172の直下から天井カバー5e付近まで鉛直方向に延び、かつ、左右の傾斜側壁18c、18dを横断して遮蔽するプレートである。これにより、下部案内シュート18の空間は、離隔手段としての離隔プレート182により前後方向(X方向)に2分割される。
【0055】
つぎに、以上のように構成された破砕装置1の作用について説明する。
【0056】
メガネ程度の大きさに破砕された一次破砕物(被破砕物)を供給コンベア14に供給し、トップカバー15を介して案内シュート16に誘導する。
【0057】
図3に示す案内プレート173が後方に向けて揺動された状態で、モータ10を駆動させて伝達機構11を図3に示す矢印方向(図面視時計回りの方向。以下、この回転方向を正回転方向という。)に回転させる。
【0058】
上部案内シュート17に供給された被破砕物は、案内プレート173の前方面173aに沿って下部案内シュート18に向けて前方経路16Aを誘導される。
【0059】
下部案内シュート18には二股分岐手段が配設されているので、前方経路16Aを流下する被破砕物は、二股分岐手段181の直上から落下して稜線181aに衝突し、稜線181aで左右方向に2分割されて左斜面181c、右斜面181bに沿って流下する。
【0060】
これにより、被破砕物は、図4の白抜き矢印で示されるように、左右方向(Y方向)に離間されて2分割されて供給開口部3に供給される。これにより、被破砕物は、長手方向に離間された2箇所に分散されて供給されるので、回転軸6の長手方向中央部の回転打撃子8ばかりが破損されることなく、回転軸6の長手方向に渡って回転打撃子8の破損が均等に進行され、回転打撃子8の交換寿命を長くさせることができる。
【0061】
また、被破砕物は、前方経路16Aから供給開口部3の正面方向に供給されるので、被破砕物の投入方向がロータ7の正回転に従った回転打撃子8が描く回転軌跡の接線方向となる。これにより、ロータ7に固定された回転打撃子8による破砕物の飛散は極力低減されつつ被破砕物は破砕される。
【0062】
ここで、回転打撃子8が描く回転軌跡の円の接線方向に被破砕物を投入すると被破砕物は破砕機の内部に高い確率で落下して供給されることが経験上確認されている。また、ロータ7に投入された被破砕物は、固定刃82の刃面82aと回転打撃子8の刃面8aとで効率的に破砕され、落下する。
【0063】
下方スクリーン9aの目を通過する所定の大きさに破砕された破砕物は、下方スクリーン9aを通過し、搬出口4から搬出され、排出コンベア13により排出される。
【0064】
回転軸6よりも下方スクリーン9aを通過できない被破砕物又は破砕物はロータ7の回転により回転軸6よりも上方にまで押し上げられる。
【0065】
ロータ7に沿って回転する被破砕物は固定刃80により幅方向の移動を制限されつつ回転打撃子8により効率的に破砕される。ロータ7に沿って上方まで搬送された破砕物の一部は回転軸6の上方にまで延びるスクリーン9bを通過して通路4bを介して搬出口4より搬出される。
【0066】
また、一般に、ロータ7の回転速度が速い場合には、上方の供給開口部3から未破砕物又は破砕物の一部が飛び出す恐れがある。しかしながら、この実施例に係る装置では、上部案内シュート17に通じる後方経路16Bが後方側に揺動された案内プレート173により離隔され、かつ、下部案内シュート18が離隔手段182により投入側と離隔されているので、飛び出そうとする未破砕物又は破砕物は、これらの案内プレート173及び離隔手段182に干渉して前方経路16Aにまで飛び出すことがない。これにより、下部案内シュート18を2分割して利用しても、この離隔手段182の作用により前方経路16Aには影響を与えないので、被破砕物の投入をスムースに行うことができる。
【0067】
数百時間の後には回転打撃子8の刃面8aが摩耗などにより損傷し、破砕効率が低下する。回転打撃子8の刃面8aが摩耗などにより損傷した場合、破砕装置1を全停止し、案内プレート173を想像線の方向へ揺動させる。これにより、案内シュート16の投入経路は、前方経路16Aから後方経路16Bへ変更され、被破砕物の投入方向は正面方向(前方)から背面方向(後方)へ変更される。
【0068】
モータ10を逆方向へ駆動させて、ロータ7を図面視反時計回りの方向(以下、この回転方向を逆回転という。)に回転させる。
【0069】
被破砕物の投入を開始すると案内プレート173が前面に揺動されているので、被破砕物は、案内プレート173の後方面173bに沿って流下し、その後方に形成された後方経路16Bを流下して供給開口部3の後方に供給される。ここで、被破砕物は、下部案内シュート18に配設されている二股分岐手段により、左右方向に2分割されて左斜面181c、右斜面181bに沿って流下する。これにより、被破砕物は、左右方向(Y方向)に離間されて2分割されて供給開口部3に供給されることにより、逆方向の回転に対しても、ロータ回転軸の長手方向中央部の回転打撃子ばかりが破損されることなく、回転軸の長手方向に渡って均等に破損が進行され、交換寿命を延命化させることができる。
【0070】
また、被破砕物の投入方向がロータ7の逆回転に従った回転打撃子8が描く回転軌跡の接線方向となるので、ロータ7に固定された回転打撃子8により破砕される際の被破砕物の飛散は極力低減され、被破砕物は回転打撃子8の損傷の無い刃面8b及び未使用であった背面側のメンテ用扉52に固定された固定刃81(刃面81a)により破砕効率よく破砕が行える。
【0071】
下部スクリーン9aを通過しなかった破砕物又は未破砕物が上部スクリーン9bで排出可能となったり、また、離隔手段182の作用により、供給開口部3から後方経路16Bに向けて飛散物が無いという、作用効果については、上述と同様である。
【0072】
両刃面8a、8bが共に損傷したら、破砕装置1を全停止させた後、取付ボルト8Aを緩めて回転打撃子8を全交換する。また、必要に応じて固定刃やスクリーンを交換する。
【0073】
なお、この実施例では、刃面8aが完全に摩耗した後に回転方向を変更しているが、回転方向は適宜のタイミングで変更してもよい。適宜のタイミングで変更することにより偏在により生じる被破砕物の詰まりを防止させることもできる。
【0074】
以上に記載の破砕装置によれば、ロータ7の回転を正逆方向に簡易に変更可能となり、また、被破砕物の投入方向を前方向、後方向に簡易に変更可能となるので、ロータの回転方向を逆転させた場合には、被破砕物の投入方向が回転打撃子が描く回転軌跡の接線方向を常に維持できるように被破砕物の投入方向を簡易に変更でき、また、被破砕物の投入方向を前方向、後方向に変更させた場合には、被破砕物の投入方向が回転打撃子が描く回転軌跡の接線方向を維持できるようにロータの回転方向を簡易に変更できる。これにより、被破砕物の投入方向をロータの回転方向に応じて変更したり、ロータの回転方向を被破砕物の投入方向に応じて変更できる。
【0075】
また、以上の実施例に従えば、カバー5a〜5e内は、前後方向に概略対称に構成されているので、ロータ7の回転方向を正逆に反転させても、概略同等の破砕が行える。これにより、回転打撃子の両側面を刃面として簡易に利用できる破砕片の飛散の少ない破砕装置を提供することができる。
【0076】
また、この実施例によれば、二股分岐手段181の作用によりロータの回転軸方向に破砕物を分割して投入できるので、回転軸6の軸方向に多数配設されている回転打撃子8や面状に広がるスクリーン9aの損傷や摩耗を均一化させて、全体の寿命を向上させることができる。
【0077】
また、離隔手段182の作用により、スクリーンを通過できなかった未破砕物がロータの回転によりロータ上部の案内シュートへ飛散することを抑制でき、これにより下部案内シュートを2分割して利用しても被破砕物の投入をスムースに行うことができる。
【0078】
さらに、これらの二股分岐手段181及び離隔手段182は、簡易な構造であり、可動部を含まないので、装置が安価で、かつ、メンテナンスも容易である。
【0079】
また、ロータの回転方向を適宜のタイミングで変更することにより偏在により生じる被破砕物の詰まりを防止させることもできる。
【0080】
また、メンテ用扉52を開放した状態で固定刃81等の交換又はメンテナンスを行うことができる。
【0081】
また、このような構造では、正面側又は背面側の上方にそれぞれスクリーン9bを延設することができ、スクリーンの面積を拡大することにより処理効率の上昇や連続運転可能時間を増大させることができる。
(対照例1)
実施例1において、案内シュート16を配設することなく、トップカバー15の直下に供給開口部3を配設させた。
【0082】
以上のような破砕装置によれば、被破砕物は供給コンベア14からトップカバー15を介してロータ7の中央(回転軸6の直上)付近に直接落下するが、ロータ7の回転速度が速い(例えば、1000rpm)場合、ロータ7を正回転方向、又は逆回転方向のどちらの方向に回転させても、破砕中の破砕物が煩雑に跳ね飛ばされ、破砕装置の供給開口部3付近から飛び出したり、又は供給開口部3付近に堆積し、破砕装置1の連続運転が不能となる場合がある。
【0083】
また、二股分岐手段181を省略すれば、被破砕物は一箇所に集中投入され易く、結果として中央部の回転打撃子及びスクリーンは局部的に摩耗して短寿命となる。
【実施例2】
【0084】
この実施例2は、実施例1に係る破砕装置の改良に係り、図7及び図8に示すように、案内プレート173の前方面173a及び後方面173bの中央に直交する分離プレート174が設けられている。この分離プレート174は、案内プレート173の上下方向にわたって設けられた、上方に頂点を有する三角形状である。
【0085】
これにより、この分離プレート174は、ロータの回転軸(又は案内プレートの揺動軸)に直交する鉛直方向(Z−X平面方向)に立設され、かつ、この分離プレート174の先端の稜線174aの鉛直方向の下方に下部案内シュート18に配設された二股分岐手段181の稜線181aが配設されることになる。
【0086】
つぎに、以上のように構成された破砕装置の作用について説明する。
【0087】
上部案内シュート17に投入された被破砕物は分離プレート174の稜線174aで左右方向(Y方向:図7の紙面に直交する方向)に分離されて下部案内シュート18に誘導される。これにより、分離プレート174の先端の稜線174aの鉛直方向の下方に二股分岐手段181の稜線181aが配設されることになるので、分離プレート174により分離された被破砕物が二股分岐手段181の稜線181a付近で生起するブリッジ発生を抑制できる。
【0088】
これに対し、分離プレート174を取り付ける前の破砕装置では、図9に示すように、二股分岐手段181の稜線181aと案内プレート173の前方面173aとが交わる付近に供給装置12から供給された被破砕物が堆積してブリッジ(図面では2点鎖線で示す想像線により図示されている。)を形成する場合がある。
【0089】
その他の構成及び作用効果は、実施例1と実質的に同一乃至は均等であるので詳細な説明は省略する。
(制御例)
この制御例は、実施例1に係る破砕装置1の制御例に係り、図10に示すように、実施例1に係る破砕装置1に加え、さらに案内プレート173の位置を検出する投入方向検出手段としてのセンサLS1、LS2と、この投入方向検出手段による情報に基づいて各駆動部の制御を行う制御手段とを備えている。
【0090】
これらの投入方向検出手段は、案内プレート173の位置が背面側に位置するか正面側に位置するかを検出できれば、どのような構成であってもよい。
【0091】
また、この制御例に係る破砕装置では、ロータ7の回転方向を指示する正逆回転操作部(回転方向指示手段)31と、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)と投入方向検出手段(センサLS1,LS2)により検出された被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かを判定する判定手段を包含する制御部(判定手段)33を備えている。また、この制御部33は、警報部34、回転方向切換部36に接続され、この回転方向切換部36は、三層交流電源37及びモータ10に接続されている。
【0092】
これにより、判定手段により判定された結果、例えば、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しければ、装置全体の所定の駆動を行う。
【0093】
一方、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い場合には、装置全体の駆動を行わずに、警報部34などを駆動させ、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い旨を報知する。位置が正しくない旨確認した作業者は、確認された正しい位置となるように案内プレート173の位置を変更して装置全体の駆動を行う。
【0094】
なお、案内プレート173の位置を変更する駆動装置を配置して、制御部33により確認された位置が正しくないと判定した時に案内プレート173の位置を自動的に変更させるように構成してもよい。
(制御例2)
この制御例は、図11に示すように、案内プレート173の位置を検出する投入方向検出手段としてのセンサLS1、LS2と、この投入方向検出手段による情報に基づいて各駆動部の制御を行う制御手段とを備えている。
【0095】
また、この制御例に係る破砕装置では、ロータ7の回転方向を指示する正逆回転操作部(回転方向指示手段)31と、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)と投入方向検出手段(センサLS1,LS2)により検出された被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かを判定する判定手段を包含する制御部(判定手段)33を備えている。また、この制御部33は、警報部34、シリンダ駆動部35、回転方向切換部36に接続され、この回転方向切換部36は、三層交流電源37及びモータ10に接続されている。
【0096】
これにより、判定手段により判定された結果、例えば、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しければ、装置全体の所定の駆動を行う。
【0097】
一方、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い場合には、装置全体の駆動を行わずに、警報部34などを駆動させ、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い旨を報知する。
【0098】
また、制御部33は、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置が正しく無い場合には、案内プレート173の位置を変更させ、シリンダ駆動部35を駆動させてシリンダロッド26aを伸縮させると共に、回転方向切換部36に所定の信号を発信して三層交流電源37を駆動させて回転方向切換部36の作用によりモータ10を駆動させて伝達機構11を所定の方向(a方向又はb方向)に駆動させてロータ7の回転方向が所定の方向となるように制御する。
【0099】
なお、制御例1の場合と同様に、案内プレート173の位置を変更する駆動装置を配置して、制御部33により確認された位置が正しくないと判定した時に案内プレート173の位置を自動的に変更させるように構成してもよい。
(制御例3)
この制御例は制御例1,2の改良に係り、正逆回転操作部31に代えて、投入方向検出手段としてのセンサLS1、LS2により検出される情報に基づいて制御部を操作している。
【0100】
すなわち、この制御例に係る破砕装置では、図12に示すように、制御部33は、センサLS1、LS2の情報を基にして、例えば、センサLS1,LS2により確認された位置が正方向であれば、回転方向切換部36に正方向の回転を指示し、センサLS1,LS2により確認された位置が逆方向であれば、回転方向切換部36に逆方向の回転を指示する。したがって、正逆回転操作部31により指示されたロータの回転方向(正方向又は逆方向)とセンサLS1,LS2により確認された位置の不一致はないので、警報部34は不要となる。
(制御例4)
この制御例3は制御例3の改良に係る。図13に示すように、制御部33は、センサLS1、LS2の情報を基にして、例えば、センサLS1,LS2により確認された位置が正方向であれば、シリンダ駆動部35を駆動させてスライドドア本体21を所定の方向へ移動させると共に、報知手段としての正逆回転方向表示部34にその旨表示させる。
【0101】
また作業者は、図14に示すように、正逆回転方向表示部34の表示にしたがって正逆回転操作部31を操作させて、回転方向切換部36が所定の回転方向に駆動するように指示する。
(回転打撃子の摩耗状況による反転指示制御例)
図15に示すように、ロータ7を支持する支持台2とロータ7を支持する軸受け6aとの間にロードセル40を配設し、ロータ7に係る荷重を検知する。検知した荷重情報を制御部33に入力する。荷重情報が所定の値となった場合に、警報部34によりその旨報知させる。
【0102】
例えば、大型破砕機のハンマーの交換時の摩耗量はハンマー、例えば、一枚当たり30g程度であるので、ハンマー数に応じてハンマーの総荷重が所定の重量に減少した時点を反転の目安とするのがよい。そこで、制御部33では、ロードセル40に掛かるロータ7の荷重が所定の重量に減少する毎に警報部34により回転打撃子8が摩耗した旨、例えば、警鐘や回転灯作動などにより報知するように構成する。
【0103】
これにより、警報部34によりロータ7の荷重が所定の重量減少したことを報知された作業者は、警報部34をリセットして報知を解除させた後、反転操作を行う。もちろん、作業者を介さずに全自動により反転させるように構成させてもよい。
(その他の反転指示制御例)
以上、運転時間及びハンマーの摩耗状況による反転時期の制御の例を説明したが、反転時期の制御は、適宜他の手法を用いてもよい。例えば、被破砕物の供給量(重量又は体積ベース)、破砕物の生成量(重量又は体積)により反転時期を制御してもよく、これらの制御を組み合わせて制御してもよい。すなわち、反転時期は、(1)タイマーで反転、(2)警報で報知、(3)一定周期で反転、(4)軸受け荷重が所定値となった場合に反転、(5)一定の破砕物量で反転、から選択された一つまた二つ以上の組み合わせで行うことができる。
【0104】
以上図面により本発明を説明したが、本発明は以上の図面に限定されずに、設計変更などがあってもよい。
【0105】
例えば、破砕装置の制御例の説明では、投入方向検出手段としてのセンサLS1、LS2による情報に基づいて各駆動部の制御を行う制御手段を備えている構成であったが、センサLS1、LS2に代えて電気的に開路(オフ)、閉路(オン)の切換え動作が行える機械的スイッチにより運転可否の判定をさせるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上の説明によれば、被破砕物は木材片が例示されていたが、本発明の被破砕装置は木材片に限定されずに、例えば、空き瓶などのガラス片の破砕装置にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明に係る破砕装置の概要を説明する図である。
【図2】図1の破砕装置を背面から見た図である。
【図3】図1の破砕装置の内部を説明する図である。
【図4】図1の破砕装置の内部を正面から説明する図である。
【図5】図1の破砕装置の回転刃の配列状況を平面から説明する図である。
【図6】図1の破砕装置の案内シュート部を斜視図により説明する図である。
【図7】本発明に係る破砕装置の改良例の要部を説明する図である。
【図8】図7の破砕装置の案内シュート部を斜視図により説明する図である。
【図9】図1の破砕装置におけるブリッジ生成箇所を説明する斜視図である。
【図10】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図11】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図12】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図13】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図14】本発明に係る破砕装置の制御例を説明する図である。
【図15】本発明に係る反転指示制御例に用いるハンマーの摩耗状況を検知する検知装置の概要を説明する図である。
【符号の説明】
【0108】
1:破砕装置
2:支持台
2A:補助支持台
3:供給開口部
3a:正面側開口部
3b:背面側開口部
4:搬出口
5a:正面カバー
5b:背面カバー
5c、5d:側面カバー
5d:天井カバー
51:扉
52:メンテ用扉
6:回転軸
6a:軸受け
7:ロータ
8:回転打撃子
8A:取付ボルト
8a、8b:刃面
9a:下方スクリーン(スクリーン)
9b:上方スクリーン(スクリーン)
10:モータ
11:伝達機構
12:供給装置
13:排出コンベア
14:供給コンベア
15:トップカバー
16:案内シュート
16A:前方経路
16B:後方経路
17:上部案内シュート
17a〜17d:傾斜側壁
171:投入方向変更手段
172:揺動軸
173:案内プレート
173a:前方面
173b:後方面
174:分離プレート
18:下部案内シュート
18a、18b:側壁
18c、18d:傾斜側壁
181:二股分岐手段
181a:稜線
181b:右斜面
181c:左斜面
182:離隔手段(離隔プレート)
Z方向:鉛直方向(上下方向)
31:回転方向指示手段(正逆回転操作部)
33:判定手段(制御部)
34:警報部、正逆回転方向表示部(報知手段)
35:シリンダ駆動部
36:回転方向切換部
37:三層交流電源
80:固定刃
81、82:固定刃
81a、82a:刃面
LS1,LS2:センサ(投入方向検出手段)
X方向:前後方向:(揺動方向・回転方向)
Y方向:左右方向:(揺動軸方向・回転軸方向)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に向けて開口した供給開口部と下方に向けて開口した搬出口とを備えた外枠内に、回転自在に配置されたロータの回転軸に対して直交して設けた複数の回転打撃子を交換可能に固定し、供給装置から投入された被破砕物を案内シュートを介して前記供給開口部から受け入れて回転打撃子により連続的に破砕して破砕された破砕物をスクリーンを介して前記搬出口より排出し、
前記ロータは回転方向が正方向及び逆方向に変更可能に駆動手段により駆動され、
前記回転打撃子は両刃であり、前記ロータの回転方向が正逆方向のいずれの方向に変更された場合にも被破砕物の破砕が可能に前記ロータに固定され、
前記案内シュートは、前記供給装置から供給された被破砕物を受け入れる上部案内シュートと、該上部案内シュートの下方に位置して上部案内シュートから供給された被破砕物を前記供給開口部まで案内する下部案内シュートとを備えて構成され、
前記上部案内シュートには、前記ロータの正回転方向又は逆回転方向に向けて前記供給開口部から投入される被破砕物の投入方向を変更する投入方向変更手段を備え、
前記下部案内シュートには、前記投入方向変更手段により投入方向が変更された被破砕物を前記回転軸に沿った長手方向に2分割に離間させて供給する二股分岐手段が配設されていることを特徴とする破砕装置。
【請求項2】
前記投入方向変更手段は、前記ロータの回転軸に平行な鉛直方向である上部案内シュートの下端に配設された揺動軸と、該揺動軸に軸支された案内プレートを備えて構成されていることを特徴とする請求項1記載の破砕装置。
【請求項3】
前記案内プレートの両面に、前記被破砕物をロータの回転軸方向に分離する分離プレートを備え、該分離プレートは、前記揺動軸に直交する鉛直方向に立設されていることを特徴とする請求項2記載の破砕装置。
【請求項4】
前記下部案内シュートを投入側と反投入側とに離隔する離隔手段を前記揺動軸の下方に備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の破砕装置。
【請求項5】
前記破砕装置は、前記ロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かを判定する判定手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の破砕装置。
【請求項6】
前記破砕装置は、前記回転打撃子により破砕された破砕物が所定の大きさにまで破砕されたか否かを選別するスクリーンを前記ロータの下方に配設するに加え、前記ロータの回転中心よりも上方にも延設することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の破砕装置。
【請求項1】
上方に向けて開口した供給開口部と下方に向けて開口した搬出口とを備えた外枠内に、回転自在に配置されたロータの回転軸に対して直交して設けた複数の回転打撃子を交換可能に固定し、供給装置から投入された被破砕物を案内シュートを介して前記供給開口部から受け入れて回転打撃子により連続的に破砕して破砕された破砕物をスクリーンを介して前記搬出口より排出し、
前記ロータは回転方向が正方向及び逆方向に変更可能に駆動手段により駆動され、
前記回転打撃子は両刃であり、前記ロータの回転方向が正逆方向のいずれの方向に変更された場合にも被破砕物の破砕が可能に前記ロータに固定され、
前記案内シュートは、前記供給装置から供給された被破砕物を受け入れる上部案内シュートと、該上部案内シュートの下方に位置して上部案内シュートから供給された被破砕物を前記供給開口部まで案内する下部案内シュートとを備えて構成され、
前記上部案内シュートには、前記ロータの正回転方向又は逆回転方向に向けて前記供給開口部から投入される被破砕物の投入方向を変更する投入方向変更手段を備え、
前記下部案内シュートには、前記投入方向変更手段により投入方向が変更された被破砕物を前記回転軸に沿った長手方向に2分割に離間させて供給する二股分岐手段が配設されていることを特徴とする破砕装置。
【請求項2】
前記投入方向変更手段は、前記ロータの回転軸に平行な鉛直方向である上部案内シュートの下端に配設された揺動軸と、該揺動軸に軸支された案内プレートを備えて構成されていることを特徴とする請求項1記載の破砕装置。
【請求項3】
前記案内プレートの両面に、前記被破砕物をロータの回転軸方向に分離する分離プレートを備え、該分離プレートは、前記揺動軸に直交する鉛直方向に立設されていることを特徴とする請求項2記載の破砕装置。
【請求項4】
前記下部案内シュートを投入側と反投入側とに離隔する離隔手段を前記揺動軸の下方に備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の破砕装置。
【請求項5】
前記破砕装置は、前記ロータの回転方向と被破砕物の投入方向との関係が所定の関係にあるか否かを判定する判定手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の破砕装置。
【請求項6】
前記破砕装置は、前記回転打撃子により破砕された破砕物が所定の大きさにまで破砕されたか否かを選別するスクリーンを前記ロータの下方に配設するに加え、前記ロータの回転中心よりも上方にも延設することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の破砕装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−101303(P2009−101303A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276129(P2007−276129)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
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