説明

破砕面部材

【課題】木質バイオマスを石炭と混合して粉砕する場合のような木材の切り刻みを必要とする粉砕においても、スリップの発生を抑制して、効果的な混合粉砕を行う。
【解決手段】破砕面部材20の表面に耐磨耗性の低い部分Aと耐磨耗性の高い部分Bを交互に形成する。耐磨耗性の低い部分Aと耐磨耗性の高い部分Bとを、それらの配列方向が部材運動方向に対して一方の方向に傾斜した第1グループaと他方の方向に傾斜した第2グループbとの組合せにより構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロール粉砕機、コーンクラッシャ、リングロールミル、竪型ローラミル、エッジランナ等の粉砕機に使用されて高面圧摩擦を受けるローラ、テーブ等の破砕面部材に関し、更に詳しくは木質バイオマスを含む混合粉砕原料の破砕に適してた破砕面部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、炭酸ガス排出規制に関して、一部の国を除いて世界的規模で合意調印がなされた。これに伴い、森林国であるわが国では、特に杉、檜等の間伐材、木片、樹皮等の林業廃棄物を木質バイオマスとして燃料に有効利用することが計画されている。
【0003】
バイオマスとは、エネルギー源として利用な生物資源(植物、動物を構成する有機物)のことである。石油、石炭などの化石燃料を燃焼させときる発生する二酸化炭素は排出規制の対象になるが、木質バイオマスのような生物由来の資源を燃焼させたときに排出される二酸化炭素は、この規制が除外されているのである。
【0004】
このような事情から、バイオマス利用技術の開発が進められており、その一環として火力発電所では、木質バイオマスを石炭焚きボイラーの石炭と混合して燃焼させる混焼発電が検討されている。この技術は、廃棄処理に困っていた廃材を発電電力に変換できることで、一石二鳥の効果をもつ。
【0005】
火力発電所における木質バイオマスの利用法としては、間伐材、木片、樹皮等のチップを木質バイオマスとして石炭と共に石炭粉砕機に投入することにより石炭と共に微粉砕し、微粉炭と混合した状態で石炭バーナーからボイラーに吹き込む方法がある。他の方法としては、従来どおり石炭を石炭粉砕機で単独に粉砕し、石炭バーナーからボイラーに吹き込むと共に、木質バイオマスを他の粉砕機で粉砕して専用バーナーでボイラー内に吹き込む方法がある。
【0006】
設備、手法が簡単な前者の混焼発電が最近、石炭火力発電所で試みられたが、木質バイオマスの混合量が多くなると石炭粉砕機が大きく振動し、粉砕操作が困難になることが指摘されている。すなわち、石炭火力発電所における石炭粉砕機としては通常、竪型ローラミルが使用される。一方、柔らかく繊維質の多いチップ状の木質バイオマス(バイオマスチップ)を微粉砕するためには、まず繊維質を細かく切り刻んでバラバラにするホグシ工程の後、磨り潰し工程により微粉で粉砕する2段操作が必要であると考えられる。
【0007】
しかしながら、竪型ローラミルにバイオマスチップを混合した石炭を投入した場合は、粉砕ローラの表面が平滑であるために、バイオマスチップを切り刻む効果がなく、むしろバイオマスチップが単なるクッション材の役割を果たして粉砕ローラにスリップを発生させ、木材に含まれる水分がこのスリップをより助長することになる。その結果、粉砕機自体に大きな振動が発生するようになり、粉砕操作が困難になる。また、粉砕原料の噛み込みも困難になる。これらの結果、バイオマスチップの混合量を多くすることができないでいるのである。
【0008】
すなわち、バイオマスチップを細かく切り刻むには剪断力が必要であるところ、竪型ローラミルは、剪断力よりも圧縮荷重の方が強大であり、本質的に切り刻みに適さない。切り刻みに必要な剪断力を発生させることもできるが、その場合は粉砕ローラにスリップを発生させる設計と、そのスリップを抑制する強大な荷重付加とが必要になり、その結果、設備が大がかりとなって高価となる。
【0009】
このような状況に鑑み、本発明者は特許文献1に記載された破砕面部材に着目した。この破砕面部材は本発明者がかって創案したものであり、破砕面部材の少なくとも表層部に耐磨耗性が異なる2種類のブロックを、破砕面上で材料が噛み込まれていく方向、すなわち部材移動方向に交互に配列した構成になっている。
【0010】
【特許文献1】特許第1618574号公報
【0011】
ローラ表面に耐磨耗性の低い部分と耐磨耗性の高い部分とを、部材運動方向であるローラ回転方向に交互に形成すると、使用に伴って耐磨耗性の低い部分の表面に安定的な凹み(溝部)が形成され、噛み込み性ひいては破砕性が著しく向上する。これをバイオマスチップを含む石炭原料の粉砕に適応するならば、繊維質の柔らかいバイオマスチップの切り刻みを期待できる。そして、これを実際に試みたところ、確かにバイオマスチップの切り刻みは促進された。しかし、その効果は十分とはいえなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、木質バイオマスを石炭と混合して粉砕する場合のような木材の切り刻みを必要とする粉砕においても、スリップの発生を抑制して、効果的な混合粉砕を行うことができる破砕面部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の破砕面部材は、一組の破砕面部材の間に粉砕原料を噛み込んで粉砕していく粉砕機の破砕面部材であって、その少なくとも表層部に耐磨耗性の高い部分と低い部分とが部材運動方向に交互に配列されており、且つ耐磨耗性の高い部分と低い部分は、それらの配列方向が部材運動方向に対して一方の方向へ傾斜した第1グループと他方の方向へ傾斜した第2グループとの組合せにより構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の破砕面部材においては、少なくとも表層部の部材運動方向に交互に形成された耐磨耗性の高い部分と低い部分とが、配列方向が部材運動方向に対して一方の方向に傾斜した第1グループと他方の方向に傾斜した第2グループとの組合せにより構成されている。耐磨耗性の高い部分と低い部分とが交互に形成されると、当該破砕面部材の使用に伴って耐磨耗性の低い部分の各表面に安定的な凹み(溝部)が形成され、一組の破砕面部材間への粉砕原料の噛み込み性などが向上する。
【0015】
耐磨耗性の高い部分と低い部分の配列方向、すなわちこの溝部列の配列方向が部材運動方向に対して傾斜すると、部材間への原料噛み込み性等が更に向上するが、その一方では、部材間に噛み込まれた原料の排出が促進され、結果としてバイオマスを含むような粉砕原料の効率的な粉砕は行えない。
【0016】
しかるに、溝部列が部材運動方向に対して一方の方向へ傾斜した第1グループと、他方の方向へ傾斜した第2グループとの組合せにより構成されると、優れた噛み込み性を維持しつつ、噛み込み原料が部材間に長時間留め置かれ、部材間における原料の滞留時間が長くなる。これにより、粉砕原料が木質バイオマスを含むような場合も、その木材の切り刻みが十分に行われ、効率的な混合粉砕が可能となる。粉砕原料の一部は破砕面部材の表面に形成された溝部の長手方向に移動するので、溝部の傾斜によりこの移動距離も長くなり、この面からも原料滞留時間が長くなる。
【0017】
これに加え、木質バイオマスのような繊維質から構成された柔らかい物質をローラミル等の破砕機で破砕する場合、粉砕点では圧縮荷重による粉砕力よりも、むしろ剪断力により繊維質を破壊するような力が求められる。耐磨耗性の高い部分と低い部分の配列方向を部材運動方向に対して傾斜させた場合、粉砕点における応力はx軸方向の分力とy軸方向の分力とに分かれ、粉砕原料を縦横に引き裂く力を発生させる。この分力の点からも、木質バイオマスのような繊維質から構成された柔らかい物質を効果的に破壊することが可能となる。
【0018】
特に好ましい構成は、第1グループと第2グループとが部材運動方向に交互に配列された構成である。これにより、部材間における材料滞留時間が特に長くなる。また、第1グループと第2グループとの間に、耐磨耗性の高い部分と低い部分の配列方向が部材運動方向に沿った第3グループを設ける構成も好ましい。この構成により、第1グループと第2グループとの間での粉砕圧力の増大が抑制され、部材寿命の延長や動力損失の低減が図られる。
【0019】
第1グループ及び第2グループにおる耐磨耗性の高い部分と低い部分の配列方向の部材運動方向に対する傾斜角度は45度以下が好ましい。45度を超えると、粉砕原料を排斥する方向に過度の力が働き、噛み込み性等が低下する。傾斜角度の下限については10度以上が好ましい。10度未満の場合は直角配置と機能的に変わらず、噛み込み性等が低下する。特に好ましい傾斜角度は15〜45度である。
【0020】
耐磨耗性の高い部分を構成する材料としては、高クロム鋳鉄系合金、タングステン粒子を含有する耐磨耗性合金等を挙げることができる。また、耐磨耗性の低い部分を構成する材料としては、軟鋼、低炭素鋼、クロム−モリブデン鋼、ステンレス鋼等を挙げることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の破砕面部材は、少なくとも表層部の部材運動方向に交互に形成される耐磨耗性の高い部分と低い部分を、それらの配列方向が部材運動方向に対して一方の方向に傾斜した第1グループと他方の方向に傾斜した第2グループとの組合せにより構成することにより、噛み込み性の向上と共に、噛み込み原料の滞留時間の延長を図ることができ、これにより、木質バイオマスを石炭と混合して粉砕する場合のような木材の切り刻みを必要とする粉砕においても、スリップの発生を抑制して効果的な混合粉砕を可能にし、木質バイオマスの混合量の増大等を図ることにより、二酸化炭素排出量の低減等に大きな効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示す粉砕機の主要部の構造を示す縦断図図、図2は同粉砕機に使用されている粉砕ローラの斜視図、図3は同粉砕ローラの表層部の構造を示す断面図である。
【0023】
本実施形態の破砕面部材は、石炭火力発電所におけるロッシェミル型石炭粉砕機に使用される粉砕ローラ、すなわちロッシェミルローラである。この石炭粉砕機は、図1に示すように、円盤状の回転テーブル10と、回転テーブル10上に配置された複数個の粉砕ローラ20とを備えている。回転テーブル10は、表面を耐磨耗性金属により被覆されており、所定方向に回転する。
【0024】
本実施形態の破砕面部材である複数の粉砕ローラ20は、一端部から他端部へかけて外径が漸減する円錐台形状であり、小径側を回転テーブル10の中心線の方にむけてその中心線回りに等角配置されている。そして、これらの粉砕ローラ20は、中心線に対して傾斜した外周面が回転テーブル10に対して適切なクリアランスをもって対向するように回転テーブル10の中心側へ傾斜して配置されると共に、回転テーブル10の回転に同期して回転するようになっている。
【0025】
各粉砕ローラ20は、図2及び図3に示すように、ローラ本体21の外周面上に、耐磨耗性の低い部分Aと耐磨耗性の高い部分Bとを、当該粉砕ローラ20の運動方向であるローラ周方向に交互に形成した構成になっており、より詳しくは、ローラ中心線方向の両端部を除く有効部分に、耐磨耗性の低い部分Aと耐磨耗性の高い部分Bとを交互に形成した構成になっている。耐磨耗性の低い部分Aは、ローラ20の中心線に沿って延びるリブ状の易溶接材料からなり、ここでは、例えばSS400からなる厚さTが9mm、高さHが30mmのフラットバー22をローラ本体21の外周面に周方向に所定間隔で溶接することにより形成されている。
【0026】
耐磨耗性の高い部分Bは、隣接するフラットバー22,22間に耐磨耗性金属23を溶接肉盛することにより形成されており、より具体的には、例えばマンガンを主な合金成分とするマンガンオーステナイト系合金からなるマトリックス中に、別途製造された高硬度炭化物粒子を、断面積比で20〜70%占めるよう添加して分散混合させた複合材等を、フラットバー22,22とほぼ同じ高さまで多層肉盛溶接することにより形成されている。この高耐磨耗性の肉盛硬化金属23は、ローラ周方向両側のフラットバー22,22及び下側のローラ本体21に溶け込み一体化している。
【0027】
そして、ローラ外周部の周方向に交互に配列された多数の耐磨耗性の低い部分A及び高い部分Bは、それらの配列方向がローラ周方向に対して一方の方向に所定角度θaで傾斜した第1グループaと、他方の方向に所定角度θbで傾斜した第2グループbと、ローラ周方向に平行な第3グループcとの組合せからなり、より詳しくは、第3グループcを挟みながら第1グループaと第2グループbを周方向へ交互に繰り返した構成になっている。
【0028】
ロッシェシル型石炭粉砕機では、粉砕原料は複数の粉砕ローラ20の内側、すなわち回転テーブル10の中心部上に投入される。投入された粉砕原料は、回転テーブル10及び粉砕ローラ20の同期回転に伴って回転テーブル10と粉砕ローラ20との間に噛み込まれ、この間で粉砕されて複数の粉砕ローラ20の内側、すなわち回転テーブル10の外周側へ排出される。第1グループaでは、耐磨耗性の低い部分A及び高い部分Bの配列方向Xは、投入原料の噛み込みを促進するために、ローラ回転方向Zに向かって大径側へ傾斜しており、第2グループbでは、その配列方向Yは投入原料の排出を抑制し滞留を促進するために、ローラ回転方向Zに向かって小径側へ傾斜している。
【0029】
このような構成のロッシェシル型石炭粉砕機では、次のようにして投入原料の粉砕が行われる。
【0030】
回転テーブル10及び複数の粉砕ローラ20が所定方向に同期回転する状態で、所定量の木質バイオマス(バイオマスチップ)が混合された石炭が、粉砕原料として複数の粉砕ローラ20の内側、すなわち回転テーブル10の中心部上に投入される。投入された混合原料は回転テーブル10と粉砕ローラ20との間に噛み込まれ、粉砕される。これにより、粉砕ローラ20では耐磨耗性の低い部分Aが所定深さで安定的に凹み、この部分Aに溝部24が形成される。この溝部24が原料の噛み込み性、粉砕性に好結果をもたらすことは前述したとおりである。
【0031】
このとき、原料中のバイオマスチップの混合量が多いと、粉砕ローラ20がスリップする傾向が増大して、粉砕機の振動が助長されるが、投入原料は、粉砕ローラ20の第1グループaの部分と第2グループbの部分とで交互に粉砕され、これにより回転テーブル10と粉砕ローラ20との間に長時間封じ込められる。
【0032】
すなわち、粉砕ローラ20の第1グループaの部分で粉砕されるときは、ローラ表面に形成される溝部24の配列方向Xがローラ回転方向Zに向かって大径側に傾斜していることにより、原料の噛み込み、掻き寄せが促進されるが、第1グループaのみだと原料の排出も促進され、トータルとしては効率的な粉砕は行われない。しかるに、第1グループaの部分での粉砕と第2グループbでの粉砕が交互に繰り替えされると、第2グループbによる粉砕では、溝部24の配列方向Yがローラ回転方向Zに向かって小径側に傾斜していることにより、排出を阻止する方向に粉砕原料の移動方向が変更される。
【0033】
この交互粉砕の繰り返しにより、原料はローラ回転方向Zに対して移動方向をジグザクに変更し、回転テーブル10と粉砕ローラ20との間に長時間滞留することになる。また、いずれの粉砕でも溝部24の傾斜配置により効率的な粉砕が行われる。これらの結果、原料中のバイオマスチップも繊維質が効果的に破壊されると共に、バイオマスチップ中の水分の蒸発も促進され、その結果として粉砕ローラ20のスリップが抑制され、振動が収まって安定操業が可能になる。かくして、バイオマスチップの混合量の増大が可能になる。
【0034】
更に本実施形態では、粉砕ローラ20の第1グループaと第2グループbとの間に、溝部24の配列方向がローラ周方向Zである第3グループcが介在している。第3グループcがなく、第1グループaと第2グループbとが隣接していると、この間で原料の移動方向が急激に変化するため、無理な粉砕圧力が発生し、ロールを早期磨耗させたり動力損失を増大させたりする。しかるに、この間に溝部24の配列方向がローラ周方向Zである第3グループcが介在していると、この原料の移動方向の転換に伴う粉砕圧力の増大が緩和され、粉砕ローラ20の寿命延長、駆動力低減が図られる。
【0035】
本実施形態の破砕面部材における設計因子としては、第1グループa、第2グループb及び第3グループcにおける溝部24の数、すなわち耐磨耗性の低い部分Aと高い部分Bの繰り返し数が重要である。また、第1グループa及び第2グループbにおける溝部24の配列方向のロール周方向に対する傾斜角度θa及びθbが重要である。
【0036】
第1グループaにおける溝部24の数Saと、第2グループbにおける溝部24の数Sbは、これらの比率で表してSa:Sb=1:1を基準として適宜決定する。すなわち、Sa:Sb=1:1を満足する粉砕ローラ20で実際に操業を行い、振動が発生するようであれば、原料の排出を抑制し滞留を促進するSbを増やし、Sa≦Sbの方向で振動が止まる比率を見付ける。
【0037】
Sa及びSbの絶対数については、余りに少なすぎるとそれぞれの機能を十分に発揮させることが困難になり、多すぎると両者を組み合わせる意味が薄れるので、破砕面部材の寸法(ローラの場合はローラ径及びローラ幅等)に応じて適宜選択することになる。
【0038】
第3グループcにおける溝部24の数Scについては、少なくとも1つあればよいが、多くすると第1グループaと第2グループbを組み合わせる意味が薄れるので、1〜3が好ましく、小径ローラの場合は1〜2でもよい。
【0039】
第1グループa及び第2グループbにおける溝部24の配列方向のロール周方向に対する傾斜角度θa及びθbについては、前述したとおり10〜45度が好ましく、15〜45度が特に好ましい。
【0040】
ちなみに、耐磨耗性の低い部分Aと高い部分Bの配列方向における寸法比、すなわち耐磨耗性の低い部分Aの幅WA と耐磨耗性の高い部分Bの幅WB の比率は、WA /WB =1〜10が好ましい。この比が小さすぎると耐磨耗性の低い部分Aの磨耗が促進され、溝部24が深くなって寿命が短くなる。逆に大きすぎる場合は噛み込み性が低下するとか粒度の小さい原料の粉砕に適用が限定されるといった問題が生じる。
【0041】
なお、本実施形態の破砕面部材では、ロッシェミル型粉砕機における円錐台形状の粉砕ローラに本発明を適用したが、ロッシェミル型粉砕機におけるテーブルに本発明を適用することができ、両者に本発明を適用することもできる。また、ロッシェミル型粉砕機以外の粉砕機における破砕面部材に本発明を適用できることは言うまでもなく、具体的にはパウルミル型粉砕機における粉砕ローラやテーブル、竪型ミルにおける粉砕ロールやテーブル等に本発明を適用することができる。パウルミルにおける粉砕ローラはロッシェミルにおける粉砕ローラと同様の円錐台形状であり、竪型ミルにおける粉砕ロールはタイヤ型であり、そのテーブル表面にはタイヤ型の粉砕ローラが嵌合する溝が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は本発明の一実施形態を示す粉砕機の主要部の構造を示す縦断図図である。
【図2】同粉砕機に使用されている破砕面部材(粉砕ローラ)の斜視図である。
【図3】同破砕面部材(粉砕ローラ)の表層部の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
10 テーブル(破砕面部材)
20 粉砕ローラ(破砕面部材)
21 ローラ本体
22 フラットバー
23 耐磨耗性金属
24 溝部
A 耐磨耗性の低い部分
B 耐磨耗性の高い部分
a 第1グループ
b 第2グループ
c 第3グループ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一組の破砕面部材の間に粉砕原料を噛み込んで粉砕していく粉砕機の破砕面部材であって、その少なくとも表層部に耐磨耗性の高い部分と低い部分とが部材運動方向に交互に配列されており、且つ耐磨耗性の高い部分と低い部分は、それらの配列方向が部材運動方向に対して一方の方向へ傾斜した第1グループと他方の方向へ傾斜した第2グループとの組合せにより構成されていることを特徴とする破砕面部材。
【請求項2】
第1グループと第2グループとが部材運動方向に交互に配列されている請求項1に記載の破砕面部材。
【請求項3】
第1グループ及び第2グループにおる耐磨耗性の高い部分と低い部分の配列方向の部材運動方向に対する傾斜角度が45度以下である請求項1に記載の破砕面部材。
【請求項4】
第1グループと第2グループとの間に、耐磨耗性の高い部分と低い部分の配列方向が部材運動方向に沿った第3グループが設けられている請求項1に記載の破砕面部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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