説明

硫化鉱及び/又は硫化精鉱の酸化浸出方法

1以上の標的金属を含む硫化鉱及び硫化精鉱の少なくともいずれかから前記標的金属を浸出する方法であって、(a)次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも10モル%を占める塩素系酸化種の水溶液に前記硫化鉱及び/又は精鉱を曝露する工程と;(b)次亜塩素酸により前記標的金属を酸化させて及び/又は酸化を促進して、優勢塩素系酸化種が塩素になるようにpHを低下させる工程と;(c)塩素により前記標的金属を酸化させる及び/又は酸化を促進する工程と;(d)次亜塩素酸及び/又は塩素による酸化中に形成される溶液種により前記標的金属を溶解させる及び/又は溶解を促進する工程と;(e)生成された標的金属富化溶液を金属回収手段に通す工程と;を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属を含有する硫化鉱及び/又は硫化精鉱から前記金属を浸出する方法に関する。より具体的には、本発明の浸出方法は、次亜塩素酸の形態の塩素系酸化種を利用する。
【背景技術】
【0002】
塩素系酸化種を用いる酸化浸出に関する先行技術の報告には、典型的に、酸性溶液中における気体塩素の使用について記載されており、前記塩素は、気体シリンダーから供給されるか、又はその場で生成される。しかし、塩素は高価な試薬であるので、塩素系酸化浸出法が経済的に実現可能であるかどうかを判定するために最も重要な要因の1つは水性塩素の消費である。経済的な塩素の生成には高純度の塩化ナトリウム溶液が必要であるが、再利用溶液は、塩素の生成にとって有害なイオンをかなりの濃度必然的に含有するので、塩素の生成方法では一般的に再利用溶液の使用が認められず、この事実が経済的問題を更に悪化させている。
【0003】
更に、幾つかの経済的に重要な鉱石/精鉱では、低pH値における塩素系浸出の有用性が限定的であることが立証されている。これは、鉱石上に不動態化層が形成されるためであると考えられている。
【0004】
Puvaadaらは、非特許文献1において、金/銀を含有している黄銅精鉱を塩化物/次亜塩素酸塩媒体で浸出した。出発溶液は、典型的に、pHが1未満である0.35M(12.8g/L)のHClを含有していた。25g/L〜200g/LのNaClを添加することにより、回収率が向上した。最終的な回収率は、3種のNaOCl濃度全てにおいて非常に類似していることが見出され、最高回収率は、32.7%であった。全てのNaOCl濃度において、銀の溶解は経時的に一定速度で増加し、最高回収率は22.8%に達した。
【0005】
したがって、Puvaadaらは、10atm〜25atmの圧力下にて溶液中で150℃に加熱することによって、精鉱を予め酸化した。この予酸化後、湿式加圧酸化された銅精鉱を25mL/LのNaOCl、200g/LのNaCl、及び0.35MのHClで浸出したところ、1時間の金及び銀の回収率がそれぞれ90.0%及び92.5%に向上した。後続の酸−塩化物−次亜塩素酸塩浸出工程における鉱石/精鉱からの金及び銀の回収率を高めるために、予酸化工程が必須であることは明らかであった。
【0006】
Slater(特許文献1)は、「少なくとも部分的に硫化物として存在する金属分を含有する材料から前記金属分を浸出する方法であって、前記材料を過剰の酸浸出溶液と反応させた後、遊離酸の存在下で塩素−酸素化合物と反応させる工程を含む方法」を請求している。Slaterによって記載されている方法は、2つの別々の浸出工程を必要とする。先ず、Slaterは、鉱石を過剰の酸で浸出した。次いで、前記の通り処理された鉱石を「塩素−酸素」浸出に供し、これも酸溶液中で行った。
【0007】
特許文献2は、酸化剤の多くの候補のうちの1つとして次亜塩素酸塩を用いる方法を提示している。この方法は、1段階であるが、高濃度塩化物溶液(>200g/L MgCl)、高酸性度(30g/L〜150g/L HCl)、及び高温(>75℃)を利用する。また、前記方法は、「硫化水素に変換された硫化鉱材料から浸出された硫黄硫化物」を変換することを目的とする。上記例は、全てpH<0の溶液を用いて行われ、請求項の範囲内における最高の作用pHは2.5である。
【0008】
特許文献3には、「採掘された状態の粗鉱石、その精鉱、又は前記粗鉱石から部分的に焙焼された精鉱」に対して次亜塩素酸ナトリウムを用いてニッケル及びコバルトを回収する方法について記載されている。特許文献3は、「鉱石に最初に適用するときには、遊離塩素の遊離により次亜塩素酸塩が破壊されることに起因する更なる酸化を防ぐのに十分な程度溶液が酸性になる可能性がある前、十分に高いpH値(例えば10〜12)を有し、且つニッケル、コバルト、及び銅の硫化物の全てを鉱石中に存在する鉄の硫化物の一部と共に硫酸塩に酸化するために、アルカリ性を維持している間に必要とされる酸素の量を提供するのに十分な量であることが重要である」ことを教示している。
【0009】
Cho(非特許文献2)には、pH3.6〜5における、黄銅鉱及び閃亜鉛鉱の浸出に対する撹拌速度、温度、pH、及び次亜塩素酸濃度の効果についての実験室レベルの研究が記載されている。溶液のpHは、水酸化ナトリウムを添加することによって制御された。しかし、実用的視点からは、塩基の添加、特に水酸化ナトリウムの添加は、概して浸出方法の経済性に悪影響を与えるので、このような方法は実現不可能である可能性が高い。更に、経済性にとっては次亜塩素酸の消費量が重要であるが、Choは、溶液中銅1モル当たり6.0モル〜7.2モルのHClOが消費されると報告している。
【0010】
Choらによる更なる研究(非特許文献3)によって、85℃で0.5Mの次亜塩素酸塩を用いたとき、浸出反応は、pH13で最大速度を有することが示された。次亜塩素酸塩の消費量は、溶解した銅1モル当たり20モル〜65モルHClOであり、これは明らかに不経済である。
【0011】
この明細書全体を通して、文脈上他の意味を必要としない限り、語句「含む(comprise)」又は「含んでいる(comprises、comprising)」等の変形は、指定の整数又は整数群を含むことを意味するが、任意の他の整数又は整数群を除くことを意味するものではないと理解されたい。
【0012】
背景技術に関する議論は、本発明の背景を説明する目的だけのために含まれる。前記議論は、言及された任意の資料が優先権主張日以前にオーストラリア又は他の何処かにおいて本発明に関連する分野における一般的な知見であったことを認めるものではないと理解すべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第1438869号明細書(1922年12月12日)
【特許文献2】加国特許第2478516AL号明細書(2005年2月9日)
【特許文献3】米国特許第2205565号明細書(1940年6月25日)
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Puvaada et al,Hydrometallurgy vol.58,2000,p.185−191
【非特許文献2】Cho,Leaching Studies of Chalcopyrite and Sphalerite with Hypochlorous Acid,Metallurgical Transactions B,Volume 18B,June 1987
【非特許文献3】R.Garlapalli,E.H.Cho and R.Yang,Leaching of chalcopyrite with sodium hypochlorite,Hydrometallurgy 2008,eds.C.A.Young,P.R.Taylor,C.G.Anderson and Y.Choi,SME,p.653−663
【発明の概要】
【0015】
本発明によれば、1以上の標的金属を含有する硫化鉱及び/又は精鉱から前記標的金属を浸出する方法であって、
(a)次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも10モル%を占める塩素系酸化種の水溶液に前記硫化鉱及び/又は精鉱を曝露する工程と;
(b)次亜塩素酸により前記標的金属を酸化させて及び/又は酸化を促進して、優勢塩素系酸化種が塩素になるようにpHを低下させる工程と;
(c)塩素により前記標的金属を酸化させる及び/又は酸化を促進する工程と;
(d)次亜塩素酸及び/又は塩素による酸化中に形成される溶液種により前記標的金属を溶解させる及び/又は溶解を促進する工程と;
(e)生成された標的金属富化溶液(pregnant solution)を金属回収手段に通す工程と;
を含む方法が提供される。
【0016】
本発明の非常に好ましい形態では、硫化鉱は酸化されていない硫化鉱である及び/又は精鉱は酸化されていない硫化鉱から生成される。
【0017】
本発明者らは、例え短時間であっても、硫化鉱及び/又は精鉱を次亜塩素酸に曝露することによって、塩素又は次亜塩素酸イオンが優勢である条件下で塩素系酸化剤に曝露したときよりも金属回収率を向上させられることを見出した。
【0018】
本発明者らは、酸化されていない硫化鉱を予め次亜塩素酸に曝露することによって、金属の回収が実現可能になることを更に見出した。明らかに、次亜塩素酸に曝露する前に硫化鉱を予め酸化する必要がなくなることによって、相当な時間及び費用が節約され、また任意の次亜塩素酸に基づく工程の経済性が大幅に向上する。
【0019】
本発明の好ましい形態では、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも10モル%を占める塩素系酸化種の水溶液に硫化鉱及び/又は精鉱を曝露する工程は、より具体的には、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも10モル%を占める塩素系酸化種の水溶液に硫化鉱及び/又は精鉱を最初に曝露する工程を含む。
【0020】
本発明者らは、例え短時間であっても、硫化鉱及び/又は精鉱を次亜塩素酸に最初に曝露することによって、塩素系酸化剤に曝露したときよりも金属回収率を向上させられることを更に見出した。
【0021】
当業者であれば理解できる通り、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも10モル%を占める塩素系酸化種の水溶液に硫化鉱及び/又は精鉱を最初に曝露することを含む本発明の方法の実施形態は、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの10モル%未満である条件下で次亜塩素酸塩に硫化鉱及び/又は精鉱を最初に曝露する実施形態とは異なり、溶液のpHが低下することによって塩素系酸化種のうちの次亜塩素酸の比率が増加する。無論、かかる方法は、本発明の広義の定義の範囲内であることを当業者であれば理解するであろう。
【0022】
本発明の好ましい形態では、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも20モル%を占める。本発明の好ましい形態では、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも30モル%を占める。本発明の好ましい形態では、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも40モル%を占める。本発明の好ましい形態では、次次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも50モル%を占める。本発明の好ましい形態では、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも60モル%を占める。本発明の好ましい形態では、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも70モル%を占める。本発明の好ましい形態では、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも80モル%を占める。本発明の好ましい形態では、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも90モル%を占める。本発明の好ましい形態では、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも95モル%を占める。本発明の好ましい形態では、モルベースで、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも99モル%を占める。
【0023】
次亜塩素酸は、例えば、次亜塩素酸ナトリウム等の次亜塩素酸塩と酸との組み合わせに硫化鉱及び/又は精鉱を曝露することによって、その場で生成することができる。
【0024】
本発明は、塩素系酸化種を相補的酸化種と同時に又は順次使用することを含む。本発明の1つの形態では、前記相補的酸化種は、鉄(III)(第二鉄)イオンである。
【0025】
本発明の好ましい形態では、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも10モル%を占める塩素系酸化種の水溶液に曝露される硫化鉱及び/又は精鉱は、予め浸出されてはいない。
【0026】
本発明の好ましい形態では、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも10モル%を占める塩素系酸化種の水溶液に曝露される鉱石及び/又は精鉱は、予め焙焼されてはいない。
【0027】
理論に縛られるものではないが、本発明者らは、硫化鉱及び/又は精鉱を次亜塩素酸に曝露することによって、低pHにおける塩素浸出で報告されている回収率の低さに関与している可能性がある不動態化層の形成が低減されると考える。
【0028】
当業者であれば理解できる通り、次亜塩素酸は、塩素酸(I)、次亜塩素酸水素、及び塩素酸水素(I)としても知られており、分子式はHClO(又はHOCl)である。
【0029】
また、当業者であれば理解できる通り、単独で用いられる塩素という用語は、特にCl種を指す。
【0030】
この明細書全体を通して、文脈上他の意味を必要としない限り、スルホキシ種という用語は、様々な酸化状態の硫黄と酸素とを両方含む種を指し、例えば、SO2−硫酸、SO2−亜硫酸、S2−チオ硫酸、HSO硫酸水素(重硫酸)、HSO亜硫酸水素(重亜硫酸)、チオ硫酸、S2−、テトラチオン酸、S2−、チオ亜硫酸、S2−、S2−、S2−、S2−、及びこれらの様々なプロトン化形態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
当業者であれば理解できる通り、硫化鉱という用語は、非金属元素の硫黄のみを含む鉱石に限定されると理解すべきではなく、例えば、ヒ化物、テルル化物、セレン化物、アンチモン化物、及びこれらの混合物を更に含有する鉱石を含む。
【0032】
例えば、本発明の方法が適用される硫化鉱及び/又は精鉱は、以下の金属:Zn、Pb、Cu、Ni、Co及び/又はFeの任意の硫化物及び/又は硫ヒ化物を含み、例えば、閃亜鉛鉱、ウルツ鉱、方鉛鉱、黄銅鉱、斑銅鉱、硫ヒ銅鉱、銅藍、輝銅鉱、針ニッケル鉱、硫鉄ニッケル鉱、磁硫鉄鉱、硫ヒ鉄鉱、黄鉄鉱、ニッケルマット、及びホワイトメタル(銅溶鉱における中間体)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書全体を通して、文脈上他の意味を必要としない限り、優勢という用語は、本発明の方法が実施される温度における塩素種のpH優勢図の状況で理解すべきである。例えば、25℃における塩素種の優勢図を図1に示す。この温度では、pH約3未満では塩素(Cl)が優勢であり、pH約3〜約8では次亜塩素酸(HClO)が優勢種であり、pH8を超えると次亜塩素酸イオン(ClO)が優勢である。塩素の水溶解度は、次亜塩素酸又は次亜塩素酸イオンよりも低い。
【0034】
当業者であれば理解できる通り、温度が変化するとpH範囲も変化する。この情報は、当業者であれば複数の情報源から容易に入手可能である。例えば、G.H.Kelsall,N.J.Welham and M.A.Diaz‘Thermodynamics of Cl−HO,Br−HO,I−HO,Au−Cl−HO,Au−Br−HO and Au−I−HO systems at 298K’,Journal of Electroanalytical Chemistry,361(1−2),1993,13−24を参照されたい。
【0035】
これは、工程(a)、(b)、(c)、及び(d)のうちの1以上を高温で行う方法を本発明が含むときに特に関連する。
【0036】
図1の優勢図から分かるように、低pH値では、優勢種は塩素ガスであり、これは、水溶液に対する溶解度が限定的であるので開放浸出系から容易に失われる。本発明の背景技術で論じられているように、塩素は高価な試薬であり、上記のように塩素が失われることは、任意の浸出法の経済性に悪影響を与える。
【0037】
本発明の好ましい形態では、塩素ガスにより標的金属を酸化させる及び/又は酸化を促進する工程は、密閉された反応容器内で行われる。
【0038】
本発明の好ましい形態では、次亜塩素酸により標的金属を酸化させて及び/又は酸化を促進して、優勢塩素系酸化種が塩素ガスになるようにpHを低下させる工程は、密閉された反応容器内で行われる。
【0039】
本発明の非常に好ましい形態では、次亜塩素酸により標的金属を酸化させて及び/又は酸化を促進して、優勢塩素系酸化種が塩素ガスになるようにpHを低下させる工程と、塩素ガスにより標的金属を酸化させる及び/又は酸化を促進する工程とは、密閉された反応容器内で行われる。
【0040】
しかし、優勢塩素系酸化種が次亜塩素酸である場合、塩素の離溶による損失が著しく低減されるので、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも10モル%を占める塩素系酸化種の水溶液に硫化鉱及び/又は精鉱を曝露する工程は、密閉された反応容器内で行う必要はない。例えば、前記工程は、開放容器内で堆積浸出又は大気圧浸出によって実施してもよい。
【0041】
本発明の好ましい形態では、塩素により標的金属を酸化させる及び/又は酸化を促進する工程の後、前記方法は、浸出剤の添加により標的金属を浸出させる及び/又は浸出を促進する工程を含む。
【0042】
塩素ガスが優勢である低pH値では、硫化鉱及び/又は硫化精鉱は、有利なことに酸浸出にも供される。
【0043】
更に、硫化鉱及び/又は精鉱が大量の鉄を含有している場合、次亜塩素酸によって酸化条件になった後、且つ塩素ガスが優勢である低pH値において、硫化鉱及び/又は硫化精鉱を第二鉄浸出に供してもよい。
【0044】
本発明の好ましい形態では、塩素により標的金属を酸化させる及び/又は酸化を促進する工程の後、前記方法は、酸及び/又は第二鉄イオンにより標的金属を浸出させる及び/又は浸出を促進する工程を含む。
【0045】
酸及び/又は第二鉄イオンにより標的金属を浸出させる及び/又は浸出を促進する工程は、更に酸化剤及び/又は酸を添加することを含んでいてもよい。
【0046】
本発明の1つの形態では、反応混合物に空気を吹き込んで第二鉄イオンを再生する。本発明の別の形態では、反応混合物に酸素を吹き込んで第二鉄イオンを再生する。
【0047】
塩素に曝露する前に、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも10モル%を占める塩素系酸化種の水溶液に硫化鉱及び/又は精鉱を曝露する時間は、水溶液のpHを制御することによって制御できる。これは、塩基の添加及び/又はpHの制御によって硫酸塩の生成を制御することにより行ってもよい。
【0048】
塩素に曝露する前に、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも10モル%を占める塩素系酸化種の水溶液に硫化鉱及び/又は精鉱を曝露する好ましい時間は、前記硫化鉱又は精鉱の鉱物特性によって変化する。しかし、以下の実施例から明らかであるように、短時間の曝露でさえも有益な結果をもたらすことができる。
【0049】
本発明の1つの形態では、標的金属は亜鉛である。本発明の1つの形態では、標的金属は銅である。本発明の1つの形態では、標的金属はカドミウムである。本発明の1つの形態では、標的金属は鉄である。本発明の1つの形態では、標的金属はヒ素である。本発明の1つの形態では、標的金属は鉛である。本発明の1つの形態では、標的金属は銀である。本発明の1つの形態では、標的金属はニッケルである。本発明の1つの形態では、標的金属はコバルトである。本発明の1つの形態では、標的金属はセレンである。本発明の1つの形態では、標的金属はテルルである。本発明の1つの形態では、標的金属は水銀である。本発明の1つの形態では、標的金属はタリウムである。本発明の1つの形態では、標的金属は金である。
【0050】
本発明の更なる形態では、標的金属は、前述の金属のうちの2以上の組み合わせであってもよい。
【0051】
本発明の方法は、標的金属以外の金属を回収する方法の一部を形成する場合もある。例えば、本発明の方法は、硫化鉱を更に処理して銀、金、及び/又は白金等の他の金属を回収する前に、硫化鉱の銅及び/又はニッケル濃度を低下させるために利用することができる。
【0052】
本発明の金属回収手段は、1以上の溶媒抽出工程を含み、その後任意で電解採取又は沈殿工程を含んでいてもよい。
【0053】
当業者であれば認識できる通り、塩素系酸化種の濃度は、硫化鉱又は精鉱中の硫化物の濃度、及び硫化鉱又は精鉱中に存在する特定の硫化物の濃度によって変化する。
【0054】
本発明の1つの形態では、溶液中の塩素系酸化剤の合計濃度は0.005モルCl/Lから飽和するまでである。本発明の1つの形態では、溶液中の塩素系酸化剤の合計濃度は0.01モルCl/Lから飽和するまでである。本発明の1つの形態では、溶液中の塩素系酸化剤の合計濃度は0.02モルCl/Lから飽和するまでである。本発明の1つの形態では、溶液中の塩素系酸化剤の合計濃度は0.05モルCl/Lから飽和するまでである。本発明の1つの形態では、溶液中の塩素系酸化剤の合計濃度は0.1モルCl/Lから飽和するまでである。本発明の1つの形態では、溶液中の塩素系酸化剤の合計濃度は0.2モルCl/Lから飽和するまでである。本発明の1つの形態では、溶液中の塩素系酸化剤の合計濃度は0.5モルCl/Lから飽和するまでである。本発明の1つの形態では、溶液中の塩素系酸化剤の合計濃度は1.0モルCl/Lから飽和するまでである。本発明の1つの形態では、溶液中の塩素系酸化剤の合計濃度は1.5モルCl/Lから飽和するまでである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
次に、一例として、本発明の1つの実施形態及び添付図面を参照して、本発明を説明する。
【図1】図1は、25℃における塩素種の優勢図を示す。
【図2】図2は、本発明に係る硫化鉱及び/又は硫化精鉱から1以上の標的金属を浸出させる方法の概略フローチャートを示す。
【図3】図3は、出発pHと浸出率(%)との関係を示すグラフである。
【図4】図4は、出発pHと回収率(%)との関係を示すグラフである。
【図5】図5は、時間とNi溶解率(%)との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、サンプルの濃度とNiの量との関係を示すグラフである。
【図7】図7は、時間と浸出されたNi(%)との関係を示すグラフである。
【図8】図8は、出発時の次亜塩素酸量と次亜塩素酸:Ni比、最終溶液のpH、Ni回収率(%)との関係を示すグラフである。
【図9】図9は、時間とNi浸出率(%)との関係を示すグラフである。
【図10】図10は、時間と次亜塩素酸量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0056】
黄銅鉱等の、標的金属を含有している硫化鉱10を密閉された浸出容器12に入れる。優勢塩素系酸化種が次亜塩素酸である水溶液に前記硫化鉱が所定の時間曝露されるように、次亜塩素酸14を含有している水溶液を前記浸出容器12に入れる。その結果pHが低下する。次いで、同一の密閉された浸出容器12内で、優勢塩素系酸化種が塩素である水溶液に前記硫化鉱を曝露する。所定の時間後、生じるスラリー16を開放反応容器18に移し、そこに空気20を通し、予酸化浸出工程によって生成された酸による浸出、及び同様に生成された第二鉄イオンによる第二鉄浸出に前記硫化鉱を供し、空気20で第二鉄イオンを少なくとも部分的に再生する。
【0057】
所定の浸出時間後、前記スラリーを固体−液体分離相22に移し、標的金属イオン24を含有している標的金属富化浸出溶液を溶媒抽出、イオン交換、選択的沈殿、及び/又は浸炭等の金属分離段階26に移して、標的金属イオン24を含有している標的金属富化浸出溶液から非標的金属を分離する。次いで、得られる標的金属溶液28を浸炭、気体還元、化合物沈殿、結晶化、及び/又は電解採取等の金属回収段階30に移して、標的金属32を得る。
【実施例】
【0058】
次に、一連の実施例を参照して本発明の有用性を示す。実施例は、如何なる方法であっても、本発明の上述の記載の一般性を限定するものであると理解すべきではない。
【0059】
実施例1
黄銅鉱の試料を用手的に粉砕し、100%75ミクロン未満になるように篩にかけた。このサンプルを、次亜塩素酸を用いて様々な出発pHに調整されている25g/Lの次亜塩素酸ナトリウムと10g/Lの速度で混合した。混合物の入った密閉チューブを24時間振盪し、1時間後に中間体溶液サンプルを採取した。図3から分かるように、pH約7から出発pHが低下するにつれて溶解する銅が着実に減少することがデータで示されている。最も顕著な特徴は、出発pHがpH2であるときに銅の溶解性が著しく低下することである。明らかに、出発pH、延いては塩素系酸化剤の種類が非常に重要である。
【0060】
理論に縛られるものではないが、本発明者らは、硫化鉱及び/又は硫化精鉱を次亜塩素酸に曝露することによって、低pHにおける塩素浸出で報告されている回収率の低さに関与している可能性がある不動態化層の形成が低減されると考えている。
【0061】
溶液のpHは、実験が進行するにつれて低下し、1時間後には全ての出発pHについてpHは1未満になった。全てのサンプルが最後には同様に酸性になるにも関わらず、浸出の程度は出発pHによって大きな影響を受けた。最初の1時間を超えると、pH2で出発したサンプルを除いた全てのサンプルについて、24時間後の浸出の程度は類似していたが、出発pHが2であったサンプルの浸出の程度は、pH3で出発したサンプルの約60%であった。
【0062】
最初の1時間で金属の大部分が溶液中に浸出されるが、その後の溶解反応は比較的緩やかであることから、硫化物と次亜塩素酸との反応が迅速であることが分かる。24時間後でさえも溶液中に溶解している塩素ガスが残っていることから、反応の程度が酸化剤の消費によって制限されている訳ではないことに留意すべきである。
【0063】
実施例2
様々な異なる硫化鉱物(黄鉄鉱FeS(py);方鉛鉱PbS(ga);硫ヒ鉄鉱FeAsS(asp);硫ヒ銅鉱CuAsS(en);黄銅鉱CuFeS(cp);閃亜鉛鉱ZnS(sp);斑銅鉱CuFeS(bo);及び銅藍CuS(co))を、次亜塩素酸を用いて様々な出発pHに調整されている25g/Lの次亜塩素酸ナトリウムと混合した。混合物を24時間振盪し、1時間後、分析用に溶液サンプルを採取した。1時間後の溶解性を図4に示す。図中の太線は、優勢塩素含有種をpHの関数として示す。
【0064】
硫ヒ鉄鉱及び方鉛鉱以外は、出発pHが低下するにつれて、溶解性も低下するという傾向が明らかに見られた。例えば、最大限溶解させるために閃亜鉛鉱は銅藍よりも遥かに高い出発pHを必要とする等、異なる鉱物で出発pHは明らかに重要である。これは、出発pHを調節にすることによって選択的浸出の機会を提供する。
【0065】
例えば、方鉛鉱及び閃亜鉛鉱を含有する鉛−亜鉛精鉱は、pH6又はpH7で浸出を開始することによって分離できる。即ち、亜鉛は閃亜鉛鉱から溶け出すが、鉛は方鉛鉱から溶け出さずに残留する。
【0066】
次亜塩素酸塩が優勢種である範囲の出発pHでは、次亜塩素酸が優勢であるpHと比べて溶解の程度が明らかに著しく低い。
【0067】
実施例3
ニッケル浮選精鉱と様々なpHに調整されている25g/Lの次亜塩素酸ナトリウム溶液とを、1:100の質量対重量比(mass to weight ratio)で混合した。混合物を振盪し、4時間後まで溶液分析用のサンプルを採取した。4時間後までのニッケル溶解率のプロットを図5に示す。
【0068】
このプロットは、pH約4においては2時間後の浸出の程度が最も高まるという出発pHの効果を明らかに示す。より低い出発pH及びより高い出発pHは、ニッケルについては低い溶解性を示した。
【0069】
一連の更なる実験は、出発pH4で実施した。ここでは、固体対溶液比を4g/Lから40g/Lに増加させた。プロトン生成は、pHの変化から推定した。データは、図6に棒グラフで示す。
【0070】
2g以下の質量では、ニッケルの溶解とプロトン生成とは同程度である。大量の精鉱が存在するとき、プロトン生成は実質的に減少し、溶液中のニッケルの方が遥かに多くなる。酸化剤よりも精鉱が多い場合、精鉱とプロトンが反応して、次亜塩素酸単独よりも多くのニッケルを溶解させることが明らかである。
【0071】
実施例4
黄銅鉱精鉱、黄銅鉱の純鉱物試料及び銅藍を、1時間、次亜塩素酸溶液と反応させた。出発溶液及び最終溶液に対してヨウ素酸化滴定を実施して、消費量を測定するために反応前及び反応後の次亜塩素酸濃度を測定した。
【0072】
出発溶液及びデカントされた溶液は、酸化によってヨウ化物をヨウ素に変換するために添加された過剰のヨウ化物イオンを有していた。
2I+HClO+H=I+HO+Cl
【0073】
次いで、既知の濃度のチオ硫酸ナトリウムを用いてヨウ素を滴定した。関連する反応は、以下の通りである。
+2S2−→2I+S2−
【0074】
これら滴定から、反応前及び反応後の次亜塩素酸の濃度を測定することができる。消費量は、単純に、これらの差である。
【0075】
黄銅鉱精鉱及び純鉱物試料の次亜塩素酸消費量は、溶液中の銅1モル当たりHClO3.6モル及び3.4モルであった。これら値は、Choによって報告された6.0モル〜7.2モル(Eung Ha Cho:Leaching Studies of pyrites and Sphalerite with Hypochlorous Acid,Metallurgical Transactions B,Volume18B,June 1987)、並びにGroves及びSmithによって塩素ガスの酸溶液について報告された銅1モル当たりCl8.5モル(R.D.Groves,P.B.Smith,Reactions of copper sulfide minerals with chlorine in a aqueous system.U.S.Bureau of Mines Report of Investigation 7801(1973))という値よりも著しく低い。
【0076】
銅藍については、前記比は溶液中の銅1モル当たりHClO1.0モルであった。これは、以下の化学反応に対応していると思われる。
CuS+HClO+H=Cu2++S+HO+Cl
【0077】
これは、Groves及びSmithによって報告された4.0モルという値と比べて非常に優れている。
【0078】
明らかに、溶液のpHを制御する及び/又は塩素ガスの酸性溶液を用いる先行技術よりも顕著な経済的優位性が存在する。
【0079】
実施例5
ニッケル鉱石を含有する硫鉄ニッケル鉱−磁硫鉄鉱(1.02% Ni)を5つの大きさの画分に篩分けした。これらを大きさ以外は同一条件下で最長168時間(1週間)別々に浸出した。図7は、時間の関数としての浸出の程度を示す。
【0080】
このデータから、浸出が明らかに粒径依存的であることと、より大きな粒径について高い回収率を達成するためには長い時間が必要であることとが分かる。最大粒径でさえも、ニッケルの回収は3日間(72時間)で完了する。
【0081】
当業者は、大きな粒子は拡散経路が長くなり、吸蔵によって標的鉱物の浸出溶液に対する曝露が減少するので、浸出が粒径依存的であるということを理解するであろう。最小粒径の浸出速度は、最大粒径画分を除く全てについて、24時間以内に80%超のニッケルが溶解するという極めて速いものである。
【0082】
実施例6
実施例5で用いた0.125mm未満の画分の更なるサンプルを、次亜塩素酸ナトリウム溶液をpH8に酸性化することによって作製した漸増濃度の次亜塩素酸溶液と接触させた。浸出前及び浸出後にヨウ素酸化滴定を実施して、次亜塩素酸の消費量を求めた。溶液分析によってニッケル回収率が得られ、最終溶液pHも測定した。これら実験の結果を図8に示す。
【0083】
出発濃度が0.38ミリモル/25mL未満に低下するまで、ニッケル溶解率は本質的に100%である。上記濃度を下回ると、溶液のpHを7未満に低下させるのに十分な酸が存在せず、pHが7超であると、ニッケルは水酸化物として沈殿するので、溶液中のニッケルテナー(tenor)が低くなる。これは、僅か1ppmのNiしか溶液中に存在しない最低出発濃度で見掛けの消費量が極めて多くなることから最も明白である。他のサンプルの消費量は、ニッケル1モル当たりHClO4.8モル〜18.3モルであった。最高出発次亜塩素酸濃度では消費量が多く、理論に縛られるものではないが、本発明者らは、次亜塩素酸濃度が高くなるにつれて、酸化剤が自然に分解される程度が高まるので、ニッケル浸出工程以外による損失が多くなり、消費量が増えると考えている。最低データ及び最高データを考慮しない場合、次亜塩素酸の消費量は、ニッケル1モル当たりHClO4.8モル〜8.4モルであった。
【0084】
実施例7
実施例5及び6と同一の硫化鉱の2つの大きさの画分(0.4mm未満及び1.0mm〜3.2mm)に対して更に実験を行った。大きな粒径の画分は、水で洗浄して、浸出前に1.0mm未満の物質を全て除去した。次亜塩素酸ナトリウム溶液を酸性化することによって、次亜塩素酸溶液を作製した。各大きさの画分50.0gを1Lの広口プラスチック瓶に入れた。125g/LのNaClO原液を濃HClでpH4.5に酸性化して次亜塩素酸溶液を形成し、次いで、この次亜塩素酸溶液250mLを各大きさの画分に添加した。前記瓶を一定速度で撹拌した。周期的にサンプルを採取し、ヨウ素酸化滴定によって分析して次亜塩素酸濃度を求め、そして溶液中のニッケルについて分析した。これら試験の結果を図9及び図10に示す。
【0085】
図9は、細かい大きさの画分の方がニッケルの回収が迅速であることを示し、これは、完全に当業者の予測通りである。粗い大きさの画分の溶解率が低いことも当業者の予測通りである。この原因は以下の2つ、即ち、鉱物が溶液に曝露されないようにする鉱石マトリクス内の鉱物粒子による吸蔵、及び孔(pores)の長さの増加である。
【0086】
図10は、溶液中に残存する次亜塩素酸の量を時間の関数として示す。明らかに、出発溶液中の次亜塩素酸の質量は、溶液中に任意の多量のニッケルを溶解させるのに不十分であり、0.4mm未満の大きさの画分では6時間以内に本質的に全ての次亜塩素酸が消費され、この時間を超えると更に浸出されるニッケルはほんの僅かな量である。これは恐らく、空気への曝露による酸化及び酸化中に形成されるプロトンによる攻撃の組み合わせによるものであろう。
【0087】
十分な次亜塩素酸が存在しないことは、次亜塩素酸のニッケルに対する出発比が非常に高くなるように、低いスラリー密度を用いて実験を繰り返すことによって確認された。浸出の50分間後、0.4mm未満及び1.0mm〜3.2mmの大きさの画分からのニッケルの溶解率は、各々85%及び60%であった。
【0088】
当業者であれば認識できる通り、用いられる次亜塩素酸溶液の濃度及び体積は、標的金属の給鉱品位、硫化鉱中の金属の分布、及び硫化鉱の粒径の関数である。










【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の標的金属を含む硫化鉱及び硫化精鉱の少なくともいずれかから前記標的金属を浸出する方法であって、
(a)次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも10モル%を占める塩素系酸化種の水溶液に前記硫化鉱及び硫化精鉱の少なくともいずれかを曝露する工程と、
(b)次亜塩素酸により前記標的金属の酸化及び酸化の促進の少なくともいずれかを行って、優勢塩素系酸化種が塩素になるようにpHを低下させる工程と、
(c)塩素により前記標的金属の酸化及び酸化の促進の少なくともいずれかを行う工程と、
(d)次亜塩素酸及び塩素の少なくともいずれかによる酸化中に形成される溶液種により前記標的金属の溶解及び溶解の促進の少なくともいずれかを行う工程と、
(e)工程(d)で生成された標的金属富化溶液を金属回収手段に通す工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
硫化鉱が、酸化されていない硫化鉱であるか;
硫化精鉱が、酸化されていない硫化鉱から作製されるか;又は
硫化鉱が、酸化されていない硫化鉱であり、且つ硫化精鉱が、酸化されていない硫化鉱から作製される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも10モル%を占める塩素系酸化種の水溶液に硫化鉱及び硫化精鉱の少なくともいずれかを曝露する工程が、より具体的に、
次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも10モル%を占める塩素系酸化種の水溶液に硫化鉱及び硫化精鉱の少なくともいずれかを最初に曝露する工程
を含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
次亜塩素酸塩が、その場で生成される請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
塩素系酸化種が、相補的酸化種と組み合わせて同時に使用される請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
塩素系酸化種が、相補的酸化種と組み合わせて順次使用される請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
相補的酸化種が、鉄(III)イオンの形態である請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
硫化鉱及び硫化精鉱が、予め浸出されていない請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
硫化鉱及び硫化精鉱が、予め焙焼されていない請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
塩素ガスにより標的金属の酸化及び酸化の促進の少なくともいずれかを行う工程が、密閉された反応容器内で行われる請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
次亜塩素酸により標的金属の酸化及び酸化の促進の少なくともいずれかを行って、優勢塩素系酸化種が塩素ガスになるようにpHを低下させる工程が、密閉された反応容器内で行われる請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
次亜塩素酸により標的金属の酸化及び酸化の促進の少なくともいずれかを行って、優勢塩素系酸化種が塩素ガスになるようにpHを低下させる工程と、
塩素ガスにより標的金属の酸化及び酸化の促進の少なくともいずれかを行う工程とが、密閉された反応容器内で行われる請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも10モル%を占める塩素系酸化種の水溶液に硫化鉱及び硫化精鉱の少なくともいずれかを曝露する工程が、開放容器内で堆積浸出又は大気圧浸出によって実施される請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
塩素により標的金属の酸化及び酸化の促進の少なくともいずれかを行う工程の後に、
浸出剤を添加することにより標的金属の浸出及び浸出の促進の少なくともいずれかを行う工程
を含む請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
硫化鉱及び硫化精鉱の少なくともいずれかが大量の鉄を含有する場合、次亜塩素酸によって酸化条件になった後、且つ塩素ガスが優勢である低pH値において、前記硫化鉱及び硫化精鉱の少なくともいずれかを第二鉄浸出にも供する請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
塩素により標的金属の酸化及び酸化の促進の少なくともいずれかを行う工程の後に、
酸及び第二鉄イオンの少なくともいずれかにより前記標的金属の浸出及び浸出の促進の少なくともいずれかを行う工程
を含む請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
酸及び第二鉄イオンの少なくともいずれかにより標的金属の浸出及び浸出の促進の少なくともいずれかを行う工程が、更なる酸化剤及び酸の少なくともいずれかの添加を含む請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
反応混合物に空気又は酸素を吹き込んで第二鉄イオンを再生する請求項1から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
塩素に曝露する前に、次亜塩素酸が塩素系酸化種のうちの少なくとも10モル%を占める塩素系酸化種の水溶液に硫化鉱及び硫化精鉱の少なくともいずれかを曝露する時間が、前記水溶液のpHを制御することによって制御される請求項1から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
標的金属が、亜鉛、銅、カドミウム、鉄、ヒ素、鉛、銀、ニッケル、コバルト、セレン、テルル、水銀、タリウム、及び金のうちのいずれか1以上の形態であってもよい請求項1から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
溶液中の塩素系酸化剤の濃度が0.05モルCl/Lから飽和するまでの範囲内である請求項1から20のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−528243(P2012−528243A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512167(P2012−512167)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000641
【国際公開番号】WO2010/135776
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(511286805)メタリーチ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】