説明

硬化剤粒子の製造方法

【要 約】
【課題】低温、短時間の条件で硬化し、かつ、保存性の高い接着剤を得る。
【解決手段】本発明の硬化剤粒子30は、表面に位置する中心金属にシロキサン32やアルコキシ基が結合しているので、硬化剤粒子30をシランカップリング剤と共に、エポキシ樹脂中に分散させ、得られる接着剤では、常温で硬化剤粒子30とシランカップリング剤とが反応せず、接着剤の保存性が高い。また、硬化剤粒子30の表面以外の部分の金属キレートや金属アルコレートにはシロキサンが結合していないので、接着剤を加熱すると、硬化剤粒子30が割れ、硬化剤粒子30の表面以外の部分の金属キレートや金属アルコレートがシランカップリング剤と反応してカチオンを生成し、該カチオンによってエポキシ樹脂が重合し、接着剤が硬化する。シランカップリング剤と金属キレートとの反応は低温で進行するので、本発明の接着剤は従来のものより低温、短時間で硬化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着剤にかかり、特に、基板に半導体チップやTCPを熱圧着により接続する接着剤に用いられる硬化剤粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体チップを基板上に接続する場合や、TCP(Tape Carrier Package)と、LCD(Liquid Crystal Display)とを接続し、電気装置を製造する場合に、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を含有する接着剤が用いられている。
【0003】
図9(a)の符号111はLCDを示しており、LCD111はガラス基板112と、ガラス基板112上に配置されたITO電極(Indium Tin Oxide)113とを有している。LCD111と後述するTCPとを接続するには、先ず、LCD111のITO電極113が配置された側の面に接着剤を塗布する。図9(b)の符号125はLCD111に塗布された接着剤を示している。
【0004】
図9(c)の符号115はTCPを示しており、TCP115はベースフィルム116と、ベースフィルム116表面に配置された金属配線117とを有している。TCP115の金属配線117が配置された側の面を、LCD111上の接着剤125に向けて配置し、位置合せを行った後、TCP115の金属配線117が配置された面を接着剤125に押しつける。その状態で押圧しながら加熱すると、接着剤125が軟化し、金属配線117が軟化した接着剤125を押し退け、ITO電極113表面に当接される。
【0005】
上記のような接着剤には、一般に加熱によってエポキシ樹脂を重合させるイミダゾールのような硬化剤が添加されており、金属配線117がITO電極113に当接された状態で更に加熱を続けると、硬化剤の触媒作用によってエポキシ樹脂が重合し、接着剤125が硬化する。
【0006】
図9(d)の符号101は接着剤125が硬化された状態の電気装置を示している。この電気装置101では、金属配線117がITO電極113に当接された状態で、硬化した接着剤125によってTCP115とLCD111とが固定されている。従って、TCP115とLCD111とは電気的にも機械的にも接続されている。
【0007】
しかし、上記のような接着剤を硬化させる場合には、接着剤を180℃以上の高い温度に加熱する必要があり、金属配線117のパターンが微細な場合には、加熱の際にTCP115に伸びや反り等の変形が生じる場合がある。加熱温度を低くすればこの問題は解消されるが、加熱処理に要する時間が長くなり、生産性が低くなる。
【0008】
低温での硬化性に優れた接着剤として、近年、アクリレートのようなラジカル重合性樹脂と、ラジカル重合開始剤とを含有する接着剤が開発されているが、このような接着剤はエポキシ樹脂を用いた場合に比べ、硬化した状態での電気的特性や耐熱性に劣る。
【特許文献1】特開昭62−227923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、低温、短時間の条件で硬化可能であり、保存性にも優れた接着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者等は、一般に用いられている硬化剤を用いずに、エポキシ樹脂をカチオン重合させる手法に着目し、検討を重ねた結果、構造中に少なくとも一つのアルコキシ基を構造中に有するシラン化合物(シランカップリング剤)と、金属キレート(又は金属アルコレート)とを接着剤中に添加した場合、シランカップリング剤が加水分解されてなるシラノールと、金属キレートとが反応してカチオンが生じ、該カチオンによってエポキシ樹脂が重合することを見出した。
金属キレートとシランカップリング剤とを添加した接着剤で、エポキシ樹脂が硬化する工程を下記反応式(5)〜(8)を用いて説明する。
【0011】
【化5】

【0012】
アルコキシ基を少なくとも一つ有するシラン化合物は、反応式(5)に示すように、接着剤中の水と反応し、アルコキシ基が加水分解されシラノール基となる。
接着剤を加熱すると、シラノール基は、アルミニウムキレートのような金属キレートと反応し、シラン化合物がアルミニウムキレートに結合する。(反応式(6))。
【0013】
次いで反応式(7)に示すように、シラノール基が結合したアルミニウキレートに、平衡反応で接着剤中に残留する他のシラノール基が配位することにより、ブレンステッド酸点を生じ、反応式(8)に示すように、活性化したプロトンによってエポキシ樹脂の末端に位置するエポキシ環が開環し、他のエポキシ樹脂のエポキシ環と重合する(カチオン重合)。このように、シランカップリング剤と金属キレートとを接着剤に添加すると、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂がカチオン重合される。反応式(6)〜(8)に示す反応は従来の接着剤が硬化する温度(180℃以上)よりも低い温度で進行するので、上記のような接着剤は従来のものに比べ、低温、短時間で硬化する。
【0014】
しかし、シランカップリング剤は加水分解されやすく、また、該シラノールと、金属キレート又は金属アルコラートとの反応性は高いので、粉体状の金属キレートや金属アルコラートを硬化剤粒子として直接接着剤に分散させると、常温でもエポキシ樹脂の重合反応が進行し、接着剤の保存性に劣る。
【0015】
本発明者等が更に鋭利検討を行った結果、硬化剤粒子を接着剤に添加する前に、硬化剤粒子表面にシランカップリング剤(シラノール)やアルコール等の水酸基を有する化合物を接触させ、該化合物を硬化剤粒子表面の中心金属と反応させた場合に、接着剤の保存性が高くなることを見出した。
【0016】
本発明は上記知見に基づいて構成されており、請求項1記載の発明は、中心金属に少なくとも一つの配位子が配位してなる金属キレート、又は中心金属に少なくとも一つのアルコキシ基が結合してなる金属アルコラートのいずれか一方又は両方を主成分とする硬化剤粒子であって、前記硬化剤粒子表面に位置する前記中心金属に、ケイ素が酸素を介して結合した硬化剤粒子である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の硬化剤粒子であって、前記中心金属に結合したケイ素が、酸素を介して互いに結合した硬化剤粒子である。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の硬化剤粒子であって、前記ケイ素に下記一般式(1)
【0017】
【化6】

【0018】
(上記一般式中置換基X1は前記ケイ素に結合する。)
で表される置換基が結合した硬化剤粒子である。
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の硬化剤粒子であって、前記ケイ素に下記一般式(2)
【0019】
【化7】

【0020】
(上記一般式(2)中置換基X2〜X4中、少なくとも一つの置換基X2〜X4が前記ケイ素に結合する。)
で表される置換基が結合した硬化剤粒子である。
請求項5記載の発明は、中心金属に少なくとも一つの配位子が配位してなる金属キレート、又は中心金属に少なくとも一つのアルコキシ基が結合してなる金属アルコラートのいずれか一方又は両方を主成分とする硬化剤粒子であって、前記硬化剤粒子表面に位置する前記中心金属に、酸素を介して炭素が結合した硬化剤粒子。
請求項6記載の発明は、硬化剤粒子の製造方法であって、下記一般式(3)
【0021】
【化8】

【0022】
(上記一般式(3)中の置換基X5〜X8のうち、少なくとも一つの置換基がアルコキシ基である)
で表されるシランカップリング剤を加水分解してシラノールを形成し、中心金属に少なくとも一つの配位子が結合する金属キレート、又は、中心金属に少なくとも一つのアルコキシ基が結合する金属アルコラートのいずれか一方、又は、両方を主成分とする硬化剤粒子と、前記シラノールとを接触させ、前記硬化剤粒子表面に位置する中心金属と前記シラノールとを反応させ、下記一般式(4)
【0023】
【化9】

【0024】
(上記一般式(4)中、ケイ素に結合する酸素は前記中心金属に結合する。)
に示されるシロキサンを形成する硬化剤粒子の製造方法である。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の硬化剤粒子であって、前記一般式(4)に示されるシロキサンのケイ素に結合する置換基X9〜X11のうち、少なくとも一つの置換基と、エポキシ樹脂とを反応させる硬化剤粒子の製造方法である。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の硬化剤粒子の製造方法であって、前記エポキシ樹脂と反応する置換基が、その構造中にアミノ基を有する硬化剤粒子の製造方法である。
請求項9記載の発明は硬化剤粒子の製造方法であって、中心金属に少なくとも一つの配位子が配位してなる金属キレート又は中心金属に少なくとも一つのアルコキシ基が結合してなる金属アルコラートのいずれか一方、又は両方を主成分とする硬化剤粒子と、水酸基を有する化合物とを接触させ、前記硬化剤粒子表面に位置する前記中心金属と、前記水酸基を有する化合物とを反応させる硬化剤粒子の製造方法である。
請求項10記載の発明は、請求項9記載の硬化剤粒子の製造方法であって、前記水酸基を有する化合物がアルコールからなる硬化剤粒子の製造方法である。
請求項11記載の発明は、請求項10記載の硬化剤粒子の製造方法であって、前記アルコールがトリプロピレングリコールからなる硬化剤粒子の製造方法である。
請求項12記載の発明は、接着剤であって、熱硬化性樹脂と、シランカップリング剤と、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の硬化剤粒子とを有する接着剤である。
【0025】
本発明は上記のように構成されており、硬化剤粒子表面に一般式(3)で示されるシランカップリング剤を接触させると、先ず、シランカップリング剤のアルコキシ基が加水分解されシラノールとなり、該シラノールと硬化剤粒子表面に位置する金属キレート、又は金属アルコラートとが脱水縮合し、該金属キレート又は金属アルコラートの中心金属とシラノールのケイ素とが酸素を介して結合(シロキサン結合)し、本発明の硬化剤粒子が得られる。
【0026】
尚、シランカップリング剤は、硬化剤粒子表面に付着する水分や、空気中の水分によっても加水分解されるが、より迅速に処理を行うためには、シランカップリング剤に水を添加し、予めシラノール化させたものを硬化剤粒子との反応に用いると良い。
【0027】
本発明の硬化剤粒子の表面に位置する中心金属にはシロキサンが結合しているため、本発明の硬化剤粒子を接着剤に添加した場合、常温では接着剤中のシランカップリング剤と、硬化剤粒子とが反応せず、接着剤が硬化しないが、接着剤を熱圧着すると、加熱によって硬化剤粒子が熱膨張し、熱膨張した硬化剤粒子が加圧等の物理的衝撃によって割れ、硬化剤粒子の表面以外の部分が露出する。
【0028】
硬化剤粒子の表面以外の部分に位置する中心金属にはシロキサンが結合してないため、該中心金属と接着剤中のシランカップリング剤とが加熱によって反応し、カチオンが生成されると、エポキシ樹脂がカチオンによって重合し(カチオン重合)、接着剤が硬化する。このように、本発明の硬化剤粒子は、所謂潜在性硬化剤としての機能を有する。
また、金属アルコラートや金属キレートとシランカップリング剤とが反応する温度は、従来の接着剤を熱硬化させる温度(180℃以上)よりも低いので、本発明の接着剤は従来の接着剤よりも低温、短時間で硬化する。
【0029】
尚、硬化剤粒子表面の中心金属と、シランカップリング剤とを反応させる工程でもカチオンが生じるので、表面にシロキサンが形成された直後の硬化剤粒子を接着剤に添加すると、硬化剤粒子表面に残留するカチオンによって接着剤が常温で硬化する恐れがあるが、硬化剤粒子を接着剤に添加する前に、水、又は、有機溶剤で洗浄すれば、残留カチオンや過剰なシランカップリング剤等を硬化剤粒子から除去することができる。
【0030】
また、アルコキシ基以外の置換基がアミノ基を有するアミノシランカップリング剤を用いた場合、アミノ基を有するシロキサンが形成される。その状態の硬化剤粒子に、更に、エポキシ樹脂を接触させると、シロキサンのアミノ基と、エポキシ樹脂のエポキシ環とが反応し、エポキシ樹脂がシロキサンに結合する。従って、硬化剤粒子表面のシロキサンの構造がより複雑になるので、硬化剤粒子の機械的強度がより高くなる。
【0031】
また、シランカップリング剤の代わりに、アルコール等水酸基を有する化合物を硬化剤粒子表面に接触させれば、硬化剤粒子表面の金属キレート又は金属アルコラートと、該化合物の水酸基とが脱水縮合し、硬化剤粒子表面に位置する中心金属が、該化合物と酸素を介して結合する。こうして得られた硬化剤粒子は、シロキサンが形成された場合と同様に、潜在性硬化剤としての機能を有する。
【0032】
水酸基を有する化合物としてアルコールを用いる場合、アルコールの種類は特に限定されないが、アルコールとして一価アルコールを用いた場合には、硬化剤粒子表面に架橋構造が形成され難く、中心金属に結合する分子は一次元の直鎖状になる。このような場合は、硬化剤表面を覆う膜状の分子の剛性が低くなる。しかし、反応性が高い官能基を有する一価アルコールを用いれば、該官能基と他の物質とを反応させ、硬化剤粒子表面の膜状の分子の剛性を高くすることができる。
【0033】
また、水酸基を有する化合物としては、例えば、カルボン酸を用いることもできる。
接着剤に熱可塑性樹脂を添加すれば、熱可塑性樹脂の性質から接着剤の凝集力が増すので接着剤の接着性がより高くなる。熱可塑性樹脂として極性の高いものを用いた場合には、熱可塑性樹脂が樹脂成分の硬化反応に組み込まれるだけではなく、シランカップリング剤を介して無機材料と結合するので、硬化性が高く、かつ、無機材料からなる被着体との親和性が高い接着剤が得られる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の硬化剤粒子の表面に位置する中心金属には、シロキサンやアルコキシ基が結合しているため、接着剤中で硬化剤粒子とシランカップリング剤との反応が起こらない。また、本発明の接着剤は、エポキシ樹脂のカチオン重合反応により硬化する。カチオン重合反応は、従来の硬化剤を用いた場合の重合反応よりも低温で起こるので、本発明の接着剤は従来の接着剤に比べ、低温、短時間で硬化する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に本発明の接着剤について詳細に説明する。
【0036】
図1(a)に示す化学式の左方は本発明に用いるシランカップリング剤の一例を示している。このシランカップリング剤は4つの置換基Xa〜Xdを有しており、これらのうち、3つの置換基Xb〜Xdがシランカップリング剤のケイ素に酸素を介して結合している。従って、このシランカップリング剤は3つのアルコキシ基を有している。
【0037】
このシランカップリング剤を所定温度に加熱した後、シランカップリング剤中に粉体状の金属キレート又は金属アルコラート(ここでは中心金属がアルミニウムからなる)からなる硬化剤粒子を分散し、該シランカップリング剤を所定温度に保温しながら攪拌する。
【0038】
空気中の水分や、硬化剤粒子表面に付着する水分と、シランカップリング剤とが接触すると、シランカップリング剤の3つのアルコキシ基がそれぞれ加水分解されて水酸基となる。図1(a)の化学式右方はシランカップリング剤が加水分解されてなるシラノールを示している。
【0039】
図1(b)の符号31はシランカップリング剤中に分散された硬化剤粒子を示している。同図の符号34は硬化剤粒子31表面に位置する中心金属(ここではアルミニウム)を示しており、中心金属34には置換基X0が結合している。硬化剤粒子31がアルミニウムキレートからなる場合、置換基X0は配位子であり、硬化剤粒子31がアルミニウムアルコラートからなる場合、置換基X0はアルコキシ基である。
【0040】
シランカップリング剤を所定温度に維持しながら攪拌を続けると、硬化剤粒子31表面の中心金属34と、シランカップリング剤の加水分解により生成されたシラノールとが反応し、シラノールのケイ素が酸素を介して中心金属34に結合し、シロキサンが形成される。このとき、シラノールと、他のシラノールとが反応し、硬化剤粒子31表面にポリシロキサンが形成される。
【0041】
図1(c)はその状態を示しており、同図の符号32は硬化剤粒子31表面に形成されたポリシロキサンを示している。ポリシロキサン32中の各ケイ素は、それぞれ硬化剤粒子31表面に位置する中心金属34に結合しており、その結果、ポリシロキサン32の構成単位であるシロキサンが、硬化剤粒子31表面に単分子層状に配置されている。また、ポリシロキサン32の各ケイ素は酸素を介して互いに結合しているので、ポリシロキサン32の機械的強度は高い。
【0042】
次いで、ポリシロキサン32が形成された状態の硬化剤粒子31をシランカップリング剤から引き上げる。この状態では、シランカップリング剤と中心金属34とが反応する際に生じたカチオン36(水素イオン)と、該中心金属に結合していない過剰なシランカップリング剤(シラノールも含む)とがポリシロキサン32表面に残留している。
その状態の硬化剤粒子31を水洗すると、残留するカチオン36とシランカップリング剤とが除去され、本発明第一例の硬化剤粒子30が得られる(図1(d))。
【0043】
次に、本発明第一例の硬化剤粒子30を用いた本発明の接着剤と、本発明の接着剤を用いて電気装置を製造する工程について説明する。先ず、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂と、熱可塑性樹脂と、シランカップリング剤と、本発明第一例の硬化剤粒子30と、導電性粒子と、溶剤とを所定の配合比率で混合、攪拌し、ペースト状の接着剤を作成した。
【0044】
この状態では硬化剤粒子30表面の中心金属34にポリシロキサン32が結合しているため、接着剤中のシランカップリング剤と中心金属34との反応が起こらず、カチオンが生成されない。また、ポリシロキサン32に残留したカチオンも除去されている。従って、接着剤中でエポキシ樹脂のカチオン重合反応が起こらず、接着剤が常温で硬化しない。
【0045】
図2(a)の符号21は剥離フィルムを示している。上記接着剤をこの剥離フィルム21の表面に所定量塗布、乾燥すると、接着剤中の溶剤が蒸発し、接着剤の塗布層25が形成される(図2(b))。
図2(b)の符号20は塗布層25が形成された状態の接着フィルムを示している。同図の符号27は硬化剤粒子30と共に接着剤中に分散された導電性粒子を示している。
【0046】
図3(a)の符号11はLCDを示しており、LCD11はガラス基板12と、ガラス基板12の一面に幅狭に形成された複数本のITO電極13(Indium Tin Oxide)とを有している。ここでは5本のITO電極13を図示した。
【0047】
LCD11のITO電極13が形成された面のうち、後述するTCPを接続する部分に、図2(b)に示した接着フィルム20の塗布層25を押し当てる(図3(b))。剥離フィルム21と塗布層25との接着力は、塗布層25とITO電極13との接着力よりも小さくされているので、剥離フィルム21を剥離すると、塗布層25がLCD11上に残る(図3(c))。
【0048】
図5の符号15はTCPを示している。TCP15は長尺状のベースフィルム16を有しており、ベースフィルム16の一面には、幅狭の金属配線17がベースフィルム16の長手方向に沿って複数本(ここでは5本の金属配線17を図示した)配置されている。金属配線17の長手方向の端部はベースフィルム16の長手方向の端部にそれぞれ位置する。
【0049】
図3(d)は図5のA−A線断面図を示しており、TCP15の金属配線17が配置された側の面を、LCD11のITO電極13の配置された面に向け、TCP15の一端をITO電極13表面の塗布層25と対向させ、LCD11のITO電極13とTCP15の金属配線17とが互いに向かい合うよう位置合せを行う。
【0050】
その状態で、TCP15の金属配線17が配置された面を塗布層25に押し当て、TCP15とLCD11とが重なりあった部分を押圧しながら全体を加熱すると、加熱によって塗布層25が軟化し、押圧によって金属配線17が軟化した塗布層25を押し退け、残留した塗布層25中の導電性粒子27が金属配線17とITO電極13との間に挟みこまれる(図4(e))。
【0051】
その状態で加熱押圧を続けると、加熱によって熱膨張した該硬化剤粒子30が加圧と膨張によって割れ、硬化剤粒子30の表面以外の部分が露出する。硬化剤粒子31の表面以外の部分の金属キレート又は金属アルコラートには、シロキサンが結合していないので、図4(f)の符号35に示す割れた硬化剤粒子が塗布層25中のシランカップリング剤と接触すると、塗布層25中のシランカップリング剤と、金属キレート又は金属アルコラートとが反応し、カチオンが生成される。
【0052】
塗布層25中のエポキシ樹脂はカチオンによって重合し(カチオン重合)、金属配線17とITO電極13とが導電性粒子27を挟み込んだ状態で塗布層25が硬化する(図4(f))。
図4(f)の符号10は塗布層25が硬化した状態の電気装置を示している。この電気装置10では、金属配線17とITO電極13とが導電性粒子27を介して電気的に接続されているだけではなく、LCD11とTCP15が硬化した塗布層25によって機械的にも接続されている。
【0053】
このように、本発明の接着剤は保存性に優れているだけではなく、カチオン重合によってエポキシ樹脂が硬化するので、従来の硬化剤を用いた場合に比べ低温、短時間で接着剤を硬化させることができる。
以上は、硬化剤粒子31をシランカップリング剤のみに分散させる方法について述べたが本発明はこれに限定されるものではない。
【0054】
図6(a)の符号41は、図1(d)示したものと同じ硬化剤粒子を示しており、硬化剤粒子41の表面の中心金属44には、図1(a)〜(d)と同じ工程で形成されたポリシロキサン42が結合している。同図の符号43はポリシロキサン42のケイ素に酸素を介しないで直接結合する置換基を示しており、ここでは置換基43は、ケイ素に結合する置換基Xa'と、該置換基Xa'の末端に結合するアミノ基とを有している。従って、この状態ではポリシロキサン42の表面にアミノ基が露出している。
【0055】
常温で液状のエポキシ樹脂を加熱した後、所定温度に保温し、該エポキシ樹脂中に、図6(a)に示した状態の硬化剤粒子41を分散させる。
図6(a)の符号46はそのエポキシ樹脂の化学式を示している。エポキシ樹脂46は主骨格Raと、主骨格Raの末端に結合するエポキシ環とを有しており、硬化剤粒子41表面のポリシロキサン42のアミノ基とエポキシ樹脂46とが接触すると、アミノ基とエポキシ樹脂46とが反応し、本発明第二例の硬化剤粒子40が得られる。ここでは、アミノ基1個に対して、エポキシ樹脂46のエポキシ環2個が反応する様子を図示した。
【0056】
図6(b)の符号45は、エポキシ樹脂46が結合した状態のポリシロキサンを示している。このポリシロキサン45は図6(a)に示すポリシロキサン42に比べ、構造がより複雑になっているため、本発明第二例の硬化剤粒子40の機械的強度は高い。
【0057】
また、以上は、シランカップリング剤と硬化剤粒子表面の中心金属とを反応させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、硬化剤粒子を構成する金属キレート又は金属アルコレートと反応する官能基を有するものであれば、アルコール、カルボン酸、種々の樹脂(ポリマー、モノマー、オリゴマー等)を用いることができる。
【0058】
図7(a)の符号56は水酸基を2つ有するアルコール(ジオール)を示しており、ジオール56は主骨格Rbと、主骨格Rbに結合する2つの水酸基とを有している。所定温度に保温したジオール56に、図1(b)に示したものと同じ状態の硬化剤粒子51を分散、攪拌すると、図1(b)〜(c)に示した場合と往々に、ジオール56の2つの水酸基のうち、一つの水酸基が、硬化剤粒子51表面に位置する中心金属54と反応する。
図7(b)の符号50はジオール56との反応によって、中心金属54にアルコキシ基52が結合した状態の硬化剤粒子を示している。
【実施例】
【0059】
硬化剤粒子31として、粉体状の金属キレートである川研ファインケミカル(株)社製のアルミニウムアセチルアセトネート(商品名「アルミキレートA(W)」、平均粒径5μm)を用い、該硬化剤粒子31を40℃に加熱したアミノシランカップリング剤(日本ユニカー社製の商品名「A−1100」)に分散し、該アミノシランカップリング剤を40℃に保温した状態で24時間攪拌し、反応させた後、硬化剤粒子31を引き上げ、水洗、乾燥し、図1(d)に示す本発明第一例の硬化剤粒子30を得た。
【0060】
次いで、40℃に加熱したビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)社製の商品名「EP828」)中に上記第一例の硬化剤粒子30を分散し、該エポキシ樹脂を40℃に保温しながら攪拌後、硬化剤粒子41を引き上げ、硬化剤粒子41を有機溶剤であるトルエンに分散した後、ろ過し、本発明第二例の硬化剤粒子40を得た。
【0061】
これとは別に、上記第一例の硬化剤粒子30に用いたものと同じ粉体状の金属キレートを硬化剤粒子51として用い、40℃に保温したジオール(旭硝子(株)社製のTPG(トリプロピレングリコール))中に分散、24時間攪拌した後、硬化剤粒子51を引き上げ、洗浄し、本発明第三例の硬化剤粒子50を得た。
【0062】
次に、各第一〜第三例の硬化剤粒子30、40、50をそれぞれ2重量部と、熱可塑性樹脂であるフェノキシ樹脂(フェノキシアソシエーツ社製)50重量部と、熱硬化性樹脂であるビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)社製の商品名「EP828」)50重量部と、エポキシシランンカップリング剤(日本ユニカー(株)社製の商品名「A−187」)1重量部と、導電性粒子5重量部とをそれぞれ混合し、3種類の接着剤を作製した。
【0063】
次いで、3種類の接着剤を用い、図(a)、(b)の工程で実施例1〜3の接着フィルム20を作製し、実施例1〜3の接着フィルム20を用いて下記「室温保存試験」と、「40℃保存試験」をそれぞれ行った。
【0064】
〔室温保存試験〕
実施例1〜3接着フィルム20を用いて、上記図3(a)〜(d)、図4(e)、(f)の工程でTCP15とLCD11とを接続した後、LCD11からTCP15を剥離するときの剥離強度を測定した(初期剥離強度)。これとは別に、実施例1〜3の接着フィルム20を室温で1日、3日、7日それぞれ保存し、保存後の各接着フィルム20を用いて上記と同様の工程でTCP15とLCD11をそれぞれ接続した後、LCD11からTCP15を剥離するときの剥離強度をそれぞれ測定した(保存後剥離強度)。
【0065】
ここでは、TCP15として25μm幅の金属配線17が25μm間隔で配置されたものを、LCD11としては、表面積1cm2当たりのシート抵抗が10ΩのITO電極13が形成されたものをそれぞれ用い、TCP15とLCD11とが重なりあった部分に3MPaの荷重を加えながら、10秒間加熱し、塗布層25を130℃まで昇温させて接続を行った。
【0066】
〔40℃保存試験〕
接着フィルム20を保存する温度を室温から40℃に変えた以外は、上記「室温保存試験」と同じ条件で接着フィルム20を保存し、TCP15とLCD11とを接続した後、保存後剥離強度を測定した。
上記「室温保存試験」と「40℃保存試験」において、保存後剥離強度の大きさが初期剥離強度の大きさの90%以上の場合を「◎」、80%以上90%未満の場合を「○」、70%以上80%未満の場合を「△」、70%未満の場合を「×」としてそれぞれ評価した。これらの評価結果を下記表1に記載する。
【0067】
【表1】

【0068】
尚、上記表1中の比較例1は、第一例〜第三例に用いたものと同じ、図1(b)に示した状態の硬化剤粒子を、シランカップリング剤やジオールで処理せず、そのまま接着剤に用いた場合である。
【0069】
上記表1から明らかなように、本発明第一例〜第三例の硬化剤粒子30、40、50を用いた実施例1〜3は、図1(b)の硬化剤粒子をそのまま用いた比較例1に比べ、「室温保存試験」、「40℃保存試験」共に評価結果が高く、本発明の硬化剤粒子を用いた接着剤の保存性の高さが確認された。
【0070】
特に、本発明第一例の硬化剤粒子30をエポキシ樹脂で処理した第二例の硬化剤粒子40は第一例、第三例の硬化剤粒子30、50を用いた場合に比べ、40℃、7日間保存した場合でも接着力の低下が殆ど見られなかった。
【0071】
以上は、接着剤を用いて接着フィルムを作成する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、接着剤をペースト状のまま用いても良い。
【0072】
図8(a)の符号11は図3(a)で示したものと同じLCDを示しており、このLCD11にTCP15を接続するには、先ず、LCD11のITO電極13表面のうち、TCP15を接続する部分に本発明の接着剤を塗布し、接着剤の塗布層75を形成する(図8(b))。
【0073】
次いで、上記図3(d)の工程でTCP15の位置合せを行った後、上記図4(e)、(f)の工程でTCP15とLCD11とを接続すると、電気装置70が得られる(図8(c))。
【0074】
以上は、接着剤を用いてTCP15とLCD11とを接続する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、基板と半導体チップとを接続する場合等、種々の電気装置を製造する場合に用いることができる。
【0075】
また、以上は接着剤中に導電性粒子を分散させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、導電性粒子を含有しない接着剤も本発明には含まれる。
【0076】
硬化剤粒子を構成する金属キレート又は金属アルコラートの中心金属としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム等種々のものを用いることができるが、これらのなかでも特に反応性の高いアルミニウムを中心金属としたものが好ましい。
【0077】
以上は熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。カチオン重合する樹脂であれば、例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ビニルエーテル樹脂、オキセタン樹脂等種々のものを用いることができるが、熱硬化後の接着剤の強度等を考慮するとエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
また、本発明の接着剤に用いられるシランカップリング剤としては、下記一般式(9)に示すものを用いることが好ましい。
【0078】
【化10】

【0079】
上記一般式(9)中置換基X12〜X15のうち、少なくとも一つの置換基がアルコキシ基である。また、アルコキシ基以外の置換基X12〜X15のうち、少なくとも一つの置換基がエポキシ環又はビニル基を有するものが好ましく、エポキシ環を有する置換基としてはグリシジル基が特に好ましい。
【0080】
熱可塑性樹脂としてはフェノキシ樹脂以外にも、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアセタール、エチレンビニルアセテート、ポリブタジエンゴム等のゴム類等種々のものを用いることができる。また、本発明の接着剤に、老化防止剤、充填剤、着色剤等の種々の添加剤を添加することもできる。
【0081】
以上は、硬化剤粒子に接触させるシランカップリング剤として、アルコキシ基以外の置換基がアミノ基を有するアミノシランカップリング剤を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。シランカップリング剤としては、アルコキシ基以外の置換基が、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、メルカプト基、イソシアネート基等種々の置換基を有するものを用いることができる。
【0082】
また、本発明第一例の硬化剤粒子と反応させる物質もエポキシ樹脂に限定されるものではない。例えば、アルコキシ基以外の置換基が、イソシアネート基を有するシランカップリング剤を用い、第一例の硬化剤粒子を作製した場合は、エポキシ樹脂の代わりにジオールを用いれば、イソシアネート基とジオールとが反応し、硬化剤粒子表面にウレタン樹脂が形成される。
【0083】
このように、ポリシロキサンと反応させる物質と、シランカップリング剤の種類との組み合わせは特に限定されるものではなく、シランカップリング剤の置換基の種類によって決定される。
【0084】
以上は、シランカップリング剤やジオール中に硬化剤粒子31、41、51を分散させ、硬化剤粒子31、41、51とシランカップリング剤やジオールを接触させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、シランカップリング剤やジオールを硬化剤粒子に噴霧し、シランカップリング剤やジオールを硬化剤粒子に接触させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】(a)〜(d):本発明の第一例の硬化剤粒子を製造する工程を説明するための図
【図2】(a)、(b):本発明の硬化剤粒子を用いて接着フィルムを製造する工程の一例を説明するための図
【図3】(a)〜(d):本発明の接着剤を用いてLCDとTCPとを接続する工程の前半を説明するための図
【図4】(e)、(f):TCPとLCDとを接続する工程の後半を説明するための図
【図5】TCPをLCD上で位置合せを行った状態を説明するための平面図
【図6】(a)、(b):本発明の第二例の硬化剤粒子を製造する工程を説明するための図
【図7】(a)、(b):本発明の第三例の硬化剤粒子を製造する工程を説明するための図
【図8】(a)〜(c):本発明の接着剤を用いてTCPとLCDとを接続する工程の他の例を説明するための図
【図9】(a)〜(d):従来技術の接着剤を用いてTCPとLCDとを接続する工程を説明するための図
【符号の説明】
【0086】
25、75……接着剤(塗布層)
30、40、50……硬化剤粒子
34、44、54……中心金属
32、45……シロキサン(ポリシロキサン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心金属に少なくとも一つの配位子が配位してなる金属キレート、又は中心金属に少なくとも一つのアルコキシ基が結合してなる金属アルコラートのいずれか一方又は両方を主成分とする硬化剤粒子であって、
前記硬化剤粒子表面に位置する前記中心金属に、ケイ素が酸素を介して結合した硬化剤粒子。
【請求項2】
前記中心金属に結合したケイ素が、酸素を介して互いに結合した請求項1記載の硬化剤粒子。
【請求項3】
前記ケイ素に下記一般式(1)
【化1】

(上記一般式中置換基X1は前記ケイ素に結合する。)
で表される置換基が結合した請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の硬化剤粒子。
【請求項4】
前記ケイ素に下記一般式(2)
【化2】

(上記一般式(2)中置換基X2〜X4中、少なくとも一つの置換基X2〜X4が前記ケイ素に結合する。)
で表される置換基が結合した請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の硬化剤粒子。
【請求項5】
中心金属に少なくとも一つの配位子が配位してなる金属キレート、又は中心金属に少なくとも一つのアルコキシ基が結合してなる金属アルコラートのいずれか一方又は両方を主成分とする硬化剤粒子であって、
前記硬化剤粒子表面に位置する前記中心金属に、酸素を介して炭素が結合した硬化剤粒子。
【請求項6】
下記一般式(3)
【化3】

(上記一般式(3)中の置換基X5〜X8のうち、少なくとも一つの置換基がアルコキシ基である)
で表されるシランカップリング剤を加水分解してシラノールを形成し、
中心金属に少なくとも一つの配位子が結合する金属キレート、又は、中心金属に少なくとも一つのアルコキシ基が結合する金属アルコラートのいずれか一方、又は、両方を主成分とする硬化剤粒子と、前記シラノールとを接触させ、前記硬化剤粒子表面に位置する中心金属と前記シラノールとを反応させ、下記一般式(4)
【化4】

(上記一般式(4)中、ケイ素に結合する酸素は前記中心金属に結合する。)
に示されるシロキサンを形成する硬化剤粒子の製造方法。
【請求項7】
前記一般式(4)に示されるシロキサンのケイ素に結合する置換基X9〜X11のうち、少なくとも一つの置換基と、エポキシ樹脂とを反応させる請求項6記載の硬化剤粒子の製造方法。
【請求項8】
前記エポキシ樹脂と反応する置換基が、その構造中にアミノ基を有する請求項7記載の硬化剤粒子の製造方法。
【請求項9】
中心金属に少なくとも一つの配位子が配位してなる金属キレート又は中心金属に少なくとも一つのアルコキシ基が結合してなる金属アルコラートのいずれか一方、又は両方を主成分とする硬化剤粒子と、水酸基を有する化合物とを接触させ、前記硬化剤粒子表面に位置する前記中心金属と、前記水酸基を有する化合物とを反応させる硬化剤粒子の製造方法。
【請求項10】
前記水酸基を有する化合物がアルコールからなる請求項9記載の硬化剤粒子の製造方法。
【請求項11】
前記アルコールがトリプロピレングリコールからなる請求項10記載の硬化剤粒子の製造方法。
【請求項12】
熱硬化性樹脂と、シランカップリング剤と、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の硬化剤粒子とを有する接着剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−31719(P2007−31719A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−244476(P2006−244476)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【分割の表示】特願2001−193944(P2001−193944)の分割
【原出願日】平成13年6月27日(2001.6.27)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】