説明

硬化型液体組成物の硬化方法、インクジェット記録方法、およびインクジェット記録装置

【課題】 酸の存在下で重合する溶媒と、前記溶媒中に溶解され電磁輻射線照射により酸を発生する光酸発生剤とを含有する電磁輻射線硬化型液体組成物を、効率的に硬化可能な方法を提供する。
【解決手段】 酸の存在下で重合する溶媒と、前記溶媒中に溶解され電磁輻射線照射により酸を発生する光酸発生剤とを含有する電磁輻射線硬化型液体組成物の硬化方法である。記録媒体上に、前記電磁輻射線硬化型液体組成物を供給して組成物層を形成する工程と、前記光酸発生剤に吸収される波長を含む電磁輻射線を前記組成物層に照射して、前記光酸発生剤から酸を発生させ、前記組成物層を硬化させる工程とを具備し、前記組成物層が形成されるとき、前記記録媒体の温度が前記供給される電磁輻射線硬化型組成物の温度よりも高温となるように、前記記録媒体を加熱することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁輻射線照射により発生した酸によって硬化する電磁輻射線硬化型液体組成物の硬化方法、およびインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多様化するニーズに迅速に対応でき、在庫を圧縮することが可能なオンデマンド印刷機が利用されつつある。オンデマンド印刷機としては、トナーや液体トナーを用いた電子写真印刷機や高速で高画質な印刷が可能なインクジェットプリンタが期待されている。インクジェットプリンタでは、溶剤系インクは、被印刷面に吐出するまで閉鎖系で取り扱うことができる。使用されるインクは、吐出に必要な流動性を有する必要があり、インク中の溶媒濃度を十分に高くしなければならない。このため、有機溶剤に起因した雰囲気汚染の問題を解決することは本質的に困難である。また、溶剤系インクでは、インク層の乾燥に伴なって印刷面が劣化することがあり、高品質の印刷物を得ることは必ずしも容易ではない。
【0003】
有機溶剤に起因した問題を解決するために、UV照射により硬化させるインク(UVインク)およびそれを用いたプリンタシステムが提案されている。UVインクとしては、ラジカル重合性モノマーと光重合開始剤と顔料とを含有したものが代表的であり(例えば、特許文献1および特許文献2参照)、被印刷面に吐出したUVインクを速やかに光硬化させる。インク層は即座に非流動化されるので、比較的高い品質の印刷物を得ることができるものの、一般的なUVインクは、印刷面が吸収媒体である場合には吸収紙面の内部では硬化しにくい。
【0004】
最近では、記録媒体上にそのインクを吐出してインク層を形成するインクジェット式記録ヘッドと、記録媒体を搬送する搬送手段と、インク層に光を照射する光源と、インク層を加熱する加熱手段とを具備したインクジェット記録装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この記録装置による記録プロセスにおいては、電磁輻射線照射により酸を発生する光酸発生剤と、色成分と、酸の存在下で重合する溶媒とを含有する光硬化性インクジェットインクを用い、記録媒体表面に形成されたインク層に電磁輻射線が照射される。その結果、インク中の光酸発生剤から酸が発生し、この酸は、インク層を加熱することによって、インク層内部に拡散する。酸が触媒として作用してインクの重合硬化が行なわれ、吸収紙面の内部に浸透したインクも硬化させることができる。しかしながら、こうしたインクジェット記録装置は、一般的なUVインク(アクリル系光硬化性インクジェットインク)を用いるインクジェット記録装置よりも、大型の加熱手段を別途設けなければならない。
【0005】
アクリル系光硬化性インクジェットインクは、常温における粘度が通常のインクジェットインクより高いことから、粘度を低下させて安定して吐出させるために、UVインクを記録ヘッド内に供給する供給路に加熱手段が設けられる。さらに記録媒体温度検出手段を設け記録媒体の温度を検出し、目標設定温度に温度調節する記録媒体温度調節手段を設けて、インク液滴により形成される記録媒体上のドットの広がりを調節し、高品質の印刷を保持するインクジェット記録装置などが知られている(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
また、様々な記録媒体に印字するために、記録媒体選択手段と、インクジェットノズル温度制御手段および記録媒体温度制御手段を備え、記録媒体に適合した条件、すなわちインク温度と記録媒体温度を調節して高品質の印刷を行なうインクジェット記録装置なども知られている(例えば、特許文献5参照)。
【特許文献1】特開平8−62841号公報
【特許文献2】特開2001−272529号公報
【特許文献3】特開2004−2668号公報
【特許文献4】特開2003−145728号公報
【特許文献5】特開2003−165207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように従来のインクジェット記録装置は、記録媒体と液体組成物やUVインクを加熱するための大掛かりな加熱手段が必要であるため、装置の大型化が避けられない。さらに、光照射手段から紫外線などの電磁輻射線とともに放射される熱や加熱手段の熱は、必ずしも有効に用いられず、記録媒体やその搬送手段などに奪われてしまうことがある。その結果、UVインクの硬化に必要な熱がインク層に十分に与えられず、加熱不足が生じる。この場合には、化学増幅機構の生命線とも言うべき酸の拡散が十分に行なわれず、硬化不良の原因となる。
【0008】
本発明は、酸の存在下で重合する溶媒と、前記溶媒中に溶解され電磁輻射線照射により酸を発生する光酸発生剤とを含有する電磁輻射線硬化型液体組成物を、効率的に硬化する方法を提供することを目的とする。
【0009】
また本発明は、酸の存在下で重合する溶媒と、前記溶媒中に溶解され電磁輻射線照射により酸を発生する光酸発生剤とを含有する電磁輻射線硬化型液体組成物をインクジェットにより吐出して、効率よく記録を行なう方法およびそのための装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様にかかる電磁輻射線硬化型液体組成物の硬化方法は、酸の存在下で重合する溶媒と、前記溶媒中に溶解され電磁輻射線照射により酸を発生する光酸発生剤とを含有する電磁輻射線硬化型液体組成物の硬化方法であって、
記録媒体上に、前記電磁輻射線硬化型液体組成物を供給して組成物層を形成する工程と、
前記光酸発生剤に吸収される波長を含む電磁輻射線を前記組成物層に照射して、前記光酸発生剤から酸を発生させ、前記組成物層を硬化させる工程とを具備し、
前記組成物層が形成されるとき、前記記録媒体の温度が前記供給される電磁輻射線硬化型組成物の温度よりも高温となるように、前記記録媒体を加熱することを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様にかかるインクジェット記録方法は、酸の存在下で重合する溶媒と、前記溶媒中に溶解され電磁輻射線照射により酸を発生する光酸発生剤とを含有する電磁輻射線硬化型液体組成物をインクジェット記録ヘッドから吐出し記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録方法であって、
記録媒体を搬送手段により搬送する工程と、
前記電磁輻射線硬化型液体組成物をインクジェット記録ヘッドから前記記録媒体上に吐出して、組成物層を形成する工程と、
前記光酸発生剤に吸収される波長を含む電磁輻射線を前記組成物層に照射して、前記光酸発生剤から酸を発生させ、前記組成物層を硬化させる工程とを具備し、
前記組成物層が形成されるとき、前記記録媒体の温度が前記インクジェット記録ヘッドから吐出される前記電磁輻射線硬化型液体組成物よりも高温となるように、前記記録媒体を加熱することを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様にかかるインクジェット記録装置は、酸の存在下で重合する溶媒と、前記溶媒中に溶解され電磁輻射線照射により酸を発生する光酸発生剤とを含有する電磁輻射線硬化型液体組成物をインクジェット記録ヘッドにより前記記録媒体に吐出する手段、
前記記録媒体と前記インクジエットヘッドとを相対的に移動させる手段、
少なくとも前記インクジェット記録ヘッドから前記電磁輻射線硬化型液体組成物が吐出されるときまでに、前記記録媒体を加熱する手段、および
前記加熱された前記電磁輻射線硬化型液体組成物に、前記光酸発生剤に吸収される波長を含む電磁輻射線を照射する手段を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、酸の存在下で重合する溶媒と、前記溶媒中に溶解され電磁輻射線照射により酸を発生する光酸発生剤とを含有する電磁輻射線硬化型液体組成物を、効率的に硬化可能な方法が提供される。本発明の他の態様によれば、酸の存在下で重合する溶媒と、前記溶媒中に溶解され電磁輻射線照射により酸を発生する光酸発生剤とを含有する電磁輻射線硬化型液体組成物をインクジェットにより吐出して、効率よく記録を行なう方法およびそのための装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0015】
本発明の実施形態にかかる方法においては、酸の存在下で重合する溶媒と、光酸発生剤とを含有する電磁輻射線硬化型液体組成物が用いられる。こうした組成物の像形成能力は化学増幅機構に依存し、まず、紫外線などの電磁輻射線照射(光照射)によって光酸発生剤から酸が発生し、この酸が加熱によって拡散して架橋反応の触媒として機能する。ここで照射される電磁輻射線は、光酸発生剤に吸収される波長を含むものである。酸が拡散することにより、例えば色材などの影響で光が届かず酸が発生しない部分にも酸が行き渡って、広範囲で硬化が促進される。
【0016】
特に本発明の実施形態にかかるインクジェット記録方法においては、インクを安定して吐出させるために、インクは所定の粘度に調整されることが望まれる。常温で所定範囲の流動性を有し、例えば、25℃における粘度は50cp以下であることが好ましく、30cp以下がより好ましい。
【0017】
本発明の実施形態にかかる方法に用いられる組成物において、酸の存在下で重合する溶媒としては、具体的には、脂環式骨格および/または脂肪族骨格を含むエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキシラン基含有化合物、およびオキセタン環含有化合物からなる群から選択される少なくとも一種を用いることができる。特に、常温常圧で50mPa・s以下の粘度、摂氏150℃以上の沸点を有する脂環式骨格および/または脂肪族骨格を有する酸重合性化合物が、酸重合性溶媒として好ましい。
【0018】
光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩、ジアゾニウム塩、キノンジアジド化合物、有機ハロゲン化物、芳香族スルフォネート化合物、バイスルフォン化合物、スルフォニル化合物、スルフォネート化合物、スルフォニウム化合物、スルファミド化合物、ヨードニウム化合物、スルフォニルジアゾメタン化合物、およびそれらの混合物等を用いることができる。
【0019】
光酸発生剤は、通常、酸重合性溶媒100重量部に対して正味で0.5重量部以上10重量部以下程度の割合で用いられる。ポリカーボネート等との1:1混合物の場合では、酸重合性溶媒100重量部に対して1重量部以上20重量部以下程度の割合で用いられる。光酸発生剤のより好ましい配合量は、酸重合性溶媒100重量部に対して1重量部以上12重量部以下程度である。
【0020】
上述した成分に加えて色成分を配合した場合には、電磁輻射線硬化型UVインクとすることができる。色成分としては、顔料を用いることができ、有機および無機のいずれでも構わない。色成分の配合量は、通常、酸重合性化合物100重量部に対して0重量部以上20重量部以下程度である。色成分のより好ましい配合量は、酸重合性化合物100重量部に対して3重量部以上6重量部以下程度である。
【0021】
所定の成分を均一に混合し、PTFE製フィルターなどを用いてこれを濾過することによって、本発明の実施形態にかかる方法に用いられる電磁輻射線硬化型液体組成物が得られる。
【0022】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態にかかるインクジェット記録装置について説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の概略的に示す図である。インクジェット記録装置1は、記録媒体2を搬送する搬送手段3を備えている。搬送手段3の移動方向に沿って上流側から下流側に向かって、記録媒体温度調整手段7、インクジェット式の記録ヘッド4、光照射手段5、および加熱手段6が順次配置されている。
【0024】
記録媒体2は、印刷可能な媒体であれば特に限定されるものではない。記録媒体2としては、例えば、紙、OHPシート、樹脂フィルム、不織布、多孔質膜、プラスチック板、回路基板、および金属基板などを使用することができる。
【0025】
搬送手段3は、記録媒体2が、記録媒体温度調整手段7、記録ヘッド4、光照射手段5、および加熱手段6の正面を順次通過するように記録媒体2を搬送する。ここでは、搬送手段3は、記録媒体2を、図中、右側から左側へ向けて搬送する。搬送手段3は、例えば、記録媒体2を移動させるベルトおよび/またはローラと、それを駆動する駆動機構(図示せず)とによって構成することができる。また、搬送手段3には、記録媒体2の移動を補助するガイド部材などをさらに設けてもよい。あるいは、搬送手段3は、枚葉の記録媒体2を搬送させるようなリニアベースの上をスライド移動するステージ構造とすることもできる。
【0026】
記録ヘッド4は、画像信号に対応して記録媒体2上に電磁輻射線硬化型UVインクを吐出しインク層を形成する。すでに説明したように、電磁輻射線硬化型UVインクとは、色成分を含有した電磁輻射線硬化型液体組成物をさす。記録ヘッド4としては、例えば、キャリッジに搭載されたシリアル走査型ヘッドや、記録媒体2の幅以上の幅を有するライン走査型ヘッドを使用することができる。高速印刷の観点では、通常、後者の方が前者に比べて有利である。記録ヘッド4から電磁輻射線硬化型UVインクを吐出する方法に特に制限はない。例えば、発熱体の熱により発生する蒸気の圧力を利用してインク滴を飛翔させるといった手法を採用することができる。あるいは、圧電素子によって発生する機械的な圧力パルスを利用してインク滴を飛翔させてもよい。
【0027】
光照射手段5は、記録媒体2上のインク層に光を照射して、インク層中に酸を発生させる。光照射手段5としては、例えば、低、中、高圧水銀ランプのような水銀ランプ、タングステンランプ、キセノンランプ、アーク灯、エキシマランプ、エキシマレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、レーザと非線形光学結晶とを組み合わせたレーザシステム、高周波誘起紫外線発生装置、電子線照射装置、X線照射装置などを使用することができる。なかでも、システムを簡便化できるため、高周波誘起紫外線発生装置、高・低圧水銀ランプや半導体レーザなどを使用することが望ましい。紫外線を用い場合の波長は、100nm〜600nm程度が好ましい。光照射手段5から出力される光は、紫外線に限定されるものではない。電磁輻射線硬化型液体組成物や電磁輻射線硬化型UVインクに含有される光酸発生剤の感度波長に応じて、適宜選択することができる。特に、250nm付近または365nm付近にピークを有することがより好ましい。また、光照射手段5に集光用ミラーや走引光学系を設けることもできる。
【0028】
加熱手段6は、記録媒体2上のインク層を加熱して、電磁輻射線照射によりインク層中に発生した酸を触媒とした架橋反応を促進する。例えば、赤外線ランプ、ハロゲンヒーター、遠赤外線セラミックヒーター、発熱体を内蔵したローラ(熱ローラ)、温風または熱風を吹き出すブロワなどを使用することができる。特に、印刷速度が数十m/minという高速な印刷装置において、金属製の記録媒体が用いられる場合には、記録媒体の表面温度を瞬的に昇温することが望まれる。非接触タイプの集光型ハロゲンヒーターを用いることによって、これを達成することができる。あるいは、非接触のランプタイプの加熱手段6に集光用ミラーを設けてもよい。
【0029】
この際、記録媒体2上に形成されたUVインク層を加熱するために記録媒体2に与える熱量は、記録媒体の種類・材質・厚さに関わらず、次のように決定することによって、さらに硬化効率を高めることができる。すなわち、記録媒体2表面ピーク温度を、初期温度(記録媒体温度調整手段7による予備加熱された記録媒体の初期温度)から、少なくとも90℃程度以上に昇温することが望まれる。
【0030】
記録媒体温度調整手段7は、搬送手段3の下方および上方のいずれの側に配設されてもよく、固定式および移動式のいずれとしてもよい。また、接触式および非接触式のいずれとしてもよい。非接触式の場合のインクジェット記録装置の一例の概略図を、図2に示す。図2に示すインクジェット記録装置においては、非接触式の記録媒体温度調整手段7が、搬送手段3の上方に配設されている。
【0031】
記録媒体2を予備加熱するに当たっては、必ずしも記録媒体温度調整手段7をインクジェット記録装置1に設ける必要はない。例えば、図3に示すように、記録媒体予備加熱ストッカ14を、インクジェット記録装置1の搬送手段3の前段に設けることができる。この記録媒体予備加熱ストッカ14内に収容された記録媒体2は、記録媒体予備加熱ストッカ14内に装備された加熱手段(図示せず)によって、一括して所定の温度の予備加熱された後、搬送手段3によって搬送される。こうした手法は、熱容量が大きく、瞬時には表面温度が低下しにくい。特に、密度または比重が大きい金属や、厚みがあるなど体積が大きい材料等からなる記録媒体2に記録する場合には、特に有効である。
【0032】
いずれの場合も、記録媒体温度調整手段7は、搬送手段3により搬送される記録媒体2を予備加熱して、記録ヘッド4に到達するときまでに、記録媒体2を所定の温度に昇温させておく。さらに、記録媒体2が予備加熱されることによって、加熱手段6による記録媒体2上のインク層の加熱を助長するという効果も得られる。
【0033】
記録媒体温度調整手段7としては、例えば、赤外線ランプ、ハロゲンヒーター、遠赤外線セラミックヒーター、発熱体を内蔵したローラ(熱ローラ)、IHヒーター、温風または熱風を吹き出すブロワなどを使用することができる。記録媒体2が金属製であって、図2に示したような非接触タイプとする場合には、遠赤外線セラミックヒーターが好ましい。また、印刷速度が数十m/minという高速な印刷装置の場合や瞬間的に高温にさせる必要がある場合には、図2に示した非接触タイプの記録装置において、記録媒体温度調整手段7は、瞬時に昇温できることが望まれる。具体的には、集光型のハロゲンヒーターを用いると効果が高い。図4には、使用し得るハロゲンヒーターの一例の断面図を示す。図示するように、ハロゲンヒーター22は、反射板23で周囲を覆われてハウジング21内に収容されている。ハロゲンヒーター22の下方の所定の位置には焦点24が存在し、ここで集光する。したがって、記録媒体2が焦点24を通過するように、ハロゲンヒーターを配置する距離を設定することが望まれる。
【0034】
図1に示したインクジェット記録装置1を用いて記録媒体2に印刷(画像形成)を行なう方法を、以下に詳細に説明する。
まず、搬送手段3により記録媒体2を、図中、右側から左側へ向けて搬送する。記録媒体2の搬送速度は、使用目的等に応じて、適宜選択され、例えば数10m/min程度の範囲内で制御される。搬送される際、記録媒体2は、搬送手段3の下方に配設された記録媒体温度調整手段7によって予備加熱される。記録媒体温度調整手段7で予備加熱する範囲は、図1に示すような記録ヘッド4により画像を形成される位置付近までとすることができる。あるいは、図5に示すように、光照射手段5により紫外線などの電磁輻射線照射(光照射)される加熱手段6の手前位置付近までであってもよい。
【0035】
予備加熱を行なう具体的な範囲は、電磁輻射線硬化型液体組成物やUVインクの硬化感度や被印刷面の移動速度(記録媒体2の搬送速度)、さらには記録媒体2の種類(材質、厚さなど)などに応じて適宜設定することができる。ただし、記録ヘッド4に到達した際の記録媒体2の温度が、記録ヘッド4から吐出されるインクの温度よりも高いことが必要である。吐出されるインクの温度は、通常20〜60℃程度であり、それと同程度、あるいはそれよりも記録媒体2の温度が低い場合には、インク層を効率よく硬化させることができない。このため、電磁輻射線照射(光照射)のインク硬化に必要な最適な照射条件が狭い範囲に限られたものとなってしまう。
【0036】
搬送される記録媒体2の予備加熱温度は、後述する加熱手段6による加熱の効果の妨げにならない程度の温度とすればよい。この温度は、記録媒体2の変形を引き起こさない限り、高いことが望まれる。光照射手段から放射された熱が、記録媒体の搬送手段などに奪われることなくインクに効率よく与えられることが必要である。硬化に必要な酸をインク層深部にまで充分拡散させて、均一な硬化が可能となる温度まで、電磁輻射線照射(光照射)が照射される前に昇温されていることが好ましい。したがって、光照射後の加熱が必要とならない程度に、さらに、硬化に必要な酸をインク層深部にまで充分拡散させて均一な硬化が可能となるような効果が発揮できるような範囲で、記録媒体2の予備加熱が行なわれる。実際には、予め実験を行なってインクの硬化特性を評価し、予備加熱の条件を設定することが望まれる。具体的には、インクの組成やインク温度および記録媒体の材質等にも依存するが、35〜120℃、より好ましくは50〜70℃程度の範囲内とすることができる。
【0037】
記録媒体2が記録ヘッド4の正面まで搬送されると、記録ヘッド4は画像信号に対応して電磁輻射線硬化型UVインクを吐出する。これによって、記録媒体2上にインク層が形成される。
【0038】
インク層が形成された記録媒体2は、光照射手段5の正面へと搬送される。記録媒体2が光照射手段5の正面を通過する際、光照射手段5はインク層に向けて光を照射して、インク層中に酸を発生させる。インク層表面の位置における照射光強度は、使用する光源の波長などに応じて異なるが、通常、数mW/cm2〜10W/cm2の範囲である。照射光強度は、好ましくは、数10mW/cm2〜5W/cm2程度の範囲内である。インク層への露光量は、インクの感度や被印刷面の移動速度(記録媒体2の搬送速度)などに応じて適宜設定することができる。
【0039】
続いて、記録媒体2は、加熱手段6内あるいはその近傍へ搬送される。記録媒体2が加熱手段6内あるいはその近傍を通過する際、加熱手段6は記録媒体2上に形成されたインク層を加熱して、インク層中での架橋反応を促進する。なお、図1に示すインクジェット記録装置1においては、通常、加熱手段6による加熱時間は、0.数秒〜数10秒程度と比較的短い。したがって、加熱手段6によりインク層の硬化をほぼ完全に進行させる場合は、最高到達温度が例えば200℃程度以下、特に、80℃〜200℃程度の比較的高い温度となるように加熱を行なうことが望まれる。あるいは、60℃〜180℃程度の温度範囲としてもよい。
【0040】
この加熱手段6による加熱は、インクの組成、あるいは上述した予備加熱および電磁照射線の照射条件等の最適化によって省略することも可能である。その後、記録媒体2は図示しないストッカ(あるいは、容器)内へと搬送されて、印刷が完了する。
【0041】
インク層を加熱するための加熱手段6は、図1に示したように光照射手段5の下流に配置された加熱手段6に限定されるものではない。例えば、図6に示すような加熱手段を備えたストッカ15を用いることもできる。こうした加熱手段を備えたストッカ15内に露光後の記録媒体2を収容して、一括して加熱を行なうことができる。あるいは、インク層への露光の際、被印刷面を損なわない程度に光照射手段5を記録媒体2に近づけることによって、光照射手段5を熱源としても利用してもよい。コールドミラーのような除熱機構を光源に設けないことによって、光源を熱源として利用してもよい。数百ワットの高出力バルブの場合には、冷却機構を同時に有しているので、その排熱機構の一部を変更して意図的にその熱を記録媒体2に還元する機構を設ける。これによって、光照射手段5から発生する熱によりインク層を加熱することができる。
【0042】
より具体的には、光照射手段5を冷却した気流を記録媒体2や搬送/保持機構内に再導入して、加熱に用いる機構を有する百ワット以上の出力の光照射手段5がそれに該当する。光照射手段5の熱の還元による記録媒体2の到達温度は、上述した加熱手段6による加熱と同程度の効果が得られる温度とすればよい。好ましい温度は、加熱される時間に依存して変化するが、通常少なくとも60℃以上、より好ましくは80℃〜100℃である。また、露光速度が数m/秒と高速な場合には、瞬間的に加熱されるために180℃程度と高温としてもよい。
【0043】
光照射手段5として、例えば可視光に加えて赤外光を発生し得るものを使用した場合には、光照射と同時に加熱を行なうことができる。この場合には、硬化を促進させることができるので好ましい。
【0044】
なお、記録ヘッド4から吐出される電磁輻射線硬化型UVインク中に含有される色成分が極めて少ない場合には、透明度の高い電磁輻射線硬化型液体組成物ということができる。このため、光照射手段5により照射される紫外線などの電磁輻射線照射(光照射)光は、液体組成物層の深部にまで容易に到達することができる。その結果、光照射手段5の照射出力を低減することが可能となる。加熱手段6の温度(出力:必要熱量)を下げることが可能となり、小型化にもつながる。さらに、条件によっては、記録媒体温度調整手段7の予備加熱に加えて、光照射手段5からの光と同時に出力される放射熱によって、液体組成物層を十分硬化させることができる。この場合には、光照射後の加熱は必ずしも行なわなくてもよく、図7または図8に示すように加熱手段6を省くことができる。その結果、インクジェット記録装置1の小型化にもつながる。
【0045】
色成分を含有する電磁輻射線硬化型UVインクが用いられる場合には、前述の透明度の高い液体組成物層の場合に比べて、光照射手段5により照射される電磁輻射線照射光が液体組成物層の深部にまで到達しにくい。形成される組成物層の層厚が厚い場合は、光が深部に到達するのは特に難しくなり、UVインクに含まれる光酸発生剤の量を検討する必要も生じる。本発明の実施形態にかかる記録装置においては、記録媒体温度調整手段7により記録媒体2が予備加熱され、硬化に必要な酸をインク層深部にまで充分拡散させられるので、加熱手段6の温度(出力:必要熱量)を下げることができ、装置の小型化にもつながる。さらに、条件によっては、記録媒体温度調整手段7の予備加熱に加えて、光照射手段5から光と同時に出力される放射熱だけで、電磁輻射線硬化型UVインク層を十分硬化させることができる。この場合には、光照射後の加熱が必要なくなり、透明度の高い電磁輻射線硬化型液体組成物の場合と同様に、加熱手段6を省くことができる。この場合には、図7または図8を参照して説明したように、インクジェット記録装置1の小型化にもつながる。
【0046】
また、本発明の実施形態にかかるインクジェット記録装置1は、フラットベットタイプのインクジェット記録装置であってもよい。その一例の概略図を、図9に示す。図示するインクジェット記録装置においては、記録媒体2が固定され、インクジェット記録ヘッド4や光照射手段5などが移動して画像が形成される。記録媒体固定ステージの下方には、記録媒体温度調整手段7が配設され、記録媒体2全体を予備加熱して画像形成が行なわれる。
【0047】
このインクジェット記録装置1は、インクジェット記録ヘッド4、光照射手段5、および加熱手段6をインクジェット記録ユニットとして具備している。記録媒体固定ステージ(図示せず)に固定された記録媒体2上を、記録ヘッド4がシリアル的に往復移動することによって、記録が行なわれる。
【0048】
インクジェット記録ユニットは、両サイドのガイド8および9によって、ひとつに固定されると同時に、平行に配設されたフロントレール10およびリヤレール11上を、白矢印と黒矢印方向とに往復に搬送されるように構成される。搬送方法は、ステッピングモーター等に取り付けられ張設されたワイヤーで引っ張る形で行なうことができる。あるいは、リニアスライダーのように自己移動するものであってもよい。
【0049】
フロントレール10およびリヤレール11は平行に固定され、さらに記録媒体2よりも外側に平行に配設されたレフトレール12およびライトレール13上を、矢印方向に搬送するように構成される。
【0050】
このような構成においてインクジェット記録を行なう場合、インクジェット記録ユニットは、図示するように、白矢印方向に搬送されながら記録媒体2上に画像を形成していく。片道での画像形成完了後、インクジェット記録ユニットは、黒矢印方向に一旦戻されながら、平行に配設されたレフトレール12およびライトレール13上を、黒矢印方向に記録媒体2上の未記録の部分にまで移動される。次に、同様にして白矢印方向に搬送されながら、記録媒体2上に画像を形成していく。この動作を繰り返しながら、大きな記録媒体2上に画像を形成する。
【0051】
このようなフラットベットタイプのインクジェット記録装置であっても、上述したようなインクジェット記録装置1と同様、記録媒体温度調整手段7で記録媒体2を予備加熱することによって、加熱手段6の小型化などの効果が期待できる。
【0052】
以下に、具体例を示して本発明の実施形態をより詳細に説明する。
電磁輻射線硬化型液体組成物および電磁輻射線硬化型UVインクを調製し、その硬化特性を調べた。組成物の調製にあたっては、まず、下記に示す2種類のエポキシ化合物Ep1およびEp2を7:1(重量比率)で混合して、酸重合性組成物(エポキシ組成物)aを得た。
【化1】

【0053】
Ep1: 1,2:8,9ジエポキシリモネン
Ep2: ε-カプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル
3',4'-エポキシシクロヘキサンカルボキレート
色成分としてのカーボンブラック色素は、5重量%相当の量でアクリル樹脂と混練しておいた。前述のエポキシ組成物aに対して、この混練物と200ppmのノニオン系界面活性剤(住友3M社製)とを添加した。その後、これら混合物をペイントシェーカで一昼夜分散処理して、黒色組成物a(B)を得た。
【0054】
黒色組成物a(B)と光酸発生剤とを、下記表1に示す割合で混合して攪拌した。得られた混合物を、5μmのPTFEフィルターで濾過することにより、サンプル組成物(1)および(2)を得た。サンプル組成物(1)は、電磁輻射線硬化型液体組成物であり、サンプル組成物(2)は、電磁輻射線硬化型UVインク(以降、UVインクと称する。)である。
【表1】

【0055】
ここで、光酸発生剤として用いたPAG3は、下記化学式で表わされる化合物PAG1およびPAG2の等量混合物を、50%の濃度で炭酸プロピレンに溶解してなる溶液である。これは、UVACURE1591(ダイセルUCB社製)として市販されている。
【化2】

【0056】
図1に示したインクジェット記録装置1を用いて、サンプル組成物(1)および(2)を印刷し、その硬化特性を調べた。インクジェット記録装置1の各部材は、次のように準備した。搬送手段3としては、耐熱性が高く、熱容量が低い金属製のエンドレスベルトを用い、駆動ローラと従動ローラとによりテンションをかけた状態で配設した。記録ヘッド4としては、東芝テック(株)製のCB1インクジェット記録ヘッドを用い、光照射手段5としては、フュージョンUVシステムズ・ジャパン(株)製のUV照射システムHP6(Dバルブ:ピーク波長350nm〜390nm)を用いた。また、加熱手段6としては、(株)ノリタケカンパニーリミテド製の遠赤外線セラミックヒーターPLC−32シリーズを用いた。記録媒体温度調整手段7は、オーエムヒーター(株)製シリコンラバーヒーターを熱伝導率の低い耐熱樹脂製板状部材、例えばPOM板に貼り付けて、給紙位置から光照射手段5位置にわたり搬送手段3の下方に近接配置した。
【0057】
いずれのサンプルについても、印刷条件は以下のとおりとした。
【0058】
記録ヘッド4の解像度:600dpi、
吐出体積:42pl/1ノズル当り
印刷速度(記録媒体搬送手段であるベルトの搬送速度):25m/min
照射出力大:2600mW/cm2、照射出力小1800mW/cm2
加熱温度(記録媒体表面温度):100℃(通過時間:約5秒)
予備加熱温度:60℃
照射出力は、紫外線照度をさし、トプコン社製の紫外線強度計(工業用UVチェッカーUVR−T1)を用いて測定した値である。この照度は、光照射手段であるフュージョンUVシステムズ・ジャパン(株)製のUV照射システムHP6の出力調整ツマミ(ボリューム)によって調整した。
【0059】
上述した条件で、記録媒体としてのPET(厚さ200μm)シートに各組成物を印字し、硬化後の高度を鉛筆硬度法で測定した。印字画像の硬化性(硬度)は、日本工業規格JIS K5600−5−4(MITSU−BISHI製鉛筆2B〜2Hを用いた。)に準拠して測定し、以下のようにA〜Dの4段階で判定した。サンプル組成物(1)および(2)について得られた結果を、下記表2および3にそれぞれまとめる。
【0060】
A:H以上
B:F
C:BおよびHB
D:2B
【表2】

【0061】
【表3】

【0062】
表2に示されるように、電磁輻射線硬化型液体組成物の場合には、記録媒体表面に形成された液体組成物層を予備加熱することによって、光照射手段から放射された熱が記録媒体の搬送手段などに奪われることなくインクに効率よく与えられる。その結果、硬化に必要な酸をインク層深部にまで充分拡散させて均一な硬化が可能となり、光照射後の加熱が必要なくなる。
【0063】
また、UVインクの場合にも、表3に示されるように予備加熱することによって、加熱手段からの熱は、記録媒体の搬送手段などに奪われることなく、記録媒体表面に形成されたUVインク層に効率よく与えられる。こうして、硬化に必要な酸をインク層深部にまで充分拡散させて、均一な硬化が可能となる。その結果、光照射後の加熱手段を簡素化または小型化または低出力化できる。場合によっては、光照射後の加熱手段を省略することもできる。
【0064】
このように、記録媒体を予備加熱し、それによって電磁輻射線硬化型液体組成物層を予備加熱することによって、電磁輻射線照射する光照射手段から放射されるエネルギー(通常、光と熱)、および加熱手段から与えられる熱を最大限利用することが可能となった。すなわち、インクジェット記録装置に小型の予備加熱手段だけで充分となって、大型の加熱装置は必要なくなり装置のコンパクト化などにもつながる。さらに、予備加熱することにより、記録媒体に付着したインクの粘度を低下させるといった効果もあり、記録媒体との濡れ性も高められて、インク層と記録媒体との密着性も向上する。
【0065】
さらに、以下のようなUVインクを調製して、各条件における硬化性を調べた。
UVインクの調製にあたっては、まず、前述のエポキシ化合物Ep1(1,2:8,9ジエポキシリモネン)と、下記に示すエポキシ化合物Ep3(ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル)とを1:1(重量比率)で混合して、酸重合性組成物(エポキシ組成物)bを得た。なお、エポキシ化合物Ep1は、セロキサイド3000(ダイセル化学社製)であり、エポキシ化合物Ep3はSR−NPG(阪本薬品社製)である。
【化3】

【0066】
色成分としてのカーボンブラック色素は、4重量%相当の量でアクリル樹脂と混練しておいた。前述のエポキシ組成物bに対して、この混練物と200ppmのノニオン系界面活性剤(住友3M社製)とを添加した。その後、これら混合物をペイントシェーカで一昼夜分散処理して、黒色組成物b(B)を得た。
【0067】
黒色組成物b(B)と光酸発生剤とを、下記表4に示す割合で混合して攪拌した。得られた混合物を、5μmのPTFEフィルターで濾過することにより、サンプル組成物(3)を得た。サンプル組成物(3)は、UVインクである。
【表4】

【0068】
ここで、光酸発生剤として用いたPAG6は、下記化学式で表わされる化合物PAG4およびPAG5の等量混合物を、50%の濃度で炭酸プロピレンに溶解してなる溶液である。これは、ESACURE1064(ランベルティ社製)として市販されている。
【化4】

【0069】
図1に示したインクジェット記録装置1を用いて、サンプル組成物(3)を印刷し、その硬化特性を調べた。インクジェット記録装置1の各部材は、次のように準備した。搬送手段3としては、耐熱性が高く、熱容量が低い金属製のエンドレスベルトを用い、駆動ローラと従動ローラとによりテンションをかけた状態で配設した。このエンドレスベルトの表面一部に印刷中のみ記録媒体2が固定できる構造になっている。記録ヘッド4としては、東芝テック(株)製のCB1インクジェット記録ヘッドを用いた。光照射手段5としては、フュージョンUVシステムズ・ジャパン(株)製の集光タイプのUV照射システムLH−6(Dバルブ:ピーク波長350nm〜390nm、標準反射ミラー)を用い、前記記録ヘッド4に対し、搬送方向に約417mm離れた位置に配設した。
【0070】
加熱手段6としては、インフリッヂ工業(株)製のハロゲンヒーターユニットNILシリーズ(集光ミラー面金メッキ)を用いた。この光照射手段5に対し、搬送方向に約417mm離れた位置に、単数または複数個の加熱手段6を配設した。ここで用いた加熱手段は、図4の断面図に示したようなハロゲンヒーターであり、この加熱手段の下方25mmの位置で集光して焦点24を有する。記録媒体温度調整手段7は、オーエムヒーター(株)製シリコンラバーヒーターを、熱伝導率の低い耐熱樹脂製板状部材、例えばPOM板に貼り付けて作製した。これを、給紙位置から光照射手段5位置にわたって搬送手段3の下方に近接配置することによって、記録媒体2を予備加熱できる構造とした。
【0071】
記録媒体温度調整手段7としては、上述の構成に限定されず、放射熱の利用した非接触のものや温風を吹きつけるタイプであってもよい。非接触のものでは、加熱手段6用いたインフリッヂ工業(株)製のハロゲンヒーターユニットNILシリーズ(集光ミラー面金メッキ)であってもよい。記録媒体2が鉄などの金属である場合には、電磁誘導加熱のような自己発熱するものを記録媒体温度調整手段として用いることもできる。
【0072】
本実施例に関わる印刷条件(インク硬化膜作成条件)は以下のとおりとした。
【0073】
記録ヘッド4の解像度:600dpi、
吐出体積:42pl/1ノズルあたり
記録ヘッド4による吐出インク温度:40℃程度
インク膜厚:5〜6μm程度(ベタ画像印刷時において)
印刷速度(記録媒体搬送手段3による記録媒体搬送速度):25m/min
また、光照射手段5としては、波長365nm付近にピークをもつ紫外線を用い、その出力範囲は、以下の範囲内で適宜変化させた。
【0074】
光照射照度:263mW/cm2〜2429mW/cm2
光照射積算光量:4mJ/cm2〜236mJ/cm2
加熱手段6は、ハロゲンランプ長手方向1cmあたりのヒーター出力を、0.117〜0.936KW/cmの範囲で適宜変更することによって、加熱条件を設定した。
【0075】
上述したような構成のインクジェット記録装置1を用いて、記録媒体2としてのステンレス金属板(厚さ約100μm)上に、サンプル組成物(3)によりベタ画像硬化物を作製した。印刷に当たっては、記録媒体2を25m/minの速度で搬送し、光照射手段5の光照射照度および光量、加熱手段6のヒーター出力といった条件を種々変更した。
【0076】
光照射手段5の光照射出力(照度・積算光量)は、トプコン社製の紫外線強度計(工業用UVチェッカーUVR−T1、受光部:UD−T36、ピーク感度波長:約350nm)を用いて測定した値である。また、照射出力は、前記UV照射システムの出力調整ツマミ(ボリューム)により25〜100%の範囲で調整した。
【0077】
その際、インクジェット記録装置1に記載した記録媒体温度調整手段7により記録媒体2の予備加熱を行なわない場合(記録媒体2温度30℃程度)、および予備加熱を行なった場合(記録媒体2温度50℃程度)について、記録媒体2上の硬化物の硬化性をそれぞれ調べた。硬化性としては、タックフリー性および鉛筆硬度を測定した。
【0078】
タックフリー性とは、印刷された2枚の記録媒体を重ねた際、記録媒体2の裏面にインクが逆転写する程度のことを意味する。タックフリーとは、印刷された2枚の記録媒体を重ねた際、記録媒体2の裏面に記録媒体2上のインクが逆転写されないことをさし、以下の試験により判断することができる。具体的には、記録媒体2上に形成されたインク硬化膜をクレシア製キムワイプ(紙ワイパー)で数回擦って、そのインク硬化膜のタックフリー性を判断する。タックフリー性は、以下の基準で評価した。
【0079】
○:タックフリー … キムワイプで5回擦っても取れない。
【0080】
△:ややタックフリー … キムワイプで5回擦ると付着する。
【0081】
×:タックフリーではない … キムワイプで1回擦ると付着する。(硬化不良)
つまり、タックフリーであれば記録媒体2上のUVインク層がほぼ硬化していると判断できる。
【0082】
鉛筆硬度は、日本工業規格JIS K5600−5−4(MITSU−BISHI製鉛筆2B〜2Hを用いた。)に準拠して測定した。本実施例に使用したUVインクおよび記録媒体2(ステンレス金属板)の組み合わせでは、鉛筆硬度は“H”以上であることが求められる。
【0083】
表5は、予備加熱を行なわない場合の結果を示し、表6には、予備加熱を行なった場合の結果を示す。各欄の上段は、中段は硬化性のタックフリー性であり、下段は鉛筆硬度である。タックフリー性が“○”であるとともに鉛筆硬度が“H”以上である硬化条件範囲が、適正条件範囲である。
【表5】

【0084】
【表6】

【0085】
表5に示されるように、記録媒体2を予備加熱しない場合には、タックフリー性“○”を確保するには、光照射手段5の照度および光量を、それぞれ2119mW/cm2以上および203mJ/cm2以上とし、加熱手段6のヒーター出力は、0.195KW/cm以上とすることが必要である。また、“H”以上の鉛筆硬度を確保するには、光照射手段5の照度および光量を、それぞれ2119mW/cm2以上および203mJ/cm2以上とし、加熱手段6のヒーター出力は0.468KW/cm以上とすることが必要とされる。このため、記録媒体を予備加熱しない場合には、良好な硬化物が得られる適正条件範囲は極めて狭い。
【0086】
これに対して、35℃〜120℃の温度範囲で記録媒体2の予備加熱を行なった場合には、表6に示されるように適正条件範囲が大きく広がっている。すなわち、タックフリー性“○”を確保するには、光照射手段5の照度および光量を、それぞれ1191mW/cm2以上および104mJ/cm2以上とし、加熱手段6のヒーター出力は、0.117KW/cm以上とすればよい。また、“H”以上の鉛筆硬度を確保するためは、加熱手段6のヒーター出力は、0.146KW/cm以上とすればよい。
【0087】
このように、ヘッド4から吐出されるインク温度以上に記録媒体2表面を予備加熱することによって、記録媒体2を予備加熱しない場合に比べて格段に硬化適正条件が広くなることが確認された。本実施例においては、記録媒体2(表面)温度は、30℃程度とインクジェット記録装置1の機中常温近傍であり、インクジェット記録ヘッド4から吐出されるUVインクの温度は、40℃程度であった。以上の結果に示されるように、例えば50℃まで、記録媒体2(表面)温度を20℃程度上昇させることによって、十分な効果が得られる。
【0088】
同等の光照射条件で比較した場合には、記録媒体2表面ピーク温度が同等となるように加熱手段6の出力を増大させたところで、顕著な効果は期待できない。記録媒体2を予備加熱して、ヘッド4から吐出されるインク温度以上に記録媒体2表面温度を高めておくことによって、インクの硬化を促進することが可能となった。こうした効果は、記録媒体2表面到達温度が同程度の場合でも、得ることができる。
【0089】
また、光照射手段5の照度1191mW/cm2以上、光量104mJ/cm2以上の光照射条件では、記録媒体温度調整手段7で予備加熱される記録媒体2表面ピーク温度が35〜120℃程度の範囲であれば、同様の硬化性結果を得ることができる。記録ヘッド4から吐出されるUVインクの温度にも多少影響されるものの、記録媒体温度調整手段7で予備加熱される記録媒体2表面温度がUVインクの吐出温度より高い場合には、予備加熱温度35〜120℃程度の範囲で硬化性は良好であった。
【0090】
35℃未満の場合には、硬化性における記録媒体2の予備加熱効果を十分に得ることができない。一方、120℃を越えると、記録媒体2やUVインクやインクジェット記録装置1に対してダメージ多く、また記録媒体2上での画像形成にかかわる画像ムラなどの画質への影響も大きい。さらには、予備加熱に関わる装置の消費エネルギーも大きくなってしまうなどの問題が発生した。
【0091】
記録ヘッド4からの吐出されるUVインクの温度が約40℃の場合には、記録媒体温度調整手段7による記録媒体2予備加熱温度は、50〜70℃程度の範囲であれば、さらに高い効果を得ることができる。画質および記録媒体2のダメージなどから、記録媒体温度調整手段7による記録媒体2予備加熱温度が50〜70℃程度の際に、記録媒体2上のUVインク層の硬化性が格段に優れることが確認された。
【0092】
また、記録媒体2の予備加熱によって、次のような効果も得ることができる。例えば、UVインクの温度が40℃の場合、記録媒体温度調整手段7により50〜70℃程度の範囲で記録媒体2を予備加熱することによって、インクの粘度が低下する。インクの粘度が、例えば20mPa・s(cp)以下に低下した場合には、インク中に発生した酸をさらに効率よく拡散できる。その結果、硬化性も向上するので効果が高められる。さらには、インク粘度を低下させたことによって記録媒体2表面との濡れ性も向上し、硬化後の硬化物と記録媒体2表面との密着性も向上する。
【0093】
なお、タックフリー性“○”を確保するためには、UVインクまたは記録媒体2の昇温に必要な全熱量は、次のように決定される。すなわち、記録媒体温度調整手段7による予備加熱、光照射手段5による加熱、加熱手段6による加熱など全部含めて、厚さ100μmのPETを、初期温度から硬化に最低限必要な温度に少なくとも昇温する必要がある。ここでは、初期温度は50℃程度であり、硬化に最低限必要な温度は90℃程度である。
【0094】
上述の実施例において表面温度測定用に間接的に使用した記録媒体の材質は、PETであるので、比重(m)を1.3、比熱(c)を1.3(J/g℃)とすると、1g当り40℃(90℃−50℃)程度昇温させるのに必要な熱量Qは、Q=mctより、以下のように算出される。
【0095】
Q=1.3×1.3×40=67.6J
PETシートの厚さが100μmの場合には、1cm2あたりの必要熱量Q’は、Q´=0.676(J/cm2)とすることができる。したがって、記録媒体2上のUVインク膜を硬化させるのに必要な最低条件は、少なくとも照度1000mW/cm2程度以上、光量100mJ/cm2程度以上、熱量0.676J/cm2程度以上となる。
【0096】
ただし、記録媒体2の厚さが1mmを越えると、媒体上のインク膜の硬化に必要な熱量は、記録媒体の厚さ方向に拡散してしまうので、記録媒体を昇温させるにはより大きな熱量が必要とされる。すなわち、記録媒体温度調整手段7による予備加熱、光照射手段5による加熱、加熱手段6による加熱などを含めて、記録媒体2初期温度(50℃程度)から硬化に最低限必要な温度(90℃程度)に昇温するために必要な熱量を、供給しなければならない。
【0097】
また、本発明の実施形態にかかるUVインクの硬化プロセスは、化学増幅機構に依存し、まず紫外線などの電磁輻射線照射(光照射)によってUVインク中の光酸発生剤から酸が発生する。この酸が、加熱によってUVインク中を拡散して架橋反応の触媒として機能する。酸が拡散することにより、例えば色材などの影響で光が届かず酸が発生しない部分にも酸が行き渡って、広範囲でUVインクの硬化が促進される。
【0098】
粘度の高いUVインクが用いられる場合、吐出に最適な粘度にするために、通常はインクジェット記録ヘッド4内でUVインクを加温しその粘度を下げて、吐出に最適な粘度に調整される。インクジェット記録ヘッド4で加温されたUVインクは、その温度より低い記録媒体2表面に到達すると、冷却されることにより粘度が上昇してしまう。その後、電磁輻射線照射(光照射)によって光酸発生剤から酸が発生しても、その酸はインク層中で効率よく拡散することはできない。その結果、インク層の硬化効率が悪化し、その後の加熱により酸を再拡散させるためには、より大きな熱量が必要とされる。
【0099】
そのため、UVインク層に電磁輻射線を照射(光照射)した後、加熱工程により記録媒体が加熱される時の記録媒体表面最高到達温度が、電磁輻射線を照射される時の記録媒体表面最高到達温度よりも少なくとも高いことが望まれる。この場合には、光照射によって光酸発生剤から発生した酸がさらに効率良く拡散されるので、硬化効率はよりいっそう高められる。本発明の実施形態にかかる方法は、記録媒体を予備加熱することによって、これを可能としたものである。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の一実施形態にかかるインクジェット記録装置の概略図。
【図2】本発明の他の実施形態にかかるインクジェット記録装置の概略図。
【図3】本発明の他の実施形態にかかるインクジェット記録装置の概略図。
【図4】図2に示したインクジェット記録装置に用いられる非接触タイプの集光型ハロゲンヒーター概略図。
【図5】本発明の他の実施形態にかかるインクジェット記録装置の概略図。
【図6】本発明の他の実施形態にかかるインクジェット記録装置の概略図。
【図7】本発明の他の実施形態にかかるインクジェット記録装置の概略図。
【図8】本発明の他の実施形態にかかるインクジェット記録装置の概略図。
【図9】本発明の他の実施形態にかかるインクジェット記録装置の概略図。
【符号の説明】
【0101】
1…インクジェット記録装置; 2…記録媒体,3…搬送手段; 4…記録ヘッド
5…光照射手段; 6…加熱手段; 7…記録媒体温度調整手段; 8…ガイド
9…ガイド; 10…フロントレール; 11…リヤレール; 12…レフトレール
13…ライトレール; 14…記録媒体予備加熱ストッカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸の存在下で重合する溶媒と、前記溶媒中に溶解され電磁輻射線照射により酸を発生する光酸発生剤とを含有する電磁輻射線硬化型液体組成物の硬化方法であって、
記録媒体上に、前記電磁輻射線硬化型液体組成物を供給して組成物層を形成する工程と、
前記光酸発生剤に吸収される波長を含む電磁輻射線を前記組成物層に照射して、前記光酸発生剤から酸を発生させ、前記組成物層を硬化させる工程とを具備し、
前記組成物層が形成されるとき、前記記録媒体の温度が前記供給される電磁輻射線硬化型組成物の温度よりも高温となるように、前記記録媒体を加熱することを特徴とする電磁輻射線硬化型液体組成物の硬化方法。
【請求項2】
前記電磁輻射線硬化型液体組成物は、色成分としての顔料をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の電磁輻射線硬化型液体組成物の硬化方法。
【請求項3】
前記組成物層に電磁輻射線を照射した後の前記記録媒体表面の最高到達温度は、前記電磁輻射線を照射される時の前記記録媒体表面の最高到達温度よりも高いことを特徴とする請求項1または2に記載の電磁輻射線硬化型液体組成物の硬化方法。
【請求項4】
前記電磁輻射線硬化型液体組成物に含まれる光酸発生剤から発生した酸を、前記組成物層中に拡散させ、前記組成物層を硬化させるのに必要な量以上の熱量を、前記記録媒体上の前記組成物層に与えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電磁輻射線硬化型液体組成物の硬化方法。
【請求項5】
前記記録媒体の加熱は、非接触タイプの加熱手段により行なわれることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電磁輻射線硬化型液体組成物の硬化方法。
【請求項6】
前記記録媒体は金属製であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電磁輻射線硬化型液体組成物の硬化方法。
【請求項7】
酸の存在下で重合する溶媒と、前記溶媒中に溶解され電磁輻射線照射により酸を発生する光酸発生剤とを含有する電磁輻射線硬化型液体組成物をインクジェット記録ヘッドから吐出し記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録方法であって、
記録媒体を搬送手段により搬送する工程と、
前記電磁輻射線硬化型液体組成物をインクジェット記録ヘッドから前記記録媒体上に吐出して、組成物層を形成する工程と、
前記光酸発生剤に吸収される波長を含む電磁輻射線を前記組成物層に照射して、前記光酸発生剤から酸を発生させ、前記組成物層を硬化させる工程とを具備し、
前記組成物層が形成されるとき、前記記録媒体の温度が前記インクジェット記録ヘッドから吐出される前記電磁輻射線硬化型液体組成物よりも高温となるように、前記記録媒体を加熱することを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項8】
前記電磁輻射線硬化型液体組成物は、色成分としての顔料をさらに含有することを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録方法。
【請求項9】
前記組成物層に電磁輻射線を照射した後の前記記録媒体表面の最高到達温度は、前記電磁輻射線を照射される時の前記記録媒体表面の最高到達温度よりも高いことを特徴とする請求項7または8に記載のインクジェット記録方法。
【請求項10】
前記電磁輻射線硬化型液体組成物に含まれる光酸発生剤から発生した酸を、前記組成物層中に拡散させ、前記組成物層を硬化させるのに必要な量以上の熱量を、前記記録媒体上の前記組成物層に与えることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項11】
前記記録媒体の加熱は、非接触タイプの加熱手段により行なわれることを特徴とする請求項7ないし10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項12】
前記記録媒体は金属製であることを特徴とする請求項7ないし11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項13】
酸の存在下で重合する溶媒と、前記溶媒中に溶解され電磁輻射線照射により酸を発生する光酸発生剤とを含有する電磁輻射線硬化型液体組成物をインクジェット記録ヘッドにより前記記録媒体に吐出する手段、
前記記録媒体と前記インクジエットヘッドとを相対的に移動させる手段、
少なくとも前記インクジェット記録ヘッドから前記電磁輻射線硬化型液体組成物が吐出されるときまでに、前記記録媒体を加熱する手段、および
前記加熱された前記電磁輻射線硬化型液体組成物に、前記光酸発生剤に吸収される波長を含む電磁輻射線を照射する手段
を具備することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項14】
前記電磁輻射線硬化型液体組成物は、色成分としての顔料をさらに含有することを特徴とする請求項13に記載のインクジェット記録装置。
【請求項15】
前記組成物層に電磁輻射線を照射した後の前記記録媒体表面の最高到達温度は、前記電磁輻射線を照射される時の前記記録媒体表面の最高到達温度よりも高いことを特徴とする請求項13または14に記載のインクジェット記録装置。
【請求項16】
前記電磁輻射線硬化型液体組成物に含まれる光酸発生剤から発生した酸を、前記組成物層中に拡散させ、前記組成物層を硬化させるのに必要な量以上の熱量を、前記記録媒体上の前記組成物層に与えることを特徴とする請求項13ないし15のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項17】
前記記録媒体を加熱する手段は、非接触タイプの加熱手段であることを特徴とする請求項13ないし16のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項18】
前記記録媒体は金属製であることを特徴とする請求項13ないし17のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項19】
前記インクジェット記録装置は、フラットベットタイプであって、インクジェット記録ヘッド、光照射手段、および記録媒体加熱手段がインクジェット記録ユニットを構成し、前記インクジェット記録ユニットは、記録媒体送り方向に対して垂直に方向に動作するシリアルタイプであることを特徴とする請求項13ないし18のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項20】
前記記録媒体上の前記組成物層を加熱する手段は、少なくとも1つの非接触タイプの集光型ハロゲンヒーターを含むことを特徴とする請求項13ないし19のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−62346(P2006−62346A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−135108(P2005−135108)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】