説明

硬化性組成物、コーティング用組成物、塗料、防汚塗料、その硬化物、並びに基材の防汚方法

【課題】スプレー塗装性に優れた硬化性組成物、塗料、水中構造物の防汚方法。
【解決手段】(A)数平均分子量が500〜25000であり、分子の両末端が縮合反応性官能基であるオルガノポリシロキサンと、(B)シリカとを含有する硬化性組成物。上記(B)が(i)疎水性シリカ単独、または、(ii)疎水性シリカを含有。該成分(A)、成分(B)に加えて、さらに、加水分解性基オルガノシランまたはその部分加水分解物を含有。
【効果】厚膜化が可能で、塗装工程の短縮化が図れ、塗料中の溶剤量の低減が可能で、PRTR規制に適合可能であり、防汚塗料として用いると長期間良好な防汚性能が発揮される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物、コーティング用組成物、塗料、防汚塗料、その硬化物、並びに基材の防汚方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、スプレー塗装性に優れ、一回の塗装により厚膜化が可能で塗装工期を短縮でき、しかも該塗装により均一膜厚の塗膜が得られ、その上得られた塗膜は、塗膜強度、塗膜硬度、ゴム物性などに優れ、長期間良好な防汚性能などが発揮され、さらに塗工前には保存安定性に優れている硬化性組成物、コーティング用組成物、塗料、防汚塗料、その硬化物、並びに水中構造物または船舶外板等の基材の防汚方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、硬化性シリコーン組成物の製造にあたっては、1液型、2液型を問わず、表面平滑性、ゴム強度など、硬化後の諸特性を十分に発揮させるために、親水性シリカ、またはヘキサメチルジシラザン等で表面処理した疎水性シリカが配合されている。
【0003】
しかしながら、親水性シリカはシリコーンオイルとの親和性に乏しく、上記硬化性シリコーン組成物中にこのシリカなどのフィラー類の凝集物が生じ、このような組成物を硬化させても優れた特性のゴムは得られない。また、上記疎水性シリカは、シリコーンオイルとの親和性がよく、組成物中での凝集もあまり起こらず、シリカは比較的良好に分散され、チクソ性も比較的良好で、垂直面などに対して一回の塗装による塗膜の厚膜化が期待できる。しかしながら、この組成物は、粘度が高く、スプレー塗装性に劣り、また、溶剤希釈すると、急激にチクソ性が失われ、塗膜がタレを起こしたり、塗膜の平滑性が低下するとの問題点がある。
【0004】
例えば、(1):特開平10−316933号公報には、(a)数平均分子量2万〜10
万の室温硬化可能なシリコーンゴム、(b)数平均分子量500〜2万の室温硬化可能なシ
リコーンゴム及び(c)シリコーンオイルを主成分として含有する塗料組成物が開示され、
さらに疎水性ヒュームドシリカ(d)を配合した塗料組成物も示されている。このように分
子量の異なる2種のシリコーンゴムに疎水性ヒュームドシリカを配合した塗料組成物では、1回塗るだけで厚膜化することは可能であるが、塗料の保存安定性に欠け、調製保存時にシリカの2次凝集によるものと考えられる寒天状になるため塗装時のスプレー塗工性が悪く、塗膜形成時に塗膜表面が不均一(膜厚、色調などが不均一で塗り斑のあること)となり、膜厚、ゴム強度等の良好な塗膜を形成することができないとの問題点がある。
【0005】
ところで、水中構造物、漁網などは、水中、特に海水中で長期に亘って使用されるため、海水との接触部分に、ヒドロ虫、フサコケムシ、アオサ、アオノリ、セルプラ、カキなど多数の海中生物が付着、繁殖すると、水中構造物、漁網等の本来の機能が損なわれる恐れがある。なかでも、火力・原子力発電所の給排水口等の水中構造物は海中の所定位置に建設固定され、また養殖網や定置網は長期間海水中に静置されるため海中生物による腐食や海中生物の繁殖が顕著であり、頻繁に取替え、除去掃除などを行わなければならず、経済的損失が大きい。
【0006】
このような問題を解決するために、海中生物の付着防止を目的として、水中構造物、漁網、海水利用機器類などの表面への防汚塗料の塗装が広く行われている。
例えば、(2):特公昭63−2995号公報には、化学反応硬化型シリコーンゴムと、ペトロラタムまたは流動パラフィン混合物と、低粘度シリコーンオイルとを混合してなる無毒性防汚塗料組成物が開示され、該公報には、この組成物を海中構造物の接水部に塗
布すれば、長期にわたり海中生物の付着生長を防止できる旨記載されている。しかしながら、この無毒性防汚塗料組成物では、一回塗るだけで充分な厚膜を得ることは困難であり、また得られた塗膜は強度、硬度に劣り、傷付き易いとの問題点がある。
【0007】
(3):特公昭60−3433号公報にて、本願出願人は、先にオリゴマー状常温硬化形シリコーンゴムと、石油直溜系低臨界表面張力物質であるパラフィンまたはペトロラクタムとを混合してなり、有機溶媒で希釈した海洋生物付着防止用塗料を開示しているが、長期防汚性に優れるものの、一回塗るだけで充分な厚膜を得ることは困難であり、塗装時の厚膜化の点では改良の余地があった。
【0008】
また、本願出願人らが先に提案した(4):特許第2522854号公報には、(A)分子鎖両末端がシラノール基または加水分解性基で封鎖されたオルガノポリシロキサンと、(B)式「R1aSiX4-a(式中、R1は炭素数1〜8の非置換または置換の1価炭化水素基を示し、Xは加水分解性基を示し、aは0または1を示す。)で示されるオルガノシランまたはその部分加水分解物と、(C)1分子中に式:≡SiR2OSiR3b3-b(式中、R2は非置換または置換の2価炭化水素基またはエーテル結合を含む2価の炭化水素
基を表し、R3は非置換または置換の1価炭化水素基、Yは加水分解性基、bは0,1ま
たは2である。但し、R2がエーテル結合を含む2価の炭化水素基である場合、該炭化水
素基の炭素原子が直接結合したSi原子に2個以上のトリメチルシロキシ基が結合したオルガノポリシロキサンを除く)で示される基を少なくとも1個含むオルガノポリシロキサンとを主剤としてなる硬化性オルガノポリシロキサン組成物及びその硬化物が開示されている。また、該公報には、充填剤として、微粉末シリカ、フュームドシリカ、沈降シリカ等の他、これらの表面をシラン等で疎水化処理したもの等を配合してもよい旨記載されている。また、該公報には、該硬化物は環境汚染の恐れもなく、防汚効果が長期間持続する旨記載されている。しかしながら、該公報に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物では、塗膜の厚膜化、強度、硬度等の点で改善の余地があり、また傷付き易いことがあり、これらの点で更なる改善の余地があった。
【0009】
また、(5):特開2001−139816号公報において、本願出願人らは、(A)分子の両末端に縮合反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンと、(B)疎水性シリカとを含有する硬化性組成物であって、上記疎水性シリカ(B)がオルガノポリシロキサン(A)と加熱処理されている硬化性組成物であって、上記オルガノポリシロキサン(A)が、下記式[α]: W3-a(R1a)Si(R2)O−(Si(R2)O)n−Si(R1a
)W3-a (式[α]中、Wは水酸基または加水分解性基を示し、R1、Rは、C1〜12
の1価炭化水素基を示し、nは5以上の整数を示し、aは0、1または2を示す。)である、防汚塗料用として好適な組成物を提案している。この硬化性組成物を塗装すれば均一膜厚で長期防汚性能に優れた塗膜が得られるが、とくに、該組成物に含まれる溶媒のキシレン等の含量の少ない微溶剤含量タイプ(例:溶剤含量が、組成物中に 1〜10容量%
程度)の硬化性組成物である場合には、塗膜にピンホール、クレーターが発生し、防汚性が低下することがあり、これらの点で更なる改善の余地があった。
【0010】
また、(6):特開2001−181509号公報において、本願出願人らは、上記特開2001−139816号公報(5)の硬化性組成物と同様に、(A)分子の両末端に縮合反応性官能基を有するオルガノポリシロキサンと、(B)疎水性シリカとを含有し、さらに親水性シリカを含有する硬化性組成物を提案しているが、この硬化性組成物の場合も上記特開2001−139816号公報(5)の硬化性組成物と同様に、とくに、該組成物に含まれる溶媒のキシレン等の含量の少ない微溶剤含量タイプの硬化性組成物である場合には、塗膜にピンホール、クレーターが発生し、防汚性が低下することがあり、これらの点で更なる改善の余地があった。
【特許文献1】特開平10−316933号公報
【特許文献2】特公昭63−2995号公報
【特許文献3】特公昭60−3433号公報
【特許文献4】特許第2522854号公報
【特許文献5】特開2001−139816号公報
【特許文献6】特開2001−181509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、塗料中に含まれる溶剤含量を低減でき、PRTR規制にも適合でき、しかも一回の塗装で厚膜化が可能であり塗装工程の短縮化を図ることができ、その上得られる硬化塗膜は長期防汚性などに優れているような硬化性組成物を提供することを目的としている。
【0012】
また、本発明は、コーティング材、特に塗料として用いると、溶剤の含有量を削減しても塗装性等に優れ(すなわち低溶剤性に優れ)、PRTR規制に適合でき、スプレー塗装性に優れ、一回の塗装による厚膜化が可能で塗装工期を短縮でき、しかも低溶剤含量の該塗料を塗装しても得られる塗膜にピンホール、クレーター等の発生がなく、塗膜表面の均一性に優れた良好な塗膜が得られ、その上得られた塗膜は、塗膜強度、塗膜硬度にも優れ、また防汚塗料として用いれば、長期間優れた防汚性能が発揮され、さらに塗工前の貯蔵中には保存安定性に優れている硬化性組成物、特に、コーティング用組成物、硬化性塗料組成物、防汚塗料組成物を提供することを目的としている。
【0013】
また、本発明は、上記のようにコーティング材特に塗料として用いると塗膜強度、塗膜硬度、表面平滑性などに優れた電気部品、建材、工芸品、服飾産業用品、医療用品を提供することを目的とすると共に、防汚塗料として用いれば長期間優れた防汚性能も発揮されるような防汚塗膜、あるいは該塗膜で被覆された水中構造物、船舶外板などを提供することを目的としている。
【0014】
本発明は上記のような特性の厚膜が好ましくは1回塗りで得られるような硬化性組成物、コーティング用組成物、硬化性(防汚)塗料組成物の製造方法を提供することを目的としている。
【0015】
さらに本発明は、上記のような優れた特性の塗膜を水中構造物表面など各種基材の表面に、作業者にとって安全で、しかも環境汚染の恐れもなく、効率よく塗膜形成できるような、電気部品等の表面への塗膜形成方法、および船舶外板・水中構造物・漁網などの基材表面の防汚方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る硬化性組成物は、
(A)GPCで測定した数平均分子量Mn(ポリスチレン換算)が500〜25000であり、分子の両末端が縮合反応性官能基であるオルガノポリシロキサンと、
(B)シリカ
とを含有している。
【0017】
本発明においては上記シリカ(B)が
(i)疎水性シリカ、または、
(ii)疎水性シリカと親水性シリカ
であることが望ましい。
【0018】
本発明における上記オルガノポリシロキサン(A)は、下記式[α]:
【0019】
【化2】

【0020】
(式[α]中、Wは水酸基または加水分解性基を示し、R1、Rは、それぞれ独立に炭素
数1〜12の非置換または置換の1価炭化水素基を示し、複数のR1、Rは、それぞれ互
いに同一でも異なっていてもよく、nは5以上の整数を示し、aは0、1または2を示す。)であることが望ましい。
【0021】
本発明においては、上記式[α]中のWが水酸基であり、かつaが2である場合、このような成分(A)と上記成分(B)とに加えて、さらに、
(C)式[I]:R1aSiX4-a(式[I]中、R1は炭素数1〜8の非置換または置換の1価炭化水素基を示し、Xは加水分解性基を示し、aは0または1を示す。)
で示されるオルガノシランまたはその部分加水分解物を含有することが望ましい。
【0022】
本発明においては、上記親水性シリカが、上記成分(A)と、100℃以上の温度で加熱処理されていることが好ましい。
本発明においては、上記成分(B)を、上記成分(A)100重量部に対して1〜100重量部の量で含有することが望ましい。
【0023】
また、上記成分(C)を、上記成分(A)100重量部に対して1〜20重量部の量で含有することが望ましい。
本発明では、上記疎水性シリカ(イ)と親水性シリカ(ロ)とを重量比((イ)/(ロ))=1
/99〜99/1で含有することが望ましい。
【0024】
本発明では、さらに、シリコーンオイル(D)を、上記成分(A)100重量部に対して、0.1〜200重量部の量で含有することが望ましい。
このシリコーンオイル(D)の粘度は20〜120csであることが好ましい。
【0025】
本発明では、さらに、溶媒(E)として、酢酸ブチルおよび/またはエチルシクロヘキサン、さらには両者を含むことが好ましい。
本発明では、硬化性組成物中の不揮発分が90%以上であることが好ましい。
【0026】
本発明の硬化性組成物では、さらに、触媒、防汚剤および/または着色剤を含むことが好ましい。
本発明に係る硬化性組成物の製造方法は、上記硬化性組成物を製造するに際して、上記成分(A)と、上記成分(B)のうちの少なくとも親水性シリカとを、100℃以上の温度で加熱処理する工程を含むことを特徴としている。
【0027】
本発明に係るコーティング用組成物は、上記何れかに記載の硬化性組成物からなっている。
本発明では、上記コーティング用組成物は、塗料、防汚塗料として好ましく用いられる。
【0028】
本発明に係る硬化物は、上記何れかに記載された硬化性組成物を硬化させてなる。
本発明に係る塗膜、防汚塗膜は、上記記載の硬化性組成物を塗布・硬化させてなっている。本発明に係る塗膜付き基材は、基材の表面が、上記の何れかに記載の硬化性組成物を硬化させてなる塗膜で被覆されていることを特徴としており、上記基材としては、電気部品、電子用品、建材、工芸用品、服飾産業用品、医療用品等が例示される。
【0029】
本発明に係る基材表面への塗膜の形成方法は、上記電気部品などの基材の表面に、上記の何れかに記載の硬化性組成物からなるコーティング材を塗布あるいは含浸させ、次いで該コーティング材を硬化させ、塗膜を形成させることを特徴としている。
【0030】
本発明に係る防汚性基材は、海水または真水と接触する基材の表面が、上記何れかに記載の硬化性組成物を硬化させてなる塗膜にて被覆されていることを特徴としており、上記基材としては、水中構造物、船舶外板、漁網、漁具が好ましい。
【0031】
本発明に係る基材の防汚方法は、上記水中構造物などの基材の表面に、上記何れかに記載の硬化性組成物からなる防汚塗料を塗布あるいは含浸させ、次いで該防汚塗料を硬化させ、防汚塗膜を形成させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、塗料中に含まれる溶剤含量を低減でき、PRTR規制にも適合でき、しかも一回の塗装で厚膜化が可能であり塗装工程の短縮化を図ることができ、その上得られる硬化塗膜は長期防汚性などに優れているような硬化性組成物が提供される。
【0033】
また、本発明によれば、特にコーティング用組成物、塗料として用いると、溶剤の含有量を削減しても塗装性に優れ(すなわち低溶剤性に優れ)、PRTR規制に適合でき、スプレー塗装性に優れ、一回の塗装による厚膜化が可能で塗装工期を短縮でき、しかも低溶剤含量の該塗料を塗装して得られる塗膜にピンホール、クレーター等の発生がなく、塗膜表面の均一性に優れた良好な塗膜が得られ、その上得られた塗膜は、塗膜強度、塗膜硬度にも優れ、また防汚塗料として用いれば、長期間優れた防汚性能が発揮され、さらに塗工前には保存安定性に優れている硬化性組成物が提供される。
【0034】
このような硬化性組成物は、コーティング用組成物、特に、硬化性塗料組成物、防汚塗料組成物として好適に用いられる。本発明に係る硬化物、特にコーティング硬化物は、表面光沢、ゴム硬度、引張強さ等のゴム物性がバランス良く優れ、また、特に(防汚)塗膜、上記防汚塗膜で基材表面が被覆された水中構造物または船舶外板は、長期防汚性などの特性を有している。
【0035】
本発明に係る硬化性組成物の製造方法によれば、1回の塗装で垂直に起立した基材表面などに、所望の厚膜塗装が可能であり、塗装効率が高いコーティング材、塗料、特に防汚塗料等の硬化性組成物を製造できる。本発明に係る基材表面の防汚方法によれば、低溶剤化が可能であり、上記のような優れた特性の塗膜を水中構造物表面など各種基材の表面に、作業者にとって安全で、しかも環境汚染の恐れもなく、効率よく所望の塗膜を形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明に係る硬化性組成物、コーティング用組成物、塗料、防汚塗料、その硬化物、並びに基材の防汚方法について具体的に説明する。
<硬化性組成物>
本発明に係る硬化性組成物には、(A)特定の数平均分子量Mn(ポリスチレン換算値、以下同様。)であり、分子(鎖状分子あるいは分子主鎖)の両末端が縮合反応性基官能基
であるオルガノポリシロキサンと、(B)シリカとが含有されている。
【0037】
このシリカ(B)としては、(B)(i)疎水性シリカが含有され、親水性シリカは含ま
れないか、
上記(A)特定の数平均分子量Mnのオルガノポリシロキサンと、(B)(ii)「疎水性シリカおよび親水性シリカ」とが含有されている。
【0038】
以下、まずオルガノポリシロキサン(A)について説明する。
<オルガノポリシロキサン(A)>
上記オルガノポリシロキサン(A)としては、特許第2522854号(対応する公開公報:特開平4−106156号公報)に記載されているようなオルガノシリコーンの主成分となる重合体、特に好ましくは液状重合体が用いられ、このようなオルガノポリシロキサン(A)としては、下記式[α]:
【0039】
【化3】

【0040】
(式[α]中、Wは水酸基(−OH)または加水分解性基を示し、R1、Rは、それぞれ独
立に炭素数1〜12の非置換または置換の1価炭化水素基を示し、複数のR1、Rは、そ
れぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、nは5以上の整数を示し、aは0、1または2を示す。)で表されるものが望ましい。
【0041】
この式[α]において、a=0、1である場合には、Wは加水分解性基であり、a=2である場合には、Wは水酸基(−OH)であることが望ましい。本発明においては、上記式[α]中のWが水酸基であり、かつaが2である場合には、このような成分(A)と、上記成分(B)とに加えて、さらに、後述するような(C)式[I]:R1aSiX4-a(式[I]中
、R1は炭素数1〜8の非置換または置換の1価炭化水素基を示し、Xは加水分解性基を
示し、aは0または1を示す。)で示されるオルガノシランまたはその部分加水分解物が含有されていることが好ましい。
【0042】
以下、上記式[α]で表される上記オルガノポリシロキサン(A)について初めに説明する。上記式[α]中のWが加水分解性基である場合、このような加水分解性基としては、例えば、アルコキシ基、アシロキシ基、アルケニルオキシ基、イミノキシ基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基等が挙げられ、アルコキシ基が好ましい。
【0043】
上記アルコキシ基としては、総炭素数が1〜10のものが望ましく、また炭素原子間に1箇所以上酸素原子が介在していてもよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基等が挙げられる。アシロキシ基としては、式:RCOO−(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12の芳香族基)で示される脂肪族系または芳香族系のものが望ましく、例えば、アセトキシ基、プロピオノキシ基、ブチロキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
【0044】
アルケニルオキシ基としては、炭素数3〜10程度のものが望ましく、例えば、イソプロペニルオキシ基、イソブテニルオキシ基、1−エチル−2−メチルビニルオキシ基等が
挙げられる。イミノキシ基(=N−OH、オキシイミノ基、ケトオキシム基とも言う。)としては、炭素数3〜10程度のものが望ましく、例えば、ケトオキシム基、ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基、シクロペンタノキシム基、シクロヘキサノキシム基等が挙げられる。
【0045】
アミノ基としては、炭素数1〜10のものが望ましく、例えば、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等が挙げられる。アミド基としては、総炭素数2〜10のものが望ましく、例えば、N−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基等が挙げられる。
【0046】
アミノオキシ基としては、総炭素数2〜10のものが望ましく、例えば、N,N−ジメチルアミノオキシ基、N,N−ジエチルアミノオキシ基等が挙げられる。R1、Rは、そ
れぞれ独立に、炭素数が1〜12、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜8の非置換または置換の1価炭化水素基を示し、このような1価炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アラルキル基等が挙げられる。
【0047】
上記アルキル基としては、直鎖状、分岐状または脂環状の何れタイプのアルキル基であってもよく、その炭素数が1〜10、好ましくは1〜8程度の直鎖状または分岐状アルキル基;炭素数が3〜6のシクロアルキル基;が好ましい。このような直鎖状あるいは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルブチル基、オクチル基等アルキル基、特に好ましくはメチル基が挙げられ、脂環状のアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
【0048】
アルケニル基としては、炭素数が2〜10、好ましくは2〜8程度のものが望ましく、例えば、ビニル基、ヘキセニル基、アリル基等が挙げられる。アリール基としては、炭素数が6〜15、好ましくは6〜12程度のものが望ましく、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ジフェニル基等が挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
【0049】
シクロアルキル基としては、炭素数3〜8のものが望ましく、例えば、シクロヘキシル基等が挙げられる。アラルキル基としては、総炭素数が7〜10、好ましくは7〜8程度のものが望ましく、例えば、ベンジル基、2−フェニルエチル基等が挙げられる。これらの基R1中の炭素原子に結合した水素原子の一部あるいは全部は、F、Cl、Br、I等
のハロゲン原子、シアノ基等で置換されていてもよく、ハロゲン化アルキル基としては、例えば、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−シアノエチル基等が挙げられる。
【0050】
なお、Rとしては、なかでも未置換の1価炭化水素基が好ましく、特にメチル基、フェニル基が好ましい。なお、このような式[α]で表されるオルガノポリシロキサン(A)中に、複数個のR1、複数個のRが存在する場合、これら複数個のR1同士、複数個のR同士、あるいはR1とRとは、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0051】
本発明では、上記成分(A)として、上記式[α]で表されるオルガノポリシロキサン(オルガノポリシロキサン[α])であって、W、R1、R、nの何れか1つまたは2つ
以上が相違するものを、1種または2種以上組合わせて用いてもよい。
【0052】
このようなオルガノポリシロキサン(A)のGPC(カラム:キシレンジビニルベンゼン系ゲルカラム)で測定した数平均分子量Mn(ポリスチレン換算値)は通常、500〜25000、好ましくは 1,000〜20,000、特に好ましくは2,000〜13,00
0である。本発明では、オルガノポリシロキサン(A)としてこのような数平均分子量Mnのものを用いているので、得られる硬化性組成物、コーティング組成物は、溶剤含量の少ないハイソリッド型(例:固形分含量90〜99容量%)の組成物として使用することが可能となり、PRTR法{1999(平成11)年に成立した「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」}への対応上のメリット、塗装性、得られる組成物を溶剤希釈した時のタレ防止性などに優れ、長期保存性に優れ、1回塗りなど
少ない塗装回数で厚膜で平滑な塗膜形成が可能、塗膜にピンホール、クレーターが少ない点などに優れる。
【0053】
このようなオルガノポリシロキサン(A)の25℃における粘度は、用いられる硬化性組成物の用途によっても異なり一概に決定されないが、得られる組成物の塗装性、得られる組成物を溶剤希釈した時のタレ防止などの観点を考慮すると、通常、25cS(cSt)〜
1,500,000cS(150万cS)、好ましくは25〜500,000cS、さらに好ましくは500〜20,000cS、特に好ましくは500〜3,500cS(何れ
も25℃で測定)であることが望ましい。成分(A)として特に低粘度、例えば、25〜15
000cS程度好ましくは上記好適範囲のうちでも500〜15000cS、さらには500〜3500cS、より具体的には、本願実施例に示すように1000cS(何れも25
℃で測定)と低粘度のオルガノポリシロキサン(A)を用いると、好適にハイソリッド塗料
化が可能となる。なお、特開2001−181509号公報の実施例に示されているような高粘度(2万cSt)のオルガノポリシロキサンでは、ハイソリッド塗料に調製すると塗装作業性特にスプレー性に劣り、塗膜にピンホール、クレーターを生じ易い。
<疎水性シリカ、親水性シリカ(B)>
シリカには、湿式法シリカ(水和シリカ)、乾式法シリカ(フュームドシリカ、無水シリカ)等の親水性シリカ(表面未処理シリカ);疎水性湿式シリカ、疎水性フュームドシリカ等の表面処理された疎水性シリカ;がある。
【0054】
本発明では、シリカ成分(B)として、(i)疎水性シリカを単独で用いるか、(ii)疎水
性シリカと親水性シリカとを併用している。このため、得られる硬化性組成物をコーティング材(コーティング用組成物)、塗料、特に防汚塗料等に用いると、調製・保管・貯蔵時の安定性に優れ、十分なチクソ性を有し、一回の塗装で厚膜化可能であり、得られる塗膜は、硬さ、引張強さ、伸び等のゴム物性にバランス良く優れ、しかも、防汚塗膜として用いると防汚性などにも優れている。
【0055】
本発明では、これらシリカ成分としては、下記特性のものをそのまま用いてもよいが、その好ましい態様においては、後で詳述するように、このシリカ成分(B)すなわち疎水性シリカと親水性シリカのうちの少なくとも親水性シリカは、上記成分(A)の一部または全部と共に熱処理されていることが好ましく、さらには、親水性シリカと疎水性シリカとの両者が、上記成分(A)の一部または全部と共に熱処理されていることが望ましい。
【0056】
これらのシリカ(B)のうちで、湿式法シリカは、通常、吸着水分含量(水分含量とも言う。)が4〜8%程度であり、嵩密度は200〜300g/Lであり、1次粒子径は10〜30mμであり、比表面積(BET表面積)は、10m2/g以上であればよいが、
好ましくは50〜800m2/g、さらに好ましくは100〜300m2/g程度である。
【0057】
乾式法シリカ(フュームドシリカ)は、水分含量が通常、1.5%以下である。なお、この乾式法シリカは、製造直後など初期の水分含量は例えば、0.3%以下と低いが、放置しておくと次第に吸湿して水分含量が増加し、製造後数ヶ月経過後の時点では、例えば、0.5〜1.0%程度になる。またこのような乾式法シリカの嵩密度はその種類により異なり一概に決定されないが、例えば、50〜100g/Lであり、1次粒子径は8〜20mμであり、比表面積(BET表面積)は、10m2/g以上であればよいが、好まし
くは100〜400m2/g、さらに好ましくは180〜300m2/g程度である。
【0058】
疎水性フュームドシリカは、乾式法シリカをメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の有機珪素化合物で表面処理したものであり、経時的な水分吸着は少なく、水分含量は通常0.3%以下、多くの場合0.1〜0.2%であり、比表面積は10m2/g以上であればよいが、好ましくは100〜300m2/g、さらに好ましくは120〜230m2/gであり、1次粒子径は5〜50mμであり、嵩密度は50〜
100g/Lである。
【0059】
なお、成分(A)と共に熱処理された疎水性フュームドシリカ(熱処理疎水性ヒュームドシリカ)では、疎水性シリカの表面に吸着されている水分が物理的に低減・除去されており、水分含量が通常、0.2%以下、好ましくは0.1%以下、特に0.05〜0.1%であり、嵩密度等のその他の物性値は、上記疎水性シリカと同様である。
【0060】
このような成分(B)は、上記成分(A)100重量部に対し、通常、1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部、特に好ましくは5〜30重量部の量で本発明の硬化性組成物中に含有されていることが望ましい。このような量でシリカ成分(B)が硬化性組成物中に含まれていると、塗膜強度、塗膜硬度に優れ、チクソ性が良好で、適度の粘度を有し、良好に塗装特にスプレー塗装でき、例えば、垂直に起立した基材面等であっても1回の塗装で塗膜の厚膜化を図ることができるため好ましい。
【0061】
なお、上記成分(B)が上記範囲より少ないと、十分な塗膜強度、塗膜硬度が得られず、所望のチクソ性が得られず1回の塗装特にスプレー塗装で所望の厚膜化が図れないことがあり、また、上記成分(B)が上記範囲より多いと塗料の粘度が過度に高くなり、塗装に適した適正粘度までシンナーなどの溶剤で希釈する必要が生じ、1回のスプレー塗装による厚膜化が図れないことがある。
【0062】
本発明では、シリカ成分(B)として、上記疎水性シリカ(イ)を単独で用い、親水性シリカ(ロ)を配合しなくともよい。このように成分(B)として、親水性シリカ(ロ)を含有せず、疎水性シリカ(イ)のみを含有していると、塗料の物性はチクソ性、タレ性が向上する傾向にあり、また、硬化塗膜の物性は、塗膜強度、塗膜硬度、塗膜の平滑性が優れる傾向がある。
【0063】
また、本発明ではシリカ成分(B)として、上記疎水性フュームドシリカ等の疎水性シリカ(イ)と、表面未処理シリカ等の親水性シリカ(ロ)とを、重量比((イ)/(ロ))が1/
99〜99/1、好ましくは20/80〜80/20、特に好ましくは30/70〜70/30となるような量でこれらを用いることが望ましい。このような量比で疎水性ヒュームドシリカ(イ)と親水性シリカ(ロ)とを併用すると、得られる硬化性組成物は、調製・保管・貯蔵時の塗料安定性に優れ、十分なチクソ性を有し、また該組成物を硬化して得られる塗膜は塗膜強度、塗膜硬度に優れる傾向がある。
<オルガノシランまたはその部分加水分解物(C)>
本発明においては、前記成分(A)が前記式[α]で表され、式[α]中のWが水酸基であり、かつaが2である場合には、このような成分(A)と、上記成分(B)とに加えて、さらに、(C)式[I]:R1aSiX4-a(式[I]中、R1は炭素数1〜8の非置換または置換の前記式[α]中のR、R1等と同様の1価炭化水素基を示し、Xは前記式[α]中のWと同
様の加水分解性基を示し、aは0または1を示す。)で示されるオルガノシランまたはその部分加水分解物が含有されていることが好ましい。
【0064】
すなわち、本発明においては、上記成分(A)として、その分子(鎖状分子、分子鎖)
の両末端が水酸基(−OH)であるオルガノポリシロキサン、具体的には、分子鎖両末端がシラノール基(≡Si−OH)で封鎖された硬化性オルガノポリシロキサンを用いる場合には、このような成分(A)と架橋剤・硬化剤などとしての成分(C)とを併用することが特に好ましい。また例えば、上記成分(A)として、その分子両末端が加水分解性基で封鎖された硬化性オルガノポリシロキサンを用いる場合には、硬化剤成分(C)が存在しなくとも充分に硬化可能であるが、このような場合にも成分(C)を含むことがより好ましい。
【0065】
上記Xは、前記式[I]におけるWと同様の加水分解性基である。このような式[I]で表されるオルガノシランまたはその(部分)加水分解物としては、具体的には、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリ(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルトリプロペニルオキシシラン、メチルトリアセトキシシラン及びこれらのシラン化合物のメチル基をビニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基等で置換したシラン化合物、さらにはこれらの部分加水分解物が挙げられる。この場合加水分解性基としてはケトオキシム基が好ましい。
【0066】
これらのオルガノシランまたはその加水分解物(C)は、上記オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対して、1〜60重量部の量で使用可能であるが、通常、1〜20重量部の量で、好ましくは2〜10重量部の量で本発明の硬化性組成物中に含まれていることが望ましい。このような量でオルガノシランまたはその加水分解物(C)が上記組成物中に含まれていると、成分(A)の架橋反応が良好に進行し、得られた塗膜は、適度の硬度を有し、経済性に優れる傾向がある。
<シリコーンオイル(D)>
本発明に係る硬化性組成物は、シリコーンオイル(D)を含んでいてもよく、このようなシリコーンオイル(D)としては、非反応性(非縮合性)のシリコーンオイルや硬化性組成物の硬化物中からブリードアウトしていくシリコーンオイルなら特に制限されないが、好ましくは(A)成分と異なる(D)成分、さらには下記式[II]、[IV]で示されるシリコーンオイル、下記式[III]で示される基を有するシリコーンオイルが好ましい。
【0067】
このようなシリコーンオイル(D)のうちでシリコーンオイル[II]、[IV]は、前記成分(A)などとの反応性や自己縮合性を示さず、塗膜表面(層)に防汚機能層(膜)を形成する働きを有していると考えられ、またシリコーンオイル[III]は、塗膜形成成分となる
成分(A)などと反応し、硬化塗膜を形成し、長期間海水に浸漬されていると経時的に加水分解され、末端基がアルコール性水酸基を有する基「≡SiR4OH」等となって塗膜
表面にブリードアウトし、海中生物付着防止効果を発揮するのであろうと考えられる。
(R23SiO(SiR32O)nSi(R23 ・・・・・[II]
(式[II]中、複数個のR2は互いに同一または異なってもよく、炭素数1〜10のアルキ
ル基、アリール基、アラルキル基またはフルオロアルキル基を示し、複数個のR3は互い
に同一または異なってもよく、各R3は、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基またはフルオロアルキル基を示し、nは0〜150の数を示す。)
≡SiR4OSiR5b3-b ・・・・・[III]
(式[III]中、R4は非置換または置換の2価炭化水素基またはエーテル結合を含む2価炭化水素基を表し、R5は非置換または置換の1価炭化水素基、Yは加水分解性基、bは0
,1または2である。)
6xSi(R7−Z)y(4-x-y)/2 ・・・・・[IV]
(式[IV]中、R6は、水素原子、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基、アリール基また
はアラルキル基を示し、R7は、エーテル基、エステル基または−NH−が介在していて
もよい炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基を示し、Zは、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基または末端が炭素数1〜6のアルキル基もしくはアシル基で封鎖されていてもよいポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール基である1価の極性基を
示し、x、yは、それぞれ0.01≦x<3.99、0.02≦y<4であり、かつ、0.02≦x+y<4を示す。)。
【0068】
上記シリコーンオイル(D)のうち、シリコーンオイル[II]としては、特開平10−316933号公報に記載されているようなものが使用でき、数平均分子量Mnが180〜10,000、好ましくは1,000〜5,000であり、粘度が20〜10,000センチストークス(cSt)、好ましくは30〜1,000センチストークス、特に好ましくは50〜150センチストークス(cSt(cs),25℃で測定。以下同様。)であるものが望ましい。
【0069】
このようなシリコーンオイル[II]としては、例えば、R2、R3の全てがメチル基であるジメチルシリコーンオイル、これらのジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部がフェニル基に置換されたフェニルメチルシリコーンオイルが挙げられ、なかでもメチルフェニルシリコーンオイルが好ましい。このようなメチルフェニルシリコーンオイルとしては、具体的には、例えば、「KF−54、KF−56、KF−50」(信越化学工業社製品)、「SH510、SH550」(東レダウコーニングシリコーン社製)、「TSF431、TSF433」(東芝シリコーン社製)等の商品名で上市されているものが挙げられる。
【0070】
また、上記式[III]で示され基を有するシリコーンオイル(シリコーンオイル[III])としては、特許第2522854号公報に記載されているものが使用でき、数平均分子量が250〜10,000、好ましくは1,000〜5,000であり、粘度が20〜30,000センチストークス(cSt)、好ましくは30〜3000センチストークス、特に好ましくは50〜150センチストークス(cSt,何れも25℃で測定。以下同様。)のものが望ましい。
≡SiR4OSiR5b3-b ・・・・・[III]
(式[III]中、R4は非置換または置換の2価炭化水素基またはエーテル結合を含む2価炭化水素基を表し、R5は非置換または置換の1価炭化水素基、Yは加水分解性基、bは0
,1または2である。)
上記R4としては、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブ
チレン基、ヘキサメチレン基等のような非置換または置換の2価炭化水素基;または、「−(CH2p−O−(CH2q−」(式中、p、qはそれぞれ独立に1〜6の整数を示す。)等で示されるエーテル結合を含む2価炭化水素基;等が挙げられる。
【0071】
5としては、上記成分(C)の式[I]におけるR1と同様に、炭素数1〜8の非置換ま
たは置換の1価炭化水素基を示す。Yは、上記成分(C)の式[I]における加水分解性基
Xと同様の基を示す。
【0072】
このような式[III]で示される基を少なくとも1個有するシリコーンオイル[III]としては、具体的には、例えば、上記特許第2522854号公報に記載されているような、(CH33SiO[(CH32SiO]m[R78SiO]n(CH32SiC36−OH、HO−C36−[(CH32SiO][(CH32SiO]m[R78SiO]n−(CH32Si−C36−OH、(CH33SiO[(CH32SiO]m[R78SiO]n[(CH3)(C36−OH)SiO]l[(CH32SiCH3]、で表されるシリコーン
オイルの水酸基を加水分解基で封鎖したもの等が挙げられる。但し、上記各式中、R7
8としては、フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、β−フェニルエチル
基等のアラルキル基;トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基;等のように、R7、R8のうち少なくとも一方がメチル基以外の基から選択される非置換または置換の1価炭化水素基が挙げられる。m、n、lは何れも正数を示す。
【0073】
また、得られる組成物の保存安定性の点から、下記に例示するように、上記のシリコーンオイルを、式:「R5bSiY3-b」(R5、Y、bは式[III]の場合と同様。)で示され
るオルガノシランと反応させたものでもよい。(CH33SiO[(CH32SiO]m
[R78SiO]n(CH32SiC36−O−R5bSiY3-b、HO−C36−[(CH32SiO][(CH32SiO]m[R78SiO]n−(CH32Si−C36−O−R5bSiY3-b、(CH33SiO[(CH32SiO]m[R78SiO]n[(CH3)(C36−O−R5bSiY3-b)SiO]l[(CH32SiCH3]など。
【0074】
シリコーンオイル[IV]としては、具体的には、特開平10−316933号公報に記載されているようなものが使用でき、数平均分子量Mnが250〜30,000好ましくは1,000〜20,000であり、粘度が20〜30,000センチストークス好ましくは30〜3,000センチストークス特に好ましくは50〜150センチストークスであるものが望ましい。
6xSi(R7−Z)y(4-x-y)/2 ・・・・・[IV]
(式[IV]中、R6は、水素原子、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基、アリール基また
はアラルキル基を示し、R7は、エーテル基、エステル基または−NH−が介在していて
もよい炭素数1〜10の2価脂肪族炭化水素基を示し、Zは、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基または末端が炭素数1〜6のアルキル基もしくはアシル基で封鎖されていてもよいポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール基である1価の極性基を示し、x、yは、それぞれ0.01≦x<3.99、0.02≦y<4であり、かつ、0.02≦x+y<4を示す。)。
【0075】
このようなシリコーンオイル[IV]としては、好ましくは、上記式[IV]において、R6
、メチル基またはフェニル基であり、R7が、メチレン基、エチレン基またはプロピレン
基であるものが望ましい。またZとしては、末端が炭素数6以下のアルキル基もしくはアシル基で封鎖されていてもよいポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール基である場合、繰り返し単位としてのオキシエチレン、オキシプロピレンの数は10〜60が好ましい。また、末端封鎖用の上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、末端封鎖用の上記アシル基としては、ケトオキシム基、アセチル基、プロピオニル基等が挙げられる。
【0076】
具体的には、極性基Zがアミノ基であるシリコーンオイルとしては、「SF8417」(東レダウコーニング社製)、「ISI4700、ISI4701」(東芝シリコーン社製)、「FZ3712、AFL−40」(日本ユニカー社製)等が挙げられる。極性基Zがカルボキシル基であるシリコーンオイルとしては、「XI42−411」(東芝シリコーン社製)、「SF8418」(東レダウコーニングシリコーン社製)、「FXZ4707」(日本ユニカー社製)等が挙げられる。また極性基がエポキシ基であるシリコーンオイルとしては、「SF8411」(東レダウコーニングシリコーン社製)、「XI42−301」(東芝シリコーン社製)、「L−93,T−29」(日本ユニカー社製)等が挙げられる。極性基Zがアルキル基またはアシル基であるシリコーンオイルとしては、「ISI4460,ISI4445、ISI4446」(東芝シリコーン社製)、「SH3746、SH8400、SH3749、SH3700」(東レダウコーニングシリコーン社製)、「X−31−1234−99」(信越シリコーン社製)等が挙げられる。
【0077】
本発明では、このようなシリコーンオイル(D)のうちでも、その粘度(測定条件:25℃)が20〜120cstであると好ましく、さらには、 50〜100cstである
と(A)オルガノポリシロキサンとの相溶性、得られる塗膜が優れた防汚性を有するなどの点でより好ましい。
【0078】
本発明においては、このようなシリコーンオイル(D)、好ましくは、シリコーンオイ
ル[II]、シリコーンオイル[III]及びシリコーンオイル[IV]のうちの何れか1種または2
種以上が、上記成分(A)100重量部に対して、合計で、0.1〜200重量部、好ましくは20〜100重量部の量で含有されていることが望ましい。
【0079】
このシリコーンオイル(D)量が上記範囲にあると、例えば、防汚塗料として用いる場合に、防汚性、塗膜強度共に優れた(防汚)塗膜が得られる傾向があり、上記範囲より少ないと防汚性が低下し、また上記範囲を超えて多いと塗膜強度が低下することがある。
【0080】
[硬化性組成物の製造]
このような本発明に係る硬化性組成物、特に、コーティング用組成物、硬化性塗料組成物および防汚塗料組成物は、成分(B)として疎水性シリカと親水性シリカとを併用する場合には、予め、成分(A)の一部または全部と、成分(B)のうちの少なくとも親水性シリカ、好ましくは親水性シリカと疎水性シリカとの両者を、
常圧下または減圧下に、100℃以上で配合成分の分解温度以下、好ましくは100〜300℃、さらに好ましくは140℃〜200℃程度の温度で、通常30分〜3時間程度加熱処理した後、残部の成分(A)と、(B)と、必要により用いられる成分(C)とに加えて、必要によりさらに成分(D)を配合することによって製造することができる。
【0081】
また、成分(B)として疎水性シリカと親水性シリカのうちの疎水性シリカ(イ)のみを単独で使用する場合には、このような本発明に係る硬化性組成物、特に、コーティング用組成物、硬化性塗料組成物および防汚塗料組成物は、予め、成分(A)の一部または全部と、成分(B)としての疎水性シリカ(イ)を上記と同様な条件(圧力、温度、時間)で加熱処理した後、残部の(A)、必要により添加される(C)、(D)等を配合することによって製造することができる。
【0082】
また、本発明では、従来より公知のオルガノシロキサン硬化触媒、防汚剤、チクソトロピー性付与剤、可塑剤、無機脱水剤(安定剤)、タレ止め・沈降防止剤(増粘剤)、着色顔料、染料、その他の塗膜形成成分、溶剤(例:酢酸ブチル、エチルシクロヘキサン、キシレン)、殺菌剤、防カビ剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導改良剤、接着性付与剤などを所定の割合で一度にあるいは任意の順序で加えて撹拌・混合し、溶媒に溶解・分散することもできる。
【0083】
このように成分(B)として疎水性シリカと親水性シリカとを併用する場合には、これらのうちの少なくとも親水性シリカを、好ましくは親水性シリカと疎水性シリカの両者を、成分(A)と加熱処理すると、得られる組成物中の成分(A)と(B)とは親和性に優れ、成分(B)などの充填剤成分の凝集がなく、例えば、得られるコーティング用組成物、例えば、防汚塗料組成物は適度の流動性、チクソ性等を示し、垂直塗装面などに対しても、所望の充分な厚みの塗膜を1回塗りなどの少ない塗装回数で形成できる。
【0084】
また、成分(B)として疎水性シリカを単独で用いる場合には、この疎水性シリカと成分(A)と加熱処理すると、上記と同様の物性の組成物、特に、厚膜性、塗膜の均一性という性能の優れたコーティング用組成物、防汚塗料組成物などが得られる。
【0085】
なお、上記のような配合成分の攪拌・混合の際には、ロスミキサー、プラネタリーミキサー、万能品川攪拌機など、従来より公知の混合・攪拌装置が適宜用いられる。上記触媒としては、例えば、特許第2522854号公報に記載されているものを好適に使用でき、具体的には、例えば、ナフテン酸錫、オレイン酸錫等のカルボン酸錫類;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)錫等の錫化合物類;テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テ
トラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、チタニウムイソプロポキシオクチルグリコール等のチタン酸エステル類あるいはチタンキレート化合物;等の他、ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛−2−エチルオクトエート、鉄−2−エチルヘキソエート、コバルト−2−エチルヘキソエート、マンガン−2−エチルヘキソエート、ナフテン酸コバルト、アルコキシアルミニウム化合物等の有機金属化合物類;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アモノエチル)γ−アモノプロピルトリメトキシシラン等のアミノアルキル基置換アルコキシシラン類;ヘキシルアミン、リン酸ドデシルドデシルアミン、ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のアミン化合物及びその塩類;ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の第4級アンモニウム塩;酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、臭酸リチウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩類;テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等のグアニジル基を含有するシラン又はシロキサン類;等が挙げられる。
【0086】
これらの触媒は、成分(A)100重量部に対して、10重量部以下、好ましくは5重量部以下、さらには1重量部以下の量で用いられ、これらの触媒を使用する場合の好ましい下限値は0.001重量部以上、特に0.01重量部以上である。
<任意成分>
上記のように本発明に係る硬化性組成物が、例えば、コーティング用組成物、特に塗料組成物あるいは防汚塗料組成物、なかでも硬化性防汚塗料組成物として用いられる場合には、上記成分(A)、(B)および、必要により用いられる成分(C)に加えて、必要により、さらに、以下に詳述するような防汚剤、可塑剤、無機脱水剤、カルボン酸金属塩、タレ止め・沈降防止剤(搖変剤)、顔料、その他の塗膜形成成分、その他の充填剤、難燃剤、チクソトロピー性付与剤、熱伝導改良剤、溶剤、防カビ剤、抗菌剤、艶消し剤、香料などの各種成分が含まれていてもよい。
<防汚剤>
防汚剤としては、無機系、有機系の何れであってもよく、無機系防汚剤としては、従来より公知のものを使用できるが、中でも銅、無機銅化合物が好ましい。
有機防汚剤
有機防汚剤としては、下記式(vi)で示される金属−ピリチオン類[式中R1〜R4は、それぞれ独立に水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基を示し、Mは、Cu、Zn、Na、Mg、Ca、Ba、Pb、Fe、Al等の金属を示し、nは価数を示す
]:
【0087】
【化4】

【0088】
、テトラメチルチウラムジサルファイド、カーバメート系の化合物(例:ジンクジメチルジチオカーバメート、マンガン−2−エチレンビスジチオカーバメート)、2,4,5,
6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3(2H)イソチアゾリン、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルsトリアジン等を挙げることができる。
【0089】
上記有機防汚剤のうちでは、銅ピリチオン(式(vi)中、M=Cu)、ジンクピリチオン
(式(vi)中、M=Zn)、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルsトリアジン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルが好ましい。
【0090】
これらの有機防汚剤の内では、金属ピリチオン類および/または4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチゾリン−3−オンが好ましく、さらにはこれらを併用すると防汚性能が優れるので好ましく、特に銅ピリチオンおよび/または4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを用いることが好ましく、これらを併用することが一層好ましい。
【0091】
このような有機防汚剤を含む防汚塗料組成物においては、例えば、銅および/または無機銅化合物以外に、上記有機防汚剤が通常、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%の量で含まれていることが望ましい。また塗料組成物中に含まれる固形分100重量部に対して、該有機防汚剤は、固形分として、通常、0.1〜150重量部、好ましくは0.1〜100重量部の量で含まれていることが望ましい。
<可塑剤(塩素化パラフィン)>
可塑剤としては、TCP(トリクレジルフォスフェート)、塩素化パラフィン、ポリビニルエチルエーテル等が挙げられる。これらの可塑剤は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの可塑剤は、得られる防汚塗料組成物からなる塗膜(「防汚塗膜」とも言う。)の耐クラック性の向上に寄与する。
<無機脱水剤>
無機脱水剤は、安定剤としても機能し、防汚塗料組成物の貯蔵安定性を一層向上させることができ、このような無機脱水剤としては、無水石膏(CaSO4)、合成ゼオライト
系吸着剤(商品名:モレキュラーシーブ等)、シリケート類等が挙げられ、無水石膏、モレキュラーシーブが好ましく用いられる。このような無機脱水剤は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0092】
このような無機脱水剤を含む硬化性塗料組成物においては、この無機脱水剤は、本発明の非錫系塗料組成物中に、通常、0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%程度の量で含まれていてもよい。
<カルボン酸金属塩>
なお、本発明に係る硬化性塗料組成物には、さらに、カルボン酸金属塩が含まれていてもよい。
【0093】
カルボン酸金属塩としては、その分子量が通常50〜1000、好ましくは100〜600のものが用いられる。このようなカルボン酸金属塩を構成するカルボン酸としては、脂環構造を有するカルボン酸(例:ナフテン酸)、芳香環構造を有するカルボン酸(例:α−(2−カルボキシフェノキシ)ステアリン酸)、ロジン系樹脂酸、脂肪酸等が挙げられ、ナフテン酸、ロジン系樹脂酸、脂肪酸が好ましい。
<タレ止め・沈降防止剤(搖変剤)>
タレ止め・沈降防止剤(搖変剤)としては、有機粘土系Al、Ca、Znのステアレート塩、レシチン塩、アルキルスルホン酸塩などの塩類、ポリエチレンワックス、アマイドワックス、水添ヒマシ油ワックス系、ポリアマイドワックス系および両者の混合物、合成
微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス等が挙げられ、好ましくは、ポリアマイドワックス、合成微粉シリカ、酸化ポリエチレン系ワックス、有機粘土系が用いられる。このようなタレ止め・沈降防止剤としては、楠本化成(株)製の「ディスパロン305」、「ディ
スパロン4200-20」等の他、「ディスパロンA630-20X」等の商品名で上市されているもの
が挙げられる。
【0094】
このようなタレ止め・沈降防止剤は、この硬化性塗料組成物中に、例えば、0.1〜10重量%の量で配合される。
<顔料>
顔料としては、従来公知の有機系、無機系の各種顔料を用いることができる。
【0095】
有機系顔料としては、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、紺青等が挙げられる。
無機系顔料としては、例えば、チタン白、ベンガラ、バライト粉、シリカ、タンカル、タルク、白亜、酸化鉄粉等のように中性で非反応性のもの;
亜鉛華(ZnO、酸化亜鉛)、鉛白、鉛丹、亜鉛末、亜酸化鉛粉等のように塩基性で塗料中の酸性物質と反応性のもの(活性顔料)等が挙げられる。
【0096】
なお、染料等の各種着色剤も含まれていてもよい。このような各種顔料は、硬化性組成物、特に硬化性塗料組成物中に、例えば、合計で0.5〜45重量%程度の量で配合される。
<その他の塗膜形成成分>
塗膜形成成分としては、上記したオルガノポリシロキサン(A)など以外の塗膜形成成分が本発明の目的に反しない範囲で含まれていてもよく、このような「その他の塗膜形成成分」としては、例えば、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリブテン樹脂、ウレタン樹脂(ゴム)、ポリアミド樹脂、塩化ビニル系共重合樹脂、塩化ゴム(樹脂)、塩素化オレフィン樹脂、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル樹脂、アルキッド樹脂、クマロン樹脂、トリアルキルシリルアクリレート(共)重合体(シリル系樹脂)、石油樹脂等の難あるいは非水溶性樹脂(以下、難/非水溶性樹脂ともいう)が挙げられる。
<その他の充填剤、難燃剤、チクソトロピー性付与剤、熱伝導改良剤、接着成分など>
上記した以外の充填剤としては、けいそう土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ等の金属酸化物あるいはこれらの表面をシラン化合物で表面処理したもの;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩;その他、アスベスト、ガラス繊維、カーボンブラック、石英粉、水酸化アルミ、金粉、銀粉、表面処理炭酸カルシウム、ガラスバルーン等が挙げられる。これらの充填剤は、1種または2種以上併用してもよい。
【0097】
チクソトロピー性付与剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びこれらの誘導体等が挙げられる。難燃剤としては、酸化アンチモン、酸化パラフィンなどが挙げられる。熱伝導改良剤としては、窒化ホウ素、酸化アルミニウム等が挙げられる。接着成分としては、アルコキシシリル基、エポキシ基、ヒドロシリル基、アクリル基、ヒドロキシシリル基等の基を1種または2種以上含有する物質あるいはこれらの物質の混合物が挙げられる。
<溶剤(E)>
本発明の硬化性塗料組成物等の硬化性組成物には、溶剤が含まれていてもよく、また含まれていなくともよいが、低沸点溶媒、特に溶媒の沸点が100℃以下、特に50〜80℃程度の低沸点溶媒はできるだけ含まないか少量に止めることがPRTR対策の点でも好ましい。また、本発明で溶剤を用いる場合には、その沸点が100℃以上、好ましくはその沸点が110〜150℃程度の高沸点溶媒を1種または2種以上組合わせて用いることが望ましい。
【0098】
本発明では上記のような各種成分は、必要に応じて、溶剤に溶解若しくは分散して用いることができる。
ここで使用可能な溶剤としては、例えば、(脂環構造を有していてもよい)脂肪族系、芳香族系、ケトン系、エステル系、エーテル系、アルコール系など、通常、防汚塗料に配合されるような各種溶剤が用いられる。
【0099】
上記(脂環構造を有していてもよい)脂肪族系溶剤としては、エチルシクロヘキサン(沸点132℃)、メチルシクロヘキサン(沸点100.9℃)、n−ヘキサン(沸点68.7℃)、n−ヘプタン(98.4℃)、n−デカンなど、脂環構造を有していてもよい脂肪族系溶剤が挙げられ、これらのうちでは上記高沸点であるなどの点で脂環構造を有する脂肪族系溶剤、特にエチルシクロヘキサンが好ましい。
【0100】
上記芳香族系溶剤としては、例えば、キシレン(沸点:138〜144℃)、トルエン(沸点110.6℃)等が挙げられ、
ケトン系溶剤としては、例えば、MIBK(沸点115.9℃)、シクロヘキサノン(沸点155.7℃)等が挙げられ、
エステル系溶剤としては、酢酸ブチル(沸点126.1℃)、酢酸イソブチル(沸点110〜119℃)等が挙げられ、
エーテル系溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMAC)等が挙げられ、
アルコール系溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
【0101】
これらの溶剤は、1種または2種以上組合わせて用いられる。
本発明では、脂環構造を有していてもよい脂肪族系溶剤とエステル系溶剤とを組合わせて用いることが好ましく、特に、上記脂環構造を有する脂肪族系溶剤のエチルシクロヘキサン(沸点132℃)と、エステル系溶剤の酢酸ブチル(沸点126.1℃)とを組合わせて用いることがPRTR規制、塗膜の均一性などの点で望ましい。
【0102】
特に本発明では、上記数平均分子量Mnの(A)成分と、シリカ(B)と、上記溶剤のエチルシクロヘキサン(イ)と酢酸ブチル(ロ)とを組合わせて用いると、表2に明らかなように、塗料製造直後に、得られた塗料を塗装した場合には、クレーターの発生がなく、タレ性(限界膜厚)に優れ、塗装作業性に優れ、塗膜状態も良好となり、また、50℃で3ヶ月間保存後に同様の塗装を行った場合にも、スプレー塗装性、タレ性に優れ、レベ
リング性(塗膜平坦化性)に優れ、クレーターの発生もなく、塗膜状態は良好であり、また塗料の保存状態も良好となる傾向がある。特に、溶剤のエチルシクロヘキサン(イ)と酢酸ブチル(ロ)の合計((イ)+(ロ)100重量%中に酢酸ブチル(ロ)が10〜99重量%、好ましくは50〜95重量%の量で(イ)と(ロ)を組合わせて用いると、上記効果が顕著となる傾向がある。
【0103】
このような溶剤は、任意の量で使用可能であるが、上記成分(A)100重量部に対して例えば、0.1〜9999重量部の量で、好ましくは1〜50重量部で使用可能であるが、環境への配慮と塗装性の確保、平滑塗膜が得られ、塗膜にピンホール、クレーターが少ないなど優れた塗膜性能の確保などとのバランス、長期保存性の確保等の見地をより考慮すると、上記成分(A)100重量部に対して特に好ましくは1〜15重量部の量で用いられる。
【0104】
また、本発明の硬化性組成物中に1〜99重量%、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは5〜10重量%となるような量で同上の理由から用いられる。このような溶剤にて必要により希釈された硬化性塗料組成物等の硬化性組成物の粘度(25℃、B型粘度計
、3号ローター)は、塗工性(タレ性)、1回塗りで得られる膜厚などを考慮すると、例えば、0.01〜100ポイズ/25℃、好ましくは0.1〜50ポイズ/25℃程度で
ある。換言すれば、0.001〜10Pa・s、好ましくは0.01〜5Pa・s、特に好ましくは0.1〜2Pa・s程度である。
【0105】
本発明の硬化性組成物は、電気部品、電子部品、建材、工芸用品、服飾産業用品、医療用品などの各種基材の表面被覆用のコーティング材(コーティング用組成物)として、また、海水または真水と接触する基材、例えば、水中構造物、船舶外板、漁網、漁具等の基材の表面防汚用の防汚塗料として好適に用いられる。
【0106】
その他、着氷防止塗料、撥水剤などとしても用いられる。このように本発明の硬化性組成物は、電気・電子、建材・工芸、服飾産業、医療、農林・水産業、発電、港湾・土木建設、造船あるいは船舶の修理特に船舶塗装などの広範な産業分野で用いられる。
【0107】
特に、上記硬化性組成物をコーティング用組成物として、電気部品、電子用品、建材、工芸用品、服飾産業用品、医療用品などの基材表面に塗布・硬化させる場合、該組成物は低粘度と高チクソ性の両者のバランスが優れ、従って、一回の塗装で厚膜化が可能で塗装作業性が良好であり、このような組成物の塗布硬化により例えば、難燃性、ゴム強度、表面平滑性等に優れた塗膜付きの基材が得られる。
【0108】
特に、上記のような硬化性組成物を塗料、特に防汚塗料(防汚塗料組成物)として、例えば、火力・原子力発電所の給排水口等の水中構造物、海水利用機器類(例:海水ポンプなど)、メガフロート、湾岸道路、海底トンネル、港湾設備、運河・水路等のような各種海洋土木工事の汚泥拡散防止膜、船舶特に船舶外板、漁業資材(例:ロープ、漁網、浮き子、ブイ)などの各種成形体の表面に、常法に従って1回〜複数回塗布、硬化すれば防汚性に優れ、防汚剤成分が長期間に亘って徐放可能であり、厚塗りしても適度の可撓性を有し耐クラック性に優れた防汚塗膜被覆船舶または水中構造物などの防汚性基材が得られる。このような塗装の際には、刷毛、ロール、スプレー、ディップコーター等、従来より公知の塗装手段が広く用いられる。
【0109】
このような本発明に係る硬化性防汚塗料組成物を各種成形体(基材)の表面に塗布硬化してなる防汚塗膜は、アオサ、フジツボ、アオノリ、セルプラ、カキ、フサコケムシ等の水棲生物の付着を長期間継続的に防止できるなど防汚性に優れている。特に、該硬化性防汚塗料組成物は、原子力発電所の給排水口、メガフロート、船舶等の素材が、FRP、鋼鉄、木、アルミニウム合金などである場合にもこれらの基材(素材)表面に良好に付着する。また、該硬化性防汚塗料組成物は、既存の防汚塗膜表面に上塗してもよい。
【0110】
また例えば、該硬化性防汚塗料組成物を海中構造物表面に塗布・硬化させれば、海中生物の付着防止を図ることができ、該構造物の機能を長期間維持でき、漁網に塗布すれば、漁網の網目の閉塞を防止でき、しかも環境汚染の恐れが少ない。なお、この本発明に係る硬化性防汚塗料組成物は、直接漁網に塗布してもよく、また予め防錆剤、プライマーなどの下地材が塗布された船舶または水中構造物等の表面に塗布してもよい。
【0111】
さらには、既に従来の防汚塗料による塗装が行われ、あるいは本発明発明の硬化性防汚塗料組成物による塗装が行われている船舶、特にFRP船あるいは水中構造物等の表面に、補修用として本発明の硬化性防汚塗料組成物を上塗りしてもよい。このようにして船舶、水中構造物等の表面に形成された防汚塗膜の厚さは特に限定されないが、例えば、30〜150μm/回程度である。
【0112】
上記のようにして得られる本発明に係る防汚塗膜、あるいは船舶・水中構造物の接水部
表面の塗膜は、前述したような硬化性防汚塗料組成物から形成されており環境汚染の虞が少なく広汎な船舶・水中構造物付着生物に対して長期防汚性に優れている。
[発明の効果]
本発明に係る硬化性組成物を、コーティング用組成物、特に塗料、防汚塗料組成物などとして用いると、低粘度と高チクソ性とをバランス良く発揮し、ノズルの詰まりや乱れがないなどスプレー塗装性に優れ、一回の塗装による厚膜化が可能で塗装工期を短縮でき、しかも該塗装により塗膜表面の均一性(膜厚の均一性あるいは表面平滑性)に優れた塗膜などの硬化物が得られ、その上得られた塗膜は、塗膜強度(ゴム強度)、塗膜硬度にも優れ、また防汚塗料として用いると、得られる塗膜は長期間優れた防汚性能を発揮でき、また塗工前の貯蔵中には保存安定性に優れており、従ってコーティング用組成物特に、硬化性塗料組成物、防汚塗料組成物などとして好適な硬化性組成物が提供される。
【0113】
また、本発明によれば、上記のように塗膜強度、塗膜硬度にも優れ、長期間優れた防汚性能が発揮されるような塗膜、コーティング硬化物等の各種硬化物、特に防汚塗膜、並びに該塗膜で被覆され、これら特性を備えた水中構造物、船舶外板などが提供される。さらに本発明によれば、上記のような優れた特性を有する塗膜を水中構造物表面など各種基材の表面に、作業者にとって安全で、しかも環境汚染の恐れもなく、効率よく塗膜形成できるような、電子部品などの基材表面への塗膜の形成方法及び、水中構造物などの基材表面の防汚方法を提供することができる。
[実施例]
以下、本発明について実施例、比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明は係る実施例、比較例により何等限定されるものではない。なお、以下の合成例、実施例、比較例中に記載の組成値等は、重量部表示である。
シリコーンオイル(D)の合成]
[合成例1]
【0114】
下記式:
【0115】
【化5】

【0116】
で示されるアルコール性水酸基を含むオルガノポリシロキサン193gと、メチルトリ(メチルエチルケトオキシム)シラン60gとを室温で混合して反応させ、式:
【0117】
【化6】

【0118】
で示されるケトオキシム系オルガノポリシロキサンを含むシリコーンオイル(D){粘度:65cSt/25℃、数平均分子量Mn:3500}を得た。このシリコーンオイルは、未反応原料のメチルトリ(メチルエチルケトオキシム)シランを含んでいた。
[表1に記載されたオルガノポリシロキサン塗料組成物(A)〜(F)の調製]
分子両末端がシラノール基で封鎖されている、粘度が1,000cst(1千cst)、GPCにて測定した数平均分子量Mn(ポリスチレン 換算):9,400のジメチルポリシロキサン50重量部に、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水性ヒュームドシリカ10重量部を150℃で2時間混合攪拌し熱処理したもの(※2参照)、
表1に記載された同疎水性シリカをこれと同様にオルガノポリシロキサン50重量部に室温で混合攪拌したもの(※3参照)、及び
表1に記載された親水性シリカ10重量部をオルガノポリシロキサン50重量部と150℃で2時間混合攪拌し、熱処理したもの(※4参照)を
表1に示す配合量で配合し攪拌装置で均一になるよう十分混合し分散させた。
【0119】
さらに架橋剤および触媒を表1に示す配合量で添加し均一に混合して、(A)〜(F)で示すような組成を有する室温硬化性オルガノポリシロキサン系塗料組成物を得た。
これらの性状値と塗膜物性を表1に示す。
【0120】
なお表1中の※1,2,3,4および各試験方法は下記の通りである。また、表中、各種シリカは、オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対するシリカの量(重量部)である。
※1:オルガノポリシロキサン:信越化学工業社製、化学式:「HO(CH3・CH3・SiO)mH」(25℃における粘度:1,000cs、GPC(25℃)で測定した数平
均分子量Mn(ポリスチレン換算):9,400)。
※2:熱処理疎水性ヒュームドシリカ:表1に記載された疎水性ヒュームドシリカと上記オルガノポリシロキサンとを150℃で2時間混合攪拌により加熱処理したシリカ、信越化学工業社製、シリカの水分含量0.05%、嵩密度50g/L、1次粒子径10mμ、比表面積(BET表面積)180m2/gである。
※3:室温処理疎水性ヒュームドシリカ:表1に記載された疎水性ヒュームドシリカと上記オルガノポリシロキサンを2時間、室温で混合攪拌したシリカ、信越化学工業社製、水分含量0.2%、嵩密度50g/L、1次粒子径10mμ、比表面積(BET表面積)180m2/gである。
※4:熱処理親水性シリカ:表1に記載された親水性シリカと上記オルガノポリシロキサンとを150℃で、2時間混合攪拌したシリカ、信越化学工業社製、水分含量1.0%、嵩密度60g/L、1次粒子径12mμ、比表面積(BET表面積)190m2/gであ
る。
[試験方法]
(イ)粘度:粘度は、表1で得られたオルガノポリシロキサン塗料組成物の粘度(Pa・s/25℃)をB型粘度計(3号ローター)にて測定して求めた。
(ロ)塗膜物性:塗膜物性は、各オルガノポリシロキサン塗料組成物(A)〜(F)をステンレス板上に塗布し、25℃、55%RHで7日間放置し硬化させて厚さ2mmの塗膜を作成して調べた。
【0121】
表1に結果を示す。
【0122】
【表1】

【0123】
[実施例1〜4、比較例1〜6]
表1で得られた各オルガノポリシロキサン塗料組成物(A)〜(F)100重量部に、表2に示す配合組成でシリコーンオイル、酢酸ブチルとエチルシクロヘキサンの混合溶剤(酢酸ブチル4重量部、エチルシクロヘキサン1重量部)およびキシレン、「ソルベッソ
NO100」(エクソン化学(株)製、溶剤)、ミネラルスピリットを順次添加混合し均一になるまで攪拌して、各防汚塗料組成物を得た。各塗料についての性状値および塗装作業性を調べた。
【0124】
結果を表2に示す。
さらに調製直後の各防汚塗料について防汚試験(6〜30ヶ月)を行った。
結果を表3に示す。
【0125】
なお、表2中の※7,8,9,10および試験方法は下記の通りである。また、各種シリコーンオイル量などの(カッコ)書きは、オルガノポリシロキサン(A)100重量部に対する配合量(重量部)である。
※7:「SH510」:ジメチルフェニルシリコーンオイル、粘度:100センチストークス、数平均分子量Mn(ポリスチレン 換算):3,400、東レダウコーニングシリコーン社製。
※8:「TSF431」:ジメチルフェニルシリコーンオイル、粘度:100センチストークス、数平均分子量Mn(ポリスチレン 換算):3,300、東芝シリコーン社製。※9:「KF50」:ジメチルフェニルシリコーンオイル、粘度:100センチストークス、数平均分子量Mn(ポリスチレン 換算):3,300、信越化学工業社製。
※10:「X−31−1234−99」:ポリエーテル変性シリコーンオイル、粘度:115センチストークス、数平均分子量Mn(ポリスチレン 換算):3,400、信越化学工業社製。
【0126】
【表2】

【0127】
【表3】

【0128】
[試験方法]
(イ)塗料性状値:塗料性状値は、実施例(A)などの場合と同様にして測定した。塗装作業性、防汚試験は下記の通りである。
(ロ)塗装作業性:大きさ1000mm×1000mm×1mm(厚)のブリキ板中央に、70mm×150mm×1mm(厚)の軟鋼板を貼り付け、ブリキ板を垂直に立て掛けた状態でエアレススプレー塗装を行い、スプレー時の器具のツマリの有無の確認および膜のタレが生じる限界膜厚を塗膜乾燥後測定した。
(ハ)防汚試験:100mm×300mm×5mm(厚)の塩ビ板にエポキシ系下塗塗料を200μm厚で塗装し、この塗膜上に各防汚塗料を乾燥膜厚が150μmになるよう刷毛塗りし、3日間乾燥した後、宮島湾にて30ヶ月静置浸漬を行い目視観察にて防汚性評価を行った。
(ニ)塗料安定性、塗装作業性の評価:また、各防汚塗料を調製後、50℃、3ヶ月経過後の塗料状態(安定性)および塗装作業性について試験を行った。
【0129】
結果を前記表2に併せて示す。
(ホ)防汚試験:さらに防汚塗料を調製後、50℃、3ヶ月経過(保存)後の防汚塗料について防汚試験を行った。
【0130】
結果を表4に示す。
試験方法は下記の通りである。
[試験方法]
塗料状態(安定性):表2に示す各防汚塗料を缶の中に入れ、密閉した状態で3ヶ月間、50℃恒温器内に放置し、開缶後塗料を入念に攪拌しツブゲージにて検査した。
【0131】
【表4】

【0132】
[実施例5]
1分子中に5モル%のジフェニルシロキシ単位(−Ph2SiO−,Ph:フェニル基
)を有する、分子鎖(分子)両末端が水酸基で封鎖された25℃での粘度が1,000cSで、GPCで測定した数平均分子量Mn(ポリスチレン換算)が9,200のジメチルポリシロキサン50重量部、BET比表面積200m2/gの親水性シリカ10重量部、
表面をヘキサメチルジシラザンで処理したBET比表面積130m2/gの疎水性シリカ
10重量部を、150℃にて2時間攪拌混合した。その後、1分子中に5モル%のジフェニルシロキシ基を有する、分子両末端が水酸基で封鎖された25℃での粘度が1,000cSの同上のジメチルポリシロキサン50重量部で希釈し、メチルトリブタノキシムシラン10重量部、ジブチルスズジオクトエート0.1重量部、アミノプロピルトリメトキシシラン1.0重量部を脱泡混合した。この組成物へ更に30重量部の酢酸ブチルとエチルシクロヘキサンの混合溶剤(酢酸ブチル24重量部、エチルシクロヘキサン6重量部)を添加し、25mPa・sの硬化性シリコーン溶液とした。これを塗装用ロールにてアルミ製壁面に塗装したところ、400ミクロンの塗膜厚みを得ることができた。この組成物を23℃/55%RH/7日の条件で硬化させたところ、表面に光沢を有し、透明性良好で、デュロメーター・タイプAの硬度:60、引っ張り強さ4.0MPaの良好なゴム物性を有するコーティング硬化物が得られた。
[比較例3]
1分子中に5モル%のジフェニルシロキシ単位を有する、分子鎖両末端が水酸基で封鎖された25℃での粘度が1,000cS、数平均分子量Mn(ポリスチレン換算):9,200のジメチルポリシロキサン50重量部、BET比表面積200m2/gの親水性シ
リカ20重量部を、150℃にて2時間攪拌混合した。その後、1分子中に5モル%のジフェニルシロキシ基を有する、分子鎖両末端が水酸基で封鎖された25℃での粘度が1,000cSの同上のジメチルポリシロキサン50重量部で希釈し、メチルトリブタノキシムシラン10重量部、ジブチルスズジオクトエート0.1重量部、アミノプロピルトリメトキシシラン1.0重量部を脱泡混合した。この組成物へ更に30重量部の酢酸ブチルとエチルシクロヘキサンの混合溶剤(酢酸ブチル24重量部、エチルシクロヘキサン6重量部)を添加し15mPa・sの硬化性シリコーン溶液とした。これを塗装用ロールにてアルミ製壁面に塗装したところ、100ミクロンの塗膜厚みを得るのが限界であり、それ以上の厚みを得ようとするとタレが発生してしまった。
[実施例6]
分子鎖両末端が水酸基で封鎖された25℃での粘度が1,000cS(1千cS)、数平均分子量Mn(ポリスチレン換算):9,400のジメチルポリシロキサン50重量部、BET比表面積200m2/gの親水性シリカ5重量部、表面をヘキサメチルジシラザ
ンで処理したBET比表面積130m2/gの疎水性シリカ10重量部を、150℃にて
2時間攪拌混合した。その後、分子鎖両末端が水酸基で封鎖された25℃での粘度が1,000cS(1千cS)の同上のジメチルポリシロキサン50重量部で希釈し、メチルトリブタノキシムシラン10重量部、ジブチルスズジオクトエート0.1重量部、アミノプロピルトリメトキシシラン1.0重量部を脱泡混合し、20重量部の酢酸ブチルとエチルシクロヘキサンの混合溶剤(酢酸ブチル16重量部、エチルシクロヘキサン4重量部)を添加して粘度調整し、粘度40mPa・sの硬化性シリコーン組成物を得た。この組成物を電子基板の上にディスペンサーにてコーティングし、23℃/55%RH/7日の条件で硬化させたところ、基板上に非常に外観が良好で光沢のあるシリコーン膜が形成された。この膜は、デュロメーター・タイプAの硬度:50、引っ張り強さ3.5MPaの良好なゴムを物性を有していた。
[比較例4]
分子鎖両末端が水酸基で封鎖された25℃での粘度が1,000cS(1千cS)、数平均分子量Mn(ポリスチレン 換算):9,400のジメチルポリシロキサン50重量部、表面をジメチルジクロロシランで処理したBET比表面積130m2/gの疎水性シ
リカ15重量部を室温で混合した。
【0133】
その後、分子鎖両末端が水酸基で封鎖された25℃での粘度が1,000cSの上記ジ
メチルポリシロキサン50重量部で希釈し、メチルトリブタノキシムシラン10重量部、ジブチルスズジオクトエート0.1重量部、アミノプロピルトリメトキシシラン1.0重量部を脱泡混合し、20重量部の酢酸ブチルとエチルシクロヘキサンの混合溶剤(酢酸ブチル16重量部、エチルシクロヘキサン4重量部)メチルエチルケトンを添加して粘度調整し、粘度60mPa・sの硬化性シリコーン組成物を得た。
【0134】
この組成物を電子基板の上にディスペンサーにてコーティングしたが、ノズルからの吐出性に劣り、23℃/55%RH/7日の条件で硬化させたところ、基板上には乳濁した表面艶消しのシリコーン膜が形成された。
[実施例7]
【0135】
分子鎖両末端が水酸基で封鎖された25℃での粘度が700cS、数平均分子量Mn(ポリスチレン換算):9,000のジメチルポリシロキサン50重量部、BET比表面積200m2/gの親水性シリカ5重量部、表面をヘキサメチルジシラザンで処理したBE
T比表面積130m2/gの疎水性シリカ5重量部を、150℃にて2時間攪拌混合した
。その後、分子鎖両末端が水酸基で封鎖された25℃での粘度が700cSの同上のジメチルポリシロキサン50重量部で希釈し、次いで炭酸亜鉛2.0重量部、ビニルトリブタノキシムシラン10重量部、アミノプロピルトリメトキシシラン1.5重量部、また白金触媒を白金原子の濃度が300ppmになるように混合し、粘度8Pa・sの硬化性シリコーン組成物を得た。ガラスファイバーにこの組成物をディプコートし、23℃/55%RH/7日の条件で硬化させたところ、約1mmのほぼ均一な膜厚の良好な難燃コート膜が得られた。
[比較例5]
分子鎖両末端が水酸基で封鎖された25℃での粘度が700cS、数平均分子量Mn(ポリスチレン換算):9,000のジメチルポリシロキサン50重量部、BET比表面積200m2/gの親水性シリカ10重量部を150℃にて2時間攪拌混合した。その後、
分子鎖両末端が水酸基で封鎖された25℃での粘度が700cSの上記のジメチルポリシロキサン50重量部で希釈し、次いで炭酸亜鉛2.0重量部、ビニルトリブタノキシムシラン10重量部、アミノプロピルトリメトキシシラン1.5重量部、また白金触媒を白金原子の濃度が300ppmになるように混合し、粘度2Pa・sの硬化性シリコーン組成物を得た。ガラスファイバーにこの組成物をディップコートし、23℃/55%RH/7日の条件で硬化させたところ、硬化中にタレやしずくが生じ、均一な膜厚の難燃硬化物は得られなかった。
[実施例8]
分子鎖両末端が水酸基で封鎖された25℃での粘度が1,500cS、数平均分子量Mn(ポリスチレン 換算):10,000のジメチルポリシロキサン100重量部、BET比表面積200m2/gの親水性シリカ30重量部、表面をジメチルジクロロシランで
処理したBET比表面積130m2/gの疎水性シリカ15重量部、分子鎖両末端が水酸
基で封鎖された平均重合度13ジメチルポリシロキサン10重量部を、150℃にて2時間攪拌混合した。この組成物へさらにビニルトリブタノキシムシラン10重量部、アミノプロピルトリメトキシシラン1.5重量部、酢酸ブチルとエチルシクロヘキサンの混合溶剤20重量部(酢酸ブチル16重量部、エチルシクロヘキサン4重量部)を添加したところ、BL回転粘度計での粘度が4回転では50Pa・s、20回転では8Pa・sと、高いチクソ性を示す組成物が得られた。この組成物を23℃/55%RH/7日で硬化させると、表面に光沢を有し、透明性良好で、デュロメーター・タイプAの硬度:65、引っ張り強さ8.0MPaの良好なゴム物性を有するコーティング硬化物が得られた。
[比較例6]
分子鎖両末端が水酸基で封鎖された25℃での粘度が1,500cS、数平均分子量Mn(ポリスチレン 換算):10,000のジメチルポリシロキサン100重量部、BET比表面積200m2/gの親水性シリカ45重量部、分子鎖両末端が水酸基で封鎖され
た平均重合度13のジメチルポリシロキサン10重量部を、150℃にて2時間攪拌混合した。この組成物へ更にビニルトリブタノキシムシラン10重量部、アミノプロピルトリメトキシシラン1.5重量部、酢酸ブチルとエチルシクロヘキサンの混合溶剤20重量部(酢酸ブチル16重量部、エチルシクロヘキサン4重量部)を添加したところ、BL回転粘度計での粘度が4回転では15Pa・s、20回転では4Pa・sと、かなりチクソ性が低かった。
[比較例7]
分子鎖両末端が水酸基で封鎖された25℃での粘度が1,500cS、数平均分子量Mn(ポリスチレン換算):10,000のジメチルポリシロキサン100重量部、表面をジメチルジクロロシランで処理したBET比表面積200m2/gの疎水性シリカ45重
量部、分子鎖両末端が水酸基で封鎖された平均重合度13のジメチルポリシロキサン10重量部を、室温にて2時間攪拌混合した。この組成物へ更にビニルトリブタノキシムシラン10重量部、アミノプロピルトリメトキシシラン1.5重量部、酢酸ブチルとエチルシクロヘキサンの混合溶剤20重量部(酢酸ブチル16重量部、エチルシクロヘキサン4重量部)を添加したところ、BM回転粘度計での粘度が4回転では550Pa・s、20回転では120Pa・sと、チクソ性は高いものの極めて高粘度となってしまった。
[実施例9]
分子鎖両末端がトリメトキシシロキシ基(−O−Si−(OCH33)で封鎖された25℃での粘度が1,000cS(1千cS)、数平均分子量Mn(ポリスチレン 換算):9,300のジメチルポリシロキサン 50重量部、表面をヘキサメチルジシラザンで
処理したBET比表面積130m2/gの疎水性フュームドシリカ15重量部を、150
℃にて2時間撹拌混合した。その後、分子鎖両端末がトリメトキシシロキシ基で封鎖された25℃での粘度が1,000cS(1千cS)の同上のジメチルポリシロキサン 50
重量部で希釈し、メチルトリメトキシシラン 5重量部、ジブチルスズジオクトエート 0.1重量部、アミノプロプルトリメトキシシラン 1.0重量部を脱泡混合し、10重量
部の酢酸ブチルとエチルシクロヘキサンの混合溶剤(酢酸ブチル8重量部、エチルシクロヘキサン2重量部)を添加して粘度調整し、粘度6Pa・sの硬化性シリコーン組成物(L)(硬化性組成物L)を得た。この組成物を23℃/55%RH/7日の条件で硬化させたところ、基板上に非常に外観が良好で光沢のあるシリコーン膜が形成された。またこの硬化物は、デュロメーター・タイプAの硬度:40、引っ張り強さ2.7MPaの良好なゴム物性を有していた。(JIS 6249による)
[比較例8]
分子鎖両末端がトリメトキシシロキシ基で封鎖された25℃での粘度が1,000cS(1千cS)、数平均分子量Mn(ポリスチレン 換算):9,300のジメチルポリシロキサン 50重量部、BET比表面積200m2/gの疎水性フュームドシリカ15重量部を、室温にて2時間撹拌混合した。その後、分子鎖両端末がトリメトキシシロキシ基で封鎖された25℃での粘度が1,000cSの同上のジメチルポリシロキサン 50重量
部で希釈し、メチルトリメトキシシラン5重量部、ジブチルスズジオクトエート 0.1
重量部、アミノプロプルトリメトキシシラン 1.0重量部を脱泡混合し、10重量部の
酢酸ブチルとエチルシクロヘキサンの混合溶剤(酢酸ブチル8重量部、エチルシクロヘキサン2重量部)を添加して粘度調整し、粘度13Pa・sの硬化性シリコーン組成物(M)を得た。この組成物(M)を電子基板の上にディスペンサーにてコーティングしたが、実施例9の組成物に比べてノズルからの吐出性に劣り、23℃/55%RH/7日の条件で硬化させたところ、基板上には乳濁した表面艶消しのシリコーン塗膜が形成された。またこの硬化物は、デュロメーター・タイプAの硬度:35、引っ張り強さ2.0MPaであった。(JIS 6249による)
このように実施例5〜9、比較例3〜比較例8によれば、本発明の硬化性組成物は、低粘度と高いチクソ性とを有し、コーティング時の作業性に優れ、塗膜強度、表面平滑性などに優れていることが分かる。
[実施例10〜13及び、比較例9〜16]
実施例1において、オルガノポリシロキサン組成物(A)に代えて、実施例10〜13と、比較例13〜16では上記実施例9に記載の硬化性シリコーン組成物(L)を、また比較例9〜12では比較例8に記載の硬化性シリコーン組成物(M)を用い、またシリコーンオイル、酢酸ブチルとエチルシクロヘキサンの混合溶剤(酢酸ブチル4重量部、エチルシクロヘキサン1重量部)およびキシレン、ソルベッソNO100、ミネラルスピリットをそれぞれ表5に示すような量で用いた以外は、実施例1と同様にして防汚塗料組成物を調製し、実施例1と同様にして各種物性を評価した。
【0136】
結果を表5〜表8に示す。
なお、表5は、表2と同様に塗料化したときの性状値、塗装作業性を示し、表6は、表3と同様に塗料化後の防汚性を示し、表7は、所定期間貯蔵後の塗料の性状値を示し、表8は、表4と同様に貯蔵後の塗料の防汚性を示す。
【0137】
【表5】

【0138】
【表6】

【0139】
【表7】

【0140】
【表8】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)GPCで測定した数平均分子量Mn(ポリスチレン換算)が500〜25000であり、分子の両末端が縮合反応性官能基であるオルガノポリシロキサンと、
(B)シリカ
とを含有する硬化性組成物。
【請求項2】
上記シリカ(B)が、
(i)疎水性シリカ、または、
(ii)疎水性シリカと親水性シリカ
とを含有する請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
上記オルガノポリシロキサン(A)が、下記式[α]:
【化1】

(式[α]中、Wは水酸基または加水分解性基を示し、R1、Rは、それぞれ独立に炭素数
1〜12の非置換または置換の1価炭化水素基を示し、複数のR1、Rは、それぞれ互い
に同一でも異なっていてもよく、nは5以上の整数を示し、aは0、1または2を示す。)
である請求項1〜2の何れかに記載の硬化性組成物。
【請求項4】
上記式[α]中のWが水酸基であり、かつaが2である上記成分(A)と、上記成分(B)とに加えて、さらに、
(C)式[I]:R1aSiX4-a(式[I]中、R1は炭素数1〜8の非置換または置換の1価炭化水素基を示し、Xは加水分解性基を示し、aは0または1を示す。)
で示されるオルガノシランまたはその部分加水分解物を含有することを特徴とする請求項2〜3の何れかに記載の硬化性組成物。
【請求項5】
上記親水性シリカが、上記成分(A)と、100℃以上の温度で加熱処理されている請求項2〜4の何れかに記載の硬化性組成物。
【請求項6】
上記成分(B)を、上記成分(A)100重量部に対して1〜100重量部の量で含有する請求項1〜5の何れかに記載の硬化性組成物。
【請求項7】
上記成分(C)を、上記成分(A)100重量部に対して1〜20重量部の量で含有する請求項4〜6の何れかに記載の硬化性組成物。
【請求項8】
上記疎水性シリカ(イ)と親水性シリカ(ロ)とを重量比((イ)/(ロ))=1/99〜99
/1で含有する請求項2〜7の何れかに記載の硬化性組成物。
【請求項9】
さらに、シリコーンオイル(D)を、上記成分(A)100重量部に対して、合計で、0.1〜200重量部の量で含有することを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の硬化性組成物。
【請求項10】
シリコーンオイル(D)の粘度(GPCにて25℃で測定)が20〜120cstであることを特徴とする請求項9に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
さらに、溶媒(E)として、酢酸ブチルおよび/またはエチルシクロヘキサンを含むことを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の硬化性組成物。
【請求項12】
硬化性組成物中の不揮発分が90%以上であることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の硬化性組成物。
【請求項13】
さらに、触媒、防汚剤および/または着色剤を含む請求項1〜12の何れかに記載の硬化性組成物。
【請求項14】
上記硬化性組成物を製造するに際して、上記成分(A)と、上記成分(B)のうちの少なくとも親水性シリカとを、100℃以上の温度で加熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項2〜13の何れかに記載の硬化性組成物の製造方法。
【請求項15】
上記請求項1〜14の何れかに記載の硬化性組成物からなるコーティング用組成物。
【請求項16】
上記コーティング用組成物が、塗料である請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
上記塗料が、防汚塗料である請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1〜13の何れかに記載された硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
【請求項19】
請求項1〜13の何れかに記載された硬化性組成物からなる塗膜。
【請求項20】
請求項1〜13の何れかに記載された硬化性組成物からなる防汚塗膜。
【請求項21】
基材の表面が、請求項1〜13の何れかに記載の硬化性組成物を硬化させてなる塗膜で被覆されていることを特徴とする塗膜付き基材。
【請求項22】
海水または真水と接触する基材の表面が、請求項1〜13の何れかに記載の硬化性組成物を硬化させてなる塗膜にて被覆されていることを特徴とする防汚性基材。
【請求項23】
上記基材が、水中構造物、船舶外板、漁網、漁具の何れかである請求項22に記載の防汚性基材。
【請求項24】
基材の表面に、請求項1〜13の何れかに記載の硬化性組成物からなるコーティング材を塗布あるいは含浸させ、次いで該コーティング材を硬化させ、塗膜を形成させることを特徴とする、基材表面への塗膜の形成方法。
【請求項25】
基材の表面に、請求項1〜13の何れかに記載の硬化性組成物からなる防汚塗料を塗布あるいは含浸させ、次いで該防汚塗料を硬化させ、防汚塗膜を形成させることを特徴とする、基材の防汚方法。
【請求項26】
上記基材が、水中構造物、船舶外板、漁網、漁具の何れかである請求項25に記載の基材の防汚方法。


【公開番号】特開2007−16096(P2007−16096A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197420(P2005−197420)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(390033628)中国塗料株式会社 (57)
【Fターム(参考)】