説明

確認装置

【課題】検知装置で検知した対象物の状態に基づいて確認作業を行うことが可能な確認装置を提供すること。
【解決手段】対象物100の状態を確認者110に確認させる確認装置1は、対象物100の状態を検知する検知装置3と、検知装置3により検知された対象物100の状態を少なくとも確認者110に報知する報知装置11,28と、対象物100の状態の確認を入力する入力装置12と、検知装置3により検知された対象物100の状態を判断し、対象物の状態が正常である場合であって、入力装置12による入力があった場合に、報知装置11,28により確認の終了を報知させる制御部21と、を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置で検知された対象物の状態に基づいて確認作業を行うことが可能な確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送、移動及び据付等の作業においては、当該作業の工程毎に、当該作業の対象物の姿勢等の状態を目視により確認を行いながら作業が行われる。この確認作業は、ヒューマンエラーの防止や危険予測を行う観点から、作業現場において実施されている。
【0003】
このような確認作業の一つとして、確認事項を視認し、当該確認事項に向って指差しを行い、さらに発声により改めて確認することで、確実に確認を行なう、所謂指差確認が知られている。
【0004】
この指差確認は、確認作業のための動作が多く、また、確認作業の繰り返し等による確認者の意識の低下等により、形式的な確認作業となり、ヒューマンエラーの防止及び危険予測が達成されない虞や、確認作業自体が実施されない虞もある。
【0005】
そこで、指差呼称の実行を促すと共に、その実行状況を確認する携帯型の指差呼称確認装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−198894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した装置では、以下の問題があった。即ち、上述した指差呼称確認装置は、指差呼称を促し、作業者が行った指差呼称の音声を記録するだけであり、形式的な指差呼称を防止することができない。即ち、確認作業を効果的に行うことが困難である。また、確認の内容は、確認者の判断により異なるという問題もある。
【0008】
そこで本発明は、検知装置で検知した対象物の状態に基づいて確認作業を行うことが可能な確認装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の確認装置は、次のように構成されている。
【0010】
本発明の一態様として、対象物の状態を確認者に確認させる確認装置であって、前記対象物の状態を検知する検知装置と、前記検知装置により検知された前記対象物の状態を少なくとも前記確認者に報知する報知装置と、前記対象物の状態の確認を入力する入力装置と、前記検知装置により検知された前記対象物の状態を判断し、前記対象物の状態が正常である場合であって、前記入力装置による入力があった場合に、前記報知装置により前記確認の終了を報知させる制御部と、を備えることを特徴とする確認装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検知装置で検知した対象物の状態に基づいて確認作業を行うことが可能な確認装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る確認装置の構成を模式的に示す説明図。
【図2】同確認装置の使用の一例を示す流れ図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る確認装置の構成を模式的に示す説明図。
【図4】同確認装置の使用の一例を示す流れ図。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る確認装置の構成を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る確認装置1を、図1及び図2を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る確認装置1の構成を模式的に示す説明図、図2は確認装置1を用いた確認作業の一例を示す流れ図である。
【0014】
確認装置1は、作業又は作業を行う物品等の対象物100の状態を確認者110が確認し、当該確認した内容に異常がない場合に、当該確認の終了の情報を入力することで、当該確認が終了したことを報知するとともに、当該作業の次工程へと移行させる装置である。具体的には、確認装置1は、作業中における一工程から次工程へと移行する際の対象物100の確認を確実に行なわせるための補助を行う装置である。
【0015】
このような確認装置1は、検知装置3と、指示装置4と、制御装置5と、を備えている。なお、確認装置1は、検知装置3、指示装置4及び制御装置5間において、無線又は有線により、情報を信号として送受信可能に形成されている。
【0016】
検知装置3は、確認を行う対象物100の状態を検知可能に形成されている。検知装置3は、制御装置5に有線又は無線により接続され、対象物100の状態を検知した情報を信号として制御装置5に送信可能に形成されている。
【0017】
検知装置3は、対象物100又は対象物100の作業に用いられる装置に設けられている。検知装置3は、例えば、位置、速度、加速度、温度、ひずみ又は傾斜(角度)等を検知可能なセンサである。また、検知装置3は、又は、音波、電波、レーザ、電気等を発生させ、当該検知装置3の位置等を検知するICタグや無線チップ等であってもよく、対象物100の状態を検知可能であれば、他の構成であってもよい。
【0018】
指示装置4は、受信装置10と、報知装置11と、入力装置12と、を備えている。また、指示装置4は、表示装置13を備えている。指示装置4は、例えば対象物100の確認を行う確認者110が携帯可能、又は、確認者110が対象物100の確認を行う位置の近くに配置される。
【0019】
受信装置10は、制御装置5から送信された検知装置3で検知された情報を受信可能に形成されている。例えば、受信装置10は、無線信号を受信可能に形成されている。
【0020】
報知装置11は、受信装置10に電気的に接続されている。報知装置11は、受信装置10で受信された情報を報知可能に形成されている。報知装置11は、例えば、当該情報を、音、振動、又は、光等の確認者110が認識できる手段により報知可能に形成されている。なお、報知装置11は、少なくとも確認者110に報知可能に形成されていればよい。
【0021】
入力装置12は、確認者110の指示、即ち、対象物100の状態が正常であって、且つ、対象物100の確認が完了した旨を入力可能に形成されている。この入力装置12は、例えば、その内部に加速度センサを有する。入力装置12は、握持して指差呼称の指差動作が行われることで、当該加速度センサが指差呼称の指差動作を検知し、確認者110の指示を入力可能に形成されている。なお、入力装置12は、突起やスイッチ等の押圧部を有し、当該押圧部を操作することで指示を入力する構成や、マウスやキーボード等の入力手段であってもよい。
【0022】
表示装置13は、例えば、受信装置10で受信した情報を文字若しくは記号により表示可能に形成されている。表示装置13は、例えば、指示装置4に設けられた、小型のディスプレイ等である。
【0023】
制御装置5は、検知装置3及び指示装置4に接続されている。制御装置5は、制御部21を有している。制御装置5は、検知装置インターフェイス(I/F)22と、送信部23と、第1ロガー24と、表示部25と、第2ロガー26と、受信部27と、報知部28とを備え、それぞれ制御部21にバスラインや無線等により接続され、情報の送受信が可能に形成されている。
【0024】
なお、制御装置5は、例えば、作業者、確認者110又は作業現場の監督者等が視認(確認)可能な第1装置5aと、少なくとも確認者110が確認可能な第2装置5bと、を備えている。
【0025】
例えば、図1に示すように、第1装置5aには、制御部21、検知装置I/F22、送信部23、第1ロガー24、表示部25が収納される。第2装置5bには、第2ロガー26、受信部27及び報知部28が収納される。
【0026】
検知装置I/F22は、検知装置3と接続可能に形成されている。送信部23は、検知装置3で検知された情報を指示装置4に送信可能に形成されている。第1ロガー24は、検知装置3により検知された情報の記録が可能に形成された記録装置である。また、第1ロガー24は、記録した情報を、パーソナルコンピュータや紙媒体へと出力可能に形成されている。
【0027】
表示部25は、検知装置3により検知された情報を表示可能に形成されている。表示部25は、例えば対象物100の作業者、確認者110又は作業現場の監督者等が、当該検知された情報を視認可能に形成されている。
【0028】
第2ロガー26は、入力装置12から入力された情報の記録が可能に形成された記録装置である。また、第2ロガー26は、記録した情報を、パーソナルコンピュータや紙媒体へと出力可能に形成されている。受信部27は、指示装置4から送信された信号を、受信可能に形成されている。
【0029】
報知部28は、検知装置3により検知された情報に基づいて作業の状態を報知可能に形成されている。具体的には、報知部28は、対象物100の状態の正常若しくは異常、及び/又は、対象物100が正常である場合であって、次の作業へと移行可能であるか否かを報知可能に形成されている。
【0030】
報知部28は、検知装置3により検知された情報及び入力装置12による入力に基づいて、複数の光、文字若しくは記号、又は、音等により報知可能に形成された報知装置である。なお、報知部28は、確認者110だけでなく、他、例えば、作業者や作業現場にいる者にも報知可能に形成されていることが望ましい。
【0031】
制御部21は、検知装置3により検知された一の作業における対象物100の状態から、対象物100の状態の正常又は異常を判断し、当該判断した対象物100の状態が正常である場合であって、入力装置12からの確認の入力があった場合に、次の作業へと移行させることが可能に形成されている。
【0032】
また、制御部21は、記憶部等を有し、当該記憶部に対象物100の正常な状態における閾値を設定・記憶させ、この閾値に基づいて対象物100の正常及び異常を判断可能に形成されている。また、制御部21は、当該判断した正常及び異常の判断結果だけでなく、検知された情報及び閾値に基づいて算出した、当該算出結果を表示装置13に表示可能に形成されている。
【0033】
なお、算出結果として、例えば、閾値と検知装置3で検知された対象物100の状態とを比較し、対象物100の状態を閾値内とする対象物100の状態の変更(修正)情報等がある。
【0034】
当該変更情報の具体的な一例としては、対象物100が閾値内に入るように、当該対象物100の変更させる状態を算出する。例えば、閾値として対象物100の状態が水平に対して5°〜−5°である場合であって、検知装置3により検知された対象物100の状態が8°であった場合には、「対象物100の傾きを水平方向に3°以上傾けてください。」、若しくは、「対象物100の吊り位置を30cm、右方向にずらしてください。」といったように、対象物100の状態の変更(修正)の情報である。
【0035】
さらに制御部21は、少なくとも下記(1)乃至(2)の機能を有している。
(1)検知装置3により検知された情報の処理及び記録
(2)入力装置12から入力された情報の処理及び記録
機能(1)は、制御部21による検知装置3により検知された情報の処理として、例えば、検知装置3により検知された一の作業における対象物100の状態の正常又は異常の判断を行う機能である。
【0036】
また、機能(1)は、制御部21による検知装置3により検知された情報の処理として、報知装置11及び表示装置13で報知及び表示される情報の送信部23への送信指示、表示部25への情報の表示指示、報知部28への判断した対象物100の状態の報知指示等を行う機能を有する。
【0037】
さらに、機能(1)は、制御部21による検知装置3により検知された情報の記録として、第1ロガー26への検知装置3により検知された情報、対象物100の判断された状態、及び、送信部23での送信情報等の記録指示等を行う機能を有する。
【0038】
機能(2)は、制御部21による入力装置12から入力された情報の処理として、例えば、受信部27への入力装置12で入力された情報の受信指示、報知部28への入力装置12で入力された情報の報知指示、第2ロガー26への入力された情報の記録指示等を行う機能である。
【0039】
また、機能(2)は、検知装置3により検知された対象物100の状態が異常である場合に、入力装置12で入力された情報を無効とする機能を有する。即ち、この機能(2)により、入力装置12は、判断された対象物100の状態が正常であるときにのみ、入力することが可能となる。
【0040】
このように構成された確認装置1は、図2の流れ図に示すように、先ず、対象物100の状態を、検知装置3により検知する(ステップST11)。次に、当該検知した対象物100の状態を、確認者110への報知する(ステップST12)。
【0041】
なお、この確認者110への報知とは、送信部23から当該検知した情報を指示装置4の受信装置10へと送信し、当該受信した情報を報知装置11で報知、及び、表示装置13で表示させて、確認者110へと情報の伝達を行うことである。
【0042】
当該報知される情報は、検知装置3により検知され、判断された対象物100の状態の正常又は異常の判断結果と、検知された情報と前記閾値との差から算出された変更情報(算出結果)である。なお、当該情報によっては、報知装置11及び表示装置13の一方を用いて情報を伝達してもよい。
【0043】
また、報知装置11及び表示装置13による情報の伝達と併せて、検知装置3により検知された対象物100の状態の正常又は異常を制御部21が判断し、当該判断に基づいて報知部28により確認者110へと報知する。なお、ここで、報知装置11による報知は、確認者110へと直接報知するものであるのに対し、報知部28からの報知においては、確認者110のみでなく、例えば、対象物100の作業者や、他作業現場にいる者へも報知を行う。
【0044】
次に、確認者110は、ステップST12で伝達及び報知された情報に基づいて、必要に応じて対象物100の状態を変更する(ステップST13)。必要に応じて対象物100の状態を変更するとは、対象物100の状態が異常である場合に、適宜対象物100の状態を正常とするための変更である。
【0045】
なお、表示装置13により、対象物100の状態を閾値内とするための変更情報(算出結果)が表示されている場合には、当該変更情報に基づいて対象物100の状態を変更すればよい。
【0046】
対象物100の状態の変更は、例えば、対象物100の作業及び確認を一人で行う場合には確認者110が対象物100の状態を変更すればよい。また、対象物100の作業及び確認を作業者が行い確認を確認者110が行う等、複数人で作業を行う場合には、当該作業者が対象物100の状態の変更を行えばよい。なお、この対象物100の状態の変更については、各作業に応じて適宜、変更者を設定できる。
【0047】
また、当該状態の正常及び異常の判断とは、対象物100及び作業に応じて適宜設定可能である。例えば、対象物100の状態において閾値を設定し、この閾値に基づいて正常及び異常を判断する。
【0048】
次に、対象物100の状態の変更による対象物100の状態を確認者110へ伝達する(ステップST14)。対象物100の状態の変更により、検知された情報に問題がない場合、即ち、対象物100の状態が正常である場合には、確認者110が入力装置12により、対象物100の状態の確認が終了した旨、及び、次工程へ移行して良い旨の指示(確認終了の指示)を入力する(ステップST15)。
【0049】
次に、入力された情報を受信部27で受信すると、制御部21は、第2ロガー26に当該受信した情報を記録するとともに、報知部28により当該受信した情報を報知させる(ステップST16)。
【0050】
この報知部28の報知を確認者110が確認後、確認者110が作業者に、対象物100に対する作業の次工程の作業開始の合図を行い、当該作業が次工程へと移行する。
【0051】
なお、上述したステップST12において、対象物100の状態が正常であるときは、対象物100の状態を変更することなく、ステップST15として、確認終了の指示を入力装置12により入力すればよい。
【0052】
このように構成された確認装置1によれば、報知装置11、表示装置13及び報知部28により、検知装置3で検知した対象物100の状態を確認可能となる。また、当該報知装置11及び報知部28により確認した対象物100の状態が正常の場合には、入力装置12により対象物100の状態の確認の終了及び次工程の移行指示を入力することで、確実に対象物100の確認作業を行うことができる。
【0053】
また、当該確認作業は、対象物100の状態及び入力装置12による入力の情報を第1ロガー24及び第2ロガー26により記録可能であるため、確認の実施の管理が容易となる。
【0054】
また、対象物100の状態の確認及び作業移行の可否を、報知装置11及び報知部28により確認するとともに、当該確認の終了は、対象物100の状態が正常なときに、さらに確認者110が確認終了の指示を入力装置12により行うことで、経験則等や確認者110の感覚等によらず、且つ、形式的な確認とすることなく、確実に確認することが可能となる。
【0055】
即ち、確認装置1を用いて当該対象物100の状態を検知し、当該検知した対象物100の状態と、確認者110の確認とを対比連動して、確実に確認作業を行なうことが可能となる。また、対象物100の状態の確認は、報知装置11及び報知部28の報知に基づいて確認することが可能となり、作業性が向上する。
【0056】
また、対象物100の状態の変更は、表示装置13に表示された変更情報に基づいて行えばよく、作業性がよい。このため、対象物100の状態変更の作業が容易となる。
【0057】
さらに、当該確認装置1は、作業における一工程の対象物100の状態を確認し、正常であれば次工程に移行させる場合等に用いられるため、異常状態での対象物100の作業の継続を防止することが可能となる。
【0058】
また、入力装置12は、判断された対象物100の状態が正常であるときにのみ、入力することが可能であるため、対象物100の状態が異常であるときに、次工程へと移行することを防止することが可能となる。これにより、確認装置1及び確認作業の信頼性を向上することが可能となる。
【0059】
上述したように確認装置1によれば、検知装置3で検知した対象物100の状態に基づいて確認作業を行うことが可能であって、対象物100の状態の確認が容易、且つ、確実に行なうことが可能となる。
【0060】
次に、上述した確認装置1の具体的な実施の形態として、以下、本発明の第2の実施形態及び第3の実施形態を説明する。
【0061】
(第2の実施形態)
以下、上述した第1の実施形態に係る確認装置1の具体的な使用の一例である本発明の第2の実施形態に係る確認装置1Aを、図3及び図4を用いて説明する。なお、第2の実施形態に係る確認装置1Aのうち、上述した第1の実施形態に係る確認装置1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0062】
図3は本発明の第2の実施形態に係る確認装置1Aの構成を模式的に示す説明図、図4は確認装置1Aを用いた確認作業の一例を示す流れ図である。
【0063】
図3に示すように、確認装置1Aは、物流現場又は建設現場等で用いられるクレーン装置120を用いた対象物100の吊り作業に用いられ、特に、対象物100の吊り作業における確認者110による対象物100の確認作業に用いられる。
【0064】
確認装置1Aは、検知装置3と、指示装置4と、制御装置5と、を備えている。
【0065】
検知装置3は、例えば角度(傾斜)センサが用いられる。この検知装置3は、対象物100及びクレーン装置120のブーム121に設けられ、対象物100の角度及びこのブーム121の角度を検知可能に形成されている。即ち、検知装置3は、吊り作業による対象物100の傾斜角度を検知するとともに、対象物100の吊り作業を行うクレーン装置120のブーム121の角度を検知し、これら検知した情報から対象物100の状態を検知する。なお、検知装置3は、対象物100の状態を検知できれば、対象物100又はブーム121の一方のみに設ける構成でもよい。
【0066】
指示装置4は、受信装置10と、報知装置11と、入力装置12と、を備えている。このような指示装置4は、受信装置10、報知装置11及び表示装置13が一体に内蔵された、携帯可能な第1携帯装置4aと、入力装置12が内蔵された、携帯可能な第2携帯装置4bと、により構成される。
【0067】
例えば、第1携帯装置4aは、腕に巻きつけることが可能な腕時計型や、確認者110の作業服のポケット等に収納可能に形成されている。図3中においては、第1携帯装置4aは、腕時計型として、確認者110の腕に装着した状態を示す。
【0068】
例えば、第2携帯装置4bは、確認者110が握持可能に形成されている。なお、第2携帯装置4bは、入力装置12として、例えば指差呼称と同様に、第2携帯装置4bを握持した状態で指差動作を行うことで確認した旨を入力可能な、当該動作を検知する加速度センサが内蔵されている。即ち、第2携帯装置4bは、確認者110が確認終了の指示の入力として、第2携帯装置4bを握持した状態で指差呼称を行うことで、当該指示を入力可能に形成されている。
【0069】
制御装置5は、検知装置3及び指示装置4に接続され、制御部21、検知装置I/F22、送信部23、第1ロガー24、表示部25、第2ロガー26、受信部27及び報知部28を備えている。
【0070】
制御装置5は、例えば、クレーン装置120の作業者又は監督者等が確認可能な第1装置5aと、作業者、確認者110及び監督者等が確認可能な第2装置5bと、を備えている。第1装置5a及び第2装置5bは、無線により互いに情報の送受信が可能に形成されている。
【0071】
報知部28は、例えば、異なる色に発光する複数、具体的には第1〜第3信号31R,31Y,31Bの3つの信号を備えている。例えば、第1信号31Rは赤色に、第2信号31Yは黄色に、第3信号31Bは青色にそれぞれ発光する。
【0072】
制御部21は、検知装置3により検知されたブーム121の傾斜状態(対象物100の状態)を第1ロガー24に記録可能、且つ、表示部25に表示可能に形成されている。制御部21は、当該検知した傾斜状態の正常及び異常の判断、及び、閾値に基づいて対象物100の状態の変更情報の算出が可能に形成されている。制御部21は、当該判断した傾斜状態に基づいて、報知部28の第1、第2信号31R,31Yを発光可能に形成されている。また、制御部21は、入力装置12による入力に基づいて、報知部28の第3信号31Bを発光可能に形成されている。
【0073】
なお、傾斜状態の正常及び異常は、例えば、制御装置5に設けられた記憶部(不図示)に予め記憶された正常な対象物100及びブーム121の傾斜角度等の閾値と比較し、当該記憶された閾値の範囲内である場合には、正常とし、当該閾値の範囲外である場合には異常として判断する。制御部21は、当該異常時には第1信号31Rを、正常時には第2信号31Yを発光させる。
【0074】
また、制御部21は、変更情報を指示装置4に送信させ、指示装置4の表示部3に変更情報を表示させることが可能に形成されている。
【0075】
次に、このように構成された確認装置1Aを用いた確認作業の一例について、図4に示す流れ図を用いて説明する。ここで、確認作業の一例として、クレーン装置120を用いた対象物100の吊り作業における確認作業を説明する。
【0076】
なお、この吊り作業は、作業者が対象物100をクレーン装置120のブーム121の先端のジブ122から下方に垂れ下がるウインチ用ワイヤ123の先端に設けられたフック124に、対象物100に設けた吊上げ用ワイヤ125を掛け、その後、対象物100を吊り上げる作業である。例えば、当該確認作業の一例においては、吊上げ用ワイヤ125にフック124を掛け、その後対象物100を吊り上げる場合における、ブーム121の角度の確認作業について、以下説明する。
【0077】
先ず、作業者により、対象物100の作業の工程の一を行う(ステップST21)。ここで、作業の工程の一とは、例えば、吊上げ用ワイヤ125にフック124を掛けた後、対象物100を吊り上げるために、ウインチ用ワイヤ123の巻上げ及びブーム121の回動により、ウインチ用ワイヤ123、吊上げ用ワイヤ125のたるみを除去する作業工程である。
【0078】
このブーム121の回動を行う際に、検知装置3により、対象物100の状態として、対象物100の角度、及び、角度ブーム121の角度を検知する(ステップST22)。この検知されたブーム121の角度を制御部21で受信する(ステップST23)と、制御部21は、対象物100の角度、及び、ブーム121の角度から、対象物100の状態の正常又は異常の判断を行う(ステップST24)。
【0079】
ここで、対象物100の異常として、例えば、ブーム121の傾斜角度が、所定の角度、即ち、閾値の範囲内と異なる場合(ステップST24のYES)には、制御部21は、第1信号31Rを発光させ、ブーム121の傾斜角度が、所定の角度でない旨を報知する(ステップST25)。また、制御部21は、対象物100の変更情報を算出し、表示装置13に当該変更情報を表示させる。例えば、当該表示情報として、「対象物100の角度を水平とするために、ブーム121の角度をX°傾斜させてください。」等のように、対象物100の変更を行うための情報等である。
【0080】
確認者110は、この第1信号31Rの発光を視認する(ステップST26)と、作業者に対して、ブーム121の傾斜角度が、所定の角度でない旨を伝達する。また、確認者110は、変更情報を作業者に伝達する。作業者は、表示部25の表示、報知部28の第1信号31Rの発光及び当該情報の伝達に基づいて、再度クレーン装置120を操作し、対象物100の状態を変更させる(ステップST27)。
【0081】
制御部21は、当該対象物100の状態の変更後に検知された情報から、変更させた対象物100の状態を判断する(ステップST28)。なお、対象物100の状態が異常の場合(ステップST28のNO)には、再びステップST25へと戻り、制御部21は、第1信号31Rを発光させる。なお、以下ステップST26以降の流れとなる。
【0082】
対象物100の状態が正常、即ちブーム121の傾斜角度が所定の角度である場合(ステップST28のYES)には、制御部21は、第2信号31Yを発光させ、ブーム121の傾斜角度が所定の角度である旨を報知する(ステップST29)。
【0083】
また、ステップST24において、上述した対象物100が正常の場合(ステップST24のNO)には、ステップST29へとして制御部21により第2信号31Yにより、当該正常である旨が報知される。
【0084】
確認者110は、この第2信号31Yの発光を視認する(ステップST30)とともに、対象物100及びクレーン装置120をさらに視認し、対象物100の異常がないことを確認後、入力装置12により対象物100が正常である旨、即ち確認終了の指示を入力する(ステップST31)。なお、このとき、確認者110は、対象物100及びクレーン装置120を視認しつつ、入力装置第1携帯装置4bを握持し、指差呼称を行うことで入力装置12により入力が行われる。
【0085】
次に制御部21は、この入力装置12からの入力を受信すると、第3信号31Bを発光させ、確認作業が終了した旨を報知する(ステップST32)。確認者110は、第3信号31Bの発光を視認後、作業者に対して作業の継続を指示する。作業者は、第3信号31Bが発光した旨及び確認者110からの指示を確認し、次の吊り作業の工程に移行する(ステップST33)。ここで、吊り作業が終了しない場合(ステップST33のNO)には、再び、ステップST21へと戻り、作業者による吊り作業を継続する。以下、ステップST22以降の流れとなる。
【0086】
このように、作業者による吊り作業を、確認者110による確認を行いながら、作業が終了するまで継続させ、吊り作業の全ての工程が終了したら(ステップST33のYES)、当該吊り作業が終了となる。
【0087】
このように構成された確認装置1Aによれば、上述した確認装置1と同様の効果を得ることが可能となる。また、確認装置1Aによれば、吊り作業において、対象物100を吊下げるクレーン装置120の状態及び対象物100の確認を、検知装置3による検知及び確認者110の視認により行うことで、吊り作業が可能な対象物100の状態とすることが可能となる。
【0088】
また、確認装置1Aにより、対象物100の状態が正常となるまで、繰り返し検知装置3により検知し、当該検知した情報に基づいて対象物100の状態を変更させることで、確実に対象物100の確認作業を行なうことが可能となる。
【0089】
即ち、対象物100が正常となるまで繰り返し検知装置3による検知、及び、報知装置11、表示装置13及び報知部28による報知がなされるため、確実に対象物100の正常な状態とすることが可能となる。また、検知装置3及び制御装置5により、対象物100が正常な状態となるまで監視するとともに、確認者110により当該情報が報知される報知部28及び対象物100の両方を視認することで、対象物100の状態が異常のまま次工程を行うことを防止できる。
【0090】
換言すると、第1信号31R又は第2信号31Yが発光している状態で次工程を行うと、確認作業が終了していないことが明白となるとともに、確認作業も第1、第2ロガー24,26により記録される。このため、確認作業における責任を明確とし、形式的な確認作業を抑制することで、結果ヒューマンエラーの防止が可能となる。
【0091】
また、入力装置12は、指差呼称と同様の動作により、指示が入力することで、第2信号31Yの報知状態から第3信号31Bの報知(対象物10の状態が正常である旨)に報知内容が変更されることから、結果、確認者110による指差呼称を確実に行なうことが可能となる。
【0092】
(第3の実施形態)
以下、上述した第1、第2の実施形態に係る確認装置1、1Aの他の使用の一例である本発明の第3の実施形態に係る確認装置1Bを、図5を用いて説明する。なお、第3の実施形態に係る確認装置1Bのうち、上述した第1、第2の実施形態に係る確認装置1、1Aと同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0093】
図5は本発明の第3の実施形態に係る確認装置1Bの構成を模式的に示す説明図である。
【0094】
図5に示すように、確認装置1Bは、クレーン装置120を用いた対象物100の吊り作業であって、特に、確認者110による対象物100の傾斜に対する確認作業に用いられる。
【0095】
確認装置1Bは、検知装置3と、指示装置4と、制御装置5と、を備えている。
【0096】
検知装置3は、例えば応力を検知可能な応力検知センサが用いられ、対象物100の四方の側面にそれぞれ設けられている。なお、図5中においては、対の側面にそれぞれ検知装置3を設けた図を示す。この検知装置3は、例えば、その内部にひずみゲージ(ひずみセンサ)を有し、当該ひずみゲージにより対象物100の移動による圧縮及び/又は引張応力を検知可能に形成されている。即ち、これら検知装置3は、対象物100の各方向の応力に応じて、対象物100の姿勢を検知可能に形成されている。
【0097】
このように構成された確認装置1Bは、上述した確認装置1Aと同様に、制御部21により検知装置3により検知された圧力を、閾値から判断し、対象物100の状態の正常又は異常を判断するとともに、変更情報を算出する。また、制御部21は、当該判断結果及び変更情報を報知装置11、表示装置13及び報知部28により報知することで、確認者110に確認させる。
【0098】
また、当該報知により、作業者に必要に応じて対象物100の状態を変化させ、対象物100の状態が正常の場合に、入力装置12によりその旨入力する。これにより、吊り作業の次工程への移行が可能となり、このような確認作業を吊り作業が終わるまで繰り返し行わせる。
【0099】
このように構成された確認装置1Bによれば、上述した確認装置1Aと同様の効果を有する。
【0100】
なお、本発明は前述した各実施の形態に限定されるものではない。上述した例では、確認装置1の具体的な使用の一例として、物流現場又は建設現場等で行われる吊り作業に用いる確認装置1A,1Bの説明を異なる実施形態として説明したが、同一の対象物100に行う同一の吊り作業に用いる構成であってもよい。即ち、検知装置3として、角度センサ及びひずみゲージを有する構成にもちいてもよい。
【0101】
また、上述した確認装置1A,1Bは、物流現場又は建設現場等に用いるものとして説明したが、これらに限定されない。例えば、原子力、火力若しくは水力発電所や変電所等における吊り作業であってもよく、変圧設備のマシンハッチ等の開口部での吊り作業であってもよく、また、工場、倉庫若しくは現場等の構内における対象物100の移動作業における対象物100の姿勢の確認作業に用いてもよい。また、前記発電所や変電所等の吊り作業等、対象物に対して高い精度での作業が要求される場合には、検知装置3として、角度センサ、ひずみゲージ、加速度センサ等を用いる構成であってもよい。
【0102】
また、例えば、確認装置1は、対象物100の段積み保管時の荷崩れを防止するための確認装置に用いてもよい。例えば、このような確認装置は、対象物100に、検知装置3として、傾斜を検知する角度センサ及び対象物100の姿勢を検知するひずみゲージ等を設け、当該段積み作業時、及び、保管時に、検知装置3により、対象物100の状態を検知(監視)すればよい。
【0103】
また、他にも、フォークリフトと人若しくは障害物との接触を防止するための確認装置として、例えば、電波による近接センサやICタグを対象物100であるフォークリフトに設け、対象物100が人若しくは障害物に近接すると、報知装置11又は報知部28により、フォークリフトの近接を対象物100の状態の異常として報知する確認装置として用いても良い。
【0104】
他にも、船内の水位を対象物100として用いる確認装置や、コンセント等のホコリの堆積を確認する確認装置に用いてもよい。即ち、確認装置1を用いて当該対象物100の状態を検知し、当該検知した対象物100の状態と、確認者110の確認とを対比連動して、確実に確認作業を行なう構成であれば、確認装置1は、適宜、各作業において用いることができる。
【0105】
さらに、上述した確認装置1,1A,1Bに、さらに対象物100を補助する補助装置を備える構成であってもよい。例えば、この補助装置は、対象物100の状態が異常時であって、且つ、作業上若しくは安全上危険な状態となった場合に、対象物100を補助するエアバック等である。このような補助装置を設けることで、各種作業における安全性を向上させることが可能となる。
【0106】
また、上述した表示装置13は、指示装置4に設けられる構成としたが、作業者に報知可能なように、作業者が視認可能な表示装置を別途設けてもよい。また、上述した確認装置1A,1Bにおいては、表示装置13により変更情報を表示させる構成を説明したが、必要に応じて報知装置11のみの報知だけであってもよい。但し、表示装置13による変更情報の表示を行ったほうが対象物100の状態の変更の作業性はよい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0107】
1,1A,1B…確認装置、3…検知装置、4…指示装置、4a…第1携帯装置、4b…第2携帯装置、5…制御装置、5a…第1装置、5b…第2装置、10…受信装置、11…報知装置、12…入力装置、21…制御部、22…検知装置インターフェイス、23…送信部、24…第1ロガー、25…表示部、26…第2ロガー、27…受信部、28…報知部、100…対象物、110…確認者、120…クレーン装置、121…ブーム、122…ジブ、123…ウインチ用ワイヤ、124…フック、125…吊り用ワイヤ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の状態を確認者に確認させる確認装置であって、
前記対象物の状態を検知する検知装置と、
前記検知装置により検知された前記対象物の状態を少なくとも前記確認者に報知する報知装置と、
前記対象物の状態の確認を入力する入力装置と、
前記検知装置により検知された前記対象物の状態を判断し、前記対象物の状態が正常である場合であって、前記入力装置による入力があった場合に、前記報知装置により前記確認の終了を報知させる制御部と、
を備えることを特徴とする確認装置。
【請求項2】
前記入力装置は、前記判断された前記対象物の状態が正常であるときに、前記確認の終了の情報を入力することが可能に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の確認装置。
【請求項3】
前記入力装置は、加速度センサを有し、前記確認者により握持された状態で前記確認者が指差呼称を行うことで、前記加速度センサが前記指差呼称を検知し、前記入力が可能に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の確認装置。
【請求項4】
前記検知装置により検知された前記対象物の状態、及び、前記入力装置による入力を記録する記録装置をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の確認装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−91899(P2012−91899A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239622(P2010−239622)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(592184706)東芝ロジスティクス株式会社 (15)
【Fターム(参考)】