磁化可能部分を有する包装材料
自身上に複数の磁化可能部分を有する包装材料を開示する。磁化可能部分は、包装材料から形成されるパッケージ当たり少なくとも1つのスポットとして設けられる。スポットは磁化可能粒子を含み、パッケージの内部に面するように意図された紙層の側に提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁化可能部分を有する包装材料に関し、その材料は、例えば食品パッケージなどを形成するためのものである。
【背景技術】
【0002】
包装材料から包装容器を形成する包装技術では、包装材料を包装容器に形成する前に、又はその最中に包装材料をウェブとして提供することが知られている。形成、封止、折り畳みなどのようなパッケージの仕上げ時に、誘導作業のために例えば光学式読取り用の誘導マークが設けられている。このような誘導マークをレジスタマークと呼ぶことがある。包装材料の印刷中に光学式読取り用のレジスタマークを設けるが、例えば装飾又は製品情報が包装材料に印刷される。このようなレジスタマークの問題は、パッケージの外側になる無視できない領域を消費してしまうことである。他の問題は、このようなレジスタマークは、印刷がウェブ上で実行される他の作業と良好に位置合わせされる必要があることである。したがって、包装材料のウェブのマーク付けを改良することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP705759A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、包装材料に磁気マークを設けることができるという認識に基づいている。包装材料の磁気記録媒体中への情報記憶は、例えばEP705759A1号で提案されている。この開示では、ウェブから形成するように意図された1つのパッケージ当たり1つ又は複数のスポットをウェブに設けることを提案しているが、スポットは磁気マーキングを可能にするように磁化可能な粒子を含んでいる。
【0005】
第1の態様によれば、自身から形成される1つのパッケージ当たり少なくとも1つのスポットとして設けられている複数の磁化可能部分を自身上に有し、スポットが磁化可能粒子を含み、パッケージの内部に面するように意図された紙又は板紙層の側に設けられる包装材料が提供される。
【0006】
上記磁化可能部分は、パッケージの内部に面するように意図された上記紙又は板紙層の表面に直接印刷することが好ましい。本発明の包装材料のこの好ましい実施形態では、上記複数の磁化可能部分は、紙又は板紙層によって十分に隠され、上記包装材料から製造される包装容器の外側から見えない。この好ましい実施形態の他の利点は、最終的な包装容器の外観に影響を与えずに、包装材料に設ける磁化可能部分の数を制限なく増減でき、上記磁化可能部分がそれぞれ、相互に異なる機能又は他の目的のために磁気情報を担持するように構成されていることである。
【0007】
好ましい実施形態では、上記紙又は板紙層の内面に直接印刷された磁化可能部分を有する上記包装材料に、気密性アルミ箔を設けることができ、上記アルミ箔は、上記磁化可能部分を包装容器の外側から、さらに包装容器の内側からも完全に隠れるように、紙又は板紙層の上記印刷内面に積層することが好ましい。この方法で紙又は板紙層に積層されたアルミ箔は、印刷された磁化可能部分と、包装材料から製造される包装容器内に充填される液体食品のような製品との間の直接接触を防止するのにも寄与する。
【0008】
材料は、紙の層及びプラスチックコーティングの層を有する積層材を含むことができ、紙層上にはスポットが設けられる。パッケージの内部に面するように意図された紙層の側に、少なくとも1つのスポットを印刷することができる。積層材は、金属箔を通して磁化可能部分に電磁的にアクセス可能であるように、非強磁性金属の金属箔層をさらに含むことができる。
【0009】
印刷は、磁化可能粒子、溶剤及びバインダーを含む磁化可能インクで実行することができる。磁化可能粒子は、磁鉄鉱及び磁赤鉄鉱からなるグループから選択することができる。バインダーは、アクリレート、スチレンアクリル共重合体のようなアクリル樹脂、ポリウレタン、ニトロセルロース、ポリアミド及びラテックスからなるグループから選択することができる。バインダーは2つのグループを含むことができ、一方は磁化可能粒子がインク内に均一に分散するように分散剤として働き、他方は包装材料への接着剤として働く。バインダーの量は、インクの重量の20%と60%の間、好ましくは40%と60%の間、好ましくは50%と55%の間とすることができる。インクは、ワックス及び/又は消泡剤のような添加剤をさらに含むことができる。ワックスは、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、ポリアミド、エチレン酢酸ビニル、エチレン酢酸ブチル、エチレンアクリル酸及びポリテトラフルオロエチレンからなるグループのいずれか1つを含むことができる。消泡剤はシリコーン又は鉱物油を含むことができる。溶剤は、エタノール、酢酸エチル、水、イソプロパノール、グリコール、又は遅延溶剤からなるグループのいずれか1つを含むことができる。磁化可能粒子の量は、インクの重量のX%とY%の間であることが好ましい(Lotta Klintから要求された情報。情報はまだ入手していない)。磁化可能粒子のサイズは0.1μmと2.5μmの間、好ましくは0.1μmと0.8μmの間又は好ましくは0.4μmと1.5μmの間、好ましくは約0.3μm又は好ましくは約1μmとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態による包装材料のウェブを概略的に示す。
【図2】包装材料の積層構造の例を示す。
【図3】磁気可能部分の位置に関して、実施形態による包装用積層材のウェブを概略的に示す。
【図4】磁気可能部分の形状の異なる例を示す。
【図5】実施形態による包装用積層材のウェブを概略的に示す。
【図6】積層構造の例を示す。
【図7】実施形態による包装用積層材のウェブを概略的に示す。
【図8】実施形態による包装用積層材のウェブを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、包装材料のウェブ100を示し、複数の磁化可能部分102が設けられている。磁化可能部分は、これを印刷すると、包装材料から形成されるパッケージ104を1つ当たり少なくとも1つの磁化可能部分102があるように分布することが好ましい。点線は仮想線であり、パッケージを形成する複数の部品を示すものである。磁気材料の消費、すなわち、磁化可能インクの消費を低減するために、磁化可能部分は、磁気マークを位置決めするつもりである部分にスポットなどの形で設ける。磁気マークの印刷と割り当てとの間の位置決め精度には限界があるので(前述の光学マークの問題を参照)、スポットは磁気マークに必要な実際のサイズよりわずかに大きいことが好ましい。したがって、通常の偏差には対応することができる。このように、スポットには磁化可能粒子を設け、これには磁気マークを設けることができ、以下でさらに説明するように、スポットの形状及びサイズに応じて、磁化を調整することによってさらに複雑な情報を設けることができる。包装材料は積層材、又はポリマー材料のような単層材料であることが好ましい。
【0012】
図2は、包装用積層材200が、磁化可能部分204の印刷を実行できる紙層202、及び単層又は複数層のプラスチックコーティング206を含むことができることを示す。ここで、プラスチックコーティングという用語は、食品容器に適切なポリマーを含む任意のコーティングと解釈されたい。包装用積層材は、金属箔層も含むことができる。金属箔層を通して磁気マークを読み書きできるようにするために、金属はアルミニウムのように非強磁性であることが好ましい。
【0013】
磁化可能部分の印刷は、これを印刷する層の側、形成されるパッケージの内部とされる側に面する積層材の側で実行される。このように、これはパッケージの外部印刷、例えば装飾又は製品情報を邪魔しない。印刷は、以下で実際に示すように、及び乾燥時に印刷が厚さ4μmと10μmの間、好ましくは6μmと8μmの間になるように、磁化可能インクを使用して実行することが好ましい。
【0014】
磁化可能インクは、磁化可能部分を包装用積層材上に設けられるように提供され、包装用積層材は、例えば飲料及び食品容器、又は食品又は飲料を調製するための基本的又は追加の製品の容器のような食品パッケージを形成するために使用されるものである。インクは、磁化可能部分の磁気特性を提供するために磁化可能粒子を含む。
【0015】
インクは溶剤をさらに含む。溶剤の目的は、印刷時にインクを分配するシステムを流動及び開放状態に維持することであり得る。溶剤は、水性又は単量体系であってもよい。溶剤の例は、エタノール、酢酸エチル、水、イソプロパノール、グリコール又は遅延溶剤である。
【0016】
インクは、アクリレート、スチレンアクリル共重合体、ポリウレタン、ニトロセルロース、ポリアミド、又はラテックスのようなバインダーをさらに含む。バインダーは、インクに必要な性質を与えるために、例えば上述したような幾つかの成分の混合物を含むことができる。考慮すべき性質は、磁気粒子をインク中に分散させて安定させ、印刷プロセス中に磁気粒子を搬送し、印刷を実行する基材への、すなわち積層材の層への接着性を与えることに役立つことである。考慮すべき他の性質は、印刷後に磁気粒子を保護し、適切な印刷性質を提供することである。例えば、バインダーの1つの成分は、磁気粒子をインク中に均一に分散させる分散剤として働くことができ、別の成分は、積層材への接着剤として働くことができるなどである。高速印刷に適切であるインクを提供するために、バインダーの量は、インクの重量、すなわち湿重量の20%と60%の間とすることができる。適切な量は、40%と60%の間であることが判明している。50%と55%の間を使用すると良好に作用した。
【0017】
インクは、ワックス及び/又は消泡剤のような添加剤をさらに含むことができる。適切なワックスは、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ポリアミド、エチレン酢酸ビニル、エチレン酢酸ブチル、エチレンアクリル酸などであってもよい。ワックスの量は変更できるが、インクの裏移り又は汚れを防止するのに十分でなければならない。適切な消泡剤は、シリコーン又は鉱物油であってもよい。消泡剤の量は、特に高速印刷時、移動するウェブに印刷する間にインクの発泡を防止するのに十分でなければならない。
【0018】
インクは、例えば連続する剪断又は攪拌により、磁気可能粒子をバインダーと混合することによって調製することができる。複数の部分で作成することができる粒子の添加は、すぐ使用できるインクを提供するように、混合物が約40℃から50℃に到達すると、中断して、例えば消泡剤及び/又はワックスなどの任意の添加剤、及び流体を即座に添加することができる。
【0019】
磁化可能粒子は、磁赤鉄鉱又は磁鉄鉱、又はその組合せとすることができる。これらの鉱物は、食品と接触できるか否かに制限がないので、食品パッケージに適している。磁化可能粒子の量は、インクの重量のX%とY%の間であることが好ましい。
【0020】
粒子に想定される形状に応じて、磁化可能粒子のサイズ、すなわち粒子の長さ、直径などは、磁化可能インクによって印刷されるスポットに磁気マークを形成する場合に、残留磁界に多少有利な性質を与えることが判明している。小さめ、すなわち0.1μmの大きさの粒子の方が分散することができるが、言うまでもなく各粒子の保持できる残留磁界が低下する。また、バインダー、溶剤などの選択に応じて、このような小さい粒子の分散は実際に問題になることがあり、インクの調製及び取り扱い中に、小さい粒子が塊になることが問題になることがある。他方で、大きめの、すなわち1μm又は数マイクロメートルの大きさの粒子は、言うまでもなく小さめの粒子ほど分散できないが、各粒子が保持できる残留磁界は大きくなり、粒子が塊になることがそれほど目立たない。粒子サイズをさらに上げても、スポットのインクの量を一定にした状態で保持できる残留磁界の集合は増加しないことが判明している。したがって、磁化可能粒子の適切なサイズは、0.1μmと2.5μmの間とすることができる。サイズは、1つの実施形態では1μmと8μmの間、又は他の実施形態では0.4μmと1.5μmの間にできることが好ましい。小さい粒子の方法は、例えば分散と塊化の問題との適切な兼ね合いのために、粒子を約0.3μmのサイズにすることもある。別の方法は、各粒子が大量の磁界を提供し、塊化の問題を最小化することができるように、粒子を約1μmのサイズにすることもある。他の実施形態は、以上に挙げた2つの他の例に関する利点の両方の一部を提供するために、約0.4μm、0.5μm、0.6μm又は0.7μmの粒子サイズにすることもある。ここで、サイズが「約」で表わされているのは、粒子のサイズが特定の幾何学的測定距離を与えないことがあり、粒子の調製のために、そのサイズには自然な広がりがあるということの両方を鑑みて解釈しなければならないことを意味する。例えば、0.5マイクロメートルの粒子サイズを選択するが、粒子は粉砕によって調製され、わずかに不規則な形状を有するとする。したがって、平均的な粒子は、最大有効方向で0.5マイクロメートルとなるが、最小方向では0.35μmしかないことがある。さらに、最大方向では、粒子の80%が0.45μmと0.55μmの間に広がる一方、残りの20%はその範囲を外れることがあり、特に粉砕によって引き起こされる小さめの粒子に向かって外れる。この例は、言うまでもなく選択されたいずれのサイズにも当てはまる。広がりは、粉砕後に粒子を篩にかけることによって低減することもできる。
【0021】
図3は、複数の磁化可能部分302を含む包装材料300のウェブを示す。磁化可能部分は、包装材料から形成される1つのパッケージ当たり少なくとも1つ以上の磁化可能部分があるように分布することができる。磁化可能部分は、例えば以上で実際に示したような磁気インクによって提供される磁化可能粒子を含む。磁化可能部分又は「スポット」は、磁気マークに応じて、及び磁気マークが伝えるとされる意図に応じて、図4に示すように様々な形状を有することができる。スポットは正方形、長方形、円形、長円形、又はウェブの縦方向又は横方向に向けられた細長い形状を有することができる。スポットのサイズは、これが担持すると想定されるマークのサイズに応じて選択される。スポットのサイズは、スポットの印刷とそれに設けられる磁気マークとの間に位置決め偏差があれば緩和するために、わずかに大きくすることが好ましい。スポットが大きくなると、言うまでもなく磁化を強化することができ、これは、情報量が少ない、したがって特に過酷な信号状態で比較的読みやすくするためマークの磁界を増加させるために使用するか、ウェブに関するか、又はウェブの特定の一部に関する情報を伝達するなどの比較的複雑な情報を与えることができる。情報量が少ないマークでは、スポットは250mm2以下の面積を有することができ、これは正方形のスポットの場合は約15〜16mmの辺と等しく、円形のスポットでは約17〜18mmの直径である。多くの用途では、150mm2以下の面積で十分であり、用途によっては25mm2以下の面積でも十分なことがある。複雑なデータを伝達する磁化可能部分では、細長いスポット又はバーが適切なことがある。ウェブの縦方向に伸張するように細長い部分を設けることによって、ウェブの製造及び/又はパッケージの仕上げ中にウェブが移動するときに複雑なデータを連続的に読み書きすることを手際よく可能にすることができる。
【0022】
印刷したスポットは、スポット面積1m2当たり0.5gから4gの量の磁気粒子を有することが好ましい。量が減少すると、磁気情報を提供する能力が低下することがあり、量が増加しても、情報伝達能力が改良されず、磁化可能インクの消費量が増加するだけのこともある。比較的大量の印刷も、特に高速印刷では問題になることがある。インクが裏移りするという問題を引き起こすことがあるからである。様々な状態で情報伝達を確実に行うために好ましい量は、1m2当たり1.5gと4gの間である。確実な読み書き、印刷、及びインク消費の経済性の適正な兼ね合いは1m2当たり約2gとなる。
【0023】
細長いスポット又はバーの位置決めは、ウェブの縦縁部から所定の距離にすることができ、バーに設けられるデータも、用途によってはウェブの位置合わせに使用することができる。
【0024】
細長いスポット又はバーは、ウェブに沿ったストリップの一部とし、形成される1つのパッケージ当たり1つの部分が存在するように区分的に分割することができる。分割部は、形成されるパッケージを、磁化可能印刷がない分割部の位置で封止できるように位置決めすることが好ましい。ストリップは、封止位置から所定の距離に構成することによって、封止位置を示す磁気マークを有することができる。
【0025】
図5は、ここでは点の形で図示されている複数の磁化可能部分502を自身上に有する包装用積層材のウェブ500を示す。ウェブ500は、例えば食品又は液体などを包装するための複数のパッケージを形成するものである。点線は仮想線であり、パッケージを形成する複数の部分を示すものである。ウェブ500は、1つのパッケージ当たり少なくとも1つの磁化可能部分を有する。このように、包装用積層材からパッケージを形成すると、各パッケージはそれぞれ少なくとも1つの磁化可能部分を有する。スポットは、幾何形状、印刷、及び磁化可能インクに関して以上で実際に示したものに従った特徴の任意の適切な組合せを有することが好ましい。
【0026】
積層材は、複数の層を有する複雑な積層材であってもよく、各層は所望の性質の最終パッケージを提供するように選択される。例えば、紙の層を水分から保護する、最終パッケージを取り扱いやすくして、環境への露出に対してさらに頑丈にする、及び/又は単純に最終パッケージの外観を向上させるために他のポリマー層610を設けることができる。積層材は、積層材と称されてはいるが、最終パッケージに所望の性質を提供する場合は、ポリマー単層のように1つの層であってもよい。積層材600は、図6に示すように紙の第1の層602及びプラスチックコーティングの第2の層604を含むことができる。また、磁化可能部分は紙の層上に作成された印刷608であってもよく、これは幾何形状に関して以上で実際に示したようにスポット又は他の形状の特徴である。金属箔の第3の層606のように、他の層があってもよい。最終パッケージが所望の性質になるために、異なる材料で異なる数の層を設けることができる。積層材が金属箔層606を含んでいる場合、これは、磁気記憶された情報及び/又は位置を印刷し、読み取るために、金属箔を通して磁化可能部分に電磁気的にアクセス可能であるように、アルミニウムのように強磁性でない金属で作成することが好ましい。各パッケージ上に存在するもののうち少なくとも何らかのスポットは、最終パッケージの外側から見えないように印刷される。これは例えば、パッケージの外部は装飾及び/又は製品情報のために使用可能でなければならないという理由からである。したがって、印刷は、パッケージの内部に面するように意図されたウェブの側で、又は以上で実際に示した紙の層のように、少なくともパッケージの内部に面するように意図された適切な層の側で実行することが好ましい。
【0027】
図7は、自身上に複数の磁化可能部分702を有する包装材料のウェブ700を示す。ウェブ700は、包装材料から形成される1つのパッケージ当たり少なくとも1つのスポットを有する。さらに、パッケージの仕上げを向上させるために、ウェブに少なくとも1つの前処理特徴部分を設ける。少なくとも1つの前処理特徴部分は、少なくとも1つの磁化可能部分の磁界マークと位置合わせされる。例えば図7に示すように、パッケージを迅速かつ確実に仕上げられるように、ウェブに折り目線を作成する。折り目線を作成すると、磁化可能部分に所定の磁界としてマークが折り目線の作成と同時に形成される。折り目線を作成する機構、すなわち、パターン化した溝/突起があるロールに磁化要素を設けることができる。これにより、磁気マークが折り目線作成作業で確実に位置合わせされる。磁化要素は、磁界マークを提供する永久磁石、又は電磁石であってもよい。折り曲げロールの周囲に設けた磁石が磁化可能部分に近づくと、磁化可能部分の磁化可能粒子が磁化され、磁界パターンが磁化可能部分に残る。したがって、磁界マークが設けられる。磁化可能部分は、磁界マーク、すなわち、残留磁気を有する磁化可能部分の一部の幾何的サイズよりわずかに大きいことが好ましい。それにより、磁化可能部分の位置合わせが極めて重要な問題ではなくなる。何故なら、磁化可能部分自体の印刷ではなく、磁界マークが正確な位置を提供する要素となるからである。以下でさらに検討するように、適切な磁気パターンを提供することにより、正確な磁界マークも正確に読み取ることができる。
【0028】
前処理特徴部分は、開口、切り取り線などを設けるなどの折り目線を設けること以外でもよい。位置合わせも同じ原理に従う。すなわち、構造により位置合わせが内包されるように、前処理特徴部分を提供する機構に磁化可能部分を設ける。
【0029】
前処理特徴部分を実行する機構に磁化要素を適用すると、幾つかの問題が生じることがある。磁化要素は例えば、折り目線の形成又は穿孔のように前処理特徴部分が包装用積層材との機械的相互作用を要求する位置に設けなくてもよい。したがって、このような前処理特徴部分の領域とそれに位置合わせされた磁界マークとの間に距離を設けることが好ましい。さらに、上述したような相互作用を実行するツールを、強磁性材料から作成することができる。磁界マークの形成を改良するために、磁化要素には、アルミニウムのような強磁性でない材料で作成した保持又は装着手段を設ける必要が生じることがあり、その距離をさらに広げることができる。したがって、前処理特徴部分の作業、及びそれを実行するためのツールに応じて、その距離は例えば少なくとも5mm、少なくとも7mm、又は少なくとも10mmであることが好ましい。
【0030】
前処理特徴部分の準備を実行する幾つかの作業として、このような作業がそれぞれ、位置合わせされた磁界マークを有することが好ましい。これらの異なる磁界マークはそれぞれ、作業するために位置を適応させたそれぞれの磁化可能部分に作成することが好ましい。幾つかの作業が相互作用することがあるので、1つの作業が、別の作業によって作成された磁界マークをマスタマークとして使用することができる、又は任意の形態の準備作業と本質的に位置合わせされていない特定の専用マスタマークを設けてもよく、したがってこれは後に実行する作業では参考に使用するだけである。
【0031】
他の磁界マークが複雑なデータを保持してもよく、例えば長い長方形のスポット、すなわちストリップとして提供することができる。ストリップは、パッケージを仕上げるとすぐに切断するよう意図された一部で中断するか、又は中断しない状態で、ウェブ全体に沿って設けることができる。複雑なデータを保持する磁界マークは、例えばウェブを、及びウェブの一部も識別することができる一意のコードを提供することができる。複雑なデータは、パッケージの仕上げの表示などの位置情報も与えることができる。
【0032】
図8は、折り目線802と、位置合わせした磁界マークによって折り目線の位置情報を保持する磁化可能部分804を有するウェブ800の例を示す。ウェブ800は、形成されるパッケージ毎に穿孔された穴806、及び位置合わせした磁界マークによってそれぞれの穿孔した穴806の位置情報を保持する磁化可能部分808も有する。この磁界マークは、例えば仕上げ後にパッケージに再封可能な開口を成形した後に使用することができる。ウェブ800は、例えば以上で説明したような複雑なデータを保持するストリップ810も有する。
【0033】
他の位置情報は、パッケージの境界又は封止部であってもよく、作業は、パッケージを形成する部分にウェブを分割するか、又はそれぞれのパッケージを封止することである。
【0034】
磁化可能部分が保持することができる他の位置情報は、包装材料のウェブの端部、すなわちウェブの開始部及び/又はウェブの終了部にある磁気位置マークであり、したがってウェブの重ね継ぎ時に、重ね継ぎ部を位置合わせすることができる。
【0035】
他の位置情報は、光学マークの位置決めであり、これは位置決め情報の光学式読取り又は磁気読取りを有する包装機に対して適合できるので有利である。この情報を保持するスポットの位置は、光学マークと同様に位置決めされるが、パッケージの内側になるように意図された側であることが好ましい。光学マークは通常、パッケージの底部を形成するように意図された部分に設けられるので、対応する磁化可能部分が相応して位置決めされる。したがって、この磁化可能部分にある磁気マークによって、光学マークと同様の情報を提供することができ、したがって単に包装機の光学読取装置を磁気読取装置と交換することができる。実際には、光学読取装置を磁気読取装置に交換した場合は、このように光学マークは必要なく、上述したように磁気マークが光学マークに取って代わる。その場合、包装機の読取装置が同じ装着位置にあるという意味で、互換性がある。
【0036】
パッケージの外側の印刷のために、他の位置情報があってもよい。この位置情報は、印刷とパッケージとの、及びパッケージの他の前処理特徴部分との適切な位置合わせを確実に行うために有利になることがある。
【0037】
磁界マークを作成した後、磁界マークを書き込む手段、例えば永久磁石又は電磁石の構成は、磁化可能部分に対して相対運動がないか、又はほとんどないか、又は少なくともほぼ一定の相対運動があることが有利な場合がある。これは、例えば書き込み手段と折り目線を作成するロールなどを一体化することによって達成され、この場合、ロールの周囲とウェブが同じ速度で同じ方向に動くので、相対運動はない。磁化可能部分に対して相対運動がないか、又はほとんどないか、又は少なくともほぼ一定の相対運動があるようにする別の方法は、書き込み位置にて動作を制御することである。これは、書き込み位置の前後両方でウェブに緩み部分を設けることによって実行することができ、したがってその位置の前後におけるウェブの速度に関係なく、この位置における速度を制御することができる。緩みは、波形路に沿ってウェブを移動させることによって達成することができ、波のサイズは様々な緩みにするように構成可能である。したがって、書き込み作業中に、速度は書き込み位置にて制御可能にすることができ、ウェブは、書き込み作業と作業の間で加速又は減速して、ウェブの平均速度に適応する。
【0038】
形成されるパッケージ毎にスポットの少なくとも1つを、パッケージを形成する材料の縦縁部から、パッケージを形成する材料の幅の20%以内、好ましくは5%から15%に位置決めすることができる。次に、このようなスポットにある磁界マークを、パッケージの形成時に材料の捻りを制御するために使用することができる。パッケージの形成は通常、何らかの種類の管を形成し、次に何らかの方法でその端部を封止し、所望の形状に形成することによって実行される。その後、管は偶発的に捻れることがあり、これはパッケージの形成を脅かすことがある。したがって、このような磁界マークは、管に捻りがあれば全て制御し、パッケージの形成を確実に行うのに役立つことができる。これらの磁気マークを、管を形成するために接合される縦縁部に相対的に近づけることにより、制御がさらに向上する。何故なら、接合するパッケージの側から、磁界マークを読み取れるからである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁化可能部分を有する包装材料に関し、その材料は、例えば食品パッケージなどを形成するためのものである。
【背景技術】
【0002】
包装材料から包装容器を形成する包装技術では、包装材料を包装容器に形成する前に、又はその最中に包装材料をウェブとして提供することが知られている。形成、封止、折り畳みなどのようなパッケージの仕上げ時に、誘導作業のために例えば光学式読取り用の誘導マークが設けられている。このような誘導マークをレジスタマークと呼ぶことがある。包装材料の印刷中に光学式読取り用のレジスタマークを設けるが、例えば装飾又は製品情報が包装材料に印刷される。このようなレジスタマークの問題は、パッケージの外側になる無視できない領域を消費してしまうことである。他の問題は、このようなレジスタマークは、印刷がウェブ上で実行される他の作業と良好に位置合わせされる必要があることである。したがって、包装材料のウェブのマーク付けを改良することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP705759A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、包装材料に磁気マークを設けることができるという認識に基づいている。包装材料の磁気記録媒体中への情報記憶は、例えばEP705759A1号で提案されている。この開示では、ウェブから形成するように意図された1つのパッケージ当たり1つ又は複数のスポットをウェブに設けることを提案しているが、スポットは磁気マーキングを可能にするように磁化可能な粒子を含んでいる。
【0005】
第1の態様によれば、自身から形成される1つのパッケージ当たり少なくとも1つのスポットとして設けられている複数の磁化可能部分を自身上に有し、スポットが磁化可能粒子を含み、パッケージの内部に面するように意図された紙又は板紙層の側に設けられる包装材料が提供される。
【0006】
上記磁化可能部分は、パッケージの内部に面するように意図された上記紙又は板紙層の表面に直接印刷することが好ましい。本発明の包装材料のこの好ましい実施形態では、上記複数の磁化可能部分は、紙又は板紙層によって十分に隠され、上記包装材料から製造される包装容器の外側から見えない。この好ましい実施形態の他の利点は、最終的な包装容器の外観に影響を与えずに、包装材料に設ける磁化可能部分の数を制限なく増減でき、上記磁化可能部分がそれぞれ、相互に異なる機能又は他の目的のために磁気情報を担持するように構成されていることである。
【0007】
好ましい実施形態では、上記紙又は板紙層の内面に直接印刷された磁化可能部分を有する上記包装材料に、気密性アルミ箔を設けることができ、上記アルミ箔は、上記磁化可能部分を包装容器の外側から、さらに包装容器の内側からも完全に隠れるように、紙又は板紙層の上記印刷内面に積層することが好ましい。この方法で紙又は板紙層に積層されたアルミ箔は、印刷された磁化可能部分と、包装材料から製造される包装容器内に充填される液体食品のような製品との間の直接接触を防止するのにも寄与する。
【0008】
材料は、紙の層及びプラスチックコーティングの層を有する積層材を含むことができ、紙層上にはスポットが設けられる。パッケージの内部に面するように意図された紙層の側に、少なくとも1つのスポットを印刷することができる。積層材は、金属箔を通して磁化可能部分に電磁的にアクセス可能であるように、非強磁性金属の金属箔層をさらに含むことができる。
【0009】
印刷は、磁化可能粒子、溶剤及びバインダーを含む磁化可能インクで実行することができる。磁化可能粒子は、磁鉄鉱及び磁赤鉄鉱からなるグループから選択することができる。バインダーは、アクリレート、スチレンアクリル共重合体のようなアクリル樹脂、ポリウレタン、ニトロセルロース、ポリアミド及びラテックスからなるグループから選択することができる。バインダーは2つのグループを含むことができ、一方は磁化可能粒子がインク内に均一に分散するように分散剤として働き、他方は包装材料への接着剤として働く。バインダーの量は、インクの重量の20%と60%の間、好ましくは40%と60%の間、好ましくは50%と55%の間とすることができる。インクは、ワックス及び/又は消泡剤のような添加剤をさらに含むことができる。ワックスは、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、ポリアミド、エチレン酢酸ビニル、エチレン酢酸ブチル、エチレンアクリル酸及びポリテトラフルオロエチレンからなるグループのいずれか1つを含むことができる。消泡剤はシリコーン又は鉱物油を含むことができる。溶剤は、エタノール、酢酸エチル、水、イソプロパノール、グリコール、又は遅延溶剤からなるグループのいずれか1つを含むことができる。磁化可能粒子の量は、インクの重量のX%とY%の間であることが好ましい(Lotta Klintから要求された情報。情報はまだ入手していない)。磁化可能粒子のサイズは0.1μmと2.5μmの間、好ましくは0.1μmと0.8μmの間又は好ましくは0.4μmと1.5μmの間、好ましくは約0.3μm又は好ましくは約1μmとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態による包装材料のウェブを概略的に示す。
【図2】包装材料の積層構造の例を示す。
【図3】磁気可能部分の位置に関して、実施形態による包装用積層材のウェブを概略的に示す。
【図4】磁気可能部分の形状の異なる例を示す。
【図5】実施形態による包装用積層材のウェブを概略的に示す。
【図6】積層構造の例を示す。
【図7】実施形態による包装用積層材のウェブを概略的に示す。
【図8】実施形態による包装用積層材のウェブを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、包装材料のウェブ100を示し、複数の磁化可能部分102が設けられている。磁化可能部分は、これを印刷すると、包装材料から形成されるパッケージ104を1つ当たり少なくとも1つの磁化可能部分102があるように分布することが好ましい。点線は仮想線であり、パッケージを形成する複数の部品を示すものである。磁気材料の消費、すなわち、磁化可能インクの消費を低減するために、磁化可能部分は、磁気マークを位置決めするつもりである部分にスポットなどの形で設ける。磁気マークの印刷と割り当てとの間の位置決め精度には限界があるので(前述の光学マークの問題を参照)、スポットは磁気マークに必要な実際のサイズよりわずかに大きいことが好ましい。したがって、通常の偏差には対応することができる。このように、スポットには磁化可能粒子を設け、これには磁気マークを設けることができ、以下でさらに説明するように、スポットの形状及びサイズに応じて、磁化を調整することによってさらに複雑な情報を設けることができる。包装材料は積層材、又はポリマー材料のような単層材料であることが好ましい。
【0012】
図2は、包装用積層材200が、磁化可能部分204の印刷を実行できる紙層202、及び単層又は複数層のプラスチックコーティング206を含むことができることを示す。ここで、プラスチックコーティングという用語は、食品容器に適切なポリマーを含む任意のコーティングと解釈されたい。包装用積層材は、金属箔層も含むことができる。金属箔層を通して磁気マークを読み書きできるようにするために、金属はアルミニウムのように非強磁性であることが好ましい。
【0013】
磁化可能部分の印刷は、これを印刷する層の側、形成されるパッケージの内部とされる側に面する積層材の側で実行される。このように、これはパッケージの外部印刷、例えば装飾又は製品情報を邪魔しない。印刷は、以下で実際に示すように、及び乾燥時に印刷が厚さ4μmと10μmの間、好ましくは6μmと8μmの間になるように、磁化可能インクを使用して実行することが好ましい。
【0014】
磁化可能インクは、磁化可能部分を包装用積層材上に設けられるように提供され、包装用積層材は、例えば飲料及び食品容器、又は食品又は飲料を調製するための基本的又は追加の製品の容器のような食品パッケージを形成するために使用されるものである。インクは、磁化可能部分の磁気特性を提供するために磁化可能粒子を含む。
【0015】
インクは溶剤をさらに含む。溶剤の目的は、印刷時にインクを分配するシステムを流動及び開放状態に維持することであり得る。溶剤は、水性又は単量体系であってもよい。溶剤の例は、エタノール、酢酸エチル、水、イソプロパノール、グリコール又は遅延溶剤である。
【0016】
インクは、アクリレート、スチレンアクリル共重合体、ポリウレタン、ニトロセルロース、ポリアミド、又はラテックスのようなバインダーをさらに含む。バインダーは、インクに必要な性質を与えるために、例えば上述したような幾つかの成分の混合物を含むことができる。考慮すべき性質は、磁気粒子をインク中に分散させて安定させ、印刷プロセス中に磁気粒子を搬送し、印刷を実行する基材への、すなわち積層材の層への接着性を与えることに役立つことである。考慮すべき他の性質は、印刷後に磁気粒子を保護し、適切な印刷性質を提供することである。例えば、バインダーの1つの成分は、磁気粒子をインク中に均一に分散させる分散剤として働くことができ、別の成分は、積層材への接着剤として働くことができるなどである。高速印刷に適切であるインクを提供するために、バインダーの量は、インクの重量、すなわち湿重量の20%と60%の間とすることができる。適切な量は、40%と60%の間であることが判明している。50%と55%の間を使用すると良好に作用した。
【0017】
インクは、ワックス及び/又は消泡剤のような添加剤をさらに含むことができる。適切なワックスは、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ポリアミド、エチレン酢酸ビニル、エチレン酢酸ブチル、エチレンアクリル酸などであってもよい。ワックスの量は変更できるが、インクの裏移り又は汚れを防止するのに十分でなければならない。適切な消泡剤は、シリコーン又は鉱物油であってもよい。消泡剤の量は、特に高速印刷時、移動するウェブに印刷する間にインクの発泡を防止するのに十分でなければならない。
【0018】
インクは、例えば連続する剪断又は攪拌により、磁気可能粒子をバインダーと混合することによって調製することができる。複数の部分で作成することができる粒子の添加は、すぐ使用できるインクを提供するように、混合物が約40℃から50℃に到達すると、中断して、例えば消泡剤及び/又はワックスなどの任意の添加剤、及び流体を即座に添加することができる。
【0019】
磁化可能粒子は、磁赤鉄鉱又は磁鉄鉱、又はその組合せとすることができる。これらの鉱物は、食品と接触できるか否かに制限がないので、食品パッケージに適している。磁化可能粒子の量は、インクの重量のX%とY%の間であることが好ましい。
【0020】
粒子に想定される形状に応じて、磁化可能粒子のサイズ、すなわち粒子の長さ、直径などは、磁化可能インクによって印刷されるスポットに磁気マークを形成する場合に、残留磁界に多少有利な性質を与えることが判明している。小さめ、すなわち0.1μmの大きさの粒子の方が分散することができるが、言うまでもなく各粒子の保持できる残留磁界が低下する。また、バインダー、溶剤などの選択に応じて、このような小さい粒子の分散は実際に問題になることがあり、インクの調製及び取り扱い中に、小さい粒子が塊になることが問題になることがある。他方で、大きめの、すなわち1μm又は数マイクロメートルの大きさの粒子は、言うまでもなく小さめの粒子ほど分散できないが、各粒子が保持できる残留磁界は大きくなり、粒子が塊になることがそれほど目立たない。粒子サイズをさらに上げても、スポットのインクの量を一定にした状態で保持できる残留磁界の集合は増加しないことが判明している。したがって、磁化可能粒子の適切なサイズは、0.1μmと2.5μmの間とすることができる。サイズは、1つの実施形態では1μmと8μmの間、又は他の実施形態では0.4μmと1.5μmの間にできることが好ましい。小さい粒子の方法は、例えば分散と塊化の問題との適切な兼ね合いのために、粒子を約0.3μmのサイズにすることもある。別の方法は、各粒子が大量の磁界を提供し、塊化の問題を最小化することができるように、粒子を約1μmのサイズにすることもある。他の実施形態は、以上に挙げた2つの他の例に関する利点の両方の一部を提供するために、約0.4μm、0.5μm、0.6μm又は0.7μmの粒子サイズにすることもある。ここで、サイズが「約」で表わされているのは、粒子のサイズが特定の幾何学的測定距離を与えないことがあり、粒子の調製のために、そのサイズには自然な広がりがあるということの両方を鑑みて解釈しなければならないことを意味する。例えば、0.5マイクロメートルの粒子サイズを選択するが、粒子は粉砕によって調製され、わずかに不規則な形状を有するとする。したがって、平均的な粒子は、最大有効方向で0.5マイクロメートルとなるが、最小方向では0.35μmしかないことがある。さらに、最大方向では、粒子の80%が0.45μmと0.55μmの間に広がる一方、残りの20%はその範囲を外れることがあり、特に粉砕によって引き起こされる小さめの粒子に向かって外れる。この例は、言うまでもなく選択されたいずれのサイズにも当てはまる。広がりは、粉砕後に粒子を篩にかけることによって低減することもできる。
【0021】
図3は、複数の磁化可能部分302を含む包装材料300のウェブを示す。磁化可能部分は、包装材料から形成される1つのパッケージ当たり少なくとも1つ以上の磁化可能部分があるように分布することができる。磁化可能部分は、例えば以上で実際に示したような磁気インクによって提供される磁化可能粒子を含む。磁化可能部分又は「スポット」は、磁気マークに応じて、及び磁気マークが伝えるとされる意図に応じて、図4に示すように様々な形状を有することができる。スポットは正方形、長方形、円形、長円形、又はウェブの縦方向又は横方向に向けられた細長い形状を有することができる。スポットのサイズは、これが担持すると想定されるマークのサイズに応じて選択される。スポットのサイズは、スポットの印刷とそれに設けられる磁気マークとの間に位置決め偏差があれば緩和するために、わずかに大きくすることが好ましい。スポットが大きくなると、言うまでもなく磁化を強化することができ、これは、情報量が少ない、したがって特に過酷な信号状態で比較的読みやすくするためマークの磁界を増加させるために使用するか、ウェブに関するか、又はウェブの特定の一部に関する情報を伝達するなどの比較的複雑な情報を与えることができる。情報量が少ないマークでは、スポットは250mm2以下の面積を有することができ、これは正方形のスポットの場合は約15〜16mmの辺と等しく、円形のスポットでは約17〜18mmの直径である。多くの用途では、150mm2以下の面積で十分であり、用途によっては25mm2以下の面積でも十分なことがある。複雑なデータを伝達する磁化可能部分では、細長いスポット又はバーが適切なことがある。ウェブの縦方向に伸張するように細長い部分を設けることによって、ウェブの製造及び/又はパッケージの仕上げ中にウェブが移動するときに複雑なデータを連続的に読み書きすることを手際よく可能にすることができる。
【0022】
印刷したスポットは、スポット面積1m2当たり0.5gから4gの量の磁気粒子を有することが好ましい。量が減少すると、磁気情報を提供する能力が低下することがあり、量が増加しても、情報伝達能力が改良されず、磁化可能インクの消費量が増加するだけのこともある。比較的大量の印刷も、特に高速印刷では問題になることがある。インクが裏移りするという問題を引き起こすことがあるからである。様々な状態で情報伝達を確実に行うために好ましい量は、1m2当たり1.5gと4gの間である。確実な読み書き、印刷、及びインク消費の経済性の適正な兼ね合いは1m2当たり約2gとなる。
【0023】
細長いスポット又はバーの位置決めは、ウェブの縦縁部から所定の距離にすることができ、バーに設けられるデータも、用途によってはウェブの位置合わせに使用することができる。
【0024】
細長いスポット又はバーは、ウェブに沿ったストリップの一部とし、形成される1つのパッケージ当たり1つの部分が存在するように区分的に分割することができる。分割部は、形成されるパッケージを、磁化可能印刷がない分割部の位置で封止できるように位置決めすることが好ましい。ストリップは、封止位置から所定の距離に構成することによって、封止位置を示す磁気マークを有することができる。
【0025】
図5は、ここでは点の形で図示されている複数の磁化可能部分502を自身上に有する包装用積層材のウェブ500を示す。ウェブ500は、例えば食品又は液体などを包装するための複数のパッケージを形成するものである。点線は仮想線であり、パッケージを形成する複数の部分を示すものである。ウェブ500は、1つのパッケージ当たり少なくとも1つの磁化可能部分を有する。このように、包装用積層材からパッケージを形成すると、各パッケージはそれぞれ少なくとも1つの磁化可能部分を有する。スポットは、幾何形状、印刷、及び磁化可能インクに関して以上で実際に示したものに従った特徴の任意の適切な組合せを有することが好ましい。
【0026】
積層材は、複数の層を有する複雑な積層材であってもよく、各層は所望の性質の最終パッケージを提供するように選択される。例えば、紙の層を水分から保護する、最終パッケージを取り扱いやすくして、環境への露出に対してさらに頑丈にする、及び/又は単純に最終パッケージの外観を向上させるために他のポリマー層610を設けることができる。積層材は、積層材と称されてはいるが、最終パッケージに所望の性質を提供する場合は、ポリマー単層のように1つの層であってもよい。積層材600は、図6に示すように紙の第1の層602及びプラスチックコーティングの第2の層604を含むことができる。また、磁化可能部分は紙の層上に作成された印刷608であってもよく、これは幾何形状に関して以上で実際に示したようにスポット又は他の形状の特徴である。金属箔の第3の層606のように、他の層があってもよい。最終パッケージが所望の性質になるために、異なる材料で異なる数の層を設けることができる。積層材が金属箔層606を含んでいる場合、これは、磁気記憶された情報及び/又は位置を印刷し、読み取るために、金属箔を通して磁化可能部分に電磁気的にアクセス可能であるように、アルミニウムのように強磁性でない金属で作成することが好ましい。各パッケージ上に存在するもののうち少なくとも何らかのスポットは、最終パッケージの外側から見えないように印刷される。これは例えば、パッケージの外部は装飾及び/又は製品情報のために使用可能でなければならないという理由からである。したがって、印刷は、パッケージの内部に面するように意図されたウェブの側で、又は以上で実際に示した紙の層のように、少なくともパッケージの内部に面するように意図された適切な層の側で実行することが好ましい。
【0027】
図7は、自身上に複数の磁化可能部分702を有する包装材料のウェブ700を示す。ウェブ700は、包装材料から形成される1つのパッケージ当たり少なくとも1つのスポットを有する。さらに、パッケージの仕上げを向上させるために、ウェブに少なくとも1つの前処理特徴部分を設ける。少なくとも1つの前処理特徴部分は、少なくとも1つの磁化可能部分の磁界マークと位置合わせされる。例えば図7に示すように、パッケージを迅速かつ確実に仕上げられるように、ウェブに折り目線を作成する。折り目線を作成すると、磁化可能部分に所定の磁界としてマークが折り目線の作成と同時に形成される。折り目線を作成する機構、すなわち、パターン化した溝/突起があるロールに磁化要素を設けることができる。これにより、磁気マークが折り目線作成作業で確実に位置合わせされる。磁化要素は、磁界マークを提供する永久磁石、又は電磁石であってもよい。折り曲げロールの周囲に設けた磁石が磁化可能部分に近づくと、磁化可能部分の磁化可能粒子が磁化され、磁界パターンが磁化可能部分に残る。したがって、磁界マークが設けられる。磁化可能部分は、磁界マーク、すなわち、残留磁気を有する磁化可能部分の一部の幾何的サイズよりわずかに大きいことが好ましい。それにより、磁化可能部分の位置合わせが極めて重要な問題ではなくなる。何故なら、磁化可能部分自体の印刷ではなく、磁界マークが正確な位置を提供する要素となるからである。以下でさらに検討するように、適切な磁気パターンを提供することにより、正確な磁界マークも正確に読み取ることができる。
【0028】
前処理特徴部分は、開口、切り取り線などを設けるなどの折り目線を設けること以外でもよい。位置合わせも同じ原理に従う。すなわち、構造により位置合わせが内包されるように、前処理特徴部分を提供する機構に磁化可能部分を設ける。
【0029】
前処理特徴部分を実行する機構に磁化要素を適用すると、幾つかの問題が生じることがある。磁化要素は例えば、折り目線の形成又は穿孔のように前処理特徴部分が包装用積層材との機械的相互作用を要求する位置に設けなくてもよい。したがって、このような前処理特徴部分の領域とそれに位置合わせされた磁界マークとの間に距離を設けることが好ましい。さらに、上述したような相互作用を実行するツールを、強磁性材料から作成することができる。磁界マークの形成を改良するために、磁化要素には、アルミニウムのような強磁性でない材料で作成した保持又は装着手段を設ける必要が生じることがあり、その距離をさらに広げることができる。したがって、前処理特徴部分の作業、及びそれを実行するためのツールに応じて、その距離は例えば少なくとも5mm、少なくとも7mm、又は少なくとも10mmであることが好ましい。
【0030】
前処理特徴部分の準備を実行する幾つかの作業として、このような作業がそれぞれ、位置合わせされた磁界マークを有することが好ましい。これらの異なる磁界マークはそれぞれ、作業するために位置を適応させたそれぞれの磁化可能部分に作成することが好ましい。幾つかの作業が相互作用することがあるので、1つの作業が、別の作業によって作成された磁界マークをマスタマークとして使用することができる、又は任意の形態の準備作業と本質的に位置合わせされていない特定の専用マスタマークを設けてもよく、したがってこれは後に実行する作業では参考に使用するだけである。
【0031】
他の磁界マークが複雑なデータを保持してもよく、例えば長い長方形のスポット、すなわちストリップとして提供することができる。ストリップは、パッケージを仕上げるとすぐに切断するよう意図された一部で中断するか、又は中断しない状態で、ウェブ全体に沿って設けることができる。複雑なデータを保持する磁界マークは、例えばウェブを、及びウェブの一部も識別することができる一意のコードを提供することができる。複雑なデータは、パッケージの仕上げの表示などの位置情報も与えることができる。
【0032】
図8は、折り目線802と、位置合わせした磁界マークによって折り目線の位置情報を保持する磁化可能部分804を有するウェブ800の例を示す。ウェブ800は、形成されるパッケージ毎に穿孔された穴806、及び位置合わせした磁界マークによってそれぞれの穿孔した穴806の位置情報を保持する磁化可能部分808も有する。この磁界マークは、例えば仕上げ後にパッケージに再封可能な開口を成形した後に使用することができる。ウェブ800は、例えば以上で説明したような複雑なデータを保持するストリップ810も有する。
【0033】
他の位置情報は、パッケージの境界又は封止部であってもよく、作業は、パッケージを形成する部分にウェブを分割するか、又はそれぞれのパッケージを封止することである。
【0034】
磁化可能部分が保持することができる他の位置情報は、包装材料のウェブの端部、すなわちウェブの開始部及び/又はウェブの終了部にある磁気位置マークであり、したがってウェブの重ね継ぎ時に、重ね継ぎ部を位置合わせすることができる。
【0035】
他の位置情報は、光学マークの位置決めであり、これは位置決め情報の光学式読取り又は磁気読取りを有する包装機に対して適合できるので有利である。この情報を保持するスポットの位置は、光学マークと同様に位置決めされるが、パッケージの内側になるように意図された側であることが好ましい。光学マークは通常、パッケージの底部を形成するように意図された部分に設けられるので、対応する磁化可能部分が相応して位置決めされる。したがって、この磁化可能部分にある磁気マークによって、光学マークと同様の情報を提供することができ、したがって単に包装機の光学読取装置を磁気読取装置と交換することができる。実際には、光学読取装置を磁気読取装置に交換した場合は、このように光学マークは必要なく、上述したように磁気マークが光学マークに取って代わる。その場合、包装機の読取装置が同じ装着位置にあるという意味で、互換性がある。
【0036】
パッケージの外側の印刷のために、他の位置情報があってもよい。この位置情報は、印刷とパッケージとの、及びパッケージの他の前処理特徴部分との適切な位置合わせを確実に行うために有利になることがある。
【0037】
磁界マークを作成した後、磁界マークを書き込む手段、例えば永久磁石又は電磁石の構成は、磁化可能部分に対して相対運動がないか、又はほとんどないか、又は少なくともほぼ一定の相対運動があることが有利な場合がある。これは、例えば書き込み手段と折り目線を作成するロールなどを一体化することによって達成され、この場合、ロールの周囲とウェブが同じ速度で同じ方向に動くので、相対運動はない。磁化可能部分に対して相対運動がないか、又はほとんどないか、又は少なくともほぼ一定の相対運動があるようにする別の方法は、書き込み位置にて動作を制御することである。これは、書き込み位置の前後両方でウェブに緩み部分を設けることによって実行することができ、したがってその位置の前後におけるウェブの速度に関係なく、この位置における速度を制御することができる。緩みは、波形路に沿ってウェブを移動させることによって達成することができ、波のサイズは様々な緩みにするように構成可能である。したがって、書き込み作業中に、速度は書き込み位置にて制御可能にすることができ、ウェブは、書き込み作業と作業の間で加速又は減速して、ウェブの平均速度に適応する。
【0038】
形成されるパッケージ毎にスポットの少なくとも1つを、パッケージを形成する材料の縦縁部から、パッケージを形成する材料の幅の20%以内、好ましくは5%から15%に位置決めすることができる。次に、このようなスポットにある磁界マークを、パッケージの形成時に材料の捻りを制御するために使用することができる。パッケージの形成は通常、何らかの種類の管を形成し、次に何らかの方法でその端部を封止し、所望の形状に形成することによって実行される。その後、管は偶発的に捻れることがあり、これはパッケージの形成を脅かすことがある。したがって、このような磁界マークは、管に捻りがあれば全て制御し、パッケージの形成を確実に行うのに役立つことができる。これらの磁気マークを、管を形成するために接合される縦縁部に相対的に近づけることにより、制御がさらに向上する。何故なら、接合するパッケージの側から、磁界マークを読み取れるからである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装容器用の紙又は板紙層(602)を有し、自身から形成される1つのパッケージ当たり少なくとも1つのスポットとして設けられている複数の磁化可能部分を自身上に有し、前記スポットが磁化可能粒子を含む包装材料(600)であって、前記磁化可能部分が、自身から製造される包装容器の内部に面するように意図された前記紙又は板紙層(602)の表面に直接形成されることを特徴とする包装材料。
【請求項2】
前記少なくとも1つのスポットが、印刷作業を通して形成されることを特徴とする、請求項1に記載の包装材料。
【請求項3】
前記紙又は板紙層が、プラスチックコーティング(604及び610)によって覆われる、請求項1又は2に記載の材料。
【請求項4】
前記積層材が、非強磁性金属の金属箔層(606)をさらに有し、したがって前記金属箔を通して前記磁化可能部分に電磁的にアクセス可能である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の材料。
【請求項5】
前記金属箔層(606)が、前記紙又は板紙層(602)のこのような前記印刷表面に積層される、請求項4に記載の材料。
【請求項6】
前記磁化可能粒子が、磁鉄鉱及び磁赤鉄鉱からなるグループから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の材料。
【請求項1】
包装容器用の紙又は板紙層(602)を有し、自身から形成される1つのパッケージ当たり少なくとも1つのスポットとして設けられている複数の磁化可能部分を自身上に有し、前記スポットが磁化可能粒子を含む包装材料(600)であって、前記磁化可能部分が、自身から製造される包装容器の内部に面するように意図された前記紙又は板紙層(602)の表面に直接形成されることを特徴とする包装材料。
【請求項2】
前記少なくとも1つのスポットが、印刷作業を通して形成されることを特徴とする、請求項1に記載の包装材料。
【請求項3】
前記紙又は板紙層が、プラスチックコーティング(604及び610)によって覆われる、請求項1又は2に記載の材料。
【請求項4】
前記積層材が、非強磁性金属の金属箔層(606)をさらに有し、したがって前記金属箔を通して前記磁化可能部分に電磁的にアクセス可能である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の材料。
【請求項5】
前記金属箔層(606)が、前記紙又は板紙層(602)のこのような前記印刷表面に積層される、請求項4に記載の材料。
【請求項6】
前記磁化可能粒子が、磁鉄鉱及び磁赤鉄鉱からなるグループから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の材料。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A)】
【図4B)】
【図4C)】
【図4D)】
【図4E)】
【図4F)】
【図4G)】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4A)】
【図4B)】
【図4C)】
【図4D)】
【図4E)】
【図4F)】
【図4G)】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2012−528051(P2012−528051A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513009(P2012−513009)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【国際出願番号】PCT/SE2010/000128
【国際公開番号】WO2010/138052
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(591007424)テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム (190)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【国際出願番号】PCT/SE2010/000128
【国際公開番号】WO2010/138052
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(591007424)テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム (190)
【Fターム(参考)】
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