説明

磁器切断用回転砥石

【課題】 本発明は上記問題を解決し、磁器を切断する際の生産性を悪化させることなく、切断面の形状不良の発生を防止することができる磁器切断用回転砥石を提供する。
【解決手段】
第1の円盤1aの外周に切断用砥粒層1bが形成された第1の回転砥石1と、第2の円盤2aの外周に面付用砥粒層2bが形成され、第1の回転砥石1と重ね合わさせて配設された第2の回転砥石2とから構成したため、第1の回転砥石で磁器を切断すると同時に、第2の回転砥石2で切断面を面付することが可能となる。面付用砥粒層2bに、第1の回転砥石1側に向かって徐々に外径が大きくなるテーパー面2cを形成すると、面付時に、テーパー面2cが、磁器碍管51内面51aの端縁51eを回転軸方向外側から内側に順次除去するので、磁器碍管51の内面51aにカケ込みが発生することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁器碍管等の磁器を切断する際に用いられる回転砥石に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から特許文献1に示されるように、磁器碍管は 粘土等の原料を混合後、筒状に押出成形し、外周を切削加工し、乾燥後に焼成して製造している。図5に示されるように、磁器碍管51の下端には、乾燥や焼成時の磁器碍管51の収縮に伴う変形を防止するため、他の部分に比べて肉厚が厚い変形防止部51gが形成されている。また、磁器碍管51の上端には、焼成時に磁器碍管51を吊り下げ支持するための、上方に向かって拡開した形状の吊り下げ用支持部51hが形成されている。これら、変形防止部51gや吊り下げ用支持部51hは、製品として不要な部分であるので、磁器碍管51を焼成後に除去する必要がある。
【0003】
磁器碍管51の両端部を切除するには、特許文献2に示されるような円盤状の基板の外周にダイヤモンド砥粒層を形成した回転砥石を使用し、磁器碍管51を回転させながら、前記回転砥石を磁器碍管51の外面に押し付けて前記両端部を切除している。
【0004】
焼成後の磁器碍管51には、押出形成時に原料が押し固められること、及び乾燥・焼成時に磁器碍管51が収縮することによる残留応力が内在している。特に焼成後の磁器碍管51の内面側に大きい残留応力が内在しているため、図6に示されるように、磁器碍管51の両端部を回転砥石61で切除する際、磁器碍管51の内面51a側の切断面に、(1)カケ込み、(2)端面割れ、(3)クラック等の形状不良が発生してしまう場合がある。
【0005】
磁器碍管51の端部には、金具を取り付けたり、ガスブッシングとして使用する場合にはガスケットを取り付けたりするので、磁器碍管51の端面を平滑に(低表面粗度に)仕上げる必要があり、前述したような形状不良が発生することは許容されない。
【0006】
このため、従来では、図7の(1)に示されるように、内面切削用回転砥石62で磁器碍管51の内面51aを、全周に渡って所定寸法(例えば3mmから5mm)切り込んで切り込み51c形成してから、当該切り込んだ位置と同じ外周位置に、回転砥石61を位置合わせして、回転砥石61で磁器碍管51の端部を切除していた。
【0007】
しかし、回転砥石61の位置が、磁器碍管51の軸方向外側にずれた場合には、図7の(2)に示されるように、磁器碍管51の内面51aの切り込み51c部分に、段差51bが生じ、磁器碍管51の端面が形状不良になってしまう。一方で、回転砥石61の位置が、磁器碍管51の軸方向内側にずれた場合には、前述したように、磁器碍管51の内面51a側の切断面に、カケ込み等の形状不良が発生してしまう。
【0008】
また、内面切削用回転砥石62は、磁器碍管51の内面に入れる必要があるので、内面切削用回転砥石62の回転軸63の外径を大きくすることができず、当該回転軸63の曲げ剛性が弱いことから、内面切削用回転砥石62で磁器碍管51の内面に形成した切り込み51cが蛇行し易く、磁器碍管51の端面に、段差51bが生じ易いという問題があった。
【0009】
このため、従来では、段差51bを除去するために、磁器碍管51の両端を切除した後に、磁器碍管51の切断面を面付け砥石で面付けしていた。しかし、面付するには、回転砥石61を面付砥石に交換し、一つ一つの磁器碍管51の切断面に面付砥石の位置をあわせる必要があるので、磁器碍管51の生産性が大幅に悪化していた。更に、磁器碍管51の内径が小さい場合には、内面切削用回転砥石62を、磁器碍管51の内面51aに入れることができないため、磁器碍管51の内面51aに切り込み51cを形成することができず、磁器碍管51の端部を回転砥石61で切除すると、前述したような、磁器碍管51の内面51aにカケ込み等の形状不良が頻繁に発生してしまうという問題があった。
【0010】
【特許文献1】特開2000−264716号公報
【特許文献2】特開2000−76945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記問題を解決し、磁器を切断する際の生産性を悪化させることなく、切断面の形状不良の発生を防止することを目的になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、円盤の外周に砥粒層を形成した磁器切断用回転砥石であって、
第1の円盤の外周に切断用砥粒層が形成された第1の回転砥石と、
第2の円盤の外周に面付用砥粒層が形成され、前記第1の回転砥石と重ね合わさせて配設された第2の回転砥石とから構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、第2の回転砥石の外径を、第1の回転砥石の外径よりも小さくしたことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、第2の回転砥石の面付用砥粒層に、第1の回転砥石側に向かって徐々に外径が大きくなるテーパー面を形成したことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、面付用砥粒層の外縁に、テーパー面と交差し接続する、回転軸に対して平行な平面を形成したことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の発明において、テーパー面と第2の円盤の半径方向と交差するテーパー角を30°〜60°に設定したことを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5に記載の発明において、第1の回転砥石と第2の回転砥石の間にスペーサーを配設したことを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6に記載の発明において、第2の円盤の厚さを、第1の円盤の厚さよりも厚くしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明は、磁器切断用回転砥石を第1の円盤の外周に切断用砥粒層が形成された第1の回転砥石と、第2の円盤の外周に面付用砥粒層が形成され、前記第1の回転砥石と重ね合わさせて配設された第2の回転砥石とから構成したことを特徴とする。
このため、面付砥石の交換・位置合わせ作業を行うことなく、第1の回転砥石1で磁器を切断すると同時に、前記第1の回転砥石で切断された切断面が第2の回転砥石で面付されるので、生産性を向上させることが可能となる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、第2の回転砥石の外径を、第1の回転砥石の外径よりも小さくしたことを特徴とする。
このため、第2の回転砥石の消耗を抑制することが可能となる。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、第2の回転砥石の面付用砥粒層に、第1の回転砥石側に向かって徐々に外径が大きくなるテーパー面を形成したこと特徴とする。
このため、磁器碍管の切断面の面付時に、前記テーパー面が磁器碍管内面の端縁を回転軸方向外側から内側に順次除去するので、磁器碍管の内面にカケ込み等の形状不良の発生を防止することが可能となる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、面付用砥粒層の外縁に、テーパー面と交差し接続する、回転軸に対して平行な平面を形成したことを特徴とする。
このため、テーパー面が摩耗したとしても、テーパー面のテーパー角が減少することなく、磁器碍管の面付時に、第2の回転砥石が磁器碍管の端面で押されて反ってしまうことを防止し、磁器碍管の切断面のずれを防止することが可能となる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の発明において、テーパー面と第2の円盤の半径方向と交差するテーパー角を30°〜60°に設定したことを特徴とする。
このため、磁器碍管の面付時に、第2の回転砥石が磁器碍管の端面で押されて反ることを防止しつつ、面付時における磁器碍管と第2の回転砥石の抵抗を軽減することが可能となる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5に記載の発明において、第1の回転砥石と第2の回転砥石の間にスペーサーを配設したことを特徴とする。
このため、磁器碍管の切断時に、第2の回転砥石が第1の回転砥石側に押されて変形し、磁器碍管の切断面のずれを防止することが可能となる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6に記載の発明において、第2の円盤の厚さを、第1の円盤の厚さよりも厚くしたことを特徴とする。
このため、切断用砥粒層1bの幅を薄くして切断性を向上させつつ、第2の回転砥石2の反りを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(本発明の磁器切断用回転砥石の構造)
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。図1は本発明の磁器切断用回転砥石10の断面図である。本発明の磁器切断用回転砥石10は、第1の回転砥石1と第2の回転砥石2とから構成されている。
【0027】
第1の回転砥石1は、金属等で構成された第1の円盤1aの外周に、切断用砥粒層1bを形成したものである。切断用砥粒層1bは、ダイヤモンドやCBN(立方晶窒化硼素)等の砥粒をAl、Sn、Zn等の金属粉末を混合したメタルボンドに分散させたものを焼結して形成したものである。
【0028】
第2の回転砥石2は、金属等で構成された第2の円盤2bの外周に、面付用砥粒層2bを形成したものである。面付用砥粒層2bは、切断用砥粒層1bと同様に、砥粒をメタルボンドに分散させたものを焼結して形成したものである。
【0029】
第2の回転砥石2は、第1の回転砥石1と、回転軸中心を一致させて、重ね合わされて、配設されている。具体的には、図1に示されるように、第1の回転砥石1と第2の回転砥石2の間に円盤状のスペーサー3を配設し、第1の回転砥石1及び第2の回転砥石2を、2つの円盤形状のフランジ部材5で挟んだ状態で、フランジ部材5の軸穴5a、第1の回転砥石1の軸穴1c、スペーサー3の軸穴3a、第2の回転砥石2の軸穴2e、フランジ部材5の軸穴5aに、回転軸4を挿通し、ナット等の締結部材6でフランジ部材5を挟んで締結して、第1の回転砥石1と第2の回転砥石2を一体にしている。なお、第1の回転砥石1と第2の回転砥石2の間にスペーサー3を配設した理由は、面付用砥粒層2bの厚さが第2の円盤2bの厚さよりも厚い場合には、第2の回転砥石2と第1の回転砥石1との間に隙間が開いてしまうので、磁器碍管51の切断時に、第2の回転砥石2が第1の回転砥石1側に押されて変形し、磁器碍管51の切断面がずれることを防止するためである。
【0030】
面付用砥粒層2bには、第1の回転砥石1側に向かって徐々に外径が大きくなるテーパー面2cが形成されている。なお、本実施形態では、テーパー面2cは、円錐形状となっているが、テーパー面2cの形状はこれに限定されず、テーパー面2cの稜線が、外側に膨出した円弧形状や、内側に凹陥した円弧形状であるテーパー面2cであっても差し支えない。
【0031】
図1に示されるように、第2の円盤2aの板厚は、第1の円盤1aよりも厚くなっている。なお、本実施形態では、第2の円盤2aの板厚は、第1の円盤1aの板厚の約2倍となっている。
【0032】
(本発明の作用)
図2に本発明の磁器切断用回転砥石10による磁器碍管51の切断方法の説明図を示して、以下、本発明の作用について説明をする。図2の(1)に示されるように、磁器碍管51を回転させて、磁器碍管51の内面51aに回転する内面切削用回転砥石62を押し当てて、磁器碍管51の内面51aに切り込み51cを入れる。
【0033】
なお、内面切削用回転砥石62の回転方向は、磁器碍管51の回転方向と同じ方向であることが好ましい。これは、内面切削用回転砥石62の外縁の進行方向と、磁器碍管51の内面51aの進行方向を同じ方向にすることにより、内面切削用回転砥石62の外縁の速度と、磁器碍管51の内面51aの速度との速度差を小さくし、磁器碍管51の割れを防止するためである。
【0034】
次に、図2の(2)に示されるように、磁器碍管51を回転させた状態で、磁器切断用回転砥石10を、磁器碍管51の外面51dに押し当てる。すると、第1の回転砥石1の切断用砥粒層1bが磁器碍管51の外面51dを削り、磁器切断用回転砥石10が磁器碍管51の回転軸中心側に進行する。
【0035】
なお、磁器切断用回転砥石10の回転方向は、磁器碍管51の回転方向と異なる方向(例えば、磁器碍管切断用回転砥石10の回転方向が時計回りである場合に、磁器碍管51の回転方向が反時計回りにすること)であることが好ましい。これは、磁器切断用回転砥石10の外縁の進行方向と、磁器碍管51の内面51aの進行方向を同じ方向にすることにより、磁器切断用回転砥石10の外縁の速度と、磁器碍管51の外面51dの速度との速度差を小さくし、磁器碍管51の割れを防止するためである。特に、第2の回転砥石2の面付用砥粒層2bの磁器碍管51の外面51dへの接触面積は大きいため、面付時の面付用砥粒層2bと磁器碍管51の外面51dの抵抗が大きくなり、びびりが発生し、製品不良となりやすいからである。
【0036】
第2の回転砥石2の面付用砥粒層2bが、磁器碍管51の外面51dに達すると、面付用砥粒層2bが、第1の回転砥石1で切断した後の磁器碍管51の端面を面研し、面付けされる。
【0037】
第2の回転砥石2の面付用砥粒層2bが、磁器碍管51の内面51aに達すると、図2(3)に示されるように、テーパー面2cが磁器碍管51内面51aの端縁を回転軸方向外側から内側に順次除去し、磁器碍管51の端部の切断及び面付けが完了する(図2の(4)の状態)。
【0038】
図3に、面付用砥粒層2bにテーパー面2cのテーパー面2cを形成した効果の説明図を示し、以下に面付用砥粒層2bにテーパー面2cを形成した効果の説明をする。面付用砥粒層2bにテーパー面を形成しない場合には、図3の(1)に示されるように、面付用砥粒層2bの先端が磁器碍管51の内面51aに到達する直前に、磁器碍管51の内面51aに薄板状の部分51fが形成され、図3の(2)に示されるように、当該部分51fが破壊されて磁器碍管51の内面51aにカケ込み等の形状不良が発生してしまう。
【0039】
一方で、図3の(3)に示されるように、面付用砥粒層2bにテーパー面2cを形成した第2の回転砥石2で、磁器碍管51の端面に面付加工を行った場合には、図3の(4)に示されるように、テーパー面2cが、磁器碍管51内面51aの端縁51eを回転軸方向外側から内側に順次除去するので、磁器碍管51の内面51aにカケ込みが発生することなく、磁器碍管51の端面を面付することができる(図3の(5)の状態)。
【0040】
なお、磁器碍管51の内面51に内面切削用回転砥石62で切り込みを形成しなくても、本発明の磁器切断用回転砥石10を使用すれば、前述したように、磁器碍管51の内面51aに薄板状の部分51fが生成されないので、磁器碍管51を切断することは可能である。しかし、磁器碍管51の内面51aにカケ込みが発生すること完全に防止するために、磁器碍管51の内面51に内面切削用回転砥石62で切り込みを形成してから、磁器切断用回転砥石10で磁器碍管51を切断することが好ましい。
【0041】
また、内径が小さく、内面切削用回転砥石62を使用することができない磁器碍管51であっても、本発明の磁器切断用回転砥石10を使用すれば、前述したように、磁器碍管51の内面51aに薄板状の部分51fが生成されないので、磁器碍管51の内面51aにカケ込みの発生を抑制することが可能となる。
【0042】
なお、テーパー面2cと第2の円盤2bの半径方向と交差するテーパー角θを30°〜60°にすることが好ましい。テーパー面2cのテーパー角θが30°より小さい場合には、磁器碍管51の面付時に、第2の回転砥石2が磁器碍管51の端面で押されて反ってしまい、磁器碍管51の切断面がずれてしまう。一方でテーパー面2cのテーパー角θが60°より大きい場合には、面付時における磁器碍管51と第2の回転砥石2の抵抗が大きくなってしまい、びびりを防止するためには、磁器切断用回転砥石10の送り量を少なくする必要があり、切断時間が長くなってしまう。そこで、本実施形態では、テーパー面2cのテーパー角θを30°〜60°に設定している。
【0043】
図1に示されるように、第1の回転砥石1の外径αは、第2の回転砥石2の外径βよりも大きくなっている。ここでいう第2の回転砥石2の外径βとは、テーパー面2cの先端から回転軸中心までの長さをいう。切断用砥粒層1bは、磁器碍管51を切断するために消耗し易い。切断用砥粒層1b外縁位置が面付用砥粒層2bの外縁位置と同一になった場合には、面付用砥粒層2bのテーパー面2cが消耗してしまい、テーパー面2cの形状を維持できないようになってしまう。このため、本発明では、第1の回転砥石1の外径αを、第2の回転砥石2の外径βよりも大きく設定している。
【0044】
本発明では、磁器切断用回転砥石10を、第1の回転砥石1と第2の回転砥石2とから構成したので、第1の回転砥石1及び第2の回転砥石2の一方が消耗した場合には、消耗したほうの回転砥石を取り替えることができる。
【0045】
前述したように、第2の円盤2aの板厚は、第1の円盤1aよりも厚くなっている。これは、第1の回転砥石1は磁器碍管51を切断するため、切断用砥粒層1bの幅を薄くして切断性を向上させる必要がある一方で、第2の回転砥石2は、前述したように第2の回転砥石2の外縁側が、第1の回転砥石1側に押圧されて反りやすいので、第2の回転砥石2の反りを防止する必要があるからである。
【0046】
(第2の実施形態)
図4に第2の実施形態の磁器切断用回転砥石20の断面図を示し、以下説明する。図4に示されるように、第2の実施形態では、面付用砥粒層2bの外縁に、テーパー面2cと交差し接続する、磁器切断用回転砥石10の回転軸と平行な平面2dを形成している。このように、面付用砥粒層2bの外縁に平面2dを形成すると、テーパー面2cが摩耗したとしても、テーパー面2cと平面2dとの交差部2fも摩耗するので、テーパー面2cのテーパー角θが減少することなく、磁器碍管51の面付時に、第2の回転砥石2が磁器碍管51の端面で押されて反ってしまうことを防止し、磁器碍管51の切断面がずれることを防止することが可能となる。
【0047】
(総括)
以上、磁器碍管51の切断について本発明を説明したが、本発明の磁器切断用回転砥石10は、磁器碍管51に限らず、他の磁器の切断にも使用することができることは言うまでもない。
【0048】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う磁器切断用回転砥石もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態を示す回転砥石の断面図である。(第1の実施形態)
【図2】本発明の磁器切断用回転砥石による磁器碍管の切断方法の説明図である。
【図3】面付用砥粒層にテーパー面を形成した効果の説明図である。
【図4】第2の実施形態の磁器切断用回転砥石の断面図である。
【図5】焼成後の磁器碍管の形状を表した説明図である。
【図6】磁器碍管の切断時の問題を表した説明図である。
【図7】従来の磁器碍管の切断方法の説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1 第1の回転砥石
1a 第1の円盤
1b 切断用砥粒層
1c 軸穴
2 第2の回転砥石
2a 第2の円盤
2b 面付用砥粒層
2c テーパー面
2d 平面
2e 軸穴
2f テーパー面と平面との交差部
3 スペーサー
4 回転軸
5 フランジ部材
5a 軸穴
6 締結部材
10 磁器切断用回転砥石(第1の実施形態)
20 磁器切断用回転砥石(第2の実施形態)
51 磁器碍管
51a 内面
51b 段差
51c 切り込み
51d 外面
51e 端縁
51f 薄板状の部分
51g 変形防止部
51h 吊り下げ用支持部
61 回転砥石
62 内面切削用回転砥石
63 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤の外周に砥粒層を形成した磁器切断用回転砥石であって、
第1の円盤の外周に切断用砥粒層が形成された第1の回転砥石と、
第2の円盤の外周に面付用砥粒層が形成され、前記第1の回転砥石と重ね合わさせて配設された第2の回転砥石とから構成したことを特徴とする磁器切断用回転砥石。
【請求項2】
第2の回転砥石の外径を、第1の回転砥石の外径よりも小さくしたことを特徴とする請求項1に記載の磁器切断用回転砥石。
【請求項3】
第2の回転砥石の面付用砥粒層に、第1の回転砥石側に向かって徐々に外径が大きくなるテーパー面を形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の磁器切断用回転砥石。
【請求項4】
面付用砥粒層の外縁に、テーパー面と交差し接続する、回転軸に対して平行な平面を形成したことを特徴とする請求項3に記載の磁器切断用回転砥石。
【請求項5】
テーパー面と第2の円盤の半径方向と交差するテーパー角を30°〜60°に設定したことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の磁器切断用回転砥石。
【請求項6】
第1の回転砥石と第2の回転砥石の間にスペーサーを配設したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の磁器切断用回転砥石。
【請求項7】
第2の円盤の厚さを、第1の円盤の厚さよりも厚くしたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の磁器切断用回転砥石。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−82730(P2010−82730A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253034(P2008−253034)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】