説明

磁場勾配センサ用の構造及びそれの集積技術での製造方法

本発明は、磁場の成分Hのz方向の勾配又はn次の導関数(nは1よりも大きい)を測定する方法に関する。ここで、その成分は、y方向において少なくとも局所的に不変である。本方法は、a)N(N>n+1)個の基本磁場センサを、その各センサが、隣接するセンサに対してy軸に沿って距離Tだけ及びz軸に沿って距離Δzだけずらされるように配置するステップと、b)N個のセンサのそれぞれによって磁場を測定するステップと、c) b)ステップにおいて得られる磁場の測定値の関数として、所望の勾配又は所望のn次の導関数を計算するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁場(励起H又は誘導B)の成分の勾配を測定するためのデバイス、その勾配を測定するための方法、そのデバイスを製造するための方法に関する。このようなデバイスは、集積させて製造可能である。
【0002】
本発明は、特に糸状導体中の電流を測定するのに適用される。
【背景技術】
【0003】
特許文献1から、磁場のn次の導関数の測定を行い、導体中の電流を測定するための方法が知られている。本方法は、特に寄生導体によって生じる乱れを減少させることができる。
【0004】
図1に示されるxyzを、測定を行いたい点Mを中心とした正規直交系として、yが導体1の軸に平行である(また平面yMZ内にある)とする。z軸は、Mを通る導体に垂直な半径と同一直線上にあり、xは、Mを通る円Cの接線であり、その円の軸は導体である。導体1を流れる電流iによって生じる磁場Hは、x軸に沿い、Hの勾配はz軸に沿う。電流iによって生じる磁場Hの勾配(導体1からの距離rの関数として1/rで低下する)、又は、高次の導関数(rの関数としてより急激に低下する)を測定すると、電流iに戻すことができる。この方法は、ノイズの多い環境(例えば電気キャビネット)において、外部の乱れをより良く排除することを可能にして、磁場H(1/rで低下する)の直接測定が可能になる。従って、導体C1の電流i1の測定が、(乱れとなる)導体C2、C3…Cn(電流i2、i3…inが流れている)の存在下において、近距離において、導体によって生じる磁場Hの成分Hの勾配(又は、同じ成分の1次よりも高次の導関数)の測定によって、磁場Hの直接測定よりも簡単に行える。従って、乱れとなる導体によって生じる測定サイズに対する寄与は非常に低い一方で、主な導体C1によって生じるものは可能な限り強くなると考えられる。
【0005】
この方法の実施にはいくつかの問題がある。
【0006】
信号を最大化するためには、測定を行いたい導体に非常に近づけてセンサ(N−1次の導関数に対してはN個のセンサ)を配置することが有利である。そうすると、可能な限り導体1からこれらのセンサを離隔する距離、並びに、センサを互いに離隔する距離の減少という問題が生じる。
【0007】
従って、電流を効果的且つ正確に測定するため、導体1に可能な限り近い点において(導体1の中心からの距離rにおいて)、測定を行うことが望ましい。また、可能であれば、センサ間の距離がrよりも小さい(rについて小さい)場合に、磁場の導関数を正確に正確することが望ましい。
【0008】
一つの解決策はセンサを小型化することである。しかしながら、特許文献2の図5の構成のように、センサを小型化する場合、その環境(特にパッケージング)によって、最小寸法が制限されて、厄介な場合がある。
【0009】
従って、センサ間の距離dを減少させることが困難な特定の場合が存在する。
【0010】
また、このタイプの測定に対して、指向性の高いセンサ(マイクロフラックスゲート、磁気インピーダンス、フラックスガイドを備えた磁気抵抗等)が使用可能であることが有利である。しかしながら、センサが近過ぎる場合、これらのセンサの磁気回路が乱しあって、測定精度が悪くなる。
【0011】
また、勾配の正確な測定は、互いに関するセンサの位置がよく分かっていることを要求する。更に、センサの指向性が高い場合(ノイズの無い測定を行うのに有利である)、センサは互いに平行でなければならず、これは、特にセンサが小型である場合、離散的なセンサで達成するのに細心の注意を要する。
【0012】
他の問題は、産業環境において勾配センサを使用する際に生じる。この場合、センサを磁気遮蔽体の内側で使用しなければならないことがあるが、これには、乱れとなる磁場を低下させる利点がある一方、その間近において比較的顕著な磁場勾配を生じさせるという欠点もある。そうすると、勾配センサを構成する複数の基本センサのうち一つが、測定の乱れを生じさせ得る遮蔽体に近づき過ぎることを防止するのに十分なだけ勾配センサを小型にしなければならないという問題が生じる。
【0013】
また、集積技術で(例えば、マイクロエレクトロニクス、マイクロテクノロジー又はナノテクノロジーで用いられるタイプの機械で)製造可能なセンサ構造を可能にしなければならないという問題が生じる
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第03/044541号
【特許文献2】米国特許第6154023号明細書
【特許文献3】仏国特許発明第2860594号明細書
【特許文献4】仏国特許発明第2900735号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
以下、“勾配”とは、磁場(一般的にH)の成分(ここではx)のn=1次の空間微分ベクトルのことを称する。
【0016】
本発明は、第一に、y方向(x、y、z方向は互い垂直である)において少なくとも局所的に不変である磁場の成分Hxのz又はx方向のn次の導関数(n≧1)を測定するための方法に関する。
【0017】
本発明は、特に、磁場の(x方向の)成分Hのz又はx方向の勾配又はn次の導関数(n≧1)を測定するための方法に関し、その成分は、y方向において少なくとも局所的に不変であり、x、y及びz方向は互いに垂直である。
【0018】
本方法は、
a)磁場の成分がy方向において不変である領域に、N個(N>1)の基本磁場センサを、その前後のセンサに対して、又はその最近接のセンサに対して、
* y軸に沿って距離(ずれ)Tだけ、
* z軸に沿って距離Δzだけずらして配置するステップ(磁場がy軸に沿って配置された導体を流れる電流によって生じる場合であり、Δzはy軸に対するセンサのずれである)と、
b)N個のセンサのそれぞれによって磁場を測定するステップと、
c) b)ステップで得られた磁場の測定値の関数として、勾配又はN−1以下であるn次の導関数の値を計算するステップと、を含む。
【0019】
本発明は、隣接する基本センサ(前及び/又は後ろ)に対して一つの基本センサを距離(ずれ)Tだけ調節することによって、隣接する基本センサの磁気的部分が近いことによって生じる乱れを低減することを可能にする。
【0020】
好ましくは、距離Tは、隣接する基本センサ相互の乱れを低くするようにされる。
【0021】
本発明は、磁場の測定される成分が、勾配を測定したいz方向に対して垂直であるy方向において不変である(少なくとも短距離にわたって)場合に、測定を行うことを可能にする。
【0022】
本発明は、センサから、磁場の成分Hの勾配、又はN−1以下であるn次の導関数を測定することを可能にするが、これは、特に、センサの指向性が高い、つまり、磁場の成分の測定に強い選択性を有する場合であり、また、これらの磁場センサが、磁気回路又はフローガイドを有する場合であり、例えばマイクロフラックスゲート、磁気抵抗、磁気インピーダンスセンサ等があげられる。
【0023】
本発明は、特に、電気ワイヤ中の電流の測定を、そのワイヤ付近に位置する磁場センサによって行うことに応用可能である。実際に、その特性として、y軸に沿って円筒状の磁場分布が存在するので、y方向に向いた直線状の糸状導体によって生じる磁場は、実際にy方向に沿って不変である。
【0024】
従って、本発明は、y軸に沿って配置された導線中の電流測定方法にも関する。本方法は、
‐ 上述の本法による測定方法を行なうステップと、
‐ 電流を計算するステップと、を含む。
【0025】
また、本発明は、磁場の成分Hのz又はx方向の勾配又はn次の導関数(n>1)を測定するためのデバイスにも関し、その成分はy方向(x、y及びz方向は互いに垂直である)において少なくとも局所的に不変である。本デバイスは、
‐ 磁場の成分がy方向において不変である領域に配置されたN個(N>n)の基本磁場センサであって、各センサが、その最近接の(その前後の)センサに対して、
* y軸に沿って距離Tだけ、
* 勾配又はn次の導関数のz成分の測定用にz軸に沿って距離Δz、又は、勾配又はn次の導関数のx成分の測定用にx軸に沿って距離Δxだけずらされている、基本磁場センサと、
‐ これらのセンサを用いて得られる磁場の測定値の関数(例えば微分)として、所望の勾配の値、又は所望のn次の導関数(n≧1)の値を計算するための手段と、を含む。
【0026】
好ましくは、距離Tは、隣接するセンサ間の相互の乱れが低くなるようにされる。
【0027】
従って、本発明は、磁場の測定又はその勾配の測定を可能にするためのN個の基本磁場センサを含むデバイスにも関し、それらN個のセンサは、測定される勾配(及び有利にはその導関数)が少なくとも局所的に変化しないy方向に沿って分布している。
【0028】
本発明による方法又はデバイスにおいて、点M(x、y、z)における磁場Hのx成分の勾配のz成分の測定が、本発明に従って、点M(x、y、z)及び点M’(x、y+T、z+Δz)においてHを測定し、次に、
grad=(H(x,y+T,z+Δz)−H(x,y,z))/Δz
を計算することによって、行なうことができる。
【0029】
他の式では、より高次の導関数が得られる。
【0030】
本発明による方法又はデバイスにおいては、センサーは、
‐ マイクロセンサーであり得て、
‐ 共有基板上に集積され得て、
‐ y軸に対して角度αを成す軸(AA’)に沿って整列され得て、
‐ マイクロフラックスゲート若しくは磁気抵抗(特に、AMR(異方性磁気抵抗)、GMR(巨大磁気抵抗)又はTMR(トンネル磁気抵抗))又は磁気インピーダンスタイプのものであり得る。
【0031】
本発明によるデバイスのセンサは、有利には、同一の基板の上に配置、又は形成され、その同一の基板は例えば、シリコン製であり、絶縁層で覆われ得る。
【0032】
本発明によるデバイスは、集積的な製造方法、例えば、マイクロ・ナノテクノロジー(又はマイクロエレクトロニクス、薄磁気層)によって製造可能であり、更に、基本センサが全て同一の基板(好ましくは絶縁層がシリコン基板を覆う)上に形成される場合には、
‐ 同一のデバイスの各基本センサは、基板に対して異なるサイド上にその磁気コアを有するか、又は、
‐ 同一のデバイスの各基本センサは、基板に対して同一のサイド上にその磁気コアを有し、デバイスの支持体の平面(有利には基板のカットアウト)は、磁場又はその磁場のn次の導関数の測定に用いられている間、y軸と角度αを成すように配置されている。
【0033】
また、本発明は、本発明によるデバイスを製造するための方法にも関する。
【0034】
本発明によるデバイスは、遮蔽体(センサから離れて配置されている)を含み得る。
【0035】
本発明による方法及びデバイスにおいては、距離Tは、所定の精度pでの測定を行うことができるように決定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】正規直交系Mxyz、並びに、電流iが流れる糸状の線形導体1によって生じる磁場ベクトルHを示す。
【図2】本発明によるセンサの実施形態を示す。
【図3】本発明によるセンサの他の実施形態を示す。
【図4】本発明によるセンサの更に他の実施形態を示す。
【図5】本発明によるセンサ及びデータ処理手段を含む本発明によるシステムを示す。
【図6A】本発明による遮蔽体を備えたデバイスの構成を示す。
【図6B】従来技術による遮蔽体を備えたデバイスの構成を示す。
【図7A】本発明による二つの基本センサの一つの軸に沿った断面図を示す。
【図7B】本発明による二つの基本センサの一つの軸に沿った断面図を示す。
【図8】xyz座標における二つの基本センサの配置を示す。
【図9A】本発明による3つの基本センサの構成を示す。
【図9B】本発明による3つの基本センサの構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、マクロなセンサ並びに小型化/集積化センサに使用可能である。しかしながら、特に、マイクロテクノロジーで開発されるタイプのセンサの実施により良く適合する。
【0038】
図2は、本発明の第一実施形態を示す。
【0039】
図2では、導体1は、座標系OxyzのOy方向に沿っている。導体1を流れる電流iは、周囲の空間に磁場Hを発生させ、この磁場は選択された座標系において成分H、H、Hを有する。
【0040】
図2の基本センサ2、4、6は、N=3個のセンサの場合を例示し、最大でn=N−1=2次の導関数を測定することができる。有利には、各基本センサは、例えばマイクロフラックスゲート磁気計として選択可能であり、そのマイクロフラックスゲート磁気計は、1つ又は2つのコアを備え、x軸に沿っていて、その厚さがz軸に沿っている。
【0041】
本発明によるこの構造は、2つの基本センサ(例えばセンサ2、4)を用いて、z又はx方向に沿った磁場Hの成分(ここではH)の勾配、dH/dz、dH/dxを測定することができる。また、図示される三つの基本センサ2、4、6を用いて、z又はxに沿ったHの二次の導関数、d/dz又はd/dxを測定することができる。
【0042】
そのため、磁場Hの成分H、つまりはその最大n次の導関数が、勾配を測定したいz方向に垂直なy方向に沿って、少なくとも短距離dにわたって不変であるとする。
この距離dの領域の導体周りの特定の体積中で選択された点(x,y,z)及び(x,y,z)の任意のペアに対して:
(x,y,z)=H(x,y,z)
また、
dH/dz(x,y,z)=dH(x,y,z)/dx
【0043】
勾配dH/dz若しくはdH/dx又は二次若しくはn次の導関数の測定は、後述の式を適用することによって行なうことができる。
【0044】
y軸に沿って円筒状の磁場分布が存在しているので、y方向に向いた直線状の糸状導体1によって生じる磁場は、実際、yに沿って不変である。従って、図2、図3、図4に示されるような直線状導体は、yに沿った磁場の不変条件を満たすことができる。
【0045】
の値は、実際には、y方向に沿ってデバイスの長さLよりも大きい。例えば、図2に示されるような、それぞれy方向の長さが略1mmである三つの基本マイクロセンサを含むデバイスにとって、Lは実質的に2mmから5mmの間である一方、dは3mm又は10mmよりも大きい。
【0046】
縦方向の長さL(L<di)に対する同一の条件は、図3及び図4の他の実施形態のデバイスにも適用可能である。
【0047】
図2では、三つの基本センサ2、4、6がyz平面内に示されていて、1次又は2次の導関数を測定することができる。しかしながら、基本センサの数はNに一般化可能であり、磁場の成分HのN−1次以下のzに沿った導関数を測定することができる。基本センサ2,4のみを備えたデバイスは、勾配のみを測定することができる。
【0048】
各基本センサ2、4、6の磁気回路は、x軸に平行に位置付けられる。各磁気回路のy軸上の射影は、隣接するセンサの磁気回路のy軸上の射影を部分的にも覆わない。実際には、各センサは、隣接するセンサに対してyに沿って距離Tだけずらされている。この距離Tは、隣接する基本センサ同士が乱しあわないように選択されることが好ましい。Tを決定する方法については後述する。また、Tは、y軸に沿った二つの連続する基本センサ間の並進ベクトルのピッチでもある。
【0049】
更に、二つの隣接する回路は、yz平面において、z軸に沿って、距離Δz(好ましくはzに対して小さい、例えばΔz/z<1%又は5%)だけずらされている。しかしながら、本発明にとって、比Δz/zの値は、10%から50%の間でも許容可能である。
【0050】
例えば、z≒1mm又は2mmの場合、Δzは数十μm程度に選択されることが好ましい。
【0051】
同一の条件は、Δx及びΔx/xに対しても有効である。
【0052】
図2のセンサは、2個又は3個(又はN>3個)の異なる集積回路上に取り付け可能である。
【0053】
代わりに、センサを同一の集積回路上に取り付けることには、他のセンサに対する一つのセンサの正確な配置及びそれらの平行性に関する問題を解消するという追加の利点があり、基本センサが、それらのセンサが取り付けられる平面内で予め位置決めされる。センサがマイクロセンサであり、同一の集積回路上に形成される場合、その精度は少なくともフォトリソグラフィのものである。従って、センサは、他の配置又はマイクロ配置方法によるものよりもはるかに正確に位置決めされる。
【0054】
次に、図3は、シリコンチップ400上に形成された勾配センサの例を示す。二つの基本センサ12、14が実装されている。ここでは、特許文献3又は特許文献4に記載されているように、各センサは、マイクロフラックスゲートタイプのものであり、二つの磁気コアを備える。しかしながら、単一の磁気コアを備えた二つのマイクロフラックスゲートセンサを使用することや、それぞれ二つ又は単一の磁気コアを備えたN個(N>2)のマイクロフラックスゲートセンサを使用することも可能である。図3(デュアル磁気コアセンサ)の場合、第一のセンサのコア23、25は、導体1から距離zに位置し、第二のセンサのコア27、29は導体1から距離zに位置する。
【0055】
磁気コアの長さ方向は、図1〜図3の紙面に垂直なx軸(電流iが流れる導体によって生じる力線Hの軸)に沿っている。
【0056】
図3の断面図には、コアを取り囲むボックス22、24、26、28によって、ソレノイド導電コイルが示されている。これらのコイルは、基本センサのセットに対してチップ全体の上に一般的な方法で形成可能であり(図3に示されるように)、磁気コアのずれΔz=z−zが、二つの所望の距離において磁場を取得して勾配を計算することを可能にする。
【0057】
第一の基本センサのコアを形成した後であって、第二の基本センサのコアを堆積させる前に、厚さΔzの絶縁層(例えばSiO)を堆積させることによって、数μmのずれΔz=z−zを簡単に生じさせることができる。また、厚い絶縁層を堆積させて、第一の基本センサの位置と第二の基本センサの位置とにおいて二つの異なる深さでその絶縁層を選択的にエッチングすることもできる。
【0058】
距離T(基本センサの“ピッチ”)は、チップ上で二つの基本センサを離隔する。図3のセンサの分布は、この条件に合致することができる。センサ12がセンサ14から距離Tに位置することによって、y軸に沿って覆わないという条件に合致している。
【0059】
図4を用いて、更に他の実施形態を説明する。
【0060】
N個の基本センサ(図4の場合N=3)が、共通軸AA’に沿って整列されている。それらの磁気回路はx軸に沿っている。軸AA’に沿って、二つの隣接するセンサ間のずれの条件は一致していて、互いに邪魔しあわない(ピッチpはこの条件を満たしているとする)。
【0061】
軸AA’は、二つの連続する基本センサ間の所望のずれΔz=p・sin(α)(又は、T=p・cos(α))を有するのに十分な角度αで、導体1に対して傾いている。この角度αは、角度αによって各基本センサの測定が乱されないように十分に小さいことが好ましく、典型的には、1°から15°の間である。
【0062】
本実施形態は、同一の基板上に又は同一のチップ上に個々の基本センサを製造することに適合している。実際、本実施形態では、導体1のy軸に対してセンサのセットを傾けることによって、簡単にずれΔz=z−zを生じさせることができる。後述の実施形態では、磁気層がチップ上の同一レベルに堆積されて、基本センサが、軸AA’上のピッチpでずらされる。ずれΔzは、導体の軸に対してチップを傾けることによるものである。
【0063】
図2〜図4のデバイスからそれぞれ、yz平面に配置されたセンサの点における磁場Hのx成分の勾配のz成分を測定することができる。y軸周りにデバイスを90°回転させることによって、yx平面に配置されたセンサの点における磁場Hのz成分の勾配のx成分を測定することができる。
【0064】
また、図2、図3、図4に示されるようにz軸に沿って行なう代わりに、x軸に沿ったピッチΔxで基本センサをずらすことによって、Hの勾配のx方向に沿った成分や、その高次の導関数を測定することもできる。そして、一定のz座標の同一平面内において、例えば“マイクロフラックスゲート”センサで本発明による測定を行うことができる。ここで、基本センサは、x軸に沿ったコアを有し、各コアは、その前及び/又は後ろのコアについて、x軸に対してΔx、y軸に沿ってTずらされている。
【0065】
次に、図9Aは、導体1の上方に位置するz=一定の平面内の三つのセンサの場合を示す。三つの基本センサ2、4、6は、平面xOy内に配置されていて、y軸に対してずれT、x軸に対してずれΔxを有する。図9Bは、三つのセンサの場合を示し、このアセンブリは導体1の上方に中心がある。
【0066】
図5は、本発明によるデバイス及びデータ処理手段を示す。
【0067】
図5では、図示される二つのセンサ12、14には、これらをまとめる手段35(例えば、フィルタ及びデータ処理手段、場合によっては増幅手段)が設けられている。二つのセンサは図3のものであるが、ここで説明されるデータ処理手段は、本願で説明されるあらゆる構成に適用可能である。
【0068】
図5は、センサによる測定の結果である勾配データを処理するのに適合するように構成されているマイクロコンピュータ45を示す。
【0069】
このマイクロコンピュータ45は、全ての電子部品、ソフトウェア等を備えた計算部分を含み、所望の処理を行うことができる。
【0070】
従って、例えば、システム45は、フロントサイドバスに結合されたプログラム可能プロセッサ、メモリ、入力周辺機器、例えばハードドライブを含む。プロセッサは、例えばマイクロプロセッサであり得る。磁気測定データから計算するための本発明による処理アルゴリズムは、メモリに記憶可能な命令を含み、本発明によるいずれかの実施形態による処理を実行することができる。
【0071】
ASICは、手段35,45によって行なわれる全ての機能を行う。
【0072】
本発明による方法を行なうプログラムは、コンピュータシステム又はマイクロコンピュータ45によって読み取り可能な媒体(例えば、フレキシブルディスク、CD ROM、DVD ROM、リムーバブルハードドライブ、磁気媒体)に存在しているか、書き込まれている。
【0073】
また、マイクロコンピュータ45は、他の周辺機器に接続可能である。計算結果のデータ及び画像をモニタ47に表示することができる。
【0074】
点M(x,y,z)の磁場Hのx成分の勾配のz(又はx)成分の測定を、点M(x,y,z)及びM’(x,y+T,z+Δz)(又は(x+Δx,y+T,z))の測定から、以下の量を計算することによって得ることができる:
grad
(H(x,y+T,z+Δz)−H(x,y,z))/Δz (1)
【0075】
この式は、以下の従来技術の式と異なる:
grad≒(H(x,y,z+Δz)−H(x,y,z))/Δz
【0076】
xに沿った勾配については、以下の式が得られる:
grad≒(H(x+Δx,y+T,z)−H(x,y,z))/Δx
【0077】
2次の導関数は以下の式によって得られる:
(2)(H)/dz≒[H(x,y+2T,z+2Δz)
−2H(x,y+T,z+Δz)+H(x,y,z)]×(1/Δz
【0078】
xに沿った2次の導関数については、以下の式が得られる:
(2)(H)/dx≒[H(x+2Δx,y+2T,z)
−2H(x+Δx,y+T,z)+H(x,y,z)]×(1/Δx
【0079】
より一般的には、n次の導関数は、n−1次の導関数から以下の式を用いて計算可能である:
【数1】

【0080】
より一般的な場合、近似式を用いて、このタイプのd(n)(H)/dz(又はd(n)(H)/dx)を計算することができる:
【数2】

ここで、ベクトルt(x,y,z)は測定を中心に戻し、係数αはΔz(又はΔx)に依存する。
【0081】
本発明によると、導関数は、以下のように計算される:
【数3】

【0082】
このデバイスを用いて、導体1を流れる電流iを計算することもできる。勾配の測定から、以下のように電流が得られる:
i=−2ΠzdH/dz
又は、i≒−2(Π/x)rdH/dx,(r=(x+z1/2
【0083】
より一般的には、n=2次の導関数から、
i=Πz(2)/dz(2)
若しくは、i=2Π[r/(3(x/r)−1)]d/dx
又は、n>2次の導関数から、
i=(−1)(2Π/n!)zn+1(n)/dz(n)
と得られる。
【0084】
所望の次数を上述の式から導出することができる。
【0085】
代わりに、信号の処理回路(例えばASIC型)を、本発明によるデバイスとして同一のチップ上に形成することができる。この場合、チップは、上述の信号の処理機能の全て又は一部を集約する。
【0086】
本発明によるデバイスは、何らかの遮蔽体の存在により良く耐えることができる。
【0087】
図6Aでは、本発明のいずれかの実施形態に従って、二つのセンサ2、4が導体1の近くに配置されている。このアセンブリは遮蔽体50によって囲まれている。遮蔽体50に最近接のセンサ4は、遮蔽体50から距離Dに位置する。
【0088】
図6Bは、使用されているセンサについてのみ図6Aと相違する。図6Bは、特許文献2の構成のうち一つに従って配置された二つのセンサ2’、4’を示す。上部センサ4’(遮蔽体50に最近接)は、遮蔽体50から距離D’(Dよりも小さい)に位置する。従って、センサ4’は、図6Aのセンサ4よりも遮蔽体によって乱される。
【0089】
実際に、二つの連続する基本センサ2、4の間の1μmから数百μmのずれΔzを備えて本発明によるデバイスを完全に形成することができる。こうした寸法は、遮蔽体50から十分に離してセンサを配置するのに十分なものであり(典型的には数mmから数cm)、遮蔽体によって、センサが乱されない、又は可能な限り乱され難くなる。互いに積層された二つのセンサでの勾配測定の従来の場合(図6B)では、基本センサを離隔する距離を、限られた空間内で、一mm(各センサに設けられた“パッケージング”の厚さとする)未満にすることが難しく、最も外側の基本センサ4’が、本発明の場合(図6A)よりも遮蔽体50に近づく。
【0090】
本発明では、少なくとも二つの非常に近い位置M及びMにおいて磁場Hの二つの値Hx1及びHx2を測定することによって、磁場Hの成分(例えばx)の勾配を測定することができる。磁場Hx1を測定するセンサの磁気回路の存在は、磁場Hx2の測定を乱さず、同様に、磁場Hx2を測定する磁気回路の存在は、磁場Hx1の測定を乱さない。
【0091】
また、磁場の成分のより大きなn次の導関数の一方向(例えばz)において測定を行うこともでき、2=d(2)(H)/dzの次数、3=d(3)(H)/dzの次数等である。ここで、本発明に従って配置されたN個(N>1)のセンサによって、最大N−1次の導関数を計算できることを思い出されたい。
【0092】
本発明によるデバイスのセンサは、薄層で形成可能である。図7A及び図7Bは、二つの基本センサ2、4(それぞれデュアルコアマイクロフラックスゲート型である)を備えたこのようなデバイスの一部の軸BB’及びCC’に沿った断面図を示す。図7A及び図7Bの余白の正規直交座標系は、それぞれx、y及びz軸の方向を示す。図8は、座標系Oxyzに対する二つの基本センサの位置をダイヤグラムで示し、図7A及び図7Bの切断面BB’及びCC’が接続ビアの箇所において導体を横切る。
【0093】
これらの図面の構造は、N個(N>2)のセンサに一般化可能である。
【0094】
ここでは、二つの基本センサはそれぞれ、薄層の積層体から形成されている。下部絶縁層401は、SiO等又は感光性ポリマー等の絶縁体ベースで、例えば厚さ1マイクロメートルから10マイクロメートル(例えば5マイクロメートル)であり、例えばシリコンベースの基板400の上に存在している。基板400は、二つのセンサによって最初から共有可能なので、図7A及び図7Bにおいて特定の参照符号は同一である。下部絶縁層401は、磁場コイル121、121’及び検出コイル111、111’の下部402、402’を含む。各センサにおいて、検出コイル及び磁場コイルは重畳又は離隔され得る。コイル下部402、402’は、y軸に実質的に平行且つ基板400の主面に平行な方向に延伸する導線の形状であるとする。また、コイル下部402、402’は、この例では矩形である。更に、コイル下部402、402’は、金属ベース(例えば銅、アルミニウム、金)で形成可能である。
【0095】
第一の誘電体層403、403’(例えばSiOベース)は、下部絶縁層401の上に存在する。層403の厚さeは、層403’の厚さe’と異なり、ここではe<e’である。二つの厚さの差は、導体1に対する図2又は図3の距離のずれΔzである(この導体がOy方向に沿って配置されている場合)。これら二つの厚さはそれぞれ、例えば1マイクロメートルから10マイクロメートルの間であり得る。
【0096】
各誘電体層403、403’は、その下に位置するコイル121、121’及び111、111’の下部402、402’と、その上に位置する誘電体層404に含まれる磁気コア101、101’との間に挿入される。従って、磁気コア101、101’及びコイルの下部402、402’が絶縁される。
【0097】
各磁気コア101、101’は、Lで示される長さにわたってx軸に平行な方向に延伸する。磁気コアは、磁性体ベースで形成可能であり、軟磁性体、アモルファス磁性体、鉄及びニッケルベースの合金等の合金(NiFe、パーマロイを、物理気相堆積法(PVD,physical vapor deposition)又は電着によって堆積させることができる)が挙げられる。各コアは、単一の層又は異なる物質の複数の層の積層体で形成可能であり、例えば500ナノメートルから20μm(例えば2μm程度)の厚さを有する。
【0098】
コア101、101’を含む各層404、404’の上には、第二の誘電体層405、405’(例えばSiOベース)が存在する。
【0099】
層405の厚さeは、層405’の厚さe’の厚さと異なり、ここではe’>eであり、好ましくは、この厚さの差が、層403及び403’の間の厚さの差と逆方向にずらされて、デバイス全体は、全長に対して一定の厚さを保つ。好ましくは、実質的に、e−e’≒e’−eとなる。また、二つの厚さe及びe’の間の差は、導体1に対する図1又は図2の距離のずれΔzに近い(この導体がOy方向に沿って配置されている場合)。各層405、405’は、典型的には1μmから10μmの間の厚さを有し得る。
【0100】
第二の誘電体層405、405’は、その下に位置するコア101、101’と、その上に位置して且つ誘電体層404、405’上に位置する層406内に挿入されているコイル111、111’及び121、121’の上部407、407’との間の絶縁体として機能する。一方の層403、403’と他方の層405、405’との間の上述の厚さの差は、デバイス全体にわたって均一な厚さを備えた層406を有することを可能にする。
【0101】
コイル上部407、407’は、Oyに実質的に平行で且つ基板の主面に平行な方向に延伸する導線の形状であるとする。これらのコイル上部407、407’は、矩形であり、金属ベース(例えば、銅、アルミニウム、金)で形成可能である。
【0102】
層403、403’、404、404’、405、405’には穴が開けられて、コイル111、111’及び121、121’の下部402、402’及び上部407、407を接続する垂直コネクタ408、408’(例えば金属ベース)を収容する。
【0103】
垂直コネクタ408、408’によって接続されたコイル111、111’及び121、121’の下部402、402’及び上部407、407’は、螺旋状に又はコア101、101’に沿って巻いている略矩形の又は準矩形の巻きを生じさせる。
【0104】
また、接続ラグ409、409’(例えば金属ベース)も層406内に挿入されて、例えば、外部回路から多様なコイルに向かう電流又は多様なコイルから外部回路に向かう電流の経路として作用する。
【0105】
従って、基板に対して異なる距離で複数のセンサを形成するために、絶縁層403は、隣接する基本センサのコアの下よりも、一つの基本センサのコアの下でより薄くなるように形成可能である。層405に対しては逆にして、基本センサの積層体の全厚を同じにすることができる。局所的により薄い層403、405’を形成するため、例えば、厚い層を堆積させて、より薄くしたい箇所において局所的にエッチングすることができる。
【0106】
図4を参照して説明した方法で実現されるデバイスの場合、一つの基本センサと隣接するセンサの層とを異なる厚さにすることは必要ではない。この場合、図7A及び図7Bの構造は単純化されて、全ての層が、一つのセンサから次のセンサに向けて同じ厚さを有する。
【0107】
個々のセンサを形成するための方法は、特許文献3に記載されている方法から得ることができる。
【0108】
単一のセンサ用の製造方法のステップは、特許文献3の図5A〜5Gに示されているが、磁場コイルが磁気コアの端部に対して突出するという特許文献3に示される特徴は考慮しない。
【0109】
上述のように、本方法による製造中に、層403、403’、405、405’の厚さは、例えばより厚い層のエッチングによって適合され得る。
【0110】
本発明は、寄生導体によって生じる乱れを低減させることを可能にする。本発明は、外部磁場の乱れによってあまり影響を受けない磁場センサ(非接触)による電流測定に応用可能である。また、本発明は、磁場が一つの方向において不変(少なくとも局所的に)である環境での磁場の成分の他の勾配測定にも応用可能である。
【0111】
電流測定の使用分野は多数存在し、以下のものが挙げられる:
‐ 産業用建物や、住宅、輸送手段(自動車、飛行機、ボート)における電力消費の評価、
‐ その同じ環境における保護機能(回路ブレーカーの起動)、
‐ 電気エンジンの保護(その電気エンジンの高価な銅巻き線がより良い状態になり、絶縁体を劣化させて短絡を生じさせることを回避する)、
‐ 埋め込まれたケーブルの検出及び位置決め、
‐ 非破壊試験又は金属の探索において生じる電流の測定。
【0112】
後述のように、ずれTの調節は、設計段階において計算、シミュレーション、又は実験可能であり、所望のセンサに対するTの最適値を求めることができる。
【0113】
これから、磁気回路同士の相互作用を最小化するためにTを求めるための方法を説明する。ここで、距離が増大すると、相互作用が大きく減少することは分かっている。言い換えると、これは、寸法Tに対して、決定された精度で本発明による測定を行うことを可能にする方法である。
【0114】
磁場の成分Hのz軸に沿った勾配又はn次の導関数を測定したいとする。ここで、磁場の大きさのオーダが、“p%”の精度で“h”である。従って、測定に対する全許容誤差がh・p/100であり、2回の磁場測定が行われる(例えば勾配を測定するために)。各磁場測定に対して、最大で
(1/2)・h・p/100=h・p/200
に等しい誤差が許容される。
【0115】
y軸上で基本センサ間の適切なずれTを最も良く調節するために、例えば、第一の基本センサを、磁場h(この寸法決めの目的に対しては一定で生じる)を測定する箇所に配置して、そして、測定が安定化すると、この第一のセンサで磁場hの測定を行うことを続けながら、徐々に第二のセンサをy軸上で第一のセンサに近づける。第二のセンサの磁気回路が第一の回路の測定を乱すので、第二のセンサの接近中に、磁場hの測定の変化が観測される。第一のセンサによって行なわれる測定結果が、厳密値hで“h・p/200”からずれるときに、“Ty最小”のずれを二つの基本センサの間で記録することができる。そして、少なくともこの値Ty最小でずらされた基本センサを備えた本発明によるセンサ全体を十分に製造できる。
【0116】
代わりに、この値Ty最小を計算を実験的に行う代わりにデジタルシミュレーションを行い(例えば、FLUX 3DやANSYS等の有用要素法を用いて磁場を計算するソフトウェアで)、T>Ty最小のセンサを個別に又は集積的に製造するための安全係数を取る。
【0117】
N個のセンサを含む測定に対して(磁場Hのn=N−1次の導関数用の測定の場合)、N回の測定の重み付けされた和を含む計算を行う必要がある。従って、N個のセンサが存在しているが、計算式では2回の測定の線形結合を用いるので、各基本センサに対して、最大許容誤差を、h・p/(100・N)までに、更に慎重にはh・p/(100・2)までに制限することが望ましい。
【符号の説明】
【0118】
1 導体
2、4、6、12、14 基本センサ
23、25、27、29、101 磁気コア
111 検出コイル
121 磁場コイル
400 基板
401 下部絶縁層
402 コイル下部
403 第一の誘電体層
404 誘電体層
405 第二の誘電体層
406 層
407 コイル上部
408 垂直コネクタ
409 接続ラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場の成分Hのz又はx方向の勾配(n=1)又は1よりも大きなnに対するn次の導関数を測定するための方法であって、前記成分はy方向において少なくとも局所的に不変であり(x、y及びzは互いに垂直である)、
a)前記磁場の成分がy方向において不変である領域に、N個(N≧n+1)の基本磁場センサを、前後の基本磁場センサに対して、
y軸に沿って距離Tだけ、
z軸に沿って距離Δz、又はx軸に沿って距離Δxだけずらして配置するステップと、
b)前記N個の基本磁場センサのそれぞれで磁場を測定するステップと、
c)前記b)ステップで得られた磁場の測定値の関数として、前記勾配又は前記n次の導関数の値を計算するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記基本磁場センサがマイクロセンサである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基本磁場センサが共有基板(400)上に集積されている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記基本磁場センサが、y軸に対して角度αを成す軸(AA’)に沿って整列される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記角度αが1°から15°の間である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
‐ n=1であり、
grad≒(H(x,y+T,z+Δz)−H(x,y,z))/Δz
又は、
grad≒(H(x+Δx,y+T,z)−H(x,y,z))/Δx
を用いて、前記成分Hのz又はx軸に沿った勾配の成分が計算されるか、
又は、
‐ n=2であり、
(2)(H)/dz≒[H(x,y+2T,z+2Δz)
−2H(x,y+T,z+Δz)+H(x,y,z)]×(1/Δz
又は、
(2)(H)/dx≒[H(x+2Δx,y+2T,z)
−2H(x+Δx,y+T,z)+H(x,y,z)]×(1/Δx
を用いて、前記成分Hのz又はx軸に沿った2次の導関数の成分が計算されるか、
又は、
‐ n>2であり、
【数1】

を用いるか、若しくは、より一般的に、
【数2】

を用いて、前記成分Hのz又はx軸に沿ったn次の導関数の成分が計算され、
ここで、ベクトルt(x、y、z)は測定を中心に戻し、係数αはΔz又はΔxに依存する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
軸(y)に沿って配置された導線(1)の電流を測定する方法であって、
‐ 請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を行なうステップと、
‐ 電流を計算するステップと、を含み、zが前記導線に対する距離である、方法。
【請求項8】
前記電流の計算が、
i=−2ΠzdH/dz
又は、i=−2(Π/x)rdH/dx,(r=(x+z1/2
又は、n=2次の導関数から、
i=Πz(2)/dz(2)
又は、i=2Π[r/(3(x/r)−1)]d/dx
又は、n>2次の導関数から、
i=(−1)(2Π/n!)zn+1(n)/dz(n)
又は、前記式から所望の次数の導関数によって得られた式を用いて、行なわれる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基本磁場センサがそれぞれ、マイクロフラックスゲートタイプ若しくは磁気抵抗タイプのもの(特に、AMR、GMR又はTMR)又は磁気インピーダンスタイプのものである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
磁場の成分Hのz方向(又はx方向)の勾配又はn>1次の導関数を測定するためのデバイスであって、前記成分はy方向において少なくとも局所的に不変であり(x、y及びzは互いに垂直である)、
‐ 前記磁場の成分がy方向において不変である領域に配置されたN個(N≧n+1)の基本磁場センサであって、該基本磁場センサのそれぞれが、前後の基本磁場センサに対して、
y軸に沿って距離Tだけ、
z軸に沿って距離Δz、又はx軸に沿って距離Δxだけずらされている、基本磁場センサと、
‐ 前記基本磁場センサを用いて得られる磁場の測定値の関数として、所望の勾配の値を計算するための手段(45)と、を含むデバイス。
【請求項11】
前記基本磁場センサがマイクロセンサである、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記基本磁場センサが共有基板(400)上に集積されている、請求項10又は11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記基本磁場センサを囲む遮蔽手段(50)を含む請求項10から12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記基本磁場センサがそれぞれ、マイクロフラックスゲートタイプ若しくは磁気抵抗タイプのもの(特に、AMR、GMR又はTMR)又は磁気インピーダンスタイプのものである、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記距離Tが所定の最小距離Ty最小よりも大きく、前記基本磁場センサの一つによって生じる磁気的乱れが、該基本磁場センサに隣接する基本磁場センサによって行われる測定に影響を与えない、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法、又は、請求項10から14のいずれか一項に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【公表番号】特表2011−520114(P2011−520114A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507914(P2011−507914)
【出願日】平成21年5月6日(2009.5.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055483
【国際公開番号】WO2009/135878
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】