説明

磁性体の内部構造測定装置およびその方法

【課題】鋼板等の磁性体の溶接状態や内部欠陥等の内部構造を,非破壊で,かつ,表面状態の影響をなるべく受けずに内部構造を測定できる装置および方法を提供すること。
【解決手段】測定対象の磁性体である薄鋼板90,91のスポット溶接箇所92に,変動する外部磁界を印加する。ただし,薄鋼板90,91の磁化が安定するには至らない程度とする。これにより,磁化の進行度に測定対象の内部構造が敏感に反映される。これを,電流遮断後の磁化の戻り量を測定することにより検出する。さらにこれを,磁化を進展させる能力に差がある2種類の励磁パターンにて行いその差を取る。これにより,表面状態にあまり影響されずに磁性体の内部構造を適切に測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,鋼板等の磁性体の溶接状態や内部欠陥等の内部構造を測定する装置および方法に関する。さらに詳細には,対象物である磁性体を非破壊で,かつ,表面状態の影響をなるべく受けずに内部構造を測定できる装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,鋼板等の磁性体が,自動車はじめ各種の工業製品の構造材として多用されている。ここで,構造材である鋼板等は,製品としての必要から,スポット溶接されて使用される場合がある。鋼板のスポット溶接部は通常,ナゲット部と呼ばれる箇所を有している。これは,溶接時に一旦溶融してその後凝固することにより溶着した箇所である。このナゲット部の径,すなわちナゲット径は,スポット溶接の良否を示す重要な指標である。また,スポット溶接部においては通常,その表面部分が周囲に比べて少し凹んでいる。溶接時に受けた加圧のためである。
【0003】
このようなスポット溶接部など,磁性体の内部構造を非破壊で測定する従来の技術としては,特許文献1に記載されたものが挙げられる。特許文献1に記載された技術では基本的に,被測定物である磁性体への静磁界の印加により,被測定物の内部構造に関する情報を取得する。このような手法により内部構造に関する情報を取得できるのは,ナゲット部のような顕著な熱履歴を経験した箇所とそうでない箇所とでは,磁気特性が大きく異なるからである。このため,同一の条件の静磁界を印加しても,それによる被測定物の磁化の状況は,内部構造の影響を受けるのである。
【特許文献1】特許第3098193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前記した従来の技術には,次のような問題点があった。すなわち,測定結果が,内部構造ばかりでなく表面状態にも影響されてしまうのである。このため,測定結果から表面状態に起因する部分を除去して純粋に内部構造に起因する部分を取り出すことが難しい。特許文献1では,表面形状とナゲット径と等を分離して別々に測定できると述べているが,そこにおけるナゲット径の測定にしても,表面形状の影響自体は排除しがたい。
【0005】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,鋼板等の磁性体の溶接状態や内部欠陥等の内部構造を,非破壊で,かつ,表面状態の影響をなるべく受けずに内部構造を測定できる装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決を目的としてなされた本発明に係る磁性体の内部構造測定装置は,測定対象の磁性体に印加する磁界を発生する励磁コイルと,励磁コイルにより測定対象の磁性体に印加される磁界の経路に配置された磁気検出センサと,励磁コイルに電流を印加する電流印加部と,磁気検出センサの出力を取得するセンサ出力取得部とを有する装置であって,電流印加部は,励磁コイルに,第1の励磁パターンに従って時間とともに変化する電流を印加して,その後に電流を遮断するとともに,励磁コイルに,第1の励磁パターンによる印加電流が遮断された後に,第1の励磁パターンとは異なる第2の励磁パターンに従って時間とともに変化する電流を印加して,その後に電流を遮断するものであり,センサ出力取得部は,第1の励磁パターンによる印加電流が遮断されるときの磁気検出センサの出力を取得するとともに,第2の励磁パターンによる印加電流が遮断されるときの磁気検出センサの出力を取得するものであり,第1および第2の励磁パターンの少なくとも一方が,電流の遮断時に至っても測定対象の磁性体の磁化の程度を安定させるに至らないパターンであるものである。なお,内部構造とは,機械的な構造の他,磁気的性質や化学組成,結晶組織の場所による相違を含む。
【0007】
また,本発明に係る磁性体の内部構造測定方法は,測定対象の磁性体に印加する磁界を発生する励磁コイルと,励磁コイルにより測定対象の磁性体に印加される磁界の経路に配置された磁気検出センサとを用いて行われる。すなわち,励磁コイルに,第1の励磁パターンに従って時間とともに変化する電流を印加して,その後に電流を遮断するとともに,電流が遮断されるときの磁気検出センサの出力を取得し,励磁コイルに,第1の励磁パターンによる印加電流が遮断された後に,第1の励磁パターンとは異なる第2の励磁パターンに従って時間とともに変化する電流を印加して,その後に電流を遮断するとともに,電流が遮断されるときの磁気検出センサの出力を取得する。ここで,第1および第2の励磁パターンの少なくとも一方として,電流の遮断時に至っても測定対象の磁性体の磁化の程度を安定させるに至らないパターンを用いる。
【0008】
本発明においては,第1または第2の励磁パターンにより,変動する磁界を測定対象の磁性体に印加する。これにより,測定対象の磁性体の磁化を進展させる。このときの磁化の進展の程度は,測定対象の内部構造に左右される。すなわち,磁化されやすい組織を多く含む構造であれば,磁化の進展の程度は大きい。一方,磁化されにくい組織を多く含む構造であれば,磁化の進展の程度は小さい。しかも,この違いはかなり敏感に現れる。第1および第2の励磁パターンの少なくとも一方が,電流の遮断時に至っても測定対象の磁性体の磁化の程度を安定させるに至らないパターンだからである。
【0009】
また当然,第1および第2の励磁パターンの,対象物を磁化させる能力にも左右される。励磁パターンによる違いは,特に,測定対象が,磁化されにくい組織を多く含む構造である場合に顕著に表れる。これに対し,磁化されやすい組織を多く含む構造である場合には,励磁パターンによる違いはさほど現れない。このため,第1および第2の励磁パターンによる磁化の進展度合の差は,測定対象の磁化のされやすさを表していると言える。そこで,両励磁パターンによる電流を遮断したときの磁気検出センサの出力をそれぞれ取得する。これにより磁化の戻り量を測定できる。よって,両励磁パターン後の戻り量を対比することで,測定対象が内部に,磁化されにくい組織を多く含むか少ししか含まないかを測定できるのである。
【0010】
本発明で主として測定対象とするのは,鋼板のスポット溶接箇所である。この場合,第1の励磁パターンの電流印加後の遮断時の磁気検出センサの出力と,第2の励磁パターンの電流印加後の遮断時の前記磁気検出センサの出力との差により,スポット溶接箇所のナゲット形成状況を測定することができる。
【0011】
ここにおいて,第1の励磁パターンの好ましい例として,パターン初期からパターン終期まで電流値を増加させ続けるパターンが挙げられる。その場合の第2の励磁パターンの好ましい例として,第1の励磁パターンの後半にパルスを付加したパターンが挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば,鋼板等の磁性体の溶接状態や内部欠陥等の内部構造を,非破壊で,かつ,表面状態の影響をなるべく受けずに内部構造を測定できる装置および方法を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下,本発明を具体化した最良の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,2枚の薄鋼板を重ね合わせてスポット溶接により接合した接合部の内部構造を測定する測定装置およびその測定装置による測定方法として,本発明を具体化したものである。
【0014】
本形態に係る内部構造測定装置は,図1に示すように構成されている。図1の内部構造測定装置は,鉄心21と,鉄心21に巻回された励磁コイル22と,鉄心21の一方の磁極11の面上に配置された磁気センサアレイ3とを有している。磁気センサアレイ3は,多数のコイルを2次元的に配置したものである。個々のコイルが,当該箇所における磁界強度の変化率に比例する電流を出力するようになっている。すなわち,磁気センサアレイ3は位置分解能を有している。本形態の内部構造測定装置はさらに,励磁コイル22に電流を印加する電流印加部4,その電流印加のパターンを記憶するパターン記憶部5,磁気センサアレイ3の出力を取得するデータ取得部6を有している。
【0015】
本形態で測定対象となる磁性体は,薄鋼板である。より詳細には,2枚の薄鋼板90,91を重ね合わせてスポット溶接により接合したスポット溶接部92が,本形態の測定対象箇所である。スポット溶接部92の内部には,ナゲット部100が存在している。また,スポット溶接部92における薄鋼板90,91は,図1では分からない程度であるが,表面93,94がわずかに凹んでいる。
【0016】
ナゲット部100においては,その熱履歴のため,結晶組織が,薄鋼板90,91の本来の結晶組織とは大きく異なっている。具体的には,結晶粒が細かく,配向がランダムとなっている。このためナゲット部100では,ナゲット部100以外の部分と比較して,磁界が掛かったときに磁化が進行しにくい。また磁界の印加を遮断したときにも磁化が戻りにくい。このためナゲット部100は,ナゲット部100以外の部分と比較して,透磁率が低く残留磁化が高い。
【0017】
本形態では,図1に示すように,電流印加部4により励磁コイル22に通電することにより鉄心21から発せられる磁界Hを,測定対象箇所であるスポット溶接部92に印加する。そして,励磁コイル22への通電を遮断した後における,磁極11と薄鋼板90との間の磁界の状況を,磁気センサアレイ3によりモニタするのである。具体的には,図2に示すように,励磁コイル22への印加電流(以下,コイル電流という)を,ゼロからピーク電流Iまで増加させる。そしてコイル電流を急激に減少させるのである。
【0018】
ここで,コイル電流の印加開始からピーク電流Iに達するまでの時間(励磁時間,時刻t0〜時刻t1)は,0.3〜4.0ミリ秒程度(好ましくは0.3〜1.5ミリ秒程度)とする。ピーク電流Iは,測定対象の薄鋼板90,91が飽和磁化に達しない程度の電流とする。励磁コイル22の巻き数などの要因にもよるが,ここでは例えば,0.5〜1.5アンペア程度の値とする。コイル電流がピーク電流Iからゼロに戻るまでの時間(遮断時間,時刻t1〜時刻t2)は,励磁時間より圧倒的に短く,0.5〜1.5マイクロ秒程度である。つまり図2のグラフ中の横軸は,時刻t1より右側では大幅に拡大して示されているのである。
【0019】
このように本形態ではスポット溶接部92に,まず,時刻t0〜時刻t1の励磁時間において,変動磁界を印加する。そしてその終了時(時刻t1)における印加磁界の強さは,薄鋼板90,91を飽和磁化に至らせない程度の強さである。このため,時刻t1における薄鋼板90,91の励磁状態は,安定するには至っていない。時刻t1における薄鋼板90,91の内部は,未だ,印加磁界の影響による磁化の進展の途上にある。
【0020】
よって,時刻t1における薄鋼板90,91の実際の磁化の程度は,主として,次の2つの要因に支配される。1つは,薄鋼板90,91における磁化のしやすさである。ここに,スポット溶接部92の内部構造の影響が現れる。もう1つは,図2のグラフ中の励磁時間における電流波形である。電流波形如何により,磁化が実際に進行する程度が異なるからである。その一方で,薄鋼板90,91の表面93,94の状態にはあまり左右されない。
【0021】
そこで本形態ではさらに,励磁時間におけるコイル電流のパターンとして,2種類の励磁パターンを使用する。図2に示したのはそのうちの第1の励磁パターンの1例である。第2の励磁パターンは,種々あり得るが例えば図3に示すものが挙げられる。図3の励磁パターンでは,ピーク電流Iの値や励磁時間の長さは図2中のものと同じである。しかし,励磁時間の途中でスパイク状のパルスPが存在する点で図2の励磁パターンと異なる。図3の励磁パターンでは,パルスPの時点でのコイル電流はピーク電流Iを超えている。このことは,それによって時刻t1の時点で薄鋼板90,91の励磁状態が安定してしまうのでない限り,問題ない。この,コイル電流の励磁パターンは,パターン記憶部5に記憶されている。
【0022】
そして本形態では,コイル電流を時刻t1で遮断した後の遮断時間(時刻t1〜時刻t2)にわたり,磁気センサアレイ3の出力をデータ取得部6で取得してこれを積分する。遮断時間におけるコイル電流の減少のパターンおよび所要時間は,励磁時間における励磁パターンに関わらず一定とする。これにより,時刻t1と時刻t2とでの,薄鋼板90,91の磁化の差が検出される。むろんこの間,薄鋼板90,91の磁化は減衰していく途上にある。つまり,コイル電流の磁界により進展した磁化の戻り量が検出されるのである。これを,第1の励磁パターンによる励磁後と第2の励磁パターンによる励磁後とのそれぞれにおいて行うのである。
【0023】
ここで両励磁パターン後の遮断時の電流パターンが同じであることから,ここでの磁気センサアレイ3の出力のうち,鉄心21から発せられる外部磁界Hの減少に起因する部分は同じである。よって,両励磁パターン間での磁気センサアレイ3の出力の差は,薄鋼板90,91の磁化の減少量の差に起因するのである。
【0024】
本形態の方法では,時刻t1の時点で,両励磁パターンともに,測定対象物の磁化状態が未だ安定するに至っていない。このため,この時点での磁化の進展量には,そこに至るまでの励磁のパターンの違いの影響がまともに現れるのである。そしてそれがそのまま,遮断後の磁化の戻り量として測定にかかるのである。こうして本形態の方法では,内部構造の違いがより敏感に測定結果に現れるのである。このため,測定対象物の表面に仮に凹みがあったとしても,その影響は従来の方法の場合に比して相対的に小さいことになる。こうして,表面状態の情報よりも主として内部構造の情報を得ることができるのである。
【0025】
なお,本形態では,少なくとも一方の励磁パターンにて励磁後の磁化状態が安定に至っていなければ,従来の方法に比して一応の利点はある。ただし,両方の励磁パターンの双方ともにそうであった方がさらによい。
【0026】
ここで,本形態で主として測定対象とする薄鋼板90,91のスポット溶接部92には,次のような因子による種々の種類がある。例えば,鋼板の厚さおよびその組み合わせ,鋼板の鋼種およびその組み合わせ,鋼板の表面処理の種類およびその組み合わせ,鋼板の圧延方向同士がなす角,周辺の加工状況,スポット溶接時の電極のサイズや電流量,などである。さらにいえば本形態の内部構造測定装置は,薄鋼板90,91のスポット溶接部92に限らず,磁性体であれば他の物でも測定対象としうるものである。
【0027】
ただ,図2および図3に例示した励磁パターンの組み合わせが,上記のような種々の種類の測定対象のいずれに対しても有効であるとは限らない。測定対象の種類によっては,図2および図3の励磁パターンの組み合わせでは良好な測定結果が得られないこともある。そのような場合でも,別の励磁パターンを用いることにより,良好な測定結果が得られることもある。つまり,測定対象の種類に応じて,励磁パターンの組み合わせを選択すべきなのである。
【0028】
測定対象の種類と励磁パターンの好ましい組み合わせとの関係は,理論的に解明できているわけではないが,トライアルアンドエラーにより,好ましい組み合わせを選択することが可能である。すなわち,同一の種類の測定対象について,実際のナゲット径が既知でありかつ異なる種々のサンプルを用意しておく。これらのサンプルの実ナゲット径とその測定結果との相関関係のよい組み合わせが,その種類の測定対象にとって好ましい組み合わせなのである。
【0029】
以上詳細に説明したように本実施の形態では,測定対象の磁性体である薄鋼板のスポット溶接箇所に,変動する外部磁界を印加する。ただし,薄鋼板の磁化が安定するには至らない程度とする。これにより,磁化の進展度合に測定対象の内部構造が敏感に反映されるようにしている。これを,電流遮断後の磁化の戻り量を測定することにより検出する。さらにこれを,磁化を進展させる能力に差がある2種類の励磁パターンにて行いその差を取ることで,表面状態にあまり影響されずに磁性体の内部構造を適切に測定できるようにしている。
【0030】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,鉄心1の形状は図示の通りには限らない。測定対象の形状が許せば,2つの磁極で測定対象を表裏から挟み込むようなものとすることも可能である。第1および第2の励磁パターンの印加の順序は逆でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施の形態に係る内部構造測定装置を示す構成図である。
【図2】実施の形態における励磁パターンの1つの例を示すグラフである。
【図3】実施の形態における励磁パターンの別の例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0032】
21 鉄心
22 励磁コイル
3 磁気センサアレイ
4 電流印加部
5 パターン記憶部
6 データ取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の磁性体に印加する磁界を発生する励磁コイルと,
前記励磁コイルにより測定対象の磁性体に印加される磁界の経路に配置された磁気検出センサと,
前記励磁コイルに電流を印加する電流印加部と,
前記磁気検出センサの出力を取得するセンサ出力取得部とを有する磁性体の内部構造測定装置において,
前記電流印加部は,
前記励磁コイルに,第1の励磁パターンに従って時間とともに変化する電流を印加して,その後に電流を遮断するとともに,
前記励磁コイルに,前記第1の励磁パターンによる印加電流が遮断された後に,前記第1の励磁パターンとは異なる第2の励磁パターンに従って時間とともに変化する電流を印加して,その後に電流を遮断するものであり,
前記センサ出力取得部は,
前記第1の励磁パターンによる印加電流が遮断されるときの前記磁気検出センサの出力を取得するとともに,
前記第2の励磁パターンによる印加電流が遮断されるときの前記磁気検出センサの出力を取得するものであり,
前記第1および第2の励磁パターンの少なくとも一方が,電流の遮断時に至っても測定対象の磁性体の磁化の程度を安定させるに至らないパターンであることを特徴とする磁性体の内部構造測定装置。
【請求項2】
測定対象の磁性体に印加する磁界を発生する励磁コイルと,
前記励磁コイルにより測定対象の磁性体に印加される磁界の経路に配置された磁気検出センサとを用いて行う磁性体の内部構造測定方法において,
前記励磁コイルに,第1の励磁パターンに従って時間とともに変化する電流を印加して,その後に電流を遮断するとともに,電流が遮断されるときの前記磁気検出センサの出力を取得し,
前記励磁コイルに,前記第1の励磁パターンによる印加電流が遮断された後に,前記第1の励磁パターンとは異なる第2の励磁パターンに従って時間とともに変化する電流を印加して,その後に電流を遮断するとともに,電流が遮断されるときの前記磁気検出センサの出力を取得し,
前記第1および第2の励磁パターンの少なくとも一方として,電流の遮断時に至っても測定対象の磁性体の磁化の程度を安定させるに至らないパターンを用いることを特徴とする磁性体の内部構造測定方法。
【請求項3】
請求項2に記載の磁性体の内部構造測定方法において,
鋼板のスポット溶接箇所を測定対象とし,
前記第1の励磁パターンの電流印加後の遮断時の前記磁気検出センサの出力と,前記第2の励磁パターンの電流印加後の遮断時の前記磁気検出センサの出力との差により,スポット溶接箇所のナゲット形成状況を測定することを特徴とする磁性体の内部構造測定方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の磁性体の内部構造測定方法において,
前記第1の励磁パターンが,パターン初期からパターン終期まで電流値を増加させ続けるパターンであり,
前記第2の励磁パターンが,前記第1の励磁パターンの後半にパルスを付加したパターンであることを特徴とする磁性体の内部構造測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−63441(P2009−63441A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231861(P2007−231861)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(599009019)株式会社マグネグラフ (8)
【Fターム(参考)】