説明

磁性粒子及びその製造方法

【課題】 室温付近で実用性のある磁気熱量効果を有し、かつ優れた耐食性を有する磁性粒子を得ることのできる磁性粒子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 (La・Y)AMBSiCHDTbal(ただし、MはTi、Zr、Hfから選ばれた一種又は2種以上の元素、Tは、Feを必須元素として含みかつCo、Ni、Crから選ばれた一種又は二種以上の元素を必要に応じ含み、6.0≦A≦7.5原子%、0≦B≦5.0原子%、8.0≦C≦14.0原子%、0≦D≦15.0原子%)で表される組成を有する合金粒子の表面に、リン酸による化成皮膜を設けたことを特徴とする磁性粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境に優しい冷蔵庫及びエアコン等を実現する高効率な冷凍システムを実現可能な磁気熱量効果を有し、かつ耐候性及び耐食性の良好な磁性粒子、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫・エアコンなどに使用されるフロンガスが大気中に漏出されると、オゾン層破壊の原因となるので、フロン回収破壊法などの法的規制が行われているが、完全にフロンを大気中に漏らさずに、回収することは困難である。このため冷媒としてフロンガス及び代替フロンガスを使用する代わりに、磁性材料の磁気熱量効果を利用して磁気冷蔵サイクルを実現することが検討されている。近年、非特許文献1に開示されるように、室温で作動する磁気冷凍材料の研究が行われている。室温付近で磁気熱量効果を発揮する材料としては、Gd粒子、Mn-As-Sb系、Gd5Ge2Si2などが知られているが、特に特許文献1に開示されている、NaZn13型結晶構造を有するLa(Fe0.88Si0.12)13H1.0系磁性材料は、キュリー温度が室温付近にあり、且つ大きな磁気エントロピー差を持つため、実用性が大きいと考えられる。
【非特許文献1】A.Fujita,S.Fujieda,K.Fukamichi,Y.Yamazaki and Y.Iijima,Material Transactions 43(2002)1202.
【特許文献1】特開2003−96547号公報((0022)〜(0024))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載されたLa(Fe・Si)13H0系磁性材料は、まず真空溶解などによりLa-Fe-Si系合金を作製し、次いでこの合金に水素吸蔵処理を施した後、粉末化することにより製造されるが、現時点では、工業的に生産するための合金組成ならびに製造方法は全く確立されていない。また、本系材料は、NaZn13型結晶構造を形成するために、Laを比較的大量に含有させる必要がある。Laは酸化しやすい希土類元素であるため、耐候性及び耐食性が低い材料である。熱交換媒体として流体や気体が用いられ、この流体中で磁性材料が使用されるため、錆の発生や磁気特性の低下が起きないように考慮する必要がある。特許文献1には耐食性を改善するためにCo,Ni,Mn,Crといった遷移金属元素のグループから選択された1種又は2種以上の元素を置換することが記載されているが、これらの元素のうちMnは耐食性改善には効果はなく、また上記元素を多量に置換すると、磁気的性質が大きく変化するので、微量しか添加できず、耐食性は十分に改善されないという問題がある。
【0004】
酸化されやすい材料に耐食性を付与させるための一般的な表面処理の手法としては、樹脂などの高分子化合物で被覆する方法や耐食性を有する金属をめっきなどにより形成する方法もあるが、磁気熱量効果を発揮させるための粒子の表面処理膜としては、単純に耐食性が良いだけでは不十分で、熱を媒介する作用も行うため、熱伝導性に優れた被膜であることが必要である。このため、高分子被膜は一般的に熱伝導性が低いことから本発明の対象とする磁性粒子のコーティング皮膜としては好ましくない。他の乾式コーティング手法としてはCVD法などがあるが、CVD法では基体を200〜400℃に加熱する必要があり、本発明の対象とする磁性粒子のように酸化し易い材料のコーティングには適用が困難である。
【0005】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、室温付近で実用性のある磁気熱量効果を有し、かつ優れた耐食性を有する磁性粒子を得ることのできる磁性粒子およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、NaZn13型結晶構造を形成する、酸化しやすい元素を多量に含む磁性粒子に耐食性を付与すべく、種々検討した結果、耐食性を改善する元素を添加するよりも、該磁性粒子に耐食性コーティングを施すことが有効であり、さらにこの種磁性粒子の表面処理方法としては、湿式コーティング(めっき)やドライコーティングなどの一般的な手法ではなく、リン酸による化成皮膜が最も適していることを知見した。
すなわち本発明の磁性粒子は、(La・Y)AMBSiCHDTbal(ただし、MはTi、Zr、Hfから選ばれた一種又は2種以上の元素、Tは、Feを必須元素として含みかつCo、Ni、Crから選ばれた一種又は二種以上の元素を必要に応じ含み、6.0≦A≦7.5原子%、0≦B≦5.0原子%、8.0≦C≦14.0原子%、0≦D≦15.0原子%)で表される組成を有する磁性粒子の表面に、リン酸による化成皮膜を設けたことを特徴とする。
【0007】
また、多孔質のバルク形状の磁性合金の孔内部に、このリン酸を添加した液を通し、多孔質外部及び孔の内壁面全体にリン酸皮膜を施すことも本発明の均等の範囲である。
【0008】
具体的な製造方法として、リン酸を含む液中で、(La・Y)AMBSiCHDTbal(ただし、MはTi、Zr、Hfから選ばれた一種又は2種以上の元素、Tは、Feを必須元素として含みかつCo、Ni、Crから選ばれた一種又は二種以上の元素を必要に応じ含み、6.0≦A≦7.5原子%、0≦B≦5.0原子%、8.0≦C≦14.0原子%、0≦D≦15.0原子%)で表される組成を有する粒子を浸漬した状態で攪拌することで、リン酸による化成処理膜を形成する。液として通常の水でもよいが、水中の酸素が粒子と結合するのを防ぐために有機溶媒を用いることが好ましい。また、リン酸の添加量は有機溶媒に対して0.05〜1.0g/100ccであることが好ましい。0.05g/100cc未満であると化成処理皮膜が十分に形成されず、満足な耐食性が得られない。また、1.0g/100ccを超えると磁性粒子の磁気特性の低下が大きく好ましくない。このリン酸による化成処理膜の膜厚は5〜50nm程度である。攪拌する液の温度は室温以上80℃以下が好ましい。
【0009】
リン酸を含む液中で前記合金粒子を攪拌した後、液中に水酸化物を添加して再度攪拌し、リン酸の中和処理を行うことが好ましい。水酸化物は特に限定されないが、例えば有機溶媒(アルコール等)に可溶な無機水酸化物が好ましい。無機水酸化物のうちでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化アンモニウムが有用である。良好な耐食性を得るために、攪拌する液に対して、0.005〜0.2g/100ccとし、0.01〜0.1g/100ccとするのが好ましい。水酸化物の添加量が0.005重量部未満では耐食性の向上が困難であり、0.2重量部超では耐食性の向上効果が飽和する。つまりは余分なリン酸が不可避に残留するため、これを除去するための中和処理である。残留しているリン酸の濃度に対して適宜中和される添加量を測定して添加することが好ましい。
【0010】
前記粒子を攪拌後、さらに不活性ガス中または真空中で50℃以上400℃以下の加熱処理を施すことが好ましい。この加熱処理により、粒子の外部に存在するリン酸化合物が安定化され、さらに腐食の激しい環境下にも耐えられる耐食性を付与される。
【0011】
冷却装置などに使用される場合、本系磁性粒子はポーラスなバルク体の状態で組み込まれるため、表面処理が行われる磁性粒子の粒径は0.5〜1500μmであることが望ましい。粒径が0.5μm未満では表面積の大きいポーラスな磁性粒子結合体が得られず、粒径が1500μmを越えると、磁性粒子結合体を形成することができない。
【0012】
本発明の磁性粒子において、各元素の組成は磁気熱量効果を得るために次のように定められる。まず、Laは本化合物の結晶構造であるNaZn13型構造を形成するのに必須な元素である。La量はA=6.0原子%未満では、溶解合金中にα-Feが過剰に形成され、均質化処理を行っても、α-Feを消失させることは不可能である。また、A=7.5原子%を超えるとNaZn13型結晶構造だけでなく、ThMn12型,Th2Zn17型,CaCu5型の結晶構造が形成され、磁化曲線に変化を生じさせるため磁気熱量効果材料として好ましくない。好ましくは6.5≦A≦7.3原子%が望ましい。一方、Siは同じようにNaZn13型構造を形成するのに必須な元素である。Si量はC=8.0原子%未満ではNaZn13型結晶構造が十分に形成できにくい。C=14.0原子%を超えると逆にNaZn13型結晶構造が十分に形成しにくくなり、且つ磁気熱量効果に不要なFe2Siが形成される結果となる。好ましくは9.0〜13原子%である。Siを置き換え得る元素としてAlがあるが、Alなどの不可避不純物は少ないことが望ましいが、磁気冷凍性能を低下させない範囲で許容される。水素量Dはキュリー温度の向上に必須な元素であり、D=15.0原子%を超えると結晶格子が過剰に膨張し、NaZn13型結晶構造を壊す結果となる。水素量D=3.5原子%未満ではキュリー温度が室温より低くなるので3.5原子%以上とすることが好ましい。そして、MはTi,Zr,Hfの1種以上であり、コスト及び効果の点でZrが最も好ましい。Feに対する置換量としてはB=0.01原子%未満では上記効果は小さく、B=5.0原子%以上ではFe-M系相を形成するため好ましくない。残部はFeやCo,Ni,Crである。Co,Ni,Crの添加量はFeに対して0.01〜30原子%の範囲で置換される。0.01原子%以下では耐食性改善に効果は少なく、置換量が30原子%を越えると磁気特性が低下してしまう。そして、YはLa金属より酸化し難いため、耐食性改善に効果があり、Laの0.1〜40原子%の範囲で置換される。0.01原子%以下では耐食性改善に効果は少なく、置換量が40原子%を越えるとNaZn13型結晶構造を形成し難くなる。
【0013】
有機溶媒を使用すれば磁性粒子を大気から遮断し、酸化を抑制する効果が得られる。例えばエタノール、メタノールまたはプロピルアルコール等のアルコール、あるいはケトンなどが挙げられる。
【0014】
液中に添加するリン酸はリン酸化合物でも良い。適用できるリン酸化合物として、例えばオルトリン酸、モノメチルリン酸、モノエチルリン酸、1−ヒドロキシエチリデン2−ジホスホン酸、亜リン酸、次リン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、ラウリルリン酸、ステアリルリン酸、2−エチルヘキシルリン酸、イソデシルリン酸、ブチルリン酸、モノイソプロピルリン酸、プロピルリン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、ヒドロキシメチルアクリレートアシドホスフェート、ヒドロキシメチルメタクリレートアシッドホスフェート、(2−ヒドロキシエチル)アクリレートアシドホスフェート、(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートアシドホスフェートなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0015】
本発明の磁性粒子の製造方法によれば、リン酸による化成処理膜を磁性粒子に被覆することにより、室温で磁気熱量効果を発揮する(La・Y)AMBSiCHDTbalで表される磁性粒子の表面に耐食性被膜を形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、それら実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0017】
(実施例1)
溶解後の最終組成がLa7.14Si10.2Febal(原子%)となるように純度99.9%以上の電解鉄、La金属、フェロシリコンを秤量し、総重量が20kgとなるように真空溶解炉で溶解した。溶解後、La-Fe-Si系溶融物をタンディッシュを介して回転する銅製ロール上に流し込み、La-Fe-Si系合金薄片を製造した。得られた薄片を島津メクテム社製雰囲気加圧炉PHSGを用いて、水素吸蔵処理を行った。水素吸蔵条件は300℃×5h、水素圧を5065hPaに設定して行った。水素吸蔵処理が施された合金塊はジョークラッシャーなどにより酸素量を5ppmに制御した窒素ガス雰囲気中のバンタムミルで粉砕し、平均粒径180μmの粉末を得た。次いで、ホソカワミクロン社製分級機ミクロンセパレータを用いて、粒径が10μm以下の粒子を除去し、上記組成の合金粒子を製造した。
次に表面処理剤として以下の(1)、(2)を準備した。
(1)リン酸0.75gを100ccのIPAに溶解した溶液(リン酸は85質量%濃度の水溶液、関東化学(株)製)
(2)エタノール100ccにNaOH 0.2gを溶解した溶液(pH=12.0)
次に、IPA60cc中に上記の合金粒子20gを入れたもの(1試料分)を、それぞれ合計4個のビーカーに用意した。次に各ビーカーを20,40,60及び80℃にそれぞれ加熱し、次いで各ビーカー内をそれぞれスターラーで撹拌しながら各ビーカー毎に(1)の溶液40ccを5分毎4回に分けて、20分間かけて添加・混合した。この場合のリン酸添加量は0.3g/ビーカーに相当する。(1)の溶液を添加するのは極力均一なリン酸皮膜を被覆するためである。次に各合金粒子の表面にリン酸皮膜が極力均一に被覆されるように各ビーカーの上澄み液を50cc捨て、次に(2)の溶液を50cc添加後10分間スターラーで撹拌し、次いで上澄み液を捨てた。これら一連の処理の間、各ビーカー内のIPA、合金粒子はそれぞれ20,40,60及び80℃に保持された。次に不活性ガス(窒素)気流中で室温で乾燥した。次にロータリーポンプで真空排気しつつ220℃で1時間加熱し、次いで室温まで冷却して本発明による磁性粒子を得た。
この磁性粒子を80℃、相対湿度(RH)90%に保持した恒温恒湿槽に入れて13時間保持し、次いで室温の大気中に戻す恒温恒湿試験を行った。これによる磁性粒子の参加による質量増加がどの程度になるかを測定した。なお、比較例として何も被覆処理していない磁性粒子も同様に測定した。
表1に示すように恒温恒湿試験前/後のリン酸被覆磁性粒子の質量増加は比較例と比べて小さく、本発明の表面処理方法により良好な耐食性が付与されていることがわかった。
【0018】
【表1】

【0019】
(実施例2)
実施例1で用いたIPAの替わりに通常の水を使用し、それ以外は実施例1と同様にして実験を行った。水の温度は60℃として磁性粒子を攪拌した。
この磁性粒子を80℃、相対湿度(RH)90%に保持した恒温恒湿槽に入れて13時間保持し、次いで室温の大気中に戻す恒温恒湿試験を行った。これによる磁性粒子の参加による質量増加がどの程度になるかを測定した。
表1に示すように恒温恒湿試験前/後のリン酸被覆磁性粒子の質量増加は実施例1程ではないものの十分に小さく、本発明の表面処理方法により良好な耐食性が付与されていることがわかった。
【0020】
(実施例3)
実施例1と同様にして窒素気流中で室温で乾燥したリン酸被覆磁性粒子を得た。この微粉に真空加熱処理を施さなかった以外は実施例1と同様にして恒温恒湿試験を行い、恒温恒湿試験前/後のリン酸被覆磁性粒子の質量を測定した。測定結果を表1に示す。
表1に示すように恒温恒湿試験前/後のリン酸被覆磁性粒子の質量増加は十分に小さく、本発明の表面処理方法により良好な耐食性が付与されていることがわかった。
【0021】
(実施例4)
リン酸添加量と耐食性との相関を調べるために以下の検討を行った。
溶解後の最終組成がLa7.14Si10.2Febal(原子%)となるように純度99.9%以上の電解鉄、La金属、フェロシリコンを秤量し、総重量が20kgとなるように真空溶解炉で溶解した。溶解後、La-Fe-Si系溶融物をタンディッシュを介して回転する銅製ロール上に流し込み、La-Fe-Si系合金薄片を製造した。得られた薄片を島津メクテム社製雰囲気加圧炉PHSGを用いて、水素吸蔵処理を行った。水素吸蔵条件は300℃×5h、水素圧を5065hPaに設定して行った。水素吸蔵処理が施された合金塊はジョークラッシャーなどにより酸素量を5ppmに制御した窒素ガス雰囲気中のバンタムミルで粉砕し、平均粒径180μmの粉末を得た。次いで、ホソカワミクロン社製分級機ミクロンセパレータを用いて、粒径が10μm以下の粒子を除去し、上記組成の合金粒子を製造した。
次にIPA中に添加するリン酸の添加量を変化させた以下の溶液(3)、(4)を準備した。また実施例1と同じ溶液(2)を使用した。
(3)リン酸0.75gを100ccのIPAに溶解した溶液
(4)リン酸0.50gを100ccのIPAに溶解した溶液
(5)リン酸0.25gを100ccのIPAに溶解した溶液
IPA60cc中に合金粒子20gを浸漬したもの(1試料分)を、それぞれ合計2個のビーカーに用意した。次に各ビーカーを60℃に加熱し、次いで各ビーカー内をそれぞれスターラーで撹拌しながら各ビーカー毎に(3)及び(4)の溶液をそれぞれ40ccだけ20分間かけて添加し、混合した。これによるリン酸添加量は0.1g,0.2g,0.3gに相当する。次に各ビーカーの上澄み液を40cc捨てた。次に(2)の溶液10cc及びIPA30ccを添加後10分間スターラーで撹拌し、次いで上澄み液を捨てた。これら一連の処理の間、攪拌するIPAは60℃に保持された。次に窒素気流中で室温で乾燥した。次にロータリーポンプで真空排気しつつ220℃で1時間加熱し、次いで室温まで冷却して本発明による磁性粒子を得た。
この磁性粒子を80℃、相対湿度(RH)90%に保持した恒温恒湿槽に入れて13時間保持し、次いで室温の大気中に戻す恒温恒湿試験を行った。これによる磁性粒子の参加による質量増加がどの程度になるかを測定した。表2に結果を示す。
【0022】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(La・Y)AMBSiCHDTbal(ただし、MはTi、Zr、Hfから選ばれた一種又は2種以上の元素、Tは、Feを必須元素として含みかつCo、Ni、Crから選ばれた一種又は二種以上の元素を必要に応じ含み、6.0≦A≦7.5原子%、0≦B≦5.0原子%、8.0≦C≦14.0原子%、0≦D≦15.0原子%)で表される組成を有する合金粒子の表面に、リン酸による化成皮膜を設けたことを特徴とする磁性粒子。
【請求項2】
リン酸を含む液中で、(La・Y)AMBSiCHDTbal(ただし、MはTi、Zr、Hfから選ばれた一種又は2種以上の元素、Tは、Feを必須元素として含みかつCo、Ni、Crから選ばれた一種又は二種以上の元素を必要に応じ含み、6.0≦A≦7.5原子%、0≦B≦5.0原子%、8.0≦C≦14.0原子%、0≦D≦15.0原子%)で表される組成を有する合金粒子を浸漬し、攪拌することで、表面にリン酸による化成処理膜を形成することを特徴とする磁性粒子の製造方法。
【請求項3】
前記リン酸の添加量は前記液の量に対して0.05〜1.0g/100ccであることを特徴とする請求項2に記載の磁性粒子の製造方法。
【請求項4】
前記リン酸を含む液中で前記粒子を攪拌した後、前記液中に水酸化物を添加して中和処理を行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の磁性粒子の製造方法。
【請求項5】
前記水酸化物の添加量は前記リン酸を含む液の量のに対して0.005〜0.2g/100ccである請求項4に記載の磁性粒子の製造方法。
【請求項6】
前記液は有機溶媒中にリン酸を添加したものであることを特徴とする請求項2〜5に記載の磁性粒子の製造方法。
【請求項7】
前記水酸化物が無機水酸化物を有機溶媒中に溶解した状態で添加されることを特徴とする請求項4又は6に記載の磁性粒子の製造方法。
【請求項8】
前記粒子を攪拌後、さらに不活性ガス中または真空中で50℃以上400℃以下の加熱処理を施すことを特徴とする請求項2〜7に記載の磁性粒子の製造方法。
【請求項9】
前記磁性粒子の粒径は0.5〜1500μmの範囲にあることを特徴とする請求項2から8のいずれかに記載の磁性粒子の製造方法。


【公開番号】特開2006−124783(P2006−124783A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−315305(P2004−315305)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】