説明

磁性素子を付与した媒体、媒体の情報読取方法および装置

【課題】
この発明は、所定の交番磁界を加えたときに生じる磁化反転または磁歪振動する磁気特性を有する少なくとも一種類以上の複数の磁性素子を媒体に付与し、媒体に付与された複数の磁性素子が順次検出されることで、多くの情報表現を可能とする磁性素子を付与した媒体、媒体の情報読取方法および装置を提供する。
【解決手段】
少なくとも1つの磁性素子を所定方向に配列して媒体に付与し、該媒体に付与された磁性素子に磁界を与えるとともに、該磁界により複数の磁性素子から発生される信号を検出する励磁検知手段と媒体とのどちらか一方もしくは両方を所定方向に相対的に移動させ、励磁検知手段の励磁により磁性素子から順次発生される信号を励磁検知手段により検出することで媒体に付与された磁性素子により形成される情報を読み取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁性素子を付与した媒体、媒体の情報読取方法および装置に関し、特に、所定の交番磁界を加えたときに生じる磁化反転または磁歪振動する磁気特性を有する少なくとも一種類以上の複数の磁性素子を媒体に付与し、媒体に付与された複数の磁性素子が順次検出されることで、多くの情報表現を可能とする磁性素子を付与した媒体、媒体の情報読取方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機密情報や個人情報等の漏洩防止、有価証券等の不正複写による偽造防止等、セキュリティ強化を目的とする種々の方法や装置が提供されている。
【0003】
例えば、特定のパターンや赤外線吸収剤を含有する特殊インク等が潜像された特殊用紙を用いて有価証券等を作成することで、有価証券等の偽造を防止する方法が提案されている。
【0004】
この方法は、特殊用紙で作成された有価証券等がスキャナ(画像入力装置)や複写機等により複写された場合、特殊用紙に潜像された特定のパターン、特殊インク等が目視可能な状態で印刷され、複写物であることが識別されることで偽造が防止できるように構成されている。
【0005】
しかし、このような方法は、特殊用紙に潜像された特定のパターンや特殊インク等を検出するために特殊用紙に作成された有価証券等の画情報をスキャンもしくは所定方向から光を照射する等の動作が必要であり、これらの動作を行うことなく有価証券等の不正複写を不可とするような方法や装置の提案が望まれる。
【0006】
また、最近では、物品に内蔵された各磁気素子の磁化反転磁界の強度を測定することにより物品を識別する方法が提案されている。
【0007】
これは、模倣することが困難な信号を発する磁気素子をICカードなどの小型携帯端末に組み込み、それを使用する際に交番磁界を印加することで問い合わせをし、小型携帯端末に組み込まれた磁気素子が急峻な磁化反転により発した固有の信号を検知することで、小型携帯端末を同定してセキュリティを確保するものである。
【0008】
例えば、特許文献1には、磁気を用いて非接触で識別することができる非接触型ICカード等の識別機能を有する物品およびその識別方法が提案されている。
【0009】
また、特許文献2には、物品に取り付けてその物品の種類や数量を識別する識別精度を上げることができる磁気マーカーの励磁方法とその装置が提案されている。
【特許文献1】特開平11−306275号公報
【特許文献2】特開平05−126963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1に示される提案は、少なくとも2種類の周波数の異なる交番磁界を、大バルクハウゼン反転材料と非大バルクハウゼン反転材料とに印加し、それぞれの周波数での信号出力を比較することで、大バルクハウゼン反転材料と非大バルクハウゼン反転材料の信号を区別し、識別のための多くの識別情報を有する識別機能を有する物品およびその識別が可能なように構成したものである。
【0011】
このような構成とすることで、識別のために使用可能な多くの識別情報を有する物品およびその識別方法の提供が可能となる。
【0012】
また、特許文献2に示される提案は、例えば、磁気マーカを取り付けた物品を交流磁界中を通過させることで、磁気マーカに発生する磁束による誘起電圧をコイルで検出して、物品の種類を識別する方法において、(1)磁気マーカーの磁性細線の高保磁力のものは誘起電圧が小さく検知感度が低い、(2)磁気マーカを取り付けた物品が高速で移動する場合は、磁気マーカを励磁する励磁磁界の周波数を高くすると、磁気マーカに発生する誘起電圧の発生時間間隔も短くなり、検出精度が低下する等の問題解決を可能とするように、励磁電流の波形を三角波、正弦波などの通常波ではなく、特殊波形発生器を用いて磁界波形を変え、各磁性細線の誘起電圧の最大値が同じになるようにするとともに、誘起電圧の発生時間がほぼ等しくなるような保磁力を持つ磁性細線を選んで用い、高保磁力を持つ磁性細線の誘起電圧を大きくして検出感度を上げるように構成されたものである。
【0013】
しかし、これら特許文献1および特許文献2には、媒体に付与された磁性素子、例えば磁界を受けることで磁化反転または磁歪振動するような磁気特性のある磁性素子を媒体に複数付与し、媒体に付与された複数の磁性素子を順次検出することで、媒体の識別のために使用可能な多くの識別情報を付与した媒体、媒体の識別情報を読み取る方法及び読取装置の提案はなされていない。
【0014】
そこで、この発明は、所定の交番磁界を加えたときに生じる磁化反転または磁歪振動する磁気特性を有する少なくとも一種類以上の複数の磁性素子を媒体に付与し、媒体に付与された複数の磁性素子が順次検出されることで、多くの情報表現を可能とする磁性素子を付与した媒体、媒体の情報読取方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、少なくとも1つの磁性素子を所定方向に配列して媒体に付与し、該媒体に付与された磁性素子に磁界を与えるとともに、該磁界により前記複数の磁性素子から発生される信号を検出する励磁検知手段と前記媒体とのどちらか一方もしくは両方を前記所定方向に相対的に移動させ、前記励磁検知手段の励磁により前記磁性素子から順次発生される信号を前記励磁検知手段により検出することで前記媒体に付与された磁性素子により形成される情報を読み取ることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記媒体に付与される磁性素子は、前記励磁検知手段の前記所定方向の幅と等しいか若しくは大きい所定の間隔で前記所定方向に配設され、前記磁性素子により形成される情報は、該磁性素子の数に対応して特定されることを特徴とする。
【0017】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記磁性素子は、長さが異なる磁性素子を含み、前記磁性素子により形成される情報は、該磁性素子の数および長さの組み合わせに対応して特定されることを特徴とする。
【0018】
また、請求項4の発明は、請求項2または3の発明において、前記磁性素子は、磁気特性が異なる磁性素子を含み、前記磁性素子により形成される情報は、該磁性素子の数および長さおよび磁気特性のうちの少なくとも2つの組み合わせに対応して特定されることを特徴とする。
【0019】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの発明において、前記磁性素子から発生される信号は、前記磁性素子が磁化反転時に発する磁束変化に基づく信号であることを特徴とする。
【0020】
また、請求項6の発明は、請求項1乃至4のいずれかの発明において、前記磁性素子から発生される信号は、前記磁性素子が磁歪振動により発する信号であることを特徴とする。
【0021】
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかの発明において、前記励磁検知手段は、媒体の画情報を読み取る画情報読取手段に設けられ、前記画情報読取手段により前記媒体の画情報を読み取る際の媒体の移動経路に配置されることを特徴とする。
【0022】
また、請求項8の発明は、請求項1乃至6のいずれかの発明において、前記励磁検知手段は、媒体の画情報を印刷出力する画情報印刷出力手段に設けられ、前記画情報印刷出力手段により前記媒体の画情報が印刷出力されて排紙される移動経路に配置されることを特徴とする。
【0023】
また、請求項9の発明は、媒体に所定方向に配列されて付与された少なくとも1つの磁性素子に磁界を与え、該磁界により前記磁性素子から発生される信号に基づき前記媒体に付与された情報を読み取る情報読取装置であって、前記媒体に付与された磁性素子に磁界を与え、該磁界により前記磁性素子から発生される信号を検出する励磁検知手段と、前記励磁検知手段と前記媒体とのどちらか一方もしくは両方を前記所定方向に相対的に移動させる移動制御手段と、前記励磁検知手段の励磁により前記磁性素子から順次発生される信号を前記励磁検知手段により検出することで前記媒体に付与された磁性素子により形成される情報を読み取る情報読取手段とを具備することを特徴とする。
【0024】
また、請求項10の発明は、磁界が与えられることにより信号を発生する磁性素子を付与した媒体であって、前記磁性素子は、前記励磁検知手段の前記所定方向の幅と等しいか若しくは大きい所定の間隔で所定方向に配設され、前記磁性素子の数に対応して前記媒体を特定する情報を形成することを特徴とする。
【0025】
また、請求項11の発明は、請求項10の発明において、前記磁性素子は、長さが異なる磁性素子を含み、前記磁性素子の数および長さの組み合わせに対応して前記媒体を特定する情報を形成することを特徴とする。
【0026】
また、請求項12の発明は、請求項10または11の発明において、前記磁性素子は、磁気特性が異なる磁性素子を含み、前記磁性素子により形成される情報は、該磁性素子の数および長さおよび磁気特性のうちの少なくとも2つの組み合わせに対応して前記媒体を特定する情報を形成することを特徴とする。
【0027】
また、請求項13の発明は、請求項10乃至12のいずれかの発明において、前記磁性素子から発生される信号は、前記磁性素子が磁化反転時に発する磁束変化に基づく信号であることを特徴とする。
【0028】
また、請求項14の発明は、請求項10至12のいずれかの発明において、前記磁性素子から発生される信号は、前記磁性素子が磁歪振動により発する信号であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
この発明の磁性素子を付与した媒体、媒体の情報読取方法および装置によれば、少なくとも1つの磁性素子を所定方向に配列して媒体に付与し、該媒体に付与された磁性素子に磁界を与えるとともに、該磁界により前記複数の磁性素子から発生される信号を検出する励磁検知手段と前記媒体とのどちらか一方もしくは両方を前記所定方向に相対的に移動させ、前記励磁検知手段の励磁により前記磁性素子から順次発生される信号を前記励磁検知手段により検出することで、媒体に付与された多ビットで形成される多くの情報で表現された識別情報を確実に検知することができる。
【0030】
また、媒体に付与される磁性素子は、励磁検知手段の所定方向の幅と等しいか若しくは大きい所定の間隔で所定方向に配設され、磁性素子により形成される情報は、該磁性素子の数に対応して特定されるので、媒体に形成された識別情報をより確実に検知できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
この発明に係わる磁性素子を付与した媒体、媒体の情報読取方法および装置は、有価証券等の不正複写による偽造防止、機密情報や個人情報等の情報漏洩防止、あるいは文書管理等を目的として、例えば印刷機や複写機等に適用され、情報を印刷または複写する用紙として用紙固有の識別情報が付与された専用紙が用いられ、専用紙の識別情報と、専用紙に印刷または複写された情報とを対応付けて管理することで、文書管理が可能な複写機または印刷機等として用いられる。
【0032】
また、管理された機密情報や有価証券等が本発明に係わる情報読取装置が装備された複写機等で複写されようとした場合は、機密情報等が印刷された専用紙または有価証券等に付与された識別情報を情報読取装置が読み取り、読み取った識別情報に基づき複写動作禁止等の制御を行うことで機密情報や有価証券等の不正複写を防止し情報漏洩防止、機密保持、偽造防止等を図る。
【0033】
本実施例においては、専用紙固有の識別情報が複数の磁性素子で対応付けられた多ビットの情報(以下、「多ビット情報」という。)で表現されて付与された専用紙、専用紙固有の識別情報を読み取る情報読取方法を適用した情報読取装置を複写機に適用した場合を例に説明する。
【実施例1】
【0034】
以下、本発明に係わる磁性素子を付与した媒体、媒体の情報読取方法および装置を複写機に適用した一例について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
図1は、本発明に係わる情報読取装置30を適用した複写機100の要部の構成を概略的に示したブロック図である。
【0036】
図1に示すように、複写機100は、複写機100のプラテンガラス3上にプラテンカバー2で押えられた原稿1をスキャンして原稿1から画情報を読み取り、画像処理して印刷出力用の出力画像データを出力する画像処理部20と、用紙トレイ4から給紙された専用紙10上に画像処理部20から出力された出力画像データに対応した画情報を印刷する画像形成部50(図中の破線で囲まれた部分)と、画情報が印刷された専用紙10から専用紙10固有の識別情報を検出し、読み取る情報読取装置30と、情報読取装置30で読み取った専用紙10の識別情報と当該専用紙10に印刷された画情報とを対応付けて記憶管理する図示せぬデータベースと、複写機100全体を統括制御する制御部40とを備えている。
【0037】
また、画像形成部50は、画像処理部20から入力された出力画像データに応じてレーザ光を感光ドラム52へ出射し、感光ドラム52の走査露光制御を行う露光制御部51と、露光制御部51の走査露光制御により感光ドラム52表面上に形成された潜像を各色のトナーで現像してトナー画像を形成する現像器53と、現像器53により感光ドラム52上に形成されたトナー画像を転写する転写ドラム54と、転写ドラム54上に形成されたトナー画像を用紙トレイ4から給紙された専用紙10上に定着させる定着装置55とを備えている。
【0038】
用紙トレイ4に蓄積収納されている専用紙10には、専用紙10固有を識別可能とする識別情報が付与されており、この専用紙10の識別情報と専用紙10に印刷された画情報とを対応付けて文書管理する。
【0039】
専用紙10の識別情報は、予め識別情報に対応付けされた少なくとも一種類以上の複数の磁性素子が専用紙10に形成付与されて表現されており、画情報が印刷された専用紙10が排紙トレイ5に排紙される途上で情報読取装置30により読み取られる。
【0040】
具体的には、排紙トレイ5と画像形成部50との間に配置された情報読取装置30の励磁コイル31及び検知コイル32内を専用紙10が移動することで、専用紙10に付与された複数の磁性素子が励磁コイル31により順次励磁され、該励磁により複数の磁性素子から順次発生される信号が検知コイル32により検出され、検出結果に基づき情報読取装置30が専用紙10に付与された複数の磁性素子に対応付けられた識別情報を読み取るように構成されている。
【0041】
このように構成された複写機100が原稿1の画情報を複写印刷し、画情報と画情報が印刷された専用紙10とを対応付けて文書管理するまでの処理動作について簡単に説明すると次のような動作となる。
【0042】
ユーザが複写機100のプラテンカバー2を開き、複写したい原稿1をプラテンガラス3上に配置後、プラテンカバー2を閉じ、図示せぬ複写開始ボタンを押下すると、制御部40の指令により画像処理部20がプラテンガラス3上の原稿1をスキャンして原稿1から画情報を読み取る。
【0043】
原稿1から読み取られた画情報は、画像処理されて画像形成部50の露光制御部51へ出力される。
【0044】
露光制御部51は、画像処理部20で画像処理されて出力された出力画像データに基づきレーザ光を感光ドラム52上に出射して走査露光する。
【0045】
感光ドラム52は、図示せぬ駆動手段により図中の矢印方向に沿って所定の速度で回転しており、感光ドラム52の表面が一様に帯電された後、露光制御部51で制御されたレーザ光の走査露光により感光ドラム52の表面上に出力画像データに対応した静電潜像が形成され、静電潜像に対応したそれぞれの色のトナーが現像器53から供給されトナー象が形成される。
【0046】
なお、現像器53には、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の現像剤が導入されている。
【0047】
感光ドラム52の表面上に形成されたトナー像は、用紙トレイ4から給紙されて転写ドラム54上に保持された専用紙10へ静電力によって転写され、専用紙10とともに定着装置55へ搬送されて定着装置55により専用紙10上へ熱定着される。
【0048】
原稿1の画情報が熱定着されて印刷された専用紙10は、排紙トレイ5へ排紙される途上で情報読取装置30の励磁コイル31と検知コイル32のそれぞれが形成する空間内を移動し、その際に専用紙10に形成された識別情報に対応付けされた複数の磁性素子が励磁コイル31から発せられる所定の交番磁界を受けて磁化され、磁化反転時に発する急峻な磁気パルスが検知コイル32を介して検出され、検出結果に基づき専用紙10の識別情報が情報読取装置30により読み取られる。
【0049】
情報読取装置30によって読み取られた識別情報は、制御部40へ出力され、制御部40が情報読取装置30で読み取られた専用紙10の識別情報と、画像処理部20で読み取られた原稿1の画情報とを対応付けて図示せぬデータベースへ記憶管理し、文書管理を行う。
【0050】
このように動作する複写機100を用いることにより、原稿1の画情報と画情報が印刷された専用紙10固有の識別情報とを対応付けて文書管理することができる。
【0051】
また、文書管理された原稿を複写機100で複写する際、複写機100が原稿に付与された識別情報に基づき原稿が複写可または複写不可のいずれかを判別し、複写不可と判別した場合は、複写禁止動作を行うような構成とすることで、不用意な複写等による機密情報の漏洩を防止することが可能となる。
【0052】
ところで、図1で示した複写機100は、画情報と画情報を印刷した専用紙10とを対応付けて文書管理が可能なように、予め識別情報に対応付けされた少なくとも一種類以上の複数の磁性素子が付与された専用紙10を用いるように構成されており、この専用紙10の識別情報は情報読取装置30により非接触で読み取られる。
【0053】
図2は、図1で示した複写機100に適用された本発明に係わる情報読取装置30の要部の構成を示すブロック図である。
【0054】
図2に示すように、情報読取装置30は、識別情報300に対応付けされた複数の磁性素子が形成された専用紙10を励磁コイル31及び検知コイル32内を移動させるか、または励磁コイル31及び検知コイル32内を専用紙10が通過するように励磁コイル31及び検知コイル32を移動させることで、専用紙10に形成された複数の磁性素子を非接触で順次検出し、検出した複数の磁性素子の数と配置間隔に基づき専用紙10の識別情報300を多ビット情報で識別できるように構成されている。
【0055】
また、専用紙10に形成された各磁性素子の検出は、励磁コイル31を介して所定の交番磁界を専用紙10の各磁性素子に与え、各磁性素子が磁化されて磁化反転時に発する急峻な磁気パルスを検知コイル32を介して検出するように構成されている。
【0056】
具体的には、情報読取装置30は、励磁コイル31を介して所定の交番磁界を発生させるための制御を行う励磁回路33と、励磁コイル31から発せられた所定の交番磁界中に専用紙10が置かれることで、専用紙10に形成された専用紙10固有の識別情報300に対応付けされた複数の磁性素子が順次磁化され、これら複数の磁性素子が磁化反転時に発する急峻な磁気パルスを検知コイル32を介して順次検出する検知回路34と、検知回路34が検出して図示せぬメモリに記憶させた交番磁界や各磁性素子が発する磁気パルスに対応した検出信号を信号処理する信号処理部36と、信号処理部36で信号処理された情報に基づき専用紙10の識別情報300をビット出力するビット出力部37と、交番磁界の周期に応じたタイミングで交番磁界や磁気パルスを検知回路34が検知できるように励磁回路33と検知回路34とのタイミング制御を行うタイミング制御部35を備えている。
【0057】
このように構成された情報読取装置30は、例えば励磁回路33が周波数1kHzの電流を励磁コイル31へ流す制御を行うことにより、周波数1kHzの交番磁界が励磁コイル31の形状に対応した所定の空間に発生する。
【0058】
タイミング制御部35は、励磁回路33で生成された周波数1kHzの電流の立ち上がり方向で電流値が0になる時間、すなわち電流の向きが負から正へ逆転する時の時間を検出し、この検出した時間に交番磁界の一周期に一回のタイミングで検知回路34へ基準信号を出力する。
【0059】
検知回路34は、タイミング制御部35から出力された基準信号のタイミングに基づき検知コイル32で検出された検出信号を取り込み図示せぬ記憶装置のメモリーへ記憶格納する。
【0060】
信号処理部36は、例えば、メモリーに記憶された検出信号から交番磁界成分を除去し、交番磁界成分除去後の信号のうちの正の信号成分を増幅し、ノイズ成分を除去して各磁性素子の磁化反転時の磁気パルスに対応したパルス信号を検出する。
【0061】
信号処理部36で検出された検出パルス信号は、ビット出力部37へ出力され、ビット出力部37が検出パルス信号に基づき「1」または「0」の値で表現された複数ビットの識別情報に変換して制御部40へ出力する。
【0062】
このように、情報読取装置30は、複数の磁性素子が形成された専用紙10を励磁コイル31及び検知コイル32内を移動させるか、または励磁コイル31及び検知コイル32内を専用紙10が通過するように励磁コイル31及び検知コイル32を移動させることで、専用紙10に形成された識別情報に対応付けされた複数の磁性素子に対して交番磁界を順次与え、各磁性素子の磁化反転による磁気パルスを順次検出し、検出した検出パルス信号のパターンに基づき専用紙10に付与された識別情報を読み取るように構成されている。
【0063】
このように構成された情報読取装置30で読み取り可能な本発明に係わる専用紙10について図3を参照しながら詳細に説明する。
【0064】
図3は、複数の磁性素子から成る多ビット情報で表現された識別情報300が付与された専用紙10の一例を示す図である。
【0065】
図3(a)は、専用紙10に付与された識別情報に対応付けされた3本の磁性素子301、302、303の配置状態を示す図であり、図3(b)は、各磁性素子301、302、303の磁化特性を示す図である。
【0066】
なお、専用紙10に付与する複数の磁性素子は、複数種類の磁性素子を組み合わせて付与することが可能であり、図3においては、説明の便宜上、一種類の磁性素子を3本用いた例を示してある。
【0067】
図3(a)に示すように、専用紙10には、専用紙10を識別可能とする識別情報300が同一の大きさと磁化特性を有する3本の磁性素子301、302、303を等間隔で配置して形成されている。
【0068】
具体的には、専用紙10に形成された各磁性素子301、302、303は、所定の長さと線径を有する磁性ワイヤーであり、専用紙10の搬送方向(図中の矢印方向)と平行な方向に各磁性素子301、302、303が配置間隔Pの等間隔で配置されて形成されている。
【0069】
例えば、磁性素子301の長さ方向の中心位置から磁性素子301と隣り合う磁性素子302の長さ方向の中心位置までの間隔がP、磁性素子302の長さ方向の中心位置から磁性素子302と隣り合う磁性素子303の長さ方向の中心位置までの間隔がPのように各磁性素子301、302、303のうちの互いに隣り合う磁性素子間の配置間隔Pが等間隔で配置されている。
【0070】
また、専用紙10に形成された各磁性素子301、302、303は、各磁性素子301、302、303が磁化反転時に発する磁気パルスが検知コイル32を介して順次検出できるように専用紙10の搬送方向とは平行な方向に対して互いに隣り合う磁性素子間の間隔Sが励磁コイル31と検知コイル32で形成されるコイル幅W以上となるように配置されている。
【0071】
例えば、各磁性素子301、302、303の長さLが5mm、励磁コイル31と検知コイル32で形成されるコイル幅Wが5mmとすると、専用紙10の搬送方向と平行な方向に各磁性素子301、302、303を互いに隣り合う磁性素子間の間隔Sを5mm以上とし、各磁性素子301、302、303の配置間隔Pを5mm以上として専用紙10に配置されている。
【0072】
各磁性素子301、302、303の配置間隔Pは、例えば次式1で算出される。
【0073】
P≧(LM+(n−1)×W)/(n−1)−L1/2
上式1において、Pは各磁性素子301、302、303が互いに隣り合う磁性素子間の配置間隔、LMは各磁性素子301、302、303の長さの総和、nは専用紙10に形成された磁性素子の本数、L1は専用紙10が搬送される方向に対して専用紙10の最前方側に形成された磁性素子の長さ。
【0074】
なお、上式1は、各磁性素子301、302、303の配置間隔Pを互いに隣り合う磁性素子の長さの中心位置から中心位置までの間隔で示した一例であり、専用紙10に形成された各磁性素子301、302、303の配置は、専用紙10の搬送方向と平行な方向に各磁性素子301、302、303のうちの互いに隣り合う磁性素子間の間隔Sが励磁コイル31と検知コイル32で形成されるコイル幅W以上保持されて等間隔に配置されていればよい。
【0075】
なお、励磁コイル31及び検知コイル32内を専用紙10が通過するように励磁コイル31及び検知コイル32を移動させる場合は、専用紙10に形成された各磁性素子301、302、303は、励磁コイル31及び検知コイル32が移動する方向と平行な方向に各磁性素子301、302、303が配置間隔Pの等間隔で配置されて形成されている。
【0076】
また、図3(b)に示すように、各磁性素子301、302、303は長方形状の磁化曲線(B−H曲線)の磁気特性を有するアモルファス磁性ワイヤーであり、このような磁化曲線を有する各磁性素子301、302、303が交番磁界中に置かれると、各磁性素子301、302、303が有する固有の保磁力H1(図3(b)参照)を超える磁界強度の交番磁界を受けることで磁化反転時に急峻な磁気パルスを発する、所謂大バルクハウゼン効果の特性を示す。
【0077】
なお、一般に、アモルファス磁性ワイヤーの磁性素子が有する固有の保磁力は、磁性素子の大きさや形状等により異なり、磁性素子が有する固有の保磁力に応じて磁化反転時に発する磁気パルスの強度も異なる。
【0078】
このように専用紙10には、専用紙10固有の識別情報に対応付けされた複数の磁性素子301、302、303が等間隔で配置されて付与されており、専用紙10が情報読取装置30の励磁コイル31から発せられる所定の交番磁界内を移動することで専用紙10の各磁性素子が順次磁化され、磁化反転時に大バルクハウゼン効果による急峻な磁気パルスを順次発する。
【0079】
専用紙10に形成された磁性素子301、302、303が励磁コイル31から発せられた所定の交番磁界を順次受けて磁化反転時に発する磁気パルスを本発明に係わる情報読取装置30が順次検出し、検出結果に基づき専用紙10の識別情報を読み取る動作について図4及び図5を参照しながら詳細に説明する。
【0080】
図4において、図4(a)は、励磁コイル31及び検知コイル32内を専用紙10が一定の搬送速度Vで移動する際に、専用紙10に形成された磁性素子301が励磁コイル31から発せられた交番磁界401を受けて磁化反転し、その際に発する急峻な磁気パルスを検知コイル32を介して検出する様子を示した図であり、図4(b)は、情報読取装置30の検知回路34が検知コイル32を介して検出した交番磁界401と磁性素子301が発する磁気パルスの検出信号波形402を示す図であり、図4(c)は、検知回路34が検出した検出波形信号402から信号処理部36によって交番磁界成分401を除去後、増幅してノイズ成分を除去した磁気パルスのうちの正のパルス信号成分のパルス信号に対応した検出パルス信号波形を示す図である。
図4(a)に示すように、所定の搬送速度Vで搬送されている専用紙10が励磁コイル31及び検知コイル32内を通過する際には、専用紙10の搬送方向(図中の矢印方向)に対して専用紙10の最前方側に形成された磁性素子301が最初に励磁コイル31から発せられた交番磁界401を受けて磁化反転し、その際に大バルクハウゼン効果による磁気パルスを発する。
【0081】
検知回路34は、励磁コイル31から発せられた交番磁界401及び磁性素子301が磁化反転時に発する磁気パルスをタイミング制御部35によってタイミング制御された基準信号に基づき検知コイル32を介して受信し、図4(b)に示すような検出信号波形402を検知して図示せぬ記憶装置のメモリーにデジタル化して記憶格納する。
【0082】
検出信号波形402には交番磁界の波形信号401の他に磁性素子301が磁化反転時に発する磁気パルスに対応した検出パルス信号A、Bが検出され、これらの検出パルス信号A、Bは、磁性素子301が磁化反転時に発する急峻な磁気パルスに対応して検出される。
【0083】
例えば、図4(b)に示すように、保磁力H1を有する磁性素子301は、交番磁界401がタイミング制御部35から出力された基準信号からの時間t1で磁界強度が略H1になった時に磁化反転し、その際に急峻な磁気パルスAを発する。
【0084】
また、時間t2で交番磁界401の磁界強度が−H1になった時に磁性素子301は、正の磁化から負の磁化へ磁化反転し、その際に急峻な磁気パルス信号Bを発する。
【0085】
検出回路34で検出された検出信号波形402は、信号処理部36へ出力され、検出信号波形402のうちの交番磁界成分の信号波形401が除去されてパルス信号A、Bのうちの正の信号成分であるパルス信号Aが検出され、更に増幅してノイズ成分を除去後、図4(c)に示すような検出パルス信号Aを検出する。
【0086】
検出パルス信号Aを検出後、専用紙10が励磁コイル31及び検知コイル32内を搬送速度Vで搬送されることで専用紙10に形成された磁性素子302、303も順次、磁性素子302、303の順で前述の説明と同様に励磁コイル31から発せられる交番磁界を受けて磁化反転し、その際に発せられる磁気パルスが検知コイル32を介して検知回路34及び信号処理部36により検出される。
【0087】
図5は、前述で説明した搬送速度Vで搬送されている専用紙10に付与された複数の磁性素子301、302、303が励磁コイル31及び検知コイル32内を順次移動し、各磁性素子が磁化反転した時に検出された検出信号波形402及び各磁性素子が発した磁気パルスに対応した検出パルス信号を時系列で示した図である。
【0088】
図5において、図5(a)乃至(c)は、専用紙10に形成された各磁性素子301、302、303がそれぞれ励磁コイル31及び検知コイル32内を順次移動する様子を示した図であり、図5(d)から(f)は、その際に検出された各検出信号波形を示す図である。
【0089】
図5(a)乃至(c)に示すように、専用紙10には専用紙10の搬送方向(図中の矢印方向)の最前方側から磁性素子301、302、303の順に配置間隔Pの等間隔で各磁性素子が配置形成されているので、専用紙10が所定の搬送速度Vで励磁コイル31及び検知コイル32内を搬送されて移動することで、磁性素子301、302、303の順に各磁性素子が励磁コイル31から発せられる交番磁界を受けて磁化反転し、磁化反転時の各磁性素子が発する磁気パルスが検知コイル32を介して検出される。
【0090】
具体的には、例えば、図5(a)に示すように、搬送速度Vで搬送されている専用紙10の磁性素子301が励磁コイル31が発する交番磁界を受けて磁化反転した時間をt1とすると、図5(d)に示すように時間t1の時に検知回路34によって検出信号波形402が検出され、信号処理部36によって磁性素子301の磁化反転による磁気パルスに対応した検出パルス信号Aが検出される。
【0091】
また、図5(b)に示すように、磁性素子301と磁性素子302とは、配置間隔Pだけ離間されて配置されているので、検出パルス信号Aを検出後、配置間隔Pを専用紙10の搬送速度Vで割った値の時間Δt後の時間t3の時に磁性素子302が励磁コイル31が発する交番磁界を受けて磁化反転し、図5(e)に示すような検出信号波形403が検知回路34により検出され、信号処理部36により磁性素子302の磁化反転による磁気パルスに対応した検出パルス信号Cが検出される。
【0092】
更に、図5(c)に示すように、磁性素子302と磁性素子303とは、配置間隔Pだけ離間されて配置されているので、前述と同様に検出パルス信号Cを検出後、配置間隔Pを専用紙10の搬送速度Vで割った値の時間Δt後の時間t4の時に磁性素子303が励磁コイル31が発する交番磁界を受けて磁化反転し、図5(f)に示すような検出信号波形404が検知回路34により検出され、信号処理部36により磁性素子303の磁化反転による磁気パルスに対応した検出パルス信号Dが検出される。
【0093】
このように、複数の磁性素子301、302、303が所定の配置間隔Pの等間隔で配置されて形成された専用紙10が所定の速度Vで励磁コイル31及び検知コイル32内を移動することで専用紙10に形成された複数の磁性素子301、302、303が交番磁界を順次受けて磁化反転し、その際に発せられる急峻な磁気パルスに対応した検出パルス信号が所定の時間、例えばt1、t3、t4で順次検出される。
【0094】
次に、信号処理部36で検出された検出パルス信号に基づき各専用紙に付与された識別情報を多ビット情報として認識し、出力する情報読取装置30のビット出力部37の処理動作について図6を参照しながら詳細に説明する。
【0095】
図6において、図6(a)は、図3で示した配置間隔Pの等間隔で形成された3本の磁性素子301、302、303から成る識別情報が付与された専用紙10と、信号処理部36から出力される専用紙10の検出パルス信号パターン600及びビット出力部37から出力される識別情報を示す図である。
【0096】
図6(a)に示すように、信号処理部36から出力される専用紙10の検出パルス信号パターン600には、各磁性素子301、302、303が発する磁気パルスに対応した3本の検出パルス信号が検出され、検出時間t1、t3、t4の順にそれぞれ磁性素子301、302、303が発する磁気パルスに対応した検出パルス信号がそれぞれ検出される。
【0097】
このようなことから、各検出時間t1、t3、t4の検出パルス信号の有無に応じて「1」、「0」の値を設定する。
【0098】
具体的には、検出時間t1で検出パルス信号の有無の情報を1ビット目の情報、検出時間t3で検出パルス信号の有無の情報を2ビット目の情報、検出時間t4で検出パルス信号の有無の情報を3ビット目の情報として対応付けを行い3ビットの識別情報として出力する。
【0099】
例えば、ビット出力部37は、専用紙10から検出される検出パルス信号パターン600に基づき各検出時間t1、t3、t4でそれぞれ検出パルス信号が検出されているか否かを判別し、検出時間t1に対応付けられた1ビット目が検出パルス信号が「有」で「1」、検出時間t3に対応付けられた2ビット目が検出パルス信号が「有」で「1」、検出時間t4に対応付けられた3ビット目が検出パルス信号が「有」で「1」の値に設定された「111」の多ビットに対応付けを行い、専用紙10に付与された識別情報として出力する。
【0100】
また、図6(b)は、3本の磁性素子301、302、303のうちの磁性素子301、302を配置間隔Pの等間隔で形成して表現された識別情報が付与された専用紙11と、信号処理部36から出力される専用紙11の検出パルス信号パターン601及びビット出力部37から出力される識別情報を示す図であり、専用紙11の検出パルス信号パターン601によれば、各検出時間t1、t3、t4に対応して検出パルス信号がそれぞれ「有」、「有」、「無」と検出されるので「110」と表現された識別情報として認識し、出力する。
【0101】
また、図6(c)は、3本の磁性素子301、302、303のうちの磁性素子301、303を配置形成して表現された識別情報が付与された専用紙12と、信号処理部36から出力される専用紙12の検出パルス信号パターン602及びビット出力部37から出力される識別情報を示す図であり、専用紙12の検出パルス信号パターン601によれば、前述の対応付けと同様に、各検出時間t1、t3、t4に対応して検出パルス信号がそれぞれ「有」、「無」、「有」と検出され、「101」と表現された識別情報として認識し、出力する。
【0102】
また、図6(d)は、3本の磁性素子301、302、303のうちの磁性素子302、303を配置形成して表現された識別情報が付与された専用紙13と、信号処理部36から出力される専用紙13の検出パルス信号パターン603及びビット出力部37から出力される識別情報を示す図であり、専用紙13の検出パルス信号パターン603によれば、各検出時間t1、t3、t4に対応して検出パルス信号がそれぞれ「無」、「有」、「有」と検出され、「011」と表現された識別情報として認識し、出力する。
【0103】
また、図6(e)は、3本の磁性素子301、302、303のうちの磁性素子301を形成して表現された識別情報が付与された専用紙14と、信号処理部36から出力される専用紙14の検出パルス信号パターン604及びビット出力部37から出力される識別情報を示す図であり、専用紙14の検出パルス信号パターン604によれば、各検出時間t1、t3、t4に対応して検出パルス信号がそれぞれ「有」、「無」、「無」と検出され、「100」と表現された識別情報として認識し、出力する。
【0104】
このように、ビット出力部37は信号処理部36で検出された検出パルス信号に基づき各専用紙に付与された各専用紙固有の識別情報を多ビット情報として認識して出力する。
【0105】
なお、図6においては、各検出時間t1、t3、t4の検出パルス信号の有無に応じた多ビット情報への対応付けによる識別情報の読み取り方法の一例を示したが、検出パルス信号の検出本数と、各検出パルス信号間の検出間隔に基づき識別情報を対応付けて読み取るようにしてもよい。
【0106】
これまでの説明は、専用紙に付与された識別情報が一種類の複数の磁性素子を組み合わせて形成された場合での情報読み取り方法の一例について説明した。
【0107】
ここでは、専用紙に付与された識別情報が複数種類の複数の磁性素子を組み合わせて形成された場合の専用紙の識別情報を読み取る方法の一例について説明する。
【0108】
図7は、長さの異なる複数の磁性素子で表現された識別情報が付与された専用紙と専用紙に形成された識別情報に対応付けられら複数ビット情報の一例を示す図である。
【0109】
図7において、図7(a)は、専用紙70に付与された3本の磁性素子304、302、303の配置状態を示す図であり、図7(b)は、信号処理部36から出力される専用紙70の検出パルス信号パターン700を示す図、図7(c)は、専用紙70の検出パルス信号パターン700に対応付けられた複数ビットの識別情報を示す図である。
【0110】
なお、専用紙70に付与された長さの異なる複数の磁性素子の本数及び組み合わせは、特に限定されるものではないが、図7においては、説明の便宜上、二種類の磁性素子を3本を組み合わせて表現された識別情報が付与された場合を想定して説明するものとし、また、二種類の磁性素子3本のうちの2本は、図3で示した専用紙10に形成された同一の大きさと磁気特性を有する磁性素子302、303、他の1本の磁性素子は、磁性素子302、303よりも長さが短く保磁力の小さな値を有する磁性素子304を用いた場合を例として説明する。
【0111】
図7(a)に示すように、専用紙70には、専用紙70固有を識別可能とする識別情報が同一の大きさと磁気特性を有する2本の磁性素子302、303と磁性素子302、303よりも長さが短く保磁力の小さい磁性素子304が配置間隔Pの等間隔で互いに隣り合う各磁性素子の間隔S1、S2が励磁コイル31と検知コイル32で形成されるコイル幅W以上となるように配置されて形成されている。
【0112】
励磁コイル31及び検知コイル32内を一定の搬送速度Vで専用紙70が移動すると、専用紙70に形成された各磁性素子304、302、303は、専用紙70の搬送方向(図中の矢印方向)の最前方側から順次形成されている磁性素子304、302、303の順序で励磁コイル31から発せられる交番磁界を受けて磁化し、各磁性素子が磁化反転時に発する磁気パルスが検知コイル32を介して図7(b)に示すような検出パルス信号パターン700として検出される。
【0113】
図7(b)に示すように、検出時間t5の時に磁性素子304の磁化反転による磁気パルスの検出パルス信号Eが信号処理部36によって検出出力V1で検出され、検出時間t6の時に磁性素子302の磁化反転による磁気パルスの検出パルス信号Fが、検出時間t7の時に磁性素子303の磁化反転による磁気パルスの検出パルス信号Gがそれぞれ検出出力V2で検出される。
【0114】
各検出パルスE、F、Gの検出出力V1、V2を比較してみると、磁性素子302、303よりも長さが短く保磁力の小さい磁性素子304が磁化反転時に発する磁気パルスの磁界強度は、磁性素子302、303が磁化反転時に発する磁気パルスの磁界強度よりも小さいため、磁性素子304の磁化反転による検出パルスEの検出出力V1は、磁性素子302、303の磁化反転による検出パルスF、Gの検出出力V2よりも小さく検出される。
【0115】
このようなことから、各磁性素子304、302、303のうちの磁性素子304が専用紙70の搬送方向(図中の矢印方向)の最前方側から何番目に形成されているかが特定でき、専用紙70に形成された磁性素子304、302、303のうちの各磁性素子304、302、303の配置状態に対応して識別情報を対応付けることができる。
【0116】
具体的には、前述の図6で説明したような対応付けと同様に、信号処理部36で検出された検出パルス信号パターン700に基づきビット出力部37が検出時間t5での検出パルス信号の有無の情報を1ビット目の情報、検出時間t6での検出パルス信号の有無の情報を2ビット目の情報、検出時間t7での検出パルス信号の有無の情報を3ビット目の情報として対応付けた3ビットと、磁性素子304の磁化反転による検出パルス信号Eが検出パルス信号パターン700の何番目に検出されているかの情報を付加した識別情報に対応付けを行う。
【0117】
例えば、信号処理部36により専用紙70から検出される検出パルス信号パターン700に基づきビット出力部37が図7(c)に示すように、検出時間t5に対応付けられた1ビット目は、検出パルス信号が「有」で「1」、検出時間t6に対応付けられた2ビット目は、検出パルス信号が「有」で「1」、検出時間t7に対応付けられた3ビット目は、検出パルス信号が「有」で「1」の値に設定された「111」の情報に対応付けを行い、更に、磁性素子304の磁化反転による磁気パルスに対応した検出パルス信号Eが検出パルス信号パターン700の1番目に「有」で「1」(4ビット目に対応)、2番目に「無」で「0」(5ビット目に対応)、3番目に「無」で「0」(6ビット目に対応)の値に設定された「100」の情報に対応付け、前述の「111」の情報に「100」の情報を付加した「111100」の多ビットに対応付けを行うことで、専用紙70に付与された識別情報を「111100」の多ビット情報として出力する。
【0118】
このように、専用紙固有の識別情報を複数種類の複数の磁性素子の組み合わせで対応付けることにより、より多くのビット情報で表現された識別情報と専用紙に付与することができる。
【0119】
図8は、前述の図7で説明した磁性素子302、303、304を組み合わせて表現された識別情報が付与された専用紙80、81、82、83と、信号処理部36から出力される各専用紙の検出パルス信号パターン及びビット出力部37から出力される各検出パルス信号パターンに対応付けされた識別情報を示す図である。
【0120】
図8において、図8(a)は、磁性素子302、303、304を専用紙の搬送方向(図中の矢印方向)の最前方側から磁性素子302、304、303の順に配置間隔Pの等間隔で配置形成された専用紙80を示す図であり、図8(e)は、信号処理部36から出力される専用紙80の検出パルス信号パターン800及びビット出力部37から出力される専用紙80の識別情報を示す図である。
【0121】
図8(a)、(e)に示すように、信号処理部36から出力される専用紙80の検出パルス信号パターン800には、各磁性素子302、304、303が発する磁気パルスに対応した3本の検出パルス信号が検出され、検出時間t5、t6、t7の順にそれぞれ磁性素子302、304、303が発する磁気パルスに対応した検出パルス信号がそれぞれ検出される。
【0122】
検出パルス信号パターン800に基づき前述の図7で説明した検出パルス信号パターンと識別情報との対応付けと同様な対応付けを行うことで、例えば各検出時間t5、t6、t7でそれぞれ検出パルス信号が検出されているか否かを判別し、検出時間t5に対応付けられた1ビット目が検出パルス信号が「有」で「1」、検出時間t6に対応付けられた2ビット目が検出パルス信号が「有」で「1」、検出時間t7に対応付けられた3ビット目が検出パルス信号が「有」で「1」の値に設定された「111」の多ビットに対応付けを行い、更に、磁性素子304の磁化反転による磁気パルスに対応した検出パルス信号Eが検出パルス信号パターン800の1番目に「無」で「0」、2番目に「有」で「1」、3番目に「無」で「0」の値に設定された「010」の情報に対応付け、前述の「111」の情報に「010」の情報を付加した「111010」の多ビットに対応付けを行い、専用紙80に付与された識別情報を「111010」の識別情報として認識し、出力する。
【0123】
また、図8(b)は、3本の磁性素子302、303、304を専用紙の搬送方向(図中の矢印方向)の最前方側から磁性素子302、303、304の順に配置間隔Pの等間隔で配置形成された識別情報が付与された専用紙81を示す図、図8(f)は、信号処理部36から出力される専用紙81の検出パルス信号パターン801及びビット出力部37から出力される識別情報を示す図であり、図8(b)、(f)に示すように、専用紙81の検出パルス信号パターン801によれば、各検出時間t5、t6、t7に対応して検出パルス信号がそれぞれ「有」、「有」、「有」と検出されるので「111」の値に対応付けを行い、更に、磁性素子304の磁化反転による磁気パルスに対応した検出パルス信号Eが検出パルス信号パターン801の1番目に「無」で「0」、2番目に「無」で「0」、3番目に「有」で「1」の「001」の値に対応付けされ、前述の「111」の情報に「001」の情報を付加した「111001」と表現された識別情報として認識し、出力する。
【0124】
また、図8(c)は、3本の磁性素子302、303、304のうちの専用紙の搬送方向(図中の矢印方向)の最前方側から磁性素子304、302の順に配置間隔Pの等間隔で配置形成された識別情報が付与された専用紙82を示す図、図8(g)は、信号処理部36から出力される専用紙82の検出パルス信号パターン802及びビット出力部37から出力される識別情報を示す図であり、図8(c)、(g)に示すように専用紙82の検出パルス信号パターン802によれば、各検出時間t5、t6、t7に対応して検出パルス信号がそれぞれ「有」、「有」、「無」と検出されるので「110」の値に対応付けを行い、更に、磁性素子304の磁化反転による磁気パルスに対応した検出パルス信号Eが検出パルス信号パターン802の1番目に「有」で「1」、2番目に「無」で「0」、3番目に「無」で「0」の「100」の値に対応付けされ、前述の「110」の情報に「100」の情報を付加した「110100」と表現された識別情報として認識し、出力する。
【0125】
また、図8(d)は、3本の磁性素子302、303、304のうちの専用紙の搬送方向(図中の矢印方向)の最前方側から磁性素子302、304の順に配置間隔Pの等間隔で配置形成された識別情報が付与された専用紙83を示す図、図8(h)は、信号処理部36から出力される専用紙83の検出パルス信号パターン803及びビット出力部37から出力される識別情報を示す図であり、図8(d)、(h)に示すように専用紙83の検出パルス信号パターン803によれば、各検出時間t5、t6、t7に対応して検出パルス信号がそれぞれ「有」、「有」、「無」と検出されて「110」の値に対応付けされ、更に、磁性素子304の磁化反転による磁気パルスに対応した検出パルス信号Eが検出パルス信号パターン802の1番目に「無」で「0」、2番目に「有」で「1」、3番目に「無」で「0」の「010」の値に対応付けされ、前述の「110」の情報に「010」の情報を付加した「110010」と表現された識別情報として認識し、出力する。
【0126】
このように、専用紙に付与された識別情報が複数種類の複数の磁性素子を組み合わせて形成されることで、一種類の複数の磁性素子を組み合わせて形成された識別情報よりも多ビットの情報で表現でき、より多くの情報を読み取ることが可能となる。
【0127】
なお、ここでは、専用紙固有を識別可能とする識別情報が同一の大きさと磁気特性を有する2本の磁性素子302、303と磁性素子302、303よりも長さが短く保磁力の小さい磁性素子304が配置間隔Pの等間隔で互いに隣り合う各磁性素子の間隔S1、S2が励磁コイル31と検知コイル32で形成されるコイル幅W以上となるように配置されて形成されている例で説明したが、図9に示すように各磁性素子302、303、304のうちの互いに隣り合う磁性素子間の間隔Sを等間隔とし、間隔Sが励磁コイル31と検知コイル32で形成されるコイル幅W以上となるように配置形成するように構成してもよく、この場合も前述の図7及び図8の説明と同様に識別情報を少なくとも一種類以上の複数の磁性素子を組み合わせて形成された識別情報を専用紙に付与し、専用紙に付与された識別情報を読み取ることができる。
【実施例2】
【0128】
前述の実施例1では、専用紙の識別情報が識別情報に対応付けされた少なくとも一種類以上の複数の磁性素子で形成付与され、各磁性素子が磁化反転時に発する磁気パルスを順次検出することで多ビットの情報で表現された専用紙固有の識別情報を読み取る一例について説明した。
【0129】
この実施例2では、専用紙または原稿等に付与された識別情報が識別情報に対応付けされた少なくとも一種類以上の複数の磁性素子で形成付与され、各磁性素子が磁歪振動することで発する電磁波を順次検出することで多ビットの情報で表現された識別情報を読み取る一例について説明する。
【0130】
図10は、本発明に係わる情報読取方法及び情報読取装置を図1で示した複写機100とは他の原稿自動送り装置(ADF)を備えた複写機110に適用した場合の要部の構成を概略的に示したブロック図である。
【0131】
図10に示すように、複写機110は、原稿自動送り装置により搬送される原稿16が本発明に係わる情報読取装置38の励磁コイル31及び検知コイル32内を移動するように励磁コイル31及び検知コイル32が原稿自動送り装置内の原稿16の搬送経路上に配置され、原稿16に付与された識別情報に対応付けられた少なくとも一種類以上の複数の磁性素子が磁歪振動時に発する電磁波を順次検出することで多ビットの情報で表現された原稿16の識別情報を読み取るように構成されている。
【0132】
また、複写機110において、図1で示した複写機100と同様な構成及び動作する各部については説明の便宜上、複写機100と同一の符号が付してある。
【0133】
図10に示すように複写機110は、原稿16の画情報を順次走査して読み取る画像読取装置21と、原稿挿入口7に置かれた原稿16を画像読取装置21の図示せぬ画像走査部に搬送して原稿16の画情報を読み取らせるように自動搬送する原稿自動送り装置6と、画像読取装置21によって読み取られ、メモリに記憶された原稿16の画情報を用紙トレイ4から給紙された用紙15上に印刷する画像形成部50(図中の破線で囲まれた部分)と、原稿自動送り装置6により搬送されている原稿16に予め付与された原稿16固有の識別情報を検出して読み取る情報読取装置38と、複写機110全体を統括制御する制御部41とを備えている。
【0134】
また、画像形成部50は、図1で示した複写機100の構成及び動作と同様に、画像読取装置21で読み取られて入力された原稿16の画像データに対応した潜像及びトナー画像を形成する感光ドラム52及び現像器53と、感光ドラム52上に形成されたトナー画像を用紙トレイ4から給紙された用紙15上に転写し、定着させる転写ドラム54及び定着装置55とを備えている。
【0135】
また、複写機110には、原稿自動送り装置6により原稿16が搬送されることで情報読取装置38の励磁コイル31及び検知コイル32内を原稿16が移動するように原稿自動送り装置6の原稿16の搬送経路上に励磁コイル31及び検知コイル32が配置されている。
【0136】
原稿16には、原稿16固有を識別可能とする識別情報が付与されており、情報読取装置38が読み取った原稿16の識別情報に基づき原稿16が複写不可の原稿であるか否かを判別し、複写不可の原稿と判別した場合は、印刷動作を禁止する制御を行い原稿16が不正複写されることを防止する。
【0137】
原稿16の識別情報は、識別情報に対応付けされた少なくとも一種類以上の複数の磁性素子を組み合わせて原稿16に予め形成付与されており、原稿16が原稿自動送り装置6による搬送中に情報読取装置38の励磁コイル31及び検知コイル32によって各磁性素子が励磁され、各磁性素子が磁歪振動により発する電磁波が検出されて、検出結果に基づき原稿16の識別情報が読み取られる。
【0138】
情報読取装置38によって読み取られた識別情報は、制御部41へ出力され、制御部41が情報読取装置38で読み取られた原稿16の識別情報に基づき原稿16が複写不可の原稿であるか否かを判別し、複写不可の場合は、画像読取装置21で読み取った原稿16の画情報を印刷出力する処理動作を禁止する制御を行うように構成されている。
【0139】
このように構成された複写機110を用いることにより、原稿16の画情報が不正に複写されて印刷出力されることを防止し、機密情報等の不用意な複写等による漏洩を防止し、有価証券等の複写による偽造を防止することが可能となる。
【0140】
図11は、図10で示した複写機110の情報読取装置38の要部の構成を示すブロック図である。
【0141】
図11に示すように、情報読取装置38は、識別情報310に対応付けされた複数の磁性素子が形成された原稿16が励磁コイル31及び検知コイル32内を移動することで原稿16に形成された複数の磁性素子を非接触で順次検出し、検出した複数の磁性素子の数と配置間隔に基づき原稿16の識別情報310を多ビット情報で識別できるように構成されている。
【0142】
また、原稿16に形成された各磁性素子の検出は、各磁性素子に対して交番磁界の周波数を例えば低周波から高周波へ順次変化させながら交番磁界を一定時間与えた後、励磁コイル31からの交番磁界の発信を一時停止し、その間に各磁性素子の磁歪振動により発せられる電磁波を検出するように構成されている。
【0143】
なお、励磁コイル31から発せられる交番磁界は、所定の低周波から所定の高周波へ順次変化し、所定の高周波に達したら再び所定の低周波から所定の高周波へ順次変化するような動作を繰り返すように構成されている。
【0144】
情報読取装置38の構成は、具体的には、励磁コイル31を介して低周波から高周波へ順次変化する所定の交番磁界を発信させるための制御を行う励磁回路330と、励磁コイル31から発せられた所定の交番磁界内を原稿16が移動することで、原稿16に形成された原稿16固有の識別情報310に対応付けされた複数の磁性素子が順次磁化されて磁歪振動し、その際に発せられる電磁波を検知コイル32を介して電圧信号で検出する検知回路340と、検知回路340で検出された検出信号に基づき原稿16の識別情報310をビット出力するビット出力部370と、励磁回路330及び検知回路340との周波数制御を行う周波数制御回路350を備えている。
【0145】
なお、周波数制御回路350は、励磁回路330で生成した交番磁界の周波数に対応して検知回路340のバンドパスフィルター回路等の設定周波数を帯域制限等の制御動作を行う。
【0146】
このように構成された情報読取装置38は、例えば励磁回路330において、図示せぬ電圧制御発振回路(例えば、VCO=Voltage Controlled Oscillator等)に電圧を供与し、電圧制御発振回路で制御された電圧に応じた波形信号を生成し、生成された波形信号を電力増幅して励磁コイル31を介して低周波から高周波へ、もしくは高周波から低周波へ連続して直線的に変化する交番磁界を発信するような制御を行う。
【0147】
この実施例では、所定の低周波から所定の高周波へ連続して直線的に変化する交番磁界を間欠的に発信する。
【0148】
具体的には、所定の低周波の交番磁界を一定時間発信後、一定時間発信を停止し、次に高い所定周波数の交番磁界を一定時間発信後、一定時間発信を停止して順次同様な発信と発信停止を所定の高周波に達するまで繰り返す。
【0149】
そして、交番磁界の周波数が所定の高周波に達したら、再び所定の低周波から所定の高周波へ連続して直線的に変化する交番磁界の発信と発信停止の動作を繰り返す。
【0150】
検知回路340は、原稿16固有の識別情報310に対応付けられた少なくとも一種類以上の複数の磁性素子が磁歪振動によって発する電磁波を検知コイル32を介して検出し、ビット出力部370が検知回路340で検出された検出信号に基づき原稿16の識別情報を多ビットの情報に対応付けて出力する。
【0151】
具体的には、検知コイル32を介して検出された各磁性素子の磁歪振動により発せられる電磁波は、電圧信号の受信信号として検出され、検知回路340内の図示せぬバンドパスフィルター回路等で濾波され、図示せぬ増幅回路等で増幅されて原稿16に形成された識別情報の検出信号としてビット出力部370へ出力される。
【0152】
ビット出力部370は、入力された検出信号に基づき「1」または「0」の値で表現された多ビットの情報に対応付けを行い、原稿16に付与された識別情報に変換して複写機110の制御部41へ出力する。
【0153】
制御部41は、情報読取装置38によって読み取られて出力された原稿16の識別情報に基づき画像読取装置21で読み取った原稿16の画情報を印刷出力する動作を行うか、もしくは、「この原稿の複写は禁止されています」等のメッセージを図示せぬ音声装置等で通知するとともに、原稿16の画情報の印刷出力動作を禁止する制御を行う。
【0154】
このように、情報読取装置38は、少なくとも一種類以上の複数の磁性素子で対応付けされた識別情報が形成された原稿16を励磁コイル31及び検知コイル32内を移動させるか、または励磁コイル31及び検知コイル32内を原稿16が通過するように励磁コイル31及び検知コイル32を移動させることで、原稿16に形成された識別情報に対応付けされた各磁性素子に対して低周波から高周波へ、もしくは高周波から低周波へ順次変化する所定の交番磁界を順次与え、各磁性素子の磁歪振動により発せられる電磁波を順次検出し、検出した検出信号のパターンに基づき原稿16に付与された識別情報を読み取るように構成されている。
【0155】
このように構成された情報読取装置38が少なくとも一種類以上の複数の磁性素子の組み合わせにより対応付けられて表現された原稿16の識別情報を読み取る方法について図12を参照しながら詳細に説明する。
【0156】
図12は、二種類の複数の磁性素子をから成る多ビット情報で表現された識別情報310が付与された原稿16から識別情報310を情報読取装置38が読み取る方法の一例を示す図である。
【0157】
図12(a)は、原稿16に付与された識別情報310に対応付けされた2本の磁性素子311、312の配置状態を示す図であり、図12(b)、(c)は、励磁コイル31及び検知コイル32内を原稿16が一定の搬送速度Vで移動することで情報読取装置38の検知回路340で検出された原稿16の検出信号を示す図、図12(d)は、原稿16から検出された検出信号に対応付けられた複数ビットの識別情報を示す図である。
【0158】
なお、原稿16に予め付与された識別情報に対応付けられた磁性素子は、複数種類の複数の磁性素子を組み合わせて付与することが可能であるが、図12においては、説明の便宜上、二種類の磁性素子を2本用いた例で示してある。
【0159】
図12(a)に示すように、原稿16には、原稿16を識別可能とする識別情報310が所定周波数の交番磁界を受けて磁歪振動する特性を有する長さの異なる細い薄箔の磁性素子311、312で対応付けられて付与されており、各磁性素子は、原稿16の搬送方向(図中の矢印方向)と平行な方向に配置間隔Pの間隔で配置されて形成されている。
【0160】
また、原稿16に形成された各磁性素子は、各磁性素子が磁歪振動した時に発する電磁波が検知コイル32を介して順次検出できるように原稿16の搬送方向とは平行な方向に対して各磁性素子間の間隔Sが励磁コイル31と検知コイル32で形成されるコイル幅W以上となるように配置されている。
【0161】
また、各磁性素子は、具体的にはフェライトやアモルファス等の素子であり、外部から磁界を受けることで寸法変化を起こすような、いわゆる磁歪特性を有している。
【0162】
なお、ここでは、各磁性素子の長さが磁性素子311<磁性素子312として説明する。
【0163】
このような磁歪特性を有する磁性素子311、312に対して低周波から高周波へ、もしくは高周波から低周波へ順次変化する所定の交番磁界を与えると、各磁性素子は、それぞれ特定の周波数の交番磁界を受けた時に最も大きく磁歪振動する。
【0164】
また、各磁性素子が最も大きく磁歪振動する交番磁界の周波数は、各磁性素子の大きさや形状等によって異なり、各磁性素子の大きさや形状等に応じてそれぞれ固有の周波数(以下、「共振周波数」という。)を有する。
【0165】
なお、ここでは、各磁性素子が最も大きく磁歪振動する共振周波数は、それぞれ磁性素子311がf2、磁性素子312がf1であるものとして説明する。
【0166】
また、逆に各磁性素子が磁歪振動することで、各磁性素子が寸法変化を起こし、各磁性素子から電磁波が発せられる。
【0167】
このようなことから、原稿16に付与された各磁性素子に対して各磁性素子固有の共振周波数に対応した交番磁界を与えて磁歪振動させ、各磁性素子が発する電磁波を検出することで原稿16に付与された各磁性素子の存在を検出することができる。
【0168】
図12(a)に示すように、情報読取装置38は、所定の搬送速度Vで搬送されている原稿16が励磁コイル31及び検知コイル32内を移動する際に、原稿16の搬送方向(図中の矢印方向)に対して原稿16の最前方側に形成された磁性素子311が最初に励磁コイル31から発せられる所定の交番磁界を受けて磁歪振動し、その際に発せられる電磁波が検知コイル32を介して検出される。
【0169】
また、磁性素子311から配置間隔Pだけ離間されて配置されている磁性素子312は、配置間隔Pを原稿16の搬送速度Vで割った値の時間Δt後に励磁コイル31から発せられる所定の交番磁界を受けて磁歪振動し、その際に発せられる電磁波が検知コイル32を介して検出される。
【0170】
そこで、例えば、原稿16が原稿16の搬送経路に沿って画像読取装置21を通過後、励磁コイル31及び検知コイル32内へ搬送される途上において、図示せぬ位置検知センサーで位置検知センサーの直前を通過する原稿16を検出し、検出結果を情報読取装置38へ出力することで、情報読取装置38が励磁コイル31を介して低周波から高周波へ順次変化する所定の交番磁界を間欠的に発信し、交番磁界の周波数が所定の高周波に達したら、再び所定の低周波から所定の高周波へ連続して直線的に変化する交番磁界の発信する繰り返し動作の回数nをカウントとし、原稿16の各磁性素子が何カウント目にそれぞれ検出されたかに基づき各磁性素子と各磁性素子の配置位置を特定する。
【0171】
具体的には、位置検知センサーが位置検知センサーの直前を通過する原稿16を検出すると、図示せぬカウンタnの値を「1」に設定し、情報読取装置38が原稿16の各磁性素子を検出するまでの所定の低周波から所定の高周波へ順次変化させ、再び所定の低周波から所定の高周波へ順次変化させた繰り返し動作回数をカウントアップしてカウンタnの値に設定することで原稿16に付与された各磁性素子と配置位置を特定する。
【0172】
図12(b)は、原稿16の磁性素子311の検出信号を示しており、例えばカウンタnの値が「5」の時、即ち、5回目(n=5)の所定の低周波から所定の高周波への発信動作の時に、共振周波数がf2である磁性素子311が周波数f2近傍の交番磁界を受けて磁歪振動し、その際に発する電磁波が検出信号Lで検出される。
【0173】
また、図12(c)は、原稿16の磁性素子312の検出信号を示しており、例えばカウンタnの値が「15」の時、即ち、15回目(n=15)の所定の低周波から所定の高周波への発信動作の時に、共振周波数がf1である磁性素子311が周波数f1近傍の交番磁界を受けて磁歪振動し、その際に発する電磁波が検出信号Mで検出される。
【0174】
このようなことから、各磁性素子311、312が原稿16の搬送方向(図中の矢印方向)の最前方側から何番目に形成されているかが特定でき、原稿16に形成された各磁性素子の配置状態に対応して識別情報を対応付けることができる。
【0175】
具体的には、例えば、検出回路340で検出された検出信号に基づきカウンタnの値が「5」での検出信号の有無の情報を1ビット目の情報、その時の共振周波数が例えばf1であるか否かの情報を2ビット目の情報、共振周波数が例えばf2であるか否かの情報を3ビット目の情報、カウンタnの値が例えば「15」での検出信号の有無の情報を4ビット目の情報、その時の共振周波数が例えばf1であるか否かの情報を5ビット目の情報、共振周波数が例えばf2であるか否かの情報を6ビット目の情報として対応付けた識別情報に対応付けを行う。
【0176】
例えば、図12(b)、(c)で示すような検出信号が原稿16から検出された場合は、検出信号に基づきビット出力部370が図12(d)に示すように、カウンタnの値が「5」に対応付けられた1ビット目は、検出パルス信号が「有」で「1」、その時の共振周波数f1の検出信号に対応付けられた2ビット目は、検出信号が「無」で「0」、共振周波数f2の検出信号に対応付けられた3ビット目は、検出信号が「有」で「1」、次に、カウンタnの値が「15」に対応付けられた4ビット目は、検出パルス信号が「有」で「1」、その時の共振周波数f1の検出信号に対応付けられた5ビット目は、検出信号が「有」で「1」、共振周波数f2の検出信号に対応付けられた6ビット目は、検出信号が「無」で「0」の各値に設定された「101110」の情報に対応付けを行い、原稿16に付与された識別情報を「101110」の多ビット情報として出力する。
【0177】
このように、原稿16に形成された少なくとも一種類以上の複数の磁性素子の各共振周波数fと配置位置に対応したカウントnの値とに対応して、原稿16に形成された識別情報を対応付けることで多ビットの情報表現が可能となる。
【0178】
図13は、二種類の磁性素子を配置間隔Pで形成して表現した識別情報が付与された原稿16、17、18、19と、検出回路340から出力される各原稿の検出信号及びビット出力部370から出力される各検出信号に対応付けされた識別情報を示す図である。
【0179】
図13において、図13(a)は、前述の図12(a)で説明で示した磁性素子311、312が付与された原稿16を示す図であり、原稿16から検出された検出信号パターン1300から原稿16に付与された識別情報が「101110」の識別情報として認識し、出力される。
【0180】
また、図13(b)に示す原稿17は、図12(a)で示した原稿16に付与された磁性素子311、312が配置換えされて付与されており、原稿17の検出信号パターン1301によれば、カウンタnの値が「5」の時、検出信号が「有」で「1」、共振周波数f1の検出信号が「有」で「1」、共振周波数f2の検出信号が「無」で「0」、カウンタnの値が「15」の時、検出信号が「有」で「1」、共振周波数f1の検出信号が「無」で「0」、共振周波数f2の検出信号が「有」で「1」の各値に設定された「110101」の情報に対応付けを行い、原稿17に付与された識別情報を「110101」の多ビット情報として出力する。
【0181】
また、図13(c)に示す原稿18は、図13(a)で示した原稿16に付与された磁性素子311、312の他に、磁性素子312と同一の長さと共振周波数を有する磁性素子313を付加して付与されており、原稿18の検出信号パターン1302によれば、カウンタnの値が「5」の時、検出信号が「有」で「1」、共振周波数f1の検出信号が「有」で「1」、共振周波数f2の検出信号が「有」で「1」、カウンタnの値が「15」の時、検出信号が「有」で「1」、共振周波数f1の検出信号が「有」で「1」、共振周波数f2の検出信号が「無」で「0」の各値に設定された「111110」の情報に対応付けを行い、原稿18に付与された識別情報を「111110」の多ビット情報として出力する。
【0182】
また、図13(d)に示す原稿19は、図13(c)で示した原稿17に付与された磁性素子311、312、313が配置換えされて付与されており、原稿19の検出信号パターン1303によれば、カウンタnの値が「5」の時、検出信号が「有」で「1」、共振周波数f1の検出信号が「有」で「1」、共振周波数f2の検出信号が「無」で「0」、カウンタnの値が「15」の時、検出信号が「有」で「1」、共振周波数f1の検出信号が「有」で「1」、共振周波数f2の検出信号が「有」で「1」の各値に設定された「110111」の情報に対応付けを行い、原稿19に付与された識別情報を「110111」の多ビット情報として出力する。
【0183】
このように、原稿に付与された識別情報が少なくとも一種類以上の複数の磁性素子を組み合わせて形成し、各磁性素子が磁歪振動することで発する電磁波を順次検出することで、各磁性素子から発せられた電磁波が検出されたカウントnの値と共振周波数fに基づき多ビットの情報で表現された識別情報を読み取ることができる。
【0184】
なお、前述で説明した検出信号に基づく多ビット情報の識別情報への対応付けは一例を示したものであり、この対応付けに限定されるものではなく、種々の方法で多ビットの情報として対応付けが可能である。
【0185】
図14は、少なくとも一種類以上の複数の磁性素子を組み合わせて対応付けられた識別情報320が付与された専用用91と、専用紙91に付与された識別情報320を読み取る情報読取装置の励磁コイル及び検知コイルとの配置関係について示した図である。
【0186】
図14において、図14(a)は、移動する専用紙91が励磁コイル31及び検知コイル32の側面を通過するように配置された状態を示す平面図であり、図14(b)乃至(c)は、図14(a)に示した励磁コイル31及び検知コイル32と専用紙91との配置関係における側面図である。
【0187】
図14(a)及び(b)に示すように、励磁コイル31及び検知コイル32は、移動する専用紙91の片側に配置しても良く、また、図14(a)及び(c)に示すように、移動する専用紙91が励磁コイル31と検知コイル32で挟まれるように配置しても良く、また、図14(a)及び(d)に示すように、移動する専用紙91の両側にそれぞれ励磁コイル31及び検知コイル32を配置しても良い。
【0188】
このように、少なくとも一種類以上の複数の磁性素子を組み合わせて対応付けられた識別情報320が付与された専用紙91を励磁コイル31及び検知コイル32の側面を移動させるか、または励磁コイル31及び検知コイル32の側面を専用紙91が移動するように励磁コイル31及び検知コイル32を移動させることで、専用紙91に形成された各磁性素子が非接触で順次検出され、検出結果に基づき多ビットの情報で表現された識別情報320が容易に確実に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】本発明に係わる情報読取装置30が適用された複写機100の要部の構成を示すブロック図
【図2】本発明に係わる情報読取装置30の要部の構成を示すブロック図
【図3】複数の磁性素子から成る識別情報が付与された専用紙10の一例を示す図
【図4】情報読取装置30が専用紙10の識別情報を読み取る動作の説明図
【図5】情報読取装置30が専用紙10から検出した検出パルス信号の時系列図
【図6】検出パルス信号に基づき専用紙に付与された識別情報を多ビット情報に変換し、出力する処理動作を示す図
【図7】長さの異なる複数の磁性素子で表現された識別情報に対応付けられた複数ビット情報の一例を示す図
【図8】二種類の複数の磁性素子で表現された識別情報の一例を示す図
【図9】情報読取装置30が二種類の複数の磁性素子で表現された識別情報を読み取る動作の説明図
【図10】情報読取装置30とは他の本発明に係わる情報読取装置38が適用された原稿自動送り装置を備えた複写機110の要部の構成を示すブロック図
【図11】複写機110の情報読取装置38の要部の構成を示すブロック図
【図12】情報読取装置38が少なくとも一種類以上の複数の磁性素子の組み合わせにより対応付けられて表現された識別情報を読み取る方法の説明図
【図13】情報読取装置38が磁歪振動する二種類の磁性素子で表現された識別情報を読み取る動作の説明図
【図14】少なくとも一種類以上の複数の磁性素子で表現された識別情報が付与された用紙の移動経路と、情報読取装置の励磁コイル及び検知コイルとの配置関係の一例を示す図
【符号の説明】
【0190】
1、16、17、18、19 原稿
2 プラテンカバー
3 プラテンガラス
4 用紙トレイ
5 排紙トレイ
6 原稿自動送り装置
7 原稿挿入口
10、11、12、13、14、70、80、81、82、83、90、91専用紙
15 用紙
20 画像処理部
21 画像読取装置
30、38 情報読取装置
31 励磁コイル
32 検知コイル
33、330 励磁回路
34、340 検知回路
35 タイミング制御部
36 信号処理部
37、370 ビット出力部
40、41 制御部
50 画像形成部
51 露光制御部
52 感光ドラム
53 現像器
54 転写ドラム
55 定着装置
100、110 複写機
300、310、320 識別情報
301、302、303、304 大バルクハウゼン効果特性を有する磁性素子
311、312 磁歪振動する特性を有する磁性素子
350 周波数制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの磁性素子を所定方向に配列して媒体に付与し、
該媒体に付与された磁性素子に磁界を与えるとともに、該磁界により前記複数の磁性素子から発生される信号を検出する励磁検知手段と前記媒体とのどちらか一方もしくは両方を前記所定方向に相対的に移動させ、
前記励磁検知手段の励磁により前記磁性素子から順次発生される信号を前記励磁検知手段により検出することで前記媒体に付与された磁性素子により形成される情報を読み取る ことを特徴とする情報読取方法。
【請求項2】
前記媒体に付与される磁性素子は、
前記励磁検知手段の前記所定方向の幅と等しいか若しくは大きい所定の間隔で前記所定方向に配設され、
前記磁性素子により形成される情報は、
該磁性素子の数に対応して特定される
ことを特徴とする請求項1記載の情報読取方法。
【請求項3】
前記磁性素子は、
長さが異なる磁性素子を含み、
前記磁性素子により形成される情報は、
該磁性素子の数および長さの組み合わせに対応して特定される
ことを特徴とする請求項2記載の情報読取方法。
【請求項4】
前記磁性素子は、
磁気特性が異なる磁性素子を含み、
前記磁性素子により形成される情報は、
該磁性素子の数および長さおよび磁気特性のうちの少なくとも2つの組み合わせに対応して特定される
ことを特徴とする請求項2または3記載の情報読取方法。
【請求項5】
前記磁性素子から発生される信号は、
前記磁性素子が磁化反転時に発する磁束変化に基づく信号である
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報読取方法。
【請求項6】
前記磁性素子から発生される信号は、
前記磁性素子が磁歪振動により発する信号である
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報読取方法。
【請求項7】
前記励磁検知手段は、
媒体の画情報を読み取る画情報読取手段に設けられ、
前記画情報読取手段により前記媒体の画情報を読み取る際の媒体の移動経路に配置される
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報読取方法。
【請求項8】
前記励磁検知手段は、
媒体の画情報を印刷出力する画情報印刷出力手段に設けられ、
前記画情報印刷出力手段により前記媒体の画情報が印刷出力されて排紙される移動経路に配置される
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報読取方法。
【請求項9】
媒体に所定方向に配列されて付与された少なくとも1つの磁性素子に磁界を与え、該磁界により前記磁性素子から発生される信号に基づき前記媒体に付与された情報を読み取る情報読取装置であって、
前記媒体に付与された磁性素子に磁界を与え、該磁界により前記磁性素子から発生される信号を検出する励磁検知手段と、
前記励磁検知手段と前記媒体とのどちらか一方もしくは両方を前記所定方向に相対的に移動させる移動制御手段と、
前記励磁検知手段の励磁により前記磁性素子から順次発生される信号を前記励磁検知手段により検出することで前記媒体に付与された磁性素子により形成される情報を読み取る情報読取手段と
を具備することを特徴とする情報読取装置。
【請求項10】
磁界が与えられることにより信号を発生する磁性素子を付与した媒体であって、
前記磁性素子は、
前記励磁検知手段の前記所定方向の幅と等しいか若しくは大きい所定の間隔で所定方向に配設され、
前記磁性素子の数に対応して前記媒体を特定する情報を形成する
ことを特徴とする媒体。
【請求項11】
前記磁性素子は、
長さが異なる磁性素子を含み、
前記磁性素子の数および長さの組み合わせに対応して前記媒体を特定する情報を形成する
ことを特徴とする請求項10記載の媒体。
【請求項12】
前記磁性素子は、
磁気特性が異なる磁性素子を含み、
前記磁性素子により形成される情報は、
該磁性素子の数および長さおよび磁気特性のうちの少なくとも2つの組み合わせに対応して前記媒体を特定する情報を形成する
ことを特徴とする請求項10または11記載の媒体。
【請求項13】
前記磁性素子から発生される信号は、
前記磁性素子が磁化反転時に発する磁束変化に基づく信号である
ことを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の媒体。
【請求項14】
前記磁性素子から発生される信号は、
前記磁性素子が磁歪振動により発する信号である
ことを特徴とする請求項10至12のいずれかに記載の媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−59259(P2006−59259A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242517(P2004−242517)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】