説明

磁性複合材料およびこれを含む物品

少なくとも1種の重合可能なポリマーを含むモノマー混合物を、重合させることによって得られるポリマーおよび磁性材料を含有する樹脂を含む複合材料であり、シート素材および収納容器などの物品を製造するのに使用することができる複合材料。この複合材料は、磁性材料を機械的に粉砕して樹脂中に入れることによって、またはバルク、懸濁、乳化、ミニ乳化またはミクロ乳化重合技法を使用することによって製造することができ、樹脂は磁性材料の存在下において形成される。この複合材料から作製された物品は、物品の盗難を防止する方法に使用することができ、この方法は、上述の容器を提供すること、質問区域に磁場を印加すること、容器を質問区域中に移動させること、および質問区域中に移動していく容器からの磁気応答を検出することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気特性を有する複合材料、このような複合材料を含有するシート、および磁性複合材料を含有する物品、場合によっては収納容器、を対象とする。
【背景技術】
【0002】
いくつかの受動的データタグシステムは、当技術分野において知られている。一例として、光学的に読み取られる線の印刷されたパターンに基づく、バーコードと呼ばれるデータタグはよく知られている。バーコードシステムは、低コストであり、通常、インキと紙のみを必要とする。読み取り器も、また、比較的低コストであり、通常、走査レーザビームを使用する。多くの主要な用途に関して、バーコードシステムについての唯一の真の欠陥は、読み取り器とタグとの間に視線(line of sight)が必要なことである。
【0003】
視線が可能でない用途の場合は、光の透過を使用しないシステムが開発されている。ある1つのこのようなシステムは、タグと質問器電子機器回路との間を組合せるために磁気誘導を使用する。通常、これらの用途は、50kHzから1MHzの周波数範囲にある交番磁場により作動し、一般に、集積電子回路(チップ)を使用して受送信機能に対処し、データの保存および操作を実現する。電池が必要なことを回避するために、チップの電力は、アンテナコイルにより受信された質問信号を整流することによって得られる。移動する電力を増大させるために、また不要な信号および干渉を区別するために、コイルは、通常、質問信号搬送周波数の周波数においてコンデンサと共振させられる。
【0004】
別のマルチビットデータタグシステムは、従来の高周波無線技術、または表面音波または磁気ひずみ現象に基づく技術を使用する。
【0005】
米国特許第6144300号に記載の特別なシステムは、磁気タグまたはマーカを、これらを用いてこのようなタグが質問を受けることのできる、さまざまな技法と共に使用している。例としては、磁気マーカまたはタグは、所定の質問区域内の磁気タグまたはマーカに質問する方法を提供する、直線的に配置された複数の、離散的な磁気活性領域を運ぶものとして特徴付けられる。
【0006】
上述の方法の多くは、コンパクトディスク(CD)およびデジタルビデオディスク(DVD)を収納するために使用される収納容器または「宝石箱」として用いるための、盗難防止装置および/または方法として使用される。米国特許第5573120号は、このような収納容器の記述を提供するものであり、参照により本明細書に組み込まれる。
【0007】
米国特許出願第2004/0008613号は、バーコードまたはRFIDタグが容器の壁に貼り付けられた収納容器を開示している。
【0008】
上述の方法の欠陥は、これらの方法では、除去し得る標識または磁気タグまたは識別名を物品に貼り付けることが、通常必要であることである。除去を難しくするために、多くの方法が工夫されてきたが、それにもかかわらず、標識またはタグが一旦除去されると、標識またはタグが存在することを基礎とするシステムは故障する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、物品に深刻な損傷を与えることなしにマーカを除去することが不可能ではないにせよ、困難なことになっている、盗まれ得る物品のための、データおよび/または安全保障システムを提供する必要性が、当技術分野に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要旨
本発明は、少なくとも1種の重合可能なモノマーを含有するモノマー混合物を重合させることによって得られるポリマーおよび磁性材料を含有する樹脂を含む複合材料を提供する。
【0011】
本発明は、また、上述の複合材料から製造されたシート素材も提供する。
【0012】
本発明は、さらに、底部トレーとカバーを含む構成要素を含む箱を組み込む収納容器を提供するものであり、カバーは、底部トレーに関して二者択一的に開いたおよび閉じた位置の間を移動することができ、構成要素の少なくとも1つの、少なくとも一部は、上述の複合材料を含む。
【0013】
本発明は、また、上述の複合材料を製造する方法も対象とするものであり、これらの方法は、磁性材料を機械的に粉砕して樹脂中に入れること、またはバルク、懸濁、乳化、ミニ乳化またはミクロ乳化重合技法を使用することを含み、樹脂は磁性材料の存在下で少なくとも1種の重合可能なモノマーを含むモノマーの混合物を重合させることによって形成される。
【0014】
本発明は、加えて、上述の容器を製造する方法を対象とするものであり、上述のシート素材は、上述の箱の1つまたは複数の底部トレーおよび/またはカバーの形に成形または形成される。
【0015】
本発明は、さらに、物品の盗難を防止する方法を提供するものであり、この方法は、複合材料を含有する上述の容器を提供すること、質問区域に磁場を印加すること、質問区域中に容器を移動させること、および質問区域中に移動していく容器からの磁気応答を検出することを含む。
【0016】
図面の説明
図1は、本発明によるコンパクトディスクの収納容器を示す分解透視図である。
【0017】
発明の詳細な説明
具体例または特段の記載がある場合を除いて、明細書および特許請求の範囲において使用される、成分の量、反応条件などに言及するすべての数字または表現は、あらゆる場合に「約」という用語で修飾されていると理解すべきである。したがって、反対の指示がない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲において明記されている数値パラメータは、本発明が獲得しようと望む、所望の特性に依存して変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲に均等の原則を適用することを制限する試みとしてではなく、それぞれの数値パラメータは、報告されている有効桁数を考慮して、および通常の丸めの技法を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。
【0018】
本発明の広い範囲を明記している数値範囲およびパラメータが近似値であるにもかかわらず、具体的な例において明記されている数値は、できる限り正確に報告されている。しかし、いかなる数値も、それぞれの試験測定において見られる標準偏差に必然的に由来する一定の誤差を本質的に含む。
【0019】
また、本明細書において列挙されるいかなる数値範囲も、これに含まれるすべての部分的な範囲を含むことが意図されていることを理解すべきである。例えば、「1から10」の範囲は、この間のすべての部分的な範囲を含むことが意図されており、1という列挙された最小値および10という列挙された最大値10を含む、すなわち、1に等しいまたは1を超える最小値および10に等しいまたは10未満の最大値を有する。開示された数値範囲は連続であるので、この数値範囲は最小値および最大値の間のあらゆる数値を含む。特段の明確な指示がない限り、本出願において明記されているさまざまな数値範囲は、近似値である。
【0020】
本明細書において使用される用語「(メタ)アクリル」および「(メタ)アクリレート」は、用語「(メタ)アクリレート」が包含することを表す、アクリレートおよび(メタ)アクリレートとしばしば呼ばれる対応するアルキルエステルなどの、アクリル酸およびメタアクリル酸誘導体を含むことを表す。
【0021】
本明細書において使用される用語「ポリマー」は、オリゴマー、ホモポリマー、コポリマーおよびグラフトコポリマーを、これらに限らないが、包含することを表す。
【0022】
本明細書において使用される用語「熱可塑性」は、熱および/または圧力を加えることにより成形され得る、および加熱により軟化され、冷却により再び硬化されることを繰り返し得る、ポリマーおよび/または樹脂材料および補助剤および/またはこれらを混合した添加剤を指す。
【0023】
特段の指示がない限り、すべての分子量の値は、適切なポリスチレン標準を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定される。特段の指示がない限り、本明細書において示される分子量の値は、重量平均分子量(Mw)である。
【0024】
本明細書において使用される用語「磁性材料」は、磁化され得るかもしくは磁石によって引き寄せられ得るかおよび/またはその材料自体の外部に磁場を発生させることができるかおよび/または磁場に置かれた場合測定可能な磁気変化もしくは信号を発生させることができる、材料(非限定的な例は金属である)を指す。
【0025】
本明細書において使用される用語「磁気応答」は、磁性材料が磁場に与える影響を指す。非限定的な例として、1を超える比透磁率を有する磁性材料は、測定可能な程度に磁場を増幅することができる。
【0026】
本発明は、樹脂および磁性材料を含む複合材料を提供する。本発明の実施形態において、磁性材料は樹脂の内部に分散された粒子として存在する。
【0027】
樹脂は、少なくとも1種の重合可能なモノマーを含有するモノマー混合物を重合させることによって得られるポリマーを含む。適切ないずれの重合可能なモノマーでも、本発明において使用することができる。本明細書において使用される用語「重合可能なモノマー」は、フリーラジカル源に曝された場合、付加重合反応を受ける二重結合を含有する分子を指す。重合可能なモノマーの非限定的な例には、非共役二重結合を含有するC〜C32の脂肪族または芳香族、直鎖、分枝、または環状分子、2つの共役二重結合を含有するC〜C32脂肪族分子;(メタ)アクリル酸のC〜C32の脂肪族または芳香族、直鎖、分枝または環状エステル;C〜C32の脂肪族または芳香族、直鎖、分枝または環状カルボン酸のビニルエステル;アリルまたはメタリル基を含有するC〜C32の脂肪族分子、(メタ)アクリロニトリル、無水マレイン酸;マレイン酸またはイタコン酸の、C〜C32の脂肪族または芳香族、直鎖、分枝または環状モノまたはジエステル、マレイミドなどが含まれる。
【0028】
本発明の一実施形態においては、重合可能なモノマーは、ビニル芳香族モノマー;CからC22の直鎖または分枝オレフィン;(メタ)アクリル酸のCからC22の直鎖、環状または分枝エステル;マレイン酸、この無水物またはこれらのモノもしくはジCからC22の直鎖、環状もしくは分枝エステル;マレイミド、イタコン酸、この無水物またはこれらのモノもしくはジCからC22の直鎖、環状もしくは分枝エステル;フマル酸またはこのモノもしくはジCからC22の直鎖、環状もしくは分枝エステル;CからC22の直鎖、分枝、または環状共役ジエン、(メタ)アクリロニトリルおよびこれらの組合せから選択される。
【0029】
本発明の一実施形態においては、ビニル芳香族モノマーは、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、これらの核臭素化または塩素化誘導体およびこれらの組合せから選択される。
【0030】
本発明の特別な実施形態においては、モノマー混合物はスチレンを含む。スチレンは、モノマー混合物の重量を基準にして、少なくとも25重量部、いくつかの場合においては少なくとも30重量部および別の場合においては少なくとも35重量部のレベルで、モノマー混合物中に存在することができる。また、スチレンは、モノマー混合物の重量を基準にして、100重量部まで、いくつかの事例においては90重量部まで、別の事例においては80重量部まで、いくつかの場合においては70重量部まで、別の場合にいては65重量部まで、いくつかの事例においては60重量部まで、別の事例においては55重量部までおよび特別な状況下においては50重量部までのレベルで、モノマー混合物中に存在することができる。スチレンの量は、結果として得られる複合材料の所望する物理特性に基づいて決定される。モノマー混合物中のスチレンの量は、上に列挙した任意の値であることができるか、または上に列挙した任意の数値の間で変動することができる。
【0031】
本発明の一実施形態においては、モノマー混合物中のオレフィンには、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、2−ブテン、ジイソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−オクテン、2−オクテン、3−オクテンおよびこれらの組合せが含まれる。重合に際して、オレフィンに由来する繰り返し単位は、オレフィンの1種または複数種の重合の結果生じる繰り返し単位を含有する、ホモポリマー、コポリマーおよび/またはブロックコポリマーの形態で存在することができる。
【0032】
本発明の一実施形態においては、ポリマーは、少なくとも1000、いくつかの事例においては少なくとも5000、別の事例においては約10000、いくつかの状況においては少なくとも15000、別の状況においては少なくとも25000、いくつかの場合においては少なくとも50000および別の場合においては少なくとも約75000の重量平均分子量を有することができ、500000まで、いくつかの場合においては400000までおよび別の場合においては300000までとすることができる。ポリマーの重量平均分子量は、上で列挙した数値の任意の数値であることができるかまたは上で列挙した任意の数値の間で変動することができる。
【0033】
本発明の別の実施形態においては、樹脂は弾性ポリマーを含む。本発明の特別の実施形態においては、樹脂は、連続相および分散相を有するものとして特徴付けられる。連続相は、モノマー混合物の重合の結果生じる上述のポリマーを含有し、分散相は、弾性ポリマーの少なくとも一部を含有する。
【0034】
本発明の特別の実施形態においては、分散相は、複合材料の重量を基準にして、少なくとも2重量部、いくつかの場合においては少なくとも3重量部、別の場合においては少なくとも5重量部、およびいくつかの状況においては少なくとも10重量部のレベルで複合材料中に存在する。また、分散相は、複合材料の重量を基準にして、50重量部まで、いくつかの場合においては45重量部まで、別の場合においては40重量部まで、いくつかの事例においては35重量部まで、別の事例においては30重量部まで、および特別な状況においては25重量部までのレベルで複合材料中に存在することができる。分散相の量は、結果として得られる複合材料の所望する物理特性に基づいて決定される。複合材料中の分散相の量は、上に列挙した任意の値であることができるか、または上に列挙した任意の数値の間で変動することができる。
【0035】
本発明の一実施形態においては、弾性ポリマーは、少なくとも1000、いくつかの事例においては少なくとも5000、別の事例においては約10000、いくつかの状況においては少なくとも15000、別の状況においては少なくとも25000、いくつかの場合においては少なくとも50000および別の場合においては少なくとも約75000の重量平均分子量を有することができ、500000まで、いくつかの場合においては400000までおよび別の場合においては300000までとすることができる。弾性ポリマーの重量平均分子量は、上で列挙した数値の任意の数値であることができるかまたは上で列挙した任意の数値の間で変動することができる。
【0036】
本発明の一実施形態においては、弾性ポリマーは、ブタジエンまたはイソプレンのホモポリマー;アリールモノマーおよび/または(メタ)アクリロニトリルを有する共役ジエンのランダム、ブロック、ABジブロック、またはABAトリブロックコポリマー;天然ゴム;およびこれらの組合せから選択される。より具体的な実施形態においては、弾性ポリマーは、スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン、スチレン−イソプレン−スチレン、エチレン−酢酸ビニル、部分的に水素化されたスチレン−イソプレン−スチレンおよびこれらの組合せのジブロックおよびトリブロックコポリマーから選択される1種または複数種のブロックコポリマーを含むことができる。
【0037】
さらなる実施形態においては、望ましくは分散相は、ゴムブロックコポリマーであり得る、1種または複数種のブロックコポリマーを含有する。望ましくは、ブロックコポリマーは、スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン、スチレン−イソプレン−スチレンおよび部分的に水素化されたスチレン−イソプレン−スチレンの1種または複数種のジブロックおよびトリブロックコポリマーを含む。適切なブロックコポリマーの例には、これに限らないが、ファイアストーンタイヤアンドラバーカンパニー(Firestone Tire and Rubber Company)(アクロン、オハイオ州)から入手できるSTEREON(登録商標)ブロックコポリマー;旭化成ケミカルズ株式会社(東京、日本)から入手できるASAPRENE(商標)ブロックコポリマー;クラトンポリマー(Kraton Polymers)(ヒューストン、テキサス州)から入手できるKRATON(登録商標)ブロックコポリマー;およびデクスコポリマー(Dexco Polymers LP)(ヒューストン、テキサス州)から入手できるVECTOR(登録商標)ブロックコポリマーが含まれる。
【0038】
本発明の一実施形態においては、ブロックコポリマーは直鎖またはラジアルブロックコポリマーである。
【0039】
本発明の一実施形態においては、ブロックコポリマーは、少なくとも50000およびいくつかの場合においては約75000以上の重量平均分子量を有することができ、500000まで、いくつかの場合においては400000までおよび別の場合においては300000までとすることができる。ブロックコポリマーの重量平均分子量は、上で列挙した数値の任意の数値であることができるかまたは上で列挙した任意の数値の間で変動することができる。
【0040】
本発明の別の実施形態においては、ブロックコポリマーは、約175000から約275000の重量平均分子量を有するスチレン−ブタジエン−スチレンまたはスチレン−イソプレン−スチレントリブロックコポリマーである。
【0041】
本発明のさらなる実施形態においては、連続相におけるポリマーの少なくともいくつかは、分散相中のブロックコポリマーにグラフトされている。
【0042】
本発明の一実施形態においては、分散相は、連続相中に分散させられた離散的な粒子として存在する。この実施形態に対してはさらに、連続相中の分散相の体積平均粒径は、少なくとも約0.1μm、いくつかの場合においては少なくとも0.2μmおよび別の場合においては少なくとも0.25μmである。また、連続相中の分散相の体積平均粒径は、約2μmまで、いくつかの場合においては1.5μmまでおよび別の場合においては1μmまで存在し得る。連続相中の分散相の粒径は、上で列挙した数値の任意の数値であることができるかまたは上で列挙した任意の数値の間で変動することができる。
【0043】
本発明の別の実施形態においては、離散的な粒子のアスペクト比は、少なくとも約1から、いくつかの場合においては少なくとも約1.5からおよび別の場合においては少なくとも約2からであり、約5まで、いくつかの場合においては約4まで、別の場合においては約3まで存在し得る。分散粒子のアスペクト比が大きすぎる場合は、得られた熱可塑性シートは曇り、透明または透過性でない。分散された離散的な粒子のアスペクト比は、上で列挙した数値の任意の数値であることができるかまたは上で列挙した任意の数値の間で変動することができる。非限定的な例として、アスペクト比は、走査電子顕微鏡または光散乱を用いて測定することができる。
【0044】
分散相の粒径およびアスペクト比は、小角光散乱を用いて求めることができる。非限定的な例として、株式会社堀場製作所(京都、日本)から入手できる、レーザ回折式粒子径測定装置、型式LA−910を使用することができる。非限定的な例として、ゴムで改質されたポリスチレン試料を、メチルエチルケトン中に分散させることができる。次いで懸濁ゴム粒子をガラスセル中に置き、光散乱にかける。セル中の粒子からの散乱光を集光レンズに通し、試料セルの周囲に置かれた検出器によって、電気信号に変換することができる。非限定的な例として、He−Neレーザおよび/またはタングステンランプを用いて、より短い波長を有する光を供給することができる。粒径分布は、散乱光の角測定からミー散乱理論に基づいて計算することができる。
【0045】
上述のような磁性材料は、鉄を引き寄せおよび/または材料の外側に磁場を生じさせる特性を有する任意の材料であり得る。本発明の一実施形態において、磁性材料は樹脂中に分散している粒子として存在する。
【0046】
本発明の一実施形態においては、磁性材料には、Ba、Fe、Ru、Co、Ni、Cd、Cr、Mo、Mn、W、V、Nb、Ta、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、これらの合金およびこれらの組合せから選択される原子または分子を含有する、1種または複数種の化合物が含まれる。また、磁性材料には場合により、ケイ素、窒素、硫黄および/または酸素原子が含まれ、非限定的な例には、上記の磁性材料の1種または複数種の酸化物、窒化物、ニトロキシド、ケイ酸塩、炭酸塩および/または硫化物が含まれる。このような材料のさらなる非限定的な例には、酸化第二鉄;酸化第一鉄;バリウムフェライト;Mn、Feおよび/またはRuに配位されたtert−ブチル−アリールニトロキシド、アリール−アリールニトロキシド、ニトロニルニトロキシド、および/またはイミノニトロキシド;窒化鉄;ケイ酸鉄カルシウム;ケイ酸鉄マグネシウムカルシウム;硫化鉄;炭酸鉄が含まれる。
【0047】
本発明の一実施形態においては、磁性材料は、式MOFe(式中、MはMn、Co、Ni、Cu、Zn、Mg、Cdおよびこれらの組合せから選択される。)に従う、マグネタイト、マチエマイト(macchiemite)、ゲーサイトおよび/またはフェライトであり得る。
【0048】
本発明の別の実施形態においては、磁性材料は、多数の常磁性遷移金属イオンに対する常磁性有機配位子の錯体を含むことができる。
【0049】
本発明のさらなる実施形態においては、磁性材料は、ポリマー中に分散された離散的な粒子として樹脂中に存在し得る。さらにこの実施形態に対して、ポリマー中の磁性材料粒子の体積平均粒径は、少なくとも約0.001μm、いくつかの事例においては少なくとも0.01μm、別の事例においては少なくとも約0.1μm、いくつかの場合においては少なくとも0.2μmおよび別の場合においては少なくとも0.25μmであり得る。また、ポリマー中で分散された磁性材料粒子の体積平均粒径は、約10μmまで、いくつかの場合においては約5μmまでおよび別の場合においては1μmまでで存在し得る。ポリマー中で分散された磁性材料粒子の体積平均粒径は、上で列挙した数値の任意の数値であることができるかまたは上で列挙した任意の数値の間で変動することができる。
【0050】
本発明の別の実施形態においては、磁性材料粒子のアスペクト比は、少なくとも約1から、いくつかの場合においては少なくとも約1.5からおよび別の場合においては少なくとも約2からであることができ、約5まで、いくつかの場合においては約4まで、別の場合においては約3まで存在し得る。磁性材料粒子のアスペクト比が大きすぎる場合は、得られた熱可塑性シートは曇り、透明または透過性でない可能性がある。磁性材料粒子のアスペクト比は、上で列挙した数値の任意の数値であることができるかまたは上で列挙した任意の数値の間で変動することができる。非限定的な例として、粒径および/またはアスペクト比は、走査電子顕微鏡または光散乱を用いて測定することができる。
【0051】
本発明の一実施形態においては、磁性材料は、複合材料の少なくとも約0.001重量%、いくつかの場合においては少なくとも0.01重量%、別の場合においては少なくとも0.1重量%、いくつかの状況においては少なくとも1重量%、および別の状況においては少なくとも2重量%のレベルで複合材料中に存在し得る。また、磁性材料は、複合材料の約25重量%まで、いくつかの場合においては20重量%まで、別の場合においては15重量%まで、およびいくつかの事例においては10重量%まで存在することができる。複合材料中に存在する磁性材料の量は、本明細書に記載されたような、望ましい磁気特性をもたらすのに十分な量であるはずであるが、複合材料の物理特性を、材料の意図されている用途に適合しなくさせるほど多量ではない。複合材料中の磁性材料の量は、上で列挙した数値の任意の数値であることができるかまたは上で列挙した任意の数値の間で変動することができる。
【0052】
本発明の一実施形態においては、磁性材料は、複合材料が以下に記載の磁場または質問区域に入る際に、測定可能な磁気応答を発生させることによって、複合材料を検出することができるのに十分なレベルで存在する。
【0053】
本発明のさらなる実施形態においては、磁性材料の種類および量は、複合材料に所望の保磁力を与えるように選択される。所望の保磁力は、複合材料の計画されている用途に基づいて決定される。本明細書において使用される用語「保磁力」は、複合材料に情報を符号化して記録することの困難さの尺度を指し、通常エルステッド(Oe)で測定され、ISO/IEC7811に従って求めることができる。複合材料の保磁力は、少なくとも50Oe、いくつかの場合においては少なくとも100Oe、および別の場合においては少なくとも200Oeであり得る。また、複合材料の保磁力は、4000Oeまで、いくつかの場合においては3500Oeまで、および別の場合においては3000Oeまでであり得る。複合材料の保磁力は、上で列挙した数値の任意の数値であることができるかまたは上で列挙した任意の数値の間で変動することができる。
【0054】
本発明の実施形態においては、複合材料は保磁力の低い材料であり得る。そういうものとしては、磁性材料の保磁力は1000Oe未満、いくつかの場合においては900Oe未満、および別の場合においては750Oe未満である。
【0055】
本発明の実施形態においては、複合材料は保磁力の高い材料であり得る。そういうものとしては、磁性材料の保磁力は、1000Oeを超え、いくつかの場合においては少なくとも1500Oeを超え、および別の場合においては少なくとも2000Oeを超える。
【0056】
本発明の特別な実施形態においては、複合材料は、少なくとも1種のスチレンベースのポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)を含み、磁性材料は、ケイ素、コバルト、ニッケル、および/または鉄含有合金を含む。
【0057】
上述の樹脂は、上述のごときモノマー混合物を形成することによって形成することができ、このモノマー混合物中には、場合により磁性材料の存在下で、フリーラジカル重合を生じさせるために、適切なフリーラジカル重合開始剤を適切な温度で混合および添加しながら、脱気または窒素を散布しつつ、1種または複数種の弾性ポリマーを溶解および/または分散させることができる。本発明の一実施形態においては、弾性ポリマーが含まれる場合、モノマー混合物の少なくともいくつかは、弾性ポリマー中の不飽和基と反応して弾性ポリマーにグラフトする。モノマー混合物および分散相を重合させるための方法は、当技術分野において知られている。このような方法の例は、非限定的な例として、Biletchらに与えられた米国特許第4772667号およびOtsuzukiらに与えられた米国特許第5891962号に開示されており、これらの特許の関連のある部分は参照により本明細書に組み込まれる。望ましくは、製造条件は、本明細書に記載の特性を有する熱可塑性組成物、熱可塑性シートおよび熱可塑性製品を提供することができるように適合される。
【0058】
複合材料は、上述のごとく当技術分野において知られているバルク、懸濁、乳化、ミニ乳化またはミクロ乳化重合技法を用いることによって調製することができる。
【0059】
適切ないずれの重合開始剤でも、本発明において使用することができる。適切な重合開始剤の非限定的な例には、ジベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルピバレート、tert−ブチルペルオキシアセテート、またはブチルペルオキシベンゾエートおよびアゾ化合物、例えば、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス−(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス−(1−シクロヘキサンニトリル)も、ならびに上記の中の任意のものの組合せが含まれる。
【0060】
本発明の一実施形態においては、補助剤(顔料または着色剤または両方など)を樹脂中に含ませることができる。非制限的な例として、顔料および/または着色剤は二酸化チタンを含むことができる。顔料および/または着色剤は、樹脂に添加される場合、一般に不透明なシートをもたらすことになる。透明または透過性シートは、10%またはそれ以下のヘーズ値を有するものとして定義することができ、ヘーズ値は、一般に、不透明なシートには適用されないことが、当分野の技術者に知られている。
【0061】
本明細書において使用される「顔料および/または着色剤」は、適切ないかなる無機または有機顔料または有機染料をも指す。適切な顔料および/または着色剤は、熱可塑性シートの望ましい物理特性に悪い影響を与えないものである。顔料および/または着色剤は磁性材料を含むことができる。無機顔料の非制限的な例には、二酸化チタン、酸化鉄、クロム酸亜鉛、硫化カドミウム、酸化クロムおよびケイ酸アルミニウムナトリウム錯体が含まれる。有機タイプの顔料の非制限的な例には、アゾおよびジアゾ顔料、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、イソインドリノン、アントラキノン、チオインジゴおよび溶媒染料が含まれる。
【0062】
本発明の別の実施形態においては、補助剤は、潤滑剤、フィラー、光安定剤、熱安定剤、表面活性剤、およびこれらの組合せから選択される1種または複数種の添加剤を含むことができる。これらの添加剤は、熱可塑性組成物に添加される場合、一般に、不透明なシートをもたらすことになる。
【0063】
適切なフィラーは、熱可塑性シートの望ましい物理特性に悪い影響を与えず、ある場合においてはこの特性を向上させるものである。適切なフィラーには、これに限らないが、粉砕および沈降炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、ガラス、粘土(カオリンおよびモンモリロナイトなど)、雲母、およびこれらの組合せが含まれる。
【0064】
適切な潤滑剤には、これに限らないが、エステルワックス(グリセロールタイプなど)、ポリマー錯体エステル、酸化されたポリエチレンタイプのエステルワックスおよび類似物、金属のステアリン酸塩(バリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛およびアルミニウムのステアリン酸塩など)および/またはこれらの組合せが含まれる。
【0065】
一般に、当技術分野において知られている従来の、いかなる紫外線(UV)安定剤でも、本発明において使用することができる。適切なUV安定剤の非制限的な例には、2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)−フェニルフェニル−メタノン、2−(2’−ヒドロキシ−3,5’ジ−テルアミルフェニル)ベンゾトリアゾール、およびチバ特殊化学(Ciba Specialty Chemicals Co.)(タリータウン、ニューヨーク)からTINUVIN(登録商標)の商品名のもとに入手できるUV安定剤の系列が含まれる。
【0066】
本発明において使用することのできる熱安定剤には、これに限らないが、ヒンダードフェノール(非制限的な例としては、Chiba Specialty Chemicalsから入手できるIRGANOX(登録商標)安定剤および酸化防止剤がある。)が含まれる。
【0067】
表示した補助剤のいずれかまたはすべてを、本発明において使用する場合は、補助剤を、複合材料の少なくとも0.01重量%、いくつかの場合においては少なくとも0.1重量%、別の場合においては少なくとも0.5重量%のレベルで、および10重量%まで、いくつかの場合においては7.5重量%まで、別の場合には5重量%まで、いくつかの状況においては2.5重量%までのレベルで使用することができる。使用される補助剤の量、種類および組合せは、複合材料における所望の特定の特性によって決まることになる。任意の単独補助剤または補助剤の任意の組合せの量は、上で列挙した数値の任意の数値であることができるかまたは上で列挙した任意の数値の間で変動することができる。
【0068】
添加物を樹脂中で完全に混合することおよび分散させることは重要であるが、その他の加工条件は、当技術分野において通常使用されている条件と同じである。
【0069】
本発明の実施形態において、磁性材料は、ミクロンサイズおよび/またはナノサイズの粉末として複合材料中に取り込まれる。そういうものとして、磁性材料は、少なくとも10−6mmの、いくつかの場合においては少なくとも10−5mmの、別の場合においては少なくとも10−4mmの、およびいくつかの事例においては少なくとも10−3mmの粒径を有することができる。また、磁性材料は、1mmまでの、いくつかの場合においては0.1mmまでの、別の場合においては0.01mmまでの粒径を有することができる。磁性粒子の粒径は、上で列挙した数値の任意の数値であることができるかまたは上で列挙した任意の数値の間で変動することができる。
【0070】
本発明の一実施形態においては、表面改質添加剤を、複合材料および/または磁性材料中に含ませることができる。表面が改質された粒子を、
磁性材料、および1種または複数種の表面活性剤を含む、粒子の水性分散体を形成すること;
分散体を高剪断混合条件にかけること;および
分散体を表面改質剤を含む水溶液と合わせること
によって調製することができる。
【0071】
本発明の一実施形態においては、表面改質剤は、ポリビニルアルコール、天然ワックス、ポリオレフィンワックス、ホワイト油およびこれらの組合せを含むことができる。
【0072】
より詳細には、本発明において大気圧下で使用されるワックスは、通常20℃およびこれ以下で、いくつかの場合においては25℃およびこれ以下で、および別の場合においては30℃およびこれ以下で固体であり、125℃およびこれ以上で、いくつかの場合においては150℃およびこれ以上で、および別の場合においては200℃およびこれ以上で液体である。本発明において使用されるワックスの物理特性は、本明細書において記載されたような、本組成物において望ましい特性を提供するように選択される。
【0073】
本発明の一実施形態においては、ワックスは天然および/または合成ワックスから選択される。そういうものとして、本発明において使用されるワックスは、ワックスが上で定義した液体および固体の温度の組合せを満たす限り、C10からC32、いくつかの事例においてはC12からC32、いくつかの場合においてはC14からC32、および別の場合においてはC16からC32の、直鎖、分枝または環状アルキル、アルケニル、アリール、アルカリールまたはアラルキルアルコール、C10からC32、いくつかの事例においてはC12からC32、いくつかの場合においてはC14からC32、および別の場合においてはC16からC32の、直鎖、分枝または環状アルキル、アルケニル、アリール、アルカリールまたはカルボン酸アラルキル、および/またはこれらの対応するアンモニウムおよび金属塩およびCからC32、いくつかの事例においてはC12からC32、いくつかの場合においてはC14からC32、および別の場合においてはC16からC32の、線状、分岐、または環状アルキル、アルケニル、アリール、アルカリールまたはアラルキルエステル、C10からC32、いくつかの事例においてはC12からC32、いくつかの場合においてはC14からC32、および別の場合においてはC16からC32の、直鎖、分枝または環状アルキル、アルケニル、アリール、アルカリールまたはアラルキル炭化水素、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、およびこれらの組合せから選択される、1種または複数種の材料であり得る。
【0074】
本組成物において用いられるホワイト油は、大気圧下において20℃およびこれ以上、いくつかの場合においては15℃およびこれ以上、別の場合においては10℃およびこれ以上、いくつかの事例においては5℃およびこれ以上、別の事例においては0℃およびこれ以上で、通常、液体である。そういうものとして、本発明において使用されるホワイト油は、上述の物理特性が存在するならば、C10からC32、いくつかの場合においてはC12からC24、および別の場合においてはC12からC22の直鎖、分枝または環状アルキル炭化水素から選択される1種または複数種の材料であり得る。
【0075】
本発明の別の実施形態においては、表面改質剤は、少なくとも約0.01重量%、いくつかの状況においては少なくとも約0.05重量%、いくつかの場合においては少なくとも0.1重量%、別の場合においては少なくとも0.25重量%、いくつかの事例においては少なくとも0.5重量%および別の事例においては少なくとも1重量%のレベルで水溶液中に存在し得る。また、表面改質剤は、水溶液の重量を基準として約10重量%まで、いくつかの場合においては7.5重量%まで、および別の場合においては5重量%までのレベルで水溶液中に存在し得る。
【0076】
本発明の一実施形態においては、樹脂は上述のごとく磁性材料の存在下においてモノマー混合物を重合させることによって形成され、複合材料を形成する。この実施形態においては、磁性材料をモノマー混合物に添加し、次いでモノマー混合物を上述のごとく重合させる。
【0077】
本発明の特別な実施形態においては、複合材料は、
磁性材料を含む粒子を表面改質して表面が改質された粒子を提供すること;
表面が改質された粒子を、スチレンおよび場合により上述のごとき別のモノマー、および重合開始剤を含むモノマー組成物と合わせて重合混合物を提供すること;
重合混合物を重合させて複合ビーズの懸濁液を提供すること;および
複合ビーズを回収すること、
を含む懸濁重合法によって調製される。
【0078】
本発明の特別な実施形態においては、重合を、関連のある部分が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許仮出願第60/679468号に記載の方法を用いて実行することができ、その際、モノマー相を含有する液滴の分散体は、モノマー相を圧力噴霧して有機液滴の分散体を形成することによって、形成される。磁性材料は、場合によりモノマー相中に含まれ得る。
【0079】
本発明の別の実施形態においては、複合材料を、磁性材料を機械的に粉砕して既に形成されている樹脂中に混入させることによって調製する。
【0080】
本発明の一実施形態においては、機械的粉砕は溶融配合を含むことができる。
【0081】
本発明の別の実施形態においては、機械的粉砕は、バッチ混合機、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機およびこれらの組合せから選択される装置を使用して粉砕することを含むことができる。
【0082】
本発明のさらなる実施形態においては、機械的粉砕は、少なくとも2:1、いくつかの場合においては少なくとも3:1および別の場合においては少なくとも5:1の、ボールの複合材料に対する重量比を用いたボールミル粉砕を含むことができ、および25:1まで、いくつかの場合においては20:1まで、別の場合においては15:1まで、およびいくつかの状況においては10:1までであり得る。ステンレス鋼ボールの複合材料に対する重量比は、上で列挙した数値の任意の数値であることができるかまたは上で列挙した任意の数値の間で変動することができる。
【0083】
媒体ボールは、適切な任意の材料からなることができる。適切な媒体ボール材料には、これに限らないが、鋼、ステンレス鋼、鉄、鉛、アンチモン、真鍮、銅、ニッケル、磁器、セラミック、ペブル、クロムおよびこれらの組合せおよび合金が含まれる。
【0084】
媒体ボールは、直径が少なくとも0.1mm、いくつかの場合においては少なくとも1mmおよび別の場合においては少なくとも2mmであり、直径が150mmまで、いくつかの事例においては100mmまで、別の事例においては50mmまで、いくつかの状況においては40mmまで、別の状況においては30mmまで、いくつかの場合においては25mmまで、および別の場合においては20mmまでであることができる。ボールミル中で使用される媒体ボールは、上で表示した任意の寸法であることができるかまたは上で表示した任意の寸法の間で変動することができる。
【0085】
本発明の一実施形態においては、複合材料は熱可塑性シートに成形され得る。
【0086】
本熱可塑性シートは、上述の複合材料を加工して熱可塑性シートを成形することにより、調製することができる。望ましくは、複合材料は、任意の所望の補助剤および/または別のポリマーと共に合わせられ、加熱したミルロールまたは別の配合装置で混合されることができ、混合物は冷却され、造粒され、シートに押出成形される。配合物は単軸スクリュー押出機または二軸スクリュー押出機などの押出機中で混合され、混練され、後から再加工することができるペレットに押出成形され得る。また、押出機を、複合材料をパイプ、シート、フィルムまたは異形材として押出成形するために使用することもできる。
【0087】
複合材料を、所望の物理特性を有するシートを成形することができる温度で押出成形することができる。本発明の一実施形態においては、複合材料は、少なくとも約250°F(121℃)から、いくつかの事例においては少なくとも300°F(149℃)から、別の事例においては少なくとも400°F(204℃)から、いくつかの場合においては少なくとも450°F(232℃)から、および約500°F(288℃)まで、いくつかの場合においては約550°F(260℃)まで、いくつかの事例においては約600°F(316℃)まで、および別の事例においては約650°F(326℃)までで押出成形される。押出成形温度は、使用される材料の組成および結果として得られるシートの所望の物理特性によって決まる。押出成形温度は、上で表示された温度の任意の温度であることができるかまたは上で表示された温度の任意の温度の範囲で変動することができる。
【0088】
フィルムまたはシートを、押出成形の間にまたはこのような加工の後で再加熱および引伸ばしをすることによって、一軸または二軸配向させることができる。
【0089】
フィルムまたはシートを、成形の後で、適切な熱融着接着剤、インキ接着用の被覆、印刷、標識などの添加剤によって、処理することができる。
【0090】
本発明の一実施形態においては、熱可塑性シートは、少なくとも約0.05mm、いくつかの場合においては少なくとも約0.1mmおよび別の場合においては約0.25mmの厚さを有することができ、および約5mmまで、いくつかの場合においては少なくとも約4mmまで、別の場合においては約5mmまで、いくつかの事例においては約7.5mmまでおよび別の事例においては約10mmまでであり得る。熱可塑性シートの厚さは、意図されている用途に応じて変化し得る。熱可塑性シートの厚さは、上で列挙されたの数値の任意の数値であることができるかまたは上で列挙された数値の任意の数値の範囲で変動することができる。
【0091】
一旦成形された後、本発明の熱可塑性シートに印刷を適用することができる。通常、印刷層は、熱可塑性シートの表面の少なくとも一部の上に貼り付けられる。印刷層は、これに限らないが、オフセット印刷、グラビア印刷、スタンピングなどの当技術分野で知られた方法を用いて貼り付けることができる。
【0092】
本発明の一実施形態においては、シートの表面を、印刷する前に処理することができる。印刷の品質を改善するおよび/またはシート表面の印刷性を改善する、適切ないかなる表面処理でも、使用することができる。非限定的な例として、表面処理は、印刷に先立ちインキ感受性を改善するために使用することのできるコロナ放電が非限定的な例である、酸化表面処理(非限定的な例はコロナ放電である)であり得る。非限定的な例として、コロナ処理は、Corotec Corporation(ファーミントン、コネチカット州)から入手できるUNI−DYNE(登録商標)コロナ装置の1つを使用して適用することができる。
【0093】
望ましくは、印刷層は、インキ組成物を含む。当技術分野において知られている適切ないかなるインキ組成物でも、インキ組成物が熱可塑性シートに直接染着する限り、使用することができる。
【0094】
また、本発明は、熱可塑性シートから製造された熱成形された物品も提供する。このような物品の非限定的な例には、CDおよびDVD用の宝石箱などのパッケージ、ならびに例えば盗難を阻止するためにパッケージ中に磁性材料を組み込むことが有利である可能性のあるすべてのパッケージが含まれる。そういうものとして、宝石、時計、電子機器、コンピュータ、ステレオ装置、ビデオ装置などのための、パッケージまたは容器を、本複合材料およびこの複合材料でできた熱可塑性シートから製造することができる。
【0095】
さらに、本複合材料の熱可塑性シートは、1種または複数種の基板層および本発明の複合材料からできた1種または複数種の層および別の熱可塑性材料を含有する1種または複数種の層を含む、多層熱可塑性複合材料において使用され得るものであり、この多層複合材料は上述のような物品に熱成形され得る。
【0096】
本発明の一実施形態においては、別の熱可塑性材料が、衝撃改質されたポリスチレン、スチレンおよび無水マレイン酸および場合によりアルキル(メタ)アクリレートを含むコポリマー、スチレンおよび無水マレイン酸および場合によりアルキル(メタ)アクリレートを含むゴム改質されたコポリマー、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリレートおよびこれらの組合せから選択され得る。
【0097】
本発明の一実施形態においては、複合材料は、収納容器の1つまたは複数の部品に成形され得る。そういうものとして、本発明は、底部トレーおよびカバーを含む箱を含む収納容器を提供するものであり、前記カバーは、底部トレーに関して二者択一的に開いたおよび閉じた位置の間を移動することができ、底部トレーおよび/またはカバーの少なくとも1つの、少なくとも一部は上述の複合材料を含む。
【0098】
より具体的には、所望の温度に到達すると、熱可塑性シートは、プラグが、熱可塑性シートを所望の形状のモールド中に押し込む、プラグアシスト熱成形などの知られている工程によって所望の形状に成形される。また、空気圧および/または真空も、所望の形状に成形するのに使用することができる。
【0099】
本発明の特別な実施形態においては、容器を成形する前に、標識を熱成形装置内に置くことができ、標識は成形された容器に接着する。
【0100】
本発明のさらなる実施形態においては、収納容器は、当技術分野において知られている射出成形技法を用いることによって調製し得る。
【0101】
図1は、分解透視図の関係において図示されている構成要素を有し、10で全体が示される、本発明の容器の実施形態の非限定的な例である。容器は、底部トレー12、カバーまたは蓋14、および底部トレー12に挿入される16で全体が示される挿入トレーを含むことがわかる。蓋14は、トッププレート18、一対の側壁20および22、側壁の後部に取り付けてある耳24および26、トッププレートの下の側壁から内側に伸びているスペースタブ30、および耳から内側に伸びているくぎ34および36を含む。底部トレー12は、同様に、前壁および後壁38および40、これらの間を伸びている側壁42および44ならびに底部フロア46を含む。フロア46は、側壁42および44を超えて非常に短い距離を伸びてへり48および50を形成し、カバーが閉じられた位置にある場合は、カバー14の側壁20および22はこのへりに接触する。一対の孔、52および54は、カバー14のくぎ34および36をここで受け止め、底部トレー12に関してカバーが動くための回転軸を提供するために、側壁の後部のコーナーで側壁42および44を通過する。
【0102】
挿入トレー16は、中にコンパクトディスクを収納するように構成された、中心が円形に凹んだ領域64を有するトッププレートを含む。凹んだ領域64は、中心部で挿入側壁を噛み合わせることができ、その結果ディスクは、凹んだ領域にある場合、ほんの僅かな距離だけ側壁の中心部の上に張り出す。次いで、ディスクは、底部トレー12の側壁の、対応する部分にぴったりはまる。挿入トレー16は、特にコーナー(すなわち、凹んだ領域64が、トッププレート12の縁を噛み合わせることのない場所)に、側壁66および68を有する。挿入トレー16の後部の縁には、ステップ70があり、その上に引き伸ばされたタブまたは部材72が形成されている。組み立てられた容器10について、次いで、底部トレー14の孔52および54に関してカバー14上のくぎ34および36の旋回運動が、引き伸ばされた部材72の下で起こる。カバー14が回転させられて閉じた位置になる場合は、引き伸ばされた部材の前方の縁はカバーのトッププレート18の後部の縁と接触して、引き伸ばされた部材72は、容器10の上表面の一部を形成する。
【0103】
底部トレー12は、側壁の両側に一対の窪み84を有し、挿入トレー16は側面の縁66および68の両方に沿って、窪み84に対応する、対応する半円形の凹んだ領域88を有する。したがって、蓋14が閉じた位置まで下げられる場合は、蓋の上のタブ30は、窪み84および半円形の凹んだ領域88において下向きに支えられることになり、これにより、底部トレー12のフロア46に対して挿入トレー16を保持する。したがって、ケースまたは容器10がひっくり返されるかまたは前後に振られた場合、挿入トレー16およびコンパクトディスク(示されていない)が、同じく前後にがたつき、これによって蓋14に衝撃を与えることは起こらない。もっともタブ30の第1の役割は、グラフィックス、すなわち、説明または広告情報が載っている1枚の紙(示されていない)を、容器中に適切に保持し、透明であることができるトップカバーを通して見ることができるようにすることであるのだが。挿入トレー16は、スナップ式で挿入トレー16を保持するために、底部トレー12の側壁にある内側に向けて配設された、対応する孔または開口部にカチッと入るように配置された、側壁上にある、いくつかの小さな外側に向けて配設されたくぎを有することができる。
【0104】
本発明の一実施形態においては、底部トレー12、またはカバーもしくは蓋14、または挿入トレー16、またはこれらのすべてまたは一部のいずれも、磁性材料を含有しない、上述の樹脂および/またはポリマーのいずれかなどの、熱可塑性物質を含むことができる。次いで、本複合材料を、当技術分野において知られているような、積層技法、射出成形技法、または類似技法を用いて、底部トレー12、またはカバーもしくは蓋14、または挿入物16の少なくとも1つの表面の少なくとも一部分に、貼り付けることができる。本発明の特別な実施形態においては、磁性材料を、ロゴまたは別の証印として、底部トレー12、またはカバーもしくは蓋14、または挿入物16の表面に貼り付ける。
【0105】
本発明の一態様によれば、本複合材料を含む物品および/または本複合材料の熱可塑性シートから作られた物品を、本発明のいくつかの実施形態において、直線的に配置された複数の離散的な磁気活性領域を担うものとして特徴付けることができる、磁気マーカまたはタグまたは磁気素子を提供するために使用することができる。そういうものとして、磁気素子を、物品自体を製造する過程で物品に直接組み込む。したがって、この物品を、在庫またはセキュリティーのためのタグをチケットまたはセキュリティーパスとして提携する、物品または商品(小売商品など)と共に使用することができる。
【0106】
本発明の比較的簡単な実施形態においては、物品のそれぞれの磁気活性領域は、同一磁気特性を持ち得る。より複雑な実施形態においては、物品のそれぞれの磁気活性領域は、異なる磁気特性を持つことができ、したがって、それぞれが独特の磁気特性を有する、したがって独特の磁気的識別および署名(すなわち、適切な読み取り器によって処理された場合の磁気的応答)を有する、多数のタグを集めることを可能にする。
【0107】
本発明の一実施形態においては、物品は、交番磁場により励起されると特性信号を発生する軟磁性材料(低い保磁力)を含む部分と、半硬磁性または硬磁性材料(高い保磁力)を含む部分とを含有することができる。
【0108】
本発明の実施形態においては、反盗難システムは、磁気検出の容易な、比較的低い保磁力と高い透磁率を有する強磁性材料でできた信号発生器を含むことができる。発生された信号は、磁場に依存し得るものであり質問区域において検出されることができる。また、信号発生器に連結された、高い保磁力を有する強磁性材料を含有する少なくとも1つのセクションを含む不活性化剤が素子の中に存在しており、磁化された場合に検出し得る信号を発生することを抑制する。このセクションは、少なくとも1つの(しばしば細かく分布された)強磁性材料およびポリマー支持体を含む。
【0109】
本発明の一実施形態においては、収納容器のトレーまたはカバーの一方は、低い保磁力と高い透磁率を有する複合材料を含むことができ、トレーまたはカバーの他方は、高い保磁力を有する材料である複合材料を含む。
【0110】
本発明の別の実施形態においては、収納容器のトレーまたはカバーの表面は、この上に、低い保磁力と高い透磁率を有する複合材料を配設しており、トレーまたはカバーの、反対側に配設された表面は、高い保磁力の材料を有する複合材料を含有する。複合材料を、積層により、または射出成形により、または表面に貼り付けられたロゴまたは証印として、表面に貼り付けることができる。
【0111】
本発明の一実施形態においては、本発明が、タグと印加された磁場の間の相対移動を利用することができるので、タグ読み取り器からの出力信号の時間領域と、タグおよび磁気的に活性な領域間のギャップの磁気的に活性な領域の線寸法との間の対応が存在するはずであることが理解されるはずである。この意味で、活性領域および活性領域間のギャップは、光学的なバーコード(黒いバーおよび隣接するバーの間の白いギャップ)の要素に対しても類似の作用をする。このことから、活性領域における磁気特性の変動性を用いてタグの「識別(identity)」の部分を発生することができるのと丁度同じように、隣接する磁気的に活性な領域間の直鎖のスペースは、例えば本複合材料の積層されたサンドイッチ構造体において、同じことができるということになる。したがって、それぞれがそれ独自の識別を有する膨大な数のタグを、本発明により製造することができることが容易に理解されるはずである。
【0112】
上で定義されたタグのみならず、本発明は、磁気的マーカの存在を検出するための、および/またはこのようなマーカを同定するための、さまざまな有用な方法を提供する。
【0113】
本発明の一実施形態は、所定の質問区域内の磁気タグまたはマーカを質問する方法を提供する。タグは、例えば、タグの応答を利用してこれの存在を検出するためにおよび/または質問区域内のこれの位置を求めるために、高い透磁率の磁性材料を含む。質問のプロセスは、タグを順番に:(1)高い透磁率の磁性材料を飽和させるのに十分な場の強さを有する磁場および(2)本明細書において定義されたゼロ磁場に曝すステップを含むことができる。
【0114】
本発明の一実施形態においては、ゼロ磁場は、質問区域内の所定の領域上を前後に掃引する。走査周波数(すなわち、ゼロ磁場の掃引周波数)は、比較的小さなもの(例えば、1〜500Hz)であり得る。好都合には、磁場のパターンは、(a)ゼロ磁場が平面に存在するように、および(b)飽和磁場が前記平面に隣接して生じるように、配置される。
【0115】
本発明の別の実施形態は、所定の質問区域内の磁気素子の存在および/または位置を求める方法を提供するものであり、磁気素子は、所定の磁気特性を有している。この方法は、(1)磁気素子または磁気素子の一部を飽和するのに十分な磁場(飽和磁場)が存在する領域に隣接するゼロ磁場の比較的小さな領域(この比較的小さな領域は、磁気素子が通過する、または通過することができる、または通過することが期待されている領域と一致する。)を含む磁場パターンを質問区域内に確立するステップ;(2)ゼロ磁場が、磁気素子の少なくとも一部を所定の仕方で横断するように、磁場と磁気素子の間で相対移動を生じさせるステップ;および(3)相対移動の間に、磁気素子の結果として得られる磁気応答を検出するステップを含むことができる。
【0116】
本発明のさらなる実施形態は、所定の磁気特性を有する磁気素子を同定する方法を提供する。この方法は、(1)磁気素子を、磁気素子の少なくとも一部において磁気飽和を引き起こすのに十分な第1の磁場に曝すステップ;(2)次いで、磁気素子を、比較的小さい体積を占め、前記第1の磁場に隣接しているゼロ磁場(すなわち、magnetic null)の条件に曝すステップ;(3)ゼロ磁場が、磁気素子の少なくとも一部を所定の仕方で横断するように、印加した磁場と磁気素子の間で相対移動を生じさせるステップ;および(4)相対移動の間に結果として得られた、磁気素子の磁気応答を検出するステップを含む。
【0117】
上で定義された同定方法において、磁気素子は、要求される磁気条件が発生される質問区域を、有利には横断する。
【0118】
磁気素子および磁場の間の相対移動を、磁気素子上で印加された磁場を掃引することによって、有利には発生させることができる。別法としては、一般的な静磁場パターンに交番磁場を印加することによって、相対移動を達成することができる。
【0119】
上で定義された方法において利用される材料分野(material field)または磁場パターンは、異極性の2つの磁場を用いることによって確立することができる。これは、直流を流す1つまたは複数のコイルを使用することによって、または1つまたは複数の永久磁石を使用することによって;またはコイルと磁石を組合せることによって、好都合には、達成することができる。
【0120】
コイルを使用する場合は、コイルは、実質的に一定の電流を流して、固定された場所でゼロ磁場を維持するように配置される。別法として、1つまたは複数のコイルが、所定のサイクルで大きさが変化する電流を流して、ゼロ磁場の位置が、「フライングゼロ(flying null)」と呼ばれる所定の仕方で振動するようにする。同様の配置を用いて、1つまたは複数のコイルおよび永久磁石の両方を使用する場合に、フライングゼロをもたらすことができる。
【0121】
本発明のさらなる態様によれば、磁気素子の存在および/または位置を決定する方法が提供され、前記方法は、(1)磁気素子が置かれている、または置かれていることが期待される領域に、磁場源により発生される2つの対立する磁場成分を含み、磁場源の中間の位置(この位置は知られているかまたは計算することができる。)にゼロ磁場を生じさせる、磁場を印加するステップ;(2)磁場および磁気素子の間で相対移動を生じさせるステップ;および(3)相対移動の間に、磁気素子の結果として得られる磁気応答を検出するステップにより特徴付けられる。
【0122】
磁場および磁気素子の間の相対移動は、比較的小さな振幅の交番磁場を直流磁場に重ねて印加することによって達成することができる。通常、このような低振幅交番磁場は、10Hzから100kHz、いくつかの場合においては50Hzから50kHz、および別の場合においては500Hzから5kHzの範囲の周波数を有する。
【0123】
一実施形態においては、コイルは、実質的に一定の電流を流して、ゼロ磁場を固定された地点に維持する。別の実施形態においては、コイルは、振幅が所定のサイクルで変化する電流を流して、ゼロ磁場の位置が所定の仕方で振動するようにする。
【0124】
本発明の方法においては、磁気素子の磁気応答の検出は、磁気素子の磁化状態が、ゼロ磁場を通過することによって変化させられる際に、磁気素子によって発生させられる、印加AC磁場の高調波を観測することを有利には含む。
【0125】
上で示されたように、システムは、ゼロまたは非常に低い周波数の走査磁場、および50Hzから50kHzのHF(高周波数)によって作動することができる。これによって、薄い金属箔を含む大抵の材料を通って、良好な信号が貫通することができるようになる。加えて、国際的な規制では、これらの低周波数が透過するための高磁場を認めている。
【0126】
本発明の実施形態は、低周波数誘導磁気による質問を使用し、複雑で高価なタグを必要としない、マルチビットデータタグシステムを提供する。
【0127】
本発明の別の態様によれば、物品のデータ特性、例えば、物品の価格および/または物品を構成する品物の性質により、物品の所定の一式内で個々の物品をコード化および/または標識化する方法が提供される。この方法は、本複合材料から物品を製造することを含むものであり、前記物品は、この物品または同一特性(例えば、物品の価格または物品を構成する品物の性質)を共有する別の物品に特有の、磁気区域が所定の配列をした磁気タグまたはマーカを有し(特有の磁気タグは、複合材料中の磁性材料の種類および/または濃度の結果であり得る。)、磁気タグまたはマーカは、印加磁場による質問に敏感であり、タグまたはマーカの磁気特性を示す、したがって、磁気タグまたはマーカを有している物品の性質を示す、応答を発生させる。
【0128】
以下の実施例を参照することにより、本発明をさらに記述することにする。以下の例は、本発明を単に例示するものであり、限定するように意図されてはいない。特段の指示がない限り、すべての百分率は重量による。
【実施例】
【0129】
(実施例1)
この実施例では、機械的粉砕を用いて本発明による高度に分散され、濃縮されたポリマー磁性複合材料を記述する。粉砕したポリマー(ZYLAR(登録商標)−EX、NOVA Chemicals Inc.、ピッツバーグ、ペンシルベニア州、から入手)の、磁性粉末(酸化鉄粉末)に対する比が約9:1のものを、ステンレス鋼ボールを含有するステンレス鋼ルツボに添加する。ステンレス鋼ボールの、粉末(ポリマーおよび磁性)に対する重量比は、約14:1である。ボールミル粉砕を8時間実施し、15分ごとに15分間停止させ、次いで再始動させて、Mat.Sci.Eng.B、113、228〜235頁(2004)に一般的に述べられているように、試料を加熱しすぎることを避ける。ポリビニルアルコールの表面改質剤(粉末の0.1重量%)を添加して分散を支援する。得られた粉末から押出成形されたシートを成形する。このシートは磁気特性を明らかに示す。
【0130】
(実施例2)
この実施例では、溶融配合を用いて本発明による高度に分散され、濃縮されたポリマー磁性複合材料を製造することを記述する。粉砕したポリマー(ZYLAR(登録商標)−EX)の磁性粉末(酸化鉄粉末)に対する比が約9:1であり、0.1重量%の表面改質表面活性剤を有するものを、200℃でバッチ混合機に添加し、200rpmで10分間合わせ、押出成形し、シートを成形する。得られたシートは、良好な機械的完全性を有し、磁気特性を明らかに示す。
【0131】
(実施例3)
この実施例では、懸濁重合技法を用いて、本発明による磁性複合材料を製造する合成法を記述する。磁性粒子(酸化鉄、15mlの水中に100mg)の水溶液および表面活性剤(5mlの水中に100mg)を、15分間超音波にかけ、さらに15分間、高剪断混合を行う。磁性および表面改質剤溶液を混合し、さらに15分間超音波にかける。磁性粒子/表面改質剤水溶液の混合物を、ポリビニルアルコールの2重量%水溶液に添加する。スチレンモノマー、25g、およびベンゾイルペルオキシド開始剤0.16gを前記混合物に添加する。系を閉じて、窒素を用いてパージし、250rpmで撹拌する。温度を95℃に上げ、6時間、重合を実施する。得られたポリマービーズを濾過により回収し、水およびメタノールを用いて、引き続き洗浄する。ビーズを押出成形してシートを形成すると、シートは磁気特性を明らかに示す。
【0132】
本発明を、本発明の特別な実施形態の具体的な詳細を参照して説明してきた。このような詳細は、添付の特許請求の範囲に含まれる場合を除いて、本発明の範囲を限定するように意図されてはいない。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明によるコンパクトディスクの収納容器を示す分解透視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部トレーおよびカバーを含む構成要素を含む箱を含み、カバーは底部トレーに関して二者択一的に開いた位置および閉じた位置の間で動くことができ、構成要素の少なくとも1つの少なくとも一部は複合材料を含み、複合材料は樹脂を含み、樹脂はポリマーおよび磁性材料を含み、ポリマーは少なくとも1種の重合可能なモノマーを含むモノマー混合物を重合させることによって得られたものである、収納容器。
【請求項2】
重合可能なモノマーが、ビニル芳香族モノマー;CからC22の直鎖または分枝オレフィン;(メタ)アクリル酸のCからC22の直鎖、環状または分枝エステル;マレイン酸、この無水物またはこのモノもしくはジCからC22の直鎖、環状もしくは分枝エステル;マレイミド、イタコン酸、この無水物またはこのモノもしくはジCからC22の直鎖、環状もしくは分枝エステル;フマル酸またはこのモノもしくはジCからC22の直鎖、環状もしくは分枝エステル;CからC22の直鎖、分枝または環状共役ジエン、(メタ)アクリロニトリルおよびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の収納箱。
【請求項3】
樹脂が弾性ポリマーを含む、請求項1に記載の収納箱。
【請求項4】
弾性ポリマーが、ブタジエンまたはイソプレンのホモポリマー;アリールモノマーおよび/または(メタ)アクリロニトリルを有する共役ジエンのランダム、ブロック、ABジブロックまたはABAトリブロックコポリマー;天然ゴム;およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項3に記載の収納箱。
【請求項5】
弾性ポリマーが、スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン、スチレン−イソプレン−スチレン、エチレン−酢酸ビニル、部分的に水素化されたスチレン−イソプレン−スチレンのジブロックおよびトリブロックコポリマーならびにこれらの組合せからなる群から選択される1種または複数種のブロックコポリマーを含む、請求項3に記載の収納箱。
【請求項6】
オレフィンが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、2−ブテン、ジイソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−オクテン、2−オクテン、3−オクテンおよびこれらの組合せからなる群から選択される1種またはモノマーの重合に由来する繰り返し単位を含有する、ホモポリマー、コポリマーおよび/またはブロックコポリマーを含む、請求項2に記載の収容箱。
【請求項7】
弾性ポリマーの重量平均分子量が、約1000から約500000である、請求項1に記載の収容箱。
【請求項8】
ビニル芳香族モノマーが、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、これらの核臭素化または塩素化誘導体およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載の収納箱。
【請求項9】
樹脂が、ポリマーを含有する連続相および弾性ポリマーを含有する分散相を含む、請求項3に記載の収納箱。
【請求項10】
磁性材料が、Fe、Co、Ni、Cd、Cr、Mo、Mn、W、V、Nb、Ta、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、これらの合金およびこれらの組合せからなる群から選択される原子または分子を含有する1種または複数種の化合物を含む、請求項1に記載の収納箱。
【請求項11】
磁性材料が、マグネタイト、マチエマイト、ゲーサイト、フェライトおよびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の収納箱。
【請求項12】
磁性材料が、ホウ素、ケイ素、窒素および/または酸素をさらに含む、請求項10に記載の収納箱。
【請求項13】
磁性材料が、複合材料の約0.001から約25重量%のレベルで存在する、請求項1に記載の収納箱。
【請求項14】
磁性材料が、収納箱が磁場または質問区域に入る際に、収納箱を検出することができるのに十分なレベルで存在する、請求項1に記載の収納箱。
【請求項15】
複合材料が少なくとも1種のスチレンベースのポリマーを含み、磁性材料がケイ素、コバルト、ニッケルおよび/または鉄含有合金を含む、請求項1に記載の収納箱。
【請求項16】
磁性材料が、ミクロンサイズおよび/またはナノサイズの粉末として複合材料中に組み込まれる、請求項1に記載の収納箱。
【請求項17】
複合材料が、磁性材料を機械的に粉砕して樹脂中に入れることによって調製される、請求項1に記載の収納箱。
【請求項18】
機械的粉砕が、溶融配合を含む、請求項17に記載の収容箱。
【請求項19】
機械的粉砕が、バッチ混合機、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機およびこれらの組合せからなる群から選択される装置を用いて粉砕することを含む、請求項17に記載の収納箱。
【請求項20】
機械的粉砕が、2:1から25:1の、ボールの複合材料に対する重量比を用いて、ボールミル粉砕することを含む、請求項17に記載の収納箱。
【請求項21】
複合材料が、バルク、懸濁、乳化、ミニ乳化またはミクロ乳化重合技法によって調製され、樹脂が磁性材料の存在下で形成される、請求項1に記載の収納箱。
【請求項22】
表面改質添加剤が複合材料中に含まれる、請求項1に記載の収納箱。
【請求項23】
磁性材料を含む粒子を表面改質すること;
表面が改質された粒子を、スチレンを含むモノマー組成物および重合開始剤と合わせて、重合混合物を提供すること;
重合混合物を重合させて複合ビーズの懸濁液を提供すること;および
複合ビーズを回収すること
を含む懸濁重合によって複合材料を調製する、請求項21に記載の収納箱。
【請求項24】
磁性材料、および1種または複数種の表面活性剤を含む、粒子の水性分散体を形成すること;
分散体を高剪断混合条件にかけること;および
分散体を、表面改質剤を含む水溶液と合わせること
によって表面改質された粒子を調製する、請求項23に記載の収納箱。
【請求項25】
表面改質剤が、ポリビニルアルコール、天然ワックス、ポリオレフィンワックス、ホワイト油およびこれらの組合せから選択される、請求項24に記載の収納箱。
【請求項26】
表面改質剤が、水溶液の重量を基準として約0.01重量%から約10.00重量%のレベルで水溶液中に存在する、請求項24に記載の収納箱。
【請求項27】
少なくとも1種の重合可能なモノマーを含有するモノマー混合物を重合させることによって得たポリマーを含む樹脂;および
前記樹脂中に分散されている磁性材料
を含み、この磁性材料は磁場または質問区域に入る際に、この材料を検出することができるのに十分なレベルで磁性材料が存在する複合材料。
【請求項28】
重合可能なモノマーが、ビニル芳香族モノマー;CからC22の直鎖または分枝オレフィン;(メタ)アクリル酸のCからC22の直鎖、環状または分枝エステル;マレイン酸、この無水物またはこれらのモノもしくはジCからC22の直鎖、環状もしくは分枝エステル;マレイミド、イタコン酸、この無水物またはこれらのモノもしくはジCからC22の直鎖、環状もしくは分枝エステル;フマル酸またはこのモノもしくはジCからC22の直鎖、環状もしくは分枝エステル;CからC22の直鎖、分枝または環状共役ジエン、(メタ)アクリロニトリルおよびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項27に記載の複合材料。
【請求項29】
樹脂が弾性ポリマーを含む、請求項27に記載の複合材料。
【請求項30】
弾性ポリマーが、ブタジエンまたはイソプレンのホモポリマー;アリールモノマーおよび/または(メタ)アクリロニトリルを有する共役ジエンのランダム、ブロック、ABジブロックまたはABAトリブロックコポリマー;天然ゴム;およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項29に記載の複合材料。
【請求項31】
弾性ポリマーが、スチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン、スチレン−イソプレン−スチレン、エチレン−酢酸ビニル、部分的に水素化されたスチレン−イソプレン−スチレンおよびこれらの組合せのジブロックおよびトリブロックコポリマーからなる群から選択される1種または複数種のブロックコポリマーを含む、請求項29に記載の複合材料。
【請求項32】
オレフィンが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、2−ブテン、ジイソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−オクテン、2−オクテン、3−オクテンおよびこれらの組合せからなる群から選択される1種またはモノマーの重合に由来する繰り返し単位を含有する、ホモポリマー、コポリマーおよび/またはブロックコポリマーを含む、請求項28に記載の複合材料。
【請求項33】
弾性ポリマーの重量平均分子量が、約1000から約500000である、請求項27に記載の複合材料。
【請求項34】
ビニル芳香族モノマーが、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、これらの核臭素化または塩素化誘導体およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項28に記載の複合材料。
【請求項35】
ポリマーを含有する連続相および弾性ポリマーを含有する分散相を含む、請求項29に記載の複合材料。
【請求項36】
磁性材料が、Fe、Co、Ni、Cd、Cr、Mo、Mn、W、V、Nb、Ta、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、これらの合金およびこれらの組合せからなる群から選択される原子または分子を含有する1種または複数種の化合物を含む、請求項27に記載の複合材料。
【請求項37】
磁性材料が、マグネタイト、マチエマイト、ゲーサイト、フェライトおよびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項36に記載の複合材料。
【請求項38】
磁性材料が、ホウ素、ケイ素、窒素および/または酸素をさらに含む、請求項36に記載の複合材料。
【請求項39】
磁性材料が、複合材料の約0.001から約25重量%のレベルで存在する、請求項27に記載の複合材料。
【請求項40】
複合材料が少なくとも1種のスチレンベースのポリマーを含み、磁性材料がケイ素、コバルト、ニッケルおよび/または鉄含有合金を含む、請求項27に記載の複合材料。
【請求項41】
磁性材料が、ミクロンサイズおよび/またはナノサイズの粉末として複合材料中に組み込まれる、請求項27に記載の複合材料。
【請求項42】
複合材料が、磁性材料を機械的に粉砕して樹脂中に入れることによって調製される、請求項27に記載の複合材料。
【請求項43】
機械的粉砕が溶融配合を含む、請求項42に記載の複合材料。
【請求項44】
機械的粉砕が、バッチ混合機、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機およびこれらの組合せからなる群から選択される装置を用いて粉砕することを含む、請求項42に記載の複合材料。
【請求項45】
機械的粉砕が、2:1から25:1の、ボールの複合材料に対する重量比を用いて、ボールミル粉砕することを含む、請求項42に記載の複合材料。
【請求項46】
複合材料が、バルク、懸濁、乳化、ミニ乳化またはミクロ乳化重合技法によって調製され、樹脂が磁性材料の存在下で形成される、請求項27に記載の複合材料。
【請求項47】
表面改質添加剤が複合材料中に含まれている、請求項27に記載の複合材料。
【請求項48】
磁性材料を含む粒子を表面改質すること;
表面が改質された粒子を、スチレンを含むモノマー組成物および重合開始剤と合わせて、重合混合物を提供すること;
重合混合物を重合させて複合ビーズの懸濁液を提供すること;および
複合ビーズを回収すること
を含む懸濁重合によって調製される、請求項46に記載の複合材料。
【請求項49】
表面改質された粒子が、磁性材料および1種または複数種の表面活性剤を含む粒子の水性分散体を形成すること;
分散体を高剪断混合条件にかけること;および
表面改質剤を含む水溶液と分散体を合わせること
によって調製される、請求項48に記載の複合材料。
【請求項50】
表面改質剤が、ポリビニルアルコール、天然ワックス、ポリオレフィンワックス、ホワイト油およびこれらの組合せから選択される、請求項47に記載の複合材料。
【請求項51】
請求項27に記載の複合材料から成形される熱可塑性シート。
【請求項52】
複合材料が、押出成形されてシートにされることによって成形される、請求項51に記載の熱可塑性シート。
【請求項53】
単軸スクリュー押出機および二軸スクリュー押出機の1つまたは複数を使用して成形される、請求項51に記載の熱可塑性シート。
【請求項54】
配合されおよび押出成形されてペレットにされおよび押出成形されてパイプ、シート、フィルムまたは素材が成形される、請求項27に記載の複合材料。
【請求項55】
約0.05mmから約10mmの厚さを有する、請求項31に記載の熱可塑性シート。
【請求項56】
印刷が少なくとも1つの表面に施される、請求項31に記載の熱可塑性シート。
【請求項57】
請求項31に記載の熱可塑性シートを熱成形することによって成形される物品。
【請求項58】
物品が、宝石、時計、電子機器、コンピュータ、ステレオ装置、ビデオ装置、コンパクトディスクまたはデジタルビデオディスクを収納するように適合されたパッケージである、請求項57に記載の物品。
【請求項59】
請求項27に記載の複合材料を含む1つまたは複数の基板層および別の熱可塑性材料を含む1つまたは複数の層を含む多層複合材料。
【請求項60】
別の熱可塑性材料が、ポリスチレン、衝撃改質されたポリスチレン、(スチレンおよび無水マレイン酸および場合によりアルキル(メタ)アクリレートを含む)コポリマー、(スチレンおよび無水マレイン酸および場合によりアルキル(メタ)アクリレートを含む)ゴム改質されたコポリマー、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリレートおよびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項59に記載の多層複合材料。
【請求項61】
プラグアシスト熱成形によって成形された、請求項57に記載の物品。
【請求項62】
磁気タグを順番に:
(1)磁気タグを飽和させるのに十分な電界強度の磁場、および
(2)ゼロ磁場
に曝すことを含み、前記磁気タグは、請求項27に記載の複合材料を含む、
磁気タグまたはマーカを所定の質問区域内で質問する方法。
【請求項63】
磁気タグを順番に:
(1)磁気タグを飽和させるのに十分な電界強度の磁場、および
(2)ゼロ磁場
に曝すことを含み、前記磁気タグは、請求項1に記載の収納容器を含む、
磁気タグまたはマーカを所定の質問区域内で質問する方法。
【請求項64】
ゼロ磁場が質問区域内の所定の領域上を前後に掃引させられる、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
ゼロ磁場が、約1〜500Hzの掃引周波数を有し;磁場が、(a)ゼロ磁場が平面内に存在し;および(b)飽和磁場が、前記平面に隣接して生じるように配列されている、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
所定の質問区域内の磁気素子の存在および/または位置を求める方法であり、磁気素子が所定の磁気特性を有し、磁気素子の少なくとも一部を飽和するのに十分な磁場(飽和磁場)が存在する領域に隣接するゼロ磁場の比較的小さな領域(この比較的小さな領域は、磁気素子が通過する、または通過することができる、または通過することが期待されている領域と一致する)を含む磁場パターンを質問区域内に確立すること;
ゼロ磁場が、磁気素子の少なくとも一部を所定の仕方で横断するように、磁場と磁気素子の間で相対移動を生じさせること;および
相対移動の間に、磁気素子の、得られた磁気応答を検出すること
を含み、前記磁気素子が請求項1に記載の収納容器を含む方法。
【請求項67】
磁気素子の少なくとも一部において磁気飽和を引き起こすのに十分な第1の磁場に磁気素子を曝すこと;
磁気素子を、比較的小さい体積を占め、前記第1の磁場に隣接しているゼロ磁場の条件に曝すこと;
ゼロ磁場が、磁気素子の少なくとも一部を所定の仕方で横断するように、印加した磁場と磁気素子の間で相対移動を生じさせること;および
相対移動の間に、磁気素子の、得られた磁気応答を検出すること
を含み、前記磁気素子が請求項1に記載の収納容器を含む、所定の磁気特性を有する磁気素子を同定する方法。
【請求項68】
磁気素子が、要求された磁気条件を発生される質問区域を横断する、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
磁気素子の少なくとも一部を飽和させるのに十分な磁場(飽和磁場)が存在する領域に隣接する、比較的小さなゼロ磁場領域を含む磁場パターンが確立されている質問区域に、磁気素子を入り込ませること;
磁気素子がゼロ磁場に到達するまで、飽和磁場を通して磁気素子を移動させること;
ゼロ磁場が、磁気素子の少なくとも一部を所定の仕方で横断するように、磁場および磁気素子の間で相対移動を生じさせること;および
相対移動の間に、磁気素子の、得られた磁気応答を検出すること
を含み、前記磁気素子が、請求項1に記載の収納容器を含む、所定の磁気特性を有する磁気素子を同定する方法。
【請求項70】
磁気素子および磁場の間の相対移動が、磁気素子上で印加された磁場を掃引することによって生じさせる、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
磁気素子および磁場の間の相対移動が、一般的な静磁場パターンに交番磁場を印加することによって達成される、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
磁場パターンが、直流を流す1つまたは複数のコイルの使用によってまたは1つまたは複数の永久磁石の使用によってまたはコイルと磁石の組合せによって達成される、異極性の2つの磁場により確立される、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
磁気素子が置かれているまたは置かれていることが期待される領域に、磁場源により発生される2つの対立する磁場成分を含み、磁場源の中間の位置(この位置は知られているかまたは計算することができる。)にゼロ磁場を生じさせる磁場を印加すること;
磁場および磁気素子の間で相対移動を生じさせること;および
相対移動の間に、磁気素子の、得られた磁気応答を検出すること
を含み、前記磁気素子が請求項1に記載の収納容器を含む、磁気素子の存在および/または位置を決定する方法。
【請求項74】
磁場および磁気素子の間の相対移動が、比較的小さな振幅の交番磁場を直流磁場に重ねて印加することによって達成され、低振幅交番磁場が10Hzから100kHzの範囲の周波数を有する、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
コイルが、実質的に一定の電流を流して、ゼロ磁場を固定された地点に維持する、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
コイルが、振幅が所定のサイクルで変化する電流を流して、ゼロ磁場の位置が所定の仕方で振動するようにする、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
物品にまたは同一の特性を共有する物品および他の物品に特有の、磁気区域の所定の配列を有している磁気タグまたはマーカとして、請求項27に記載の複合材料を含む物品を製造することを含み、磁気タグまたはマーカは、印加された磁場による質問に敏感であり、タグまたはマーカの磁気特性を表す応答を発生させる、物品に特有のデータによって物品の所定の一式内の個々の物品をコード化および/または標識化する方法。
【請求項78】
底部トレーおよびカバーを含む構成要素を含む箱を含み、前記カバーは前記底部トレーに関して二者択一的に開いたおよび閉じられた位置の間を移動することができ、
少なくとも底部トレーおよびカバーは、熱可塑性材料を含み、
複合材料は、構成要素の少なくとも1つの表面の少なくとも一部分に適用され、
複合材料は、
少なくとも1種の重合可能なモノマーを含有するモノマー混合物を重合させることによって得られたポリマーを含む樹脂;および
磁性材料を含む、
収納容器。
【請求項79】
複合材料が、積層によってまたは射出成形によって適用される、請求項78に記載の収納容器。
【請求項80】
複合材料が、ロゴまたは証印として貼り付けられる、請求項78に記載の収納容器。
【請求項81】
トレーまたはカバーの一方が、低い保磁力と高い透磁率を有する複合材料を含み、トレーまたはカバーの他方が、高い保磁力を有する材料である複合材料を含む、請求項1に記載の収納容器。
【請求項82】
収納容器のトレーまたはカバーが、これらの上に、低い保磁力と高い透磁率を有する複合材料を配設しており、トレーまたはカバーの反対側に配設された表面は、高い保磁力の材料を有する複合材料を含む、請求項1に記載の収納容器。

【図1】
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【公表番号】特表2009−500249(P2009−500249A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519540(P2008−519540)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/025285
【国際公開番号】WO2007/005487
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(503200752)ノバ・ケミカルズ・インコーポレイテツド (19)
【Fターム(参考)】