説明

磁性複合粒子、磁性キャリア、および、現像剤

【課題】 本発明は、地下資源の確保、地球温暖化防止といった環境負荷の低減に効果的で、人体にとっても安全であり、耐久性が高く、高画質な画像を現像できる磁性複合粒子、電子写真現剤用となる磁性キャリア、現像剤を提供することを課題とする。
【解決手段】 少なくとも、磁性微粒子と、バイオベースポリマーからなる磁性複合粒子であって、該磁性複合粒子の平均粒径が10〜100μmであり、磁性複合粒子中の磁性微粒子の含有量が50〜99重量%であることを特徴とする磁性複合粒子、磁性キャリア、現像剤からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性複合粒子、磁性キャリア、および、現像剤に関する。さらに詳しくは、環境負荷が低く、耐久性が高い、高画質の画像を現像できる磁性複合粒子、電子写真現像用となる磁性キャリア、および、現像剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真は、固体の光導電性を利用して潜像を形成し、この潜像に着色粒子であるトナーを静電的に付着させて現像を行い、これを紙などに転写・定着するシステムであり、広く複写機・プリンタに、近年では印刷機に、用いられている。
【0003】
この現像において、トナーが磁性を持たない場合、磁性キャリアと呼ばれる担体粒子が使用される。この磁性キャリアは摩擦帯電により適量の正または負の電気量をトナーに付与するとともに磁気力を利用することによって磁石を内蔵する現像スリーブを介して、潜像を形成した感光体表面付近の現像領域にトナーを搬送する役目を果たす。(この磁性キャリアとトナーなどを混合し、すぐに現像できるようにしたものが現像剤である。)近年、電子写真ではカラー化が進み、カラートナーには磁性が無いため、磁性キャリアの需要は飛躍的に多くなっている。また、同時に高画質化、高速化が求められるようになっており、それにあわせて、磁性キャリアにおいてもさらなる機能化が要求されるようになってきている。
【0004】
従来、磁性キャリアとしては、鉄粉キャリア、フェライトキャリア、または、バインダー型キャリアなどが開発され、実用化されている。
【0005】
鉄粉キャリアは、鉄粉を粉砕して調製される磁性キャリアであり、フレーク状、スポンジ状、不定形のものが多い。鉄粉であるため、真比重が7〜8、かさ密度が3〜4g/cmと大きく、現像機内で攪拌するためには大きな駆動力を必要とし、機械的な磨耗が多い。そのため、トナーのスペント化、キャリア自体の帯電量劣化を起こしやすく、短期間でのキャリアの機能低下となりやすい。また、感光体の損傷も懸念される。
【0006】
フェライトキャリアは、鉄粉よりも比重が小さいフェライトを粉砕して調製される磁性キャリアであり、鉄粉キャリアに比べて球形のものが多い。フェライトであるため、真比重が4.5〜5.5、かさ密度が2〜3g/cmと、鉄粉キャリアよりも軽くなっている。そのため、鉄粉キャリアよりも耐久性が向上し、感光体の損傷も少ない。しかしながら、銅−亜鉛、マンガン−マグネシウム−ストロンチウム、リチウム−マグネシウム−カルシウムなど、環境に対しても、人体に対しても安全とはいえない金属を用いている。また、粉砕によって調製されるため、形状の微調整が難しく、小粒子化が困難で、今後の高画質化にはあまり適していない。
【0007】
バインダー型キャリアは、磁性微粒子を樹脂などのバインダーで成型することにより調製される磁性キャリアであり、かさ密度が2.5g/cm程度と小さいため、良好な耐久性を示し、感光体の損傷も少ない。さらにその中の分類として、バインダー型キャリアには、粉砕と造粒により調製されたものがある。粉砕は形状の微調整が難しく、小粒子化が困難で、今後の高画質化にはあまり適していない。造粒は、粒子形状を球状、米粒状など自在に調整しやすいため、流動性やトナーとの接触を制御しやすい。さらに、粒径分布が狭く、小粒子化もしやすい。そのため、耐久性の向上、高画質が実現できる。こういった面から、今後、造粒によるバインダー型キャリアが広く用いられることとなると考えられる。
【0008】
ところで、バインダー型キャリアに使用されるバインダー樹脂としては、ビニル系、ポリエステル系などの熱可塑性樹脂、フェノール系、メラミン系、エポキシ系などの熱硬化性樹脂が用いられているが、そのほとんどにおいて石油、石炭などの地下資源由来の樹脂が用いられており、それらを用いることによる環境負荷は考慮されていない。
【0009】
近年、世界的に地下資源の枯渇、地球温暖化の環境問題が表面化している。そのため、人類の中長期的な繁栄のためには、地下資源をなるべく使わず、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の発生を抑える必要がある。そこで、植物などを原料とする再生利用可能で二酸化炭素の発生が少ないバイオベースポリマーを用いた製品に期待が集まっている。キャリア市場においては約9,700トン(2007年日本メーカー実績:株式会社データサプライ調査による)使用されており、今後のカラー化に伴い、市場はどんどん膨らんでいくものと考えられる。そのうちの樹脂成分数千トンの一部をバイオベースポリマーに変えられれば、地下資源の確保、地球温暖化防止といった環境負荷の低減に効果的と考えられる。
【0010】
また、バイオベースポリマーは人体にとっても毒性が低く、安全であることが知られている。そこで、安全性の向上といった面からも、バイオベースポリマーを使用することは望ましい。
【0011】
また、バイオベースポリマーの中には生分解性を持つものがある。(もちろん、生分解性を持たないバイオベースポリマーも存在する。)この生分解性は耐久性や強度を劣化させる原因になり、本用途においては歓迎されるものではない。しかし、この生分解性を特徴にかかげ、一部に生分解性をもつバイオベースポリマーを用いた技術(特許文献1、2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平7−98520号公報
【特許文献2】特開平7−295300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記特許文献1には、バインダー型キャリアの結着樹脂中に生分解性物質を含有した磁性キャリアが記載されている。厳密には、生分解物質にはバイオベースポリマーであるものと、バイオベースポリマーでないものがあり、記載にあるポリフォスファゼンやポリシアノアクリレートなどはバイオベースポリマーではない。また、バイオベースポリマーの中には生分解するもの、生分解しないものがあり、ポリテレフタル酸トリメチレンや、ポリ−α−メチレン−γ−ブチロラクトンなどはバイオベースポリマーではあるが、生分解性はない。つまり、生分解性物質とバイオベースポリマーとは概念として全く別異のものである。また、この文献に記載されている結着樹脂の80%はスチレン−n−ブチルメタクリレート共重合体といった地下資源由来の生分解しない樹脂であり、環境に配慮されていない。さらに、結着樹脂のガラス転移点が0℃と低く、室温において既に柔らかいため、耐久性に劣るものであった。また、この文献に記載のあるものは混練粉砕法によって調製されたものであるので、粒子形状の制御が難しく、また小粒子化も困難であり、高画質化には向かない。
【0014】
また、前記特許文献2には、バインダー型キャリアの結着樹脂中に生分解性樹脂を含有した磁性キャリアが記載されている。前述したように、生分解性樹脂とバイオベースポリマーとは概念として全く別異のものである。さらに、記載にある3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシバリレート共重合体(ガラス転移点−1℃)、澱粉と変性ポリビニルアルコールのアロイ(ガラス転移点20℃)、ポリコハク酸ブチレン(ガラス転移点−40℃)、ポリカプロラクトン(ガラス転移点−60℃)とガラス転移点が低いため、室温において既に柔らかく、流動性、耐久性に劣るものであった。また、前述と同様に、混練粉砕法によって調製されたものであるので、粒子形状の制御が難しく、また小粒子化も困難であり、高画質化には向かない。
【0015】
本発明は、地下資源の確保、地球温暖化防止といった環境負荷の低減に効果的で、人体にとっても安全であり、耐久性が高く、高画質な画像を現像できる磁性複合粒子、電子写真現剤用となる磁性キャリア、現像剤を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記技術的課題は、次のとおりの本発明によって達成することができる。
【0017】
即ち、本発明は、少なくとも、磁性微粒子と、バイオベースポリマーからなる磁性複合粒子であって、該磁性複合粒子の平均粒径が10〜100μmであり、磁性複合粒子中の磁性微粒子の含有量が50〜99重量%であることを特徴とする磁性複合粒子である(本発明1)。
【0018】
また、本発明は、バイオベースポリマーのガラス転移点が35℃以上であることを特徴とする本発明1記載の磁性複合粒子である(本発明2)。
【0019】
また、本発明は、バイオベースポリマーがポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリテレフタル酸トリメチレン、エチルセルロース、ポリ−α−メチレン−γ−ブチロラクトンから選ばれたポリマー、または、それらのポリマーのモノマーユニットを含む共重合体、あるいは、それらの1種以上を含むポリマー混合体であることを特徴とする本発明1または2に記載の磁性複合粒子である(本発明3)。
【0020】
また、本発明は、バイオベースポリマーの分子量が2,000〜1,000,000であることを特徴とする本発明1乃至3のいずれかに記載の磁性複合粒子である(本発明4)。
【0021】
また、本発明は、本発明1乃至4のいずれかに記載の磁性複合粒子を含むことを特徴とする磁性キャリアである(本発明5)。
【0022】
また、本発明は、本発明1乃至4のいずれかに記載の磁性複合粒子、もしくは本発明5に記載の磁性キャリアの表面にコート層を形成した磁性キャリアである(本発明6)。
【0023】
また、本発明は、本発明1乃至4のいずれかに記載の磁性複合粒子、もしくは、本発明5または6に記載の磁性キャリアを含むことを特徴とする現像剤である(本発明7)。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る磁性複合粒子は、バイオベースポリマーと磁性微粒子からなり、地下資源の確保、地球温暖化防止といった環境負荷の低減にも効果的で、人体にとっても安全であり、耐久性が高く、高画質の画像を現像できるので、磁性キャリア用、現像剤用に好適である。
【0025】
本発明に係る磁性キャリアは、前述したとおりの特性を有する磁性複合粒子からなるので、地下資源の確保、地球温暖化防止といった環境負荷の低減にも効果的で、人体にとっても安全であり、耐久性が高く、高画質の画像を現像できるので、磁性キャリア、現像剤用に好適である。
【0026】
本発明に係る現像剤は、前述したとおりの特性を有する磁性複合粒子、磁性キャリアからなるので、地下資源の確保、地球温暖化防止といった環境負荷の低減にも効果的で、人体にとっても安全であり、耐久性が高く、高画質の画像を現像できるので、現像剤に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の構成をより詳しく説明すれば次のとおりである。
【0028】
まず、本発明に係る磁性複合粒子について述べる。
【0029】
本発明に係る磁性複合粒子は、少なくとも、磁性微粒子と、バイオベースポリマーが集合した磁性複合粒子である。磁性複合粒子の平均粒径は、10〜100μmである。10μm未満の場合、流動性を発揮できなくなる。磁性複合粒子の平均粒径が100μmより大きい場合は、高画質を発揮できなくなる。好ましい磁性複合粒子の平均粒径は10〜90μmであり、より好ましくは10〜70μmである。該磁性複合粒子の形状は球状、粒状、板状、針状などどんな形でも良いが、好ましくは球状、粒状である。
【0030】
本発明に係る磁性複合粒子に含まれる磁性微粒子の含有量は、50〜99重量%である。磁性微粒子の含有量が50重量%未満の場合、十分な磁性を発揮できなくなる。磁性微粒子の含有量が99重量%より多い場合は、バインダーが機能せず、複合粒子の形態を保つことができない。好ましい磁性微粒子の含有量は、65〜97重量%であり、より好ましくは65〜95重量%である。
【0031】
本発明におけるバイオベースポリマーのガラス転移点は、35℃以上である。ガラス転移点が35℃未満であると、室温においてガラス転移点を下回ることが発生し、磁性複合粒子が柔らかくなり、磁性キャリア用、現像剤用に用いた場合の耐久性が発揮できない。好ましくは、ガラス転移点が38℃以上であり、さらに好ましくは、ガラス転移点が40℃以上である。
【0032】
本発明におけるバイオベースポリマーは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリテレフタル酸トリメチレン、エチルセルロース、ポリ−α−メチレン−γ−ブチロラクトンから選ばれたポリマー、または、それらのポリマーのモノマーユニットを含む共重合体、あるいは、それらの1種以上を含むポリマー混合体であることが好ましい。バイオベースポリマーのモノマーユニットを含む共重合体は無限に存在するが、たとえば、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリ乳酸−ポリ−ε−カプロラクトン共重合体、ポリ乳酸−ポリグリコール酸−ポリ−ε−カプロラクトン共重合体、ポリ乳酸−ポリ(ジオキセパノン)共重合体、ポリ乳酸−ポリ(エチレンオキザラート)共重合体、ポリ乳酸−ポリリンゴ酸共重合体、ポリ乳酸−ポリマンデル酸共重合体、ポリ−DL−乳酸共重合体、ポリ−α−メチレン−γ−ブチロラクトン−ポリ−α−アセトキシアクリル酸メチル共重合体などのバイオベースポリマーの共重合体などが挙げられ、一部ガラス転移点が低くなるモノマーあるいはポリマーを含んでもトータルとしてガラス転移点が40℃以上であれば用いることができる。ポリマー混合体も無限に存在するが、たとえば、L−ポリ乳酸とD−ポリ乳酸の混合体(ステレオコンプレックスを含む)、L−ポリ乳酸とポリ−α−メチレン−γ−ブチロラクトンの混合体などが挙げられる。これらはバイオベースから調製されており、地下資源の確保、地球温暖化防止といった環境負荷の低減にも効果的であり、人体にとっても安全である。
【0033】
バイオベースポリマーに光学異性体が存在する場合は、L体、D体、ラセミ体、メソ体、いづれでもよく、DL複合体であるステレオコンプレックスも用いることができる。また、バイオベースポリマーに、シリカ、酸化チタン、クレー、タルク、カーボンブラック、アルミナなどの無機粒子やオクタメチレンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジン、メラミン、N,N’,N’’−トリシクロヘキシル−1,3,5−ベンゼントリカルボキサミド、カルボジイミド、グリセリンモノステアレート、グリセリン、モノパルミテート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンモノオレート、グリセリンジアセトモノラウレートなどの有機物などを添加することができる。
【0034】
バイオベースポリマーの分子量は、2,000〜1,000,000である。バイオベースポリマーの分子量が2,000未満であるとバインダーとしての強度が保てない。バイオベースポリマーの分子量が1,000,000よりも大きいと成型しづらく、複合粒子を形成できない。好ましくは、バイオベースポリマーの分子量が4,000〜800,000であり、さらに好ましくは4,500〜500,000である。
【0035】
バイオベースポリマーの含有量は、1〜50重量%である。バイオベースポリマーの含有量が1重量%未満の場合、バインダーとしての機能が働かず、複合粒子を形成できない。バイオベースポリマーの含有量が50重量%よりも多い場合、十分な磁性を発揮できなくなる。好ましくはバイオベースポリマーの含有量が3〜35重量%であり、より好ましくは5〜35重量%である。
【0036】
磁性微粒子としては、マグネタイト、マグヘマイトなどの酸化鉄微粒子、Co、Ni、Zn、Cuなど1種または2種以上含有するスピネルフェライト微粒子、Ba、Srなどを含有する六方昌フェライト微粒子、希土類を含むガーネットフェライト微粒子、表面に酸化皮膜を有する鉄や鉄合金の微粒子を用いることができる。好ましくは、マグネタイトなどの酸化鉄微粒子である。磁性微粒子の平均粒径は、20nm〜10μmである。磁性複合粒子の強度を考慮すると、磁性微粒子の平均粒径は、50〜500nmが好ましい。さらに好ましくは、50nm〜400nmである。また、形状としては、球状、粒状、針状のいずれであってもよい。
【0037】
磁性微粒子には、磁性複合粒子の磁気特性や比重を調整するために、非磁性微粒子を加することができる。非磁性微粒子としては、Mg、Ca、Ba、Ti、Zr、Ta、V、Nb、Cr、Mo、W、Mn、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Si、Geから選ばれた一種または二種以上の元素の酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩からなる化合物が好ましい。例えば、シリカなどの酸化ケイ素微粒子、ルチル、アナターゼなどの酸化チタン微粒子、アルミナ、ベーマイトなどのアルミニウム化合物微粒子、炭酸カルシウム微粒子、マグネシア、ハイドロタルサイトなどのマグネシウム化合物微粒子、酸化亜鉛微粒子、硫酸バリウム微粒子、カーボンブラック、ランプブラックなどの炭素系微粒子であり、好ましくは炭素系微粒子、酸化ケイ素微粒子、酸化チタン微粒子、アルミニウム化合物微粒子である。磁性複合粒子の強度を考慮すると、非磁性微粒子の平均粒径は50〜500nmが好ましい。さらに好ましくは、50nm〜300nmである。また、形状としては、球状、粒状、針状のいずれであってもよい。
【0038】
磁性微粒子の表面は疎水性表面処理がなされていることが好ましい。疎水性表面処理は磁性微粒子とバイオベースポリマーとの密着性を上げ、強固な磁性複合粒子を形成する目的でなされる。また、磁性複合粒子形成後の耐湿性などの環境安定性を発揮する目的も兼ねている。
【0039】
疎水性表面処理としては、シラン系表面処理剤、チタン系表面処理剤や、表面に有機反応を介して結合する有機化合物、または、界面活性剤や疎水性樹脂などの疎水性の表面処理が可能な物質によってなされたものであり、一種または二種以上を混合して処理されたものでもよい。
【0040】
シラン系表面処理剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルトリメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、トリメチルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシランメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンなどが挙げられる。
チタン系表面処理剤としては、イソプロポキシチタン・トリイソステアレート、イソプロポキシチタン・ジメタクリレート・イソステアレート、イソプロポキシチタン・トリドデシルベンゼンスルホネート、イソプロポキシチタン・トリスジオクチルホスフェート、イソプロポキシチタン・トリN−エチルアミノエチルアミナト、チタニウムビスジオクチルピロホスフェートオキシアセテート、ビスジオクチルホスフェートエチレンジオクチルホスファイト、ジn−ブトキシ・ビストリエタノールアミナトチタンなどが挙げられる。
【0041】
磁性微粒子表面に有機反応を介して結合する有機化合物としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、牛脂脂肪酸、ヒマシ硬化脂肪酸、大豆脂肪酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレイン酸、γ−リノレイン酸などの脂肪酸およびその塩あるいはそのエステルあるいはその酸クロライド、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコール、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリンなどの疎水性アミノ酸、疎水性アミノ酸を多く含むペプチドやたんぱく質、チオフェノール、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、ヘプタンチオール、オクタンチール、デシルシオール、ドデシルチオールなどのチオール、エチルクロライド、ブチルクロライド、ペンチルクロライド、ヘキシルクロライド、ベンジルクロライドなどのハロゲン化アルキル、ベンゾイルクロライド、ヘキシルカルボキシクロライドなどの酸クロライドなどが挙げられる。
【0042】
界面活性剤としては、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン、モノカプリル酸グリセリン、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、ジオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、イソステアリルグリセリルエーテル、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。疎水性樹脂としては、前述のバイオベースポリマーバイオベースポリマー、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレシ−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックスなどが挙げられる。
【0043】
疎水性表面処理剤の処理量は磁性微粒子に対し、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%である。
【0044】
本発明に係る磁性複合粒子のかさ密度は、2.5g/cm以下が好ましく、より好ましくは1.5〜2.5g/cmである。
【0045】
本発明に係る磁性複合粒子の比重は、2.5〜5.2が好ましく、より好ましくは2.5〜4.5である。
【0046】
本発明に係る磁性複合粒子のBET比表面積は、0.1〜1.0m/gが好ましく、より好ましくは0.1〜0.9m/gである。
【0047】
本発明に係る磁性複合粒子の流動性は、20sec/50g以上が好ましい。
【0048】
本発明に係る磁性複合粒子の電気抵抗は、1×10〜1×1015Ωcmが好ましく、より好ましくは5.0×10〜1×1012Ωcmである。
【0049】
本発明に係る磁性複合粒子の飽和磁化値は、20〜80Am/kg(20〜80emu/g)が好ましく、より好ましくは40〜80Am/kg(40〜80emu/g)である。
【0050】
次に、本発明に係る磁性複合粒子の製造法について述べる。
【0051】
本発明に係る磁性複合粒子は、表面処理工程、分散工程、造粒工程、後処理工程の各工程を経て得ることができる。
【0052】
本発明では、まず、磁性微粒子の表面に疎水性表面処理剤を反応、もしくは、吸着させ、疎水化磁性微粒子を得る(表面処理工程)。この疎水化磁性微粒子を、バイオベースポリマーなどを溶解、もしくは分散した有機溶媒と混合、分散させ分散相とする(分散工程)。この分散相を連続相、もしくは懸濁安定剤の入った連続相に添加、懸濁させ、目的サイズの液滴懸濁液を調製する。この懸濁液に熱などを加え、連続相を乾かすことなく、液滴中の有機溶剤を乾燥させ、造粒し、磁性複合粒子スラリーを得る(造粒工程)。このスラリーを十分洗浄、乾燥し、磁性複合粒子を得る(後処理工程)。また、必要に応じて分級を行ってもよい。
【0053】
表面処理工程は、磁性微粒子に前述した疎水性表面処理剤を反応、もしくは吸着させ、表面を疎水的にして、バイオベースポリマーとの密着性を上げる工程である。
【0054】
表面処理をおこなうのは乾式でも湿式でもよく、乾式の場合、ホイール形混練機、ブレード型混練機、ボール型混練機、ロール型混練機などを用いることができる。湿式の場合、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ビーズミル、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーなどを用いることができる。
【0055】
分散工程は、バイオベースポリマーなどを溶解、もしくは分散した有機溶媒に疎水性表面処理磁性微粒子を分散させ分散相を調製する工程である。
【0056】
有機溶媒としては、バイオベースポリマーを溶解もしくは分散でき、連続相に溶解しない溶媒である必要がある。具体的には、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、trans−1,2−ジクロロエチレン、cis−1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,2−ジクロロエチルエーテル、ジブロモメタン、ブロモホルム、四臭化炭素、ブロモエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1−ジブロモエチレン、1,2−ジブロモエチルエーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、超臨界二酸化炭素などが挙げられる。
【0057】
分散をおこなう装置としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ビーズミル、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーなどが挙げられる。
【0058】
造粒工程は、分散工程で調製した分散相を連続相、もしくは、懸濁安定剤の入った連続相に添加、懸濁させ、目的サイズの液滴懸濁液を調製し、この懸濁液に熱などを加え、連続相を乾かすことなく、液滴中の有機溶剤を乾燥、造粒し、磁性複合粒子を得る工程である。
【0059】
懸濁安定剤としては、コロイダルシリカ、シランカップリング剤、界面活性剤などを用いることができる。
【0060】
コロイダルシリカとしては、シリカを水中にコロイド状で分散しているもので、酸性、中性、塩基性で分散しているものを挙げることができる。
【0061】
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエトキシシラン、スチリルトキメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクロリキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの硫酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フルオロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0062】
界面活性剤としては、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン、モノカプリル酸グリセリン、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、ジオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、イソステアリルグリセリルエーテル、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。
【0063】
連続相としては、分散相を溶解させず、十分に懸濁できる媒体である必要がある。具体的には、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールなどである。
【0064】
懸濁をおこなう装置としては、ホモミキサー、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、攪拌機、内部循環型攪拌機、外部循環型攪拌機、薄膜旋回型攪拌機などが挙げられる。
【0065】
本発明においては、所望の液滴となるように、懸濁液の濃度、前記懸濁を行う装置の撹拌条件を設定すればよい。
【0066】
本発明においては、前記有機溶媒が揮発する温度範囲で加熱処理を行えばよい。
【0067】
後処理工程は、造粒工程で添加した懸濁安定剤や、調製により発生した不純物を除くため、水洗、必要に応じて水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、酢酸、塩酸、硫酸などを添加し水洗することで、磁性複合粒子を純化し、分離、最後に乾燥をおこなう工程である。また、目的の粒径、粒径分布にするために分級をおこなってもよい。
【0068】
水洗、分離には、遠心分離や、吸引ろ過、加圧ろ過、限外ろ過、逆浸透膜ろ過などのろ過によっておこなわれる。
【0069】
乾燥においては、通風乾燥、真空乾燥、スプレードライ、凍結乾燥などの定法を用いて取り出せばよい。
【0070】
分級においては、電磁ふるい、ターボスクリーナー、ターボクラッシュファイアなどの分級装置を用いておこなわれる。
【0071】
次に、本発明に係る磁性キャリアについて述べる。
【0072】
本発明に係る磁性キャリアは磁性複合粒子をそのまま用いることができる。さらに、帯電量や電気抵抗を制御するため、磁性複合粒子の粒子表面にコート層を形成させることもできる。
【0073】
コート層としては、カップリング剤、無機微粒子、樹脂などが挙げられる。単独で用いても組み合わせて用いても良い。コート層は磁性複合粒子に対して0.5〜2.5重量%コートすることが好ましい。
【0074】
カップリング剤としては、シラン系、チタン系などがあり、シラン系カップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエトキシシラン、スチリルトキメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクロリキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの硫酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フルオロエチルトリエトキシシラン、などが挙げられる。チタン系カップリング剤としては、イソプロポキシチタン・トリイソステアレート、イソプロポキシチタン・ジメタクリレート・イソステアレート、イソプロポキシチタン・トリドデシルベンゼンスルホネート、イソプロポキシチタン・トリスジオクチルホスフェート、イソプロポキシチタン・トリN−エチルアミノエチルアミナト、チタニウムビスジオクチルピロホスフェートオキシアセテート、ビスジオクチルホスフェートエチレンジオクチルホスファイト、ジn−ブトキシ・ビストリエタノールアミナトチタンなどが挙げられる。
【0075】
無機微粒子としては、Mg、Ca、Ba、Ti、Zr、Ta、V、Nb、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Ga、Si、Geから選ばれた一種または二種以上の元素の酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩からなる化合物が好ましい。例えば、シリカなどの酸化ケイ素微粒子、ルチル、アナターゼなどの酸化チタン微粒子、アルミナ、ベーマイトなどのアルミニウム化合物微粒子、炭酸カルシウム微粒子、マグネシア、ハイドロタルサイトなどのマグネシウム化合物微粒子、酸化亜鉛微粒子、硫酸バリウム微粒子、ヘマタイト、マグネタイト、ゲーサイトなどの酸化鉄微粒子、カーボンブラック、ランプブラックなどの炭素系微粒子であり、好ましくは酸化ケイ素微粒子、酸化チタン微粒子、アルミニウム化合物微粒子である。
【0076】
樹脂としては、前述のバイオベースポリマーが挙げられる。また、キチン、キトサン、アルギン酸、アミロース、セルロースなどの糖類も挙げられる。さらには、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、またはそれら二種類以上が共重合されたものも好ましい。具体的には、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、4−メトキシスチレン、4−シアノスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、2−ビニルフェナントレン、スチレンマクロマーなどのスチレン系モノマーおよびその誘導体から選ばれたモノマーの重合体、または、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリロニトリル、アクリルアミド、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリロニトリル、メタクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、イタコン酸、イタコン酸メチル、イタコン酸エチル、フマル酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、クロトン酸、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、メタクリル酸メチルマクロマーなどのアクリル酸系モノマーおよびその誘導体から選ばれたモノマーの重合体、または、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレシ−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ジエステル共重合体、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、アクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸共重合体などの二種類以上のそれらのモノマーから重合されるブロック共重合体、ランダム共重合体、あるいはグラフト共重合体などのスチレンアクリル樹脂や、ストレートメチルシリコーンレジン、メチルフェニルシリコーンレジン、エポキシ変性シリコーンレジン、アルキッド変性シリコーンレジン、ポリエステル変性シリコーンレジン、アクリル変性シリコーンレジンなど、側鎖型、片末端型、両末端型、側鎖両末端型の変性シリコーンオイルなどのシリコーン樹脂や、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、ダイマー酸などの二価カルボン酸、トリメリット酸、ピロリメット酸などの三価以上のカルボン酸などの多価カルボン酸と、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリテトラエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物などの2価アルコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上のアルコールなどの多価アルコールのエステル結合による重合体、あるいはそれらのブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体などのポリエステル樹脂や、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ジエチレンアジペート)、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)、シリコーンポリオールなどのポリオールと、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどのイソシアネートのウレタン結合による重合体、あるいはそれらのブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体などのウレタン樹脂、あるいはスチレンアクリル樹脂−ポリエステル樹脂共重合体、スチレンアクリル樹脂−ウレタン樹脂共重合体などの樹脂間の共重合体などが挙げられる。
【0077】
本発明に係る磁性キャリアの電気抵抗は、1×10〜1×1017Ωcmが好ましく、より好ましくは1×10〜1×1016Ωcmである。
【0078】
次に、本発明に係る磁性キャリアの製造法について述べる。
【0079】
本発明に係る磁性キャリアは、磁性複合粒子をそのまま用いることができる。帯電量や電気抵抗を制御するため、表面にコート層を形成させることもできる。その場合においては、カップリング剤、無機微粒子、樹脂をそのまま、あるいは、水中、有機溶媒中に懸濁、あるいは溶解させ、混合攪拌機、万能攪拌機、ホイール形混練機、ブレード型混練機、ボール型混練機、ロール型混練機、転動流動層コーティング装置などを用いて、表面コートを行うことができる。またコート後には、必要に応じて、乾燥、焼付け、分級処理をおこなうことができる。
【0080】
次に、本発明に係る現像剤について述べる。
【0081】
本発明に係る現像剤は磁性複合粒子、磁性キャリアをそのまま用いることができる。さらに、各種磁性トナー、非磁性トナーを混合し、現像剤として用いることができる。
【0082】
次に、本発明に係る現像剤の製造法について述べる。
【0083】
本発明に係る現像剤は磁性複合粒子、磁性キャリアをそのまま用いることができる。さらに、各種磁性トナー、非磁性トナーを混合し、現像剤として用いる場合、ボールミル、ペイントコンディショナー、攪拌混合機、ターブラ・シェーカー・ミキサーなどを用いて調製できる。
【0084】
<作用>
本発明に係る磁性複合粒子は、バイオベースポリマーが被覆され、バインダーとなることで磁性微粒子が集合体を形成し、複合粒子となったものである。また、この磁性複合粒子は鉄粉やフェライトと比べて、嵩密度が小さく、流動性に優れているため、それ自体、または磁性キャリア、現像剤として、耐久性が高い。また、造粒によって調製されているため、小粒子化に向いており、高画質の画像を現像できる。また、バイオベースポリマーを使用しているため、地下資源の確保、地球温暖化防止といった環境負荷の低減にも効果的であり、人体にとっても安全である。
【0085】
本発明に係る磁性キャリアは、前述したとおりの特性を有する磁性複合粒子からなるので、耐久性が高く、高画質の画像を現像できる。また、環境負荷の低減にも効果的であり、人体にとっても安全である。
【0086】
本発明に係る現像剤は、前述したとおりの特性を有する磁性複合粒子、あるいは、磁性キャリアからなるので、耐久性が高く、高画質の画像を現像できる。また、環境負荷の低減にも効果的であり、人体にとっても安全である。
【実施例】
【0087】
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。尚、文中「部」および「%」とあるのは質量による基準とする。また、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0088】
赤外吸収スペクトルは、島津フーリエ変換赤外分光光度計FTIR−8700による測定データである。
【0089】
磁性微粒子および磁性複合粒子の平均粒径は、堀場製レーザー回折式粒度分布計LA−750による体積基準によるデータである。
【0090】
BET比表面積は、ユアサアイオニクス製モノソーブMS−21によるデータである。
【0091】
ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、日立高速液体クロマトグラフLaChrom Elite、東ソー製SECカラムTSKgelMultiporeHXL−MによるGPC法によって測定されたデータである。
【0092】
飽和磁化は、東英工業製振動試料型磁力計VSM−3S−15、外部磁場795.8kA/m(10kOe)の測定値である。
【0093】
真比重はマイクロメリティクス製マルチボリウム密度計で測定された値である。
【0094】
嵩密度はJIS K 5101に記載の方法に従った。
【0095】
電気抵抗値(体積固有抵抗値)は、横河ヒューレットパッカード製ハイレジスタンスメーター4329Aで測定された値(印加電圧100V)である。
【0096】
流動性は、JIS Z 2502に記載の方法に従い、流動率を測定し、20(sec/50g)以上のものを○、20(sec/50g)未満のものを×とした。
【0097】
ガラス転移点はセイコーインスツルメンツ製示差走査熱量計DSC6200を用いて測定された。
【0098】
磁性複合粒子の残存有機溶媒(1,2−ジクロロエタンなど)の検出はパーキンエルマー製ガスクロマトグラフClarus500を用いて定量した。
【0099】
X線回折は理学電機製X線回折装置RINT2500によって測定された。
【0100】
環境負荷低減は、環境負荷の低い材料を用いている場合は○、石油由来ポリマーなどの環境負荷のある材料を用いている場合は×とした。
【0101】
人体への安全性は、人体に対して安全なポリマーを用いている場合は○、人体に対して安全でないポリマーを用いている場合は×とした。
【0102】
耐久性は、磁性複合粒子をシンマルエンタープライゼス製ターブラ・シェーカー・ミキサーT2Fに入れ、101rpmで2時間振とうし、振とう前後での磁性複合粒子の表面を日立製走査型電子顕微鏡S−4800で観察し、粒子の結着、変形、剥がれなどの劣化が見られる場合は×、変化の無いものを○とした。
【0103】
(トナー製造例1)
ポリエステル樹脂 100重量部
銅フタロシアニン 5重量部
帯電制御剤(4級アンモニウム塩) 4重量部
低分子ポリオレフィン 3重量部
上記材料をヘンシェルミキサーにて、十分予備混合を行い、二軸押出式混練機により溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて粉砕、分級して重量平均粒径7μmの正帯電性青色粉体を得た。
【0104】
上記正帯電青色粉体100重量部と疎水性シリカ1重量部をヘンシェルミキサーで混合し、正帯電シアントナーaを得た。
【0105】
(トナー製造例2)
ポリエステル樹脂 100重量部
銅フタロシアニン 5重量部
帯電制御剤(ジ−tert−ブチルサリチル酸亜鉛化合物) 3重量部
ワックス 9重量部
上記材料をヘンシェルミキサーにて、十分予備混合を行い、二軸押出式混練機により溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて粉砕、分級して重量平均粒径7μmの負帯電性青色粉体を得た。
【0106】
上記負帯電青色粉体100重量部と疎水性シリカ1重量部をヘンシェルミキサーで混合し、負帯電シアントナーbを得た。
【0107】
<表面処理工程>
(表面処理例1)
球状マグネタイト微粒子(平均粒径230nm)100重量部をフラスコにいれ、窒素置換を行い、十分攪拌した後、ステアリン酸1.5重量部を添加し、80℃まで昇温し、窒素雰囲気下で30分よく攪拌することにより、ステアリル基で被覆された疎水性磁性微粒子1を得た。
【0108】
(表面処理例2)
6面体状マグネタイト微粒子(平均粒径230nm)100重量部をフラスコにいれ、窒素置換を行い、十分攪拌した後、デシルトリメトキシシラン1.2重量部を添加する以外は、疎水性磁性微粒子1と同一条件の操作を行い、デシルシリル基で被覆された疎水性磁性微粒子2を得た。
【0109】
(表面処理例3)
6面体状マグネタイト微粒子100重量部を8面体状マグネタイト微粒子(平均粒径300nm)にした以外は疎水性磁性微粒子2と同一の条件の操作を行い、デシルシリル基で被覆された疎水性磁性微粒子3を得た。
【0110】
[実施例1](ポリ乳酸を用いた磁性複合粒子)
<分散工程>
疎水性磁性微粒子1 10重量部
L−ポリ乳酸(Mw=86,000) 2重量部
1,2−ジクロロエタン 38重量部
上記材料をブランソン製超音波ホモジナイザーS−250Dを用いて十分分散した。
<造粒工程>
この分散液を、1000重量部の水中に投入し、特殊機化製ホモミキサーにて3,000rpmで懸濁することによって、約40μmの液滴懸濁液を得た。この懸濁液に窒素ガスをバブリングしながら、攪拌翼で攪拌し、90℃に加温することで、液滴中の1,2−ジクロロエタンを蒸散させた。(蒸気はすべて回収して、1,2−ジクロロエタンを回収、再利用した。)
<後処理工程>
このスラリーを水洗して真空乾燥し、25μm、100μmの目開きのふるいを用いて微粉、粗大粒子を除いて、本発明における磁性複合粒子を得た。得られた磁性複合粒子の平均粒径は34μmであり、嵩密度1.9g/cm、比重3.2g/cm、飽和磁化70Am/kgであった。電気抵抗値3.8×10Ωcm、BET比表面積0.3g/mであった。(磁性複合粒子には残存1,2−ジクロロエタンは検出されなかった。)
【0111】
得られた磁性複合粒子の組成分析を下記のとおり行った。磁性複合粒子、1.00重量部を採取し、1,2−ジクロロエタンを用いてソックスレー抽出を行い、溶解成分を1,2−ジクロロエタンに抽出した。残った不溶成分は0.82重量部であった。この不溶成分のX線回折から、マグネタイトであることが同定された。また、粒径は、220nmであった。また、この微粒子を水に浮かべたところ、水と混ざらなかったため、疎水性であることが分かった。
次に1,2−ジクロロエタン抽出液にメタノールを加えたところ、白色沈殿が発生した。この白色沈殿を乾燥し、秤量したところ、0.18重量部であった。この白色沈殿の赤外吸収スペクトルを測定したところ、ポリ乳酸であることが同定された。このポリ乳酸の重量平均分子量を測定したところ、86,000であった。磁性微粒子の含有量は82重量%であった。また、ガラス転移点は56℃であった。
【0112】
[実施例2]〜[実施例12]
疎水性磁性微粒子の種類、量、バイオベースポリマーの種類、量、有機溶媒の種類、量、懸濁速度を変化させた以外は、実施例1と同一の操作で磁性複合粒子を得た。
【0113】
[比較例1](石油由来ポリマーを用いた場合)
L−ポリ乳酸の代わりにスチレン−メタクリル酸メチル共重合体(重量平均分子量80,000)を用いた以外は実施例1と同様にして磁性複合粒子を得た。得られた磁性複合粒子の平均粒径は30μmであった。しかしながら、石油由来のポリマーを用いているため、環境負荷には配慮されておらず、地下資源の確保、地球温暖化防止といった環境負荷の低減に効果は薄い。
【0114】
[比較例2](磁性複合粒子の粒径が小さい場合)
ホモミキサーでの懸濁スピードを12,000rpmにした以外は実施例1と同様にして磁性複合粒子を得た。得られた磁性複合粒子の平均粒径は8μmであった。この粒径では、粒子の流動性が得られず、電子写真現像用としては向かないものであった。
【0115】
[比較例3](磁性微粒子含有量が少ない場合)
疎水性磁性微粒子1 5重量部
ポリ乳酸(Mw=86,000) 7重量部
1,2−ジクロロエタン 38重量部
上記材料の配合で実施した以外は実施例1と同様にして磁性複合粒子を得た。得られた磁性複合粒子の平均粒径は35μmであった。この磁性微粒子の含有量では、十分な磁性が得られず、電子写真現像用としては向かないものであった。
【0116】
[比較例4](石油由来ポリマーと天然ポリマー系の多糖類を用いた場合)
スチレン−ブチルメタクリレート共重合体(スチレン成分70部) 40重量部
生分解性物質として天然ポリマー系の多糖類「荻原工業 商品名ECOSTAR(エコスター)」 10重量部
四三酸化鉄(戸田工業製 商品名MTA−740) 60重量部
カーボンブラック(キャボット社製BPL) 3.5重量部
上記を溶融混練し冷却後粉砕して磁性微粉末を得た。この微粉末を風力分級機で分級し、平均粒径40μmの磁性微粉末キャリアを得た。しかしながら、石油由来のポリマーを用いているため、環境負荷には配慮されておらず、地下資源の確保、地球温暖化防止といった環境負荷の低減に効果は薄い。また、この磁性微粒子の含有量では、十分な磁性が得られず、電子写真現像用としては向かないものであった。また、ポリマーのガラス転移点は0℃であった。
【0117】
[比較例5](3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシバリレート共重合体を用いた場合)
3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシバリレート共重合体(平均分子量=4万)
100重量部
マグネタイト 400重量部
上記をヘンシェルミキサーにより混合し、さらに2本ロールにより溶融混練した後、粉砕し、分級して、平均粒径が50μmのバインダー型キャリアを得た。しかしながら、得られた粒子は柔らかく、耐久性に劣っていた。ポリマーのガラス転移点は−1℃であった。
【0118】
[比較例6](澱粉とポリビニルアルコールのアロイを用いた場合)
澱粉と変性ポリビニルアルコールのアロイ(平均分子量=3万) 100重量部
マグネタイト 400重量部
材料を上記のように変更した以外は比較例6と同様に調製し、平均粒径40μmのバインダー型キャリアを得た。しかしながら、得られた粒子は柔らかく、耐久性に劣っていた。ポリマーのガラス転移点は20℃であった。
【0119】
[比較例7](ポリコハク酸ブチレンを用いた場合)
ポリコハク酸ブチレン(平均分子量5万) 100重量部
マグネタイト 400重量部
材料を上記のように変更した以外は比較例6と同様に調製し、平均粒径60μmのバインダー型キャリアを得た。しかしながら、得られた粒子は柔らかく、流動性に劣っていた。ポリマーのガラス転移点は−40℃であった。
【0120】
[比較例8](ポリコハク酸ブチレンとスチレンアクリル系共重合体を用いた場合)
ポリコハク酸ブチレン(平均分子量5万) 60重量部
スチレンアクリル系共重合体 40重量部
マグネタイト 400重量部
材料を上記のように変更した以外は比較例6と同様に調製し、平均粒径60μmのバインダー型キャリアを得た。しかしながら、得られた粒子は柔らかく、流動性に劣っていた。ポリマーのガラス転移点は−40℃であった。
【0121】
得られた磁性複合粒子の製造条件を表1に、諸特性を表2に示す。
【0122】
【表1】

【0123】
【表2】

【0124】
表1、2に示すとおり、本発明に係る磁性複合粒子は、バイオベースポリマーを使用しているため、地下資源の確保、地球温暖化防止といった環境負荷の低減にも効果的であり、人体にとっても安全であり、耐久性が高いことは必至である。また、嵩密度が小さく、流動性に優れており、磁性キャリアの原料、磁性キャリア、現像剤として用いた場合、非常に優れていることは明らかである。また、造粒によって調製されたものであり、高画質化に適している。
【0125】
[磁性キャリア]
[実施例13]〜[実施例24]、[比較例9]〜[比較例16]
下記配合割合で磁性複合粒子とトナーを配合し、シンマルエンタープライゼス製ターブラ・シェーカー・ミキサーT2Fにて所定の時間、振とうして、トナーの帯電量を測定することにより、磁性複合粒子の磁性キャリアとしての性能を評価した。
磁性キャリア(磁性複合粒子) 92重量部
トナー 8重量部
【0126】
トナーの帯電量は、京セラケミカル製ブローオフ帯電量測定装置TB−200を用いて測定した。そして、帯電量の変化率を、1分間振とう後の帯電量の値を初期の帯電量の値とし、2時間振とう後の帯電量の値との差を初期の帯電量の値で割った値に100を乗じて百分率とした値で表示した。結果を表3に示す。
【0127】
【表3】

【0128】
[磁性キャリア](表面コート層形成)
[実施例25]
磁性複合粒子(実施例1)、100重量部をダルトン製混合攪拌機5XDML−03−rに入れ、40℃にて攪拌した。これに、エチルセルロース(Mw=30,000)1重量部を酢酸エチル20重量部に溶解した液を投入し、窒素気流下で、40℃にて2時間攪拌した。(酢酸エチル蒸気はすべて回収して、酢酸エチルを回収、再利用した。)そののち、80℃に昇温し、2時間攪拌した。得られた粒子を25μm、100μmの目開きのふるいを用いて微粉、粗大粒子を除いて、本発明における磁性キャリア(表面コート層形成)を得た。磁性キャリアの電気抵抗は4.0×1012Ωcmであった。前述と同様に、トナーと混合して、トナーの帯電量を測定したところ、トナーの帯電量の変化率は5%であった。
【0129】
[実施例26]
エチルセルロース1重量部を酢酸エチル20重量部に溶解した液に、さらにカーボンブラック(平均粒径20nm)0.1重量部加え、超音波ホモジナイザーで十分分散した液を用いた以外は実施例25と同様にして、本発明における磁性キャリア(表面コート層形成)を得た。磁性キャリアの電気抵抗は2.0×1011Ωcmであった。トナーの帯電量の変化率は7%であった。
【0130】
[実施例27]〜[実施例35]
磁性キャリア(磁性複合粒子)の種類と量、樹脂の種類と量、無機微粒子の種類と量、有機溶媒の種類と量、を変化させた以外は、実施例26、27と同一の操作で磁性キャリア(表面コート層形成)を得た。結果を表4に示す。
【0131】
【表4】

【0132】
表3、4に示すとおり、本発明に係る磁性キャリアは、耐久性が高いことは明らかである。また、バイオベースポリマーを使用しているため、地下資源の確保、地球温暖化防止といった環境負荷の低減にも効果的であり、人体にとっても安全であることは明らかである。
【0133】
[現像剤]
下記配合割合で磁性キャリアとトナーを配合し、ヤマト製ユニバーサルボールミルUB−32にて混合し、現像剤を得た。
磁性複合粒子 92重量部
トナー 8重量部
【0134】
この現像剤、トナーを用いて、京セラミタ製LS−C5016Nにて、文字とベタぬりの印刷テストを行った。画像鮮明性として、最初の1枚目の画質が美しいものを○、1枚目から文字のかすれやベタ部分のムラがあるものを×とした。また、画像耐久性として1000枚劣化無く印刷できたものを○、500枚劣化無く印刷できたものを△、500枚未満で劣化したものを×とした。結果を表5に示す。
【0135】
【表5】

【0136】
表5に示すとおり、本発明に係る現像剤は、画像鮮明性、画像耐久性が高いことは明らかである。また、バイオベースポリマーを使用しているため、地下資源の確保、地球温暖化防止といった環境負荷の低減にも効果的であり、人体にとっても安全であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明に係る磁性複合粒子は、バイオベースポリマーと磁性微粒子からなり、地下資源の確保、地球温暖化防止といった環境負荷の低減にも効果的で、人体にとっても安全であり、耐久性が高く、高画質の画像を現像できるので、磁性キャリア用、現像剤用に好適である。
【0138】
本発明に係る磁性キャリアは、前述したとおりの特性を有する磁性複合粒子からなるので、地下資源の確保、地球温暖化防止といった環境負荷の低減にも効果的で、人体にとっても安全であり、耐久性が高く、高画質の画像を現像でき、磁性キャリア、現像剤用に好適である。
【0139】
本発明に係る現像剤は、前述したとおりの特性を有する磁性複合粒子、磁性キャリアからなるので、地下資源の確保、地球温暖化防止といった環境負荷の低減にも効果的で、人体にとっても安全であり、耐久性が高く、高画質の画像を現像でき、現像剤に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、磁性微粒子と、バイオベースポリマーからなる磁性複合粒子であって、該磁性複合粒子の平均粒径が10〜100μmであり、磁性複合粒子中の磁性微粒子の含有量が50〜99重量%であることを特徴とする磁性複合粒子。
【請求項2】
バイオベースポリマーのガラス転移点が35℃以上であることを特徴とする請求項1記載の磁性複合粒子。
【請求項3】
バイオベースポリマーが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリテレフタル酸トリメチレン、エチルセルロース、ポリ−α−メチレン−γ−ブチロラクトンから選ばれたポリマー、または、それらのポリマーのモノマーユニットを含む共重合体、あるいは、それらの1種以上を含むポリマー混合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性複合粒子。
【請求項4】
バイオベースポリマーの分子量が2,000〜1,000,000であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁性複合粒子。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の磁性複合粒子を含むことを特徴とする磁性キャリア。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の磁性複合粒子、もしくは請求項5に記載の磁性キャリアの表面にコート層を形成した磁性キャリア。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載の磁性複合粒子、もしくは、請求項5または6に記載の磁性キャリアを含むことを特徴とする現像剤。


【公開番号】特開2010−237604(P2010−237604A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88030(P2009−88030)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000166443)戸田工業株式会社 (406)
【Fターム(参考)】