説明

磁束照射装置

【課題】 小型で強い磁界を発生させ、より深い部分での加熱治療が可能な磁束照射装置を提供すること。
【解決手段】 所定のギャップGで対向して配置される磁束照射部14,54を各々有する一対の軟磁性のコア4,5と、少なくとも一方の前記コアに巻回され、通電されることにより前記磁束照射部14,54間で高周波磁界を生じさせるコイル6と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟磁性のコアを有する磁束照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コイルに高周波電流を流すことで磁界を発生させ、比較的磁界の強い領域に配置された感磁発熱体が発熱することにより、癌細胞などを壊死させる温熱治療機器が知られている。
【0003】
このような温熱治療機器を用いた治療において、より深部に所在する癌細胞を壊死させるために、大電力にするなどの対策が考えられる。また、複数のコイルを並列して配置することで、感磁発熱体における磁界を強くする技術が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、従来の磁束照射装置では、磁界を強くしようとすると、装置の大型化を招いてしまう。又、患部が体表面より深い位置だと十分な磁界を照射できない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−205040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、小型で強い磁界を発生させ、より深い部分での加熱治療が可能な磁束照射装置を提供することを目的としている。又、2対のコイルをほぼ180度対向させることにより磁束を狙った患部に当て易くなり、患部が深い場合でも高い発熱効果を安定的に得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る磁束照射装置は、
所定のギャップで対向して配置される磁束照射部を各々有する一対の軟磁性のコアと、
少なくとも一方の前記コアに巻回され、通電されることにより前記磁束照射部間で高周波磁界を生じさせるコイルと、を有する。
【0007】
コアに巻回されたコイルに高周波電流を流すことで、磁束照射部同士の間で磁束密度が高く、強い高周波磁界が発生する。強い高周波磁界中に感磁発熱体を配置することにより、効率的に感磁発熱体が発熱し、この熱によって癌細胞などを壊死させることができる。効率的に強い磁界を発生させるため、電力を下げることができ、また、装置を小型化することができる。
【0008】
また、磁束照射部同士の間で磁束密度が高く、強い高周波磁界が発生するために、有効なギャップの距離を長く確保することができる。したがって、より深い部分での加熱治療が可能になる。
【0009】
好ましくは、前記コアを相互に連結して磁路を形成する磁路形成部材をさらに有する。磁路形成部材に磁力線が集中することにより、磁束照射部間での磁束密度がさらに高くなる。
【0010】
好ましくは、前記磁路形成部材には、前記磁路が複数形成されている。好ましくは、前記磁路が前記コア間の周囲を囲んでいる。磁路がコア間の周囲を囲うように配置されるために、高周波ノイズが磁束照射装置から放出されることを防止することができる。
【0011】
好ましくは、前記磁路形成部材は、軟磁性体で構成してあり、それぞれの前記コアを支持するコア支持部と、前記コア支持部同士を連結する連結部とを有する。
【0012】
好ましくは、前記コアから前記連結部までの距離は、前記ギャップの1/2以上、さらに好ましくは、前記ギャップと同等以上である。コアから連結部までの距離が近いと、磁束照射部から連結部へ向かう磁力線が生じ、磁束照射部間で生じる直線状の磁力線が減るおそれがある。コアから連結部までの距離をある程度確保することで、磁束照射部間に生じる磁束密度を向上させることができる。
【0013】
好ましくは、前記ギャップの距離は、5cm以上である。ギャップの距離を所定以上にすることにより、体表から十分に深い患部に感磁発熱体を配置することができる。
【0014】
好ましくは、前記ギャップを調整可能に、前記コア支持部が前記連結部に沿って移動可能である。ギャップ長を調整可能になるため、治療すべき対象の大きさに合わせてギャップを設定することができる。このため、磁束照射部同士の間に発生する高周波磁界を、治療すべき対象の大きさにおける最大限の強さで発生させることができる。
【0015】
好ましくは、前記コアから前記連結部までの距離を調整可能に、前記コアが前記コア支持部に沿って移動可能である。すなわち、コア支持部の移動に伴うギャップ長の変化に合わせて、コアがコア支持部に沿って移動する。したがって、ギャップ長が変化しても、コアから連結部までの距離を確保することができ、磁束照射部間での高周波磁界を、治療すべき対象の大きさにおける最大限の強さで発生させることができる。
【0016】
好ましくは、前記磁束照射部間で磁力線が直線状に照射される磁力線と直交する実効磁力領域の面積は1mm以上である。実効磁力領域の面積を1mm以上にすることにより、一度の照射でより広範囲に感磁発熱体が発熱し、一度の照射でより広範囲の癌細胞を壊死させることができる。
【0017】
好ましくは、前記実効磁力領域における磁束密度は、周波数fが10kHz以上10MHz以下において、0.01mT以上1.0T以下である。周波数fが10kHz以上10MHz以下の時、実効磁力領域における磁束密度が0.01mT以上1.0T以下であることにより、磁束照射部間でより安定的に発熱させることが出来る。なお、必要とする磁束密度は発熱体の種類と周波数fとの関係で決まる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る磁束照射装置の概略断面側面図である。
【図2】図2は、本発明の他の実施形態に係る磁束照射装置の概略断面側面図である。
【図3】図3は、本発明の他の実施形態に係る磁束照射装置の概略断面側面図である。
【図4】図4は、比較例における磁束照射装置の概略断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1実施形態
図1に示すように、本実施形態に係る磁束照射装置2は、コア4,5と、コイル6と、高周波電源12と、磁路形成部材20を有している。磁路形成部材20は、コア支持部8と、連結部10とを有している。
【0020】
コア4,5、コア支持部8、連結部10に磁路が形成されるように、コア4,5、コア支持部8、連結部10が配置される。具体的には、以下に述べる。
【0021】
図1に示すように、コア4,5の磁束照射部14,54がギャップGを有して対向し、コア4,5の軸心24が略一致するようにコア4,5が配置される。コア4,5は略円柱形状をしており、直径は30mm、軸心24方向の長さは20mmであることが好ましい。コア4,5の横断面は、略円形であっても良いし、略矩形であっても良い。ギャップGは、0以上、好ましくは10cm以上である。また、ギャップGの上限は、特に限定されないが、30cmでも良い。
【0022】
一方のコア4の周囲には、軸心24を周回するようにコイル6が巻回されている。コイル6の材質は特に限定されないが、Cu、Al、Sn、Ag等を用いることが好ましい。コイル6の内径はコア4,5の+1mm以下のクリアランス、ワイヤー幅は10mm以下、ワイヤー厚みは2mm以下であることが好ましい。また、コイル6の巻き数Nは、150ts以下であることが好ましい。
【0023】
図1に示すように、磁束照射装置2は、コア4,5を相互に連結する磁路形成部材20(コア支持部8+連結部10)を有している。コア4,5は、軸心24に直交する方向(方向D)へ移動可能にコア支持部8,8に配置されている。コア支持部8の形状は特に限定されないが、軸心24に略直交する方向に長い形状をしていることが好ましい。
【0024】
コア支持部8のコア4,5が配置される側とは反対側の端部8aは、コア支持部8,8が軸心24方向(方向T)に沿って移動可能に連結部10に配置されている。連結部10の形状は特に限定されないが、軸心24に沿う方向に長い形状をしていることが好ましい。
【0025】
コア4,5の連結部10側の端部4a,5aから連結部10コア4,5側の端部10aまでの距離Lは、上述したように調整可能になっている。図1に示す距離Lは、ギャップGより大きくなっている。好ましくは、距離Lは、1/2G以上である。
【0026】
図1に示すコア4,5および磁路形成部材20は、コイル6に通電したときに発生する磁路を構成する軟磁性体であり、低損失のフェライトを用いることが好ましい。コア4,5および磁路形成部材20の材質は、透磁率μが300H/m以上であることが好ましい。さらに好ましくは、コア4,5および磁路形成部材20の透磁率μは2000H/mである。コア4,5および磁路形成部材20の透磁率は、同程度であっても良いし、異なっていても良い。コア4,5および磁路形成部材20の材質は、フェライトに限定されず、アモルファス、センダスト等の軟磁性体を用いても良い。
【0027】
コイル6は、交流電圧200V、交流電流600Aの高周波電源12に電気的に接続されている。高周波電源12の周波数は、2kHz以上であることが好ましい。より好ましくは、高周波電源12の周波数は、200kHz以上である。
【0028】
図1に示す高周波電源12がONされ、コイル6に高周波電流が流れることにより、磁束照射部14,54同士の間には、図1に示すように磁束34が高密度で発生する。
【0029】
磁束照射部14,54間には、感磁発熱体18が配置される。感磁発熱体18は1/2G付近に配置されても良い。感磁発熱体18は、体内に挿入可能な形状をしており、例えば粉体などの形態が採用され、カテーテル等により患者の体内に挿入される。感磁発熱体18は、患者の患部付近に配置される。感磁発熱体18の材質は、磁束34の照射により発熱し、所定温度に達すると磁性を失い、それ以上温度が上昇しないように調整されていることが好ましい。このような特性を実現するには、たとえばTcが43℃のフェライトが好ましい。温度の過上昇を防止することで、癌細胞だけでなく、患者の正常細胞まで壊死させてしまうことを防止できる。所定温度とは、好ましくは、42〜43度である。
【0030】
磁束照射部14,54間で磁力線が直線状に照射される磁力線と直交する実効磁力領域の面積S(不図示)は1mm以上であることが好ましい。また、実効磁力領域の面積Sにおける磁束密度は、周波数fが10kHz以上10MHz以下であれば0.01mT以上1.0T以下であることが好ましく、より好ましくは、実効磁力領域の面積Sにおける磁束密度は5mT以上である。
【0031】
本実施形態では、コア4に巻回されたコイル6に高周波電流を流すことで、磁束照射部14,54同士の間で磁束密度が高く、強い高周波磁界が発生する。強い高周波磁界中に感磁発熱体18を配置することにより、効率的に感磁発熱体18が発熱し、この熱によって癌細胞などを壊死させることができる。効率的に強い磁界を発生させるため、電力を下げることができ、また、装置を小型化することができる。
【0032】
また、磁束照射部14,54同士の間で磁束密度が高く、強い高周波磁界が発生するために、有効なギャップGの距離を長く確保することができる。したがって、5cm以上のより深い部分での加熱治療が可能になる。
【0033】
また、磁路形成部材20に磁力線が集中することにより、磁束照射部14間での磁束密度がさらに高くなる。
【0034】
また、コア4,5から連結部10までの距離Lをある程度確保することで、磁束照射部14,54間に生じる磁束密度を向上させることができる。
【0035】
また、ギャップGの距離を5cm以上に設定することにより、体表から5cm以上深い患部に感磁発熱体18を配置することができる。
【0036】
また、ギャップGを調整可能になるため、治療すべき対象の大きさに合わせてギャップGを設定することができる。このため、磁束照射部14,54同士の間に発生する高周波磁界を、治療すべき対象の大きさにおける最大限の強さで発生させることができる。
【0037】
さらに、コア支持部8の移動に伴うギャップGの変化に合わせて、コア4,5がコア支持部8に沿って移動する。したがって、ギャップGが変化しても、コア4,5から連結部10までの距離Lを確保することができ、磁束照射部14,54間での高周波磁界を、治療すべき対象の大きさにおける最大限の強さで発生させることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、図1に二点鎖線で示すようにコイル16がコア5の周囲に巻回されるように配置されても良い。この場合には、2個のコア4,5の周囲に軸心24を周回するようにコイル6,16が巻回される。コイル6,16と高周波電源12は、電気的に接続されている。
【0039】
コイル6,16に高周波電流が流れることにより、磁束照射部14,54同士の間には、図1に示すように磁束34が高密度で発生する。この時、コイル6,16は同相になるように電気的に接続され、コア4,5に巻回されている。コイル6,16の巻き数Nと電流値Iの積N・Iはコイル6,16相互間で一定でも良いが、異ならせても良い。
【0040】
このように、同軸上に2個のコイル6,16を配置すれば、低電力で高い磁束密度を発生させ、強い高周波磁界を発生させることができので、容易に感磁発熱体18を発熱させることができる。
【0041】
第2実施形態
本実施形態は、図2に示すように、磁路形成部材が配置されないこと以外は、図1に示す第1実施形態と同様であり、重複する説明は省略する。
【0042】
図2に示すように、本実施形態に係る磁束照射装置22は、コア4,5と、コイル6と、高周波電源12を有している。
【0043】
図2に示すように、コア4,5の磁束照射部14,54がギャップGを有して対向し、コア4,5の軸心24が略一致するようにコア4,5が配置される。磁束照射部14,54間には、感磁発熱体18が配置される。また、一方のコア4の周囲に軸心24を周回するようにコイル6が巻回されている。
【0044】
本実施形態では、簡単な構成で感磁発熱体18を発熱させることができる。
【0045】
また、本実施形態ではさらに、図2に二点鎖線で示すコイル16をコア5の周囲に巻回されるように配置しても良い。この場合には、図2に示すように、2個のコア4,5の周囲に軸心24を周回するようにコイル6,16が巻回される。コイル6,16と高周波電源12は、電気的に接続されている。
【0046】
コイル6,16に高周波電流が流れることにより、磁束照射部14,54同士の間には、図1に示すように磁束34が高密度で発生する。この時、コイル6,16は同相になるように電気的に接続され、コア4,5に巻回されている。
【0047】
このように、同軸上に2個のコイル6,16を配置する場合には、低電力で高い磁束密度を発生させ、強い高周波磁界を発生させることができる。
【0048】
第3実施形態
本実施形態は、図3に示す以外は、図1に示す第1実施形態と同様なので、重複する説明は省略する。
【0049】
図3に示すように、本実施形態に係る磁束照射装置32は、コア4,5と、コイル6と、高周波電源12と、磁路形成部材30を有している。
【0050】
図3に示すように、磁路形成部材30は、コア4,5間の周囲を囲うように配置されている。磁路形成部材30は、コア4,5の軸心24上に軟磁性体のコア固定部33を有している。コア固定部33は、コア4,5を固定すると共に、磁路形成部材30を通る磁路を構成する。
【0051】
本実施形態では、磁路がコア4,5間の周囲を囲うように配置されるために、高周波ノイズが磁束照射装置32から放出されることを防止することができる。
【0052】
また、本実施形態では、図3に二点鎖線で示すコイル16をコア5の周囲に巻回するように配置しても良い。この場合には、図3に示すように、2個のコア4,5の周囲に軸心24を周回するようにコイル6,16が巻回される。コイル6,16と高周波電源12は、電気的に接続されている。
【0053】
コイル6,16に高周波電流が流れることにより、磁束照射部14,54同士の間には、図3に示すように磁束34が高密度で発生する。
【0054】
このように、同軸上に2個のコイル6,16を配置すれば、低電力で高い磁束密度を発生させることができる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0056】
実施例1
図1に示すように、コア4,5をギャップG=30cmの間隔で配置した。コア4の磁束照射部14から感磁発熱体18までの距離を5cmとした。コア4,5の形状は円柱状であり、直径は30mmとし、断面積を707mmとした。コア4,5の軸心方向の長さは20mmとした。そして、コア4,5の周囲にソレノイドコイル6を配置した。コア4,5の材質は、汎用Mn−Znフェライトとし、コア支持部8の材質はコア4,5と同様とし、連結部10の材質はコア4,5と同様とした。また、ソレノイドコイル6の材質はCuとし、ソレノイドコイル6の巻き数Nは100tsとした。感磁発熱体18としては、Tcが42℃の(感温)フェライト材粉末を用いた。平均粒径100μmとした。
【0057】
このような構成を有する磁束照射装置2に対し、高周波電源12をONにし、起磁力が一つのコイルに対して1200ATとなるように、総電力3.0kVAの高周波電流(周波数180kHz)を流して、図1に示す磁束34を発生させた。
【0058】
次に、この磁束照射装置について、感磁発熱体18の温度が約42度まで達するように高周波磁界を発生させ、以下に述べる各パラメータを測定した。
【0059】
感磁発熱体18の温度は、高周波磁界を発生させた結果測定される温度であり、温度計により直接測定した。また、感磁発熱体18の温度が42度に達するのに要した電力を測定した。
【0060】
次に、実効磁力領域の面積Sの測定を行った。なお、磁力線が直線状に照射される磁力線と直交する実効磁力領域の面積Sは、発熱体の温度分布を測定することにより求めた。
【0061】
次に、磁束照射部14から5cmの位置で磁束密度の測定を行った。磁束密度を測定するために、磁束を感知するピックアップコイルを、上述した実効磁力領域内に配置し、電圧計で測定した。
【0062】
上述したパラメータ(感磁発熱体温度、総電力、コアの断面積、実効磁力領域の面積S、磁束密度、磁束照射部14から感磁発熱体18までの距離)を比較した結果を、以下に表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
実施例2
実施例2では、図1に示す一方のコア4のみの周囲にソレノイドコイル6を配置した以外は、実施例1と同様にして磁束照射装置を製造し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
【0065】
実施例3
実施例3では、図3に示すように、コア4,5の周囲を囲うようにして磁路形成部材30を配置した以外は、実施例1と同様にして磁束照射装置を製造し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
【0066】
実施例4
実施例4では、図3に示す一方のコア4のみの周囲にソレノイドコイル6を配置した(コア5の周囲には、ソレノイドコイルを配置しなかった)以外は、実施例3と同様にして磁束照射装置を製造し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
【0067】
実施例5
実施例5では、図1に示す磁路形成部材20を配置しない以外は、実施例1と同様にして磁束照射装置を製造し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
【0068】
実施例6
実施例6では、図1に示す一方のコア4のみの周囲にソレノイドコイル6を配置した(コア5の周囲には、ソレノイドコイルを配置しなかった)以外は、実施例5と同様にして磁束照射装置を製造し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
【0069】
比較例1
図4に示すように、比較例1では、コア44を一個で構成し、図1に示すコア支持部8および連結部10を配置しない以外は、実施例1と同様にして磁束照射装置を製造し、同様な測定を行った。結果を表1に示す。
【0070】
表1に示す実験データから、比較例1に比べ、実施例1〜実施例6において、少ない電力で、効果的な実効磁力領域の面積Sおよび磁束密度を得ることができた。また、表1に示すように、特に、実施例1から実施例4が、他の実施例に比較して、消費電力が低く、実効磁力領域の面積Sおよび磁束密度の値が大きいことが確認された。
【符号の説明】
【0071】
2,22,32・・・磁束照射装置
4,5・・・コア
6,16・・・コイル
8・・・コア支持部
10・・・連結部
12・・・高周波電源
14,54・・・磁束照射部
18・・・感磁発熱体
20・・・磁路形成部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のギャップで対向して配置される磁束照射部を各々有する一対の軟磁性のコアと、
少なくとも一方の前記コアに巻回され、通電されることにより前記磁束照射部間で高周波磁界を生じさせるコイルと、を有することを特徴とする磁束照射装置。
【請求項2】
前記コアを相互に連結して磁路を形成する磁路形成部材をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の磁束照射装置。
【請求項3】
前記磁路形成部材には、前記磁路が複数形成されることを特徴とする請求項2に記載の磁束照射装置。
【請求項4】
前記磁路が前記コア間の周囲を囲んでいることを特徴とする請求項2または3に記載の磁束照射装置。
【請求項5】
前記磁路形成部材は、軟磁性体で構成してあり、
それぞれの前記コアを支持するコア支持部と、
前記コア支持部同士を連結する連結部とを有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の磁束照射装置。
【請求項6】
前記コアから前記連結部までの距離は、前記ギャップの1/2以上であることを特徴とする請求項5に記載の磁束照射装置。
【請求項7】
前記ギャップの距離は、5cm以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の磁束照射装置。
【請求項8】
前記ギャップを調整可能に、前記コア支持部が前記連結部に沿って移動可能であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の磁束照射装置。
【請求項9】
前記コアから前記連結部までの距離を調整可能に、前記コアが前記コア支持部に沿って移動可能であることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の磁束照射装置。
【請求項10】
前記磁束照射部間で磁力線が直線状に照射される磁力線と直交する実効磁力領域の面積は1mm以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の磁束照射装置。
【請求項11】
前記実効磁力領域における磁束密度は、周波数fが10kHz以上10MHz以下において、0.01mT以上1.0T以下であることを特徴とする請求項10に記載の磁束照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−156033(P2011−156033A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18459(P2010−18459)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】