説明

磁歪式トルク・回転角検出装置

【課題】簡易な構造で小型化を図ることができるトルク・回転角検出装置を提供することを課題とする。
【解決手段】磁歪式トルク・回転角検出装置20は、回転軸16と、回転軸16に被覆され且つ磁気異方性が付与されている第1磁歪膜部27と、磁気異方性が第1磁歪膜部27とは逆方向に付与されている第2磁歪膜部28と、磁気異方性は付与されてない第3磁性膜部29と、第1磁歪膜部27に臨んで配置されている第1検出コイル31と、第2磁歪膜部28に臨んで配置されている第2検出コイル32と、第3磁性膜部29に臨んで配置されている第3検出コイル33と、からなる。
【効果】部品数が少なく、配置もまとまっているので、検出装置を簡易な構造にして小型化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸におけるトルクと回転角度とを一括して検出することができる磁歪式トルク・回転角検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の電動パワーステアリングには、操舵力を補助する補助モータを制御するために、各種の検出装置が備えられている(例えば、特許文献1(図2)参照。)。
【0003】
この特許文献1の技術を図面に基づいて以下に説明する。
図13に示すように、ステアリング軸101には、ステアリング軸101におけるトルクを検出するトルク検出装置102と、ステアリング軸101における回転角度を検出する回転角検出装置103とが備えられている。
【0004】
トルク検出装置102では、ステアリング軸101が矢印のように回転されると、トルクの作用によりトーションバー104がねじれ、ステアリング軸101と出力軸105との回転角度に変位が生じる。この変位により、ステアリング軸101に設けられている磁石106と、出力軸105に設けられているヨーク107との位置関係も変化する。すると、ヨーク107に磁束が発生し、集磁リング108を介して磁気センサ109で検知される。この検知情報に基づいて、トルクを検出することができる。
【0005】
回転角検出装置103では、ステアリング軸101と一体的に内歯車111が回転されると、内歯車111に噛み合った外歯車112が回転する。外歯車112と一体的に磁石113も回転する。すると、筐体114に設けられている磁気センサ115で磁気特性の変化が検知される。この検知情報に基づいて、回転角度を検出することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る技術では、トルク検出装置102と回転角検出装置103が異なる位置に別々に配置されているので、部品数が多くなり、スペースも必要になる。すなわち、簡易な構造で小型化を図ることができるトルク・回転角検出装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−269281公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、簡易な構造で小型化を図ることができるトルク・回転角検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、回転軸と、この回転軸に被覆され且つ磁気異方性が付与されている第1磁歪膜部と、前記回転軸に被覆され且つ磁気異方性が前記第1磁歪膜部とは逆方向に付与されている第2磁歪膜部と、軸直角方向での膜厚が変化する形態で前記回転軸に被覆され且つ磁歪を示さない第3磁性膜部と、前記第1磁歪膜部に臨んで配置され第1磁歪膜部での磁気特性の変化を検出する第1検出コイルと、前記第2磁歪膜部に臨んで配置され第2磁歪膜部での磁気特性の変化を検出する第2検出コイルと、この第2検出コイルの検出情報と前記第1検出コイルの検出情報とから前記回転軸に加えられたトルクを演算するトルク演算部と、前記第3磁性膜部に臨んで配置され第3磁性膜部での磁気特性の変化を検出する第3検出コイルと、この第3検出コイルの検出情報から前記回転軸の回転角度を演算する回転角度演算部と、からなり、前記回転軸におけるトルクと回転角度とを一括して検出することができることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明では、第3磁性膜部は、軸直角方向での膜厚が180°周期で変化する形態で回転軸に被覆されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明では、第3磁性膜部は、ねじりトルクに対して磁界の変化を起こさない特性を有する膜であることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明では、第3検出コイルは、集磁性に周期があるヨークを備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、第3磁性膜部には、集磁性に周期のあるヨークを備えた検出コイルが、1/4周期位相をずらして少なくとも2個配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、回転軸と、回転軸に被覆されている第1、第2磁歪膜部、第3磁性膜部と、これらの第1、第2磁歪膜部、第3磁性膜部に臨んで配置されている第1〜第3検出コイルと、トルク演算部と、回転角度演算部とからなる。従来技術によれば、トルク検出装置と回転角度検出装置が異なる位置に別々に配置されているので、部品数が多くなり、スペースも必要になる。これに比較して、本発明では、部品数が少なく、配置もまとまっているので、検出装置を簡易な構造にして小型化を図ることができる。
【0015】
請求項2に係る発明では、第3磁性膜部は、軸直角方向での膜厚が180°周期で変化する形態で回転軸に被覆されている。膜厚を変化させるだけで磁気抵抗が異なる部分を有する磁性膜を製造することができるので、製造コストを安価にすることができる。
【0016】
請求項3に係る発明では、第3磁性膜部は、ねじりトルクに対して磁界の変化を起こさない特性を有する膜である。第3磁性膜部を、ねじりトルクに対して磁界の変化を起こす第1、第2磁歪膜部の近傍に配置しても、第3磁性膜部はねじりトルクの影響を受けないので、第1、第2磁歪膜部、第3磁性膜部をまとめて配置しコンパクト化を図ることができる。
【0017】
請求項4に係る発明では、第3検出コイルは、集磁性に周期があるヨークを備えている。ヨークの形状を変えるだけで集磁効果の大きい部分を有するヨークを製造することができるので、製造コストを安価にすることができる。
【0018】
請求項5に係る発明では、第3磁性膜部には、集磁性に周期のあるヨークを備えた検出コイルが、1/4周期位相をずらして少なくとも2個配置されている。回転軸の絶対角と回転方向を検出するのに、それぞれの検出コイル配置をずらすだけであるので、簡単な構造でコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る磁歪式トルク・回転角検出装置の使用例を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電動パワーステアリングの断面図である。
【図3】本発明に係る磁歪式トルク・回転角検出装置の断面図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】本発明に係る磁歪式トルク・回転角検出装置の構成図である。
【図6】第3検出コイルにおける出力変化の基本原理を説明する図である。
【図7】第3磁性膜部における回転軸と検出コイルの配置を説明する図である。
【図8】回転軸の回転角度を検出する工程を説明する図である。
【図9】図8に対応した第3検出コイルで検出される磁気特性と回転角度の関係を説明する図である。
【図10】検出コイルの出力特性とトルクの関係を説明ずる図である。
【図11】磁歪膜の製造方法を説明する図である。
【図12】本発明に係る別実施例を説明する図である。
【図13】従来の技術の基本原理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例1】
【0021】
先ず、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、車両10において、ステアリングハンドル11が回されると、この回転力がステアリング軸12を介して電動パワーステアリング機構13(詳細構造は後述)に伝えられ、この伝えられた回転力に応じたトルクが、この電動パワーステアリング機構13で付加される。増加されたトルクでラック軸14が水平に動かされ、車輪15が操舵される。
【0022】
図2に示されるように、電動パワーステアリング機構13は、回転軸16と、この回転軸16のトルクと回転角度を一括して検出する磁歪式トルク・回転角検出装置20と、補助動力を伝達する補助動力伝達機構21と、回転軸16の回転運動を往復運動に変換するピニオン・ラック機構22と、これらの外側を囲うハウジング23およびリッド24とからなる。回転軸16は、軸受25、26を用いてハウジング23に回転自在に支持されている。
【0023】
磁歪式トルク・回転角検出装置20は、回転軸16に設けられている第1磁歪膜部27、第2磁歪膜部28および第3磁性膜部29と、これらの第1、第2磁歪膜部27、28、第3磁性膜部29に臨むようにリッド24に設けられている第1検出コイル31、第2検出コイル32および第3検出コイル33と、からなる。
【0024】
補助動力伝達機構21は、ハウジング23に設けられ補助動力を発生する補助モータ34と、この補助モータ34に設けられ回転力を伝達する伝達軸35と、この伝達軸35に設けられているウォームギヤ36と、ウォームギヤ36に噛み合うように回転軸16に設けられ補助動力を伝達するウォームホイール37と、からなる。
【0025】
ピニオン・ラック機構22は、回転軸16に設けられているピニオン40と、このピニオン40に噛み合うように設けられているラック41と、ハウジング23にラック41に向かって摺動自在に設けられラック41を案内するラックガイド42と、ハウジング23にキャップ43を介して設けられラックガイド42がピニオン40に押し付けられるように付勢する圧縮ばね44と、からなる。
【0026】
図3に示されるように、磁歪式トルク・回転角検出装置20は、回転軸16と、回転軸16に被覆され且つ磁気異方性が付与されている第1磁歪膜部27と、回転軸16に被覆され且つ磁気異方性が第1磁歪膜部27とは逆方向に付与されている第2磁歪膜部28と、軸直角方向での膜厚が変化する形態で回転軸16に被覆され且つ磁歪を示さない第3磁性膜部29と、第1磁歪膜部27に臨んで配置され第1磁歪膜部27での磁気特性の変化を検出する第1検出コイル31と、第2磁歪膜部28に臨んで配置され第2磁歪膜部28での磁気特性の変化を検出する第2検出コイル32と、第3磁性膜部29に臨んで配置され第3磁性膜部29での磁気特性の変化を検出する第3検出コイル33と、回転軸16の周囲に配置される1個の励磁コイル47と、からなる。
なお、磁気異方性の方向をA、Bで示す。
【0027】
第3磁性膜部29の断面構造を次図で説明する。
図4に示されるように、第3磁性膜部29は、軸直角方向での膜厚tが180°周期で変化する形態で回転軸16に被覆されている。第3検出コイル33は、集磁性に周期のあるヨーク48を備えている。
【0028】
第3磁性膜部29は、エアギャップの大きさにより磁気抵抗が変わる。第3磁性膜部29において、膜厚tが厚い部分はエアギャップが小さくなり磁気抵抗は小さくなる。逆に、膜厚tが薄い部分はエアギャップが大きくなり磁気抵抗は大きくなる。
また、ヨーク48を半割れ構造にすることで、集磁性に周期を持たせることができる。ヨーク48の集磁効果の大きい領域をRとし、集磁効果の小さい領域をSとする。
なお、膜厚の周期性は180°に限定されず、360°/n周期で軸直角方向での膜厚が変化する形態で回転軸16に被覆されていても差し支えない。ヨーク48は180°周期であるがこれに限定されず、360°周期等でもよく、第3磁性膜部29の360°/n周期で軸直角方向に変化する膜厚に合わせて変更しても差し支えない。集磁効果の大きい領域R、または集磁効果の小さい領域Sの数をNとして、n=1のとき、N≧1であればよいし、n≧2のとき、N=1またはN=nであればよい。ただし、n=1、2、・・・、N=1、2、・・・とし、領域Rおよび領域Sの位置は360°/N間隔とする。例えば、N=2であれば、180°間隔、N=3でれば120°間隔とする。
【0029】
次に図3に示した第1〜第3検出コイル31、32、33に係る演算部を説明する。
図5に示されるように、第1、第2磁歪膜部27、28、第3磁性膜部29に対して配置されている励磁コイル47と、第1〜第3検出コイル31、32、33とを電気的関係として概念的に示している。第1、第2磁歪膜部27、28、第3磁性膜部29に共通に配置されている励磁コイル47には、励磁用交流電流を常に供給する交流電源51が接続されている。第1〜第3検出コイル31、32、33は、それぞれ、上段と下段に分けて2個ずつ配置されている。上下段の第1検出コイル31、31の各出力端子からは、トルクに対応する誘導電圧V、Vが出力される。上下段の第2検出コイル32、32の各出力端子からは、トルクに対応する誘導電圧V、Vが出力される。上下段の第3検出コイル33、33の各出力端子からは、回転角度に対応する誘導電圧V、Vが出力される。
【0030】
第1、第2検出コイル31、31、32、32の各出力端子から出力された誘導電圧V、V、V、Vは、トルク演算部52に入力される。トルク演算部52は、誘導電圧V、V、V、Vに基づいて、回転軸16に加えられたトルクを演算する。
なお、これらの4個の検出コイル31、31、32、32のそれぞれから出力される誘導電圧V、V、V、Vを所定の関係に基づいて組み合わせることにより、第1、第2磁歪膜部27、28いずれかで故障した場合に、故障検出を行うこともできる。
【0031】
第3検出コイル33、33の各出力端子から出力された誘導電圧V、Vは、回転角度演算部53に入力される。回転角度演算部53は、誘導電圧V、Vに基づいて、回転軸16の回転角度を演算する。
なお、トルク演算部52および回転角度演算部53は、マイコン等の演算手段または演算用電気回路で構成されている。
【0032】
図6に示されるように、基準線54からの回転軸16の回転角度をθとする。
(a)に示すように、θ=0°の場合は、第3磁性膜部29の膜厚が最も厚い部分が領域Rに臨んでいる。
(b)に示すように、矢印(1)の向きに回転軸16を回転させ、θ=45°にした場合は、第3磁性膜部29の膜厚が少し薄くなった部分が領域Rに臨んでいる。
(c)に示すように、矢印(2)の向きに回転軸16を回転させ、θ=90°にした場合は、第3磁性膜部29の膜厚が最も薄い部分が領域Rに臨んでいる。
(d)はステアリング軸の回転角度と検出されるインピーダンス(磁気特性)の関係を示すグラフであり、第3検出コイル33では、COS曲線のような結果となる。なお、第1、第2検出コイル(図5、符号31、32)では、回転軸16の回転による変化がない。
【0033】
図7(a)に示されるように、第3磁性膜部29には、集磁性に周期のあるヨーク48を備えた第3検出コイル33、33が、上段下段に分かれて2個配置されている。
(b)は上段の第3検出コイル33の配置を示す図であり、基準線54上に、第3検出コイル33の領域Rが位置している。
(c)は下段の第3検出コイル33の配置を示す図であり、基準線54から、1/4周期(実施例1では45°)位相をずらして第3検出コイル33の領域Rが位置している。
なお、第3検出コイルの数は2個に限定されず、3個、4個など少なくとも2個配置されていても差し支えない。
【0034】
以上の述べた磁歪式トルク・回転角検出装置の作用を次に述べる。
図8に示されるように、回転角度θ=0°における上段の第3検出コイル33部分を(a)に示し、下段の第3検出コイル33部分を(b)に示す。
回転軸16を回転させ、回転角度θ=45°にすると、上段の第3検出コイル33部分は(c)のようになり、下段の第3検出コイル33部分は(d)のようになる。
さらに回転軸16を回転させ、回転角度θ=90°にすると、上段の第3検出コイル33部分は(e)のようになり、下段の第3検出コイル33部分は(f)のようになる。
【0035】
図9(a)に示されるように、上段の第3検出コイル(図5、符号33)では、COS曲線のような結果を得る。他方、下段の第3検出コイル33では、1/4周期位相がずれた波形を得る。上段の第3検出コイルの波形と、下段の第3コイルの波形から、回転角度演算部53を通して、回転軸16絶対角度と回転方向を検出することができる。この結果、(b)に示すように、検出される磁気特性と操舵角の関係を得る。
【0036】
図10に示されるように、第3磁性膜部(図3、符号29)は、ねじりトルクに対して磁性の変化を起こさない特性を有する膜であるので、第3検出コイル(図3、符号33)の出力特性はねじりトルクに対して変化しない。
他方、第1、第2磁歪膜部(図3、符号27、28)は磁歪特性を示すので、ねじりトルクに対して磁性の変化を起こす。
【0037】
図11(a)に示されるように、回転軸16に、例えば、矢印(3)のように、回転軸16を回転させながら、Ni−Fe合金材を外周面に電解めっきする。めっき電極に近いところの電界密度が高いので、P1、P3部では回転速度を遅くし、めっきを厚くする。P2、P4部では回転速度を速くし、めっきを薄くする。
すると、(b)に示すように、軸直角方向での膜厚が180°周期で変化する形態で、回転軸16に第3磁性膜部29を形成させることができる。
【0038】
第1、第2磁歪膜部(図3、符号27、28)に対しては、磁歪特性を示す組成比のNi−Fe合金を溶射するか、もしくはめっきを施す。さらに、回転軸16にトルクを印加した状態で高周波加熱すること等で、磁気異方性を加えることができる。
なお、第1、第2磁歪膜部27、28は、Ni−Fe合金材に限定されず、磁歪特性を示す材料であれば、他の材料でも差し支えない。第3磁性膜部29は、磁歪特性を示さない組成比のNi−Fe合金材に限定されず、磁性を示す材料であれば、他の材料でも差し支えない。それぞれの成膜方法は、溶射、めっきに限定されない。
また、膜厚に周期を持たせるには、上述した製造方法に限定されず、成膜後に研磨する方法等、膜厚に周期を持たせることができれば、他の製造方法であっても差し支えない。
【実施例2】
【0039】
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。
図12(a)に示されるように、ヨーク48、48に溝部55、55を設ける。これにより、フリンジング磁束による磁路長を変化させ、集磁性に周期を持たせることができる。ヨーク48の集磁効果の大きい領域をRとし、集磁効果の小さい領域をSとする。
【実施例3】
【0040】
次に、本発明の実施例3を図面に基づいて説明する。
図12(b)に示されるように、ヨーク48の内側56を楕円形状にする。第3磁性膜部とヨーク48の内側56が近い部分ではエアギャップが小さくなり、集磁効果の大きい領域Rを得る。エアギャップが大きい部分では、集磁効果の小さい領域Sを得る。
【0041】
尚、本発明に係る磁歪式トルク・回転角検出装置は、実施の形態では自動車のステアリング軸に適用したが、船舶の舵にも適用可能であり、回転軸のトルクと回転角度を検出するものであれば、一般の機械部品に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の磁歪式トルク・回転角検出装置は、自動車のステアリング軸に好適である。
【符号の説明】
【0043】
16…回転軸、20…磁歪式トルク・回転角検出装置、27…第1磁歪膜部、28…第2磁歪膜部、29…第3磁性膜部、31…第1検出コイル、32…第2検出コイル、33…第3検出コイル、48…ヨーク、52…トルク演算部、53…回転角度演算部、A、B…磁気異方性、θ…回転角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、この回転軸に被覆され且つ磁気異方性が付与されている第1磁歪膜部と、前記回転軸に被覆され且つ磁気異方性が前記第1磁歪膜部とは逆方向に付与されている第2磁歪膜部と、軸直角方向での膜厚が変化する形態で前記回転軸に被覆され且つ磁歪を示さない第3磁性膜部と、前記第1磁歪膜部に臨んで配置され第1磁歪膜部での磁気特性の変化を検出する第1検出コイルと、前記第2磁歪膜部に臨んで配置され第2磁歪膜部での磁気特性の変化を検出する第2検出コイルと、この第2検出コイルの検出情報と前記第1検出コイルの検出情報とから前記回転軸に加えられたトルクを演算するトルク演算部と、前記第3磁性膜部に臨んで配置され第3磁性膜部での磁気特性の変化を検出する第3検出コイルと、この第3検出コイルの検出情報から前記回転軸の回転角度を演算する回転角度演算部と、からなり、
前記回転軸におけるトルクと回転角度とを一括して検出することができることを特徴とする磁歪式トルク・回転角検出装置。
【請求項2】
前記第3磁性膜部は、軸直角方向での膜厚が360°/n周期で変化する形態で前記回転軸に被覆されていることを特徴とする請求項1記載の磁歪式トルク・回転角検出装置。
【請求項3】
前記第3磁性膜部は、ねじりトルクに対して磁界の変化を起こさない特性を有する膜であることを特徴とする請求項1記載又は請求項2の磁歪式トルク・回転角検出装置。
【請求項4】
前記第3検出コイルは、集磁性に周期があるヨークを備えていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の磁歪式トルク・回転角検出装置。
【請求項5】
前記第3磁性膜部には、集磁性に周期のあるヨークを備えた検出コイルが、1/4周期位相をずらして少なくとも2個配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の磁歪式トルク・回転角検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−181196(P2010−181196A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22945(P2009−22945)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】