説明

磁歪振動子を用いた容器部内の圧力測定装置{Pressuremeasuringapparatusinsideavesselusingmagnetostrictiveacousticoscillator}

【課題】容器部の外部にコイルを、容器部の内部には振動部を構成し、超音波を容器部の内部で直接出力することにより、容器を変形することなく、超音波を発生させてリークの可能性を最小化し、容器内の媒質に電波する超音波の伝達効率を測定し、圧力を測定する。
【解決手段】圧力測定装置は、容器部10の側壁の外部に設けられる第1の磁化ヨーク110に巻取られた加振コイル部120と、第1の磁化ヨーク110に巻取られた受信コイル部140と、第1の磁化ヨーク110が設けられた容器部10の側壁の内部に備えられる振動部150とから構成された磁歪送受信振動子100と、加振コイル部120に所定の電流を与える制御部20と、受信コイル部140により受信された超音波信号と、振動部150から出力された超音波信号とに基づき、容器部10の内部圧力を測定する圧力測定部60とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁歪(Magnetostriction)現象による圧力測定装置に関し、より詳しくは、圧力を測定しようとする容器部の外部にコイルを構成し、容器部の内部に振動部を具備した磁歪超音波変換器を用いて、圧力測定に必要な超音波を容器部の内部で直接出力及び測定することにより、低真空、高真空、及び大気圧以上の高圧でも圧力測定が可能な装置に関する。また、容器部のダメージや変形なしに、圧力測定に必要な超音波を伝達することが可能な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体工程、及びLCD生産工程において、容器部、特に真空状態の容器部(真空容器)の内部圧力は、重要な変数として働く。真空度、即ち、容器部の圧力を測定するには、一般に静電容量型隔膜真空計(Capacitance Diaphragm Gauge)を使用する。
【0003】
静電容量型隔膜真空計は、測定しようとする容器部の内部に設けて、容器部の圧力測定を行うものである。このような静電容量型隔膜真空計を用いて測定する真空も、圧力測定の前には真空のリーク程度をチェックする必要があり、静電容量型隔膜真空計を設けた後は、再び内部を真空状態にするという煩わしさがあった。また、静電容量型隔膜真空計は、低真空状態で使用可能であるという限界がある。
【0004】
このような問題を改善して、容器部の外部で超音波を出力及び受信する圧力測定装置は、容器部のリーク程度のチェックなどの煩わしさがないという利点がある。しかし、一般に、容器部は、その内部圧力と外部圧力との差に耐えるため、ステインレス鋼等の金属材質からなる。ところが、圧力測定の際に容器部の外部から内部へ超音波を伝達しようとすると、容器の材質と内部気体との間の音響インピーダンスの差が大きいため、超音波が容器部の内部の気体に伝達されないという不都合がある。同様に、容器部の内部から外部に伝達される超音波も、音響インピーダンスの差が大きいため、ほぼ伝達されないという問題がある。このように、超音波の伝達及び受信効率が低いため、圧力測定が難しいという問題がある。そこで、超音波を用いて容器内の圧力を測定するためには、超音波を効率よく伝達させることができる装置が要求される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記の問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、磁歪超音波変換器において、コイルを容器部の外部に構成し、振動部を容器部の内部に具備して、容器部のダメージや変形をもたらすことなく、超音波を容器部の内部で直接発生させ、圧力測定時の漏洩の可能性を最小化し、超音波の伝達効率を増加させることにある。
【0006】
また、本発明は、反射板又は/及び共振を用いることによって容器部の内部で発生させる超音波の伝達効率を増大させ、高真空、大気圧以上の高圧状態でも、圧力測定が可能な装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記のような目的を達成するための具体的な手段として、磁歪振動子を用いた圧力測定装置は、
容器部の側壁の外部に設けられる第1の磁化ヨークに巻き取られた加振コイル部と、第1の磁化ヨークに巻き取られた受信コイル部と、第1の磁化ヨークが設けられた容器部の側壁の内部に設けられる振動部とから構成される磁歪送受信振動子と、
加振コイル部に所定の電流を与える制御部と、
受信コイル部により受信された超音波信号と、振動部から出力された超音波信号とに基づき、容器部の内部圧力を測定する圧力測定部と、
を含むことを特徴とする。
【0008】
また、振動部は、振動部磁化ヨークと、振動膜とから構成される。
この際、振動膜は、1層又は複数の層で構成され、ニッケル、鉄-コバルト合金、又は鉄-ガリウム合金などを含む磁歪性の大きい材質から構成されることが望ましい。
【0009】
また、振動部は、磁歪素子と、音響インピーダンス整合層とから構成される。
この際、磁歪素子は、ターフェノールD(Terfenol-D)などを含む磁歪性の大きい材質から構成される。
【0010】
更に、容器部の内部には、超音波を反射するための反射板が更に備えられることが望ましい。
【0011】
なお、第1の磁化ヨークは、フェライト又は電気鋼板(SiFe)の高透磁率の材料から構成されることが望ましい。
【0012】
また、制御部は、磁歪送受信振動子と容器部の内壁との間で超音波が共振を起こす、又は磁歪送受信振動子と反射板との間で超音波が共振を起こすように、所定の制御信号を磁歪送受信振動子に与えることができる。
【0013】
本発明のさらに他の具体的な手段として、磁歪振動子を用いた圧力測定装置は、容器部の一側壁の外部に設けられる第1の磁化ヨークに巻き取られた加振コイル部と、第1の磁化ヨークが設けられた容器部の一側壁の内部に設けられる加振振動部とから構成される磁歪加振振動子と、
容器部の他側壁の外部に設けられる第2の磁化ヨークに巻き取られた受信コイル部と、第2の磁化ヨークが設けられた容器部の他側壁の内部に設けられる受信振動部とから構成される磁歪受信振動子と、
加振コイル部に所定の電流を与える制御部と、
受信コイル部により受信された超音波信号と、加振振動部から出力された超音波信号とに基づき、容器部の内部圧力を測定する圧力測定部と、を含む。
【0014】
また、磁歪加振振動子と磁歪受信振動子とは、同一軸線上に配置されることが望ましい。
【0015】
また、第1の磁化ヨークと前記第2の磁化ヨークとは、フェライト又は電気鋼板(SiFe)の高透磁率の材料から構成される。
【0016】
また、制御部は、磁歪加振振動子から出力された超音波が、磁歪加振振動子と磁歪受信振動子との間で共振を起こすように、所定の制御信号を磁歪加振振動子に与えることができる。
【0017】
また、加振振動部は、加振振動部磁化ヨークと、加振振動膜とから構成される。
【0018】
そして、受信振動部は、受信振動部磁化ヨークと、受信振動膜とから構成される。
【0019】
また、加振振動部又は、受信振動部は、磁歪素子と、音響インピーダンス整合層とから構成される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の磁歪振動子を用いた圧力測定装置は、容器部の内部に振動部を、容器部の外部にコイルを具備して、容器部の内部に直接超音波を出力することで、エネルギー減衰を最小化して、測定圧力の精度が向上するという利点がある。
【0021】
また、容器部のダメージや変形をもたらすことなく、超音波を発生させて、容器部の内部の圧力を測定するので、リークの可能性が最小化するという利点がある。
【0022】
そして、反射板を更に形成するか、超音波の共振を誘導して、高真空状態又は大気圧以上の高圧状態でも、容器部の内部圧力、即ち、真空度の測定が可能であるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面を参考して、本発明の好適な実施形態を詳しく説明する。以下、図1乃至図3で使用される、符号‘U'は、容器部10の内部を進む超音波を示し、符号‘P'は、容器部10の内部で超音波(U)の進行経路を示す。
【0024】
本明細書に添付される以下の図面は、本発明の好適な実施形態を例示し、発明の詳細な説明と共に本発明の技術思想を更に理解させる役目を果たすものであるため、本発明を図面に記載した事項にのみ限定して解釈してはならない。
【0025】
(圧力測定装置の構成)
(第1の実施形態)
図1aは、本発明の磁歪振動子を用いた圧力測定装置の第1の実施形態である。圧力測定装置は、容器部10の一側壁に形成される磁歪送受信振動子100と、磁歪送受信振動子100に所定の電流を与える制御部20と、容器部10の内部を進行した超音波信号と容器部10の内部に出力された超音波信号とに基づき、容器部10の内部圧力を測定する圧力測定部60とから構成される。
磁歪送受信振動子100は、第1の磁化ヨーク110と、第1の磁化ヨーク110に巻き取られた加振コイル部120及び受信コイル部140と、超音波が出力される振動部150とから構成される。第1の磁化ヨーク110に巻き取られた加振コイル部120と受信コイル部140とは、容器部10の外側に形成され、振動部150は、容器部10の内側に備えられる。
【0026】
第1の磁化ヨーク110は、フェライト又は電気鋼板(SiFe)のような高透磁率の材料からなることが望ましい。
【0027】
振動部150は、振動部磁化ヨーク152と、振動膜154とから構成される。振動部磁化ヨーク152は、第1の磁化ヨーク110と同様に、フェライト又は電気鋼板のような高透磁率の材料からなることが望ましい。振動膜154は、1層又は複数の層で構成され、磁歪性の大きい材質から構成される。磁歪材質は、強磁性体であるニッケル、コバルト、鉄などの合金素材があり、鉄-コバルト合金材質を使用することが望ましい。鉄-コバルト合金は、磁歪率がニッケルの3倍以上であり、加工性が良いという利点がある。複数の層で構成される場合、それぞれの層は、互いに異なる材質で構成することができる。
【0028】
振動部150、特に振動膜154の振動により、容器部10の内壁に超音波が出力される。また、図1bに示したように、磁歪送受信振動子100が設けられた容器部10の内壁側に超音波を出力することもできる(進行経路P’)。
【0029】
制御部20は、加振コイル部120に与える電流を調節し、結局のところ、振動部150を介して出力する超音波を制御する。本発明では、望ましくは、超音波の共振を誘導して、伝達/受信効率の増大を図ることができる。共振は、高真空などの場合のように、圧力測定を行うために、高出力の超音波発生が要求される場合に有用である。従って、制御部20は、磁歪送受信振動子100と容器部10の内壁との間で共振を起こす所定の周波数及び信号波形を有する超音波が出力されるように、所定の制御信号を磁歪送受信振動子100に与える。
【0030】
圧力測定部60は、受信コイル部140に受信された超音波の信号、即ち、容器部10の内部を進行した超音波の信号と、容器部10の内部に出力された超音波の信号とに基づき、容器部10の内部圧力を測定する。超音波の信号は、容器部10の内部を進行しながら変化した超音波の振幅及び信号波形などの情報を含み、容器部10の内部での進行時間などの情報と共に、容器部10の内部の圧力を測定する際の基礎となる。これらの情報に基づき、容器部10の内部圧力を測定することは、当業者の範囲で自明なことであるので、詳述は省略することにする。
【0031】
圧力測定部60は、受信された超音波の信号の他にも、容器部10の内部に出力された超音波の信号に対する情報も得なければならないので、制御部20と連結されることが望ましい。
【0032】
望ましくは、受信コイル部140で受信された超音波に対する信号が圧力測定部60に与えられる前に、ノイズを除去するフィルタ部(図示せず)をさらに付加することができる。フィルタ部の一例としては、ハイパスフィルタ(HPF)又はバンドパスフィルタ(BPF)が用いられる。
【0033】
(第2の実施形態)
図2は、磁歪振動子を用いた圧力測定装置の第2の実施形態である。図2に示したように、図1の構成に、反射板190が更に含まれる。
【0034】
反射板190は、容器部10の内部を進む超音波の減衰を減らすためのもので、磁歪送受信振動子100と近接する距離に設けられる。
【0035】
反射板190は、容器部10の内部を進む超音波を反射させ得る物質であれば、その種類を問わず使用することができる。反射板190の位置は、共振条件を考えて設けることが望ましい。一例として、容器部10の内部に出力される超音波波長(λ)の1/2となる地点や、その倍数((λ/2)n)となる地点に設けることができる。これは、反射板190の設置の例示であるだけで、本発明の構成を限定することではない。
【0036】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の磁歪振動子を用いた圧力測定装置の第3の実施形態である。図3に示したように、振動部150は、磁歪素子156と音響インピーダンス整合層158とから構成される。他の構成要素は、第1の実施形態及び第2の実施形態と同一であるため、その説明は省略する。
【0037】
磁歪素子156は、磁歪性が強いターフェノールD(Terfenol-D)のような材質を使用することが望ましい。
【0038】
音響インピーダンス整合層158は1層または複数の層で構成され、複数の層で構成される場合、それぞれの層は互いに異なる音響インピーダンスを有する。
【0039】
(第4の実施形態)
図4は、本発明の磁歪振動子を用いた圧力測定装置の第4の実施形態である。図4に示したように、超音波を加振する部分と受信する部分とを別に構成することができる。超音波を加振する部分は、磁歪加振振動子200であり、容器部10の内部を進行した超音波を受信する部分は、磁歪受信振動子200’である。
【0040】
磁歪加振振動子200は、容器部10の一側壁の外部に設けられる第1の磁化ヨーク210に巻き取られた加振コイル部220と、容器部10の一側壁の内部に備えられる加振振動部250とから構成される。
【0041】
第1の磁化ヨーク210は、容器部10の一側壁の外部に設けられ、加振コイル部220が巻き取られている。加振コイル部220は、制御部20の制御信号を受け、制御部20の制御によって容器部10の内部に出力される超音波の振幅及び波形が定められる。第1の磁化ヨーク210は、フェライト又は電気鋼板のような高透磁率の材料からなる。
【0042】
加振振動部250は、加振振動部磁化ヨーク252と、加振振動膜254とから構成される。加振振動部磁化ヨーク252は、フェライト又は電気鋼板のような高透磁率の材料からなることが望ましい。加振振動部250は、第1の磁化ヨーク210及び加振コイル部220により発生した磁場の影響を受け、加振振動膜254が振動して、超音波を容器部10の内部に出力する。
【0043】
磁歪加振振動子200と同様に、磁歪受信振動子200’は第2の磁化ヨーク210’に巻き取られた受信コイル部240’及び受信振動部250’を含み、受信振動部250’は、受信振動部磁化ヨーク252’及び受信振動膜254’から構成される。
【0044】
第2の磁化ヨーク210’及び/又は、受信振動部磁化ヨーク252’も、フェライト又は電気鋼板のような高透磁率の材料からなることが望ましい。
【0045】
加振振動膜254と受信振動膜254’は、磁歪材料で構成することができる。これは、第1の実施形態の振動膜154に関する説明と同じであるので、詳細な説明は、省略する。
【0046】
磁歪受信振動子200’が設けられる位置は、磁歪加振振動子200が設けられた容器部10の他側壁である。磁歪受信振動子200’の受信コイル部240’は、圧力測定部60と連結され、容器部10の内部を進行した超音波の信号情報を受信する。
【0047】
磁歪加振振動子200と磁歪受信振動子200’とは、同軸A−A’線上に位置することが望ましい。受信される超音波を伝達、又は/及び、受信効率を増加し、容器部10の内部の真空度、即ち、圧力以外の変数を除去するためである。
【0048】
(第5の実施形態)
図5は、本発明の磁歪振動子を用いた圧力測定装置の第5の実施形態である。図5に示したように、加振振動部250と受信振動部250’との構成は、第3の実施形態のように構成することができる。
【0049】
即ち、加振振動部250は、磁歪素子256と音響インピーダンス整合層258とから構成することができる。受信振動部250’も、磁歪素子256’と音響インピーダンス整合層258’とから構成することができる。
【0050】
磁歪素子256、256’、及び音響インピーダンス整合層258、258’に関する説明は、第3の実施形態の内容で代替する。
【0051】
一方、符号‘90'は、容器部10の内部を真空状態にするための真空ポンプであり、符号‘80'は、真空を作ることに用いられるバルブを示す。このような補助装置は、容器部10の内部を真空状態にするためのもので、本発明の圧力測定装置の必須構成要素ではない。
【0052】
(圧力測定方法)
本発明は、磁歪現象を用いるものであり、磁場の変化により強磁性材料が機械的に変形する現象であるジュール効果(Joule effect)に基づいて超音波を発生させ、逆磁歪(inverse magnetostriction)に該当するビラリ効果(Villari effect)により超音波を感知する。超音波を発生させるジュール効果は、磁歪加振振動子200により具現され、超音波を感知するビラリ効果は、磁歪受信振動子200’により具現される。
【0053】
(第1の実施形態の方法)
本発明の第1の実施形態である磁歪送受信振動子100を用いた容器部10の内部圧力測定方法は、以下の通りである。先ず、圧力測定装置を設ける(S10)。
【0054】
制御部20の電流制御により、加振コイル部120に所定の値を有する電流が与えられる。加振コイル部120に電流が流れながら、加振コイル部120が巻き取られた第1の磁化ヨーク110に磁場が誘導される。誘導された磁場により、容器部10の内部に設けられた振動部150の振動膜154が振動し、振動膜154の振動で超音波が発生する(S20)。
【0055】
発生した超音波は容器部10の内部を進行し、容器部10の内壁に反射されて、更に磁歪送受信振動子100側に進む(S30)。進行経路(P)は、図1aに示した通りである。
【0056】
容器部10の内部を進行した超音波は、振動部150の振動膜154を振動させ、振動膜154は、磁歪材料で構成されているため、磁場が発生する。発生した磁場により、受信コイル部140に電流が誘導される(S40)。これは、前述したように、超音波が発生するステップ(S20)が逆に進行するビラリ効果による。
【0057】
受信コイル部140に誘導された電流は、容器部10の内部を進行した超音波信号に関する情報を有している。その情報は超音波の振幅及び波形などを含み、その他の情報で超音波の進行時間などを別に測定することができる。
圧力測定部60は、受信コイル部140により受信された超音波の信号(所定の電流値)と、容器部10の内部に最初に出力された超音波信号とに基づき、容器部10の内部の圧力を測定する(S50)。
【0058】
制御部20は、加振コイル部120に与えられる電流を制御する。振動膜154と容器部10の内壁との間で超音波の共振が発生し得るように、制御部20は、磁歪送受信振動子100から出力される超音波の周波数と波形に関する所定の制御信号を磁歪送受信振動子100に与える。超音波の共振が起きる場合、受信コイル部140の受信効率が増加するからである。
【0059】
前記の圧力測定方法は、図1bに示したように、振動部150から出力される超音波の進行経路(P’)が、図1aの場合と逆方向の場合にも適用されることは、勿論のことである。
【0060】
(第2の実施形態の方法)
本発明の第2の実施形態である磁歪振動子を用いた圧力測定装置を用いた容器部内部の圧力を測定する方法は、前記第1の実施形態の方法とほぼ同様である。但し、図2に示したように、反射板190が更に設けられているので、容器部10の内部を進む超音波の進行経路(P)が短くなるということが相違する。超音波の進行経路(P)が短くなるので、受信コイル部140を介して受信される超音波信号の受信効率が増加する。従って、容器部10の内部圧力を測定することにおいて、更に高い精度が得られる。
【0061】
制御部20は、振動部150と反射板190との間で超音波の共振が発生するように、加振コイル部120に与えられる電流を制御することができる。これも、共振を誘導して、磁歪送受信振動子100の受信効率の増大を図るためである。
【0062】
(第3の実施形態の方法)
本発明の第3の実施形態である磁歪振動子を用いた圧力測定装置を利用する容器部の内部の圧力を測定する方法において、圧力測定装置は、第1の実施形態の方法とほぼ同様に設けられる。但し、図3に示したように、磁歪素子156と音響インピーダンス整合層158とから構成された振動部150が、容器部10の内部に備えられることが相違する。
【0063】
制御部20の制御信号を受けて、磁歪加振振動子100で電界が発生することは、第1の実施形態の方法と同様である。磁歪素子156は、加振コイル部120により発生した電界の影響を受けて、超音波を出力する。磁歪素子156から出力された超音波は、音響インピーダンス整合層158を経て、容器部10の内部への伝達効率が増大する。
【0064】
(第4の実施形態の方法)
本発明の第4の実施形態である磁歪振動子を用いた圧力測定装置を利用する容器部の内部圧力の測定方法は、以下の通りである。まず、圧力測定装置を設ける(S10’)。
【0065】
磁歪加振振動子200に連結された制御部20の電流制御により、加振コイル部220に所定の電流が与えられる。加振コイル部220に電流が流れながら、加振コイル部220が巻き取られた第1の磁化ヨーク210に磁場が誘導される。誘導された磁場により、容器部10の内部に設けられた加振振動部250の加振振動膜254が振動し、加振振動膜254の振動で、超音波が発生する(S20’)。
【0066】
発生した超音波は、容器部10の他側壁に設けられた磁歪受信振動子200’の方に進行する(S30’)。
【0067】
容器部10の内部を進行した超音波は、磁歪受信振動子200’の受信振動部250’を振動させ、受信振動部250’、特に受信振動膜254’は磁歪材料で構成されているため、磁場が発生する。発生した磁場により、受信コイル部240’に電流が誘導される(S40’)。
【0068】
圧力測定部60は、受信コイル部240’により受信された超音波の信号(所定の電流値)と、容器部10の内部に最初に出力された超音波信号とに基づき、容器部10の内部の圧力を測定する(S50’)。
【0069】
(第5の実施形態の方法)
本発明の第5の実施形態である圧力測定装置を用いた容器部の内部の圧力を測定する方法は、第4の実施形態の方法とほぼ同様である。但し、加振振動部250と受信振動部250’がそれぞれ、磁歪素子256、256’及び音響インピーダンス整合層258、258’から構成されることが、相違する。
【0070】
制御部20の電流制御により加振コイル部220に電流が流れ、加振コイル部220に電流が流れながら、磁場が誘導される。誘導された磁場により、(加振側)磁歪素子256は超音波を出力し、出力された超音波は(加振側)音響インピーダンス整合層258を経ながら、伝達効率が増加する(S30”)。
容器部10の内部を進行した超音波は、容器部10の他側に位置した(受信側)音響インピーダンス整合層258’を経ることによって受信効率が増加し、超音波により、(受信側)磁歪素子256’に磁場が誘導される。従って、受信コイル部240’では、所定の電流が発生し(S40”)、圧力測定部では、受信コイル部240’に受信された超音波の信号(所定の電流値)と、容器部10の内部に最初に出力された超音波信号とに基づき、容器部10の内部圧力を測定することになる。
【0071】
(変形例)
本発明は、容器部10が、1〜10−5Paの低真空状態の場合のみならず、10−5〜10−9Paの高真空状態の場合にも適用可能である。
【0072】
本発明において、容器部10は、低真空状態、高真空状態の真空状態の場合の他に、大気圧以上の特定容器の内部圧力を測定しようとする場合にも適用可能であることは勿論、容器の内部が気体でない固体、液体で満たされた場合にも、適用することができる。
【0073】
本発明の他の実施形態として、第1の磁化ヨーク110、210、第2の磁化ヨーク210’、加振振動部磁化ヨーク252及び、受信振動部磁化ヨーク252’は、図4の第1の磁化ヨーク210と同じ形状で製造されることができ、その他、様々な形態で製造されることができることは、勿論である。
【0074】
本発明の圧力測定装置及び測定方法は、半導体工程、又は、LCD工程で主に使用されることができる。その他にも、容器内部の真空度、即ち、圧力の程度を測定しようとする産業分野では全て適用されることができることは勿論である。
【0075】
本発明に係る好適な実施形態に関して説明したが、発明の要旨と範囲から逸脱することなく、様々な修正や変形をすることが可能である。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の要旨に属する限り、様々な変形や修正を取り込める。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1a】本発明の磁歪振動子を用いた圧力測定装置の第1の実施形態の設置状態図である。
【図1b】本発明の磁歪振動子を用いた圧力測定装置の第1の実施形態の設置状態図である。
【図2】本発明の磁歪振動子を用いた圧力測定装置の第2の実施形態の設置状態図である。
【図3】本発明の磁歪振動子を用いた圧力測定装置の第3の実施形態の設置状態図である。
【図4】本発明の磁歪振動子を用いた圧力測定装置の第4の実施形態の設置状態図である。
【図5】本発明の磁歪振動子を用いた圧力測定装置の第5の実施形態の設置状態図である。
【符号の説明】
【0077】
10 容器部
20 制御部
60 圧力測定部
100 磁歪送受信振動子
110、210 第1の磁化ヨーク
210’ 第2の磁化ヨーク
120、220 加振コイル部
140、240’ 受信コイル部
150 振動部
152 振動部磁化ヨーク
154 振動膜
156、256、256’ 磁歪素子
158、258、258’ 音響インピーダンス整合層
190 反射板
200 磁歪加振振動子
200’ 磁歪受信振動子
250 加振振動部
250’ 受信振動部
252 加振振動部磁化ヨーク
252’ 受信振動部磁化ヨーク
254 加振振動膜
254’ 受信振動膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を用いて容器部の内部圧力を測定する装置において、
前記容器部の側壁の外部に設けられる第1の磁化ヨークに巻き取られた加振コイル部と、前記第1の磁化ヨークに巻き取られた受信コイル部と、前記第1の磁化ヨークが設けられた前記容器部の側壁の内部に設けられる振動部とから構成される磁歪送受信振動子と、
前記加振コイル部に所定の電流を与える制御部と、
前記受信コイル部により受信された超音波信号と、前記振動部から出力された超音波信号とに基づき、前記容器部の内部圧力を測定する圧力測定部と、を含むことを特徴とする、磁歪振動子を用いた圧力測定装置。
【請求項2】
前記振動部は、振動部磁化ヨークと、振動膜とから構成されることを特徴とする、請求項1に記載の磁歪振動子を用いた圧力測定装置。
【請求項3】
前記振動膜は、1層又は複数の層で構成されることを特徴とする、請求項2に記載の磁歪振動子を用いた圧力測定装置。
【請求項4】
前記振動膜の1層又は複数の層は、ニッケル、鉄-コバルト合金、又は鉄-ガリウム合金材質の磁歪性の大きい材質から構成されることを特徴とする、請求項3に記載の磁歪振動子を用いた圧力測定装置。
【請求項5】
前記振動部は、磁歪素子と、音響インピーダンス整合層とから構成されることを特徴とする、請求項1に記載の磁歪振動子を用いた圧力測定装置。
【請求項6】
前記磁歪素子は、ターフェノールD材質の磁歪性の大きい材質から構成されることを特徴とする、請求項5に記載の磁歪振動子を用いた圧力測定装置。
【請求項7】
前記容器部の内部には、前記超音波を反射するための反射板が更に含まれることを特徴とする、請求項1に記載の磁歪振動子を用いた圧力測定装置。
【請求項8】
前記第1の磁化ヨークは、フェライト又は電気鋼板(SiFe)の高透磁率の材料から構成されることを特徴とする、請求項1に記載の磁歪振動子を用いた圧力測定装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記磁歪送受信振動子と前記容器部の内壁との間で前記超音波が共振を起こすように、所定の制御信号を前記磁歪送受信振動子に与えることを特徴とする、請求項1に記載の磁歪振動子を用いた圧力測定装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記磁歪送受信振動子と前記反射板との間で前記超音波が共振を起こすように、所定の制御信号を前記磁歪送受信振動子に与えることを特徴とする、請求項7に記載の磁歪振動子を用いた圧力測定装置。
【請求項11】
超音波を用いて容器部の内部圧力を測定する装置において、
前記容器部の一側壁の外部に設けられる第1の磁化ヨークに巻き取られた加振コイル部と、前記第1の磁化ヨークが設けられた前記容器部の一側壁の内部に設けられる加振振動部とから構成される磁歪加振振動子と、
前記容器部の他側壁の外部に設けられる第2の磁化ヨークに巻き取られた受信コイル部と、前記第2の磁化ヨークが設けられた前記容器部の他側壁の内部に設けられる受信振動部とから構成される磁歪受信振動子と、
前記加振コイル部に所定の電流を与える制御部と、
前記受信コイル部により受信された超音波信号と、前記受信振動部から出力された超音波信号に基づき、前記容器部の内部圧力を測定する圧力測定部と、を含むことを特徴とする、磁歪振動子を用いた圧力測定装置。
【請求項12】
前記磁歪加振振動子と前記磁歪受信振動子は、同一軸線上に配置されることを特徴とする、請求項11に記載の磁歪振動子を用いた圧力測定装置。
【請求項13】
前記第1の磁化ヨークと前記第2の磁化ヨークとは、フェライト又は電気鋼板(SiFe)の高透磁率の材料から構成されることを特徴とする、請求項11に記載の磁歪振動子を用いた圧力測定装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記磁歪加振振動子から出力された超音波が、前記磁歪加振振動子と前記磁歪受信振動子との間で共振を起こすように、所定の制御信号を前記磁歪加振振動子に与えることを特徴とする、請求項11に記載の磁歪振動子を用いた圧力測定装置。
【請求項15】
前記加振振動部は、加振振動部磁化ヨークと、加振振動膜とから構成されることを特徴とする、請求項11に記載の磁歪振動子を用いた圧力測定装置。
【請求項16】
前記受信振動部は、受信振動部磁化ヨークと、受信振動膜とから構成されることを特徴とする、請求項11に記載の磁歪振動子を用いた圧力測定装置。
【請求項17】
前記加振振動部又は前記受信振動部は、磁歪素子と、音響インピーダンス整合層とから構成されることを特徴とする、請求項11に記載の磁歪振動子を用いた圧力測定装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−271053(P2009−271053A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273833(P2008−273833)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(592104472)韓国標準科学研究院 (17)
【Fターム(参考)】